説明

放射源、リソグラフィ装置、およびデバイス製造方法

リソグラフィ装置は、望ましい放射および望ましくない放射を含む放射ビームを、プラズマを使用して生成するように構成された放射源と、放射ビームを調整し、かつリソグラフィ装置の動作中に水素ガスを受けるように構成された照明システムと、パターニングデバイスを保持するように構成されたサポート構造と、を備える。パターニングデバイスは、放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成することができる。基板テーブルは、基板を保持するように構成され、投影システムは、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分上に投影するように構成される。リソグラフィ装置は、照明システムに入射する際の放射ビームがプラズマにより生成された望ましくない放射を少なくとも50%含み、かつ水素ラジカルを生成するための前記水素ガスと相互作用する放射波長を含むように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、リソグラフィ装置および極端紫外線を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。公知のリソグラフィ装置としては、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分を照射するステッパ、および放射ビームによってある特定の方向(「スキャン」方向)にパターンをスキャンすると同時に、この方向に平行または逆平行に基板をスキャンすることにより各ターゲット部分を照射する、スキャナが含まれる。
【0003】
[0003] パターンプリンティングの限界の理論的な推測は、以下の解像度についてのレイリー基準によって与えられ得る:
【数1】

【0004】
[0004] 上の式で、λは、使用される放射の波長であり、NAPSは、パターンを印刷するために使用される投影システムの開口数であり、kは、レイリー定数とも呼ばれているプロセス依存調節係数であり、CDは、印刷されたフィーチャのフィーチャサイズ(またはクリティカルディメンジョン)である。このレイリー基準から、フィーチャの最小印刷可能サイズの縮小は、以下の3つの方法:露光波長λを短くすることによって、開口数NAPSを大きくすることによって、あるいはkの値を小さくすることによって、達成することができる、と言える。
【0005】
[0005] 露光波長を短くするため、ひいては、クリティカルディメンジョンを縮小するために、極端紫外線(EUV)放射源を使用することが提案されている。EUV放射源は、約13nmの放射波長を出力するように構成される。従って、EUV放射源は、小さいフィーチャの印刷を達成するための重大なステップを構成し得る。EUVの放射源として考えられるものには、例えば、レーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源、または電子蓄積リングからのシンクロトロン放射が挙げられる。プラズマ源を使用する場合、プラズマ生成の副生成物として、汚染粒子が生成される。一般的に、このような汚染粒子は、例えばリソグラフィ装置の反射面に付着するため、望ましくない。リソグラフィ装置の反射面に汚染粒子が堆積することにより、これら表面の反射率が減少し、結果的にリソグラフィ装置の実現可能なスループットが減少してしまう。
【0006】
[0006] リソグラフィ装置の反射面上の汚染粒子の蓄積を減少させることが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 本発明の一態様では、望ましい放射および望ましくない放射を含む放射ビームを、プラズマを使用して生成するように構成された放射源と、放射ビームを調整し、かつリソグラフィ装置の動作中に水素ガスを受けるように構成された照明システムと、パターニングデバイスを保持するように構成されたサポート構造と、を備えるリソグラフィ装置が提供される。パターニングデバイスは、放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成することができる。基板テーブルは、基板を保持するように構成され、投影システムは、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分上に投影するように構成される。リソグラフィ装置は、照明システムに入射する際の放射ビームがプラズマにより生成された望ましくない放射を少なくとも50%含み、かつ水素ラジカルを生成するための前記水素ガスと相互作用する放射波長を含むように構成される。
【0008】
[0008] 本発明の一態様では、望ましい放射および望ましくない放射を含む放射ビームを、プラズマを使用して生成することと、放射ビームを調整する照明システムを通して放射ビームを誘導することと、放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成するパターニングデバイス上に放射ビームを誘導することと、投影システムを使って基板のターゲット部分上にパターン付き放射ビームを投影することと、照明システムおよび/または投影システムに水素ガスを提供することと、プラズマから生成された望ましくない放射を使って、水素ガスから水素ラジカルを生成することと、を含むデバイス製造方法を提供する。放射ビームは、照明システムおよび/または投影システムに入射する際に、水素ラジカルを生成するために使用される望ましくない放射を少なくとも50%含む。
【0009】
