説明

放射線画像撮影システムおよびその動作制御方法

【課題】放射線画像撮影装置や放射線撮影制御装置の盗難を防止し、かつ病院外の災害現場や在宅診療の現場においてもこれらの装置を必要最低限使用することができようにする。
【解決手段】放射線画像撮影装置および放射線撮影制御装置がローカルエリアネットワークを介して接続された放射線画像撮影システムにおいて、放射線画像撮影装置または放射線撮影制御装置が、ローカルエリアネットワークと接続されているか否かを認識する接続認識部27c,15aと、接続認識部27c,15aにおいてローカルエリアネットワークと接続されていないと認識された場合に、放射線画像撮影装置または放射線撮影制御装置の機能の一部を制限する機能制限部27d,15bとを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影装置と放射線撮影制御装置とを備えた放射線画像撮影システムおよびその動作制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線の照射を受けて電荷を発生する半導体を用いた放射線画像検出器が種々提案されている。そして、近年では、このような放射線画像検出器などを小型の筐体に収容した放射線画像撮影用カセッテも種々提案されている。この放射線画像撮影用カセッテは比較的薄型で且つ搬送可能なサイズのものであるため、例えば、身動きがとれない患者等に対して、患者をベッドに寝かせたまま撮影したい部位の下に放射線画像撮影用カセッテを置き、放射線画像撮影用カセッテと患者を挟んで対向する位置に放射線源を移動させて撮影を行う場合など、非常に自由度の高い撮影を行うことができる。
【0003】
この放射線画像撮影用カセッテは、撮影時に外部コンソールと接続し、外部コンソール装置から患者ID等の撮影情報を取得し、撮影後に撮影画像データを外部コンソール装置へ送信する方式のものがあり、このような方式のものには、外部コンソール装置との通信を無線で行なうものも提案されている。
【0004】
ここで、上述したような半導体を用いた放射線画像検出器を備えた放射線画像撮影用カセッテは、特に、従来の銀塩フィルムカセッテや蓄積性蛍光体シートを収容したカセッテと比較すると大変効果なものであり、また、近年では持ち運びしやすいように軽量化されているため盗難されやすい問題がある。
【0005】
また、放射線画像撮影用カセッテだけでなく、放射線画像撮影用カセッテから送信された撮影画像データを表示する外部コンソール装置についても、演算処理装置やメモリの高集積化によってノート型パソコンなどの小型の端末装置によって構成することができるようになっているが、このような小型の端末装置によって外部コンソール装置を構成した場合においても盗難されやすい問題がある。
【0006】
そこで、たとえば、特許文献1においては、撮影画像データなどの医療情報を表示するクライアント端末が盗まれた場合に医療情報が漏洩してしまうのを防止するため、クライアント端末の位置に応じて、アクセスできるデータベースを制限することが提案されている。
【0007】
また、特許文献2においては、医療情報を表示する携帯情報端末が存在する場所の情報を取得し、その場所に応じてアクセスできるデータを制限することが提案されている。
【0008】
また、特許文献3においては、患者情報などの医療情報を表示するターミナルコンピュータからの情報漏洩を防止するため、ターミナルコンピュータがLAN(ローカルエリアネットワーク)を介してデータベースサーバに接続されているときのみ、そのデータベースサーバから医療情報を読み出して表示し、データベースサーバに接続されていないときにはデータベースサーバからの医療情報の読み出しができないので医療情報を表示しないようにする方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−293034号公報
【特許文献2】特開2009−122912号公報
【特許文献3】特開2005−11121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の方法のように、端末装置の場所によってアクセスできるデータを制限するようにしたのでは、医療現場のように端末装置の場所が病院内もしくは病院外で一刻を争って変更されるような場合には、その都度、アクセスできるデータが制限され、所望のデータにアクセスできない場合があり非常に使い勝手が悪いものとなってしまう。
【0011】
また、特許文献3のように、データベースサーバに接続されているときのみ医療情報を表示できるようにしたのでは、たとえば、災害現場や在宅診療の場面において使用される場合には、データベースサーバに接続することができないので医療情報を全く表示することができず使用することができない。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑み、上述したような放射線画像撮影用カセッテなどの放射線画像撮影装置や外部コンソール装置などの放射線撮影制御装置の盗難を防止し、かつ病院外の災害現場や在宅診療の現場においてもこれらの装置を必要最低限使用することができる放射線画像撮影システムおよびその動作制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の放射線画像撮影システムの動作制御方法は、放射線の照射を受けて放射線画像を検出する放射線画像検出器を備えた放射線画像撮影装置および放射線撮影のための所定の操作指示を受け付け、その受け付けた操作指示に応じて放射線撮影のための制御信号を出力するとともに、放射線画像を受け付ける放射線撮影制御装置がローカルエリアネットワークを介して接続された放射線画像撮影システムの動作制御方法であって、放射線画像撮影装置または放射線撮影制御装置においてローカルエリアネットワークと接続されているか否かを認識し、ローカルエリアネットワークと接続されていないと認識した場合に、放射線画像撮影装置または放射線撮影制御装置において放射線画像の内容を制限して出力することを特徴とする。
【0014】
