説明

改善された色を有する粉立ちの少ない添加剤及び顔料ブレンド

顔料と特定のポリマー安定剤とを、安定剤が液化状態にある条件下で混合させることにより形成される、固体の粉立ちの少ない顔料組成物。前記顔料組成物は取扱いが容易であり、かつ、ポリマー基材中に配合された際に高いカラーイールドを示す。達成される発色は、多くの場合、慣用のキャリヤーを含有する顔料組成物を用いては容易に達成することができない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体の粉立ちの少ない顔料組成物の製造法、固体の粉立ちの少ない顔料組成物、及び、前記顔料組成物を含有する顔料添加されたポリマー組成物に関する。
【0002】
良好な分散性と優れた色の濃さとを示す粉立ちの少ない顔料組成物は、1以上の、溶融された、液化された、又は展性のポリマー安定剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤等と、1以上の顔料とを混合し、冷却後に、主に、即ち少なくとも70質量%の顔料と安定剤とを含有する固体の組成物が生じることによって製造され、その際、顔料は、今や固化している安定剤に付着しており、かつ安定剤と直接接触している。安定剤が、顔料組成物中の湿潤剤として取って代わり、かつ作用し、更に、ポリマー系への組成物の配合における安定化に寄与する。多くの場合、そのように製造された粉立ちの少ない組成物は、ポリマーに配合された際に、1以上の顔料と1以上の安定剤との同じ組み合わせ物がここで提供される顔料/安定剤組成物の形成なしにポリマー調製物に添加された場合に比べて、より顕著な色の濃さをもたらす。
【0003】
粉立ちの少ない顔料組成物の製造法は、顔料及び安定剤少なくとも70質量%を含有する混合物の押出、外部加熱をわずかに伴うか又は伴わない安定剤と顔料との高剪断混合(その際、高剪断での混合により生じる熱は、安定剤成分の液化に十分である)及び、付加的に適用される加熱を用いた低剪断での混合を含む。
【0004】
一般的な添加剤のうちポリマー組成物中に認められるものは、着色剤、例えば顔料、及び安定剤、例えば酸化防止剤及び光安定剤である。工業的なポリマー材料の多くは、加工のみならず長期間の老化のためにも安定剤を必要とし、一方で顔料は当然のことながら任意の色の全範囲を良好な耐久性をもって提供する。
【0005】
良好な色特性を取得し、かつ、ポリマーの加工上の問題を回避するために、顔料はしばしば、ポリマー系への配合前に何らかの方法で処理又は加工される。そのような顔料の前処理によって、例えば、より良好な取扱い特性、例えば、より容易な顔料流動性、又は、低減された顔料の粉立ちがもたされ、かつ/又は、加工の間の顔料の集塊化が阻止され、ポリマー中の顔料のより良好な分散液がもたらされ、その結果高いカラーイールドが生じ得る。
【0006】
例えば、US特許第7,033,429号;第7,029,818号;第6,596,073号;第6,369,131号及び第4,055,439号(ここで、これら全てを参照によりその全体を取り入れるものとする)には、有機及び無機顔料の、取扱いが容易な粉立ちの少ない顔料調製物の製造法が開示されている。そのような調製物中でしばしば使用される材料には、界面活性剤、湿潤剤、ワックス、ポリマー樹脂等が含まれる。
【0007】
しかしながら、顔料調製物の成分と、ポリマー系中に認められる他の添加剤との相互作用に留意しなければならない。この相互作用の中には、加工に対してのみならず生じる色に対しても不利な影響を及ぼすものがある。
【0008】
上記の添加剤、即ち、界面活性剤、湿潤剤、ワックス、ポリマー樹脂等の必要性を、本発明の粉立ちの少ない顔料組成物によって低減もしくは排除し得ることが判明した。この取扱いが容易な高いカラーイールドの組成物は、顔料と特定のポリマー安定剤とを、安定剤が液化状態又は展性状態にある条件下に混合することにより、直接的な様式で容易に形成される。達成される発色は、多くの場合、慣用のキャリヤーによっては容易に達成することができない。
【0009】
それに応じて、以下:
a)1以上の有機及び/又は無機顔料、
b)1級酸化防止剤、2級酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤から選択された1以上のポリマー安定剤及び前記ポリマー安定剤のブレンド、その際、選択された安定剤又は安定剤のブレンドは200℃以下、有利に170℃以下、さらに有利に150℃以下の融点を有するものとする;
その際、a)及びb)の量は70〜100質量%であり、かつ質量比は約19:1〜約1:19であり、かつ、
c)顔料組成物の全質量に対して0〜30質量%、しばしば20質量%未満、有利に0〜10質量%、例えば0〜5質量%の、a)及びb)とは異なる1以上の成分
を含有し、
その際、顔料は安定剤に付着しており、かつ安定剤と直接接触している、固体の粉立ちの少ない顔料組成物の製造法において、
前記方法が、1以上の有機及び/又は無機顔料a)及び1以上のポリマー安定剤又は安定剤ブレンドb)を、a)対b)の比約19:1〜約1:19で、かつ、場合により、成分c)30質量%までを合一して混合物を形成させ、前記の混合物を、安定剤成分が液化状態又は展性状態にある条件下に、場合により他の不活性の分離可能な材料の存在下に混合し、次いで、前記の組成物を冷却して固体を形成させることを含む方法が提供される。
【0010】
典型的には、液化されたか又は展性の安定剤及び顔料a)及び成分c)を混合する間に存在する材料の少なくとも70質量%が、顔料成分a)及び安定剤成分b)の合一された質量からなる。一実施態様において、混合の間に存在する材料は、成分a)、b)及びc)であり;当然のことながら、c)の量が0質量%である場合には、前記実施態様において、成分a)及びb)のみが存在している。
【0011】
「他の不活性の分離可能な材料」とは、最終的な顔料組成物には配合されず、かつ、顔料組成物の製造方法に何ら影響を与えないか、わずかに影響を与えるに過ぎない材料を意味する。前記材料には、例えば、本発明による顔料を方法に添加する場合に顔料プレスケーキ中に存在し得る水、特定の加工助剤、又は、所望の場合に後の段階で組成物から容易に分離される他の材料が含まれる。
【0012】
ここに記載される粉立ちの少ない顔料組成物は、顔料成分a)及び安定剤成分b)の組み合わせが、顔料組成物の全質量に対して少なくとも約70質量%の固体、有利に90質量%の固体、しばしば少なくとも95質量%の固体、例えば少なくとも98〜100質量%の固体を構成し、その際、顔料は安定剤に付着しており、かつ安定剤と直接接触している方法から得られた固体に関することに留意されねばならない。存在してよい成分c)の量は、前記固体に組み込まれた部分として配合されている。従って、固体の顔料組成物を製造するための混合プロセスの間に存在してよい他の不活性の分離可能な材料は、通常の方法、例えば洗浄、濾過、乾燥等により分離可能であるように選択されるが、但し、このような分離は、後続の加工工程又は顔料組成物の最終的な使用によっては不要である。
【0013】
典型的に、このような不活性の分離可能な材料は顔料組成物から分離され、かつ、本発明の多数の実施態様において、そのような材料は、液化されたか又は展性の安定剤と顔料との混合の間には存在しない。
【0014】
「他の不活性の分離可能な材料」は、成分c)の「a)及びb)とは異なる成分」とは区別され、その際、c)の成分は固体の顔料組成物に組み込まれた部分となる。この成分c)の要素は、典型的に顔料又はポリマー調製物中に認められる材料であり、かつ、以下に詳細に論じる。本発明の一実施態様において、成分c)は0質量%であり、即ち、顔料組成物は、顔料成分a)及び安定剤成分b)のみを含有するが;他の実施態様において、成分c)は、顔料組成物の全質量に対して30質量%未満、有利に10質量%未満、例えば5質量%未満、例えば2質量%未満、例えば1質量%である。
