説明

放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影システム

【課題】装置全体の重量を大きくすることなく、複数の放射線検出ユニットを連結して長尺撮影を行うことが可能となる。
【解決手段】放射線画像撮影装置20Aは、放射線16を放射線画像に変換可能な放射線変換パネルを備える放射線検出ユニット30aと、放射線検出ユニット30aを制御可能な1つの制御部196と、放射線検出ユニット30aと制御部196との間を接続する第1の接続部464と、放射線検出ユニット30aと他の放射線検出ユニット30bとの間を接続可能な第2の接続部462とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線を放射線画像に変換する放射線変換パネルを備えた放射線検出ユニットを有する放射線画像撮影装置と、前記放射線画像撮影装置及び該放射線画像撮影装置を制御する制御装置を有する放射線画像撮影システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被写体に放射線を照射し、該被写体を透過した前記放射線を放射線変換パネルに導いて放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置が広汎に使用されている。前記放射線変換パネルとしては、前記放射線画像が露光記録される従来からの放射線フイルムや、蛍光体に前記放射線画像としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで前記放射線画像を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネルが知られている。これらの放射線変換パネルは、前記放射線画像が記録された放射線フイルムを現像装置に供給して現像処理を行い、あるいは、前記蓄積性蛍光体パネルを読取装置に供給して読取処理を行うことで、可視画像を得ることができる。
【0003】
一方、手術室等においては、患者に対して迅速且つ的確な処置を施すため、撮影後の放射線変換パネルから直ちに放射線画像を読み出して表示できることが必要である。このような要求に対応可能な放射線変換パネルとして、放射線を電気信号に直接変換する固体検出素子を用いた直接変換型の放射線変換パネル、あるいは、放射線を可視光に一旦変換するシンチレータと、前記可視光を電気信号に変換する固体検出素子とを用いた間接変換型の放射線変換パネルが開発されている。
【0004】
そして、上述した直接変換型又は間接変換型の放射線変換パネルと、該放射線変換パネルを制御する制御部とによって、電子カセッテと呼称される放射線検出ユニットが構成される。前記電子カセッテは、放射線フイルム又は蓄積性蛍光体パネルを有する放射線検出ユニットと比較して高価ではあるが、高画質の放射線画像が得られると共に、該放射線画像の画像表示を速やかに行うことができるので、近年普及しつつある。
【0005】
ところで、被写体に対する撮影としては、該被写体の所定の撮影部位を透過した放射線を1つの放射線検出ユニットを用いて放射線画像に変換する通常の撮影と、1枚の画像に収まりきらない長尺な撮影部位(例えば、前記被写体の体全体)の放射線画像を得るための長尺撮影とがある(特許文献1及び2参照)。
【0006】
特許文献1には、複数の蓄積性蛍光体シートを部分的に重ね合わせて筐体内に収容した状態で長尺撮影を行うことが提案されている。特許文献2には、電子カセッテが他の放射線検出ユニットよりも高価で且つ厚みがあることに鑑みて、1つの電子カセッテを被写体の撮影部位に対して相対的に移動させ、移動した各位置で撮影を行った後に、各放射線画像を合成して1枚の長尺な放射線画像を得ることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−85392号公報
【特許文献2】特開2008−17965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
長尺な被写体の画像を速やかに表示できるためには、特許文献1のような複数の蓄積性蛍光体シートによる長尺撮影ではなく、電子カセッテによる長尺撮影が望ましい。
【0009】
しかしながら、電子カセッテには、放射線変換パネルを制御する制御部が備わっているので、複数の電子カセッテを連結して放射線画像撮影装置を構成すると、装置全体の重量が大きくなり、該放射線画像撮影装置を取り扱う医師又は技師の負担が増大するおそれがある。
【0010】
また、特許文献2の技術では、電子カセッテが移動した各位置で被写体に対する放射線の照射(撮影)を行うので、撮影開始から撮影終了までの長時間にわたり、前記被写体は、同じ姿勢を維持しなければならない。また、撮影中、前記被写体の体動が発生すれば、撮影後の画像合成に破綻が生じるおそれもある。
【0011】
本発明は、上記の課題を解消するためになされたものであり、装置全体の重量を大きくすることなく、複数の放射線検出ユニットを連結して長尺撮影を行うことが可能となる放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る放射線画像撮影装置は、放射線を放射線画像に変換可能な放射線変換パネルを備える放射線検出ユニットと、
前記放射線検出ユニットを制御可能な1つの制御部と、
前記放射線検出ユニットと前記制御部との間を接続する第1の接続部と、
前記放射線検出ユニットと他の放射線検出ユニットとの間を接続可能な第2の接続部と、
を有することを特徴としている。
【0013】
また、本発明に係る放射線画像撮影システムは、放射線を放射線画像に変換可能な放射線変換パネルを備える放射線検出ユニットと、前記放射線検出ユニットを制御可能な1つの制御部と、前記放射線検出ユニットと前記制御部との間を接続する第1の接続部と、前記放射線検出ユニットと他の放射線検出ユニットとの間を接続可能な第2の接続部とを有する放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置と、
を備えることを特徴としている。
【0014】
これらの発明によれば、放射線画像撮影装置には、1つの放射線検出ユニットと、1つの制御部とが設けられ、前記1つの放射線検出ユニットと前記1つの制御部とを前記第1の接続部により接続することで、該制御部は、前記第1の接続部を介して前記1つの放射線変換パネルを制御する。また、前記1つの放射線検出ユニットと他の放射線検出ユニットとを第2の接続部により接続することができれば、前記制御部は、前記第1の接続部及び前記第2の接続部を介して前記他の放射線検出ユニットの放射線変換パネルを制御することも可能となる。
【0015】
このように、前記放射線画像撮影装置において、比較的重量の大きな前記1つの制御部を共用化することにより、前記各放射線検出ユニット毎に前記制御部を設けることが不要となり、前記放射線画像撮影装置を軽量化することが可能となる。この結果、前記放射線画像撮影装置を取り扱う医師又は技師の負担を軽減することができる。
【0016】
また、前記第2の接続部によって前記1つの放射線検出ユニットと前記他の放射線検出ユニットとを接続することができれば、被写体に対する1回の放射線の照射で長尺撮影を行うことが可能となり、より簡単に長尺撮影を行うことができると共に、撮影時間の短縮化も実現することができる。
【0017】
従って、本発明によれば、装置全体の重量を大きくすることなく、複数の放射線検出ユニットを連結して長尺撮影を行うことが可能となる。
【0018】
なお、上述した各放射線検出ユニットは、それぞれが単独でも通常撮影を行うことが可能な電子カセッテであり、本発明では、このような複数の電子カセッテを前記第2の接続部で連結することにより上述した各効果が得られる。
【0019】
また、前記放射線画像撮影装置は、複数の前記放射線検出ユニットをさらに有し、前記第1の接続部は、前記各放射線検出ユニットのうち少なくとも1つの放射線検出ユニットと前記制御部との間を接続し、前記第2の接続部は、前記各放射線検出ユニット間を接続すればよい。
【0020】
このように、前記各放射線検出ユニット間を前記第2の接続部で接続すると、上述した各効果が容易に得られる。
【0021】
ここで、前記第1の接続部及び前記第2の接続部は、前記放射線画像を含むデータについて、前記制御部と前記各放射線検出ユニットとの間、及び、前記各放射線検出ユニット間でデータ通信を行うためのデータ線をそれぞれ備えることが望ましい。
【0022】
これにより、前記制御部は、前記各放射線変換パネルから前記データ線を介して前記放射線画像を含む各種のデータを取得することが可能となる。
【0023】
この場合、前記各データ線が光通信により前記データのデータ通信を行えば、前記制御部は、大容量のデータを容易に取得することが可能になると共に、前記データ線の途中で電磁誘導等に起因したノイズが前記データに重畳することを阻止することができる。
【0024】
また、リアルタイムでの前記データの取得が求められていない場合に、前記各データ線は、半二重通信により双方向で前記データのデータ通信を行ってもよい。
【0025】
また、前記第1の接続部及び前記第2の接続部は、前記各放射線変換パネル間の同期制御を行うための制御線をそれぞれ備えることが望ましい。
【0026】
これにより、撮影時に、前記各放射線変換パネル間では、前記制御線を介して、前記放射線を前記放射線画像に変換するための同期制御を確実に行うことが可能となる。なお、前記同期制御では、リアルタイムでの制御が要求されるので、前記制御線は、全二重通信により双方向で同期制御用の信号を伝送できることが望ましい。
【0027】
この場合、前記制御部が前記各制御線を介して前記各放射線変換パネルに対する前記同期制御を行えば、該同期制御を確実に且つ効率よく行うことができる。
【0028】
また、前記第1の接続部及び前記第2の接続部は、前記制御部から前記放射線変換パネルに電力供給を行うための電力線をそれぞれ備えることが望ましい。
【0029】
これにより、前記各放射線検出ユニットにバッテリ等の電源を設けなくても、前記各放射線変換パネルは、前記制御部から前記電力線を介して電力供給を受けることになるので、前記放射線画像撮影装置をさらに軽量化することが可能となる。
【0030】
また、前記各放射線検出ユニットは、前記放射線変換パネルを収容するパネル収容部をそれぞれ備え、前記第2の接続部は、前記各パネル収容部を順次連結してもよい。
【0031】
これにより、前記各放射線検出ユニットを一列に連結して1台の放射線画像撮影装置を構成することも可能となるので、長尺撮影を容易に行うことができる。
【0032】
この場合、前記各パネル収容部には、前記放射線を透過可能な表面と、該表面に対向する裏面とがそれぞれ設けられ、
前記各パネル収容部の表面は、被写体を透過した前記放射線が照射される照射面であると共に、該照射面における前記放射線の照射領域は、前記放射線画像に変換可能な撮影領域であり、前記制御部は、前記表面における前記撮影領域以外の領域に配置される。
【0033】
これにより、前記制御部に対する前記放射線の照射を確実に回避することができる。
【0034】
前記制御部が前記撮影領域に配置された状態で前記放射線の照射が行われると、前記制御部が前記放射線で劣化したり、あるいは、前記制御部が前記放射線画像に写り込むという不都合がある。従って、本発明では、上記のように、前記制御部に対する前記放射線の照射を回避することで、これらの不都合の発生を防止するようにしている。
【0035】
そして、前記各パネル収容部の表面の外周部と裏面の外周部との間には、該パネル収容部の側面がそれぞれ設けられ、前記第1の接続部は、前記制御部に設けられた第1のコネクタと、前記表面における前記撮影領域以外の領域に設けられ且つ前記第1のコネクタに嵌合する第1の接続端子とであり、前記第2の接続部は、前記各パネル収容部の一側面の両端部にそれぞれ設けられた第2の接続端子と、一方のパネル収容部の第2の接続端子と他方のパネル収容部の第2の接続端子とに嵌合する第2のコネクタとである。
【0036】
このように、前記第1のコネクタと前記第1の接続端子とを嵌合させることにより、前記制御部と1つのパネル収容部とが接続され、一方で、前記第2のコネクタと前記第2の接続端子とを嵌合させることにより、前記各パネル収容部間が接続されるので、前記各放射線検出ユニットを連結して1台の放射線画像撮影装置を構成する際の連結作業を容易に且つ効率よく行うことができる。
【0037】
前記放射線画像撮影装置は、前記第2の接続部により連結された前記各パネル収容部の連結順番を検知し、検知結果を連結順番情報として生成する連結順番情報生成部をさらに有してもよい。
【0038】
前記各パネル収容部が順次連結されているので、前記各放射線画像を画像合成して1枚の長尺な被写体の画像を形成する際、前記連結順番情報を参照することにより、前記各放射線画像がどの放射線変換パネルにより得られた画像であるのかを特定することができる。この結果、前記1枚の長尺な画像の形成を効率よく行うことができる。
【0039】
また、前記制御部は、前記制御装置との間で信号の送受信が可能な通信部を有し、前記各放射線検出ユニットから前記各データ線を介して取得した前記各放射線画像の間引きデータを前記通信部を介して前記制御装置に送信してもよい。
【0040】
このように、低解像度の間引きデータを前記制御装置に送信することにより、医師又は技師は、撮影面に対する前記被写体のポジショニングを速やかに確認することが可能となる。
【0041】
なお、上述した放射線画像撮影装置において、隣接する放射線検出ユニット間で、その一部を互いに重ね合わせることにより、隣接する放射線変換パネルの一部が互いに重なり合うと共に、少なくとも1つの放射線変換パネルが、他の放射線変換パネルよりも前記放射線の照射側に配置されてもよい。
【0042】
これにより、前記各放射線検出ユニットを容易に連結することが可能になると共に、各放射線変換パネルでそれぞれ得られた各放射線画像を画像合成して、1枚の長尺な被写体の放射線画像を得る際に、各放射線画像の連結箇所における画像が欠落することを防止することも可能となる。
【0043】
また、前記各放射線変換パネルは、前記放射線を可視光に変換するシンチレータと、前記可視光を前記放射線画像を示す電気信号に変換する固体検出素子と、前記固体検出素子から前記電気信号を読み出すスイッチング素子と、前記固体検出素子及び前記スイッチング素子が形成される基板とをそれぞれ有し、少なくとも1つの放射線変換パネルにおいて、前記基板は、可撓性を有するプラスチック製の基板であり、前記固体検出素子は、有機光導電体からなり、前記スイッチング素子は、有機半導体材料からなることが望ましい。
【0044】
これにより、前記基板に前記固体検出素子及び前記スイッチング素子を低温成膜することが可能になると共に、前記放射線変換パネル、及び、該放射線変換パネルを備えた前記放射線検出ユニットの薄型化や軽量化も可能となる。この結果、複数の放射線検出ユニットを接続した際の接続箇所での段差を小さくすることができる。また、プラスチック及び有機系の材料は、前記放射線をほとんど吸収しないので、前記他の放射線変換パネルに、少しでも多くの線量の放射線を到達させることができる。
【0045】
なお、全ての放射線変換パネルが共に上述のプラスチック及び有機系の材料を用いていれば、いずれの放射線検出ユニットも薄くなるので、接続箇所での段差が生じにくくなることは勿論である。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、放射線画像撮影装置には、1つの放射線検出ユニットと、1つの制御部とが設けられ、前記1つの放射線検出ユニットと前記1つの制御部とを前記第1の接続部により接続することで、該制御部は、前記第1の接続部を介して前記1つの放射線変換パネルを制御する。また、前記1つの放射線検出ユニットと他の放射線検出ユニットとを第2の接続部により接続することができれば、前記制御部は、前記第1の接続部及び前記第2の接続部を介して前記他の放射線検出ユニットの放射線変換パネルを制御することも可能となる。
【0047】
このように、前記放射線画像撮影装置において、比較的重量の大きな前記1つの制御部を共用化することにより、前記各放射線検出ユニット毎に前記制御部を設けることが不要となり、前記放射線画像撮影装置を軽量化することが可能となる。この結果、前記放射線画像撮影装置を取り扱う医師又は技師の負担を軽減することができる。
【0048】
また、前記第2の接続部によって前記1つの放射線検出ユニットと前記他の放射線検出ユニットとを接続することができれば、被写体に対する1回の放射線の照射で長尺撮影を行うことが可能となり、より簡単に長尺撮影を行うことができると共に、撮影時間の短縮化も実現することができる。
【0049】
従って、本発明によれば、装置全体の重量を大きくすることなく、複数の放射線検出ユニットを連結して長尺撮影を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成図である。
【図2】図1の放射線画像撮影装置の斜視図である。
【図3】図1の放射線画像撮影装置の平面図である。
【図4】図1の放射線画像撮影装置を模式的に示す側面図である。
【図5】図5Aは、1つの放射線検出ユニットの斜視図であり、図5Bは、図5Aの放射線検出ユニットとは異なる他の1つの放射線検出ユニットの斜視図である。
【図6】図6Aは、図5Aの放射線検出ユニットから2つのブロックを離間させた状態を示す斜視図であり、図6Bは、図5Bの放射線検出ユニットから2つのブロックを離間させた状態を示す斜視図である。
【図7】図6Aの放射線検出ユニットと図6Bの放射線検出ユニットとを連結させた状態を示す斜視図である。
【図8】2つの放射線検出ユニットに対して1つの制御部を配置する状態を示す斜視図である。
【図9】接続部による2つの放射線検出ユニット間の接続を示す要部斜視図である。
【図10】接続部による1つの制御部と1つの放射線検出ユニットとの接続を示す要部斜視図である。
【図11】図1の放射線検出ユニットの一部を破断して図示した平面図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿った断面図である。
【図13】図11のXIII−XIII線に沿った断面図である。
【図14】図6Bの放射線検出ユニットの内部を示す断面図である。
【図15】図6Bの放射線検出ユニットの内部を示す断面図である。
【図16】制御部の一部を破断して図示した平面図である。
【図17】放射線変換パネルにおける画素の配列と、画素と接続端子との間の電気的接続とを模式的に示す説明図である。
【図18】パネル収容部と制御部との間の電気的接続を示すブロック図である。
【図19】制御部のブロック図である。
【図20】図1の放射線画像撮影システムの詳細なブロック図である。
