説明

改質された特性を有するアクリル繊維およびその製造方法

温度制御活性、抗菌活性および付香性などの改質成分を有するアクリル繊維とその製造方法が開示される。ミクロ容器は、温度制御活性、抗菌成分、および香料成分を有する繊維で形成される。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明はテキスタイル用繊維に関する。
【発明の背景技術】
【0002】
「繊維」または「テキスタイル用繊維」という用語は、糸(yarn)に紡糸され得る物質、またはテキスタイル製品の基本構成要素であり、結着させることにより、あるいは織り、編み、組み編み、フェルト化、撚糸、あるいはウェブ化を含む多種多様な方法で交絡することにより、布地にすることができる物質を意味する。
【0003】
繊維はその長さを基準に短繊維またはステープル繊維、および長繊維またはフィラメント繊維に分けられる。繊維はまた、それらの起源を基準に天然繊維および人造繊維に分けられる。天然繊維という用語は、たとえば野菜の繊維や木の繊維などの天然に存在するあらゆる繊維を意味する。他のタイプの繊維は化学物質から得られる。これらは人造繊維と呼ばれている。それらには、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリル(カシミロン(cashmilon))などがある。
【0004】
何世紀もの間、人類は、布地や衣類の原材料を提供する種々の植物や動物に頼ってきた。近年、工業や科学の発展により、優れた性質、特に衣類に好適となるよう改良された幾つかの材料が提供されてきた。
【0005】
アクリル繊維は、アクリロニトリルモノマーを少なくとも85%含有する合成繊維である。アクリル繊維は、自由ラジカル重合によって得られた平均分子量100,000のポリマーであるポリアクリロニトリルから構成される。アクリル繊維は、一般的には、虫や油類や化学物質に対して強いという性質を有する。さらに、日光への曝露による劣化に対する耐性も有する。
【0006】
アクリル繊維は、好ましくは以下の工程で製造される。ポリアクリロニトリルを、N, N‐ジメチルホルムアルデヒド又は含水チオシアン酸ナトリウム等の溶媒に溶解する。さらに、該溶液を複数の孔を有するスピナレット(spinnerette)を通過させることで、結果として得られるフィラメントは該溶媒の水溶液中で凝固する。ここで結果として得られるフィラメントを、洗浄、引き延ばし、乾燥、捲縮(crimp)の工程を経て、最終的にアクリル繊維が得られる。アクリル繊維は、典型的には、1から15デニールの範囲で製造される。
【0007】
アクリル繊維は、軽量で、柔軟で、暖かく、ウールのような風合いである。また、アクリル繊維は、染色し易く、最高の色堅牢度を有する。さらに、アクリル繊維は、弾力性を有し、その形状を保持し、収縮や皺に強い。アクリル繊維は、通常、セーター、手編み糸、敷物、オーニング、ボートカバー、ビーニー等に用いられる。また、アクリル繊維は、炭素繊維の前駆体としても用いられる。
【0008】
布地は、スパンまたはフィラメント糸から、編み工程又は織り工程によって形成される。編布はカギ針を用い、糸の1つまたはそれ以上のセットをループのセットに絡ませることにより作られる。ループは布地の目的に応じて緩くも堅くも作られている。編布は、靴下、下着、セーター、スラックス、スーツ、コート、ラグ、および他の室内装飾品に用いることが出来る。編成操作は横糸法又は縦糸法のいずれでも行われる。
【0009】
織り工程に含まれるいくつかの典型的な処理として、整経(warping)、スラッシング(slashing)又はサイジングがある。サイジング剤は、溶液技法又はパッド/ドライ(pad/dry)技法で糸に添加される。原料、処理剤、繊維径、後処理およびブレンド比の違いにより、所望の用途に適した特性を有する繊維を製造するように操作することができる。アクリル繊維は、しばしば、熱安定性、香料保持性、防カビ性などの典型的な性質を有することが望まれる。これらの性質は、家庭用と同様にいくつかの産業において必須のものである。そのような材料の開発が、かなりの興味を抱かれてきた。上記の種々の望ましい性質を布地に付与するため、幾つかの添加剤が加えられる。そうした添加剤としては、抗菌剤、脱臭剤、帯電防止剤、香料が挙げられる。そうした特殊な添加剤だけでなく、布地の全体の品質を改善するための一般的な添加剤、例えばサイジング剤、および糸の柔軟性を高める添加剤等も加えられる。
【従来技術】
【0010】
WO200803648には、そのような繊維の温度制御、ポリマー含有繊維、および懸濁液処方が開示されている。懸濁液は、溶剤と相変換材料を含む多数のミクロカプセルとを含んでいる。懸濁液は、そのミクロカプセルを布地に取り込むために用いられる。ミクロカプセルはアクリル酸およびその誘導体からなるシェルと、80J/gと400J/gの間の範囲の潜熱と20℃−50℃の転移温度を有する相変換材料からなるコアとを含んでいる。
【0011】
米国特許第6,689,466号には、内部空間を決定している中空シェルと、その内部空間に位置する相変換組成物を含むカプセル化された相変換材料組成物とが記載されクレームされている。相変換組成物は、相変換材料と熱安定剤とを含んでいる。その組成物は、向上した可逆的な熱特性を有する物品を形成するための種々の処理、たとえば、溶融紡糸処理、押出し処理、射出成型処理などに用いられるか、または組み入れられる。
【0012】
米国特許出願第20070026228号は、向上した可逆的な熱特性を有するセルロース繊維とそのセルロース繊維の応用とが開示されている。そのセルロース繊維は、セルロース性材料を含む繊維本体と、その繊維本体に分散されているミクロカプセルのセットとを含んでいる。そのミクロカプセルのセットは、少なくとも40J/gの潜熱と0℃−100℃の範囲の転移温度を有する相変換材料を含有している。相変換材料は、転移温度における潜熱の吸収と放出に基づく熱の制御を提供している。
【0013】
US5985301には、溶剤紡糸工程の間にセルロース繊維中に無機抗菌性の銀を組み入れる工程を含む抗菌性製品の製造方法が開示されている。
【0014】
他の米国特許第5405644号には無機抗菌剤を用い、起こりうる繊維の変色を防止するための変色抑制剤を更に含む類似の方法が開示されている。
【0015】
撥油性、防汚性および抗菌性などの多種の性質を付与する他の方法がUS5968599号に開示されており、その方法は、1〜10重量%のフェノール性の抗菌剤のような殺菌成分を含む処理液に、混合されたまたはブレンドされた布地を漬けることを含んでいる。
【0016】
US6368361号に開示されている方法は、4級アンモニウム塩基を持つアニオン性界面活性剤、水溶性タンパク質およびアルカリ性化合物が溶解している水相に繊維を接触させ浸けることを含んでいる。次いで、繊維は水相から分離され、抗菌剤である茶のポリフェノールを含む他の水相に漬けられる。
【0017】
セルロース繊維の性質を改善するために、遷移金属の水溶塩とアルカリで処理する第1工程と、ビスビグアニド(bisbiguanide)化合物の溶液で処理する第2工程とを含みセルロース繊維間の結合を形成する2段法があるが、米国特許第5856248号には、その遷移金属とビスビグアニド化合物とが開示されている。
【0018】
第4,784,909号には、異なる抗菌成分を含む2種の繊維をブレンドして得た防かび性で防臭性の繊維材料を開示している。
【0019】
米国特許第5652049号には、抗菌性繊維を含む第1の不織布ウェブ層と第1のウェブ層に隣接かつ重なるように配置された第2の不織布ウェブ層とを含む複合不織布が開示されている。
【0020】
1つの布地層が抗菌性を発揮する2つの布地層のブレンドを含む複合テキスタイル布地が米国特許第6194322号に開示されている。同様に、異なる性質を持つ複数の繊維を含む糸が米国特許出願第20070148449号に開示されている。
【0021】
米国特許第5707736号には、湿った面と接触すると放出し得る抗菌剤を含有する布地や糸のような材料が開示されている。その方法には、水溶性アミン塩抗菌剤の使用を含んでいる。
【0022】
米国特許第6436419号には、ポリマーを酸染料で染色して染料被覆ポリマーを形成し、4級アンモニウム塩のような抗菌剤を付着させてポリマーを抗菌性にする方法が開示されている。
【0023】
米国特許出願第20040247653号には、水不溶性のイオン性酸化銅の微粉末を埋め込むことを含む、抗菌性で抗ウイルス性のポリマー材料の製造方法が開示されている。
【0024】
米国特許第6712121号には、抗菌処理されたセルロース性繊維状材料を製造することとその材料を不織物質と水圧で交絡させたのち乾燥することを含む抗菌処理布地の形成方法が開示されている。
【0025】
米国特許出願第20070006391号に記載されている方法には、複合ポリマーと複合化される抗菌剤としての金属(銅、銀、金、錫、亜鉛)に使用が含まれている。抗菌成分として使用されるこの抗菌性組成物には界面活性剤は含有されていない。
【0026】
体液分泌物を吸収するように特殊処理されたものから作製されたセルロース繊維および製品が米国特許第5856248号に開示されている。この米国特許に記載されている2段法は、セルロース繊維を遷移金属アルカリの水溶性塩とクロルヘキシジンで化学処理することが含まれている。
【0027】
帯電防止性、防臭性および抗菌性などの異なる性質を持つ複数の金属被覆繊維を含む糸が米国特許出願第20070148449号に開示されている。
【0028】
US7012053号には、布地処理添加剤、香料、色保持剤および抗菌剤を含む組成物を、噴霧法、浸漬法やディッピング法により塗布することを含む処理された布地の製造方法が開示されている。
【0029】
他のUS6670317には、新油性液体と香料とを含む組成物と、繊維とを接触させることを含む繊維処理組成物を塗布する方法が開示されている。
【0030】
US5656333には、着色剤、柔軟剤、香料、充填剤および殺菌剤を含有する、バインダーで繊維を被覆することを含む吸収性不織品の製造方法が開示されている。
【0031】
US6080208には、特定濃度の開示されている化合物と共に、蛍光漂白剤、香料、着色染料、乳白剤、殺菌剤、繊維処理剤、ゲル化防止剤および腐食防止剤などの他の添加剤を添加して繊維を処理することにより、テキスタイル材料の日焼け防止ファクターを向上させる方法が開示されている。
【0032】
繊維を、水酸化銅および/又は水酸化亜鉛のコロイド溶液と接触させることを含む防臭性繊維の製造方法が、US5049159に開示されている。
【0033】
US6335075には、防臭機能を有する多層カーペットが開示されている。防臭剤は、そのうちの1つの層に、他の層と混練されている間に、噴霧又は泡で塗布されている。
【0034】
布地に多様な性質を付与する他の方法がUS6806213に開示されており、その方法は、繊維に、香料、湿潤剤および界面活性剤を含む水溶液を組み入れることを含んでいる。
【0035】
温度制御性や抗菌性、付香性などの特性改質布地の製造に用いるこれまで知られている組成物は、抗菌成分を噴霧法や溶剤スピニング法のような従来法で布地に塗布すること、又は安定剤を含むか含まない相変換剤を含有するシェルを持つミクロカプセルを分離させることを主として含んでいた。しかし、それらを用いるそうした組成物や方法では、繊維の引張強度や布地の外観変化、温度変化に適応するタイムラグの増大、カプセル化による相変換剤の感度低下などの悪い効果を含むいくつかの不利が生じてしまう。そこで、これらの欠点を解消する布地への添加剤の組込み方法が必要と感じられている。
【発明の目的】
【0036】
本発明の目的は、繊維の本体に少なくとも1種の改質成分が組み込まれた改質アクリル製品を提供することである。
【0037】
本発明の別の目的は、温度制御(thermoregulatory)成分をアクリル繊維中に組み入れて、繊維長全体を通じて温度制御成分が均一に分布されるよう確保する方法を提供することである。
【0038】
本発明のさらに別の目的は、温度制御成分がアクリル製品中に長時間保持される温度制御アクリル繊維を提供することである。
【0039】
本発明のさらに別の目的は、布地の感触や風合いに影響を与えずにアクリル繊維中に温度制御成分を組み入れる方法を提供することである。
【0040】
本発明のさらに別の目的は、繊維強度、線密度、頑健さ、耐熱性、染色性、および乾燥性などのアクリル繊維の固有の性質を変化させずにアクリル繊維に温度制御成分を組み入れる方法を提供することである。
【0041】
本発明の別の目的は、少なくとも1種の抗菌成分が繊維の本体に組み込まれた抗菌性アクリル繊維を提供することである。
【0042】
本発明の別の目的は、抗菌成分をアクリル繊維中に組み入れて、繊維長全体を通じて抗菌成分が均一に分布されるよう確保する方法を提供することである。
【0043】
本発明のさらに別の目的は、抗菌成分がアクリル製品中に長時間保持される抗菌性アクリル繊維を提供することである。
【0044】
本発明のさらに別の目的は、布地の感触や風合いに影響を与えずにアクリル繊維中に抗菌成分を組み入れる方法を提供することである。
【0045】
本発明のさらに別の目的は、繊維強度、線密度、頑健さ、耐熱性、染色性、および乾燥性などのアクリル繊維の固有の性質を変化させずにアクリル繊維に抗菌成分を組み入れる方法を提供することである。
【0046】
本発明のさらに別の目的は、少なくとも1種の香料成分が繊維の本体に組み込まれた付香されたアクリル繊維を提供することである。
【0047】
本発明の別の目的は、香料成分をアクリル繊維中に組み入れて、繊維長全体を通じて香料成分が均一に分布されるよう確保する方法を提供することである。
【0048】
本発明のさらに別の目的は、香料成分がアクリル製品中に長時間保持される付香されたアクリル繊維を提供することである。
【0049】
本発明のさらに別の目的は、布地の感触や風合いに影響を与えずにアクリル繊維中に香料成分を組み入れる方法を提供することである。
【0050】
本発明のさらに別の目的は、繊維強度、線密度、頑健さ、耐熱性、染色性、および乾燥性などのアクリル繊維の固有の性質を変化させずにアクリル繊維に香料成分を組み入れる方法を提供することである。
【定義】
【0051】
本明細書において用いられている以下の用語およびフレーズは、一般的に、文脈によって他の意味で用いられている場合を除き、以下の意味を持つことを意図している。
【0052】
「相−変換剤」は、その物理状態に変化が生じるときに熱を放出または吸収する能力を有する物質を意味する。
【0053】
エンタルピーは、感知できる熱および潜在する熱の両方を含む熱含量および全熱を意味する。
【0054】
「潜熱」は、物質の状態を変化(すなわち、固体から液体へ)させるのに必要な熱エネルギーであって、その温度ではない。
【0055】
「引火点」は、物質が発火し得る混合物を空気と形成するのに充分な量の蒸気を発生するときの温度を意味する。
【0056】
「非水性相」は、水に不溶である液状の溶融混合物を意味する。
【0057】
「水相」は、水に溶解した物質を意味する。
【0058】
「アクリルポリマー」は、通常のアクリルおよびモダクリル(modacrylic)のポリマーを意味し、モダクリルポリマーとしては少なくとも35%の、通常のアクリルポリマーとしては85%のアクリロニトリルを含有する。他のコモノマーとしては、メチルアクリレート、エチルビニルエーテル、臭化ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、硫酸ビニル、イタコン酸、および/またはメタクリル酸メチル、および、スチレンスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホフェニルエーテルナトリウム(sodium sulfophenyl methallyl ether)などのスルホン酸モノマーが挙げられる。
【0059】
「アクリルポリマードープ」は、繊維の製造に用いられる中間材料を意味する。
【0060】
「プリフォームマス(preform mass)」は、繊維を作製するのに好適な中間材料を意味する。
【0061】
「例えばシトラスムスクなどの香料成分」は、混合したとき、市販のシトラスムスクを想起させる臭いを提供する化合物種を意味する。