本発明の放射線画像撮影システムは、放射線の照射を受けて放射線画像を検出する放射線画像検出器を備えた放射線画像撮影装置および放射線撮影のための所定の操作指示を受け付け、その受け付けた操作指示に応じて放射線撮影のための制御信号を出力するとともに、放射線画像を受け付ける放射線撮影制御装置がローカルエリアネットワークを介して接続された放射線画像撮影システムにおいて、放射線画像撮影装置または放射線撮影制御装置が、ローカルエリアネットワークと接続されているか否かを認識する接続認識部と、接続認識部においてローカルエリアネットワークと接続されていないと認識された場合に、放射線画像撮影装置または放射線撮影制御装置において放射線画像の内容を制限して出力する機能制限部とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、上記本発明の放射線画像撮影システムにおいては、放射線画像撮影装置または放射線撮影制御装置を、放射線画像を表示する表示部を備えたものとし、機能制限部を、表示部に表示される放射線画像の表示内容を制限して表示するものとすることができる。
【0016】
また、機能制限部を、表示部に画素密度を低減した放射線画像を表示させるものとすることができる。
【0017】
また、機能制限部を、表示部に解像度を下げた放射線画像を表示するものとすることができる。
【0018】
また、機能制限部を、放射線撮影制御装置において入力または作成されたデータ以外の予め保存されたデータに対しては書き換えられないようにすることができる。
【0019】
また、機能制限部を、放射線画像を暗号化して保存するものとするとともに、接続認識部によってローカルエリアネットワークとの接続が認識された際に、暗号化された放射線画像を復号化可能にするものとできる。
【0020】
また、放射線画像撮影装置または放射線撮影制御装置を、放射線画像検出器によって検出された放射線画像を外部装置へ出力する放射線画像出力部を備えたものとし、機能制限部を、放射線画像を出力する際、画素数を低減した放射線画像を出力させるものとすることができる。
【0021】
また、機能制限部を、放射線画像撮影装置から画素数を低減した放射線画像のみを出力させるものとすることができる。
【0022】
また、放射線画像撮影装置または放射線撮影制御装置を、放射線画像検出器によって検出された放射線画像を外部装置へ出力する放射線画像出力部を備えたものとし、機能制限部を、放射線画像を出力する際、解像度を下げた放射線画像を出力させるものとすることができる。
【0023】
また、機能制限部を、放射線画像撮影装置から解像度を下げた放射線画像のみを出力させるものとすることができる。
【0024】
また、放射線画像撮影装置または放射線撮影制御装置を、放射線画像を保存する放射線画像保存部を備えたものとし、機能制限部を、放射線画像保存部に保存された放射線画像の削除を禁止するものとすることができる。
【0025】
また、放射線画像撮影装置を、無線通信によって撮影制御情報を受け付ける無線通信部を備えたものとし、機能制限部を、無線通信部によって受け付けた撮影制御情報以外の予め設定登録された撮影制御情報のみに基づいて放射線画像の検出を行わせるものとすることができる。
【0026】
また、ローカルエリアネットワークに接続され、放射線画像撮影装置または放射線撮影制御装置の接続認識部に対してローカルエリアネットワークに接続されていることを示す信号を出力する接続管理装置を設け、接続認識部を、接続管理装置から出力される信号を受信できなくなった場合にローカルエリアネットワークから切断されたと認識するものとすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の放射線画像撮影システムによれば、放射線画像撮影装置または放射線撮影制御装置においてローカルエリアネットワークと接続されているか否かを認識し、ローカルエリアネットワークと接続されていないと認識した場合に、放射線画像撮影装置または放射線撮影制御装置において放射線画像の内容を制限して出力するようにしたので、たとえ放射線画像撮影装置や放射線撮影制御装置が盗難された場合でも、ローカルエリアネットワークからの切断を認識することによって盗難されたと判断し、たとえば放射線画像の表示内容を制限して表示したり、放射線画像の内容を制限して送信するようにできるので、通常通りの使用を不可能にすることができ、盗難抑制効果を得ることができる。
【0028】
また、放射線画像撮影装置または放射線撮影制御装置において、放射線画像の内容のうち一部の内容については表示したり、送信したりすることができるので、病院外の災害現場や在宅診療の現場においてもこれらの装置を必要最低限使用することができる。
【0029】
また、放射線撮影制御装置において入力または作成されたデータ以外の予め保存されたデータに対して書き換え不可能にした場合には、盗難した者が放射線撮影制御装置に予め保存されたデータを改竄することを防止することができ、再度、放射線撮影制御装置が戻ってきた場合にはそのデータを確認することができる。
【0030】
また、放射線画像撮影装置または放射線撮影制御装置がローカルエリアネットワークから切断された際には、放射線画像を暗号化して保存し、再びこれらの装置がローカルエリアネットワークに接続された際には、暗号化された放射線画像を復号化可能にした場合には、これらの装置が盗難された際に、盗難した者によって放射線画像が読み出されて表示されるのを防止することができ、再度、これらの装置が戻ってきた場合には放射線画像を再び確認することができる。
【0031】
また、放射線画像撮影装置または放射線撮影制御装置がローカルエリアネットワークから切断された際には、これらの装置の放射線画像保存部に保存された放射線画像の削除を禁止するようにした場合には、これらの装置が盗難された際、これらの装置の繰り返しの使用により放射線画像保存部に累積的に放射線画像が保存されるので、使用を繰り返すうちに放射線画像保存部の空き記憶容量がなくなり、これらの装置の通常通りの使用を不可能にすることができる。
【0032】
また、放射線画像撮影装置がローカルエリアネットワークから切断された際には、無線通信部によって受け付けた撮影制御情報以外の予め設定登録された撮影制御情報のみに基づいて放射線画像の検出を行わせるようにした場合には、放射線画像撮影装置が盗難された際、新たに入力された撮影制御情報に基づく撮影を禁止することができるので、放射線画像撮影装置の通常通りの使用を不可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の放射線画像撮影システムの一実施形態の全体概略構成図
