説明

改善された塩漬助剤

亜硝酸塩による塩漬によって食品、特に筋肉を含む肉および魚製品を保存および製造するために、本発明はこれらの食品の塩漬で使用するための塩漬助剤、とりわけ改善された糖質を提供する。改善された糖質はスクロース異性体であるイソマルツロースおよび/またはトレハルロースを含む組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は亜硝酸塩を用いた塩漬による食品、特に筋肉を含む肉および魚製品の保存および製造に関する。本発明は新規な塩漬助剤、とりわけこれらの食品の塩漬で使用するための改善された糖質を提供する。本発明によれば、改善された糖質はイソマルツロースおよび/またはトレハルロースを含むスクロース異性体組成物である。
【背景技術】
【0002】
一般に未処理の肉製品は筋色素の酸化により急速に色あせし、および/または特に屠殺作業または食品の再加工の際に持ち込まれる望ましくない、または健康上有害な微生物による汚染によって腐敗する。塩漬は多数の並行的に進行する仕組みによって、これらの不都合な効果を遅らせまたは抑制する。即ち細菌の繁殖が抑制され、過剰の水が取り除かれ、それがコンシステンシーを改善し、aw値を引き下げ、かつ塩漬色や典型的な塩漬香が形成される。
【0003】
亜硝酸塩漬用塩、即ち亜硝酸塩(通常NaNO2)および食塩(NaCl)からなる組成物は、周知のように食品、例えば生塩漬品および生ソーセージの塩漬のために使用される。いわゆる紅色発色過程で亜硝酸塩が酸の触媒作用のもとで硝酸塩と一酸化窒素(NO)に不均化される。その際NOは、高等脊椎動物の筋肉の筋繊維に含まれるミオグロビンと結合して赤い色素、即ち食品を持続的に赤く着色することができるニトロソミオグロビンを生じる。
【0004】
塩漬過程のもう一つの成分は、食品に含まれ、場合によっては故意に添加される微生物、とくにスタフィロコッカスおよびラクトバチルスの酵素活性である。これらの生物は生物特有の硝酸レダクターゼ活性により硝酸塩から再び亜硝酸塩への転化のために利用され、その代謝活性によりpH値の低下(酸生成)を生じ、NOへの不均化を促す。筋肉中で起こり、pH値低下(酸生成)を伴う嫌気性解糖によって、不均化がさらに促進される。pH値低下によって食品のタンパク質、特に筋タンパク質が凝固し、切断硬さが増す。
【0005】
塩漬過程の終了時に加熱することによって、亜硝酸塩が食品の特定の別の成分と反応して、別の抗菌作用物質、いわゆるペリゴ(Perigo)因子が生じる。総じて、周知のように保存および抗菌効果のためには、塩漬色や塩漬香の形成のためよりも一層高い亜硝酸塩量が必要である。
【0006】
亜硝酸塩自体は、人間や動物の体内の代謝過程、特に呼吸連鎖の一部に有害な障害を招く有毒物として知られている。亜硝酸塩漬食品、特に塩漬肉製品は人体の総亜硝酸塩負荷量の約3%という僅かな量しかないが、生理的医学的観点、「開明的な」消費者の観点からすれば食品製品で推奨しうるため、また新たな法的基準の順守のためにも、塩漬される食品での亜硝酸塩の使用、特に塩漬食品製品の亜硝酸塩残留量を減少することが望ましく、かつ必要である。そこで熱処理しない塩漬および乾燥した肉製品の亜硝酸塩の添加のための新しい基準値として、塩漬される食品の最大亜硝酸塩添加量については150 mg/kg(NaNO2で表して)、消費者への引渡しの時点での塩漬食品製品の最大残留亜硝酸塩量については50 mg/kgが適用される。より厳格な欧州環境基準については、最大亜硝酸塩添加量に対して80〜100 mg/kgの限界値、消費者への引渡しの時点で50 mg/kgの最大許容残留亜硝酸塩含量が適用される。それに伴う塩漬成績の不良、例えば不十分な、持続しない紅色発色、味覚上の欠点、低い耐久性、細菌汚染を受け入れないという場合は、周知の方法ではこれらの値の一部は適用されない場合もある。
【0007】
亜硝酸塩の所望の塩漬効果、特に細菌安定化および紅色発色を改善し、少ない亜硝酸塩割合でもこれを維持するために、周知のように塩漬過程でいわゆる塩漬助剤が添加される。周知の塩漬助剤はアスコルビン酸またはアスコルビン酸塩である。これは抗酸化作用性還元剤として、かつ酸生成成分として、場合によってはトリポリリン酸ナトリウムまたは合成抗酸化剤、例えばBHAおよびBHTと組み合わせて使用される。また天然由来の抗酸化剤を含む香辛料または香辛料エキスを使用することができる。例えばチョウジおよびローズマリーならびにそのエキスがこれに属する。これらの塩漬助剤は、処方によっては味覚に明かに不利な影響がある。またこれらの物質の添加は、在来の処方に比して試料の経過の変化を伴う。
【0008】
別の手法では亜硝酸塩含有の高い野菜濃縮物を食品に加えることによって塩漬成績を改善し、硝酸塩または亜硝酸塩の添加に関する法的制限を回避しようとする。それによって少ない硝酸塩または亜硝酸塩含量が、通常見かけ上得られるに過ぎない。別の塩漬助剤は「糖質」である。糖質は塩漬過程の促進のために使用され、塩漬成績を改善するとされる。周知の糖質は塩漬過程で存在する微生物(塩漬フローラ)に栄養源として利用される。
【0009】