【発明の概要】
【0062】
本発明によれば、
・少なくとも1種の水不溶性改質成分、
・9〜40の範囲のHLB値を有し、組成物の0.001〜10質量%の範囲の、少なくとも1種の水溶性非イオン性界面活性剤、
・組成物の約1〜15質量%の範囲のアクリルポリマー、
・組成物の20〜60質量%の範囲のポリアクリロニトリル用溶剤、および
・組成物の約5質量%〜60質量%の範囲の水、
を含む、アクリル製品の製造用の改質アクリル組成物を提供する。
【0063】
典型的には、改質組成物は温度制御組成物である。
【0064】
したがって、組成物が温度制御組成物である場合の実施形態において、該組成物は、
・組成物の約0.01〜7質量%の範囲の、予め決められた範囲に融点を有する少なくとも1種の水不溶性の温度制御成分、
・9〜40の範囲にHLB値を有し、組成物の0.001〜35質量%の範囲の、少なくとも1種の水溶性非イオン性界面活性剤
・組成物の約1〜15質量%の範囲の、アクリルポリマー
・組成物の20〜60質量%の範囲のポリアクリロニトリル用溶剤、および
・組成物の約5質量%〜60質量%の範囲の水
を含む。
【0065】
典型的には、温度制御成分は、ノナデカン、エイコサン、ヘプタデカン、オクタデカン、ヘキサデカン、ペンタデカン、デシルアルコール、ラウリルアルコールおよびミリスチルアルコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0066】
本発明の1つの観点からは、温度制御成分、溶剤および界面活性剤は、組成物の本体に埋め込まれるミクロ容器(micro-reservoirs)を形成するように処理される。
【0067】
本発明はまた、本発明の組成物から製造される温度制御アクリル繊維、糸および布地にも及ぶ。
【0068】
この発明によれば、また、
・予め決められた範囲にある融点を有する水不溶性温度制御成分を選択し、該成分を95℃まで加熱して非水性相を形成する工程;
・界面活性剤、任意に共−界面活性剤、およびアクリルポリマー用溶剤を水に溶解し攪拌して水相を得る工程;
・水相を加熱する工程
・水相を液体状態の前記非水性相と混合して混合物を得、均質化してミクロエマルジョン(micro-emulsion)を得る工程;
・ミクロエマルジョンを溶剤および水中のアクリルポリマー溶液と混合し、均質化し、ミクロエマルジョンを分散させ、均一分散状態のミクロ容器の形態で前記温度制御成分が存在するプレフォームマスを得る工程;
を含む、アクリル製品の製造用の温度制御アクリル組成物の製造方法を提供する。
【0069】
この発明の別の実施形態によれば、改質組成物は抗菌性組成物である。
【0070】
抗菌性組成物の実施形態において、該組成物は典型的には、
・組成物の約0.01〜7質量%の範囲の、少なくとも1種の非水性溶剤、
・溶剤に溶解し、組成物の約0.001〜3.5質量%の範囲の、少なくとも1種の水不溶性抗菌成分、
・HLB値が9〜40の範囲であり、組成物の0.001〜3質量%の範囲の、少なくとも1種の水溶性非イオン性界面活性剤
・組成物の20〜60質量%の範囲のアクリルポリマー用溶剤、
・組成物の約1〜15質量%の範囲のアクリルポリマー、および
・組成物の質量に対して約5%〜60%の範囲の水、
を含む。
【0071】
典型的には、抗菌成分は、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、フェノキシエタノール安息香酸、4−ヒドロキシ−メチルエステル、ヒドロキシ安息香酸およびプロピルエステル、o−(2−ナフチル)メチル(3−メチルフェニル)チオカーバメート、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール、4,5−ジクロロ−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン[DCOIT]、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1−フェノキシプロパン−2−オール、ペンタクロロフェノール、5−クロロ−2−ジクロロフェノキシフェノール、クロトリマゾール(clotrimazole)、p−クロロ−m−キシレノールおよびクロロキナルドール(chloroquinaldol)よりなる群れから選ばれる少なくとも1種である。
【0072】
本発明の1つの観点からは、抗菌成分、溶剤および界面活性剤は、組成物の本体に埋め込まれるミクロ容器を形成するように処理される。
【0073】
本発明はまた、この発明の組成物から製造される抗菌性アクリル繊維、糸(yarn)および布地にも及ぶ。
【0074】
この発明によれば、また、
・水不溶性抗菌成分と非水性溶剤とを混合し、非水性相を形成する工程;
・非水性相を95℃まで加熱する工程;
・界面活性剤、任意に共−界面活性剤、およびアクリルポリマー用溶剤を水に溶解し撹拌して水相を得る工程;
・水相を加熱する工程;
・水相を液体状態の非水性相と混合して混合物を得、均質化してミクロエマルジョンを得る工程;
・ミクロエマルジョンを溶剤および水中のアクリルポリマー溶液と混合し、均質化し、ミクロエマルジョンを分散させ、均一分散状態のミクロ容器の形態で抗菌成分が埋め込まれたプレフォームマスを得る工程;
を含む、アクリル製品の製造用の抗菌性アクリル組成物の製造方法を提供する。
【0075】
この発明の更に別の実施形態によれば、改質組成物は付香された組成物である。
【0076】
この付香された組成物の実施形態において、該組成物は典型的には、
・組成物の約0.01〜7質量%の範囲の、少なくとも1種の非水性溶剤、
・前記溶剤に溶解し得る、組成物の約0.001〜3.5質量%の範囲の、少なくなくとも1種の水不溶性香料成分、
・HLB値が9〜40の範囲にあり、組成物の0.001〜3質量%の範囲の、少なくとも1種の水溶性非イオン性界面活性剤、
・組成物の20〜60質量%の範囲のポリアクリロニトリル用溶剤、
・組成物の約1〜15質量%の範囲のアクリルポリマー、および
・組成物の質量に対して約5%〜60%の範囲の水、
を含む。
【0077】
典型的には、香料成分は、シトラスムスク(citrus musk)、フローラルウッディ(floral woody)、シトラスムスクウッディ、フレッシュブーケ、ムスク、フローラルムスク、シダーウッドオイル(cedarwood oil)、サンダルウッドオイル(sandalwood oil)、レモンオイル、オレンジオイル、ローズオイル、ジャスミンオイルおよびラベンダーオイルよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0078】
典型的には、界面活性剤は、アルキルフェノキシエトキシ化非イオン性界面活性剤およびエトキシ化アルキルアルコール界面活性剤、ポリエチレン−ブロック−ポリプロピレングリコール−ブロック−ポリエチレングリコール、およびエチレンジアミンテトラキス(プロピレンオキシド−ブロック−エチレンオキシド)テトロールよりなる非イオン性又はアニオン性界面活性剤の群から選ばれる少なくとも1種の非イオン性又はアニオン性界面活性剤である。
【0079】
典型的には、抗菌成分および香料成分用の溶剤は、C10〜C44のアルケン(パラフィン系炭化水素)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレンマロネート、ポリネオペンチルグリコールセバケート、ポリペンタングルタレート、ポリビニルミリステート、ポリビニルステアレート、ポリビニルラウレート、ポリヘキサデシルメタクリレート、ポリオクタデシルメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、(Arachidyl alcohol)、ベヘニルアルコール、セラチルアルコール(Selachyl alcohol)、チミミルアルコール(chimimyl alcohol)、ポリエステル、ジ−イソデシルフタレート、ベンジルアルコール、C4〜C30の脂肪族アルコール、C4〜C30の飽和炭化水素、C4〜C30のモノ不飽和炭化水素、天然油、および鉱油パラフィンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤である。
【0080】
典型的には、界面活性剤は、アルキルフェノールエトキシ化非イオン性界面活性剤およびアルキルアルコールエトキシ化界面活性剤、ポリエチレン−ブロック−ポリプロピレングリコール−ブロック−ポリエチレングリコール、およびエチレンジアミンテトラキス(プロピレンオキシド−ブロック−エチレンオキシド)テトロールよりなる非イオン性界面活性剤の群から選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤である。
【0081】
典型的には、アルキルフェノキシエトキシ化非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン(8)イソオクチルフェニルエーテル、ノニルフェノールポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(12)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(12)イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(40)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(40)イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(100)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(150)ジノニルフェニルエーテル、スルホン酸性N−95(ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−(ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシルグリコールエーテル)(ノニルフェノール9.5−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−95(ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、α−(ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシルグリコールエーテル)(ノニルフェノール9.5−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−120(ノニルフェノール12−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−150(ノニルフェノール15−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−200(ノニルフェノール20−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−300(ノニルフェノール30−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物、スルホン酸性LF−7(アルキルポリオキシアルキレンエーテル)、スルホン酸性LF−17(エトキシ化およびプロポシキ化された炭素数12〜14の線状第1級アルコール)、イゲパールCO−630(ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、分岐状)、スルホン酸性DNP−40(ジノニルフェノールエトキシ化グリコールエーテル)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0082】
本発明の好ましい実施形態の1つによれば、前記界面活性剤のHLB値は16〜40の間である。
【0083】
典型的には、組成物に用いられるアルカリは水酸化ナトリウムである。典型的には、組成物のアルカリ性は約5%から6%の範囲にあり、好ましくは5.6%である。
【0084】
本発明の1つの観点からは、香料成分、溶剤、および界面活性剤は、組成物の本体に埋め込まれるミクロ容器を形成するように処理される。
【0085】
典型的には、ミクロ容器の平均中間サイズ(average mean size)は、5nmから2000nmの範囲にある。
【0086】
本発明は、また、本発明の組成物から製造される付香されたアクリル繊維、糸、および布地にも及ぶ。
【0087】
本発明によれば、また、
・水不溶性香料成分と非水性溶剤とを混合し、非水性相を形成する工程;
・非水性相を25℃から95℃の範囲の温度まで加熱する工程;
・界面活性剤、任意に共−界面活性剤、およびアクリルポリマー用溶剤を水に溶解し撹拌して水相を得る工程;
・水相を加熱する工程
・水相を液体状態の非水性相と混合して混合物を得、均質化してミクロエマルジョンを得る工程;
・ミクロエマルジョンを溶剤および水中のアクリルポリマー溶液と混合し、均質化し、ミクロエマルジョンを分散させ、均一分散状態のミクロ容器の形態で香料成分が埋め込まれたプレフォームマスを得る工程;
を含む、アクリル製品の製造用の付香されたアクリル組成物の製造方法を提供する。
【0088】
典型的には、水相のpHは7から13の範囲である。
【0089】
典型的には、ミクロエマルジョン中の非水性相の量は、ミクロエマルジョンの0.1から40質量%の範囲である。
【0090】
典型的には、ミクロエマルジョン中の界面活性剤の量は、ミクロエマルジョンの0.1から20質量%の範囲である。
【0091】
典型的には、アクリル製品中の香料成分の割合は、アクリル製品の質量に対し0.001から20%の範囲である。
【0092】
典型的には、ポリアクリロニトリル用溶剤は、少なくとも、チオシアン酸ナトリウム、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレンカーボネート、塩化亜鉛水溶液、および硝酸水溶液よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。アクリルドープ中のポリマーの割合は、溶剤に従って変化する。ポリマードープ中に溶解するアクリルポリマーの濃度は、ジメチルホルムアミドの場合は28〜32%程度、ジメチルアセトアミドの場合は22〜27%程度、ジメチルスルホキシドの場合は20〜25%程度、エチレンカーボネートの場合は15〜18%、硝酸水溶液の場合は8〜12%程度、塩化亜鉛の場合は8〜12%程度である。溶剤としてチオシアン酸ナトリウムを用いた場合は、アクリルポリマーの濃度は10〜15%程度である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
本発明を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0094】
【図1】添付図面のうち、図1は、本発明の温度制御アクリル繊維の製造方法に含まれる方法工程を示すブロック線図を表している。
【0095】
【図2】添付図面のうち、図2は、本発明の抗菌性の又は付香されたアクリル繊維の製造方法に含まれる方法工程を示すブロック線図を表している。
【0096】
【図3】図3は、本発明によって製造された温度制御アクリル繊維の断面図を表しており、封入された温度制御成分を含むミクロ容器が繊維の長さ方向を横切って均一に分布していることを示している。
【0097】
【図4】図4は、本発明によって製造された抗菌性アクリル繊維の断面図を表しており、封入された抗菌成分を含むミクロ容器が繊維の長さ方向を横切って均一に分布していることを示している。
【0098】
【図5】図5は、本発明によって製造された付香されたアクリル繊維の断面図を表しており、封入された香料成分を含むミクロ容器が繊維の長さ方向を横切って均一に分布していることを示している。
【詳細な説明】
【0099】
アクリル繊維は、実行可能に製造された繊維である。最初に実行可能に製造された繊維である。この繊維が非常に広範に使用されている理由はその多様性にある。さらに、この繊維は、多くの繊維と混合して、それらの繊維を最適な繊維にする特殊な能力も有する。
【0100】