【図2】図1に示す放射線検出カセッテの内部構成図
【図3】放射線画像撮影システムの概略構成を示すブロック図
【図4】放射線検出カセッテとコンソールとが病院内のLANに接続されているときの作用を説明するためのフローチャート
【図5】コンソールが病院内のLANから切断されたときの作用を説明するためのフローチャート
【図6】放射線検出カセッテが病院内のLANから切断されたときの作用を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の放射線画像撮影システムの一実施形態について説明する。図1は、本実施形態の放射線画像撮影システム全体の概略構成図である。
【0035】
本実施形態の放射線画像撮影システム1は、図1に示すように、放射線撮影のための所定の操作指示を受け付けて放射線撮影のための制御信号を出力するコンソール10,30と、患者を透過した放射線を検出し、患者の放射線画像を検出する放射線画像検出器を内蔵した放射線検出カセッテ20,40とを備えている。
【0036】
そして、コンソール10,30と放射線検出カセッテ20,40とは、通常は、有線または無線を介して病院内に配設されたローカルエリアネットワーク(以下、院内LANという)2に接続されている。そして、院内LAN2には接続管理サーバー装置50がさらに接続されており、この接続管理サーバー装置50は、放射線検出カセッテ20,40やコンソール10,30の固定のIPアドレスやMACアドレスに基づいて、これらの装置に対し、これらの装置が院内LAN2に接続されていることを示す信号を出力するものである。
【0037】
また、放射線検出カセッテ20は、無線通信によって院内LAN2に接続されるものであり、院内LAN2には、放射線検出カセッテ20と無線通信を行う無線通信部3が接続されている。そして、接続管理サーバー装置50は、この無線通信部3を介して放射線検出カセッテ20に対し、院内LAN2に接続されていることを示す信号を出力するものである。
【0038】
ここで、まず、無線通信によって院内LAN2に接続される放射線検出カセッテ20について詳細に説明する。
【0039】
図2は、放射線検出カセッテ20の内部構成図である。放射線検出カセッテ20は、図2に示すように、放射線Xを透過させる材料からなるケーシング22を備えている。そして、ケーシング22の内部には、患者による放射線Xの散乱線を除去するグリッド25と、患者を透過した放射線Xを検出し、患者の放射線画像を検出する放射線画像検出器21と、および放射線Xのバック散乱を吸収する鉛板24とが、放射線Xが照射されるケーシング22の照射面23側から順に配設されている。また、図2においては図示していないが、ケーシング22の照射面23と反対側の面には、液晶画面などを備えた表示部29が設けられている。
【0040】
また、ケーシング22の内部には、放射線検出カセッテ20の電源であるバッテリ26と、バッテリ26から供給される電力により放射線画像検出器21を駆動制御するとともに、表示部29に放射線画像を表示させるカセッテ制御部27と、放射線画像検出器21から読み取られた放射線画像信号などをコンソール10,30に無線通信信号として送信するとともに、コンソール10,30から出力された制御信号などを受信するカセッテ送受信機28とが収容されている。
【0041】
放射線画像検出器21は、放射線画像の記録と読出しを繰り返して行うことができるものであり、放射線の照射を直接受けて電荷を発生する、いわゆる直接型の放射線画像検出器を用いてもよいし、放射線を一旦可視光に変換し、その可視光を電荷信号に変換する、いわゆる間接型の放射線画像検出器を用いるようにしてもよい。また、放射線画像信号の読出方式としては、TFT(thin film transistor)スイッチがオン・オフされることによって放射線画像信号が読みだされる、いわゆるTFT読出方式のものや、読取光を照射することによって放射線画像信号が読み出される、いわゆる光読出方式のものを用いることが望ましいが、これに限らずその他のものを用いるようにしてもよい。
【0042】
なお、上述したように放射線検出カセッテ20は、コンソール10,30と無線通信によって放射線画像信号や制御信号の送受信を行うものであるが、放射線検出カセッテ40は、コンソール10,30とケーブルによって接続され有線通信によって放射線画像信号や制御信号の送受信を行うものである。そして、放射線検出カセッテ40は、バッテリ26を備えず、カセッテ送受信機28が有線通信によって通信を行うものであること以外は放射線検出カセッテ20と同様の構成である。図1においては、放射線検出カセッテ40とコンソール10とが接続されているが、この組み合わせに限らず、放射線検出カセッテ40は、その他のコンソールとも接続可能である。
【0043】
次に、図3に、コンソール10と放射線検出カセッテ20のより詳細な構成を示すブロック図を示す。なお、コンソール10とコンソール30とは、その内部構成は同様であるので、ここではコンソール10の内部構成のみについて説明するものとする。
【0044】
放射線検出カセッテ20には、上述したように放射線画像検出器21、バッテリ26、カセッテ制御部27、カセッテ送受信機28が収容されている。
【0045】
カセッテ制御部27は、放射線画像検出器21から読み取られた放射線画像信号を記憶する画像メモリ27aと、放射線画像検出器21、画像メモリ27a、カセッテ送受信機28、表示部29などの動作を制御する制御部27bと、放射線検出カセッテ20が院内LAN2に接続されているか否かを認識する接続認識部27cと、接続認識部27cにおいて放射線検出カセッテ20が院内LAN2に接続されていないと認識された場合に、放射線検出カセッテ20の一部の機能を制限する機能制限部27dとを備えている。
【0046】
制御部27bは、放射線画像検出器21および画像メモリ27aからの放射線画像信号の読出しなどを制御するとともに、放射線画像検出器21の動作状態など放射線検出カセッテ20内の種々の情報をカセッテ送受信機28を介してコンソール10に出力したり、放射線検出カセッテ20に対する種々の制御信号をカセッテ送受信機28を介してコンソール10から受信したりするものである。また、制御部27bは、放射線画像検出器21によって検出された放射線画像に基づいて、表示部29に本画像またはポジショニング確認用画像を表示させるものである。
