説明

放射温度測定装置

【課題】放射温度測定装置において、灰色体、非灰色体、平面、凸凹面に拘わらず、非接触にて高精度に温度を測定できるようにする。
【解決手段】被測定物Wに対して複数の異なる波長領域を含む赤外線を照射する赤外光源10、赤外光源をオフにした状態で被測定物からの放射光における複数の異なる波長領域での赤外線強度を検出する放射光検出手段30、40、赤外光源をオンにした状態で被測定物からの放射光及び反射光の重畳光における複数の異なる波長領域での赤外線強度を検出する重畳光検出手段30,40、放射光検出手段及び重畳光検出手段の検出情報に基づいて被測定物の温度を演算する演算手段80を備え、赤外光源10は、被測定物の測定表面側Wsから観て、放射光検出手段及び重畳光検出手段を取り囲むように形成されている。これにより、測定表面が凸凹状であっても高精度に温度を測定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線を利用して物体(被測定物)の温度を非接触にて測定する放射温度測定装置に関し、特に、ガス又は電気等のエネルギにより加熱される鍋,フライパン等の調理器具の底面あるいは加熱調理される料理等の物体(被測定物)の温度を非接触にて測定する放射温度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、物体はその温度に応じた赤外線領域のエネルギを放射するため、物体の温度を非接触にて測定するには、予めその物体を形成する物質の放射率を求めて設定し、赤外線センサを用いてその物体から放射される赤外線強度(赤外線の放射エネルギ)を測定する手法が知られている。
従来の放射温度測定装置としては、温度測定に先立って物体(被測定物)に固有の放射率を求めて設定する煩雑さを解消するべく、すなわち、物体(物質)の放射率が分からなくても温度測定を行えるようにするべく、プランクの法則に基づいて、物体から放射される赤外線の放射エネルギを異なる複数の波長領域において測定し、それぞれの放射エネルギの比を求め、その値(赤外線センサの出力比)と温度の対応関係により物体の温度を求めるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、この放射温度測定装置では、赤外線の波長領域に拘わらず物体の放射率が一定であることを前提としているため、図11に示すように、物体(物質)が黒体又は灰色体の場合には適合するものの、放射率が赤外線の波長領域によって変化する物体(例えば、アルマイト処理又は有機塗料をコーティングした物体、すなわち、非灰色体)の場合には、赤外線センサの出力比から算出した温度は、実際の温度から大きく逸脱して(ずれて)しまう虞がある。
【0004】
一方、他の放射温度測定装置としては、物体の放射率は、その色や材質あるいは表面状態等により様々に変化することに鑑みて、物体の温度測定に先立って、一つの発光源から物体に所定波長領域の赤外線を照射し、その反射光から物体の反射率を求め、キルヒホッフの法則に基づいて、その反射率からその物体の放射率を求め、この実際に求めた放射率と赤外線センサにより測定した赤外線の放射エネルギから、物体の温度を算出するようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、この放射温度測定装置では、放射率を算出することから、物体が非灰色体であっても比較的精度良く温度を測定することができるものの、赤外線を検出する赤外線センサ、赤外線の経路に配置されたレンズ光学系あるいは窓(石英ガラス等)等が汚れを生じ、あるいは、経時変化等を生じて、赤外線センサの検出能力が低下(赤外線センサからの出力される値が低下)すると、その出力値に基づいて算出される反射率、放射率、及び温度は、実際の値から大きく逸脱して(ずれて)しまう虞がある。
また、赤外線を照射する一つの発光源とその反射光を受光する赤外線センサとの配置関係が所定位置からずれた場合、あるいは、赤外線が照射される物体の照射面の面粗度が悪い場合には、前述同様に、出力値に基づいて算出される反射率、放射率、及び温度は、実際の値から大きく逸脱して(ずれて)しまう虞がある。
【0006】
【特許文献1】特開平6−137953号公報
【特許文献2】特開2003−243141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、物体(被測定物)が黒体、灰色体、非灰色体のいずれであっても、その物体の放射率を予め設定する必要がなく、物体の測定表面が平面又は凹凸状のいずれであっても、又、経時変化等による影響を受けることなく、被測定物の温度を非接触にて高精度に測定できる放射温度測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の放射温度測定装置は、被測定物に対して複数の異なる波長領域を含む赤外線を照射する赤外光源と、赤外光源をオフにした状態で被測定物からの放射光における複数の異なる波長領域での赤外線強度を検出する放射光検出手段と、赤外光源をオンにした状態で被測定物からの放射光及び反射光の重畳光における複数の異なる波長領域での赤外線強度を検出する重畳光検出手段と、放射光検出手段及び重畳光検出手段の検出情報に基づいて被測定物の温度を演算する演算手段とを備え、上記赤外光源は、被測定物の測定表面側から観て、放射光検出手段及び重畳光検出手段を取り囲むように形成されている、構成となっている。