【0015】
ここで、「液化された」又は「液化」なる用語は、安定剤成分b)の少なくとも1の成分が溶融状態であって、安定剤のブレンドを使用することが可能であり、その際、1の安定剤が溶融しており、かつ、残りの溶融していない安定剤成分を溶解させることを表すために用いられている。特別な場合において、安定剤は、押出プロセスの激しい混合条件下に混合され、その結果、安定剤は顔料に直接付着し、かつ、液化と等価であると見なされる。
【0016】
ここで、「展性」なる用語は、安定剤成分b)の少なくとも1の成分が、本発明の混合条件下に変形可能であるか又は軟化されており、完全な溶融状態ではなく、即ち、安定剤が十分に柔軟であって成形可能であり、かつ、顔料に直接し、かつ付着することを表すために用いられている。
【0017】
成分a)、b)及びc)及び場合による不活性の分離可能な材料は、安定剤成分b)が液化状態又は展性状態にある条件下に混合される。これにより、安定剤が完全にか又は部分的に顔料を包囲することができ、かつ、顔料と直接接触することができる。存在してよい副次的な成分c)も、液化されたか又は展性の安定剤により配合され、かつ、冷却により固体の組成物の一部となる。このようにして形成された本発明による顔料組成物は、その後更に、任意のタイプの固体形、例えば好適にサイズ調整された粒子へと加工されることができる。
【0018】
顔料を、ポリマー調製物への配合前に安定剤とルーズにブレンドすることができることは公知であるが、別個の成分のそのようなルーズな混合物は本発明の顔料組成物ではない。本発明において、顔料、安定剤及び成分c)は全て、安定剤及び場合により成分c)により一部又は有利に全体を被覆されかつここに記載された条件下に形成された顔料を含む単一の固体に組み込まれた一部である。該顔料組成物は、上記のような単一ブレンドの多数の利点を有し、特に、該組成物は粉立ちの少ない材料であり、かつ、個々の成分を単に混合し、かつポリマーに添加した場合に得られるものよりも、より良好な色を提供することができる。
【0019】
一実施態様において、該方法は、成分a)、b)及びc)及び場合による不活性の分離可能な材料を押出機中で混合することを含む。この混合は、成分a)及びb)を主に、即ち少なくとも70質量%含有する混合物を、室温(20−23℃)〜約200℃の温度で押出することにより行われる。例えば、該混合物は、約50℃〜約200℃の温度で、例えば約120℃〜約180℃の温度で、又は150℃〜約180℃の温度で運転されている短バレル単軸スクリュー押出機中で押出される。そのようなプロセスにおいて、安定剤成分は典型的には溶融されているが、しかしながら場合により、十分な溶融なしに、安定剤が軟化しかつ顔料を取り込む条件下で、顔料が安定剤に直接付着している粉立ちの少ない顔料組成物を得た場合に、良好な結果が得られる。前記条件下でのそのような安定剤の軟化は、上記で言及された特別な液化を構成する。
【0020】
他の実施態様において、該方法は、成分a)、b)及びc)及び場合による不活性の分離可能な材料を、混合により生じた熱以外に熱を適用することなしに、成分b)の安定剤が液化状態又は展性状態にある条件下に、ヘンシェルミキサー中で混合し、顔料及び安定剤及び場合による成分c)のフラックスを作製することを含む。前記の通常の高剪断融解条件下で、混合のみにより系に施与されたエネルギー又は熱は、典型的に、安定剤成分の液化又は展性状態をもたらすのに十分である。
【0021】
他の実施態様において、該方法は、成分a)、b)、c)及び場合による不活性の分離可能な材料を、40℃までの付加的な加熱を適用して、成分b)の安定剤が液化状態又は展性状態にある条件下に、ヘンシェルミキサー中で混合し、顔料及び安定剤及び場合による成分c)のフラックスを作製することを含む。有利に、温度範囲は、室温〜40℃、更に有利に25〜30℃である。通常、前記条件は、ほぼ外部加熱なしの高剪断融解条件である。
【0022】
他の実施態様において、該方法は、成分a)、b)、c)及び場合による不活性の分離可能な材料を、200℃までの付加的な加熱を適用して、成分b)の安定剤が液化状態又は展性状態にある条件下に、Zブレードミキサー中で混合することを含む。混合は、通常の低剪断条件下に、例えばジェケットを備えたZブレードミキサーを用いて行われ、その際、安定剤成分を液化させるか又は展性にするために、約40℃〜約200℃、例えば150℃まで、例えば約120℃までの付加的な加熱が適用される。
【0023】
成分a)、b)及び他の成分c)及び場合による不活性の分離可能な材料を混合し、顔料組成物を形成させた後、この組成物を冷却するか、又は、例えば外部の水又は氷浴、外部循環水又は他の手段により活発に冷却することができる。組成物の冷却は、成分b)の少なくとも1の融点又は軟化点を0℃〜約5℃下回る温度、有利に10〜20℃を適用することを意味する。場合による不活性の分離可能な材料が存在する場合には、該材料をこの段階か又は後の段階で、標準的な手段により分離することができる。
【0024】
特別な一実施態様において、上記の混合方法のいずれかにより形成された顔料組成物は、その後、例えばヘンシェルミキサー中での高剪断混合か、又は、例えば外部冷却を用いたその他の撹拌下におかれ、典型的には0.01〜100ミクロン(μm)の所望の粒度の粒子が製造される。
【0025】
従って、本発明の方法は、ここに上記された方法により得られた、以下:
a)1以上の有機及び/又は無機顔料、
b)1級酸化防止剤、2級酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤から選択された1以上のポリマー安定剤及び前記ポリマー安定剤のブレンド、その際、選択された安定剤又は安定剤のブレンドは200℃以下の融点を有するものとする;
その際、a)及びb)の量は70〜100質量%であり、かつa)対b)の質量比は約19:1〜約1:19であり、かつ、
c)顔料組成物の全質量に対して0〜30質量%、有利に0〜10質量%の、a)及びb)とは異なる1以上の成分
を含有し、
その際、顔料は安定剤に付着しており、かつ安定剤と直接接触している、固体の粉立ちの少ない顔料組成物を提供し、該顔料組成物は、ここで単に「顔料組成物」又は「顔料調製物」とも呼称される。
【0026】
多くの場合に、顔料組成物は、顔料及び安定剤の混合物を、顔料組成物の全質量に対して、少なくとも80質量%、90質量%、95質量%、98質量%、99質量%又はさらには100質量%含有する。
【0027】
顔料組成物中には他の成分c)が存在してよいが、本発明の顔料又は安定剤でない成分の全量は、顔料組成物の全質量に対して30質量%未満の量で存在する。多くの場合に、顔料組成物は、前記の他の成分を、顔料組成物の全質量に対して、約20質量%未満、典型的には約10質量%未満、例えば約5質量%、2質量%又は1質量%未満含有するか、又は、0質量%であってもよい。
【0028】
c)の成分が存在する場合、該成分は、他の安定剤、加工助剤、他の着色剤、例えば染料、蛍光増白剤、フィラー、界面活性剤、ポリマー樹脂、可塑剤、及び、工業的に使用されているかもしくは刊行物に記載されている他の成分を含む、顔料又はポリマー調製物中に典型的に認められる成分である。一実施態様において、ポリマー樹脂は不在であり、他の実施態様において、ワックスが不在である。本発明の特別な一実施態様において、該顔料組成物は、キャリヤーワックス又はポリマー樹脂を含有しない。
【0029】