アクリル繊維を原料に作られた繊維と布地とは多くの望ましい特性を有するが、しばしば消費者は、設計される繊維以上の機能特性を期待する。そのような過剰な期待に応えるために、さまざまな温度制御成分がアクリル繊維に組み込まれる。そのような材料の開発に対しての関心は非常に高いものがある。
【0101】
非常に需要が高いアクリル繊維に対し、付加すべき性質として望まれているのは「温度制御活性」、「抗菌活性」および「付香繊維」である。
【0102】
温度制御成分は、周囲の温度状況が変化する際のアクリル繊維の断熱性を向上させる。温度制御成分は、相変化の間に加熱または冷却されるときに熱を吸収または放出することにより衣服の熱特性を向上させる相変換材料である。
【0103】
温度制御アクリル製品は、このような布地の着用者が周囲の状況変化から生じる温度変動にさらされる際、人体の熱損失に及ぼされる一時的作用を軽減する。
【0104】
使用される温度制御成分は、ノナデカン、エイコサン、ヘプタデカン、オクタデカン、ヘキサデカン、ペンタデカン、およびミリスチルアルコールなどである。
【0105】
温度制御成分の温度制御能力は、布地内の温度制御成分の融点、量、温度制御成分の混合の組み合わせと割合、布地に使用されるポリマーの種類、布地の厚み、布地内の温度制御成分の分布、および布地への温度制御成分の組み込みに使用される方法などの要因によって左右される。
【0106】
所望の温度帯に対する布地の具体的な熱成形特性は、特定の割合で温度制御成分を入念に配合することにより調節される。温度制御成分は、温度制御が望まれる温度範囲に融点が収まるように選択される。よって、21〜30℃の範囲で温度制御が望まれる場合、温度制御成分の融点はこの範囲に収まらなければならない。また、20℃未満で温度制御が望まれる気候の地域で布地が使用される場合、20℃未満の融点を有する温度制御成分が使用される。温度制御ビスコース布地は、この布地の着用者を低温または高温環境の影響から守ることにより、一時的な断熱層としての役割を果たす。このような温度制御ビスコース布地は、直射日光や高温環境から熱を受けると、相が固体から液体に変化しながら一過性の熱を吸収し、温度制御成分の融点で布地の温度を一定化させることにより布地温度が上昇するのを防ぐ。いったん温度制御成分が完全に融解すると、その一過性の作用は止まり、布地温度は上昇する。同様に、温度制御布地は、結晶点以下の温度の低温環境にさらされると、相が液体から固体に変化することにより布地構造の冷却作用を妨げ、布地温度を結晶点で一定化させる。いったんすべての温度制御成分が結晶化すると、布地温度は低下し、温度制御成分は布地の熱性能に影響を及ぼさない。
【0107】
したがって、温度制御成分は、相変化温度、温度制御分子の量、および相変化の際に吸収又は放出するエネルギーの量の作用の働きによって、温度制御を行う。
【0108】
本発明によれば、
・少なくとも1種の水不溶性改質成分、
・組成物の0.001〜35質量%の範囲の、HLB値が9〜40の範囲にある少なくとも1種の水溶性非イオン性界面活性剤
・組成物の約1質量%〜15質量%の範囲のアクリルポリマー
・組成物の約20〜60質量%の範囲のポリアクリロニトリル用溶剤、および
・組成物の質量に対して約5%〜60%の範囲の水
を含む、
アクリル製品の製造用の改質アクリル組成物を提供する。
【0109】
本発明によれば、温度制御成分は、典型的には、ノナデカン、エイコサン、ヘプタデカン、オクタデカン、デシルアルコール、ラウリルアルコールおよびミリスチルアルコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0110】
温度制御成分は、繊維や、最終的にはこの繊維から作られる布地や衣服に対し、温度制御性を付与する。
【0111】
非イオン性界面活性剤は、非イオン性界面活性剤の親油性部分が温度制御成分と相溶し、界面活性剤が水中油型ミクロエマルジョンを形成するように選択される。HLB値が9〜40の範囲の界面活性剤が使用される。好ましくは、HLB値が13より大きい非イオン性界面活性剤が使用される。
【0112】
本発明の好ましい実施態様では、界面活性剤のHLB値は16から40である。さらに好ましくは、界面活性剤のHLB値は17.5である。
【0113】
アルカリは、いずれの適切なアルカリであってもよい。好ましくは、水酸化ナトリウムが本組成物に用いられる。本組成物のアルカリ度は、約5%から6%の範囲であり、好ましくは5.6%である。
【0114】
本発明の1つの観点によれば、温度制御成分、溶剤および界面活性剤が処理されて、組成物の本体に埋め込まれるミクロ容器を形成する。温度制御アクリルは、繊維の本体全体に均一に分散されたミクロ容器を含む。ミクロ容器は、明確な幾何学的形状を持たない不連続でナノサイズの構造である。
【0115】
典型的には、ミクロ容器の平均中間サイズは、5nmから2000nmの範囲である。
【0116】
本発明は、また、本発明の組成物から製造される温度制御性アクリル繊維、糸および布地にも及ぶ。
【0117】
本発明によれば、また、
・予め定められた範囲にある融点を有する水不溶性温度制御成分を選択し、該成分を95℃まで加熱して非水性相を形成する工程;
・界面活性剤、任意に共−界面活性剤、およびポリアクリロニトリル用溶剤を水に溶解し撹拌して水相を得る工程;
・該水相を加熱する工程;
・該非水性相を水相と混合し混合物を得て、均質化してミクロエマルジョンを得る工程;
・該ミクロエマルジョンを、溶剤および水中のアクリルポリマー溶液と混合し、均質化し該ミクロエマルジョンを分散させ、均一分散状態のミクロ容器の形態で温度制御物質が存在するプレフォームマスを得る工程;
を含む、
アクリル製品の製造用の温度制御アクリル組成物の製造方法を提供する。
【0118】
典型的には、水相のpHは7から13の範囲にある。
【0119】
典型的には、ミクロエマルジョン中の非水性相の量は、ミクロエマルジョンに対し0.1から40質量%の範囲である。
【0120】
典型的には、ミクロエマルジョン中の界面活性剤の量は、ミクロエマルジョンに対し0.1から20質量%の範囲である。
【0121】
使用される界面活性剤の最適濃度に達する前に、水相の曇点が決定される。さらに、水相のアルカリ度をビスコースポリマードープのアルカリ度と合致させることにより、乳化および均質化工程中のアルカリ度の大幅な変化を防止する。
【0122】
典型的には、界面活性剤を含有する水相とともに、非水性溶剤中に温度制御成分を含有する非水性相のエマルジョン化は、ミクロエマルジョンを形成するため、ウルトラテューレックス(Ultraturrex)又は機械的エマルジョン化装置、コロイドミル、高圧ホモジェナイザ、および超音波エマルジョン化装置等の高速ミキサを用いて行われる。ミクロエマルジョンは、必要であれば、さらに温度制御成分を含んでいてもよい。
【0123】
非水性相は、この混合の工程を通して、液体状態を保っていることが重要である。したがって、水相は、典型的には、ここで得られるエマルジョンの温度が、確実に温度制御成分の融点以上となるよう、特定の温度まで加熱される。これが行われなかった場合には、得られるエマルジョンは分解する。
【0124】
活性成分はミクロ容器からアクリルマトリックスに放出される。ミクロ容器の構造、アクリルおよび周囲の条件が、温度制御成分の放出速度を決定する。揮発性温度制御成分の分子は、主に拡散によりミクロ容器から周囲に移動する。温度制御成分は制御された方法でマトリックスから放出される。
【0125】
本発明の別の実施形態によれば、また、
・組成物の約0.01〜7質量%の範囲の、少なくとも1種の非水性溶剤、
・前記溶剤に溶解し、組成物の約0.001〜3.5質量%の範囲の、少なくとも1種の水不溶性抗菌成分、
・HLB値が9〜40の範囲であり、組成物の0.001〜3質量%の範囲の、少なくとも1種の水溶性非イオン性界面活性剤
・組成物の20〜60質量%の範囲のアクリルポリマー用溶剤、
・組成物の約1〜15質量%の範囲のアクリルポリマー、および
・組成物の質量に対して約5%〜60%の範囲の水、
を含む、
アクリル製品の製造用の抗菌性アクリル組成物を提供する。
【0126】
本発明では、抗菌成分は、典型的には、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、フェノキシエタノール安息香酸、4−ヒドロキシ−メチルエステル、ヒドロキシ安息香酸およびプロピルエステル、o−(2−ナフチル)メチル(3−メチルフェニル)チオカーバメート、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール、4,5−ジクロロ−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン[DCOIT]、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1−フェノキシプロパン−2−オール、ペンタクロロフェノール、5−クロロ−2−ジクロロフェノキシフェノール、クロトリマゾール、p−クロロ−m−キシレノール、およびクロロキナルドールよりなる群れから選ばれる少なくとも1種である。
【0127】
抗菌成分は繊維に抗菌性を付与し、最終的にはそれらの繊維から製造される布地または衣服に抗菌性を付与する。
【0128】
好ましくは、パラフィンワックスが、単独でまたはステアリルアルコールと組み合わせて、非水性溶剤として使用される。
【0129】
非イオン性またはアニオン性界面活性剤は、非イオン性またはアニオン性界面活性剤の親油性部分が抗菌成分と相溶し、界面活性剤が水中油型ミクロエマルジョンを形成するように選択される。HLB値が9〜40の範囲の界面活性剤が使用される。
【0130】
アルカリは、アクリル製造に適した任意のアルカリであってよい。好ましくは、水酸化ナトリウムが組成物内に使用される。組成物のアルカリ度は約5%〜6%の範囲であり、好ましくは5.6%である。
【0131】
本発明の1つの観点からは、抗菌成分、溶剤および界面活性剤は処理されて、組成物の本体に埋め込まれるミクロ容器を形成する。抗菌性アクリルは、繊維の本体全体に均一に分散されたミクロ容器を含む。ミクロ容器は、明確な幾何学的形状を持たない不連続でナノサイズの構造である。
【0132】
本発明は、また、本発明の組成物から製造される抗菌性アクリル繊維、糸、および布地にも及ぶ。
【0133】
本発明によれば、また、
・水不溶性抗菌成分と非水性溶剤とを混合し、非水性相を形成する工程;
・非水性相を95℃まで加熱する工程;
・界面活性剤、任意に共−界面活性剤、およびアクリルポリマー用溶剤を水に溶解し撹拌して水相を得る工程;
・水相を加熱する工程
・水相を液体状態の非水性相と混合して混合物を得、均質化してミクロエマルジョンを得る工程;
・ミクロエマルジョンを溶剤および水中のアクリルポリマー溶液と混合し、均質化し、ミクロエマルジョンを分散させ、均一分散状態のミクロ容器の形態で前記抗菌成分が埋め込まれたプレフォームマスを得る工程;
を含む、
アクリル製品の製造用の抗菌性アクリル組成物の製造方法を提供する。
【0134】
典型的には、アクリル製品中の抗菌成分の割合は、アクリル製品に対して0.01から5質量%の範囲にある。
【0135】
ここで用いられる界面活性剤の最適濃度に到達する前に、水相の曇点が決定される。
【0136】
典型的には、非水性溶剤内に抗菌成分を含む溶融した非水性相は、界面活性剤を含む水相と共に、ウルトラテューレックスまたは機械式乳化機などの高速ミキサ、コロイドミル、高圧ホモジナイザおよび超音波乳化機を用いて乳化され、ミクロエマルジョンを形成する。ミクロエマルジョンは、所望に応じて追加の抗菌成分を含むことができる。
【0137】
活性成分はミクロ容器からアクリルマトリックスに放出される。ミクロ容器の構造、アクリルおよび周囲の条件が、抗菌成分の放出速度を決定する。揮発性抗菌成分の分子は、主に拡散によりミクロ容器から周囲に移動する。抗菌成分は制御された方法でマトリックスから放出される。
【0138】
本発明の他の実施態様によると、
・組成物の約0.01〜7質量%の範囲の、少なくとも1種の非水性溶剤、
・該溶剤に溶解し得る、組成物の約0.001〜3.5質量%の範囲の、少なくとも1種の水不溶性香料成分、
・HLB値が9〜40の範囲にあり、組成物の0.001〜3質量%の範囲の、少なくとも1種の水溶性非イオン性界面活性剤
・組成物の20〜60質量%の範囲のポリアクリロニトリル用溶剤、
・組成物の約1〜15質量%の範囲のアクリルポリマー、および
・組成物の質量に対して約5%〜60%の範囲の水、
を含む、
アクリル製品の製造用の付香されたアクリル組成物を提供する。
【0139】
本発明によれば、様々な供給源からの各種香料成分が使用される。典型的な香料は複数香料の活性化合物であるが、単独の香料で構成されていてもよい。香料成分内の構成要素を変更する、および/または香料成分の相対的レベルを変更することは調香師の通常技量の充分に範囲内である。
【0140】
合成香料成分の場合、香料成分は1種またはそれ以上の化合物の組成物である。フェノール化合物、精油類、アルデヒド類、ケトン類、多環式化合物、エステル類、およびアルコール類などの様々な種類の化合物が香料用として一般的に知られている。多くの香料成分は官能基の組み合わせを含み、上記種のうち2種またはそれ以上に分類することができる。
【0141】
様々な植物由来香料成分は通常、主要な活性植物成分と共に、様々な植物化学物質も含む。
【0142】
調香師の観点からは、特定の化学種またはそれに入る種というよりも、芳香のタイプの点から香料成分を考えるのが便利である。ここで、香料成分は多種多様な匂いのカテゴリー;排他的ではない例としては木系(woody)、甘味系(sweet)、柑橘系、花系、果実系、動物系、スパイス系、青草系(green)、ムスク系、バルサミコ系、化学系およびミント系などを提供するように処方し得る。多種多様な具体的な香料成分の例をいくつかの常用の匂いのカテゴリーを代表的な(しかし、必ずしも排他的ではない)化学的カテゴリーと共に以下に記載する。
【0143】
