説明

改善された加水分解安定性を有するイオン性シリコーンヒドロゲル

改善された熱安定性を示すイオン性シリコーンヒドロゲルポリマー。より具体的には、本出願は少なくとも1つのシリコーン構成成分、及び少なくとも1個のアニオン性基、より具体的にはメタクリル酸(MAA)、を含むイオン性構成成分を少なくとも1つ含む、反応性構成成分から形成されるポリマーに関する。本発明のポリマーは、良好な熱安定性及び好ましいタンパク質取り込み性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年9月30日に出願された米国特許仮出願第61/101,455号及び2009年9月25日に出願された米国特許仮出願12/567,352に対する優先権を主張し、これらの内容をよりどころにし援用する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、イオン性のシリコーンヒドロゲルおよびこれから形成される眼科用装置に関し、これはタンパク質の好ましい取り込みプロファイルと改善された加水分解安定性を示す。
【背景技術】
【0003】
コンタクトレンズは、視力を向上させるために使用できることがよく知られている。長年、種々のコンタクトレンズが市販されている。ヒドロゲルコンタクトレンズは今日極一般的である。これらのレンズは、ヒドロキシエチルメチルアクリレート(HEMA)からなる繰り返し単位を含む親水性のポリマー及びコポリマーから形成される。HEMA及びメタクリル酸のコポリマーから形成されるコンタクトレンズは、最も満足できるものに含まれ、副作用の発生率が最も低い。ACUVUEコンタクトレンズなどのHEMA及びMAAのコポリマーから形成されるコンタクトレンズは、相当量のリゾチームの取り込み(500μgを超える)を示し、取り込まれたタンパク質の大部分を生来の状態のまま保つ。しかし概して、ヒドロゲルコンタクトレンズは約30未満の酸素透過性を有している。
【0004】
シリコーンヒドロゲルから製造されるコンタクトレンズが開示されている。これらのレンズは約60を超える酸素透過性を有し、多くが従来のヒドロゲルコンタクトレンズに比べて、酸素欠乏症の低いレベルをもたらしている。しかし、シリコーンヒドロゲルレンズは、副作用に関して従来のヒドロゲルとは異なる発生割合を有する。シリコーンヒドロゲルの酸素透過性を保ち、従来の最もよいヒドロゲルレンズの低い副作用率を達成することが好ましい。あいにく、アニオン性の構成成分をシリコーンヒドロゲルに加えるこれまでの試みでは、加水分解に安定ではなく、水及び熱への暴露により弾性率の増加を示すコンタクトレンズを製造する結果となった。例えば、Purevisionのレンズ(Bausch & Lomb)の弾性率は、95℃で1週間加熱されると、1069kPa(155psi)から3971kPa(576psi)へ増加する。この弾性率の増加の原因は、末端シロキサン基の加水分解に続く縮合反応により、新しいシロキサン結合が形成され、新しい架橋が導入されることであると信じられている。Purevisionレンズは約1重量%のイオン性を含んでいるが、これのリゾチームの取り込みレベルは比較的低く(約50μg未満)、取り込まれたタンパク質の大部分は変質する。
【0005】
イオン性シリコーンヒドロゲルの不安定性は、シリコーンモノマーの代わりに、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(「TRIS」)又は2−メチル−,2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(「SiGMA」)などの嵩高なアルキル又はアリール基を有するシリコーン構成成分を使用することにより、低下させ得ることが示唆されている。しかし、嵩高なシロキサンモノマーは市場で入手できず、製造コストが高くなることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、改善された熱安定性とタンパク質の好ましい取り込みを示すイオン性ヒドロゲルポリマーに関する。より具体的には、本発明は少なくとも1つのシリコーン構成成分及び少なくとも1つのアニオン性構成成分を約0.1〜約0.8wt%含む反応成分から形成されるシリコーンヒドロゲルポリマー及びコンタクトレンズに関する。
【0007】
本発明は、改善された熱安定性及びタンパク質の好ましい取り込みを示す、イオン性シリコーンヒドロゲルポリマーに関する。より具体的には、本発明は少なくとも1つのシリコーン構成成分及び少なくとも1個のカルボン酸基を約0.1〜約10mmol/gの量含む少なくとも1つのアニオン性構成成分を含む、反応性構成成分から形成される、シリコーンヒドロゲルポリマー及びコンタクトレンズに関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1〜4及び比較例1のレンズの、55℃における弾性率の変化を時間の関数として示すグラフ。
【図2】実施例6〜7のレンズについて、55℃における弾性率、強靱性及び伸びの変化を時間の関数として示すグラフ。
【図3】実施例6〜7のレンズについて、55℃における弾性率、強靱性及び伸びの変化を時間の関数として示すグラフ。
【図4】実施例6〜7のレンズについて、55℃における弾性率、強靱性及び伸びの変化を時間の関数として示すグラフ。
【図5】実施例10〜18及び比較例2で製造されたポリマーに取り込まれたPQ−1及びリゾチームの濃度を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
驚くべきことに、イオン性シリコーンヒドロゲルポリマー及びこれから製造される物品が、満足な熱安定性及びタンパク質の好ましい取り込み特性を有するように製造できることが見いだされた。
【0010】
本明細書で使用される「生物医学装置」とは、哺乳動物組織の中若しくは上、又は体液に使用されるように設計された任意の物品である。これらの装置の例には、カテーテル、インプラント、ステント、並びに眼内レンズ及びコンタクトレンズなどの眼科用装置が挙げられるが、これらには制限されない。
【0011】
本明細書で使用される「眼科装置」は、眼の中又は上、並びに角膜、瞼及び眼腺を含む目の任意の部分に存在する、任意の装置である。これらの装置は、光学補正、美容整形、視界強化、治療効果(例えば包帯として)、並びに薬学及び栄養補助成分などの活性成分の供給、又は前述の任意の組み合わせを提供することができる。眼科装置の例としては、レンズ及び涙点プラグなどを含むが、これに限定されない光学的及び眼内挿入物を含む。
【0012】
本明細書で使用される用語「レンズ」は、目の中又は上に存在する眼科用装置を意味する。用語レンズには、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズが挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
本発明の医学装置、眼科装置及びレンズは、シリコーンヒドロゲル及びシリコーンフッ化ヒドロゲルを含むが、これらに限定されないシリコーンエラストマー又はヒドロゲルから製造される。これらのヒドロゲルは、硬化されたレンズにおいて相互に共有結合する疎水性及び親水性モノマーを含む。
【0014】
本明細書で使用されるとき、「取り込み」はレンズの中に、レンズと、又はレンズの上に結びついた、レンズの中又は上に沈殿した状態を意味する。
【0015】
本明細書で使用されるとき、「反応性混合物」は、互いに混合され、本発明のイオン性シリコーンヒドロゲルを形成する重合条件におかれる構成成分(反応性及び非反応性の双方)の混合物を意味する。反応性混合物は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、反応開始剤などの反応性構成成分、希釈剤、及び湿潤剤、剥離剤、染料などの添加剤、UV吸収剤及びフォトクロミック化合物などの光吸収化合物を含み、任意のこれらの化合物は反応性又は非反応性であってもよいが、薬剤及び栄養補給化合物と同様に、得られる医学装置中に留まることできる。製造される医学装置及び意図する用途に応じて、広範囲の添加物が加えられることがあると理解される。反応混合物の構成成分の濃度は、希釈剤を除く反応混合物中のすべての成分の重量%で与えられる。希釈剤が使用される場合には、この濃度は反応混合物中のすべての構成成分と希釈剤の量に基づく重量%で与えられる。
【0016】
アニオン性の構成成分は、少なくとも1個のアニオン性基及び少なくとも1個の反応性基を含む構成成分である。アニオン性基は負電荷を有する基である。アニオン性基の例としては、カルボキシレート基、ホスフェート、サルフェート、スルホネート、ホスホネート、ボレート、これらの混合物などが挙げられる。1つの実施形態においては、アニオン性基は3から10個の炭素原子を含み、他の実施形態では3から8個の炭素原子を含む。1つの実施形態では、アニオン性基はカルボン酸基を含む。
【0017】
反応性基は、重合条件下でフリーラジカル及び/又はカチオン重合を受ける基を含む。フリーラジカル反応性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C1〜6アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、C1〜6アルキル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、C2〜12アルケニル、C2〜12アルケニルフェニル、C2〜12アルケニルナフチル、C2〜6アルケニルフェニル、C1〜6アルキル、O−ビニルカルバメート及びO−ビニルカーボネートが挙げられる。カチオン反応性基の非限定的な例としては、ビニルエーテル又はエポキシド基及びこれらの混合物が挙げられる。1つの実施形態では、反応基は(メタ)アクリレート、アクリルオキシ、(メタ)アクリルアミド及びこれらの混合物を含む。
【0018】
(メタ)が先頭に付く任意の化学名、例えば(メタ)アクリレート、は非置換及びメチル置換化合物の双方を含む。
【0019】
好適なアニオン性構成成分の例には、(メタ)アクリル酸などのアルキルアクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ビニル安息香酸、フマル酸、マレイン酸などの反応性カルボン酸、並びにフマル酸(furmaric acid)、マレイン酸及びイタコン酸のモノエステル、N−ビニルオキシカルボニルアラニン(VINAL);ナトリウム−2−(アクリルアミド)−2−メチルプロパンスルホン酸塩、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸カリウム塩、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸ナトリウム、ビス3−スルホプロピルイタコン酸二ナトリウム塩、ビス3−スルホプロピルイタコン酸二カリウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、ビニルスルホン酸塩、スチレンスルネン酸塩、スルホエチルメタクリレートを含む反応性スルホン酸塩、及びこれらの混合物などが挙げられる。1つの実施形態においては、アニオン性構成成分は反応性カルボン酸から選択され、他の実施形態においてはメタクリル酸及びN−ビニルオキシカルボニルアラニンから選択される。1つの実施形態においてはイオン性構成成分はメタクリル酸を含む。
【0020】
1つの実施形態においては、アニオン性構成成分は反応性混合物中に約0.05〜約0.8重量%含まれ、幾つかの実施形態においては約0.1〜約0.8重量%含まれる。
【0021】
他の実施形態においては、アニオン性構成成分は少なくとも1個のカルボン酸基を含み、反応混合物中に約0.1mmol/100g〜約10mmol/gの量で存在する。アニオン性構成成分の濃度を本明細書に列挙した範囲内に保持することにより、ポリマーの安定性が改善され得る。驚くべきことに、アニオン性構成成分を本明細書に列挙した量を有するポリマーは、改善された安定性に加えて、好ましいタンパク質取り込み特性を有することが見いだされた。
【0022】
他の実施形態においては、アニオン性基とTMS基からのSiのモル積が下記に述べるモル積未満であるならば、シリコーン構成成分の構造及び濃度並びにアニオン性構成組成物の構造に基づき、アニオン性構成成分の量は変化してもよい。
【0023】
本発明のシリコーンヒドロゲルポリマーは安定した弾性率を示す。本明細書に使用される場合、安定した弾性率とは、55℃の温度で8週間を超た弾性率の増加が約30%未満、幾つかの実施形態では約20%未満である弾性率である。幾つかの実施形態においては、本発明のシリコーンヒドロゲルポリマーは、55℃において20週間を超える弾性率の増加が約20%未満である弾性率を示す。
【0024】
シリコーン構成成分は、反応性及び非反応性構成成分であり、少なくとも1個の「−Si−O−Si−」基を含む。シリコーン及びそれに結合した酸素は、前記シリコーン構成成分の好ましくは約10重量%、更に好ましくは約20重量%を超える割合を占める。
【0025】
アニオン性構成成分をシリコーンヒドロゲルに付加するこれまでの試みは概して、時間の経過または熱暴露により増加する弾性率を示すポリマーをもたらしていた。この弾性率増加の原因は、末端シロキサン基の加水分解に続く縮合反応により、新しいシロキサン結合が形成され新しい架橋が導入されることであると、信じられている。シリコーン基の加水分解安定性(特にシリコン−酸素結合)は、Si原子上の置換基により影響されると信じられている。より嵩高な基は、増加した立体障害により、より大きな加水分解安定性を提供する。置換基はアルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、アリール(例えばベンジル)又は他のシリコン含有基であることさえできる。立体障害に基づき、トリメチルシリル(−OSiMe)基を含むシリコーン材料(SiMAA又はTRISなど)は、イオン性構成成分の存在において、mPDMSなどのポリジメチルシロキサン[(−OSiMe]鎖を含む化合物より、概してより低い加水分解安定性である。このように、この実施形態においては、シリコーン含有構成成分の選択とアニオン性構成成分の濃度の制御を組み合わせることにより、ポリマーの安定性は更に改善された。
【0026】
1つの実施形態においては、シリコーン構成成分は少なくとも1本のポリジメチルシロキサン鎖を含み、他の実施形態においてはすべてのシリコーン構成成分がTMS基を含まない。
【0027】
本発明の1つの実施形態においては、シリコーン構成成分中のトリメチルシリル(TMS)基中のシリコン(Si)のモルパーセントとイオン性構成成分中のアニオン性基のモル%の積は、約0.002未満、幾つかの実施形態では約0.001未満、他の実施形態では約0.0006未満である。これは以下のように計算する。
【0028】
1)本発明によりモル分率を計算する場合においては、モノマー混合物(つまり希釈剤(複数を含む)及びレンズに永久的に含まれない加工助剤を除く)の反応性構成成分は、合計が100gとなるような重量分率として表わされる。
【0029】
2)モルアニオン基=(アニオン構成成分のグラム/アニオン構成成分の分子量)×(アニオン構成成分中のアニオン基の数)である。実施例1では、1%のメタクリル酸を含んでいるので、計算は(1g/86g/mol)×1=0.012モルカルボン酸塩となる。
【0030】
3)モルTMS=(グラムシリコーン構成成分/シリコーン構成成分の分子量)×(シリコーン成分当たりのTMS基の数)である。例えば、実施例1では、30gのSiMAAを含んでいるので、計算は(30g/422.7g/mol)×2=0.142モルTMSとなる。TMS基を含むシリコーンを複数個含有する処方においては、モルTMSはそれぞれのシリコーン構成成分について計算され、ついで合計される。
【0031】
4)安定性積(stability product)は、モルカルボン酸塩の値とモルTMSを乗じて計算される。このようにして、実施例1の安定性積は、0.012×0.142=0.0017である。
【0032】
このように、この実施形態においては、本発明のヒドロゲルの製造に使用されるシリコーン構成成分、イオン性構成成分及びこれらの量は、安定性積が本明細書に規定した値を超えないように選択される。他の実施形態においては、使用されるシリコーン構成成分はTMS基を含まず、その結果安定性は零となる。TMS基を含有しないシリコーン含有構成成分は、国際公開第2008/0412158号に開示された成分及び式Iの反応性PDMS成分を含む。
【化1】

