説明

放射線標識した化合物の精製方法

本発明の一局面は、放射線標識した化合物を精製する方法であって、a)フルオラスポリマー上に、フルオロアルキルスズ部分を含む放射線標識した化合物の前駆物質を載せること、b)前記放射線標識した化合物の前駆物質と放射線標識送達化合物とを反応させて、前記フルオロアルキルスズ部分が放射線標識で置換されている放射線標識した化合物を得ること、およびc)前記フルオラスポリマーから前記放射線標識した化合物を溶出させることを含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
画像診断法での、放射線標識したペプチド、モノクローナル抗体(MoAbs)、およびオリゴデオキシヌクレオチドの応用は、核医学の新たな時代の到来を告げた。その特異性ゆえに、これらの化合物は、特異的なレセプター媒介性生化学的プロセスを機能的に画像化することができる。合成オリゴペプチドは、特に魅力的であった。なぜならそれらは容易に合成することができ、それらの薬物動態学的性質は、核医学での適用に理想的であることが多いからである。例えば、インジウム−111で標識した、8アミノ酸からなるソマトスタチンアナログは、現在神経内分泌腫瘍の場所を突き止め、画像化するためにルーチンで使用されている
【発明の開示】
【0002】
ある態様において、本発明は、放射線標識した化合物を精製する方法であって、a)フルオラスポリマー上に、フルオロアルキルスズ部分を含む、放射線標識した化合物の前駆物質を載せること、b)前記放射線標識した化合物の前駆物質と放射線標識送達化合物とを反応させて、前記フルオロアルキルスズ部分が放射線標識で置換されている放射線標識した化合物を得ること、およびc)前記フルオラスポリマーから前記放射線標識した化合物を溶出させることを含む方法に関する。
【0003】
更なる態様において、放射線標識した化合物はアリール部分を含む。
【0004】
更なる態様において、放射線標識した化合物はアリール酸を含む。
【0005】
更なる態様において、放射線標識した化合物は安息香酸である。
【0006】
更なる態様において、放射線標識した化合物はベンズアミドである。
【0007】
更なる態様において、ベンズアミドはN−(2−ジエチルアミノエチル)ベンズアミドである。
【0008】
更なる態様において、放射線標識した化合物はベンジルアミンである。
【0009】
更なる態様において、放射線標識した化合物はベンジルグアニジンである。
【0010】
更なる態様において、放射線標識した化合物はベンジルアミン−GFLM(f)である。
【0011】
更なる態様において、フルオロアルキルスズ部分はトリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズである。
【0012】
更なる態様において、フルオラスポリマーはフルオラスシリカである。
【0013】
更なる態様において、放射線標識は、99mTc、94mTc、186Re、105Rh、18F、11C、125I、123I、131I、76Brおよび111Atからなる群から選択される。
【0014】
更なる態様において、放射線標識は、18F、125I、123Iおよび131Iからなる群から選択される。
【0015】
更なる態様において、放射線標識した化合物は安息香酸であり、フルオロアルキルスズ部分はトリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズであり、フルオラスポリマーはフルオラスシリカであり、放射線標識は18Fである。
【0016】
更なる態様において、放射線標識した化合物は安息香酸であり、フルオロアルキルスズ部分はトリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズであり、フルオラスポリマーはフルオラスシリカであり、放射線標識は25Iである。
【0017】
更なる態様において、放射線標識した化合物はN−(2−ジエチルアミノエチル)ベンズアミドであり、フルオロアルキルスズ部分はトリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズであり、フルオラスポリマーはフルオラスシリカであり、放射線標識は123Iである。
【0018】
更なる態様において、放射線標識した化合物はベンジルアミンであり、フルオロアルキルスズ部分はトリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズであり、フルオラスポリマーはフルオラスシリカであり、放射線標識は123Iおよび131Iからなる群から選択される。
【0019】
更なる態様において、放射線標識した化合物がベンジルグアニジンであり、フルオロアルキルスズ部分がトリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズであり、フルオラスポリマーがフルオラスシリカであり、放射線標識が123Iおよび131Iからなる群から選択される。
【0020】
更なる態様において、放射線標識した化合物はベンジルアミン−GFLM(f)であり、フルオロアルキルスズ部分はトリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズであり、フルオラスポリマーはフルオラスシリカであり、放射線標識が123Iおよび131Iからなる群から選択される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
フルオラス化学を用いた安息香酸およびベンズアミドの標識化
放射性ハロゲンをペプチドに組み込むための主なアプローチは2つある。第1のアプローチは、親分子の直接的な標識化である。例えば、チロシン残基を、求電子性ヨウ素化、ヨードゲンによって、またはBolton-Hunter試薬を用いて標識することができる。これらの方法の主な短所は、標識反応の部位選択性およびストイキオメトリーが制御困難である場合が多いことである。
【0022】
第2のアプローチは、ペプチド上でペンダントアミノ基と反応するであろう活性化されたエステル官能基性をもつ、標識した前駆物質の反応に関する。反応条件に注目すれば、得られたアミド結合は部位選択的に形成され得る。最も一般的な標識試薬のうちの2つは、N−スクシンイミジル4−[18F]フルオロ安息香酸([18F]SFB)とN−スクシンイミジル3−[131I]ヨード安息香酸(SIB)である6、718F誘導体および125I誘導体は、典型的に求核置換および脱スタンニル化反応によってそれぞれ合成される(スキーム1)。
【0023】
スキーム1:[18F]SFBおよび[125I]SIBの合成および結合
【化1】

【0024】
放射性医薬品開発のためのフルオラス合成アプローチの実用性を最もよく説明するために、異なる標識アプローチに有用であり、適応可能であるモデル化合物を選択した。こうして標的化合物は、トリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズ−3または4−安息香酸(化合物2.1または2.2)となった。
【化2】

【0025】
2.1および/または2.2は、[18F]Fおよび[125I]Iを含む種々のアイソトープでの標識化を容易にし、標識化の前後において、種々の、アミノ末端をもつ化合物と生体分子との結合を可能にすることが望まれていた。
【0026】
「フルオラスタグ」
この研究全体において用いられている「フルオラスタグ」は、Curranらの方法にしたがって調製された、ブロモ[トリス(2−ペルフルオロヘキシルエチル)スズ](2.3)であった。化合物2.3は、フェニルスズトリクロリドと2−ペルフルオロヘキシル−1−ヨードエタンのグリニャール反応を用いて順に調製されたアリールスタンニル2.4を介して合成された(スキーム2)。ホモ結合された不純物を真空蒸留により除去し、続いてカラムクロマトグラフィーによって2.4を75%の収率で算出した。CDCl中の2.4のH NMRは、7.33ppm(5H、芳香族)では一重線、1.23ppm(Sn付属体Sn、H=51.7Hz)では三重線、そしてスズに対するメチレンプロトンαおよびβに対応する2.24ppmでは多重線を示した。13C NMRは、3つの芳香族シグナルを129.06pp、129.65ppm、136.08ppmのそれぞれにおいて示した。13C NMRは、−1.49ppmで共鳴し、27.74ppm(F、C=23.5Hz)での三重線は、スズに対する炭素αおよびβにそれぞれ対応する。化合物2.4の陰イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルは、m/z=1297[M+OAc−H]およびm/z=1283.0[M+OAc−CHでピークを示した。さらに、IRスペクトルでは、2962、2928、2874および2862cm−1において、芳香環に対応する強い吸光度が現れた。これらの所見は、文献に記載の値に一致する
【0027】
スキーム2:「フルオラスタグ」の合成、化合物2.3
【化3】

【0028】
続いて、化合物2.4を余剰の臭素と反応させ、2.3を真空蒸留によって精製し、所望の生成物を収率97%で得た。2.4から2.3への変換は、Hおよび13C NMRスペクトルにおける芳香族の共鳴の消失によって確認した。さらに、陰性臭素の置換は、核αについてのHおよび13Cシグナルをスズへシフトさせ、磁場を減少させている。その効果はかなり著明であり、αケミカルシフトは、Sn付随体(Sn、H=54.1Hz)によって1.23ppmから1.57ppmへ、一方、13αシグナルは、−1.49ppmから6.11ppmに増加する。炭素原子を持つフッ素の13C共鳴は、高度に結合した多重線として108.86ppm〜121.71ppmで現れる。2.3の陰イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルは、m/z=1279.5[M+OAc]で単一のピークを示した。これらの結果も文献の所見と一致している
【0029】
トリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズ−3または4−安息香酸(2.1、2.2)の合成
2.1を合成するために4つの方法を行った(スキーム3)。それぞれは、有機金属試薬のスズ−ブロミド化合物(2.3)への求核攻撃に関与している。
【0030】
スキーム3:トリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズ−安息香酸(2.1)への4つのアプローチ
【化4】

【0031】
第1のアプローチAにおいては、N−スクシンイミジル3−(トリ−n−ブチルスタンニル)ベンゾエートを調製するために使用されたZalutskyらの手順を採用した。2.3と余剰のジリチエーテッド(dilithiated)種(2.6)とを反応させて、2.1を生成することに成功した。フルオラス物質の精製は、ジクロロメタンと水からFC−72(登録商標)への三相性抽出によって容易化された。あいにく、安息香酸の最終生成物への組み込みの程度は、一貫して、可能な全部位の35%未満であった。未処理の開始物質(ブロモ−スタンナン)に対する生成物(アリール−スタンナン)形成の程度は、H NMRを用いて決定した。2つの異なる化学的環境のα、βシグナルの、互いへの、および芳香族プロトンへの統合によって、組み込みの合理的な評価が得られる(図1)。
【0032】
Curranらに記載の方法にしたがって、カラムクロマトグラフィーによって精製を試みた。2.1と2.3の間のR値の類似性により、分離レベルの差は認められなかった。
【0033】
アプローチBは、Lequanらに記載の、p−(フェニルメチルイソプロピルスタンニル)安息香酸の合成のための手順の修正に関するものであった10。p−ジブロモベンゼンのモノアニオンを2.3と反応させ、2.8を定量的に算出した。あいにく、2.8をリチエート(lithiate)しようとする繰り返しの試みはうまくいかず、COとの連続的な反応を阻害した。
【0034】
アプローチCは、4−トリ−n−ブチルスタンニル−安息香酸オキサゾリンの合成のための、Miliusらにより報告された方法11に基づいて行った。オキサゾリン保護基の魅力は、そのグリニャール反応条件に対する安定性、そして、より重要なことには、それが穏やかな非酸性条件下で脱保護され得ることであった。前駆物質、化合物2.9は、p−ブロモ安息香酸を塩化チオニルで処理して酸塩化物を得ることによって合成した。続いて、酸塩化物を、2−アミノ−2−メチル−プロパノールと反応させ、アミドを得ることができた。溶媒の不存在下で、塩化チオニルを用いてアミドを処理して、環形成オキサゾリン環の環形成を誘導し、収率95%で2.9を生成した。
【0035】
化合物2.9のH NMRは、1.42ppm(6H)で一重線、4.17ppm(2H)で一重線、そして7.56(2H)および7.87ppm(2H)で二重線を示した。2.9の13C NMRおよびその電子インパクト・マススペクトル(m/z=254)もまた文献12に反するものではない。
【0036】
グリニャールの形成は、緩慢であり、反応を促進するためには、1,2−ジブロモエタンの追加が必要であった。最終的に、2.3を定量的に2.10に変換した。それを三相性抽出により精製し、収率90%で単離した。
【0037】
2.10のH NMRは、Hα、βの高い磁場への典型的なシフトを示していた。H NMRはまた、オキサゾリン基からは、1.40ppmおよび4.14ppmでピークを示し、7.44ppmおよび7.97ppmで芳香族シグナルを示した。同様に、13C NMRはCαシグナルのより高い磁場(−1.25ppm)へのシフトを示した。28.5ppmでのメチル炭素の出現に加えて、128.4ppmおよび136.0ppmで芳香族が共鳴している。陰イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルは、m/z=1394[M+OAc]でピークを示した。
【0038】
塩基性の条件下でのオキサゾリン基の切断を促進するためには、オキサゾリンをオキサゾリニウムイオンへ変換することが必要であった。あらゆるケースにおいて、穏やかな反応条件下におけるヨウ化メチル(methyiodide)を用いた反応では、所望の4成分の生成物のいずれも産出しなかった。一方、文献に記載の強い反応条件下では、アリール−スタンニル結合の切断が発生した13
【0039】
アプローチDは、まずチオール保護中間物質、トリプロピル4−ブロモオルトチオベンゾエート2.11の合成を必要としていた。D(スキーム4)の反応経路は、もともと類似のシリコンフルオラス化合物に適応されていた。前駆物質2.11の合成では、p−ブロモ安息香酸と塩化チオニルとを反応させ、酸塩化物を生成し、次いでそれをAlClの存在下で余剰のプロパンと反応させた。試薬の質を確実にすることに大いに着目しているという事実にも関わらず(AlClを新鮮に洗浄し、プロパンチオールを新鮮に蒸留した)、粗反応生成物は、1もしくは2の濃縮プロパンチオール基から構成されていた。Studerらの論文に記載されたように、オルトチオベンゾエートは観察されなかった。
【0040】
成功した方法であるアプローチE(スキーム4)は、有機亜鉛試薬を用いたアリール−スタンナンの合成の実行可能性を確立したXizhenらの研究を適用した14。有機リチウム試薬よりむしろ、頑強な有機試薬を使用することで、エステル、ニトリル、ケトンなどの求電子性の機能を持つ化合物の組み込みが容易となる。
【0041】
余剰の3−エトキシカルボニルフェニル亜鉛(2.13)(Rieke Metals Inc.より市販されている)を一晩2.3と反応させた(スキーム4)。生成物を、FC−72(登録商標)とメタノールの間の二相性抽出により高収率(99%)で単離した。
【0042】
スキーム4:トリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズ−3−安息香酸(2.2)
【化5】

