説明

改善された集液チャンバを有する茶を調整する装置

本発明は、茶を調製する装置に係る。当該装置は、ティーパッド、煎出チャンバの上方壁における1つ又はそれより多くの開口を介して加熱された水を供給する手段、及び、煎出チャンバ(2)の下方壁(1)における狭窄開口(8)を封入する、煎出チャンバ(2)を有し、茶は、煎出チャンバ(2)の下方における集液チャンバ(10)へと注ぎ込まれる。集液チャンバ(10)の下方壁(11)は、茶が集液チャンバ(10)の下方壁(11)に衝突する位置の周囲に実質的に円形のリッジ(14)を備えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶を調製する装置に係る。当該装置は、ティーパッドを封入する煎茶チャンバ、煎出チャンバの上方壁における1つ又はそれより多くの開口を介して加熱された水を供給する手段、及び、煎出チャンバの下方壁における1つ又はそれより多くの狭窄開口(restricted openings)を有し、茶は、煎出チャンバの下方における集液チャンバへと注ぎ込まれる。
【背景技術】
【0002】
かかる装置は、WO−A−2005/016092(特許文献1)において記載される。記載される装置は、水容器、及び水を加熱し且つ煎出チャンバの上方壁における穴へとそれをポンプする手段を有し、加熱された水は、圧力を受けて煎出チャンバに入り得る。煎出チャンバは、茶葉の断片を有するティーパッド(tea pad)で満たされ得る。加熱された水は、ティーパッドを通り、茶が抽出される。抽出工程後、選出された茶は、煎出チャンバの下方壁(底部)における狭窄開口を通って煎出チャンバを出て、煎出チャンバの下方に位置決めされる集液チャンバの下方壁(底部)に対して注ぎ込まれる。集液チャンバから、茶は更に、装置の近くに置かれている1つ又は2つのカップを満たすよう茶流出部材まで誘導される。煎出チャンバの上方壁を有する装置の一部分は、煎出チャンバ及び集液チャンバを有する装置の固定部に対して上方向にヒンジ留めし得、煎出チャンバは解放され得、新しいティーパッドが次の抽出工程に対して煎出チャンバに挿入され得る。
【0003】
最善の抽出工程を達成するよう、加熱された水は、煎出チャンバにおいて一定時間留まらなければならず、したがって煎出チャンバの下方壁における流出開口は、比較的小さな寸法を有し、紅茶の流出が制限されるようにする。かかる狭窄開口は、液体ジェットを引き起こし、紅茶は、集液チャンバの底部に対して注ぎ込まれる。底部に衝突したあと、茶は集液チャンバの下方壁にわたって広がり、それによって茶における空気含有(気泡)が発生し、結果として煎出された茶の上になんらかの泡又は泡の層をもたらす。
【0004】
しかしながら、煎出された茶における泡は、茶の品質を低減させるため、制限されなければならないか、あるいは可能な限り避けられなければならない。茶の上方表面上のなんらかの泡は茶の味に影響を及さないが、泡の存在は、茶を飲む人間には歓迎されるものではない。同一の装置がコーヒーを調製するようにも使用される場合、泡が煎出されたコーヒーの品質を高めるため、泡の生成は煎出工程の好ましい効果である。
【特許文献1】WO−A−2005/016092
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ティーパッドを封入する煎出チャンバを有する茶を調製する装置を目的とする。茶は、煎出チャンバから煎出チャンバの下方壁における狭窄開口を通って集液チャンバまで流れ、泡の生成は低減される。
【0006】
本発明の他の目的は、茶が煎出されたあとに集液チャンバに残留する茶の量を減少させることである。したがって、新しく煎出された茶が前の煎出工程から残留した茶と混ざることは、減少される。更には、残留した茶の存在は、集液チャンバの更に頻繁なすすぎ及び/又は洗浄を求める。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的の一方又は両方を達成するよう、集液チャンバの下方壁は、茶が集液チャンバの下方壁に衝突する場所の周囲に実質的に円形のリッジを備えられる。茶が集液チャンバの下方壁に衝突したあと、茶は下方壁にわたって広がり、液体流の速度は、下方壁にわたるその動きの間に低減する。流れが集液チャンバの側壁に衝突する際、激しい乱流が液体流において生じる、ことは判明している。該乱流は、茶において泡を発生させる、と考えられる。更には、かかる泡の発生は、集液チャンバの下方壁においてリッジ状の障害物(obstacles)を用いることによって低減され得、液体流は、集液チャンバの側壁の衝突する前にリッジの上方を通って流れる、ことが判明している。したがって、集液チャンバの底部における円形リッジは、茶における泡の発生を効果的に低減する。