この構成によれば、放射光検出手段により、赤外光源をオフにした状態で被測定物からの放射光における複数の異なる波長領域での赤外線強度が検出され、又、重畳光検出手段により、赤外光源をオンにした状態で被測定物からの放射光及び反射光の重畳光における複数の異なる波長領域での赤外線強度が検出される。そして、演算手段により、プランクの法則及びキルヒホッフの法則に基づいて種々の換算処理及び補正処理を施して温度が算出される。
例えば、重畳光検出手段の出力から放射光検出手段の出力を差し引いて得られた赤外線強度から被測定物の反射率を求め、キルヒホッフの法則に基づいて反射率から放射率を求め、異なる波長領域で放射率が明確に異なる非灰色体等の被測定物に対して放射率の補正値を求め、算出された放射率又は補正された放射率に基づいて被測定物の温度を算出する。このように、反射率→放射率→温度を算出するため、波長領域によって放射率が変化する非灰色体等の被測定物においても高精度に温度を測定することができる。
また、温度を算出するに至る過程では、異なる複数の波長領域での赤外線強度を測定し、測定された複数の赤外線強度の比に基づいて温度を算出するため、経時変化等による影響を受けることなく高精度に温度を測定することができる。
さらに、赤外光源は、放射光検出手段検出及び重畳光検出手段を取り囲むように形成されているため、赤外光源と放射光検出手段及び重畳光検出手段の位置関係を従来のスポット光源の如く高精度に位置決めする必要はなく、被測定物の面粗度及び反射率が悪くても鏡面反射光と拡散反射光を区別無く受光できるため、被測定物の測定表面が平面のみならず凸凹状の面であっても、高精度に温度を測定することができる。
【0009】
上記構成において、放射光検出手段は、所定の第1波長領域の赤外線を受光して検出する第1赤外線センサと、第1波長領域とは異なる所定の第2波長領域の赤外線を受光して検出する第2赤外線センサを含み、重畳光検出手段は、上記第1波長領域の赤外線を受光して検出する第1赤外線センサと、上記第2波長領域の赤外線を受光して検出する第2赤外線センサを含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、放射光検出手段及び重畳光検出手段は、それぞれ二組の赤外線センサにより形成されて、それぞれ二つの波長領域での赤外線強度を検出するため、温度を高精度に測定しつつも、装置を簡素化することができる。
【0010】
上記構成において、第1赤外線センサは、第1波長領域の赤外線を通す第1フィルタと、第1フィルタを通過した赤外線を受光する第1受光素子を含み、第2赤外線センサは、第2波長領域の赤外線を通す第2フィルタと、第2フィルタを通過した赤外線を受光する第2受光素子を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、放射光検出手段及び重畳光検出手段の第1赤外線センサ及び第2赤外線センサは、それぞれフィルタ及び受光素子により形成されているため、温度を高精度に測定しつつも、構造の簡素化、装置の小型化を達成することができる。
【0011】
上記構成において、放射光検出手段の第1赤外線センサ及び第2赤外線センサは、重畳光検出手段の第1赤外線センサ及び第2赤外線センサをそれぞれ兼ねる、構成を採用することができる。
この構成によれば、放射光検出手段及び重畳光検出手段が二つの赤外線センサを兼用するため、それぞれに二つの赤外線センサを設ける必要がなく、赤外光源をオン/オフして、二つの赤外線センサ(第1フィルタ及び第1受光素子、第2フィルタ及び第2受光素子)だけで、放射光の赤外線強度と重畳光(放射光及び反射光)の赤外線強度を測定することができる。これにより、部品点数を削減でき、装置をより簡素化、小型化することができる。
【0012】
上記構成において、赤外光源は、環状に連続して形成された発熱体又は環状に離散的に複数配列された発光ダイオードからなる、構成を採用することができる。
この構成によれば、赤外光源として、発熱体又は発光ダイオードを用いるため、既存の発熱体を環状に成型し、又は既存の発光ダイオードを複数配列するだけで、赤外光源を容易に形成することができる。
【0013】
上記構成において、放射光検出手段及び重畳光検出手段は、赤外光源の中心と略同軸に軸心をもつ筒状部材の内側に配置され、筒状部材には、放射光検出手段及び重畳光検出手段よりも被測定物側寄りにおいて窓又はレンズが配置され、筒状部材の外側には、赤外光源から発せられる赤外光線を被測定物に向けて反射するリフレクタが配置されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、被測定物から放射された放射光及び被測定物から放射及び反射された重畳光(放射光及び反射光)は、窓又はレンズから筒状部材の内部に進入し、放射光検出手段及び重畳光検出手段によりそれぞれ検出される。
