説明

改良されたロボット塗装装置及びその操作方法

ロボット塗装装置700は、塗布機708と、塗布機708と流体をやり取りする第1塗料計量装置728と、塗布機708と流体をやり取りする第2塗料計量装置734と、第1及び第2塗料計量装置728、734の少なくとも一方に所望の量の塗料を充填するために、第1及び第2塗料計量装置728、734の各々と流体をやり取りする塗料供給装置702と、を有し、第1及び第2塗料計量装置728、734の各々は、塗料供給装置702から静電的に絶縁され、色切替時間及び塗料の無駄が最小化され、塗装装置の洗浄作業が最適化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の外表面に導電性塗料を塗布するためのロボット塗装装置に関し、特に導電性塗料の静電塗装における改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の塗装ブースはよく知られている。連続的な運搬/停止工程システムにおいて、自動車の外表面へ塗装を行うための従来の典型的な塗装ブースは、筐体と複数の塗布機を有する。ある態様では、塗布機は、車体の移動経路の両側に1つずつあって、水平支持構造体によってその上部で接続された、2つの垂直支持体を含む逆U字型支持構造体に取り付けられている。支持構造体によって、車体の上部表面の塗装を容易に行うことができ、水平方向の梁は固定することもでき、あるいは、塗装する車体の上部表面に沿って移動させるための自由度を付加することもできる。同じ塗装ゾーンで車体の側面を塗装するために、他の塗装装置が使用され、通常、車体の長手方向に側面に沿って動くことはできない。この種の塗装装置の欠点は、車体表面と塗布機との間のスタンドオフ距離を最適化するための柔軟性がなく、割り当てられた塗装サイクル時間を十分に使えないことである。自動車の上部表面を塗装するように構成された塗装装置の塗布機は、共通の梁に取り付けられている。したがって、各々の塗布機と塗装される表面との間の距離は、車体の輪郭と共に変化する。自動車の側面を塗装するように構成された塗装装置の塗布機には、車体の進路と直交方向には移動しない塗布機が含まれている。したがって、塗布機は、塗布機の前にある車体の一部しか塗装できず、利用可能なサイクル時間の大部分は使用しないこととなる。
【0003】
支持構造体に代わる最近のものとして、塗装ブースの側面に沿って配置された床置きロボットがある。これらのロボットは、霧状の塗料を車体に吹き付けるように載置されたスプレーガンあるいは回転式塗布機(ベル型マシン)を含む。回転式塗布機はスプレーガンより有利であるが、いくつか不利な点もある。従来の床置きロボット、特に、回転式塗布機を有するロボットは、コストがかかり、スプレーブースへの目視によるアクセスが制限される。ベル型マシンは、回動性が制限されるため、同等のスループットを得るためには、より多くのベルを必要とする。追加のベルは、塗料の色の切り替え作業中に各々のベルで無駄が発生するため、自動車1台あたりにつき、より多くの塗料を使用する。従来の床置きロボットは、既存の塗装ブースに設置する際、塗装ブースを大幅に改修する必要もあり、設置のための時間と費用が増加し、塗装ブース内でより多くの床面積を必要とする。床置きロボットのレール軸には、塗装ブースの両端にドアが必要となる。床置きロボットの旋回軸は、スプレーブースの両端に付加的なセーフティゾーンを必要とし、床置きロボットのレールキャビネットが通路空間に侵入する。塗料のスプレーしぶきの下降気流によりロボットアーム及びベースに塗料の堆積が発生するため、床置きロボットは、頻繁なクリーニングを必要とし、その結果、メンテナンス費用及びクリーニング費用が高額となる。
【0004】
水性塗料は導電性を有するため、接地されたバルクの塗料供給装置を帯電した局所的分配キャニスタ及びスプレー塗装装置から、電気的に絶縁する必要がある。従来、ベル型塗布機、キャニスタ、キャニスタ駆動装置、静電カスケード、及びドッキングインターフェイスは、すべて、特許文献1及び2に示されているようにロボットの手首に取り付けられている単一ユニットに一体化されている。このような塗布機には、以下のような欠点がある。
1)塗布機は、重く、高価であり、塗装ブース内の物体と衝突して損傷しやすい。
2)ドッキングステーションとドッキングする塗布機は、固定されたブース位置になければならず、工程の柔軟性が制限される。
3)ロボットは、ドッキング位置へ移動し、かつ、ドッキング位置から移動しなければならないため、ドッキング工程はサイクル時間を要し、キャニスタの充填は、塗布機がドッキング位置に到達するまで開始できない。
4)ドッキング設備は、高価で、水性塗料装置毎に異なる。
【0005】
ロボットの塗装作業に備え、キャニスタは塗料で満たされていなければならない。キャニスタを塗料で満たすために、キャニスタ内を摺動自在に配置されたピストンは、シリンダの底から引き上げられ、塗布機のバルブは開放され、これにより、キャニスタ内に少量の空気が流れ込む。そして、塗料は選択されたカラーバルブから絶縁配管を通ってキャニスタへ流れ込む。塗布機のトリガーパスを通ってキャニスタの初期容積が充填されたとき、塗料がトリガーパスで限界に達するまで、塗布機を通って装置から空気が押し出される。このような制約により、塗料と、塗料によって置き換えられた空気との粘性の差に起因して、キャニスタ内の流圧が増加する。この圧力の増加によって、駆動モータによって加えられるトルクが増加し、このトルクは検知することができ、キャニスタの充填速度を調整するために使用できる。一旦、キャニスタと塗布機が充填されると、キャニスタ内の空気は除去される。キャニスタから空気を除去するため、空気が除去されるまで、一定量の空気と塗料がキャニスタから塗布機を通って排出され、その排出された量の塗料が無駄になる。注入器先端を介した圧力ベースのキャニスタ充填モードとして知られる別の充填作業は、塗料がいつキャニスタを充填したかを決定するためにトルクフィードバックを使用する。通常、単一トルクフィードバックバルブは、各色の充填作業に使用される。しかしながら、塗料の粘性とバルクの圧力は、色毎に異なるので、時間を基準にした充填作業は、時間が長過ぎる場合には塗料が無駄になり、時間が短過ぎる場合には装置への充填が不十分になる。
【0006】
キャニスタの充填作業時間を最適化するために、ピストンを使用することができる。第一に、塗料のキャニスタへの充填速度が既知または、自動測定できる場合、注入される塗料の圧力低下を最小化し、充填時間を短縮するように、キャニスタのピストン機構がキャニスタの底から引き出される速度を調整することができる。充填速度は、(正または負の)サーボ誤差あるいはピストンに加えられているモータトルクフィードバックを測定することによって、検出することができる。第二に、装置の充填速度をわずかに下回るものとして分かっている速度でキャニスタの底からピストンは引き出される。しかしながら、塗料がキャニスタを急速に満たすため、空気がキャニスタ内に混入して塗料と混ざる場合がある。
【0007】
アースされたバルク塗料の供給装置は、漏電及び静電腐食しないように、帯電した装置の構成部品から絶縁されていなければならない。バルク塗料供給装置を帯電した塗料分配キャニスタから絶縁する方法は、供給装置とキャニスタとの間の塗料移送配管を洗浄し乾燥させることである。自動推進型塗装装置(連続コンベア型装置での高速色切替え)では、廃棄物用配管は、通常、ベル型塗布機、あるいはキャニスタの下流にある、装置の他の部分に接続され、流体をやり取りする。キャニスタ内部を洗浄するとき、ピストンがキャニスタの底から引き出される。ピストンは、溶媒と空気との混合物がキャニスタ内に導入されるようにキャニスタを出入りする往復運動をし、ピストンとキャニスタの底との間の領域の効果的な洗浄を可能にする。溶媒と空気との混合物によるキャニスタの洗浄と同時に、キャニスタから塗布機への塗料配管は、バックフラッシュされる。ピストンは、往復運動して、塗布機に向かってキャニスタに摺動自在に進入するとき、溶媒と空気との混合物は、キャニスタから廃棄物用配管を通って強制的に排出される。キャニスタの洗浄後、装置は、異なる色の塗料で満たされる準備が整う。
【0008】
このロボットの洗浄方法は、以下のような多くの欠点を持っている。
1)配管を洗浄し乾燥させ、高電圧から分離するための時間は、車体が塗装される間に割当てられた滞留時間を越えてしまう。
2)移送配管や廃棄物用配管の壁、あるいはキャニスタ内部に残っている塗料残留物は、静電腐食の原因となる高電圧漏洩を引き起こし、静電腐食により移送配管、分配装置、塗布機への供給配管、あるいは、廃棄物収集配管に穴が開くおそれがある。
3)他の絶縁手段と比較して、塗料移送配管内に残っている廃棄物の量が多い。
4)塗料残留物を含む、溶媒と空気との混合物は、廃棄物用配管を通って、溶媒と空気との混合物の入口から下流へ流れてしまうので、塗料残留物は、廃棄物用配管とキャニスタとの間の接続部に残ってしまう場合がある。
【0009】
環境に配慮した水性塗料が好評を博すにつれて、顧客は、静電塗装のための自動化装置の準備に関連する時間及び原料の無駄の抑制を要求してきている。流体塗料配送システムは、水性塗料の塗布において重要な構成要素である。直接帯電式流体水性塗料配送システムは、塗装装置を洗浄し、次の塗料の導入準備をすること、バルク供給装置(塗料循環装置)から所望の塗料を導入すること、導入された量の塗料を接地されたバルク供給装置から電気的に絶縁すること、配送装置から塗装装置へ流速を正確に制御(定量分配)すること、の実行が必要となる。
【0010】
例えば、自動車の最終組み立て塗装工場で車体を塗装する場合、色を変えることはよくあることである。車体の塗装のための典型的なカラーバッチサイズは、1〜5台のグループである。色切替時間は、6〜15秒、または自動車1台当たり利用可能なサイクル時間の10〜25%の範囲である。色切り替え工程においてロボット1台当たりで無駄になる塗料の量は、12〜50mlまたは特定のロボットで使用される塗料の5〜10%である。色の切り替えを少なくすること及び補充の際に生じる無駄を少なくすることは、自動車の最終色切替装置にとって重要な設計要素である。補充時間及び色切替時間も重要である。
【0011】
さらに例を挙げると、自動車部品塗装ラインで、ダッシュボード等のプラスチック製付属部品、車体側金属被覆材または計器パネルを塗装する場合、バッチサイズはさらに大きく、色の切り替え頻度は少ないながら、部品当たりのサイクル時間は、さらに短い。部品は、10乃至200個の部品のバッチで塗装され、部品は、連続的にあるいは部品間で滞留時間がないように塗装されることが望ましい。この種の塗装装置においては、色の切り替えのために部品のバッチ間で間隔を置くことが典型的である。
【0012】
装置の信頼性のためには設計を単純化することが重要である。例えば、直接帯電式塗装装置の主要な流体配送設計要素は、以下の要素を含む。
1.同一色を補充するサイクル時間
2.塗装及び同一色を補充する場合の廃溶剤の洗浄
