説明

放射線画像撮影システム

【課題】放射線検査のスループットを向上させる。
【解決手段】ステップ100では、情報取得処理を行う。ステップ102では、オーダー情報に含まれる撮影メニューと被検者の履歴情報とに基づいて、被検者が今回の撮影メニューと同じ撮影メニューの撮影を過去に行っているか否かを判定する。肯定された場合はステップ104へ移行して、否定された場合はステップ106へ移行する。ステップ104では、RISに記憶されている最近のポジション等を示す情報に基づいて、放射線管、及び放射線検出器のポジション、グリッドの有無、及び種類、並びに撮影条件を定める。ステップ106では、患者情報に含まれている体形情報に基づいて、放射線管、及び放射線検出器のポジションを定める。ステップ108では、撮影処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、放射線画像撮影システムに対する様々な設定作業の負担を軽減する技術の検討がなされており、特許文献1には、被検体を放射線で撮影して画像データを発生する撮影システムと、撮影システムを被検体に対して姿勢を可変にして支持するアーム支持機構と、撮影システムの撮影条件データと被検体に対する姿勢データとを含む複数の検査データセットを記憶する検査データ記憶部を備え、検査データ記憶部から操作者により指定された検査データを読み出し、読み出した検査データに含まれる撮影条件データと姿勢データとに従って撮影条件と姿勢とを設定する技術が開示されている。
【0003】
また、放射線画像撮影システムを用いた被検体の検査においては、被検体のどの部位をどの方向から観察すべきかが予め定まっており、最適な観察状況を再現するために、検査毎に、放射線画像診断装置の撮影部を構成する放射線管、及び放射線検出器の被検体に対する位置(ポジション)を決める操作(以下、「ポジショニング」とよぶ)が必要となる。
【0004】
上記のような被検体に対する放射線管、及び放射線検出器のポジショニングを容易にするために、従来より、被検体に対する放射線管、及び放射線検出器とのとるべきポジションに関するデータ(以下、「ポジショニングデータ」とよぶ)を予め登録しておき、放射線管、及び放射線検出器を先に登録したポジションとなるように移動させることにより、登録したポジションを再現して放射線撮影を実施する機能(以下、当該機能を「オートポジショニング機能」とよぶ)に関する技術が検討されている。
【0005】
オートポジショニング機能に関する技術として、特許文献2には、放射線管、及び放射線検出器を保持するアームを支持器で支持し、支持器によってアームを所望のポジションへ移動させる際に、アームの進行方向上の所定範囲に含まれるポジショニング情報をポジショニング候補としてモニタに一覧表示する技術が開示されている。当該技術によると、術者がアームを所望の方向へ移動させようとすると、所望の方向にあるポジショニング情報が順次表示されるため、ポジショニング情報の選択が容易となり、放射線撮影のスループットを向上させることができる。
【0006】
さらに、特許文献3には、放射線撮影手段による放射線撮影毎の被検体に対する放射線撮影手段のポジショニングデータ、及び放射線撮影条件を含む検査情報を記録して、記録した検査情報を基に、被検体に固有の検査プロトコルを作成し、作成した検査プロトコルを被検体の以後の放射線撮影に供する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−149354号公報
【特許文献2】特開2005−245502号公報
【特許文献3】特開2005−176996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の技術では、撮影メニューの選択及び指定がなされると、放射線管及び放射線検出器を、放射線画像撮影システムの設置時等に予め登録されたポジション(以下、「ホームポジション」とよぶ)に移動させる。
【0008】
しかしながら、実際に撮影する際には、被検体に応じて、技師がホームポジションから、さらに放射線管及び放射線検出器を移動させる必要があり、放射線検査のスループットの向上に問題があった。