【0047】
コンソール10から放射線検出カセッテ20に出力される制御信号としては、たとえば、カセッテレディ信号や、撮影開始信号や撮影終了信号などがある。カセッテレディ信号とは、撮影待機モードに移行したときに放射線画像検出器21に不要な電荷が溜まらないように常時リセットを行うよう制御する信号である。また、撮影開始信号は、放射線画像検出器21が電荷蓄積モードとなるように制御する信号であり、撮影終了信号は、放射線画像検出器21が電荷蓄積モードから電荷信号読出モードとなるように制御する信号である。
【0048】
接続認識部27cは、接続管理サーバー装置50から院内LAN2に出力された接続確認信号を無線通信部3およびカセッテ送受信機28を介して受信し、この接続確認信号を受信している間は放射線検出カセッテ20が院内LAN2に接続されていると認識し、接続確認信号を受信できなくなった場合には放射線検出カセッテ20が院内LAN2から切断されたものと認識するものである。
【0049】
機能制限部27dは、接続認識部27cにおいて放射線検出カセッテ20が院内LAN2から切断されたと判断された場合に、放射線検出カセッテ20における放射線画像の出力を制限するものであるが、本実施形態においては、表示部29において表示される放射線画像の内容とカセッテ送受信機28から出力される放射線画像信号の内容と画像メモリ27aに記憶された放射線画像信号の削除の機能を制限するものである。より具体的には、本実施形態の機能制限部27dは、画像メモリ27aに記憶された放射線画像信号に基づいて表示部29に表示する際、放射線画像信号に間引き処理を施してポジショニング確認用画像のみを表示させるものであり、また、放射線画像信号をカセッテ送受信機28から送信する際、放射線画像信号に間引き処理を行って出力させるものであり、さらに、画像メモリ27aに一旦記憶された放射線画像信号の削除を禁止するものである。
【0050】
また、放射線検出カセッテ20がコンソール10から撮影オーダー情報や患者情報を受信し、これを放射線画像信号とともに出力するものである場合には、機能制限部27dは、撮影オーダー情報や患者情報の出力は行わずに、間引き処理の施された放射線画像信号のみを出力するものである。
【0051】
コンソール10は、図3に示すように、放射線検出カセッテ20および放射線源51との間で、放射線画像信号や制御信号などを無線通信により送受信するコンソール送受信機18と、放射線撮影に必要な撮影オーダー情報を管理する撮影オーダー情報管理部11と、撮影対象である患者の患者情報を管理する患者情報管理部12と、放射線検出カセッテ20から送信された放射線画像信号に対して画像処理を施す画像処理部13と、画像処理の施された放射線画像信号を保存する放射線画像保存部14と、放射線検出カセッテ20に対して種々の制御信号を出力するとともに、放射線検出カセッテ20から放射線画像検出器21の動作状態など種々の情報を受け付ける制御部15と、撮影オーダー情報や患者情報や放射線検出カセッテ20から出力された放射線画像信号などを表示する表示部16と、撮影オーダー情報や患者情報などの入力を受け付ける入力部17とを備えている。
【0052】
そして、コンソール10の制御部15には、図3に示すように、コンソール10が院内LAN2に接続されているか否かを認識する接続認識部15aと、接続認識部15aにおいてコンソール10が院内LAN2に接続されていないと認識された場合に、コンソール10の一部の機能を制限する機能制限部15bとを備えている。
【0053】
接続認識部15aは、接続管理サーバー装置50から院内LAN2に出力された接続確認信号をコンソール送受信機18を介して受信し、この接続確認信号を受信している間はコンソール10が院内LAN2に接続されていると認識し、接続確認信号を受信できなくなった場合にはコンソール10が院内LAN2から切断されたものと認識するものである。
【0054】
機能制限部15bは、接続認識部15aにおいてコンソール10が院内LAN2から切断されたと判断された場合に、コンソール10の一部の機能を制限するものであるが、本実施形態においては、放射線画像を表示部16に表示する際、放射線画像信号に対して間引き処理を施し、その間引き処理後の放射線画像信号に基づいてポジショニング確認用画像のみを表示し、本撮影の放射線画像や患者情報や撮影オーダー情報の表示を禁止するものである。また、機能制限部15bは、放射線画像保存部14に保存された放射線画像信号の削除を禁止するものである。
【0055】
また、コンソール10のコンソール送受信機18から外部装置に対して放射線画像信号を出力する場合には、機能制限部15bは、放射線画像信号に対して間引き処理を施し、その間引き処理後の放射線画像信号を出力させるものである。
【0056】
また、放射線画像保存部14に放射線画像信号を保存する際には、機能制限部15bは、放射線画像信号を暗号化して患者情報と紐付けして保存し、院内LANにコンソール10が接続されるまでの間は復号化できないようにするものである。
【0057】
次に、本実施形態の放射線画像撮影システムの動作について説明する。
【0058】
まずは、図1に示す放射線画像撮影システム1の各装置のうちのコンソール10および放射線検出カセッテ20を用い、これらの装置が院内LAN2に接続された状態において放射線画像の撮影および表示を行う作用について、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0059】
まず、患者と撮影台との間の所定位置に、照射面23を放射線源51側とした状態で放射線検出カセッテ20が設置され、患者のポジショニングが行われる(S10)。
【0060】
次に、操作者によってコンソール10の入力部17を用いて撮影対象の患者情報と撮影オーダー情報とが入力され、患者情報については患者情報管理部12に登録され、撮影オーダー情報については撮影オーダー情報管理部11に登録される(S12)。なお、患者情報としては、たとえば、患者の年齢、性別、病名、病歴、患者に使用されている薬剤名、患者のアレルギー情報、妊娠情報、患者の顔写真や皮膚病などの患部の写真などがある。また、撮影オーダー情報としては、たとえば、撮影手技や、患者の撮影部位に対して適切な線量の放射線を照射するための管電圧、管電流、照射時間などがある。なお、撮影オーダー情報としてはこれらに限らず、放射線の撮影を行う際に必要な情報であれば如何なる条件を含めるようにしてもよい。
