説明

放射線画像撮影システム

【課題】被写体(人体)に強い放射線を照射する必要がなく、広いダイナミックレンジの応答を得る。
【解決手段】CCDコントローラ22により、CCDイメージセンサ1〜12からの撮像信号の読出しを、X線発生器25による一定線量の放射線照射に対して異なる長露光時間と短露光時間との2回行い、2回、順次読み出された撮像信号による各画像データを、メインコントローラ26がタイミングを取ってメモリ24に画像合成させているため、人体やその以外の物体などの被写体に対して悪影響が生じない程度の弱い放射線量で、従来のように被写体に強い放射線を照射する必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばX線マンモグラフィや胸部および四肢骨などの撮影に用いられるX線画像撮影システムなどの放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療診断用のX線画像撮影に用いられる従来のX線画像撮影システムとしては、写真フィルムを蛍光増感紙に密着させて、X線画像を露光し、自動現像機で現像、定着、水洗、乾燥させる撮影システムが一般的に使われてきた。しかしながら、近年、現像処理が不要になるなど取り扱いが簡便なことや、データのデジタル化でファイリングが容易という観点から、フィルムの代わりに、イメージングプレート(IP)を使うコンピューテッドラジオグラフィー(CR)に置き換わりつつある。
【0003】
ところが、このイメージングプレート(IP)方式のX線撮影装置では、X線撮影後に、デジタル画像を得るために、スキャナ装置などによる画像読込み走査が必要になるため、画像が得られるまでに数分の時間を要することや、データ消去に専用のイレーサーが必要となるなど、簡便さに課題があった。
【0004】
このため、最近では、X線像を直接または間接的に画像入力装置に入力し、映像信号を得るデジタルラジオグラフィー(DR)への移行が始まろうとしている。
【0005】
このデジタルラジオグラフィーの一例として、X線による画像をシンチレータによって可視光像に変換し、薄膜トランジスタ(TFT)を用いた平板X線検出装置(FPD)で観察を行うシステムがある。このシステムは、コンピューテッドラジオグラフィー(CR)よりも装置が小型化し、画質が優れているという特徴がある。しかし、大面積のTFTパネルを用いることから価格が高くなることや、TFTの画素サイズが大きいことから、分解能が3〜4lp/mm程度と低くなるという欠点がある。
【0006】
また、別のデジタルラジオグラフィー(DR)の一例として、特許文献1に示されたように、シンチレータと複数個のCCDとを組み合わせて用いる方法が知られている。このシンチレータと複数個のCCDを用いる方式の場合、安価なCCDを用いるコスト面での優位性と光学系の倍率を選ぶことにより、分解能を自由に設定できるという特徴がある。しかしながら、デジタルラジオグラフィー(DR)のDRシステムの主要な性能要因であるダイナミックレンジに問題が生じる。
【0007】
前述したシンチレータと複数個のCCDとを組み合わせた従来の放射線画像撮像装置における放射線画像検出器がエリアセンサを4個用いる場合の有効画像面積率について図6を参照して説明する。
【0008】
図6は、特許文献1に開示されている従来の放射線画像撮影装置における放射線画像検出器を構成するエリアセンサの有効画像面積率を説明するための模式図である。
【0009】
図6に示すように、従来の放射線画像検出器200では、撮像信号を得るためのエリアセンサ201の上に、透過X線量に応じて発光するX線シンチレータ202が配設されている。撮像面が広い場合に、撮像面が複数面に分けられている。ここでは、放射線画像検出器200が4個のエリアセンサ201を使用する場合は、X線シンチレータ202も同様に4分割される。このX線シンチレータ202上で4分割された個々の領域を分割画像領域202aと呼んでいる。また、個々の分割画像領域202aはレンズ203を介して集光されて、それぞれ対応するエリアセンサ201上に画像を結ぶ。レンズ203は複数配置されてレンズアレイ203aを構成している。
【0010】
この一つの分割画像領域202aが対応するエリアセンサ201上に撮像された領域を有効画像領域201aと呼んでいる。また、エリアセンサ201の感度を有する領域を有感画像領域201bと呼んでいる。
【0011】
ここでは、有効画像領域201aが有感画像領域201bよりも小さく映し込まれており、周囲に余裕を持たせている(周辺を利用しない画素を設ける)。この有効画像領域201aの有感画像領域201bに対する割合(有効画像領域201a/有感画像領域201b)を有効画像面積率と呼んでいる。また、4つの分割画像領域202a(即ち、X線シンチレータ202全体)から作成された全面積の画像データを全画像データと呼んでいる。
【0012】
一般に、デジタルラジオグラフィー(DR)のDRシステムに使用されている螢光体(シンチレータ)は、高感度撮影時に人体を透過してくる極微弱なX線量(10−3mR)から、低感度撮影時の大線量(10 mR)までの10に亘る広いX線量の変化に対応して、本質的に直線性のよい応答(発光)を示す。
【0013】
このため、この広いダイナミックレンジを得るために、次の光電変換プロセスがどのように応答するかがシステムの鍵をにぎる。
【0014】
前者の薄膜トランジスタ(TFT)を用いた平板X線検出装置(FPD)では、画素サイズが大きいことから、比較的広いダイナミックレンジを有するが、CCDのフォトダイォード(PD)のダイナミックレンジは10以下であり、螢光体(シンチレータ)の発光特性を十分にカバーすることができない。
【0015】
