説明

放射線検出装置及び放射線画像撮影システム

【課題】高価な放射線源を使用することなく、汎用の放射線源で対応可能で、且つ、簡便な構成で被写体への無効曝射を回避することができ、しかも、様々なバリエーションにも応用可能な放射線検出装置及び放射線画像撮影システムを提供する。
【解決手段】放射線検出装置18は、放射線源からの放射線16のうち、少なくとも軟線成分の一部を吸収すると共に、少なくとも放射線16を検出する第1撮像部44Aと、少なくとも被写体36を透過した放射線源からの放射線16を放射線画像に変換して出力する第2撮像部44Bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の無効被曝の原因となる放射線の軟線成分を吸収可能な放射線検出装置及び該放射線検出装置を有する放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被写体に放射線を照射し、該被写体を透過した前記放射線を放射線検出器に導いて放射線画像情報を撮影する放射線画像撮影システムが広汎に使用されている。前記放射線検出器としては、前記放射線画像情報が露光記録される従来からの放射線フイルムや、蛍光体に前記放射線画像情報としての放射線エネルギーを蓄積し、励起光を照射することで前記放射線画像情報を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネルが知られている。これらの放射線検出器は、前記放射線画像情報が記録された放射線フイルムを現像装置に供給して現像処理を行い、あるいは、前記蓄積性蛍光体パネルを読取装置に供給して読取処理を行うことで、可視画像を得ることができる。
【0003】
一方、手術時等、造影撮影時、あるいは骨折等の治療時等においては、患者に対して迅速且つ的確な処置を施すため、撮影後の放射線検出器から直ちに放射線画像情報を読み出して表示できることが必要である。このような要求に対応可能な放射線検出器として、放射線を直接電気信号に変換し、あるいは、放射線をシンチレータで可視光に変換した後、電気信号に変換して読み出す固体検出素子(画素という)を用いたフラットパネルディテクタ(FPD)と称される放射線検出器が開発されている。
【0004】
特に、設定されたフレームレートで放射線撮影を実行することで放射線画像による動画をモニタに表示することで、被写体に対する例えばカテーテルの進入状況等をリアルタイムで把握できるようにしたX線画像診断装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
ところで、このようなX線画像診断装置等に使用される放射線源は、通常、高圧ケーブルが配線されるが、この高圧ケーブルには浮遊容量が存在するため、管電圧波形が高圧印加後も波尾が長くなる。波尾が長くなると、X線出力に軟線成分が多くなり、診断に寄与しないX線成分を被写体が浴びることになり、無効被曝の要因となる。
【0006】
そこで、従来では、曝射時間が終了し、インバータのスイッチング動作が停止して、高圧の直流出力の供給が停止した後は、管電圧波形の波尾が生じないようにした放射線源が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−004966号公報
【特許文献2】特開平11−329784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の技術は、放射線源に専用の回路を組み込んで、管電圧波形の波尾が生じないようにしているため、従来のシステムに適用する場合には、上述した専用の回路を組み込んだ高価な放射線源を使用するほかなく、放射線画像撮影システムの普及の障害になっている。また、放射線源の回路構成が複雑になり、コストの上昇及び故障の懸念があった。
【0009】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、高価な放射線源を使用することなく、汎用の放射線源で対応可能で、且つ、簡便な構成で被写体への無効曝射を回避することができ、しかも、様々なバリエーションにも応用可能な放射線検出装置及び放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1] 第1の本発明に係る放射線検出装置は、放射線源からの放射線のうち、少なくとも軟線成分の一部を吸収すると共に、少なくとも前記放射線を検出する第1撮像部と、少なくとも被写体を透過した前記放射線源からの前記放射線を放射線画像に変換して出力する第2撮像部とを有することを特徴とする。
【0011】
[2] 第1の本発明において、前記第2撮像部は、前記第1撮像部より前記放射線の硬線成分にも感度を有するようにしてもよい。
【0012】
[3] この場合、前記第1撮像部は、前記硬線成分よりも前記軟線成分をよりよく吸収し、前記第2撮像部は、前記第1撮像部より前記放射線の硬線成分をよりよく吸収するようにしてもよい。
【0013】
[4] 第1の本発明において、前記第1撮像部は、前記被写体の少なくとも動画用撮影の際に、前記被写体と放射線源との間に設置されていてもよい。
【0014】
[5] 第1の本発明において、前記第1撮像部は、前記被写体の少なくとも静止画用撮影の際に、前記被写体と前記第2撮像部との間に設置されていてもよい。
【0015】
[6] 第1の本発明において、前記第1撮像部は、前記被写体の少なくとも静止画用撮影の際に使用されないようにしてもよい。
【0016】
[7] 第1の本発明において、前記第1撮像部は、前記被写体の少なくともエネルギーサブトラクション撮影の際に、前記被写体と前記第2撮像部との間に設置されていてもよい。
【0017】
[8] この場合、前記第1撮像部と前記第2撮像部との間にエネルギー低減フィルタが設置されていてもよい。
【0018】
[9] 第1の本発明において、前記第1撮像部は、剛性のある第1基板に形成され、前記第2撮像部は、剛性のある第2基板に形成されていてもよい。
【0019】
[10] 第1の本発明において、前記第1撮像部は、フレキシブル基板に形成され、前記第2撮像部は、剛性のある基板に形成されていてもよい。
【0020】
[11] 第1の本発明において、前記第1撮像部は、剛性のある基板に形成され、前記第2撮像部は、フレキシブル基板に形成されていてもよい。
【0021】
[12] 第1の本発明において、前記第1撮像部は、第1フレキシブル基板に形成され、前記第2撮像部は、第2フレキシブル基板に形成されていてもよい。
【0022】
[13] 第1の本発明において、1つのフレキシブル基板を有し、前記第1撮像部は、前記フレキシブル基板の一部に形成され、前記第2撮像部は、前記フレキシブル基板の他の一部に形成されていてもよい。
【0023】
[14] 第2の本発明に係る放射線画像撮影システムは、放射線源と、放射線検出装置と、少なくとも前記放射線検出装置を制御する制御装置とを有する放射線画像撮影システムにおいて、前記放射線検出装置は、前記放射線源からの放射線のうち、少なくとも軟線成分の一部を吸収すると共に、少なくとも前記放射線を検出する第1撮像部と、前記第1撮像部及び被写体を透過した前記放射線源からの前記放射線を放射線画像に変換して出力する第2撮像部とを有することを特徴とする。
【0024】
[15] 第2の本発明において、前記制御装置は、前記第1撮像部での放射線の検出に基づいて、前記第2撮像部での電荷蓄積期間の開始タイミングを設定する同期部を有するようにしてもよい。
【0025】
[16] 第2の本発明において、前記制御装置は、前記放射線源と前記放射線検出装置とを制御し、少なくとも前記第1撮像部からの検出信号に基づいて、前記放射線源の照射エネルギーを制御することを特徴とする照射エネルギー制御部を有するようにしてもよい。
【0026】
[17] 第2の本発明において、前記制御装置は、前記放射線源と前記放射線検出装置とを制御し、少なくとも前記第1撮像部からの検出信号に基づいて、前記放射線源から出射される放射線の照射範囲を制御することを特徴とする照射野制御部を有するようにしてもよい。
【0027】
[18] 第2の本発明において、前記制御装置は、少なくとも前記第1撮像部からの検出信号に基づいて、前記第2撮像部でのアンプゲインを制御するアンプゲイン制御部を有するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明に係る放射線検出装置及び放射線画像撮影システムによれば、高価な放射線源を使用することなく、汎用の放射線源で対応可能で、且つ、簡便な構成で被写体への無効曝射を回避することができ、しかも、様々なバリエーションにも応用可能となり、放射線撮影の普及に寄与させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施の形態に係る放射線画像撮影システムを示す構成図である。
【図2】主に放射線照射装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3Aは第1放射線検出パネルを一部破断して示す斜視図であり、図3Bは第2放射線検出パネルを一部破断して示す斜視図である。
【図4】図4Aは第1撮像部(又は第2撮像部)の第1態様を示す説明図であり、図4Bはその第2態様を示す説明図であり、図4Cはその第3態様を示す説明図であり、図4Dはその第4態様を示す説明図であり、図4Eはその第5態様を示す説明図であり、図4Fはその第6態様を示す説明図である。
【図5】第1撮像部(又は第2撮像部)及び第1読出回路(又は第2読出回路)を示す回路図である。
【図6】主に第1放射線検出パネル及び第2放射線検出パネルの構成を示すブロック図である。
【図7】主に第1システム制御部の構成を示すブロック図である。
【図8】図8Aは第1方式の同期部の構成を示すブロック図であり、図8Bは第2方式の同期部の構成を示すブロック図である。
【図9】第1システム制御部の第1動画撮影処理(第1放射線検出パネル)の処理動作を示すフローチャートである。
【図10】第1システム制御部の第1動画撮影処理(第2放射線検出パネル)の処理動作を示すフローチャートである。
【図11】第1動画撮影処理を示すタイムチャートである。
【図12】第1システム制御部の第2動画撮影処理を示すフローチャートである。
【図13】第2動画撮影処理を示すタイムチャートである。
【図14】主に第2システム制御部の構成を示すブロック図である。
【図15】主に第3システム制御部の構成を示すブロック図である。
【図16】第3システム制御部の動画撮影処理を示すフローチャートである。
【図17】第3システム制御部の動画撮影処理を示すタイムチャートである。
【図18】静止画撮影の際の放射線検出装置の一形態を示す説明図である。
【図19】第3システム制御部の静止画撮影処理を示すフローチャートである。
【図20】第3システム制御部の静止画撮影処理を示すタイムチャートである。
【図21】エネサブ撮影の際の放射線検出装置の一形態を示す説明図である。
【図22】第3システム制御部のエネサブ撮影処理を示すフローチャートである。
【図23】第3システム制御部のエネサブ撮影処理を示すタイムチャートである。
【図24】主に第4システム制御部の構成を示すブロック図である。
【図25】主に第5システム制御部の構成を示すブロック図である。
【図26】第1放射線検出装置を用いた放射線画像撮影システムを示す構成図である。
【図27】第2放射線検出装置を用いた放射線画像撮影システムを示す構成図である。
【図28】第3放射線検出装置を用いた放射線画像撮影システムを示す構成図である。
【図29】第4放射線検出装置を用いた放射線画像撮影システムを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る放射線検出装置及び放射線画像撮影システムの実施の形態例を図1〜図29を参照しながら説明する。
【0031】
本実施の形態に係る放射線画像撮影システム10は、図1及び図2に示すように、放射線源12(図2参照)を有する放射線照射装置14と、放射線源12からの放射線16を検出して放射線画像に変換する放射線検出装置18と、少なくとも放射線検出装置18を制御するシステム制御部20とを有する。システム制御部20は、仕様によって、放射線照射装置14を制御したり、制御しない場合がある。従って、図1及び図2では、放射線照射装置14とシステム制御部20間の配線を破線で示す。
【0032】
システム制御部20には、コンソール22が接続され、コンソール22とのデータ通信が可能となっている。コンソール22には、画像観察や画像診断用のモニタ24や、操作入力用の入力装置26(キーボードやマウス等)が接続されている。オペレータ(医師、放射線技師)は、動画を観察しながらの手術やカテーテルの挿入作業等において、現在の状況に適した放射線の照射線量や放射線撮影のフレームレートを入力装置26を使って設定する。入力装置26を使用して入力されたデータやコンソール22にて作成編集等されたデータはシステム制御部20に入力される。また、システム制御部20からの放射線画像の動画や静止画等はコンソール22に供給されて、モニタ24に映し出される。