3.新たな色へ切り換えるサイクル時間
4.塗装及び新たな色へ切り換える場合の廃溶剤の洗浄
5.塗料循環装置で要求される流速
6.設備費用
7.装置の複雑性及び信頼性
【0013】
車体及び部品塗装装置で要求される高速色切り替え及び高速補充という長所を提供できる、費用効率が高く信頼性が高い直接帯電式流体配送システムは、これまでのところ産業界には存在していない。
【0014】
今日の電圧ブロックシステムは、主に単一キャニスタシステムである。単一の電圧ブロックを備えた単一の貯蔵装置は、シンプルで、信頼性があり、塗料をほとんど無駄にしないが、色切替時間及び補充時間が長過ぎる。単一のキャニスタは急速充填されるべきであり、このことも塗料循環装置に負担となる。色の切り替え及び補充は、0〜4秒で実行されるのが望ましいところ、8乃至15秒で実行される場合がある。
【0015】
溶剤型塗料用の並列流体回路は、デュアルパージ装置とも呼ばれ、色切替時間を削減するために過去に使用された。この並列装置は、一般的に、複数の流量制御装置及び洗浄装置を有する。一方が塗装を行う間に、他方は次の色の準備を行う。並列流路は、極めて導電性が低い溶剤型塗料用に設計されており、水溶性塗料用に使用することはできない。塗装側は帯電するため、次の色を導入する側は塗装側とは絶縁されている必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第5,293,911号明細書
【特許文献2】米国特許第5,367,944号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来の装置の多くは非常に複雑である。多くのバルブや電圧ブロック装置を備え、塗料と接したまま部品を移動させるため、これらの装置はメンテナンスや操作が難しい。
【0018】
色切替時間及び塗料の無駄を最小化し、装置の洗浄作業が最適化された、ロボット塗装装置及び塗装装置の操作方法を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明と一致して、色切替時間及び塗料の無駄を最小化し、装置の洗浄作業が最適化されたロボット塗装装置及び塗装装置の操作方法が驚くべきことに見出された。
【0020】
1つの実施態様では、塗装装置は、スプレーブース内で移動可能な外部アームと、外部アームに一方の端部が接続されている少なくとも2軸の手首と、手首の他方の端部に接続された塗布機と、ロボットに設置され、注入口と、第1塗料配管を介して塗布機と流体をやり取りする排出口と、を備える第1塗料計量装置と、ロボットに設置され、注入口と、第2塗料配管を介して塗布機と流体をやり取りする排出口と、を備える第2塗料計量装置と、ロボットに設置され、第1及び第2塗料計量装置のそれぞれの注入口と流体をやり取りして、第1及び第2塗料計量装置の少なくとも一方に所望の量の塗料を充填する色切替機と、を有し、第1及び第2塗料計量装置は、それぞれ色切替機から静電的に絶縁され、塗布機、第1塗料計量装置、第2塗料計量装置、色切替機及び関連する流体接続部のうちの少なくとも1つを真空として、これらに塗料を流す前に一定量の空気を除去することを特徴とする。
【0021】
他の実施態様では、塗装装置は、スプレーブース内で移動可能なロボットアームと、ロボットアームに設置された塗布機であって、塗布機の噴霧装置と流体をやり取りし、各々が独立し、互いに分離され、互いに電気的に絶縁されている第1注入路及び第2注入路を備える塗布機と、ロボットアームに設置されており、塗料供給装置と流体をやり取りする注入口と、塗布機の第1及び第2注入路の少なくとも一方と流体をやり取りする排出口と、を備える塗料計量装置と、を有することを特徴とする。
【0022】
ロボット塗装装置の操作方法も開示される。
【0023】
一つの方法は、塗布機の噴霧装置と流体をやり取りし、各々が独立し、互いに分離され、各々が互いに電気的に絶縁されている第1注入路及び第2注入路を備える塗布機を用意するステップと、塗料供給装置と流体をやり取りする注入口と、塗布機の第1及び第2注入路の少なくとも一方と流体をやり取りする排出口と、を備える塗料計量装置を用意するステップと、塗料供給装置から塗料計量装置に塗料を流すことにより、所望の量の塗料を塗料計量装置に充填するステップと、第1及び第2注入路の一方を通して塗料計量装置から塗料を分配することより塗装作業を実行するステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の上述の利点及び他の利点は、添付の図面を考慮すれば、好適な実施態様に関する後述の詳細な発明の記載から、当業者に容易に明らかになるであろう。
【0025】
【図1】本発明の実施形態によるロボット塗装装置の斜視図である。
【図2】図1の塗装装置の外部アームの第1側面の斜視図である。
【図3】図1の塗装装置の外部アームの第2側面の斜視図である。
【図4】図3のキャニスタの上部断面図である。
【図5】図3のキャニスタ及び駆動装置の斜視図である。
【図6】他の実施例による塗装装置の外部アームの第1側面の斜視図である。
【図7】本発明による第3の実施例の塗装装置の流路図である。
【図8】本発明による第4の実施例の塗装装置の流路図である。
【図9】図8の塗装装置によって実行される複数の操作手順に関するバルブの構成を示すバルブチャートである。
【図10】図8の塗装装置によって実行される複数の操作手順に関するバルブの構成を示すバルブチャートである。
【図11】本発明による第5の実施例の塗装装置の流路図である。
【図12】図11の塗装装置によって実行される複数の操作手順に関するバルブの構成を示すバルブチャートである。
【図13】図11の塗装装置によって実行される複数の操作手順に関するバルブの構成を示すバルブチャートである。
【図14】本発明による第6の実施例の塗装装置の流路図である。
【図15】図14の塗装装置によって実行される複数の操作手順に関するバルブの構成を示すバルブチャートである。
【図16】図14の塗装装置によって実行される複数の操作手順に関するバルブの構成を示すバルブチャートである。
【図17】本発明による第7の実施例の塗装装置の流路図である。
【図18】図17の塗装装置によって実行される複数の操作手順に関するバルブの構成を示すバルブチャートである。
【図19】図17の塗装装置によって実行される複数の操作手順に関するバルブの構成を示すバルブチャートである。
【図20】本発明による第8の実施例の塗装装置の流路図である。
【図21】図20の塗装装置によって実行される複数の操作手順に関するバルブの構成を示すバルブチャートである。
【図22】図20の塗装装置によって実行される複数の操作手順に関するバルブの構成を示すバルブチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に示す詳細な説明及び添付図面は、本発明の種々の実施例を説明し例示する。詳細な説明及び図面は、当業者が本発明を実施可能とするという役割を果たすものであって、本発明の範囲を限定することを意図していない。開示された方法については、示されたステップは本質的に例示的なものであり、それゆえ、各ステップの順序は必須ではないか、または重要ではない。
【実施例1】
【0027】
図1は、本発明の実施例に係るロボット塗装装置(以下、単に「塗装装置」とも言う。)10を示す。塗装装置10は、内部アーム12及び外部アーム18を有する。塗装装置10は、内部アーム12、外部アーム18、手首22及び塗布機24の各ピボット動作のために、ベース(以下、「ロボットベース」とも言う。)14に関して4つの運動軸16、20、34、36を提供する。フレームシステムにロボットベース14を設置することにより、フレームシステム(図示せず)の軸の長手方向に沿った第5の運動軸26を提供する。当然のことながら、自動車の最適な塗装を可能とするために、塗装装置10をフレームシステムと何台協働させてもよく、あるいは何台設置してもよい。
【0028】
内部アーム12は、肩軸16を中心に回転するようにロボットベース14に設置され、複数の塗料配管28を有する。塗料配管28は、内部アーム12の第1側面と接続され、バルク塗料供給装置(図示せず)と外部アーム18の色切替機30との間で流体のやり取りを行う。ロボットベース14は、空気バルブと、塗装装置10を調整し動作させるように構成された制御機器(図示せず)と、を含むプロセス制御筐体32を有する。
【0029】
外部アーム18は、第1側面18a、第2側面18b及び手首22を有する。外部アーム18の第1端部は、肘軸20の周りで回転するように内部アーム12の第2端部に設置されている。外部アーム18は適度な構造強度を有する非導電性材料からなり、塗装工程で使用される溶剤に対して実質的に耐腐食性を有する。そのような材料の一例としてラウリンアミドAがある。「ラウリンアミド(Laramid)」は、ドイツ、ビベラッハ(Biberach)のアルベルト・ハントマン・エルテカ・フォルバルトゥンク社(Albert Handtmann ELTEKA Verwaltungs-GmbH)の登録商標である。材料ラウリンアミドAは、静電絶縁性、清浄性、洗浄可能性、及び重量的優位性をも提供する、成型可能な材料ポリアミドナイロン12Gである。
【0030】
図2に示すように、外部アーム18の第1側面18aは、色切替機30と、塗装装置10の帯電した部品から静電的に絶縁された絶縁配管40と、廃棄物用配管41と、キャニスタマニホールド42とを有する。色切替機30は、接地された複数のカラーバルブ38を有する。各々のカラーバルブ38は、図1に示す塗料配管28の所望の1つと色切替機30と間に設置される。絶縁配管40は、色切替機30の排出口及びキャニスタマニホールド42と接続され、これらとの間で流体をやり取りする。絶縁配管40は、一般的にフッ化エチレンプロピレン(FEP)からなる。廃棄物用配管41は、色切替機30の排出口43と廃棄物処理装置62との間で流体をやり取りする。廃棄物用配管41は、絶縁配管40及びカラーバルブ38の上流の色切替機30と接続されている。
【0031】
図3は、外部アーム18の第2側面18bを示している。第2側面18bは、キャニスタ44及び駆動装置を有する。キャニスタ44は、キャニスタマニホールド42と流体をやり取りし、帯電されるが、外部アーム18の第1側面18a上の接地されているカラーバルブ38とは絶縁された筐体48によって静電的に絶縁されている。キャニスタ44の第1端部は、手首22に隣接して配置される。図4に示すように、キャニスタ44の第1端部は、キャニスタマニホールド42と流体をやり取りする注入口45と、塗布機24と流体をやり取りする排出口47と、キャニスタ44の注入口45及び排出口47との間に形成され流体をやり取りするチャネル49とを有する。チャネル49は、キャニスタ44の注入口45から、キャニスタ44の排出口47への塗料の流れを促進し、ピストン50を引いてキャニスタ44に空気を取り込むことなく塗布機24への塗料の流入を促進する。
【0032】