【0043】
化合物2.14のH NMRの分析によって、1.39ppm(m、3H)、4.39ppm(q、2H)および7.47〜8.07ppm(m、4H)のメタ−ジ置換芳香族におけるピークに加えて、1.35ppm(t、6H)および2.33ppm(m、6H)におけるエチレンスペーサーに対応するシグナルが明らかになった。2.14の13C NMRは、4つのシグナルを、高磁場では−1.12ppm、14.15ppm、27.87ppm(F、C=23.3Hz)および61.32ppmにおいて示した。低磁場では、13C NMRは、フッ素(106.46ppm〜121.17ppm)が付着した炭素原子に対応する共鳴と、スペクトルを解釈することが困難なために割り当てられた芳香族共鳴を有していた。2.14の陰イオンマススペクトルは、m/z=1279.4[M−エチル]およびm/z=1369.5[M+OAc]においてピークを示した。
【0044】
基質は、反応溶媒(メタノール/水、4:1)中で非混和性であるという事実にも関わらず、2.14のケン化は、余剰の塩基を用いて達成された。場合によっては少量のエステル交換反応生成物が観察された。しかしながら、この生成物は、第2の加水分解反応によって除去された。水で複数回洗浄後、該生成物をFC−72(登録商標)から単離することによって、2.2をおそらくナトリウム塩として、収率99%で産出した。FC−72(登録商標)、ジクロロメタンおよび1N HCl溶液の間の2.2のナトリウム塩の抽出によって、遊離酸が作製された。
【0045】
CDClの塩と酸の溶解度の違いを決定した。酸をクロロホルム−dに溶解し、よく分解されたHおよび13C NMRスペクトルを得た。一方、ナトリウム塩の溶解度はわずかであった。遊離カルボン酸、2.2は、ナトリウム塩とは異なり、数日間で結晶化し、白色の固体を産出した。
【0046】
化合物2.2のH NMR(図2)は、エステル基に対応するシグナルがないことを示していたが、そうでなければ、2.14から変化していなかった。同様に、13C NMRは、エステル基に関連するピークがなく、対応するカルボニル炭素のより低い磁場(172.61ppmおよび172.04ppm)へのシフトを有していた。13Cピークは全て、カルボニル炭素と類似する小さなショルダーピークを有していた。それはおそらく化合物2.2の少量のナトリウム塩の存在を反映するものである。化合物2.2の陰イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルは、m/z=1279[M−H]においてピークを示している(図3)。2.2のIRスペクトルは、重要なことに強いO−Hの伸びを3410cm−1で、C=Oの伸びを1632cm−1で、そして芳香族の伸びを2950cm−1で示した。
【0047】
ペンタンに少量の2.2を溶解し、ゆっくりと蒸発させた後、長い針状の結晶が生成された。それのX線結晶構造を得た。それは種々のペルフルオロスタンナン種の最初に報告された結晶構造を表すものであるので、有意義である。単位細胞内(Z=4)に、2つの独立した分子をもつ三斜晶ρ−1空間基内において化合物2.2が結晶化した。その構造は、1つの特定のペルフルオロオクチル鎖中に高レベルの異常を持つことが主な原因で、溶解することが困難であった。これは、典型的にこれらの化合物の油性の特性を導く、C−C結合の周りの回転のバリアが低いことを考えると、合理的である。X線結晶構造について発表するには、更なる研究がまだ必要とされるが、現在の構造では、化合物2.2の存在が確認されている(図4)。
【0048】
3−フルオロ安息香酸(2.15)の合成
トリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズ−3−安息香酸(2.2)のフッ素化は、より一般的に採用されるHFまたはCFClなどのフレオンよりむしろペルフルオロヘキサン(FC−72(登録商標))中で最初に行われた。FC−72(登録商標)の使用は、それが容易に前駆物質を溶解し、好適な凝固点と沸点の範囲を有しており(それぞれ−100Cおよび65C)、Fによる分解を受けにくいため有利である。条件が、放射線曝露のリスクを処理する必要なしに、[18F]F反応のそれに類似する場合、その反応条件は、複数のフッ素化反応によって実行され、最適化された。スキーム5および図5は、一般的なフッ素化反応に用いられる反応と装置をそれぞれ示している。
【0049】
スキーム5:フルオラス基質2.2からの2.15の合成
【化6】

【0050】
一般的に、基質2.2をFC−72(登録商標)(1mL)で希釈し、乾燥したフルオロポリマー槽に移した。槽の含有物をMeOH/Nスラッシュ浴中で約−85Cに冷却し、その後、180psiの0.5%FのNe溶液を、20〜30分間かけて溶液を介して泡立てた。その溶媒をメタノールとともにバイアルに移し、反応槽をすすぐために用いた。混合物全体を回転蒸発によって蒸発させ、アセトニトリル:水(1:1)中に溶解し、フルオラスカラムに通した。画分(3×3mL)を回収し、19F NMR、HPLCおよびMSスペクトロスコピーによって特徴を調べた。
【0051】
反応生成物2.15の19F NMRは、MeOH:CHClに通したとき、−112.00ppm(F,H=5.76Hz)でほぼ四重線を示した。これは、m−フルオロ安息香酸の標準規格および文献の値に一致していた15、16。化合物2.15の陰イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルは、m/z=139.1[M−H]で必要なピークを示した。精製された反応混合物のHPLCは、4.22分で単独ピークを示した。これは、標準規格と一致するものである。
【0052】
ペルフルオロカーボンと大半の有機溶媒とが非混和性であることから、フルオラス二相系(FBS)として知られる合成への新たなアプローチが導かれた。このアプローチにおいて、感知できるフッ素含有量(フルオラス化合物)を含有する分子を非フッ化化合物から選択的に分離することができる。通常の分離技術としては、二相性抽出、三相性抽出またはフルオラス逆相シリカゲルの適用がある。後者の技術は、フルオラス基質がフルオラス固体相と強く相互作用し、それによって非フルオラス物質と比較して、劇的にそれらの滞留時間を増加させる傾向があるので有利である。
【0053】
フルオラス二相性アプローチは、高い見かけの非放射能で放射線標識した基質を調製する手段として用いることができる。この技法は、選択された放射性核種と反応後、フルオラス成分が放出されるように、基質とフルオラス支持体を結合することを含む。次いで標的放射性化学物質は、該物質をフルオラスシリカのプラグもしくは他の好適な固体物質に通すことによって、または、液体−液体抽出によって、フルオラス支持体(およびあらゆるフルオラス副生成物)から容易に単離することができる。このアプローチは、ヨウ素およびフッ素標識化合物を高い化学的および放射線化学的収率で、短時間で資源効率的に産出することができる。特に、フルオラスアプローチは、タンパク質を標識するために重要なヨードおよびフッ素標識された安息香酸を調製するのに用いることができる。
【0054】
本研究において最初は、我々の研究室で合成したフルオラスシリカを精製プロセスに用いた。しかしながら、Silicycle(会社名)によって製造されている市販の修正フルオラスシリカと比較して、フルオラス物質の滞留が効率的でないことがわかった。その市販の変種の改善された滞留は、ローディングを改善しており、より迅速な精製を容易にした。「自家製」および市販のフルオラスシリカの双方の場合において、アルコール溶媒を移動相として使用した結果、フルオラス不純物の実質的な貫流が観察された。これを補修するために、アセトニトリル:水(1:1)溶離液系を使用したところ、ペルフルオロスズ不純物のあらゆる移動を防いだようである。しかしながら、生成物2.15の溶出については、最初の9mLの溶離液において急速に発生した(>99%)。
【0055】
最初の反応混合物において、−112ppmにおける生成物ピークに加えて、2つの外来のピークが19F NMRスペクトル(−74ppmおよび−153ppm)で一貫して認められた。最初に、これらの更なるピークは、ペルフッ化ヘキサンの多数のアイソマーで構成されるFC−72(登録商標)の結果であると考えられた。しかしながら、FC−72(登録商標)を同じフッ素化および精製条件に付したところ、フッ素スペクトルにおいて観察可能なものは産出されなかった。
【0056】
我々の研究室の蒸留脱イオン水を医学グレードの滅菌水に換えたところ、−74ppmでのピークが存在しないことが後にわかった。さらに、−153ppmでのピークは、Silicycle(会社名)ブランドのフルオラスシリカを用いたことに起因することがわかった。このブランドのシリカをFluorous technologies(会社名)のそれに換えたところ、フッ素スペクトルからこのピークが除外されることがわかった。
【0057】
反応温度も、これらの反応において生成された生成物に影響を及ぼすことわかった。この反応を高温(−65Cを超える温度)で行った場合、場合によっては、−105ppm(溶解されていない結合)における小さなピークがスペクトル中に認められ得ることがわかった。これは、オルト置換またはジフッ化環(ともに結果として付着したフッ素の脱遮蔽を行う)の結果であり得た。しかしながら、この小不純物は、低温(−85C〜−75C)で反応を行ったときには、認められなかった。
【0058】
これらの冷フッ素化の過程において、m−フルオロ安息香酸の収率を最適化した。全てのケースにおいて、Fに対する基質の比率は、18F[F]反応で使用される量と類似する、1.18×10−4molのFに対応する180psi(0.5%F)を用いて0.7〜3.0の間で変化させた。Fに対する2.15のパーセント収率は、0.65および2.9等量をそれぞれ使用したとき、18%〜16%に減少した。収率の分析は、検量線を用いた比較に基づいて行った。Fに対する2.15の収率は、Fに対する基質の比率が1.2:1のとき最大の約24%に達した。該反応物は、等量のFC−72(登録商標)に通したので、収率が減少するのは、より濃縮したサンプルにおいては、視覚可能な粘度の上昇の結果かもしれない。
【0059】
3−[18F]フルオロ安息香酸(2.16)の合成
前駆物質2.2を用いた2.15の冷却標識化と精製の成功は、[18F]F標識化の研究を促進した。反応スキームをスキーム6に示す。
【0060】
スキーム6:3−[18F]フルオロ安息香酸2.16の合成
【化7】

【0061】
フッ素−18は、McMaster
University Hospitalにて、「ダブルシュート」法17によって11MeVで作用するSiemens RDS 112プロトンサイクロトロンを用いた18O(p、n)18F核反応によって作製した。「ダブルシュート」法は、18O(p、n)18FとFとの反応に続いて、主に標的壁に結合したままである18Fの希釈を含む。照射の結果フッ素変換が起こり、15〜20μmolの、担体が付加された18F[F]が放出される。ネオン中の18F[F]は、テフロン(登録商標)チューブを介して運ばれ、1mLの2.2の入ったFC−72(登録商標)溶液を介して−85℃で泡立てられた。フッ素化反応は、FEP(ペルフルオロエチレンプロピレンコポリマー)チューブ中で行われ、放出ガスは、0.1N NaOH溶液を介して泡立てられた。
【0062】
反応中に消費された[18F]Fは、NaOHトラップ中のそれと比較した槽中の全放射能を測定することによって決定した。検査は、槽の含有物を、シリンジによって生成された圧力を用いて他のバイアルに移すことを含む。次いでその槽をHPLCグレードのメタノールですすぎ、結合した溶媒を、急速な窒素流のもとで、湯浴中で蒸発させた。得られた残留物に3×3mLのアセトニトリル:水(1:1)を添加し、各アリコートを連続的にフルオラスカラムに移した。3mLの画分を回収し、特徴を調べた。
【0063】
2.2の[18F]Fフッ素化を全部で5回行った。図6は、生成された典型的なHPLCクロマトグラムを示す。分析は、C18分析カラム上で行い、1:1のアセトニトリル:水(0.2%TFA)によって、2mL/分で溶出させた。化合物2.16のUV量は、4.18分で溶出する単一のピークを生成した。それは標準規格のそれと一致している。ピーク領域の積分および検量線との比較によって、標識化された生成物(18Fおよび19F)の収率が19.4%であることがわかった。化合物2.16の放射能のトレースは、4.99分で単一のピークを示している。後の溶出時間は、UVランプと放射線検出器の間の時間の遅れに一致している。
【0064】
最後の2回の反応において、2.16の放射化学的産出および比放射能を評価した。これらの例において、2.16の減衰補正法放射化学的産出は、30.2%および11.2%であった。下の方の収率は、精製前に効率的にすすぎを行わないバイアル壁に起因するものであった。この合成の理論的最大収率は50%で、トリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズ−[18F]フッ素の半分の活性が損失した。これは、6−[18F]フルオロ−L−DOPAおよび6−[18F]フルオロ−L−m−チロシンがそれぞれ33%および23%の放射化学的収率で生成された場合の[18F]F脱スタンニル化反応に匹敵するものである18、19
【0065】
2つの実験において、精製後の2.16の比放射能は、それぞれ1966mCi/mmolおよび2899mCi/mmolであった。この不一致は、一部には、第1の精製時間(49分)に対して第2の精製時間(27分)が短いことに起因すると言える。比放射能は、標的ガス中に混合されているFの量に依存する。そのため、他のフルオロ脱スタンニル化反応と直接比較することが難しい。しかしながら、得られた比放射能は、他の求電子性のフッ素化反応と比較して、合理的に高い。例えば、6−[18F]フルオロ−L−DOPAを生成するための種々の直接的な求電子性のフッ素化アプローチは、2000mCi/mmol以下の比放射能を示す20、21。類似する比放射能が得られたにもかかわらず、このフルオラスアプローチは、HPLC精製を必要としなかった。
【0066】
類似の冷却フッ素化および精製反応(2.16)生成物からの粗反応生成物の19F NMRスペクトルを図7および8にそれぞれ示す。18F標識した2.16の十分な時間の減衰の後、19F NMRを得た。粗反応の19F NMRでは、フッ素核のNMRによる検出に対する感受性は、少数のスキャンの後得られた明確さにおいてのみ証明される。粗スペクトルは、3つの等価的なn−オクチル鎖に沿って炭素原子をもつ6つのフッ素に対応する6つのはっきりと解像されたピークを示している。フッ素化反応の前または後に、これらのピークにおける認識できるシフトはなかった。
【0067】
精製反応の19F NMRスペクトル(図8)は、アセトニトリル:水(1:1)に通したとき、−110.10ppm(F、H=7.24Hz)における単一のピークのみを示している。ピーク部分および結合は、m−フルオロ安息香酸の標準規格に一致しており、そこでは、19F−シグナルが−109.8ppmで出現しており、それは、文献の値と一致している16。さらに、フルオラス精製法の効率の現れである、フルオラス「タグ」に関連するピークの欠如に着目することが重要である。
【0068】
2.16の粗フッ素化反応および精製反応の陰イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルを図9および10にそれぞれ示す。精製前の反応混合物のエレクトロスプレイ・マススペクトルは、生成物のピークをm/z=139.1[M−H]で示し、フルオラス「タグ」不純物のそれを、ほぼm/z=1319.2、1345.2で示す。しかしながら、精製反応(図10)は、m/z=139.0[M−H]での生成物に対応する単一のピークを示し、不純物はない。
【0069】
前に示したように、得られた最も高い放射化学収率(EOB)は、30.2%であった。しかしながら、約20mCiの放射能(または、ほぼ11%)が、FC−72(登録商標)溶媒が蒸発する間に失われた。FC−72(登録商標)のH原子の、[18F]フッ化物による置換は、蒸発後の活性の損失を説明することができる。De Vriesらは、CFClからより環境に近いCHClまたはCHCNに変化させたときの反応溶媒に対する放射能の損失61〜73%を観察した18。フルオロ脱スタンニル化によって得られたこの放射性化学物質6−[18F]フルオロ−L−DOPAの減少は、33%〜5%(CHCl)および17%(CHCN)であった。放射能の損失にもかかわらず、FC−72(登録商標)は、他の反応溶媒と比較して高い全体的な放射化学的収率を示した。
【0070】
これらの[18F]F反応を開発する際、ワークアップ手順は、より「ハンドフリー」または自動化されたアプローチを可能にするように工夫する必要があることがすぐに明らかになった。このワークアップの持つ困難は、フルオロフィーリック(fluorophilic)溶媒(FC−72(登録商標)/メタノール)をフルオロフォービック(fluorophobic)溶媒(アセトニトリル/水)と交換することであった。回転蒸発は、あまりに多くの手動操作が必要であった。一方、急速窒素流れのもとでの湯浴中での溶媒蒸発は、あまりに長い時間がかかり、生成物を離散させることが多かった。
【0071】
これらの手順を向上させようとする試みにおいて、Uチューブ様装置を構築した(図11)。フッ素化反応の後、シリンジ圧によって槽の含有物をUチューブに移動させることができた。Uチューブの頂上に弱い圧力をかけることによって、室温で2〜3分以内に溶媒を除去することが容易になった。3×3mLのアセトニトリル:水(1:1)を添加し、続いて、連続的にシリンジ圧をかけ、含有物をフルオラスSep-Pakおよび回収バイアルに移した。試験冷却反応において、この装置は、より好適な「ハンドフリー」ワークアップを容易にすると思われた。
【0072】
2.16の容易な合成と精製によって、フルオラス方法は、18F[F]標識した放射性医薬品の調製のための便利な経路として有望であることがわかる。1分未満ですむ、迅速かつ単純なカラム精製を介して、完全にフルオラス「タグ」を除去する。したがって、このアプローチは、標準的な方法と比較したとき、時間のかかる精製を避け、曝露を減少し、全体の比放射能を増加させることができるので、特定の適用において魅力的である。
【0073】
3−ヨード安息香酸(2.17)の合成
フッ素化反応の成功に伴い、安息香酸のヨウ素による標識化を模索した。125I、131Iおよび123Iを導入し得るかどうかを評価するために、フルオラス「タグが付けられた」モデル化合物(2.2)の冷却ヨウ素溶解を行った。簡単な生成物生成に関心を持つことに加えて、反応条件の最適化もまた重要な目標であった。余剰のヨウ素を用いた2.2のヨードスタンニル化反応をスキーム7に示す。
【0074】
を用いた2.2のヨードスタンニル化
【化8】

