説明

支持部材と付加部材とを結合する装置

【課題】 ネジの螺入によって取付部材が支持部材から所定距離だけ離隔して当該支持部材と結合することを可能にする支持部材と取付部材の結合装置。
【解決手段】 支持部材と取付部材とを結合する装置であって、前記支持部材(27)の切欠部(打抜部)に嵌合可能に構成されると共に、縁部側に突出する少なくとも1つの支持部分を有する差込み部材と、前記少なくとも1つの支持部分の各々にそれぞれ対向する少なくとも1つの対向部材と、少なくとも部分的にネジ構造を有するよう構成されたネジ領域とを含んで構成される結合装置において、前記ネジ領域(14)と前記少なくとも1つの対向部材(22、23)とを有する内部部材(12)を有すること、前記内部部材(12)は、前記差込み部材(1)に軸方向に摺動可能に支持されること、及び前記差込み部材(1)は、前記ネジ領域(14)に螺合されるネジ(31)と係合しかつ該ネジ(31)のためのストッパを構成する対向支承領域(3)を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材(ないし担持部材、基材)に取付(付加)部材を結合する装置であって、前記支持部材の切欠部(打抜部)に嵌合可能に構成されると共に、縁部側に突出する少なくとも1つの載置部分を有する差込み部材と、前記少なくとも1つの載置部分の各々にそれぞれ対向する少なくとも1つの対向部材と、少なくとも部分的にネジ構造を有するよう構成されたネジ領域とを含んで構成される結合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置について記載する文献は存在する(後掲特許文献1参照)。この既知の装置の場合、縁部側でそれぞれ突出すると共に、支持部材の切欠部(打抜部)に差込み部材を嵌合する際に、嵌合方向に関し該支持部材の外面側で該切欠部(打抜部)の周囲(周縁部)に着座する2つの載置部分を有するケージ状差込み部材を有する。載置部分の各々の内側にはそれぞれ1つの縁部ウェブが形成されており、該縁部ウェブには、外方に突出し支持部分に向い合うよう配向される弾性的対向部材が形成されている。この既知の装置は、更に、2つの縁部ウェブを、支持部分から遠い側のそれぞれの端部と結合して橋絡する中央ブリッジを有する。中央ブリッジの中央領域には、支持部材に固定されるべき取付部材を貫通するネジが螺合可能なネジ構造を有するネジ領域が形成されている。この既知の装置を規定どおりに使用する場合、差込み部材は、載置部分が支持部材の外面に当接し、かつ対向部材が切欠部(打抜部)を貫通通過する際に弾性的に狭窄した(窄まった)後再び外方に(弾性的に)突出して切欠部(打抜部)の周囲の支持部材の周縁領域に後方から係合するまで、支持部材の切欠部(打抜部)を貫通して差込まれる。
【0003】
この装置(の構造)では、差込み部材は、支持部材に係止され、ネジによって貫通通過される取付部材は、取付部材が差込み部材の支持部分に当接し、対向部材が差込み部材の脱落を防止するまで、ネジをネジ構造に螺合することによって、支持部材に結合することができる。
【0004】
【特許文献1】DE−OS 19 23 321
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、冒頭に述べた種類の装置を、ネジの螺入によって付加部材が支持部材から所定距離だけ離隔して当該支持部材と結合することができるように構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、本発明の一視点により、冒頭に述べた種類の(冒頭に記載した特徴を前置部(上位概念)として有する)装置において、前記ネジ領域と前記少なくとも1つの対向部材とを備えた内部部材を有すること、前記内部部材は、前記差込み部材に軸方向に摺動可能に支持されること、及び前記差込み部材は、前記ネジ領域に螺合されるネジと係合しかつ該ネジのためのストッパを構成する対向支承領域を有すること、によって解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の装置は、差込み部材内を軸方向に摺動可能に構成されると共にネジ領域及び少なくとも1つの対向部材を備えた内部部材を有し、かつその差込み部材がネジのためのストッパを形成する対向支承領域を有することによって、ネジ構造へのネジの螺合の際に、差込み部材を受容する切欠部(打抜部)の周囲(周縁)領域の、少なくとも1つの支持部分の反対側を指向する側に、少なくとも1つの対向部材の各々が当接するまで、内部部材は、ネジの進行方向と反対方向に運動する。本発明の装置のこの構成では、取付部材は、支持部材から所定距離だけ離隔して配置され、かつ該支持部材に固定的に結合される。
【0008】
本発明の更なる好ましい実施形態は、従属請求項の対象である。
【0009】