[0009] 本発明の一態様では、プラズマを使用して放射ビームを生成するように構成された放射源と、放射ビームを調整するように構成された照明システムと、パターニングデバイスを保持するように構成されたサポート構造と、を備えるリソグラフィ装置が提供される。前記パターニングデバイスは、前記放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成することができる。基板テーブルは、基板を保持するように構成され、投影システムは、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分上に投影するように構成される。放射源、照明システム、および投影システムのうちの1つ以上は、リソグラフィ装置の動作中に水素ガスおよび不活性ガスを受けるように構成される。放射ビームは、水素ガスにより提供される洗浄量を増加させるために、不活性ガスと相互作用して原子水素を生成する。
【0010】
[00010] 本発明の一態様では、放射源の一部を形成するプラズマを使用して放射ビームを生成することと、放射ビームを調整する照明システムを通して放射ビームを誘導することと、放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成するパターニングデバイス上に放射ビームを誘導することと、投影システムを使って基板のターゲット部分上にパターン付き放射ビームを投影することと、放射源、照明システム、および投影システムのうちの1つ以上に水素ガスおよび不活性ガスの混合物を供給することと、
水素ガスによって提供される洗浄量を増加させるために、放射ビームおよび不活性ガスを使って原子水素を生成することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
[00011]
本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。これらの図面において同じ参照符号は対応する部分を示す。
【0012】
【図1】[00011] 図1は、本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置を概略的に示す。
【図2】[00012] 図2は、本発明の前記実施形態に係るリソグラフィ装置をより詳細に概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[00014] 図1は、本発明の一実施形態に係るリソグラフィ装置1を概略的に示している。このリソグラフィ装置は、放射ビームBを調整するように構成された照明システム(照明システム)ILを備える。また、リソグラフィ装置は、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されるサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折または反射投影レンズシステム)PSと、を備える。
【0014】
[00015] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、かつ/または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0015】
[00016] サポート構造MTは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造MTは、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造MTは、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造MTは、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0016】
[00017] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0017】
[00018] パターニングデバイスは、反射型であってよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0018】
[00019] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学系、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0019】
[00020] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、反射型マスクを採用しているもの)であり得る。
【0020】
[00021] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のパターニングデバイステーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0021】
[00022] 図1を参照すると、照明システムILは、放射源SOから放射を受ける。放射源SOおよび照明システムILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0022】
[00023] 照明システムILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタADを含むことができる。一般に、照明システムの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、照明システムILは、インテグレータおよびコンデンサといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。照明システムを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0023】