【0009】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、放射線検査のスループットを向上させる放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の発明の放射線画像撮影システムは、放射線を照射する移動可能に設けられた放射線源と、前記放射線源から照射され、かつ、被検者を透過した放射線を検出する移動可能に設けられた放射線検出器と、被検者の今回の撮影内容を示す情報と当該被検者の撮影履歴を示す履歴情報とに基づいて、当該被検者が今回の撮影内容と同じ内容の撮影を過去に行っているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が過去に行っていると判定した場合には、記憶手段から当該被検者の過去の撮影時の前記放射線源、及び前記放射線検出器の位置を示す過去撮影情報、及び患者情報のうち少なくとも一方を取得し、取得した前記位置情報、及び前記患者情報のうち少なくとも一方に基づいて定めた位置に前記放射線源、及び前記放射線検出器の少なくとも一方を移動させる移動制御を行なう移動制御手段と、を備えている。
【0011】
上記目的を達成するために、第2の発明の放射線画像撮影システムは、放射線を照射する移動可能に設けられた放射線源と、前記放射線源から照射され、かつ、被検者を透過した放射線を検出する移動可能に設けられた放射線検出器と、被検者の今回の撮影内容を示す情報と当該被検者の撮影履歴を示す履歴情報とに基づいて、当該被検者が今回の撮影内容と同じ内容の撮影を過去に行っているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が過去に行っていないと判定した場合には、患者情報に基づいて定めた位置に前記放射線源、及び前記放射線検出器の少なくとも一方を移動させる移動制御を行なう移動制御手段と、を備えている。
【0012】
上記目的を達成するために、第3の発明の放射線画像撮影システムは、放射線を照射する移動可能に設けられた放射線源と、前記放射線源から照射され、かつ、被検者を透過した放射線を検出する移動可能に設けられた放射線検出器と、被検者の今回の撮影内容を示す情報と当該被検者の撮影履歴を示す履歴情報とに基づいて、当該被検者が今回の撮影内容と同じ内容の撮影を過去に行っているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が過去に行っていると判定した場合には、記憶手段から当該被検者の過去の撮影時の前記放射線源、及び前記放射線検出器の位置を示す過去撮影情報、及び患者情報のうち少なくとも一方を取得し、取得した前記位置情報、及び前記患者情報のうち少なくとも一方に基づいて定めた位置に前記放射線源、及び前記放射線検出器の少なくとも一方を移動させる移動制御を行ない、前記判定手段が過去に行っていないと判定した場合には、前記患者情報に基づいて定めた位置に前記放射線源、及び前記放射線検出器の少なくとも一方を移動させる移動制御を行なう移動制御手段と、を備えている。
【0013】
第1の発明〜第3の発明の放射線画像撮影システムにおいては、前記撮影内容は、撮影時における前記被検者の姿勢、前記被検者の体のうちの撮影対象の部位、及び前記被検者に対する前記放射線の照射方向を含むとよい。
【0014】
また、第1の発明〜第3の発明の放射線画像撮影システムにおいては、前記移動制御手段は、複数種の撮影を行う場合に、連続して行う撮影同士の間の前記放射線源、及び前記放射線検出器の移動量が小さくなるように移動制御を行なうとよい。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明〜第3の発明によれば、被検者の過去の撮影時の放射線源、及び放射線検出器の位置を示す情報、及び患者情報のうち少なくとも一方を取得し、取得した情報のうち少なくとも一方に基づいて定めた位置に放射線源、及び放射線検出器の少なくとも一方を移動させる移動制御を行なうので、放射線検査のスループットを向上させることができる、という優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
図1は、病院内の病院内情報システム10の概略を示している。病院内情報システム10は、病院内の医事情報を統括的に管理するコンピュータで構成された医事情報システム(HIS)12、病院内の放射線科において取り扱われる放射線画像の撮影に関する情報等を統括的に管理するコンピュータで構成された放射線科情報システム(RIS)14、核磁気共鳴現象を利用して体内の内部情報を画像化する核磁気共鳴画像法装置(MR)16、X線を用いて人体の横断面(輪切り像)を画像化するコンピュータ断層撮影装置(CT)18、及び後述する放射線画像撮影システム20のコンソール22等の各々がLANによって接続されて構成されている。
【0018】
HIS12に格納されている医事情報には、被検者の氏名、性別、及び被験者のID番号等の撮影対象である被験者を特定するための情報の他に、身長を示す身長情報、及び体厚を示す体厚情報を含んだ体形情報、並びに過去に実施された放射線画像の撮影の履歴を示す履歴情報等を含んだ患者情報等が含まれている。被験者情報は、撮影に先立ち、予めHIS12に登録されている。