周知のように塩漬工程で持続的な肉色を形成するための紅色発色過程は時間がかかり、推奨される減量した亜硝酸塩量は比較的短い時間しか持続しない不利な紅色発色をもたらす。従って紅色発色過程を早め、および/または短い処理時間かつ低い亜硝酸塩含量でも紅色発色成績を改善することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の根底にあるのは、特に塩漬食品中の残留亜硝酸塩含量を減少し、および/または塩漬成績の品質、特に紅色発色、とりわけ塩漬色の強さと耐久性を改善することができる食品の塩漬のための方法および手段を提供するという技術問題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は複数の成分からなる食品塩漬用キットを提供することによって、根底にある技術問題を完全に解決する。その場合キットは少なくとも次の成分、即ち亜硝酸塩漬用塩(NPS)および糖質成分を含みまたはこれらからなり、キットは本発明に基づきとりわけキットの糖質成分がスクロース異性体組成物であることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
食品塩漬用「キット」とは、別個の個別成分からなり、これらの個別成分が目的を目指す使用、即ち塩漬過程に関連して一緒に使用されるキットも、場合によってはこれらの個別成分が過程の別個の作業段階で使用されるキットも意味する。またこの場合キットとは、キットの亜硝酸塩漬用塩成分も、また少なくともキットの本発明に基づく糖質成分も混合物中に含む一体の塩漬用塩組成物をも意味する。好ましい実施態様では本発明に基づくキットまたは亜硝酸塩漬用塩組成物はその他の成分または構成部分を含むことができる。
【0013】
本発明に基づき使用される「糖質成分」は塩漬助剤である。本発明に基づく糖質成分は、食品の塩漬のための塩漬助剤として、即ち本発明に基づくキットの成分として、または本発明に基づく塩漬用組成物の構成部分として使用するためのものである。発明の別の実施態様およびその変型では、本発明に基づくキットまたは適切に構成された塩漬用塩組成物にその他の塩漬助剤を含むことができる。特に酸生成塩漬助剤成分および抗酸化作用性塩漬助剤成分がこれに属する。好ましい構成においては、塩漬助剤または糖質成分は純粋物質、混合物または組成物である。糖質成分またはその他の塩漬助剤成分が糖質成分も、また酸生成塩漬助剤成分も、または代案として、好ましくは抗酸化作用性塩漬助剤またはその一部をもなすことが好ましい。
【0014】
好ましい変型においては、キットおよび対応する塩漬用塩組成物はその他の塩漬助剤を含まず、とりわけその他の酸生成塩漬助剤を含まず、代案として、好ましくはその他の抗酸化作用性塩漬助剤を含まない。キットおよび対応する塩漬用塩組成物はアスコルビン酸およびその塩を含まず、グルコノデルタラクトンを含まず、合成抗酸化剤、例えばBHAおよびBHTを含まず、その他の還元糖および糖誘導体を含まず、および/またはその他の糖酸および糖酸誘導体を含まないことが好ましい。
【0015】
本発明に基づく糖質成分は糖質成分の乾物重量に基づいて、かつ塩漬される食品1kgに基づいて0.3〜15g、とりわけ0.5〜9g、特に好ましくは1〜5gの割合で含まれることが好ましい。
【0016】
塩漬の際に糖質として周知のようにフルクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、デンプン水解物、グルコースシロップおよびグルコノデルタラクトン(GdL)を使用することができる。そこで本発明に基づき周知の、および新規な塩漬処方で、これらの糖質が本発明に基づくスクロース異性体組成物によって補完され、またはとりわけ一部、特に好ましくは全部が置き換えられ、または従来糖質の添加なしで設計された塩漬処方では新たに添加される。キットおよびキットの塩漬用塩組成物および/または糖質成分は本発明に基づくスクロース異性体組成物のほかに、補助成分として別の糖類、特に塩漬のために場合によって従来使用された周知の糖質、とりわけグルコース、フルクトースおよび/またはスクロースを含まないことが好ましい。糖質成分は以下で詳しく特徴づける、本発明に基づくスクロース異性体組成物だけからなることが好ましい。
【0017】
本発明の別の観点によれば、本発明に基づく糖質成分は周知の糖質成分とともに、特にグルコースおよび/またはフルクトースとともに使用される。
【0018】
本発明に基づく糖質成分は、本発明に基づきトレハルロースおよびイソマルツロースから選ばれた少なくとも1つのスクロース異性体を含むことを特徴とする。糖質成分としてイソマルツロースまたはトレハルロース、さらに好ましくはその混合物を使用することが好ましい。
【0019】