【0061】
そして、操作者によってコンソール10の入力部17を用いて患者のポジショニング確認用画像の撮影の開始指示が入力され、この入力に応じてコンソール10から放射線源51に制御信号が出力されて放射線源51から所定の線量の放射線が射出され、本撮影前のポジショニング確認用画像の撮影が行われる(S14)。
【0062】
具体的には、操作者によって入力された撮影条件に基づいて放射線源51が制御され、撮影条件に応じた所定の線量の放射線が患者に照射される。
【0063】
患者を透過した放射線は、放射線検出カセッテ20のグリッド25によって散乱線が除去された後、放射線画像検出器21に照射され、放射線画像検出器21によって光電変換されて電荷信号として蓄積される。
【0064】
そして、上記のようにして放射線Xの照射が終了した後、放射線画像検出器21に蓄積された電荷信号は制御部27bによって読み出され、サンプルホールド回路によってサンプリングされた後、A/D変換器によってデジタル信号に変換され、画像メモリ27aに一旦記憶される。なお、このときポジショニング確認用画像信号については、低解像度な画像信号で良いので、たとえば、ビニング読出しなどが行われる。
【0065】
そして、制御部27bは、画像メモリ27aに送信に必要な単位の放射線画像信号が記憶されると、画像メモリ27aからその送信単位の放射線画像信号を順次読出し、これをカセッテ送受信機28に出力する。
【0066】
そして、カセッテ送受信機28は、入力された放射線画像信号を変調した後、無線通信信号としてコンソール10に送信する。
【0067】
そして、コンソール10に送信された変調信号は、コンソール10のコンソール送受信機18において放射線画像信号として復調され、その放射線画像信号は、画像処理部13において所定の画像処理が施された後、表示部16に出力される。そして、表示部16において、ポジショニング確認用画像が表示される(S16)。なお、ここではコンソール10にポジショニング確認用画像を表示するようにしたが、放射線検出カセッテ20の表示部29にポジショニング確認用画像を表示することも可能である。
【0068】
そして、上述したように表示部16に表示されたポジショニング確認用画像が操作者によって確認され、必要に応じて撮影条件や患者のポジショニングが変更された後、本撮影が行われる(S18)。
【0069】
具体的には、操作者によってコンソール10の入力部17を用いて本撮影の開始指示が入力され、この入力に応じて撮影条件に基づいて放射線源51が制御され、撮影条件に応じた所定の線量の放射線が患者に照射される。
【0070】
患者を透過した放射線は、放射線検出カセッテ20のグリッド25によって散乱線が除去された後、放射線画像検出器21に照射され、放射線画像検出器21によって光電変換されて電荷信号として蓄積される。
【0071】
そして、上記のようにして放射線Xの照射が終了した後、放射線画像検出器21に蓄積された電荷信号は制御部27bによって読み出され、サンプルホールド回路によってサンプリングされた後、A/D変換器によってデジタル信号に変換され、画像メモリ27aに一旦記憶される(S20)。
【0072】
そして、ここで、放射線検出カセッテ20の制御部27は、コンソール10への放射線画像信号の出力前に、接続認識部27cにおいて院内LAN2への接続が認識されていることを確認する(S22)。
【0073】
そして、接続認識部27cによって院内LAN2へ接続されていることが認識されると、制御部27は、画像メモリ27aから送信単位の放射線画像信号を順次読出し、これをカセッテ送受信機28に出力する。なお、放射線検出カセッテ20が院内LAN2に接続されている場合には、送信された放射線画像信号は画像メモリ27aから順次削除されるものとする。
【0074】
そして、カセッテ送受信機28は、入力された放射線画像信号を変調した後、無線通信信号としてコンソール10に送信する(S24)。なお、本実施形態においては、ポジショニング確認用画像の撮影開始指示または本撮影の撮影開始指示がコンソール10において入力された際、コンソール10から放射線検出カセッテ20へ患者情報と撮影オーダー情報が出力され、これらを放射線検出カセッテ20が保存しているものとし、放射線検出カセッテ20が院内LAN2に接続されている場合には、これらの情報も放射線画像信号と同様に変調されてコンソール10へ送信される。
【0075】
そして、コンソール10に送信された変調信号は、コンソール10のコンソール送受信機18において放射線画像信号として復調され、その放射線画像信号は、画像処理部13において所定の画像処理が施された後、放射線画像保存部14に保存される(S26)。このとき患者情報や撮影オーダー情報も復調され、放射線画像信号と紐付けされて保存される。
【0076】
そして、ここで、コンソール10の制御部15は、表示部16への放射線画像信号の出力前に、接続認識部15aにおいて院内LAN2への接続が認識されていることを確認する(S28)。
【0077】
そして、接続認識部27cによって院内LAN2へ接続されていることが認識されると、制御部15は、上記のようにして放射線画像保存部14に保存された本撮影の放射線画像信号を患者情報と撮影オーダー情報とともに読み出し、これらを表示部16に出力する。そして、表示部16において、本撮影の放射線画像が、患者情報や撮影オーダー情報とともに表示される(S30)。なお、ここでは本撮影の放射線画像と患者情報と撮影オーダー情報とをコンソール10において表示するようにしたが、放射線検出カセッテ20において院内LAN2に接続されていることを認識してこれらを放射線検出カセッテ20の表示部29に表示することも可能である。
【0078】