【0019】
RIS14に格納されている放射線画像の撮影に関する情報は、撮影メニュー、及びポジショニングデータを含んでいる。ポジショニングデータは、通常は放射線画像撮影システム20の構築時に登録される。
【0020】
撮影メニューは、被検者の体のうちの約50通りの撮影対象の部位、並びに撮影条件、撮影時における前記被検者の姿勢(立位、又は臥位)、及び前記被検者に対する前記放射線の照射方向の中から少なくとも1つを含んだ情報である。
【0021】
ポジショニングデータは、放射線管32の撮影時のポジションを示すデータであり、撮影メニューと、撮影メニュー、及び検査目的等に対応して決まる術式との組合せ毎に定められている。
【0022】
放射線画像撮影システム20は、図2に示すように、操作ボタンを備えたコンソール22、放射線撮影スタンド28、放射線管懸垂器26、放射線撮影テーブル30、並びにコンソール22と接続され、放射線撮影スタンド28、放射線管懸垂器26、及び放射線撮影テーブル30の各々の動作を制御する放射線コントローラ24の各々で構成されている。
【0023】
コンソール22は、HIS12、及びRIS14と接続され、HIS12から患者情報を取得すると共に、RIS14から撮影メニューを取得する。以下、患者情報と撮影メニューとを含んだ情報をオーダー情報とよぶ。
【0024】
また、コンソール22には、放射線画像を撮影する技師が操作ボタンを操作することによって入力された操作内容を示す操作情報が入力される。コンソール22に入力された操作情報に応じて、放射線コントローラ24が、プログラムに従って後述する移動制御処理、及び放射線照射制御処理を行う。
【0025】
放射線管懸垂器26は、放射線を照射する放射線管32、放射線管32を被検者の身体の撮影部位、姿勢、及び体形に応じた所望の撮影ポジションに移動する放射線管32に連結された伸縮アーム34、並びに撮影範囲を登録すると共に、後述する撮影条件を確認するためのタッチパネルを備えたモニタ36を含んで構成されている。
【0026】
放射線管32は、撮影条件に従った線量からなる放射線を被検者に照射する。撮影条件とは、被検者の身体の撮影対象の撮影部位に対して、適切な線量からなる放射線を照射するための管電圧、管電流、及び照射時間等を決定するための条件であり、撮影部位、撮影部位の透過厚、並びに矢印D1、及び矢印D2で示される放射線管32の管球と放射線検出器38,40との間の距離である受像面間距離(SID)の各々を示す情報で決定される。
【0027】
タッチパネルを備えたモニタ36に表示される表示画面36Dの一例を図3に示す。表示画面36Dには、撮影部位、及び撮影の方向を含んだ撮影メニューに応じて定まる管電圧の情報、並びに管電流を流す時間で調整可能な線量の情報を含んだ撮影条件が表示され、必要に応じて変更できるようになっている。撮影条件は、撮影対象である被検者の撮影部位の放射線の透過厚によって決定されるので、同じ部位の撮影であっても被検者によって撮影条件を微調節する必要が生じる。このため、撮影前にタッチパネルを備えたモニタ36に撮影条件を表示しての確認を行う。また、表示画面36Dには、表示画面36Dの内容で撮影を実行してもよい場合に、技師がタッチするための決定ボタンが表示される。タッチパネルを備えたモニタ36は、決定ボタンがタッチされると、放射線コントローラ24に決定された撮影条件の情報を送信する。
【0028】
放射線管32は、選択されたオーダー情報に含まれる撮影メニューと被検者の履歴情報とに基づいて、被検者が今回の撮影メニューと同じ撮影メニューの撮影を過去に行っていた場合は過去の撮影時の状況を示す過去撮影状況情報に基づいて、過去に行っていない場合は患者情報に基づいて、放射線コントローラ24の制御によって放射線を照射する位置、及び照射角度が変更される。
【0029】
図3、及び図4を参照して、放射線コントローラ24の放射線管懸垂器26の駆動制御について説明する。
【0030】
放射線コントローラ24は、被検者の姿勢(立位、又は臥位)に応じて、駆動ドライバ52を制御してスライド用モータ54を駆動させて、放射線管懸垂器26をスライドレール42に沿って矢印A1に示される方向に移動させると共に、駆動ドライバ52を制御して回転用モータ56を駆動させて、放射線管32を矢印A2に示される方向に回転させる。回転されることにより、放射線管32は、何れの角度からも放射線を照射することが可能となっているである。放射線管懸垂器26のスライドレール42に沿った移動は、例えば、プーリーとベルトとを用いた機構によって実現することができる。また、放射線管32の回転は、例えば、ステッピングモータを用いた回転機構によって実現することができる。
【0031】