【図21】図1の放射線画像撮影装置を用いた撮影を説明するためのフローチャートである。
【図22】図21のステップS2の処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図23】図21のステップS5の処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図24】図1の制御部に対する充電処理の状態を示す斜視図である。
【図25】図25A及び図25Bは、1枚のシンチレータを筐体内に収容した状態を示す断面図である。
【図26】図26A及び図26Bは、2枚のシンチレータを筐体内に収容した状態を示す断面図である。
【図27】第2実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成図である。
【図28】図27の放射線画像撮影装置の斜視図である。
【図29】図28の2つの放射線検出ユニットを連結させた状態を示す斜視図である。
【図30】図29の2つの放射線検出ユニットに対して1つの制御部を配置する状態を示す斜視図である。
【図31】放射線画像撮影装置の他の構成を示す斜視図である。
【図32】変形例に係る放射線検出器の3画素分の構成を概略的に示す図である。
【図33】図32に示すTFT及び電荷蓄積部の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明に係る放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影システムの好適な実施形態について、図1〜図33を参照しながら以下詳細に説明する。
【0052】
先ず、第1実施形態に係る放射線画像撮影システム10Aについて、図1〜図26Bを参照しながら説明する。
【0053】
図1に示すように、放射線画像撮影システム10Aは、ベッド等の撮影台12に横臥した患者等の被写体14に対して、撮影条件に従った線量からなる放射線16を照射する放射線照射装置18と、被写体14を透過した放射線16を検出して放射線画像に変換する放射線画像撮影装置20Aと、放射線照射装置18及び放射線画像撮影装置20Aを制御するコンソール(制御装置)22と、放射線画像を表示する表示装置24とを備える。
【0054】
コンソール22と、放射線照射装置18、放射線画像撮影装置20A及び表示装置24との間は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)、IEEE802.11.a/g/n等の無線LAN(Local Area Network)又はミリ波等を用いた無線通信により信号の送受信が行われる。なお、ケーブルを用いた有線通信により信号の送受信を行ってもよいことは勿論である。
【0055】
また、コンソール22には、病院内の放射線科において取り扱われる放射線画像やその他の情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS)26が接続され、また、RIS26には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)28が接続される。
【0056】
放射線画像撮影装置20Aは、図1〜図3に示すように、撮影台12と被写体14との間に配置され、3つの放射線検出ユニット30a〜30cと、該放射線検出ユニット30a〜30c間を接続する2つのコネクタ32と、放射線検出ユニット30a〜30cにそれぞれ設けられた2つの接続端子454a〜454c、456a〜456cを介して、少なくとも1つの放射線検出ユニット30a〜30cと接続される制御部196とを有する。
【0057】
放射線検出ユニット30a〜30cは、図1〜図8に示すように、同一形状且つ同じ厚みの2つの放射線検出ユニット30a、30cと、該放射線検出ユニット30a、30cとは異なる形状を有し且つ同じ厚みの1つの放射線検出ユニット30bとの2種類の電子カセッテであり、種類の異なる電子カセッテを一列に沿って交互に連結すると共に、2つのコネクタ32によって接続し、さらに、放射線検出ユニット30a〜30cのうち、いずれか1つの放射線検出ユニットの2つの接続端子454a〜454c、456a〜456cに制御部196を接続することにより、1台の放射線画像撮影装置20Aを構成する。なお、図1〜図3では、接続端子454a、456aを介して放射線検出ユニット30aと制御部196とを接続した場合を図示している。
【0058】
ここで、各放射線検出ユニット30a〜30c及び制御部196について、より詳しく説明する。
【0059】
放射線検出ユニット30a〜30cは、略矩形状の筐体(パネル収容部)34a〜34cをそれぞれ有する(図5A及び図5B参照)。筐体34a〜34cは、放射線16を透過可能であると共に、該放射線16を放射線画像に変換可能な放射線変換パネル172a〜172cを収容する(図4参照)。そして、筐体34a〜34cと、該筐体34a〜34cの内部の各構成要素とによって、パネル部198a〜198cが構成される。
【0060】
筐体34a〜34cの表面36a〜36cには、被写体14の撮影位置を示すガイド線38a〜38cがそれぞれ形成されている。ガイド線38a〜38cの外枠が、表面36a〜36cにおける放射線16の照射野(照射範囲)を示す撮影領域40a〜40cになる。また、ガイド線38a〜38cの中心位置(十字状に交差する2本のガイド線38a〜38cの交点)は、該撮影領域40a〜40cの中心位置となる。
【0061】
なお、これらの放射線検出ユニット30a〜30cにおいて、表面36a〜36cに対向する裏面42a〜42cには、ガイド線や撮影領域を設けない。すなわち、放射線検出ユニット30a〜30cは、表面36a〜36cを放射線16の照射面148a〜148cとし、外部から該照射面148a〜148cに対してのみ放射線16が照射されて、該放射線16を放射線画像に変換可能な電子カセッテである。
【0062】
また、図2及び図3に示すように、放射線検出ユニット30a〜30cを連結しても、各ガイド線38a〜38cは重ならない一方で、筐体34a〜34cに収容された放射線変換パネル172a〜172cは、その一部が重なり合う(図4参照)。
【0063】
さらに、表面36a〜36cは、互いに略同じ面積であり、放射線16の照射野も本来は略同じ大きさである。しかしながら、筐体34a、34cの側部の裏面42a、42c側がブロック58a、58c、60a、60cとして筐体34a、34cからそれぞれ分離して、段差部120a、120c、122a、122bを形成することが可能である(図6A参照)と共に、筐体34bの側部の表面36b側がブロック58b、60bとして筐体34bから分離して、段差部120b、122bを形成することが可能であるため(図6B参照)、撮影時には、表面36bの面積は、表面36a、36cの面積と比較して小さくなる。従って、表面36b中、筐体34bから分離しない領域にのみガイド線38b及び撮影領域40bがそれぞれ表示されている。
【0064】
すなわち、各筐体34a、34cにおいては、段差部120a、120c、122a、122cに近接(連接)する面を裏面42a、42cとし、一方で、裏面42a、42cに対向し且つ段差部120a、120c、122a、122cから離間した面を表面36a、36c(照射面148a、148c)としている。一方、筐体34bにおいては、段差部120b、122bに近接(連接)する面を表面36b(照射面148b)とし、一方で、表面36bに対向し且つ段差部120b、122bから離間した面を裏面42bとしている。
【0065】
さらにまた、筐体34a〜34cにおいて、表面36a〜36cの外周部と、裏面42a〜42cの外周部とは、4つの側面50a〜50c、52a〜52c、54a〜54c、56a〜56cによってそれぞれ連結されている。この場合、筐体34a〜34cの側面54a〜54c側には、該筐体34a〜34cから分離可能なブロック58a〜58cがそれぞれ設けられると共に、側面54a〜54cに対向する側面56a〜56c側には、筐体34a〜34cから分離可能なブロック60a〜60cがそれぞれ設けられる。なお、これらのブロック58a〜58c、60a〜60cの全長は、側面50a〜50cと、該側面50a〜50cに対向する側面52a〜52cとの間の距離に設定されている。
【0066】
ブロック58a〜58cの側面50a〜50c側には、凹部70a〜70cがそれぞれ設けられ、該凹部70a〜70cに手動操作部72a〜72cが配置されている。また、ブロック58a〜58cの側面52a〜52c側には、凹部70a〜70cと同一形状の凹部74a〜74cがそれぞれ設けられ、該凹部74a〜74cに手動操作部76a〜76cが配置されている。一方、ブロック60a〜60cにおいても、凹部70a〜70c、74a〜74cに対向するように凹部78a〜78c、82a〜82cがそれぞれ設けられ、該凹部78a〜78c、82a〜82cに手動操作部80a〜80c、84a〜84cが配置されている。
【0067】
ブロック58a〜58cの筐体34a〜34c側には、手動操作部72a〜72cに連結される爪部材90a〜90cが、孔部92a〜92cを貫通してそれぞれ配設され、筐体34a〜34cにおける孔部92a〜92cに対向する箇所には、爪部材90a〜90cと係合可能な孔部94a〜94cが形成されている(図6A及び図6B参照)。また、ブロック58a〜58cの筐体34a〜34c側には、前述した爪部材90a〜90cと同様に、手動操作部76a〜76cに連結される爪部材96a〜96cが孔部98a〜98cを貫通してそれぞれ配設され、筐体34a〜34cにおける孔部98a〜98cに対向する箇所には、爪部材96a〜96cと係合可能な孔部100a〜100cが形成されている。
【0068】
ブロック60a〜60cの筐体34a〜34c側においても、上述の爪部材90a〜90cと同様に、手動操作部80a〜80cに連結される爪部材102a〜102cが孔部104a〜104cを貫通してそれぞれ配設され、筐体34a〜34cにおける孔部104a〜104cに対向する箇所には、爪部材102a〜102cと係合可能な孔部106a〜106cが形成されている。また、ブロック60a〜60cの筐体34a〜34c側には、前述した爪部材96a〜96cと同様に、手動操作部84a〜84cに連結される爪部材108a〜108cが孔部110a〜110cを貫通してそれぞれ配設され、筐体34a〜34cにおける孔部110a〜110cに対向する箇所には、爪部材108a〜108cと係合可能な孔部112a〜112cが形成されている。
【0069】
従って、図5A及び図5Bに示す状態で医師又は技師が手動操作部72a〜72c、76a〜76cを互いに近接する方向に変位させると、該手動操作部72a〜72c、76a〜76cに連動する爪部材90a〜90c、96a〜96cが移動し、この結果、爪部材90a〜90c、96a〜96cと孔部94a〜94c、100a〜100cとの係合状態が解除されて、筐体34a〜34cからブロック58a〜58cを分離することができる(図6A及び図6B参照)。また、医師又は技師が手動操作部80a〜80c、84a〜84cを互いに近接する方向に変位させると、該手動操作部80a〜80c、84a〜84cに連動する爪部材102a〜102c、108a〜108cが移動し、この結果、爪部材102a〜102c、108a〜108cと孔部106a〜106c、112a〜112cとの係合状態が解除されて、筐体34a〜34cからブロック60a〜60cを分離することができる。
【0070】
筐体34a〜34cからブロック58a〜58c、60a〜60cが分離されることにより、該筐体34a〜34cの側面54a〜54c、56a〜56c側には、段差部120a〜120c、122a〜122cがそれぞれ形成されると共に、筐体34bの表面36bには、筐体34a、34cの照射面148a、148c(撮影領域40a、40c)よりも面積の小さな照射面148b(撮影領域40b)が形成される。
【0071】
側面50a〜50cにおける段差部120a〜120c側の箇所には、コネクタ32に嵌合可能な接続端子124a〜124cがそれぞれ配設される。また、該側面50a〜50cにおける段差部122a〜122c側の箇所にも、接続端子124a〜124cと同一形状の接続端子126a〜126cがそれぞれ配設される。コネクタ32と、該コネクタ32に嵌合する接続端子124a〜124c、126a〜126cとによって、各放射線検出ユニット30a〜30c間を接続する接続部(第2の接続部)462が構成される(図7及び図9参照)。
【0072】
さらに、側面50a〜50cの中央部分には、医師又は技師が把持するための取手部450a〜450cが配設される。また、側面52a〜52cの中央部分にも、前述した取手部450a〜450cと同一形状の取手部452a〜452cがそれぞれ設けられている。従って、医師又は技師は、取手部450a〜450c、452a〜452cを把持して放射線検出ユニット30a〜30cを運搬することも可能となる。
【0073】
表面36a〜36cにおける側面50a〜50c側には、同一形状の2つの接続端子454a〜454c、456a〜456cがそれぞれ設けられ、一方で、放射線変換パネル172a〜172cを制御するブロック状の制御部196における底面側には、各接続端子454a〜454c、456a〜456cに嵌合可能なコネクタ458、460が設けられている(図8参照)。コネクタ458、460と、該コネクタ458、460に嵌合する接続端子454a〜454c、456a〜456cとによって、制御部196と1つの放射線検出ユニット30a〜30cとの間を接続する接続部(第1の接続部)464が構成される。
【0074】
なお、各接続端子454a〜454c、456a〜456cは、各放射線検出ユニット30a〜30cを連結した際に、等間隔に配置されるような位置に設けられている。また、制御部196は、コネクタ458、460と、接続端子454a〜454c、456a〜456cとが嵌合した際に、該制御部196が撮影領域40a〜40cと重ならないような大きさ、すなわち、平面視で、表面36a〜36cにおける撮影領域40a〜40cと側面50a〜50cとの間の領域に納まるような大きさとされている(図3参照)。
【0075】
さらに、制御部196の側面50a〜50c側には、外部の電源から充電を受けるためのACアダプタの入力端子160と、外部機器との間で情報の送受信が可能なインターフェース手段としてのUSB(Universal Serial Bus)端子162と、PCカード等のメモリカード164(図19参照)を装填するためのカードスロット166と、放射線検出ユニット30a〜30cを起動させるための電源スイッチ168とがそれぞれ設けられている。
【0076】
図9は、接続部462を示す要部斜視図である。ここでは、一例として、接続端子126aと接続端子124bとをコネクタ32により接続する場合について説明する。
【0077】
接続部462を構成する各接続端子124a、126bには、放射線変換パネル172a〜172c間での同期制御を行うための同期制御信号等を送受信するための制御線470a、470bと、アース線472a、472bと、放射線変換パネル172a〜172cに対する電力供給を行うための電力線474a、474bと、放射線画像を含むデータについて、光通信によるデータ通信を半二重通信により双方向に行うことが可能なデータ線476a、476bとがそれぞれ備わっている。なお、図9では、各接続端子124a、126bにおける、制御線470a、470b、アース線472a、472b、電力線474a、474b、及び、データ線476a、476bの各端部がピン状になっている場合を図示している。
【0078】
これに対して、略U字状のコネクタ32における接続端子126aとの嵌合部分には、制御線470aに連結されるソケット480と、アース線472aに連結されるソケット482と、電力線474aに連結されるソケット484と、データ線476aに連結されるソケット486とが設けられている。また、コネクタ32における接続端子124bとの嵌合部分には、ソケット480と電気的に接続され且つ制御線470bに連結されるソケット490と、ソケット482と電気的に接続され且つアース線472bに連結されるソケット492と、ソケット484と電気的に接続され且つ電力線474bに連結されるソケット494と、ソケット486と光学的に接続され且つデータ線476bに連結されるソケット496とが設けられている。
【0079】
なお、制御線470a、470bの断面形状と、アース線472a、472bの断面形状、電力線474a、474bの断面形状と、データ線476a、476bの断面形状とは、互いに異なる大きさ及び形状であってもよい。また、ソケット480、490と、ソケット482、492と、ソケット484、494と、ソケット486、496とについても、互いに異なる大きさ及び形状であってもよい。
【0080】
また、図9では、一例として、接続端子126a及び接続端子124bとコネクタ32との接続について説明したが、他の接続端子124a、124c、126b、126cとコネクタ32との接続も同様にして行われることは勿論である。
【0081】
図10は、接続部464を示す要部斜視図である。ここでは、一例として、コネクタ458と接続端子454aとを接続すると共に、コネクタ460と接続端子456aとを接続する場合について説明する。
【0082】
接続部464を構成する各接続端子454a、456aには、前記同期制御信号等を送受信するための制御線500a、510aと、アース線502a、512aと、放射線変換パネル172a〜172cに対する電力供給を行うための電力線504a、514aと、放射線画像を含むデータについて、光通信によるデータ通信を半二重通信により双方向に行うことが可能なデータ線506a、516aとがそれぞれ備わっている。なお、図10においても、各接続端子454a、456aにおける、制御線500a、510a、アース線502a、512a、電力線504a、514a、及び、データ線506a、516aの各端部がピン状になっている場合を図示している。
【0083】
これに対して、各コネクタ458、460における接続端子454a、456aとの嵌合部分には、制御線500a、510aに連結されるソケット520、530と、アース線502a、512aに連結されるソケット522、532と、電力線504a、514aに連結されるソケット524、534と、データ線506a、516aに連結されるソケット526、536とがそれぞれ設けられている。
【0084】
なお、制御線500a、510aの断面形状と、アース線502a、512aの断面形状と、電力線504a、514aの断面形状と、データ線506a、516aの断面形状とは、互いに異なる大きさ及び形状であってもよい。また、ソケット520、530と、ソケット522、532と、ソケット524、534と、ソケット526、536とについても、互いに異なる大きさ及び形状であってもよい。