【0075】
ヨウ素化反応は、メタノールに溶解した余剰のIを用い、それを2.2のかなり大きな(1×10−4mol)サンプルに添加して行った。該反応を一晩進行させ、その後、メタ重亜硫酸ナトリウムを添加して未処理のヨウ素をクエンチングした。減圧下でメタノールを除去し、その残基を5×5mL容積のHPLCグレードのアセトニトリル:水(1:1)に溶解し、各洗浄は、フルオラスカラムを介して溶出して行った。この場合、精製は、3.9グラムの緩いフルオラスシリカ(silicycle(登録商標))のサンプルを用い、40cm幅の狭いカラムにパッキングした。5mlのアリコートの純度は、HPLC(図12)およびエレクトロスプレイ・マススペクトロメトリー(図13)によって評価した。
【0076】
HPLCクロマトグラムは、塩(溶媒フロント)および2.17(t=9.9分)に対応する3つのピークを持っていた。9.9分におけるピークは、3−ヨード安息香酸の標準的なサンプルとの比較において、2.17であることがわかった。
【0077】
陰イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルは、m/z=246.9[M−H]における背景に対して、単一のピークを示していた。それは、2.17の形成と一致している。m/z>1000では、フルオラス「タグ」を示すものはなかった。
【0078】
NaI(2.18)を用いた2.2のヨード脱スタンニル化
上記ヨウ素溶解反応は、余剰のヨウ素および10−4モルの基質を使用する、したがって、放射線ヨウ素化反応の代表例ではない。2.18に対する標識化アプローチを開発するために、ヨウ素放射性核種が用いられるものと類似の濃度で、冷Na127Iを用いた反応を行った(スキーム8)。
【0079】
スキーム8:NaIおよびオキシダントを用いた2.2のヨード脱スタンニル化
【化9】

【0080】
冷却ヨウ素化反応を最適化する試みにおいて、多くの反応条件を検討した。まず、放射性ヨード脱スタンニル化反応に通常用いられる広範囲のオキシダントをスクリーニングした。これらには、クロラミン−T(N−モノクロロ−p−トルエンスルホンアミド)、N−クロロスクシイミドおよび過酢酸が含まれていた。過酢酸は、最も高い変換率を示した。それは、文献の報告に一致している22
【0081】
溶媒の選択もまた、放射化学的収率に非常に効果的に影響を与えることができる。たいていの場合、2.2を溶解することができる能力ゆえにメタノールが用いられた。そして他の試薬および反応条件に換え得ることがわかっている。ヨウ素化反応はまた、溶媒のpHに高度に依存しており、通常は、酢酸培地において促進され、pHが中性に向かうと、時に阻害される23。このため、研究者たちは少量のHClまたは酢酸を反応物に添加することが多いが、オキシダント(酢酸における32%過酢酸)が、上記反応を促進するための適切な酸性であることがわかった。
【0082】
反応条件の最適化に加えて生成された非常に少量の生成物(2.18)を検出することがHPLC条件を最適化するために必要であった。長い試行錯誤の末、C−8分析カラムを用いて2.18を溶液中の酸から分離することができないことがわかった。この問題は、有意な分離を容易化するC−18分析カラムに換えることによって修正した。
【0083】
最後に、最適な反応は、化合物2.2(Na塩)(4×10−6mol)をメタノール(200μL)中に撹拌しながら溶解することを含む。この溶液に、NaI(4μL、1.8×10−7mol)の入った0.1N NaOHを添加し、直後に新鮮に調製した過酢酸溶液(2μL)を添加した。2時間後、この反応物を、メタ重亜硫酸ナトリウムを用いてクエンチングし、蒸留脱イオン水で1mLに希釈した。.
【0084】
化合物2.18のHPLCクロマトグラムは、塩(溶媒フロント)および2.18のそれぞれに対応して、溶出時間4.8〜6.3分および10.3分で2つの主なピークを示している(図14)。3−ヨード安息香酸の標準規格は、同じ溶出条件下において10.2分でピークを示した。ピークのアサイメントを確認した。
【0085】
冷アイソトープを用いる化学の発展の利点は、フッ素の場合と同様に、反応が曝露のリスク無しに行われ処理され得ることである。しかしながら、代表的な量のNa127IまたはNa125Iを用いた放射化学的放射線標識処理の困難さは、検出が紫外線吸収にのみ基づく点であった。比較として、400μCi(約1.8×10−7mol)のNa125Iを使用した場合、非常に強力なピークがガンマ検出器に得られるであろう。もっとも、眼に見えるとしても非常に少量の紫外線吸収であろう。ヨウ素の標的分子への最大取り込みは、全体の50%以下であることを思えば、したがって、類似の400μCi反応においては、最大の生成物収率は、≦9×10−8モル以下である。
【0086】
3−[125I]ヨード安息香酸(2.19)の合成
冷NaIを用いた2.2の冷却標識化の成功は、対応するNa125Iを用いた放射線標識ヨード脱スタンニル化を促進する(スキーム9)。
【0087】
スキーム9:3−[125I]ヨード安息香酸(2.19)の合成
【化10】

【0088】
該反応は、冷ヨード脱スタンニル化反応と同様の方法で行った。約200μLの0.1N NaOH溶液および2μLの新鮮な過酢酸に、Na125I(44μCi)を添加する前に、化合物2.2(Na塩)(9×10−4mol)を200μLのメタノール中に撹拌しながら溶解した。該反応物を29分間撹拌させ、メタ重亜硫酸ナトリウム(100μL)を用いてクエンチングを行った。
【0089】
粗反応混合物の20μLのアリコートをHPLCに注入し、HPLCで分析した。UVトレースによれば、溶媒フロントに対応する単一のピークのみが明らかになった。一方、放射能クロマトグラムはいくつかのピークを示した(図15)。5.3分におけるピークは、溶媒フロントと一致し、おそらく遊離125Iを表すものであろう。17.1分のピークは、3−ヨード安息香酸を注入することによって2.19であることが確認された。しかしながら、他の外来性のピーク、特に24.9分の大きなピークは、反応時間に割り付けることができなかった。
【0090】
2.19を含有する粗反応混合物の質は、理想未満のものであったが、溶液中のあらゆる未処理の遊離125Iを除去する能力を説明するために単純な精製を行った。上記粗反応混合物を500μLの水で希釈し、調整されたC18Sep−Pakに添加した。Sep−Pakを2mLの蒸留脱イオン水を用いて溶出し、未結合の125Iを除去し、1mLのメタノールを用いて溶出を行った。メタノール画分の20μLアリコートのHPLC分析を図16に示す。クロマトグラムは、2.19(t=16.9分)までの必然的に全ての放射性不純物がカラムを水で洗浄することによって除去されることを示している。さらに希釈を考慮に入れることによって、2.19の大半を1mLのメタノールで溶出した。しかしながら、続いて同定されなかった24.5分におけるピークは依然として存在していた。
【0091】
上記の反応で得られた、良好な結果に満たない結果は、新鮮なNa125I源を用いて、別の反応を促進した。この反応において、Na125I(32μCi)の0.1mM NaOH溶液(約5μL)に添加する前に、化合物2.2(Na塩)(1.1×10−6mol)を200μLのメタノールに撹拌しながら溶解した。続いて、2μLの新鮮に調製した過酢酸溶液に撹拌しながら溶解した。その反応物を47分撹拌した後、余剰のメタ重亜硫酸ナトリウム(20μL)を用いてクエンチングし、300μL蒸留脱イオン水で希釈した。
【0092】
粗反応混合物の20μLのアリコートを分析するためHPLC上に注入した。UVトレースによれば、溶媒フロントを表すピークは1つだけであることが明らかになった。一方、放射能クロマトグラムは、16.91分の滞留時間でピークを示した(図17)。そのピークは、2.19の形成に一致しており、15.86分で溶出する3−ヨード安息香酸の注入によって確認される。滞留時間の違いは、UVと放射線検出器との間の時間の遅れの結果である。
【0093】
粗反応混合物の放射能クロマトグラムは、未結合/未処理のヨウ素の有意な貢献なしで、2.19が必然的に定量的な収率で生成されたことを表している。粗2.19の放射化学的純度は、90%以上であった。粗ヨード脱スタンニル化反応におけるこのレベルの組み込みおよび純度は、特に反応時間が短い場合はまれである。
【0094】
未結合のヨウ素または放射線標識した塩が反応混合物に存在することを示す証拠は少ないにもかかわらず、短い精製によって、後にそれらは生成物から除去され得ることが示された。その反応溶液を約1.5mLの水で希釈し、メタノールで調整したC18Sep−Pakカラムに通した。そのカラムをさらに1.5mLの水で洗浄し、これらの画分を結合させた。その後Sep−Pakを2mLのアセトニトリルで溶出させ、別個のバイアル中に回収した。アセトニトリル画分(faction)は、72%の放射能を有していた。そしてさらにアセトニトリルを用いたカラムの溶出によってほんの少量の放射能が放出された。より高度に保有され、放射線標識したフルオラス「タグ」(RSn125I)と同様、全体で4μCiがSep−Pakカラムに結合した。他の放射能は、水(3μCi)、反応槽(1μCi)および更なる1mLのアセトニトリル(1μCi)を用いたSep−Pakの洗浄中に見い出された。多くの放射能を含む画分のHPLC分析は、単一のピークを16.59分において2.19に対応する放射性クロマトグラム中に示していた。精製された2.19の最終的な放射化学的収率は、用いられた全Na125I活性の75%であった。最大の理論的放射化学的収率は、50%と同じ、もしくはそれ未満となるべきであることを考慮すればこの大きさの収率はまれである。Hunterらの結果は、放射性ヨード脱スタンニル化反応のかなり代表的な例である。彼らは、50.8%の放射化学的収率の[131I]MIBG;44%の放射能がスズに結合すること、および溶液中の遊離131Iが5.1%であることを観察した23
【0095】
放射化学的収率が高いとすれば、標識化されたまたは標識化されていないあらゆる前駆物質2.2に対する[125I]−3−ヨード安息香酸の純度を定量化することは重要であった。マススペクトロメトリーと19F NMRは、125I標識化合物に対して実行可能ではないので、HPLC分析のみに頼った。100%アセトニトリルを用いた前駆物質2.2のC18分析カラム上への溶出は、6.61分でUVピークを生成した。同様に、Sep−Pak精製画分(faction)のHPLC分析は、3.19〜4.17分で溶媒フロントに対応するピークを示し、6.38〜6.72分で同様に2.2に対応するピークを示した(図18)。放射能クロマトグラムは、4.46分に、2.19に対応する溶媒フロントでの単一のピークのみを示した。標識したフルオラス「タグ」生成物に対応する放射能ピークは、2.2と同様の位置に溶出することが予測されるが、見られない。このことは、われわれの以前の放射化学的収率である75%が正確であることを示している。しかしながら、この反応溶液に存在するいくつかの未処理の2.2があると思われる。
【0096】
フルオラスカラムとアセトニトリル:水(1:1)移動相を用いることで大量の(200mgを超える)「フルオラスタグ」でさえ容易に除去することができることは既に確立されている。したがって、この系は、これおよび他の典型的な放射性要素化反応に用いられる、より少量(1.4mg)の基質は容易に除去する。精製アプローチを証明するために、アセトニトリル中の2.19を等量の蒸留脱イオン水を用いて希釈し、調整フルオラスカラムに通した。更に4mLのアセトニトリル:水(1:1)を用いてカラムの洗浄をすることによって、全ての放射能(19μCi)を遊離させた。この溶液のアリコートを分析したところ、クロマトグラムの広がり、3.055分での溶媒ピークおよび6.53分での小ピークが示された(図19)。
【0097】
フルオラスSep−Pakが大量のフルオラス「タグ」を除去することができることを示したので、6分でのピークは別の原因によって生じたと思われる。1つの可能性は、別の反応物から再利用したフルオラスカラムが適切に洗浄されていなかったかもしれない。あるいは、フルオラス物質は、HPLCループに固着する傾向にあるかもしれないので、蓄積された物質がこの注入物に放出された可能性がある。
【0098】
要約
トリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズ−3−安息香酸を調製するため、およびこの物質をフッ素およびヨウ素で標識するための方法が開発された。温および冷FおよびIを用いたフルオラスアプローチは、効率的に所望の生成物を作製した。特に、精製プロトコルに関連して反応を最適化するためには、更なる実験が必要である。
【0099】
開発されている結合処理−ベンズアミド合成
まず、2.2の合成の背後にある根本原理は、標識した安息香酸への結合を介して容易なペプチド/生体分子の放射線標識を可能とすることである。2.16と2.19の合成および標識化の成功によって、より多くの複合化合物を合成することを促した。そのようなアプローチの1つは、化合物2.2からの有益性、および実用性の拡大は、生物学的に活性な誘導体へのその変換である。
【0100】
放射性ヨードベンズアミド
放射性ヨードベンズアミドまたは、N−アルキル−ヨードベンズアミドは、新たなクラスの重要な放射性医薬品を構成する24。σ1およびσ2レセプターに対して高い親和性を示すので、放射性ベンズアミドは、皮膚黒色腫とその転移の診断用として現在最もよく知られた放射性医薬品である24。このクラスの化合物はまた、ドーパミン受容体に対して強く結合することもわかっており、したがって、パーキンソン病や分裂症の診断のための効率的な造影剤である25。臨床的に最も関連した化合物は、[123I]−N−(2−ジエチルアミノエチル)−4−ヨードベンズアミド(123I−BZA)であり、それは、黒色腫のシンチグラフィーのための理想的な特性を有している26
【0101】
123I]−N−アルキル−p−ヨードベンズアミドおよび123I−BZA
【化11】

