説明

放射線撮影装置

【課題】被検体の無用な被曝を抑制するとともに診断に適した画像を取得することができる放射線撮影装置を提供する。
【解決手段】本発明は、撮影位置を被検体Mに対して変更しながら撮影された複数枚の元画像P0をつなぎ合わせて単一の合成画像P2を生成し、幅広い視野の撮影が可能となっている。そして、FPD4に放射線が入射する範囲を元画像P0の撮影ごとに変更させるようにコリメータ3aの開度が撮影ごとに調整される。これにより、被検体Mにおける検査の関心部位以外の部分に放射線が入射することを防ぐことができるとともに、同じ線質で複数の撮影を行うことができるので、得られた複数枚の元画像P0をつなぎ合わせれば、つなぎ目において写り込んでいる被検体Mの像が一致した診断に好適な合成画像P2が取得できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の透視画像を重ね合わせて被検体の体幹部の広範囲が写り込んだ画像を生成する放射線撮影装置に係り、特に、脊椎側湾症診断に用いる放射線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関には、放射線で被検体Mの画像を撮影する放射線撮影装置が備えられている。この様な放射線撮影装置51は、図10に示すように立位の被検体Mを挟む位置に放射線源53と放射線検出器54とが設けられている。放射線源53は、放射線を照射するものであり、検査室の床面に沿った水平方向に放射線を照射し、放射線検出器54は、被検体Mを透過してきた放射線を検出する目的で設けられている(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
【0003】
放射線検出器54は、矩形の放射線を検出する検出面を有し、その放射線源53の発する放射線ビームの中心軸と検出面とが直交するように(検出面を立て掛けるかのように)配置されている。放射線検出器54は、支柱52に支持されており、支柱52に沿って鉛直方向に移動することができるようになっている。検出面の大きさとしては、直立した被検体Mの体側方向の幅が収まる程度が通常である。
【0004】
実際の検査において、撮影しようとする被検体Mの範囲が放射線検出器54の検出面よりも大きい場合がある。このようなときには、放射線検出器54を鉛直方向に移動させながら複数回に亘って撮影を行い、そのとき取得される複数の画像をつなぎ合わせて一つの画像とする。この様な撮影方法は、被検体Mの胴体部分を撮影したい場合によく用いられる。この様な検査は、脊椎側湾症の診断においてよく行われる。この診断においては、脊椎の曲がり具合を検査しなければならず、一度の撮影で脊椎の全てを撮影することができないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−43576号公報
【特許文献2】特開2009−240568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の構成によれば、次のような問題点がある。
すなわち、従来構成によれば被検体の無用な被曝を招来してしまうという問題点がある。従来の撮影は、2回の撮影を同じ条件で行うことで、2枚の透視画像を得ている。同一条件とされる撮影条件には放射線の線量に関する条件も含まれている。
【0007】
1回目の撮影の方が2回目の撮影よりも撮影に放射線の線量がより必要であるとする。仮に撮影条件を2回目の撮影に好適なように設定して2枚の透視画像を取得すると、1回目の撮影は、線量が不足した状態で撮影が行われたものとなってしまい、得られた画像は診断に適さない。
【0008】
そこで、2枚の透視画像を得るときの撮影条件は、2回の撮影のうち、より放射線の線量が必要な方(1回目の撮影)を基準に決められる。すると、1回目、2回目の撮影ともに十分な線量で撮影が行われることになる。
【0009】
2回目の撮影については、本来はより線量を少なくして撮影した方が被検体の無用な被曝を抑制できて好ましい。しかし、従来構成によれば、2回の撮影を同じ条件で行うので、複数回する撮影のうち、線量を必要としない撮影において被検体に必要以上の放射線が照射されてしまっている。
【0010】
この様な事態は望ましくないので、1回目の撮影と2回目の撮影とで撮影条件を変更する構成を採用する放射線撮影装置が従来から考え出されている。つまり、1回目の撮影の放射線量よりも2回目の撮影の放射線量を少なくするように撮影条件を変えるのである。この様にすることで、被検体の無用な被曝は抑制される。
【0011】
しかし、2回の撮影の間で放射線量を変えてしまうと、透視画像に写り込む被検体の様子が変わってきてしまう。放射線量を変えると放射線の線質も変わってしまうからである。具体的には被検体の組織が写り込む様子が2つの透視画像の間で異なるので、この違いを色調補正などの画像処理により消去するのは難しい。従って、2枚の透視画像をつなぎ合わせて単一の画像を生成しようとするときに、そのつなぎ目において、2枚の透視画像に写り込んでいる被検体の像が一致しないことになる。すると、完成した単一の画像は、透視画像のつなぎ目で乱れたものとなり、診断に適さない。
【0012】