【0085】
また、図10では、一例として、コネクタ458と接続端子454aとの接続、及び、コネクタ460と接続端子456aとの接続について説明したが、コネクタ458、460と、他の接続端子454b、454c、456b、456cとの接続も同様にして行われることは勿論である。
【0086】
ここで、3つの放射線検出ユニット30a〜30cを連結すると共に、1つの放射線検出ユニット30aに制御部196を連結して1台の放射線画像撮影装置20Aを構成する場合、医師又は技師は、下記のようにして放射線画像撮影装置20Aの組立作業を行う。
【0087】
先ず、筐体34a〜34cからブロック58a〜58c、60a〜60cをそれぞれ分離して段差部120a〜120c、122a〜122cを形成する(図6A及び図6B参照)。この状態で、医師又は技師は、筐体34aの段差部122aと筐体34bの段差部120bとを嵌合させると共に、筐体34bの段差部122bと筐体34cの段差部120cとを嵌合させる(図7A及び図7B参照)。
【0088】
次に、医師又は技師は、段差部122a、120b側の接続端子126a、124bに略U字状のコネクタ32を嵌合させると共に、段差部122b、120c側の接続端子126b、124cにも他のコネクタ32を嵌合させる。その後、医師又は技師は、放射線検出ユニット30aの接続端子454a、456aにコネクタ458、460を嵌合させて、制御部196と放射線検出ユニット30aとを連結させる。
【0089】
これにより、制御部196と放射線検出ユニット30a〜30cとの間、及び、各放射線検出ユニット30a〜30c間は、電気的、光学的且つ機械的に接続された状態となり、制御部196から放射線検出ユニット30aを介して各放射線検出ユニット30a〜30cに対する信号の送受信や電力供給が可能となると共に、各放射線検出ユニット30a〜30c間での信号の送受信等も可能となる。
【0090】
また、図1、図3及び図4の左側から右側に向かって、放射線検出ユニット30a→放射線検出ユニット30b→放射線検出ユニット30cの順に、種類の異なる電子カセッテが交互に連結される。そのため、放射線画像撮影装置20Aの上面は、表面36a→表面36b→表面36cの順となり、面積の異なる照射面が一方向に沿って交互に連結されることになる。また、前述したように、各筐体34a〜34cは、同じ厚みであるため、各放射線検出ユニット30a〜30cを連結して放射線画像撮影装置20Aを構成すると、各筐体34a〜34cの連結箇所(放射線画像撮影装置20Aの上面における各段差部122a、120bの嵌合箇所、及び、各段差部122b、120cの嵌合箇所)での段差を発生させることなく、該放射線画像撮影装置20Aの厚みを、各放射線検出ユニット30a〜30cと同じ厚みにすることができると共に、放射線画像撮影装置20Aの上面を略平面状とすることができる(図1〜図4参照)。
【0091】
さらに、被写体14が横臥する放射線画像撮影装置20Aの上面に放射線16が照射される場合(図1及び図2参照)、表面36a〜36cは、放射線16が照射される照射面148a〜148cになると共に、放射線16の照射範囲(撮影領域40a〜40cを含む照射野)が放射線画像撮影装置20Aの撮影面(撮影領域)156として構成される。
【0092】
図4に示すように、筐体34a〜34cの内部における、段差部120a〜120c、122a〜122cが形成されていない幅広の部分に、シンチレータ150a〜150c及び光電変換層152a〜152cを有し、且つ、放射線16を放射線画像に変換する放射線変換パネル172a〜172cがそれぞれ収容されている。この場合、各筐体34a、34bにおいては、放射線変換パネル172aにおける放射線変換パネル172b側の一部と、放射線変換パネル172bにおける放射線変換パネル172a側の一部とが(平面視で)重なり合うように、段差部122aと段差部120bとが嵌合する。また、各筐体34b、34cにおいても、放射線変換パネル172bにおける放射線変換パネル172c側の一部と、放射線変換パネル172cにおける放射線変換パネル172b側の一部とが(平面視で)重なり合うように、段差部122bと段差部120cとが嵌合する。
【0093】
さらに、各放射線検出ユニット30a〜30cは、1つの電子カセッテとして単独で使用する場合には、撮影領域40a〜40cに放射線16が照射される。これに対して、各放射線検出ユニット30a〜30cを順次連結することで構成される放射線画像撮影装置20Aでは、前述したように、これらの撮影領域40a〜40cを含む撮影面156に放射線16が照射される。なお、撮影領域40a、40cは、図11に示すように、平面視で、シンチレータ150a、150c(及び光電変換層152a、152c)と略一致する。
【0094】
図11〜図13に示すように、放射線検出ユニット30a、30cにおいて、筐体34a、34c内における幅狭の裏面42a、42c側に肉厚の衝撃吸収部材170a、170cが配置され、該衝撃吸収部材170a、170cから表面36a、36cに向かって、放射線変換パネル172a、172c及び衝撃吸収部材174a、174cが順に積層されている。
【0095】
衝撃吸収部材170a、170cは、外部から荷重が付与されたときに、該荷重に起因した衝撃を吸収(緩和)する。衝撃吸収部材174a、174cは、被写体14から表面36a、36cを介して荷重が付与されたときに、該荷重に起因した衝撃を吸収(緩和)する。
【0096】
また、放射線変換パネル172a、172cは、衝撃吸収部材170a、170cから衝撃吸収部材174a、174cの方向に向かって、ガラス基板等の光透過性及び放射線透過性の基板178a、178c、透明電極等が形成された光透過性のTFT層176a、176c、光電変換層152a、152c、シンチレータ150a、150cの順に積層することにより構成される。
【0097】
シンチレータ150a、150cは、表面36a、36cから衝撃吸収部材174a、174cを介して照射された放射線16を可視光に一旦変換する。
【0098】
なお、シンチレータ150a、150cは、例えば、ヨウ化セシウム(CsI)又はガドリニウム・オキサイド・サルファ(GOS)から構成される。また、放射線画像撮影装置20Aを用いて被写体14に対する長尺撮影を行う場合に、長尺な撮影部位(被写体14の体全体)のうち、注目したい特定部位を撮影する放射線検出ユニットのシンチレータ150a、150cをCsIで構成し、他の放射線検出ユニットのシンチレータ150a、150cをGOSで構成してもよい。
【0099】
光電変換層152a、152cは、アモルファスシリコン(a−Si)等の物質からなる固体検出素子(以下、画素という。)200a、200c(図17参照)を用いて前記可視光を信号電荷である電気信号に変換する。
【0100】
TFT層176a、176cは、一方の信号電極に信号線204a、204c又は信号線206a、206c(図18参照)が接続されると共に、ゲート電極にゲート線202a、202cが接続される薄膜トランジスタ(TFT)210a、210cを行列状に配列して構成されており、放射線16及び前記可視光を透過可能である。
【0101】
また、図14及び図15に示すように、放射線検出ユニット30bにおいて、筐体34b内における幅広の裏面42b側に、衝撃吸収部材170a、170cと同様の機能を有する薄肉の衝撃吸収部材170bが配置され、該衝撃吸収部材170bから表面36bに向かって、放射線変換パネル172b及び衝撃吸収部材174bが順に積層されている。
【0102】
衝撃吸収部材174bは、筐体34b内部における幅狭の表面36b側の部分に配置された肉厚の部材であり、被写体14から表面36bに荷重が付与されたときに、該荷重に起因した衝撃を吸収(緩和)する。
【0103】
放射線変換パネル172bは、衝撃吸収部材170bから衝撃吸収部材174bの方向に向かって、ガラス基板等の光透過性及び放射線透過性の基板178b、透明電極等が形成された光透過性のTFT層176b、光電変換層152b、シンチレータ150bの順に積層することにより構成される。
【0104】
シンチレータ150bは、シンチレータ150a、150cと同様の機能を有する。従って、シンチレータ150bについても、CsI又はGOSで構成してもよい。また、注目したい特定部位を撮影するのであれば、シンチレータ150bをCsIで構成すればよい。光電変換層152bは、光電変換層152a、152cと同様の機能を有し、TFT層176bは、TFT層176a、176cと同様の機能を有する。
【0105】
上述のように、被写体14を透過した放射線16をシンチレータにより可視光に一旦変換し、変換した前記可視光を固体検出素子(画素)により電気信号に変換する間接変換型の放射線変換パネル(放射線検出器)には、表面読取方式の放射線検出器と裏面読取方式の放射線検出器とがある。このうち、表面読取方式であるISS(Irradiation Side Sampling)方式の放射線検出器は、放射線16の照射方向に沿って、固体検出素子及びシンチレータが順に配置された構成を有する。また、裏面読取方式であるPSS(Penetration Side Sampling)方式の放射線検出器は、放射線16の照射方向に沿って、シンチレータ及び固体検出素子が順に配置された構成を有する。
【0106】
図11〜図15に示す間接変換型の放射線変換パネル172a〜172cは、表面36a〜36cに対して、シンチレータ150a〜150cと、画素200a〜200cを用いた光電変換層152a〜152cとを順に配置したPSS方式の放射線検出器として構成されている。
【0107】
なお、図11〜図15では、間接変換型の放射線変換パネル172a〜172cを図示しているが、放射線16の線量をアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる固体検出素子により電気信号に直接変換する直接変換型の放射線変換パネルを採用することも可能である。
【0108】
基板178a〜178cは、(平面視で、)放射線変換パネル172a〜172cを構成する他の部材よりも大きく(図11〜図15参照)、基板178a〜178cの側面50a〜50c側には、放射線変換パネル172a〜172cを駆動するための駆動回路部182a〜182cが配置され、基板178a〜178cの側面54a〜54c側には、放射線変換パネル172a〜172cから電気信号を読み出すための読出回路部184a〜184cが配置され、基板178a〜178cの側面56a〜56c側には、電気信号を読み出すための読出回路部186a〜186cが配置されている。
【0109】
また、筐体34a〜34c内部の側面50a〜50c側には、読出回路部184a〜184cから読み出された電気信号(電荷情報)等を一時的に記憶するバッファメモリ540a〜540cと、駆動回路部182a〜182c及び読出回路部184a〜184c、186a〜186cを介して放射線変換パネル172a〜172cを制御するパネル制御部542a〜542cと、読出回路部186a〜186cから読み出された電気信号(電荷情報)等を一時的に記憶するバッファメモリ544a〜544cとがそれぞれ配置されている。なお、パネル制御部542a〜542cには、自己(放射線検出ユニット30a〜30c)を特定するためのカセッテID情報を記憶可能である。
【0110】
そして、放射線変換パネル172a〜172c、駆動回路部182a〜182c、読出回路部184a〜184c、186a〜186c、バッファメモリ540a〜540c、544a〜544c及びパネル制御部542a〜542cと、これらを収容する筐体34a〜34cとによって、放射線16を放射線画像に変換して出力するパネル部198a〜198cが構成される。
【0111】
また、図16に示すように、制御部196の内部には、接続部462、464を介して放射線検出ユニット30a〜30cに電力を供給するバッテリ等の電源部190と、放射線変換パネル172a〜172cを制御するカセッテ制御部192と、コンソール22との間で無線による信号の送受信が可能であると共に、接続部462、464を介して各放射線検出ユニット30a〜30cとの間での信号の送受信も可能な通信部194とが配置されている。
【0112】
図17に模式的に示すように、各放射線検出ユニット30a〜30c内において、放射線変換パネル172a〜172cでは、前述のように、多数の画素200a〜200cがTFT層176a〜176c(図12〜図15参照)を介して基板178a〜178c上に配列され、さらに、これらの画素200a〜200cに対して駆動回路部182a〜182cから制御信号を供給する多数のゲート線202a〜202cと、多数の画素200a〜200cから出力される電気信号(信号電荷)を読み出して読出回路部184a〜184cに出力する多数の信号線204a〜204cと、多数の画素200a〜200cから出力される電気信号を読み出して読出回路部186a〜186cに出力する多数の信号線206a〜206cとが配列されている。
【0113】
なお、図17の上方から下方に向かって、奇数行の画素200a〜200cの電気信号は、信号線204a〜204cを介して読出回路部184a〜184cに出力され、一方で、偶数行の画素200a〜200cの電気信号は、信号線206a〜206cを介して読出回路部186a〜186cに出力される。
【0114】
次に、放射線画像撮影装置20Aの回路構成及びブロック図に関し、図18及び図19を参照しながら詳細に説明する。
【0115】
放射線変換パネル172a〜172cは、可視光を電気信号に変換するa−Si等の物質からなる各画素200a〜200bが形成された光電変換層152a〜152c(図12〜図15参照)を、行列状のTFT210a〜210cのアレイの上に配置した構造を有する。この場合、駆動回路部182a〜182cを構成するバイアス回路214からバイアス電圧が供給される各画素200a〜200cでは、可視光を電気信号(アナログ信号)に変換することにより発生した電荷が蓄積され、各列毎にTFT210a〜210cを順次オンにすることにより前記電荷を画像信号として読み出すことができる。
【0116】
各画素200a〜200cに接続されるTFT210a〜210cのうち、図18の上方から下方に向かって、奇数行に配列されたTFT210a〜210cは、列方向と平行に延びるゲート線202a〜202cと、行方向と平行に延びる信号線204a〜204cとに接続される。また、偶数行に配列されたTFT210a〜210cは、ゲート線202a〜202cと、行方向と平行に延びる信号線206a〜206cとに接続される。
【0117】
この場合、各ゲート線202a〜202cは、ゲート駆動回路212に接続され、ゲート線202a〜202cには、列方向に配列されたTFT210a〜210cをオンオフ制御する制御信号がゲート駆動回路212から供給される。この場合、ゲート駆動回路212には、カセッテ制御部192からパネル制御部542a〜542cを介してアドレス信号が供給される。
【0118】
信号線204a〜204c、206a〜206cには、行方向に配列されたTFT210a〜210cを介して各画素200a〜200cに保持されている電荷がそれぞれ流出する。該電荷は、増幅器220a〜220c、230a〜230cによってそれぞれ増幅される。増幅器220a〜220c、230a〜230cには、サンプルホールド回路222a〜222c、232a〜232cを介してマルチプレクサ223a〜223c、233a〜233cがそれぞれ接続される。マルチプレクサ223a〜223c、233a〜233cは、信号線204a〜204c、206a〜206cを切り替えるFET(電界効果トランジスタ)スイッチ224a〜224c、234a〜234cと、1つのFETスイッチ224a〜224c、234a〜234cをオンにする選択信号を出力するマルチプレクサ駆動回路226a〜226c、236a〜236cとをそれぞれ備える。マルチプレクサ駆動回路226a〜226c、236a〜236cには、カセッテ制御部192(図16及び図19参照)からパネル制御部542a〜542cを介してアドレス信号が供給される。FETスイッチ224a〜224c、234a〜234cには、A/D変換器228a〜228c、238a〜238cが接続され、A/D変換器228a〜228c、238a〜238cによってデジタル信号に変換された放射線画像がバッファメモリ540a〜540c、544a〜544cにそれぞれ一時的に記憶される。
【0119】
各バッファメモリ540a〜540cは、接続端子124a〜124c、454a〜454cにそれぞれ接続されると共に、各バッファメモリ544a〜544cは、接続端子126a〜126c、456a〜456cにそれぞれ接続される。また、前述したように、制御部196は、接続部464を介して放射線検出ユニット30aと連結され、接続部462によって放射線検出ユニット30a→放射線検出ユニット30b→放射線検出ユニット30cの順に連結されているので、制御部196は、上記の連結順に従って、(1)バッファメモリ540a、バッファメモリ544a、(2)バッファメモリ540b、(3)バッファメモリ544b、(4)バッファメモリ540c、(5)バッファメモリ544cの順に、各バッファメモリ540a〜540c、544a〜544cに記憶されている放射線画像を順次読み出す。
【0120】
すなわち、接続部464は、2系統のデータ通信ライン(データ線506a及びソケット526の系統と、データ線516a及びソケット536の系統)であり、一方で、各接続部462は、1系統のデータ通信ライン(例えば、データ線476a、ソケット486、496及びデータ線476bの系統)であるため、各バッファメモリ540a〜540cに記憶された放射線画像のデータを一斉に読み出すと、該各データが衝突する可能性がある。
【0121】
そこで、制御部196は、バッファメモリ540a、544aに記憶された放射線画像を1回読み出した後は、バッファメモリ540a、544a←バッファメモリ540b←バッファメモリ544b←バッファメモリ540c←バッファメモリ544cの流れで、各バッファメモリ540b、540c、544b、544cに一時記憶された各放射線画像を順次シフトさせながら、最終的に、バッファメモリ540a、544aから接続部464を介して読み出すことにより、各バッファメモリ540a〜540c、544a〜544cに記憶された全ての放射線画像を読み出すようにしている。
【0122】
なお、図18において、パネル制御部542a〜542cと接続端子124a〜124cとを結ぶ破線、バッファメモリ540a〜540cと接続端子124a〜124cとを結ぶ破線、及び、バッファメモリ544a〜544cと接続端子126a〜126cとを結ぶ破線は、各放射線検出ユニット30a〜30c間における同期制御信号の送受信の流れと、放射線画像のデータの入出力の流れとを図示している。
【0123】