【0008】
望ましい一実施例では、実質的に円形のリッジの直径は、25mm乃至60mm、望ましくは35mm乃至50mmである。当然のことながら、実質的に円形のリッジの最適な直径は、集液チャンバの下方壁にわたって広がる液体の速度に依存するが、上述された直径は、満足な結果を与えている。
【0009】
望ましくは、実質的に円形のリッジの高さは、0.05mm乃至5mmであり、より望ましくは1.5mm乃至4mmである。比較的小さな高さは、液体流に対して泡を低減させる効果を既に有するが、1.5mm乃至4mmの高さは、大幅に泡の発生を低減させる。
【0010】
望ましい一実施例では、集液チャンバの下方壁は、茶が下方壁に衝突する位置において隆起部分を有し、茶は、実質的に円形のリッジに対して下方に傾斜にわたって流れるようにされる。実験により、集液チャンバの底部におけるかかる傾斜の存在は、茶における泡の発生を低減させる、ことが判明している。傾斜は、集液チャンバの下方壁の大部分にわたって延在し得るか、あるいは、環状部分等であるより小さな部分にのみわたって延在し得る。望ましくは、傾斜は、水平面に対して1°乃至20°の角度、より望ましくは3°乃至10°の角度を有する。
【0011】
全ての茶が実質的に円形のリッジによって取り囲まれる空間を確実に出得るよう、望ましい一実施例では、実質的に円形のリッジは、液体に対するパススルー(pass−through)を形成する障害部(interruption)を有する。茶の大半は、リッジにわたって流れることによって実質的に円形のリッジを通過するが、集液チャンバに対する茶の供給が終了したあと、茶の最後の量は、円形リッジにおけるパススルーを通ってリッジによって取り囲まれる範囲を出得る。
【0012】
望ましくは、集液チャンバの下方壁は、実質的に傾斜面において位置付けられ、実質的に円形のリッジは、集液チャンバの傾斜した下方壁において存在する。したがって、実質的に円形のリッジの障害部は、リッジの最下部において位置付けられる。
【0013】
泡はまた、集液チャンバの底部にわたって放射状に方向付けられた液体流上に落下する液滴によって作られ得る、ことが判明している。したがって、望ましい一実施例では、集液チャンバの上方壁から実質的に円形のリッジ内における範囲に落下する液滴を低減させる手段が存在する。かかる手段の存在は、茶における泡の発生を低減させることを目的として、別個の発明として考えられ得、該発明は、前出の実質的に円形のリッジと組み合わせて、あるいは該リッジを有さずに、適用され得る。
【0014】
望ましい一実施例では、落下する液滴を低減させる該手段は、集液チャンバの上方壁の少なくとも中央部上の多孔質材料の層である。多孔質材料は、その上で凝縮し得る液体(水)を吸収するため、多孔質材料の層が存在する集液チャンバの上方壁の表面において液滴を形成し得る液体はない。
【0015】
望ましくは、集液チャンバの上方壁の表面の少なくとも中央部は、傾斜されるため、凝縮液体の液滴は、落下せず、集液チャンバの上方壁の表面に沿って下方向に摺動する。したがって、液体は、泡を発生させることなく落下し得る位置まで、あるいは、側壁に沿って下方に更に摺動するよう集液チャンバの側壁まで、誘導され得る。望ましい一実施例では、集液チャンバの上方壁の表面の少なくとも主要部は、実質的に円錐形状を有し、上方壁は、集液チャンバの側壁に向かって下方に傾斜する。集液チャンバの上方壁の中央部の傾斜は、望ましくは少なくとも1°、より望ましくは3°乃至10°である。
【0016】
望ましい一実施例では、集液チャンバの下方壁は、実質的に傾斜面において位置付けられ、下方壁の最下部は、下方壁のエッジにおける位置にある。したがって、最下部は、該エッジに沿って矩形(長楕円形)の流出開口を備えられ、誘導表面は、茶流出部材に向かって下方に茶を誘導するよう矩形の流出開口に接する。茶流出部材に対して茶を誘導することによって、泡の発生は避けられる。茶が管を介して誘導される場合、管は、管の毛管現象により、茶の流れが停止したあとに茶で満たされたままにされ得る。誘導表面を利用することによって、残る茶は無く、更には、茶における泡の発生もない。
【0017】
茶誘導管の代わりの茶誘導表面は、実質的に円形のリッジ、及び/又は集液チャンバの上方壁から落下する液滴を低減させ手段と組み合わせて適用され得るが、別個に適用されてもよく、それは別個の発明として考えられ得る。
【0018】
望ましい一実施例では、誘導表面は、集液チャンバの側壁の下方エッジに接し、該エッジは、矩形の流出開口のエッジでもある。したがって、茶は、集液チャンバの下方壁を出る際に、誘導表面に対して自動的に流れ、更に下方向に誘導され得る。
【0019】