式中、bは2〜20、3〜15又は幾つかの実施形態では3〜10であり、少なくとも1個の末端Rが一価の反応性基を含み、他の末端Rは一価の反応性基又は1〜16個の炭素原子を有する一価のアルキル基を含み、残るRは1〜16個の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択され、他の実施形態においては、1〜6個の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択される。さらに他の実施形態においては、bは3〜15であり、1個の末端Rは一価の反応性基、例えば(メタ)アクリロキシC1〜6アルキルを含み、これは更にヒドロキシル、エーテル又はこれらの組み合わせなどの少なくとも1個の親水基により置換されていてもよく、他の末端Rは1〜6個の炭素原子を有する一価のアルキル基を含み、残りのRは1〜3個の炭素原子を有する一価のアルキル基を含む。1つの実施形態においては、1個の末端Rは(メタ)アクリロC1〜6アルキルであり、これは所望によりエーテル又はヒドロキシルにより置換されており、他の末端RはC1〜4アルキルであり、残りのRはメチル又はエチルである。この実施形態におけるPDMS構成成分の非制限的な例にはモノ−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピル)−プロピルエーテル末端ポリジメチルシロキサン(分子量400〜1000)(「HO−mPDMS」)、及びモノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量800〜1000)(「mPDMS」)、モノメタクリロキシプロピル末端メチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量800〜1000)(「mPDMS」)を含む、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−C1〜4アルキル末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。1つの実施形態においては、反応性混合物中のすべてのシリコーンはPDMS構成成分である。
【0033】
別の実施形態では、bは5〜400又は10〜300であり、両方の末端Rは一価反応基を含み、残りのRは炭素原子間のエーテル結合を有することもあり、ハロゲンを更に含むこともある、1〜18個の炭素原子を有する一価アルキル基から独立して選択される。
【0034】
他の実施形態では、1〜4個のRは、下式のビニルカーボネート又はビニルカルバメートを含む。
【化2】

式中、YはO−、S−又はNH−を意味し、
Rは水素又はメチルを意味し、qは1、2、3又は4であり、bは1〜50である。これらの実施形態においては、ビニルカーボネート又はカルバメートシリコーン構成成分もTMS基を確実に含まないように注意することが必要であり、そうでなければ本明細書で規定したモル積比の達成は困難となるであろう。
【0035】
好適なシリコーン含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマーは、特に、1,3−ビス[4−(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブタ−1−イル]テトラメチル−ジシロキサン、及び
【化3】

を含み、式中、Rは上述の末端基として定義されているものである。
【0036】
幾つかの実施形態においては、TMS基を含む少量のビニルカルバミン酸塩及びビニルカーボネート化合物が使用され得る。このような群としては、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、カルバミン酸アリルプロピル3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]、カルバミン酸ビニルプロピル3−トリス(トリメチルシロキシ)シリル]、炭酸ビニルトリメチルシリルエチル、炭酸ビニルトリメチルシリルメチル、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0037】
幾つかの実施形態においては、少なくとも1個のTMS基を含む少量のシリコーン含有化合物の添加が好ましいことがある。このような基として、上述のTMS含有ビニルカーボネート及びカルバメート、同様に式Iのシリコーン含有化合物が挙げられ、ここでRは一価の反応性基、一価のアルキル基、又は一価のアリール基、又は更にヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能基を更に含むことのある、前述のいずれかの基、及び一価のトリメチルシロキサン基から独立して選択され、
ここでb=0であり、
ここで、少なくとも1個のRが一価の反応基を含み、幾つかの実施形態では、1〜3個のRが一価の反応基を含む。
【0038】
好適な一価のアルキル基及びアリール基には、置換及び非置換のメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒドロキシプロピル、プロポキシプロピル、ポリエチレンオキシプロピル、これらの組み合わせなどの、非置換の一価のC〜C16アルキル基、C〜C14アリール基が挙げられる。
【0039】
1つの実施形態ではbは零であり、1つのRは一価の反応基であり、少なくとも3個のRが1〜16個の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択され、別の実施形態では1〜6個の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択される。
【0040】
本発明のシリコーン構成成分の非制限的な例には、2−メチル−、2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキザニル]プロポキシ]プロピルエステル(「SiGMA」)、
2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル−トリ(トリメチルシロキシ)シラン、
3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(「TRIS」)、
3−メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、及び
3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサンが挙げられる。
【0041】
TMS基を含むシリコーン含有構成成分は、それが含まれる場合には、約20wt%未満の量、約10wt%未満の量、幾つかの実施形態では、約5wt%未満の量で存在する。
【0042】
弾性率が約200未満の生物医学装置が好ましい場合には、1個だけのRが一価の反応性基を含むべきである。
【0043】
シリコーンヒドロゲルレンズが好ましい1つの実施形態では、本発明のレンズは、ポリマーが製造される反応性モノマー成分の総重量に基づき、少なくとも約20重量%、幾つかの実施形態では約20〜70重量%のシリコーン含有成分を含む、反応性混合物から製造される。
【0044】
別の種類のシリコーン含有成分は、次式のポリウレタンマクロマーを含む。
式IV〜VI
G)
E(A)又は
E(G)
式中、
Dは炭素原子6〜30個を有するアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを示し、
Gは炭素原子1〜40個を有するアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを示し、これらは主鎖中にエーテル、チオ又はアミン結合を含有できる。
はウレタン又はウレイド結合を意味する。
は、少なくとも1である。
Aは次の式の2価のポリマーラジカルを意味する。
【化4】

11は独立してアルキル又は1〜10個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル基を意味し、これは炭素原子間にエーテル結合を含んでよく、yは少なくとも1であり、pは400〜10,000の部分重量を与え、E及びEはそれぞれ独立して次式に示される重合性不飽和有機ラジカルを意味する。
【化5】

式中、R12は水素又はメチルであり、R13は水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカル又は−CO−Y−R15ラジカルで、Yは−O−、Y−S−又は−NH−であり、R14は1〜12個の炭素原子を有する二価ラジカルであり、Xは−CO−又は−OCO−を意味し、Zは−O−又は−NH−を意味し、Arは6〜30個の炭素原子を有する芳香族ラジカルを意味し、wは0〜6であり、xは0又は1であり、yは0又は1であり、zは0又は1である。
【0045】
1つの実施形態において、シリコーン含有構成成分は次式で表されるポリウレタンマクロマーを含む。
【化6】