[00024] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスクMA)上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイスMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサIF1を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。通常、サポート構造MTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、サポート構造MTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、パターニングデバイスアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがパターニングデバイスMA上に設けられている場合、パターニングデバイスアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0024】
[00025] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0025】
[00026] 1.ステップモードにおいては、サポート構造MTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
【0026】
[00027] 2.スキャンモードにおいては、サポート構造MTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
【0027】
[00] 3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0028】
[00] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0029】
[00030] 図2は、図1の装置をより詳細に示し、この装置は、放射源SO、照明システムIL、および投影システムPSを備えている。放射源SOは、EUV放射、ならびに、例えば紫外線(UV)放射、深紫外線(DUV)放射、および赤外(IR)放射などの非EUV放射をプラズマ2から生成する。プラズマ2は、液滴生成器20から生成された、SnまたはGdといった好適な材料の液滴上にレーザビーム5を誘導することにより、生成される。レーザビーム5は、この液滴を気化させ、これによりプラズマ2が生成される。このタイプの放射源は、レーザ生成プラズマ(LPP)源と呼ばれ得る。
【0030】
[00031] プラズマ2から放出された放射は、コレクタ3により集光され、中間焦点8へと導かれる。中間焦点8は、放射源SOのアパーチャで仮想放射原点8として作用する。放射源SOから、放射ビーム9は、照明システムIL内で第1および第2法線入射リフレクタ10、11を介して、サポート構造MT上に位置決めされたパターニングデバイスMA(例えば、マスク)上へと反射される。パターン付きビーム12が形成され、投影システムPS内で第1および第2反射エレメント13、14を介して、基板テーブルWT上に保持された基板W上へと結像される。照明システムILおよび投影システムPS内には、一般的に、図示されているより多くのエレメントが存在し得る。
【0031】
[00032] (図示されない)代替的な構成では、EUV放射は、放電の部分的にイオン化されたプラズマを光軸に衝突させることにより生成されてもよい。この放射源は、放電生成プラズマ(DPP)源と呼ばれ得る。例えば、Xe、Li,Sn蒸気または他の好適なガスまたは蒸気の10Paの分圧を使用して、EUV放射放出プラズマを生成することができる。
【0032】
[00033] 図2に示すコレクタ3は単一曲面ミラーだが、コレクタは他の形態を取ってもよい。例えば、コレクタは、2つの集光面を有するシュヴァルツシルトコレクタとすることができる。別の例では、コレクタは、互いに入れ子になった複数の略円筒形リフレクタを備えたかすめ入射コレクタであってもよい。かすめ入射コレクタは、DPP源での使用に適し得る。
【0033】
[00034] 一般的に、コレクタは、プラズマ2により生成された放射を集光し、集光した放射をフォーカスして放射ビームを形成するように構成され得る。放射ビームは、放射源SOと照明システムILとの間のアパーチャ6(説明を簡略化するために、図では、放射源SO内と照明システムIL内の別個のアパーチャとして概略的に示されている)を通過し得る。アパーチャ6は、円形形状であってもよく、あるいは別の形状(例えば、楕円形、正方形など)を有してもよい。アパーチャ6は、例えば、(リソグラフィ装置の光軸と交差する方向に測定した場合に)約10cm未満、好ましくは1cm未満の直径を有する小さいものであってよい。
【0034】
[00035] レーザ生成プラズマ(LPP)源または放電生成プラズマ(DPP)源を使用する際、汚染は、高速イオンおよび/または中性粒子(例えば、Sn(スズ))の形で生成され得る。このような汚染は、コレクタ3の反射面上に堆積し、コレクタの反射率を損失させ、これによりコレクタの効率を低下させる。汚染は、時間が経つにつれ、リソグラフィ装置の他の反射コンポーネント(例えば、ミラー10、11、13、14またはパターニングデバイスMA)の反射率も損失させ得る。リソグラフィ装置のスループットは、露光されている基板に入射するEUV放射の強度に左右される。コレクタまたはリソグラフィ装置の他の反射面上の汚染の堆積により引き起こされる反射率の低下は、リソグラフィ装置のスループットを低下させることになる。