【0033】
放射線照射装置14は、図2に示すように、放射線源12と、システム制御部20からの指示に基づいて放射線源12を制御する線源制御部28と、システム制御部20からの指示に基づいて放射線16の照射範囲を広げたり狭くする自動コリメータ部30とを有する。
【0034】
放射線検出装置18は、図1に示すように、2つの放射線検出パネル(第1放射線検出パネル32A及び第2放射線検出パネル32B)を有する。
【0035】
そして、2つの放射線検出パネルを使用する場合は、例えば撮影台34上に第2放射線検出パネル32Bを載置して、被写体36の背面(放射線照射装置14側とは反対の面)に第2放射線検出パネル32Bを位置させ、被写体36の前面(放射線照射装置14側の面)に第1放射線検出パネル32Aを位置させる。すなわち、被写体36を挟むようにして第1放射線検出パネル32Aと第2放射線検出パネル32Bとを設置する。この場合、第1放射線検出パネル32Aを被写体36に載置する、又は被写体36あるいはオペレータが手で持ったりすることが挙げられる。もちろん、第1放射線検出パネル32Aと第2放射線検出パネル32Bとを複数のヒンジ38を有する移動機構40に固定して、第1放射線検出パネル32Aと第2放射線検出パネル32Bとが任意の離間距離でほぼ平行となるように位置決めできるようにしてもよい。これにより、被写体36への負担を軽減させることができる。
【0036】
そして、上述のように、被写体36を第1放射線検出パネル32Aと第2放射線検出パネル32Bで挟んだ状態で、放射線16を被写体36に向けて照射することで被写体36に対する放射線撮影(例えば動画撮影)が行われる。
【0037】
ここで、第1放射線検出パネル32Aは、図3Aに示すように、放射線16を透過させる材料からなる第1筐体42Aを備え、第1筐体42Aの内部には、少なくとも第1撮像部44Aを有する。この第1撮像部44Aは、放射線源12からの放射線16のうち、少なくとも軟線成分を吸収すると共に、放射線16を第1放射線画像に変換して出力する。従って、診断に寄与しない軟線成分を被写体36が浴びることが抑制され、被写体36への無効被曝を低減することができる。
【0038】
第1筐体42A内には、さらに、電源としての第1バッテリ46Aと、少なくとも第1撮像部44Aを駆動制御する第1パネル制御部48Aと、第1撮像部44Aからの第1放射線画像を含む信号を外部との間で有線又は無線にて送受信する第1送受信機50Aとが収容されている。第1送受信機50Aから出力された第1放射線画像は、システム制御部20に入力される。
【0039】
なお、第1パネル制御部48A及び第1送受信機50Aには、放射線16が照射されることによる損傷を回避するため、第1パネル制御部48A及び第1送受信機50Aの照射面側に鉛板等を配設しておくことが好ましい。
【0040】
一方、第2放射線検出パネル32Bは、図3Bに示すように、放射線16を透過させる材料からなる第2筐体42Bを備える。第2筐体42Bの内部には、少なくとも被写体36を透過した放射線源12からの放射線16を第2放射線画像に変換して出力する第2撮像部44Bと、第2撮像部44Bの一方の面(第2筐体42Bの照射面42a寄りの面)に対向して配置され、被写体36による放射線16の散乱線を除去するグリッド52と、第2撮像部44Bの他方の面に対向して配置され、放射線16のバック散乱線を吸収する鉛板54とを有する。なお、第2筐体42Bの照射面42aをグリッド52として構成してもよい。
【0041】
また、第2放射線検出パネル32Bは、さらに、電源としての第2バッテリ46Bと、少なくとも第2撮像部44Bを駆動制御する第2パネル制御部48Bと、第2撮像部44Bからの第2放射線画像を含む信号を外部との間で有線又は無線にて送受信する第2送受信機50Bとが収容されている。第2送受信機50Bから出力された第2放射線画像は、システム制御部20を介してコンソール22に入力され、モニタ24に映し出される。すなわち、静止画撮影を行った場合は、システム制御部20に、1つの第2放射線画像が入力されることから、モニタ24には、第2放射線画像が静止画として映し出される。動画撮影を行った場合は、システム制御部20に、設定されたフレームレートでの放射線撮影に基づく第2放射線画像が順次入力されることから、モニタ24には、第2放射線画像の動画がリアルタイムで映し出されることになる。
【0042】
なお、この第2放射線検出パネル32Bにおいても、第2パネル制御部48B及び第2送受信機50Bには、放射線16が照射されることによる損傷を回避するため、第2パネル制御部48B及び第2送受信機50Bの照射面側に鉛板等を配設しておくことが好ましい。
【0043】
ここで、第1撮像部44Aと第2撮像部44Bの構成例について図4A〜図4Fを参照しながら説明する。
【0044】
第1撮像部44A及び第2撮像部44Bは、いずれも図4A〜図4Fに示す第1態様〜第6態様を採用することができる。例えば第1撮像部44Aにおいて第1態様を採用し、第2撮像部44Bにおいて第2態様を採用する等である。
【0045】
第1態様は、図4Aに示すように、センサ基板56と、該センサ基板56の一方の面(放射線16の入射側の面)に設置されたシンチレータ58とを有する。
【0046】
センサ基板56は、例えば基体60と、該基体60の一方の面(放射線16の入射側の面)に形成されたフォトダイオード部62とを有する。基体60としては、例えばガラス基板64が用いられる。フォトダイオード部62は、アモルファスシリコン(a−Si)にて構成されたフォトダイオードが画素に応じて多数配列された構成を採用することができる。この場合、シンチレータ58とフォトダイオード部62とで第1撮像部44A(第2撮像部44B)が構成される。
【0047】
また、このガラス基板64の一方の面には、フォトダイオード部62にて光電変換した電荷を読み出すための複数のゲート線及び複数の信号線並びに画素に対応したTFT(薄膜トランジスタ)が形成されている。
【0048】
基体60は、ガラス基板64に代えて、結晶シリコン基板やSiC基板(炭化珪素基板)を用いてもよい。この場合、TFTを備えたCMOS回路が形成されていてもよい。
【0049】
シンチレータ58の構成材料としては、比重が重いことが重要となってくる。放射線16の吸収(光電効果)は原子番号の5乗に比例して増大するため、より重い構成元素からなるシンチレータ58の方が単位面積当たりの放射線吸収能を高くすることができる。また、変換エネルギー効率の高いことはフイルムや第1撮像部44Aや第2撮像部44Bでの感度の設定に重要である。従って、シンチレータ58としては、下記表1に示す材料を用いることができる。第1撮像部44Aのシンチレータ58は、放射線源12からの放射線16のうち、少なくとも軟線成分の一部を吸収することが好ましい。この場合、例えば硬線成分よりも軟線成分をよりよく吸収することが好ましいため、下記表1のうち、K吸収端が小さい材料、すなわち、*印で示す材料を用いることが好ましい。特に、アモルファスシリコン(a−Si)の感度を考慮すると、発光色が緑である組成を使用することがより好ましい。
【0050】
【表1】

【0051】
もちろん、第1撮像部44Aのシンチレータ58と第2撮像部44Bのシンチレータ58が共に同じ材料でもよい。この場合、第1撮像部44Aの厚み(あるいは第1放射線検出パネル32Aの厚み)が大きくなると、硬線成分も吸収されるため、第1撮像部44Aの厚み(あるいは第1放射線検出パネル32Aの厚み)は第2撮像部44Bの厚み(あるいは第2放射線検出パネル32Bの厚み)よりも薄いことが好ましい。
【0052】
また、第1撮像部44A(あるいは第1放射線検出パネル32A)は、撮影(診断)に寄与しない軟線成分を吸収することが目的の1つであるが、必要以上に軟線成分を吸収してしまうと、第1放射線検出パネルでの画像形成のための感度が低下してしまうため、その意味でも、第1撮像部44Aの厚み(あるいは第1放射線検出パネル32A)を、第2撮像部44Bの厚み(あるいは第2放射線検出パネル32Bの厚み)よりも薄くして、必要以上に軟線成分を吸収しないことが好ましい。
【0053】
第2の態様は、図4Bに示すように、上述した第1の態様とほぼ同様の構成を有するが、フォトダイオード部62に代えて有機光導電体66(OPC:Organic Photo Conductors)を使用する点で異なる。センサ基板56とシンチレータ58との間に有機光導電体66が設置されている。この場合、シンチレータ58と有機光導電体66とで第1撮像部44A(第2撮像部44B)が構成される。
【0054】
センサ基板56は、例えば基体60と、該基体60の一方の面に有機光導電体66にて光電変換した電荷を読み出すための複数のゲート線及び複数の信号線並びに画素に対応した有機TFT(有機材料からなる薄膜トランジスタ)又は酸化物半導体(例えばInGaZnOx:IGZO)によるTFTが形成されている。
【0055】
基体60としては、例えば樹脂基板68を使用することができる。あるいは樹脂基板68に代えて、結晶シリコン基板やSiC基板(炭化珪素基板)を用いてもよい。この場合、TFTを備えたCMOS回路が形成されていてもよい。
【0056】
第3の態様は、図4Cに示すように、上述した第1の態様とほぼ同様の構成を有するが、センサ基板56が放射線16の入射側に設置されている点で異なる。
【0057】
第4の態様は、図4D示すように、上述した第2の態様とほぼ同様の構成を有するが、センサ基板56が放射線16の入射側に設置されている点で異なる。
【0058】
第5の態様は、図4Eに示すように、上述した第1の態様とほぼ同様の構成を有するが、シンチレータ58とフォトダイオード部62に代えて、放射線16を直接電気信号に変換するアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる固体検出素子70とした点で異なる。なお、固体検出素子70にはバイアス電圧Vbが印加される。
【0059】
第6の態様は、図4Fに示すように、上述した第3の態様とほぼ同様の構成を有するが、シンチレータ58とフォトダイオード部62に代えて、放射線16を直接電気信号に変換するアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる固体検出素子70とした点で異なる。
【0060】
次に、一例として、間接変換型の第1放射線検出パネル32A(第2放射線検出パネル32B)を採用した場合の第1撮像部44A(第2撮像部44B)の読出回路(第1読出回路78A、第2読出回路78B)の構成に関し、図5を参照しながら詳細に説明する。
【0061】
第1撮像部44Aは、例えば可視光を電気信号に変換するa−Si等の物質からなる各画素80が形成された光電変換層82を、行列状の薄膜トランジスタ(以下、TFT84と記す)のアレイの上に配置した構造を有する。この場合、各画素80では、可視光を電気信号(アナログ信号)に変換することにより発生した電荷が蓄積されることから、例えば各行毎にTFT84を順次オンにすることにより前記電荷を画像信号として読み出すことができる。
【0062】
第1読出回路78Aは、各画素80に接続されるTFT84と、TFT84に接続され、行方向と平行に延びるゲート線86と、TFT84に接続され、列方向と平行に延びる信号線88とを有する。各ゲート線86は、ライン走査駆動部90に接続され、各信号線88は、マルチプレクサ92に接続される。ゲート線86には、行方向に配列されたTFT84をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部90から供給される。この場合、ライン走査駆動部90は、ゲート線86を切り替える複数のスイッチSW1と、スイッチSW1を選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ94とを備える。アドレスデコーダ94には、第1パネル制御部48Aからアドレス信号が供給される。
【0063】
また、信号線88には、列方向に配列されたTFT84を介して各画素80に保持されている電荷が流出する。この電荷は、チャージアンプ96によって増幅される。チャージアンプ96には、サンプルホールド回路98を介してマルチプレクサ92が接続される。
【0064】