式中、R16は、イソフォロンジイソシアネートのジラジカルなどイソシアネート基除去後のジイソシアネートのジラジカルである。別の好適なシリコーン含有マクロマーは、フルオロエーテル、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、イソホロンジイソシアネート及びイソシアネートエチルメタクリレートの反応によって形成される式X(式中、x+yは10〜30の範囲の数である)の化合物である。
【化7】

【0046】
本発明における使用に適した他のシリコーン含有成分には、ポリシロキサン、ポリアルキレンエーテル、ジイソシアネート、ポリフッ化炭化水素、ポリフッ化エーテル及びポリサッカライド基を含有するマクロマーなど、国際公開第96/31792号に記述されているものが挙げられる。好適なシリコーン含有構成成分の別の種類としては、米国特許第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,244,981号、同第5,371,147号、及び同第6,367,929号に開示されるような、GTPを介して製造されるシリコーン含有マクロマーが挙げられる。特許第5,321,108号;第5,387,662号及び第5,539,016号は、極性フッ素化グラフト又は末端ジフルオロ置換炭素原子に付加した水素原子を持つサイド基を有するポリジシロキサンを記載している。米国特許公開第2002/0016383号は、エーテル及びシロキサニルリンケージを含む親水性シロキサニルメタクリレート、並びにポリエーテル及びポリシロキサニル基を含有する架橋可能なモノマーを記載している。前述のポリシロキサンのいずれもまた、本発明のシリコーン含有構成成分として使用することができる。
【0047】
約827kPa(120psi)未満の弾性率が望ましい本発明の1つの実施形態においては、レンズの配合で用いられるシリコーン含有構成成分の質量分率の大部分は、重合性官能基を1つだけ含むべきである(「一官能性シリコーン含有構成成分」)。この実施形態では、酸素透過率と弾性率の所望のバランスを保証するために、1個を超える重合性官能基を有するすべての構成成分(「多官能性成分」)が反応性構成成分の10mmol/100g以下、好ましくは7mmol/100g以下を占めることが好ましい。
【0048】
シリコーン含有構成成分は、すべての反応性構成成分を基準に、約95重量%の量まで存在してもよく、幾つかの実施形態においては約10〜約80重量%、他の実施形態においては約20〜約70重量%存在してもよい。
【0049】
反応性混合物は、イオン性構成成分に加えて少なくとも1つの親水性構成成分も含むことができる。親水性モノマーは、ヒドロゲルを製造するのに有用であることが知られている親水性モノマーのいずれであってもよい。
【0050】
好適な親水性モノマーの1つの種類として、アクリル又はビニル含有モノマーが挙げられる。かかる親水性モノマーは、それ自体架橋剤として用いることもできるが、1個を超える重合性官能基を有する親水性モノマーを用いる場合、その濃度は所望の弾性率を有するコンタクトレンズを提供するために上で論じたように限定されるべきである。「ビニル型」又は「ビニル含有」モノマーという用語は、ビニル基(−CH=CH)を有するモノマーを意味し、一般的に反応性が高い。かかる親水性ビニル含有モノマーは、比較的容易に重合することが知られている。
【0051】
N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、これらの混合物などの、「アクリル型」又は「アクリル含有」モノマーは、アクリル基、CH=CRCOX(式中RはH又はCHであり、XはO又はNである)、を有するモノマーであり、これはまた容易に重合することが知られている。
【0052】
本発明のシリコーンヒドロゲルに組み込まれることがある親水性のビニル含有モノマーとしては、N−ビニルアミド、N−ビニルラクタム(例えばNVP)、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミドなどのモノマーが挙げられ、NVPが好ましい。
【0053】
本発明に用いることができる他の親水性モノマーには、重合性の二重結合を含有する官能基で置換された末端ヒドロキシル基を1個以上を有するポリオキシエチレンポリオールが挙げられる。例としては、イソシアナトエチルメタクリレート(「IEM」)、メタクリル酸無水物、塩化メタクリロイル、塩化ビニルベンゾイルなどのエンドキャッピング基1モル当量以上と反応した、カーバメート又はエステル基などの結合部分によってポリエチレンポリオールに結合した1個以上の末端重合性オレフィン基を有するポリエチレンポリオールを生成する、ポリエチレングリコール、エトキシル化アルキルグルコシド及びエトキシル化ビスフェノールAが挙げられる。
【0054】
更なる例は、米国特許第5,070,215号に開示されている親水ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマー、米国特許第4,910,277号に開示されている親水オキサゾロンモノマーである。他の適切な親水モノマーは、当業者に明らかである。
【0055】
1つの実施形態では、親水性モノマーは、DMA、HEMA、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、NVP、N−ビニル−N−メチルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、及びこれらの組み合わせなどの少なくとも1つの親水性モノマーを含む。他の実施形態においては、親水性モノマーは少なくともDMA,HEMA,NVP及びN−ビニル−N−メチルアクリルアミドの1つ、及びこれらの混合物を含む。他の実施形態においては、親水性モノマーはDMAを含む。
【0056】
好ましい特性の特定のバランスに応じて、親水性モノマーは広い範囲の量で存在してもよい。全反応性成分に基づいて、最高約50重量%までの、好ましくは約5〜約50重量%の親水性モノマーの量が許容可能である。例えば1つの実施形態では、本発明のレンズは少なくとも約25%、別の実施形態では約30〜約70%の水分を含む。これらの実施形態では、親水性モノマーは約20〜約50重量%の量含まれてもよい。
【0057】
本発明のコンタクトレンズを形成するために用いられる反応混合物中に存在し得る他の成分としては、米国特許第6,367,929号、国際公開第03/22321号、同第03/22322号に開示されているものなどの湿潤剤、米国特許出願公開第2003/162,862号及び同第2003/2003/125,498号に開示されているものなどの相容性成分、紫外線吸収化合物、薬剤、抗微生物化合物、共重合性及び非重合性染料、離型剤、反応性色味剤、色素、これらの組み合わせ及びこれらの類似物などが挙げられる。添加構成成分の総量は約20wt%までであってよい。1つの実施形態においては、反応混合物は約18wt%までの湿潤剤を含み、他の実施形態においては約5〜約18wt%の湿潤剤を含む。
【0058】
反応混合物には、重合触媒が含まれてもよい。重合開始剤は、過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、過炭酸イソプロピル、アゾビスイソブチロニトリルなど、適度な昇温でフリーラジカルを発生する成分、及び芳香族アルファ−ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、酸化アシルフォスフィン、酸化ビスアシルフォスフィン、三級アミン+ジケトン、これらの混合物などの光重合開始剤系を含む。光開始剤の具体例は、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、酸化ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルフォスフィン(DMBAPO)、酸化ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィン(Irgacure 819)、酸化2,4,6−トリメチルベンジルジフェニルフォスフィン及び酸化2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン、ベンゾインメチルエステル、及びカンファーキノンとエチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエートの組み合わせである。市販の可視光重合開始剤系には、Irgacure 819、Irgacure 1700、Irgacure 1800、Irgacure 819、Irgacure 1850(すべてCiba Specialty Chemicals製)及びLucirin TPO開始剤(BASF社から入手可能)が含まれる。市販の紫外線光重合開始剤には、Darocur 1173及びDarocur 2959(Ciba Specialty Chemicals)が含まれる。使用できるこれら及び他の光開始剤は、Photoinitiators for Free Radical Cationic & Anio Photopolymerization,2nd Edition by J.V.Crivello& K.Dietliker;edited by G.Bradley;John Wiley and Sons;New York;1998の第III巻に開示されている。この開始剤は、反応混合物の光重合を開始するための有効量、例えば反応性モノマーの100重量部に対し、約0.1〜約2重量部の量で反応混合物中に使用される。反応混合物の重合は、使用する重合開始剤に応じて熱又は可視光又は紫外光又は他の手段を適切に選択して開始できる。他の方法としては、例えば電子線を使用して、光重合開始剤を使用することなく開始することができる。しかし、光重合開始剤を使用するとき、好ましい開始剤は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標))などの酸化ビスアシルフォスフィン、又は1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンとビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)との組み合わせであり、別の実施形態では重合の開始は可視光活性化を介する。好ましい反応開始剤は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標))である。
【0059】
反応性構成成分(シリコーン含有成分、親水性モノマー、湿潤剤及びレンズを形成するために反応する他の成分)を、希釈剤と共に又は希釈剤を用いずに混合して反応混合物を形成する。
【0060】
1つの実施形態では、反応条件で反応混合物中の非極性成分を可溶化するのに十分低い極性を有する希釈剤が用いられる。本発明の希釈剤の極性を特徴付ける1つの方法は、Hansen溶解度パラメータδpを介する。特定の実施形態では、δpは約10未満、好ましくは約6未満である。好適な希釈剤は、米国特許出願第60/452898号及び米国特許第6,020,445号に更に開示されている。
【0061】
好適な希釈剤の種類としては、限定されないが、2〜20個の炭素原子を有するアルコール、一級アミンに由来する10〜20個の炭素原子を有するアミド、エーテル、ポリエーテル、3〜10個の炭素原子を有するケトン、及び8〜20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。すべての溶媒について、所望の水準の水混和性をもたらすために、炭素数の増加につれて極性部分の数もまた増加させることができる。幾つかの実施態様では、一級及び三級アルコールが好ましい。好ましい種類は、炭素原子4〜20個を有するアルコール及び炭素原子10〜20個を有するカルボン酸を含む。
