説明

改良された締結具を備えたパイプクランプ

バンドおよびナットと、ボルトの締結具とを有するバンドクランプ。バンドは、ボルトを受けるための開口部をそれぞれ有する、半径方向に延びる対向するフランジを含む。ボルトは、首部と、ナットを受けるためのねじ本体部と、首部からねじ本体部までテーパの付いた中間部とを含む軸部を有する。一実施形態において、テーパの付いた中間部は、首部の一部分が本体と共通表面を有するように、軸部のまわりに部分的にのみ延びる。締め付ける間に、フランジの開口部の半径方向内側の接面はねじ本体部を係合することができ、テーパの付いた中間部を横切り上に乗る必要なく、ねじ本体部に沿って共通の表面をわたって首部に滑動することができる。別の実施形態において、ナットは、ナットがボルト上に所望の軸方向に締め付けられるとテーパの付いた中間部を係合する、角度のある肩部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、バンドクランプ、パイプカプラなどのパイプクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
バンドクランプは、パイプ、ホース、および自動車排気システムの排気管など他の管状部材をともに連結するために一般的に使用される。かかる連結部は、典型的に、抜き差し自在のオーバーラップ継手、または、2つの管状部材のエンドツーエンドの突合せ継手で構成される。効果的にするために、管状部材間の連結は、漏れを防止するために適切な液密シールを与えなければならない。連結はまた、高い機械的強度も有し、簡単に分解できなければならない。
【0003】
従来のバンドクランプは、接合されることになる管状部材に外接する円筒状の本体部分によって画定されるバンドを含む。円筒状の本体は、対向し半径方向に延びる連結フランジで終端し、この連結フランジは、フランジを通って横方向に延びる締結具によって管状部材のまわりで緩められるかまたはともに引っ張られる。締結具が締め付けられるにつれて、対向するフランジはともに固く締められ、それによってバンドに歪みが加わる。この歪みによって、半径方向に向いた圧縮締付け荷重が管状部材上に生じる。バンドが締結具の締付けによって固く締められるにつれて管状部材の半径方向力をより均一に分配するために、反作用部材をフランジ間に設けてもよい。いずれにせよ、締結具は、バンドから管状部材まで一貫した締付け荷重を与えるように、バンドのフランジをともに引っ張る一貫した締結力を発揮しなければならない。
【0004】
従来のバンドクランプの設計には、一貫した締付け荷重を必ずしももたらさないものもある。それは特に、バンドクランプを締め付けるときバンドクランプ構成要素の公差スタックアップが干渉状態を生ずる場合である。例示的な従来のバンドクランプ210および関連するボルト248を、先行技術の図6から図9に表す。図6に示すように、ボルト248は、ボルト248の一端を画定するヘッド256と、ヘッド256から長手方向に離れて延び、ボルト248の反対側の端部で終端する円筒状の軸部276とを含む。軸部276は、閉口端のスロット281を備えるスロット付き首部280と、スロット付き首部280と比較して直径が比較的減少しているねじ本体部284と、首部280と本体部284の間に設けられる円すい形の中間部286とを含む。図7に示すように、軸部276は、バンド216の対向するフランジ226および228を通り、かつフランジ226と228の間に位置する反作用部材242を通って延びる。ここでは、スロット付き首部280は、ボルトが不注意にフランジからすべり落ちないようにボルトおよび反作用部材をフランジ228に事前組立てできるように反作用部材242を通って締り嵌めするのに適合される。ナット252をボルト248に締め付ける前は、図7に示すように、軸部276とフランジ226の開口部272の頂部の間にクリアランスがある。しかし、ナット252が締め付けられるにつれて、図8に表すように、開口部272の頂部は軸部276のより近くに引っ張られる。ボルト248およびバンド216の最大実体状態などのある条件下では、図9に表すように、フランジ226の開口部272の頂部が、スロット付き首部280ではなく最初にねじ本体部284と接触する。ナット252がさらに締め付けられるにつれて、バンド216のフランジ226の開口部272の頂部は、本体部284と首部280の異径間にある円すい形の中間部286に実質的に干渉して、横切る。このような干渉状態下では、ナット252に加えられた停止トルクは変動する傾向があり、それによって、結果として一貫しないナットトルクが生じ、これが予測不可能な締付け荷重に