【0035】
[00036] 本発明の一実施形態では、リソグラフィ装置の反射面の汚染は、水素ラジカルを使って除去することができる。水素ラジカルは、汚染と反応することにより、反射面からこの汚染を除去する。例えば、水素ラジカルは、スズ(Sn)汚染と反応して、後にリソグラフィ装置からポンプ排出され得るガス状のSnHを形成することができる。別の例では、水素ラジカルは炭素(C)汚染と反応して、後にリソグラフィ装置からポンプ排出され得る炭化水素を形成することができる。
【0036】
[00037]汚染の除去に加えて、水素ラジカルは、第一に、汚染が反射面上に付着するのを抑制し得る。
【0037】
[00038] 水素ラジカルは、水素分子の解離により生成され得る。この解離は、プラズマ2により放出される放射が水素分子に入射し、この水素分子を霧化させることによって生じ、水素ラジカルを形成し得る。
【0038】
[00039] 放射源SOは、使用中(つまり、リソグラフィ装置の動作中)、水素(つまり、水素ガス)の雰囲気を含み得る。放射源SO内の水素の圧力は、放射源がLPP源かDPP源かに応じて変わり得る。LPP源では、水素の圧力は、例えば、数十パスカル、100Pa程度、または数百パスカルとすることができる。DPP源では、水素の圧力は、例えば、2〜5Paの範囲、例えば、3Paとすることができる。放射源内の圧力は、ベース圧力と呼ばれることがある。
【0039】
[00040] 場合によっては、プラズマは、放射源SO内のチャンバ(図示なし)内で生成され得る。本明細書ではプラズマチャンバと呼ばれるチャンバは、例えば、LPP源内に存在し得る。チャンバ内の水素ガスの圧力は、放射源SOの残りの部分における水素ガスの圧力よりも高くてよい。
【0040】
[00041] プラズマ2により放出される放射は、放射源SO内(プラズマチャンバが存在する場合は、プラズマチャンバも含む)で水素ガスの水素分子の解離を引き起こすことによって、水素ラジカルを生成する。水素ラジカルは、放射源内の反射面から汚染を除去し、反射面上の汚染の付着も抑制し得る。
【0041】
[00042] プラズマ2から放出された放射を使用して水素ラジカルを生成することには、いくつかの利点があると言える。例えば、水素ラジカルを生成するために、専用の水素ラジカルジェネレータなどのハードウェアを使用する必要がない。専用の水素ラジカルジェネレータは、高価なだけでなく、一般的にタングステンフィラメントを使って水素を解離することによって動作する。タングステンフィラメントは、リソグラフィ装置内に、望ましくないタングステンの汚染を引き起こす場合がある。本発明の実施形態では、専用の水素ラジカルジェネレータを必要としないため、このタングステン汚染のリスクが回避される。
【0042】
[00043] プラズマ2によって放出される放射を使って水素ラジカルを生成することのさらなる利点としては、リソグラフィ装置の動作中に(つまり、リソグラフィ装置による基板の露光と同時に)リソグラフィ装置の反射面の洗浄を行なうことができる点がある。
【0043】
[00044] 反射面上の汚染の堆積を減少させることにより得られるさらなる利点は、放射の吸収による反射面の加熱の程度を低下させることができる点にある。これは、反射面の反射率が、汚染の堆積を減少させない場合よりも高く、吸収される放射がより少なくなるためである。
【0044】
[00045] 従来のリソグラフィ装置では、フィルタは、通常、パターニングデバイスMAから基板W上にパターンを投影するために必要とされない放射の波長(「望ましくない波長」と呼ばれ得る)をフィルタ除去するために使用される。例えば、リソグラフィ装置が、基板上へパターンを投影するためにEUV放射を使用するように構成されている場合、例えば、フィルタは、例えばEUVの波長領域内である13.5nmの波長を有する望ましい放射を透過する一方、他の波長を有する望ましくない放射を遮蔽するように構成されたスペクトル純度フィルタとすることができる。望ましくない放射には、UV、DUV、および放射源内でプラズマにより生成されるIR放射が含まれ得る。スペクトル純度フィルタは、従来、リソグラフィ装置の照明システムILおよび投影システムPS内へと通過する放射の量を制限するために、プラズマ2に隣接して(例えば、放射源SOのコレクタ3とアパーチャ6との間に)設けられる。「スペクトル純度フィルタ」という用語は、電磁スペクトルの特定の望ましい部分(例えば、13.5nm、6.7nm、または6.8nm)を選択するフィルタを意味するものとみなされ得る。
【0045】
[00046] 水素の水素ラジカルへの解離は、プラズマにより生成される放射の強度、および/または、プラズマにより生成される放射の波長に関連し得る。これらの理由から、本発明の一実施形態では、スペクトル純度フィルタは、プラズマ2に隣接して配置されるのではなく、照明システムILまたは投影システムPS内に配置される。
【0046】
[00047] 本発明の一実施形態では、スペクトル純度フィルタ80は、放射ビームを最後に受光する、投影システムPSの端部に位置決めされる。スペクトル純度フィルタ80は、放射ビームを最後に受光する、投影システムPSの端部に配置されるため、プラズマ2により放出されるフィルタ処理されない放射は、放射源SOを通過するのに加えて、照明システムILおよび投影システムPSを通過する。このフィルタ処理されない放射は、放射源SO、照明システムIL、および投影システムPS内に存在する水素を解離することができ、これによりコレクタ3、照明システムミラー10、11、および投影システムミラー13、14の光学面を洗浄する水素ラジカルが生成される。一実施形態では、放射源SOにより生成され、かつ水素ラジカルを生成するために使用可能な望ましくない放射の少なくとも50%が照明システムILおよび投影システムPSを通過する。一実施形態では、放射源SOにより生成される望ましくない放射の少なくとも70%が照明システムILおよび投影システムPSを通過する。一実施形態では、放射源SOにより生成される望ましくない放射の少なくとも90%が照明システムILおよび投影システムPSを通過する。