【0062】
1つの実施形態において希釈剤は、1,2−オクタンジオール、t−アミルアルコール、3−メチル−3−ペンタノール、デカン酸、3,7−ジメチル−3−オクタノール、トリプロピレンメチルエーテル(TPME)、ブトキシエチルアセテート、これらの混合物などから選択される。
【0063】
1つの実施形態では、希釈剤は水にある程度溶解する希釈剤から選択される。幾つかの実施形態では、少なくとも約3%の希釈剤が水混和性である。水溶性希釈剤の例としては、1−オクタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2−ペンタノール、t−アミルアルコール、tert−ブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、エタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、1−エトキシ−2−プロパノール、1−tert−ブトキシ−2−プロパノール、EH−5(Ethox Chemicalsから市販)、2,3,6,7−テトラヒドロキシ−2,3,6,7−テトラメチルオクタン、9−(1−メチルエチル)−2,5,8,10,13,16−ヘキサオキサヘプタデカン、3,5,7,9,11,13−ヘキサメトキシ−1−テトラデカノール、これらの混合物などが挙げられる。
【0064】
本発明の反応混合物は、回転成形及び静的成形を含む、コンタクトレンズの生産において反応混合物の成形のための任意の既知のプロセスにより硬化されてもよい。回転成形の方法は、米国特許第3,408,429号及び第3,660,545号に開示され、静的成形の方法は、米国特許第4,113,224号及び第4,197,266号に開示されている。1つの実施形態では、本発明のコンタクトレンズは、シリコーンヒドロゲルの直接成形により形成され、これは経済的であり、水和レンズの最終形状を正確に制御することを可能にする。この方法では、反応混合物を所望のシリコーンヒドロゲルの最終形状を有する成形型、即ち水膨潤ポリマー中に定置し、反応混合物をモノマーが重合する条件に供し、それにより所望の最終製品のおおよその形状のポリマーを製造する。
【0065】
硬化後、レンズを抽出に供し未反応成分を除去し、レンズをレンズ成形型から取り外す。抽出はアルコールなどの有機溶媒などの従来の抽出流体を用いて行ってもよく、水溶液を用いてもよい。
【0066】
水溶液は水を含む溶液である。1つの実施形態では、本発明の水溶液は少なくとも約30%の水、幾つかの実施形態では少なくとも約50%の水、幾つかの実施形態では少なくとも約70%の水、他の実施形態では少なくとも約90重量%の水を含む。水溶液はまた、離型剤、湿潤剤、スリップ剤、薬剤成分及び栄養補給成分、これらの組み合わせなどの更なる水溶性成分を含んでもよい。離型剤は、水と組み合わせたとき、離型剤を含まない水溶液を用いてかかるレンズを取り外すのに必要な時間と比べて、コンタクトレンズを成形型から取り外すのに必要な時間を短縮する化合物又は化合物の混合物である。1つの実施形態では、水溶液は、約10重量%未満、他の実施形態では約5重量%未満の、イソプロピルアルコールなどの有機溶媒を含み、別の実施形態では有機溶媒を含まない。これらの実施形態では、水溶液は、精製、再利用、又は特殊な廃棄手順などの特殊な取扱を必要としない。
【0067】
種々の実施形態では、抽出は例えばレンズの水溶液への浸漬、又はレンズの水溶液流への曝露を介して達成することができる。また種々の実施形態では抽出は、例えば、水溶液の加熱、水溶液の撹拌、水溶液中の離型助剤の濃度をレンズを離型させるのに十分な濃度に上昇させる、レンズの機械的又は超音波による撹拌、及びレンズから未反応成分の適切な除去を促進するのに十分な濃度に水溶液に少なくとも1種の浸出補助剤を組み込む、のうちの1つ以上を含んでよい。前述の操作はバッチでも連続プロセスでも行うことができ、熱、攪拌又はこの両方を加えても加えなくてもよい。
【0068】
また幾つかの実施形態は、浸出及び取り外しを円滑にするために物理的な揺動の適用を含むこともできる。例えば、レンズが付着するレンズ型の部分は、水溶液中で振動又は前後運動させることができる。他の実施形態には、超音波を水溶液に通すことが含まれてもよい。
【0069】
これら及び他の類似プロセスにより、レンズの許容可能な離型手段が提供され得る。
【0070】
本明細書に使用されるとき、「成形型から取り外す」とは、レンズが成形型から完全に分離した状態、又は穏やかな振動によって取り外すか若しくは綿棒を用いて押し外すことができるようにほんの軽く付着した状態のいずれかであることを意味する。本発明のプロセスでは、用いられる条件は1時間未満、99℃未満の温度を含む。
【0071】
レンズをオートクレーブなどの、しかしこれに限定されない既知の手段により滅菌してもよい。
【0072】
本発明のレンズは好ましい安定性を示すとともに、ヒトの涙の成分に対する相溶性も示す。
【0073】
ヒトの涙は複雑で、眼の潤滑性を保つ手助けとなるタンパク質、脂質及び他の成分を含んでいる。脂質の種類の例として、ワックスエステル、コレステロールエステル及びコレステロールが含まれる。ヒトの涙に見いだされるタンパク質の例は、ラクトフェリン、リゾチーム、リポカリン、血清アルブミン、分泌型免疫グロブリンAを含む。リポカリンは脂質を結合したタンパク質である。コンタクトレンズへのリポカリンの取り込み量、つまりレンズが涙の被膜から脂質を取り込みレンズ前面の表面に堆積させる傾向は、レンズの湿潤性(液滴などによる接触角の測定などにより測定される)と負の相関関係があるとされてきた。それ故、低レベルのリポカリンを取り込むレンズは好ましい。本発明の1つの実施形態においては、72時間の35℃における処理で、レンズは2mg/mLのリポカリン溶液から約3μg未満のリポカリンを取り込む。
【0074】
リゾチームは通常ヒトの涙に相当な濃度で存在する。リゾチームは溶菌性で眼を細菌の感染から守ると信じられている。市販のコンタクトレンズに相溶するリゾチームの量は、たったの数マイクログラムからEtafilcon Aコンタクトレンズ(Johnson & Johnson Vision Care,Inc.からACUVUE及びACUVUE2の商品名で市販されている)の800マイクログラムまで大きく変化している。EtafilconAコンタクトレンズは長年市販されており、どのソフトコンタクトレンズと比べても最低に近い副作用発生率を示す。このように、相当なレベルのリゾチームを取り込むコンタクトレンズが好ましい。本発明のレンズは少なくとも約50μg、100μg、200μg、500μgのリゾチームを、幾つかの実施形態においては、少なくとも約800μgのリゾチームを取り込むが、これらすべては72時間、35℃の処理における2mg/mL溶液からの取り込みである。
【0075】
リゾチームに加えて、ラクトフェリンは主にその抗菌及び抗炎症特性により、涙の中の他の重要なカチオン性タンパク質である。着用すると、コンタクトレンズは種々の量のラクトフェリンを、そのポリマー組成(表面修飾されないレンズに関して)並びに表面コーティングの組成及びその完全性(表面修飾されたレンズに関して)に応じて取り込む。本発明の1つの実施形態においては、レンズを2mg/mLラクトフェリン溶液2mLに一晩浸漬することにより、レンズは少なくとも約5μg、幾つかの実施形態では、少なくとも約10マイクログラムのラクトフェリンを取り込む。ラクトフェリン溶液には、リン酸生理食塩水緩衝液に2mg/mLの濃度で溶解した母乳(Sigma L−0520)からのラクトフェリンが含まれている。リポカリン及びリゾチームについて、以下に説明する手順により、レンズ当たり2mLのラクトフェリン溶液中で、72時間、35℃の条件で、レンズを処理した。
【0076】
レンズの中の、上の、及びレンズと結びついたタンパク質の形態も重要である。変性したタンパク質は角膜の炎症と着用者の不快感に寄与すると信じられている。pH、角膜表面温度、着用時間及び閉眼着用などの環境因子がタンパク質の変性に寄与すると信じられている。しかし、組成の異なるレンズは著しく異なるタンパク質の取り込み及び変性プロファイルを示すことがある。本発明の1つの実施形態においては、発明のレンズにより取り込まれたタンパク質の大部分は、着用中生来の形態であり続ける。他の実施形態においては、取り込まれたタンパク質の少なくとも約50%、少なくとも約70%及び少なくとも約80%は、24時間後、3日後、及び意図した着用期間中生来のまままであり続ける。
【0077】
また本発明の眼科用装置は、1つの実施形態においては約20%未満の、幾つかの実施形態においては約10%未満の、及び他の実施形態においては約5%未満のPolyquaternium−1(ジメチル−ビス[(E)−4−[トリス(2−ヒドロキシエチル)アザニウミル]ブタ−2−エニル]アザニウム三塩化物)(「PQ1」)を、0.001wt%のPQ1を含む眼科用液剤から取り込む。
【0078】
本発明のレンズは、本明細書で記述されるタンパク質取り込み特性に加えて、多くの好ましい特性を有している。レンズは、1つの実施形態においては約50を超える、及び他の実施形態においては約60を超える、他の実施形態においては約80を超える酸素透過性を持ち、更に他の実施形態においては少なくとも約100の酸素透過性を有する。幾つかの実施形態においては、レンズは約689kPa(100psi)未満の引張弾性率を有する。
【0079】
本明細書に記載する試験はすべて、ある程度の特有の試験誤差を有することが理解される。したがって、本明細書に報告する結果は、絶対数として解釈されるべきではなく、具体的な試験の精度に基づく数値範囲である。
【0080】
弾性率(引張弾性率)は、初期ゲージ高さに下げたロードセルを装備した、一定の移動速度タイプの引張試験機のクロスヘッドを使用して測定する。適切な試験機には、Instronモデル1122が含まれる。長さ1.326cm(0.522インチ)、「耳」の幅0.701cm(0.276インチ)、「首」の幅0.541(0.213インチ)を有する、−1.00の倍率のレンズから得たドッグボーン形試料をグリップに乗せ、破断するまで5.1cm/min(2in/min)の定ひずみ速度で伸長する。試料の初期ゲージ長さ(Lo)及び破断試料長さ(Lf)を測定する。各組成について少なくとも5個の試料を測定し平均を報告する。応力/ひずみ曲線の初期直線部分で、引張弾性率を測定する。
【0081】
%伸び=[(Lf−Lo)/Lo]×100である。
【0082】
直径は、レンズを食塩水に浸し凹部表面を下にしてキュベットに装着して、Mach−Zehnder干渉計を使用して得た変調画像から、測定することができ、詳細は米国2008/0151236号に記載されている。これらのレンズは測定前に15分間約20℃で平衡安定化する。
【0083】
水分量は次の方法で測定する。試験するレンズは包装用溶液中に24時間放置する。先端がスポンジ状のスワブを使用して、3枚のテストレンズのそれぞれを包装用溶液から取り出し、包装用溶液で湿らせておいた吸い取り紙上に置く。レンズの両面をこの紙と接触させる。ピンセットを使用して試験用レンズを秤量皿に置き、秤量する。さらに他の2個の試料セットを準備し、前述のように秤量する。秤量皿とレンズを3回秤量し、その平均値が湿潤重量である。
【0084】
乾燥重量は、60℃で30分間予熱した真空オーブンに試料皿を置いて測定する。少なくとも1.35kPa(0.4インチHg)の真空が達成されるまで減圧する。真空バルブ及びポンプをオフにし、レンズを4時間乾燥する。パージ弁を開けオーブンを大気圧に戻す。秤量皿を取りだし秤量する。含水量を次のように算出する。
湿潤重量=皿とレンズの合計湿潤重量−秤量皿の重量
乾燥重量=皿とレンズの合計乾燥重量−秤量皿の重量
【数1】