変換される。つぎに、予測不可能な締付け荷重によって、多様な締結強度の結果となる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明の一態様によると、ナットをより一貫して停止できるナットおよびボルトの締結具を好ましくは使用して、自動車の排気管または他の管状部材を連結するためのバンドクランプが提供される。バンドクランプは、周囲に延びる本体部分と、本体部分の対向端部にある半径方向に延びる対向するフランジとを含むバンドを備える。フランジにはそれぞれ、本体部分が管状部材のまわりに少なくとも部分的に嵌合されることができ、ついで、ボルトを使用して締め付けられることができるように、締結具のボルトを受けるための開口部がある。
【0006】
ボルトには、第1の端部に頭部と、頭部から延び第2の端部で終端する軸部とがある。軸部は、頭部から第2の端部に向かって延びる首部と、第2の端部から第1の端部に向かって延びるねじ本体部と、首部と本体部の間に位置するテーパの付いた中間部とを含む。このテーパの付いた中間部は、首部の一部分が本体と共通表面を有するように、軸部のまわりに部分的にのみ延びる。締め付ける間に、フランジの開口部の半径方向内側の接面がねじ本体部を係合すると、ついで、さらに締め付ける間に、この表面は、テーパの付いた中間部を横切り上に乗る必要なく、ねじ本体部に沿って共通表面をわたって首部に滑動することができる。このことによって、クランプを事前組立てするためボルトの首部にプレス嵌めする反作用部材とともにボルトを使用することができると同時に、そうしないと一貫しない予測不可能な締付け荷重を生じ得るボルトとフランジ開口部の間の干渉を避ける。
【0007】
本発明の別の態様によると、上述の固有のボルト設計か、ボルト全体に外接するテーパの付いた中間部を有する従来のボルトのどちらかとともにナットを使用する、バンドクランプが提供される。ナットは肩部を有し、この肩部は、ナットがボルト上に締め付けられるとテーパの付いた中間部を係合し、それによってナットをボルトにさらにねじ付けるのに必要とされるトルクが急増する。
【0008】
本発明のさらに別の態様によると、管状部材のまわりにバンドクランプを締結する方法が提供され、
本体部分の対向端部に位置する1対の半径方向に延びる対向するフランジを有する、周囲に延びる本体部分を含むバンドを設けるステップと、
対向するフランジの開口部を通してボルトを挿入するステップであって、ボルトは第1の端部に頭部と、頭部から延び第2の端部で終端する軸部とを含み、軸部は、頭部から第2の端部に向かって延びる首部と、第2の端部から第1の端部に向かって延びるねじ本体部と、首部と本体部の間のテーパの付いた中間部とを含む、ボルトを挿入するステップと、
ナットをボルトのねじ本体部に組立てるステップであって、ナットは肩部を有する、ナットを組立てるステップと、
ナットに加えられるトルクを監視するステップと、
ナットの肩部をボルトの軸部のテーパの付いた中間部と係合するために監視されたトルクが増大するまで、ナットをボルトに締め付けるステップと、
を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
好適な実施形態の詳細な説明
次に図面を参照して、本発明をバンドクランプの2つの例示的実施形態において示す。
このバンドクランプは、管の端部をともに結合して車両の排気システムの管継手を形成するために特に適合される。排気システムの応用分野において、好ましくは、バンドクランプはスチールで作製される。図示される実施形態において、本発明は、Casselらの米国特許第4,629,226号に示される方法で、締付け機構の単一のボルトを備えるバンドクランプで実施される。本発明はまた、Casselの米国特許第4,813,270号、またはAmedureらの米国特許第6,758,501号において開示されるような、2つのボルトを有する締付け機構によって実施されることも可能である。説明が進むにつれて、本発明は多くの異なる応用分野において有用であり、多くの他の実施形態において実施されてもよいことが理解されるであろう。たとえば、本発明は、抜き差し自在に重なる状態でパイプを連結することが可能なバンドクランプに対してだけでなく、エンドツーエンドの構成で嵌合されるパイプに典型的に適用されるパイプカプラに対しても使用されることができる。本願明細書において使用されているように、「バンドクランプ」という用語は、パイプカプラおよびバンドクランプの両方を指すのに使用される。さらに、「軸方向に」、「角度のある」、および「半径方向に」、という用語は、一般に、示されたパイプカプラの円形の形状に対する方向を指すので、軸方向は、経度またはこの円形の形状の軸に沿って延び、半径方向は、この軸から離れて半径方向に延び、「角度のある」は、バンドクランプの周縁部まわりの点での位置を指す。