【0102】
現在、123I−BZAへの最も容易な経路は、アイソトープ変換反応(123Iを127Iに換える)を含む。この方法は、担体の添加された生成物が画像の質を減少させる結果となる。より理想的な方法で、担体を添加しない生成物を導く方法は、トリアルキルスズ前駆物質の放射性ヨード脱スタンニル化である。それは、Moreauら26によって開発された。このことを考えると、フルオラス合成アプローチは、放射線標識したベンズアミドの合成に好適であると思われる。そして徹底的に精製を行う必要がなくなるであろう。
【0103】
このプロジェクトの目的は、対応するフルオラス「タグを付けた」前駆物質(2.21)のヨード脱スタンニル化反応を介してのヨードベンズアミド2.20を合成することであった(スキーム10)。この2.20の合成には、新たな結合方法の開発が必要である。
【0104】
スキーム10:標的化合物、N、N−ジメチル−m−ヨードベンズアミド
【化12】

【0105】
トリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズ−3−ベンズアミド(2.21)の合成
2.21の合成へのアプローチは、伝統的なペプチド合成手順に集中していた。これらの反応の成功は、H−NMRおよびエレクトロスプレイ・マススペクトロメトリーによって判断した。スズに対するαおよびβの位置にあるプロトンに対するエチレンプロトン(NCHCHN)の積分によって、誘導体化の程度を定量化した。最初に、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)およびEDCなどのカルボジイミド活性化作用物質を採用した。しかしながら、それらは、検出可能な生成物形成が少なかった。反応の欠如が試薬もしくは反応溶媒によるものかどうかを決定することは困難であった。大半の例において、結合試薬にとって良好な溶媒は、2.2にとって不良な溶媒であり、逆もまた然りであることが判明した。アセトニトリルやDMFなどの、極性で非プロトン性の溶媒中で結合反応が促進されるとき、化合物2.2は通常非極性の溶媒によってのみ溶媒和となった。THFなどの溶媒は、2.2とDICの双方と溶媒和となったが、2.21には変換されなかった。EDCは、別の欠点を有していた。EDCは、30%を超えるスズアリール結合を切断するのに十分な酸性であることがわかっているアンモニウム塩を含有している。
【0106】
DMF中の結合試薬HBTU(2−(1H−ベンゾトリアゾル−1イル)−1,1,3,3−テルトラメチルウロニウム(tertramethyluronium)ヘキサフルオロホスフェート)を採用することで2.21の合成は成功した(スキーム11)。HBTUは、尿素副生成物の形成と同時に起こる、活性化された中間物質を着実に生成することによって、結合を促進する。この活性化された複合体は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)の連続的な損失により、アミンと反応する(スキーム12)。
【0107】
スキーム11:HBTUが促進するペプチド結合のメカニズム
【化13】

【0108】
スキーム12:HBTUを用いたペルフルオロスズ−3−ベンズアミド(2.21)の合成
【化14】

【0109】
アミンを添加する前に、HBTUと化合物2.2(Na塩)の反応をDMF中でDIPEAの存在下で5分間行った。このインキュベーションによって、結合率と収率が劇的に向上することを実験は示している27。余剰のN,N−ジメチルエチレンジアミンを等量のDIPEAに添加した後、反応物を16時間撹拌させた。
【0110】
2.21がDMFに対して高い溶解度を有していることから、水を添加して、フルオラス化合物のジクロロメタンおよびFC−72(登録商標)への抽出を容易にした。その後、多くの有機2.21が選択的にFC−72(登録商標)からジクロロメタンへ抽出した。ジクロロメタンへのいくつかのより多くの抽出によって純粋な2.21を産出した。一方、未反応の2.2は依然としてFC−72(登録商標)中にあった。化合物2.21が、暗黄色オイルとして、十分な収率(74%)で得られた。R値の2.21と2.2の間の十分な相違(0;0.21)は、将来における方法として、クロマトグラフィーによる精製がより適切であり、より高い収率をもつ精製方法であることを示唆するものである。
【0111】
化合物2.21のH NMRスペクトル(図20)は、1.31ppmで、Sn付随体(Sn,H=54.8Hz)を有する三重線、約2.33ppmで部分的に遮られた多重線を示している。それは、スズに対するプロトン位置αおよびβにそれぞれ対応するものである。さらに、H NMRは、2.31ppm(6H)で広い一重線、2.59ppm(2H)でシュード三重線、3.55ppm(2H)でシュード四重線、そして7.39〜8.01ppm(4H)で予期される芳香族ピークを示した。2.21の13C NMRは、−1.43ppm、27.55ppm(F,C=23.4Hz)、37.11ppm、44.87ppmおよび57.75ppmで低い磁場のピークを示した。より高い磁場の13C NMRは、まだ割り付けられていないフッ素および芳香族シグナルが付着した炭素原子に対応する104.80ppm〜120.03ppmの共鳴を示していた。化合物2.21のIRは、2900cm−1で芳香族の伸び、1650cm−1でC=O吸収、および3338cm−1でN−Hの伸びを示した。2.21のマススペクトル(図21)は、陽イオンモードにおいて、m/z=1353[M+H]で単一のピークを示した。重要なことには、同じ化合物の陰イオンマススペクトルは、m/z=1279[M−H]で前駆物質ピークを示さなかった。
【0112】
3−ヨードベンズアミド(2.20)の合成
化合物2.21のヨード脱スタンニル化および生成物2.20の精製は、化合物2.2で用いたものと類似の方法を用いた(スキーム13)。
【0113】
スキーム13:3−ヨードベンズアミド(2.20)の合成
【化15】

【0114】
余剰のヨウ素を少量(2.37μmol)の2.21に添加し、その反応物を室温で1時間撹拌した。その反応溶液を、メタ重亜硫酸ナトリウムを用いてクエンチングし、回転蒸発器上におき、メタノールを除去した。バイアルを1mLのアセトニトリル:水(50:50)で洗浄し、調整フルオラスカラムに通した。さらに1mLを用いて、バイアルをすすぎ、カラムに添加した。結合した画分をHPLC(図22)およびエレクトロスプレイ・マススペクトロメトリー(図24)によって分析した。
【0115】
化合物2.20のHPLCクロマトグラムは、6.6、16.6、および18.9分において溶出した3つの主なピークを示している。最も早いピークを、溶媒フロントとして割り付けた。一方、後の溶出ピークは、それぞれおそらくプロトン化された状態および脱プロトン化された状態の2.20であろう。化合物2.20の陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルは、m/z=319.0[M+H]でピークを示した。2.20の純度をここでも確認した。存在し、未処理の2.2を除去したであろう陰イオンモードでm/z=247[M−H]に対応するピークがなかったためである。
【0116】
2.21の冷却フッ素化を、2.2で用いたものと類似の方法で行った。エレクトロスプレイ・マススペクトルからの予備的な結果は、生成物ピークm/z=211[M+H](図24)が明らかにした。陰イオンモードは、m/z=139(M−H)での可能性のあるあらゆる不純物3−フルオロ安息香酸のいずれも明らかにしなかった。
【0117】
要約
これらの最初の冷却実験は、2.2を標識化するのに用いられた方法によって、2.21を18F[F]およびNa125Iで標識化する可能性を明らかに示している。成功は、放射線標識したベンズアミドのSPECTおよびPETのための経路を容易化し、それによって、それらの臨床的な実用性を増加させることである。結合手順を開発することによって、将来の放射線標識化のために多様なアレイのベンズアミドおよび関連化合物を調製することが可能となるであろう。
【0118】
ベンジルアミンおよび誘導体の合成
標識した安息香酸および誘導体の作製の成功によって、そのフルオラス合成方法をベンジルアミンおよび関連する誘導体に広げることを模索した。
【0119】
トリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズ−3−ベンジルアミン(3.0)
【化16】

【0120】
これは補足的な求核性の誘導体を、求電子性のハロ安息香酸に与えている。さらに、フルオラス「タグ」に結合し、放射線標識され得る潜在的な種々の化合物を拡大するであろう。
【0121】
ベンジルアミンの誘導体を用いて、生体分子28を標識するために用いられてきたものであり、[131I]と[123I]メタ−ヨードベンジルグアニジン(MIBG)合成のための前駆物質であり、価値があるが、合成が難しい放射性医薬品である。
【0122】
フルオラス「タグ付けされた」ベンジルアミン(3.0)の合成
トリアルキルスズ結合ベンジルアミンの合成および/または標識化について説明する文献の中に驚くべき例がある。Vaidyanathan, Gらは、3−(トリ−n−ブチルスタンニル)ベンジルアミンを、n−BuLi、3−ブロモベンジルアミンおよび2倍の余剰のトリブチルスズ−クロリドを用いて30%の収率で合成した30。このアプローチは、不良な収率であったことと、大量の余剰のフルオラス副生成物が生成されたことから、3.0の合成には考慮されなかった。3.0の合成にはむしろ、Hunterらの報告しているポリマー結合3−ベンジルアミンの調製のための方法を適用した31
【0123】
Hunterの方法は、前駆物質3.1である3−ブロモベンジルアミンのアザジシロリジン(azadisilolidine)保護誘導体を使用した。このシリコンベースの保護基は、n−BuLiに対して安定しており、対応するモノリチウム塩3.2の合成を可能としている。
【0124】
3.1の合成は、1,1,4,4−テトラメチル−1,4−ジクロロシルエチレンをもつトリエチルアミン中での、室温で15時間の3−ブロモベンジルアミンの合成を伴った(スキーム14)。粗溶液を水性リン酸2水素ナトリウムに注ぎ、続いて、粗有機抽出物を蒸留し、中等度の収率(64%)で生成物を生成した。化合物3.1のH NMRで、7.20〜7.48ppm(4H)で現れた芳香族ピークに加えて、0.00ppm(12H)、0.78ppm(4H)、および4.06ppm(2H)において3つの一重線が明らかに現れた。3.1の13C NMRは、−0.26ppm、8.01ppm、45.59ppm、122.15ppm、126.10ppm、129.35ppm、129.53ppm、130.69ppmおよび146.01ppmで共鳴した。3.1の電子衝撃マススペクトルは、m/z=312でピークを示した。これらのスペクトルは、文献に報告されたデータに一致している4、32
【0125】
スキーム14:前駆物質の合成:シリコン保護3−ブロモベンジルアミン(3.1)
【化17】

【0126】
3.3の合成(スキーム15)は、3.1とTHF中のn−BuLiとを−78Cで35分間反応させ、3.2を生成することに関する。次いでTHF中の化合物2.3を3.2に滴下した。反応物を−78Cで2時間保ち、そこにFC−72(登録商標)を添加し、混合物を10分撹拌した。続いて、該反応物を、メタノール(30mL)を添加することによってクエンチングした。メタノール添加後、反応物をFC−72(登録商標)、水およびジクロロメタンを用いて抽出した。回転蒸発器上でFC−72(登録商標)を除去し、3.3を収率89%で得た。
【0127】
スキーム15:アザジシロリジン(azadisilolidine)保護ペルフルオロスズ−3−ベンジルアミン(3.3)の合成
【化18】

【0128】
3.3の加水分解(スキーム16)は、化合物を一晩メタノール中で十分な1M HClとともに撹拌し、pHをほぼ3とした。生成物をFC−72(登録商標)中に抽出し、濃縮し、淡黄色のオイルとして3.0を収率97%で得た。
【0129】
スキーム16:3.0を作製するためのシリコン保護基の加水分解
【化19】

【0130】
化合物3.0のH NMR(図25)は、1.31ppm(6H)でSn付随体(Sn,H=54.2Hz)を有する三重線を示した。2.31ppm(6H)で多重線、3.88ppmで一重線、そして、7.22〜7.46ppmで芳香族ピークを示した。シリコン保護基の量は、ベースラインで、0.1〜0.2ppmのベースラインで見られた。13C NMRは、−1.37ppm(Sn、C=347Hz)、27.94ppm(t、F,C=23.4Hz)および46.62ppmでピークを示した。フッ素に結合した炭素原子に対応する多重線は、106.17〜121.17ppmで見られた。そして、芳香族領域に関連するピークは、さらにまだ明白に割り付けられていなかった。化合物3.0の陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトル(図26)は、m/z=1268.5[M+H]で単一のピークを示している。IRは、2850および2955cm−1でC−Hストレッチに、および3354cm−1で第1のアミンに対応する強い吸収を示している。これらの結果は全て所望の生成物の形成に一致している。
【0131】
スタンニルブロマイド前駆物質(2.3)の3.3への定量変換は、非常に異なっていることがわかった。早い時期において、アザジシロリジン保護3−ブロモベンジルアミン(3.1)は特に安定していないことが理解できた。3.1の合成と精製の後、すぐにn−BuLiと反応させ、3.2を生成した。これらの手順を講じなかったら、2.3の変換は不完全なものとなるであろう。
【0132】
Hunterと共同研究者らは、3.2とクロロスタンナンポリマーとを−78Cで7時間反応させた後、室温で2時間撹拌したところ、Sn−Cl結合の定量的な官能基化が起こったことを報告している。これらの結果とは対照的に、類似の反応条件下で、Sn−Br部位50〜67%のみを変換して、生成物(3.3)に変換した。集中的なトライアルを経て、反応溶液が室温に温められる場合、生成物は極度に分解されがちであることが理解された。2.3から3.3への完全な変換は、したがって、FC−72(登録商標)への抽出およびメタノールでのクエンチングの前に反応が−78Cに保たれているときのみ容易に行うことができた。
【0133】
ヨードベンジアミン(Iodobenzyamine)の合成
フルオラスタグに結合した生成物の特徴をさらに調べるために、およびその純度を確認するために、3.0のヨードジノリシス(iododinolysis)を行った(スキーム17)。化合物3.0をアセトニトリル中の余剰のヨウ素と一晩反応させ、次いでメタ重亜硫酸ナトリウムを用いてクエンチングを行った。その溶液を水で希釈し、アセトニトリル:水の溶離液(1:1)によって、調整されたフルオラスカラムに通した。アリコート(3×5mL)を回収し、HPLCおよびマススペクトルを用いてその生成物の特徴を調べた。
【0134】
スキーム17:3.0のヨード脱スタンニル化
【化20】

【0135】
精製溶液(3.4)のHPLCクロマトグラム(図27)には、1.78および6.46分において、溶媒フロントと3−ヨードベンジルアミンにそれぞれ対応する2つの主なピークが現れた。類似の溶出条件下での3−ヨードベンジルアミンの標準規格は、6.47分においてピークを示した。反応溶液の陽イオンエレクトロスプレイ(図28)マススペクトルは、m/z=233.9[M+H]で単一のピークを生成した。ほぼm/z>1200においては、フルオラス不純物は認められなかった。これらの結果は、3.4の形成と一致している。
【0136】
メタヨードベンジルグアニジン
過去20年の間に、放射性ヨウ化されたMIBG(m−ヨードベンジルグアニジン)は、核医学において広く使用されてきた33。それは主にシンチグラフィー診断、クロム親和性細胞腫や神経芽細胞腫などの腫神経堤腫瘍の治療に用いられている34。さらに、心筋のアドレナリン作動性神経の状態を評価するために用いられることが増えている。
【0137】
123I]または[131I]MIBGの作製のために最も広く用いられている合成方法は、Cu触媒変換プロセスに関する。あいにく、この方法が産出するのは、比放射能に低い生成物であり([123I]で50mCi/mg)、用量を増加させる必要があり、したがって、結果として画像の質が悪くなる。したがって、担体が添加されていない生成物への複数の経路を検討したが、広く適用することはできなかった。
【0138】
MIBG合成のためのフルオラス方法は、上記の合成の限定を改良し得る。さらに、便利な標識方法が利用可能であったら、MIGB関連放射性医薬品を放出するポジトロンを生成するのに十分利点がある。例えば、Zalutskyらは、メタ−[18F]フルオロベンジルグアニジンおよびパラ−[18F]フルオロベンジルグアニジンを、フルオロを用いたニトロ変換反応のための3つのステップにおいて合成した。10〜15%の所望の放射化学的収率より低い収率10〜15%([18F]MFBG)および50〜55%([18F]PFBG)および不純物の除去の困難さが報告されている36。次のセクションでは、[I]MIBGおよび[18F]MFBG調製のためのフルオラス方法の開発を記載している。
【0139】
トリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズ−3−ベンジルグアニジニウム(3.5)の合成
トリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズ−3−ベンジルグアニジン3.5を作製するために、いくつかの合成経路を試みた。第1のアプローチ、アプローチA(スキーム18に)は、Wielandらによって開発された、3.5の合成方法37を適用した。Wielandの方法は、m−ヨードベンジルアミンとシアンイミドとを100℃で4時間反応させることに関する。あいにく、採用された種々の手順による3.5の合成は、エレクトロスプレイ・マススペクトロメトリーが示しているように少量の生成物しか生成しないであろう。
【0140】
スキーム18:シアンイミドを用いた3.5の合成の試み
【化21】