すなわち、読み出された各列の電荷は、各信号線88を介して各列のチャージアンプ96に入力される。各チャージアンプ96は、オペアンプ100と、コンデンサ102と、スイッチ104とで構成されている。チャージアンプ96は、スイッチ104がオフの場合には、オペアンプ100の一方の入力端子に入力された電荷信号を電圧信号に変換して出力する。チャージアンプ96は、第1パネル制御部48Aによって設定されたゲインで電気信号を増幅して出力する。チャージアンプ96のゲインに関する情報(ゲイン設定情報)は、システム制御部20から第1パネル制御部48Aに供給される。第1パネル制御部48Aは、供給されたゲイン設定情報に基づいてチャージアンプ96のゲインを設定する。
【0065】
オペアンプ100の他方の入力端子はGND(グランド電位)に接続されている(接地)。全TFT84がオンとなって、且つ、スイッチ104がオンした場合は、コンデンサ102に蓄積された電荷がコンデンサ102とスイッチ104の閉回路により放電されると共に、画素80に蓄積されていた電荷が閉じられたスイッチ104及びオペアンプ100を介してGND(グランド電位)に掃き出される。チャージアンプ96のスイッチ104をオンにして、コンデンサ102に蓄積された電荷を放電させると共に、画素80に蓄積された電荷をGND(グランド電位)に掃き出す動作のことを、リセット動作(空読み動作)と呼ぶ。特に、全画素の電荷をGNDに掃き捨てる動作を全画素リセット動作という。つまり、リセット動作の場合は、画素80に蓄積された電荷信号に対応する電圧信号は、マルチプレクサ92に出力されずに捨てられる。
【0066】
マルチプレクサ92は、信号線88を切り替える複数のスイッチSW2と、スイッチSW2を選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ106とを備える。アドレスデコーダ106には、第1パネル制御部48Aからアドレス信号が供給される。マルチプレクサ92には、A/D変換器108が接続され、A/D変換器108によってデジタル信号に変換された放射線画像が第1パネル制御部48Aに供給される。
【0067】
第2撮像部44B及び第2読出回路78Bの構成は、上述の第1撮像部44A及び第1読出回路78Aの構成とほぼ同じであるため、その重複説明を省略する。
【0068】
なお、スイッチング素子として機能するTFT84は、CMOS(Complementary Metal−Oxside Semiconductor)イメージセンサ等、他の撮像素子と組み合わせて実現してもよい。さらにまた、TFTで言うところのゲート信号に相当するシフトパルスにより電荷をシフトしながら転送するCCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサに置き換えることも可能である。
【0069】
第1放射線検出パネル32Aの第1パネル制御部48Aは、図6に示すように、第1読出回路78Aのための第1アドレス信号発生部110Aと、第1画像メモリ112Aと、第1パネルIDメモリ114Aとを備える。
【0070】
第2放射線検出パネル32Bの第2パネル制御部48Bも、第1パネル制御部48Aと同様に、第2読出回路78Bのための第2アドレス信号発生部110Bと、第2画像メモリ112Bと、第2パネルIDメモリ114Bとを備える。
【0071】
第1アドレス信号発生部110Aは、例えばシステム制御部20からの第1放射線画像の動画読出制御情報(後述する第1動画読出制御情報Sa1)及び第1放射線画像のエネルギーサブストラクション(以下、エネサブと記す)読出制御情報(後述する第1エネサブ読出制御情報Sc1)に基づいて、図5に示す第1読出回路78Aにおけるライン走査駆動部90のアドレスデコーダ94及びマルチプレクサ92のアドレスデコーダ106に対してアドレス信号を供給する。第1動画読出制御情報Sa1及び第1エネサブ読出制御情報Sc1は、例えばプログレッシブモード、インターレースモード(奇数行読出モード、偶数行読出モード、2行置き読出モード、3行置き読出モード等)、ビニングモード(1画素/4画素読出モード、1画素/6画素読出モード、1画素/9画素読出モード等)を示す読出モードに関する情報が含まれる。例えば1画素/4画素読出モードは、隣接する2本のゲート線を同時に活性化(Vonとする)し、隣接する2本の信号線を同時に選択することで、隣接する2行2列の4画素分の電荷を混合して1画素として読み出すモードである。第1アドレス信号発生部110Aは、第1動画読出制御情報Sa1及び第1エネサブ読出制御情報Sc1が示すモードに応じたアドレス信号を作成して、ライン走査駆動部90のアドレスデコーダ94及びマルチプレクサ92のアドレスデコーダ106に出力する。第1動画読出制御情報Sa1及び第1エネサブ読出制御情報Sc1は、例えばオペレータからの操作入力に基づいてシステム制御部20にて作成されて、第1放射線検出パネル32Aの第1パネル制御部48Aに入力される。
【0072】
システム制御部20から供給される第1動画読出制御情報Sa1及び第1エネサブ読出制御情報Sc1としては、上述した読出モードに関する情報(読出モード情報)に加えて、撮像範囲を指定する撮像範囲情報も含まれる。この撮像範囲情報は、例えばオペレータが入力装置26とモニタ24を使って例えば動画の撮像範囲を設定した場合に、設定された撮像範囲に含まれるゲート線86のアドレスと信号線88のアドレスが挙げられる。もちろん、撮像範囲に含まれるゲート線86の開始アドレス(番号)と終了アドレス(番号)並びに信号線88の開始アドレス(番号)と終了アドレス(番号)であってもよい。そして、読出モード情報が例えば奇数行読出モード(間引き)であれば、第1撮像部44Aの撮像範囲に含まれるゲート線86のうち、奇数行のゲート線86が順次選択され、第1撮像部44Aの撮像範囲に含まれる信号線88からの信号電荷が合成されずにA/D変換器108に向かって順次転送されることになる。読出モード情報が例えば1画素/4画素読出モード(ビニング)であれば、撮像範囲に含まれるゲート線86が例えば2本ずつ順次選択され、撮像範囲に含まれる信号線88からの信号電荷が合成(この場合、隣接する2本の信号線88からの信号電荷がそれぞれ合成)されて、すなわち、4画素分の信号電荷が合成されてA/D変換器108に向かって順次転送されることになる。
【0073】
これは、第2アドレス信号発生部110Bについても同様であり、例えばシステム制御部20からの第2放射線画像の動画読出制御情報(後述する第2動画読出制御情報Sa2)、第2放射線画像の静止画読出制御情報(後述する静止画読出制御情報Sb)及び第2放射線画像のエネサブ読出制御情報(後述する第2エネサブ読出制御情報Sc2)に基づいて、図5に示す第2読出回路78Bにおけるライン走査駆動部90のアドレスデコーダ94及びマルチプレクサ92のアドレスデコーダ106に対してアドレス信号を供給する。
【0074】
第1画像メモリ112Aは、第1読出回路78Aからの第1放射線画像D1を記憶し、第2画像メモリ112Bは、第2読出回路78Bからの第2放射線画像D2を記憶する。第1パネルIDメモリ114Aは、第1放射線検出パネル32Aを特定するためのパネルID情報を記憶し、第2パネルIDメモリ114Bは、第2放射線検出パネル32Bを特定するためのパネルID情報を記憶する。
【0075】
第1送受信機50Aは、第1パネルIDメモリ114Aに記憶されたパネルID情報並びに第1画像メモリ112Aに記憶された第1放射線画像D1を有線通信又は無線通信によりシステム制御部20に送信する。第2送受信機50Bは、第2パネルIDメモリ114Bに記憶されたパネルID情報並びに第2画像メモリ112Bに記憶された第2放射線画像D2を有線通信又は無線通信によりシステム制御部20に送信する。
【0076】
次に、放射線画像撮影システム10のシステム制御部20のいくつかの具体例について、図7〜図25を参照しながら説明する。
【0077】
先ず、第1の具体例に係るシステム制御部(以下、第1システム制御部20Aと記す)は、図7に示すように、動画撮影処理部116と、同期部118とを有する。
【0078】
動画撮影は、上述したように(図1参照)、被写体36の背面側に第2放射線検出パネル32Bを設置し、第1放射線検出パネル32Aを被写体36の前面に設置した状態で行われる。この動画撮影は、主に動画撮影処理部116と同期部118との連係によって実行される。
【0079】
動画撮影処理部116は、例えばオペレータによる動画撮影要求の操作入力や他の機器からの動画撮影要求の入力に基づいて、動画像を得るための放射線撮影を実行するように制御する。
【0080】
また、この動画撮影処理部116は、動画用パラメータ設定部120と、動画用パラメータ履歴記憶部122と、動画転送部124とを有する。
【0081】
動画用パラメータ設定部120は、動画撮影の際に、オペレータからの操作入力等によって新たにパラメータ(フレームレート、読出モード、撮影範囲等)の設定があった場合に、動画用パラメータ履歴記憶部122に新たに設定されたフレームレート、読出モード、撮影範囲等を最新のパラメータとして記憶する。
【0082】
例えば動画撮影の制御に使用される第1放射線画像D1を得るための読出モードや撮像範囲等が新たに設定された場合は、新たに設定された読出モード情報や撮像範囲情報等を含む第1動画読出制御情報Sa1を第1放射線検出パネル32Aに出力する。同様に、被写体36の放射線画像(第2放射線画像D2)の動画像を得るため読出モードや撮像範囲等が新たに設定された場合は、新たに設定された読出モード情報や撮像範囲情報等を含む第2動画読出制御情報Sa2を第2放射線検出パネル32Bに出力する。
【0083】
動画用パラメータ履歴記憶部122は、いままで設定されたフレームレート等のうち、現時点から過去の所定期間にわたって設定されたフレームレート等が記憶される。
【0084】
なお、この第1システム制御部20Aでは、放射線照射装置14と電気的に接続されていないため、照射エネルギー(及びフレームレート)の設定は、直接、放射線照射装置14に対して行われる。
【0085】
動画転送部124は、第2放射線検出パネル32Bから順次供給される第2放射線画像D2を受け取って、コンソール22に転送する。コンソール22は、順次転送されてくる第2放射線画像D2をモニタ24に表示する。これにより、モニタ24には、第2放射線画像D2の動画が表示されることになる。
【0086】
同期部118は、少なくとも第1撮像部44Aでの放射線16の検出に基づいて、第2撮像部44Bでの電荷蓄積期間の開始タイミングを設定する。
【0087】
具体的には、第1放射線検出パネル32Aからの第1放射線画像D1のうち、複数の特定画素(特定画素群)の平均濃淡値と予め設定したしきい値とを比較し、平均濃淡値がしきい値以上となった時点で、第2放射線検出パネル32Bでの露光期間の開始タイミングを設定する。
【0088】
ここで、開始タイミングの設定としては、以下の場合が挙げられる。例えば平均濃淡値がしきい値以上となった時点を、第2放射線検出パネル32Bでの露光期間の開始時点とする。あるいは、平均濃淡値がしきい値以上となった時点から予め設定された時間を経過した時点を、第2放射線検出パネル32Bでの露光期間の開始時点とする。あるいは、例えば平均濃淡値がしきい値以上となった時点で第2放射線検出パネル32Bにおいて上述したリセット動作を行い、リセット動作が終了した時点を露光期間の開始時点とする等である。
【0089】
特定画素群の平均濃淡値としては、例えば第1放射線検出パネル32Aの中央部分における2行2列の4画素分の平均濃淡値を得ればよいため、第1放射線検出パネル32Aからの第1放射線画像D1は、4画素分のデータだけでよく、従って、第1放射線画像D1の読み出し速度を大幅に高めることができ、放射線源12からの放射線16が第1放射線変換パネル32Aに照射された時点から僅かな時間間隔(例えば0.5〜5msec)の間に、放射線16が照射されたことを検知することができる。従って、例えば動画撮影のフレームレートが60フレーム/秒(約17msec/1フレーム)であっても、放射線16が照射されたことを確実に検知することができる。
【0090】
同期部118は、例えば2つの方式が採用され、第1方式の同期部118は、図8Aに示すように、第1平均濃淡値比較部126Aと、前回レジスタRaと、今回レジスタRbと、露光期間判別部128とを有する。
【0091】
第1平均濃淡値比較部126Aは、特定画素群の平均濃淡値Daと予め設定したしきい値Dbとを比較し、平均濃淡値Daがしきい値Db未満であれば、今回レジスタRbに、放射線16が到達していないことを示す初期値「0」を格納し、平均濃淡値Daがしきい値Db以上であれば、今回レジスタRbに、放射線16が到達したことを示す値「1」を格納する。
【0092】
露光期間判別部128は、前回レジスタRaの値と今回レジスタRbの値とを比較し、前回レジスタRaの値が「0」、今回レジスタRbの値が「1」の場合に、第2放射線検出パネル32Bに露光開始信号Sdを出力し、前回レジスタRaの値が「1」、今回レジスタRbの値が「0」の場合に、第2放射線検出パネル32Bに露光終了信号Seを出力する。また、露光期間判別部128は、露光開始信号Sd又は露光終了信号Seを出力した後に、今回レジスタRbの値を前回レジスタRaに格納する。