【0010】
図1は、第1の例示的実施形態によるバンドクランプ10を表す。バンドクランプ10は、内側パイプ12および外側パイプ14の重ね継手の上にそれぞれ抜き差し自在な関係で適用される。外側パイプ14は、内側パイプ12の上に延びバンドクランプ10の下でパイプのオーバーラップ領域を形成するラップ部分を有する。パイプ間に流体シールを与えるために、折たたみ可能なシールゾーン(図示せず)がオーバーラップ領域の外側パイプ14に設けられる。この管継手は、たとえば、前述のCasselらの米国特許第4,629,226号に示されるタイプのものである。
【0011】
バンドクランプ10は、クランプバンド16および締結具または締付け機構18を備える。バンド16は、好ましくは、外側パイプ14のまわりにシールゾーンの上に直接配置される。さらに、本発明は、ゴムスリーブおよび/またはガスケット(図示せず)が、パイプ12、14の一方または両方とバンド16の間に挿置されてもよいことを意図する。いずれにせよ、バンド16は、横断面が実質的に円形であるか、丸みをおびている。バンド16は、パイプ14のシールゾーンのまわりに嵌合するよう適合される、全体として周囲に延びる本体部分またはセクタ22を有し、さらに、溝形部分またはセクタ24をも有し、この溝形部分またはセクタ24は、本体セクタ22から半径方向外側に延びる全体として半径方向に延びる1対の側面またはフランジ26および28を含む。バンド16は1枚の単一のシートメタルで作製され、その各自由端は好ましくはそれ自体に戻って折畳まれ、外層またはフラップ32および34を形成し、これらは対面係合で内層を覆う。このように、フランジ26および28、ならびに本体セクタ22の一部分は、2重の厚さでできている。しかし、代替として、フランジ26、28は、単一の層であってもよく、ここでは、その自由端は2重の厚さを備えるために戻って折畳まれていない。2重の厚さは、バンド16の単一層の部分の横断面積と等しいかそれを超える、フランジ26、28を通る横断面積を与える。フラップ32および34は、フラップ32、34に対して内層のずれを阻止するリベットや溶接物などそれぞれの締結具33、35によって、バンド16の内層に固着される。フランジ26、28は、それらの外端部に、停止部材36および38を構成するそれぞれの横方向のフランジまたは耳を備えていている。
【0012】
バンド16は、パイプ12、14のまわりで、締付け機構18によって固く締められる。締付け機構18は、溝形のセクタ24内に配置されるスプラインまたは反作用部材42を備え、その内端部がパイプ14の外表面に着装するのに適合されてパイプ14から外側に延びる。この目的のために、反作用部材42は、パイプ14に一致する弧状の構成の内
表面を有する。反作用部材42は、1対の背中合わせに対向する凹面44および46を備えている。締付け機構18は、ボルト48と、ナット52と、フランジ26の外に配置されるスペーサバー54および座金55とを含む。バー54は、反作用部材42の凹状表面44に向かい合う凸面を有する。ボルト48は、凸面を備えるバーの形の頭部56を有し、頭部56はフランジ28の外側に反作用部材42の凹状表面46に向かい合って配置される。ボルト48は、開口部またはボルト孔72、74を通って、フランジ26および28、反作用部材42、ならびに座金55およびスペーサバー54内に延びる。
【0013】
バンドクランプ10が組立てられ、ナット52がボルト48に締め付けられるとき、部品の関係は図1および図2に示すようになる。ナット52が締め付けられる前は、溝形のセクタ24のフランジ26および28は、反作用部材42に着装されないことが理解されよう。ナット52が締め付けられるとき、ボルト頭部56およびスペーサバー54がともに引っ張られ、フランジ26および28を押圧して反作用部材42と係合する。締付けの程度によって、フランジ26、28は、反作用部材42に部分的にのみ着装されてもよい。このように締め付ける作用の結果として、丸みをおびたセクタ22は、パイプ12、14のまわりで広げられ、パイプ12、14とともにきつく係合する。バンドクランプ10をこのように固く締める作用によって、管継手に良好な流体シールと大きな引き離し強度とを与えるのに十分な力を、シールゾーン上に発揮する。
【0014】