駆動装置46は、キャニスタ44に摺動自在に設置され、かつ、駆動用ブラケット52と動作自在に接続されたピストン(図示せず)を備えたピストンラム50を有する。図5に示すように、駆動モータ54は、減速器56及び連結器58を通してピストンラム50に回転運動を与える。ピストンラム50は、車体塗装作業中に塗布機24に塗料を分配するのに利用されるボールねじ型の駆動部である。ピストンラム50のピストン(図示せず)は、キャニスタ44内で長手方向に動く。キャニスタ駆動モータ54及び減速器56は、外部アーム18を内部アーム12と接続する肘60に設置されているため、駆動モータ54は、キャニスタ44内の塗料を帯電させる高電圧カスケード(図示せず)から分離されている。
【0033】
図3に示すように、手首22は、外部アーム18の第2端部に設置され、横方向に伸び、そこから外部へ向かって伸びている塗布機24を有する。塗布機24は、外部アーム18の長手方向の軸と平行な軸の方向に伸びている。図示された実施例では、塗布機24は回転ベル型塗布機である。図1に示すように、手首22は、外部アーム18の長手方向の軸と実質的に平行な回転軸34を中心に塗布機24を回転させる。手首22は、また、回転軸34と実質的に直交する傾斜軸36を中心として塗布機24を回転させる。手首22及び塗布機24は、適度な構造強度を有する非導電性材料からなり、塗装工程で使用される溶剤の腐食性に対して耐性を有する。そのような材料の一例としてラウリンアミドAがある。「ラウリンアミド(Laramid)」は、ドイツ、ビベラッハのアルベルト・ハントマン・エルテカ・フォルバルトゥンク社の登録商標である。材料ラウリンアミドAは、静電絶縁性、清浄性、洗浄可能性、及び重量的優位性を提供する、成型可能な材料ポリアミドナイロン12Gである。
【0034】
塗装作業に備えて塗装装置10に充填を行うために、ピストンラム50を用いて絶縁配管40に真空が生成される。キャニスタ44及びキャニスタマニホールド42と連通している注入バルブ(図示せず)が開かれる。キャニスタ44及び塗布機24と連通している排出バルブ(図示せず)が閉じられる。注入バルブが開けられ排出バルブが閉じられた状態で、ラム50のピストンがキャニスタ44の第1端部から引き離されて真空が生じる。その後、注入バルブが閉じられ排出バルブが開けられて、ラム50のピストンが塗布機24に向かって引っ張られ、空気が塗布機を通ってキャニスタ44から排出される。キャニスタ44から空気が除去されて注入バルブが開けられると、塗料がバルク塗料供給装置から流れ、所望の塗料配管28、所望のカラーバルブ38、色切替機30、絶縁配管40、キャニスタマニホールド42を通って、キャニスタ44に流れ込む。塗料が注入口45を通ってキャニスタ44に流れるため、塗料はチャネル49を通って排出口47に流れ、塗布機24及びキャニスタ44を同時に充填し、キャニスタ44に空気は導入されない。キャニスタ44から空気が排除された後にキャニスタ44を塗料で充填し、キャニスタ44に空気が逆流することがないため、塗装装置10から空気を排除するための抽気作業が不要となり、その結果、塗料の無駄が最小となる。キャニスタ44に流れる塗料に圧力を加えるために、色切替機30及び絶縁配管40を通して溶剤を流してもよい。溶剤がキャニスタ44に入らないように溶剤の体積容量が制御される。塗料と溶剤との混合の度合いは、塗料の粘性、溶剤の粘性、絶縁配管40及び他のシステム内の配管の直径、及び塗料と溶剤の充填速度によって変動する。溶剤と塗料とが混合するのを避けるために、塗料に対する溶剤の粘性を最大にしておくことが好ましい。溶剤を用いて塗料に圧力を加えることの利点は、キャニスタ44を塗料で充填する間に絶縁配管及びシステム内の配管が洗浄される点であり、充填作業と洗浄作業との間の時間が最小となる点である。さらに、溶剤の粘性が増加し、混合が抑制されると、塗料の色切り替え中に装置から除去される塗料の量が最小となる。
【0035】
キャニスタ44内の圧力が増加すると、塗料はラム50のピストンに力を加え、ピストンは、塗布機24から離される。ピストンに加わる圧力はフィードバックトルクとして駆動モータ54で検出される。キャニスタ44が充填されたことを示す目標とするフィードバックトルクに達すると、注入バルブは閉じられる。目標とするフィードバックトルクは、キャニスタ44内の圧力の変化を測定することにより決定してもよい。塗料がキャニスタ44内に進入するに従って、キャニスタ44内で圧力が徐々に高まる。塗料が利用可能な空間を充填すると、装置内で圧力が上昇する速度が低下する。オペレータは、圧力上昇の変化率を観測することにより、塗料の粘性やバルク塗料の供給圧力に関わらず、キャニスタ44がいつ所望の量の塗料で充填されたのかを決定するので、時間基準の充填作業では不利となり、オペレータは、長い充填作業による塗料の無駄や、短縮された充填作業により装置の充填が不十分となることとなるフィードバックトルクの制限値を設けるようにしてもよい。
【0036】
フィードバックトルクを測定することにより、オペレータは、洗浄作業中に生じる負のトルク(真空)及び充填作業中に生じる正のトルク(圧縮)の両者を判断でき、要望通り充填作業及び洗浄作業が進行していることを確認することができる。さらに、フィードバックトルクの測定は、塗装装置10のリークの診断チェックに役立つ。塗装装置10の充填作業中の正のトルクの時間の経過に伴う変動、及び塗装装置10の洗浄作業中の負のトルクの時間の経過に伴う変動は、塗装装置10におけるリークを示す場合がある。リークが検出された場合あるいはフィードバックトルクが目標値ではなくなった場合、塗装装置10のオペレータは、次のいずれか、即ち、充填作業に続いて洗浄作業を行い所望のフィードバックトルクを得ること、正常に動作していない装置部品に関してオペレータに情報をもたらすための診断テスト、及び当該技術分野で知られている真空充填作業から注入器を介した圧力充填作業への切り替えのいずれかを開始することができる。
【0037】
充填作業の後、キャニスタ44は帯電され、当該技術分野で知られているように塗装作業が実行される。塗装作業後に塗装装置10のキャニスタ44を洗浄するために、溶剤と空気の混合物がキャニスタマニホールド42を通ってキャニスタ44に流される。溶剤及び空気の混合物は、キャニスタ44から、絶縁配管40、廃棄物用配管41を通って廃棄物処理装置62へ逆流する。従って、廃棄物用配管41は、帯電したキャニスタ44と直接的には接触しない。さらに、廃棄物用配管41は、キャニスタ44及び絶縁配管40の下流に設置されている。廃棄物用配管41は、帯電しているキャニスタ44から絶縁されているため、廃棄物用配管41の内壁に付着した塗料の残渣による電気的な侵食は主要な懸案事項ではない。
【実施例2】
【0038】
図6は、本発明の他の実施例による塗装装置の外部アーム518の第1側面518aを示す。図6の実施例は、以下の点を除いて図1及び2の塗装装置10及び外部アームと同様である。図1及び2から繰り返し表示されている構造には、参照番号の先頭に「5」を付している。
【0039】
外部アーム518は、色切替機530、塗装装置の帯電した部品から静電的に絶縁された絶縁配管540、廃棄物用配管541、キャニスタマニホールド542及び真空生成手段64を有する。色切替機530は、外部アーム518の第1側面518aの外側表面に設置された、接地された複数のカラーバルブ538を有する。各カラーバルブ538は、連結された塗料配管と流体をやり取りする。絶縁配管540は、色切替機530の排出口及びキャニスタマニホールド542と接続されて、これらの間で流体をやり取りする。絶縁配管540は、一般的にフッ化エチレンプロピレン(FEP)からなる。廃棄物用配管541は、絶縁配管540と廃棄物処理装置562との間で流体をやり取りする。廃棄物用配管541は、外部アーム518の第2側面に設置されたキャニスタ(図示せず)の上流の絶縁配管540と接続されている。
【0040】
絶縁配管540と廃棄物用配管541との間に設けられたバルブ(図示せず)は、絶縁配管540から廃棄物用配管541を通る流体を選択的に流す。キャニスタマニホールド542は、外部アーム518の第2側面のキャニスタと流体をやり取りする。図示された実施例では、真空生成手段64は、ベンチュリ型真空生成装置である。しかしながら、真空生成手段64は、真空を生成する従来の装置のいずれでもよい。真空生成手段64は、色切替機530に隣接する外部アーム518の第1側面518aに接続されている。真空生成手段は、キャニスタの内部と流体をやり取りする。当然のことながら、真空生成手段64は、要求に従って、塗装装置の他の部分に設置されてもよく、遠隔設置されてもよい。
【0041】
塗装作業に向けて塗装装置を充填するために、真空生成手段64によってキャニスタに真空が生成される。キャニスタ、キャニスタマニホールド542及び真空生成手段64と連通した注入バルブ(図示せず)が開かれる。色切替機530及びキャニスタマニホールド542と連通した注入バルブが閉じられる。キャニスタ及び塗布機524と連通した排出バルブも閉じられる。その後、真空生成手段64はキャニスタ内に真空を生成し、その結果、キャニスタ内に摺動自在に設置されたピストンがその第1端部に向かって引かれてキャニスタから空気が引き抜かれる。キャニスタから空気が除去されると同時に、色切替機530及びキャニスタマニホールド542と連通した注入バルブが開けられ、塗料がバルクの塗料供給装置から、塗料配管、所望のカラーバルブ538、色切替機530、絶縁配管540、キャニスタマニホールド542を通って、キャニスタに流される。キャニスタから空気が除去された後にキャニスタに塗料が充填され、キャニスタに空気が逆流しないため、塗装装置から空気を除去するための抽気作業が必要なく、これにより塗料の無駄が最小となる。塗料が流路を充填するとすぐに、キャニスタ内の圧力が増加する。キャニスタ内の圧力が増加すると、塗料がピストンに力を加え、これによりピストンはキャニスタの第1端部から離れる。ピストンに加わる圧力は検出され、フィードバックが与えられる。キャニスタが充填されたことを示す目標とするフィードバックが得られると、注入バルブが閉じられる。
【0042】
充填作業の後、キャニスタが帯電され、当該技術分野で知られているように、塗装作業が実行される。塗装作業後に塗装装置のキャニスタを洗浄するために、溶剤と空気との混合物がキャニスタマニホールド542を通ってキャニスタに流される。その後、溶剤と空気との混合物がキャニスタから、絶縁配管540、絶縁配管540と廃棄物用配管541との間に設置されたバルブ、及び廃棄物用配管541を通って、廃棄物処理装置562に流される、従って、廃棄物用配管541は、帯電したキャニスタと直接的には接触していない。さらに、廃棄物用配管541は、塗料供給の標準的な流れに関してキャニスタ及び絶縁配管540の上流(洗浄作業中は下流)に設置される。廃棄物用配管541は帯電したキャニスタから分離されているため、廃棄物用配管541の内壁に付着した塗料の残渣による電食を防ぐための塗料の残渣の完全な洗浄を行う必要はない。