糖質成分はそれぞれ乾物重量に基づいて少なくとも10重量%以上、さらに好ましくは少なくとも15重量%以上、さらに好ましくは少なくとも20重量%以上、さらに好ましくは少なくとも25重量%以上、さらに好ましくは少なくとも30重量%以上、さらに好ましくは少なくとも35重量%以上、さらに好ましくは少なくとも40重量%以上、さらに好ましくは少なくとも45重量%以上、さらに好ましくは少なくとも50重量%以上、さらに好ましくは少なくとも55重量%以上、さらに好ましくは少なくとも60重量%以上、さらに好ましくは少なくとも65重量%以上、さらに好ましくは少なくとも70重量%以上、さらに好ましくは少なくとも75重量%以上、さらに好ましくは少なくとも80重量%以上、さらに好ましくは少なくとも85重量%以上、さらに好ましくは少なくとも90重量%以上、さらに好ましくは少なくとも95重量%以上の割合のトレハルロースを含むことが好ましい。
【0020】
別の好ましい変型では、糖質成分はそれぞれ乾物重量に基づいて少なくとも10重量%以上、さらに好ましくは少なくとも15重量%以上、さらに好ましくは少なくとも20重量%以上、さらに好ましくは少なくとも25重量%以上、さらに好ましくは少なくとも30重量%以上、さらに好ましくは少なくとも35重量%以上、さらに好ましくは少なくとも40重量%以上、さらに好ましくは少なくとも45重量%以上、さらに好ましくは少なくとも50重量%以上、さらに好ましくは少なくとも55重量%以上、さらに好ましくは少なくとも60重量%以上、さらに好ましくは少なくとも65重量%以上、さらに好ましくは少なくとも70重量%以上、さらに好ましくは少なくとも75重量%以上、さらに好ましくは少なくとも80重量%以上、さらに好ましくは少なくとも85重量%以上、さらに好ましくは少なくとも90重量%以上、さらに好ましくは少なくとも95重量%以上の割合のイソマルツロースを含む。
【0021】
代替構成では、糖質成分はイソマルツロースシロップ組成物である。これはそれぞれ乾物重量に基づいて70〜90、とりわけ80〜85重量%のイソマルツロース、5〜15、とりわけ7〜12重量%のトレハルロースおよび場合によっては0〜約8重量%の特にフルクトース、グルコース、スクロース、イソマルトースおよび場合によってはオリゴマー(DP≧3)から選ばれた残糖分を含む。好ましい構成では、イソマルツロースシロップは欧州特許公開EP 0625578 A1に記載されているように、即ちプロタミノバクター・ルブルム(Protaminobacter rubrum)株のとりわけ固定化された細胞でスクロースを異性化することによって製造することができる。イソマルツロースシロップの変型は欧州特許公開EP 0625578 A1、特に実施例1B、1C、2および3に記載されている組成を有する。イソマルツロースシロップの一変型は約82.5重量%のイソマルツロース、約9.5重量%のトレハルロース、約2.5重量%のフルクトース、約2.0重量%のグルコース、約1.0重量%のスクロース、約1.5重量%のイソマルトースおよび約1.0重量%のオリゴマー(DP≧3)を含む。
【0022】
別の代替構成では、糖質成分はそれぞれ乾物重量に基づいて70〜85、とりわけ77〜83重量%のトレハルロース、10〜25、とりわけ15〜20重量%のイソマルツロースおよび場合によっては特にフルクトース、グルコース、スクロース、イソマルトース、イソメレチトースおよびオリゴマー(DP≧3)から選ばれた0〜3重量%の残糖分を含むトレハルロースシロップ組成物である。トレハルロースシロップは欧州特許公開EP 0625578 A1に記載された方法により、即ちプロタミノバクター・ルブルム(Protaminobacter rubrum)株のとりわけ固定化された細胞でスクロースを異性化することによって製造することが好ましい。トレハルロースシロップの一変型は、約80.5重量%のトレハルロース、約17.1重量%のイソマルツロース、約0.4重量%のフルクトース、約0.4重量%のグルコース、約0.6重量%のスクロース、約0.2重量%のイソマルトースならびに合計約1.0重量%のイソメレチトースおよびオリゴマー(DP≧3)を含む欧州特許公開EP 0625578 A1の実施例7に挙げられた組成を有する。実施例7による代替変型は約85.7重量%のトレハルロース、約12.5重量%のイソマルツロース、約0.2重量%のフルクトース、約0.2重量%のグルコース、約1.0重量%のスクロース、約0.2重量%のイソマルトースおよび約0.2重量%のオリゴマー(DP≧3)を含む。
【0023】
別の構成では糖質成分はそれぞれ乾物重量に基づいて60〜70、とりわけ65重量%のトレハルロース、5〜15、とりわけ9〜10重量%のイソマルツロース、20〜30、とりわけ25重量%のスクロースおよび場合によっては0〜3重量%の残糖分、特にフルクトース、グルコース、イソマルトースおよびオリゴマー(DP≧3)を含むトレハルロース組成物である。トレハルロースシロップは国際出願公開WO 2009/095171 A1に記載された方法により製造することが好ましい。
【0024】