望ましくは、集液チャンバの下方壁は、下方壁のエッジにおける流出開口の方向において液体を誘導する流路を備えられ、煎出工程後の残留液体の量は、低減される。
【0020】
本発明は更に、上述された装置の可撤部分に関連付けられる。可撤部分は、煎出チャンバの下方壁及び集液チャンバを有する。可撤部分はまた、茶流出部材を有し得る。該部分は、食洗機等においてすすぐよう、あるいは洗浄するよう、取り外され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明はこれより、茶を調整する装置の一部の説明を用いて明らかにされる。該部は、煎出チャンバの下方壁及び完全な集液チャンバを有する。したがって、茶を調製する装置の該部の3つの断面図を有する図面は、参照される。
【0022】
図面は、単なる概略的な描写であり、本発明の説明に関連する部分のみが図示される。
【0023】
図1及び2は、煎出チャンバ2の下方壁を示し、下方壁1は、金属板を変形することによって作られる。下方壁1の円形エッジ3は、煎出チャンバ2の上方壁(図示せず)の実質的に平らな下方表面に対して接し得る。該上方壁は、煎出チャンバ2において存在し得るティーパッド(図示せず)を交換するようヒンジを離され得る(hinged away)。煎出チャンバ2の上方壁は、煎出チャンバ2に対して加熱された水を供給するよう、複数の開口を備えられ、水は、ティーパッドを通過し得、茶が抽出される。
【0024】
壁1の下方部は、ディスク状排水部材4を有して覆われる。排水部材4は、その上方表面において流路5(溝又は凹部)を備えられる。排水部材4は、プラスチック材料を有して作られ、流路5は、半径方向に位置付けられる。図1は、1つの流路5を示し、他の流路5は、図1及び図2中において斜線6を有して示される。抽出された茶は、かかる流路5を通ってティーパッドを出得る。排水部材4の上方表面は、垂直方向の円筒形突起間における凹部等である、他の凹部を備えられ得る。煎出された茶は、ティーパッドからかかる凹部5を通って中央凹部7まで流れ得、狭窄開口8を通って煎出チャンバ2を出得る。狭窄開口8は、プラスチック材料を有する部材9において存在する。部材9は、煎出チャンバ2の下方壁1の下方側に対して取り付けられる。
【0025】
図1及び2中に示される通り、集液チャンバ10は、煎出チャンバ2の下方に存在する。集液チャンバの下方壁11は、中央水平部分12を有し、該部分12は、下方壁11の取り囲む部分に対して隆起される。下方壁11の環状傾斜部分13は、隆起部分12の周囲にある。円形リッジ14は、中央水平部分12から更に離れる。下方壁11は、図2中に示される通り、中央水平部分12を除いて傾斜される。障害部15は、円形リッジ14の下方部分にあり、液体は、下方壁11の最下部まで流れ得る。煎出された茶に対する流出開口を形成する矩形の開口16は、下方壁11の最下部にある。
【0026】
集液チャンバ10は、実質的に円筒形の側壁17を有する。側壁17の上方部は、部材9に対して取り付けられる。集液チャンバ10の側壁17は、矩形の流出開口16の位置において下方向に延在される部分18を有する。延在部分18は、矩形の流出開口16を介して流れる茶に対する垂直方向の誘導表面19を形成する。
【0027】
茶は、煎出チャンバ2から狭窄開口8を通って流れ、集液チャンバ10の下方壁11の中央水平部分12に対して注ぎ込まれる。続いて、茶は、下方壁11の上方表面にわたって放射状外向きの方向において流れる。茶は、傾斜部分13を通り、続いて円形リッジ14にわたって流れる。リッジの存在は、茶が集液チャンバ10の側壁17に到達する際に、泡の発生を回避する。続いて、茶は、下方壁11の最下部分に対して流れ、矩形の流出開口16を通って集液チャンバ10を出る。茶は、垂直方向誘導表面19によって茶流出部材(図示せず)まで誘導され、装置の近くに置かれてある1つ又は2つのカップに満たされる。
【0028】
集液チャンバ10における液体は温かく、したがって水は、集液チャンバ10の壁上で凝縮し得る。水が集液チャンバ10の上方壁上で凝縮する場合、水滴は、落下し得、水滴が下方壁11の中央部分12,13において茶の流れへと落下する際、かかる水滴が茶における泡を引き起こす、ことが判明している。したがって、部材9の下方側部の中央部分は、円錐形の凹面20を有し、水滴は、中央部分から落下せず、図示された実施例では円形リッジの外側である下方壁11の中央部分12,13から更に離れた位置まで、円錐形表面に沿って摺動する。
【0029】
集液チャンバからの残留液体の流出を更に向上させるよう、下方壁11の上方表面は、矩形の流出開口16に向かって液体を誘導するよう、流路又は溝21を備えられる。
【0030】