【実施例3】
【0043】
図7は、本発明の第3の実施例に係る塗装ロボットの流路図であり、図1〜6に示した実施例よりも色切替機とキャニスタとの間の距離が長くなっている。例えば、色切替機630は、外部アーム18、518の代わりに内部アーム612に設置することができる。この場合、絶縁配管は、色切替機630を中間ブロック666と接続する第1部分640aと、中間ブロック666をキャニスタ644に関連するキャニスタマニホールド642と接続する第2部分640bとに分割することができる。廃棄物用配管641は、中間ブロック666を通って色切替機630に接続される。キャニスタ644は、他の実施例に関して上述したように回転式噴霧塗布機624に塗料を供給する。中間ブロック666は、例えば、外部アーム(図示せず)に設置することができる。
【実施例4】
【0044】
図8は、下記の点を除いてロボット塗装装置10に類似した第4の実施例に係るロボット塗装装置700の流路図を示す。図示のように、塗装装置700は、色切替機702、第1キャニスタマニホールド704、第2キャニスタマニホールド706、塗布機708及び真空生成手段710を有する。
【0045】
色切替機702は、接地された複数のカラーバルブ(pCOL1〜pCOL8)712を有する。各カラーバルブ712は、複数の流入する塗料配管714の関連する1つと、色切替機702の主配管716との間に設置される。ペアとなっている塗料バルブ(pPAINT1、pPAINT2)718、719は、色切替機702からキャニスタマニホールド704、706への塗料の流れを制御するために、主配管716とキャニスタマニホールド704及び706のそれぞれとの間に設置される。当然のことながら、色切替機702は、種々の位置及びキャニスタマニホールド704、706から種々の距離に設置することができる。
【0046】
絶縁配管720、721のペアのそれぞれは、色切替機702と各キャニスタマニホールド704、706との間で流体をやりとするために、塗料バルブ718及び719のうちの関連する1つと接続されるが、この例には限定されない。絶縁配管720、721は、一般的にフッ化エチレンプロピレン(FEP)からなる。しかしながら、他の材料を用いることもできる。
【0047】
さらに、廃棄物用配管722は、絶縁配管720、721と廃棄物処理装置724との間で流体のやり取りを行うが、この例には限定されない。ある実施例においては、廃棄物用配管722は、絶縁配管720、721から主配管716を介して廃棄物用配管722への流体の流れを選択的に制御するために、廃棄物用バルブ(pDUMP)726を介して色切替機702の主配管716と接続される。
【0048】
第1キャニスタマニホールド704は、第1キャニスタ728と流体をやり取りし、第1キャニスタ728は、帯電させることができるが、絶縁配管720によって、接地されているカラーバルブ712から静電的に絶縁されている。第1キャニスタマニホールド704は、複数のバルブ、即ち、絶縁配管720から第1キャニスタ728への塗料の流れを制御するための第1キャニスタバルブ(pCAN-1)729と、第1キャニスタ塗料配管731を介した塗布機708への塗料の流れを制御するための第1キャニスタ塗料バルブ(pPAINT1-1)730と、第1キャニスタマニホールド704を通って絶縁配管720への流体の流れを制御するための第1洗浄バルブ(pWASH1-1)732と、第1キャニスタマニホールド704を通って塗布機708への流体の流れを制御するための第2洗浄バルブ(pWASH1-2)733と、を有する。
【0049】
第2キャニスタマニホールド706は、第2キャニスタ734と流体をやり取りし、第2キャニスタ734は、帯電させることができるが、絶縁配管721によって、接地されているカラーバルブ712から静電的に絶縁されている。第2キャニスタマニホールド706は、複数のバルブ、即ち、絶縁配管721から第2キャニスタ734への塗料の流れを制御するための第2キャニスタバルブ(pCAN-2)735と、塗料配管737を介した塗布機708への塗料の流れを制御するための第2キャニスタ塗料バルブ(pPAINT2-2)736と、第2キャニスタマニホールド706を通って絶縁配管721への流体の流れを制御するための第1洗浄バルブ(pWASH2-1)738と、第2キャニスタマニホールド706を通って塗布機708への流体の流れを制御するための第2洗浄バルブ(pWASH2-2)739と、を有する。
【0050】
図示した実施例において、塗布機708は、複数の制御バルブ742、743、744、745、746を備えた塗布機マニホールド740を有する回転式ベル型塗布機である。各バルブ(pIW1、pIW2)742、743は、塗布機708への洗浄用の流体または空気を送り込むためにキャニスタマニホールド704、706の第2洗浄バルブ733、739のうちの関連する1つと流体をやり取りする。バルブ(pBW)744は、塗布機708の噴霧装置747への洗浄用流体または空気の流れを選択的に制御する。バルブ(pTRIG1、pTRIG2)745、746は、キャニスタマニホールド704、706のそれぞれから塗布機708の噴霧装置への塗料の流れを制御するための塗料バルブ730、736と流体をやり取りするトリガバルブである。図示するように、注入路748は、キャニスタマニホールド704、706のそれぞれから噴霧装置747へ塗料を流すために、噴霧装置747とバルブ745、746のそれぞれとの間に設置されている。
【0051】
図示した実施例において、真空生成手段710は、ベンチュリ型真空生成装置である。しかしながら、真空生成手段710は、真空を生成する従来の装置のいずれでもよい。真空生成手段710は、キャニスタ728、734のそれぞれの内部と流体をやり取りする。真空生成手段710は、真空バルブ(pVAC)749を介して色切替機の主配管と流体をやり取りするが、この例には限定されない。真空生成手段710は、廃棄物処理装置724に隣接して配置されるが、この例には限定されない。当然のことながら、真空生成手段710は、所望により、塗装装置の他の場所に設置されてもよく、遠隔設置されてもよい。
【0052】
図示した実施例において、供給された圧縮空気750及び供給された絶縁溶剤752は、種々の操作手順を実行するために塗装装置700でやり取りされる。特に、供給された圧縮空気750は、空気注入バルブ(pAIR)754を通り、複数の主洗浄バルブ(pWASH1、pWASH2、pWASH3)756、756、757に分配される。供給された絶縁溶剤752は、主溶剤バルブ(pSOL、pSOL2)758、759のペアのうちの少なくとも一方を通る。溶剤バルブ758は、塗装装置700を通る種々の経路へ溶剤を分配するために、主洗浄バルブ755、756、757のそれぞれと流体をやり取りする。溶剤バルブ759は、溶剤を押し出すために、主配管716と流体をやり取りする。主洗浄バルブ755、756、757は、第1キャニスタマニホールド704、第2キャニスタマニホールド706及び塗布機708のうちの少なくとも1つへの、圧縮空気及び洗浄用溶剤のうちの少なくとも1つの選択的制御を行うが、この例には限定されない。
【0053】
図9及び10は、塗装装置700を用いて実行された種々の操作手順に関する複数のバルブ構成を示し、「○」は、関連するバルブが開いていることを示す。ステップ1〜2に示すように、塗装作業に備えて塗装装置700の第1キャニスタ728を充填するために、真空生成手段710によってキャニスタに真空が生成されるが、この例には限定されない。具体的には、真空バルブ749、第1キャニスタ塗料バルブ718及び第1キャニスタバルブ730が開かれる。第1キャニスタ728及び塗布機708と連通している第1キャニスタ塗料配管731は閉じられる。その後、真空生成手段710は、第1キャニスタ728内に摺動自在に設置されたピストン760が第1キャニスタマニホールド704に向かって引かれるため、第1キャニスタ728から空気が引き抜かれ、第1キャニスタ728内に真空が生成される。第1キャニスタ728から空気が除去されると同時に、カラーバルブ712のうちの所望の1つが開けられ、塗料が、バルク塗料供給装置から、関連する塗料配管714、所望のカラーバルブ712、色切替機702の主配管716、絶縁配管720、及び第1キャニスタマニホールド704を通り、第1キャニスタ728へ流される。第1キャニスタ728から空気が排除された後に第1キャニスタ728に塗料を充填し、第1キャニスタ728に空気が逆流することがないため、塗装装置700から空気を排除するための抽気作業が不要となり、その結果、塗料の無駄が最小となる。塗料が流路を充填するとすぐに、第1キャニスタ728内の圧力が増加する。第1キャニスタ728内の圧力が増加すると、塗料はピストン760に圧力を加え、ピストン760は、第1キャニスタマニホールド704から離される。ピストン760に加わる圧力は検出され、第1キャニスタ728内の塗料の量を示すフィードバックが得られる。
【0054】
図6〜9に示すように、充填作業後、第1キャニスタ728は帯電され、塗装作業が実施される。塗装作業後に塗装装置700の第1キャニスタ728を洗浄するために、溶剤と空気の混合物が第1キャニスタマニホールド704を介して第1キャニスタ728に流される。溶剤及び空気の混合物は第1キャニスタ728から、絶縁配管720、塗料バルブ718、主配管716、廃棄物用配管722を通って廃棄物処理装置724へ流される。従って、廃棄物用配管722は、帯電した第1キャニスタ728と直接的には接触しない。廃棄物用配管722は、帯電しているキャニスタとは分離されているため、廃棄物用配管722の内壁に付着した塗料の残渣による電気的な侵食は主要な懸案事項ではない。当然のことながら、廃棄物処理装置724への廃棄物用配管722は、廃棄物処理装置724と絶縁されている必要はなく、直接的に接続することができる。
【0055】
第1キャニスタ728及び第2キャニスタ734を含む塗装装置700は、色切替時間及び塗料の無駄を最小化することがわかる。キャニスタ728、734と塗布機708との間の塗料配管731、737のそれぞれは、分離することができ(例えば、洗浄及び乾燥)、キャニスタ728、734のうちの一方は、キャニスタ728、734のうちの他方が塗装を実行している間に、さらに洗浄、乾燥、充填を行うことができる。
【実施例5】
【0056】
図11は、下記の点を除いてロボット塗装装置700に類似した本発明の第5の実施例に係るロボット塗装装置800の流路図を示す。塗装装置800は、色切替機802、キャニスタマニホールド804、塗布機806及び真空生成手段810を有する。
【0057】
色切替機802は、接地された複数のカラーバルブ(pCOL1〜pCOL8)812を有する。各カラーバルブ812は、複数の流入する塗料配管814の関連する1つと、色切替機802の主配管816との間に設置される。ペアとなっている塗料バルブ(pPAINT1、pPAINT2)818、819は、色切替機802からキャニスタマニホールド804への塗料の流れを制御するために、主配管816とキャニスタマニホールド804との間に設置される。