【0085】
試料の水分含量の平均値および標準偏差が計算され報告されている。
【0086】
リゾチーム及びリポカリンの取り込みを、下記の溶液と方法を使用して測定した。
【0087】
リゾチーム溶液は、1.37g/Lの重炭酸ナトリウム及び0.1g/LのD−ブドウ糖を補ったホスフェート生理食塩水緩衝液に、2mg/mLの濃度で溶解させたニワトリの卵白(Sigma,L7651)からのリゾチームを含んでいた。
【0088】
リポカリン溶液は、1.37g/Lの重炭酸ナトリウム及び0.1g/LのD−ブドウ糖を補ったホスフェート生理食塩水緩衝液に、2mg/mLの濃度で溶解させたウシのミルク(Sigma,L3908)からのBラクトグロブリン(リポカリン)を含んでいた。
【0089】
各実施例について、3枚のレンズがそれぞれのタンパク質溶液を使用して試験され、3枚が対照溶液としてのPBSを使用して試験された。試験レンズを、滅菌ガーゼの上で包装溶液を除去するために拭い、減菌鉗子を使用して、各ウェルが2mLのリゾチーム溶液を含む、減菌した24個のウェルの細胞培養プレート(ウェル当たり1枚のレンズ)へ、無菌状態で移動した。各レンズを溶液中に完全に浸した。対照として、コンタクトレンズを含まない1つのウェルに2mLのリゾチーム溶液を入れた。
【0090】
レンズを含むプレート及びタンパク質溶液のみを含む対照用プレート及びPBS中のレンズは、蒸発と脱水を防ぐためパラフィルムで覆い、軌道振とう器に乗せ、35℃で、100rpmで攪拌し、72時間処理した。72時間の処理期間の後、レンズを約200mLのPBSを含む3個の別々のバイアル瓶に浸し3〜5回洗浄した。レンズを紙タオルの上で拭い過剰のPBS溶液を除去し、減菌した円錐形のチューブに移した(チューブ当たり1枚のレンズ)。各チューブは、各レンズの組成から予想されるリゾチーム取り込み量の推定を基に決められる量のPBSを含んでいた。検査される各チューブのリゾチーム濃度は、製造業者が述べている(0.05マイクログラム〜30マイクログラム)アルブミン標準レンジ内であることが必要である。レンズ当たり100μg未満のリゾチームレベルを取り込むことが分かっている試料は、5倍に希釈した。レンズ(Etafilcon Aレンズなど)当たり500μgを超えるリゾチームレベルを取り込むことが分かっている試料は、20倍に希釈した。
【0091】
1mLアリコートのPBSを試料9、比較例2及びBalafilconレンズに使用し、20mLをEtafilcon Aレンズに使用した。各対照レンズについては、ウェルプレートがリゾチームまたはリポカリンの代わりにPBSを含むこと以外は、同じように処理した。
【0092】
リゾチーム及びリポカリンの取り込みは、オンレンズ・ビシンコニン酸法により、QP−BCAキット(Sigma,QP−BCA)を使用し、製造業者の説明する手順により測定し(標準前処理はキットに記載されている)、リゾチーム溶液に浸したレンズについて測定した光学密度から、PBSに浸したレンズについて測定した光学密度(バックグラウンド)を減じて計算した。
【0093】
光学密度は、562nmの光学密度が読み取れる、SynergyII Microのプレートリーダにより測定した。
【0094】
リゾチーム活性は、リゾチームの取り込みに関して上に述べた溶液及び処理手順を使用して測定した。
【0095】
処理期間終了後、レンズを約200mLのPBSを含む3個の別々のバイアル瓶に浸し、3〜5回洗浄した。レンズを過剰のPBS溶液を除去するため紙タオルの上で拭い、各ウェルを0.2%のトリフルオロ酢酸及びアセトニトリルの50:50混合物から構成される抽出溶液(TFA/ACN)を2mL含む、減菌した24ウェルの細胞培養プレート(ウェル当たり1枚のレンズ)に移した。レンズを抽出溶液の中で室温で16時間処理した。
【0096】
これと並行して、リゾチーム対照溶液を抽出緩衝剤で、検査されるレンズの予想リゾチーム取り込み量を囲む濃度範囲に希釈した。本出願の実施例では、予想リゾチーム濃度は10、50、100、800であり、対照溶液をこの濃度に希釈し、室温で16時間処理した。レンズ及び対照からの両リゾチーム抽出物をEnzChek(登録商標)Lysozyme Assayキット(invitrogen)を使用し、製造業者の使用説明書に従い、リゾチーム活性について分析した。
【0097】
EnzChekキットは蛍光に基づくリゾチームの活性レベルを測定する分析方法であり、溶液中のリゾチーム活性を20U/mLの濃度まで測定できる。試験では蛍光が消光する程度にラベルされたミクロコッカス・リソディクティカス(Micrococcus Lysodeikticus)の細胞壁に対するリゾチーム活性を測定する。リゾチーム活動はこの消光を取り除くので、リゾチーム活性に比例する蛍光の増加をもたらす。蛍光の増加は、494/518nmの励起/蛍光波長を使用し、蛍光を検出することができる蛍光マイクロプレートリーダーにより測定する。本出願の実施例では、Synergy HTのマイクロプレートリーダーを使用した。
【0098】
分析は、レンズと共にまたは対照として処理した同じリゾチームを使用する、リゾチーム標準曲線に基づく。リゾチーム活性は蛍光単位で表わされ、ユニット/mLで表現されるリゾチーム濃度に対してプロットされる。レンズから抽出したリゾチームの活性と対照リゾチームが測定され、標準曲線を使用して、mL当たりの単位で表わされる活性に変換した。
【0099】
活性な又は生来のリゾチームの百分率を、レンズからのリゾチームの活性と対照溶液中のリゾチーム活性を比較し、下記の式により計算して得た。
レンズ上の活性又は生来のリゾチームの%=レンズから抽出されたリゾチーム(単位/mL)×100/対照から得たリゾチーム(mL当たりの単位)
【0100】
PQ1の取り込みは次のように測定した。調製した2、4、6、8、12及び15μg/mLの濃度を有する一連の標準PQ1溶液を使用して、HPLCを較正した。レンズを、3mLのOptifree Replenish(これは0.001wt%のPQ1を含み、Alconから市販品が入手可能である)を含むポリプロピレン製のコンタクトレンズケースに入れた。溶液を3mL含むが、コンタクトレンズは含まない対照用のレンズケースも用意した。レンズ及び対照溶液を室温で72時間放置した。1mLの溶液を各試料と対照から採取しトリフルオロ酢酸(10μL)と混合した。HPLC/ELSD及びPhenomenex Luna C4(4.6mm×5mm、5μmの粒度)のカラムを使用し、下記の条件で分析した。
装置:Agilent 1200 HPLC又はSedere Sedex 85 ELSDの同等品
Sedex 85 ELSD:T=60℃、ゲイン=10、圧力=3.4bar、フィルター=1s
移動相A:H0(0.1%TFA)
移動相B:アセトニトリル(0.1%TFA)
カラム温度:40℃
注入量:100mL
【表1】

【0101】
各分析で3枚のレンズを使用し、結果を平均した。
【0102】
酸素透過度(DK)は、ISO 9913−1:1996(E)に概説されているポーラログラフィー法に以下の変更を加えて測定した。測定は2.1%の酸素含有環境で実施する。この環境は、試験チャンバーに適切な比率、例えば窒素1800mL/minと空気200mL/minに設定して窒素及び空気の注入を同時に行うことにより作り出される。t/Dkは、調整酸素濃度を使用して計算する。ホウ酸緩衝生理食塩水を使用した。MMAレンズを使用する代わりに、純粋加湿窒素環境を使って暗電流を測定した。レンズは、測定前に拭き取らなかった。様々な厚さのレンズを使用する代わりに、4枚のレンズを束にした。フラットセンサーの代わりにカーブセンサーを使用した。得られたDk値をバレル(barrer)で報告する。
【0103】
これらの実施例は本発明を限定するものではない。これは本発明を実施する方法を提案することのみを意図する。コンタクトレンズ及び他の専門の当業者は、本発明を実施する他の方法を見いだすことができる。しかしながら、これらの方法は本発明の範囲内に含まれると見なされる。
【実施例】
【0104】
以下の実施例では以下の略号を使用する。
【表2】

【0105】
(実施例1〜3)
表1に示した処方のレンズを下記の方法で製造した。
【0106】
実施例1〜3の希釈剤は、18.33gのPVP 2500と48.34gのt−アミルアルコールとの混合物である。実施例4の希釈剤は16.2gのPVP 2500と64.8gのt−アミルアルコールである。モノマー混合物をZeonorフロント、及びZeonor:ポリプロピレン(55:45)バックカーブに注入した。可視光線(Philips TL−03電球)の下、窒素雰囲気(約3% O)中で次の硬化プロファイルによりモノマー混合物を硬化した。1mW/cmを室温で約20秒、1.8±0.5mW/cmを75±5℃で約270秒、及び6.0±0.5mW/cmを75±5℃で約270秒。
【0107】
硬化後型を開き、レンズをDI(脱イオン)水中の70%IPAに放つた。約40〜50分後、レンズをi)DI水中の70% IPAに約40〜50分間、ii)DI水中の70% IPAに約40〜50分間、及びiii)DI水に少なくとも約30分間浸した。
【0108】
レンズを、ポリプロピレン製のボウルとフォイルを使用し、ボレートで緩衝した50ppmのメチルセルロース(SSPS)を含む950+/−50uLの硫酸ナトリウム溶液中に封入し、1度オートクレーブ処理した(124℃、18分間)。
【表3】