また、放射線コントローラ24は、被検者の身体の撮影部位に応じて、駆動ドライバ52を制御して伸縮用モータ58を駆動させて、伸縮アーム34を伸縮させ、矢印A3に示される方向に放射線管32を移動させる。伸縮アーム34の伸縮は、例えば、ボールネジとステッピングモータとを用いた機構によって実現することができる。
【0032】
さらに、放射線コントローラ24は、コンソール22において技師によって選択されたオーダー情報に含まれる撮影メニューと被検者の履歴情報とに基づいて、被検者が今回の撮影メニューと同じ撮影メニューの撮影を過去に行っていた場合は過去の撮影時の状況を示す過去撮影状況情報に基づいて撮影条件を定め、定めた撮影条件に従って、放射線管32から照射される放射線の管電圧、及び管電圧の通電時間を制御する。
【0033】
放射線撮影スタンド28は、放射線検出器38を備えている。また、放射線撮影テーブル30は、放射線撮影スタンド28と同様に、放射線検出器40を備えている。
【0034】
放射線検出器38,40は、図示を省略する電源スイッチを備えており、電源がオン状態となっているときに動作可能である。
【0035】
放射線検出器38,40は、選択されたオーダー情報に応じたポジショニングデータに従って、放射線コントローラ24の制御によって移動される。
【0036】
また、放射線検出器38,40は、図5に示されるように、放射線を透過させる材料からなるケーシング38C,40Cの内部に、放射線が照射されるケーシング38C,40Cの照射面38F,40F側から、被検者による放射線の散乱線を除去するグリッド38A,40A、被検者を透過した放射線を検出する放射線変換パネル38B,40B、及び放射線のバック散乱線を吸収する鉛板38D,40Dが順に配設されて構成される。なお、ケーシング38C,40Cの照射面38F,40Fをグリッド38A,40Aとして構成してもよい。
【0037】
放射線変換パネル38B,40Bは、放射線を感知して電荷を発生させるアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる光電変換層を行列状の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)のアレイの上に配置した構造を有し、発生した電荷を蓄積容量に蓄積した後、各行毎にTFTを順次オンにして、電荷を画像信号として読み出す。
【0038】
また、放射線検出器38,40は、図4に示されるように、放射線変換パネル38B,40Bによって検出された放射線の情報を格納するための画像メモリ48,68、及び画像メモリ48,68に格納された放射線の情報を含むデータをコンソール22との間で送受信する送受信部50,70を備えている。
【0039】
図3、及び図4を参照して、放射線コントローラ24の放射線検出器38,40の駆動制御について説明する。
【0040】
放射線コントローラ24は、被検者の姿勢が立位の場合は、被検者の身体の撮影部位に応じて、駆動ドライバ44を制御してスライド用モータ46を駆動させて、放射線検出器38を、矢印A4に示される方向に移動させる。
【0041】
また、放射線コントローラ24は、被検者の姿勢が臥位の場合は、被検者の身体の撮影部位に応じて、駆動ドライバ62を制御してスライド用モータ64を駆動させて、放射線検出器40を、矢印A5に示される方向に移動させる。また、被検者が放射線撮影テーブル30に上がることを容易にするために、放射線コントローラ24は、駆動ドライバ62を制御して上下用モータ66を駆動させて、放射線撮影テーブル30を身長情報から推定される被検者のひざ下の高さに下げるように移動させてもよい。
【0042】
放射線コントローラ24は、放射線検出器38,40の位置と放射線管32の位置とが対応するように、放射線検出器38,40の駆動ドライバ44,62と放射線管懸垂器26の駆動ドライバ52とを制御する。
【0043】
次に、図6〜図9のフローチャートを参照して、放射線コントローラ24において実行される移動制御処理、及び放射線照射制御処理の処理ルーチンを説明する。
【0044】
まず、オーダー情報に含まれる撮影メニューが1つの場合の処理ルーチンを説明する。
【0045】
図6のステップ100では、情報取得処理を行う。ステップ100で行われる情報取得処理の詳細を図7のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
図7のステップ110では、放射線検出器40(又は放射線検出器38)の電源がオン状態か否かを判定する。肯定された場合はステップ112へ移行して、否定された場合はステップ110の判定を繰り返す。
【0047】