別の代替構成では糖質成分は、特にイソマルツロースおよびトレハルロースの製造の際に発生し、製造工程から排出することができる工業用シロップまたは糖蜜である。好ましい実施態様では、これは25〜40重量%のイソマルツロース、20〜35重量%のトレハルロース、25〜40重量%のスクロースおよび特にフルクトース、グルコース、イソマルトースおよびオリゴ糖(DP≧3)から選ばれた0〜15重量%の残糖分を含む。好ましい具体的な実施態様では、このシロップは27〜37重量%のイソマルツロース、23〜33重量%のトレハルロース、27〜37重量%のスクロースおよび最大で10重量%の残糖分(特にフルクトース、グルコース、イソマルトースおよびオリゴ糖(DP≧3))を含む。特に好ましい構成では、この組成物は技術的工程管理に基づき酸性副産物、即ち未緩衝の酸、特に糖酸を含み、5以下、特に4〜5、とりわけ4.5〜5.0のpH値を有するシロップである。代替実施態様では、組成物はとりわけ酸の緩衝、即ちアルカリ化の後に5以上、とりわけ5〜6のpH値を有する。またこの工業用シロップはキットの糖質成分、さらには酸生成塩漬助剤成分を形成するのに適している。
【0025】
もちろん本発明は異性化反応の反応生成物として技術的に目的にふさわしく生じるスクロース異性体組成物だけに係るものでない。むしろ本発明は特に個別成分を組み合わせることにより、または他の組成物または混合物の単一または複数の成分を富化または減量することにより生じる適宜に組成された混合物および調合物をも包含する。また本発明はイソマルツロースおよびトレハルロースと場合によってはその他の糖類、例えばグルコースおよび場合によってはフルクトースを混合することによって製造されるスクロース異性体組成物も包含する。特殊な変型においては、特定のスクロース異性体組成物を含まないスクロース異性体組成物も本発明の目的である。例えばスクロース異性体組成物はイソマルツロースを含まず、代案としてスクロース異性体組成物はトレハルロースを含まない。
【0026】
一般に本発明に基づき塩漬キットの糖質成分として使用されるスクロース異性体組成物は、それ自体が抗酸化または還元の働きをする性質を有する。キットの好ましい構成においては、スクロース異性体組成物は糖質成分をなすとともに、抗酸化作用性塩漬助剤をもなす。
【0027】
発明者は意外なことに、上記で特徴づけられたスクロース異性体組成物が糖質成分として亜硝酸塩漬用塩と組み合わせて、食品、特に肉および魚ならびに肉または魚含有製品、例えばソーセージ、鮮魚調理品等の塩漬の際に、第一の観点では使用される亜硝酸塩漬用塩の量、特に塩漬される食品の重量部当りの使用される亜硝酸塩の量を著しく減少することができ、しかも所望の塩漬効果およびその他の効果がほとんどまたは完全に維持されるという、塩漬過程に有利な影響を及ぼすことを発見した。こうして本発明に基づく糖質成分を使用した場合、塩漬食品の例えば72または120時間の熟成時間の後の残留亜硝酸塩含量が50mg/kg亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウム基準で)の要求される限界値より著しく低いことが見出された。
【0028】
さらに発明者は意外なことに、第二の観点で、本発明に基づく糖質成分が通常の処方の基準物質、グルコースと比較して、食品の著しく良好な紅色発色とともに、より少ない残留亜硝酸塩含量をもたらすことを発見した。意外なことに、糖質成分の使用量を減少しても、周知の糖質成分、例えばグルコースが使用される標準処方の場合より依然として良好な塩漬成績を得ることができる。
【0029】
第三の観点として、塩漬の際に本発明に基づく糖質成分を使用した場合、別の周知の抗酸化作用性塩漬助剤成分、特にアスコルビン酸またはアスコルビン酸塩の使用をほとんど、とりわけ完全に廃止することができる。少なくとも本発明は本発明に基づき使用される糖質成分により、その他の抗酸化作用性塩漬助剤成分の使用を減少する手段を提供する。従って補助的抗酸化塩漬助剤成分、例えばアスコルビン酸またはその塩を含まない塩漬用キットおよび適宜に構成された塩漬組成物も本発明の目的である。
【0030】
さらに本発明は、第四の観点として、本発明に基づく糖質成分が少なくともとりわけ補足的に設けられる酸生成塩漬助剤成分とともに、周知の塩漬系、例えばグルコースおよびアスコルビン酸に比して塩漬過程を著しく効率的に促進し、加速するいわゆる「塩漬系」を形成するという認識に基づいている。亜硝酸塩漬用塩成分に亜硝酸塩、特に亜硝酸ナトリウムが最大0.6重量%、とりわけ0.1〜0.6重量%、特に好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.4重量%以下、さらに好ましくは0.3重量%以下の減量した割合で含まれたキットまたは対応する塩漬用塩組成物も本発明の目的である。亜硝酸塩、特に亜硝酸ナトリウムが塩漬される食品1kg当たり最大150mg以下、とりわけ最大100mg、特に好ましくは最大50mgの割合、さらに好ましくは常に50mg未満の割合で含まれた本発明に基づくキットまたは塩漬用塩組成物が好ましい。
【0031】