なお、スイッチング素子として機能するTFT210a〜210cは、CMOS(Complementary Metal−Oxside Semiconductor)イメージセンサ等、他の撮像素子と組み合わせて実現してもよい。さらにまた、TFTで言うところのゲート信号に相当するシフトパルスにより電荷をシフトしながら転送するCCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサに置き換えることも可能である。
【0124】
カセッテ制御部192は、図19に示すように、画像メモリ240と、アドレス信号発生部242と、カセッテIDメモリ244と、同期制御部248と、連結順番情報生成部250とを備える。
【0125】
画像メモリ240は、放射線変換パネル172a〜172cによって検出された放射線画像を記憶する。
【0126】
アドレス信号発生部242は、パネル制御部542a〜542cを介してゲート駆動回路212及びマルチプレクサ駆動回路226a〜226c、236a〜236cにアドレス信号を供給する。カセッテIDメモリ244は、放射線検出ユニット30a〜30cを特定するためのカセッテID情報を記憶する。
【0127】
同期制御部248は、通信部194及び接続部462、464を介して各放射線検出ユニット30a〜30cとの間で、同期制御信号の送受信を行うことにより、撮影時における各放射線検出ユニット30a〜30cの同期を取る。具体的には、同期制御信号の示すタイミングで放射線照射装置18から被写体14を介して撮影面156に放射線16が照射される場合に、同期制御部248は、前記タイミングの前に放射線変換パネル172a〜172cの各画素200a〜200cにおいて電荷蓄積が可能な状態となるように、放射線変換パネル172a〜172cを制御する。
【0128】
連結順番情報生成部250は、通信部194及び接続部462、464を介して、各放射線検出ユニット30a〜30cのパネル制御部545a〜542cとの間でカセッテID情報を送受信することにより、放射線画像撮影装置20Aにおける各放射線検出ユニット30a〜30cの連結順を特定(検知)し、特定した連結順と、該連結順での各放射線検出ユニット30a〜30cのカセッテID情報とを示す連結順番情報を生成する。
【0129】
コンソール22は、図20に示すように、通信部280、制御部282、撮影条件設定部284、IDメモリ286、画像処理部288、画像メモリ290、同期処理部292、連結順番情報管理部294、SID(線源受像画間距離)管理部296及び操作部298を有する。なお、図20では、放射線画像撮影装置20Aを模式的に図示する。
【0130】
通信部280は、放射線画像撮影装置20A、表示装置24、RIS26及びHIS28との間で信号の送受信を行う。制御部282は、コンソール22を全体的に制御する。
【0131】
この場合、制御部282は、RIS26から取得した撮影のオーダ情報を撮影条件設定部284に記憶する。また、制御部282は、RIS26から取得し、あるいは、医師又は技師がキーボードやマウス等の操作部298を操作して設定した被写体14に対する長尺撮影の撮影条件を撮影条件設定部284に記憶する。
【0132】
なお、オーダ情報は、RIS26を用いて医師により作成されるものであり、被写体14の氏名、年齢、性別等、被写体14を特定するための被写体情報に加えて、撮影に使用する撮影装置、撮影部位、撮影条件が含まれる。また、撮影条件とは、例えば、放射線照射装置18を構成する放射線源264の管電圧、管電流、放射線16の照射時間等、被写体14に照射される放射線量を決定するための条件である。
【0133】
IDメモリ286には、各放射線検出ユニット30a〜30cのカセッテID情報が記憶される。同期処理部292は、同期制御信号を生成して通信部280を介し放射線照射装置18及び放射線画像撮影装置20Aに送信する。連結順番情報管理部294は、放射線画像撮影装置20Aから通信部280を介して受信した連結順番情報を記憶(管理)する。SID管理部296は、前記撮影条件に基づく、撮影時における放射線源264と放射線画像撮影装置20A(の各放射線変換パネル172a〜172c)との間の距離(SID)を記憶(管理)する。
【0134】
画像処理部288は、放射線画像撮影装置20Aから通信部280を介して受信された各放射線検出ユニット30a〜30cの放射線画像を画像合成し、画像合成後の被写体14の長尺な撮影部位に応じた画像(長尺撮影画像)と、画像合成に用いた各放射線画像とを画像メモリ290に記憶する。
【0135】
前述したように、放射線源264に対する各放射線変換パネル172a〜172cの距離は、互いに異なると共に、隣接する放射線変換パネル間は、その一部が互いに重なり合っている。そのため、単純に、放射線検出ユニット30a〜30cの連結順番に従って前記各放射線画像を順次連結する画像合成を行っても、得られる合成画像は、画質が均一化されていない画像となるおそれがある。
【0136】
そこで、画像処理部288は、先ず、連結順番情報管理部294に記憶された連結順番情報と、IDメモリ286に記憶されたカセッテID情報とを参照して、各放射線検出ユニット30a〜30cの連結順番を把握すると共に、SID管理部296を参照して、放射線源264と各放射線変換パネル172a〜172cとの間のSIDを特定する。
【0137】
次に、画像処理部288は、SIDに応じて放射線16の減弱率が異なることに鑑みて、前記各放射線画像に対して放射線16の減弱率を考慮した画像補正処理を行った後に、前記連結順番情報に従い前記各放射線画像を順次連結する画像合成を行う。前述のように、隣接する筐体のガイド線同士は重ならない一方で、隣接する放射線変換パネル間の一部が互いに重なり合っているので、前記放射線画像を連結すると、画像の一部が重なり合うことになるが、上記の画像補正処理を予め行うことで、画質が均一化された合成画像(長尺撮影に応じた被写体14の長尺撮影画像)を得ることができる。
【0138】
このようにして得られた長尺撮影画像と、画像合成に使用された各放射線画像とは、共に画像メモリ290に記憶される。
【0139】
制御部282は、画像メモリ290に記憶された長尺撮影画像を通信部280を介して表示装置24に送信し、該表示装置24は、受信した前記長尺撮影画像を表示する。
【0140】
一方、放射線照射装置18は、通信部260と、制御部262と、放射線源264と、コリメータ266と、照射野ランプ268と、ミラー270と、SID検出部276とを有する。
【0141】
通信部260は、通信部280との間で信号の送受信を行う。制御部262は、コンソール22からの指示に従って放射線照射装置18の各部を制御する。放射線源264は、コンソール22から通信部280、260を介して制御部262に同期制御信号が送信されたときに、前記同期制御信号の示すタイミングにて放射線16を出力する。コリメータ266は、制御部262からの制御に従って絞りを調整することで、放射線16の照射範囲を制御する。
【0142】
照射野ランプ268は、放射線源264から放射線16が出力される前に図示しない照射光を出力する。前記照射光は、ミラー270でコリメータ266側に反射して該コリメータ266を通過し、撮影面156に投光される。
【0143】
この場合、放射線源264と各放射線変換パネル172a〜172cとの間の距離がSIDに調整されていれば、放射線画像撮影装置20Aの上面における前記照射光の投光範囲(放射線12の照射野)と、撮影面156の範囲(撮影領域40a〜40c)とが略一致する。従って、医師又は技師は、前記距離がSIDに一致するように、放射線画像撮影装置20Aと放射線照射装置18との位置関係を調整する。
【0144】
SID検出部276は、超音波又は赤外線を利用した測距センサを含み、送信波272を放射線画像撮影装置20Aに送信してから、その反射波274が受信されるまでの時間に基づいて、放射線源264と放射線画像撮影装置20Aとの間の距離を検出する。この場合、コンソール22の制御部282は、通信部280、260を介して放射線照射装置18の制御部262に、SID管理部296に記憶されているSIDを送信する。従って、SID検出部276は、前記SIDに応じた放射線源264と放射線画像撮影装置20Aとの間の距離と、該SID検出部276で検出した距離とを比較し、両者が一致したときに、放射線源264と各放射線変換パネル172a〜172cとの間の距離がSIDに設定されたことを示す結果を制御部262に通知する。これにより、制御部262は、照射野ランプ268からの照射光の出力を停止させる。
【0145】
第1実施形態に係る放射線画像撮影システム10Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について、図21〜図23のフローチャートを参照しながら説明する。
【0146】
ステップS1において、コンソール22の通信部280(図20参照)は、RIS26からオーダ情報を取得する。取得したオーダ情報は、撮影条件設定部284に記憶される。医師又は技師は、コンソール22の操作部298を操作して、撮影条件設定部284に記憶されたオーダ情報を表示装置24に表示させ、医師又は技師は、表示装置24に表示されたオーダ情報を見ながら操作部298を操作して、放射線検出ユニット30a〜30cのカセッテID情報を入力すると共に、長尺撮影に対応する撮影条件を選択する。これにより、選択された撮影条件が撮影条件設定部284に設定されると共に、入力されたカセッテID情報がIDメモリ286に記憶される。また、選択された撮影条件に応じたSIDもSID管理部296に記憶される。
【0147】
次のステップS2において、医師又は技師は、被写体14の長尺な撮影部位(例えば、被写体14の体全体)の放射線画像を撮影するための撮影準備を行う。
【0148】
先ず、ステップS2のステップS21において、医師又は技師は、各放射線検出ユニット30a〜30cについて、手動操作部72a〜72c、76a〜76cを互いに近接する方向に変位させて爪部材90a〜90c、96a〜96cを移動させることにより、該爪部材90a〜90c、96a〜96cと孔部94a〜94c、100a〜100cとの係合状態を解除させて、筐体34a〜34cからブロック58a〜58cを分離させる(図5A〜図6B参照)。
【0149】
また、医師又は技師は、手動操作部80a〜80c、84a〜84cを互いに近接する方向に変位させて爪部材102a〜102c、108a〜108cを移動させることにより、該爪部材102a〜102c、108a〜108cと孔部106a〜106c、112a〜112cとの係合状態を解除させて、筐体34a〜34cからブロック60a〜60cを分離させる。
【0150】
ステップS22において、医師又は技師は、筐体34aの段差部122aと筐体34bの段差部120bとを嵌合させると共に、筐体34bの段差部122bと筐体34cの段差部120cとを嵌合させる(図7A及び図7B参照)。これにより、段差部122a及び段差部120bは、隙間なく連結されると共に、段差部122b及び段差部120cも隙間なく連結される。
【0151】
次に、医師又は技師は、段差部122a、120b側の接続端子126a、124bにコネクタ32を嵌合させると共に、段差部122b、120c側の接続端子126b、124cにも他のコネクタ32を嵌合させる。これにより、接続端子126aと接続端子124bとは、コネクタ32を介して電気的に、光学的に且つ機械的に接続されると共に、接続端子126bと接続端子124cとは、他のコネクタ32を介して電気的に、光学的に且つ機械的に接続される。
【0152】
例えば、接続端子126aと接続端子124bとの間では、図9に示すように、制御線470aがソケット480、490を介して制御線470bと電気的に接続され、アース線472aがソケット482、492を介してアース線472bと電気的に接続され、電力線474aがソケット484、494を介して電力線474bと電気的に接続され、データ線476aがソケット486、496を介してデータ線476bと光学的に接続される。
【0153】
次に、医師又は技師は、制御部196のコネクタ458と接続端子454aとを嵌合させると共に、コネクタ460と接続端子456aとを嵌合させる。これにより、接続端子454a、456aと制御部196とは、コネクタ458、460を介して、電気的に、光学的に且つ機械的に接続される。
【0154】
すなわち、接続端子454aとコネクタ458との間では、図10に示すように、制御線500aがソケット520と電気的に接続され、アース線502aがソケット522と電気的に接続され、電力線504aがソケット524と電気的に接続され、データ線506aがソケット526と光学的に接続される。接続端子456aとコネクタ460との間では、制御線510aがソケット530と電気的に接続され、アース線512aがソケット532と電気的に接続され、電力線514aがソケット534と電気的に接続され、データ線516aがソケット536と光学的に接続される。
【0155】
このように、段差部122aと段差部120b、及び、段差部122bと段差部120cをそれぞれ嵌合させて、各放射線検出ユニット30a〜30cを順次連結した後に、コネクタ32を接続端子124b、124c、126a、126bに嵌合させると共に、コネクタ458、460と接続端子454a、456aとをそれぞれ嵌合させることにより、各筐体34a〜34cの連結箇所での段差を発生させることなく、撮影面156が略平面状である1台の放射線画像撮影装置20Aを構成することができ、さらには、制御部196と各放射線検出ユニット30a〜30cとの間、及び、各放射線検出ユニット30a〜30c間で、信号の送受信や、制御部196からパネル部198a〜198cへの電力供給が可能な状態となる。
【0156】
ステップS23において、医師又は技師は、撮影面156に被写体14を横臥させた後に、電源スイッチ168を投入する。これにより、電源部190(図16及び図19参照)から接続部462、464を介して放射線検出ユニット30a〜30cに対する電力供給が開始される。
【0157】
ステップS24において、連結順番情報生成部250は、通信部194及び接続部462、464を介して、各放射線検出ユニット30a〜30cのパネル制御部542a〜542cとの間でカセッテID情報の送受信を行うことにより、接続部462により連結された各放射線検出ユニット30a〜30cの連結順番を特定する。
【0158】
ステップS25において、連結順番情報生成部250は、特定した連結順と、該連結順での各放射線検出ユニット30a〜30cのカセッテID情報とを示す連結順番情報を生成し、次に、生成した連結順番情報を通信部194を介してコンソール22に送信する(ステップS26)。コンソール22の連結順番情報管理部294(図20参照)は、通信部280及び制御部282を介して受信された連結順番情報を記憶する。
【0159】
ステップS27において、制御部282は、連結順番情報管理部294に連結順番情報が記憶されたことを確認した後に、通信部280を介して放射線照射装置18に対し、SID管理部296に記憶されたSIDと、照射野の設定を指示する指示信号とを送信する。
【0160】
放射線照射装置18の制御部262は、通信部260を介して前記指示信号及び前記SIDを受信すると、コリメータ266の絞りを調整して照射野を制御すると共に、照射野ランプ268を駆動させる。これにより、照射野ランプ268は、照射光の出力を開始し、該照射光は、ミラー270でコリメータ266側に反射した後、該コリメータ266を通過して撮影面156に投光される。
【0161】
医師又は技師は、放射線16の照射野に応じた照射光の照射範囲と、撮影面156とが一致するように、撮影面156に対する放射線照射装置18の位置を調整する。
【0162】
また、制御部262は、前記SIDをSID検出部276に出力して該SID検出部276を駆動させる。
【0163】
SID検出部276は、撮影面156に対して送信波272を送信してから、その反射波274が受信されるまでの時間に基づいて、放射線源264と放射線画像撮影装置20Aとの間の距離を検出すると共に、検出した前記距離が前記SIDに応じた距離に一致するか否かを判定する。そして、照射光の投光範囲と撮影面156とが一致することにより、SID検出部276が検出した距離と、前記SIDに応じた距離とが一致した場合、SID検出部276は、両者が一致したことを制御部262に通知する。
【0164】
制御部262は、SID検出部276からの通知を受けて、照射野ランプ268の駆動を停止させる。これにより、放射線照射装置18からの照射光の出力が停止されるので、医師又は技師は、放射線源264と放射線変換パネル172a〜172cとの間の距離がSIDに設定されたことを直ちに把握することができる。さらに、制御部262は、前記距離がSIDに設定されたことを通信部260を介してコンソール22にも通知する。
【0165】
このようにして撮影準備が完了した後の図21のステップS3において、医師又は技師は、操作部298(図20参照)に備わる図示しない曝射スイッチを投入する。
【0166】
これにより、同期処理部292は、放射線源264からの放射線16の出力のタイミングを示す同期制御信号を、通信部280を介して放射線照射装置18及び放射線画像撮影装置20Aに送信する。
【0167】
同期制御部248(図19参照)は、通信部194を介して前記同期制御信号を受信すると、通信部194及び接続部462、464(図8〜図10参照)を介して各パネル制御部542a〜542c(図17及び図18参照)を制御することにより、駆動回路部182a〜182cのバイアス回路214から各画素200a〜200cへのバイアス電圧の供給を開始させる。これにより、各画素200a〜200cは、放射線16の照射前に、電荷蓄積が可能な状態に至る。
【0168】
一方、放射線照射装置18の制御部262は、通信部260を介して同期制御信号を受信すると、コンソール22に対して撮影条件の送信を要求し、該コンソール22は、制御部262からの送信要求に応じて、前記撮影条件を通信部280を介して放射線照射装置18に送信する。
【0169】
制御部262が通信部260を介して前記撮影条件を受信すると、放射線源264は、前記同期制御信号の示すタイミングにて、前記撮影条件に従って、所定の線量からなる放射線16を所定の曝射時間だけ被写体14に照射する。放射線源264から出力された放射線16は、コリメータ266を通過して被写体14に照射され、該被写体14を透過して放射線検出ユニット30a〜30c内の放射線変換パネル172a〜172c(図4、図11〜図15、図17及び図18参照)に至る。
【0170】
ステップS4において、各放射線検出ユニット30a〜30c内では、放射線変換パネル172a〜172cを構成するシンチレータ150a〜150cが、放射線16の強度に応じた強度の可視光を発光し、光電変換層152a〜152cを構成する各画素200a〜200cは、可視光を電気信号に変換し、電荷として蓄積する。