ここで、赤外光源から環状に発せられた赤外線は、直接又はリフレクタにより反射されて被測定物の測定表面に照射され、その照射光は測定表面により反射されて赤外光源の中心領域に配置された窓又はレンズから放射光検出手段及び重畳光検出手段に向けてそれぞれ進入する。したがって、被測定物により反射された鏡面反射光及び拡散反射光が区別無く受光され、又、筒状部材により窓又はレンズを通らない赤外線が検出されるのを防止でき、より高精度に温度測定を行うことができる。
【0014】
上記構成において、リフレクタ及び赤外光源は、筒状部材の軸心方向における位置を調整可能に形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、被測定物(の測定表面)に対して、赤外光源及びリフレクタの離隔距離を調整できるため、赤外光源から発せられる赤外線の照射範囲(立体角)を必要に応じて適宜調整することができる。
【0015】
上記構成において、筒状部材とリフレクタの間には、断熱部材が介在されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、断熱部材が、赤外光源が発する赤外線の放射エネルギがリフレクタから筒状部材に伝わるのを防止するため、放射光検出手段及び重畳光検出手段が受光作用以外に受ける熱の影響を防止でき、温度を高精度に検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
上記構成をなす放射温度測定装置によれば、被測定物が黒体、灰色体、非灰色体のいずれであっても、その被測定物の放射率を予め設定する必要がなく、被測定物の測定表面が平面又は凸凹状のいずれであっても、又、経時変化等による影響を受けることなく、被測定物の温度を非接触にて高精度に測定できる放射温度測定装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1ないし図4は、本発明に係る放射温度測定装置をガス調理装置に適用した一実施形態を示すものであり、図1はガス調理装置の概略構成図、図2は放射温度測定装置の概略構成を示す縦断面図、図3は放射温度測定装置の一部を示す横断面図、図4は放射温度測定装置の一部をなす演算回路を示すブロック図である。
【0018】
このガス調理装置は、図1に示すように、平面状に形成されると共に円形に開けられた加熱口1aを画定する天板1、天板1の上面に配置され鍋等の被測定物Wを載置できる五徳2、加熱口1aを通して上方に燃焼ガスを噴出させるべく環状に形成されたバーナ3、バーナ3に燃料ガスと空気を混合して供給する供給管4、供給管4の上流側に設けられたガスノズル5、ガスノズル5に供給される燃料ガスの流量を調整する調整弁6、調整弁6を制御してバーナ3の燃焼量を調整する燃焼制御回路7、バーナ3の中央下方領域に配置された放射温度測定装置M、放射温度測定装置Mにより測定された温度を表示する温度表示器8等を備えている。
【0019】
バーナ3は、ブンゼン燃焼式の内炎式バーナであり、図1に示すように、放射温度測定装置Mを内側に配置できる空間を確保して環状に形成されたケーシング3a、ケーシング3aの内側に向けて燃焼ガスを噴出させるべく内側壁面に沿って形成された複数の炎口3b等を備えている。
【0020】
放射温度測定装置Mは、図2ないし図4に示すように、被測定物W(の測定表面Ws)に対して複数の異なる波長領域を含む赤外線を照射する赤外光源10、赤外光源10の背後に配置されたリフレクタ20、放射光検出手段及び重畳光検出手段として機能する第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40、第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40を内側に収容する筒状部材50、筒状部材50とリフレクタ20の間に介在するように配置された筒状の断熱部材60、筒状部材50の上端に配置された窓70、第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40の出力信号を用いて種々の演算処理を行う演算手段としての演算制御回路80、演算制御回路80を搭載する回路基板90等を備えている。尚、図2においては、説明の便宜上、演算制御回路80を回路基板90から分離した状態で示している。
【0021】
赤外光源10は、図2及び図3に示すように、被測定物Wの測定表面Ws側から観て、円環状に連続して形成された発熱体からなる。すなわち、赤外光源10は、筒状部材50の周りを取り囲むように(第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40を取り囲むように)形成されている。
ここで、発熱体としては、複数の異なる波長領域を含む赤外線を発するものであれば、ニクロム線やカンタル線等の如き抵抗体、ハロゲンヒータ、カーボンヒータ、セラミックヒータ、白金ヒータ等が適用される。尚、赤外光源10としては、環状に離散的に複数配列した発光ダイオードを採用してもよい。