この問題を解決する手段としては、特許文献2に開示されているように被写体に照射する強弱と放射線量を変えて撮像した複数の画像信号を合成して一枚の画像にする透視装置が提案されている。
【0016】
特許文献2では、複数のX線エネルギーレベル(強弱など)を被写体に照射して、飽和して見えなかったり影が潰れたりすることなく、広いダイナミックレンジの濃淡のよりはっきりした画像を得ることができる。
【特許文献1】特開2000−235709号公報
【特許文献2】特開平03−38979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記特許文献2に開示されている従来の透視装置では、広いダイナミックレンジの濃淡のよりはっきりした画像を得ることができるというものの、被写体に照射する放射線量を強い放射線量と弱い放射線量とに変える必要があり、被写体(人体)に強い放射線を照射する必要があるという問題があった。例えばX線医療診断装置などでは、人体への悪影響を考えると、強い放射線を人体に照射するのは好ましくないし、物体を観察するような場合などでも、強い放射線照射により試料自体の状態が変化してしまう虞もある。なお、上記特許文献2のようにラインセンサで取り込む線状の領域内では、強い放射線量と弱い放射線量の処理のいずれかで広いダイナミックレンジが必要な場合には対応することができない。
【0018】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、被写体(人体)に強い放射線を照射する必要がなく、より広いダイナミックレンジの応答を得ることができる放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の放射線画像撮影システムは、放射線を発生させて被写体に照射する放射線発生手段と、該被写体からの放射線を光に変換するシンチレータ手段と、該シンチレータ手段からの光を光電変換して該被写体の画像として撮像する撮像手段と、該撮像手段からの撮像信号の読出しを、該放射線発生手段による一定線量の放射線照射に対して異なる露光時間で複数回行い、複数回読み出された撮像信号による各画像データを画像合成制御する制御手段とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0020】
また、好ましくは、本発明の放射線画像撮影システムにおける撮像手段は、前記制御手段により制御されて長時間露光と短時間露光との少なくとも2回の露光が行われて、該撮像手段からの撮像信号の読出しが該長時間露光と該短時間露光に対応して少なくとも2回行われる。
【0021】
さらに、好ましくは、本発明の放射線画像撮影システムにおける長時間露光は50msec以上500msec以下の期間であり、前記短時間露光は10msec以上50msec以下の期間である。
【0022】
さらに、好ましくは、本発明の放射線画像撮影システムにおいて、前記撮像手段から読み出された撮像信号をA/D変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段からの画像信号を一時保持する記憶手段とを有する。
【0023】
さらに、好ましくは、本発明の放射線画像撮影システムにおける記憶手段は、少なくとも、前記撮像手段の長時間露光による画像信号と、前記短時間露光による画像信号とを合成する。
【0024】
さらに、好ましくは、本発明の放射線画像撮影システムにおける放射線発生手段は、前記被写体に対して悪影響が生じない程度の弱い放射線量で放射線を照射する。
【0025】
さらに、好ましくは、本発明の放射線画像撮影システムにおける放射線量は、170μGy(マイクログレイ)±20μGy(マイクログレイ)の範囲内である。
【0026】
さらに、好ましくは、本発明の放射線画像撮影システムにおける撮像手段は、二次元状に配列され、光電変換する複数のフォトダイオードと、該フォトダイオードで光電変換された信号電荷を読み出して所定方向に電荷転送する電荷転送手段と、該電荷転送手段により電荷転送された信号電荷を電圧変換し、電圧変換された電圧を増幅して撮像信号を出力可能とする出力手段とを有する。
【0027】
さらに、好ましくは、本発明の放射線画像撮影システムにおける撮像手段は、複数の分割領域に分割されており、該複数の分割領域がそれぞれ、二次元状に配列され、光電変換する複数のフォトダイオードと、該フォトダイオードで光電変換された信号電荷を読み出して所定方向に電荷転送する電荷転送手段と、該電荷転送手段により電荷転送された信号電荷を電圧変換し、電圧変換された電圧を増幅して撮像信号を出力可能とする出力手段とを有する。
【0028】
さらに、好ましくは、本発明の放射線画像撮影システムにおける制御手段は、少なくとも前記撮像手段の長時間露光による撮像信号と短時間露光による撮像信号とを信号出力制御する。
【0029】
さらに、好ましくは、本発明の放射線画像撮影システムにおける放射線発生手段が放射線照射状態で、電子シャッタのタイミングとして、オーバーフロードレイン信号が立っているタイミングにより、前記撮像手段の電位リセットがかかり、該オーバーフロードレイン信号が立っているタイミング以前を長露光時間および短露光時間の一方とし、該オーバーフロードレイン信号が立っているタイミング以後を長露光時間および短露光時間の他方とする。
【0030】
さらに、好ましくは、本発明の放射線画像撮影システムにおけるオーバーフロードレイン電圧を前記長露光時間と前記短露光時間で同一または変えている。
【0031】
さらに、好ましくは、本発明の放射線画像撮影システムにおける撮像手段は、シンチレータ手段と対向して2次元状に配置された固体撮像アレイから構成されている。
【0032】