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、複数枚の透視画像を重ね合わせて単一の画像を生成する放射線撮影装置において、被検体の無用な被曝を抑制するとともに診断に適した画像を取得することができる放射線撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上述の課題を解決するために次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る放射線撮影装置は、放射線を照射する放射線源と、放射線を検出する検出手段と、放射線源を被検体に対して移動させる放射線源移動手段と、検出手段を被検体に対して移動させる検出器移動手段と、放射線源移動手段を制御する放射線源移動制御手段と、検出器移動手段を制御する検出器移動制御手段と、放射線から照射される放射線ビームの広がりを制限するコリメータと、コリメータの開度を制御するコリメータ制御手段と、検出手段が出力する検出信号を基に元画像を生成する画像生成手段と、各制御手段の制御により撮影位置を被検体に対して変更しながら撮影された複数枚の元画像をつなぎ合わせて単一の合成画像を生成する合成画像生成手段とを備え、コリメータ制御手段がコリメータの開度を制御することにより、検出手段に放射線が入射する範囲を元画像の撮影ごとに変更させることを特徴とするものである。
【0014】
[作用・効果]本発明は、撮影位置を被検体に対して変更しながら撮影された複数枚の元画像をつなぎ合わせて単一の合成画像を生成し、幅広い視野の撮影が可能となっている。そして、検出手段に放射線が入射する範囲を元画像の撮影ごとに変更させるようにコリメータの開度が撮影ごとに調整される。これにより、被検体における検査の関心部位以外の部分に放射線が入射することを防ぐことができる。つまり、被検体が無用に放射線被曝をすることを防ぐことができるのである。しかも本発明によれば、放射線源の出力を変更することで放射線被曝を抑制する構成を採用する必要がない。したがって、同じ線質で複数の撮影を行うことができるので、撮影の際に被検体が透過される様子は同一なものとなる。この様にして得られた元画像をつなぎ合わせれば、つなぎ目において写り込んでいる被検体の像が一致した診断に好適な合成画像が取得できる。
【0015】
また、上述の放射線撮影装置において、放射線源を制御する放射線源制御手段を備え、放射線源制御手段は、一連の元画像の撮影において同一の照射条件で放射線源を制御すればより望ましい。
【0016】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。同一の照射条件で撮影された元画像をつなぎ合わせて合成画像を生成するようにすれば、元画像のつなぎ目における画像の乱れを確実に防止することができる。
【0017】
また、上述の放射線撮影装置において、放射線源移動制御手段および検出器移動制御手段は、放射線源および検出手段を互いの位置関係を保った状態で放射線源から検出手段に向かう照射方向と直交する移動方向に移動させればより望ましい。
【0018】
また、上述の放射線撮影装置において、検出器移動制御手段は、検出手段を移動方向に移動させ、放射線源移動制御手段は、検出手段の移動に合わせて放射線源の向きが検出手段に向くように変更させればより望ましい。
【0019】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、放射線源および検出手段を互いの位置関係を保った状態で放射線源から検出手段に向かう照射方向と直交する移動方向に移動するか、放射線源は位置を変更しないようにして放射線源の向きを検出手段の移動に合わせて検出手段に向くように変更するようにすれば、より撮影条件を同じくして複数の撮影を実行することができる。
【0020】
また、上述の放射線撮影装置において、コリメータは、照射方向、および移動方向のいずれにも直交する直交方向における放射線ビームの広がりを制限するものであればより望ましい。
【0021】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。コリメータが直交方向における放射線ビームの広がりを制限するものであれば、画像同士をつなぎ合わせる際に、元画像における互いのつなぎ目がコリメータの影に完全に覆われることがないので、放射線撮影装置は、確実に細長状の被検体を単一の合成画像に納めることができる。
【0022】
また、上述の放射線撮影装置において、元画像撮影の回数とコリメータの開度とが関連づけられたテーブルを記憶する記憶手段を備え、コリメータ制御手段は、テーブルを参照することにより元画像撮影の回数に対応するコリメータの開度を認識して、このコリメータの開度に基づいて制御を行えばより望ましい。
【0023】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、コリメータ制御手段がテーブルを参照することにより元画像撮影の回数に対応するコリメータの開度を認識して、このコリメータの開度に基づいて制御を行えば、確実にコリメータの開度を撮影ごとに変更できる放射線撮影装置が提供できる。
【0024】
また、上述の放射線撮影装置において、コリメータ制御手段が動作する際のコリメータの開度は、被検体を撮影するときの関心領域を基に決められればより望ましい。