添付の各図面を参照した本発明の好ましい一実施例に関する以下の説明から、更なる好ましい実施形態及び種々の利点は明らかになる。
【実施例】
【0010】
図1は、発明の装置の好ましい一実施例の斜視図である。図1に示した実施例は、予備押し抜き(打ち抜き)加工された帯状金属板から形成されると共に中央ブリッジ2を備える差込み部材1を有する。この中央ブリッジ2の中央領域には、ネジ(図1には不図示)のための陥凹部かつ対向支承範囲として、対向支承陥凹部3が形成される。中央ブリッジ2の両方の側部には、帯状金属板をそれぞれ同一方向にほぼ直角に折曲げることによって、互いに平行に配向された第1縁部ウェブ4及び第2縁部ウェブ5が形成される。帯状金属板の2つの自由端(翼端)を、更に、それぞれ外方にほぼ直角に折曲げることによって、ほぼ1つの平面内に位置する第1支持トング(翼部)6及び第2支持トング(翼部)7が載置(当接支持)部分として形成される。
【0011】
2つの縁部ウェブ4、5の中央ブリッジ2とは反対側の(遠くに位置する側の)端部には、それぞれ、互いに向い合うよう(下方に)折曲げられ中央ブリッジ2の方向に関し内方に指向するよう配向される第1ストッパノーズ8及び第2ストッパノーズ9が形成される。縁部ウェブ4、5の各々には、長手方向においてそれぞれストッパノーズ8、9から中央ブリッジ2の付近まで延在する第1縁部切欠部10及び第2縁部切欠部11が形成される。
【0012】
更に、図1の実施例にもとづく本発明の装置は、同様に予備押し抜き(打ち抜き)加工された帯状金属板から形成される内部部材12を有する。内部部材12は、その中間部材として、端面プレート13を有する。端面プレート13の中央部には、1つの渦巻線上に延在するエッジから構成されるネジ構造15を有するネジ領域14が形成される。端面プレート13の互いに対向する2つの側縁部には、内部部材12に関しそれぞれほぼ直角に折曲げることによって、差込み部材1の対応する縁部ウェブ4、5に対しそれぞれその外面が向けられる第1エッジウェブ16及び第2エッジウェブ17が形成される。更に、内部部材12は、エッジウェブ16、17から互いに向い合うよう内部に向かってそれぞれ延在しかつそれらの端部に第1トング切欠部20及び第2トング切欠部21が形成される第1内部トング18及び第2内部トング19を有する。
【0013】
内部部材12のエッジウェブ16、17と、トング切欠部20、21との間の移行領域には、対向部材として、第1対向ノーズ22及び第2対向ノーズ23が形成される。これら第1対向ノーズ22及び第2対向ノーズ23は外方に曲げ開かれているので、内部部材12のエッジウェブ16、17には、それぞれ、第1エッジ切欠部24及び第2エッジ切欠部25が形成される。
【0014】
差込み部材1と内部部材12は、差込み部材1のストッパノーズ8、9が内部部材12のエッジ切欠部24、25に嵌り込んで係合し、かつ内部部材12の対向ノーズ22、23が差込み部材1の縁部切欠部10、11に嵌り込んで係合するよう、互いに対し配置構成される。かくして、内部部材12は、差込み部材1内において、脱落することなくかつ軸方向に摺動可能に支持される。
【0015】
図2は、取付部材26と支持部材27とを結合するための組込状態にある図1の実施例の側面図である。この場合、取付部材26と支持部材27は、本発明の装置の組込位置の反対側において、緩い(非固定的な)リンク係合(lose Gelenkverbindung)28を介して互いに係合される。リンク係合28は、支持部材27に形成されたウェブ29と取付部材26の自由端に形成された曲折(フック)部30によって構成される。この場合、取付部材26と支持部材27との間に遊びのない結合を形成するためには、曲折(フック)部30をウェブ29に対して恒久的に(常時)押し付けられることが必要である。
【0016】
このため、本発明の装置の差込み部材1は、支持部材27の切欠部(打抜部)に嵌め込まれ、その際、支持トング6、7は、支持部材27の取付部材26に指向する側に当接する。取付部材26を貫通通過するネジ31を当該ネジ31の自由端が対向支承陥凹部3に係合するまで内部部材12の端面プレート13に形成されたネジ構造15に螺合し、更に、対向ノーズ22、23が支持部材27の取付部材26の反対側に指向する側に当接するまでネジ31を締付けることによって、取付部材26は、本発明の装置の組込位置の範囲において、最終位置の最大距離まで支持部材27から引離され、かくして、リンク係合28は、引張力を受ける。
【0017】