さらに、好ましくは、本発明の放射線画像撮影システムにおけるシンチレータ手段に増幅器としてのイメージインテンシファイヤを設けている。
【0033】
さらに、好ましくは、本発明の放射線画像撮影システムにおける放射線は、X線、電子線、紫外線および赤外線のうちのいずれかである。
【0034】
さらに、好ましくは、本発明の放射線画像撮影システムにおいて、前記フォトダイオードからの信号読み出しを奇数ラインと偶数ラインに分けて読み出すフレーム蓄積駆動と、該フォトダイオードからの信号読み出しを奇数ラインと偶数ラインのデータを合算して読み出すフィールド蓄積駆動との少なくともいずれかが用いられている。
【0035】
さらに、好ましくは、本発明の放射線画像撮影システムにおいて、前記フォトダイオードからの信号読み出しを複数回行う際に、有意な情報を含んでいる露光を前記フレーム蓄積駆動とし、それ以外の露光を前記フィールド蓄積駆動とする。
【0036】
上記構成により、以下、本発明の作用について説明する。
【0037】
本発明においては、撮像手段からの撮像信号の読出しを、放射線発生手段による一定線量の放射線照射に対して異なる露光時間で複数回行い、複数回読み出された撮像信号による各画像データを画像合成させている。
【0038】
これによって、人体やその以外の物体などの被写体に強い放射線を照射する必要がなく、かつより広いダイナミックレンジの応答が得られる。
【発明の効果】
【0039】
以上により、本発明によれば、撮像手段からの撮像信号の読出しを、放射線発生手段による一定線量の放射線照射に対して異なる露光時間で複数回行い、複数回読み出された撮像信号による各画像データを画像合成させているため、人体やその以外の物体などの被写体に対して悪影響が生じない程度の弱い放射線量で、従来のように人体やその以外の物体などの被写体に強い放射線を照射する必要がなく、かつより広いダイナミックレンジの応答を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に、本発明の放射線画像撮影システムの実施形態として、X線画像撮影システムに適用した場合について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0041】
図1は、本発明の実施形態におけるX線画像撮影システムの要部構成例を示すブロック図である。
【0042】
図1において、本実施形態のX線画像撮影装置20は、後述するシンチレータ21からの蛍光などの可視光を光電変換して被写体の画像として撮像する撮像手段としてのCCDイメージセンサ1〜12と、被写体からの放射線を光(ここでは蛍光)に変換するシンチレータ手段としてのシンチレータ21と、CCDイメージセンサ1〜12からの撮像信号の読み出しを制御するCCDコントローラ22と、A/D変換手段としてのA/Dコンバータ23と、画像合成処理するための記憶手段としてのメモリ24と、放射線(X線、電子線、紫外線および赤外線;ここではX線)を発生させて被写体に照射する放射線発生手段としてのX線発生器25と、CCDコントローラ22およびメモリ24の動作タイミングを制御するメインコントローラ26と、所定の画像処理を行う演算機27と、画面表示するためのパーソナルコンピュータ28とを有し、12個のCCDイメージセンサ1〜12を1ブロックとして分け、12個のCCDイメージセンサ1〜12毎に、CCD駆動用のCCDコントローラ22とA/Dコンバータ23とが一つずつ設けられている。
【0043】
これらのCCDコントローラ22およびメインコントローラ26により制御手段が構成されており、制御手段は、CCDイメージセンサ1〜12からの撮像信号の読出しを、放射線発生手段による一定線量の放射線照射に対して異なる露光時間で複数回行い、複数回読み出された撮像信号による各画像データをメモリ24を用いて画像合成させるようになっている。
【0044】
CCDイメージセンサ1〜12はそれぞれ、CCD固体撮像素子であり、シンチレータ21からの蛍光による画像光を光電変換して撮像する複数の受光部としての複数のフォトダイオードで構成されている。この場合、撮像手段は、複数の分割領域のCCDイメージセンサ1〜12に分割されており、CCDイメージセンサ1〜12がそれぞれ、二次元状に配列され光電変換する複数のフォトダイオードPDと、フォトダイオードPDで光電変換された信号電荷を読み出して所定方向に電荷転送する電荷転送手段と、電荷転送手段により電荷転送された信号電荷を電圧変換し、電圧変換された電圧を増幅して撮像信号を出力可能とする出力手段とを有している。このCCD固体撮像素子としてのCCDイメージセンサ1〜12で撮影するX線量の幅を0〜50μGyとし、長時間露光は、50msec以上500msec以下、短時間露光は長時間露光の1/10以下の露光時間とする。
【0045】
シンチレータ21は、X線などの放射線の受光センサであり、電離放射線に照射されたときに蛍光を放つ物質から作製されている。シンチレータ21は、2次元状に配置された固体撮像アレイから構成されるCCDイメージセンサ1〜12と対向して配置されている。なお、シンチレータ21にイメージインテンシファイヤ(増幅器)を付加することもできる。
【0046】
CCDコントローラ22は、CCDイメージセンサ1〜12に対して順次、電荷呼び出しパルスを出力制御して、CCDイメージセンサ1〜12からのデータ(複数の撮像信号)を順次、A/Dコンバータ23に出力させるように信号読み出し制御を実施する。
【0047】
A/Dコンバータ23は、CCDイメージセンサ1〜12から順次読み出された撮像信号を画像データにA/D変換する。
【0048】
