放射線画像診断装置及び撮像方法
【課題】画質の低下なくコストを低減すること。
【解決手段】X線検出器103は、疎に配列された複数の有効検出素子を有する。各有効検出素子は、被検体を透過した放射線を検出し、検出されたX線に応じた電気信号を発生する。前処理部106は、生成された電気信号に基づいて投影データを生成する。再構成部114は、生成された投影データから逐次近似再構成法を用いて、被検体に関するCT画像を再構成する。
【解決手段】X線検出器103は、疎に配列された複数の有効検出素子を有する。各有効検出素子は、被検体を透過した放射線を検出し、検出されたX線に応じた電気信号を発生する。前処理部106は、生成された電気信号に基づいて投影データを生成する。再構成部114は、生成された投影データから逐次近似再構成法を用いて、被検体に関するCT画像を再構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線画像診断装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
市販のX線コンピュータ断層撮影装置は、2次元状に高密度に配列された複数のX線検出素子を備える。X線検出素子とは、X線検出器の2次元アレイの個々のセンサを意味する。X線検出素子は、所定の配列面において隣接して配列される。複数のX線検出素子を密に配列するために、X線コンピュータ断層撮影装置は幾何学的に可能な限り効率的に設計される。ここで、配列面において可能な限り密に配列された複数のX線検出素子を全数のX線検出素子と呼ぶことにする。全数は、ジオメトリに応じて異なる。
【0003】
X線コンピュータ断層撮影装置において現在実施されている全ての画像再構成法は、可能な限り密に配列された全数のX線検出素子を前提としている。これらの再構成法には、フィルタ補正逆投影法、逆投影フィルタ法、及び逐次近似再構成法がある。逐次近似再構成法は、複数の種類が考案されている。圧縮センシング(Compressed sensing)に基づく逐次近似再構成法は、主に、密に配列された全数のX線検出素子から収集された投影データに基づくスパースビュー(sparse view)再構成に的を絞っている。圧縮センシング全変動(CS−TV:Compressed sensing total variation)は、全数のX線検出素子から収集されたスパースビューに対して良好な画質をもたらすことが示されている。
【0004】
X線コンピュータ断層撮影装置は、全数のX線検出素子が密集しているために高価である。この高いコストは、実質的には、多数のX線検出素子が配列されていることに起因する。さらに、多数のX線検出素子に接続された多数の電子ユニットが必要であることも、X線コンピュータ断層撮影装置が高コストであることの一因となっている。つまり、X線検出素子が密に配列されているほど、X線コンピュータ断層撮影装置が高価になる。一般に、標準的な設計でX線検出素子のピッチを細かくすると、ハードウェアコストが劇的に増加する。
【0005】
X線検出素子が密に配列されている場合、隣接する複数のX線検出素子が散乱効果を受けてしまう。隣り合うX線検出素子のピッチが狭いためX線は、隣接する複数のX線検出素子に亘って散乱する。複数のX線検出素子が密に配列されている場合、散乱補正によりアーチファクトのない画像を再構成することは困難である。
【0006】
フラットパネル検出器を利用したX線コンピュータ断層撮影装置が標準的な設計を有するX線コンピュータ断層撮影装置の高コストを軽減すると考えられてきた。しかしながら、フラットパネル検出器は、一般に、標準的なX線検出器よりも量子効率が低く、読み出し速度が遅い。フラットパネル検出器の量子効率は、標準的なX線検出器の約半分である。フラットパネル検出器は、30Hzの読み出し速度を有するが、標準的なX線検出器は3000Hz以上の読み出し速度を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実施形態の目的は、画質の低下なくコストを低減することが可能な放射線画像診断装置及び撮像方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る放射線画像診断装置は、疎に配列された複数の検出区域を有する検出器であって、前記複数の検出区域の各々は、被検体を透過した放射線を検出し、前記検出された放射線に応じた電気信号を発生する放射線検出器と、前記生成された電気信号に基づいて投影データを生成する前処理部と、前記生成された投影データから逐次近似再構成法を用いて前記被検体に関する画像を再構成する再構成部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図。
【図2A】従来例に係るX線検出器の構成を示す図。
【図2B】本実施形態に係る、疎に配列された複数のX線検出区域(有効検出素子)を有するX線検出器の構成を示す図。