撮影処理に先立つ放射線検出器40(又は放射線検出器38)の電源のオン状態への移行は、放射線検出器40(又は放射線検出器38)にRFIDカードの受信部を設けて、放射線撮影を行う技師等が、自己を認証するRFIDカードを当該受信部にかざすようにして行うようにしてもよい。
【0048】
ステップ112では、オーダー情報を取得したか否かを判定する。肯定された場合は情報取得処理を終了して、否定された場合はステップ112の判定を繰り返す。
【0049】
図6のステップ102では、オーダー情報に含まれる撮影メニューと被検者の履歴情報とに基づいて、被検者が今回の撮影メニューと同じ撮影メニューの撮影を過去に行っているか否かを判定する。肯定された場合はステップ104へ移行して、否定された場合はステップ106へ移行する。
【0050】
ステップ104では、RIS14に記憶されている最近のポジション等を示す情報に基づいて、放射線管32、及び放射線検出器40(又は放射線検出器38)のポジション、グリッド40A(又はグリッド38A)の有無、及び種類、並びに撮影条件を定める。
【0051】
ステップ106では、患者情報に含まれている体形情報に基づいて、放射線管32、及び放射線検出器40(又は放射線検出器38)のポジションを定める。
【0052】
ステップ108では、撮影処理を行う。ステップ108で行われる撮影処理の詳細を図8のフローチャートを参照して説明する。
【0053】
図8のステップ120では、技師から、コンソール22の操作ボタンを介して放射線管32の撮影のポジションへの移動が指示されたか否かを判定する。肯定された場合はステップ122へ移行して、否定された場合はステップ120の判定を繰り返す。
【0054】
ステップ122では、放射線管32が撮影のポジションに移動するように放射線懸垂器28の駆動ドライブ52を制御する。
【0055】
ステップ124では、放射線管32を撮影のポジションに移動させたことを、例えばコンソール22に表示する等によって、技師に通知する。
【0056】
ステップ126では、技師によるタッチパネルを備えたモニタ36の操作によって登録された撮影範囲が通知されたか否かを判定する。肯定された場合はステップ128へ移行し、否定された場合はステップ126の判定を繰り返す。撮影範囲は、例えば、放射線管32の近傍に撮像カメラを設け、放射線によって撮影される撮影部位を撮像して、タッチパネルを備えたモニタ36に表示させることによって、技師に確認させて、登録させてもよい。また、放射線管32の近傍に可視光を照射する可視光ランプを設け、被検者の身体の撮影部位を照射させることによって、技師に確認させて、登録させてもよい。
【0057】
ステップ128では、技師によるタッチパネルを備えたモニタ36の操作によって照射野を確認したことが通知されたか否かを判定する。肯定された場合はステップ126へ移行し、否定された場合はステップ128の判定を繰り返す。技師は、放射線管32の近傍に設けられた、図示を省略する照射野ランプから可視光を照射することによって照射野を確認して、必要に応じて、絞りを手動で調整して、コリメータ開口の調整を行うことによって照射野を変更する。
【0058】
ステップ130では、タッチパネルを備えたモニタ36を介して技師による撮影条件の変更が入力されたか否かを判定する。肯定された場合はステップ132へ移行して撮影条件の変更を行い、否定された場合はステップ134へ移行する。
【0059】
ステップ134では、技師から、コンソール22の操作ボタンを介して撮影の指示が入力されたか否かを判定する。肯定された場合はステップ136へ移行して、否定された場合はステップ134の判定を繰り返す。
【0060】
ステップ136では、放射線管32に放射線を照射させて、被検者の身体の撮影範囲の撮影を行う。放射線検出器40(又は放射線検出器38)によって検出された、放射線に基づく放射線画像を表す画像データは、放射線変換パネル38B,40Bの各画素の蓄積容量から取得される。放射線画像を表す画像データは、デジタル信号に変換され、放射線検出器40(又は放射線検出器38)の画像メモリ68(又は画像メモリ48)に一旦記憶される。
【0061】
また、放射線画像を表す画像データは、光変換方式の放射線検出器を利用して取得してもよい。この光変換方式の放射線検出器では、各固体検出素子に放射線が入射されると、固体検出素子に、線量に応じた静電潜像が蓄積記録される。静電潜像を読み取る際には、放射線検出器に読取光を照射し、発生した電流の値を放射線画像を示す情報として取得する。なお、放射線検出器は、消去光を放射線検出器に照射することで、残存する静電潜像である放射線画像を示す情報を消去して再使用することができる(特開2000−105297号公報参照)。
【0062】
ステップ138では、今回の撮影において定めたポジション等を示す情報をRIS14に格納する。