メモリ24は、A/Dコンバータ23によりA/D変換された画像データ(複数の撮像信号)が一時保存される。メモリ24は、長時間露光による画像信号と短時間露光による画像信号とを画像合成するために用いる。はじめに来た長時間露光による画像信号をメモリ24(フレームメモリ)により記憶させておき、後から来た短時間露光による画像信号と、メモリ24(フレームメモリ)に記憶した画像信号とを加算処理して画像合成することにより、濃淡の差が現れる。このように、潰れた画像上に濃淡のはっきりした画像が乗っかるので鮮明な画像となる。
【0049】
X線発生器25は、放射線としてのX線を発生させて被写体や被測定物体に対して照射する。
【0050】
このときのX線の照射エネルギー(単位:mRまたは線量)について詳細に説明する。
【0051】
X線量は、撮影部位や撮影距離などで変わる。胸部撮影では、「略120kV、3〜5mAs SID(管球焦点と撮影対象との距離):180cm、グリッドあり」で撮影する。強い放射線量を人体に照射するのは好ましくないし、物体を観察するような場合などでも、強い放射線照射により試料自体の状態が変化してしまうのは好ましくないため、人体や試料自体の状態に悪影響が生じない程度の弱いX線量である。
【0052】
患者やグリッドを透過後、線量は、かなり落ちて蛍光板に当たり、さらに変換された蛍光をCCD固体撮像素子で撮影することになるが、このとき、例えば、120kV5mAs (管電流と撮影時間)を示すと、120kV 125mA 40msec(5mAs=125mA×0.04sec) などとなる。このとき、X線量は、170μGy(マイクログレイ)±20μGy(マイクログレイ)の範囲内である。略170μGy(マイクログレイ)が患者に照射されることになる。患者やグリッドを透過した後の線量の最大値は、実験結果からCCD固体撮像素子の場合、50μGy(マイクログレイ)程度である。したがって、CCD固体撮像素子で撮影するX線量の幅は0〜50μGy(マイクログレイ)程度を検出して画像化することになる。
【0053】
ただし、これは蛍光板の性能にも依存するので、暗い蛍光板で有れば、さらなる線量が必要であるし、明るい場合はより低線量で撮影できる。
【0054】
固体撮像素子では、このX線を蛍光板で変換された蛍光の形で受光するわけであるが、蛍光板のダイナミックレンジに比べ固体撮像素子のダイナミックレンジが狭いため、蛍光版の性能を最大限に活用できるように、応答範囲の狭い固体撮像素子を蓄積時間の異なる複数回の蛍光蓄積と読み出しを行う。
【0055】
これにより、従来の固体撮像素子を用いたシステムでは、応答範囲を超えた線量で画素が飽和したり、応答範囲以下の線量で画素の応答がない場合でも、画像が得られることになる。
【0056】
メインコントローラ26は、CCDコントローラ22を制御してCCDイメージセンサ1〜12からデータをA/Dコンバータ23に出力させるタイミングと、A/Dコンバータ23からのデータをメモリ24に出力するタイミングとを制御するタイミング制御部である。メインコントローラ26はCCDコントローラ22を制御して、1度の撮影機会にCCDイメージセンサ1〜12内の各フォトダイオードPDにおいて蓄積時間の異なる信号蓄積とその信号電荷の読出しを少なくとも2回行い、読み出された信号電荷を外部信号処理回路(ここではメモリ24)によって合成するように制御する。
【0057】
演算機27は、メモリ24(フレームメモリ)からの画像データに対して画像を見易くするために適宜演算して画像処理する。なお、メモリ24で画像合成しない場合は演算機27により演算処理することにより画像合成処理することもできる。
【0058】
パーソナルコンピュータ28は、メモリ24に蓄積されたデータが入力されて表示画面上に被写体のX線画像を表示可能とする。
【0059】
このように、1度の撮影機会にCCDイメージセンサ1〜12のそれぞれの各フォトダイオードPDから電荷転送手段への信号電荷の読出しを複数回行い、複数回読み出された信号電荷を加算することなく外部に読み出し、画像処理により画像合成することにより、高輝度な領域と低輝度な領域が濃淡混在するような被写体を撮像した場合であっても、これらが合成されて、従来のように画像つぶれが生じることなく、かつより広いダイナミックレンジの応答を得ることができる。
【0060】
ここで、CCDイメージセンサ1について更に詳細に説明する。
【0061】
図2は、図1のCCDイメージセンサ1の平面構成例を説明するための模式図である。
【0062】
図2に示すように、本実施形態のCCDイメージセンサ1は、複数のフォトダイオードPDが行列方向に2次元でマトリクス状に配列され、複数のフォトダイオードPDから所定の垂直電荷転送路102(VCCD)に信号電荷を読み出し、その信号電荷を所定の垂直電荷転送路102により垂直方向に電荷転送する。
次に、複数の垂直電荷転送路102からの信号電荷をそれぞれ水平電荷転送路103に転送し、各垂直電荷転送路102から受け取った信号電荷を水平電荷転送路103により水平方向に電荷転送する。この水平電荷転送路103の電荷転送端部には信号検出部104が設けられており、この信号検出部104により、水平電荷転送路103から電荷転送された各信号電荷を順次受け取って、その各信号電荷の電荷量に応じた電圧を増幅して撮像信号として出力する。
【0063】
図3(a)は、図2のフォトダイオードPDを含む平面部分Pの拡大図であり、図3(b)は、図3(a)のA−B線の縦断面図である。
【0064】