CGI 1850
**D3O
【0109】
(実施例4)
硬化プロフィアルが1mW/cm(10〜30秒、室温)、1.5±0.2mW/cm(約160秒、80±5℃)、6.0±0.2mW/cm(約320秒、約80±5℃)であることを除き、レンズは実施例4の表1に記載した処方と実施例1に記載した条件により製造した。
【0110】
型を開き、レンズをDI(脱イオン)水中の70% IPAに放った。60分後、レンズをi)100% IPAに60分間、ii)DI水中の70% IPAに60分間、iii)DI水に30分間、iv)DI水に30分間、v)DI水に30分浸した。
【0111】
レンズをヨウ化ナトリウム水溶液に暴露し、次いで硝酸銀水溶液に暴露することにより、銀処理した。レンズをシリコーン製の栓を有するガラス製バイアル瓶中の10mLのSSPSに封入し、3回オートクレーブ処理を施した(121℃、30分)。
【0112】
安定性の評価
実施例1〜4及び比較例のレンズを、温度を55℃に制御したチャンバーに入れた。所定の間隔でレンズを取り出し、弾性率、最大ひずみ及び直径を検査した(例えば、実施例1〜3で各測定時に取り出したレンズは、直径の測定には8〜10枚、HO%の測定には9枚、機械特性の測定には8〜10枚であり、実施例4、5で各測定時に取り出したレンズは、直径の測定には5枚、HO%の測定には9枚、機械特性の測定には5枚であった)。実施例1〜4の安定性のデータを図1に示す。これに加え、下記の比較例1により製造したイオン性構成成分を含まないレンズの安定性データも非イオン性対照として含めた。
【0113】
種々の時間間隔でレンズの弾性率を測定し、結果を表2及び3に示す。
【表4】

モル/100g反応性構成成分
【表5】

モル/100g反応性構成成分
【0114】
図1は、表2及び3に含まれる弾性率対時間のデータを示すグラフである。比較例及び実施例4の線は非常にフラットであり、これは測定した期間では弾性率の変化が小さいことによる。メタクリル酸濃度とモル積が増加するに従い、線の勾配も増加し、実施例1(1wt%のメタクリル酸濃度及び0.0017の安定性積を有する)及び実施例3(1.6wt%のメタクリル酸濃度及び0.0024のモル積を有する)の間にかなり大きな増加がある。レンズ直径及びひずみの変化も、弾性率で観察された傾向を追加して確認している。
【0115】
図1は明らかに、レンズの加水分解安定性と、アニオン性基(カルボキシレート)とTMSのケイ素含量のモル積との関係を示している。トリメチルシリル含有モノマー(TRIS又はSIMAA2)から導かれたケイ素(Si)のモル数のみを、表2及び3に記載したモル積の計算に使用した。これらの実験から驚くべきことに、少なくとも1つのTMS基を有するシリコーン構成成分及びのメタクリル酸などのアニオン性構成成分を少なくとも1つ含むシリコーンヒドロゲルレンズの安定性は、アニオン性構成成分がある濃度以上では、安定性に鋭い低下を示すことが、見いだされた。このように、実施例1はメタクリル酸(1%)を実施例2(0.5%)の2倍含んでいるにもかかわらず、実施例1及び2は実質的に同程度の安定性を有する。しかし、実施例3で製造されたレンズの安定性は実施例2及び3に比べ非常に悪かった。この結果は予想されたものではなく、アニオン性構成成分及び少なくとも1個のTMS基を含むシリコーン構成成分を含める処方の狭いウインドウを提供している。列挙した安定性積を提供する量の、TMSを含むシリコーンモノマー構成成分を含めることは、安定性と、好ましい弾性率、伸び、又はタンデルタなどの他の特性とのバランスをとる能力を提供する。安定性積、メタクリル酸濃度及び弾性率の%変化を以下の表8に示す。
【0116】
比較例1
比較例1の表1に示されている反応性モノマー混合物をZeonorフロントカーブに注入し、成形型をZeonorバックカーブを使用して閉じた。レンズを可視光線の下で窒素雰囲気中で硬化した。硬化フロファイル、1)予備硬化(TLDK−30W/03電球、30〜120秒、60〜80℃)、2)硬化(TLD−30W/03電球、320〜800秒、70〜80℃)。成形型を開き取り出したレンズを、IPA/水混合物で抽出し水和した。完成したレンズをボレートで緩衝した生理食塩水中に封じた。
【0117】
(実施例5)
表4に示した量の構成成分を混合してモノマー混合物を調製した。モノマー混合物はZeonorフロント及びZeonor:ポリプロピレン(55:45)バックカーブに注入した。成形型を閉じ、充填し閉じ込めたモノマーを照射せずに65℃に保った。モノマー混合物を可視光線(Philips TL−03電球)の下で、65℃の窒素雰囲気(約3%O)中で、次の硬化プロファイルにより硬化した。1.5mW/cmで約330秒、7±01mW/cmで約440秒。
【0118】
硬化後成形型を開け、レンズをDI水中の70%IPAに放った。約60〜70分後、レンズを、i)DI水中の70% IPAに約30〜40分間、ii)DI水中の70% IPAに約30〜40分間、及びiii)DI水に少なくとも約30分間浸した。
【0119】
レンズを、ポリプロピレン製のボウルとフォイルを使用し、ボレートで緩衝した50ppmのメチルセルロース(SSPS)を含む950+/−50uLの硫酸ナトリウム溶液中に封入し、1度オートクレーブ処理した(124℃、18分間)。
【表6】

【0120】
レンズを温度を55℃に制御したチャンバーに入れた。レンズを5、10週間後にチャンバーから引き出し、弾性率、最大ひずみ、直径及び%水分を測定した。結果を表5に示す。
【表7】

【0121】
(実施例6及び7)
希釈剤を下記の表6〜7に示す成分に変更した以外は、実施例5を繰り返した。レンズを55℃に制御したチャンバーに入れた。レンズを5、10、15及び20週間後にチャンバーから引き出し、弾性率、最大ひずみ、直径及び%水分を測定した。実施例6〜7の安定性データを図3及び4に示す。
【表8】

【表9】

【0122】
各実施例の安定性積、メタクリル酸重量%及び弾性率のパーセント変化を、下記の表8に示す。
【表10】

8週間後の測定
**20週間後の測定
【0123】
比較例1に見られる弾性率の変化は、アニオン構成成分が存在しなくても、弾性率が10%程度変化することがあることを明らかにしている。これはまた、表2及び3に見られる標準偏差によっても示される。実施例6および7に報告されている弾性率の変化は負の値として報告されているが、これは10週及び20週後では弾性率が若干低いからである。しかし、変化は弾性率測定方法の標準偏差の範囲内であり、これは変化がないことを示していると考えるべきである。反応混合物中の構成成分としてTMS基(複数も含む)を有するいかなるシリコーンモノマーをも含まない処方で、最良の結果が達成されたことも表8は示している(mPDMS及びマクロマーを含む実施例4、並びにHO−mPDMSを含む実施例5〜7)。PDMSタイプのシリコーンをただ1つのシリコーンとして有する実施例(実施例5〜7)が最高の安定性を示した。
【0124】
(実施例8)
45.5kgの3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンメタクリレート(AHM)及び3.4gのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)とを攪拌した溶液に、10mLのPt(0)ジビニルテトラメチルジシロキサンのキシレン溶液(Pt濃度2.25%)を加え、次い44.9kgのn−ブチルポリジメチルシランを加えた。反応熱を制御し反応温度を約20℃に保った。n−ブチルポリジメチルシランが完全に消費された後、6.9gのジエチルエチレンジアミンを加えてPt触媒を不活性化した。粗反応混合物を、ラフィネート中の残留AHM含有量が<0.1%となるまで181kgのエチレングリコールにより数回抽出した。10gのBHTを得られたラフィネートに加え溶解するまで攪拌した。次いで残留エチレングリコールを除去することにより64.5kgのOH−mPDMSを得た。6.45gの4−メトキシフェノール(MeHQ)を得られた液体に加えて攪拌し、ろ過して、最終製品として64.39kgのOH−mPDMSを無色の油として得た。
【0125】
実施例9及び比較例2
表9に記載された構成成分(PVP K90を除く)を瓶の中で少なくとも1時間攪拌して混合した。PVP K90を反応混合物に、添加中に塊ができないように、攪拌しながら徐々に加えた。すべてのPVPを加えた後、反応混合物を更に30分間攪拌した。瓶をシールし、約200rpmで回転するローラーに一晩乗せた。
【0126】
反応混合物を減圧デシケータ(約1cm Hgの圧力)の中で約40分間脱ガスした。プラスチックレンズ成形型及びモノマーの注入注射器をN雰囲気(<2% O2)に少なくとも12時間放置した。バックカーブ成形型は9544ポリプロピレンから、フロントカーブ成形型はZeonor(商標)から製造した。反応混合物(50マイクロリットル)を各FCカーブに加え、次いでBCカーブをゆっくりと伏せ成形型を閉じた。このプロセスはN2雰囲気(<2% O)で実施した。
【0127】
モノマー混合物は可視光線(Philips TLK 40W/03電球)の下、窒素雰囲気中(<約2% O)で、次の硬化プロファイルに従い硬化した。5±0.5mW/cm、約50±5℃の温度で約10分間。
【0128】
組立装置からベースカーブをこじ開けて外した。レンズはフロントカーブに残っており、フロントカーブを押し曲げ乾燥したレンズをフロントカーブから分離した。
【0129】
乾燥レンズを検査した。検査に合格したレンズは、950uLのボレートで緩衝した、各レンズ当たり50ppmのメチルエチルセルロースを含む、パッキング溶液を含むブリスターに封入した。次いで、レンズを121℃で18分間減菌した。
【表11】

【0130】
リゾチーム及びリポカリンの取り込みを上述の方法で測定した。
【0131】
リゾチームは加水分解酵素であり、グラム陽性及びある種のグラム陰性バクテリアの細胞壁を開裂する能力がある。ペプチドグリカン壁をN−アセチル−グルコサミン及びNアセチルガラクトサミン(ムラミン酸)間のβ1−4連鎖で開裂すると、バクテリアの溶菌となる。
【0132】
リゾチーム活性を、レンズがこのタンパク質を生来の状態で保持する能力を測るために、測定した。生来のリゾチームレベルは、上述の手法に従い測定される活性リゾチームのレベルに相当する。
【0133】
結果を表10に示す。
【表12】