【0025】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。すなわち、コリメータの開度が関心領域を基に決められれば、関心領域のみに放射線が被検体に照射されるようにコリメータの開度を決定できるのでより確実に放射線被曝を抑制することができる。
【0026】
また、上述の放射線撮影装置において、検出手段が連続した元画像の撮影の間に出力した信号を基に元画像に現れるコリメータおよび被検体の偽像を除去する偽像除去手段を備えればより望ましい。
【0027】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。本発明における放射線撮影装置の撮影中に検出手段にはコリメータの影が投影される。このコリメータの影は、検出手段において極端に放射線の入射が少ない領域を作り出す。すると、コリメータの影が検出手段にはっきりと写り込みすぎてしまい、このコリメータの影が次の撮影で偽像として現れやすくなる。上述の構成によれば偽像除去手段を備えているので、このコリメータの影の偽像を除去することができ、診断に好適な合成画像が提供できる。
【0028】
また、上述の放射線撮影装置において、コリメータ制御手段は、被検体の肺野に放射線が照射されないようにコリメータを制御すればより望ましい。
【0029】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。被検体の肺野には、心臓などの重要な臓器が分布している。被検体の肺野に放射線が照射されないようにすることにより、これらの臓器を保護することができる。
【0030】
また、上述の放射線撮影装置において、立位撮影用となっていればより望ましい。
【0031】
[作用・効果]上述の構成は、本発明の放射線撮影装置の具体的構成を示すものとなっている。本発明を立位撮影に応用すれば、脊椎側湾症の検査に好適な放射線撮影装置が提供できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、撮影位置を被検体に対して変更しながら撮影された複数枚の元画像をつなぎ合わせて単一の合成画像を生成し、幅広い視野の撮影が可能となっている。そして、検出手段に放射線が入射する範囲を元画像の撮影ごとに変更させるようにコリメータの開度が撮影ごとに調整される。これにより、被検体における検査の関心部位以外の部分に放射線が入射することを防ぐことができるとともに、同じ線質で複数の撮影を行うことができるので、得られた複数枚の元画像をつなぎ合わせれば、つなぎ目において写り込んでいる被検体の像が一致した診断に好適な合成画像が取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例1に係るX線撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】実施例1に係るコリメータの構成について斜視図である。
【図3】実施例1に係るFPDの構成について断面図である。
【図4】実施例1に係るX線撮影装置の動作を説明するフローチャートである。
【図5】実施例1に係るX線撮影装置の動作を説明する模式図である。
【図6】実施例1に係るX線撮影装置の動作を説明する模式図である。
【図7】実施例1に係るX線撮影装置の動作を説明する模式図である。
【図8】実施例1に係るX線撮影装置の動作を説明する模式図である。
【図9】本発明の1変形例に係るX線撮影装置の構成を説明する模式図である。
【図10】従来構成のX線撮影装置の構成を説明する模式図である。
【実施例1】
【0034】
以降、本発明の実施例を説明する。実施例におけるX線は、本発明の放射線に相当する。また、FPDは、フラット・パネル・ディテクタの略である。
【0035】
まず、実施例1に係るX線撮影装置1の構成について説明する。X線撮影装置1は、立位の被検体Mの撮影を行うように構成されており、図1に示すように、床面から鉛直方向に伸びた支柱2と、X線を照射するX線管3と、支柱2に支持されるFPD4と、鉛直方向に伸びるとともに天井に支持されている懸垂支持体7を有している。懸垂支持体7は、X線管3を懸垂支持するものである。X線管3は、本発明の放射線源に相当し、FPD4は、本発明の検出手段に相当する。
【0036】
FPD4は、支柱2に対し鉛直方向にスライドすることができる。また、懸垂支持体7は、鉛直方向に伸縮自在となっており、懸垂支持体7の伸縮に伴ってX線管3の鉛直方向における位置が変更される。FPD4の支柱2に対する鉛直方向の移動は、両者2,4の間に設けられたFPD移動機構15により実行される。したがって、鉛直方向は、X線管3・FPD4の移動方向mとなっている。これは、FPD移動制御部16により制御される。FPD移動機構15は、本発明の検出器移動手段に相当し、FPD移動制御部16は、本発明の検出器移動制御手段に相当する。
【0037】
X線管3の移動について説明する。X線管3は、懸垂支持体7に設けられたX線管移動機構13により行われる。X線管移動制御部14は、X線管移動機構13を制御する目的で設けられている。X線管3は、X線管移動機構13により(1)鉛直方向(移動方向m),(2)FPD4に対する接近・離反方向、(3)X線管3からFPD4に向かう照射方向と直交する水平の方向(直交方向v:図1における紙面貫通方向、被検体Mの体側方向)に移動する。X線管3が鉛直方向に移動する場合、懸垂支持体7は、伸縮することになる。照射方向、移動方向、直交方向vは、いずれも互いに直交する。X線管移動機構13は、本発明の放射線源移動手段に相当し、X線管移動制御部14は、本発明の放射線源移動制御手段に相当する。