【0141】
3.5を生成するためのこの反応方法の失敗は、前駆物質3.0がプロトン化されないことが理由のようである。3.0を生成するためのシリコン保護基の加水分解はpH3で行われるにもかかわらず、予測されたベンジルアンモニウムクロリドは認められなかった。ベンジルアンモニウムクロリドは、シアンイミドを活性化して求核攻撃にするために必要である(スキーム19)。
【0142】
スキーム19:シアンイミドを用いたグアニジンの形成のメカニズム
【化22】

【0143】
3.0をプロトン化する、さらなるあらゆる試みの結果、プロト脱スタンニル化が生じた。同様に、触媒量のHCl(0.05eq)の添加の結果、反応条件下(54℃)でプロト脱スタンニル化が生じた。これらの結果は、3−(トリ−n−ブチルスタンニル)ベンジルアミンのグアニジンへの変換を可能としたVaidyanathanらの所見を反映するものである。むしろ、彼らは、(トリアルキルスタンニル)ベンジルアミンの放射性ヨード脱スタンニル化から[131I]MIBGを強制的に合成し、シアンイミドを用いて続く反応を行った。
【0144】
アプローチBは、N−ホルムアミジニル(amidinyl)アミノ酸の調製のためにJursicらによる研究38を採用した。ここで、ホルムアミジンスルフィン酸、[HN=C(NH)SOH]と、水溶性水酸化ナトリウム中の置換されたアミノ酸(D,L−フェニルアミン)とを反応させたところ、D,L−N−ホルムアミジンフェニルアミン(スキーム20)を導いた。
【0145】
スキーム20:ホルムアミジンスルフィン酸を用いた3.5の合成の試み
【化23】

【0146】
この3.5へのアプローチは、3.0をメタノール中で2.0等量のホルムアミジンスルフィン酸(foramidinesulfinic acid)を用いて室温で一晩撹拌したときに最もうまくいくことがわかった。メタノールは、三相性抽出の前に回転蒸発器上で除去した。FC−72(登録商標)を除去した後に得られた白色の粘性のオイルをクロロホルム中で加熱し、続いてデカントし、未処理の3.0を全て除去した。生成物である粘性の白色のオイルは、高収率(86%)で得た。化合物3.5の陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトル(ホルムアミジンスルフィン酸を用いて合成)は、m/z=1325.1およびm/z=1293.1でのピークに加えて、m/z=1310.2[M+H]でピークを示した(図29)。化合物3.5のH NMRおよび13C NMRは、好適な溶媒を見つけることができなかったので、得られなかった。
【0147】
化合物3.5を、冷IおよびFで処理した。切断した生成物に関しては、エレクトロスプレイ・マススペクトルにおいて、類似のピークパターンが認められた。該生成物に関連するピークは、典型的に最も強度が高く、+/−15質量単位のピークのいずれかの側に隣接している。得られたピークパターンを合理化することができなかったので、3.5を合成するための他の経路を調べた。
【0148】
3.3.2 アプローチC
アプローチCは、いくつかの一級アミンを対応するグアニジンに変換する、Mosherらの研究39を採用した。その変換は、アミノイミノ−メタンスルホン酸と一級アミンとを室温で2時間反応させることによって達成し、対応するグアニジンを中等度の収率(22〜80%)で生成した。遊離アミンを穏やかな条件下(pH=3.1)でグアニジンに変換することが可能であったので、この方法は、3.5の合成に適用可能であると思われる。
【0149】
アミノイミノメタンスルホン酸(HN−C(=NH)SOH)(3.7)は、Mosher12の手順に続いて、ホルムアミジンスルフィン酸(3.6)を過酢酸と反応させることによって高収率で合成した(スキーム21)。化合物3.7の融点は、文献の所見12の125〜126℃と一致していた。
【0150】
スキーム21:アミノイミノ−メタンスルホン酸(3.7)の合成
【化24】

【0151】
形成された生成物を評価するため、およびMIBGの標準的なサンプルを取得するために、化合物3.7をまず、m−ヨードベンジルアミンと反応させた(スキーム22)。等モル量の3.7および3.8をメタノール中で結合し、一晩還流させた。得られた生成物(3.9)を更なる精製を行わずに特徴を調べた。H NMRは、4.22ppmで一重線を示し、6.90〜7.56ppmで芳香族ピークを示していた。13C NMRは、48.9ppm、99.3ppm、131.6ppm、135.7ppm、141.0ppm、141.9ppm、144.3ppmおよび162.65ppmでピークを示した。陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルは、3.9に対応するm/z=276.1[M+H]でピークを示し、そして、3.8に対応するm/z=233.9[M+H]で非常に小さなピークを示した。化合物3.9のHPLC分析は、t=24.54分(ピーク領域全体の86%)において、主なピークを1つだけ示した。このデータは、文献の報告に一致しており、所望の生成物の作製を確認するものである40
【0152】
スキーム22:標準的なm−ヨードベンジルグアニジン(3.9)の合成
【化25】

【0153】
3.7を用いた化合物3.9の合成は、この手順の3.5の合成への適用を促進した(スキーム23、アプローチC)。化合物3.0を1.1等量の3.7とメタノール中で反応させ、一晩還流させた。Mosherら12により示唆されているように反応を室温で行った場合、変換は不完全なものであった。粗反応混合物をメタノールからFC−72(登録商標)への抽出することによって、乳白色のオイル状の生成物が許容可能な収率(88%)で生成された。
【0154】
スキーム23:以下のアプローチCによる化合物3.5の合成の成功
アプローチC
【化26】

【0155】
陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトロメトリー(図30)は、m/z=1309.9[M+H]で単一のピークを示した。これは、3.5の形成に一致している。エレクトロスプレイ・スペクトルは、前駆物質(3.0)と関連したピークをなんら示さなかった。これは、1268のm/z値を有していたが、アプローチBを用いた場合に認められたm/z+/−15に対応するピークを有していなかった。現時点では、3.5の解像されたH NMRおよび13C NMRスペクトルは、まだ得られておらず、化合物の溶解度は良好ではない。
【0156】
標識したMIBG(3.10)の合成
最終的なNa125Iの使用のための生成物および反応条件を評価するために、3.5の冷ヨウ素化を行った(スキーム24)。アプローチCを経て合成された3.5のサンプル(3.90μmol)をメタノール中に溶解した。撹拌溶液に、NaI(4.6×10−7mmol)を添加し、その後即座に過酢酸オキシダントを添加した。その反応物を2時間撹拌し、次いで、100μLの10%メタ重亜硫酸ナトリウム溶液を用いてクエンチングした。希釈反応溶液の精製は試みなかった。しかしながら、フルオラス物質を切断した生成物から容易に除去できることは確立されていた。
【0157】
スキーム24:NaI(3.10)を用いたMIBGの冷標識
【化27】

【0158】
化合物3.10の陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルでは、m/z=275.9[M+H]においてピークが現れた。それは、生成物に一致している(図31)。化合物3.10の100μLのアリコートのHPLCは、滞留時間が7.2、14.7、および24.9分の時、ピークを示した(図32)。7分および24.9分で溶出するピークは、溶媒フロントおよび生成物3.10にそれぞれ割り付けられた。MIBGの標準的な調製は、類似の滞留時間24.5分で溶出した。14.7分でのピークは、全MIGBの1%未満を表すものであった。また、ピークをもたらす化合物の性質はいまだ不明である。
【0159】
MFBG(3.11)の合成
3.5のヨウ素標識化の良好な結果を受けて、m−フルオロベンジルグアニジン(MFBG)の合成の可能性を調べた。MFBG(3.11)の合成のためのフルオロ脱スタンニル化反応をスキーム25に示している。化合物3.5の冷却フッ素化反応は、これまでの反応(3−フルオロ安息香酸と3−フルオロベンズアミド)と類似の方法で進行した。FC−72(登録商標)中に溶解した3.5を含有するFEPチューブに、約0.7等量のF(Ne中0.6%)を−93Cで泡立てた。その反応の後、反応物から、FC−72(登録商標)、槽をすすぐために用いられるメタノールとともに、回転蒸発器上に除去し、アセトニトリル:水(1:1)で希釈し、調整フルオラスカラムに通した。
【0160】
スキーム25:MFBG(3.11)の合成
【化28】

【0161】
化合物3.11の陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルは、m/z=168.0[M+H]で単一のピークを示した(図33)。マススペクトルは、m/z>1000においてフルオラス不純物の証拠を何も示さなかった。または、m/z=126[M+H]において3−フルオロベンジルアミンの証拠を何も示さなかった。
【0162】
化合物3.11のHPLCクロマトグラムは、溶媒フロント(t=2〜6分)におけるピークならびに、25.3分、30.3分、および35.0分において溶出するピークを有している(図34)。これらの溶出条件下では、滞留時間15.8分をもつ、3−フルオロベンジルアミンに対応するピークはない。溶出条件は、MIBGで用いたものと同じである。したがって驚くべきことに35分で溶出する主なピーク(61+%)はMIBGより高度に残留している。より長い残留時間は、ジフッ化またはビグアニジニウム種を示唆するかもしれない。しかしながら、これらの生成物に対応するピークは、エレクトロスプレイ・マススペクトルには認められない。あいにく、これらの実験時において、MFBGの標準規格は、これらの結果を解釈するために利用することができなかった。
【0163】
化合物3.11の19F NMRは、3つのピークを示している(図35)。2つの主なピークは、−109.5ppmと−110.3ppmの中心にあり、9.2Hzと8.7Hzとをそれぞれ結合するH、Fを有している。これらのピーク位置および結合定数は、メタまたはパラ−フッ化アリール化合物に一致している。結合定数がより小さいということは、まず、1,2もしくは1,4ジフッ化種が存在しないことを示す。変化するピーク位置は、むしろアイソマーに起因しない場合、変化するプロトン化の状態の結果であることができ、フッ素のシフトに著明に影響を及ぼすことがわかった41。スペクトルの弱い解像度は、溶離液をさらに濃縮することなしに得られた。場合によっては生成物に損失をもたらすと思われたので、凍結乾燥機上でのサンプルの濃縮は避けた。
【0164】
トリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズ−3−ベンジルアミンによる結合
項目2で述べたように、短いペプチド配列を用いて、放射性核種を特異的なレセプターに対する標的としていた。このタイプの薬剤に特異的なレセプターとしては、すべての未結合の物質が放射性医薬品から分離されることが重要である。したがって、ペプチドを標識化するためのフルオラスアプローチを開発することが有利であるだろう。本項では、これらの目標に向けての予備的ステップを講じている。特に、モデルオリゴペプチドのカルボン酸の末端のフルオラス「タグ付けされた」ベンジルアミンへの結合が開発された。
【0165】
走化性ペプチド、N−ホルミル−Met−Leu−Phe−Gly、3.12は、多型核白血球や単核マクロファージに結合する細菌生成物である。Fischmanらは、このペプチドの放射線標識した誘導体が膿瘍や炎症の部位を画像化するのに有効であることを示した42。用量が高くなると走化性ペプチドの毒性が重篤になり、それらの臨床的応用を妨げていた。その結果、あらゆる非標識の物質が除去されることが必須である。
【0166】
N−ホルミル−Met−Leu−Phe−GlyまたはGFLM(f)(3.12)
【化29】

【0167】
トリス(ペルフルオロヘキシルエチル)−3−ベンジルアミン−GFLM(f)(3.13)の合成
フルオラス「タグ付けされた」ベンズアミド合成のために開発された結合方法は、現在の目的のために適用できるはずである。しかしながら、この場合、ペプチドカルボン酸の末端は、ベンジルアミン(3.0)による求核攻撃のために活性化されるであろう(HBTU)。
【0168】
化合物3.13(スキーム26)の合成では、3.0と3.12とをDMF中で結合させ、その後アクリル化試薬(HBTU)と塩基を添加した。その反応物を室温で一晩撹拌し、水で希釈し、FC−72(登録商標)中に抽出した。FC−72(登録商標)層は、ほんの少量の生成物3.13を、未処理の3.0とともに含有していることがエレクトロスプレイ・マススペクトロメトリーによってわかった。3.13の大半は、実際は、FC−72(登録商標)とDMF/HOとの間に仕切られている。明らかに、ペプチドの極性は、生成物がもはや完全にフルオラス溶媒に溶解可能とはならないようにするのに十分である。一方、フルオラス「タグ」は、ペプチドがHO相に溶解するのを妨げる。この結果は、界面エマルジョンを回収することによってあらゆる未処理のフルオロフィーリックな前駆物質(3.0)からフルオロフォービックな生成物(3.13)を容易に精製することができるのでやや好都合である。
【0169】
得られた白色のエマルジョンを単離した後、FC−72(登録商標)から再抽出し、あらゆる未処理の3.0を除去した。得られた厚い、ゴム状の白色の固体の収率(33%)は、純粋なサンプルの単離を確実にするために調整した。
【0170】
スキーム26:化合物3.0のGFLM(f)への結合.
【化30】

【0171】
図36は、化合物3.13の陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルを示す。ピークパターンは、m/z=1744[M+H]、m/z=1761[M+NHおよびm/z=1766[M+Na]の生成物の特徴を有している。そのスペクトルは、前駆物質3.0に対応するm/z=1268においてはピークを示さなかった。
【0172】
化合物3.13のヨウ素標識化
フルオラス「タグを付けた」化合物(3.13)の特徴を調べるために、さらにそれをヨウ素溶解反応によって切断した(スキーム27)。3.13の精製サンプルをメタノール中の余剰のヨウ素およびクロロホルムと一晩反応させた。余剰のヨウ素を、メタ重亜硫酸ナトリウムを用いてクエンチングし、その溶液を回転蒸発器上で濃縮した。得られた残留物をアセトニトリル:水(1:1)で希釈し、エレクトロスプレイ(図37)およびHPLC(図38)を用いて特徴を調べた。
【0173】
スキーム27:化合物3.13のヨウ素溶解
【化31】