【0093】
第2放射線検出パネル32Bは、露光開始信号Sdの入力に基づいて、電荷蓄積(露光)を行い、露光終了信号Seの入力に基づいて、電荷読出動作を行う。
【0094】
一方、第2方式の同期部118は、図8Bに示すように、第2平均濃淡値比較部126Bを有する。この第2平均濃淡値比較部126Bは、特定画素群の平均濃淡値Daと予め設定したしきい値Dbとを比較し、平均濃淡値Daがしきい値Db以上になった段階で、第2動作開始信号Sf2を出力する。
【0095】
第2放射線検出パネル32Bは、第2動作開始信号Sf2の入力に基づいて、電荷蓄積及び電荷読出動作を行う。
【0096】
ここで、同期部118を有する放射線画像撮影システム10の2つの動画撮影処理(第1動画撮影処理及び第2動画撮影処理)の動作を図9〜図13を参照しながら説明する。
【0097】
最初に、第1方式の同期部118を用いた第1動画撮影処理の動作は、第1放射線検出パネル32Aに対する制御と第2放射線検出パネル32Bに対する制御をマルチタスク方式にて行う。
【0098】
先ず、第1放射線検出パネル32Aに対する制御について説明すると、図9のステップS1において、同期部118は、第1放射線検出パネル32Aへの放射線16の照射タイミング(露光開始や露光終了)を検出するために使用される2つのレジスタ(前回レジスタRa及び今回レジスタRb)にそれぞれ初期値「0」を格納する。
【0099】
ステップS2において、動画用パラメータ設定部120は、第1放射線画像D1を得るための読出モードや撮像範囲等が新たに設定されたか否かを判別する。
【0100】
例えばオペレータが新たにパラメータの設定を行った場合は、ステップS3に進み、動画用パラメータ履歴記憶部122に新たに設定された読出モードや撮影範囲等を最新のパラメータとして記憶する。次いで、ステップS4において、新たに設定された読出モードや撮像範囲等を含む第1動画読出制御情報Sa1を第1放射線検出パネル32Aに出力する。第1放射線検出パネル32Aの第1パネル制御部48Aは、入力された第1動画読出制御情報Sa1を第1アドレス信号発生部110Aに供給する。
【0101】
ステップS2において新たにパラメータが設定されていないと判別された場合、あるいはステップS4での処理が終了した段階で、次のステップS5に進み、第1システム制御部20Aは、第1放射線検出パネル32Aに電荷蓄積及び電荷読出を示す第1動作開始信号Sf1を出力する。
【0102】
ステップS6において、第1放射線検出パネル32Aは、第1システム制御部20Aからの動作開始信号Sfの入力に基づいて、電荷蓄積と電荷読出を行う。すなわち、第1放射線検出パネル32Aに放射線16が到達していれば、到達した放射線16が、例えば第1撮像部44Aのシンチレータ58により可視光に一旦変換され、第1撮像部44Aの各画素80において、可視光が光電変換されて、光量に応じた量の電荷が蓄積される。放射線16が到達していなければ、各画素80に電荷はほとんど蓄積されない。
【0103】
続く読出期間において、第1アドレス信号発生部110Aは、供給された第1動画読出制御情報Sa1(撮像範囲情報、読出モード情報等)に応じたアドレス信号を作成して、第1読出回路78Aにおけるライン走査駆動部90のアドレスデコーダ94及びマルチプレクサ92のアドレスデコーダ106に出力する。第1読出回路78Aは、第1動画読出制御情報Sa1に従って電荷の読み出しを行い、第1画像メモリ112Aを用いて、例えばFIFO方式で動画用の第1放射線画像D1を出力する。第1放射線画像D1としては、例えば上述したように、特定画素群(例えば第1放射線検出パネル32Aの中央部分における4画素)のデータのみであるため、高速に読み出される。第1放射線検出パネル32Aからの第1放射線画像D1は第1システム制御部20Aの同期部118に供給される。
【0104】
ステップS7において、同期部118の第1平均濃淡値比較部126Aは、特定画素群の平均濃淡値Daと予め設定したしきい値Dbとを比較し、平均濃淡値Daがしきい値Db未満であれば、ステップS9に進み、今回レジスタRbに、放射線16が到達していないことを示す初期値「0」を格納する。平均濃淡値Daがしきい値Db以上であれば、ステップS8に進み、今回レジスタRbに、放射線16が到達したことを示す値「1」を格納する。
【0105】
ステップS10において、同期部118の露光期間判別部128は、前回レジスタRaの値と今回レジスタRbの値が異なるか否かを判別する。値が異なっていれば、次のステップS11に進み、露光期間判別部128は、放射線16の照射が開始されたか否かを判別する。この判別は、前回レジスタRaの値が「0」で、今回レジスタRbの値が「1」であるかどうかで行われる。放射線16の照射が開始されたと判別された場合は、次のステップS12に進み、露光期間判別部128は、第2放射線検出パネル32Bに露光開始信号Sdを出力する。ステップS11において、放射線16の照射が開始されていないと判別された場合、すなわち、前回レジスタRaの値が「1」で、今回レジスタRbの値が「0」と判別された場合は、放射線16の照射が停止されたものとして、ステップS13に進み、第2放射線検出パネル32Bに露光終了信号Seを出力する。
【0106】
前記ステップS10において、前回レジスタRaの値と今回レジスタRbの値が同じであると判別された場合、あるいは、ステップS12での処理が終了した段階、あるいは、ステップS13での処理が終了した段階で次のステップS14に進み、今回レジスタRbの値を前回レジスタRaに格納する。
【0107】
次のステップS15において、第1システム制御部20Aは、動画撮影の終了要求があるか否かを判別する。動画撮影の終了要求がなければ、ステップS2に戻り、ステップS2以降の処理を繰り返す。一方、ステップS15において、動画撮影の終了要求があると判別された段階で、第1方式の同期部118による第1放射線検出パネル32Aに対する制御が終了する。
【0108】
次に、第2放射線検出パネル32Bに対する制御について図10を参照しながら説明する。
【0109】
先ず、図10のステップS101において、第1システム制御部20Aは、撮影回数のカウンタkに初期値(=1)を格納する。
【0110】
ステップS102において、動画用パラメータ設定部120は、第2放射線画像D2の動画像を得るための読出モードや撮像範囲等が新たに設定されたか否かを判別する。
【0111】
例えばオペレータが新たにパラメータの設定を行った場合は、ステップS103に進み、動画用パラメータ履歴記憶部122に、新たに設定された読出モードや撮影範囲等を最新のパラメータとして記憶する。次いで、ステップS104において、新たに設定された読出モードや撮像範囲等を含む第2動画読出制御情報Sa2を第2放射線検出パネル32Bに出力する。第2放射線検出パネル32Bの第2パネル制御部48Bは、入力された第2動画読出制御情報Sa2を第2アドレス信号発生部110Bに供給する。
【0112】
ステップS102において新たにパラメータが設定されていないと判別された場合、あるいはステップS104での処理が終了した段階で、次のステップS105に進み、第2放射線検出パネル32Bは、同期部118からの露光開始信号Sdの入力を待つ。
【0113】
露光開始信号Sdが入力された段階で、次のステップS106に進み、第2放射線検出パネル32Bは、電荷蓄積(露光)を行う。すなわち、第1放射線検出パネル32A及び被写体36を透過した放射線16が、例えば第2撮像部44Aのシンチレータ58により可視光に一旦変換され、第2撮像部44Aの各画素80において、可視光が光電変換されて、光量に応じた量の電荷が蓄積される。このとき、放射線16は第1放射線検出パネル32Aも透過することになるが、第1放射線検出パネル32A内に収容された第1撮像部44Aは、放射線源12からの放射線16のうち、少なくとも軟線成分を吸収することから、診断に寄与しない軟線成分を被写体36が浴びることが抑制され、被写体36への無効被曝を低減することができる。
【0114】
その後、ステップS107において、同期部118からの露光終了信号Seの入力を待つ。露光終了信号Seが入力された段階で、次のステップS108に進み、第2放射線検出パネル32Bは電荷読出を行う。すなわち、第2アドレス信号発生部110Bは、供給された第2動画読出制御情報Sa2(撮像範囲、読出モード等)に応じたアドレス信号を作成して、第2読出回路78Bにおけるライン走査駆動部90のアドレスデコーダ94及びマルチプレクサ92のアドレスデコーダ106に出力する。第2読出回路78Bは、第2動画読出制御情報Sa2に従って電荷の読み出しを行い、第2画像メモリ112Bを用いて、例えばFIFO方式で動画用の第2放射線画像D2を出力する。第2放射線検出パネル32Bからの第2放射線画像D2は第1システム制御部20Aの動画転送部124に供給される。
【0115】
ステップS109において、動画転送部124は、供給された動画用の第2放射線画像D2をコンソール22に転送する。コンソール22は、転送された第2放射線画像D2をフレームメモリに記憶すると共に、k回目の放射線撮影による放射線画像、すなわち、kフレーム目の放射線画像としてモニタ24に表示する。
【0116】
ステップS110において、カウンタkの値を+1更新する。
【0117】
ステップS111において、第1システム制御部20Aは、動画撮影の終了要求があるか否かを判別する。動画撮影の終了要求がなければ、ステップS102に戻り、ステップS102以降の処理を繰り返す。これにより、モニタ24には設定されたフレームレートでの放射線画像の動画が表示されることになる。一方、ステップS111において、動画撮影の終了要求があると判別された段階で、動画撮影が終了する。
【0118】
図11の例で示すと、第1放射線変換パネル32Aは、例えば動画撮影の開始時点t0から短い周期Ta(例えば0.5〜5msec)で第1放射線画像D1を出力する。例えば第1回目の第1放射線画像D1の出力から第6回目の第1放射線画像D1の出力にかけては、放射線16が第1放射線検出パネル32Aに到達していないため、同期部118からは露光開始信号Sdが出力されない。
【0119】
そして、第7回目の第1放射線画像D1の出力では、放射線16が第1放射線検出パネル32Aに到達しているため、第1放射線画像D1における特定画素群の平均濃淡値Daがしきい値Db以上となり、同期部118から第2放射線検出パネル32Bに対して露光開始信号Sdが出力される。
【0120】
第2放射線検出パネル32Bは、露光開始信号Sdの入力に基づいて、電荷蓄積を行い、続いて入力される露光終了信号Seに基づいて、電荷読出を行って、第2放射線画像D2として出力する。この場合、露光開始信号Sdの入力時点taから露光終了信号Seの入力時点tbまでの期間が露光期間Tbとなり、露光終了信号Seの入力時点tbから第2放射線画像D2が出力されるまでの期間Tcが読出期間Tcとなる。なお、露光期間Tbは、オペレータが入力によって予め設定した一定の期間としてもよい。
【0121】
上述の動作が設定されたフレームレートが示す周期で繰り返され、モニタ24には第2放射線画像D2の動画が表示されることとなる。
【0122】
次に、第2動画撮影処理の動作について図12及び図13を参照しながら説明する。この第2動画撮影処理は、第2方式の同期部118から最初に出力された第2動作開始信号Sf2をトリガとして、第2放射線検出パネル32Bでの電荷蓄積及び電荷読出を、設定されたフレームレートで自動的に動作させる方式である。
【0123】
先ず、図12のステップS201において、第1システム制御部20Aは、撮影回数のカウンタkに初期値(=1)を格納する。
【0124】
ステップS202において、動画用パラメータ設定部120は、読出モードや撮像範囲等が新たに設定されたか否かを判別する。例えばオペレータが新たにパラメータの設定を行った場合は、ステップS203に進み、動画用パラメータ履歴記憶部122に、新たに設定された読出モードや撮影範囲等を最新のパラメータとして記憶する。次いで、ステップS204において、新たに設定された読出モードや撮像範囲等を含む動画読出制御情報を対応する放射線検出パネルに出力する。
【0125】
ステップS202において新たにパラメータが設定されていないと判別された場合、あるいはステップS204での処理が終了した段階で、次のステップS205に進み、第1システム制御部20Aは、第1放射線検出パネル32Aに電荷蓄積及び電荷読出を示す第1動作開始信号Sf1を出力する。
【0126】
ステップS206において、第1放射線検出パネル32Aは、上述した図9のステップS6と同様に、第1システム制御部20Aからの第1動作開始信号Sf1の入力に基づいて、電荷蓄積と電荷読出を行い、動画用の第1放射線画像D1を出力する。