バンドクランプ10が締結状態にあるときのバンドクランプ10の部品の関係を、図2を参照しつつ次により詳細に説明する。停止部材36は、その下面に、バンドクランプ10が完全に締め付けられる時に当接面66によって反作用部材42の上端部に係合される停止面62を有する。同様に、停止部材38は、その下面に、当接面68によって反作用部材42の上端部上に係合される停止面64を有する。クランプが締結状態にあると、反作用部材42の内端部は外側のパイプ14に確実に着装される。
【0015】
上述のように、バンド16は1枚の単一のシートメタルで作製され、その各自由端は好ましくはそれ自体に戻って折畳まれ、外層またはフラップ32および34を形成し、これらは対面係合で内層を覆う。フランジ26および28を予備形成する前にバンド16を製造する間、開口部またはボルト孔72および74は、バンド16が平坦な状態でフランジ26、28を通って打ち込まれる。フランジ26、28を通るボルト孔72、74の間の所望の間隔は、バンド16が図2に示す状態まで締め付けられる時に、結果としてフランジ26および28を通るボルト孔72および74の中心線を、互いに心合し、また反作用部材42を通るボルト孔76の中心線と心合する間隔である。ボルト孔72および74の互いからのこの間隔は、パイプ14の所望の直径、反作用部材42の高さ、および反作用部材42を通るボルト孔76の位置によって決定される。なお、溝形のセクタ24がより広く開いているので一方または両方のフランジ26および28が反作用部材42の外側に位置してもよい以外は、バンド16は図2に示すのと概して同じ構成に予備成形される。ナット52をボルト48に回転するか締め付けることによって、バンド16はパイプ12、14のまわりで締結され、ここでは、フランジ26はボルト48の上の反作用部材42に向かって、実質的にボルト48に干渉せずに引っ張られる。次に説明する固有のボルトの設計を使用して、ボルト48によるフランジ26の実質的な干渉は避けられる。
【0016】
図3は、本発明の一態様による固有のボルト設計を備えるボルト48を示す。ボルト48は、ボルト48の第1の端部50を画定する頭部56と、長手方向に頭部56から離れて延び、ボルト48の反対側の第2の端部78で終端する円筒状の軸部76とを含む。図1から図3に示すように、頭部56は、パイプ12、14およびバンド16の軸と全体として長手方向に平行に延びる平坦な端面58と、フランジ28の凹状輪郭に一致する丸い部分60とを含む。再び図3を参照すると、ボルト48は、図1で表されているその向きから90度回転されて示されている。軸部76は、少なくとも1つの開口端のスロット8
2がそこに形成されるスロット付き首部80と、スロット付き首部80と比較して直径が減少しているねじ本体部84と、首部80と本体部84の間に設けられるテーパの付いた中間部86とを含む。ボルト48上のナット停止の一貫性を改良するために、従来の軸部設計は、従来のバンドクランプのボルトに関連した典型的な丸い横断面形状から改変されている。
【0017】
図4により詳しく示すように、軸部76の首部80は横断面が好ましくは卵形状である。本明細書において定義されるように、卵形は非円形を意味する。したがって、卵形は卵子形状、楕円、または、先の切り取られた円または楕円などの形状を含み、区分的に連続しておらず、または数学的に定義された幾何学的形状でない形状を含む。楕円状は、各点から2つの固定点への距離の合計が一定である点によって生じる平面閉曲線を意味する。たとえば、楕円は、その平面が交差する円錐の軸、底面または母線に平行でない平面のすい曲線であってもよい。先の切り取られた円または楕円は、円または楕円の周縁部まわりの1つ以上の部分で周方向に先を切られる円または楕円を意味する。たとえば、対向する平ら部は、曲線上の2つの点の弦状に延びてもよく、それによって平ら部によって先を切られる。別の例において、図4に示すように、軸部76は、実質的に谷の径91を画定する対向する弧のセグメントによって先を切られる外径89を有してもよい。換言すれば、図3および図4に示すように、これらの例は、軸部76が、少なくとも1つの逃げのついた(relieved)セグメント部分90によってさらに画定される、部分的に円筒状の横断面88を有する一部分を少なくとも含むことを示している。本明細書で定義されるように、逃げのついたセグメントは、1つ以上の点、線、平面、曲線、弧などによって切断される、全体として円筒状の横断面の一部分を意味してもよい。さらに、逃げのついたセグメント部分90を考慮すると、テーパの付いた中間部86は、必ずしも軸部76に外接する連続した環形であるというわけではない。むしろ、図示された実施形態に示すように、テーパの付いた中間部86は、途切れ途切れのテーパ部分を含んでもよい。