他の特別な実施態様において、顔料組成物は、完全にか又はほぼ完全に、顔料と安定剤成分との混合物からなり、該組成物は、前記成分のみか、又は、前記成分に少量の、10質量%未満、例えば5質量%未満、例えば0質量%〜2質量%の成分c)を加えたものを混合することにより得られる。少量のワックスが存在してもよいが、本発明の利点の一つは、ワックスが多くの場合にもはや必要なく、かつ回避され得ることである。
【0030】
顔料と安定剤との質量比は、使用される特定の顔料及び安定剤と、顔料組成物の所望の特性とに応じて変動する。例えば、顔料と安定剤との比は、19:1、10:1、9:1、7:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、前記比の逆、例えば、1:2、1:3、・・・1:19、又はその間の任意の比(整数の代わりに分数を含む)、例えば2.5:1及び7.5:1等であってよい。
【0031】
1以上の顔料又は安定剤を使用することができる。成分a)の1以上の顔料は、1以上の有機顔料、1以上の無機顔料又は有機及び無機顔料の混合物であってよい。有利に、顔料成分a)は、少なくとも1の有機顔料を含有する。
【0032】
ここで使用されている「1以上の」成分とは、1、2、3、4、5及び10までの成分、有利に1、2又は3の成分を意味する。単一物質は混合物であってよい。
【0033】
該方法において使用される顔料は、任意の形、例えば、粗顔料、加工顔料、フィルターケーク等の形で、かつ任意の粒度、例えば約10nm〜100ミクロン、又はそれより大きい粒度、例えば約10nm〜約100ミクロン、又は約0.01ミクロン〜約50ミクロン、又は約0.1ミクロン〜約50ミクロン、又は約0.1ミクロン〜約20ミクロン、又は約0.01ミクロン〜約5ミクロン、又は約1ミクロン〜約100ミクロンであってよい。
【0034】
本発明による方法に好適な顔料は、例えば、Colour Index, 第3版(No. 85への増補を含む第3改訂版、1987)において"pigments"に記載されたものである。
【0035】
好適な有機顔料の例には、アゾ顔料、例えばモノアゾ、ジアゾ、ナフトール、及び金属錯体顔料、及び、多環式顔料、例えば、イソインドリノン及びイソインドリン顔料、チオインジゴ、チアジンインジゴ、キノフタロン、アントラキノン、ジオキサジン、フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、ベンゾイミダゾロン及びアゾメチン顔料、又は、上記顔料の混合物又は混晶が含まれる。例えば、顔料は、アゾ、ナフトール、イソインドリノン及びイソインドリン顔料、チオインジゴ、アントラキノン、フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール及びベンゾイミダゾロン顔料から選択されていてよい。
【0036】
一般的に使用されている無機又は有機顔料の概要の例は、K. Leissler and G. Rosch, Kunststoffe 1996, 86, 965、及び、Ullmann's Enzyklopaedie der technischen Chemie, 第4版, Headings: Pigments: Introduction; 第18巻, 第547頁以下参照、Organische Pigmente, 第18巻, 第661頁以下参照; Thieme Verlag Stuttgart, 1977に供覧されている。
【0037】
好適な無機顔料は、例えば、酸化物顔料、例えば、酸化鉄、二酸化チタン、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化マンガン鉄、二酸化ニッケル及びクロムチタン、ルチル混相顔料である。更なる無機顔料は、硫化亜鉛、ウルトラマリン、希土類の硫化物及びビスマスバナデートである。
【0038】
本発明の文脈において同様に顔料と解釈される好適な無機フィラーは、例えば、低い着色力を有する無機化合物、例えば、天然の酸化鉄、硫化亜鉛、酸化アルミニウム、重晶石、ケイ質土、ケイ酸塩(マイカ、クレー、タルク)、炭酸カルシウム及び硫酸カルシウムである。
【0039】
更に、使用の分野に応じて、無機顔料は有機的又は無機的に後処理されていてもよい。
【0040】
顔料は、当然のことながら複合材料であってよく、かつしばしば単一化合物以外のものを含有し、かつしばしば単なる発色性成分以外のものも含有する。例えば、工業的な顔料は、しばしば、助剤、例えば界面活性剤、樹脂及び他の材料と共に粉砕又は磨砕される。結果として、ある種の工業的な顔料は、非発色性材料、例えば樹脂等を含有する。かかる顔料を該方法において使用することができる。
【0041】
すぐに使用可能な顔料調製物は、最終的に製造された粉立ちの少ない顔料組成物が、上記の通りに、顔料組成物の全質量に対して、少なくとも70質量%、更に典型的には少なくとも90質量%の顔料及び安定剤を含有するという前提で、顔料としても、即ち、顔料の他に20〜90%、例えば40〜60%のキャリヤーを含有する調製物としても使用することができる。
【0042】
本発明の一実施態様は、本発明により製造されかつ使用される、圧密化の傾向を示す顔料の粉立ちの少ない組成物に関する。
【0043】
圧密化傾向を示す多くの顔料が公知であり、例えば:Pigment Orange 64、Pigment Yellow 95、Pigment Orange 71、Pigment Red 220及びPigment Red 272である。結果として、その完全な明度を発揮するために分散が困難であり得る。これを緩和するために、しばしば低融点ワックス、fPVC(軟質PVC)、フタラート等が、最終的な熱可塑性材料中への配合の前にキャリヤーとして使用される。しかしながら、前記の低分子量キャリヤーの配合によって、特別な適用において、製造又は現場での使用の間に、プラスチック製品の安定化に何ら利点をもたらすことなく、性能が損なわれ得る。このような顔料の適用には、圧力下でのガス又は水管が含まれる。
【0044】
本発明は、取扱いが容易であるばかりでなく、熱可塑性樹脂に配合された際に改善された発色をも示すコンパクト顔料の粉立ちの少ない組成物を提供する。本発明の顔料組成物を使用することにより、潜在的に性能を損なう多量の従来のキャリヤーが回避され、かつ、ポリマーの安定化にも作用するその代替的な化合物が導入される。
【0045】
本発明の顔料組成物における成分b)の安定剤は、ポリマーの安定化に有用な化合物、例えば、1級酸化防止剤、例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキシルアミン及びニトロン等、2級酸化防止剤、例えば、ホスフィット等、及び、光安定剤、例えば、ヒンダードアミン光安定剤及び紫外線(UV)吸収剤である。本発明において有用なポリマー安定剤の例は、例えば、US2007/0050927 A1、第6−11頁に供覧されており、ここで、ポリマー添加剤に対するその量を参照により取り入れるものとする。
【0046】
多くの場合、粉立ちの少ない顔料組成物の安定剤は、本発明の顔料組成物を配合することができるポリマー調製物の一成分であるが、しかしながら、本発明の安定剤及び顔料組成物を予め形成することは、ポリマー加工の間に前記成分を単に合一することにより得られたものよりも有利である。例えば、より良好な顔料の取扱い、より良好な色及び従来の顔料キャリヤーの排除は、全て本発明の実施態様により提供される。
【0047】
本発明の顔料組成物の安定剤は、200℃未満の融点を有するか、又は、1以上の安定剤のブレンドを使用する場合には、該ブレンドの安定剤の少なくとも1が200℃未満の融点を有するか;又は、安定剤は、200℃未満の融点を有する共晶を形成する1以上の安定剤の混合物である。典型的に、融点は170℃未満であり、しばしば、本発明の顔料組成物の選択された安定剤は約150℃以下の融点を有する。