以上が、コンソール10および放射線検出カセッテ20が院内LAN2に接続された状態において放射線画像の撮影および表示を行う際の作用の説明である。なお、コンソール30を用いた場合の動作もコンソール10と同様である。また、放射線検出カセッテ40は、接続管理サーバー装置50から出力された接続確認信号を、接続先のコンソールを介して受信するとともに、放射線画像信号の送信や制御信号の受信を有線通信によって行うこと以外は、上述した放射線検出カセッテ20の動作と同様である。
【0079】
次に、コンソール10が、たとえば、盗難されて使用される場合や災害現場や在宅診療において使用される場合など、院内LANから切断された状態で使用されるときの作用について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0080】
まず、上述したような放射線検出カセッテや、その他の放射線画像検出器を備えた放射線画像撮影装置を用いて放射線画像の本撮影が行われ、コンソール10が、その放射線画像の本撮影によって取得された放射線画像信号をコンソール送受信機18によって受信した際、コンソール10の接続認識部15aが院内LAN2へ接続されているか否かを確認する(S42)。すなわち、接続管理サーバー装置50から出力された接続確認信号を受信しているか否かを確認し、接続確認信号を受信している場合には、上述したように本撮影の放射線画像を表示する(S44)。
【0081】
一方、接続認識部15aが接続確認信号を受信しておらず、院内LAN2から切断していることを認識した場合には、機能制限部15bは、受信した本撮影の放射線画像信号に間引き処理を行い、この間引き処理を施した放射線画像信号に基づいて、表示部16にポジショニング確認用画像のみを表示させるようにし、本撮影の放射線画像の表示は行わないようにする(S46)。また、このとき患者情報や撮影オーダー情報を受信している場合でも、これらの情報の表示は行わない。
【0082】
このように表示内容を制限することによって、コンソール10が盗難された場合には通常通り使用することができなくすることができるとともに、災害現場や在宅診療において使用される場合には、最低限必要なポジショニング用確認画像については観察できるようにすることができる。
【0083】
そして、機能制限部15bは、さらに受信した本撮影の放射線画像信号については、暗号化して患者情報や撮影オーダー情報と紐付けして放射線画像保存部14に保存する(S48)。そして、接続認識部15aによってコンソール10が院内LAN2に接続されていることが認識されるまでは、放射線画像保存部14に保存された放射線画像信号の復号化はできないようにし、さらに機能制限部15bは放射線画像保存部14から放射線画像信号の削除を禁止する。
【0084】
そして、接続認識部15aによってコンソール10が院内LAN2に接続されていることが認識された場合には(S50,YES)、たとえば、院内LAN2を介して復号化の鍵情報を取得し、放射線画像保存部14に保存された放射線画像信号の復号化を可能とする(S52)。そして、コンソール10が院内LAN2に接続されている間は、本撮影の放射線画像を表示して観察することが可能となる(S54)。
【0085】
なお、上記実施形態においては、コンソール10が院内LAN2から切断していることを認識した場合には、機能制限部15bが、受信した本撮影の放射線画像信号に間引き処理を行うようにしたが、これに限らず、たとえば、本撮影の放射線画像信号に対して解像度を低減させるような解像度変換処理を施し、その解像度変換処理の施された放射線画像信号に基づいてポジショニング確認用画像を表示させるようにしてもよい。
【0086】
また、上記実施形態においては、コンソール10が院内LAN2から切断された状態において新たに本撮影された放射線画像信号をポジショニング確認用画像としてのみ表示するようにしたが、たとえば、コンソール10の放射線画像保存部14に過去に本撮影された放射線画像信号が既に保存されている場合には、この本撮影の放射線画像信号についても、間引き処理や解像度変換処理などを施すことによってポジショニング確認用画像としてのみ表示するようにしてもよい。
【0087】
また、機能制限部15bが、コンソール10が院内LAN2から切断されている間は、そのコンソール10の入力部17によって新たに入力または作成したデータについては書き換え可能とするが、コンソール10が外部装置から受信し、予め内部に保存してあるデータについては書き換え不可能とするようにしてもよい。コンソール10が外部装置から受信したデータとしては、たとえば、院内LAN2に接続されている間にコンソール10に設定登録された患者情報や撮影オーダー情報などがある。ただし、これらのデータは上述したように書き換え不可能とするが、編集履歴を残すようにして編集可能としてもよい。編集履歴を残すことで後からトレースすることが可能だからである。なお、コンソール10の入力部17によって入力・作成するデータとしては、撮影内容に関するデータがあり、たとえば、患者の氏名、性別、年齢、患者に関する注意喚起情報(たとえば子供や妊婦に対する放射線被曝量に対するもの)などの患者情報や、撮影方法や体位、放射線源のmAs値などの撮影条件情報などがある。
【0088】
また、コンソール10から所定の外部装置へ本撮影の放射線画像信号や患者情報や撮影オーダー情報などを送信する場合には、機能制限部15bは、コンソール10が院内LAN2から切断されている間は、本撮影の放射線画像信号に対して間引き処理や解像度変換処理などを施してこの処理済放射線画像信号のみを送信可能とし、患者情報や撮影オーダー情報を送信できないようにする。
【0089】
なお、コンソール30についてもコンソール10の作用と同様である。
【0090】
次に、放射線検出カセッテ20が、たとえば、盗難されて使用される場合や災害現場や在宅診療において使用される場合など、院内LANから切断された状態で使用されるときの作用について、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0091】
まず、上述したようにして患者のポジショニングが行われた後、放射線検出カセッテ20を用いて本撮影が行われる(S60)。
【0092】
具体的には、所定のコンソールなどを用いて本撮影の開始指示が入力され、この入力に応じて撮影条件に基づいて放射線源が制御され、撮影条件に応じた所定の線量の放射線が患者に照射される。
【0093】