木系香料成分は、シダーウッドオイル(精油)、グアヤクウッドオイル(精油)、γイオノン(ケトン)、サンダルウッドオイル(精油)、およびメチルセドリロン(ケトン)などである。甘味系香料成分は、クマリン(ケトン)、バニリン(4ヒドロキシ−3メトキシベンズアルデヒド)(アルデヒド)、エチルマルトール(アルコール)、フェニルアセトアルデヒド(アルデヒド)、ヘリオトロピン(アルデヒド)、アセトフェノン(ケトン)、およびジヒドロクマリン(ケトン)などである。柑橘系の香料成分は、オレンジオイル(精油)、レモンオイル(精油)、シトラール(アルデヒド)、βメチルナフチルケトン(ケトン)、酢酸テルピニル(エステル)、ノニルアルデヒド(アルデヒド)、テルピネオール(アルコール)、およびジヒドロミルセノール(アルコール)などである。花系香料成分は、ローズ系、ラベンダー系、ジャスミン系、およびミュゲ(muguet)系などの様々な花系サブクラスを含む。ローズ系の香料成分は、酢酸ゲラニル(エステル)、ゲラニオール(アルコール)、酢酸シトロネリル(エステル)、フェニルエチルアルコール(アルコール)、αダマスコン(ケトン)、βダマスコン(ケトン)、ゼラニウムオイル(精油)、および天然ローズオイル(精油)などである。ラベンダー系の香料成分は、ジヒドロ酢酸テルピニル(エステル)、エチルヘキシルケトン(ケトン)、ラバンディン(精油)、ラベンダー(精油)、テトラヒドロリナロール(アルコール)、リナロール(アルコール)、および酢酸リナリル(エステル)などである。ジャスミン系の香料成分は、酢酸ベンジル(エステル)、ブチルシンナミックアルデヒド(アルデヒド)、安息香酸メチル(エステル)、天然ジャスミンオイル(精油)、メチルジヒドロジャスモネート(エステル)などである。ミュゲ系の香料成分は、サイカルメン(cycalmen)アルデヒド(アルデヒド)、サリチル酸ベンジル(エステル)、ヒドロキシシトロネロール(アルコール)、シトロネリルオキシアセトアルデヒド(アルデヒド)、およびヒドロキシアルデヒド(アルデヒド)などである。果実系香料成分は、エチル−2−酪酸メチル(エステル)、プロピオン酸アリルシクロヘキサン(エステル)、酢酸アミル(エステル)、酢酸エチル(エステル)、γデカラクトン(ケトン)、オクタイアクトン(octaiactone)(ケトン)、ウンデカラクトン(アルデヒド)、アセト酢酸エチル(エステル)、ベンズアルデヒド(アルデヒド)などである。動物系香料成分は、フェニル酢酸メチル(エステル)、インドール(2,3,ベンズピロール)(フェノール)、クレオソール(フェノール)、イソブチルキノリン(フェノール)、およびアンドロステロール(フェノール)などである。スパイス系香料成分は、アニスアルデヒド(アルデヒド)、アニス(精油)、丁子油(精油)、オイゲノール(フェノール)、イソオイゲノール(フェノール)、チモール(フェノール)、アネトール(フェノール)、桂皮アルコール(アルコール)、および桂皮アルデヒド(アルデヒド)などである。青草系香料成分は、βγヘキセノール(アルコール)、ブロムスチロール(アルコール)、ジメチルベンジルカルビノール(アルコール)、へプチンカルボン酸メチル(エステル)、シス−3−酢酸ヘキセニル(エステル)、およびガルバナムオイル(精油)である。ムスク系香料成分は、定着剤として機能することが多い。ムスクの例は、グラクソライド(glaxolide)(フェノール)、シクロペンタデカノライド(cyclopentadecanolide)(フェノール)、ムスクケトン(musk ketone)(ケトン)、アンブレットライド(ambrettolide)(フェノール)、トナリッド(tonalid)(フェノール)、およびエチレンブラッシュレート(ethylene brassylate)(エステル)などである。バルサミコ系香料成分は、バルサムモミ(fir balsam)(精油)、ペルーバルサム(peru balsam)(精油)、およびベンゾインレジノイド(benzoin resinoid)(精油)などである。ミント系香料成分は、ラエボカルボン(laevo carvone)(ケトン)、メントール(アルコール)、メチルサリチレート(エステル)、ペパーミントオイル(精油)、スペアミントオイル(精油)、ユーカリ(精油)、アニシルアセテート(anisyl acetate)(エステル)、メチルチャビコール(methyl chavicol)(アルコール)などである。非イオン性界面活性剤化学系香料成分としては、ベンジルアルコール(アルコール)、ジプロプレン(diproplene)グリコール(アルコール)、エタノール(アルコール)、および安息香酸ベンジル(エステル)、アンドラン(Andrane)、セドランバ(Cedramber)、デシルメチルエーテル、ガラキソリド(Galaxolid)、グリサルブ(Grisalv)、インドラローム−ソリ(Indolarome-soli)、オレンジフラワーエーテル、オゾフルー(Ozofleu)、フェナフルー(Phenafleu)、トバカロ(Tobacaro)、パラクレシルメチルエーテル、カラナ(Karana)、シクロガルバナット(Cyclogalbanat)、ピコニ(piconi)、イソ−シクレモン(Iso-cyclemone)、イソEスーパー(Iso E supe)、セレストリド−ソリ(Celestolide-soli)、フルーラモン(Flueramon)、イヒドロイソジャスモン(ihydroisojasmon)、イソジャスモン(Isojasmon)、トナリ(Tonali)、メチルヨノン(Methyl Ionone)、ダルシニル−ソリ(Dulcinyl-soli)、アセトアニソール、ベティコン(Vetikon)、ウンデシレンアルデヒド、リリア(Lilia)、ヴァニリ(Vanilli)、桂皮アルコール、イソオイゲノール(Iso−Eugeno)、テトラ−ヒドロゲラニオ(Tetra-Hydro Geranio)、カロン(Calone)10%DE、ジヒドロ−イソジャスモン(Dihydro-isojasmon)、ガラクソリド(Galaxolide)、カラナル(Karanal)10%DE、ヤラヤラ(Yara Yara)(ネロリン)、デシルメチルエーテル(Decyl methyl ether)、エチルメチルフェニルグリシデート、パラ−クレシルフェニルアセテート、ウンデカラクトン、クロナールIFF(Clonal IFF)などである。
【0144】
好適な植物由来付香組成物は以下のとおりである。
ローズオイル:β−ダマセノン(beta-damascenone)、β−ダマスコン(beta-damascone)、β−イオノン(beta-ionone)およびローズオキシド;ラベンダーオイル:リナロールおよびリナリルアセテート;オレンジオイル:d−リモネン(d-limonene);ジャスミンオイル:酢酸ベンジル、リナロール、ベンジルアルコール、インドール、安息香酸ベンジル、シス−ジャスモン、ゲラニオールおよびアンスラニル酸メチル;サンダルウッドオイル:サンタロールズ(santalols)、サンテン(santene)、ノール−トリクロエカサンタレンおよびα−およびβ−サンタレン、サンテノールおよびテレサンタロール;シダーウッドオイル:p−メチル−δ−3−テトラヒドロアセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、シス−およびトランス−アトラントン、α−およびβ−ヒマルケンズ(himalchenes)、ar−ジヒドロターメロン(ar-dihydroturmerone)およびヒマカロール(himachalol)。
【0145】
香料成分は、繊維、および、最終的にはそれらの繊維から製造される布地または衣服に、特別な心地よい芳香や香りを付与する。
【0146】
本発明によれば、非水性溶剤のみが使用され、典型的には、C10〜C44のアルカン(パラフィン系炭化水素)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレングルコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレンマロネート、ポリネオペンチルグリコールセバケート、ポリペンタングルタレート、ポリビニルミリステート、ポリビニルステアレート、ポリビニルラウレート、ポリヘキサデシルメタクリレート、ポリオクタデシルメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、アラキジルアルコール(Arachidyl alcohol)、ベヘニルアルコール、セラチルアルコール(Selachyl alcohol)、チミミルアルコール(chimimyl alcohol)、ポリエステル、ジ−イソデシルフタレート、ジエチルフタレートおよびその他のアルキルフタレート、ベンジルアルコール、C4〜C30の脂肪族アルコール、C4〜C30の飽和炭化水素、C4〜C30のモノ不飽和炭化水素、天然油および鉱油パラフィンよりなる溶剤の群から選択される。
【0147】
好ましくは、パラフィンワックスは、単独で、又はステアリルアルコールと共に、非水性溶媒として用いられる。
【0148】
本発明によれば、水溶性非カチオン性界面活性剤/共−界面活性剤のみが使用される。典型的には、非イオン性界面活性剤は、アルキルフェノキエトキシ化非イオン性界面活性剤およびエトキシ化アルキルアルコール界面活性剤、ポリエチレン−ブロック−ポリプロピレングリコール−ブロック−ポリエチレングリコールおよびエチレンジアミンテトラキス(プロピレンオキシド−ブロック−エチレンオキシド)テトロールよりなる群から選択される。典型的には、アルキルフェノキエトキシ化非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン(8)イソオクチルフェニルエーテル、ノニルフェノールポリエチレングルコールエーテル、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(12)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(12)イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(40)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(40)イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(100)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(150)ジノニルフェニルエーテル、スルホン酸性N−95(ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−(ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシル−グリコールエーテル)(ノニルフェノール9.5−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−95(ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−(ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシル−グリコールエーテル)(ノニルフェノール9.5−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−120(ノニルフェノール12−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−150(ノニルフェノール15−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−200(ノニルフェノール20−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−300(ノニルフェノール30−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物、スルホン酸性LF−7(アルキルポリオキシアルキレンエーテル)、スルホン酸性LF−17(エトキシ化およびプロポキシ化された炭素数12〜14の線状第1級アルコール)、イゲパールCO−630(ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、分岐状)、スルホン酸性DNP−40(ジノニルフェノールエトキシ化グリコールエーテル)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0149】
非イオン性界面活性剤は非イオン性界面活性剤の親油性部分が香料成分と相溶し、界面活性剤は水中油型ミクロエマルジョンを形成するように選択される。HLB値が9〜40の範囲を持つ界面活性剤が使用される。好ましくは、HLB値が13よりも大きい非イオン性界面活性剤が使用される。
【0150】
本発明の好ましい実施態様では、界面活性剤のHLB値は16から40である。
【0151】
典型的には、組成物に使用されるアルカリは水酸化ナトリウムである。典型的には、組成物のアルカリ度は約5%〜6%の範囲であり、好ましくは5.6%である。
【0152】
本発明の1つの観点によれば、香料成分、溶剤および界面活性剤は処理されて、組成物の本体に埋め込まれるミクロ容器を形成する。付香されたアクリルは、繊維の本体全体に均一に分散されたミクロ容器を含む。ミクロ容器は、明確な幾何学的形状を持たない不連続でナノサイズの構造である。
【0153】
典型的には、ミクロ容器の平均中間サイズが5nm〜2000nmの範囲である。
【0154】
本発明は、本発明の組成物から製造される付香ビスコースレーヨン繊維、糸および布地にも及ぶ。
【0155】
本発明によれば、さらに、
・水不溶性香料成分と非水性溶剤とを混合し、非水性相を形成する工程;
・非水性相を25℃から95℃の範囲の温度まで加熱する工程;
・界面活性剤、任意に共−界面活性剤、およびアクリルポリマー用溶剤を水に溶解し撹拌して水相を得る工程;
・水相を加熱する工程
・水相を液体状態の非水性相と混合して混合物を得、均質化してミクロエマルジョンを得る工程;
・ミクロエマルジョンを溶剤および水中のアクリルポリマー溶液と混合し、均質化し、ミクロエマルジョンを分散させ、均一分散状態のミクロ容器の形態で香料成分が埋め込まれたプレフォームマスを得る工程;
を含む、
アクリル製品の製造用の付香されたアクリル組成物の製造方法を提供する。
【0156】
典型的には、水相のpHは、7から13の範囲にある。
【0157】
典型的には、ミクロエマルジョン中の非水性相の量は、ミクロエマルジョンの0.1から40質量%の範囲である。
【0158】
典型的には、ミクロエマルジョン中の界面活性剤の量は、ミクロエマルジョンの0.1から20質量%の範囲である。
【0159】
典型的には、アクリル製品中の香料成分の割合は、アクリル製品の質量に対して0.001から20質量%の範囲にある。
【0160】
使用される界面活性剤の最適濃度に達する前に、水相の曇点が決定される。さらに、水相のアルカリ度とビスコースポリマードープのアルカリ度とを合致させることにより、乳化および均質化工程中のアルカリ度の大幅な変化を防止する。
【0161】
典型的には、非水性溶剤内に香料成分を含む溶融した非水性相は、界面活性剤を含む水相と共に、ウルトラテューレックスまたは機械式乳化機などの高速ミキサ、コロイドミル、高圧ホモジナイザおよび超音波乳化機を用いて乳化され、ミクロエマルジョンを形成する。ミクロエマルジョンは、所望により、追加の香料成分を含むことができる。
【0162】
活性成分はミクロ容器からアクリルマトリックスに放出される。ミクロ容器の構造、アクリルおよび周囲の条件が、香料成分の放出速度を決定する。揮発性香料成分の分子は、主に拡散によりミクロ容器から周囲に移動する。香料成分は制御された放出方法でマトリックスから放出される。
【0163】
上記のように得られたプレフォームマスは、従来の再生溶媒を使用する紡糸浴内でフィラメントに紡糸することができる。典型的な従来の再生溶媒は、100〜140g/リットルの硫酸、100〜370g/リットルの塩(硫酸ナトリウム)および遅延剤(0〜60g/リットル)の硫化アルミニウム、硫酸亜鉛を含む。
【0164】
そのようにして得られたフィラメントは、延ばされてまっすぐな繊維にされた後、95℃で15分間の18%硫酸での処理、洗浄、80℃で15分間の0.6の水酸化ナトリウム(g/リットル)での脱硫、45℃で15分間のナトリウムハイポクロライド(hypochloride)(1.2g/リットル)での漂白、さらに30℃で15分間の水洗、45℃で15分間の酢酸(1g/リットル)での中和、および80〜120℃での乾燥を施される。
【0165】
上記のように製造されたアクリル繊維は、さらに布地を作製するための後処理、典型的には、ブレンドまたは純粋状態においての糸への転換、ワープビームへの転換、サイジング、布地の作製、デサイジング、スカーリング、漂白、染色、仕上げ、および衣服化などの処理に供される。
【0166】
また別に、得られたフィラメントは真直ぐに延ばされた繊維とされ、標準的な装置によりブレンドされる。ブレンドされた繊維はウェブ状に拡げられ、ウェブの圧密処理によって不織アクリル布が得られる。
【0167】
本発明の組成物から製造されるアクリル製品は、図3、4、および5に示す塊全体を通して均一に分散したミクロ容器を含む。
【0168】
温度制御アクリル繊維は、取り込まれた温度制御成分を放出可能な形で含んでいる。アクリル繊維中のミクロ容器の顕微鏡観察結果が図3に示されている。
【0169】
温度制御布地は、いずれの側でも、周囲温度の変動に関係なく人の快適さを改善する。これに加えて、温度制御布地はまた、寒冷な環境に基づいて、非常に活動的な状態(高代謝生産)を通して非活動的な状態に間欠的に移行する際、人の快適さを改善する。この特徴は、野外でのスポーツマンにとって特に適している。
【0170】
温度制御成分、抗菌成分、および香料成分などの改質成分が含有されている得られたアクリル布地は試験される。アクリル繊維の線密度(デニール)は標準ASTM試験法(D 1577)を用いて測定される。標準アクリル繊維(改質成分を含まないアクリル繊維)および改質アクリル繊維のデニールは同じままである。したがってそれらの成分の追加はアクリル繊維の線密度を変化させない。
【0171】