【0058】
絶縁配管820、821のペアのそれぞれは、色切替機802とキャニスタマニホールド804との間で流体をやりとするために、塗料バルブ818及び819のうちの関連する1つと接続されるが、この例には限定されない。絶縁配管820、821は、一般的にフッ化エチレンプロピレン(FEP)からなる。
【0059】
さらに、廃棄物用配管822は、絶縁配管820、821と廃棄物処理装置824との間で流体のやり取りを行うが、この例には限定されない。ある実施例においては、廃棄物用配管822は、絶縁配管820、821から主配管816を介して廃棄物用配管822への流体の流れを選択的に制御するために、廃棄物用バルブ(pDUMP)826を介して色切替機802の主配管816と接続される。
【0060】
キャニスタマニホールド804は、第1キャニスタ828及び第2キャニスタ829と流体をやり取りし、各キャニスタ828、829は、帯電させることができるが、絶縁配管820、821によって、接地されているカラーバルブ812から静電的に絶縁されている。キャニスタマニホールド804は、複数のバルブ、即ち、絶縁配管820から第1キャニスタ828への塗料の流れを制御するための第1キャニスタバルブ(pCAN-1)830と、第1キャニスタ塗料配管832を介した塗布機806への塗料の流れを制御するための塗料バルブ(pPAINT1-1)831と、キャニスタマニホールド804を通って絶縁配管820への塗料の流れを制御するための第1洗浄バルブ(pWASH1-1)833と、第1キャニスタ828を通って塗料の流れを選択的に制御するための第2洗浄バルブ(pWASH1-2)834と、キャニスタマニホールド804を通って塗布機806への塗料の流れを制御するための第3洗浄バルブ(pWASH1-3)835と、絶縁配管821から第2キャニスタ829への塗料の流れを制御するための第2キャニスタバルブ(pCAN-2)836と、第2キャニスタ塗料配管838を介して塗布機806への塗料の流れを制御するための塗料バルブ(pPAINT2-2)837と、キャニスタマニホールド804を通って絶縁配管821への流体の流れを制御するための第4洗浄バルブ(pWASH1-4)839と、第2キャニスタ829を通って流体の流れを選択的に制御するための第5洗浄バルブ(pWASH1-5)840と、を有する。
【0061】
図示した実施例において、塗布機806は、複数の制御バルブ842、843、844、845を備えた塗布機マニホールド841を有する回転式ベル型塗布機である。バルブ(pIW1)842は、塗布機806への洗浄用の流体を送り込むためにキャニスタマニホールド804の第3洗浄バルブ835と流体をやり取りする。バルブ(pBW)843は、塗布機806の噴霧装置846への洗浄用流体の流れを選択的に制御する。トリガバルブ(pTRIG1、pTRIG2)844、845は、塗料配管832、838のそれぞれから塗布機806の噴霧装置846への塗料の流れを制御するための塗料配管832、836と流体をやり取りするトリガバルブである。図示するように、注入配管847は、塗料配管832、836のそれぞれから噴霧装置846へ塗料を流すために、噴霧装置846とトリガバルブ844、845のそれぞれとの間に設置されている。
【0062】
図示した実施例において、真空生成手段810は、ベンチュリ型真空生成装置である。しかしながら、真空生成手段810は、真空を生成する従来の装置のいずれでもよい。真空生成手段810は、キャニスタ828、829のそれぞれの内部と流体をやり取りする。真空生成手段810は、真空バルブ(pVAC)848を介して色切替機の主配管と流体をやり取りするが、この例には限定されない。真空生成手段810は、廃棄物処理装置824に隣接して配置されるが、この例には限定されない。当然のことながら、真空生成手段810は、所望により、塗装装置の他の場所に設置されてもよく、遠隔設置されてもよい。
【0063】
図示した実施例において、供給された圧縮空気850及び供給された絶縁溶剤852は、種々の操作手順を実行するために塗装装置800でやり取りされる。特に、供給された圧縮空気850は、空気注入バルブ(pAIR)854を通り、複数の主洗浄バルブ(pWASH1、pWASH2)855、856に分配される。供給された絶縁溶剤852は、主溶剤バルブ(pSOL、pSOL2)858、859のペアのうちの少なくとも一方を通る。主溶剤バルブ858は、塗装装置800を通って種々の経路へ溶剤を分配するために、主洗浄バルブ855、856のそれぞれと流体をやり取りする。主溶剤バルブ859は、溶剤を押し出すために、主配管816と流体をやり取りする。主洗浄バルブ855、856は、キャニスタマニホールド804及び塗布機806のうちの少なくとも一方への、圧縮空気及び洗浄用溶剤のうちの少なくとも一方の選択的制御を行うが、この例には限定されない。
【0064】
図12及び13は、塗装装置800を用いて実行された種々の操作手順に関する複数のバルブ構成を示し、「○」は、関連するバルブが開いていることを示す。ステップ1〜2に示すように、塗装作業に備えて塗装装置800の第1キャニスタ828を充填するために、真空生成手段810によってキャニスタに真空が生成されるが、この例には限定されない。具体的には、真空バルブ848、第1キャニスタ塗料バルブ818及び第1キャニスタバルブ830を開く。第1キャニスタ塗料配管832と連通している塗料バルブ831を閉じる。その後、真空生成手段810は、第1キャニスタ828内に摺動自在に設置されたピストン860がキャニスタマニホールド804に向かって引かれるため、第1キャニスタ828から空気が抜かれ、第1キャニスタ828内に真空を生成する。第1キャニスタ828から空気が除去されると同時に、カラーバルブ812のうちの所望の1つが開けられ、塗料が、バルク塗料供給装置から、関連する塗料配管814、所望のカラーバルブ812、色切替機802の主配管816、絶縁配管820、及びキャニスタマニホールド804を通り、第1キャニスタ828へ流される。
【0065】
図6〜8に示すように、充填作業後、第1キャニスタ828は帯電され、塗装作業が実施される。塗装作業後に塗装装置800の第1キャニスタ828を洗浄するために、溶剤と空気の混合物がキャニスタマニホールド804を介して第1キャニスタ828に流される。溶剤及び空気の混合物は、第1キャニスタ828から、絶縁配管820、塗料バルブ818、主配管816、及び廃棄物用配管822を通って、廃棄物処理装置824へ流される。従って、廃棄物用配管822は、帯電した第1キャニスタ828と直接的には接触しない。廃棄物用配管822は、帯電しているキャニスタとは分離されているため、廃棄物用配管822の内壁に付着した塗料の残渣による電気的な侵食は主要な懸案事項ではない。
【実施例6】
【0066】
図14は、下記の点を除いてロボット塗装装置700に類似した第6の実施例に係るロボット塗装装置900の流路図を示す。塗装装置900は、色切替機902、第1キャニスタマニホールド904、第2キャニスタマニホールド906、塗布機908及び真空生成手段910を有する。
【0067】
色切替機902は、接地された複数のカラーバルブ(pCOL1〜pCOL8)912を有する。各カラーバルブ912は、複数の流入する塗料配管914の関連する1つと、色切替機902の主配管916との間に設置される。ペアとなっている塗料バルブ(pPAINT1、pPAINT2)918、919は、色切替機902からキャニスタマニホールド904、906への塗料の流れを制御するために、主配管916とキャニスタマニホールド904及び906のそれぞれとの間に設置される。
【0068】
絶縁配管920、921のペアのそれぞれは、色切替機902とキャニスタマニホールド904及び906のそれぞれとの間で流体をやりとするために、塗料バルブ918及び919のうちの関連する1つと接続されるが、この例には限定されない。絶縁配管920、921は、一般的にフッ化エチレンプロピレン(FEP)からなる。しかしながら、他の材料を用いることもできる。
【0069】
さらに、廃棄物用配管922は、絶縁配管920、921と廃棄物処理装置924との間で流体のやり取りを行うが、この例には限定されない。ある実施例においては、廃棄物用配管922は、絶縁配管920、921から主配管916を介して廃棄物用配管922への流体の流れを選択的に制御するために、廃棄物用バルブ(pDUMP)926を介して色切替機902の主配管916と接続される。
【0070】
第1キャニスタマニホールド904は、第1キャニスタ928と流体をやり取りし、第1キャニスタ928は、帯電させることができるが、絶縁配管920によって、接地されているカラーバルブ912から静電的に絶縁されている。第1キャニスタマニホールド904は、複数のバルブ、即ち、絶縁配管920から第1キャニスタ928への塗料の流れを制御するための第1キャニスタバルブ(pCAN-1)929と、第1キャニスタマニホールド904を通って絶縁配管920への流体の流れを制御するための第1洗浄バルブ(pWASH1-1)930と、を有する。第1キャニスタマニホールド904は、さらに、第1キャニスタ928と塗布機908との間で流体をやり取りする塗料配管931を有する。
【0071】
第2キャニスタマニホールド906は、第2キャニスタ932と流体をやり取りし、第2キャニスタ932は、帯電させることができるが、絶縁配管921によって、接地されているカラーバルブ912から静電的に絶縁されている。第2キャニスタマニホールド906は、複数のバルブ、即ち、絶縁配管921から第2キャニスタ932への塗料の流れを制御するための第2キャニスタバルブ(pCAN-2)933と、第2キャニスタマニホールド906を通って絶縁配管920への流体の流れを制御するための第1洗浄バルブ(pWASH2-1)934と、を有する。第2キャニスタマニホールド906は、さらに、第2キャニスタ932と塗布機908との間で流体をやり取りする塗料配管935を有する。塗料配管931、935はいずれも、塗料配管931、935の他方から電気的に絶縁されているため、洗浄及び乾燥を行うことができることがわかる。
【0072】
図示した実施例において、塗布機908は、塗布機908の噴霧装置939と流体をやり取りする第1注入路936及び第2注入路938を有する回転式ベル型塗布機である。ある実施例においては、注入路936、938のそれぞれは、互いに他方から独立し、分離されており、互いに電気的に絶縁されている。注入路936、938のうちの選択された一方を洗浄及び乾燥しているときに、注入路936、938のうちの選択された一方が流体配送システムの上流で電気的に分離されているように、注入路936、938は適当な長さ及び絶縁特性を有しているが、この例には限定されない。注入路936、938は、同時に洗浄及び充填を行う機能を果たすための2つの流路を提供するため、色切替時間が削減されることがわかる。