【0047】
[00048] フィルタ処理されない放射の強度は、この放射が反射面10、11、13、14により反射される度に損失を受けるため、照明光学ユニットおよび投影システムを通過するにつれて徐々に減少することになる。しかし、フィルタ処理されない放射は、照明システムILおよび投影システムPSに入射する前にスペクトル純度フィルタによりフィルタ処理される場合よりも、強度が高い。
【0048】
[00049] スペクトル純度フィルタ80に当たる放射の強度は、プラズマ2に隣接して配置された場合のスペクトル純度フィルタに当たる放射の強度よりも低い。このように強度を低くした結果、スペクトル純度フィルタの寿命を大幅に増加することができる。
【0049】
[00050] 本発明の一実施形態では、スペクトル純度フィルタ81は、放射ビームを最後に受光する、照明システムILの端部に位置決めされる。スペクトル純度フィルタ81は、放射ビームを最後に受光する、照明システムILの端部に配置されるため、プラズマにより放出されるフィルタ処理されない放射は、放射源SOを通過するのに加えて、照明システムILを通過する。このフィルタ処理されない放射は、放射源SOおよび照明システムIL内に存在する水素を解離することができ、これにより、コレクタ3の光学面および照明システムミラー10、11を洗浄する水素ラジカルが生成される。照明システムIL内にスペクトル純度フィルタを設けることにより、放射ビームは、パターニングデバイスMAに入射する前に確実にフィルタ処理される。これは、例えばフィルタ処理されない放射ビームによりパターニングデバイスに過度な熱が伝わることが予想される場合に、望ましいと言える。
【0050】
[00051] スペクトル純度フィルタ81は、例えば、投影システム内のスペクトル純度フィルタ80の代わりに、あるいはこれに加えて、照明システム内に設けられ得る。
【0051】
[00052] 照明システムスペクトル純度フィルタ81および投影システムスペクトル純度フィルタ80は、照明システム内および投影システム内の任意の好適な位置に設けられ得る。図2に示すような位置は、例にすぎない。
【0052】
[00053] スペクトル純度フィルタは、(図2に示すような)透過型フィルタ80、81でもよいし、例えばブレーズド格子のような反射型フィルタであってもよい。スペクトル純度フィルタが透過型フィルタの場合、このフィルタは、EUV放射(例えば13.5nmの)などの望ましい放射に対して、例えば、少なくとも40%、少なくとも60%、少なくとも80%、または少なくとも90%の透過率を有し得る。スペクトル純度フィルタが反射型フィルタの場合、このフィルタは、EUV放射(例えば13.5nmの)などの望ましい放射に対して、例えば、少なくとも40%、少なくとも60%、少なくとも80%、または少なくとも90%の反射率を有し得る。スペクトル純度フィルタにおいて、DUV放射に対するEUV放射の透過率比は、100、1000、または10にまでおよび得る。
【0053】
[00054] スペクトル純度フィルタ80、81は望ましくない放射をフィルタ除去するように構成され得る。望ましくない放射は、パターンを基板上に投影するのに使用される波長以外の波長(例えば、13.5nm以外の波長)を有する放射として定義され得る。スペクトル純度フィルタにより反射または吸収され得る望ましくない放射は、望ましい放射よりも長いまたは短い波長を有し得る。本発明の一実施形態では、望ましくない放射および望ましい放射は、共に、水素を水素ラジカルへと解離するのに使用される。この解離は、リソグラフィ装置の放射源SO、照明システムIL、または投影システムPS内で起こり得る。望ましくない放射には、深紫外線(DUV)放射および紫外線(UV)放射が含まれ得る。
【0054】
[00055] スペクトル純度フィルタ80、81は、交互層から成る多層構造を含み得る。スペクトル純度フィルタの多層構造は、例えば、2〜200の交互層、10〜100の交互層、または20〜50の交互層を有し得る。交互層は、例えば、0.2〜100nm、0.2〜20nm、または0.5〜5nmの厚さを有し得る。交互層のそれぞれは、実質的に一定の厚さの連続的な層から形成され得る。交互層から成る多層構造の全体的な厚さは、10〜700nm、および100〜200nmの範囲にわたり得る。
【0055】
[00056] スペクトル純度フィルタ80、81の交互層から成る多層構造は、任意の好適な数の異なる交互層から形成され得る。例えば、互いに交互に重なる2つの異なる層が存在し得る。あるいは、互いに交互に重なる3つの異なる層が存在してもよい。
【0056】
[00057] スペクトル純度フィルタ80の多層構造を形成する交互層は、ZrおよびSi層、ZrおよびBC層、MoおよびSi層、CrおよびSc層、MoおよびC層、ならびに、NbおよびSi層、のいずれかの組み合わせから形成され得る。交互層から成る多層構造は、例えばZrおよびSiの交互層を、例えばイオン研磨を伴った、またはイオン研磨を伴わない、マグネトロンスパッタリング、エピタキシ、イオンスパッタリング、および電子ビーム蒸着といった任意の好適な技術を使って付着させることにより形成することができる。スペクトル純度フィルタに関するさらなる情報は、参照により内容の全体が本明細書に組み込まれる、2008年5月13日に交付された同時係属のUS特許第7,372、623号を参照されたい。
【0057】