さらに発明者は意外なことに、第五の観点で、本発明に基づく糖質成分と単数または複数の新規な酸生成塩漬助剤成分、特にラクトビオン酸および/またはラクトビオン酸デルタラクトンとの組合せが前述の意外な技術的効果を一層高く示すことを発見した。そこで少なくとも1つの酸生成塩漬助剤成分を有するキットまたは対応する塩漬用塩組成物も本発明の目的である。これはアスコルビン酸およびその塩、グルコノデルタラクトン、ラクトビオン酸およびその塩、ラクトビオン酸デルタラクトンならびにそれらの混合物からなる酸生成物質のグループから選ぶことが好ましい。特に酸生成塩漬助剤成分がラクトビオン酸であることが好ましい。別の好ましい変型では酸生成塩漬助剤成分はラクトビオン酸デルタラクトンである。別の好ましい変型では酸生成塩漬助剤成分はアスコルビン酸またはその塩とラクトビオン酸またはその塩、代案としてまたは好ましくはラクトビオン酸デルタラクトンとの混合物である。
【0032】
別の構成においては、本発明に基づくキットまたは対応する塩漬用塩組成物はさらに少なくとも1つの、とりわけ別の抗酸化作用性塩漬助剤成分を含む。これは抗酸化作用を有する二次植物性物質、香辛料および香辛料エキスならびにそれらの混合物からなる抗酸化剤グループから選び出すことが好ましい。一変型では、抗酸化作用性塩漬助剤成分はキットの上記で特徴づけた酸生成塩漬助剤成分からなる。別の好ましい変型では、抗酸化作用性塩漬助剤成分はキットの上記で特徴づけた糖質成分からなり、この糖質成分はとりわけ酸生成塩漬助剤成分でもある。
【0033】
キットまたは対応する塩漬用塩組成物中の酸生成塩漬助剤成分は、それぞれ塩漬される食品1kg当たり0.1〜9g、とりわけ0.1〜5g、特に好ましくは0.1〜1.5g(塩漬助剤成分の乾物重量に基づいて)の割合で、ラクトビオン酸および/またはラクトビオン酸塩の場合ならびにラクトビオン酸デルタラクトンの場合はとりわけ0.1〜3g、特に好ましくは0.1〜1.5g(乾物重量に基づいて)の割合で含まれていることが好ましい。
【0034】
発明の別の観点は、周知の糖質成分、特にグルコースと上記で詳しく定義した新規な酸生成塩漬補剤成分、特にラクトビオン酸および/またはラクトビオン酸塩および/またはラクトビオン酸デルタラクトンおよび/またはそれらの混合物との組合せを提供する塩漬系を取り上げる。この観点に関連して発明者は意外なことに、この新規な酸生成塩漬助剤成分が周知の塩漬助剤、例えば糖質、特にグルコースの効果、ならびにとりわけ周知の抗酸化作用性塩漬助剤、とりわけアスコルビン酸またはアスコルビン酸塩の効果を促進し、相乗的に改善することを発見した。そこで本発明は糖質成分として少なくともグルコース、場合によってはさらに抗酸化作用性成分としてアスコルビン酸および/またはアスコルビン酸塩ならびにラクトビオン酸、ラクトビオン酸塩、ラクトビオン酸デルタラクトンおよびそれらの混合物から選ばれた本発明に基づく新規な酸生成塩漬助剤成分を含み、またはとりわけそれらからなる食品塩漬用のキットまたは塩漬助剤組成物も取り上げる。
【0035】
そこで本発明に基づく酸生成塩漬助剤成分として、アスコルビン酸および/またはアスコルビン酸塩ならびにラクトビオン酸および/またはラクトビオン酸塩が、それぞれ塩漬される食品1kg当たり0.1〜3g、特に好ましくは0.1〜1.5g(乾物重量に基づいて)の割合でキットまたは対応する塩漬用塩組成物に含まれる。
【0036】
また特に上記で特徴づけた本発明に基づくキットまたは対応する塩漬用塩組成物を使用して行われる塩漬食品の製造方法も本発明の目的である。そのためにとりわけ第一の段階で、塩漬される食品が亜硝酸塩漬用塩組成物と接触させられる。亜硝酸塩を、塩漬される食品1kgにつき最大150mg、とりわけ最大100mg、特に好ましくは最大50mg、さらに好ましくは常に50mg未満の割合で食品に添加することが好ましい。好ましくは続いて、あるいは好ましくは同時に行われる、好ましくは第二の段階で、食品が本発明に基づく糖質成分と接触させられる。こうして塩漬食品製品が得られる。
【0037】
その場合本発明に基づく糖質成分は糖質成分の乾物重量に基づいてそれぞれ塩漬される食品1kg当たり0.3〜15g、とりわけ0.5〜9g、特に好ましくは1〜5gの割合で食品に添加することが好ましい。
【0038】
本方法の特殊な実施態様においては、食品のpH値を引き下げ、塩漬過程に良い影響を及ぼすために、食品が好ましくは続いて、あるいは好ましくはおおむね同時に、少なくとも1つのとりわけ補助的な酸生成塩漬助剤成分と接触させられる。
【0039】
本方法の別の、またはそれに代わる実施態様においては、好ましくは続いて、あるいは好ましくはおおむね同時に行われる別の段階で、食品が好ましくは補助的な抗酸化作用性塩漬助剤成分と接触させられる。抗酸化作用性塩漬助剤成分は還元作用があり、塩漬過程を促進する。
【0040】
好ましい変法では、製造の際に食品にその他の糖質成分、特にグルコース、フルクトース、スクロースを添加しない。別の変法では、食品にその他の酸生成および/または抗酸化作用性塩漬助剤を添加しない。本発明に基づく糖質成分は塩漬の際にまたは塩漬の目的で食品に添加される唯一の塩漬助剤であることが好ましい。
【0041】
上記で特徴づけた成分と接触した食品は、とりわけ直接続いて行われる別の段階で、貯蔵することにより周知のように成熟させられ(熟成)、こうして塩漬食品が得られる。熟成期間は少なくとも24時間、好ましくは少なくとも72時間、代案として好ましくは少なくとも120時間である。