【図2C】本実施形態に係る、疎に配列された複数のX線検出区域(有効検出素子)を有するX線検出器の他の構成を示す図。
【図3A】従来例に係る密に配列された有効検出素子の2次元配列を示す図。
【図3B】本実施形態に係る疎に配列された有効検出素子の2次元配列を示す図。
【図3C】本実施形態に係る疎に配列された有効検出素子の他の2次元配列を示す図。
【図4】本実施形態に係る他の有効検出素子の2次元配列を示す図。
【図5】本実施形態に係るX線管とコリメータとX線検出器との位置関係を示す図。
【図6】本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の撮像方法の典型的な流れを示す図。
【図7A】1回転あたり900ビューの最大ビューを有する892個の有効検出素子から収集された投影データに基づく再構成画像を示す図。
【図7B】本実施形態に係る、1回転あたり900ビューの最大ビューを有する224個の有効検出素子から収集された疎なチャネルの投影データに基づく再構成画像を示す図。
【図7C】本実施形態に係る、1回転あたり900ビューの最大ビューを有する112個の有効検出素子から収集された疎なチャネルの投影データに基づく再構成画像を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる放射線画像診断装置及び撮像方法を説明する。
【0011】
本実施形態に係る放射線画像診断装置としては、放射線を検出する放射線検出器を備える画像診断装置であれば如何なる種類の画像診断装置であっても良い。本実施形態に係る放射線画像診断装置としては、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置、陽電子放射断層撮影装置(PET装置)、及びPET装置とX線コンピュータ断層撮影装置とが組み合わされたPET/CT装置が適用可能である。以下の説明を具体的に行うため、本実施形態に係る放射線画像診断装置はX線コンピュータ断層撮影装置であるとする。
【0012】
図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。図1に示すように、X線コンピュータ断層撮影装置は、ガントリ100を含んでいる。図1においてガントリ100は、正面図で示されている。ガントリ100は、X線管101と環状フレーム102とX線検出器103とを含む。X線管101とX線検出器103とは、環状フレーム102上に被検体Sを直径方向に挟んで取り付けられている。図1において被検体の断面は円で表現されている。環状フレーム102は、回転軸RAの回りを回転する。被検体Sが載置された天板は、回転軸RAに沿ってスライド可能に寝台に支持されている。回転部107は、0.4秒/回転などの高速で環状フレーム102を回転させる。後で詳細に説明するように、本実施形態に係るX線検出器103は、後述するように、2次元状に疎に配列された複数のX線検出区域を有している。各X線検出区域は、X線管101から発生され被検体を透過したX線を検出し、検出されたX線に応じた電気信号を発生する。本実施形態においてX線検出区域は、X線検出に利用される駆動可能なX線検出素子(有効検出素子)であると規定される。有効検出素子は、スキャン時においてX線検出のために駆動されるX線検出素子である。
【0013】
本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、高電圧発生部109を含む。高電圧発生部109は、環状フレーム102に取り付けられる。高電圧発生部109は、X線管101がX線を発生するためにX線管101に高電圧を印加する。電流調整部117は、管電流を調整するために高電圧発生部109を制御する。
【0014】
図1に示すように、X線コンピュータ断層撮影装置は、X線検出器103からの検出された信号を処理するための他のデバイスをさらに含む。データ収集回路(DAS)104は、X線検出器103から出力された電気信号をチャンネル毎に電圧信号に変換し、電圧信号を増幅し、増幅された電圧信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号は、生データと呼ばれている。X線検出器103とDAS104とは、1回転あたりの所定の全投影数(TPPR:total number of projections per rotation)で処理可能に構成される。
【0015】
生データは、非接触データ伝送部105を介してガントリ100の外部のコンソールに収容された前処理部106に伝送される。前処理部106は、生データに対して感度補正や対数変換などの補正処理を実行し、生データから投影データを生成する。投影データは、再構成処理の直前の段階のデータである。記憶部112は、投影データを記憶する。
【0016】