【0038】
X線撮影装置1に設けられるコリメータ3aについて説明する。コリメータ3aは、X線管3に付設されており、X線管3から照射されるX線をコリメートして、4角錐形状(コーン状)のX線ビームBとするものである。
【0039】
このコリメータ3aの詳細について説明する。コリメータ3aは、図2に示すように、中心軸Cを基準として鏡像対称に移動する1対のリーフ3bを有し、同じく中心軸Cを基準として鏡像対称に移動するもう1対のリーフ3bを備えている。このコリメータ3aは、リーフ3bを移動させることで、FPD4が有する検出面4aの全面にコーン状のX線ビームBを照射させることもできれば、たとえば、FPD4の中心部分だけにファン状のX線ビームBを照射させることもできる。なお、中心軸Cは、X線ビームBの中心を示す軸ともなっている。なお、リーフ3bの対の一方は、4角錐形状となっているX線ビームの移動方向mの広がりを調整するものであり、もう一方のリーフ3bの対は、X線ビームの直交方向vの広がりを調整するものである。コリメータ3aの開度の変更は、コリメータ移動機構18aが行う。コリメータ制御部18bは、コリメータ移動機構18aを制御するものである。また、コリメータ3aを鏡像対称に移動させる構成とせずに、一対のリーフ3bが独立に移動する構成としてもよい。コリメータ制御部18bは、本発明のコリメータ制御手段に相当する。
【0040】
X線管制御部6は、X線管3の管電圧、管電流やX線の照射時間を制御するものである。X線管制御部6は、所定の管電流・管電圧・パルス幅で放射線を出力するようにX線管3を制御する。管電流等のパラメータは、記憶部37に記憶されている。X線管制御部6は、本発明の放射線源制御手段に相当する。
【0041】
FPD4は、X線を検出する検出面4a(図1参照)を有している。検出面4aは、鉛直方向に起立してX線撮影装置1に配置されている。これにより、起立した被検体Mを効率的に撮影できるようになっている。検出面4aは、X線管3のX線照射口に面するように配置されている。いいかえれば、検出面4aは、直交方向v,移動方向mの2方向がなす平面に沿って配置されている。また、検出面4aは、矩形となっており、1辺が直交方向vに、その1辺と直交する他の1辺が移動方向mに一致している。
【0042】
FPD4の構造について説明する。FPD4は、蛍光を介することなくX線を直接キャリア対に変換する直接変換型のX線検出器となっている。FPD4は、図3に示すように、キャリアの移動によって誘起される電荷を蓄積して読み出すアクティブマトリックス基板34と、X線をキャリア対(電荷)に変換するアモルファスセレン層31と、絶縁の目的で設けられている第2高抵抗膜32と、アモルファスセレン層31を電場に置く目的で設けられている共通電極33と、絶縁の目的で設けられているエポキシ樹脂層35と、ガラスで構成される補助板36と、絶縁の目的で設けられている第1高抵抗膜37とを有している。また、FPD4は、アクティブマトリックス基板34,第1高抵抗膜37,アモルファスセレン層31,第2高抵抗膜32,共通電極33,エポキシ樹脂層35,および補助板36の順に積層された構成となっている。
【0043】
アモルファスセレン層31は、比抵抗10Ωcm以上(好ましくは1011Ωcm以上)となっている高純度のアモルファスセレンで構成される。その積層方向の厚さは、0.2mm〜3.0mmとなっている。このアモルファスセレン層31にX線が照射されると、正孔と電子のペアであるキャリア対が発生する。アモルファスセレン層31は、強い電場に置かれているので、キャリアは、それに伴って移動し、アクティブマトリックス基板34に形成された収集電極34aに電荷が誘起される。
【0044】
アクティブマトリックス基板34には、ガラス基板上にキャリア収集用の収集電極34aが形成されている。収集電極34aは、第1高抵抗膜37に接するとともに、アクティブマトリックス基板34の表面に2次元的に配列されている。この収集電極34aは、図3に示すように、電荷蓄積用のコンデンサ34cに接続されている。コンデンサ34cは、収集電極34aで収集された電荷が蓄積される。コンデンサ34cは、トランジスタ34tに接続されている。このトランジスタ34tは、コンデンサ34cに接続される入力端子の他に、電流制御用のゲートGと、検出信号読み出し用の読み出し電極Pとを有している。トランジスタ34tのゲートGがオンされると、コンデンサ34cに蓄積している電荷は読み出し電極Pに向けて流れる。この様にして、アモルファスセレン層31で生じた電荷はX線の検出信号として読み出される。
【0045】
アモルファスセレン層31にX線が照射されると、層の内部でキャリア対が発生する。このキャリア対は、共通電極33により発生している電場によって共通電極33または収集電極34aに向かい、層の外部に移動する。電荷の内の一部は、移動せず、アモルファスセレン層31に残存する。この電荷は検出信号を読み出した後もアモルファスセレン層31に残存し続け、やがて減衰して消滅する。従って、複数回に亘って元画像P0を取得しようとするとき、前回の撮影における像が今回の撮影において偽像となって現れることがある。