モル/100g反応構成成分
Balafilcon Aは、Purevision(登録商標)レンズの製造に使用される物質であり、市場でBausch & Lombから入手できる。
Etafilcon Aは、ACUVUE(登録商標)及びACUVUE(登録商標)2レンズの製造に使用される物質であり、市場でJohnson & Johnson Vision Care,Inc.から入手できる。
【0134】
レンズ保存液からの防腐剤の取り込みは、コンタクトレンズの性能、特にコンタクトレンズにより誘発される角膜ステイニングに影響を与えることがある。リゾチーム及びリポカリンの取り込みについて上に述べた手順により、上述のレンズを3mLのOptiFree(登録商標)RepleniSH(登録商標)の中で室温で72時間処理して、実施例9、比較例2及びPurevisionのレンズの防腐剤の取り込みを測定した。OptiFree(登録商標)RepleniSH(登録商標)は、0.001wt%のPQ1を消毒剤/防腐剤として含んでおり、シトレート二水和物及びクエン酸一水和物の濃度は0.56%及び0.021%(wt/wt)である。PQ1の取り込み量は、HPLC分析により、最初の浸漬溶液中のPQ1レベルを、試験のコンタクトレンズを72時間浸漬した後のPQ1レベルと比較することにより、測定した。結果を表10に示す。
【0135】
実施例10〜18 &比較例2
実施例9のように処方したが、下の表11に示したようにメタクリル酸の濃度を変えた。リゾチーム及びPQ1の取り込みは実施例9の方法で測定し、結果を下の表12に示した。結果は図1にもグラフとして示した。
【表13】

【表14】

モル/100g反応性構成成分
【0136】
図5に見られるように、好ましいリゾチームの取り込みと既存のコンタクトレンズ用のケアソリューションからの低いPQ1の取り込みを示す処方が可能である。本発明の眼科用装置は、タンパク質の好ましい取り込み、既存のレンズケアソリューションとの適合性、及び熱安定性のバランスを示している。
【0137】
〔実施の態様〕
(1) 少なくとも1個のトリメチルシロキシシリル基を含む少なくとも1つのシリコーン構成成分、及び少なくとも1個のアニオン基を含む少なくとも1つのイオン性構成成分を含む、反応性構成成分から形成されるポリマーであって、前記シリコーン構成成分及び前記イオン性構成成分が前記ポリマー中に約0.002未満の安定性積をもたらすモル濃度で存在する、ポリマー。
(2) 前記安定性積が約0.001未満である、実施態様1に記載のポリマー。
(3) 前記安定性積が約0.0006未満である、実施態様1に記載のポリマー。
(4) 少なくとも1つのシリコーン構成成分が式Iの化合物から選択され、
【化8】

式中、b=0〜100、Rは少なくとも1つのエチレン性不飽和部分を含む一価の基であり、各Rは独立して一価のアルキル又はアリール基であり、これは更にアルコール、アミン、ケトン、カルボン酸又はエーテル基で置換されていてもよく、Rは一価のアルキル又はアリール基であり、これは更にアルコール、アミン、ケトン、カルボン酸又はエーテル基で置換されていてもよく、Rは独立してアルキル、芳香族又は1〜100個の繰り返しSi−O単位を含む一価のシロキサン鎖である、実施態様1に記載のポリマー。
(5) 前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−アルキル末端ポリジアルキルシロキサン、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン、メタクリロキシプロピル末端ポリジアルキルシロキサン、モノ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−アルキル末端ポリジアルキルシロキサン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様4に記載のポリマー。
(6) 前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン及びモノ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノーブチル末端ポリジアルキルシロキサン、これらの組み合わせ、及び類似物から選択される、実施態様1に記載のポリマー。
(7) 前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン(monomethacryloxypropyl-terminated mono-n-butyl terminated polydimethysiloxane)、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン、メタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、及びモノ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物から選択される、実施態様1に記載のポリマー。
(8) 前記イオン性構成成分が1〜8個の炭素原子を含むフリーラジカル反応性カルボン酸からなる群から選択されるカルボン酸含有構成成分である、実施態様1に記載のポリマー。
(9) 前記カルボン酸含有構成成分が、(メタ)アクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ビニル安息香酸、フマル酸、マレイン酸、N−ビニルオキシカルボニルアラニン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、実施態様8に記載のポリマー。
(10) 前記カルボン酸含有構成成分がメタクリル酸を含む、実施態様8に記載のポリマー。
【0138】
(11) 約0.1〜約0.9重量%の少なくとも1つのアニオン性構成成分、及び式Iの化合物から選択される反応性ポリジアルキルシロキサンからなる群から選択される、少なくとも1つのシリコーン構成成分を含む反応性構成成分から形成され、
【化9】

式中、b=2〜20、末端Rは少なくとも1つのエチレン性不飽和部分、2〜16個の炭素原子を有する一価のアルキル基を含む一価の基から独立して選択され、ただし1個の末端Rがエチレン性不飽和部分を含み、残る前記Rが1〜16個の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択される、ポリマー。
(12) 少なくとも1つのシリコーン構成成分及び少なくとも1つのイオン性構成成分を含む成分を重合することにより形成されるコンタクトレンズであって、前記イオン性構成成分が前記ポリマー中に0.8wt%未満の濃度で存在し、前記コンタクトレンズが少なくとも約10μgのリゾチーム、約5μg未満のリポカリンを吸収し、前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約50%が生来の形態である、コンタクトレンズ。
(13) 前記イオン性構成成分が少なくとも1個の重合性基及び3〜10個の炭素原子を含む、実施態様12に記載のコンタクトレンズ。
(14) 前記イオン性構成成分が3〜8個の炭素原子を含む、実施態様12に記載のコンタクトレンズ。
(15) 前記イオン性構成成分が少なくとも1個のカルボン酸基を含む、実施態様1に記載のコンタクトレンズ。
(16) 前記イオン性構成成分がアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ビニル安息香酸、並びにフマル酸、マレイン酸及びイタコン酸のモノエステル、N−ビニルオキシカルボニルアラニン(N−ビニルオキシカルボニル−β−アラニン)、並びにこれらのホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される、実施態様15に記載のコンタクトレンズ。
(17) 少なくとも約50μgのリゾチームを吸収する、実施態様12に記載のコンタクトレンズ。
(18) 少なくとも約100μgのリゾチームを吸収する、実施態様12に記載のコンタクトレンズ。
(19) 少なくとも約200μgのリゾチームを吸収する、実施態様12に記載のコンタクトレンズ。
(20) 少なくとも約500μgのリゾチームを吸収する、実施態様12に記載のコンタクトレンズ。
【0139】
(21) 少なくとも約800μgのリゾチームを吸収する、実施態様12に記載のコンタクトレンズ。
(22) 約3μg又はこれ未満のリポカリンを吸収する、実施態様12に記載のコンタクトレンズ。
(23) 前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約60%が生来の形態である、実施態様12に記載のコンタクトレンズ。
(24) 前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約75%が生来の形態である、実施態様12に記載のコンタクトレンズ。
(25) 更に少なくとも約15%の水分を含む、実施態様12に記載のコンタクトレンズ。
(26) 更に少なくとも約50のDkを含む、実施態様12に記載のコンタクトレンズ。
(27) 前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約60%が生来の形態である、実施態様16に記載のコンタクトレンズ。
(28) 前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約75%が生来の形態である、実施態様16に記載のコンタクトレンズ。
(29) 少なくとも1つのシリコーン構成成分が式Iの化合物から選択され、
【化10】

式中、b=0〜100、Rは少なくとも1つのエチレン性不飽和部分を含む一価の基であり、各Rは独立して一価のアルキル又はアリール基であり、これらは更にアルコール、アミン、ケトン、カルボン酸、エーテル基又はこれらの組み合わせにより置換されていてもよく、Rは一価のアルキル又はアリール基であり、これらは更にアルコール、アミン、ケトン、カルボン酸、エーテル基又はこれらの組み合わせにより置換されていてもよく、Rは独立してアルキル、芳香族又は1〜100個の繰り返しSi−O単位を含む一価のシロキサン鎖である、実施態様12に記載のコンタクトレンズ。
(30) 前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−アルキル末端ポリジアルキルシロキサン、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン、メタクリロキシプロピル末端ポリジアルキルシロキサン、モノ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノーアルキル末端ポリジアルキルシロキサン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様29に記載のコンタクトレンズ。
【0140】
(31) 前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−C1〜4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン、及びモノ−(3−メタクリロキシ−2ーヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−C1〜4アルキル末端ポリジアルキルシロキサン、これらの組み合わせ、及び類似物から選択される、実施態様29に記載のコンタクトレンズ。
(32) 前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン、メタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、及びモノ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物から選択される、実施態様29に記載のコンタクトレンズ。
(33) 少なくとも1つのシリコーン構成成分、及び少なくとも1個のカルボン酸基をモル濃度で約9.3mmol/100gまで含む少なくとも1つのイオン性構成成分を含む成分を重合することにより形成されるコンタクトレンズであって、前記コンタクトレンズが少なくとも約10μgのリゾチーム、約5μg未満のリポカリンを吸収し、前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたタンパク質の少なくとも約50%が生来の形態である、コンタクトレンズ。
(34) 前記イオン性構成成分が少なくとも1個の重合性基及び3〜10個の炭素原子を含む、実施態様33に記載のコンタクトレンズ。
(35) 前記イオン性構成成分が3〜8個の炭素原子を含む、実施態様34に記載のコンタクトレンズ。
(36) 前記イオン性構成成分がアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ビニル安息香酸、並びにフマル酸、マレイン酸及びイタコン酸のモノエステル、及びN−ビニルオキシカルボニルアラニン(N−ビニルオキシカルボニル−β−アラニン)、並びにこれらのホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される、実施態様33に記載のコンタクトレンズ。
(37) 少なくとも約50μgのリゾチームを吸収する、実施態様33に記載のコンタクトレンズ。
(38) 少なくとも約100μgのリゾチームを吸収する、実施態様33に記載のコンタクトレンズ。
(39) 少なくとも約200μgのリゾチームを吸収する、実施態様33に記載のコンタクトレンズ。
(40) 少なくとも約500μgのリゾチームを吸収する、実施態様33に記載のコンタクトレンズ。
【0141】
(41) 少なくとも約800μgのリゾチームを吸収する、実施態様33に記載のコンタクトレンズ。
(42) 約3μg又はこれ未満のリポカリンを吸収する、実施態様33に記載のコンタクトレンズ。
(43) 前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約60%が生来の形態である、実施態様33に記載のコンタクトレンズ。
(44) 前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約75%が生来の形態である、実施態様33に記載のコンタクトレンズ。
(45) 更に少なくとも約15%の水分を含む、実施態様33に記載のコンタクトレンズ。
(46) 更に少なくとも約90°未満の接触角を有する、実施態様33に記載のコンタクトレンズ。
(47) 前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約60%が生来の形態である、実施態様46に記載のコンタクトレンズ。
(48) 前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約75%が生来の形態である、実施態様46に記載のコンタクトレンズ。
(49) 少なくとも1つのシリコーン構成成分が式Iの化合物から選択され、
【化11】