【0042】
本発明によれば、食品は肉および魚含有組成物、例えばソーセージ製品等ならびに魚および魚含有組成物ならびに鮮魚調理品等から選ばれることが好ましい。また上記の本発明方法を行って製造される塩漬食品製品、特に塩漬肉または魚製品、特に好ましくは塩漬肉またはソーセージ製品も本発明の目的である。
【0043】
本発明によれば、上記で特徴づけたスクロース異性体組成物が塩漬助剤として、塩漬食品製品中の残留亜硝酸塩分の減少のために使用される。
【0044】
別の構成では、上記で特徴づけたスクロース異性体組成物が塩漬助剤として亜硝酸塩漬用塩の紅色発色効果の改善のために使用される。別の実施態様では、上記で特徴づけたスクロース異性体組成物が糖質成分として、同時に抗酸化作用性塩漬助剤として、その他の抗酸化作用性塩漬助剤、例えばアスコルビン酸およびアスコルビン酸塩の割合を減少するため、または塩漬食品製品中のこのようなその他の抗酸化作用性塩漬助剤を回避するために使用される。
【0045】
別の実施態様では、スクロース異性体組成物が糖質成分として、同時に酸生成塩漬助剤として、塩漬効果の促進のため、および/または塩漬食品製品中のその他の酸生成塩漬助剤の減少または回避のために使用される。
【0046】
下記の実施例により本発明を詳しく特徴づけ、主張される利点を列挙する。但しこれが発明の目的を制限するものと解すべきではない。
【実施例】
【0047】
実施例:本発明に基づき塩漬された生ソーセージの残留亜硝酸塩含量および紅色発色品質の試験
本発明に基づく糖質成分および本発明に基づく塩漬助剤成分の効果を研究するために、生ソーセージ試料を周知のように作成する。特に牛肉および豚肉ならびに豚脂身を種々異なる割合で使用する。
【0048】
第一段階では、挽き肉を得るために、約1キログラムの分量の低脂肪肉と高脂肪材料(脂身)を4℃以下の温度で、とりわけ僅かに冷凍した状態で、2mmブレードを使用して肉挽き機により周知のように細かく切り刻む。
【0049】
約2℃に冷却した挽き肉それぞれ200gをミキサー(GrindomixTM GM-200(Retsch社))に移し、塩漬用塩成分および塩漬助剤:糖質成分、その他の任意の酸生成および/または抗酸化作用性塩漬助剤成分と混和する。生地をまず6000rpmで約1分、次に3500rpmで約2分よく混合すると、均質な挽き肉混合物が生じる。続いて混合物をさらに約3分混練し、続いて試料容器、羊皮紙ケーシング(Huelle aus Pergament)に包装し、標準条件下で室温(18〜22℃)で約1日(17〜24時間)から合計5日(120時間)貯蔵する(熟成)。
【0050】
残留亜硝酸塩含量と紅色発色度を判定するために、一定の部分間隔で試料を採取する。
【0051】
残留亜硝酸塩含量の決定のために、BVL L07.00-12(食品添加物の検出のための技術的規則;ドイツLMBG 35条による法定収集;肉製品の亜硝酸塩および硝酸塩含量の決定)により周知のように処置する。詳しくはちょうど10.0gの試料をエルレンマイアーフラスコに計り取り、沸騰水浴(100℃)中で100mlの熱湯により30分攪拌しながら加熱する。
【0052】
冷却の後にそれぞれ2mlのガレー(Garrez)溶液IおよびII(ガレー溶液I:ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム;ガレー溶液II:硫酸亜鉛・7H2O水溶液、300g/リットル)の添加によってタンパク質沈殿が開始される。そのために試料を30分間振とうし、続いて透明な上清が形成されるまで室温で静置する。タンパク質分を分離するために、溶液を200mlメスフラスコに移し、200mlの水を注ぎ足し、再び混合し、続いて濾過する。
【0053】
硝酸塩の検出のために、得た濾液をスルファニルアミドおよび二塩化N-(1-ナフチル)−エチレンジアンモニウム溶液(1:1)からなる試薬と混和し、その際複合色が形成される。室温で約30分静置した後、540nmで溶液の吸光を確かめ、標準溶液と比較する。亜硝酸塩(NaNO2として表示)の濃度は測定値と標準溶液の基準値との比から決定される。
【0054】
紅色発色度の決定のために、CIEによる色測定(赤色値‐a*)を周知のように行う。CM-2002型分光光度計(ミノルタカメラ社、日本)により光種:DE65/10°でソーセージの色を測定する。
【0055】
結果の表示のために残留亜硝酸塩含量をmg/kg試料で示す。紅色発色をa*赤色値(無次元値)として示す。下記の表に、亜硝酸塩、糖質成分、塩漬助剤成分の割合を示す個々の試料組成を挙げた。
【0056】
下記の実施例では「イソマルツロースシロップ」として下記の成分を含む組成物を使用する。
イソマルツロース: 82.5%
トレハルロース: 9.5%
フルクトース: 2.5%
グルコース: 2.0%
スクロース: 1.0%
イソマルトース: 1.5%
オリゴマー: 1.0%
それぞれ重量%、乾物重量で計算
【0057】
「トレハルロースシロップ」の名称で下記の組成物が使用される。
トレハルロース: 80.5%
イソマルツロース: 17.1%
フルクトース: 0.4%