【0046】
元画像P0を撮影した時、次の撮影で偽像として現れやすいのは、元画像P0に写り込んだコリメータ3aのリーフ3bの影である。リーフ3bは、X線を吸収するので、リーフ3bの影は元画像P0において極端に暗くはっきりと写り込み、次の撮影で偽像となって現れやすい。また、リーフ3bの影ほどでないとしても被検体像も次の撮影で偽像となって現れる。
【0047】
次に、X線撮影装置1の画像処理に係る各部について説明する。画像生成部11は、FPD4から出力された検出データを組み立てて、被検体Mの投影像が写りこんでいる元画像P0を生成する。画像合成部12は複数枚の元画像P0をつなぎ合わせて合成画像P2を生成する。画像生成部11は、本発明の画像生成手段に相当し、画像合成部12は、本発明の合成画像生成手段に相当する。
【0048】
偽像除去部17は、複数回に亘って元画像P0を取得しようとするときに現れる偽像を除去する目的で設けられている。すなわち、偽像除去部17は、連続した元画像P0の撮影の間にFPD4のゲートGをオンし、読み出し電極Pから信号を出力させる。偽像除去部17は、本発明の偽像除去手段に相当する。
【0049】
偽像除去部17の動作のタイミングについて説明する。例えば、2回の元画像P0の撮影をするとき、まず、(1)X線管3によって1回目のX線照射が行われ、(2)画像生成部11によって1回目の検出信号の取得が行われる。続いて、(3)2回目のX線照射が行われ、(4)2回目の検出信号の取得が行われる。偽像除去部17は、(2)の動作の後、(3)の動作の前にFPD4より信号を出力させる。このようにすることで、2回目の撮影における元画像P0に現れる偽像パターンを取得し、元画像P0から偽像を除去することができる。
【0050】
1回目の検出信号取得において、ゲートGは、画像生成部11によってオンされたので、このときにFPD4が有するX線検出に係る情報は全て出力されたはずである。しかし、上述のように読み出されなかった電荷がアモルファスセレン層31に残存し続けているので、偽像除去部17がFPD4のゲートGをオンすると、FPD4は残存した電荷の一部を信号として出力するのである。この信号の強さは、FPD4において2次元的に配列されている検出素子(具体的には図3における収集電極34aから構成される)の各々で異なっており、残存した電荷に応じて強い信号が出力される。
【0051】
偽像除去部17は、FPD4の出力を基に、FPD4における電荷の残存の分布を示すマップを生成する。このマップは、X線を照射しないで取得されたダーク画像ともなっているので、以降、マップをダーク画像Dと呼ぶことにする。偽像除去部17を動作させてもなお、アモルファスセレン層31には電荷が残存し続けている。
【0052】
操作卓38は、術者の各指示を入力させる目的で設けられており、画像合成部12に対する各種指示もこの操作卓38を通じて行われる。記憶部37は、後述のテーブルT,X線管3の制御情報、X線管3の位置情報、FPD4の鉛直方向の位置情報などのX線撮影に用いられる各種パラメータの一切を記憶する。なお、X線撮影装置1は、図1に示すように、各部6,14,16,11,12,17,18bを統括的に制御する主制御部41を備えている。この主制御部41は、CPUによって構成され、種々のプログラムを実行することにより、各部を実現している。また、上述の各部は、それらを担当する演算装置に分割されて実行されてもよい。表示部39は、撮影された合成画像P2を表示させる目的で設けられている。
【0053】
<X線撮影装置の動作>
次に、X線撮影装置1の動作について説明する。この動作説明においては、脊椎側湾症の診断を目的とした合成画像P2を取得するものとする。したがって、動作説明における検査の関心部位は被検体Mの骨盤および脊椎である。実施例1に係るX線撮影装置1を用いて合成画像P2を取得するには、図4に示す様に、まず被検体Mが載置され(被検体載置ステップS1),元画像P0の撮影が開始される(元画像撮影開始ステップS2)。そして、元画像撮影の間にコリメータ3aが調整され(コリメータ調整ステップS3),同時にダーク画像Dも取得される(ダーク画像取得ステップS4)。元画像から偽像が取り除かれた後、(偽像除去ステップS5),複数の元画像をつなぎ合わせて合成画像P2が生成される(合成画像生成ステップS6)。以降、これらの各ステップについて順を追って説明する。なお、以降の説明において、まず被検体Mの脊椎が写り込んだ元画像P0aを撮影し、次に骨盤が写り込んだ元画像P0bを撮影するものとする。
【0054】
<被検体載置ステップS1>
撮影に先立って、被検体MがX線管3とFPD4とに挟まれる位置に起立される。これにより、X線撮影装置1に被検体Mが載置されたことになる。術者が操作卓38を通じてX線管3およびFPD4の位置の調整を行うと、X線管3およびFPD4はそれぞれの移動を制御する各制御部14,16の制御に従って、移動方向mに移動する。そして、X線管3およびFPD4は被検体Mの脊椎を撮影する位置で停止する。
【0055】
<元画像撮影開始ステップS2,コリメータ調整ステップS3>