図3(a)に示すように、本実施形態の電荷転送手段は、フォトダイオードPDで発生した信号電荷を読み出して垂直電荷転送路(VCCD)により垂直方向に電荷転送する。例えば奇数ラインのフォトダイオード101で発生した信号電荷は転送電極V下の電荷転送領域に電荷転送され、また、この奇数ラインのフォトダイオード101の平面視下側にある偶数ラインのフォトダイオード101aで発生した信号電荷は、転送電極V下の電荷転送領域に電荷転送される。垂直電荷転送路102(VCCD)を構成する例えば4枚の各転送電極V〜Vを一組とし、各転送電極V〜Vそれぞれに、電荷転送駆動部としてのCCDコントローラ22から4相の垂直転送クロックφV1〜φV4をそれぞれ供給して電荷転送駆動するように構成されている。
【0065】
この転送電極Vは、フォトダイオード101に蓄積された信号電荷を垂直電荷転送路102に読み出すための転送ゲートTGも兼ねている。また同様に、この転送電極Vは、フォトダイオード101aに蓄積された信号電荷を垂直電荷転送路102に読み出すための転送ゲートTGも兼ねている。
【0066】
図3(b)に示すように、本実施形態の垂直電荷転送路102(VCCD)は、N型シリコン基板105の表面側にP型ウェル106が設けられている。このP型ウェル106の表面側に、フォトダイオード101を構成するN型領域107が設けられている。更にその表面側には、暗電流を低減するための表面P+型拡散層108が設けられている。
一方、垂直電荷転送路102を構成するN型拡散層109上および、このN型拡散層109とN型領域107間のP型ウェル106のP型領域上に、絶縁膜110を介して転送ゲート電極111が形成されている。この転送ゲート電極111(転送電極V)に正電位が印加されると、転送ゲート電極111下のP型ウェル106のP型領域にチャネルが形成され、フォトダイオード101に蓄積された信号電荷が垂直電荷転送路102のN型拡散層109に読み出される。
【0067】
上記転送ゲート電極111をはじめとする垂直転送電極や水平転送電極の上部には、アルミニウム材料などで遮光膜112が設けられている。
【0068】
また、N型シリコン基板105には、P型ウェル106に対して逆バイアスになるような電圧が印加されて、フォトダイオード101のポテンシャル井戸以上の過剰光入射時に発生する過剰な信号電荷をN型シリコン基板105側に掃き出すオーバーフロードレイン手段としての縦型オーバーフロードレイン(VOD)構造を採用している。
【0069】
図4は、図1の放射線画像撮影システム20において、X線源の2回発光によるフレーム蓄積方式の広ダイナミックレンジモードについて説明するための各信号のタイミングチャートである。
【0070】
図4において、CCDコントローラ22からの垂直転送制御信号としての垂直転送クロックφV1〜φV4のうち、ローレベル側に立っているパルス(下側に立ち上がっているパルス)はVCCDを電荷転送制御するためのパルスであり、垂直転送クロックφV1およびφV3のハイベル側に立っているトリガ状の各電荷転送パルスTはフォトダイオードPDからVCCDに電荷転送させるためのパルスである。要するに、奇数ラインのPDは転送電極Vに繋がって電荷転送され、偶数ラインのPDは転送電極Vに繋がって電荷転送される。フォトダイオードPDの電荷蓄積状態として、上側の矢印で示す長期間が奇数ラインのPD長露光時間T1であり、下側の矢印で示す長期間が偶数ラインのPD長露光時間T2である。次に電荷転送パルスTが立つべき位置に点線で囲っているが、2周期分(2回分)だけ電荷転送パルスTが立っておらず、したがって、フォトダイオードPDからVCCDに電荷転送されずに長時間露光状態となっている。その後の上側の矢印で示す短期間が奇数ラインのPD短露光時間T11になり、下側の矢印で示す短期間が偶数ラインのPD短露光時間T12になっている。さらに、上側の矢印で示す奇数ラインのPD短露光時間T21と、下側の矢印で示す偶数ラインのPD短露光時間T22とは、X線源のX線発生器25からX線が照射されていないブラックレベルでの期間である。X線は、X線源のX線発生器25により低強度(生体に悪影響を与えない程度のX線量)の長照射期間L1と短照射期間L2との2回発光を行っている。OSは、アウトプットシグナル(出力信号)の意味であり、低強度のX線の長時間照射L1の後にフォトダイオードPDから電荷転送されて奇数ライン側信号出力OUT1と偶数ライン側信号出力OUT2の順で撮像信号が出力される。さらに、低強度のX線の短時間照射L2の後にフォトダイオードPDから電荷転送されて奇数ライン側信号出力OUT11と偶数ライン側信号出力OUT12の順で撮像信号が出力される。その後の奇数ライン側信号出力OUT21と偶数ライン側信号出力OUT21はブラックレベルでの信号出力である。
【0071】
図5は、図1の放射線画像撮影システム20において、X線源の1回発光によるフレーム蓄積方式の広ダイナミックレンジモードで電子シャッタを利用した場合について説明するための各信号のタイミングチャートである。
【0072】
図4の場合と図5の場合とが異なるのは、図5の場合は電子シャッタを利用している点である。図4では、X線源のX線発生器25により低強度(生体に悪影響を与えない程度のX線量)の長照射期間L1と短照射期間L2との2回発光を行ったが、図5では、X線源のX線発生器25により低強度(生体に悪影響を与えない程度のX線量)の照射期間L(長照射期間L1+短照射期間L2)との1回発光を行っている。この場合、オーバーフロードレイン信号φOFDにおける立ち上がり信号(電子シャッタのタイミング信号S)の出力によって、X線によるシンチレータ21からの蛍光によるフォトダイオードPDの信号電荷の蓄積がリセットされて、X線の照射期間Lに対して、PD長露光時間T1とPD短露光時間T11に分けると共に、PD長露光時間T2とPD短露光時間T12に分けることができる。
【0073】