【0127】
ステップS207において、第2方式の同期部118の第2平均濃淡値比較部126Bは、特定画素群の平均濃淡値Daと予め設定したしきい値Dbとを比較し、平均濃淡値Daがしきい値Db未満であれば、ステップS202に戻り、該ステップS202以降の処理を繰り返す。
【0128】
そして、平均濃淡値Daがしきい値Db以上となった段階で、ステップS208に進み、第2平均濃淡値比較部126Bは、第2放射線検出パネル32Bに第2動作開始信号Sf2を出力する。
【0129】
ステップS209において、第1システム制御部20Aは、第1放射線検出パネル32Aでの動作を停止させる。
【0130】
ステップS210において、カウンタkの値が初期値を超えているか否かを判別し、超えていれば、ステップS211に進み、第1システム制御部20Aは、前回の第2動作開始信号Sf2の出力時点から最新のフレームレートFrに相当する時間が経過したか否かを判別する。前回の第2動作開始信号Sf2の出力時点から最新のフレームレートFrに相当する時間が経過した段階で次のステップS212に進み、第1システム制御部20Aは、第2放射線検出パネル32Bに、電荷蓄積及び電荷読出を示す第2動作開始信号Sf2を出力する。
【0131】
前記ステップS210において、カウンタkの値が初期値であると判別された場合、あるいは、前記ステップS212での処理が終了した段階で、次のステップS213に進み、第2放射線検出パネル32Bは、第1システム制御部20Aからの第2動作開始信号Sf2の入力に基づいて、電荷蓄積及び電荷読出を行い、動画用の第2放射線画像D2を出力する。第2放射線検出パネル32Bからの第2放射線画像D2は第1システム制御部20Aの動画転送部124に供給される。
【0132】
ステップS214において、動画転送部124は、供給された動画用の第2放射線画像D2をコンソール22に転送する。コンソール22は、転送された第2放射線画像D2をフレームメモリに記憶すると共に、k回目の放射線撮影による放射線画像、すなわち、kフレーム目の放射線画像としてモニタ24に表示する。
【0133】
ステップS215において、カウンタkの値を+1更新する。
【0134】
ステップS216において、第1システム制御部20Aは、動画撮影の終了要求があるか否かを判別する。動画撮影の終了要求がなければ、ステップS202に戻り、ステップS202以降の処理を繰り返す。これにより、モニタ24には設定されたフレームレートでの放射線画像の動画が表示されることになる。一方、ステップS216において、動画撮影の終了要求があると判別された段階で、動画撮影が終了する。
【0135】
図13の例で示すと、図11の場合と同様に、例えば第8回目の第1放射線画像D1の出力において、放射線16が第1放射線検出パネル32Aに到達しているため、第1放射線画像D1における特定画素群の平均濃淡値Daがしきい値Db以上となり、同期部118から第2放射線検出パネル32Bに対して第2動作開始信号Sf2が出力される。
【0136】
第2放射線検出パネル32Bは、第2動作開始信号Sf2の入力に基づいて、電荷蓄積(露光)及び電荷読出を行って、第2放射線画像D2として出力する。この場合、露光期間Tbはオペレータが入力によって予め設定した一定の期間とすることができる。なお、露光終了時点から第2放射線画像D2が出力されるまでの期間が読出期間Tcとなる。
【0137】
上述の動作が設定されたフレームレートFrが示す周期で繰り返され、モニタ24には第2放射線画像D2の動画が表示されることとなる。
【0138】
このように、同期部118を有する放射線画像撮影システム10においては、第1放射線検出パネル32Aからの第1放射線画像D1に基づいて放射線16の照射開始並びに照射停止を判定することができることから、放射線照射装置14と第1システム制御部20Aとが電気的に接続されていなくても、撮影タイミングの同期をとることが可能となり、コストを大幅に低廉させることができる。しかも、第1放射線検出パネル32Aの第1撮像部44Aにおいて、放射線源12からの放射線16のうち、少なくとも軟線成分が吸収されることから、一定期間に2以上の放射線撮影が行われる動画撮影において、診断に寄与しない軟線成分を被写体36が浴びることが抑制され、被写体36への無効被曝を低減することができる。
【0139】
次に、第2の具体例に係るシステム制御部(以下、第2システム制御部20Bと記す)について図14を参照しながら説明する。
【0140】
この第2システム制御部20Bは、上述した第1システム制御部20Aとほぼ同様の構成を有するが、図14に示すように、さらに、アンプゲイン制御部130を有する点で異なる。
【0141】
アンプゲイン制御部130は、少なくとも第1撮像部44Aからの第1放射線画像D1に基づいて、第2読出回路78Bのアンプゲインを制御する。
【0142】
具体的には、アンプゲイン制御部130は、第1情報テーブル132と、第1平均濃淡値演算部134と、第1差分演算部136と、ゲイン設定情報作成部138とを有する。
【0143】
第1情報テーブル132には、撮影部位ごとの第1放射線画像D1の最適な平均濃淡値(基準平均濃淡値)が登録されている。基準平均濃淡値は、第1放射線画像D1の複数の特定画素(特定画素群)の平均濃淡値であり、予め実験やシミュレーションによって求められる。
【0144】
第1平均濃淡値演算部134は、第1放射線検出パネル32Aからの第1放射線画像D1における特定画素群の平均濃淡値を求める。第1差分演算部136は、第1情報テーブル132から今回の撮影部位に対応する基準平均濃淡値を読み出し、この読み出した基準平均濃淡値と第1平均濃淡値演算部134からの平均濃淡値との差分値を演算する。
【0145】
ゲイン設定情報作成部138は、得られた差分値に基づいてチャージアンプ96のゲインをどれだけ増加又は減少させるかを示すゲイン設定情報Sgを作成する。例えば平均濃淡値−基準平均濃淡値にて求められる差分値が−ΔGであれば、放射線源12からは、現在設定されている照射エネルギーよりもΔGに相当するエネルギーだけ低い照射エネルギーの放射線16が出射されていると推定できるため、第2放射線検出パネル32Bにおけるチャージアンプ96のゲインを差分値ΔGに相当する分だけ増加させるためのゲイン設定情報Sgを作成する。反対に、平均濃淡値−基準平均濃淡値にて求められる差分値が+ΔGであれば、放射線源12からは、現在設定されている照射エネルギーよりもΔGに相当するエネルギーだけ高い照射エネルギーの放射線16が出射されていると推定できるため、第2放射線検出パネル32Bにおけるチャージアンプ96のゲインを差分値ΔGに相当する分だけ減少させるためのゲイン設定情報Sgを作成する。
【0146】
得られたゲイン設定情報Sgは、第2放射線検出パネル32Bの第2パネル制御部48Bに供給される。第2パネル制御部48Bは、供給されたゲイン設定情報Sgに基づいて第2読出回路78Bのチャージアンプ96のゲインを設定する。これにより、被写体36への放射線16の照射エネルギーが、本来、一定の照射エネルギーであるべきところ、各フレームおいて、第1放射線検出パネル32Aでの放射線16の到達検知タイミングにずれが生じたり、例えば放射線源12の温度上昇等によってばらつきが生じても、モニタ24に表示される動画像に濃淡のばらつき等は生じにくくなる。すなわち、被写体36に一定の照射エネルギーで照射された場合と同様の濃淡を有する動画像を得ることができる。しかも、放射線源12からの放射線16の照射エネルギーを制御する必要がなく、チャージアンプ96のゲインを差分値に応じて設定すればよいため、モニタ24に表示される動画像に濃淡のばらつき等を、迅速に、且つ、容易に低減させることができる。
【0147】
次に、第3の具体例に係るシステム制御部(以下、第3システム制御部20Cと記す)について図15〜図23を参照しながら説明する。
【0148】
第3システム制御部20Cは、図15に示すように、上述した第1システム制御部20A及び第2システム制御部20Bと異なり、放射線照射装置14が電気的に接続されている。
【0149】
そして、この第3システム制御部20Cは、上述した動画撮影処理部116と、照射エネルギー制御部140と、静止画撮影処理部142と、エネサブ撮影処理部144とを有する。
【0150】
照射エネルギー制御部140は、動画撮影の際に、少なくとも第1撮像部44Aからの第1放射線画像D1に基づいて、放射線源12から出射される放射線16の照射エネルギーを制御する。
【0151】
具体的には、照射エネルギー制御部140は、第2情報テーブル146と、第2平均濃淡値演算部148と、第2差分演算部150とを有する。第2情報テーブル146には、使用される複数の照射エネルギーにそれぞれ対応した平均濃淡値が登録されている。平均濃淡値は、第1放射線画像D1の複数の特定画素(特定画素群)の平均濃淡値であり、予め実験やシミュレーションによって求められる。第2平均濃淡値演算部148は、第1放射線検出パネル32Aからの第1放射線画像D1における特定画素群の平均濃淡値を求める。第2差分演算部150は、第2情報テーブル146から現在設定されている動画撮影の照射エネルギーに対応した平均濃淡値を読み出し、この読み出した平均濃淡値と平均濃淡値演算部からの平均濃淡値との差分値を演算する。この差分値Shは、放射線照射装置14の線源制御部28に供給される(図2参照)。
【0152】
線源制御部28は、第3システム制御部20C(照射エネルギー制御部140)からの差分値Shに基づいて、照射エネルギーを補正する。動画撮影では、短い時間間隔で放射線を出射することから、放射線源12の温度上昇等によって、放射線源12から設定された一定の照射エネルギーで放射線16が出射されるとは限らない。例えば差分値Shが+ΔEであれば、放射線源12からは、現在設定されている照射エネルギーよりもΔEだけ高い照射エネルギーの放射線16が出射されていることになる。そこで、線源制御部28は、現在設定されている照射エネルギーからΔEだけ低減した照射エネルギーに設定し直して放射線源12を制御する。反対に、差分値Shが−ΔEであれば、放射線源12からは、現在設定されている照射エネルギーよりもΔEだけ高い照射エネルギーの放射線16が出射されていることから、線源制御部28は、現在設定されている照射エネルギーにΔEだけ増加させた照射エネルギーに設定し直して放射線源12を制御する。これにより、被写体36にはほぼ一定の照射エネルギーで放射線16が照射されることになり、モニタ24に表示される動画像に濃淡のばらつき等は生じにくくなる。
【0153】
第3システム制御部20Cの動画撮影処理部116での動作は、第3システム制御部20Cと放射線照射装置14とが電気的に接続されていることから、第1システム制御部20Aや第2システム制御部20Bの動画撮影処理部116とは異なった動作となる。すなわち、第3システム制御部20Cからの指示に従って放射線照射装置14と放射線検出装置18とを同期させて動画撮影を行う。
【0154】
ここで、第3システム制御部20Cでの動画撮影処理について図16及び図17を参照しながら説明する。
【0155】
先ず、図16のステップS301において、第3システム制御部20Cは、撮影回数のカウンタkに初期値(=1)を格納する。
【0156】
ステップS302において、動画用パラメータ設定部120は、新たにパラメータ(放射線16の照射エネルギー、読出モード、撮影範囲等)の設定があるか否かを判別する。例えばオペレータが新たにパラメータの設定を行った場合は、ステップS303に進み、動画用パラメータ履歴記憶部122に新たに設定された照射エネルギー等を最新のパラメータとして記憶する。
【0157】
ステップS304において、最新の照射エネルギーの情報(管電圧、管電流、照射時間等の情報)を含む第1照射エネルギー設定情報Aaを放射線照射装置14に出力する。放射線照射装置14の線源制御部28は、動画撮影処理部116からの第1照射エネルギー設定情報Aaに基づいて、放射線源12から出力される放射線16の照射エネルギーを新たな照射エネルギーに設定する。次いで、ステップS305において、新たに設定された読出モードや撮像範囲等を含む動画読出制御情報を、対応する放射線検出パネルに出力する。
【0158】
ステップS306において、第3システム制御部20Cは、前回の放射線撮影の開始時点から最新のフレームレートFrに相当する時間が経過したか否かを判別する。カウンタkの値が初期値である場合あるいは前回の放射線撮影の開始時点から最新のフレームレートFrに相当する時間が経過した段階で次のステップS307に進み、第3システム制御部20Cは、k回目の放射線撮影の開始時点にて、放射線照射装置14に曝射開始信号Siを出力する。放射線照射装置14の線源制御部28は、第3システム制御部20Cからの曝射開始信号Siの入力に基づいて放射線源12を制御して、該放射線源12から設定されている照射エネルギーの放射線16を照射させる。