【0018】
次に図2および図3を参照する。卵形状の軸部76は、バンド16のフランジ26の一部分が別の方法でボルト48と接触するだろう領域において、ねじ本体部84とスロット付き首部80の間の直径の差異を最小にする。たとえば、かかる領域は、フランジ26の開口部72を部分的に画定する、半径方向内側に対向する表面73であってもよい。最小化された、または共通の表面87は、ねじ本体部とスロット付き首部の間に逃げのついたセグメント90によって画定される。本発明は、図3および図4に示す逃げのついた2つの対向するセグメントとは対照的に、逃げのついた1つのセグメント90のみが設けられてもよいことを意図する。したがって、最小化された表面または共通の表面という専門用語は、その間に段差や中間部が最小であるかまたは全くない隣接面を意味する。
【0019】
それゆえに、ナット52がボルト48上に締め付けられるにつれて、フランジ26と従来のボルト設計の円すい形の中間部の間に実質的な干渉を受けずに、フランジ26は本発明の新規な設計上の特徴を備えるボルト48の軸部76をより円滑に横切る。換言すれば、ボルト48は、フランジ26に対するボルト48の実質的な滑りばめに適応するように設計されている。フランジ26が実質的に干渉せずに上を滑動する最小化された表面または共通の表面あるいは直径87を画定する、逃げのついたセグメント部分90または軸部76の卵形状の部分を用いて、滑りばめが可能となる。したがって、ナット52の停止の長さにわたるより一貫した必要なトルクで、ナット52はボルト48に適用されることができる。
【0020】
一般に、バンドクランプのボルトに対するナットの停止は、他の締結具の用途から固有のものである。多くの締結具の用途は、所与の加えられたナットトルクで望まれる引張力の量に基づいて設計される。しかし、本発明を開発する際に、加えられたトルクでボルトに対するナットの軸方向の位置を監視することによって、バンドクランプの荷重が正確に
評価されることができることを発見した。ナットがボルトに締め付けられるにつれて、バンドの対向するフランジがともに固く締められ、それによって、バンドに歪みが加わる。バンド上のこの歪みによって、バンドクランプの所望の締付け荷重が生じる。したがって、締付け荷重は、ナットの軸方向の停止の量に相関し得る。
【0021】
したがって、図5Aおよび図5Bは、本発明の第2の例示的な実施形態110をともに示している。この実施形態110は、ねじ部92、端ぐり94、および肩部96によって画定される貫通孔を有するナット152を含む。図5Bに示すように、このナット152は、ボルト148との予測可能な軸方向の係合に特に適合され、このボルトは、図6に示すような従来のボルトや、図3に示すような従来にないボルトであってもよい。ボルト148は、バンド116の対向するフランジ126、128を通り、反作用部材142を通って挿入される。ねじ部92は、ボルト148の軸部176のねじ本体184と周囲で接触するように設けられる。図示の実施形態において、肩96は、ボルト148の軸部176のテーパの付いた中間部186と正軸方向係合する面取りの形である。面取り96とテーパの付いた中間部186との係合の特徴は、ボルト148にナット152を停止させる間に必要とされるトルクを急増させるか段階を生じさせるために所定の所望の軸方向の位置で係合するように設計される。換言すれば、テーパの付いた中間部186は、好ましくは、ボルト148の軸部176に沿って軸方向に、最適な締付荷重と相関する頭部156からの所定の距離に位置する。適正な計算値と定期試験とを使用して、かかる所望の所定の距離は、所与のクランプ設計のために決定されることができる。軸部176上の所定位置でテーパの付いた中間部186に面取り部96が係合するためにナット152上の停止トルクが急増するまで、ナット152はボルト148に締め付けられることができる。ナットをさらにねじ付けるのに必要とされるトルクのこのような急増は、ナットランナ(図示せず)など現在利用可能な従来の組立工具のトルク監視システムを使用して容易に検出可能である。トルクの段階が検出されると、ナットランナは停止し、その時クランプは完全に締め付けられたものと考えられる。適切なトルクに設定された手動のトルクレンチも同様に使用されることができる。ボルト孔72、74の間のバンドクランプの長さの製作公差、ならびに、面取り部96およびテーパの付いた中間部186の軸方向の位置などナット52とボルト148の関連する寸法は、極めて正確に、反復可能に保たれることができ、それによって、一貫したバンドクランプの締付けおよび、次に、所与の直径パイプに対する一貫した締付荷重が可能となる。