術者が操作卓38を通じて元画像の撮影開始の指示を与えると、まず元画像P0aの撮影が開始される。まず、コリメータ制御部18bは、被検体Mの脊椎が写り込んだ元画像P0aを撮影するのに適したX線ビームの絞りとなるようにコリメータ3aのリーフ3bの移動を開始させる。
【0056】
図5は、1回目の撮影時におけるコリメータ開度の調節を示している。すなわち、図51回目の撮影で得られる元画像P0aを表しており、そのうちの網掛けの部分は、元画像P0aに写り込むコリメータ3aのリーフ3bの影を表している。脊椎を撮影する1回目の撮影においてはコリメータ3aの開度は照射方向、および移動方向mのいずれにも直交する直交方向vについて狭くなるように調節される(図5参照)。リーフ3bが移動することにより被検体Mの脊椎のみにX線が照射されるようコリメータ3aの開度が調整される。これにより、被検体Mの肺野にX線が照射されることがない。被検体Mの肺野には心臓などの重要な臓器が分布している。被検体Mの肺野にX線が照射されないようにすることにより、これらの臓器を保護することができる。1回目の撮影における関心領域は被検体Mの脊椎であり、肺野や心臓は関心領域外である。コリメータ3aの開度は、被検体を撮影するときの関心領域を基に決められて、脊椎のみにX線が照射されるように狭く設定される。
【0057】
元画像P0aが撮影される際のコリメータ3aの開度について説明する。記憶部37には、元画像撮影の回数とコリメータ3aの開度とが関連づけられたテーブルTを有していいる(図6参照)。コリメータ制御部18bは、テーブルTを参照することにより元画像撮影の回数に対応するコリメータ3aの開度を認識して、このコリメータ3aの開度に基づいて制御を行う。各撮影の回数に対応するコリメータ3aの開度は、予めファントムを用いた撮影を行い、その結果から決定されたものである。
【0058】
また、コリメータ3aの開度を術者が決定する構成としてもよい。すなわち、記憶部37には複数の開度に関する設定値が記憶されており、術者が操作卓38を通じて被検体Mの体格などのデータを入力すると、コリメータ制御部18bは、これに応じたコリメータ開度の設定値を記憶部37から読み出して用いる構成となっている。この構成においては、被検体Mの体格情報、撮影回数、およびコリメータ3aの開度が関連したテーブルTが必要となる。術者がコリメータ開度を直接入力できるようにしてもよい。コリメータ開度は、被検体の関心部位を基に決定される。
【0059】
コリメータ開度調節の後、X線管制御部6は、記憶部37に記憶されている照射時間・管電流・管電圧に従い、X線を照射する。X線ビームはコリメータ3aによって広がりが直交方向vに制限されて、被検体Mに入射する。このとき被検体Mの脊椎に相当するスリット上の領域にのみX線が入射し、被検体Mの肺野にはX線は入射しない(図5参照)。この様にすることで被検体Mの無用な被曝を防ぐことができる。X線は、被検体Mを透過して、FPD4の検出面4aに入射し、そこで検出される。FPD4はX線の検出信号を画像生成部11に出力し、画像生成部11は、元画像P0aを生成する。
【0060】
<ダーク画像取得ステップS4>
1回目の撮影が終了して元画像P0aが取得されると、X線管3およびFPD4は、それぞれの移動を制御する各制御部14,16の制御に従って、被検体Mの骨盤の位置までの移動を開始する。すなわち、X線管3およびFPD4は、移動方向mに移動することにより1回目の撮影における撮影視野と2回目の撮影における撮影視野とが移動方向mから一部オーバーラップする位置まで移動される。この様にするのは、元画像同士を重ね合わせる際に、画像の間に撮影されていない隙間が生じることを防止する必要があるからである。
【0061】
偽像除去部17は、X線管3およびFPD4の移動の最中にFPD4から信号を出力させ、ダーク画像Dを取得する。このダーク画像Dは、2回目の撮影に現れる偽像のパターンを表しているものであり、具体的には図7の上段左側のようにコリメータ3aが写り込んでいる。
【0062】
X線管3およびFPD4は、被検体Mの骨盤の位置まで到達して停止する。そこで、コリメータ制御部18bは、2回目の撮影に先立って、コリメータ3aの開度を調節する。このコリメータ3aの開度はコリメータ制御部18bが記憶部37に記憶されたテーブルTを参照して決定されるものである。図6に示す様に2回目の撮影は、コリメータ開度100%で行われるのであるから、コリメータ3aはコリメータ制御部18bにより全開とされる。2回目の撮影における関心領域は被検体Mの骨盤である。コリメータ3aの開度は、被検体を撮影するときの関心領域を基に決められて、骨盤にX線が照射されるように広く設定される。このように、実施例1の構成によれば、FPD4にX線が入射する範囲を元画像の撮影ごとに変更される構成となっている。
【0063】
コリメータ開度調節の後、X線管制御部6は、記憶部37に記憶されている照射時間・管電流・管電圧に従い、X線を照射する。このときのX線の照射条件は、1回目の撮影と同一の条件となっている。X線は、被検体Mを透過して、FPD4の検出面4aに入射し、そこで検出される。FPD4はX線の検出信号を画像生成部11に出力し、画像生成部11は、元画像P0bを生成する。このようにして、撮影位置を被検体Mに対して変更しながら複数枚の元画像P0a,P0bが生成されるのである。このとき撮影された元画像P0bは、図7の上段右側のようになっている。元画像P0bには、被検体Mの像と、1回目に撮影したコリメータ3aの影に由来する偽像とが写り込んでいる。この元画像P0bは、偽像除去部17に送出される。