グルコース: 0.4%
スクロース: 0.6%
イソマルトース: 0.2%
イソメレチトースおよびオリゴマー: 1.0%
それぞれ重量%、乾物重量で計算
【0058】
「シロップ‐グロスタンク(Grosstank)」の名称で下記の組成物が使用される。
イソマルツロース: 32±5%
トレハルロース: 28±5%
フルクトース、グルコースおよびスクロース:
32±5%
イソマルトースおよびオリゴマー: 最大10%
それぞれ重量%、乾物重量で計算
【0059】
「シロップ‐B60」の名称は、未緩衝の酸の存在に基づき4.5〜5.0のpH値を有する「シロップ‐グロスタンク」組成物を意味する。
【0060】
実施例1〜6
牛肉20%、低脂肪豚肉50%および脂身30%を含む生肉混合物を表1Aに示す塩漬成分により周知のように生ソーセージ挽き肉に加工した。(実施例1は亜硝酸塩漬用塩や塩漬助剤を加えない純生肉混合物である。実施例1では残留亜硝酸塩含量も紅色発色の赤色値も決定することができなかった。本例の結果は下記の表に示さない。)実施例2(Bsp.2)は周知の塩漬組成物による比較実験である。
【0061】
表1Bおよび1Cはそれぞれ24または74時間の熟成時間の後に決定された残留亜硝酸塩含量および紅色発色度を示す。
【表1】

【0062】
実施例7〜13
牛肉40%、低脂肪豚肉40%および脂身20%から生肉混合物を作成した。表2Aにそれぞれ挙げた塩漬剤を使用して、この混合物から生ソーセージ挽き肉を作成した。
【0063】
表2Bはそれぞれ24および120時間の熟成時間の後の残留亜硝酸塩含量および紅色発色度を示す。
【表2】

【0064】
実施例14〜21
牛肉45%、低脂肪豚肉35%および脂身20%から生肉混合物を作成し、それぞれ表3Aに示した塩漬剤により生ソーセージ挽き肉に加工した。
【0065】
表3Bは17および72時間の熟成の後の紅色発色度および残留亜硝酸塩含量を示す。
【表3】

【0066】
実施例22〜27
牛肉50%、低脂肪豚肉30%および脂身20%から生肉混合物を作成し、それぞれ表4に示した塩漬剤により生ソーセージ挽き肉に加工した。
【0067】
表4Bは17および72時間の熟成時間の後の紅色発色度と残留亜硝酸塩含量を示す。
【表4】

【0068】
実施例28〜32
牛肉50%、低脂肪豚肉30%および脂身20%から生肉混合物を作成し、表5Aに示す塩漬剤によりそれぞれ生ソーセージ挽き肉に加工した。
【0069】
表5Bは17および72時間の熟成時間の後の紅色発色度および残留亜硝酸塩含量を示す。
【表5】

【0070】
実施例32〜42
牛肉40%、低脂肪豚肉40%および脂身20%から生肉混合物を作成し、それぞれ表6Aに示す塩漬剤により生ソーセージ挽き肉に加工した。
【0071】
表6Bはそれぞれ24および72時間の熟成時間の後の紅色発色度および残留亜硝酸塩含量を示す。
【表6】

【0072】
本発明に基づくスクロース異性体組成物および純粋物質としてのスクロース異性体(結晶質イソマルツロースおよび冷凍乾燥したトレハルロース)は、基準物質グルコースと比較して、熟成時間に応じて著しく良好な紅色発色と少ない残留亜硝酸塩含量を可能にする。さらに糖質成分、亜硝酸塩漬用塩成分およびその他の塩漬助剤成分を減少しても、グルコースによる標準処方の場合より良好な塩漬成績が得られることが示される。本発明に基づく糖質成分が存在すれば、アスコルビン酸/アスコルビン酸塩の使用を減少し、場合によってはまったく中止することができる。例えば72または120時間の熟成時間の後の残留亜硝酸塩含量は、生物肉製品に対して法的に要求される50 ml/kg亜硝酸塩の限界値を著しく下回る。さらに本発明に基づく糖質成分と、とりわけ本発明に基づく新規な塩漬助剤、ラクトビオン酸、ラクトビオン酸デルタラクトンとの組合せが特に効果的であることが示される。また後者と周知の糖質成分、例えばグルコースとの組合せも改善された塩漬系を形成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−亜硝酸塩漬用塩成分(NPS)および
−スクロース異性体組成物である糖質成分
を含む食品塩漬用キット。
【請求項2】
亜硝酸塩漬用塩成分に0.1〜0.6重量%の割合の亜硝酸塩が含まれている請求項1に記載のキット。
【請求項3】
亜硝酸塩が塩漬される食品1kg当たり最大150mg以下の割合で含まれている請求項1または2に記載のキット。
【請求項4】
亜硝酸塩が塩漬される食品1kg当たり最大50mg以下の割合で含まれている請求項3に記載のキット。
【請求項5】
糖質成分が塩漬される食品1kg当たり0.5〜9g(乾物重量に基づく)の割合で含まれている請求項1〜4のいずれか1項に記載のキット。
【請求項6】
糖質成分が、大部分がスクロース異性体であるイソマルツロースおよびトレハルロースからなる組成物である請求項1〜5のいずれか1項に記載のキット。
【請求項7】
糖質成分がトレハルロース70〜85重量%、イソマルツロース10〜25重量%および残糖分0〜3重量%(乾物重量に基づく)を含むトレハルロースシロップ組成物である請求項1〜6のいずれか1項に記載のキット。