即ち、この場合は電子シャッタを用いている。X線源はハイレベルのままで、OFD(オーバーフロードレイン)の立ち上がり信号(電子シャッタのタイミング信号S)が立っているところで、CCDの電位リセットがかかって、ここまでが長時間信号でその後が短時間信号となる。これによって、X線源の照射を二つの時間に分けることができる。
【0074】
X線発生器25は、放射線照射状態で、電子シャッタのタイミングとして、オーバーフロードレイン信号φOFDが立っているタイミング(電子シャッタのタイミング信号S)により、撮像手段としてのCCDイメージセンサ1〜12の電位リセットがかかり、オーバーフロードレイン信号φOFDが立っているタイミング以前を長露光時間とし、オーバーフロードレイン信号φOFDが立っているタイミング以後を短露光時間としている。このオーバーフロードレイン電圧を長露光時間と短露光時間で変えていることもできる。これによって、より多くの信号電荷を蓄積できるようになる。なお、通常は、オーバーフロードレイン電圧は固定である。
【0075】
以上のように、低強度のX線の照射時間を変えて2回または1回照射し、それぞれの照射に対応してフォトダイオードPDで露光するかまたはシャッタタイミングによって露光して撮像信号として出力とすることにより、広いダイナミックレンジの画像を得ることができる。即ち、生体でX線を吸収しやすい部位については、X線が長時間照射しないと、鮮明な濃淡のある画像が得られないし、また、生体でX線を吸収しない部位については、X線の短時間照射で鮮明な濃淡のある画像が得られる。生体でX線を吸収しない部位に対して、X線を長時間照射すると画像が黒く潰れてしまう。したがって、X線の短時間照射による明るいところと、X線の長時間照射による暗いところが合成されることにより、明るいところも暗いところも鮮明な画像を得ることができる。この場合の画像の対象は、静止画だけではなく動画についても適用することができる。
【0076】
したがって、本実施形態によれば、CCDコントローラ22により、CCDイメージセンサ1〜12からの撮像信号の読出しを、X線発生器25による一定線量の放射線照射に対して異なる長露光時間と短露光時間との2回行い、2回、順次読み出された撮像信号による各画像データを、メインコントローラ26がタイミングを取ってメモリ24に画像合成させているため、人体やその以外の物体などの被写体に対して悪影響が生じない程度の弱い放射線量で、従来のように被写体に強い放射線を照射する必要がなく、かつより広いダイナミックレンジの応答を得ることができる。
【0077】
なお、本実施形態では、X線の長時間照射およびその読み出しを先に行ったが、これに限らず、X線の長時間照射およびその読み出しに比べてX線の短時間照射およびその読み出しを先に行ってもよい。
【0078】
また、本実施形態では、フォトダイオードPD(画素)からの信号読み出しを奇数ラインと偶数ラインに分けて読み出すフレーム蓄積駆動について記述したが、これに加えてまたはこれとは別に、フォトダイオードPD(画素)からの信号読み出しを奇数ライン画素と偶数ラインの画素データを合算して読み出すフィールド蓄積駆動で実施しても良い。
【0079】
また、複数回読み出す際に、有意な情報を含んでいる露光をフレーム蓄積駆動とし、それ以外の露光をフィールド蓄積駆動としても良い。
【0080】
この駆動方法により、信号読み出し速度を上げることが可能となって、4分の3の時間で信号読み出しを行うことができる。
【0081】
また、CCD固体撮像素子を駆動させる際に、長時間露光と短時間露光とを組み合わせることにより、高ダイナミックレンジが得られるが、これに限らず、長時間露光と中時間露光と短時間露光とを組み合わせることにより、3回の信号読み出しを行っても高ダイナミックレンジが得られる。露光時間を複数回、信号読み出しを複数回行っても高ダイナミックレンジが得られる。
【0082】
長時間露光の際に映そうとしている部位と、中時間露光や短時間露光の際に映そうとしている部位についてその一例をについて説明する。
【0083】
撮像エリアとしては、同じ部位であるが、例えば長時間露光では肺を映そうとしており、中時間露光や短時間露光では骨などを映そうとしている。
【0084】
胸部撮影では、骨の部分と肺の部分でX線吸収率に差があり、そのX線吸収率の差により、CCD固体撮像素子に対する光量が変化する。また、人体などの生体はそのまま透過するので、ハレーションとなる。吸収率の少ない部分、吸収率の大きい部分を精細に撮像しようとしても、現CCD固体撮像素子では、ダイナミックレンジの狭さで良質の画像が得られないが、吸収率の高い部分は上記長時間露光画像を用い、吸収率の低い部分は上記中時間露光や短時間露光画像を利用し、これらを1枚の画像として重ね合わせて合成することにより、高ダイナミックレンジのより鮮明な画像を得ることができる。この場合、画像合成での補正方法も重要になってくる。
【0085】
さらに、長時間露光と中時間露光や短時間露光の時間の定義について説明する。
【0086】
例えば長時間露光は10秒で、中時間露光や短時間露光は1秒などとすることができる。
【0087】
測定部位により変化するが、ここでは、長時間露光50msec以上500msec以下で、中時間露光や短時間露光50msec以下とする。短時間露光時間は長時間露光時間の1/10以下に設定している。1秒以上だと、体動の動きのブレが出てくるので、現実的ではない。
【0088】