典型的には、ポリアクリロニトリル用溶剤は、少なくとも、チオシアン酸ナトリウム、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレンカーボネート、塩化亜鉛水溶液、および硝酸水溶液よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。アクリルドープ中のポリマーの割合は、溶剤に従って変化する。ポリマードープ中に溶解するアクリルポリマーの濃度は、ジメチルホルムアミドの場合は28〜32%程度、ジメチルアセトアミドの場合は22〜27%程度、ジメチルスルホキシドの場合は20〜25%程度、エチレンカーボネートの場合は15〜18%、硝酸水溶液の場合は8〜12%程度、塩化亜鉛の場合は8〜12%程度である。溶剤としてチオシアン酸ナトリウムを用いた場合は、アクリルポリマーの濃度は10〜15%程度である。
【0172】
アクリル繊維サンプルの引張強度とヤング係数を、周囲温度でASTM C1557−03手順に従いインストロン(Instron)引張試験機で検査する。
【0173】
改質繊維の外観は、AATCC 124で規定されている方法で評価する。乾燥頑強さ(dry tenacity)における%損失や乾燥伸びにおける%損失のようなパラメータについては、改質アクリル繊維と標準繊維において同じである。本発明によれば、改質成分を組み入れても繊維の外観に影響を与えない。
【0174】
繊維の風合い(feel):本発明によって製造された改質アクリル繊維は、標準アクリル繊維の場合に観測される風合いと同じ風合いを提供する)。
【0175】
テキスタイル業界に重要な別の点は、布地の染色能であり、改質布地と標準アクリル布地の染色能を比較することにより試験される。本発明にしたがって製造された改質アクリル繊維の染色能は、標準アクリル繊維のそれと同じである。
【0176】
本発明を以下の非限定的な例の助けを借りて説明する。
【温度制御繊維のための1番目の例のセット】
【0177】
例1
例1A−ミクロエマルジョンの製造
ミリスチルアルコール(200g)およびヘキサデカン(50g)を50℃まで加熱した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(28g)を水525mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(803g)の水相を得た。この水相(803g)を、溶融した非水性相(250g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1053g)を得た。
【0178】
例1B−繊維の製造
例1Aで製造されたミクロエマルジョン(1053g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得た。プレフォームマスは、12.5%チオシアン酸ナトリウム溶液を含有する浴で紡糸した。浴の温度は−2.5℃に保持した。その後、繊維を冷却延伸し、pH2.8および45℃でゲル処理し、さらに90℃で高温延伸した。繊維を125℃で処理することによって、繊維中の空隙を取り除いた。その後、繊維を緩め、120℃でアニール処理し、ついで後処理のために取り出して繊維に紡糸した。このようにして得られたアクリル繊維は、放出可能な温度制御成分を取り込んだミクロ容器を含有していた。ただし、ミクロ容器は、特定の形状やサイズを有しておらず、繊維の本体全体に亘って均一に分散していることが確認された。
【0179】
例2
例2A−ミクロエマルジョンの製造
ノナデカン(200g)およびヘキサデカン(50g)を50℃まで加熱した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(28g)を水525mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(803g)の水相を得た。この水相(803g)を、溶融した非水性相(250g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1053g)を得た。
【0180】
例2B−繊維の製造
例2Aで製造されたミクロエマルジョン(1053g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様にして繊維に紡糸した。
【0181】
例3
例3A
ペンタデカン(200g)およびミリスチルアルコール(50g)を40℃まで加熱した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(28g)を水525mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(803g)の水相を得た。この水相(803g)を、溶融した非水性相(250g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1053g)を得た。
【0182】
例3B−繊維の製造
例3Aで製造されたミクロエマルジョン(1053g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様にして繊維に紡糸した。
【0183】
例4
例4A
温度制御組成物の製造
ノナデカン(200g)およびオクタデカン(50g)を45℃まで加熱した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(28g)を水525mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(803g)の水相を得た。この水相(803g)を、溶融した非水性相(250g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1053g)を得た。
【0184】
例4B−繊維の製造
例4Aで製造されたミクロエマルジョン(1053g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様にして繊維に紡糸した。
【0185】
例5
例5A
温度制御組成物の製造
イコサン(110g)およびヘキサデカン(140g)を45℃まで加熱した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(28g)を水525mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(803g)の水相を得た。この水相(803g)を、溶融した非水性相(250g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1053g)を得た。
【0186】
例5B−繊維の製造
例5Aで製造されたミクロエマルジョン(1053g)を、アクリルポリマー1086gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム3620gおよび水4340mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様にして繊維に紡糸した。
【0187】
例6
例6A
温度制御組成物の製造
ノナデカン(110g)およびヘキサデカン(140g)を45℃まで加熱した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(28g)を水525mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(803g)の水相を得た。この水相(803g)を、溶融した非水性相(250g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1053g)を得た。
【0188】
例6B−繊維の製造
例6Aで製造されたミクロエマルジョン(1053g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様にして繊維に紡糸した。
【0189】
例7
例7A
温度制御組成物の製造
エイコサン(100g)およびヘキサデカン(150g)を45℃まで加熱した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(28g)を水525mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(803g)の水相を得た。この水相(803g)を、溶解した非水性相(250g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1053g)を得た。
【0190】
例7B−繊維の製造
例4Aで製造されたミクロエマルジョン(1053g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様にして繊維に紡糸した。
【0191】
例8
例8A
温度制御組成物の製造
ヘプタデカン(100g)およびヘキサデカン(150g)を45℃まで加熱した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(28g)を水525mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(803g)の水相を得た。この水相(803g)を、溶解した非水性相(250g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1053g)を得た。
【0192】
例8B−繊維の製造
例8Aで製造されたミクロエマルジョン(1053g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様にして繊維に紡糸した。
【0193】
例9
例9A−ミクロエマルジョンの製造
温度制御組成物の製造
ノナデカン(250g)を40℃まで加熱した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(28g)を水525mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(803g)の水相を得た。この水相(803g)を、溶解した非水性相(250g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1053g)を得た。
【0194】
例9B−繊維の製造
例9Aで製造されたミクロエマルジョン(1053g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様にして繊維に紡糸した。
【0195】
例10
例10A−ミクロエマルジョンの製造
ミリスチルアルコール(150g)およびペンタデカン(100g)を40℃まで加熱した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(28g)を水525mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(803g)の水相を得た。この水相(803g)を、溶解した非水性相(250g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1053g)を得た。
【0196】
例10B−繊維の製造
例10Aで製造されたミクロエマルジョン(1053g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様にして繊維に紡糸した。
【抗菌繊維のための2番目の例のセット】
【0197】
例1
例1A−ミクロエマルジョンの製造
ミリスチルアルコール(200g)およびセチルアルコール(50g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、25gの2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、水、フェノキシエタノール安息香酸、4−ヒロドキシメチルエステル、ヒドロキシ安息香酸およびプロピルエステルを添加し、非水性相(275g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(28g)を、水525mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(803g)の水相を得た。この水相(803g)を、溶解した非水性相(275g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1078gm)を得た。
【0198】
例1B−繊維の製造
例1Aで製造されたミクロエマルジョン(1078g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得た。プレフォームマスは、12.5%チオシアン酸ナトリウム溶液を含有する浴で紡糸した。浴の温度は−2.5℃に保持した。その後、繊維を冷却延伸し、pH2.8および45℃でゲル処理し、さらに90℃で高温延伸した。繊維を125℃で処理することによって、繊維中の空隙を取り除いた。その後、繊維を緩め、120℃でアニール処理し、ついで後処理のために取り出して繊維に紡糸した。このようにして得られたアクリル繊維は、放出可能な温度制御成分を取り込んだミクロ容器を含有していた。ただし、ミクロ容器は、特定の形状やサイズを有しておらず、繊維の本体全体に亘って均一に分散していることが確認された。
【0199】
例2
例2A−ミクロエマルジョンの製造
ステアリル(200g)およびセチルアルコール(50g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、25gの4,5−ジクロロ−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン[DCOIT]を添加し非水性相(275g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(28g)を水550mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(828g)の水相を得た。この水相(828g)を、溶融した非水性相(275g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1103g)を得た。
【0200】
例2B−繊維の製造
例2Aで製造されたミクロエマルジョン(1103g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様の方法で繊維を得た。
【0201】
例3
例3A−ミクロエマルジョンの製造
ステアリルアルコール(200g)およびポリビニルラウレート(50g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、100gのクロロキナルドールを添加し非水性相(350g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(30g)を水525mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(805g)の水相を得た。この水相(805g)を、溶解した非水性相(350g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1155g)を得た。
【0202】
例3B−繊維の製造
例3Aで製造されたミクロエマルジョン(1155g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様の方法で繊維を得た。
【0203】
例4
例4A−ミクロエマルジョンの製造
ステアリル(200g)およびパラフィンワックス(50g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、75gの2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、水、フェノキシエタノール安息香酸、4−ヒドロキシメチルエステル、ヒドロキシ安息香酸およびプロピルエステルを添加し、非水性相(325g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(40g)を水550mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(840g)の水相を得た。この水相(840g)を、溶融した非水性相(325g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1165g)を得た。