【0048】
本発明の顔料組成物の安定剤は、十分に低い揮発性をも有するため、ポリマー加工の間に過度に揮発しない。例えば、安定剤は、200g/モル超、例えば220g/モル超、典型的には300g/モル超、例えば500g/モル以上の分子量を有する。例えば、本発明の顔料組成物の安定剤は、少なくとも220g/モル、典型的には340g/モル以上、しばしば500g/モル以上の分子量を有する。
【0049】
安定剤は、選択された安定剤が要求される融点及び分子量を有するという前提で、1級酸化防止剤、例えばヒンダードフェノール酸化防止剤、ヒドロキシルアミン酸化防止剤、ベンゾフラノン又はインドリノン;2級酸化防止剤、例えばホスフィット、ホスホナイト又はチオ相乗剤;1級及び2級酸化防止剤のブレンド;UV吸収剤;ヒンダードアミン光安定剤(ヒンダードイミノエーテル及びヒンダードヒドロキシルアミンを含む);例えばUS2007/0050927 A1に記載されているようなニトロン又はアミン酸化物及び上記安定剤の組み合わせ物であってよい。
【0050】
本発明の一実施態様において、粉立ちの少ない組成物の安定剤は、ポリマー系中で酸化防止剤として有用なフェノール、例えば、ヒンダードフェノール、即ち、十分に低い揮発性を有するためにポリマー加工において有用であるフェノール性ヒドロキシ基に隣接して置換されているフェノールである。他の実施態様において、安定剤はヒンダードフェノールとホスフィットとのブレンドである。ヒンダードフェノール及び/又はホスフィットを含有する他の組み合わせも構想される。
【0051】
本発明のフェノール以外は、電荷担体として一般的に使用されているEP−A−0258651に記載されているような化合物である。
【0052】
例えば、本発明のフェノールは、成分b)の安定剤について上で詳述したように200g/モルを上回る分子量を有し、かつ、フェノール性ヒドロキシ基に隣接して、1−12炭素のアルキル基、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、t−オクチル(1,1,3,3−テトラメチルブチル)等、例えば、メチル、t−ブチル、ネオペンチル、t−オクチル、例えばt−ブチルにより置換されている。
【0053】
顔料組成物中に200℃を上回る融点を有するヒンダードフェノールが含まれていることが望ましい場合には、200℃を上回って溶融する他の安定剤と組み合わせなければならず、それによって、安定剤のブレンドが200℃未満で溶融するか、又は、存在する少なくとも1の安定剤が200℃未満で溶融し、かつ、より融点の高いフェノールを液化する。
【0054】
ヒンダードフェノールは、例えばUS2007/0050927A1、第6−11頁に記載の酸化防止剤の以下のクラスから選択されてよい:
1.1. アルキル化モノフェノール、1.2. アルキルチオメチルフェノール、1.3. ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン、1.4. トコフェロール、1.6. アルキリデンビスフェノール、1.7. ベンジル化合物、1.8. ヒドロキシベンジル化マロナート、1.9. 芳香族ヒドロキシベンジル化合物、1.11. ベンジルホスホナート、1.12. アシルアミノフェノール、1.13. β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル、1.14. β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸のエステル、1.15. β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル、1.16. 3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸のエステル、及び、1.17. β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド。
【0055】
例えば、ヒンダードフェノール酸化防止剤は、アルキル化モノフェノール、アルキリデンビスフェノール、ヒドロキシベンジル化マロネート、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル、β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸のエステル、及び、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸のエステルから選択される。
【0056】
アルキル化モノフェノールには、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、側鎖が直鎖又は分枝鎖であるノニルフェノール、例えば、2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルウンデシ−1−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルヘプタデシ−1−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルトリデシ−1−イル)フェノール及びその混合物が含まれ;
アルキルチオメチルフェノールには、例えば、2,4−ジオクチルチオメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノールが含まれ;
ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノンには、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアラート、ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジパートが含まれ;
トコフェロールには、例えば、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール及びその混合物(ビタミンE)が含まれ;
アルキリデンビスフェノールには、例えば、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチラート]、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタラート、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタンが含まれ;
ベンジル化合物には、例えば、3,5,3’,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセタート、トリデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルメルカプトアセタート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、1,3,5−トリ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−メルカプト酢酸イソオクチルエステル、ビス−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオールテレフタラート、1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌラート、1,3,5−トリス−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌラート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸ジオクタデシルエステル及び3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸モノエチルエステル、カルシウム塩が含まれ;