なお、本実施形態では、撮像手段としてのCCDイメージセンサが、複数の分割領域(ここでは12個のCCDイメージセンサ1〜12)に分割されており、複数の分割領域がそれぞれ、二次元状に配列され、光電変換する複数のフォトダイオードPDと、フォトダイオードPDで光電変換された信号電荷を読み出して所定方向に電荷転送する電荷転送手段と、電荷転送手段により電荷転送された信号電荷を電圧変換し、電圧変換された電圧を増幅して撮像信号を出力可能とする出力手段とを有している。これに限らず、撮像手段が、複数の分割領域に分割されておらず1個の領域であってもよく、二次元状に配列され、光電変換する複数のフォトダイオードPDと、フォトダイオードPDで光電変換された信号電荷を読み出して所定方向に電荷転送する電荷転送手段と、電荷転送手段により電荷転送された信号電荷を電圧変換し、電圧変換された電圧を増幅して撮像信号を出力可能とする出力手段とを有していても本発明を構成することができる。また、本実施形態では、撮像手段としてCCDイメージセンサについて説明したが、これに限らず、撮像手段としてCMOSイメージセンサ(CMOS個体撮像素子)であってもよい。
【0089】
撮像手段としてのCMOSイメージセンサは、その半導体基板の表面層として、光電変換部としてのフォトダイオードPDが形成されている。フォトダイオードPDに隣接して、信号電荷をフローティングディヒュージョン部FDに転送するための電荷転送トランジスタ(電荷転送手段)の電荷転送部が設けられている。この電荷転送部上には、ゲート絶縁膜を介して引き出し電極であるゲート電極が設けられている。さらに、このフォトダイオードPD毎にフローティングディフュージョン部FDに電荷転送された信号電荷が電圧変換され、この変換電圧に応じて増幅されて各画素部毎の撮像信号として読み出すための読出回路を有している。要するに、このCMOSイメージセンサにおいても、上記CCDイメージセンサの場合と同様に、複数の分割領域(例えば12個のCMOSイメージセンサ)に分割されて、それぞれが、二次元状に配列され、光電変換する複数のフォトダイオードPDと、フォトダイオードPDで光電変換された信号電荷を所定方向のフローティングディヒュージョン部FDに電荷転送する電荷転送手段と、このフローティングディフュージョン部FDに電荷転送された信号電荷が電圧変換され、この変換電圧に応じて増幅されて各画素部毎の撮像信号として読み出すための信号読出回路とを有していてもよい。
【0090】
即ち、このCMOSイメージセンサの場合もCCDイメージセンサの場合も同様に、撮像手段は、二次元状に配列され、光電変換する複数のフォトダイオードPDと、フォトダイオードPDで光電変換された信号電荷を読み出して所定方向(CMOSイメージセンサの場合はフローティングディフュージョン部FD)に電荷転送する電荷転送手段と、電荷転送手段により電荷転送された信号電荷を電圧変換し、電圧変換された電圧を増幅して撮像信号を出力可能とする出力手段(CMOSイメージセンサの場合は信号読出回路)とを有するものである。
【0091】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、例えばX線マンモグラフィや胸部、四肢骨などの撮影に用いられる放射線画像撮影システムの分野において、撮像手段からの撮像信号の読出しを、放射線発生手段による一定線量の放射線照射に対して異なる露光時間で複数回行い、複数回読み出された撮像信号による各画像データを画像合成させているため、被写体(人体)に強い放射線を照射する必要がなく、広いダイナミックレンジの応答を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施形態におけるX線画像撮影システムの要部構成例を示すブロック図である。
【図2】図1のCCDイメージセンサ1の平面構成例を説明するための模式図である。
【図3】(a)は、図2のフォトダイオードPDを含む平面部分Pの拡大図であり、(b)は、(a)のA−B線の縦断面図である。
【図4】図1の放射線画像撮影システム20において、X線源の2回発光によるフレーム蓄積方式の広ダイナミックレンジモードについて説明するための各信号のタイミングチャートである。
【図5】図1の放射線画像撮影システム20において、X線源の2回発光によるフレーム蓄積方式の広ダイナミックレンジモードで電子シャッタを利用した場合について説明するための各信号のタイミングチャートである。
【図6】特許文献1に開示されている従来の放射線画像撮影装置における放射線画像検出器を構成するエリアセンサの有効画像面積率を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0094】
20 X線画像撮影装置
1〜12 CCDイメージセンサ
21 シンチレータ
22 CCDコントローラ
23 A/Dコンバータ
24 メモリ
25 X線発生器
26 メインコントローラ
27 演算機
28 パーソナルコンピュータ
φV1〜φV4 垂直転送クロック
T 電荷転送パルス
VCCD 垂直電荷転送部
PD フォトダイオード
101 奇数ラインのフォトダイオード
101a 偶数ラインのフォトダイオード
T1 奇数ラインのPD長露光時間
T2 偶数ラインのPD長露光時間
T11 奇数ラインのPD短露光時間
T12 偶数ラインのPD短露光時間
T21 ブラックレベルでの奇数ラインのPD短露光時間
T22 ブラックレベルでの偶数ラインのPD短露光時間
L 低強度のX線の照射期間
L1 低強度のX線の長照射期間
L2 低強度のX線の短照射期間
OS アウトプットシグナル(出力信号)
OUT1、OUT11、OUT21 奇数ライン側信号出力
OUT2、OUT12、OUT22 偶数ライン側信号出力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を発生させて被写体に照射する放射線発生手段と、
該被写体からの放射線を光に変換するシンチレータ手段と、
該シンチレータ手段からの光を光電変換して該被写体の画像として撮像する撮像手段と、