【0073】
塗布機908は、複数の制御バルブ941、942、943、944、945、946を備えている塗布機マニホールド940をさらに有する。各バルブ(pIW1、pIW2)941、942は、塗布機908に洗浄用の流体(または空気)を送る。バルブ(pPE1)943は、塗料配管931から、バルブ941とバルブ945との間の流路への塗料の流れを選択的に制御する。バルブ(pPE2)944は、塗料配管935から、バルブ942とバルブ946との間の流路への塗料の流れを選択的に制御する。バルブ(pTRIG1、pTRIG2)945、946は、塗料配管931、935のそれぞれから塗布機908の噴霧装置939への塗料の流れを制御するための注入路936、938と流体をやり取りするトリガバルブである。
【0074】
図示した実施例において、真空生成手段910は、ベンチュリ型真空生成装置である。しかしながら、真空生成手段910は、真空を生成する従来の装置のいずれでもよい。真空生成手段910は、キャニスタ928、934のそれぞれの内部と流体をやり取りする。真空生成手段910は、真空バルブ(pVAC)948を介して色切替機の主配管と流体をやり取りするが、この例には限定されない。真空生成手段910は、廃棄物処理装置924に隣接して配置されるが、この例には限定されない。当然のことながら、真空生成手段910は、所望により、塗装装置の他の場所に設置されてもよく、遠隔設置されてもよい。
【0075】
図示した実施例において、供給された圧縮空気950及び供給された絶縁溶剤952は、種々の操作手順を実行するために塗装装置900でやり取りされる。特に、供給された圧縮空気950は、空気注入バルブ(pAIR)954を通り、複数の主洗浄バルブ(pWASH1、pWASH2、pWASH3)955、956、957に分配される。供給された絶縁溶剤952は、主溶剤バルブ(pSOL、pSOL2)958、959のペアのうちの少なくとも一方を通る。溶剤バルブ958は、塗装装置900を通って種々の経路へ溶剤を分配するために、主洗浄バルブ955、956、957のそれぞれと流体をやり取りする。溶剤バルブ959は、溶剤を押し出すために、主配管916と流体をやり取りする。主洗浄バルブ955、956、957は、第1キャニスタマニホールド904、第2キャニスタマニホールド906及び塗布機908のうちの少なくとも1つへの、圧縮空気及び洗浄用溶剤のうちの少なくとも1つの選択的制御を行うが、この例には限定されない。
【0076】
図15及び16は、塗装装置900を用いて実行された種々の操作手順に関する複数のバルブ構成を示し、「○」は、関連するバルブが開いていることを示す。ステップ1〜2に示すように、塗装作業に備えて塗装装置900の第1キャニスタ928を充填するために、真空生成手段910によってキャニスタに真空が生成されるが、この例には限定されない。具体的には、真空バルブ948、第1キャニスタ塗料バルブ918、第1キャニスタバルブ930及びバルブ943を開く。トリガバルブ945を閉じる。その後、真空生成手段910は、第1キャニスタ928内に摺動自在に設置されたピストン960が第1キャニスタマニホールド904に向かって引かれるため、第1キャニスタ928から空気が抜かれ、第1キャニスタ928内に真空を生成する。第1キャニスタ928から空気が除去されると同時に、カラーバルブ912のうちの所望の1つが開けられ、塗料が、バルク塗料供給装置から、関連する塗料配管914、所望のカラーバルブ912、色切替機902の主配管916、絶縁配管920、及びキャニスタマニホールド904を通り、第1キャニスタ928へ流される。第1キャニスタ928から空気が排除された後に塗料が第1キャニスタ928を充填し、第1キャニスタ928に空気が逆流することがないため、塗装装置900から空気を排除するための抽気作業が不要となり、その結果、塗料の無駄が最小となる。
【0077】
充填作業後、第1キャニスタ928は帯電され、塗装作業が実施される(例えば、図6〜9参照)。図10及び11に示すように、塗装作業が完了した後、第1注入路936を洗浄するために、溶剤と空気の混合物が流される。図12及び13に示すように、塗装作業後に塗装装置900の第1キャニスタ928を洗浄するために、溶剤と空気の混合物がキャニスタマニホールド904を介して第1キャニスタ928に流される。特に、溶剤及び空気の混合物は、第1キャニスタ904から、絶縁配管920、主配管916、及び廃棄物用配管922を通って、廃棄物処理装置924へ流される。従って、廃棄物用配管922は、帯電した第1キャニスタ928と直接的には接触しない。
【0078】
第1注入路936及び第2注入路938を有する塗装装置900は、塗布機908内に先端部絶縁手段を提供する。特に、注入路936及び938のうちの1つは、導電性コーティングがされており、注入路936及び938のうちの他方は、清浄かつ乾燥しているか、非導電性溶剤または絶縁物質で満たされている。塗布機908には高電圧を印加することが可能であり、液体で満たされている側が帯電し、反対側は電圧ブロックを形成する。電圧ブロックは、キャニスタ928、932のうちの1つが、注入路936、938のうちの絶縁された1つと流体をやり取りするのを許容し、同一色で再充填するか、洗浄し新しい色で充填することができる。塗料配管931、935は充填された状態を維持することができるため、再充填の時間及び塗料の無駄を削減できることがわかる。さらに、塗装装置900は、色切替時間を最小化することがわかる。
【実施例7】
【0079】
図17は、下記の点を除いてロボット塗装装置900に類似した第7の実施例に係るロボット塗装装置1000の流路図を示す。図示するように、塗装装置1000は、色切替機1002、第1キャニスタマニホールド1004、第2キャニスタマニホールド1006、塗布機1008及び真空生成手段1010を有する。
【0080】
色切替機1002は、接地された複数のカラーバルブ(pCOL1〜pCOL8)1012を有する。各カラーバルブ1012は、複数の流入する塗料配管1014の関連する1つと、色切替機1002の主配管1016との間に設置される。ペアとなっている塗料バルブ(pPAINT1、pPAINT2)1018、1019は、色切替機1002からキャニスタマニホールド1004、1006への塗料の流れを制御するために、主配管1016とキャニスタマニホールド1004及び1006のそれぞれとの間に設置される。
【0081】
絶縁配管1020、1021のペアのそれぞれは、色切替機1002とキャニスタマニホールド1004及び1006のそれぞれとの間で流体をやりとするために、塗料バルブ1018及び1019のうちの関連する1つと接続されるが、この例には限定されない。絶縁配管1020、1021は、一般的にフッ化エチレンプロピレン(FEP)からなる。しかしながら、他の材料を用いることもできる。さらに、廃棄物用配管1022は、絶縁配管1020、1021と廃棄物処理装置1024との間で流体のやり取りを行うが、この例には限定されない。ある実施例においては、廃棄物用配管1022は、絶縁配管1020、1021から主配管1016を介して廃棄物用配管1022への流体の流れを選択的に制御するために、廃棄物用バルブ(pDUMP)1026を介して色切替機1002の主配管1016と接続される。
【0082】
第1キャニスタマニホールド1004は、第1キャニスタ1028と流体をやり取りし、第1キャニスタ1028は、帯電させることができるが、絶縁配管1020によって、接地されているカラーバルブ1012から静電的に絶縁されている。第1キャニスタマニホールド1004は、複数のバルブ、即ち、絶縁配管1020から第1キャニスタ1028への塗料の流れを制御するための第1キャニスタバルブ(pCAN-1)1029と、塗料配管1031を介した塗布機1008への塗料の流れを制御するための第1キャニスタ塗料バルブ(pPAINT1-1)1030と、第1キャニスタマニホールド1004を通って絶縁配管1020への流体の流れを制御するための第1洗浄バルブ(pWASH1-1)1032と、第1キャニスタマニホールド1004を通って塗布機1008への流体の流れを制御するための第2洗浄バルブ(pWASH1-2)1033と、を有する。
【0083】
第2キャニスタマニホールド1006は、第2キャニスタ1034と流体をやり取りし、第2キャニスタ1034は、帯電させることができるが、絶縁配管1021によって、接地されているカラーバルブ1012から静電的に絶縁されている。第2キャニスタマニホールド1006は、複数のバルブ、即ち、絶縁配管1021から第2キャニスタ1034への塗料の流れを制御するための第2キャニスタバルブ(pCAN-2)1035と、塗料配管1037を介した塗布機1008への塗料の流れを制御するための第2キャニスタ塗料バルブ(pPAINT2-2)1036と、第2キャニスタマニホールド1006を通って絶縁配管1020への流体の流れを制御するための第1洗浄バルブ(pWASH2-1)1038と、第2キャニスタマニホールド1006を通って塗布機1008への流体の流れを制御するための第2洗浄バルブ(pWASH2-2)1039と、を有する。
【0084】
図示した実施例において、塗布機1008は、塗布機1008の噴霧装置1042と流体をやり取りする第1注入路1040及び第2注入路1041を有する回転式ベル型塗布機である。注入路1040、1041のそれぞれは、互いに他方から独立し、分離されており、互いに電気的に絶縁されている。注入路1040、1041のうちの選択された一方を洗浄及び乾燥しているときに、注入路1040、1041のうちの選択された一方が流体配送システムの上流で電気的に分離されているように、注入路1040、1041は適当な長さ及び絶縁特性を有しているが、この例には限定されない。注入路1040、1041は、同時に洗浄及び充填を行う機能を果たすための2つの流路を提供するため、色切替時間が削減されることがわかる。
【0085】
塗布機1008は、複数の制御バルブ1044、1045、1046、1047、1048を備えている塗布機マニホールド1043をさらに有する。各バルブ(pIW1、pIW2)1044、1045は、塗布機1008に洗浄用の流体を送る。バルブ(pBW)1046は、塗布機1002の噴霧装置への洗浄用流体の流れを選択的に制御する。バルブ(pTRIG1、pTRIG2)1047、1048は、塗料配管1031、1035のそれぞれから塗布機1008の噴霧装置1042への塗料の流れを制御するための注入路1040、1041と流体をやり取りするトリガバルブである。塗料配管1031は、バルブ1044とバルブ1047との間の流路と流体をやり取りするが、この例には限定されない。さらに、塗料配管1037は、バルブ1045とバルブ1048との間の流路と流体をやり取りするが、この例には限定されない。
【0086】