【0171】
次いで、各画素200a〜200cに保持された被写体14の放射線画像である電荷情報は、カセッテ制御部192を構成するアドレス信号発生部242からゲート駆動回路212及びマルチプレクサ駆動回路226a〜226c、236a〜236cに供給されるアドレス信号に従って読み出される(ステップS5)。
【0172】
ステップS5のステップS51(図23参照)において、各パネル部198a〜198cでは、奇数行の各画素200a〜200cの電荷情報を読出回路部184a〜184cにより読み出すと同時に、偶数行の各画素200a〜200cの電荷情報を読出回路部186a〜186cにより読み出し、読み出した電荷情報をバッファメモリ540a〜540c、544a〜544cにそれぞれ一時的に記憶させる。
【0173】
ここで、先ず、奇数行の各画素200a〜200cからの電荷情報の読み出しについて説明する。
【0174】
ゲート駆動回路212は、アドレス信号発生部242から供給されるアドレス信号に対応するゲート線202a〜202cに接続されたTFT210a〜210cのゲートに制御信号を供給する。一方、マルチプレクサ駆動回路226a〜226cは、アドレス信号発生部242から供給されるアドレス信号に従って、選択信号を出力してFETスイッチ224a〜224cを順次切り替え(順次オンオフして)、ゲート駆動回路212によって選択されたゲート線202a〜202cに接続される奇数行の各画素200a〜200cに保持された電荷情報としての放射線画像を信号線204a〜204cを介して順次読み出す。
【0175】
選択されたゲート線202a〜202cに接続された各画素200a〜200cから読み出された放射線画像は、各増幅器220a〜220cによって増幅された後、各サンプルホールド回路222a〜222cによってサンプリングされ、FETスイッチ224a〜224cを介してA/D変換器228a〜228cに供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像は、バッファメモリ540a〜540cに一旦記憶される(ステップS51)。
【0176】
同様にして、ゲート駆動回路212は、アドレス信号発生部242から供給されるアドレス信号に従って、制御信号を出力するゲート線202a〜202cを順次切り替え、各ゲート線202a〜202cに接続されている奇数行の各画素200a〜200cに保持された電荷情報である放射線画像を信号線204a〜204cを介して読み出し、FETスイッチ224a〜224c及びA/D変換器228a〜228cを介してバッファメモリ540a〜540cに一旦記憶させる(ステップS51)。
【0177】
以上が、奇数行の各画素200a〜200cからの電荷情報の読み出しについての説明である。
【0178】
次に、偶数行の各画素200a〜200cからの電荷情報の読み出しについて説明する。
【0179】
偶数行の各画素200a〜200cからの電荷情報の読み出しにおいては、基本的には、前述した奇数行の各画素200a〜200cからの電荷情報の読み出しと同様の方法で読み出される。すなわち、読出回路部184a〜184cと読出回路部186a〜186cとは同じ回路構成であるため、上記の奇数行の各画素200a〜200cに関する説明において、信号線204a〜204c及び読出回路部184a〜184c内の各構成要素の文言を、信号線206a〜206c及び読出回路部186a〜186c内の各構成要素の文言にそれぞれ置き換え、さらに、バッファメモリ540a〜540cの文言をバッファメモリ544a〜544cの文言に置き換えるだけで、偶数行の各画素200a〜200cからの電荷情報の読み出し方法の説明となる。従って、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0180】
なお、パネル制御部542a〜542cは、各バッファメモリ540a〜540c、544a〜544cに、放射線画像に加え、自己のカセッテID情報を共に記憶させる。
【0181】
次のステップS52において、カセッテ制御部192は、連結順番情報生成部250が生成した連結順番情報を参照して、制御部196に近い放射線検出ユニットのバッファメモリ540a〜540c、544a〜544cから順に放射線画像及びカセッテID情報を読み出して放射線画像を取得する。
【0182】
前述したように、放射線画像撮影装置20Aにおいては、制御部196と放射線検出ユニット30aとが接続部464を介して連結され、さらに、放射線検出ユニット30a→放射線検出ユニット30b→放射線検出ユニット30cの順に連結されている。
【0183】
しかも、制御部196と放射線検出ユニット30aとの間では、コネクタ458、460と接続端子454a、456aとの嵌合により、2系統のデータ通信ラインが構築され(データ線506a及びソケット526の系統と、データ線516a及びソケット536の系統)、放射線検出ユニット30aと放射線検出ユニット30bとの間、及び、放射線検出ユニット30bと放射線検出ユニット30cとの間は、それぞれ1系統のデータ通信ラインが構築されている(例えば、データ線476a、ソケット486、496及びデータ線476bの系統)。
【0184】
そこで、カセッテ制御部192は、下記のようにして、各バッファメモリ540a〜540c、544a〜544cに一時的に記憶された放射線画像及びカセッテID情報を順次取得する。
【0185】
先ず、カセッテ制御部192は、通信部194及び接続部462、464(の制御線470a、470b、500a、510a)を介して各パネル制御部542a〜542cに対し、バッファメモリ540a〜540c、544a〜544cに記憶されているデータ(放射線画像及びカセッテID情報)のカセッテ制御部192への送信を指示する送信制御信号を送信する。
【0186】
次に、放射線検出ユニット30aのパネル制御部542aは、送信制御信号を受信すると、バッファメモリ540aに記憶された放射線画像(奇数行の画素200aの放射線画像)及びカセッテID情報を、接続端子454a及びコネクタ458を介してカセッテ制御部192に送信すると共に、バッファメモリ544aに記憶されている放射線画像(偶数行の画素200aの放射線画像)及びカセッテID情報を、接続端子456a及びコネクタ460を介してカセッテ制御部192に送信する。カセッテ制御部192は、受信した放射線画像及びカセッテID情報を画像メモリ240に記憶する。
【0187】
このようにして、各バッファメモリ540a、544aから放射線画像及びカセッテID情報が読み出されることで、該バッファメモリ540a、544aには、空き領域が形成される。
【0188】
そこで、既に送信制御信号を受信しているパネル制御部542bは、バッファメモリ540a、544aに空き領域が形成されたことを確認した後に、バッファメモリ540bに記憶された放射線画像(奇数行の画素200bの放射線画像)及びカセッテID情報を読み出して、接続部462(接続端子124b、コネクタ32及び接続端子126a)を介しバッファメモリ544aに記憶させると共に、バッファメモリ544bに記憶された放射線画像(偶数行の画素200bの放射線画像)及びカセッテID情報を読み出して、バッファメモリ540bに記憶させる。
【0189】
同様にして、既に送信制御信号を受信しているパネル制御部542cは、バッファメモリ544bに空き領域が形成されたことを確認した後に、バッファメモリ540cに記憶された放射線画像(奇数行の画素200cの放射線画像)及びカセッテID情報を読み出して、接続部462(接続端子124c、他のコネクタ32及び接続端子126b)を介しバッファメモリ544bに記憶させると共に、バッファメモリ544cに記憶された放射線画像(偶数行の画素200cの放射線画像)及びカセッテID情報を読み出して、バッファメモリ540cに記憶させる。
【0190】
このように、各バッファメモリ540b、544b、540c、544cに一時的に記憶された放射線画像及びカセッテID情報が、バッファメモリ544aに向かって順次シフトしながら記憶される。
【0191】
そして、パネル制御部542aは、バッファメモリ544aに新たな放射線画像及びカセッテID情報(バッファメモリ540bからの放射線画像及びカセッテID情報)が記憶されたことを確認した後に、該バッファメモリ540aに記憶された前記新たな放射線画像及びカセッテID情報を、接続端子456a及びコネクタ460を介してカセッテ制御部192に送信する。カセッテ制御部192は、受信した前記新たな放射線画像及びカセッテID情報を画像メモリ240に記憶する(ステップS53)。
【0192】
このように、バッファメモリ544a←バッファメモリ540b←バッファメモリ544b←バッファメモリ540c←バッファメモリ544cの流れでの放射線画像及びカセッテID情報のシフトと、バッファメモリ544からカセッテ制御部192への放射線画像及びカセッテID情報の送信とを繰り返し行うことにより、各バッファメモリ540a〜540c、544a〜544cに一時的に記憶された全ての放射線画像及びカセッテID情報を画像メモリ240に記憶させることができる。
【0193】
上述のようにして画像メモリ240に記憶された全ての放射線画像及びカセッテID情報は、通信部194を介して無線通信によりコンソール22に送信される(ステップS54)。
【0194】
なお、ステップS52の読出処理は、放射線16の照射のような、リアルタイムでの同期制御処理が要求されていないため、上述のように、各バッファメモリ540a〜540c、544a〜544cに記憶された放射線画像及びカセッテID情報を順次読み出していくことが可能である。
【0195】
また、ステップS52においては、上記の読出処理に代えて、奇数行の各画素200a〜200cの放射線画像及びカセッテID情報(各バッファメモリ540a〜540cの放射線画像及びカセッテID情報)のみ順に読み出し、読み出した放射線画像を低解像度の間引きデータ(全ての放射線画像からなるデータに対して1/2の解像度の画像データ)として、カセッテID情報と共に、コンソール22に送信してもよい。あるいは、偶数行の各画素200a〜200cの放射線画像及びカセッテID情報のみ順に読み出し、読み出した放射線画像を低解像度の間引きデータ(全ての放射線画像からなるデータに対して1/2の解像度の画像データ)として、コンソール22に送信してもよい。
【0196】
さらには、全ての放射線画像及びカセッテID情報を画像メモリ240に記憶させた後に、奇数行の各画素200a〜200cの放射線画像及びカセッテID情報、あるいは、偶数行の各画素200a〜200cの放射線画像及びカセッテID情報を、間引きデータとしてコンソール22に送信してもよい。
【0197】
図21のステップS6において、コンソール22の画像処理部288(図20参照)は、通信部280及び制御部282を介して各放射線画像(全データ又は間引きデータ)及びカセッテID情報を受信すると、連結順番情報管理部294に記憶された連結順番情報と、IDメモリ286に記憶されたカセッテID情報及び受信したカセッテID情報とを参照して、各放射線検出ユニット30a〜30cの連結順番を把握すると共に、SID管理部296を参照して、放射線源264と各放射線変換パネル172a〜172cとの間のSIDを特定する。次に、画像処理部288は、前記SIDに応じた放射線16の減弱率に基づいて前記各放射線画像に対する画像補正処理を行った後に、前記連結順番に従って前記各放射線画像を順次連結することにより、画像の一部が重なり合うような合成画像を生成する。そして、画像処理部288は、生成した合成画像(長尺撮影画像)と、画像合成に使用した各放射線画像とを画像メモリ290に記憶する。
【0198】
ステップS7において、制御部282は、画像メモリ290に記憶された長尺撮影画像を通信部280を介して表示装置24に送信し、表示装置24は、受信した前記長尺撮影画像を表示する。
【0199】
医師又は技師は、表示装置24に表示された放射線画像を視認して、適切な被写体14の長尺撮影画像が得られたことを確認する。被写体14に対する長尺撮影が完了した後のステップS8において、医師又は技師は、電源スイッチ168(図8及び図19参照)をオフにする。これにより、電源部190は、放射線検出ユニット30a〜30cへの電力供給を停止する。
【0200】
次に、医師又は技師は、放射線検出ユニット30aから制御部196を取り外して、コネクタ458、460と接続端子454a、456aとの嵌合状態を解除すると共に、接続端子124b、124c、126a、126bから各コネクタ32を取り外し、さらには、各放射線検出ユニット30a〜30cを離間させて連結状態を解除させる。その後、筐体34a〜34cの段差部120a〜120c、122a〜122cに対して、ブロック58a〜58c、60a〜60cをそれぞれ取り付けることで、図5A及び図5Bに示す状態に戻す。
【0201】
以上説明したように、第1実施形態に係る放射線画像撮影システム10A及び放射線画像撮影装置20Aによれば、複数の放射線検出ユニット30a〜30cを接続部462により連結する場合に、放射線画像撮影装置20Aには、1つの制御部196のみが設けられ、該1つの制御部196が接続部462、464を介して全ての放射線検出ユニット30a〜30cを制御する。
【0202】
このように、放射線画像撮影装置20Aにおいて、比較的重量の大きな制御部196を共用化することにより、各放射線検出ユニット30a〜30c毎に制御部を設けることが不要となり、放射線画像撮影装置20Aを軽量化することが可能となる。この結果、放射線画像撮影装置20Aを取り扱う医師又は技師の負担を軽減することができる。
【0203】
また、接続部462によって各放射線検出ユニット30a〜30cを接続して放射線画像撮影装置20Aを構成するので、被写体14に対する1回の放射線16の照射で長尺撮影を行うことが可能となり、より簡単に長尺撮影を行うことができると共に、撮影時間の短縮化も実現することができる。
【0204】
従って、第1実施形態によれば、装置全体の重量を大きくすることなく、複数の放射線検出ユニット30a〜30cを連結して放射線画像撮影装置20Aを構成し、長尺撮影を行うことが可能となる。
【0205】
なお、上述した各放射線検出ユニット30a〜30cは、それぞれが単独でも通常撮影を行うことが可能な電子カセッテであり、第1実施形態では、このような複数の電子カセッテを接続部462で連結することにより上述した各効果が得られる。
【0206】
また、接続部462、464は、放射線画像を含むデータについて、制御部196と各放射線検出ユニット30a〜30cとの間や、各放射線検出ユニット30a〜30c間でデータ通信を行うためのデータ線476a、476b、506a、516aを備えるので、制御部196は、放射線検出ユニット30a〜30cからデータ線476a、476b、506a、516aを介して放射線画像を含む各種のデータを取得することが可能となる。
【0207】
この場合、各データ線476a、476b、506a、516aが光通信によりデータのデータ通信を行うことで、制御部196は、大容量のデータを容易に取得することが可能になると共に、データ線476a、476b、506a、516aの途中で電磁誘導等に起因したノイズがデータに重畳することを阻止することができる。
【0208】
また、リアルタイムでのデータの取得が求められていないので、各データ線476a、476b、506a、516aは、半二重通信により双方向でデータのデータ通信を行うことも可能となる。
【0209】
また、接続部462、464は、放射線検出ユニット30a〜30c間の同期制御を行うための制御線470a、470b、500a、510aをそれぞれ備えるので、撮影時に、制御部196は、各放射線変換パネル172a〜172cに対し、制御線470a、470b、500a、510aを介して、放射線16を放射線画像に変換するための同期制御を確実に行うことが可能となる。なお、前記同期制御では、リアルタイムでの制御が要求されるので、制御線470a、470b、500a、510aは、全二重通信により双方向で同期制御用の信号を伝送すればよい。
【0210】
また、接続部462、464は、制御部196から放射線検出ユニット30a〜30cに電力供給を行うための電力線474a、474b、504a、514aをそれぞれ備える。これにより、各放射線検出ユニット30a〜30cにバッテリ等の電源を設けなくても、各放射線検出ユニット30a〜30cは、制御部196から電力線474a、474b、504a、514aを介して電力供給を受けることになるので、放射線画像撮影装置20Aをさらに軽量化することが可能となる。
【0211】
また、接続部462は、各筐体34a〜34cを順次連結するので、各放射線検出ユニット30a〜30cを一列に連結して1台の放射線画像撮影装置20Aを構成することも可能となり、長尺撮影を容易に行うことができる。
【0212】
この場合、コネクタ458、460と接続端子454a〜454c、456a〜456cとを嵌合させることにより、制御部196と1つの筐体34a〜34cとが電気的に、光学的に且つ機械的に接続され、一方で、コネクタ32と接続端子124a〜124c、126a〜126cとを嵌合させることにより、各筐体34a〜34c間が電気的に、光学的に且つ機械的に接続されるので、各放射線検出ユニット30a〜30cを連結して1台の放射線画像撮影装置20Aを構成する際の連結作業を容易に且つ効率よく行うことができると共に、各放射線検出ユニット30a〜30c間での信号の送受信等を確実に行うことができる。
【0213】
また、制御部196の通信部194は、各放射線検出ユニット30a〜30cから各データ線476a、476b、506a、516aを介して取得した各放射線画像の間引きデータ(低解像度の間引きデータ)をコンソール22に送信すれば、画像処理部288において画像形成処理に要する時間を短縮化することができ、医師又は技師は、撮影面156に対する被写体14のポジショニングを速やかに確認することが可能となる。
【0214】
さらに、制御部196は、平面視で、表面36a〜36cにおける撮影領域40a〜40c(撮影面156)以外の領域に配置されるので、該制御部196に対する放射線16の照射を確実に回避することができる。
【0215】
すなわち、制御部196が各撮影領域40a〜40c又は撮影面156に配置された状態で放射線16の照射が行われると、制御部196が放射線16で劣化したり、あるいは、制御部196が放射線画像に写り込むという不都合がある。従って、第1実施形態では、上記のように、各制御部196に対する放射線16の照射を回避することで、これらの不都合の発生を防止することができる。
【0216】
また、第1実施形態では、上述した各効果に加え、下記の効果も得られる。
【0217】