[00058] 本発明の一実施形態では、2つ以上の放射フィルタをリソグラフィ装置内に設けてもよい。例えば、赤外放射を遮蔽するフィルタ82は、放射源SO内に設けられ得る。赤外放射は、水素分子の解離による水素ラジカルの生成を、ほとんど、あるいは全く補助し得ない。赤外放射は、照明システムILおよび投影システムPS内のミラーに望ましくない加熱をもたらすため、赤外線フィルタ82を使用して、赤外放射が照明システムILおよび投影システムPS内に入射する前にこの赤外放射をフィルタ除去する。赤外線フィルタ82は、例えば、除去されるべき放射の波長よりも小さい周期を有する金属グリッドを含み得る。
【0058】
[00059] 一般的に、望ましい波長よりも長い波長を遮蔽するローパスフィルタは、放射源SOに隣接して、または放射源SO内に、またはリソグラフィ装置内の他の任意の好適な位置に設けられ得る。
【0059】
[00060] 一般的に、基板上へのパターンのリソグラフィ投影において使用するのに望ましくなく、かつ水素ラジカルの生成を補助しない波長の少なくともいくらかをフィルタ除去する1つ以上のフィルタは、放射源SOに隣接して、または放射源SO内に、または他の任意の好適な位置に設けられ得る。1つ以上のフィルタは、放射ビームが照明システムILのリフレクタに入射する前に、当該1つ以上フィルタによりフィルタ処理されるように設けられ得る。上述した赤外線フィルタ82は、この種のフィルタの一例とみなしてよい。
【0060】
[00061] 一般的に、水素ラジカルの生成を補助するものの、基板上へのパターンのリソグラフィ投影での使用に望ましくない波長をフィルタ除去する1つ以上のフィルタは、投影システムPS内(例えば、基板テーブルWTに隣接して)、または照明システム内、または他の任意の好適な位置に設けられ得る。上述したスペクトル純度フィルタ80、81は、この種のフィルタの例とみなしてよい。
【0061】
[00062] 放射のフィルタ処理を提供することに加えて、フィルタは、基板ステージWTに隣接した投影システムPS封止することができる。フィルタは、投影システムの後であり、かつ使用に際して基板Wが提供される位置の前に配置され得る。例えば、フィルタは、基板に向けてガスを吹き付けるように構成された動的ガスロックに隣接して設けられ得る。これが行なわれる場合、フィルタは、動的ガスロックにより放出されるガスが基板に向けてフィルタの表面で反射されるように配置され、これにより基板に向かうガスの流れを改善することができる。
【0062】
[00063] 水素の圧力は、放射源SOおよび/または照明システムILおよび/または投影システムPS内で実質的に同一であってよい。あるいは、この圧力は、これらの位置の各々で異なってもよい。所与の位置での水素の圧力は、例えば、当該位置において反射面上に生じると予想される汚染の種類および程度に基づいて設定され得る。例えば、放射源SO内(例えば、コレクタ3にて)では、汚染がより多く、汚染物質は、例えば、スズ(Sn)であり得る。一方、照明システムILおよび/または投影システムPSでは、汚染がより少なく、汚染物質は、例えば、炭素(C)であり得る。従って、水素圧力は、照明システムIL内よりも放射源SO内で高くなり得る。同様の理由から、水素圧力は、投影システムPS内よりも照明システムIL内で高くなり得る。
【0063】
[00064] 一実施形態では、放射源SO内における水素の圧力範囲は、2〜200Paの範囲であり、100Pa程度であってよい。一実施形態では、照明システムILおよび投影システムPS内の水素の圧力範囲は、0.3〜20Paの範囲であり、3Pa程度であってよい。
【0064】
[00065] 単一のガス供給システムを使用して、リソグラフィ装置の異なる部位に(例えば、放射源SO、照明システムILおよび投影システムPSに)水素を提供することができる。あるいは、それぞれの別個の部位が、水素を提供するように構成された専用のガス供給システムを備えてもよい。
【0065】
[00066] 一実施形態では、(プラズマ2に加えて)放射源を設けてもよく、この放射源は、DUVおよび/またはUV放射をリソグラフィ装置内に提供することにより、水素ガスから水素ラジカルを生成するのを補助するように構成される。例えば、DUVおよび/またはUV放射を放出する追加の放射源(図示なし)を、投影システムPSに設けることができる。DUVおよび/またはUV放射を放出する追加の放射源は、照明システムIL内に設けてもよい。これが行なわれる場合、スペクトル純度フィルタは、リソグラフィ装置の動作中、追加の放射源からの放射が基板Wに入射するのを遮蔽されるように、追加の放射源と基板テーブルWTとの間に位置決めされ得る。
【0066】
[00067] 本発明の一実施形態では、水素ガスと共にアルゴンガスがリソグラフィ装置内に導入され得る。アルゴンガスは、不活性であるため、リソグラフィ装置の反射面からの汚染除去を直接的には補助しない。しかし、アルゴンは、原子水素の生成を補助する。結果的に、さらなる原子水素を生成することができ、対応する洗浄効率の増加が観察できる。
【0067】
[00068] アルゴンガスは、放射ビームからエネルギを受けることができ、このエネルギは、その後アルゴンから水素へ伝達され、水素分子の解離を介して原子水素の生成をもたらす。このアルゴンから水素へのエネルギ伝達は、放射ビームによる水素分子の直接的な励起と比較して、水素分子にエネルギを付与するためのより効率的メカニズムであり得る。
【0068】
[00069] 放射ビームによりアルゴンに提供され得るエネルギの量は、アルゴンが、水素により提供された洗浄量に(アルゴン不使用時に水素に提供される洗浄と比較して)測定可能な増加をもたらすのに十分な原子水素を生成することが可能な量である。原子水素を生成するためにアルゴンを促進する電界または他の手段は必要ない。