このように、赤外光源10として、発熱体又は発光ダイオードを採用することにより、上記の如き既存の発熱体を環状に成型し、又は、赤外線を発する既存の発光ダイオードを複数配列するだけで、赤外光源10を容易に形成することができる。
【0022】
リフレクタ20は、図2及び図3に示すように、外輪郭が環状に形成されると共に、被測定物Wに対向する側において赤外光源10を非接触にて受け入れるべく凹状に形成されて反射面21aを画定する環状溝21、中央領域において筒状部材50及び断熱部材60を嵌合させて結合するための円形の結合孔22等を備えている。
そして、リフレクタ20は、環状の赤外光源10を環状溝21内に非接触にて受け入れた状態で、赤外光源10が発した赤外線を、被測定物W(の測定表面Ws)に向けて反射するようになっている。これにより、赤外光源10が発した赤外線を、有効に利用して被測定物Wに照射することができる。
すなわち、赤外光源10から環状に発せられた赤外線は、直接又はリフレクタ20により反射されて被測定物Wの測定表面Wsに照射され、その照射光は測定表面Wsにより反射されて赤外光源10の中心領域に配置された窓70から第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40に向けてそれぞれ進入する。したがって、被測定物Wにより反射された鏡面反射光及び拡散反射光が区別無く受光されることになり、より高精度に温度測定を行うことができる。
【0023】
第1赤外線センサ30は、図2に示すように、所定の第1波長領域λ1の赤外線を通す第1フィルタ31、第1フィルタ31を通過した赤外線を受光する第1受光素子32を備えている。このように、第1赤外線センサ30は、第1フィルタ31及び第1受光素子32により形成されているため、温度を高精度に測定しつつも、構造の簡素化、装置の小型化を達成することができる。
第2赤外線センサ40は、図2に示すように、第1波長領域λ1とは異なる所定の第2波長領域λ2の赤外線を通す第2フィルタ41、第2フィルタ41を通過した赤外線を受光する第2受光素子42を備えている。このように、第2赤外線センサ40は、第2フィルタ41及び第2受光素子42により形成されているため、温度を高精度に測定しつつも、構造の簡素化、装置の小型化を達成することができる。
【0024】
そして、第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40は、赤外光源10をオフにした状態で、被測定物Wから放射される放射光L1における複数の異なる波長領域(ここでは、波長領域λ1と波長領域λ2)での赤外線強度を検出する放射光検出手段として機能するようになっている。
また、第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40は、赤外光源10をオンにした状態で、被測定物Wから放射される放射光L1及び反射される反射光L2が重なり合った重畳光における複数の異なる波長領域(ここでは、波長領域λ1と波長領域λ2)での赤外線強度を検出する重畳光検出手段として機能するようになっている。
【0025】
これによれば、第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40が、放射光検出手段の機能と重畳光検出手段の機能を兼ねるため、それぞれに二つの赤外線センサを設ける必要はなく、赤外光源10をオン/オフして、二つの赤外線センサ30,40(第1フィルタ31及び第1受光素子32、第2フィルタ41及び第2受光素子42)だけで、放射光L1の赤外線強度と重畳光(放射光L1及び反射光L2)の赤外線強度を測定することができる。これにより、部品点数を削減でき、装置をより簡素化、小型化することができる。
【0026】
筒状部材50は、図2及び図3に示すように、第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40により赤外線強度を測定するのに影響を及ぼさない耐熱性のある材料を用いて、被測定物Wに対向する方向に伸長する円筒状に形成されている。
そして、筒状部材50は、その内側に第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40を収容し、その上端に(第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40よりも被測定物W側寄りに)おいて窓70を保持し、その外周面において円筒状の断熱部材60を介してリフレクタ20を保持している。
【0027】
断熱部材60は、図2及び図3に示すように、円筒状に形成されて、筒状部材50とリフレクタ20の間に固着されている。
そして、断熱部材60は、赤外光源10が発する赤外線の放射エネルギがリフレクタ20から筒状部材50に伝わるのを防止するようになっている。これにより、第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40が窓70を通して赤外線を受光する以外に、周りから熱の影響を受けるのを防止できる。