上述のように、本実施形態に係るX線検出区域(有効検出素子)は、疎に配列されている。従って、投影データのサンプリング数は、密に配列されたX線検出区域を用いる場合に比して少ない。以下、疎なX線検出区域を有するX線検出器103からの電気信号に基づく生データを、疎なチャネルの生データと呼び、疎なX線検出区域を有するX線検出器103からの電気信号に基づく投影データを、疎なチャネルの投影データと呼ぶことにする。
【0017】
記憶部112は、再構成部114、表示部116、入力部115、及びスキャン計画支援部200と共に、データ/制御バスを介してシステム制御部110に接続される。スキャン計画支援部200は、撮像技師を支援してスキャン計画を策定する機能を含む。
【0018】
再構成部114は、種々のソフトウェア構成要素とハードウェア構成要素とを含む。再構成部114は、疎なチャネルの投影データから逐次近似再構成法を用いてCT画像を再構成する。本実施形態に係る再構成部114は、X線検出区域の減少に伴う画質劣化を防止するために、フィルタ補正逆投影(FBP:filtered back projection)等の解析学的再構成法ではなく、逐次近似再構成法を用いて画像再構成を実行している。より詳細には、再構成部114は、画像再構成処理において逐次近似再構成法を用いて全変動(TV)を最小化する。すなわち、再構成部114は、CT画像を再構成するために疎なチャネルの投影データに対して全変動逐次近似再構成(TVIR)アルゴリズムを実行する。さらに詳細には、再構成部114は、疎なチャネルの投影データに対してオーダードサブセット同時代数的再構成法(OSSART:ordered subset simultaneous algebraic reconstruction technique)処理とTV最小化処理とを行う。
【0019】
次に本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の詳細について説明する。
【0020】
まず、本実施形態に係るX線検出器103の構造について詳細に説明する。図2A、図2B、及び図2Cは、X線検出器103の構造を説明するための図である。図2Aは、密に配列されたX線検出区域を有する従来例のX線検出器103Zの構造を示す図である。図2Bは、疎に配列されたX線検出区域を有する本実施形態のX線検出器の構成を示す図である。図2Cは、疎に配列されたX線検出区域を有する本実施形態のX線検出器の他の構成を示す図である。
【0021】
図2A、図2B、及び図2Cにおいて、単一のX線検出区域は、X線検出のために駆動される単一のX線検出素子(有効検出素子)が占有する領域である。不感帯は、X線検出器上の配列面内の有効検出素子外の領域である。例えば、不感帯は、有効検出素子間に設けられた反射材が占有する領域である。また、不感帯は、有効検出素子の前面に設けられた散乱線除去グリッドによりX線が到達しないX線検出素子の部分領域であってもよい。また、不感帯は、X線検出に利用されないX線検出素子が占有する領域であっても良い。X線検出に利用されないX線検出素子は、X線スキャン時において駆動されないX線検出素子である。図2A、図2B、及び図2Cは、X線検出器103Z及びX線検出器103の断面図と考えられ得る。図2A、図2B、及び図2Cは、また、X線管101から放射されるファンビームを表すとも考えられ得る。あるいは、図2A、図2B、及び図2Cは、1次元アレイ検出器を示す。
【0022】
図2A、図2B、及び図2Cに示すように、X線源101は、被検体Sを挟んでX線検出器103ZあるいはX線検出器103に対向して位置する。有効検出素子103は、等しい大きさの暗色の四角からなる列によって表される。有効検出素子103の間には、不感帯103C、すなわち明色の四角からなる列によって表される。
【0023】
有効検出素子103の距離ピッチは、隣り合う有効検出素子103Bの中心間距離であると規定される。有効検出素子103の角度ピッチは、隣り合う有効検出素子103の中心間の、X線管101のX線焦点回りの角度であると規定される。以下、距離ピッチと角度ピッチとを特に区別しない場合、距離ピッチと角度ピッチとをまとめて単にピッチと呼ぶことにする。
【0024】
このように、従来例に係るX線検出器103Zにおいて複数の有効検出素子103Bは、密に配列されている。すなわち、幾何学的検出効率を最大に高めるため、複数の有効検出素子103Bは、可能な限り多く配列される。ここで、従来例に係る有効検出素子(X線検出素子)103Bのように幾何学的検出効率を最大に高めるために可能な限り多く配列された場合の有効検出素子(X線検出素子)の個数を、全数と呼ぶことにする。有効検出素子の全数は、X線コンピュータ断層撮影装置のジオメトリに応じて異なる。例えば、X線検出素子の体積や、X線のファン角度、X線管101とX線検出器103との間の距離に応じて有効検出素子103Bの全数が決定される。
【0025】