【0204】
例4B−繊維の製造
例4Aで製造されたミクロエマルジョン(1165g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得た。
【0205】
例5
例5A−ミクロエマルジョンの製造
ステアリルアルコール(300g)およびミリスチルアルコール(50g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、100gの5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール(トリクロサン)を添加し非水性相(450g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(60g)を水640mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(950g)の水相を得た。この水相(950g)を、溶融した非水性相(450g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1400g)を得た。
【0206】
例5B−繊維の製造
例5Aで製造されたミクロエマルジョン(1400g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得た。
【0207】
例6
例6A−ミクロエマルジョンの製造
ステアリルアルコール(200g)およびミリスチルアルコール(50g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、80gのクロトリマゾールを添加し非水性相(330g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(35g)を水550mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(825g)の水相を得た。この水相(825g)を、溶融した非水性相(330g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1155g)を得た。
【0208】
例6B−繊維の製造
例6Aで製造されたミクロエマルジョン(1155g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得た。
【0209】
例7
例7A−ミクロエマルジョンの製造
ミリスチルアルコール(250g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、40gのクロロキナルドールを添加し非水性相(290g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(35g)を水540mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(825g)の水相を得た。この水相(825g)を、溶融した非水性相(290g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1115g)を得た。
【0210】
例7B−繊維の製造
例7Aで製造されたミクロエマルジョン(1115g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得た。
【0211】
例8
例8A−ミクロエマルジョンの製造
セチルアルコール(250g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに対し、25gのp−クロロ−m−キシレノールを添加し非水性相(275g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(28g)を水550mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(828g)の水相を得た。この水相(828g)を、溶融した非水性相(275g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1103g)を得た。
【0212】
例8B−繊維の製造
例2Aで製造されたミクロエマルジョン(1103g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様の方法で繊維を得た。
【0213】
例9
例9A−ミクロエマルジョンの製造
ステアリルアルコール(200g)およびセチルアルコール(50g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、25gの4,5−ジクロロ−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン[DCOIT]を添加し非水性相(275g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(28g)を水550mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(828g)の水相を得た。この水相(828g)を、溶融した非水性相(275g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1103g)を得た。
【0214】
例9B−繊維の製造
例9Aで製造されたミクロエマルジョン(1103g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様の方法で繊維を得た。
【0215】
例10
例10A−ミクロエマルジョンの製造
ステアリルアルコール(200g)およびセチルアルコール(50g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、25gのp−クロロ−m−キシレノールを添加し非水性相(275g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(28g)を水550mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(828g)の水相を得た。この水相(828g)を、溶融した非水性相(275g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1103g)を得た。
【0216】
例10B−繊維の製造
例10Aで製造されたミクロエマルジョン(1103g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様の方法で繊維を得た。
【付香された繊維のための3番目の例のセット】
【0217】
例1
例1A−ミクロエマルジョンの製造
ミリスチルアルコール(200g)およびセチルアルコール(50g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、25gのシトラスムスクを添加し非水性相(275g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(30g)を水550mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(830g)の水相を得た。この水相(803g)を、溶融した非水性相(275g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1105g)を得た。
【0218】
例1B−繊維の製造
例1Aで製造されたミクロエマルジョン(1105g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得た。プレフォームマスは、12.5%チオシアン酸ナトリウム溶液を含有する浴で紡糸した。浴の温度は−2.5℃に保持した。その後、繊維を冷却延伸し、pH2.8および45℃でゲル処理し、さらに90℃で高温延伸した。繊維を125℃で処理することによって、繊維中の空隙を取り除いた。さらに、繊維を緩め、120℃でアニール処理し、後処理のために取り出して繊維に紡糸した。このようにして得られたアクリル繊維は、放出可能な香料成分を取り込んだミクロ容器を含有していた。ただし、ミクロ容器は、特定の形状やサイズを有しておらず、繊維体全体に渡って均一に分散していることが確認された。
【0219】
例2
例2A−ミクロエマルジョンの製造
ステアリル(200g)およびセチルアルコール(50g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、25gのフローラルウッディを添加し非水性相(275g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(38g)を水550mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(838g)の水相を得た。この水相(838g)を、溶融した非水性相(275g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1113g)を得た。
【0220】
例2B−繊維の製造
例2Aで製造されたミクロエマルジョン(1113g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様の方法で繊維を得た。
【0221】
例3
例3A−ミクロエマルジョンの製造
ステアリルアルコール(200g)およびポリビニルラウレート(50g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、100gのウッディムスクを添加し非水性相(350g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(30g)を水525mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(805g)の水相を得た。この水相(805g)を、溶融した非水性相(350g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1155g)を得た。
【0222】
例3B−繊維の製造
例3Aで製造されたミクロエマルジョン(1155g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様の方法で繊維を得た。
【0223】
例4
例4A−ミクロエマルジョンの製造
ステアリル(200g)およびパラフィンワックス(50g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、75gのフレッシュブーケを添加し非水性相(325g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(40g)を水550mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(840g)の水相を得た。この水相(840g)を、溶融した非水性相(325g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1165g)を得た。
【0224】
例4B−繊維の製造
例4Aで製造されたミクロエマルジョン(1165g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得た。
【0225】
例5
例5A−ミクロエマルジョンの製造
ステアリルアルコール(300g)およびミリスチルアルコール(50g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、100gのフローラルムスクを添加し非水性相(450g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(60g)を水640mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(950g)の水相を得た。この水相(950g)を、溶融した非水性相(450g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1400g)を得た。
【0226】
例5B−繊維の製造
例5Aで製造されたミクロエマルジョン(1400g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得た。
【0227】
例6
例6A−ミクロエマルジョンの製造
ステアリルアルコール(200g)およびミリスチルアルコール(50g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、80gのシトラスムスクを添加し非水性相(330g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(35g)を水540mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(825g)の水相を得た。この水相(825g)を、溶融した非水性相(330g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1155g)を得た。
【0228】
例6B−繊維の製造
例6Aで製造されたミクロエマルジョン(1155g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得た。
【0229】
例7
例7A−ミクロエマルジョンの製造
ミリスチルアルコール(250g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、40gのシトラスムスクを添加し非水性相(290g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(35g)を水540mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(825g)の水相を得た。この水相(825g)を、溶融した非水性相(290g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1115g)を得た。
【0230】
例7B−繊維の製造
例7Aで製造されたミクロエマルジョン(1113g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得た。
【0231】
例8
例8A−ミクロエマルジョンの製造
セチルアルコール(250g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、25gのフローラルウッディを添加し非水性相(275g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(28g)を水550mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(828g)の水相を得た。この水相(828g)を、溶融した非水性相(275g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1103g)を得た。
【0232】
例8B−繊維の製造
例8Aで製造されたミクロエマルジョン(1103g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様の方法で繊維を得た。
【0233】
例9
例9A−ミクロエマルジョンの製造
ステアリルアルコール(200g)およびセチルアルコール(50g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、25gのフレッシュブーケを添加し非水性相(275g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(35g)を水553mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(838g)の水相を得た。この水相(828g)を、溶融した非水性相(275g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1113g)を得た。