【0174】
化合物3.14の陽イオンマススペクトルは、m/z=710[M+H]、m/z=727[M+NH、およびm/z=732[M+Na]において、所望の生成物に対応するピークを明らかに示している。可能な不純物、3−ヨードベンジルアミンに対応する、m/z=234でのピークは存在しない。化合物3.14のHPLCクロマトグラムは、滞留時間3.3分および19.4分において、おそらく溶媒フロントと生成物にそれぞれ対応する、2つのかなり大きなピークを示している。同じ溶出条件でのGFLM(f)のHPLCクロマトグラムは、t=13.6および14.8分を有している。一方、3−ヨード安息香酸の標準規格は、t=6.5分である。したがって3.14のクロマトグラムは、GFLM(f)と比較して滞留時間の長い、かつ、t=6.5分での不純物を示さない生成物の形成を確認している。
【0175】
要約
トリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズ−3−ベンジルアミン(3.0)の合成は、より広範囲のアレイの生体分子の合成と標識化を容易にするはずである。最初の結果は、MIBG(3.10)およびMFBG(3.11)の、対応するフルオラス「標識化された」前駆物質(3.5)の合成の成功を示していると思われる。しかしながら、前駆物質と生成物をさらに詳細に特徴を調べるには、標識化の実験を、[18F]FおよびNa125Iを含むほどに拡大する必要がある。
【0176】
化合物3.0を介しての、フルオラス「タグ付けされた」ペプチドの合成はまた、標準的な結合方法を用いて示された。溶解度の差によって、ペプチド結合生成物(3.13)の、あらゆる未処理のフルオラス基質からの単純な抽出による精製が可能となる。この結合プロトコルは、広範囲のアレイの短いペプチドがフルオラス支持体と後に結合することを可能にする。ヨウ素を用いた3.13の予備的な標識化は後に、[18F]FおよびNa125Iに拡大しなければならないであろう。
【0177】
ここに記載の技法は、放射性医薬品の調製のための新規な手段として用いることができる。それは、広範囲な精製を行わずに、高い放射化学的および化学的収率で、高い比放射能で、標識された化合物を容易に合成することを可能にする。これは、放射性撮像および治療薬の標的とされたレセプターにとって特に重要である。このアプローチはまた、薬学的および放射性医薬品発見の研究に利用することもできる。
【0178】
報告された技法は、従来の樹脂ベースの標識化の方法と比較して多くの利点を有している。上記方法は、放射線標識した化合物を、従来の放射線標識法と比較してより効率的、安全に、かつより便利に、調製するために使用することができる。アプローチは、99mTc、94mTc、186Re、105Rh、18F、11C、125I、123I、131I、76Brおよび111Atを含む広範囲なアイソトープに適用することが可能であり、容易に自動化することが可能である。
【0179】
フルオラスタグ付けされた化合物は、容易にペルフッ化溶媒中に溶解されうる。これらの溶媒は特に、標識化反応を行う際に有用である。なぜなら、それらは18F−19F(すなわちF)のような反応化合物に対して安定だからである。さらに、11CO11COなどのガスは、ペルフッ化溶媒中に高度に溶解性を有しており、それによって従来の溶媒中において行われた反応と比較して生成物の収率を高めることになるであろう。例えば、スキーム28に示すように、フルオラススズ基質から、炭素−11標識したベンゾフェノンを調製することが可能である。その反応は、5分未満で完了し、標識されたベンゾフェノンを主生成物として生成する。このアプローチは特に、PETを用いて生体分布研究を行っていた薬物開発に適用可能である。
【0180】
スキーム28:標識されたベンゾフェノンの合成
【化32】