【0028】
窓70は、第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40が検出する波長領域を通過させると共に、経時劣化を防止できるガラス材料等により形成され、例えば、ジンクセレン、フッ化バリウム、石英ガラス等の特殊ガラスを採用することができる。
このように、筒状部材50の上端に窓70を設けることにより、筒状部材50の内部に異物等が侵入して、第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40へ影響を及ぼすのを防止することができる。
【0029】
すなわち、被測定物Wにより放射された放射光L1は、窓70を通過して筒状部材50の内部空間を進み、第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40に受光されて検出され、又、被測定物Wにより放射及び反射された重畳光(放射光L+反射光L2)は、同様に、窓70を通過して筒状部材50の内部空間を進み、第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40に受光されて検出されるようになっている。
したがって、被測定物Wからの放射光L1及び反射光L2(鏡面反射光及び拡散反射光)が受光されると共に、筒状部材50により、窓70を通らない赤外線が検出されるのを防止できるため、より高精度に温度測定を行うことができる。
【0030】
演算制御回路80は、図4に示すように、種々の演算及び制御を司るCPU81、種々の被測定物Wに関する情報(固有値)及び制御プログラムが予め格納されたROM82、第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40の検出信号を増幅する増幅回路(AMP)83、増幅回路(AMP)83から出力されるアナログ信号をデジタル値に変換するA/D変換回路84、A/D変換回路84の出力信号を一時的に格納するRAM85、赤外光源10のオン/オフを制御する駆動回路86、押釦やキーボード等により形成される入力回路87、ガス調理装置の制御回路7及び温度表示器8等に信号を出力する出力インタフェース88等を備えている。
【0031】
ここで、ROM82に格納される演算処理のための制御プログラムの情報等について説明する。
先ず、プランクの法則によれば、絶対温度をT(K)、放射定数をC,C、波長をλ(μm)、被測定物Wの放射率をεで表すと、波長λの赤外線による赤外線強度(放射エネルギ、分光放射発散度)E(λ)は、次式(1)で表される。
E(λ)=εC[λ−5{exp(C/λT)}−1]−1 ・・・(1)
また、キルヒホッフの法則によれば、被測定物Wの放射率εと反射率Rの関係は、次式(2)で表される。
ε=1−R ・・・(2)
すなわち、被測定物Wの温度を演算により求める際には、上記(1),(2)の式を用いて、所定の換算処理及び補正処理を施すものである。
【0032】
一方、種々の被測定物W(銀色鍋、黒色鍋、ステンレス鍋、銅鍋、有機塗料コーティング鍋、アルマイト処理鍋)における素子出力及び放射率は、図5(a),(b)に示す結果となる。ここで、2つの波長領域λ1,λ2のうち、一方の波長領域は3.6μm〜4.0μmであり、他方の波長領域は9.1μm〜9.7μmである。
すなわち、放射光L1と重畳光(放射光L1+反射光L2)における異なる2つの波長領域(λ1、λ2)での赤外線を、第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40で受光し、各波長領域における放射光成分を差し引いた反射光成分の出力値(所定の増幅率で増幅した素子出力値)は、図5(a)に示す結果となる。
したがって、赤外光源10から発せられた赤外線強度と反射光の赤外線強度から、種々の被測定物Wの反射率Rに関する情報が得られる。
そこで、キルヒホッフの法則に基づいて、銅鍋の放射率を0.1として、図5(a)に示すデータから所定の換算処理を施して、種々の被測定物Wにおける放射率εを求めると、図5(b)に示す結果となる。
この結果によれば、有機塗料コーティング鍋及びアルマイト処理鍋の被測定物Wに関しては、2つの波長領域(λ1、λ2)において放射率εが大きく変化していることが理解される。
【0033】
そこで、プランクの法則を適用できるようにするために、これら異なる波長領域(λ1、λ2)において放射率εが変化する被測定物W(有機塗料コーティング鍋、アルマイト処理鍋等)については、非灰色体を灰色体に換算するための所定の補正処理を施し、すなわち、これら有機塗料コーティング鍋及びアルマイト処理鍋の被測定物Wについては、図6(a)に示す出力比−補正値の関係を適用する。
そして、プランクの法則に基づいて、出力比−温度の関係を予め求めておき、実際に得られた出力比から対応する温度Tを読み取り、すなわち、図6(b)に示すように、予め求められた種々の被測定物Wに関する出力比−温度の関係を示すグラフから温度Tを読み取り、その温度Tを測定温度として出力する。