【0234】
例9B−繊維の製造
例9Aで製造されたミクロエマルジョン(1113g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様の方法で繊維を得た。
【0235】
例10
例10A−ミクロエマルジョンの製造
ステアリルアルコール(200g)およびセチルアルコール(50g)を50℃まで加熱して溶融混合物を得た。これに、25gのラベンダーオイルを添加し非水性相(275g)を形成した。スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物(界面活性剤)(40g)を水548mlおよびチオシアン酸ナトリウム(250g)に溶解して撹拌し、(838g)の水相を得た。この水相(838g)を、溶融した非水性相(275g)の温度まで加熱し、両相を高速ミキサ(ウルトラテューレックス)で均質化し、ミクロエマルジョン(1113g)を得た。
【0236】
例10B−繊維の製造
例10Aで製造されたミクロエマルジョン(1113g)を、アクリルポリマー5000gを含有するポリマードープと50℃で混合し、チオシアン酸ナトリウム16670gおよび水20000mlを添加してプレフォームマスを得、例1に記載されたのと同様の方法で繊維を得た。
【試験手法】
【0237】
上記例(各セット1〜10)で作製したアクリル製品を以下の試験手法を用いて試験した。
【0238】
1)アクリル繊維の線密度(デニール)は、標準ASTMテスト法(D1577)を用いて測定した。標準アクリル繊維のデニールと各セットの例1Bにより製造された改質アクリル繊維のデニールは、改質成分の種類および量によらず均一(1.5デニール)であることが分かった。
【0239】
2)アクリル繊維サンプルの引張強度およびヤングモジュラスは、周囲温度でASTM C1557−03の手順に従ってインストロン引張試験機で試験した。
【0240】
3)エマルジョン安定性:上記例で作製したミクロエマルジョンの安定性は、同じものをメスシリンダーに3日間、観察下に保持することにより評価した。この間、相分離は観察されなかった。
【0241】
4)布地の風合い:上記例で作製したアクリル布地と標準布地とを無作為に20人の被験者に与え、繊維のテクスチャーと風合いについての評価を尋ねた。被験繊維材料は数回、被験者の間で交換した。被験者から集めた結果から、誰も、上記例により作製された改質アクリル布地と標準布地とを区別できないことを確認した。
【0242】
5)可染性:上記例で作製した改質アクリル布地と上記標準布地とを反応性染料で均一に染色した。2種のアクリル布地の染色性について、気が付くほどの差は、改質成分の有無によって、報告されなかった。
【0243】
6)改質アクリル繊維の外観をAATCC124の手法で評価した。乾燥時頑健さにおける%損失および乾燥時伸びにおける%損失のようなパラメータに関する限り、改質アクリル繊維と標準繊維とにおいて、同じ(それぞれ<10%および<15%)であった。
【0244】
7)布地試料のエンタルピーの測定:第1のセットの例1〜10で製造した布地/繊維の試料の温度制御性を試料のそれぞれのエンタルピーを測定することで評価した。エンタルピーはDSC(示差走査型熱量法)技術を用いて測定した。例1〜10で得られた繊維および布地のエンタルピーを表1に示す。
【0245】
【表1】

【0246】
8.温度制御活性の試験
16歳から56歳の年齢層から無作為に選んだ20名の被験者の体型に合わせた自然な流れのローブを、本発明にしたがって製造した染色されていない温度制御アクリル布地から作製した。同時に、染色されていない標準布地(温度制御成分を含まないアクリル布地)から、同じデザインの同じローブを作製した。
【0247】
温度が正確にコントロールできる温度がモニターされた部屋を用意した。この部屋の温度を21℃に設定した。20名の被験者にローブを着て部屋に集まってもらい、部屋の中に30分間滞在してもらった。彼らには無作為に、標準ローブ(標準布地で作製したローブ)か本発明の布地で作製したローブを着てもらった。しかし、彼らには着ているローブがどのタイプのものであるかは知らせなかった。30分後、被験者全員をエアコンディショニングされていない温度が28℃の外部環境に出てもらい、ローブで覆われた領域で暖かさを感じた時間を観察し記録してもらった。
【0248】
その後、被験者全員にローブを交換してもらった。すなわち、標準布地のローブの被験者には本発明の布地のローブに変更し、また、その逆の人にも同様にしてもらった。彼らにもう一度部屋に戻って30分間滞在し、またもう一度外部環境に出て、暖かさを感じ始めた時間を観察し記録してもらった。ついで、被験者に両方の場合において暖かさを感じるために必要だった時間を評価してもらった。この実験の結果はつぎのとおりであった。
【0249】
16名の被験者は、標準布地で暖かさを感じたのは、本発明の布地よりも平均して90秒早かったとの意見であった。3名の被験者は時間の差に顕著な違いは感じず、1名の被験者は本発明の布地の場合に暖かさを早く感じたと記録した。
【0250】
ローブ間の直接的な比較において、18名の被験者は、本発明の布地で作製したワードローブを着るとひんやりと快適と感じたとの意見であった。2名の被験者はこれら2つの間に顕著な差は感じなかった。逆の知見を見出した被験者はいなかった。
【0251】
30℃のより暑い外部環境から21℃にエアコンディショニングされた環境に入るという同様の試験を被験者に行った。18名の被験者が、本発明の布地で作製したローブがより暖かく快適に感じたと表現し、寒さを感じた時間は平均で3分間長かった。2名の被験者は両者に有意な差を感じなかった。
【0252】
よって、本発明により製造される布地は、いずれの状況、すなわち温度上昇と温度低下のいずれの状況でも温度制御効果を発揮すると結論づけられる。
【0253】
9.抗菌成分富化繊維/布地の試験
上記の例で製造した抗菌成分富化アクリル布地の抗菌作用を、種々の試験手法、たとえば医療機器、医療および市販の衣料、その他の製品に適用される処理の効果を測定し確認するために用いられている抗菌アッセイ法などにより試験した。
【0254】
AATCC100(パート1)の試験に従った最少サンプル要求の9インチ角または6インチ長が、抗菌活性の定性試験である。被験ビスコース繊維/布地試料を、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)またはエセリシア・コリ(Escherichia coli)を画線培養した中性培地に接触させた。サンプルにスタフィロコッカスを植え付けて、選択した接触期間である1〜24時間に亘って細菌の減少割合の評価を行った。所要時間は通常5日である。ついで試料を37℃の温度で24時間培養した。24時間の培養時間後、サンプルを目視で細菌の生育についてチェックした。
【0255】
AATCC147/100、パートIIIプロトコルは防カビ活性の定性試験を提供する。アクリル繊維/布地試料をサボウラウド・デキストロース(Sabouraud Dextrose)培地上で常用のカビ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)の生育に供した。予め湿らせた試料に植え付け、28℃で7日間培養した。ついで試料をカビの生育について評価した。ASTM E2180−01試験法を、本発明に従って作製したアクリル製品(繊維/布地)のカビ発生の抑制試験に用いた。
【0256】
第2のセットの例1〜10で得られたアクリル繊維および布地試料全部について、抗菌活性、ついで上記の試験プロトコルを試験した。上記の試験プロトコルの結果をつぎの表に示す。
【0257】
【表2】

【0258】
【表3】

【0259】
第2のセットの例6と9で得られたアクリル繊維および布地アクリル布地試料は抗カビ剤を含んでおり、それらの抗カビ活性をAATCC147パートIIIで調べたところ、全ての試料においてカビの生育は認められず、それらの全ての試料が優れた防カビ活性を発揮していることを意味していた。さらに、これらのカビ発生の抑制活性をASTM E 2180−01試験プロトコルにより試験したところ、アスペルギルス・ニガーに対して良好な抑制活性が記録された。
【0260】
このように、これらの繊維で作製された供試布地は細菌およびカビの両方に対して顕著な抗菌活性を示した。
【0261】
10.香料保持試験
第3のセットの例に従って製造された新たなアクリル繊維から、20cm×20cmの標準サイズの20個の試験片を切り出した。同じ繊維から同じサイズに切り出した別の1セットの20個の試験片を2時間の間欠的な乾燥を伴う20回温水洗浄に供した。乾燥は、25〜45℃の範囲の温度で太陽光で行った。試験片は、試験片の香りを試験するための被験者に無作為に配られた。試験片は被験者間で交換した。2種類の対応するアクリル繊維試験片の匂いについて気付くほどの差は報告されず、したがってアクリル繊維試験片は、変化させた条件に曝しても香料添加剤を保持していたと結論付けられる。
【0262】
本明細書では好適な実施形態の具体的な工程に重点を置いているが、本発明の原則から逸脱せずに、好適な実施形態において多くの変更および多くの修正を加えることが可能である。好ましい態様と共に本発明の他の態様におけるこれらおよび他の変更は、ここでの開示から当業者に明らかであり、よって、これまでの記載事項は本発明の説明にすぎず、限定されるものではないことを明確に理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・少なくとも1種の水不溶性改質成分、
・9〜40の範囲のHLB値を有し、組成物の0.001〜10質量%の範囲の、少なくとも1種の水溶性非イオン性界面活性剤
・組成物の約1〜15質量%の範囲のアクリルポリマー
・組成物の20〜60質量%の範囲のポリアクリロニトリル用溶剤、および
・組成物の約5質量%〜60質量%の範囲の水
を含む、アクリル製品の製造用の改質アクリル組成物。
【請求項2】
前記改質成分が、
組成物の約0.01〜7質量%の範囲で含まれ、温度制御効果が望まれる範囲に融点を有する温度制御成分である、
請求項1に記載の改質アクリル組成物。
【請求項3】
前記温度制御成分が、ノナデカン、エイコサン、ヘプタデカン、オクタデカン、ペンテデカン、ヘキサデカン、デシルアルコール、ラウリルアルコール、およびミリスチルアルコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、
請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記界面活性剤が、アルキルフェノキシエトキシ化非イオン性界面活性剤、エトキシ化アルキルアルコール界面活性剤、ポリエチレンブロック−ポリプロピレングリコールブロック−ポリエチレングリコール、およびエチレンジアミンテトラキス(プロピレンオキシド−ブロック−エチレンオキシド)テトロールよりなる非イオン性界面活性剤の群から選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤である請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
フェノキシ様エトキシ化非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(8)イソオクチルフェニルエーテル、ノニルフェノールポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(12)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(12)イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(40)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(40)イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(100)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(150)ジノニルフェニルエーテル、スルホン酸性N−95(ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−(ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシルグリコールエーテル)(ノニルフェノール9.5−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−95(ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−(ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシルグリコールエーテル)(ノニルフェノール9.5−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−120(ノニルフェノール12−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−150(ノニルフェノール15−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−200(ノニルフェノール20−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−300(ノニルフェノール30−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物)、スルホン酸性LF−7(アルキルポリオキシアルキレンエーテル)、スルホン酸性LF−17(エトキシ化およびプロポキシ化された炭素数12〜14の線状第1級アルコール)、イゲパールCO−630(ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、分岐状)、スルホン酸性DNP−40(ジノニルフェノールエトキシ化グリコールエーテル)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、
請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記界面活性剤のより好ましいHLB値が16〜40の間である、
請求項2記載の組成物。
【請求項7】
前記ミクロ容器の平均中間サイズが5nm〜2000nmの範囲である請求項2記載の組成物。
【請求項8】
請求項2記載の組成物から製造される温度制御アクリル繊維。
【請求項9】
請求項2記載の組成物から製造される温度制御アクリル糸。
【請求項10】
請求項2記載の組成物から製造される温度制御アクリル布地。
【請求項11】
前記組成物が、
・組成物の約0.01〜7質量%の範囲の、少なくとも1種の非水性溶剤、
・前記溶剤に溶解し、組成物の約0.001〜3.5質量%の範囲の、少なくとも1種の水不溶性抗菌成分、
・HLB値が9〜40の範囲であり、組成物の0.001〜3質量%の範囲の、少なくとも1種の水溶性非イオン性界面活性剤
・組成物の20〜60質量%の範囲のアクリルポリマー用溶剤、
・組成物の約1〜15質量%の範囲のアクリルポリマー、および
・組成物の質量に対して約5%〜60%の範囲の水、
を有する抗菌性アクリル組成物である請求項1に記載の改質アクリル組成物。
【請求項12】
前記抗菌成分が、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、フェノキシエタノール安息香酸、4−ヒドロキシ−メチルエステル、ヒドロキシ安息香酸およびプロピルエステル、o−(2−ナフチル)メチル(3−メチルフェニル)チオカーバメート、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール、4,5−ジクロロ−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン[DCOIT]、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1−フェノキシプロパン−2−オール、ペンタクロロフェノール、5−クロロ−2−ジクロロフェノキシフェノール、クロトリマゾール、p−クロロ−m−キシレノール、およびクロロキナルドールよりなる群れから選ばれる少なくとも1種である、