【請求項8】
糖質成分がイソマルツロース70〜90重量%、トレハルロース5〜15重量%および残糖分0〜3重量%(乾物重量に基づく)を含むイソマルツロースシロップ組成物である請求項1〜7のいずれか1項に記載のキット。
【請求項9】
その他の成分
−アスコルビン酸およびその塩、グルコノデルタラクトン、ラクトビオン酸およびその塩、ラクトビオン酸デルタラクトンならびにそれらの混合物から選ばれた酸生成塩漬助剤成分
を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載のキット。
【請求項10】
酸生成塩漬助剤成分が塩漬される食品1kg当り0.1〜9g(乾物重量に基づく)の割合で含まれている請求項9に記載のキット。
【請求項11】
酸生成塩漬助剤成分としてラクトビオン酸および/またはラクトビオン酸塩が塩漬される食品1kg当り0.1〜1.5g(乾物重量に基づく)の割合で含まれている請求項9に記載のキット。
【請求項12】
酸生成塩漬助剤成分としてラクトビオン酸および/またはラクトビオン酸塩ならびにアスコルビン酸および/またはアスコルビン酸塩がそれぞれ塩漬される食品1kg当たり0.1〜1.5g(乾物重量に基づく)の割合で含まれている請求項9に記載のキット。
【請求項13】
キットの糖質成分が酸生成塩漬助剤成分でもあり、糖質成分/酸生成成分がpH値4〜5の未緩衝の酸を含むスクロース異性体組成物である請求項9に記載のキット。
【請求項14】
その他の成分
−抗酸化作用性塩漬助剤成分
を含む請求項1〜13のいずれか1項に記載のキット。
【請求項15】
抗酸化作用性塩漬助剤成分が二次植物性物質、香辛料および香辛料エキスならびにそれらの混合物からなる抗酸化剤グループから選ばれる請求項14に記載のキット。
【請求項16】
キットの酸生成塩漬助剤成分が抗酸化作用性塩漬助剤成分でもある請求項14または15に記載のキット。
【請求項17】
キットの糖質成分が抗酸化作用性塩漬助剤成分でもある請求項14または15に記載のキット。
【請求項18】
キットの糖質成分が酸生成塩漬助剤成分であるとともに抗酸化作用性塩漬助剤成分でもある請求項14または15に記載のキット。
【請求項19】
その他の糖質、例えばグルコース、フルクトースおよびスクロースを含まない請求項1〜18のいずれか1項に記載のキット。
【請求項20】
下記の段階、即ち
−塩漬される食品と亜硝酸塩漬用塩成分(NPS)を接触させ、
−食品と請求項1〜19で特徴づけられた糖質成分である糖質成分とを接触させる
ことを含む塩漬食品の製造方法。
【請求項21】
その他の段階
−食品と酸生成塩漬助剤成分とを接触させる
ことを含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
その他の段階
−食品と抗酸化作用性塩漬助剤成分とを接触させる
ことを含む請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
その他の段階
−塩漬食品が得られるように食品を熟成させる
ことを含む請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
製造の際に塩漬食品にその他の糖質成分、例えばグルコース、フルクトースおよびスクロースを添加しない請求項20〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
食品が肉および肉含有組成物、例えばソーセージ製品、ならびに魚および魚含有組成物から選ばれる請求項20〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
請求項20〜25のいずれか1項により製造される塩漬食品。
【請求項27】
塩漬食品製品中の残留亜硝酸塩含量を減少させるための塩漬助剤としての、請求項1〜19のいずれか1項で特徴づけられたスクロース異性体組成物の使用。
【請求項28】
亜硝酸塩漬用塩の紅色発色効果を改善するための塩漬助剤としての、請求項1〜19のいずれか1項で特徴づけられたスクロース異性体組成物の使用。
【請求項29】
塩漬食品製品中のその他の抗酸化作用性塩漬助剤、例えばアスコルビン酸およびアスコルビン酸塩の割合を減少させるまたは排除するための糖質成分および抗酸化作用性塩漬助剤としての、請求項1〜19のいずれか1項で特徴づけられたスクロース異性体組成物の使用。

【公表番号】特表2013−515461(P2013−515461A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545124(P2012−545124)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007341
【国際公開番号】WO2011/076333
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(500175772)ズートツッカー アクチェンゲゼルシャフト マンハイム/オクセンフルト (47)
【Fターム(参考)】