図3は、組込状態にある図1の実施例の、図2の状態に対して90度回転して拡大した状態の側面図である。図3から明らかなように、内部トング18、19は、トング切欠部20、21の深さに応じてネジ31のネジシャフト32を部分的に包囲(係合)し、かくして、螺入操作の際に、ネジシャフト32の自由端が導入方向においてストッパを形成する対向支承陥凹部3に係合するまで、ネジ31を対向支承陥凹部3の方向に案内する。更に、図3から明らかなように、ネジ31のネジシャフト32の長さと、差込み部材1及び内部部材12の関連寸法の長さを互いに調整することにより、支持部材27は、支持トング6、7と対向ノーズ22、23との間に挟み込まれ、取付部材26は、ネジ31のヘッド33と内部部材12の端面プレート13との間に挟み込まれることにより、互いに固定的に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】それぞれ帯状金属板から形成された差込み部材と内部部材とを有する本発明の好ましい一実施例の斜視図。
【図2】組込(取付け)状態にある図1の実施例の側面図。
【図3】組込状態にある図1の実施例の、図2の状態に対して90度回転して拡大した側面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材(27)に取付部材(26)を結合する装置であって、
前記支持部材(27)の切欠部(打抜部)に嵌合可能に構成されると共に、縁部側に突出する少なくとも1つの載置部分を有する差込み部材と、
前記少なくとも1つの載置部分の各々にそれぞれ対向する少なくとも1つの対向部材と、
少なくとも部分的にネジ構造を有するよう構成されたネジ領域とを含んで構成される結合装置において、
前記ネジ領域(14)と前記少なくとも1つの対向部材(22、23)とを備えた内部部材(12)を有すること、
前記内部部材(12)は、前記差込み部材(1)に軸方向に摺動可能に支持されること、及び
前記差込み部材(1)は、前記ネジ領域(14)に螺合されるネジ(31)と係合しかつ該ネジ(31)のためのストッパを構成する対向支承領域(3)を有すること
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記差込み部材(1)は、予め押し抜き加工された帯状金属板から形成され、1つの中央ブリッジ(2)を有し、及び該中央ブリッジ(2)の縁部側にそれぞれ引き続いて形成されかつ実質的に互いに平行に配向されると共に前記載置部分(6、7)に接続する2つの縁部ウェブ(4、5)を有すること
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記差込み部材(1)の前記縁部ウェブ(4、5)は、それぞれ、互い対しに向い合うよう指向されかつ前記中央ブリッジ(2)の方向に配向されるストッパノーズ(8、9)を含んで構成されること
を特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記差込み部材(1)の前記縁部ウェブ(4、5)は、長手方向に配向される縁部切欠部(10、11)を有すること
を特徴とする請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記内部部材(12)は、予め押し抜き加工された帯状金属板から形成され、かつ中間部材としての端面プレート(13)であって、当該端面プレート(13)の中央部にネジ構造(15)を有するネジ領域(14)が形成される端面プレート(13)を有すること
を特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記端面プレート(13)には、前記内部部材(12)の互いに実質的に平行に配向される2つのエッジウェブ(16、17)が続いて形成され、該エッジウェブ(16、17)には、前記対向部材(22、23)が形成されていること
を特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記内部部材(12)の前記エッジウェブ(16、17)には、それぞれ、互いに向い合うよう配向されかつ前記対向支承領域(3)まで延在する内部トング(18、19)が引き続いて形成されること
を特徴とする請求項6に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−514903(P2007−514903A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544281(P2006−544281)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013921
【国際公開番号】WO2005/059380
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(591193185)アー ライモント エ カンパニュイ (10)
【氏名又は名称原語表記】A. Raymond & Cie.
【住所又は居所原語表記】113, Cours Berriat, F−38028 Grenoble,France
【出願人】(506210299)フォード−ヴェルケ ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】