第1実施形態では、2種類の放射線検出ユニット30a〜30cを段差部120a〜120c、122a〜122cにより交互に繰り返し連結して1台の放射線画像撮影装置20Aを構成し、該放射線画像撮影装置20Aにより被写体14に対する長尺撮影を行っている。
【0218】
具体的に、各放射線変換パネル172a〜172cの一部が重なり合うと共に、面積が互いに異なる照射面148a、148cと照射面148bとを、順に交互に繰り返されるように、各筐体34a〜34cを段差部120a〜120c、122a〜122cを用いて連結することにより、各放射線検出ユニット30a〜30c(の筐体34a〜34c)の連結箇所での段差を発生させることなく、各撮影領域40a〜40cを含み構成される放射線画像撮影装置20Aの撮影面156を略平面状に維持する。
【0219】
すなわち、第1実施形態では、撮影面156を構成するために、第1の照射面(照射面148a)→第2の照射面(照射面148b)→第1の照射面(照射面148c)の順に交互に繰り返すように、段差部120a〜120c、122a〜122cにより2種類の放射線検出ユニット30a〜30cを順次連結することで、放射線画像撮影装置20Aの全体的な厚みを、各放射線検出ユニット30a〜30cの厚みに抑えつつ、前記連結箇所での段差を発生させないようにしている。
【0220】
従って、第1実施形態によれば、前記連結箇所での段差を発生させることなく複数の放射線検出ユニット30a〜30cを連結して長尺撮影を行うことも可能となる。すなわち、第1実施形態では、各放射線検出ユニット30a〜30cを順次連結しても、該放射線画像撮影装置20Aの大型化を回避できると共に、撮影面156を確実に平面状にすることができる。
【0221】
しかも、段差部120a〜120c、122a〜122cによって各筐体34a〜34cを連結して放射線画像撮影装置20Aを構成するので、被写体14に対する1回の放射線16の照射で長尺撮影を行うことが可能となり、撮影時間の短縮化も実現することができる。
【0222】
また、第1実施形態では、前記連結箇所での段差が発生しないように、各放射線検出ユニット30a〜30cを順次連結するので、各電子カセッテの連結箇所に段差が発生する場合と比較して、該各電子カセッテの連結が外れたときに、連結箇所の段差に起因した衝撃(例えば、落下による衝撃)によって電子カセッテが故障するという問題を回避することができる。
【0223】
また、第1実施形態では、例えば、一方の筐体と他方の筐体とを段差部120a〜120c、122a〜122cにより連結する場合に、一方の筐体に収容された放射線変換パネルにおける他方の筐体側の一部と、他方の筐体に収容された放射線変換パネルにおける一方の筐体側の一部とが重なり合うように、一方の筐体と他方の筐体とを連結させれば(図1〜図4参照)、各筐体34a〜34cを容易に連結させることができると共に、各放射線変換パネル172a〜172cでそれぞれ得られた各放射線画像を画像合成して、1枚の長尺な被写体14の放射線画像を得る際に、各放射線画像の連結箇所における画像が欠落することを防止することも可能となる。
【0224】
従って、第1実施形態によれば、2種類の放射線検出ユニット30a〜30cを交互に連結し、連結箇所での段差を発生させることなく、放射線画像撮影装置20Aの全体的な厚みを各放射線検出ユニット30a〜30cの厚みに抑制して撮影面156を確実に平面状に維持することにより、撮影時での被写体14の違和感を解消することができると共に、従来技術と比較して、該放射線画像撮影装置20Aの薄型化も実現することも可能となる。また、放射線画像撮影装置20Aは、2種類の各放射線検出ユニット30a〜30cを段差部120a〜120c、122a〜122cで連結することにより構成されるので、撮影時間の短縮化も可能となる。
【0225】
また、筐体34a〜34cからブロック58a〜58c、60a〜60cを取り外すことにより、段差部120a〜120c、122a〜122cが容易に形成されるので、各筐体34a〜34cの連結を効率よく行うことが可能となる。
【0226】
さらに、段差部120a〜120c、122a〜122cが形成されていない側面50a〜50c、52a〜52cに取手部450a〜450c、452a〜452cをそれぞれ設けることにより、放射線検出ユニット30a〜30cを容易に運搬することも可能となる。
【0227】
なお、筐体34a、34cにおいては、該筐体34a、34cの段差部120a、120c、122a、122cに近接する面を裏面42a、42cとし、一方で、該裏面42a、42cに対向し且つ段差部120a、120c、122a、122cから離間した面を表面36a、36c(照射面148a、148c)としている。また、筐体34bにおいては、該筐体34bの段差部120b、122bに近接する面を表面36b(照射面148b)とし、一方で、該照射面148bに対向し且つ段差部120b、122bから離間した面を裏面42bとしている。このように、表面36a〜36c(照射面148a〜148c)及び裏面42a〜42cを予め決めておくことで、各筐体34a〜34cの連結を効率よく行うことができる。
【0228】
さらに、連結順番情報生成部250は、各筐体34a〜34cの連結順番を連結順番情報として生成する。これにより、各放射線画像を画像合成して1枚の長尺な被写体14の画像を形成する際、連結順番情報を参照することにより、各放射線画像がどの放射線変換パネル172a〜172cにより得られた放射線画像であるのかを特定することができる。この結果、1枚の長尺な画像の形成を効率よく行うことができる。
【0229】
また、コンソール22の画像処理部288は、連結順番情報に基づいて各放射線画像を補正し、補正後の各放射線画像を合成して長尺撮影画像を生成するので、画質の均一な長尺撮影画像を得ることができる。
【0230】
なお、上記の説明では、3つの放射線検出ユニット30a〜30cを2つの接続部462で接続(連結)し、1つの制御部196と1つの放射線検出ユニット30aとを接続部464で接続して放射線画像撮影装置20Aを構成する場合について説明したが、第1実施形態では、放射線画像撮影装置20Aは、少なくとも、1つの放射線検出ユニット30aと1つの制御部196とを接続部464で接続し、該1つの放射線検出ユニット30aが接続部462によって他の放射線検出ユニット30bと接続可能な状態にあればよい。
【0231】
この場合であっても、制御部196は、接続部464を介して1つの放射線検出ユニット30aを制御することができる。また、1つの放射線検出ユニット30aと他の放射線検出ユニット30bとを接続部462で接続することができれば、当該制御部196は、接続部464、462を介して他の放射線検出ユニット30bを制御することも可能となる。従って、この場合でも、上述した第1実施形態での各効果が容易に得られる。
【0232】
また、上記の説明では、一例として、放射線検出ユニット30aの接続端子454a、456aと制御部196のコネクタ458、460とを嵌合させることにより、放射線検出ユニット30aと制御部196とを連結させる場合について説明した。第1実施形態は、この説明に限定されることはなく、接続端子454b、456bとコネクタ458、460とを嵌合させて放射線検出ユニット30bと制御部196とを連結させてもよいし、あるいは、接続端子454c、456cとコネクタ458、460とを嵌合させて放射線検出ユニット30cと制御部196とを連結させてもよい。
【0233】
また、第1実施形態では、3つの放射線検出ユニット30a〜30cで1つの制御部196を共用化できればよいので、例えば、接続端子454a〜454c、456a〜456cのうち、いずれか2つの接続端子とコネクタ458、460とを嵌合させた場合であっても、放射線検出ユニット30a〜30cと制御部196との間で信号の送受信等を行うことが可能である。さらには、制御部196のコネクタの個数を1個とし、該1個のコネクタと、いずれか1つの接続端子454a〜454c、456a〜456cとを嵌合させた場合でも、放射線検出ユニット30a〜30cと制御部196との間で信号の送受信等を行うことが可能である。
【0234】
また、上記の説明では、コンソール22から放射線画像撮影装置20Aに同期制御信号が送信される場合について説明したが、制御部196の同期制御部248、又は、各パネル制御部542a〜542cで同期制御信号を生成し、該同期制御信号をコンソール22に送信してもよい。各パネル制御部542a〜542cで同期制御信号を生成した場合、前記各同期制御信号の間では、放射線16の照射のタイミングが互いに異なる可能性があるため、コンソール22の同期処理部292は、例えば、前記各同期制御信号の示すタイミングのうち、最も遅いタイミングの同期制御信号を放射線照射装置18に送信する。これにより、各放射線変換パネル172a〜172cでの電荷蓄積が可能になった後に、放射線照射装置18から放射線16が照射されることになるので、放射線検出ユニット30a〜30cと放射線照射装置18との同期を確実に取ることができる。
【0235】
なお、制御線470a、470b、500a、510aが設けられていないために、制御部196から放射線検出ユニット30a〜30cに対する同期制御、あるいは、各放射線検出ユニット30a〜30c間での同期制御ができない場合には、例えば、各パネル制御部542a〜542cにおいて、電源部190から電力供給が開始されてより所定時間経過した時点で、放射線変換パネル172a〜172cでの電荷蓄積を可能とするように予め取り決めしておいてもよい。
【0236】
また、注目したい特定部位がある場合には、その特定部位を放射線検出ユニット30bにより撮影することを決定すると共に、該放射線検出ユニット30bのシンチレータ150bをCsIで構成し、該放射線検出ユニット30bを中心とする連結順番の連結順番情報を予め連結順番情報管理部294に登録してもよい。この場合、制御部282は、放射線画像撮影装置20Aから送信される連結順番情報と、連結順番情報管理部294に予め登録されている連結順番情報とを比較して、両者が一致していれば撮影を許可し(同期制御信号を送信し)、異なっていれば、表示装置24を介して、放射線検出ユニット30a〜30cが間違って連結されていることを医師又は技師に通知することも可能となる。
【0237】
この結果、特定部位の画像を含む所望の長尺撮影画像を確実に得ることができる。また、上述のように、各放射線検出ユニット30a〜30cの連結順が予め分かっていれば、事前に連結順番情報を連結順番情報管理部294に登録しておくことで、実際の連結状態が所望の連結状態になっているか否かをコンソール22側で検査することが可能となり、所望の連結状態での長尺撮影を確実に遂行することができる。
【0238】
さらに、上記の説明では、放射線画像撮影装置20Aからコンソール22に対して連結順番情報の送信した後に、放射線画像を送信する場合について説明したが、連結順番情報と放射線画像とを同時に送信することも可能である。これにより、コンソール22では、受信した放射線画像が前記連結順番情報に関わる画像であることを容易に把握することができる。
【0239】
また、上記の説明では、表面36a(第1の照射面)→表面36b(第2の照射面)→表面36c(第1の照射面)の順になるように、3つの放射線検出ユニット30a〜30cを順次連結することにより1台の放射線画像撮影装置20Aを構成する場合について説明したが、第1実施形態は、この説明に限定されることはなく、撮影面156が第1の照射面→第2の照射面→第1の照射面→第2の照射面→…の順、あるいは、第2の照射面→第1の照射面→第2の照射面→第1の照射面→…の順になるように複数の放射線検出ユニットを順次連結できればよい。
【0240】
また、上記の説明では、一方向に沿って3つの放射線検出ユニット30a〜30cを順次連結した場合について説明したが、側面50a〜50c、52a〜52cにも、段差部120a〜120c、122a〜122cと同様の段差部を形成し、平面方向(二方向)に沿って複数の放射線検出ユニットを順次連結することにより1台の放射線画像撮影装置20Aを構成してもよいことは勿論である。
【0241】
第1実施形態に係る放射線画像撮影システム10A及び放射線画像撮影装置20Aは、上述した説明に限定されることはなく、図24〜図26Bに示す実施形態も実現可能である。
【0242】
図24は、医療機関内の必要な箇所に配置されたクレードル320による電源部190(図16参照)の充電処理を示す斜視図である。
【0243】
この場合、例えば、制御部196とクレードル320との間をコネクタ324、326を有するUSBケーブル322で電気的に接続する。
【0244】
クレードル320は、電源部190の充電だけでなく、クレードル320の無線通信機能又は有線通信機能を用いて、医療機関内のコンソール22やRIS26との間で必要な情報の送受信を行うようにしてもよい。送受信する情報には、画像メモリ240に記録された放射線画像を含めることができる。
【0245】
また、クレードル320に表示部328を配設し、この表示部328に対して、制御部196の充電状態や、制御部196から取得した放射線画像を含む必要な情報を表示させるようにしてもよい。
【0246】
さらに、複数の制御部196をネットワークに接続し、各クレードル320に接続されている制御部196の充電状態をネットワークを介して収集し、使用可能な充電状態にある制御部196の所在を確認できるように構成することもできる。
【0247】
さらにまた、上記の説明では、図4及び図12〜図15のように、1枚のシンチレータ150a〜150cを配置した構成とされているが、この構成に代えて、図25A及び図25Bに示すように、1枚の他のシンチレータ154a〜154cを筐体34a〜34c内に配置してもよい。この場合、シンチレータ154a〜154cは、表面36a〜36cから衝撃吸収部材174a〜174c、光電変換層152a〜152c、TFT層176a〜176c及び基板178a〜178cを介して照射された放射線16を可視光に一旦変換する。従って、この場合でも、光電変換層152a〜152cは、前記可視光を放射線画像に変換することができる。
【0248】
なお、図25A及び図25Bの場合、表面36a〜36cに対して光電変換層152a〜152c及びシンチレータ154a〜154cの順に配置されているため、放射線変換パネル172a〜172cは、ISS方式の放射線検出器として構成されている。
【0249】
また、図26A及び図26Bに示すように、2つのシンチレータ150a〜150c、154a〜154cで光電変換層152a〜152cを挟み込むような構成としてもよい。この場合、各シンチレータ150a〜150c、154a〜154cで放射線16が可視光に変換されることにより、放射線画像の感度及び鮮鋭度を向上させることができ、この結果、長尺撮影における被写体14の放射線16の被曝量を低減することができる。
【0250】
さらに、図26A及び図26Bの場合、表面36a〜36cに対して、シンチレータ150a〜150c、光電変換層152a〜152c及びシンチレータ154a〜154cの順に配置されているため、放射線変換パネル172a〜172cのうち、シンチレータ150a〜150c及び光電変換層152a〜152cの配置関係は、PSS方式となる一方で、光電変換層152a〜152c及びシンチレータ154a〜154cの配置関係は、ISS方式となる。従って、図26A及び図26Bに示す放射線変換パネル172a〜172cは、ISS方式及びPSS方式の双方を含む放射線検出器として構成されている。
【0251】
なお、図26A及び図26Bの場合、シンチレータ150a〜150c、154a〜154cは、同じ材料で構成してもよいし、あるいは、異なる材料で構成してもよい。異なる材料で構成する場合、一方のシンチレータをCsIで構成し、他方のシンチレータをGOSで構成すればよい。長尺撮影を行う場合、長尺な撮影部位のうち、注目したい特定部位を撮影する放射線検出ユニットのシンチレータ150a〜150c、154a〜154cをCsIで構成し、他の放射線検出ユニットのシンチレータ150a〜150c、154a〜154cをGOSで構成してもよいことは勿論である。
【0252】
さらに、第1実施形態は、光読出方式の放射線変換パネルを利用して放射線画像を取得する場合にも適用することが可能である。この光読出方式の放射線変換パネルでは、各固体検出素子に放射線が入射すると、その線量に応じた静電潜像が固体検出素子に蓄積記録される。静電潜像を読み取る際には、放射線変換パネルに読取光を照射し、発生した電流の値を放射線画像として取得する。なお、放射線変換パネルは、消去光を放射線変換パネルに照射することで、残存する静電潜像である放射線画像を消去して再使用することができる(特開2000−105297号公報参照)。
【0253】
さらにまた、放射線画像撮影装置20Aでは、血液やその他の雑菌が付着するおそれを防止するために、例えば、装置全体を防水性、密閉性を有する構造とし、必要に応じて殺菌洗浄することにより、1台の放射線画像撮影装置20Aを繰り返し続けて使用することができる。
【0254】
また、第1実施形態は、医療機関内での放射線画像の撮影に限らず、災害現場、在宅看護の現場、さらには、検診車に搭載して、健康診断における被写体の撮影にも適用することが可能である。さらに、第1実施形態は、このような医療関連の放射線画像の撮影に限定されるものではなく、例えば、各種の非破壊検査における放射線画像の撮影にも適用可能であることは勿論である。
【0255】
次に、第2実施形態に係る放射線画像撮影システム10Bについて、図27〜図30を参照しながら説明する。
【0256】
なお、放射線画像撮影システム10Bにおいて、第1実施形態に係る放射線画像撮影システム10B(図1〜図26B参照)と同じ構成要素については、同じ参照符号を付けて、その詳細な説明を省略し、以下同様とする。
【0257】
第2実施形態に係る放射線画像撮影システム10Bは、図27〜図30に示すように、放射線検出ユニット30aの一部(表面36aの側面56a側)と放射線検出ユニット30bの一部(表面36bの側面54b側)とを重ね合わせて連結すると共に、放射線検出ユニット30bの一部(表面36bの側面56b側)と放射線検出ユニット30cの一部(表面36cの側面54c側)とを重ね合わせて連結することにより、放射線検出ユニット30a→放射線検出ユニット30b→放射線検出ユニット30cの順に連結した点で、第1実施形態に係る放射線画像撮影システム10Aとは異なる。
【0258】
この場合、放射線検出ユニット30a〜30cの筐体34a〜34cは、略矩形状の形状を有し、第1実施形態のような段差部120a〜120c、122a〜122cは設けられていない。
【0259】