【0159】
ステップS308において、第3システム制御部20Cは、第1放射線検出パネル32A及び第2放射線検出パネル32Bに、電荷蓄積及び電荷読出を示す第1動作開始信号Sf1及び第2動作開始信号Sf2をそれぞれ出力する。
【0160】
ステップS309において、第1放射線検出パネル32A及び第2放射線検出パネル32Bは、第3システム制御部20Cからの第1動作開始信号Sf1及び第2動作開始信号Sf2の入力に基づいて、それぞれ電荷蓄積及び電荷読出を行い、動画用の第1放射線画像D1及び第2放射線画像D2を出力する。第1放射線検出パネル32Aからの第1放射線画像D1は、照射エネルギー制御部140に供給され、第2放射線検出パネル32Bからの第2放射線画像D2は動画撮影処理部116の動画転送部124に供給される。
【0161】
ステップS310において、照射エネルギー制御部140は、供給された第1放射線画像D1に基づいて、上述した差分値Shを演算して、放射線照射装置14に供給する。ステップS311において、放射線照射装置14の線源制御部28は、供給された差分値Shに基づいて放射線16の照射エネルギーを補正する。
【0162】
ステップS312において、動画転送部124は、供給された動画用の第2放射線画像D2をコンソール22に転送する。コンソール22は、転送された第2放射線画像D2をフレームメモリに記憶すると共に、k回目の放射線撮影による放射線画像、すなわち、kフレーム目の放射線画像としてモニタ24に表示する。
【0163】
ステップS313において、カウンタkの値を+1更新する。
【0164】
ステップS314において、第3システム制御部20Cは、動画撮影(例えば静止画撮影要求やエネサブ動画撮影要求等)の終了要求があるか否かを判別する。動画撮影の終了要求がなければ、ステップS302に戻り、ステップS302以降の処理を繰り返す。これにより、モニタ24には設定されたフレームレートでの放射線画像の動画が表示されることになる。一方、ステップS314において、動画撮影の終了要求があると判別された段階で、動画撮影が終了する。
【0165】
図17の例で示すと、N−1回目(N=1、2、・・・)の放射線撮影の開始時点tn−1において、第3システム制御部20Cは、放射線照射装置14に曝射開始信号Siを出力し、第1放射線検出パネル32A及び第2放射線検出パネル32Bに第1動作開始信号Sf1及び第2動作開始信号Sf2を出力することで、第3システム制御部20Cに、N−1回目の放射線撮影による2つの放射線画像、すなわち、第1放射線画像D1と第2放射線画像D2が供給される。第3システム制御部20Cの照射エネルギー制御部140は、供給された第1放射線画像D1に基づいて、上述した差分値Shを演算して、放射線照射装置14に供給する。放射線照射装置14の線源制御部28は、供給された差分値Shに基づいて放射線16の照射エネルギーを補正する。また、第3システム制御部20Cは、供給された第2放射線画像D2をコンソール22に転送し、N−1フレーム目の放射線画像としてモニタ24に表示させる。
【0166】
同様に、上述の開始時点tn−1から最新のフレームレートFrが経過したN回目の放射線撮影の開始時点tnにおいて、第3システム制御部20Cは、放射線照射装置14に曝射開始信号Siを出力し、第1放射線検出パネル32A及び第2放射線検出パネル32Bにそれぞれ第1動作開始信号Sf1及び第2動作開始信号Sf2を出力することで、第3システム制御部20CにN回目の放射線撮影による第1放射線画像D1及び第2放射線画像D2が供給される。第3システム制御部20Cは、放射線16の照射エネルギーを補正するための差分値Shを放射線照射装置14に供給する。また、第3システム制御部20Cは、供給された第2放射線画像D2をコンソール22に転送し、Nフレーム目の放射線画像としてモニタ24に表示させる。これらの動作が繰り返されることで、放射線16の照射エネルギーが一定となるように補正されながら、順次放射線撮影が行われ、モニタ24には放射線画像の動画が表示されることになる。
【0167】
ところで、本実施の形態に係る放射線検出装置18は、上述した動画撮影のほか、静止画撮影及びエネサブ撮影も行えるようになっている。
【0168】
先ず、静止画撮影は、図18に示すように、被写体36の背面側に第2放射線検出パネル32Bを設置し、第1放射線検出パネル32Aを被写体36の前面に設置しない状態で行われる。もちろん、被写体36の背面側に第1放射線検出パネル32Aを設置し、第2放射線検出パネル32Bを被写体36の前面に設置しない状態で行うようにしてもよい。この静止画撮影は、主に静止画撮影処理部142(図15参照)によって実行される。すなわち、静止画撮影処理部142は、例えばオペレータによる静止画撮影要求の操作入力や他の機器からの静止画撮影要求の入力に基づいて、照射エネルギーを例えば撮影部位に応じた静止画撮影用に設定(動画用よりも高いエネルギー)して、静止画像を得るための放射線撮影を実行するように制御する。
【0169】
具体的には、静止画撮影処理部142は、図15に示すように、静止画用パラメータ設定部152と静止画用パラメータ履歴記憶部154と、静止画転送部156とを有する。静止画用パラメータ履歴記憶部154は、上述した動画用パラメータ履歴記憶部122と同様の構成を有する。
【0170】
静止画用パラメータ設定部152は、上述した動画用パラメータ設定部120と同様に、静止画撮影の際に、オペレータからの操作入力等によって新たにパラメータ(放射線16の照射エネルギー、読出モード、撮影範囲等)の設定があった場合に、静止画用パラメータ履歴記憶部154に新たに設定された照射エネルギー、撮影範囲等を最新のパラメータとして記憶する。特に、照射エネルギーが新たに設定された場合は、新たに設定された照射エネルギーの情報(管電圧、管電流、照射時間等の情報)を含む第2照射エネルギー設定情報Abを放射線照射装置14に出力し、読出モードや撮像範囲等が新たに設定された場合は、新たに設定された読出モードや撮像範囲等を含む静止画読出制御情報Sbを放射線検出装置18の第2放射線検出パネル32Bに出力する。
【0171】
静止画転送部156は、放射線検出装置18(第2放射線検出パネル32Bの第2撮像部44B及び第2読出回路78B)から供給される第2放射線画像D2を受け取って、コンソール22に転送する。コンソール22は、転送された第2放射線画像D2をモニタ24に表示する。これにより、モニタ24には、放射線画像の静止画が表示されることになる。
【0172】
ここで、静止画撮影について図19及び図20を参照しながら説明する。先ず、図19のステップS401において、静止画用パラメータ設定部152は、新たにパラメータ(放射線16の照射エネルギー、読出モード、撮影範囲等)の設定があるか否かを判別する。例えばオペレータが新たにパラメータの設定を行った場合は、ステップS402に進み、静止画用パラメータ履歴記憶部154に新たに設定された照射エネルギー等を最新のパラメータとして記憶する。
【0173】
ステップS403において、最新の照射エネルギーの情報(管電圧、管電流、照射時間等の情報)を含む第2照射エネルギー設定情報Abを放射線照射装置14に出力する。放射線照射装置14の線源制御部28は、静止画撮影処理部142からの第2照射エネルギー設定情報Abに基づいて、放射線源12から出力される放射線16の照射エネルギーを新たな照射エネルギーに設定する。
【0174】
ステップS404において、最新の読出モードや撮影範囲を含む静止画読出制御情報Sbを放射線検出装置18の第2放射線検出パネル32Bに出力する。第2放射線検出パネル32Bの第2パネル制御部48Bは、入力された静止画読出制御情報Sbを第2アドレス信号発生部110Bに供給する。
【0175】
ステップS401において新たにパラメータが設定されていないと判別された場合、あるいはステップS404での処理が終了した段階で、次のステップS405に進み、静止画撮影処理部142は、曝射スイッチが操作されたか否かが判別される。曝射スイッチが操作された時点で、ステップS406に進み、第3システム制御部20Cは、放射線照射装置14に曝射開始信号Siを出力する。放射線照射装置14の線源制御部28は、第3システム制御部20Cからの曝射開始信号Siの入力に基づいて放射線源12を制御して、該放射線源12から設定されている照射エネルギーの放射線16を照射させる。
【0176】
ステップS407において、静止画撮影処理部142は、放射線検出装置18の第2放射線検出パネル32Bに、電荷蓄積及び電荷読出を示す第2動作開始信号Sf2を出力する。
【0177】
ステップS408において、第2放射線検出パネル32Bは、静止画撮影処理部142からの第2動作開始信号Sf2の入力に基づいて、電荷蓄積と電荷読出を行い、静止画用の第2放射線画像D2を第3システム制御部20Cに出力する。
【0178】
ステップS409において、静止画撮影処理部142の静止画転送部156は、供給された静止画用の第2放射線画像D2をコンソール22に転送する。コンソール22は、転送された第2放射線画像D2をフレームメモリに記憶すると共に、静止画像としてモニタ24に表示する。
【0179】
ステップS410において、第3システム制御部20Cは、静止画撮影の終了要求(例えば動画撮影要求やエネサブ動画撮影要求等)があるか否かを判別する。静止画撮影の終了要求がなければ、ステップS401に戻り、ステップS401以降の処理を繰り返す。一方、ステップS410において、静止画撮影の終了要求があると判別された段階で、静止画撮影が終了する。
【0180】
図20の例で示すと、放射線撮影の開始時点t0において、第3システム制御部20Cは、放射線照射装置14に曝射開始信号Siを出力し、放射線検出装置18の第2放射線検出パネル32Bに動作開始信号Sf2を出力することで、第3システム制御部20Cに、静止画撮影による第2放射線画像D2が供給される。第3システム制御部20Cは、供給された第2放射線画像D2をコンソール22に転送し、静止画像としてモニタ24に表示させる。
【0181】
次に、エネサブ撮影は、図21に示すように、被写体36の背面側に第2放射線検出パネル32Bを設置し、被写体36の背面と第2放射線検出パネル32Bとの間に第1放射線検出パネル32Aを設置し、さらに、第1放射線検出パネル32Aと第2放射線検出パネル32Bとの間にエネルギー低減フィルタ158(例えば銅板、アルミニウム板等)を設置した状態で行われる。このエネサブ撮影は、主にエネサブ撮影処理部144(図15参照)によって実行される。すなわち、エネサブ撮影処理部144は、例えばオペレータによるエネサブ撮影要求の操作入力や他の機器からのエネサブ撮影要求の入力に基づいて、照射エネルギーを例えば撮影部位に応じたサブストラクション撮影用に設定(動画用よりも高いエネルギー)して、エネサブ画像を得るための放射線撮影を実行するように制御する。
【0182】
具体的には、エネサブ撮影処理部144は、エネサブ用パラメータ設定部160と、エネサブ用パラメータ履歴記憶部162と、エネサブ画像作成部164と、エネサブ画像転送部166とを有する。エネサブ用パラメータ履歴記憶部162は、上述した動画用パラメータ履歴記憶部122と同様の構成を有する。
【0183】
エネサブ用パラメータ設定部160は、上述した動画用パラメータ設定部120と同様に、エネサブ撮影の際に、オペレータからの操作入力等によって新たにパラメータ(放射線16の照射エネルギー、読出モード、撮影範囲等)の設定があった場合に、エネサブ用パラメータ履歴記憶部162に新たに設定された照射エネルギー、フレームレート、読出モード、撮影範囲等を最新のパラメータとして記憶する。
【0184】
例えば照射エネルギーが新たに設定された場合は、新たに設定された照射エネルギーの情報(管電圧、管電流、照射時間等の情報)を含む第3照射エネルギー設定情報Acを放射線照射装置14に出力する。
【0185】
低エネルギー成分の放射線による第1放射線画像D1を得るための読出モードや撮像範囲等が新たに設定された場合は、新たに設定された読出モード情報や撮像範囲情報等を含む第1エネサブ読出制御情報Sc1を第1放射線検出パネル32Aに出力する。同様に、高エネルギー成分の放射線による第2放射線画像D2を得るため読出モードや撮像範囲等が新たに設定された場合は、新たに設定された読出モード情報や撮像範囲情報等を含む第2エネサブ読出制御情報Sc2を第2放射線検出パネル32Bに出力する。
【0186】
一方、エネサブ画像作成部164は、第1放射線検出パネル32Aから出力される第1放射線画像D1と、第2放射線検出パネル32Bから出力される第2放射線画像D2との加重減算処理を行ってエネサブ動画撮影の放射線画像(エネサブ画像Ds)を作成する。
【0187】