【0181】
フルオラス支持体を使用することによって、不溶性ポリマー支持体を用いたアプローチに比べて、標識化され得る化合物の数が増加する。従来の合成方法は、強力な反応条件を必要とせずに、化合物をフルオラス支持体に付着させるために用いることができる。不純物は(ポリマーが支持する方法とは異なり)、標準的な化学的技法を用いて、除去することが可能である。さらにフルオラス標識された基質は、医学的に使用することが認められている化合物および/また技法を得る際に重要な伝統的な方法を用いて、容易に特徴を調べることができる。この報告されたアプローチはまた、放射性医薬品のライブラリーを開発するために使用することができる。それは、新たな撮像剤が発見される速度および効率性を促進することができるであろう。
【0182】
実施例
本発明を概略的に解説したところで、以下の実施例を参考にすれば、より容易に理解されようが、以下の実施例は単に本発明の特定の局面および態様の描写を目的に含まれたのであり、本発明を限定するものとは、意図していない。
【0183】
一般的な手順
分析的TLCを長波長の紫外光での検出を備えたシリカゲル60−F254(Merck)上で行った。HPLC実験(冷却)は、PDA検出器およびC−8もしくはC−18逆相カラム(説明されていれば)を備えたVarian ProSTar HPLCシステムを用いた。フッ素−18標識された3−フルオロ安息香酸のHPLC分析には、Waters 490E プログラム式多波長検出器およびBeckman放射性同位体検出器(Model 170)を用いた。アセトニトリルおよび蒸留脱イオン水を移動相(示されている場合は、緩衝された/酸化された)として用いて示したように、勾配もしくは無勾配溶出を行った。H、13Cおよび19F NMRスペクトルをBruker Avance AC-200またはDRX-500スペクトロメーター上に記録した。X線構造をMo Kα放射線を用いて、CCD検出器が固定されたSiemens回転アノード機器上に回収した。エレクトロスプレイ・マススペクトロメトリー(ESMS)をFisons Platform四極子機器上で行った。化学的イオン化マススペクトル(CIMS)を70eVで、ソース温度200Cで、VG11-250データシステムを備えたVG Instruments分析ZAB-Eマススペクトロメーター上で測定した。IRスペクトルをBio-Rad FTS-40 FT FTIR スペクトロメーターに通した。融点は、Fisher-John融点装置を用いて測定した。フッ素−18標識されたFは、18O(p、n)18F核反応によって、11MeVで作動するSiemens RDS 112プロトンサイクロトロンを用いて、「ダブルシュート」法18で作製した。
【0184】
材料
以下は例外として、全て市販の試薬を用いた。THFは、ナトリウムおよびベンゾフェノンから蒸留した。トルエンは、水酸化カルシウムから蒸留した。Enriched[18O]O18O、95.87%、Eurisotope, St. Aubin,
France)、ネオン(99.999%、Air products)、1%Fを含むネオン(Canadian Liquid Air)、HPLCグレード溶媒(Caledon)、試薬グレードFC−72(登録商標)(3M corporation)、およびペルフルオロヨウ化オクチル、フェニルスズトリクロリド、3−(エトキシカルボニル)フェニルジン(phenylzin)溶液、およびベンゾトリフルオリドは、全てAldrichから購入した。
【0185】
トリス[(2−ペルフルオロヘキシル)エチル]フェニルスズ(2.4)。Masahideらによって開発された手順を次のように行った43。削り状マグネシウム2.308g(94.9mmol)に対して、22.501g(47.5mmol)のペルフルオロヨウ化オクチルの入った10mLの乾燥エーテルを添加した。その反応混合物を、25分間還流して撹拌し、次いで1.95mL(11.9mmol)のフェニルスズトリクロリドを20mLの乾燥トルエンに添加した。反応物を70Cで4時間、次いで室温で一晩撹拌した。反応混合物を40mLの塩化アンモニウム溶液、3部の200mLの5%のナトリウムチオールスルファート溶液を用いてクエンチングした。組み合わせた水溶性層を3部の100mLのジエチルエーテルを用いてさらに抽出した。次いで、結合した有機画分を乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮した。真空蒸留によってホモ結合した不純物を82C(ほぼ0.2mmHg)で除去し、残基をフラッシュクロマトグラフィーによって中性アルミナ上で精製した。ヘキサンを用いた溶出によって、無色のオイルとして2.4を得た:収率11.031g(75%)。TLCR0.89(6:1ヘキサン−ジエチルエーテル)。H NMR(200MHz、CDCl):δ1.23(t、6H)、Sn付随体(Sn、H=51.7Hz)をもつ、2.24(m、6H)、7.33(s、5H)。13C NMR(50.3MHz、CDCl):δ−1.49、27.74(t、F、C=23.5Hz)、129.06、129.65、136.08。MS(ESMS)、(IPA、2mM NHOAc):m/z1297.0[M+OAc−H]、m/z=1283.0[M+OAc−CH。IR(薄膜):2962、2928、2875、2862、1241、1146、497cm−1
【0186】
ブロモトリス[(2−ペルフルオロヘキシル)エチル]スズ(2.3)。15.860g(12.8mmol)の2.4を含有する20mLのジエチルエーテル溶液に対して、0Cで、670μL(13mmol)の臭素を含有する20mLのジエチルエーテル溶液をゆっくり添加した。その反応溶液を0Cで2時間、そして室温で一晩撹拌した。その反応溶液を減圧下で濃縮した。162C(ほぼ0.2mmHg)で真空蒸留を行うことによって、無色のオイルとして2.3を得た:収率15.487g(97%)。H NMR(500MHz、CDCl):δ1.57(t、6H)、Sn付随体(Sn、H=54.1Hz)をもつ、2.46(m、6H)。13C NMR(126MHz、CDCl):δ6.11、Sn付随体(Sn、C=374Hz)をもつ、27.60(t、F、C=22.9Hz)、108.86〜120.71(m、CF、CF)。MS(ESMS、IPA2mM NHOAc):m/z1279.5[M+OAc]。IR(薄膜):3472、3417、2949、1442、1146cm−1
【0187】
トリス[2−ペルフルオロヘキシルエチル]スズ−4−ブロモベンゼン(2.8)の合成。手順は、Lequan44らによって用いられたものを採用した。37mg(1.52mmol)の削り状マグネシウムに対して、390mg(1.66mmol)のp−ジブロモベンゼンを含有する8mLのTHF溶液をゆっくり添加した。その反応混合物を2時間、820mg(0.662mmol)の2.3を含有する6mLのTHF溶液を添加する時間において、還流させた。その反応溶液を一晩撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残基を3部(3mL)のFC−72(登録商標)を用いて、ジクロロメタンおよび水から抽出した。結合したFC−72(登録商標)層を再び、ジクロロメタンから抽出し、その後減圧下で濃縮し、明るい無色のオイルとして2.8を得た:収率0.538mmol(81%)。H NMR(200MHz、CDCl):δ1.30(t、6H)、2.30(m、6H)、7.24(d、2H)、7.56ppm(d、2H)。MS(ESMS):m/z1375。[M+OAc]および1297.1[M+OAc−Br]
【0188】
4−ブロモベンジルオキサゾリン(2.9)。手順は、Hughes, Aら45によって用いられたものを採用した。7.0mL(96mmol)中に4.00g(19.9mmol)の塩化チオニルを含む混合物を2時間還流させ、その後、減圧下で濃縮した。10mLのジクロロメタンに溶解させたその生成物に対して、0℃で、3.8mL(40mmol)の2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールの入った10mLのジクロロメタン溶液をゆっくり添加した。その反応溶液を一晩徐々に加温し、濾過し、2部の10mLの水から抽出し、MgSO上で乾燥させた。その溶液を減圧下で濃縮した。そして、4.850g(17.82mmol)の固体に、6mL(80mmol)の塩化チオニルを添加した。その反応混合物を45分間撹拌した後、大量のジエチルエーテルを添加し、白色の固体を析出させた。その固体を濾過し、3N NaOHからジエチルエーテル中に抽出させ、さらに3部の10mLの3N NaOHで洗浄した。結合した有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、明るい固体として2.9を得た:収率4.810g(95%)。H NMR(200MHz、CDCl):δ1.42(s、6H)、4.17(s、2H)、7.56(d、2H)、7.87(d、2H)。13C NMR(50.3MHz、CDCl):δ28.26、67.58、79.32、125.99、126.68、129.80、131.53、161.48。マススペクトル(EI):m/z254。
【0189】
トリス[2−ペルフルオロヘキシルエチル]スズ−ベンジルオキサゾリン(2.10)の合成。手順は、Miliusら46によって用いられたものを採用した。215mg(8.83mmol)の削り状マグネシウムに対して、1.122g(4.415mmol)の2.9を含有する18mLのTHF溶液をゆっくり添加した。その撹拌混合物に、1,2−ジブロモエタン(20滴)を添加し、1時間還流させた。この溶液を、547mg(4.415mmol)の2.3が入った3mLのFC−72(登録商標)と14mLのベンゾトリフルオリドとを含有する溶液に添加した。その反応溶液を室温で一晩撹拌し、次いで、減圧下で濃縮した。残留物を3部(3mL)のFC−72(登録商標)を用いてジクロロメタンおよび水から抽出した。結合したFC−72(登録商標)層を、ジクロロメタンで再抽出し、減圧下で濃縮し、明るい無色のオイルとして2.10を得た:収率528mg(90%)。H NMR(200MHz、CDCl):δ1.32(t、6H)、1.40(s、6H)、2.30(m、6H)、4.14(s、2H)、7.44(d、2H、J=8.2Hz)、7.97(d、2H、J=8.1Hz).13C NMR(50MHz、CDCl):δ−1.25、27.68(t、F、C=23.4Hz)、28.47、67.71、79.46、128.36、135.97。MS(ESMS):m/z1394.2[M+OAc]
【0190】
トリス[2−ペルフルオロヘキシルエチル]スズ−3−エチルベンゾエート(2.14)。8.523g(6.879mmol)の2.3を含有する10mLのTHF溶液に、0℃で、41.2mL(20.6mmol)の0.5M 3−(エトキシカルボニル)フェニル亜鉛のTHF溶液をゆっくりと添加した。その溶液を2時間かけて室温に加温し、室温で一晩撹拌した。その反応溶液を減圧下で濃縮し、残留物を4部の5mLのFC−72(登録商標)を用いて20mLのメタノールから抽出した。結合したFC−72(登録商標)層を、減圧下で濃縮し、高圧化で乾燥させて、2.14を無色のオイルとして得た。収率8.903g(98.9%)。TLCR0.58(6:1 ヘキサン:ジエチルエーテル)。H NMR(500MHz、CDCl):δ1.35(t、6H)、1.39(m、3H)、2.33(m、6H)、4.39(q、2H、J=7.1Hz)、7.49(t、1H、J=7.0Hz)、7.57(d、1H、J=7.2Hz)、8.05(d、1H)、8.07(s、1H)。13C NMR(50.3MHz、CDCl):δ−1.12、14.20、27.87(t、F、C=23.3Hz)、61.17、108.92〜118.84ppm(m、CF、CF)、128.90、129.54、130.79、131.13、131.84、136.06、136.97、137.34、140.30、143.46、166.67。MS(ESMS、IPA2mM NHOAc):m/z1369.5[M+OAc]、m/z=1279.4[M−OEt]
【0191】
トリス[2−ペルフルオロヘキシルエチル]スズ−3−安息香酸(2.2)。8.903g(6.801mmol)の2.14と34mLの1N NaOHの入った34mLのメタノールとの混合物を24時間還流させた。メタノールを減圧下で除去し、残留物を4部の5mLのFC−72(登録商標)を用いて抽出した。次いで結合したFC−72(登録商標)層を20mLのジクロロメタンおよび10mLの1N HClから2回抽出した。結合したFC−72(登録商標)層を減圧下で濃縮し、無色のオイルとして2.2を得た:収率8.584g(98%)。数日後、2.2は、白色の固体として結晶化した。1mLのペンタン中に約100mgの2.2を溶解し、続いて、1週間かけてゆっくりと蒸発させて、無色の針状の2.2を得た。TLCR0.21(6:1ヘキサン−ジエチルエーテル)。H NMR(200MHz、CDCl):δ1.34ppm(t、6H)、Sn付随体(Sn、H=53.4Hz)をもつ、2.31(m、6H)、7.51(t、1H、J=7.7Hz)、7.62(d、1H、J=7.1Hz)、8.11(d、1H)、8.12(s、1H)。13C NMR(126MHz、CDCl):δ−1.53−1.06、27.42(t、F、C=24.40Hz)、108.49−118.51(m、CF、CF)、128.66、129.02、129.73、130.01、130.39、131.08、131.34、134.00、135.906、136.16、137.53、141.00、141.23、172.61、172.04。MS(ESMS、IPA):m/z1279.1[M−H]。IR(薄膜):3410、2981、2950、1631、1610、1593cm−1
【0192】
一般的な手順:F反応からの3−フルオロ安息香酸(2.15)。0.191g(0.149mmol)の2.2の入った1mLのFC−72(登録商標)に、−85℃で、0.5%F(118μmol)の入ったNeをFEPチューブ中で泡立てた。Fは、35分かけて容易に溶液中に放出させた。反応溶液を、槽を洗浄するために用いた3部の3mLのメタノールとともに大きなバイアル中で濃縮した。残留物を3部の3mLの1:1アセトニトリル:水で洗浄し、調整されたフルオラス逆送カラム(1g)に溶出し、2.15を得た。収率28.2μmol(24%)。HPLC分析は、分析的(250mm×4.6mm)C逆相カラム上で行った。標準と一致している4.22分の滞留時間は、流速=1mL/分、溶離液:50%水(0.2%TFA):50%アセトニトリル(0.2%TFA)、λ=280nmのとき発生した。19F NMR(188.16MHz、MeOH:CHCl)。δ−112.00(d、F,H=5.65Hz)。MS[ESMS、1:1IPA:(ACN:HO)]:m/z139.1[M−H]
【0193】
一般的な手順:[18F]3−フルオロ安息香酸(2.16)。1mLのFC−72(登録商標)の0.124g(97.2μmol)の2.2に対して、−85℃で、[18F]F(15〜20μmol)の入ったNeをFEPチューブ中で泡立てた。反応溶液および2部の2mLの槽をすすぐために用いられるメタノールを結合し、N流のもと、湯浴にて蒸発させた。残基を3部の3mLのアセトニトリル:水(1:1)ですすぎ、フルオラス逆送カラム(1g)に溶出した。HPLC分析は、分析的(250mm×4.6mm)C逆相カラム上で行った。標準と一致している4.18分の滞留時間は、流速=1mL/分、溶離液:50%水(0.2%TFA):50%アセトニトリル(0.2%TFA)、λ=280nmのとき発生した。γ検出器を使用するクロマトグラムは、機器間の時間遅れに一致する4.99分の滞留時間において、単一のピークを示した。19F NMR(188.16MHz、CHCN:HO)。δ−110.10(d、F、H=7.24Hz)。MS[ESMS、1:1 PA:(ACN:HO)]:m/z139.0[M−H]
【0194】
3−ヨード安息香酸(I反応)(2.17)。2mLのアセトニトリル中に0.127g(99.1μmol)の2.2を含有する混合物に対して、1mL(0.1mmol)のヨウ素メタノール溶液を添加した。その反応混合物を16時間撹拌し、次いで、メタ重亜硫酸ナトリウムの結晶を用いてクエンチングした。その反応物を2.5mLの蒸留脱イオン水で希釈し、その全量を、アセトニトリル:水(1:1)を用いて前調整したフルオラスカラム(3.9g)に通した。カラムを25mLのアセトニトリル:水(1:1)を用いて溶出し、2.17を溶液として得た。HPLC分析は、分析的(250mm×4.6mm)C逆相カラム上で行った。3−ヨード安息香酸の標準と一致している9.90分の滞留時間は、流速=1mL/分、溶離液:80%水(0.1%HFBA):20%アセトニトリル(0.2%TFA)、λ=254nmのときに観察された。あるいは、流速=1mL/分、溶離液:80%水(pH=7.4):20%アセトニトリル、λ=254nmに条件を変化させたとき、2.9分において2.17が溶出した。これも、標準規格に一致している。MS(ESMS)、m/z246.9[M−H]
【0195】
3−ヨード安息香酸(Na127I反応)(2.18)。200μLのメタノール中に5.4mg(4.15μmol)の2.2を含有する溶液に対して、4μL(0.184nmol)のNaIの入った0.1N NaOH、次いで2μLの過酢酸(酢酸中32%)を添加した。反応物を100μLの10%メタ重亜硫酸ナトリウム溶液を用いて、2時間クエンチングし、蒸留脱イオン水を用いて1mLに希釈した。HPLC分析は、分析的(250mm×4.6mm)C18ヌクレオシル逆相カラム上で行った。100μLのアリコートをHPLC分析すると、滞留は10.2分で、標準規格(流速=1mL/分:50%水(0.2%ギ酸):50%アセトニトリル(0.2%ギ酸)、λ=254nm)に類似していた。
【0196】
125I]3−ヨード安息香酸(Na125I反応)(2.19、不純物なし)。200μLのメタノール中に1.4mg(1.07μmol)の2.2を含有する溶液に対して、5μL(32μCi)のNa125Iの入った0.01N NaOHを添加し、その後2μLの過酢酸(32%酢酸中)を添加した。反応物を47分間撹拌し、20μLの10%メタ重亜硫酸ナトリウム溶液でクエンチングし、300μLの蒸留脱イオン水で希釈した。HPLC分析は、分析的(250mm×4.6mm)C18逆相カラム上で行った。20μLのアリコートをHPLC分析すると、滞留時間はγ検出器を用いるクロマトグラム上で、16.91分であった。溶媒フロント以外は、可視のUVの吸収はなかった。滞留時間は、3−ヨード安息香酸の標準規格(流速=0.5mL/分、50%水(0.2%ギ酸):50%アセトニトリル(0.2%ギ酸)、λ=254nm)に一致している。
【0197】
その溶液を1mLの蒸留脱イオン水で希釈し、予め水で調整してあるWaters C18 Sep−Pakで溶出させた。そのカラムをさらに1.5mLの蒸留脱イオン水で溶出させると、結合した画分は、3μCiの放射能を示していた。次いで、そのカラムを2mLのHPLCグレードのアセトニトリルで洗浄したところ、23μCi放射能を発した。カラムを1mLのアセトニトリルでさらに洗浄したところ、わずか1μCiの放射能が放出された。Sep−Pak(4μCi)および元の反応槽(1μCi)中に、残りの放射能が認められた。HPLC分析は、分析的(250mm×4.6mm)C18逆相ヌクレオシルカラム上で行った。20μLのアリコートをHPLC分析すると、γ検出器上での滞留は16.586分であった。滞留時間は、3−ヨード安息香酸の標準規格(流速=0.5mL/分、50%水(0.2%ギ酸):50%アセトニトリル(0.2%ギ酸)、λ=254nm)に一致している。
【0198】
溶出条件を、流速=1mL/分:100%アセトニトリル、およびλ=254nmへ変更した結果、γ検出器上では4.458分に、UVクロマトグラム上では6.379分および6.720分に2つのピークが認められた。これらの2つのピークは、類似の溶出条件において、2.2と類似の滞留時間である、6.613分を有していた。
【0199】
アセトニトリル溶液(約2mL)を2mLの蒸留脱イオン水で希釈し、Fluorous technologies(登録商標)Sep-Pakを通した。9μCiの全量を溶出量中に放出させた。カラムを更に4mLの(1:1)アセトニトリル:水で洗浄したところ、先の画分と結合したときに19μCiの全量を産出した。Fluorous Sep-Pakまたは先のバイアルのいずれにおいてもさらなる放射能は認められなかった。HPLC分析は、分析的(250mm×4.6mm)C18逆相ヌクレオシルカラム上で行った。20μLのアリコートをHPLC分析すると、UVクロマトグラム(流速=1.0mL/分:100%アセトニトリル、およびλ=254nm)で6.532分に小さなピークが認められた。
【0200】
トリス[2−ペルフルオロヘキシルエチル]スズ−3−ベンズアミド(2.21)。2.5mLのDMF中に294mg(226μmol)の2.2を含有する反応溶液に対して、0.130g(344μmol)のHBTU、続いて90μL(517μmol)のジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を添加した。その反応溶液を5分間撹拌した後、251μL(2.29mmol)のN,N−ジメチルエチレンジアミンおよび400μL(2.30mmol)のDIPEAを添加した。次いで、その反応溶液を16時間撹拌した。その溶液を20mLの水で希釈し、50mLのジクロロメタンおよび10mLのFC−72(登録商標)中に溶出させた。更に10mLの3部のジクロロメタンを用いてFC−72(登録商標)層を再抽出した。結合した有機層は、20mLの水で再抽出させ、その後、減圧下で濃縮し、暗橙色のオイルとして2.21を得た:収率227mg(74%)。TLCR0.00(6:1ヘキサン−ジエチルエーテル)。H NMR(CDCl、200MHz):δ1.31(t、6H)、Sn付随体(Sn、H=54.8Hz)をもつ、2.31(6H)、2.33(m、6H)、2.59(dt、2H)、3.55(q、2H)、7.14−7.90(m、4H)。13C NMR(CDCl、50.3MHz):δ−1.43、27.55(t、F、C=23.4Hz)、37.11、44.87、57.75、104.80−120.03(m、CF、CF)、127.04、127.71、128.66、134.70、134.82、136.01、137.53、138.69、167.16、167.41。IR(薄膜):3338、2950、2831、1650cm−1。MS(ESMS)、m/z1353.0[M+H]
【0201】
3−ヨードベンズアミド(2.21のI反応)(2.20)。200μLメタノール中に3.2mg(2.37μmol)の2.21を含有する溶液に対して、30μL(3.0μmol)の0.1Mヨウ素を添加した。その反応溶液を1時間撹拌し、100μLの10%メタ重亜硫酸ナトリウム溶液でクエンチングした。その溶液を700μLの蒸留脱イオン水で洗浄し、ヌクレオシルC18逆相カラム上で分析した。16.6分と18.9分の滞留時間を観察した(流速=2mL/分、80%HO(0.01M NaHPO):20%CHCN、およびλ=254nm)。MS(ESMS)、m/z319[M+H]
【0202】
3−フルオロベンズアミド(2.21のF反応)。180mg(133μmol)の2.21の入った1mLのFC−72(登録商標)に、−90Cで、FEPチューブ中で、0.5%Fの入ったNe(131μmol)を泡立てた。Fは、25分かけて着実に溶液中に放出された。その反応溶液を、槽をすすぐために使用される2部の3mLのFC−72(登録商標)とともに大きなバイアル中で濃縮した。残留物を3部の3mLのアセトニトリルを用いて洗浄し、調整されたフルオラス逆相カラム(1g)に溶出させた。MS(ESMS)、m/z211.1[M+H]、193.1[M−F+H]
【0203】
トリス[2−ペルフルオロヘキシルエチル]スズ−3−ベンジルアミン(3.0)。125mLの9:1メタノール:水中に3.990g(2.84mmol)の3.3をpH=3.07とするのに十分な0.5N HClとともに含有する混合物を一晩撹拌した。その反応混合物に対して、20mLの1N NaOH溶液を添加し、その後減圧下でメタノールを除去した。続いてその反応混合物を4部(3mL)のFC−72(登録商標)を用いて抽出した。FC−72(登録商標)層を結合し、5mLのジクロロメタンから再抽出した。溶媒を減圧下で濃縮して、淡黄色のオイルとして3.0をえた:収率3.482g(97%)。TLCR0.22(6:1ヘキサン−ジエチルエーテル)。H NMR(200MHz、CDCl):δ1.31(t、6H)、Sn付随体(Sn、H=54.2Hz)をもつ、2.31(m、6H)、3.88(s、2H)、7.22−7.46(m、4H)。13C NMR(126MHz、CDCl):δ−1.37、Sn付随体(Sn、C=347Hz)をもつ、27.94(t、F、C=23.4Hz)、46.62、106.17−121.17(m、CF、CF)、128.63、129.19、129.72、134.60、134.90、135.56、135.66、136.96、138.42、140.08、143.89、162.09.IR(薄膜)、3386、2944、2870、1647、1250cm−1。MS(ESMS、IPA):m/z1268.5[M+H]
【0204】
1−(3−ブロモベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1,2,5−アザジシロリジン(azadisilolidine)(3.1)。Magnusらが開発した手順は以下のとおりである。10mLのジクロロメタン中に2.228g(11.98mmol)の3−ブロモベンジルアミンを含有する溶液に対して、3.4mL(24mmol)のトリエチルアミンを添加した。その溶液を30分撹拌し、次いで、5mLのジクロロメタン中に2.579g(11.98mmol)の1,1,4,4−テトラメチル−1,4−ジクロロシルエチレンを含有する溶液で処理した。反応混合物を3時間撹拌し、次いで100mLの飽和ナトリウムジヒドロゲンホスフェートに注いだ。反応混合物を3部の50mLのジクロロメタンを用いて溶出し、次いで、乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮した。残留物を160℃で蒸留し、明るい無色のオイルとして3.1を得た:収率2.510g(64%)。H NMR(200MHz、アセトン−d):δ0.00(s、12H)、0.78(s、4H)、4.06(s、2H)、7.20−7.48(m、4H)。13C NMR(50.3MHz、アセトン−d6):δ−0.26、8.01、45.59、122.15、126.10、129.35、129.53、130.69、146.01。IR(薄膜):3388、2953、1666、1251、および1132cm−1。MS(CI):m/z=312。
【0205】
トリス[2−ペルフルオロヘキシルエチル]スズ−(3−ブロモベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1,2,5−アザジシロリジン(azadisilolidine)(3.3)
30mLのTHFに4.301g(13.1mmol)の3.1を含有する溶液に、−78℃で、5.24mL(13.1mmol)の2.5M n−BuLiをゆっくりと添加した。その反応溶液を40分間撹拌し、続いて、20mLのTHF中に4.3662g(3.521mmol)の2.3を含有する溶液を添加した。その反応溶液を−78℃で2時間撹拌し、次いで5mLのFC−72(登録商標)および30mLのメタノールで希釈した。その反応溶液を、4mLのFC−72(登録商標)3部を用いて抽出した。結合したフルオラス層を減圧下で濃縮し、淡黄色のオイルとして3.3を得た:収率4.732g(96%)。H NMR(200MHz、CDCl):δ0.01〜0.21(s、12H)、0.80(s、4H)、1.34(t、6H、Sn、C−H=27.5Hz)、2.35(m、6H)、3.96〜4.06(s、2H)、7.28〜7.39(m、4H)。IR(薄膜)、3354、2955、2849、1256、および442cm−1。MS(ESMS、IPA):m/z1268.3[M−(2、2、5、5−テトラメチル−1、2、5−アザジシロリジン+H]
【0206】
3−ヨードベンジルアミン(3.0とのI反応)(3.4)。2mLのアセトニトリル中に0.164g(129μmol)の3.0を含む混合物に対して、1.5mLの0.1Mヨウ素のメタノール溶液を添加した。反応混合物を、16時間撹拌し、チオ硫酸ナトリウムの結晶を用いてクエンチングし、3mLの脱イオン化蒸留水を用いて希釈した。その反応混合物を、silicycle(登録商標)フルオラスシリカ(3.9g)を用いたフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。アセトニトリル−水(1:1)を用いて溶出を行い、4つの5mL画分を回収して3.4の溶液を得た。HPLC分析は、分析的(250mm×4.6mm)C逆相カラム上で行った。標準と一致している6.461分の滞留時間は、カラムを80%HO(pHはほぼ7.4)で溶出させたときに発生した。流速1.5mL/分およびλ=254nmで20%CHCN。MS(ESMS)、m/z233.9[M+H]
【0207】
ホルムアミジンスルフィン酸を用いたトリス[2−ペルフルオロヘキシルエチル]スズ−3−ベンジルグアニジン(3.5−アプローチB)。メタノール(15mL)中に1.964g(1.549mmol)の3.0を含有する混合物に対して、0.184g(1.704mmol)の3.7を添加した。その反応混合物を16時間撹拌し、次いでメタノールを、得られた粘性オイルからデカントした。そのオイルを3部の(10mL)温クロロホルム、次いで2部の湯で洗浄した。残留物を5mLのFC−72(登録商標)中に、ジクロロメタンおよび残りの水から抽出した。溶媒を濃縮して、明橙色のオイルとして3.5を得た:収率1.654g(82%)。マススペクトル(ESMS)、m/z1310.2[M+H]、1293.0[M+H−15]、および1325.0[M+H+15]
【0208】
アミノイミノ−メタンスルフィン酸(3.5、アプローチC)を用いたトリス[2−ペルフルオロヘキシルエチル]スズ−3−ベンジルグアニジン。1mLのメタノール中に518mg(409μmol)の3.0を含有する混合物に対して、55.8mg(450μmol)のアミノイミノメタンスルホン酸を添加した。次いでその反応混合物を16時間還流させた。その反応混合物を10mLのメタノールから5mLのFC−72(登録商標)に抽出した。溶媒を減圧下で濃縮し、橙色のオイルとして3.5を得た:収率468mg(88%)。TLCR0.25(6:1 ヘキサン−ジエチルエーテル)。IR(薄膜)、3349、3197、2946、1647、1449、1239、446cm−1。マススペクトル(ESMS)、m/z1309.9[M+H]
【0209】
アミノイミノメタンスルホン酸(3.7)。Mosherらが開発した手順は、以下のとおりである12。0.633g(5.85mmol)の3.6を、3.0mLの氷状の酢酸中に含有する混合物に対して、0℃で、1.56mLの32%過酢酸をゆっくり添加した。次いでその反応混合物を室温で16時間撹拌した。析出物を濾過し、5mLの5部の無水エタノールで洗浄し、乾燥させ、白色の結晶状の固体として3.7を得た:収率596mg(82%)。Mp:125〜126℃。
【0210】
3−ヨードベンジルグアニジン(3.9)。1mLのメタノール中に168mg(721μmol)の3.8を含有する溶液に対して、90.1mg(726μmol)の3.7を添加した。その反応溶液を16時間還流させ、次いで減圧下で濃縮し、粘性の黄色のガムとして3.9を得た:収率258mg。HPLC分析は、ヌクレオシルC18逆相カラム上で行った。24.54分の滞留時間は、カラムを80%HO(0.01MNaHPO):20%CHCNを用いて、流速2.0mL/分およびλ=231nmで行ったときに発生した。H NMR(MeOH、200MHz):δ4.22(s、2H)、6.99(t、1H)、7.22(d、1H)、7.49(d、1H)、7.56(s、1H)。13C NMR(MeOH、50.3MHz):δ48.95、99.31、131.64、135.72、141.05、141.93、144.30、162.65。IR(薄膜):3407、3192、1653、1115cm−1。MS(ESMS、メタノール)、m/z276.1[M+H]
【0211】
3−ヨードベンジルグアニジン(3.5を用いたNaI反応)(3.10)。200μLのメタノール中に5.1mg(3.90μmol)の3.5を含有する反応混合物に対して、10μL(0.460nmol)のNaI、続いて2μLの過酢酸(酢酸中35%)溶液を添加した。反応混合物を2時間撹拌し、その後、100μLのメタ重亜硫酸ナトリウム(10%)溶液を用いてクエンチングし、その後蒸留脱イオン水で1mLに希釈した。HPLC分析は、ヌクレオシルC18分析カラムを用いて行った。24.89分の滞留時間を観察した(80%HO(0.01M NaHPO):20%CHCN、流速2.0mL/分およびλ=231nm)。MS(ESMS)、m/z276.0[M+H]
【0212】
[F]を用いた3.5のフッ素化(3.11)。0.334g(0.255mmol)の3.5の入った1mLのFC−72(登録商標)に、−95Cで、172μmolの0.63%Fの入ったNeをFEPチューブ中で泡立てた。Fは、35分かけて着実に溶液中に放出させた。その反応溶液は3mLの、槽をすすぐために用いられるFC−72(登録商標)2部とともにバイアル中で濃縮した。残留物を洗浄し、3部の3mLの1:1のアセトニトリル:水を用いて洗浄し、調整されたフルオラス逆相カラム(1g)上に溶出させて、3.11溶液を得た。HPLC分析は、ヌクレオシル分析的(250mm×4.6mm)C18逆相カラム上で行った。34.98分の滞留時間が観察された(80%HO(0.01M NaHPO):20%CHCN。流速2.0mL/分およびλ=231nm)。19F NMR(ACN:HO、470.493Hz):δ−110.3(F,H=8.7Hz)、−109.5(F、H=9.2Hz)。MS(ESMS)、m/z168.0[M+H]
【0213】
トリス[2−ペルフルオロヘキシルエチル]−3−ベンジルアミン−GFLM(f)(3.13)。5mLのDMF中に137mg(108μmol)の3.0および84mg(170μmol)のGFLM(f)を含有する反応溶液に、71mg(187μmol)のHBTUを添加した。反応溶液に対して、97μLのDIPEAを添加し、16時間撹拌させた。その溶液を20mLの水を用いて希釈し、5mLのFC−72(登録商標)を用いて抽出した。FC−72(登録商標)と水性層とを区画化するエマルジョンを抽出し、3部の3mLのFC−72(登録商標)を用いて洗浄した。残りの溶媒を減圧下で除去し、乳白色のオイルとして3.12を得た:収率63mg(33%)。MS(ESMS)、m/z1744[M+H]、1761[M+NH、1766[M+Na]
【0214】
3−ヨードベンジル−GFLM(f)(3.13を用いたI反応)(3.14)。3mLのクロロホルム中に50mg(28.7μmol)の3.13を含有する反応混合物に、1.5mL(150μmol)を添加した。反応混合物は、16時間撹拌し、チオ硫酸ナトリウム溶液を用いてクエンチングした。減圧下でクロロホルムを除去し、混合物を10mLの5:1アセトニトリル:水で希釈した。反応溶液を3部の1.5mLのFC−72(登録商標)を用いて洗浄し、水性層を3.14が存在するかどうかについて調べた。HPLC分析は、ヌクレオシル C18逆相カラム(250mm×4.6mm)上で行った。19.4分の滞留時間を観察した(80%HO(0.01M NaHPO):20%CHCN、流速2.0mL/分およびλ=254nm)。MS(ESMS)、m/z319[M+H]
【0215】
N−ヒドロキシスクシンイミジル3−ヨード安息香酸の合成および精製。以下のスキームに記載の方法によって調製したN−ヒドロキシスクシンイミジルトリ(フルオロアルキル)スタンニルベンゾエートを、クロラミン−Tの存在下で、Lindegrenらの方法に従って、125と反応させた。Lindegren, S.; Skarnemark, G.; Jacobsson, L.;
Karlsson, B. Nuc. Med. Biol. 1998, 25, 659。
【0216】
スキーム
【化33】