上述のように、本実施形態に係るX線検出器103おいて複数の有効検出素子103Bは、疎に配列される。隣り合う2つの有効検出素子の間隔は、各有効検出素子の幅よりも広い。本実施形態に係る有効検出素子103Bの個数は、同一のジオメトリにおいて、全数の有効検出素子103Bに比して少ない。具体的には、本実施形態に係る有効検出素子103Bの個数は、全数の1/4から1/10までの間の個数に規定される。より好適には、本実施形態に係る有効検出素子103Bの個数は、全数の1/8に規定される。また、本実施形態に係る有効検出素子103Bのピッチは、同一のジオメトリにおいて、従来例の有効検出素子103Bに比してピッチが大きい。距離ピッチ及び角度ピッチは、ジオメトリに応じて異なる。例えば、有効検出素子103Bがチャネル方向に沿って密にn個配列され、X線管101からのX線のファン角度がα度の場合、従来例の有効検出素子103Bの角度ピッチは、α/n度に規定される。この従来例と同一のジオメトリにおいて有効検出素子103Bを疎に配列する場合、本実施形態に係る有効検出素子103Bの角度ピッチは、α/n度よりも大きくなるように設定される。例えば、従来例においてチャネル方向に沿う有効検出素子103Bの個数nが1000個であり、ファン角度αが50度の場合、従来例の角度ピッチは、50度/1000個=0.05度に規定され、本願の角度ピッチは0.05度よりも大きく設定される。
【0026】
図2Bに示すように、本実施形態に係るX線検出器103においては、全数よりも少ない有効検出素子103Bが疎に配列されている。有効検出素子103Bのピッチは、図2Aの従来例によるピッチよりも大きい。図2Bにおいて、有効検出素子103Bは、互いに一定の等距離に設置される。換言すれば、ピッチは、X線検出器103上の有効検出素子対の位置に応じて異ならず、同一である。
【0027】
本実施形態に係るX線検出器103において、有効検出素子103Bは点線で表される投影中心線に対して非対称に配列されている。投影中心線がX線検出器103の中心に対して反時計回りに4分の1画素または所定の角度だけ離れるように有効検出素子103が配置されている。このクォータオフセット設計は、サンプリング密度を向上させるためにX線コンピュータ断層撮影の分野において実行されている。
【0028】
図2Cは、図2Bとは異なる有効検出素子103Bの配列パターンを示している。図2Cに係るX線検出器103においては、全数より少ない有効検出素子103Bが疎に配列されている。有効検出素子103Bの少なくともいくつかのピッチは、図2Aの従来例に係る有効検出素子103Bのピッチより大きい。
【0029】
図2Cに示すように、複数の有効検出素子103Bは、X線検出器103の中央から端部に向かうについてピッチが大きくなるように配列される。有効検出素子103Bのピッチは、中央から端部に向かうにつれて連続的に増加する必要はなく、段階的に増加しても良い。図2Cの配列パターンにおいても、クォータオフセット設計に従って有効検出素子103Bが配列されると良い。
【0030】
次に図3A、図3B、及び図3Cを参照しながら、本実施形態と従来例との有効検出素子103Bの2次元配列の比較について説明する。図3Aは、従来例に係る密に配列された有効検出素子103Bの2次元配列を示す図である。図2Bは、本実施形態に係る疎に配列された有効検出素子103Bの2次元配列を示す図である。図2Cは、本実施形態に係る疎に配列された有効検出素子103Bの他の2次元配列を示す図である。図3A、図3B、及び図3Cにおいて、X線検出器103Z,X線検出器103の配列面における有効検出素子103Bが占める区域は、X線検出可能な有感帯Eによって表され、有効検出素子の物理的な大きさと実質的に同じと考えられる。
【0031】
図3Aに示すように、従来例において、全数の有効検出素子103Bは、チャネル方向及び列方向に沿って等しい間隔で配列される四角によって表される。全数の有効検出素子103Bは、チャネル方向及び列方向に沿って密に配列されている。複数の有効検出素子103Bの間には、不感帯103Cが、網目状に設けられている。不感帯103Cは、複数の有効検出素子103B−1によって占有されない空いた空間である。チャネル方向のピッチと列方向のピッチとは、等しくても良いし、異なっていてもよい。
【0032】
図3Bに示すように、本実施形態において、全数より少ない複数の有効検出素子103Bは、チャネル方向及び列方向に沿って疎に配列されている。複数の有効検出素子103Bの間には、不感帯103Cが設けられている。有効検出素子103Bの各対のピッチは、チャネル方向及び列方向の少なくとも一方の方向において、図3Aの密に配列された複数の有効検出素子103Bの各対のピッチより大きい。このように図3Bにおいて、複数の有効検出素子103Bは、縞模様のパターンで配列されている。
【0033】