請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記溶剤が、C10〜C44のアルケン(パラフィン系炭化水素)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレンマロネート、ポリネオペンチルグリコールセバケート、ポリペンタングルタレート、ポリビニルミリステート、ポリビニルステアレート、ポリビニルラウレート、ポリヘキサデシルメタクリレート、ポリオクタデシルメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、アラチジルアルコール、ベヘニルアルコール、セラキルアルコール、チミミルアルコール、ポリエステル、ジ−イソデシルフタレート、ベンジルアルコール、C4〜C30の脂肪族アルコール、C4〜C30の飽和炭化水素、C4〜C30のモノ不飽和炭化水素、天然油、および鉱油パラフィンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤である、
請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記界面活性剤が、アルキルフェノールエトキシ化界面活性剤、アルキルアルコールエトキシ化界面活性剤、ポリエチレン−ブロック−ポリプロピレングリコール−ブロック−ポリエチレングリコールおよびエチレンジアミンテトラキス(プロピレンオキシド−ブロック−エチレンオキシド)テトロールよりなる非イオン性界面活性剤の群から選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤である、
請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記界面活性剤が、ラウレス硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、油脂アルコールエーテル硫酸塩、アルキルカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ポリエタノキシエーテル硫酸エステルおよびポリエタノキシエーテルリン酸エステルよりなるアニオン性界面活性剤の群から選ばれる少なくとも1種のアニオン性界面活性剤である、
請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
前記アルキルフェノキシエトキシ化非イオン性又はアニオン性界面活性剤が、HLB値が9より大きく、ポリオキシエチレン(8)イソオクチルフェニルエーテル、ノニルフェノールポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(12)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(12)イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(40)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(40)イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(100)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(150)ジノニルフェニルエーテル、スルホン酸性N−95(ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−(ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシルグリコールエーテル)(ノニルフェノール9.5−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−120(ノニルフェノール12−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−150(ノニルフェノール15−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−200(ノニルフェノール20−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−300(ノニルフェノール30−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物、イゲパールCO−630(ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、分岐状)、スルホン酸性 DNP−40(ジノニルフェノールエトキシ化グリコールエーテル)、油脂アルコールエーテルサルフェート、アルキルカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ポリエタノキシエーテル硫酸エステルおよびポリエタノキシエーテルリン酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、
請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記アルキルアルコール界面活性剤が、HLB値が9より大きく、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、セトステアリルアルコールエトキシ化物、および修飾されたアルコールエトキシ化物、スルホン酸性LF−7(アルキルポリオキシアルキレンエーテル)、およびスルホン酸性LF−17(エトキシ化およびプロポシキ化された炭素数12〜14の線状1級アルコール)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、
請求項に15記載の組成物。
【請求項18】
前記界面活性剤の好ましいHLB値が16と40との間である請求項11に記載の組成物。
【請求項19】
前記ミクロ容器の平均中間サイズが5nm〜2000nmの範囲である請求項11に記載の組成物。
【請求項20】
請求項11に記載の組成物から製造される抗菌性リヨセル繊維。
【請求項21】
請求項11に記載の組成物から製造される抗菌性リヨセル糸。
【請求項22】
請求項11に記載の組成物から製造される抗菌性リヨセル布地。
【請求項23】
前記組成物が、
・組成物の約0.01〜7質量%の範囲の、少なくとも1種の非水性溶剤、
・前記溶剤に溶解し得る、組成物の約0.001〜3.5質量%の範囲の、少なくなくとも1種の水不溶性香料成分、
・HLB値が9〜40の範囲にあり、組成物の0.001〜3質量%の範囲の、少なくとも1種の水溶性非イオン性界面活性剤
・組成物の20〜60質量%の範囲のポリアクリロニトリル用溶剤、
・組成物の約1〜15質量%の範囲のアクリルポリマー、および
・組成物の質量に対して約5%〜60%の範囲の水、
を有する付香されたアクリル組成物である請求項1に記載の改質アクリル組成物。
【請求項24】
前記香料成分が、シトラスムスク、フローラルウッディ、シトラスムスクウッディ、フレッシュブーケ、ムスク、フローラルムスク、ラベンダーオイル、ジャスミンオイル、ローズオイル、シダーウッドオイル、サンダルウッドオイル、オレンジオイル、およびレモンオイルよりなる群れから選ばれる少なくとも1種である、
請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記溶剤が、C10〜C44のアルケン(パラフィン系炭化水素)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレンマロネート、ポリネオペンチルグリコールセバケート、ポリペンタングルタレート、ポリビニルミリステート、ポリビニルステアレート、ポリビニルラウレート、ポリヘキサデシルメタクリレート、ポリオクタデシルメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、アラチジルアルコール、ベヘニルアルコール、セラキルアルコール、チミミルアルコール、ポリエステル、ジ−イソデシルフタレート、ベンジルアルコール、C4〜C30の脂肪族アルコール、C4〜C30の飽和炭化水素、C4〜C30のモノ不飽和炭化水素、天然油、および鉱油パラフィンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤である、
請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記界面活性剤が、アルキルフェノールエトキシ化非イオン性界面活性剤およびアルキルアルコールエトキシ化界面活性剤、ポリエチレン−ブロック−ポリプロピレングリコール−ブロック−ポリエチレングリコールおよびエチレンジアミンテトラキス(プロピレンオキシド−ブロック−エチレンオキシド)テトロールよりなる非イオン性界面活性剤の群から選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤である、
請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
前記アルキルフェノキシエトキシ化非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(8)イソオクチルフェニルエーテル、ノニルフェノールポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(12)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(12)イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(40)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(40)イソオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(100)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(150)ジノニルフェニルエーテル、スルホン酸性N−95(ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル),α−(ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシルグリコールエーテル)(ノニルフェノール9.5−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−95(ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、α−(ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシルグリコールエーテル)(ノニルフェノール9.5−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−120(ノニルフェノール12−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−150(ノニルフェノール15−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−200(ノニルフェノール20−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−300(ノニルフェノール30−モルエトキシ化物)、スルホン酸性N−400ノニルフェノール40−モルエトキシ化物、スルホン酸性LF−7(アルキルポリオキシアルキレンエーテル)、スルホン酸性LF−17(エトキシ化およびプロポシキ化された炭素数12〜14の線状第1級アルコール)、イゲパールCO−630(ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、分岐状)、スルホン酸性DNP−40(ジノニルフェノールエトキシ化グリコールエーテル)よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、
請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記界面活性剤の好ましいHLB値が16と40との間である請求項23記載の組成物。
【請求項29】
前記ミクロ容器の平均中間サイズが5nm〜2000nmの範囲である請求項23記載の組成物。
【請求項30】
請求項23記載の組成物から製造される付香されたアクリル繊維。
【請求項31】
請求項23記載の組成物から製造される付香されたアクリル糸。
【請求項32】
請求項23記載の組成物から製造される付香されたアクリル布地。
【請求項33】
・予め決められた範囲にある融点を有する水不溶性温度制御成分を選択し、該成分を95℃まで加熱して非水性相を形成する工程;
・界面活性剤、任意に共−界面活性剤、およびアクリルポリマー用溶剤を水に溶解し攪拌して水相を得る工程;
・前記水相を加熱する工程
・前記水相を液体状態の前記非水性相と混合して混合物を得、均質化してミクロエマルジョンを得る工程;
・前記ミクロエマルジョンを溶剤および水中のアクリルポリマー溶液と混合し、均質化し、前記ミクロエマルジョンを分散させ、均一分散状態のミクロ容器の形態で前記温度制御成分が存在するプレフォームマスを得る工程;
を含むアクリル製品の製造用の温度制御アクリル組成物の製造方法。
【請求項34】
・水不溶性抗菌成分と非水性溶剤とを混合し、非水性相を形成する工程;
・前記非水性相を95℃まで加熱する工程;
・界面活性剤、任意に共−界面活性剤、およびアクリルポリマー用溶剤を水に溶解し攪拌して水相を得る工程;
・前記水相を加熱する工程
・前記水相を液体状態の前記非水性相と混合して混合物を得、均質化してミクロエマルジョンを得る工程;
・前記ミクロエマルジョンを溶剤および水中のアクリルポリマー溶液と混合し、均質化し、前記ミクロエマルジョンを分散させ、均一分散状態のミクロ容器の形態で前記抗菌成分が埋め込まれたプレフォームマスを得る工程;
を含むアクリル製品の製造用の抗菌性アクリル組成物の製造方法。
【請求項35】
・水不溶性香料成分と非水性溶剤とを混合し、非水性相を形成する工程;
・前記非水性相を25℃から95℃の範囲の温度まで加熱する工程;
・界面活性剤、任意に共−界面活性剤、およびアクリルポリマー用溶剤を水に溶解し攪拌して水相を得る工程;
・前記水相を加熱する工程
・前記水相を液体状態の前記非水性相と混合して混合物を得、均質化してミクロエマルジョンを得る工程;
・前記ミクロエマルジョンを溶剤および水中のアクリルポリマー溶液と混合し、均質化し、前記ミクロエマルジョンを分散させ、均一分散状態のミクロ容器の形態で前記香料成分が埋め込まれたプレフォームマスを得る工程;
を含むアクリル製品の製造用の付香されたアクリル組成物の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−532405(P2010−532405A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514255(P2010−514255)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際出願番号】PCT/IN2008/000423
【国際公開番号】WO2009/057135
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(510002958)アディティア ビルラ サイエンス アンド テクノロジー カンパニー リミテッド (6)
【Fターム(参考)】