ヒドロキシベンジル化マロナートには、例えば、ジオクタデシル−2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)−マロナート、ジ−オクタデシル−2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−マロナート、ジドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロナート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロナートが含まれ;
芳香族ヒドロキシベンジル化合物には、例えば、1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノールが含まれ;
ベンジルホスホナートには、例えば、ジメチル−2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホナート、ジエチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホナート、ジオクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホナート、ジオクタデシル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホナート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩が含まれ;
アシルアミノフェノールには、例えば、4−ヒドロキシラウリン酸アニリド、4−ヒドロキシステアリン酸アニリド、2,4−ビス−オクチルメルカプト−6−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−s−トリアジン及びオクチル−N−(3,5ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−カルバマートが含まれ;
β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステルには、例えば、一価又は多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステルが含まれ;
β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸のエステルには、例えば、一価又は多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステルが含まれ;
β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステルには、例えば、一価又は多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトールとのエステルが含まれ;
3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸のエステルには、例えば、一価又は多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトールとのエステルが含まれ;
β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミドには、例えば、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミド、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジド、N,N’−ビス[2−(3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]オキサミドが含まれる。
【0057】
本発明の一実施態様において、顔料組成物は、安定剤成分として、以下から選択された好適な分子量及び融点の1以上のヒンダードフェノールを含有する:
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、側鎖が直鎖又は分枝鎖であるノニルフェノール、例えば、2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルウンデシ−1−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルヘプタデシ−1−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルトリデシ−1−イル)フェノール及びその混合物;
2,4−ジオクチルチオメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール;
α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール及びその混合物(ビタミンE);
2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチラート]、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタラート、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン;
1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール;
β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸、又は3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリメチルヘキサンジオール、又はトリメチロールプロパンとのエステル。
【0058】
本発明の一実施態様において、顔料組成物は、安定剤成分b)として、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、一価又は多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリメチルヘキサンジオール、又はトリメチロールプロパンとのエステル;例えば、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸とオクタデカノール又はペンタエリトリトールとのエステルから選択された好適な分子量及び融点の1以上のヒンダードフェノールを含有する。
【0059】
本発明の一実施態様において、安定剤成分b)は、ホスフィットか、又は、ヒンダードフェノールとホスフィットとのブレンドを含有する。特別な一実施態様において、安定剤は、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステルとトリス−フェニルホスフィットとのブレンドを含有する。
【0060】
本発明の一実施態様において、安定剤成分b)は、ヒドロキシルアミン酸化防止剤、例えば、ジアルキルヒドロキシルアミン、ジベンジルヒドロキシルアミン等を含有する。
【0061】