【0022】
したがって、本発明によって、本願明細書において明記された目的および利点を達成する締結具および関連するバンドクランプが提供されたことは明らかであろう。当然ながら、前述の説明は本発明の好ましい例示的な実施形態にあり、本発明は示された特定の実施形態に制限されるものではないことが理解されよう。種々の変更および変形は、当業者によって明らかとなるであろう。たとえば、反作用部材は、図で示すような別個の構成要素ではなく、フランジのうちの1つの一体化された単体の延長部として実施されることができる。かかる変更および変形はすべて、本発明の範囲内にあるものと意図される。
【0023】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、1つ以上の構成要素または他の項目の一覧とともに使用される際の「たとえば」、「例として」、および、「など」の用語、ならびに、「備える(comprising)」、「有する」、「含む(including)」の動詞は、それぞれ制限のないものとして解釈されるべきであり、その一覧がその他またはさらなる構成要素もしくは項目を排除するとみなされるべきではないことを意味する。他の用語は、それらが異なる解釈を必要とする文脈において使用されない限りは、その最も幅広い妥当な意味を用いて解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の例示的な一実施形態によるバンドクランプの斜視図である。
【図2】図1に記載のバンドクランプの部分横断面図である。
【図3】図1に記載のバンドクランプで使用されるボルトの斜視図である。
【図4】図3の線4−4に沿った図3のボルトの横断面図である。
【図5A】本発明の第2の実施形態に関連して使用されることのできるナットの横断面図である。
【図5B】第2の実施形態による、図5Aのナットを使用するバンドクランプの部分横断面図である
【図6】先行技術による、図7から図9によって表される従来のバンドクランプで使用される、先行技術のボルトの斜視図である。
【図7】ボルトに最初にねじ付けられる従来のナットを備える図6の従来のボルトを使用する、先行技術のバンドクランプの側面図である。
【図8】クランプが締め付けられるときにボルトに部分的にねじ付けられたナットを示す、図7の先行技術のバンドクランプの側面図である。
【図9】クランプがさらに締め付けられるときにボルトに部分的にさらにねじ付けられたナットを示す、図7の先行技術のバンドクランプの側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部分の対向端部に1対の半径方向に延びる対向するフランジを有する、周囲に延びる本体部分を含むバンドであって、前記フランジはそれを通す開口部をそれぞれ有する、バンドと、
前記バンドが締め付けられることのできるように前記バンドの前記対向するフランジをともに引っ張るための締結具であって、前記締結具は、前記対向するフランジの前記開口部を通って延び、かつ、第1の端部に頭部と、前記頭部から延び第2の端部で終端する軸部とを含むボルトを含み、前記軸部は、逃げのついたセグメント部分によって画定される部分的に円筒状の横断面を有するその一部分を少なくとも含み、前記逃げのついたセグメント部分は、前記対向するフランジの少なくとも1つと協働するように適合される、締結具と、
を備える、バンドクランプ。
【請求項2】
前記本体部分の対向端部に1対の半径方向に延びる対向するフランジを有する周囲に延びる本体部分を含むバンドであって、前記フランジはそれを通す開口部をそれぞれ有する、バンドと、
前記バンドが締め付けられることのできるように前記バンドの前記対向するフランジをともに引っ張るための締結具であって、
前記締結具は、
前記対向するフランジの前記開口部を通って延び、かつ、第1の端部に頭部と、前記頭部から延び第2の端部で終端する軸部とを含むボルトであって、
前記軸部は、
前記頭部から前記第2の端部に向かって延びる首部と、
前記第2の端部から前記第1の端部に向かって延びるねじ本体部と、
前記首部と前記本体部の間のテーパの付いた中間部と、
を含む、ボルトと、
前記ボルトの前記ねじ本体部にねじ付けられるナットであって、前記ナットは、前記ナットが前記ボルト上に締め付けられ、それによって前記ナットを前記ボルトにさらにねじ付けるのに必要とされるトルクが急増するときに、前記テーパの付いた中間部を係合する肩部を有する、ナットと、
を含む、締結具と、