【0069】
[00070] アルゴンガスは、リソグラフィ装置の放射源SO、照明システムIL、および投影システムPSのうち1つ以上に提供され得る。
【0070】
[00071] アルゴンは、水素ガスと共にリソグラフィ装置内に導入され得る二次ガスの一例である。二次ガスは、任意の不活性ガスとすることができる。非不活性の二次ガスはリソグラフィ装置内に望ましくない汚染を引き起こし得るため、不活性ガスが好ましい。例えば、炭素、酸素、または窒素を含むガスは、それぞれ、炭素汚染、ミラーのルテニウム層の酸化、および窒化スズの形成を引き起こし得る。
【0071】
[00072] リソグラフィ装置内に提供される二次ガスの量は、水素ガスの量よりも少なくてよい。例えば、ガス混合物は、少なくとも80%の水素、少なくとも90%の水素、少なくとも95%の水素、または少なくとも99%の水素を含み得る。
【0072】
[00073] この混合物中に存在させる二次ガスの量を選択する際は、以下の要因を考慮すべきである。具体的には、より大量の二次ガスを提供することにより(水素ラジカルの生成が増加することで)、クリーニング効果の向上はより大きくなるが、二次ガス分子がリソグラフィ装置の反射面上へスパッタリングすることに起因して生じる損傷の程度もより大きくなり得る。スパッタリングが反射面の損傷を引き起こす程度は、二次ガス分子の質量に依存し得る。例えば、二次ガスとして、アルゴンガスよりも大きい割合のヘリウムを使用して、スパッタリングに起因する反射面の大きな損傷を生じさせないことが可能である。
【0073】
[00074] 本発明の実施形態の上記説明では、リソグラフィ装置の反射面に言及している。これらの反射面は、リソグラフィ装置の光学面の例とみなすことができる。必ずしも、リソグラフィ装置の全ての光学面が反射面であるとは限らない。
【0074】
[00075] 上記使用した極端紫外線(EUV)放射という用語は、20nm未満の波長、例えば10〜20nmの範囲内、例えば13〜14の範囲内、例えば5〜10nmの範囲内、例えば6.7nmまたは6.8nmなど、の波長を有する電磁放射を意味するものと解釈することができる。
【0075】
[00076] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。また、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよいことが理解されるべきである。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0076】
[00077] 上記説明は、限定的なものではなく、例示を目的としたものである。従って、当業者には明らかなように、以下に記す特許請求の範囲から逸脱しない限り、本発明に変更を加えることができる。
【0077】
[00078] 本発明は、上記実施形態に記載したようなリソグラフィ装置の適用またはリソグラフィ装置における使用に限定されない。さらに、図面は、通常、本発明を理解するのに必要なエレメントおよび特徴のみを含んでいる。加えて、リソグラフィ装置の図面は、概略的であり、縮尺通りではない。本発明は、概略図に示されたこれらのエレメント(例えば、概略図に示されたミラーの数など)に限定されない。
【0078】
[00079] 当業者には理解されるであろうが、上述した実施形態を組み合わせてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置であって、
望ましい放射および望ましくない放射を含む放射ビームを、プラズマを使用して生成する放射源と、
前記放射ビームを調整し、かつ前記リソグラフィ装置の動作中に水素ガスを受ける照明システムと、
パターニングデバイスを保持するサポート構造であって、前記パターニングデバイスは、前記放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成することができる、サポート構造と、
基板を保持する基板テーブルと、
前記パターン付き放射ビームを前記基板のターゲット部分上に投影する投影システムと、
を備え、
前記リソグラフィ装置は、前記照明システムに入射する際の前記放射ビームが、前記プラズマにより生成された前記望ましくない放射を少なくとも50%含み、かつ水素ラジカルを生成するための前記水素ガスと相互作用する放射波長を含む、
リソグラフィ装置。
【請求項2】
前記望ましい放射は、極端紫外線放射を含む、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項3】
前記望ましくない放射は、紫外線放射および/または深紫外線放射を含む、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項4】
前記投影システムは、前記リソグラフィ装置の動作中に水素ガスを受け、
前記リソグラフィ装置は、前記投影システムに入射する際の前記放射ビームが、前記プラズマにより生成された前記望ましくない放射を少なくとも50%含み、かつ水素ラジカルを生成するための前記水素ガスと相互作用する波長放射を含む、
請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項5】
前記投影システム内に設けられる1つ以上のフィルタをさらに備え、前記1つ以上のフィルタは、前記水素ラジカルの生成を補助する望ましくない波長の放射をフィルタ除去する、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項6】
前記1つ以上のフィルタは、前記放射ビームを最後に受ける前記投影システムの端部に配置される、請求項5に記載のリソグラフィ装置。
【請求項7】