これら図5及び図6に示すデータは、被測定物Wに関する情報として、予めROM82に格納されている。
【0034】
すなわち、演算制御回路80においては、第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40により、赤外光源10をオフにした状態において、被測定物Wからの放射光L1における異なる2つの波長領域(λ1、λ2)での赤外線強度(E(λ1),E(λ2))が検出され、又、赤外光源10をオンにした状態において、被測定物Wからの放射光L1及び反射光L2の重畳光における異なる2つの波長領域(λ1、λ2)での赤外線強度(E(λ1),E(λ2))が検出される。
ここで、赤外光源10のオン/オフは、駆動回路86から出力される切替信号に基づいて制御される。温度測定時には、赤外光源10を所定のタイミングでオン/オフして、放射光L1だけの場合、放射光L1及び反射光L2の重畳光の場合において、交互に温度測定が行われる。
【0035】
そして、重畳光(放射光L1+反射光L2)による出力値から放射光L1だけによる出力値を差し引いて得られた赤外線強度に基づいて被測定物Wの反射率Rを求め、キルヒホッフの法則に基づいて反射率Rから放射率εを求め、異なる2つの波長領域(λ1、λ2)で放射率εが明確に(大きく)異なる非灰色体等の被測定物Wについては、放射率εの補正値を求め、灰色体の被測定物Wの場合に算出された放射率εに基づいて、又、非灰色体の被測定物Wの場合に補正された放射率εに基づいて、それぞれ被測定物Wの温度Tが算出される。
【0036】
このように、反射率R→放射率ε→温度Tを算出するため、波長領域によって放射率εが変化する非灰色体等の被測定物Wにおいても高精度に温度Tを測定することができる。特に、温度Tを算出するに至る過程では、異なる2つの波長領域(λ1、λ2)での赤外線強度を測定し、測定された複数の赤外線強度の出力比に基づいて温度Tを算出するため、経時変化等による影響を受けることなく高精度に温度Tを測定することができる。
【0037】
また、赤外光源10は、第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40を取り囲むように環状に形成されているため、赤外光源10と第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40の位置関係を従来のスポット光源の如く高精度に位置決めする必要がなく、被測定物Wの面粗度及び反射率が悪くても鏡面反射光(正反射光)と拡散反射光(乱反射光)を区別無く受光することができる。これにより、被測定物Wの測定表面Wsが平面の場合は勿論のこと、凸凹状の面であっても、高精度に温度Tを測定することができる。
【0038】
図7(a),(b)は、赤外光源として、環状(リング状)をなす赤外光源10(リング光源)と従来のスポット光源を適用し、被測定物Wの測定表面として、平面をなす塗装鍋と凸凹面をなす雪平鍋を適用した場合について、異なる2つの波長領域(λ1、λ2)で得られた反射光のセンサ出力A,B、センサ出力比(A/B)を示すものである。
この結果によれば、被測定物Wの測定表面Wsが平面の場合は、図7(a)に示すように、いずれの赤外光源であっても測定データのバラツキは小さいが、被測定物Wの測定表面Wsが凸凹面の場合は、図7(b)に示すように、リング状の赤外光源10の方が測定データのバラツキが小さく、高精度に温度を測定できることが理解される。
【0039】
上記構成をなす放射温度測定装置によれば、被測定物Wが黒体,灰色体,非灰色体のいずれであっても、その被測定物Wの放射率εを予め求めて設定する必要がなく、又、被測定物Wの測定表面Wsが平面あるいは凹凸面のいずれであっても、さらには、窓70の汚れやその他の構成要素の経時変化等による影響を受けることなく、被測定物Wの温度Tを非接触にて高精度に測定することができる。
【0040】
図8は、本発明に係る放射温度測定装置の他の実施形態を示すものであり、前述の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
すなわち、この実施形態においては、図8に示すように、断熱部材60´は、筒状部材50と同一の軸心Sをもつ円筒状に形成されると共に、筒状部材50の全域を覆うように形成され、その外周面において軸心S方向に配列するように形成された複数の係合溝60a´を備えている。
【0041】
また、リフレクタ20´は、断熱部材60´に摺動自在に嵌合される嵌合孔22´、下方に伸長して断熱部材60´の係合溝60a´にスナップフィット結合する係合片23´を備えている。
さらに、赤外光源10は、リフレクタ20´の環状溝21(反射面21a)内に非接触にて配置されると共にリフレクタ20´と一体的に軸心S方向に移動し得るように保持されている。
【0042】
したがって、係合片23´が係合する係合溝60a´を変えるようにリフレクタ20´を軸心S方向に移動させることで、リフレクタ20´及び赤外光源10を、筒状部材50の軸心S方向の所望の位置に調整できるようになっている。