を備える、バンドクランプ。
【請求項3】
前記管状部材の周囲に少なくとも部分的に嵌合する周囲に延びる本体部分を含むバンドであって、前記バンドは前記本体部分の対向端部に半径方向に延びる対向するフランジをさらに含み、前記フランジはそれを通す開口部をそれぞれ有する、バンドと
前記バンドが前記管状部材のまわりに締め付けられることのできるように前記バンドの前記対向するフランジをともに引っ張るための締結具であって、前記締結具は、前記対向するフランジの前記開口部を通って延び、かつ、第1の端部に頭部と、前記頭部から延び第2の端部で終端する軸部とを含むボルトを含み、前記軸部は、前記頭部から前記第2の端部に向かって延びる首部と、前記第2の端部から前記第1の端部に向かって延びるねじ本体部と、前記首部と前記本体部との間に位置するテーパの付いた中間部とを含み、前記首部の一部分が前記本体部と共通の表面を有するように前記軸部の周囲に部分的にのみ延びる、締結具と、
を備える、管状部材を連結するためのバンドクランプ。
【請求項4】
前記首部が、前記共通の表面を少なくとも部分的に画定する逃げのついたセグメント部分を含む、請求項3に記載のバンドクランプ。
【請求項5】
前記首部が、前記逃げのついたセグメント部分に卵形状の横断面を有する、請求項4に記載のバンドクランプ。
【請求項6】
前記開口部が前記フランジを通って延びる半径方向内側の接面によって少なくとも部分的に画定され、さらに、前記逃げのついたセグメント部分が、前記対向するフランジの前記半径方向内側の接面のうちの少なくとも1つと協働して滑動するように適合される、請求項4に記載のバンドクランプ。
【請求項7】
前記締結具が前記ボルトにねじ付けられるナットをさらに含み、かつ、前記ナットが前記ボルト上へ締め付けられるにつれて、前記対向するフランジの前記半径方向内側の接面のうちの少なくとも1つが前記逃げのついたセグメント部分の上で滑動し、それによって、前記少なくとも1つの半径方向内側の接面の前記ボルトとのあらゆる実質的な干渉を減少させる、請求項6に記載のバンドクランプ。
【請求項8】
前記締結具が前記ボルトにねじ付けられるナットを含み、前記ナットは前記テーパの付いた中間部を係合する肩部を有する、請求項3に記載のバンドクランプ。
【請求項9】
前記ナットが前記ボルト上へ締め付けられるにつれて、前記ナットの前記肩部が前記ボルトの前記軸部の前記テーパの付いた中間部を係合し、前記ボルト上へ前記ナットをさらにねじ付けるのに必要なトルクが急増する、請求項8に記載のバンドクランプ。
【請求項10】
前記テーパの付いた中間部が、前記軸部を中心としてそれぞれ約180度延びる2つの途切れ途切れのテーパ部を含み、それによって前記ボルトが、前記軸部を中心として他方からそれぞれ180度で配置される2つの共通の表面を含む、請求項3に記載のバンドクランプ。
【請求項11】
少なくとも前記フランジのうちの第1のフランジが半径方向に湾曲する凹面を有し、前記ボルトの前記頭部が一方向に湾曲した凸面を有し、かつ、前記凸面が、前記第1のフランジの前記凹面と所定の相対的な回転向きで嵌合し、かつ、前記ボルトが前記所定の相対的な回転向きで前記第1のフランジに取り付けられるときに、前記2つの共通の表面が互いから半径方向に間隔を置いて配置され、前記2つの途切れ途切れのテーパの付いた部分が互いから軸方向に間隔を置いて配置されるように、前記2つの共通の表面が前記凸面に対して前記軸部で配向される、請求項10に記載のバンドクランプ。
【請求項12】
前記ボルトの前記頭部の前記凸面と前記第1のフランジの前記凹面が、前記所定の相対的な回転向きか、前記ボルトが前記軸部の軸を中心として180度に回転される第2の相対的な回転向きのどちらかで互いに嵌合する、請求項11に記載のバンドクランプ。
【請求項13】
前記ねじ本体部が円形の横断面を有し、前記首部が、前記ねじ本体部の直径長さと等しい谷の径と、前記谷の径よりも大きい外径とを含む卵形状の横断面を有する、請求項3に記載のバンドクランプ。
【請求項14】
前記首部の前記谷の径が前記バンドの半径に沿って延びるように、前記ボルトの前記頭部が前記フランジと嵌合する、請求項13に記載のバンドクランプ。
【請求項15】
前記管状部材の周囲に少なくとも部分的に嵌合する周囲に延びる本体部分を含むバンドであって、
前記バンドは、前記本体部分の対向端部に半径方向に延びる対向するフランジをさらに含み、前記フランジは、前記本体部分から前記一体的な延長部がそれ自体に戻って折畳まれ内層および外層を形成する前記フランジの外側の自由端まで半径方向外側に延びる、前
記バンドの一体的な延長部によってそれぞれ形成されているバンドであって、