【0064】
<偽像除去ステップS5>
偽像除去部17は、複数回に亘る元画像の撮影において、1回目以降に撮影された元画像P0bについて、元画像P0bの撮影とその直前の撮影との間に取得されたダーク画像Dを基に元画像P0bに現れる偽像を除去して、偽像除去画像P1bを生成する。以上のような偽像除去部17の動作は、FPD4が連続した元画像P0a,P0bの撮影の間に出力した信号を基に元画像P0bに現れるコリメータ3aの偽像を除去するものであると表現することもできる。すなわち、偽像除去部17は、ダーク画像Dに重み付けを施して、元画像P0bから減算することにより偽像除去画像P1bを生成する。なお、1回目の撮影で得られる元画像P0aについては、必ずしも偽像除去部17の動作をする必要は無い。
【0065】
また、1回目で被検体Mの骨盤を撮影し、2回目で被検体Mの脊椎を撮影するような動作をする場合は、1回目の撮影でコリメータ3aは全開となっているので、2回目の撮影でコリメータ3aの影の偽像が写り込むことがない。したがって、この様な構成をとる場合は、2回目の撮影で得られた元画像においても必ずしも偽像除去部17の動作をする必要は無い。
【0066】
<合成画像生成ステップS6>
被検体Mの脊椎が写り込んだ元画像P0aと、被検体Mの骨盤が写り込んだ偽像除去画像P1bとは、画像合成部12に送出される。画像合成部12は、両画像P0a,P1bをX線管3・FPD4の移動方向mにつなぎ合わせて、図8に示すような被検体Mの脊椎と骨盤の両方が写り込んだ合成画像P2を生成する。なお、図8における斜線の部分は、コリメータ3aの開度の調節により被検体MにX線が照射されていない領域である。この合成画像P2が表示部39に表示されて撮影は終了となる。
【0067】
合成画像P2において脊椎の部分と骨盤の部分とがどのように写り込んでいるかを説明する。1回目の撮影と2回目の撮影とでX線の照射条件は同一であったのであるから、合成画像P2における脊椎と骨盤は同じ線質を有するX線で撮影されたものとなっている。つまり、合成画像P2のつなぎ目の部分では、元画像P0aと偽像除去画像P1bとに写り込む被検体Mの像が一致することにある。すると、合成画像P2のつなぎ目で画像が乱れることがない。
【0068】
以上のように、実施例1の構成は、撮影位置を被検体Mに対して変更しながら撮影された複数枚の元画像P0をつなぎ合わせて単一の合成画像P2を生成し、幅広い視野の撮影が可能となっている。そして、FPD4に放射線が入射する範囲を元画像P0の撮影ごとに変更させるようにコリメータ3aの開度が撮影ごとに調整される。これにより、被検体Mにおける検査の関心部位以外の部分に放射線が入射することを防ぐことができる。このようにすることで、被検体Mが無用に放射線被曝をすることを防ぐことができる。しかも、実施例1の構成によれば、X線管3の出力を変更することで放射線被曝を抑制する構成を採用する必要がない。したがって、同じ線質で複数の撮影を行うことができるので、撮影の際に被検体Mが透過される様子は同一なものとなる。この様にして得られた元画像P0をつなぎ合わせれば、つなぎ目において写り込んでいる被検体Mの像が一致した診断に好適な合成画像P2が取得できる。
【0069】
また、上述の構成によれば、撮影中にFPD4にはコリメータ3aの影が投影される。このコリメータ3aの影は、FPD4において極端に放射線の入射が少ない領域を作り出す。すると、コリメータ3aの影がFPD4にはっきりと写り込みすぎてしまい、このコリメータ3aの影が次の撮影で偽像として現れやすくなる。実施例1の構成によれば偽像除去部17を備えているので、このコリメータ3aの影の偽像を除去することができ、診断に好適な合成画像P2が提供できる。
【0070】
本発明は、上述の構成に限られず、下記のように変形実施をすることができる。
【0071】
(1)上述の構成によれば、コリメータ3aの絞り方についての限定はなかったが、鏡像対象にコリメータ3aを移動させるようにしてもよい。この様にすると、コリメータ移動機構18aの構造を単純なものとすることができる。また、図9に示す様に、コリメータ3aのリーフ3bの移動を独立なものとして、元画像P0aにコリメータ3aの影が非対称に現れるようにしてもよい。被検体の背骨の湾曲が目視できる場合においては、この様にした方が診断に適した合成画像P2が得られる。
【0072】
(2)上述した実施例は、2回目の撮影においてコリメータ3aの開度が全開とされていたが、本発明はこの構成に限られない。被検体の脚部の部分に対して無用な放射線被曝を防ぐことを目的として2回目の撮影においてコリメータ3aを調整することにより、放射線ビームの広がりをX線管3・FPD4の移動方向mに制限してもよい。この場合、元画像P0同士のつなぎ目にコリメータ3aの影が写り込まないようにコリメータ3aのリーフ3bの移動を独立制御とすることが望ましい。
【0073】
(3)上述した実施例は、X線管3とFPD4とが互いの位置関係を保った状態で移動する構成となっていたが、X線管3の位置を変更させず、FPD4のみFPD4の平面上の直線に沿って移動させる構成とすることもできる。この場合、FPD移動制御部16は、FPD4を移動方向に移動させ、X線管移動制御部14は、FPD4の移動に合わせてX線管3の向きがFPD4の中心に向くように傾斜させる。