また、医師又は技師は、撮影領域40aの一部と撮影領域40bの一部とが重なり合うように、筐体34aと筐体34bとを連結すると共に、撮影領域40bの一部と撮影領域40cの一部とが重なり合うように、筐体34bと筐体34cとを連結した後に、接続端子126aと接続端子124bとをコネクタ32で嵌合すると共に、接続端子126bと接続端子124cとを他のコネクタ32で嵌合し、さらに、制御部196と放射線検出ユニット30aとを接続部464によって連結する。これにより、筐体34aと筐体34bとの連結部分で段差が発生すると共に、筐体34bと筐体34cとの連結部分で段差が発生する。その際、制御部196の側部と筐体34bの側面54bとが当接する。
【0260】
このようにして構成された放射線画像撮影装置20Bは、撮影台12内に収容される。
【0261】
なお、撮影台12は、放射線画像撮影装置20Bを収容するので、放射線16を透過可能に構成されていることが望ましい。また、撮影台12の上面には、撮影面156に前記照射光を投光できるように、光透過性で且つ被写体14の荷重に耐えることのできる耐荷重性のガラス板を配設することが望ましい。さらに、撮影台12の上面には、送信波272及び反射波274が通過可能な程度の孔部が形成されていることが望ましい。
【0262】
第2実施形態の場合でも、接続部462によって各放射線検出ユニット30a〜30cが連結されると共に、接続部464によって放射線検出ユニット30aと制御部196とが連結されるので、第1実施形態における接続部462、464の連結による各効果が容易に得られる。
【0263】
次に、第3実施形態に係る放射線画像撮影システム10Cについて、図31を参照しながら説明する。
【0264】
第3実施形態に係る放射線画像撮影システム10Cは、放射線画像撮影装置20C全体を水平方向に対して傾斜させるように撮影台12内に収容した点で、第2実施形態に係る放射線画像撮影システム10Bとは異なる。
【0265】
この場合でも、第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0266】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【0267】
例えば、放射線変換パネル172a〜172cは、図32及び図33に示す変形例に係る放射線検出器600であってもよい。なお、図32は、変形例に係る放射線検出器600の3つの画素部分の構成を概略的に示した断面模式図である。
【0268】
放射線検出器600は、絶縁性の基板602上に、スイッチング素子を含むTFT層176a〜176c(図12〜図15及び図25A〜図26B参照)に対応する信号出力部604、固体検出素子を含む光電変換層152a〜152cに対応するセンサ部606、及び、シンチレータ150a〜150c、154a〜154cに対応するシンチレータ608が順次積層して形成されており、信号出力部604及びセンサ部606により画素部が構成されている。画素部は、基板602上に行列状に配列されており、各画素部における信号出力部604とセンサ部606とが重なりを有するように構成されている。
【0269】
シンチレータ608は、センサ部606上に透明絶縁膜610を介して形成され、放射線16を光に変換して発光する蛍光体を成膜したものである。なお、図32において、例えば、上方(基板602が位置する側とは反対側)を表面36a〜36c(図2〜図8、図11〜図15及び図25A〜図26B参照)側とし、下方を裏面42a〜42c側とした場合、上方から放射線16が入射してくれば、放射線検出器600は、PSS方式の放射線検出器として機能し、シンチレータ608の蛍光体は、入射した放射線16を光に変換して発光する。
【0270】
シンチレータ608が発する光の波長域は、可視光域(波長360nm〜830nm)であることが好ましく、この放射線検出器600によってモノクロ撮像を可能とするためには、緑色の波長域を含んでいることがより好ましい。
【0271】
シンチレータ608に用いる蛍光体としては、具体的には、放射線16としてX線を用いて撮像する場合、CsIを含むものが好ましく、X線照射時の発光スペクトルが420nm〜600nmにあるCsI(Tl)(タリウムが添加されたヨウ化セシウム)を用いることが特に好ましい。なお、CsI(Tl)の可視光域における発光ピーク波長は565nmである。
【0272】
シンチレータ608は、例えば、蒸着基体に柱状結晶構造のCsI(Tl)を蒸着して形成してもよい。このように蒸着によってシンチレータ608を形成する場合、蒸着基体は、X線の透過率、コストの面からAlがよく使用されるがこれに限定されるものではない。なお、シンチレータ608としてGOSを用いる場合、樹脂ベースにGOSを塗布し、その後、TFTアクティブマトリクス基板の表面に貼り合わせるとよい。これにより、万が一、GOSの塗布が失敗してもTFTアクティブマトリックス基板を温存することができる。
【0273】
センサ部606は、上部電極612、下部電極614、及び、該上部電極612と該下部電極614の間に配置された光電変換膜616を有している。
【0274】
上部電極612は、シンチレータ608により生じた光を光電変換膜616に入射させる必要があるため、少なくともシンチレータ608の発光波長に対して透明な導電性材料で構成することが好ましく、具体的には、可視光に対する透過率が高く、抵抗値が小さい透明導電性酸化物(TCO:Transparent Conducting Oxide)を用いることが好ましい。なお、上部電極612としてAu等の金属薄膜を用いることもできるが、透過率を90%以上得ようとすると抵抗値が増大し易いため、TCOの方が好ましい。例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO、AZO、FTO、SnO、TiO、ZnO等を好ましく用いることができ、プロセス簡易性、低抵抗性、透明性の観点からはITOが最も好ましい。なお、上部電極612は、全画素部で共通の一枚構成としてもよく、画素部毎に分割してもよい。
【0275】
光電変換膜616は、有機光導電体(OPC:Organic Photo Conductors)を含み、シンチレータ608から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。有機光導電体(有機光電変換材料)を含む光電変換膜616であれば、可視光域にシャープな吸収スペクトルを持ち、シンチレータ608による発光以外の電磁波が光電変換膜616によって吸収されることが殆どなく、放射線16が光電変換膜616で吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。なお、光電変換膜616は、有機光導電体に代えてa−Siを含むように構成してもよい。この場合、幅広い吸収スペクトルを持ち、シンチレータ608による発光を効率的に吸収することができる。
【0276】
光電変換膜616を構成する有機光導電体は、シンチレータ608で発光した光を最も効率よく吸収するために、そのピーク波長が、シンチレータ608の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光導電体の吸収ピーク波長とシンチレータ608の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければシンチレータ608から発せられた光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光導電体の吸収ピーク波長と、シンチレータ608の放射線に対する発光ピーク波長との差が、10nm以内であることが好ましく、5nm以内であることがより好ましい。
【0277】
このような条件を満たすことが可能な有機光導電体としては、例えば、キナクリドン系有機化合物及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えば、キナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光導電体としてキナクリドンを用い、シンチレータ608の材料としてCsI(Tl)を用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光電変換膜616で発生する電荷量を略最大にすることができる。
【0278】
センサ部606は、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、及び、層間接触改良部位等の積み重ね若しくは混合により形成される有機層を含んで構成される。前記有機層は、有機p型化合物(有機p型半導体)又は有機n型化合物(有機n型半導体)を含有することが好ましい。
【0279】
有機p型半導体は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体(化合物)であり、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは、2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。従って、ドナー性有機化合物としては、電子供与性のある有機化合物であれば、いずれの有機化合物も使用可能である。
【0280】
有機n型半導体は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体(化合物)であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは、2つの有機化合物を接触させて用いたときに、電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。従って、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であれば、いずれの有機化合物も使用可能である。
【0281】
この有機p型半導体及び有機n型半導体として適用可能な材料、及び、光電変換膜616の構成については、特開2009−32854号公報において詳細に記載されているため説明を省略する。なお、光電変換膜616は、さらに、フラーレン若しくはカーボンナノチューブを含有させて形成してもよい。
【0282】
光電変換膜616の厚みは、シンチレータ608からの光を吸収する点では膜厚は大きいほど好ましいが、ある程度以上厚くなると、光電変換膜616の両端から印加されるバイアス電圧により光電変換膜616に発生する電界の強度が低下して電荷が収集できなくなるため、30nm以上300nm以下が好ましく、より好ましくは、50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下にするのがよい。
【0283】
光電変換膜616は、全画素部で共通の一枚構成であるが、画素部毎に分割してもよい。下部電極614は、画素部毎に分割された薄膜とする。但し、下部電極614は、全画素部で共通の一枚構成であってもよい。下部電極614は、透明又は不透明の導電性材料で構成することができ、Al、銀等を好適に用いることができる。なお、下部電極614の厚みは、例えば、30nm以上300nm以下とすることができる。
【0284】
センサ部606では、上部電極612と下部電極614との間に所定のバイアス電圧を印加することで、光電変換膜616で発生した電荷(正孔、電子)のうちの一方を上部電極612に移動させ、他方を下部電極614に移動させることができる。本変形例に係る放射線検出器600では、上部電極612に配線が接続され、この配線を介してバイアス電圧が上部電極612に印加されるものとする。また、バイアス電圧は、光電変換膜616で発生した電子が上部電極612に移動し、正孔が下部電極614に移動するように極性が決められているものとするが、この極性は逆であっても良い。
【0285】
各画素部を構成するセンサ部606は、少なくとも下部電極614、光電変換膜616、及び、上部電極612を含んでいればよいが、暗電流の増加を抑制するため、電子ブロッキング膜618及び正孔ブロッキング膜620の少なくともいずれかを設けることが好ましく、両方を設けることがより好ましい。
【0286】
電子ブロッキング膜618は、下部電極614と光電変換膜616との間に設けることができ、下部電極614と上部電極612との間にバイアス電圧を印加したときに、下部電極614から光電変換膜616に電子が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
【0287】
電子ブロッキング膜618には、電子供与性有機材料を用いることができる。実際に電子ブロッキング膜618に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜616の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上電子親和力(Ea)が大きく、且つ、隣接する光電変換膜616の材料のイオン化ポテンシャル(Ip)と同等のIp若しくはそれより小さいIpを持つものが好ましい。この電子供与性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
【0288】
電子ブロッキング膜618の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、センサ部606の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下にするのがよい。
【0289】
正孔ブロッキング膜620は、光電変換膜616と上部電極612との間に設けることができ、下部電極614と上部電極612との間にバイアス電圧を印加したときに、上部電極612から光電変換膜616に正孔が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
【0290】
正孔ブロッキング膜620には、電子受容性有機材料を用いることができる。正孔ブロッキング膜620の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、センサ部606の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下にするのがよい。
【0291】
実際に正孔ブロッキング膜620に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜616の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上イオン化ポテンシャル(Ip)が大きく、且つ、隣接する光電変換膜616の材料の電子親和力(Ea)と同等のEa若しくはそれより大きいEaを持つものが好ましい。この電子受容性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
【0292】
なお、光電変換膜616で発生した電荷のうち、正孔が上部電極612に移動し、電子が下部電極614に移動するようにバイアス電圧を設定する場合には、電子ブロッキング膜618と正孔ブロッキング膜620との位置を逆にすれば良い。また、電子ブロッキング膜618と正孔ブロッキング膜620とは両方設けなくてもよく、いずれかを設けておけば、ある程度の暗電流抑制効果を得ることができる。
【0293】
図33に示すように、信号出力部604は、各画素部の下部電極614に対応して基板602の表面に設けられており、下部電極614に移動した電荷を蓄積する蓄積容量622と、前記蓄積容量622に蓄積された電荷を電気信号に変換して出力するTFT624とを有している。蓄積容量622及びTFT624の形成された領域は、平面視において、下部電極614と重なる部分を有しており、このような構成とすることで、各画素部における信号出力部604とセンサ部606とが厚さ方向で重なりを有することとなる。蓄積容量622及びTFT624を下部電極614によって完全に覆うように信号出力部604を形成すれば、放射線検出器600(画素部)の平面積を最小にすることができる。
【0294】
蓄積容量622は、基板602と下部電極614との間に設けられた絶縁膜626を貫通して形成された導電性材料の配線を介して対応する下部電極614と電気的に接続されている。これにより、下部電極614で捕集された電荷を蓄積容量622に移動させることができる。
【0295】
TFT624は、ゲート電極628、ゲート絶縁膜630、及び、活性層(チャネル層)632が積層され、さらに、活性層632上にソース電極634とドレイン電極636とが所定の間隔を開けて形成されている。活性層632は、例えば、a−Siや非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブ等により形成することができる。なお、活性層632を構成する材料は、これらに限定されるものではない。
【0296】
活性層632を構成可能な非晶質酸化物としては、In、Ga及びZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えばIn−O系)が好ましく、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えばIn−Zn−O系、In−Ga−O系、Ga−Zn−O系)がより好ましく、In、Ga及びZnを含む酸化物が特に好ましい。In−Ga−Zn−O系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がInGaO(ZnO)(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、InGaZnOがより好ましい。なお、活性層632を構成可能な非晶質酸化物は、これらに限定されるものではない。
【0297】
活性層632を構成可能な有機半導体材料としては、フタロシアニン化合物や、ペンタセン、バナジルフタロシアニン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、フタロシアニン化合物の構成については、特開2009−212389号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
【0298】
TFT624の活性層632を非晶質酸化物や有機半導体材料、カーボンナノチューブで形成したものとすれば、X線等の放射線16を吸収せず、あるいは、吸収したとしても極めて微量に留まるため、信号出力部604におけるノイズの発生を効果的に抑制することができる。
【0299】
また、活性層632をカーボンナノチューブで形成した場合、TFT624のスイッチング速度を高速化することができ、また、可視光域での光の吸収度合の低いTFT624を形成できる。なお、カーボンナノチューブで活性層632を形成する場合、活性層632に極微量の金属性不純物の混入するだけで、TFT624の性能は著しく低下するため、遠心分離等により極めて高純度のカーボンナノチューブを分離・抽出して形成する必要がある。