【0063】
ステップ140では、送受信部70(又は送受信部50)を介して、放射線検出器40(又は放射線検出器38)の画像メモリ68(又は画像メモリ48)から、放射線画像を表す画像データを取得し、所定の画像処理を施した後に、放射線画像をコンソール22にプレビュー表示する。
【0064】
次に、オーダー情報に含まれる撮影メニューが複数の場合の処理ルーチンを説明する。
【0065】
ステップ150では、上述したステップ100と同様の情報取得処理を行う。
【0066】
ステップ152では、オーダー情報に含まれる撮影メニューと被検者の履歴情報とに基づいて、被検者が今回の撮影メニューと同じ撮影メニューの撮影を過去に行っているか否かを判定する。肯定された場合はステップ154へ移行して、否定された場合はステップ156へ移行する。
【0067】
ステップ154では、RIS14に記憶されている最近の過去の撮影時の状況を示す過去撮影状況情報に基づいて、放射線管32、及び放射線検出器40(又は放射線検出器38)のポジション、グリッド40A(又はグリッド38A)の有無、及び種類、並びに撮影条件を定める。
【0068】
ステップ156では、患者情報に含まれている体形情報に基づいて、放射線管32、及び放射線検出器40(又は放射線検出器38)のポジションを定める。
【0069】
ステップ158では、全ての撮影メニューについてポジションを定めたか否かを判定する。肯定された場合はステップ160へ移行して、否定された場合はステップ152に戻る。
【0070】
ステップ160では、ステップ154、又はステップ156で定めたポジションのうち、現在のポジションと最も近いポジションの撮影メニューを選択する。
【0071】
ステップ162では、上述したステップ108と同様の撮影処理を行う。
【0072】
ステップ164では、全ての撮影が終了したか否かを判定する。肯定された場合は本処理ルーチンを終了して、否定された場合はステップ160に戻る。
【0073】
このように、本実施の形態では、オーダー情報に応じてポジショニングを行うことで、撮影毎に技師が行う移動の微調整の負荷を軽減することができ、放射線検査のスループットが向上する。また、過去の撮影時の状況を再現することができるので、経過観察に適している。さらに、複数の撮影が予定されている場合に、放射線管、及び放射線検出器の移動量が少なくなるように移動制御を行なうので、移動時間が短縮でき、放射線検査のスループットが向上する。
【0074】
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0075】
例えば、コンソールと放射線検出器との間のデータの送受信は、無線で行ってもよい。
【0076】
また、上記では、被検者の姿勢が臥位の場合について説明したが、被検者の姿勢が立位の場合にも本発明は適用可能である。
【0077】
また、上記では、過去に同じ撮影を行っていると判定した場合に、被検者の過去の撮影時の放射線源、及び放射線検出器の位置を示す情報を取得し、取得した情報に基づいて定めた位置に放射線源、及び放射線検出器の少なくとも一方を移動させる移動制御、並びに過去に同じ撮影を行っていないと判定した場合に、患者情報に基づいて定めた位置に放射線源、及び放射線検出器の少なくとも一方を移動させる移動制御を行なう形態について説明したが、過去に同じ撮影を行っていると判定した場合には、被検者の過去の撮影時の放射線源と放射線検出器との位置を示す情報、及び患者情報のうち少なくとも一方を取得し、取得した情報のうち少なくとも一方に基づいて定めた位置に放射線源、及び放射線検出器の少なくとも一方を移動させる移動制御を行なえばよい。
【0078】
さらに、過去に同じ撮影を行っていると判定した場合に、被検者の過去の撮影時の放射線源、及び放射線検出器の位置を示す情報、及び患者情報のうち少なくとも一方を取得し、取得した情報のうち少なくとも一方に基づいて定めた位置に放射線源、及び放射線検出器の少なくとも一方を移動させる移動制御を行なうだけでもよい。また、過去に同じ撮影を行っていないと判定した場合に、患者情報に基づいて定めた位置に放射線源、及び放射線検出器の少なくとも一方を移動させる移動制御を行なうだけでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本実施の形態に係る病院内情報システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る放射線画像検出システムの全体構成を示す構成図である。
【図3】タッチパネルに表示される表示画面の一例である。
【図4】本実施の形態に係る放射線画像検出システムの電気的なつながりを示すブロック図である。