【0074】
(4)上述した実施例は、医用の装置であったが、本発明は、工業用や、原子力用の装置に適用することもできる。
【0075】
(5)上述した実施例のいうX線は、本発明における放射線の一例である。したがって、本発明は、X線以外の放射線にも適応できる。
【符号の説明】
【0076】
P0 元画像
P2 合成画像
3 X線管(放射線源)
3a コリメータ
4 FPD(検出手段)
11 画像生成部(画像生成手段)
12 画像合成部(合成画像生成手段)
13 X線管移動機構(放射線源移動手段)
14 X線管移動制御部(放射線源移動制御手段)
15 FPD移動機構(検出器移動手段)
16 FPD移動制御部(検出器移動制御手段)
18b コリメータ制御部(コリメータ制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を照射する放射線源と、
放射線を検出する検出手段と、
前記放射線源を被検体に対して移動させる放射線源移動手段と、
前記検出手段を被検体に対して移動させる検出器移動手段と、
前記放射線源移動手段を制御する放射線源移動制御手段と、
前記検出器移動手段を制御する検出器移動制御手段と、
放射線から照射される放射線ビームの広がりを制限するコリメータと、
前記コリメータの開度を制御するコリメータ制御手段と、
前記検出手段が出力する検出信号を基に元画像を生成する画像生成手段と、
各制御手段の制御により撮影位置を被検体に対して変更しながら撮影された複数枚の前記元画像をつなぎ合わせて単一の合成画像を生成する合成画像生成手段とを備え、
前記コリメータ制御手段が前記コリメータの開度を制御することにより、前記検出手段に放射線が入射する範囲を前記元画像の撮影ごとに変更させることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線撮影装置において、
放射線源を制御する放射線源制御手段を備え、
前記放射線源制御手段は、一連の元画像の撮影において同一の照射条件で前記放射線源を制御することを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の放射線撮影装置において、
前記放射線源移動制御手段および前記検出器移動制御手段は、前記放射線源および前記検出手段を互いの位置関係を保った状態で前記放射線源から前記検出手段に向かう照射方向と直交する移動方向に移動させることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の放射線撮影装置において、
前記検出器移動制御手段は、前記検出手段を移動方向に移動させ、
前記放射線源移動制御手段は、前記検出手段の移動に合わせて前記放射線源の向きが前記検出手段に向くように変更させることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項5】
請求項3に記載の放射線撮影装置において、
前記コリメータは、前記照射方向、および前記移動方向のいずれにも直交する直交方向における放射線ビームの広がりを制限するものであることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項6】
請求項5に記載の放射線撮影装置において、
元画像撮影の回数と前記コリメータの開度とが関連づけられたテーブルを記憶する記憶手段を備え、
前記コリメータ制御手段は、前記テーブルを参照することにより元画像撮影の回数に対応する前記コリメータの開度を認識して、この前記コリメータの開度に基づいて制御を行うことを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項7】
請求項6に記載の放射線撮影装置において、
前記コリメータ制御手段が動作する際のコリメータの開度は、被検体を撮影するときの関心領域を基に決められることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の放射線撮影装置において、
前記検出手段が連続した前記元画像の撮影の間に出力した信号を基に前記元画像に現れる前記コリメータおよび被検体の偽像を除去する偽像除去手段を備えることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の放射線撮影装置において、
前記コリメータ制御手段は、被検体の肺野に放射線が照射されないように前記コリメータを制御することを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の放射線撮影装置において、
立位撮影用となっていることを特徴とする放射線撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−106884(P2013−106884A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256036(P2011−256036)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】