【0300】
ここで、上述した非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブや、有機光導電体は、いずれも低温での成膜が可能である。従って、基板602としては、半導体基板、石英基板、及び、ガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、プラスチック等の可撓性基板、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン等の可撓性基板を用いることができる。このようなプラスチック製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることもでき、例えば持ち運び等に有利となる。
【0301】
また、有機光導電体から光電変換膜616を形成し、有機半導体材料からTFT624を形成することにより、プラスチック製の可撓性基板(基板602)に対して光電変換膜616及びTFT624を低温成膜することが可能となると共に、放射線検出器600全体の薄型化及び軽量化を図ることができる。これにより、放射線検出器600を収容する放射線検出ユニット30a〜30c(図1〜図15、図18、図20及び図25A〜図31参照)の薄型化及び軽量化も可能となり、該放射線検出ユニット30a〜30cの連結が一層容易なものになると共に、連結箇所での段差も生じにくくなる。
【0302】
なお、本実施形態において、例えば、図4に示す構成の場合には、放射線検出ユニット30a、30cの放射線変換パネル172a、172cが、放射線検出ユニット30bの放射線変換パネル172bよりも、放射線16の照射側に配置されている。このような場合、少なくとも放射線変換パネル172a、172c(放射線検出器600)において、基板602をプラスチック製の可撓性基板から構成し、該可撓性基板に、有機光導電体からなる光電変換膜616と、有機半導体材料からなるTFT624とをそれぞれ形成してもよい。
【0303】
プラスチック及び有機系の材料は、放射線16をほとんど吸収しないので、放射線検出ユニット30bの放射線変換パネル172bに少しでも多くの線量の放射線16を到達させることができる。また、この場合でも、3つの放射線検出ユニット30a〜30cを連結した際の接続箇所での段差を小さくすることができる。
【0304】
ここでは、図4の例について説明したが、他の放射線画像撮影装置20B、20Cにおいても、放射線16の照射側に配置された放射線変換パネルについて、プラスチック製の基板602に、有機光導電体からなる光電変換膜616と、有機半導体材料からなるTFT624とをそれぞれ形成することで、上記の効果が得られることは勿論である。
【0305】
なお、基板602には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
【0306】
また、アラミドは、200℃以上の高温プロセスを適用できるために,透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、また、ハンダのリフロー工程を含むドライバICの自動実装にも対応できる。また、アラミドは、ITOやガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。また、アラミドは、ガラス基板等と比べて薄く基板を形成できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドを積層して基板602を形成してもよい。
【0307】
バイオナノファイバは、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂との複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと可視光波長に対して1/10のサイズで、且つ、高強度、高弾性、低熱膨である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を60%〜70%も含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3ppm〜7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)、高弾性(30GPa)で、且つ、フレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて基板602を薄く形成できる。
【0308】
本変形例では、基板602上に、信号出力部604、センサ部606及び透明絶縁膜610を順に形成し、当該基板602上に光吸収性の低い接着樹脂等を用いてシンチレータ608を貼り付けることにより放射線検出器600を形成している。
【0309】
上述した変形例に係る放射線検出器600では、光電変換膜616を有機光導電体により構成すると共に、TFT624の活性層632を有機半導体材料で構成しているので、該光電変換膜616及び信号出力部604で放射線16が吸収されることは殆どない。これにより、放射線16(図1、図2、図4、図20、図27、図28及び図31参照)に対する感度の低下を抑えることができる。
【0310】
TFT624の活性層632を構成する有機半導体材料や光電変換膜616を構成する有機光導電体は、いずれも低温での成膜が可能である。このため、基板602を放射線16の吸収が少ないプラスチック樹脂、アラミド、バイオナノファイバで形成することができる。これにより、放射線16に対する感度の低下を一層抑えることができる。
【0311】
また、例えば、放射線検出器600を筐体34a〜34c(図4〜図8、図11〜図15及び図25A〜図26B参照)内に配置し、基板602を剛性の高いプラスチック樹脂やアラミド、バイオナノファイバで形成した場合、放射線検出器600自体の剛性を高くすることができるため、筐体34a〜34cを薄く形成することができる。また、基板602を剛性の高いプラスチック樹脂やアラミド、バイオナノファイバで形成した場合、放射線検出器600自体が可撓性を有するため、筐体34a〜34cに衝撃が加わった場合でも放射線検出器600が破損しづらい。
【0312】
なお、図32では、前述のように、一例として、シンチレータ608から発光された光を放射線照射装置18(図1、図20、図27及び図31参照)が位置する側とは反対側に位置するセンサ部606(光電変換膜616)で電荷に変換して放射線画像を読み取る、PSS方式の放射線検出器600を図示している。
【0313】
放射線検出器600は、この構成に限定されることはなく、ISS方式の放射線検出器として構成してもよい。この場合、放射線16の照射方向に沿って、基板602、信号出力部604、センサ部606及びシンチレータ608がこの順に積層され、シンチレータ608から発光された光を放射線照射装置18が位置する側のセンサ部606で電荷に変換して放射線画像を読み取る。そして、通常、シンチレータ608は、放射線16の照射面側が背面側よりも強く発光するため、ISS方式で構成した放射線検出器600では、PSS方式で構成された放射線検出器600と比較して、シンチレータ608で発光された光が光電変換膜616に到達するまでの距離を短縮させることができる。これにより、該光の拡散・減衰を抑えることができるので、放射線画像の分解能を高めることができる。
【0314】
また、本実施形態では、上述のように、シンチレータ150a〜150c、154a〜154c、608として、CsI又はGOSを使用可能である。
【0315】
ここで、制御部196のような電気回路部分が発熱する場合、GOSは、発熱に対する感度変化は生じないが、CsIでは、温度上昇に伴って感度が低下する(1℃の温度上昇に対して感度が約0.3%程度低下)。
【0316】
しかしながら、本実施形態では、シンチレータ150a〜150c、154a〜154c、608を収容する筐体34a〜34cと、制御部196とが別体であると共に、該制御部196は、シンチレータ150a〜150c、154a〜154c、608から離れた状態で接続部464を介して筐体34a〜34cと連結(接続)されるので、CsIからなるシンチレータ150a〜150c、154a〜154c、608を用いても、制御部196の発熱に対する感度変化の発生を回避することが可能である。従って、長時間撮影でも、高感度の放射線画像を取得することができる。
【0317】
さらにまた、本実施形態では、3つの放射線変換パネル172a〜172cが同じ種類のパネルではなく、例えば、(1)プラスチック及び有機系の材料を用いた薄型のパネルと通常の厚みのパネルとの組み合わせ、(2)GOSのシンチレータを用いたパネルとCsIのシンチレータを用いたパネルとの組み合わせ、あるいは、(3)ISS方式のパネルとPSS方式のパネルとの組み合わせ等、パネルの種類が混在する場合もある。そのため、パネルの種類により、拡大倍率(放射線源264とパネルとの距離)が異なったり、放射線画像の濃度(パネルの感度)が異なる場合があり得る。このような場合、各放射線変換パネル172a〜172cで得られた放射線画像に対して、パネルの種類に応じた画像補正処理を行った後に、2つの放射線画像を連結して1枚の長尺な画像を得ることが必要である。
【0318】
そこで、連結順番情報生成部250は、放射線変換パネル172a〜172cの種類(シンチレータ150a〜150c、608の材料、光電変換層152a〜152c又は光電変換膜616の材料、TFT210a〜210c、624の材料、基板178a〜178c、602の材料、ISS方式又はPSS方式の種別)に関する情報を連結順番情報に含め、該連結順番情報をコンソール22に送信してもよい。これにより、コンソール22の画像処理部288は、放射線変換パネル172a〜172cの種類に関する情報も含まれた連結順番情報に基づいて、放射線変換パネル172a〜172cで得られた放射線画像に対する画像補正処理を行った後に、画像補正処理後の2つの放射線画像を連結して1枚の長尺な画像を生成することができる。
【符号の説明】
【0319】
10A〜10C…放射線画像撮影システム
14…被写体
16…放射線
20A〜20C…放射線画像撮影装置
22…コンソール
30a〜30c…放射線検出ユニット
32、458、460…コネクタ
34a〜34c…筐体
36a〜36c…表面
40a〜40c…撮影領域
50a〜50c、52a〜52c、54a〜54c、56a〜56c…側面
58a〜58c、60a〜60c…ブロック
120a〜120c、122a〜122c…段差部
124a〜124c、126a〜126c、454a〜454c、456a〜456c…接続端子
148a〜148c…照射面
156…撮影面
172a〜172c…放射線変換パネル
192…カセッテ制御部
196…制御部
198a〜198c…パネル部
250…連結順番情報生成部
288…画像処理部
462、464…接続部
470a、470b、500a、510a…制御線
474a、474b、504a、514a…電力線
476a、476b、506a、516a…データ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を放射線画像に変換可能な放射線変換パネルを備える放射線検出ユニットと、
前記放射線検出ユニットを制御可能な1つの制御部と、
前記放射線検出ユニットと前記制御部との間を接続する第1の接続部と、
前記放射線検出ユニットと他の放射線検出ユニットとの間を接続可能な第2の接続部と、
を有することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
複数の前記放射線検出ユニットをさらに有し、
前記第1の接続部は、前記各放射線検出ユニットのうち少なくとも1つの放射線検出ユニットと前記制御部との間を接続し、
前記第2の接続部は、前記各放射線検出ユニット間を接続することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記第1の接続部及び前記第2の接続部は、前記放射線画像を含むデータについて、前記制御部と前記各放射線検出ユニットとの間、及び、前記各放射線検出ユニット間でデータ通信を行うためのデータ線をそれぞれ備えることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記各データ線は、光通信により前記データのデータ通信を行うことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載の装置において、
前記各データ線は、半二重通信により双方向で前記データのデータ通信を行うことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の装置において、
前記第1の接続部及び前記第2の接続部は、前記各放射線変換パネル間での同期制御を行うための制御線をそれぞれ備えることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項7】
請求項6記載の装置において、
前記制御部は、前記各制御線を介して前記各放射線変換パネルに対する前記同期制御を行うことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか1項に記載の装置において、
前記第1の接続部及び前記第2の接続部は、前記制御部から前記放射線変換パネルに電力供給を行うための電力線をそれぞれ備えることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか1項に記載の装置において、
前記各放射線検出ユニットは、前記放射線変換パネルを収容するパネル収容部をそれぞれ備え、
前記第2の接続部は、前記各パネル収容部を順次連結することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項10】
請求項9記載の装置において、
前記各パネル収容部には、前記放射線を透過可能な表面と、該表面に対向する裏面とがそれぞれ設けられ、
前記各パネル収容部の表面は、被写体を透過した前記放射線が照射される照射面であると共に、該照射面における前記放射線の照射領域は、前記放射線画像に変換可能な撮影領域であり、
前記制御部は、前記表面における前記撮影領域以外の領域に配置されることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項11】
請求項10記載の装置において、
前記各パネル収容部の表面の外周部と裏面の外周部との間には、該パネル収容部の側面がそれぞれ設けられ、
前記第1の接続部は、前記制御部に設けられた第1のコネクタと、前記表面における前記撮影領域以外の領域に設けられ且つ前記第1のコネクタに嵌合する第1の接続端子とであり、
前記第2の接続部は、前記各パネル収容部の一側面の両端部にそれぞれ設けられた第2の接続端子と、一方のパネル収容部の第2の接続端子と他方のパネル収容部の第2の接続端子とに嵌合する第2のコネクタとであることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか1項に記載の装置において、
前記第2の接続部により連結された前記各パネル収容部の連結順番を検知し、検知結果を連結順番情報として生成する連結順番情報生成部をさらに有することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項13】
請求項2〜12のいずれか1項に記載の装置において、
隣接する放射線検出ユニット間で、その一部を互いに重ね合わせることにより、隣接する放射線変換パネルの一部が互いに重なり合うと共に、少なくとも1つの放射線変換パネルが、他の放射線変換パネルよりも前記放射線の照射側に配置されることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項14】
請求項13記載の装置において、
前記各放射線変換パネルは、前記放射線を可視光に変換するシンチレータと、前記可視光を前記放射線画像を示す電気信号に変換する固体検出素子と、前記固体検出素子から前記電気信号を読み出すスイッチング素子と、前記固体検出素子及び前記スイッチング素子が形成される基板とをそれぞれ有し、
少なくとも1つの放射線変換パネルにおいて、前記基板は、可撓性を有するプラスチック製の基板であり、前記固体検出素子は、有機光導電体からなり、前記スイッチング素子は、有機半導体材料からなることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項15】
放射線を放射線画像に変換可能な放射線変換パネルを備える放射線検出ユニットと、前記放射線検出ユニットを制御可能な1つの制御部と、前記放射線検出ユニットと前記制御部との間を接続する第1の接続部と、前記放射線検出ユニットと他の放射線検出ユニットとの間を接続可能な第2の接続部とを有する放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置を制御する制御装置と、
を備えることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項16】
請求項15記載のシステムにおいて、
前記放射線画像撮影装置は、複数の前記放射線検出ユニットをさらに有し、
前記第1の接続部は、前記各放射線検出ユニットのうち少なくとも1つの放射線検出ユニットと前記制御部との間を接続し、
前記第2の接続部は、前記各放射線検出ユニット間を接続することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項17】
請求項16記載のシステムにおいて、
前記第1の接続部及び前記第2の接続部は、前記放射線画像を含むデータについて、前記制御部と前記各放射線検出ユニットとの間、及び、前記各放射線検出ユニット間でデータ通信を行うためのデータ線をそれぞれ備えることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項18】
請求項17記載のシステムにおいて、
前記制御部は、前記制御装置との間で信号の送受信が可能な通信部を有し、前記各放射線検出ユニットから前記各データ線を介して取得した前記各放射線画像の間引きデータを前記通信部を介して前記制御装置に送信することを特徴とする放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2011−227047(P2011−227047A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270127(P2010−270127)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】