エネサブ画像転送部166は、作成されたエネサブ画像Dsをコンソール22に転送する。コンソール22は、転送されたエネサブ画像Dsをモニタ24に表示する。
【0188】
ここで、エネサブ撮影について図22及び図23を参照しながら説明する。
【0189】
先ず、図22のステップS501において、エネサブ用パラメータ設定部160は、新たにパラメータ(放射線16の照射エネルギー、読出モード、撮影範囲等)の設定があるか否かを判別する。例えばオペレータが新たにパラメータの設定を行った場合は、ステップS502に進み、エネサブ用パラメータ履歴記憶部162に新たに設定された照射エネルギー、読出モードや撮影範囲等を最新のパラメータとして記憶する。
【0190】
ステップS503において、最新の照射エネルギーの情報(管電圧、管電流、照射時間等の情報)を含む第3照射エネルギー設定情報Acを放射線照射装置14に出力する。放射線照射装置14の線源制御部28は、エネサブ撮影処理部144からの第3照射エネルギー設定情報Acに基づいて、放射線源12から出力される照射エネルギーを新たな照射エネルギーに設定する。次いで、ステップS504において、新たに設定された読出モードや撮像範囲等を含むエネサブ読出制御情報を、対応する放射線検出パネルに出力する。
【0191】
ステップS501において新たにパラメータが設定されていないと判別された場合、あるいはステップS504での処理が終了した段階で、次のステップS505に進み、エネサブ撮影処理部144は、曝射スイッチが操作されたか否かが判別される。曝射スイッチが操作された時点で、ステップS506に進み、第3システム制御部20Cは、放射線照射装置14に曝射開始信号Siを出力する。放射線照射装置14の線源制御部28は、第3システム制御部20Cからの曝射開始信号Siの入力に基づいて放射線源12を制御して、該放射線源12から設定されている照射エネルギーの放射線16を照射させる。
【0192】
ステップS507において、エネサブ撮影処理部144は、放射線検出装置18の第1放射線検出パネル32Aに第1動作開始信号Sf1を出力し、第2放射線検出パネル32Bに第2動作開始信号Sf2を出力する。
【0193】
ステップS508において、第1放射線検出パネル32A及び第2放射線検出パネル32Bは、第3システム制御部20Cからの第1動作開始信号Sf1及び第2動作開始信号Sf2の入力に基づいて、電荷蓄積と電荷読出を行う。すなわち、被写体36を透過した放射線16のうち、低エネルギー成分の放射線16が第1放射線検出パネル32Aにおける第1撮像部44Aのシンチレータ58により可視光に一旦変換され、第1撮像部44Aの各画素80において、可視光が光電変換されて、光量に応じた量の電荷が蓄積される。同様に、高エネルギー成分の放射線16が第2放射線検出パネル32Bにおける第2撮像部44Bのシンチレータ58により可視光に一旦変換され、第2撮像部44Bの各画素80において、可視光が光電変換されて、光量に応じた量の電荷が蓄積される。
【0194】
続く読出期間において、第1アドレス信号発生部110Aは、供給された第1エネサブ読出制御情報Sc1(撮像範囲、読出モード等)に応じたアドレス信号を作成して、第1読出回路78Aにおけるライン走査駆動部90のアドレスデコーダ94及びマルチプレクサ92のアドレスデコーダ106に出力する。同様に、第2アドレス信号発生部110Bは、供給された第2エネサブ読出制御情報Sc2(撮像範囲、読出モード等)に応じたアドレス信号を作成して、第2読出回路78Bにおけるライン走査駆動部90のアドレスデコーダ94及びマルチプレクサ92のアドレスデコーダ106に出力する。
【0195】
第1読出回路78Aは、第1エネサブ読出制御情報Sc1に従って電荷の読み出しを行い、第1画像メモリ112Aを用いて、例えばFIFO方式で低エネルギーによる第1放射線画像D1を出力する。同じく、第2読出回路78Bは、第2エネサブ読出制御情報Sc2に従って電荷の読み出しを行い、第2画像メモリ112Bを用いて、例えばFIFO方式で高エネルギーによる第2放射線画像D2を出力する。これら第1放射線画像D1及び第2放射線画像D2は第3システム制御部20Cに供給される。
【0196】
ステップS509において、エネサブ画像作成部164は、第1放射線検出パネル32Aから供給される低エネルギーによる第1放射線画像D1と第2放射線検出パネル32Bから供給される高エネルギーによる第2放射線画像D2との加重減算処理を行ってエネサブ画像Dsを作成する。
【0197】
ステップS510において、エネサブ画像転送部166は、作成されたエネサブ画像Dsをコンソール22に転送する。コンソール22は、転送されたエネサブ画像Dsを、フレームメモリに記憶すると共に、モニタ24に表示する。
【0198】
図23の例で示すと、放射線撮影の開始時点t0において、第3システム制御部20Cは、放射線照射装置14に曝射開始信号Siを出力し、第1放射線検出パネル32A及び第2放射線検出パネル32Bにそれぞれ動作開始信号(Sf1、Sf2)を出力することで、第3システム制御部20Cに、低エネルギーによる第1放射線画像D1と高エネルギーによる第2放射線画像D2が供給される。第3システム制御部20Cは、供給された第1放射線画像D1と第2放射線画像D2との加重減算処理を行ってエネサブ画像Dsを作成する。そして、作成したエネサブ画像Dsをコンソール22に転送し、モニタ24に表示させる。
【0199】
このように、照射エネルギー制御部140を有する放射線画像撮影システム10においては、一定期間に2以上の放射線撮影(動画撮影)が行われて、例えば放射線源12の温度上昇等によって照射エネルギーにばらつきが生じても、第1放射線画像D1に基づいて照射エネルギーを一定に補正することが可能となり、モニタ24に表示される動画像に濃淡のばらつき等は生じにくくなる。すなわち、被写体36に一定の照射エネルギーで照射された場合と同様の濃淡を有する動画像を得ることができる。しかも、第1放射線検出パネル32Aの第1撮像部44Aにおいて、放射線源12からの放射線16のうち、少なくとも軟線成分が吸収されることから、一定期間に2以上の放射線撮影が行われる動画撮影において、診断に寄与しない軟線成分を被写体が浴びることが抑制され、被写体36への無効被曝を低減することができる。
【0200】
また、この第3システム制御部20Cを有する放射線画像撮影システム10においては、第1放射線検出パネル32A及び第2放射線検出パネル32Bを用いた動画撮影のほか、第2放射線検出パネル32B(又は第1放射線検出パネル32A)を用いた静止画撮影、並びに第1放射線検出パネル32A及び第2放射線検出パネル32Bを用いたエネサブ撮影も行うことができ、汎用性のある放射線画像撮影システムを提供することができる。
【0201】
次に、第4の具体例に係るシステム制御部(以下、第4システム制御部20Dと記す)について図24を参照しながら説明する。
【0202】
第4システム制御部20Dは、上述した第3システム制御部20Cとほぼ同様の構成を有するが、さらに、照射野制御部168を有する点で異なる。なお、図24において、動画撮影処理部116、静止画撮影処理部142及びエネサブ撮影処理部144の詳細は省略する。
【0203】
照射野制御部168は、少なくとも第1撮像部44Aからの第1放射線画像D1に基づいて、放射線源12から出射される放射線16の照射範囲(照射位置を含む)を制御する。
【0204】
具体的には、この照射野制御部168は、照射位置特定部170と、照射方向補正部172と、コリメータ制御部174とを有する。
【0205】
照射位置特定部170は、第1放射線画像D1の濃淡値の境界に基づいて、放射線の照射範囲を特定し、そのアドレス情報をレジスタ176に格納し、さらに、該照射範囲の中心位置(アドレス情報)を特定する。
【0206】
照射方向補正部172は、動画用パラメータ履歴記憶部122(図15参照)から最新の撮影範囲を読み出す。そして、最新の撮影範囲のアドレス情報から撮影範囲の中心位置を特定し、この撮影範囲の中心位置と、上述した照射範囲の中心位置とに基づいて、撮影範囲の中心位置と照射範囲の中心位置とをほぼ一致させるための制御信号、すなわち、放射線源12のパン角度及びチルト角度を補正するための照射位置制御信号Skを放射線照射装置14に出力する。
【0207】
コリメータ制御部174は、被写体36への曝射負担を低減すること等を目的として、オペレータからの操作入力(コリメータ駆動を示す操作入力)があった場合に起動され、レジスタ176に格納されている照射範囲のアドレス情報と設定された撮影範囲のアドレス情報とに基づいて、照射範囲と撮影範囲とをほぼ一致させるための制御信号、すなわち、自動コリメータ部30(図2参照)の絞り量を補正するための照射範囲制御信号Smを放射線照射装置14に出力する。
【0208】
これにより、第1放射線画像D1に基づいて、被写体36の撮影範囲の中心位置と放射線16の照射範囲の中心位置をほぼ一致することができ、しかも、適宜、放射線16の照射範囲を撮影範囲に絞ることができるため、確実に撮影範囲の動画を得ることができると共に、被写体36への曝射負担を効果的に低減させることができる。
【0209】
次に、第5の具体例に係るシステム制御部(以下、第5システム制御部20Eと記す)について図25を参照しながら説明する。
【0210】
第5システム制御部20Eは、上述した第4システム制御部20Dとほぼ同様の構成を有するが、照射エネルギー制御部140に代えて、上述したアンプゲイン制御部130を有する点で異なる。
【0211】
これにより、一定期間に2以上の放射線撮影(動画撮影)が行われて、例えば放射線源12の温度上昇等によって照射エネルギーにばらつきが生じても、放射線源12からの放射線16の照射エネルギーを直接制御することなく、モニタ24に表示される動画像に濃淡のばらつき等を低減することができ、被写体36に一定の照射エネルギーで照射された場合と同様の濃淡を有する動画像を得ることができる。
【0212】
ところで、上述した第1放射線変換パネル32A及び第2放射線検出パネル32Bのうち、いずれか一方、あるいは両方とも、可撓性を有するようにしてもよい。
【0213】
例えば可撓性を有する第1放射線検出パネル32Aは、TFT84及び画素80を低温成膜により形成可能とするために、シンチレータ58が放射した可視光領域の蛍光(可視光)を電気信号に変換する有機光電変換材料(OPC)、又は、シンチレータ58が放射した紫色領域から紫外域までの波長域に発光ピーク波長を有する蛍光(例えば、紫外光)を電気信号に変換するアモルファス酸化物半導体(例えば、IGZO(InGaZnOx))等から画素80を構成し、一方で、有機半導体材料(例えば、フタロシアニン化合物、ペンタセン又はバナジルフタロシアニン)、アモルファス酸化物半導体(例えば、a−IGZO(InGaZnO))、又は、カーボンナノチューブからTFT84を構成すればよい。このようにすれば、ポリイミドフイルム、ポリアリレートフイルム、二軸延伸ポリスチレンフイルム、アラミドフイルム又はバイオナノファイバのような、少なくともリセット光に対して透過性を有し、且つ、可撓性を有するプラスチックフイルムを、センサ基板の基体60として採用することが可能である。
【0214】
ここで、基体60として採用され得るプラスチックフイルムについてさらに具体的に説明すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の可撓性基板を基体60として採用することが好ましい。このようなプラスチック製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることができ、例えば、放射線検出装置18の持ち運び等に有利となる。
【0215】
なお、基体60には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
【0216】
また、アラミドフイルムを用いて基体60を構成する場合、アラミドは、200℃以上の高温プロセスが適用可能であるため、透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化することができ、ハンダのリフロー工程を含むドライバICの自動実装にも対応することができる。また、アラミドは、ITO(Indium Tin Oxide)やガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。さらに、アラミドは、ガラス基板等と比べて基体60を薄く形成することができる。
【0217】