本発明の一実施態様において、安定剤成分b)は、UV吸収剤、例えば、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、置換又は非置換の安息香酸のエステル、アクリラート又はマロナートを含有する。例えば、本発明の一実施態様において、安定剤成分は、4−オクチルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、オクチル3(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート、オクチル3−(5−クロロ−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−sec−ブチル−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−ドデシル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ジ(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(α,α−ジメチルベンジル)−5−tert−オクチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−{2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−[2−(ω−ヒドロキシ−オクタ(エチレンオキシ)カルボニル)エチル]フェニル}−2H−ベンゾトリアゾール、2−エチルヘキシルp−メトキシシンナマート、エチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリラート、2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリラート、4−メトキシ−2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシ−2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−ド−/トリ−デシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−ド−/トリ−デシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−5−α−クミルフェニル]−s−トリアジン、2,4,6−トリス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−s−トリアジンとオクチルα−ハロアセタートとの反応生成物、ジメチルp−メトキシベンジリデンマロナート、又はジ−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)−p−メトキシベンジリデンマロナートから選択された好適な分子量及び融点の1以上のUV吸収剤を含有する。
【0062】
例えば、UV吸収剤は、4−オクチルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−ドデシル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ジ(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール及び2−[2−ヒドロキシ−3−(α,α−ジメチルベンジル)−5−tert−オクチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールから選択されている。
【0063】
本発明の一実施態様において、安定剤成分b)は、立体障害アミン光安定剤、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体、例えば、N−H、N−アルキル及びN−アシル、NOH、NO−アルキル、NO置換アルキル誘導体を含有する。公知のヒンダードアミン光安定剤には、低分子化合物及びオリゴマー化合物及びポリマー化合物が含まれる。例えば、本発明の一実施態様において、安定剤成分は、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシナート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)スクシナート、1,1’−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバカート、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−C15−C17アルカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバカート、ビス(1−(ヒドロキシジメチルエチル)−2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバカート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との重縮合生成物から選択された好適な分子量及び融点の1以上のヒンダードアミン光安定剤を含有する。他の市販の多種のヒンダードアミン光安定剤も公知であり、かつ使用可能である。
【0064】
例えば、ヒンダードアミンは、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバカート、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−C15−C17アルカノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン及びビス(1−(ヒドロキシジメチルエチル)−2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバカートから選択されている。
【0065】
かかるフェノール、ホスフィット、UV吸収剤及びヒンダードアミン化合物は、十分に公知な工業品である。
【0066】
上記の通り、種々のタイプの安定剤のブレンド及び/又は安定剤クラスの種々の員のブレンド、例えば、ヒンダードアミン及びUV吸収剤、ヒンダードフェノール及びホスフィット、ヒドロキシルアミンとヒンダードアミン及びUV吸収剤等とを有効に使用することができる。
【0067】
ポリマー安定剤の多数の市販のブレンドは、他の薬剤、例えばステアリン酸カルシウム等をも含んでおり;多数のかかるブレンドも本発明において使用される。
【0068】
液化されたか又は展性の安定剤を顔料とブレンドする混合プロセスは、好適な装置又は容器、例えば押出機、例えば短バレル押出機、ミキサー、例えばヘンシェルミキサー、Zブレードミキサー等、又は当業界で慣用の他の装置中で行うことができる。
【0069】
例えば、1以上の有機顔料及び1以上の安定剤を、上記の比のうちの1つで、高速ミキサー、例えばヘンシェルミキサー中で、例えば約1000〜約4000rpm、又は、約1500rpm〜約3500rpm、又は、約2000〜約3500rpmの速度で、約1〜約30分間、例えば約5〜約20分間、例えば約7〜約15分間、外部加熱なしに融解させて、集塊物を作製する。その後、水を循環させてユニットを冷却し、その後、撹拌機を脈動させることによって集塊物を破砕して小さな顆粒にする。Podex Henschel mixer(型#2JSS)を使用することができる。
【0070】
例えば、1以上の有機顔料、1以上の無機顔料及び1以上のヒンダードフェノール酸化防止剤を上記の通りに融解させるが、例えば融解は、他の添加剤、即ち成分c)及び他の不活性の分離可能な材料10質量%未満の存在下に行われる。
【0071】