これによれば、被測定物W(の測定表面Ws)に対して、赤外光源10及びリフレクタ20´の離隔距離を調整できるため、赤外光源10から発せられる赤外線の照射範囲(立体角)を必要に応じて適宜調整することができる。
【0043】
図9は、本発明に係る放射温度測定装置のさらに他の実施形態を示すものであり、前述の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
すなわち、この実施形態においては、図9に示すように、リフレクタ20´´が、赤外光源10を覆うようにかつ径方向外側領域が被測定物Wに向けて環状に開口するように形成されている。
【0044】
したがって、赤外光源10が発した赤外線は、直接被測定物Wに照射されるのではなくて、リフレクタ20´´により反射された赤外線のみが被測定物Wに照射されるようになっている。
これによれば、リフレクタ20´´を適宜所望の形状にすることにより、赤外光源10から発せられた赤外線が被測定物Wに照射される照射範囲を適宜調整、例えば、赤外光源10の中心寄りに方向付けすることができる。
【0045】
図10は、本発明に係る放射温度測定装置のさらに他の実施形態を示すものであり、携帯型の装置として形成されている。尚、前述の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
この放射温度測定装置M´は、操作者が指で掴むボデー100、ボデー100に対して軸心S方向に可動に形成された可動ボデー110、ボデー100に設けられた操作釦101、ボデー100の内部に設けられた第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40、ボデー100に設けられると共に第1赤外線センサ30及び第2赤外線センサ40を収容する円筒状の筒状部材50、筒状部材50の先端に設けられたレンズ70´、筒状部材50の外周に設けられた円筒状の断熱部材60´、可動ボデー110の先端に設けられたリフレクタ20´、リフレクタ20´の環状溝21内に露出するようにかつ環状に離散的に配列された複数の発光ダイオードからなる赤外光源10´等を備えている。
【0046】
この放射温度測定装置M´によれば、操作者がボデー100を指で掴んで、温度を測定したい種々の被測定物Wの測定表面Wsに向けて、所定操作を行って温度を測定することができる。
この場合も、被測定物Wが黒体,灰色体,非灰色体のいずれであっても、その被測定物Wの放射率εを予め求めて設定する必要がなく、又、被測定物Wの測定表面Wsが平面あるいは凹凸面のいずれであっても、さらには、構成要素の経時変化等による影響を受けることなく、被測定物Wの温度Tを非接触にて容易にかつ高精度に測定することができる。
【0047】
上記実施形態においては、赤外光源10,10´が環状に形成された発熱体又は環状に配列された複数の発光ダイオードからなるものを示したが、これに限定されるものではなく、赤外光線をスポット的にではなく環状に発するものであれば、その他の赤外光源を採用してもよい。
上記実施形態においては、放射光検出手段及び重畳光検出手段として、共通の赤外線センサ30,40を適用したが、これに限定されるものではなく、別々に専用の赤外線センサを採用してもよい。
上記実施形態においては、放射温度測定装置を適用したものとして、ガス調理装置を示したが、これに限定されるものではなく、温度測定を要するその他の機器に組み込まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上述べたように、本発明の放射温度測定装置は、被測定物が黒体、灰色体、非灰色体のいずれであっても、その被測定物の放射率を予め設定する必要がなく、被測定物の測定表面が平面又は凸凹状のいずれであっても、又、経時変化等による影響を受けることなく、被測定物の温度を非接触にて高精度に測定できるため、ガス調理装置や電気調理装置に適用されるのは勿論のこと、温度測定を要する機械加工分野あるいは製鉄分野等においても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る放射温度測定装置を適用したガス調理装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す放射温度測定装置を示す縦断面図である。
【図3】図2中のE1−E1における横断面図である。
【図4】図1に示す放射温度想定装置の一部をなす演算制御回路を示すブロック図である。
【図5】(a)は種々の被測定物における素子出力のデータを示す図であり、(b)は種々の被測定物における放射率を示す図である。
【図6】(a)は種々の被測定物における出力比−補正値の関係を示す図であり、(b)は種々の被測定物における出力比−温度の関係を示す図である。
【図7】環状の赤外光源(リング光源)とスポット光源における反射光のセンサ出力及びその比を示すものであり、(a)は測定表面が平面をなす塗装鍋を測定した場合の反射光のセンサ出力及びその比を示す図であり、(b)は測定表面が凸凹面をなす雪平鍋を測定した場合の反射光のセンサ出力及びその比を示す図である。
【図8】本発明に係る放射温度測定装置の他の実施形態を示す縦断面図である。