そして、患者を透過した放射線は、放射線検出カセッテ20のグリッド25によって散乱線が除去された後、放射線画像検出器21に照射され、放射線画像検出器21によって光電変換されて電荷信号として蓄積される。
【0094】
そして、上記のようにして放射線Xの照射が終了した後、放射線画像検出器21に蓄積された電荷信号は制御部27bによって読み出され、サンプルホールド回路によってサンプリングされた後、A/D変換器によってデジタル信号に変換され、画像メモリ27aに一旦記憶される(S62,S64)。
【0095】
そして、ここで、放射線検出カセッテ20の接続認識部27cが院内LAN2へ接続されているか否かを確認する(S66)。すなわち、接続管理サーバー装置50から出力された接続確認信号を受信しているか否かを確認し、接続確認信号を受信している場合には、上述したように本撮影の放射線画像信号と患者情報と撮影オーダー情報とをコンソールなどに出力する(S68)。
【0096】
一方、放射線検出カセッテ20の接続認識部27cが院内LAN2から切断されていることを認識した場合には、機能制限部27dは、画像メモリ27aに記憶された放射線画像信号に対して間引き処理を行い、この間引き処理済の放射線画像信号をカセッテ送受信機28を介してコンソールなどに出力させる(S70)。また、このとき画像メモリ27aに一旦記憶された放射線画像信号の削除を禁止し、画像メモリ27aに累積的に放射線画像信号が記憶されるようにする(S72)。なお、このとき機能制限部27dが、本撮影の放射線画像信号について、暗号化して患者情報や撮影オーダー情報と紐付けして画像メモリ27aに記憶するようにしてもよい。そして、接続認識部27cによって放射線検出カセッテ20が院内LAN2に接続されていることが認識されるまでは、画像メモリ27aに記憶された放射線画像信号の復号化はできないようにし、接続認識部27cによって放射線検出カセッテ20が院内LAN2に接続されていることが認識された場合には、たとえば、院内LAN2を介して復号化の鍵情報を取得し、画像メモリ27aに記憶された放射線画像信号の復号化を可能としてもよい。
【0097】
また、放射線検出カセッテ20がコンソール10から撮影オーダー情報や患者情報を受信し、これを放射線画像信号とともに出力するものである場合には、機能制限部27dは、撮影オーダー情報や患者情報の出力は行わずに、間引き処理の施された放射線画像信号のみを出力する。
【0098】
また、院内LAN2に接続されている間は放射線検出カセッテ20の表示部29において本撮影の放射線画像を表示するように構成されている場合には、機能制限部27dは、放射線検出カセッテ20が院内LANから切断されている間は、表示部29においてポジショニング確認用画像のみを表示させる。
【0099】
このように放射線検出カセッテ20からの出力内容を制限することによって、放射線検出カセッテ20が盗難された場合には通常通り使用することができなくすることができるとともに、災害現場や在宅診療において使用される場合には、最低限必要なポジショニング用確認画像については観察できるようにすることができる。
【0100】
また、上述したように画像メモリ27aからの放射線画像信号の削除を禁止して画像メモリ27aに累積的に放射線画像信号が記憶されるようにしたので、放射線検出カセッテ20の使用を繰り返しているうちにいずれは画像メモリ27aの空き記憶容量がなくなり、放射線検出カセッテ20を用いて新たな撮影を行うことができなくすることができる。なお、画像メモリ27aの放射線画像信号の削除禁止の設定は、放射線検出カセッテ20が院内LAN2に再び接続された場合には解除されるものとする。
【0101】
また、上記実施形態においては、放射線検出カセッテ20が院内LAN2から切断していることを認識した場合には、機能制限部27dが、本撮影の放射線画像信号に間引き処理を行うようにしたが、これに限らず、たとえば、本撮影の放射線画像信号に対して解像度を低減させるような解像度変換処理を施し、その解像度変換処理の施された放射線画像信号のみを送信させたり、表示させるようにしてもよい。
【0102】
また、上記実施形態においては、放射線検出カセッテ20が院内LAN2から切断されている場合、放射線検出カセッテ20からの出力内容を制限するようにしたが、これに限らず、たとえば、放射線検出カセッテ20が院内LAN2から切断されている場合には、新たな撮影オーダー情報に基づく撮影はできないようにし、放射線検出カセッテ20が院内LAN2に接続されている間にコンソールなどによって放射線検出カセッテ20に予め撮影オーダー情報が登録されている場合に限って、その撮影オーダー情報に基づく撮影を行えるようにしてもよい。なお、このとき放射線検出カセッテ20からは予め登録されている撮影オーダー情報に関する本撮影の放射線画像データと撮影オーダー情報と患者情報とを紐付けて取り出し可能である。
【0103】
このようにすれば、放射線検出カセッテ20が盗難された場合には通常通り使用することができなくすることができるとともに、災害現場や在宅診療において使用される場合には、通常通り使用することができる。
【0104】
なお、有線通信を行う放射線検出カセッテ40についても放射線検出カセッテ20の作用と同様である。
【0105】
また、上記実施形態の放射線画像撮影システム1においては、放射線画像撮影装置として放射線検出カセッテを用いるようにしたが、必ずしもカセッテ型の放射線画像撮影装置でなくてもよく、据え置き型の放射線画像撮影装置でもよい。
【符号の説明】
【0106】
1 放射線画像撮影システム
2 院内LAN
3 無線通信部
10 コンソール
14 放射線画像保存部
15 制御部
15a 接続認識部
15b 機能制限部
16 表示部
17 入力部
18 コンソール送受信機
20 放射線検出カセッテ
21 放射線画像検出器
22 ケーシング
27 カセッテ制御部
27 制御部
27a 画像メモリ
27b 制御部
27c 接続認識部
27d 機能制限部
28 カセッテ送受信機
30 コンソール
40 放射線検出カセッテ
50 接続管理サーバー装置