例えば、有機顔料、無機顔料、ヒンダードフェノール、ホスフィット及びヒンダードアミンを、150℃に加熱されたZブレードミキサー中で、ステアリン酸金属塩約1質量%及び炭酸カルシウム約2質量%の存在下に混合する。
【0072】
例えば、有機顔料、ヒンダードフェノール、ホスフィット及び少量のステアリン酸カルシウムを、150℃〜180℃で運転されている短バレル単軸スクリュー押出機中で混合する。
【0073】
上記の通り、一旦製造された顔料組成物を、種々の固体形へと更に加工することができる。例えば、本発明の粉立ちの少ない顔料組成物は、ほぼ任意の粒度、例えば約0.01ミクロン〜100ミクロン、又はそれより大きい粒度、例えば約1ミクロン〜約100ミクロン、又は約0.01ミクロン〜約50ミクロン、又は約0.1ミクロン〜約50ミクロン、又は約0.1ミクロン〜約20ミクロン、又は約0.01ミクロン〜約5ミクロン、又は約0.5ミクロン〜約5ミクロンで製造される。
【0074】
本発明の粉立ちの少ない顔料組成物は、取扱いが容易であり、かつ、優れた色の濃さを伴ってポリマー系中に容易に分散する。前記の粉立ちの少ない顔料組成物をポリマー系に配合することにより製造される、顔料添加されたポリマー組成物、及び、配合のための方法も提供される。
【0075】
かかるポリマー系には、プラスチック及びコーティングにおいて認められるものが含まれ、このポリマー系は他の添加剤を含むことができる。ここでしばしば用いられる有用な天然及び合成ポリマー及び添加剤の例は、US 2007/0050927A1、第4−11頁に記載されており、ここで、ポリマー及び添加剤に関する開示部分を参照により取り入れるものとする。
【0076】
ポリマー材料又はポリマー基材には、熱可塑性、熱硬化性、エラストマー、内部架橋された又は架橋されたポリマーが含まれる。
【0077】
本発明は、熱可塑性、熱硬化性、エラストマー、内部架橋された又は架橋されたポリマーと、上記の顔料組成物とを含有する、顔料添加されたポリマー組成物にも関する。
【0078】
熱可塑性、架橋された、又は内部架橋されたポリマーは、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリラート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボナート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアセタール又はハロゲン化ビニルポリマー、例えばPVCである。
【0079】
ポリマーは、例えば、フィルム、射出成形品、顆粒、押出加工物、繊維、シート、コーティング、フェルト又は織物の形であってよい。
【0080】
例えば、粉立ちの少ない顔料組成物は、プラスチックフィルム、射出成形品、顆粒、押出加工物、繊維又はシートへと配合される。
【0081】
本発明による粉立ちの少ない顔料組成物を用いたポリマー系の着色は、自体公知の方法により、例えば、練りロール機、混合装置、破砕装置、流し込み、カレンダー加工、圧縮成形、押出、コーティング、スピニング、ブラベンダー溶融加工、フィルム形成、射出成形、ブロー成形等を用いることにより行われる。
【0082】
本発明による粉立ちの少ない顔料組成物は、他の顔料調製物を用いた場合と類似の濃度でポリマーに添加されるが、しかしながら多くの場合には、本発明の顔料組成物の優れた色の濃さに基づき、実際に必要とされる顔料はより少量でよい。これにより、例えば、コストパフォーマンスがある一定の高さである顔料をより多く使用する場合に、経済的な利点がもたらされる。
【0083】
ポリマーに添加された際に、本発明により製造された粉立ちの少ない顔料組成物は、顔料及び安定剤を、該顔料組成物を形成するための融解なしにポリマーに添加する場合よりも、良好な色の濃さをもたらす。
【0084】
本発明により、粒子か又は他の固体形として顔料組成物を製造することができ、該顔料組成物は、取扱いが容易であり、かつ、顔料フラッシュ又は他の顔料組成物を製造する必要なしに容易に分散し、かつ、多くの場合に、ワックス及び他の従来のキャリヤーの必要性を排除する。大抵、最終的なポリマー調製物に対して有用性を付与しないかかるキャリヤーは、ポリマー安定剤に取って代わられる。驚異的にも、多くの場合、本発明の顔料組成物は、ポリマー調製物に配合された際に、融解された組成物の顔料と選択された安定剤との双方を含有するポリマー調製物ではあるものの本発明の顔料及び安定剤組成物がポリマー加工の前には製造されなかった場合よりも、優れた色の濃さをもたらす。
【実施例】
【0085】
本願明細書中の他の箇所と同様に、パーセンテージ及び比は質量によるものである。
【0086】
顔料組成物の製造:
実施例1
顔料CROMOPHTAL(R) Orange GP 800g及びヒンダードフェノールIRGANOX(R) 1010 800gをヘンシェルミキサー中で3050rpmで10分間融解させて集塊物を作製する。その後、水を循環させてユニットを冷却し、その後、撹拌機を脈動させることによって集塊物を破砕して小さな顆粒にする。前記の顆粒は、出発トナーと比較して、表面上に注いだ際により少ない粉立ちを示す。
【0087】
実施例2
顔料CROMOPHTAL(R) Orange GP 800g及びヒンダードフェノールIRGANOX(R) 1076 800gをヘンシェルミキサー中で2000rpmで11分間融解させて集塊物を作製する。その後、水を循環させてユニットを冷却し、その後、撹拌機を脈動させることによって集塊物を破砕して小さな顆粒にする。前記の顆粒は、出発トナーと比較して、表面上に注いだ際により少ない粉立ちを示す。
【0088】
実施例3
ヒンダードフェノールIRGANOX(R) 1076 360g及びヒドロキシルアミン安定剤IRGASTAB(R) FS-042 80gをZブレードミキサー中で95℃で溶融させる。前記溶融物に、顔料CROMOPHTAL(R) Yellow HRPA 440gを添加する。その後、前記混合物を混合して顔料を湿潤させる。得られた混合物を室温に冷却し、破砕して顆粒にする。発色は、国際標準色濃度100%に達した。
【0089】
実施例4
ヒンダードアミン安定剤CHIMASSORB(R) 2020 182g、ベンゾトリアゾールUV吸収剤TINUVIN(R) 328 182g及びヒンダードフェノールIRGANOX(R) 1010 173gをZブレードミキサー中で溶融させる。ホスフィットIRGAFOS(R) 168 273gを添加し、かつ前記混合物を150℃で加熱して溶解させる。その後、顔料CROMOPHTAL(R) Yellow 8GNP、CROMOPHTAL(R) Yellow 3RLP、無機フィラー炭酸ストロンチウム80g及び無機顔料酸化チタン109gを添加し、ブレンドし、かつ湿潤させる。前記混合物を室温に冷却し、破砕して顆粒にする。
【0090】
顔料添加されたポリマー組成物の製造及びスクリーニング:
実施例5
CROMOPHTAL(R) Orange GP 6gを、2ローラーミル上で、170℃で、フロントローラーとバックローラーとの間で30%の差動のローラー速度で、7分間にわたって、硬質PVC 114g中に配合し、顔料を分散させる。シートを圧延し、切断し、かつ使用前にペレット化する。
【0091】
実施例6
TiO2白 30gを、2ローラーミル上で、170℃で、フロントローラーとバックローラーとの間で30%の差動のローラー速度で、7分間にわたって、硬質PVC 90g中に配合し、顔料を分散させる。シートを圧延し、切断し、かつ使用前にペレット化する。
【0092】
実施例7
実施例5からの材料2.16g及び実施例6からの材料6.53gを、2ローラーミル上で180℃で6分間、押出等級CPVC(塩素化PVC)111.31gに配合する。得られたバッチを圧縮成形機で20トンで196℃で1.5分間圧延して、1.2mmのシートにする。