図示した実施例において、真空生成手段1010は、ベンチュリ型真空生成装置である。しかしながら、真空生成手段1010は、真空を生成する従来の装置のいずれでもよい。真空生成手段1010は、キャニスタ1028、1034のそれぞれの内部と流体をやり取りする。真空生成手段1010は、真空バルブ(pVAC)1049を介して色切替機の主配管と流体をやり取りするが、この例には限定されない。真空生成手段1010は、廃棄物処理装置1024に隣接して配置されるが、この例には限定されない。当然のことながら、真空生成手段1010は、所望により、塗装装置の他の場所に設置されてもよく、遠隔設置されてもよい。
【0087】
図示した実施例において、供給された圧縮空気1050及び供給された絶縁溶剤1052は、種々の操作手順を実行するために塗装装置1000でやり取りされる。特に、供給された圧縮空気1050は、空気注入バルブ(pAIR)1054を通り、複数の主洗浄バルブ(pWASH1、pWASH2、pWASH3)1055、1056、1057に分配される。供給された絶縁溶剤1052は、主溶剤バルブ(pSOL、pSOL2)1058、1059のペアのうちの少なくとも一方を通る。溶剤バルブ1058は、塗装装置1000を通って種々の経路へ溶剤を分配するために、主洗浄バルブ1055、1056、1057のそれぞれと流体をやり取りする。溶剤バルブ1059は、溶剤を押し出すために、主配管1016と流体をやり取りする。主洗浄バルブ1055、1056、1057は、第1キャニスタマニホールド1004、第2キャニスタマニホールド1006及び塗布機1008のうちの少なくとも1つへの、圧縮空気及び洗浄用溶剤のうちの少なくとも1つの選択的制御を行うが、この例には限定されない。
【0088】
図18及び19は、塗装装置1000を用いて実行された種々の操作手順に関する複数のバルブ構成を示し、「○」は、関連するバルブが開いていることを示す。ステップ1〜2に示すように、塗装作業に備えて塗装装置1000の第1キャニスタ1028を充填するために、真空生成手段1010によってキャニスタに真空が生成されるが、この例には限定されない。具体的には、真空バルブ1049、第1キャニスタ塗料バルブ1018、第1キャニスタバルブ1029及び塗料バルブ1030を開く。トリガバルブ1047を閉じる。その後、真空生成手段1010は、第1キャニスタ1028内に摺動自在に設置されたピストン1060が第1キャニスタマニホールド1004に向かって引かれるため、第1キャニスタ1028から空気が抜かれ、第1キャニスタ1028内に真空を生成する。第1キャニスタ1028から空気が除去されると同時に、カラーバルブ1012のうちの所望の1つが開けられ、バルク塗料供給装置から、関連する塗料配管1014を通り、所望のカラーバルブ1012を通り、色切替機1002の主配管1016を通り、絶縁配管1020を通り、キャニスタマニホールド1004を通り、第1キャニスタ1028へ塗料が流される。
【0089】
充填作業後、第1キャニスタ1028は帯電され、塗装作業が実施される(例えば、図6〜9参照)。図10及び11に示すように、塗装作業が完了した後、第1注入路1040を洗浄するために、溶剤と空気の混合物が流される。図12及び13に示すように、塗装作業後に塗装装置1000の第1キャニスタ1028を洗浄するために、溶剤と空気の混合物がキャニスタマニホールド1004を介して第1キャニスタ1028に流される。
特に、溶剤及び空気の混合物は第1キャニスタ1004から、絶縁配管1020、主配管1016、廃棄物用配管1022を通って廃棄物処理装置1024へ流される。従って、廃棄物用配管1022は、帯電した第1キャニスタ1028と直接的には接触しない。
【0090】
第1注入路1040及び第2注入路1041を有する塗装装置1000は、塗布機1008内に先端部絶縁手段を提供する。特に、注入路1040及び1041のうちの1つは、導電性コーティングがされており、注入路1040及び1041のうちの他方は、清浄かつ乾燥しているか、非導電性溶剤または絶縁物質で満たされている。塗布機1008には高電圧を印加することが可能であり、液体で満たされた方が帯電し、他方は電圧ブロックを形成する。電圧ブロックは、キャニスタ1028、1034のうちの1つが、注入路1040、1041のうちの絶縁された1つと流体をやり取りするのを許容し、同一色で再充填するか、洗浄し新しい色で充填することができる。塗料配管1031、1035は充填された状態を維持することができるため、再充填の時間及び塗料の無駄を削減することができることがわかる。さらに、塗装装置1000は、色切替時間も最小化することがわかる。
【実施例8】
【0091】
図20は、下記の点を除いてロボット塗装装置900に類似した第8の実施例に係るロボット塗装装置1100の流路図を示す。図示するように、塗装装置1100は、色切替機1102、第1キャニスタマニホールド1104、第2キャニスタマニホールド1106、塗布機1108及び真空生成手段1110を有する。
【0092】
色切替機1102は、接地された複数のカラーバルブ(pCOL1〜pCOL8)1112を有する。各カラーバルブ1112は、複数の流入する塗料配管1114の関連する1つと、色切替機1102の主配管1116との間に設置される。ペアとなっている塗料バルブ(pPAINT1、pPAINT2)1118、1119は、色切替機1102からキャニスタマニホールド1104、1106への塗料の流れを制御するために、主配管1116とキャニスタマニホールド1104及び1106のそれぞれとの間に設置される。
【0093】
絶縁配管1120、1121のペアのそれぞれは、色切替機1102とキャニスタマニホールド1104及び1106のそれぞれとの間で流体をやりとするために、塗料バルブ1118及び1119のうちの関連する1つと接続されるが、この例には限定されない。絶縁配管1120、1121は、一般的にフッ化エチレンプロピレン(FEP)からなる。しかしながら、他の材料を用いることもできる。
【0094】
さらに、廃棄物用配管1122、1123のペアのそれぞれは、廃棄物処理装置1124に流体を流すために、キャニスタマニホールド1104、1106の少なくとも一方と流体をやり取りするが、この例には限定されない。
【0095】
第1キャニスタマニホールド1104は、第1キャニスタ1128と流体をやり取りし、第1キャニスタ1128は、帯電させることができるが、絶縁配管1120によって、接地されているカラーバルブ1112から静電的に絶縁されている。第1キャニスタマニホールド1104は、複数のバルブ、即ち、絶縁配管1120から第1キャニスタ1128への塗料の流れを制御するための第1キャニスタバルブ(pCAN-1)1129と、絶縁配管1120から廃棄物用配管1122までの流体の流れを制御する第1廃棄物バルブ(pDUMP1-1)1130と、キャニスタ1128から廃棄物用配管1122までの流体の流れを制御する第2廃棄物バルブ(pDUMP1-2)1131と、を有する。第1キャニスタマニホールド1104は、さらに、第1キャニスタ1128と塗布機1108との間で流体をやり取りする塗料配管1132を有する。
【0096】
第2キャニスタマニホールド1106は、第2キャニスタ1134と流体をやり取りし、第2キャニスタ1134は、帯電させることができるが、絶縁配管1121によって、接地されているカラーバルブ1112から静電的に絶縁されている。第2キャニスタマニホールド1106は、複数のバルブ、即ち、絶縁配管1121から第2キャニスタ1134への塗料の流れを制御するための第2キャニスタバルブ(pCAN-2)1135と、絶縁配管1121から廃棄物用配管1123までの流体の流れを制御する第2廃棄物バルブ(pDUMP2-1)1136と、キャニスタ1134から廃棄物用配管1123までの流体の流れを制御する第2廃棄物バルブ(pDUMP2-2)1137と、を有する。第2キャニスタマニホールド1106は、さらに、第2キャニスタ1134と塗布機1108との間で流体をやり取りする塗料配管1138を有する。塗料配管1132、1138はいずれも、塗料配管1132、1138の他方から電気的に絶縁されているため、洗浄及び乾燥を行うことができることがわかる。
【0097】
図示した実施例において、塗布機1108は、塗布機1108の噴霧装置1141と流体をやり取りする第1注入路1139及び第2注入路1140を有する回転式ベル型塗布機である。注入路1139、1140のそれぞれは、互いに他方から独立し、分離されており、互いに電気的に絶縁されている。
【0098】
塗布機1108は、複数の制御バルブ1143、1144、1145、1146、1147、1148を備えている塗布機マニホールド1142をさらに有する。各バルブ(pIW1、pIW2)1143、1144は、塗布機1108に洗浄用の流体を送る。バルブ(pPE1)1145は、塗料配管1132から、バルブ1143とバルブ1147との間の流路への塗料の流れを選択的に制御する。バルブ(pPE1)1146は、塗料配管1138から、バルブ1144とバルブ1148との間の流路への塗料の流れを選択的に制御する。バルブ(pTRIG1、pTRIG2)1147、1148は、塗料配管1132、1138のそれぞれから塗布機1108の噴霧装置1141への塗料の流れを制御するための注入路1139、1140と流体をやり取りするトリガバルブである。
【0099】
図示した実施例において、真空生成手段1110は、ベンチュリ型真空生成装置である。しかしながら、真空生成手段1110は、真空を生成する従来の装置のいずれでもよい。真空生成手段1110は、キャニスタ1128、1134のそれぞれの内部と流体をやり取りする。真空生成手段1110は、真空バルブ(pVAC)1149を介して色切替機の主配管と流体をやり取りするが、この例には限定されない。
【0100】
図示した実施例において、供給された圧縮空気1150及び供給された絶縁溶剤1152は、種々の操作手順を実行するために塗装装置1100でやり取りされる。特に、供給された圧縮空気1150は、主配管1116と連通しているバルブ(pCC)1154を通る。空気は、また、複数の主洗浄バルブ(pWASH1、pWASH2、pWASH3)1155、1156、1157を通って分配される。供給された絶縁溶剤1152は、主溶剤バルブ(pSOL、pSOL2)1158、1159のペアのうちの少なくとも一方を通る。溶剤バルブ1158は、塗装装置1100を通って種々の経路へ溶剤を分配するために、主洗浄バルブ1155、1156、1157のそれぞれと流体をやり取りする。溶剤バルブ1159は、溶剤を押し出すために、主配管1116と流体をやり取りする。主洗浄バルブ1155、1156、1157は、第1キャニスタマニホールド1104、第2キャニスタマニホールド1106及び塗布機1108のうちの少なくとも1つへの、圧縮空気及び洗浄用溶剤のうちの少なくとも1つの選択的制御を行うが、この例には限定されない。
【0101】