式中、b=2〜20、少なくとも1個の末端Rが一価の反応性基を含み、他の末端Rが一価の反応性基又は1〜16個の炭素を有する一価のアルキル基を含み、残るRが1〜16個の炭素を有する一価のアルキル基から独立して選択される、実施態様33に記載のコンタクトレンズ。
(50) 前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−アルキル末端ポリジアルキルシロキサン、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン、メタクリロキシプロピル末端ポリジアルキルシロキサン、モノ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノーアルキル末端ポリジアルキルシロキサン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様33に記載のコンタクトレンズ。
【0142】
(51) 前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−C1〜4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン、及びモノ−(3−メタクリロキシ−2ーヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−C1〜4アルキル末端ポリジアルキルシロキサン、及びこれらの組み合わせから選択される、実施態様33に記載のコンタクトレンズ。
(52) 前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン、メタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、及びモノ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物から選択される、実施態様33に記載のコンタクトレンズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のトリメチルシロキシシリル基を含む少なくとも1つのシリコーン構成成分、及び少なくとも1個のアニオン基を含む少なくとも1つのイオン性構成成分を含む、反応性構成成分から形成されるポリマーであって、前記シリコーン構成成分及び前記イオン性構成成分が前記ポリマー中に約0.002未満の安定性積をもたらすモル濃度で存在する、ポリマー。
【請求項2】
前記安定性積が約0.001未満である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記安定性積が約0.0006未満である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
少なくとも1つのシリコーン構成成分が式Iの化合物から選択され、
【化1】

式中、b=0〜100、Rは少なくとも1つのエチレン性不飽和部分を含む一価の基であり、各Rは独立して一価のアルキル又はアリール基であり、これは更にアルコール、アミン、ケトン、カルボン酸又はエーテル基で置換されていてもよく、Rは一価のアルキル又はアリール基であり、これは更にアルコール、アミン、ケトン、カルボン酸又はエーテル基で置換されていてもよく、Rは独立してアルキル、芳香族又は1〜100個の繰り返しSi−O単位を含む一価のシロキサン鎖である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−アルキル末端ポリジアルキルシロキサン、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン、メタクリロキシプロピル末端ポリジアルキルシロキサン、モノ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−アルキル末端ポリジアルキルシロキサン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載のポリマー。
【請求項6】
前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン及びモノ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノーブチル末端ポリジアルキルシロキサン、これらの組み合わせ、及び類似物から選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項7】
前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン、メタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、及びモノ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項8】
前記イオン性構成成分が1〜8個の炭素原子を含むフリーラジカル反応性カルボン酸からなる群から選択されるカルボン酸含有構成成分である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項9】
前記カルボン酸含有構成成分が、(メタ)アクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ビニル安息香酸、フマル酸、マレイン酸、N−ビニルオキシカルボニルアラニン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8に記載のポリマー。
【請求項10】
前記カルボン酸含有構成成分がメタクリル酸を含む、請求項8に記載のポリマー。
【請求項11】
約0.1〜約0.9重量%の少なくとも1つのアニオン性構成成分、及び式Iの化合物から選択される反応性ポリジアルキルシロキサンからなる群から選択される、少なくとも1つのシリコーン構成成分を含む反応性構成成分から形成され、
【化2】

式中、b=2〜20、末端Rは少なくとも1つのエチレン性不飽和部分、2〜16個の炭素原子を有する一価のアルキル基を含む一価の基から独立して選択され、ただし1個の末端Rがエチレン性不飽和部分を含み、残る前記Rが1〜16個の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択される、ポリマー。
【請求項12】
少なくとも1つのシリコーン構成成分及び少なくとも1つのイオン性構成成分を含む成分を重合することにより形成されるコンタクトレンズであって、前記イオン性構成成分が前記ポリマー中に0.8wt%未満の濃度で存在し、前記コンタクトレンズが少なくとも約10μgのリゾチーム、約5μg未満のリポカリンを吸収し、前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約50%が生来の形態である、コンタクトレンズ。
【請求項13】
前記イオン性構成成分が少なくとも1個の重合性基及び3〜10個の炭素原子を含む、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項14】
前記イオン性構成成分が3〜8個の炭素原子を含む、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項15】
前記イオン性構成成分が少なくとも1個のカルボン酸基を含む、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項16】
前記イオン性構成成分がアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ビニル安息香酸、並びにフマル酸、マレイン酸及びイタコン酸のモノエステル、N−ビニルオキシカルボニルアラニン(N−ビニルオキシカルボニル−β−アラニン)、並びにこれらのホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される、請求項15に記載のコンタクトレンズ。
【請求項17】
少なくとも約50μgのリゾチームを吸収する、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項18】
少なくとも約100μgのリゾチームを吸収する、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項19】
少なくとも約200μgのリゾチームを吸収する、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項20】
少なくとも約500μgのリゾチームを吸収する、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項21】
少なくとも約800μgのリゾチームを吸収する、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項22】
約3μg又はこれ未満のリポカリンを吸収する、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項23】
前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約60%が生来の形態である、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項24】
前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約75%が生来の形態である、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項25】
更に少なくとも約15%の水分を含む、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項26】
更に少なくとも約50のDkを含む、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項27】
前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約60%が生来の形態である、請求項16に記載のコンタクトレンズ。
【請求項28】
前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約75%が生来の形態である、請求項16に記載のコンタクトレンズ。
【請求項29】
少なくとも1つのシリコーン構成成分が式Iの化合物から選択され、
【化3】

式中、b=0〜100、Rは少なくとも1つのエチレン性不飽和部分を含む一価の基であり、各Rは独立して一価のアルキル又はアリール基であり、これらは更にアルコール、アミン、ケトン、カルボン酸、エーテル基又はこれらの組み合わせにより置換されていてもよく、Rは一価のアルキル又はアリール基であり、これらは更にアルコール、アミン、ケトン、カルボン酸、エーテル基又はこれらの組み合わせにより置換されていてもよく、Rは独立してアルキル、芳香族又は1〜100個の繰り返しSi−O単位を含む一価のシロキサン鎖である、請求項12に記載のコンタクトレンズ。
【請求項30】
前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−アルキル末端ポリジアルキルシロキサン、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン、メタクリロキシプロピル末端ポリジアルキルシロキサン、モノ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノーアルキル末端ポリジアルキルシロキサン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項29に記載のコンタクトレンズ。
【請求項31】
前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−C1〜4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン、及びモノ−(3−メタクリロキシ−2ーヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−C1〜4アルキル末端ポリジアルキルシロキサン、これらの組み合わせ、及び類似物から選択される、請求項29に記載のコンタクトレンズ。
【請求項32】
前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン、メタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、及びモノ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物から選択される、請求項29に記載のコンタクトレンズ。
【請求項33】
少なくとも1つのシリコーン構成成分、及び少なくとも1個のカルボン酸基をモル濃度で約9.3mmol/100gまで含む少なくとも1つのイオン性構成成分を含む成分を重合することにより形成されるコンタクトレンズであって、前記コンタクトレンズが少なくとも約10μgのリゾチーム、約5μg未満のリポカリンを吸収し、前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたタンパク質の少なくとも約50%が生来の形態である、コンタクトレンズ。
【請求項34】
前記イオン性構成成分が少なくとも1個の重合性基及び3〜10個の炭素原子を含む、請求項33に記載のコンタクトレンズ。
【請求項35】
前記イオン性構成成分が3〜8個の炭素原子を含む、請求項34に記載のコンタクトレンズ。
【請求項36】
前記イオン性構成成分がアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ビニル安息香酸、並びにフマル酸、マレイン酸及びイタコン酸のモノエステル、及びN−ビニルオキシカルボニルアラニン(N−ビニルオキシカルボニル−β−アラニン)、並びにこれらのホモポリマー及びコポリマーからなる群から選択される、請求項33に記載のコンタクトレンズ。
【請求項37】
少なくとも約50μgのリゾチームを吸収する、請求項33に記載のコンタクトレンズ。
【請求項38】
少なくとも約100μgのリゾチームを吸収する、請求項33に記載のコンタクトレンズ。
【請求項39】
少なくとも約200μgのリゾチームを吸収する、請求項33に記載のコンタクトレンズ。
【請求項40】
少なくとも約500μgのリゾチームを吸収する、請求項33に記載のコンタクトレンズ。
【請求項41】
少なくとも約800μgのリゾチームを吸収する、請求項33に記載のコンタクトレンズ。
【請求項42】
約3μg又はこれ未満のリポカリンを吸収する、請求項33に記載のコンタクトレンズ。
【請求項43】
前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約60%が生来の形態である、請求項33に記載のコンタクトレンズ。
【請求項44】
前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約75%が生来の形態である、請求項33に記載のコンタクトレンズ。
【請求項45】
更に少なくとも約15%の水分を含む、請求項33に記載のコンタクトレンズ。
【請求項46】
更に少なくとも約90°未満の接触角を有する、請求項33に記載のコンタクトレンズ。
【請求項47】
前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約60%が生来の形態である、請求項46に記載のコンタクトレンズ。
【請求項48】
前記コンタクトレンズの中又は上に吸収されたすべてのタンパク質の少なくとも約75%が生来の形態である、請求項46に記載のコンタクトレンズ。
【請求項49】
少なくとも1つのシリコーン構成成分が式Iの化合物から選択され、
【化4】

式中、b=2〜20、少なくとも1個の末端Rが一価の反応性基を含み、他の末端Rが一価の反応性基又は1〜16個の炭素を有する一価のアルキル基を含み、残るRが1〜16個の炭素を有する一価のアルキル基から独立して選択される、請求項33に記載のコンタクトレンズ。
【請求項50】
前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−アルキル末端ポリジアルキルシロキサン、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン、メタクリロキシプロピル末端ポリジアルキルシロキサン、モノ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノーアルキル末端ポリジアルキルシロキサン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項33に記載のコンタクトレンズ。
【請求項51】
前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−C1〜4アルキル末端ポリジメチルシロキサン、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジアルキルシロキサン、及びモノ−(3−メタクリロキシ−2ーヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−C1〜4アルキル末端ポリジアルキルシロキサン、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項33に記載のコンタクトレンズ。
【請求項52】
前記少なくとも1つのシリコーン構成成分が、モノメタクリロキシプロピル末端モノ−n−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、ビス−3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン、メタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、及びモノ−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物から選択される、請求項33に記載のコンタクトレンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−504182(P2012−504182A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529313(P2011−529313)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/058605
【国際公開番号】WO2010/039653
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(510294139)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド (48)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
【Fターム(参考)】