該撮像手段からの撮像信号の読出しを、該放射線発生手段による一定線量の放射線照射に対して異なる露光時間で複数回行い、複数回読み出された撮像信号による各画像データを画像合成制御する制御手段とを有する放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記撮像手段は、前記制御手段により制御されて長時間露光と短時間露光との少なくとも2回の露光が行われて、該撮像手段からの撮像信号の読出しが該長時間露光と該短時間露光に対応して少なくとも2回行われる請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記長時間露光は50msec以上500msec以下の期間であり、前記短時間露光は前記長時間露光の1/10以下の期間である請求項2に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記撮像手段から読み出された撮像信号をA/D変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段からの画像信号を一時保持する記憶手段とを有する請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記記憶手段は、少なくとも、前記撮像手段の長時間露光による画像信号と、前記短時間露光による画像信号とを合成する請求項4に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
前記放射線発生手段は、前記被写体に対して悪影響が生じない程度の弱い放射線量で放射線を照射する請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項7】
前記放射線量は、170μGy(マイクログレイ)±20μGy(マイクログレイ)の範囲内である請求項6に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項8】
前記撮像手段は、二次元状に配列され、光電変換する複数のフォトダイオードと、該フォトダイオードで光電変換された信号電荷を読み出して所定方向に電荷転送する電荷転送手段と、該電荷転送手段により電荷転送された信号電荷を電圧変換し、電圧変換された電圧を増幅して撮像信号を出力可能とする出力手段とを有する請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項9】
前記撮像手段は、複数の分割領域に分割されており、該複数の分割領域がそれぞれ、
二次元状に配列され、光電変換する複数のフォトダイオードと、該フォトダイオードで光電変換された信号電荷を読み出して所定方向に電荷転送する電荷転送手段と、該電荷転送手段により電荷転送された信号電荷を電圧変換し、電圧変換された電圧を増幅して撮像信号を出力可能とする出力手段とを有する請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項10】
前記制御手段は、少なくとも前記撮像手段の長時間露光による撮像信号と短時間露光による撮像信号とを信号出力制御する請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項11】
前記放射線発生手段が放射線照射状態で、電子シャッタのタイミングとして、オーバーフロードレイン信号が立っているタイミングにより、前記撮像手段の電位リセットがかかり、該オーバーフロードレイン信号が立っているタイミング以前を長露光時間および短露光時間の一方とし、該オーバーフロードレイン信号が立っているタイミング以後を長露光時間および短露光時間の他方とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項12】
オーバーフロードレイン電圧を前記長露光時間と前記短露光時間で同一または変えている請求項11に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項13】
前記撮像手段は、シンチレータ手段と対向して2次元状に配置された固体撮像アレイから構成されている請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項14】
前記シンチレータ手段に増幅器としてのイメージインテンシファイヤを設けている請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項15】
前記放射線は、X線、電子線、紫外線および赤外線のうちのいずれかである請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項16】
前記フォトダイオードからの信号読み出しを奇数ラインと偶数ラインに分けて読み出すフレーム蓄積駆動と、該フォトダイオードからの信号読み出しを奇数ラインと偶数ラインのデータを合算して読み出すフィールド蓄積駆動との少なくともいずれかが用いられている請求項9に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項17】
前記フォトダイオードからの信号読み出しを複数回行う際に、有意な情報を含んでいる露光を前記フレーム蓄積駆動とし、それ以外の露光を前記フィールド蓄積駆動とする請求項16に記載の放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−82254(P2010−82254A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255484(P2008−255484)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】