【図9】本発明に係る放射温度測定装置のさらに他の実施形態を示す縦断面図である。
【図10】本発明に係る放射温度測定装置を携帯型にした場合の実施形態を示す外観斜視図である。
【図11】種々の被測定物における波長と放射率の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 天板
1a 加熱口
2 五徳
3 バーナ
3a ケーシング
3b 炎口
4 供給管
5 ガスノズル
6 調整弁
7 燃焼制御回路
8 温度表示器
10,10´ 赤外光源
20,20´,20´´ リフレクタ
21 環状溝
21a 反射面
22 結合孔
22´ 嵌合孔
23´ 係合片
30 第1赤外線センサ(放射光検出手段、重畳光検出手段)
31 第1フィルタ
32 第1受光素子
40 第2赤外線センサ(放射光検出手段、重畳光検出手段)
41 第2フィルタ
42 第2受光素子
50 筒状部材
60,60´ 断熱部材
60a´ 係合溝
70 窓
70´ レンズ
80 演算制御回路(演算手段)
81 CPU
82 ROM
83 AMP(増幅回路)
84 A/D変換回路
85 RAM
86 駆動回路
87 入力回路
88 出力インタフェース
90 回路基板
100 ボデー
101 操作釦
110 可動ボデー
M,M´ 放射温度測定装置
S 軸心
L1 放射光
L2 反射光


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物に対して複数の異なる波長領域を含む赤外線を照射する赤外光源と、
前記赤外光源をオフにした状態で被測定物からの放射光における複数の異なる波長領域での赤外線強度を検出する放射光検出手段と、
前記赤外光源をオンにした状態で被測定物からの放射光及び反射光の重畳光における複数の異なる波長領域での赤外線強度を検出する重畳光検出手段と、
前記放射光検出手段及び重畳光検出手段の検出情報に基づいて被測定物の温度を演算する演算手段と、を備え、
前記赤外光源は、被測定物の測定表面側から観て、前記放射光検出手段及び重畳光検出手段を取り囲むように形成されている、
ことを特徴とする放射温度測定装置。
【請求項2】
前記放射光検出手段は、所定の第1波長領域の赤外線を受光して検出する第1赤外線センサと、前記第1波長領域とは異なる所定の第2波長領域の赤外線を受光して検出する第2赤外線センサと、を含み、
前記重畳光検出手段は、前記第1波長領域の赤外線を受光して検出する第1赤外線センサと、前記第2波長領域の赤外線を受光して検出する第2赤外線センサと、を含む、
ことを特徴とする請求項1記載の放射温度測定装置。
【請求項3】
前記第1赤外線センサは、前記第1波長領域の赤外線を通す第1フィルタと、前記第1フィルタを通過した赤外線を受光する第1受光素子と、を含み、
前記第2赤外線センサは、前記第2波長領域の赤外線を通す第2フィルタと、前記第2フィルタを通過した赤外線を受光する第2受光素子と、含む、
ことを特徴とする請求項2記載の放射温度測定装置。
【請求項4】
前記放射光検出手段の第1赤外線センサ及び第2赤外線センサは、前記重畳光検出手段の第1赤外線センサ及び第2赤外線センサをそれぞれ兼ねる、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の放射温度測定装置。
【請求項5】
前記赤外光源は、環状に連続して形成された発熱体、又は、環状に離散的に複数配列された発光ダイオードからなる、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載の放射温度測定装置。
【請求項6】
前記放射光検出手段及び重畳光検出手段は、前記赤外光源の中心と略同軸に軸心をもつ筒状部材の内側に配置され、
前記筒状部材には、前記放射光検出手段及び重畳光検出手段よりも被測定物側寄りにおいて、窓又はレンズが配置され、
前記筒状部材の外側には、前記赤外光源から発せられる赤外光線を被測定物に向けて反射するリフレクタが配置されている、
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載の放射温度測定装置。
【請求項7】
前記リフレクタ及び赤外光源は、前記筒状部材の軸心方向における位置を調整可能に形成されている、
ことを特徴とする請求項6記載の放射温度測定装置。
【請求項8】
前記筒状部材と前記リフレクタの間には、断熱部材が介在されている、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の放射温度測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−20384(P2008−20384A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193732(P2006−193732)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000177612)株式会社ミクニ (332)
【Fターム(参考)】