【0217】
反応を止めて、早めに2つの別個の精製方法の可能性を比較した。最初の方法は、反応混合物を水で希釈した後ペルフルオロ化ヘキサン(FC−72)を用いて抽出するものである。水性層のHPLCトレース(図39)は、所望の生成物、その加水分解生成物、m−[125I]ヨード安息香酸およびいくつかの未処理の125を示した。抽出よりもより便利であり、より自動化されている第2の精製方法は、反応混合物を市販されているフルオラスSep−Pakに通すことを含んでいた。精製プロトコルは、100%の水で洗浄して、未処理のヨウ化物を除去し、その直後に80/20メタノール−水で除去し、所望の生成物を溶出させることを含んでいた。メタノール−水溶離液のHPLC(図40)は、所望の生成物に対応する1つの大きなピークを示している。フルオラス標識化法は、自動化、無菌化が容易であること、前駆物質の全てを従来の方法によって精製し、特徴づけるという事実を含め、従来の標識化法と比較して多くの利点を有している。
【0218】
本明細書において引用されている、すべての特許および文献を本明細書に引用によって援用する。
【0219】
均等物
当業者なら、ルーチンの実験法を用いるだけで、ここに記載された本発明の特定の実施形態に対して多くの均等物を認識または確認することになろう。そのような均等物は、以下の請求項に包含されることが意図される。
【0220】
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【図面の簡単な説明】
【0221】
【図1】図1は、2.2の誘導体化のH−NMR[CDCl、500MHz]スペクトルを示す図である。
【図2】図2は、化合物2.2のH−NMR[CDCl、200MHz]スペクトルを示す図である。
【図3】図3は、化合物2.2の陰イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルを示す図である。
【図4】図4は、化合物2.2のX線結晶構造を示す図である。
【図5】図5は、Fおよび[18F]Fの反応に用いられるフッ素化装置を示す図である。
【図6】図6は、精製された2.16のUVおよび放射能クロマトグラムを示す図である。
【図7】図7は、粗反応生成物の19F NMR[MeOH:ACN、188MHz]スペクトルを示す図である。
【図8】図8は、精製された2.16の19F NMR[HO:ACN、188MHz]スペクトルを示す図である。
【図9】図9は、精製前にフッ素処理された2.2の陰イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルを示す図である。
【図10】図10は、2.16(精製後)の陰イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルを示す図である。
【図11】図11は、新規なワークアップ装置を示す図である。
【図12】図12は、化合物2.17のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【図13】図13は、2.17の陰イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルを示す図である。
【図14】図14は、2.18(上図)および標準規格(下図)のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【図15】図15は、2.19の粗反応混合物のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【図16】図16は、Sep−Pak精製後の2.19のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【図17】図17は、2.19の粗反応混合物のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【図18】図18は、Sep−Pak精製後の2.19のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【図19】図19は、フルオラスカラムに精製した2.19のUVクロマトグラムを示す図である。
【図20】図20は、化合物2.21のH NMR[CDCl、200MHz]を示す図である。
【図21】図21は、化合物2.21の陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルを示す図である。
【図22】図22は、化合物2.20のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【図23】図23は、化合物2.20の陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルを示す図である。
【図24】図24は、3−フルオロベンズアミドの陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルを示す図である。
【図25】図25は、化合物3.0のH NMR[CDCl、200MHz]を示す図である。
【図26】図26は、化合物3.0の陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルを示す図である。
【図27】図27は、HPLCクロマトグラムの標準規格(上図)および3.4(下図)を示す図である。
【図28】図28は、精製された3.4の陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルを示す図である。
【図29】図29は、化合物3.5の陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルを示す図である(アプローチB)。
【図30】図30は、アプローチCによる3.5の陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルを示す図である。
【図31】図31は、3.10の陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルを示す図である。
【図32】図32は、3.10のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【図33】図33は、化合物3.11の陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルを示す図である。
【図34】図34は、MFBG(3.11)のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【図35】図35は、化合物3.11の19F NMR[ACN:HO、188MHz]スペクトルを示す図である。
【図36】図36は、化合物3.13の陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルを示す図である。
【図37】図37は、化合物3.14の陽イオンエレクトロスプレイ・マススペクトルを示す図である。
【図38】図38は、化合物3.14のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【図39】図39は、抽出プロトコルを用いて精製されたN−ヒドロキシスクシンイミジル3−ヨード安息香酸のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【図40】図40は、本発明のフルオラスsep−pakプロトコルを用いて精製されたN−ヒドロキシスクシンイミジル3−ヨード安息香酸のHPLCクロマトグラムを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線標識した化合物を精製する方法であって、 a)フルオラスポリマー上に、フルオロアルキルスズ部分を含む放射線標識した化合物の前駆物質を載せること、 b)前記放射線標識した化合物の前駆物質と放射線標識送達化合物とを反応させて、前記フルオロアルキルスズ部分が放射線標識で置換されている放射線標識した化合物を得ること、および c)前記フルオラスポリマーから前記放射線標識した化合物を溶出させること、を含む、方法。
【請求項2】
前記放射線標識した化合物がアリール部分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記放射線標識した化合物がアリール酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記放射線標識した化合物が安息香酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記放射線標識した化合物がベンズアミドである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ベンズアミドがN−(2−ジエチルアミノエチル)ベンズアミドである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記放射線標識した化合物がベンジルアミンである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記放射線標識した化合物がベンジルグアニジンである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記放射線標識した化合物がベンジルアミン−GFLM(f)である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記フルオロアルキルスズ部分がトリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記フルオラスポリマーがフルオラスシリカである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記放射線標識が、99mTc、94mTc、186Re、105Rh、18F、11C、125I、123I、131I、76Brおよび111Atからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。.
【請求項13】
前記放射線標識が、18F、125I、123Iおよび131Iからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項14】
前記放射線標識した化合物が安息香酸であり、前記フルオロアルキルスズ部分がトリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズであり、前記フルオラスポリマーがフルオラスシリカであり、前記放射線標識が18Fである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記放射線標識した化合物が安息香酸であり、前記フルオロアルキルスズ部分がトリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズであり、前記フルオラスポリマーがフルオラスシリカであり、前記放射線標識が125Iである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記放射線標識した化合物がN−(2−ジエチルアミノエチル)ベンズアミドであり、前記フルオロアルキルスズ部分がトリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズであり、前記フルオラスポリマーがフルオラスシリカであり、前記放射線標識が123Iである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記放射線標識した化合物がベンジルアミンであり、前記フルオロアルキルスズ部分がトリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズであり、前記フルオラスポリマーがフルオラスシリカであり、前記放射線標識が123Iおよび131Iからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記放射線標識した化合物がベンジルグアニジンであり、前記フルオロアルキルスズ部分がトリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズであり、前記フルオラスポリマーがフルオラスシリカであり、前記放射線標識が123Iおよび131Iからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記放射線標識した化合物がベンジルアミン−GFLM(f)であり、前記フルオロアルキルスズ部分がトリス(ペルフルオロヘキシルエチル)スズであり、前記フルオラスポリマーがフルオラスシリカであり、前記放射線標識が123Iおよび131Iからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公表番号】特表2006−503097(P2006−503097A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545341(P2004−545341)
【出願日】平成15年10月16日(2003.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2003/032721
【国際公開番号】WO2004/035744
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(501288260)モレキュラー インサイト ファーマシューティカルズ,インク (1)
【Fターム(参考)】