上述された茶を調製する装置の実施例は、単なる一例であり、多くの他の実施例は可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図2及び3において矢印Iで示される断面図である。
【図2】図1及び3において矢印IIで示される断面図である。
【図3】図1及び2において矢印IIIで示される断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶を調製する装置であって、
ティーパッドを封入する煎出チャンバと、該煎出チャンバの上方壁における1つ又はそれより多くの開口を介して加熱された水を供給する手段と、前記煎出チャンバの下方壁における狭窄開口とを有し、茶は、前記煎出チャンバの下方における集液チャンバへと注ぎ込まれ、
前記集液チャンバの前記下方壁は、前記茶が前記集液チャンバの前記下方壁に衝突する位置の周囲に実質的に円形のリッジを備えられる、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記実質的に円形のリッジの直径は、25mm乃至60mm、望ましくは35mm乃至50mmである、
ことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記実質的に円形のリッジの高さは、0.05mm乃至5mm、望ましくは1.5mm乃至4mmである、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記集液チャンバの前記下方壁は、前記茶が前記下方壁に衝突する前記位置において隆起部分を有し、前記茶が前記実質的に円形のリッジに対して下方に向かう傾斜にわたって流れるようにする、
ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項5】
前記実質的に円形のリッジは、液体に対するパススルーを形成するよう障害部を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項6】
前記集液チャンバの前記上方壁の少なくとも一部から落下する液滴を低減する手段によって特徴付けられる、
請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項7】
前記集液チャンバの前記上方壁の少なくとも中央部は、多孔質材料の層を備えられる、
ことを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記集液チャンバの前記上方壁の表面の少なくとも前記中央部は、傾斜している、
ことを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項9】
前記集液チャンバの前記上方壁の前記表面の少なくとも主要部は、実質的に円錐形状を有する、
ことを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記集液チャンバの前記下方壁は、傾斜面において実質的に位置付けられ、前記下方壁の最下部は、前記下方壁のエッジにおける位置あるようにされ、
前記最下部は、前記エッジに沿って矩形の流出開口を備えられ、
誘導表面は、茶流出部材に向かって下方に前記茶を誘導するよう前記矩形の流出開口に接する、
ことを特徴とする前記1乃至9のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項11】
前記誘導表面は、前記集液チャンバの側壁の下方エッジに接し、該エッジはまた、前記矩形の流出開口のエッジである、
ことを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記集液チャンバの前記下方壁は、前記下方壁の前記エッジにおいて流出開口の方向に液体を誘導する流路を備えられる、
ことを特徴とする請求項1乃至11のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のうちいずれか一項記載の装置の可撤部分であって、
前記煎出チャンバの前記下方壁と、前記集液チャンバとを有する、
可撤部分。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−517164(P2009−517164A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542916(P2008−542916)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【国際出願番号】PCT/IB2006/054503
【国際公開番号】WO2007/063502
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】