また、バイオナノファイバは、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂とを複合したものである。この場合、セルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと可視光の波長に対して1/10のサイズであり、且つ、高強度、高弾性、低熱膨である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることにより、繊維を60%〜70%も含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。また、バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3ppm−7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)、高弾性(30GPa)で、且つ、フレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて基体60を薄く形成することができる。
【0218】
そして、図26に示す第1の変形例に係る放射線検出装置(以下、第1放射線検出装置18aと記す)のように、可撓性を有する第1放射線検出パネル32Aを用いた場合は、被写体36の背面に剛性を有する第2放射線検出パネル32Bを設置し、被写体36の前面に可撓性を有する第1放射線検出パネル32Aを設置する。この場合、第1放射線検出パネル32Aの端部に第1パネル制御部48A等の電子回路が収容された第1ボックス178aが接続される。
【0219】
この第1放射線検出装置18aによれば、第1放射線検出パネル32Aを被写体36の前面の形状に沿わせて設置することができ、被写体36への放射線16の照射範囲をより正確に検出することが可能となる。これにより、例えば照射野制御部168による放射線源12のパン角度及びチルト角度の補正精度、自動コリメータ部30の絞り量の補正精度を高めることができる。また、第1放射線検出パネル32Aの軽量化を図ることができるため、第1放射線検出パネル32Aを被写体36に載置する、又は被写体36あるいはオペレータが手で持ったりする場合に、被写体36やオペレータへの負担を軽減させることができる。また、剛性のある第1放射線検出パネル32Aと異なり、被写体36の前面を包むように第1放射線検出パネル32Aが設置されるため、体に接触する部分での機械的な冷たさが軽減され、被写体36の放射線撮影に対する緊張感を和らげることができる。
【0220】
図27に示す第2の変形例に係る放射線検出装置(以下、第2放射線検出装置18bと記す)のように、可撓性を有する第2放射線検出パネル32Bを用いた場合は、被写体36の背面に可撓性を有する第2放射線検出パネル32Bを設置し、被写体36の前面に剛性を有する第1放射線検出パネル32Aを設置する。この場合、第2放射線検出パネル32Bの端部に第2パネル制御部48B等の電子回路が収容された第2ボックス178bが接続される。
【0221】
この第2放射線検出装置18bによれば、第2放射線検出パネル32Bを被写体36の背面の形状に沿わせて設置することができるため、被写体36の等倍撮影(動画撮影、静止画撮影)が可能となる。
【0222】
図28に示す第3の変形例に係る放射線検出装置(以下、第3放射線検出装置18cと記す)のように、可撓性を有する第1放射線検出パネル32A及び第2放射線検出パネル32Bを用いた場合は、被写体36の背面に可撓性を有する第2放射線検出パネル32Bを設置し、被写体36の前面に可撓性を有する第1放射線検出パネル32Aを設置する。この場合、上述した第1放射線検出装置18aによる効果と第2放射線検出装置18bによる効果を奏することができる。
【0223】
図29に示す第4の変形例に係る放射線検出装置(以下、第4放射線検出装置18dと記す)のように、1つの可撓性のある長尺の基体60の一部に、第1放射線検出パネル32Aの構成部材を設けて第1放射線検出パネル領域180Aとし、他の一部に第2放射線検出パネル32Bの構成部材を設けて第2放射線検出パネル領域180Bとして、第1放射線検出パネル32Aと第2放射線検出パネル32Bとを一体化させてもよい。そして、被写体36の背面に可撓性を有する第2放射線検出パネル領域180Bを位置させ、被写体36の前面に可撓性を有する第1放射線検出パネル領域180Aをさせる。この場合、第1放射線検出パネル領域180Aの端部又は第2放射線検出パネル領域180Bの端部に、第1パネル制御部48A及び第2パネル制御部48B等の電子回路が収容されたボックス178が接続される。図29の例では、第1放射線検出パネル領域180の端部にボックス178を接続した例を示す。もちろん、第2放射線検出パネル領域180Bの端部にボックス178を接続してもよいし、あるいは第1放射線検出パネル領域180Aの端部に第1ボックス178a(第1パネル制御部48A等が収容)を接続し、第2放射線検出パネル領域180Bの端部に第2ボックス178b(第2パネル制御部48B等が収容)を接続してもよい。
【0224】
この第4放射線検出装置18dによれば、上述した第1放射線検出装置18aによる効果と第2放射線検出装置18bによる効果を奏することができる。また、第1放射線検出パネル領域180Aと第2放射線検出パネル領域180Bとが1つの可撓性を有する長尺の基体60に設けられた形態となっているため、全体を丸めることで、第4放射線検出装置18d自体を狭い空間に収容することが可能となるため、使い勝手が良好となる。
【0225】
なお、本発明に係る放射線検出装置及び放射線画像撮影システムは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0226】
10…放射線画像撮影システム 12…放射線源
14…放射線照射装置 16…放射線
18…放射線検出装置 20…システム制御部
22…コンソール 24…モニタ
26…入力装置 28…線源制御部
30…自動コリメータ部 32A…第1放射線検出パネル
32B…第2放射線検出パネル 36…被写体
44A…第1撮像部 44B…第2撮像部
48A…第1パネル制御部 48B…第2パネル制御部
78A…第1読出回路 78B…第2読出回路
80…画素 96…チャージアンプ
116…動画撮影処理部 118…同期部
130…アンプゲイン制御部 140…照射エネルギー制御部
142…静止画撮影処理部 144…エネサブ撮影処理部
158…エネルギー低減フィルタ 168…照射野制御部
180A…第1放射線検出パネル領域 180B…第2放射線検出パネル領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源からの放射線のうち、少なくとも軟線成分の一部を吸収すると共に、少なくとも前記放射線を検出する第1撮像部と、
少なくとも被写体を透過した前記放射線源からの前記放射線を放射線画像に変換して出力する第2撮像部とを有することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の放射線検出装置において、
前記第2撮像部は、前記第1撮像部より前記放射線の硬線成分にも感度を有することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項3】
請求項2記載の放射線検出装置において、
前記第1撮像部は、前記硬線成分よりも前記軟線成分をよりよく吸収し、
前記第2撮像部は、前記第1撮像部より前記放射線の硬線成分をよりよく吸収することを特徴とする放射線検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線検出装置において、
前記第1撮像部は、前記被写体の少なくとも動画用撮影の際に、前記被写体と放射線源との間に設置されることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線検出装置において、
前記第1撮像部は、前記被写体の少なくとも静止画用撮影の際に、前記被写体と前記第2撮像部との間に設置されることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線検出装置において、
前記第1撮像部は、前記被写体の少なくとも静止画用撮影の際に使用されないことを特徴とする放射線検出装置。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線検出装置において、
前記第1撮像部は、前記被写体の少なくともエネルギーサブトラクション撮影の際に、前記被写体と前記第2撮像部との間に設置されることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項8】
請求項7記載の放射線検出装置において、
前記第1撮像部と前記第2撮像部との間にエネルギー低減フィルタが設置されることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の放射線検出装置において、
前記第1撮像部は、剛性のある第1基板に形成され、
前記第2撮像部は、剛性のある第2基板に形成されていることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の放射線検出装置において、
前記第1撮像部は、フレキシブル基板に形成され、
前記第2撮像部は、剛性のある基板に形成されていることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の放射線検出装置において、
前記第1撮像部は、剛性のある基板に形成され、
前記第2撮像部は、フレキシブル基板に形成されていることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の放射線検出装置において、
前記第1撮像部は、第1フレキシブル基板に形成され、
前記第2撮像部は、第2フレキシブル基板に形成されていることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の放射線検出装置において、
1つのフレキシブル基板を有し、
前記第1撮像部は、前記フレキシブル基板の一部に形成され、
前記第2撮像部は、前記フレキシブル基板の他の一部に形成されていることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項14】
放射線源と、
放射線検出装置と、
少なくとも前記放射線検出装置を制御する制御装置とを有する放射線画像撮影システムにおいて、
前記放射線検出装置は、
前記放射線源からの放射線のうち、少なくとも軟線成分の一部を吸収すると共に、少なくとも前記放射線を検出する第1撮像部と、
前記第1撮像部及び被写体を透過した前記放射線源からの前記放射線を放射線画像に変換して出力する第2撮像部とを有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項15】
請求項14記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記制御装置は、
前記第1撮像部での放射線の検出に基づいて、前記第2撮像部での電荷蓄積期間の開始タイミングを設定する同期部を有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項16】
請求項14記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記第1撮像部は、
前記制御装置は、前記放射線源と前記放射線検出装置とを制御し、
少なくとも前記第1撮像部からの検出信号に基づいて、前記放射線源の照射エネルギーを制御することを特徴とする照射エネルギー制御部を有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項17】
請求項14記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記制御装置は、前記放射線源と前記放射線検出装置とを制御し、
少なくとも前記第1撮像部からの検出信号に基づいて、前記放射線源から出射される放射線の照射範囲を制御することを特徴とする照射野制御部を有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項18】
請求項14記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記制御装置は、
少なくとも前記第1撮像部からの検出信号に基づいて、前記第2撮像部でのアンプゲインを制御するアンプゲイン制御部を有することを特徴とする放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2013−96759(P2013−96759A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237975(P2011−237975)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】