前記1つ以上のフィルタは、前記投影システムと前記基板テーブルとの間に配置される、請求項5に記載のリソグラフィ装置。
【請求項8】
前記1つ以上のフィルタは、前記リソグラフィ装置の動的ガスロックに隣接して配置される、請求項5に記載のリソグラフィ装置。
【請求項9】
前記1つ以上のフィルタは、スペクトル純度フィルタである、請求項5に記載のリソグラフィ装置。
【請求項10】
前記照明システム内に設けられた1つ以上のフィルタをさらに備え、前記1つ以上のフィルタは、前記水素ラジカルの生成を補助する前記望ましくない放射の波長をフィルタ除去する、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項11】
前記水素ラジカルの生成を補助しない前記望ましくない放射の波長のうち少なくともいくらかをフィルタ除去する1つ以上のフィルタをさらに備え、前記1つ以上のフィルタは、前記放射ビームが前記照明システムの光学部品に入射する前に当該放射ビームをフィルタ処理するように位置決めされる、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項12】
前記1つ以上のフィルタは、前記リソグラフィ装置の前記放射源内に配置される、請求項11に記載のリソグラフィ装置。
【請求項13】
前記1つ以上のフィルタは、赤外放射をフィルタ除去するように構成される、請求項11に記載のリソグラフィ装置。
【請求項14】
望ましい放射および望ましくない放射を含む放射ビームを、プラズマを使用して生成することと、
前記放射ビームを調整する照明システムを通して前記放射ビームを誘導することと、
前記放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成するパターニングデバイス上に前記放射ビームを誘導することと、
投影システムを使って基板のターゲット部分上に前記パターン付き放射ビームを投影することと、
前記照明システムおよび/または前記投影システムに水素ガスを提供することと、
前記プラズマにより生成された前記望ましくない放射を使って、前記水素ガスから水素ラジカルを生成することと、
を含み、
前記放射ビームは、前記照明システムおよび/または前記投影システムに入射する際に、前記水素ラジカルを生成するために使用される前記望ましくない放射を少なくとも50%含む、
デバイス製造方法。
【請求項15】
前記望ましい放射は、極端紫外線放射を含む、請求項14に記載のデバイス製造方法。
【請求項16】
前記望ましくない放射は、紫外線放射および/または深紫外線放射を含む、請求項14に記載のデバイス製造方法。
【請求項17】
前記投影システム内で1つ以上のフィルタによって、前記望ましい放射のみが前記投影システムから前記基板上へと通過するように、前記放射ビームをフィルタ処理することをさらに含む、請求項14に記載のデバイス製造方法。
【請求項18】
リソグラフィ装置であって、
プラズマを使用して放射ビームを生成するように構成された放射源と、
前記放射ビームを調整するように構成された照明システムと、
パターニングデバイスを保持するように構成されたサポート構造であって、前記パターニングデバイスは、前記放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成することができる、サポート構造と、
基板を保持するように構成された基板テーブルと、
前記パターン付き放射ビームを前記基板のターゲット部分上に投影するように構成された投影システムと、
を備え、
前記放射源、前記照明システム、および前記投影システムのうちの1つ以上は、前記リソグラフィ装置の動作中に水素ガスおよび不活性ガスを受けるように構成され、前記水素ガスにより提供される洗浄量を増加させるために、前記放射ビームは、前記不活性ガスと相互作用して原子水素を生成する、
リソグラフィ装置。
【請求項19】
放射源の一部を形成するプラズマを使用して放射ビームを生成することと、
前記放射ビームを調整する照明システムを通して前記放射ビームを誘導することと、
前記放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成するパターニングデバイス上に前記放射ビームを誘導することと、
投影システムを使って基板のターゲット部分上に前記パターン付き放射ビームを投影することと、
前記放射源、前記照明システム、および前記投影システムのうちの1つ以上に水素ガスおよび不活性ガスの混合物を供給することと、
前記水素ガスによって提供される洗浄量を増加させるために、前記放射ビームおよび前記不活性ガスを使って原子水素を生成することと、
を含む、
デバイス製造方法。
【請求項20】
前記混合物は、少なくとも80%の水素を含む、請求項19に記載のデバイス製造方法。
【請求項21】
前記混合物は、少なくとも90%の水素を含む、請求項19に記載のデバイス製造方法。
【請求項22】
前記混合物は、少なくとも95%の水素を含む、請求項19に記載のデバイス製造方法。
【請求項23】
前記混合物は、少なくとも99%の水素を含む、請求項19に記載のデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−530823(P2011−530823A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522453(P2011−522453)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058898
【国際公開番号】WO2010/018039
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】