【0093】
実施例8
実施例1からの材料0.21g及び実施例6からの材料6.53gを、2ローラーミル上で180℃で6分間、押出等級CPVC樹脂に配合する。得られたバッチを圧縮成形機で20トンで196℃で1.5分間圧延して、1.2mmのシートにする。
【0094】
実施例9
実施例2からの材料0.19g及び実施例6からの材料6.53gを、2ローラーミル上で180℃で6分間、押出等級CPVC樹脂に配合する。得られたバッチを圧縮成形機で20トンで196℃で1.5分間圧延して、1.2mmのシートにする。
【0095】
実施例10
ヒンダードフェノールIRGANOX 1076 0.108gと、顔料CROMOPHTAL(R) Orange GP 0.108gとを、 −融解させずに− 物理的に混合し、その後、実施例6からの材料6.53gと合一し、かつ、2ローラーミル上で180℃で6分間、押出等級CPVC樹脂に配合する。得られたバッチを圧縮成形機で20トンで196℃で1.5分間圧延して、1.2mmのシートにする。
【0096】
実施例7−10のCIE色を、10゜(1964)観察者で、X-Rite(R) SP-68 分光光度計及びColibriTM QCソフトウェアを用いて評価したものを以下の表中に示す。本発明により製造された粉立ちの少ない顔料組成物を含有する実施例8及び9は、本発明による顔料組成物なしに製造された実施例7及び10と比較して、DIN(EN 14469−3)による改善された色の濃さを示す。Strは色の濃さを表す。
【0097】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
a)1以上の有機及び/又は無機顔料、
b)1級酸化防止剤、2級酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤から選択された1以上のポリマー安定剤及び前記ポリマー安定剤のブレンド、その際、選択された安定剤又は安定剤のブレンドは200℃以下の融点を有するものとする;
その際、a)及びb)の量は70〜100質量%であり、かつa)対b)の質量比は19:1〜1:19であり、かつ、
c)顔料組成物の全質量に対して0〜30質量%の、a)及びb)とは異なる1以上の成分
を含有し、
その際、顔料は安定剤に付着しており、かつ安定剤と直接接触している、固体の粉立ちの少ない顔料組成物の製造法において、
前記方法が、1以上の有機及び/又は無機顔料a)及び1以上のポリマー安定剤又は安定剤ブレンドb)を、a)対b)の比19:1〜1:19で、かつ、場合により、1以上の成分c)30質量%までを合一して混合物を形成させ、前記の混合物を、安定剤成分b)が液化状態又は展性状態にある条件下に、場合により他の不活性の分離可能な材料の存在下に混合し、次いで、前記の組成物を冷却して固体を形成させることを含む方法。
【請求項2】
成分c)が0〜10質量%の量で存在している、請求項1記載の方法。
【請求項3】
選択された安定剤又は安定剤のブレンドが170℃以下の融点を有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
成分a)、b)、c)及び場合による不活性の分離可能な材料を、混合により生じた熱以外に熱を適用することなしに、成分b)の安定剤が液化状態又は展性状態にある条件下に、ヘンシェルミキサー中で混合することを含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
成分a)、b)、c)及び場合による不活性の分離可能な材料を、40℃までの付加的な加熱を適用して、成分b)の安定剤が液化状態又は展性状態にある条件下に、ヘンシェルミキサー中で混合することを含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
成分a)、b)、c)及び場合による不活性の分離可能な材料を、200℃までの付加的な加熱を適用して、成分b)の安定剤が液化状態又は展性状態にある条件下に、Zブレードミキサー中で混合することを含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
成分a)、b)、c)及び場合による不活性の分離可能な材料を、押出機中で混合することを含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
キャリヤーワックスの不在で行う、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
安定剤成分b)が、少なくとも1のヒンダードフェノール、有利にβ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとの少なくとも1のエステル、又は、ヒドロキシルアミン酸化防止剤、又は、UV吸収剤及びヒンダードアミン光安定剤から選択された少なくとも1の化合物を含有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
成分a)、b)、c)及び場合による不活性の分離可能な材料を、安定剤成分が液化状態又は展性状態にある条件下に混合し、次いで冷却して固体の顔料組成物を形成させ、その後、前記の固体の顔料組成物を、外部冷却しながら高剪断混合又はその他の撹拌下におき、0.01〜100ミクロンの所望の粒度の粒子を製造する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法により得られる、以下:
a)1以上の有機及び/又は無機顔料、
b)1級酸化防止剤、2級酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤から選択された1以上のポリマー安定剤及び前記ポリマー安定剤のブレンド、その際、選択された安定剤又は安定剤のブレンドは200℃以下の融点を有するものとする;
その際、a)及びb)の量は70〜100質量%であり、かつa)対b)の質量比は19:1〜1:19であり、かつ、
c)顔料組成物の全質量に対して0〜30質量%、有利に0〜10質量%の、a)及びb)とは異なる成分
を含有し、
その際、顔料は安定剤に付着しており、かつ安定剤と直接接触している、固体の粉立ちの少ない顔料組成物。
【請求項12】
選択された安定剤又は安定剤のブレンドb)が170℃以下の融点を有する、請求項11記載の顔料組成物。
【請求項13】
キャリヤーワックス不含である、請求項11又は12記載の顔料組成物。
【請求項14】
安定剤成分b)が、少なくとも1のヒンダードフェノール、有利にβ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとの少なくとも1のエステル、又は、ヒドロキシルアミン酸化防止剤、又は、UV吸収剤及びヒンダードアミン光安定剤から選択された少なくとも1の化合物を含有する、請求項11から13までのいずれか1項記載の顔料組成物。
【請求項15】
熱可塑性、熱硬化性、エラストマー、内部架橋された又は架橋されたポリマーと、請求項11から14までのいずれか1項記載の顔料組成物とを含有する、顔料添加されたポリマー組成物。

【公表番号】特表2010−529245(P2010−529245A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510737(P2010−510737)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056443
【国際公開番号】WO2008/148660
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】