図3Bに示すように、複数の有効検出素子103Bは、各方向において等距離に配列される。言い換えれば、ピッチは、チャネル方向と列方向との各方向において、同一である。図3Aに示す従来例に係る2次元配列と比較すると、本実施形態に係る2次元配列は、チャネル方向のピッチは増加するが、列方向のピッチは同一である。チャネル方向のピッチを増加することにより、全数より少ない疎に配列された複数の有効検出素子103Bを有するX線検出器103が実現される。
【0034】
図3Cに示すように、本実施形態において、全数より少ない複数の有効検出素子103Bは、チャネル方向及び列方向に沿って疎に配列されている。複数の有効検出素子103Bの間には、不感帯103Cが設けられている。有効検出素子103Bの各対のピッチは、チャネル方向と列方向との両方向において、図3Aの密に配列された複数の有効検出素子103Bの各対のピッチより大きい。このように図3Cにおいて、複数の有効検出素子103Bは、千鳥模様のパターンで配列されている。
【0035】
図3Cに示すように、複数の有効検出素子103Bは、各方向において互いに等距離に配列される。言い換えれば、ピッチは、チャネル方向と列方向との各方向において、同一である。図3Aに示す従来例に係る2次元配列と比較すると、本実施形態に係る2次元配列は、チャネル方向と列方向の両方向のピッチが実質的に同じ距離だけ増加される。チャネル方向のピッチと列方向のピッチとを共に増加することにより、全数より少ない疎に配列された有効検出素子103Bが実現される。
【0036】
なお、本実施形態に係る複数の有効検出素子103Bのチャネル方向のピッチと列方向のピッチとは、X線検出器103上において不等距離であってもよい。言い換えれば、複数の有効検出素子103Bのチャネル方向のピッチと列方向のピッチとは、X線検出器103の配列面において異なっていても良い。例えば、複数の有効検出素子103Bのチャネル方向のピッチと列方向のピッチとの少なくとも一方のピッチは、図2Cに示すように、X線検出器103の中央から周辺に向かって増加しても良い。
【0037】
上述の実施形態において複数のX線検出素子の各々は、役割が固定であるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。X線検出素子の役割は有効検出素子と不感帯との間で切り替え可能であっても良い。
【0038】
図4は、本実施形態に係るX線検出素子103Dの2次元配列を示す図である。図4に示すように、X線検出器103においては、全数のX線検出素子103Dがチャネル方向と列方向との両方向に沿って密に配列されている。X線検出素子103Dが存在しない区域は、不感帯103Cに規定される。各X線検出素子103Dは、有効検出素子または不感帯に切り替え可能である。すなわち、各X線検出素子103Dは、X線を検出するために駆動されても良いし、X線を検出しないように停止されても良い。駆動されているX線検出素子103Dは有効検出素子Eとして機能し、停止されているX線検出素子103Dは不感帯Dとして機能する。有効検出素子Eの距離ピッチは、X線を検出するために駆動された隣り合う2つの有効検出素子Eの2つの中心間の距離に規定され、有効検出素子Eの角度ピッチは、X線を検出するために駆動された隣り合う2つのX線検出素子103Dの2つの中心間のX線焦点回りのファン角度に規定される。有効検出素子Eのピッチは、チャネル方向と列方向との各方向において等しくても良いし、異なっていても良い。
【0039】
図4においては、複数の有効検出素子Eが疎に配列されるように、各X線検出素子103Dの駆動と停止とが切り替えられる。例えば、複数の有効検出素子Eが上述の図3Bや図3Cに示すパターンで疎に配列されるように、各X線検出素子103Dの駆動と停止とがシステム制御部110により切り替えられる。複数の有効検出素子Eの個数は、全数の10分の1から4分の1である。ピッチの調整、すなわち、各X線検出素子103Dの駆動と停止との切り替えは、典型的には、スキャン実行前、システム制御部110により行われる。
【0040】
本実施形態に係るデータ収集回路104は、複数のビューに関する疎なチャンネルの投影データを収集する。本実施形態においてビュー数は、最大ビューであっても良いし、最大ビューよりも少なくても良い。最大ビューは、一回転あたりに収集可能なビュー数の最大値を意味する。最大ビューは、典型的には、1回転あたり900ビューから1200ビューである。本実施形態においてデータ収集回路104は、再構成のために1組のスパースビューを有する疎なチャネルのデータを収集してもよい。スパースビューは、全数よりも少ないビューに規定される。例えば、スパースビューは、1回転あたり900個未満のビューを有する。疎なチャネルの投影データから画像を再構成するために、再構成アルゴリズムは、全変動逐次近似再構成(TVIR)アルゴリズムなどの反復的な画像再構成法である。より詳細には、再構成部114は、疎なチャネルの投影データに対してオーダードサブセット同時代数的再構成法(OSSART)処理とTV最小化処理とを行う。疎なチャネルの投影データが最大ビューより少ないビューを有する場合、上記の逐次近似再構成アルゴリズムの反復回数が増えてもよい。