図21及び22は、塗装装置1100を用いて実行された種々の操作手順に関する複数のバルブ構成を示し、「○」は、関連するバルブが開いていることを示す。ステップ1〜2に示すように、塗装作業に備えて塗装装置1100の第1キャニスタ1128を充填するために、真空生成手段1110によってキャニスタに真空が生成されるが、この例には限定されない。具体的には、真空バルブ1149、第1キャニスタ塗料バルブ1118、第1キャニスタバルブ1129及びバルブ1145を開く。トリガバルブ1047及びバルブ1143を閉じる。その後、真空生成手段1110は、第1キャニスタ1128内に摺動自在に設置されたピストン1160が第1キャニスタマニホールド1104に向かって引かれるため、第1キャニスタ1128から空気が抜かれ、第1キャニスタ1128内に真空を生成する。第1キャニスタ1128から空気が除去されると同時に、カラーバルブ1112のうちの所望の1つが開けられ、バルク塗料供給装置から、関連する塗料配管1114、所望のカラーバルブ1112、色切替機1102の主配管1116、絶縁配管1120、及びキャニスタマニホールド1104を通って、第1キャニスタ1128へ塗料が流される。
【0102】
充填作業後、第1キャニスタ1128は帯電され、塗装作業が実施される(例えば、図6〜9参照)。図10及び11に示すように、塗装作業が完了した後、第1注入路1139を洗浄するために、溶剤と空気の混合物が流される。図12及び13に示すように、塗装作業後に塗装装置1100の第1キャニスタ1128を洗浄するために、溶剤と空気の混合物がキャニスタマニホールド1104を介して第1キャニスタ1128に流される。特に、溶剤及び空気の混合物は、主配管1116から、絶縁配管1120、第1キャニスタ1128、第2廃棄物バルブ1020、廃棄物用配管1122を通って廃棄物処理装置1124へ流される。
【0103】
第1注入路1139及び第2注入路1140を有する塗装装置1100は、塗布機1108内に先端部絶縁手段を提供する。特に、第1注入路1139及び第2注入路1140のうちの1つは、導電性コーティングがされており、第1注入路1139及び第2注入路1140のうちの他方は、清浄かつ乾燥しているか、非導電性溶剤または絶縁物質で満たされている。塗布機1108には高電圧を印加することが可能であり、液体で満たされた方が帯電し、他方は電圧ブロックを形成する。電圧ブロックは、キャニスタ1128、1134のうちの1つが、第1注入路1139及び第2注入路1140のうちの絶縁された1つと流体をやり取りするのを許容し、同一色で再充填するか、洗浄し新しい色で充填することができる。塗料配管1132、1138は充填された状態を維持することができるため、再充填の時間及び塗料の無駄を削減することができることがわかる。さらに、塗装装置1100は、色切替時間も最小化することがわかる。
【0104】
上述の議論は、単に、本発明の例示的実施態様を開示し記載したものである。
当該技術分野の当業者は、その議論、添付の図面、及び添付の請求項から、添付の請求項に定義した本発明の思想と範囲を超えずに、種々の変更、変形態様、及びバリエーションを実施することができることを容易に理解するであろう。
【0105】
本願は、2009年8月8日に出願された米国仮出願第61/167,614号の優先権の利益を主張するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレーブース内で移動可能な外部アームと、
前記外部アームに一方の端部が接続されている少なくとも2軸の手首と、
前記手首の他方の端部に接続された塗布機と、
ロボットに設置され、注入口と、第1塗料配管を介して前記塗布機と流体をやり取りする排出口と、を備える第1塗料計量装置と、
前記ロボットに設置され、注入口と、第2塗料配管を介して前記塗布機と流体をやり取りする排出口と、を備える第2塗料計量装置と、
前記ロボットに設置され、前記第1及び第2塗料計量装置のそれぞれの注入口と流体をやり取りして、前記第1及び第2塗料計量装置の少なくとも一方に所望の量の塗料を充填する色切替機と、を有し、
前記第1及び第2塗料計量装置は、それぞれ前記色切替機から静電的に絶縁され、前記塗布機、前記第1塗料計量装置、前記第2塗料計量装置、前記色切替機及び関連する流体接続部のうちの少なくとも1つを真空として、これらに塗料を流す前に一定量の空気を除去することを特徴とする塗装装置。
【請求項2】
前記塗布機は、前記塗布機の噴霧装置と流体をやり取りする第1注入路及び第2注入路を有し、
前記第1及び第2注入路の各々は、独立し、互いに分離され、互いに電気的に絶縁されている、請求項1に記載の塗装装置。
【請求項3】
前記第1及び第2塗料計量装置のうちの少なくとも1つは、サーボモータで制御されたキャニスタである、請求項1に記載の塗装装置。
【請求項4】
前記第1及び第2塗料計量装置のうちの少なくとも1つの排出口の下流の位置に、洗浄用溶剤及び圧縮空気が供給され、
前記第1及び第2塗料計量装置のうちの少なくとも1つと前記色切替機との間の流体接続部が、静電的絶縁のために、前記第1及び第2塗料計量装置のうちの少なくとも1つへの塗料の供給方向とは逆方向に洗浄され、乾燥されるように、前記第1及び第2塗料計量装置のうちの少なくとも1つの注入口の上流に廃棄物バルブが配置されている、請求項1に記載の塗装装置。
【請求項5】
前記第1及び第2塗料計量装置のうちの少なくとも1つと前記色切替機との間の流体接続部に、洗浄用溶剤及び圧縮空気が供給され、
前記色切替機は、前記流体接続部が、静電的絶縁のために、前記第1及び第2塗料計量装置のうちの少なくとも1つへの塗料の供給方向とは逆方向に洗浄され、乾燥されるように構成された廃棄物バルブを有する、請求項1に記載の塗装装置。
【請求項6】
前記色切替機からの塗料を前記第1及び第2塗料計量装置の注入口のうちの少なくとも1つへの塗料の供給方向へ押し出すために溶剤が使用される、請求項1に記載の塗装装置。
【請求項7】
キャニスタのピストンが前方向に完全に押されたときに流路が形成されるように、前記第1及び第2塗料計量装置のうちの少なくとも1つの注入口と排出口との間にチャネルが形成されている、請求項1に記載の塗装装置。
【請求項8】
ピストンを駆動するサーボモータからの電気的フィードバックが、ピストンに加わる正又は負の力を時間に関してプロットするために使用され、
フィードバック応答の傾きが、前記塗装装置が充填工程で次の段階に進む前に十分に準備されていることを示す、塗料が注入器の先端に達する時間を決定するために使用される、請求項3に記載の塗装装置。
【請求項9】
前記第1及び第2塗料計量装置の一方が塗料を分注している間に、前記第1及び第2塗料計量装置の他方に少なくとも洗浄、乾燥及び充填の何れかが行われるように、前記第1及び第2塗料配管の各々が分離されている、請求項3に記載の塗装装置。
【請求項10】
スプレーブース内で移動可能なロボットアームと、
前記ロボットアームに結合され、塗装装置の噴霧器と流体をやり取りする第1注入路と第2注入路とを有する塗布機であって、前記第1及び第2注入路の各々は、独立し、互いに分離され、互いに電気的に絶縁されている塗布機と、
前記ロボットアームに設置され、注入口と排出口とを有する塗料計量装置であって、前記排出口は前記塗布機の前記第1及び第2注入路の少なくとも一方と流体をやり取りし、前記注入口は、塗料供給装置と流体をやり取りする塗料計量装置と、
を有することを特徴とする塗装装置。
【請求項11】
前記ロボットアームは、一方の端部が外部アームに接続された、少なくとも2軸の手首と、前記手首の反対の端部に接続された塗布機と、を有する請求項10に記載の塗装装置。
【請求項12】
塗料を流す前に一定量の空気を除去するために、前記塗布機の内部流路と、塗料計量装置と、関連する流体接続部のうちの少なくとも1つを真空にする、請求項10に記載の塗装装置。
【請求項13】
前記塗料計量装置は、サーボモータで制御されたキャニスタである、請求項10に記載の塗装装置。
【請求項14】
前記塗料計量装置の排出口の下流の位置に洗浄用溶剤と圧縮空気が供給され、
前記塗料計量装置と前記塗料供給装置との間の流体接続部が、電気的分離のために、前記塗料計量装置への塗料の供給方向とは逆方向に洗浄及び乾燥が行われるように、前記塗料計量装置の上流に廃棄物バルブが配置されている、請求項10に記載の塗装装置。
【請求項15】
前記第1及び第2注入路のうちの一方が塗料で充填され、前記第1及び第2注入路の他方は絶縁されて前記塗布機内で電圧ブロックを形成している、請求項10に記載の塗装装置。
【請求項16】
塗布機の噴霧装置と流体をやり取りする第1注入路及び第2注入路を有する塗布機であって、前記第1及び第2注入路の各々は、独立し、互いに分離され、互いに電気的に絶縁されている塗布機を用意するステップと、
注入口と排出口とを有する塗料計量装置であって、前記排出口は前記塗布機の前記第1及び第2注入路の少なくとも一方と流体をやり取りし、前記注入口は、塗料供給装置と流体をやり取りする塗料計量装置を用意するステップと、
前記塗料供給装置から前記塗料計量装置へ塗料を流すことにより前記塗料計量装置を所望の量の塗料で充填するステップと、
前記第1及び第2注入路の少なくとも一方を通って、塗料計量装置から塗料を分注することにより塗装作業を実行するステップと、
を含むことを特徴とするロボット塗装装置の操作方法。
【請求項17】
前記塗料供給装置と前記塗料計量装置との間に設けられ、これらの間で流体をやり取りする絶縁配管を用意するステップをさらに有する、請求項16に記載のロボット塗装装置の操作方法。
【請求項18】
塗料を流す前に、一定量の空気を除去するために、前記塗料計量装置、前記第1注入路、前記第2注入路及び前記絶縁配管の少なくとも1つに真空を生成するステップをさらに有する、請求項17に記載のロボット塗装装置の操作方法。
【請求項19】
前記第1及び第2注入路のうちの一方を塗料で充填するステップをさらに含み、
前記第1及び第2注入路の他方は絶縁されて前記塗布機内で電圧ブロックを形成している、請求項16に記載のロボット塗装装置の操作方法。
【請求項20】
前記塗料計量装置の排出口の下流の位置に、洗浄用溶剤及び圧縮空気を供給するステップをさらに含み、
前記塗料計量装置と前記塗料供給装置との間の流体接続部が、電気的分離のために、前記塗料計量装置への塗料の供給方向とは逆方向に洗浄及び乾燥が行われるように、前記第塗料計量装置の注入口の上流に廃棄物バルブが配置されている、請求項16に記載のロボット塗装装置の操作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2012−523315(P2012−523315A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504858(P2012−504858)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/030377
【国際公開番号】WO2010/118222
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(505241005)ファナック ロボティクス アメリカ コーポレイション (18)
【Fターム(参考)】