51 放射線源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線の照射を受けて放射線画像を検出する放射線画像検出器を備えた放射線画像撮影装置および放射線撮影のための所定の操作指示を受け付け、該受け付けた操作指示に応じて放射線撮影のための制御信号を出力するとともに、前記放射線画像を受け付ける放射線撮影制御装置がローカルエリアネットワークを介して接続された放射線画像撮影システムの動作制御方法であって、
前記放射線画像撮影装置または前記放射線撮影制御装置において前記ローカルエリアネットワークと接続されているか否かを認識し、
前記ローカルエリアネットワークと接続されていないと認識した場合に、前記放射線画像撮影装置または前記放射線撮影制御装置において前記放射線画像の内容を制限して出力することを特徴とする放射線画像撮影システムの動作制御方法。
【請求項2】
放射線の照射を受けて放射線画像を検出する放射線画像検出器を備えた放射線画像撮影装置および放射線撮影のための所定の操作指示を受け付け、該受け付けた操作指示に応じて放射線撮影のための制御信号を出力するとともに、前記放射線画像を受け付ける放射線撮影制御装置がローカルエリアネットワークを介して接続された放射線画像撮影システムにおいて、
前記放射線画像撮影装置または前記放射線撮影制御装置が、前記ローカルエリアネットワークと接続されているか否かを認識する接続認識部と、
該接続認識部において前記ローカルエリアネットワークと接続されていないと認識された場合に、前記放射線画像撮影装置または前記放射線撮影制御装置において前記放射線画像の内容を制限して出力する機能制限部とを備えたことを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記放射線画像撮影装置または前記放射線撮影制御装置が、放射線画像を表示する表示部を備えたものであり、
前記機能制限部が、前記表示部に表示される放射線画像の表示内容を制限して表示するものであることを特徴とする請求項2記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記機能制限部が、前記表示部に画素密度を低減した放射線画像を表示させるものであることを特徴とする請求項3記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記機能制限部が、前記表示部に解像度を下げた放射線画像を表示するものであることを特徴とする請求項3記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
前記機能制限部が、前記放射線撮影制御装置において入力または作成されたデータ以外の予め保存されたデータに対しては書き換えられないようにするものであることを特徴とする請求項2から5いずれか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項7】
前記機能制限部が、前記放射線画像を暗号化して保存するものであるとともに、前記接続認識部によって前記ローカルエリアネットワークとの接続が認識された際に、前記暗号化された放射線画像を復号化可能にするものであることを特徴とする請求項2から6いずれか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項8】
前記放射線画像撮影装置または前記放射線撮影制御装置が、前記放射線画像を外部装置へ出力する放射線画像出力部を備え、
前記機能制限部が、前記放射線画像を出力する際、画素数を低減した放射線画像を出力させるものであることを特徴とする請求項2から7いずれか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項9】
前記機能制限部が、前記放射線画像出力部から前記画素数を低減した放射線画像のみを出力させるものであることを特徴とする請求項8記載の放射線画像撮影システム。
【請求項10】
前記放射線画像撮影装置または前記放射線撮影制御装置が、前記放射線画像を外部装置へ出力する放射線画像出力部を備え、
前記機能制限部が、前記放射線画像を出力する際、解像度を下げた放射線画像を出力させるものであることを特徴とする請求項2から7いずれか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項11】
前記機能制限部が、前記放射線画像出力部から前記解像度を下げた放射線画像のみを出力させるものであることを特徴とする請求項10記載の放射線画像撮影システム。
【請求項12】
前記放射線画像撮影装置または前記放射線撮影制御装置が、前記放射線画像を保存する放射線画像保存部を備え、
前記機能制限部が、前記放射線画像保存部に保存された放射線画像の削除を禁止するものであることを特徴とする請求項2から11いずれか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項13】
前記放射線画像撮影装置が、無線通信によって撮影制御情報を受け付ける無線通信部を備えたものであり、
前記機能制限部が、前記無線通信部によって受け付けた撮影制御情報以外の予め設定登録された撮影制御情報のみに基づいて前記放射線画像の検出を行わせるものであることを特徴とする請求項2から12いずれか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項14】
前記ローカルエリアネットワークに接続され、前記放射線画像撮影装置または前記放射線撮影制御装置の前記接続認識部に対して前記ローカルエリアネットワークに接続されていることを示す信号を出力する接続管理装置を備え、
前記接続認識部が、前記接続管理装置から出力される前記信号を受信できなくなった場合に前記ローカルエリアネットワークから切断されたと認識するものであることを特徴とする請求項2から13いずれか1項記載の放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−103645(P2012−103645A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254465(P2010−254465)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100128451
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 隆一
【Fターム(参考)】