前記内層および外層はともに、心合せされた開口部と、他方のフランジに対向する凸状の内表面および凹状外表面を各フランジに与える半径方向の湾曲した輪郭とを有し、
前記一体的な延長部は前記フランジに隣接して前記本体部分に固着されている、バンドと、
反作用部材と、スペーサバーと、前記バンドが前記管状部材のまわりに締め付けられることのできるように前記バンドの前記対向するフランジをともに引っ張るための締結具とを含む締付け機構であって、
前記反作用部材は、前記フランジの凸状の内表面と嵌合する1対の背中合わせに対向する凹面によって互いから分離される内端部および外端部を有し、
前記スペーサバーは、前記フランジのうちの第1のフランジの前記凹面と嵌合する凸面を有し、前記反作用部材および前記スペーサバーはそれぞれ、前記フランジの前記開口部に心合せされた開口部を有し、
前記締結具は、前記ボルトが前記開口部を通って延び、第1の端部に頭部と、前記頭部から延び第2の端部で終端する軸部とを含む、ナットおよびボルトを備え、前記頭部は、前記フランジのうちの第2のフランジの前記凹面と嵌合する凸面を有するバーを備え、前記軸部は前記頭部から前記第2の端部に向かって延びる首部と、前記第1の端部に向かって前記第2の端部から延びるねじ本体部と、前記首部と前記ねじ本体部の間に位置し、前記首部の一部分が前記ねじ本体部と共通の表面を有するように前記軸部のまわりに部分的にのみ延びる、テーパの付いた中間部とを含み、前記ねじ本体部は円形の横断面を有し、かつ前記首部は、前記ねじ本体部の直径長さと等しい谷の径と、前記谷の径よりも大きい外径とを含む卵形状の横断面を有する、締付け機構と、
を備え、
前記フランジの前記開口部は、前記フランジを通って延びる半径方向内側の接面によって少なくとも部分的に画定され、前記締結具を締め付ける間に、前記第1のフランジの前記半径方向内側の接面が前記ねじ本体部を係合することができ、また、さらに係合する間に前記テーパの付いた中間部を締め付けずに前記共通表面に沿って前記ねじ本体部から前記首部まで滑動できるように、前記首部が前記テーパの付いた中間部での妨害によって画定される共通の表面で前記ねじ本体部と接触する、管状部材を連結するためのバンドクランプ。
【請求項16】
バンドクランプを管状部材のまわりに締結する方法であって、前記方法は、
前記本体部分の対向端部に位置する1対の半径方向に延びる対向するフランジを有する周囲に延びる本体部分を含むバンドを設けるステップと、
開口部を通って前記対向するフランジにボルトを挿入するステップであって、前記ボルトは第1の端部に頭部と、前記頭部から延び第2の端部で終端する軸部とを含み、前記軸部は、前記頭部から第2の端部に向かって延びる首部と、前記第2の端部から前記第1の端部に向かって延びるねじ本体部と、前記首部と前記本体部の間にあるテーパの付いた中間部とを含む、ボルトを挿入するステップと、
前記ボルトの前記ねじ本体部にナットを組立てるステップであって、前記ナットは肩部を有する、ナットを組立てるステップと、
前記ナットに加えられるトルクを監視するステップと、
前記ナットの肩部を前記ボルトの前記軸部の前記テーパの付いた中間部と係合するために前記監視されたトルクが増大するまで、前記ナットを前記ボルトに締め付けるステップと、
を備える、バンドクランプを管状部材のまわりに締結する方法。
【請求項17】
逃げのついたセグメント部分によって画定される部分的に円筒状の横断面を有する少なくとも一部分を備える前記ボルトの前記首部を設けるステップであって、前記ナットが前記ボルト上へ締め付けられるにつれて、前記逃げのついたセグメント部分は、前記対向す
るフランジのうちの少なくとも1つと協働して滑動するように適合される、ステップをさらに備える、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−520936(P2008−520936A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543458(P2007−543458)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/042507
【国際公開番号】WO2006/055966
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(503469175)ブリーズ−トルカ・プロダクツ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (13)
【Fターム(参考)】