【図5】実施の形態に係る放射線検出器の概略構成を示す構成図である。
【図6】1つの撮影を行う場合の、移動制御処理、及び放射線照射制御処理のフローチャートである。
【図7】情報登録処理のルーチンを示すフローチャートである。
【図8】撮影処理のルーチンを示すフローチャートである。
【図9】複数の撮影を行う場合の、移動制御処理、及び放射線照射制御処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0080】
10 病院内情報システム
20 放射線画像撮影システム
22 コンソール
24 放射線コントローラ
26 放射線管懸垂器
28 放射線撮影スタンド
30 放射線撮影テーブル
32 放射線管
34 伸縮アーム
36 タッチパネルを備えたモニタ
38,40 放射線検出器
38B,40B 放射線変換パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を照射する移動可能に設けられた放射線源と、
前記放射線源から照射され、かつ、被検者を透過した放射線を検出する移動可能に設けられた放射線検出器と、
被検者の今回の撮影内容を示す情報と当該被検者の撮影履歴を示す履歴情報とに基づいて、当該被検者が今回の撮影内容と同じ内容の撮影を過去に行っているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が過去に行っていると判定した場合には、記憶手段から当該被検者の過去の撮影時の前記放射線源、及び前記放射線検出器の位置を示す過去撮影情報、及び患者情報のうち少なくとも一方を取得し、取得した前記位置情報、及び前記患者情報のうち少なくとも一方に基づいて定めた位置に前記放射線源、及び前記放射線検出器の少なくとも一方を移動させる移動制御を行なう移動制御手段と、
を備えた放射線画像撮影システム。
【請求項2】
放射線を照射する移動可能に設けられた放射線源と、
前記放射線源から照射され、かつ、被検者を透過した放射線を検出する移動可能に設けられた放射線検出器と、
被検者の今回の撮影内容を示す情報と当該被検者の撮影履歴を示す履歴情報とに基づいて、当該被検者が今回の撮影内容と同じ内容の撮影を過去に行っているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が過去に行っていないと判定した場合には、患者情報に基づいて定めた位置に前記放射線源、及び前記放射線検出器の少なくとも一方を移動させる移動制御を行なう移動制御手段と、
を備えた放射線画像撮影システム。
【請求項3】
放射線を照射する移動可能に設けられた放射線源と、
前記放射線源から照射され、かつ、被検者を透過した放射線を検出する移動可能に設けられた放射線検出器と、
被検者の今回の撮影内容を示す情報と当該被検者の撮影履歴を示す履歴情報とに基づいて、当該被検者が今回の撮影内容と同じ内容の撮影を過去に行っているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が過去に行っていると判定した場合には、記憶手段から当該被検者の過去の撮影時の前記放射線源、及び前記放射線検出器の位置を示す過去撮影情報、及び患者情報のうち少なくとも一方を取得し、取得した前記位置情報、及び前記患者情報のうち少なくとも一方に基づいて定めた位置に前記放射線源、及び前記放射線検出器の少なくとも一方を移動させる移動制御を行ない、前記判定手段が過去に行っていないと判定した場合には、前記患者情報に基づいて定めた位置に前記放射線源、及び前記放射線検出器の少なくとも一方を移動させる移動制御を行なう移動制御手段と、
を備えた放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記撮影内容は、前記被検者の体のうちの撮影対象の部位、並びに撮影条件、撮影時における前記被検者の姿勢、及び前記被検者に対する前記放射線の照射方向の中から少なくとも1つを含む請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記移動制御手段は、複数種の撮影を行う場合に、連続して行う撮影同士の間の前記放射線源、及び前記放射線検出器の移動量が小さくなるように移動制御を行なう請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−207527(P2009−207527A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50608(P2008−50608)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】