【0041】
X線管101と被検体Sとの間にコリメータ(プリ・コリメータ)が配置されている。図5は、X線管101とコリメータ101AとX線検出器103との位置関係を示す図である。コリメータ101Aは、X線管101からX線検出器103に向かって放射されるX線の立体角を制限するためにX線管101の近くに設置される。コリメータ101Aは、X線を遮蔽可能な金属により形成される。コリメータ101Aは、X線が不感帯103Cに到達せず、且つ、X線が有効検出素子103Bに到達するように複数の貫通孔が形成されている。換言すれば、コリメータ101Aを通過したX線が有効検出素子103Bに限定して到達するように、コリメータ101Aにおいて複数の貫通孔が位置決めされている。コリメータ101Aは、X線の正確な方向を選択することに関して完全ではない場合があるが、コリメータ101Aは、被検体SのX線量を低下させ、十分な量のX線が有効検出素子103Bで検出されることを可能にする。
【0042】
コリメータ101Aは、上述の他の実施形態と組み合わされても良い。例えば、所定のコリメータ101Aのうちの特定の1つが、X線源101から有効検出素子103Bの配列パターンに向かって放射されるX線を制限するために、X線源101の近くに設置される。言い換えれば、コリメータ101Aは、縞模様や千鳥模様などの所定のパターンで等距離または不等距離の貫通穴を有する。いくつかの実施形態では、コリメータ101Aは、X線検出素子の駆動と停止との切り替えに応じて、X線の通過と遮断とをシステム制御部110による制御に従って切り替え可能に構成されても良い。
【0043】
次に、図6を参照しながら、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の動作について説明する。図6は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の撮像方法の典型的な流れを示す図である。ステップS100においてX線検出器103は、複数の有効検出素子103Bが2次元上に疎に配列される。例えば、有効検出素子103Bは、全数の10分の1から4分の1の間の数だけ配列される。より好適には、全数の8分の1が適用である。複数の有効検出素子103Bは、上述のように、縞模様または千鳥模様などの所定のパターンで配列される。また、複数の有効検出素子103Bは、従来のピッチよりも大きいピッチで配列さえる。複数の有効検出素子103Bは、チャネル方向と列方向との各方向において等ピッチで配列されても良いし、位置に応じて不等ピッチで配列されても良い。ステップS100は、撮影技師による指示に従ってスキャン計画支援部200により実施されてもよい。
【0044】
ステップS200において、被検体Sの関心領域がスキャンされる。X線は、X線管101から被検体Sに向かって放射される。X線検出器103は、被検体Sを挟んでX線管101の反対側に位置し、被検体Sの関心領域を透過したX線を、疎に配列された複数の有効検出素子103Bで検出する。ステップS200において、データ収集回路(DAS)104は、各チャネルに対してX線検出器103から出力された信号を電圧信号に変換し、増幅し、A/D変換する。X線検出器103およびデータ収集回路104は、1回転あたりの所定の全投影数(TPPR)を操作するように構成される。非接触データ伝送部105は、データ収集回路104からの疎なチャネルの生データを前処理部106に伝送する。
【0045】
さらに、ステップS200において、前処理部106は、疎なチャネルの生データに対して感度補正や対数変換などの所定の前処理を行い、疎なチャネルの生データから疎なチャネルの投影データを生成する。疎なチャネルの投影データは、記憶部112に記憶される。
【0046】
ステップS300において、再構成部114は、逐次近似再構成法を用いて投影データの全変動(TV)を最小化する。すなわち、再構成部114は、画像を再構成するために疎なチャネルの投影データに対して全変動逐次近似再構成法(TVIR)を実行する。さらに詳細には、再構成部114は、疎なチャネルの投影データに対してオーダードサブセット同時代数的再構成法(OSSART)処理とTV最小化処理とを行う。上述の逐次近似再構成法の変法として、再構成部114は、他の代数的再構成法(ART)や期待値最大化(EM)再構成法を実行しても良い。換言すれば、再構成部114は、圧縮センシングに基づく逐次近似再構成法を用いて疎なチャネルの投影データからCT画像を再構成する。疎なチャネルの投影データが最大ビューより少ないビューを有する場合、上記の逐次近似再構成法における反復回数が増えてもよい。
【0047】
図7A、図7B、および図7Cは、従来例に係る投影データに基づくCT画像と本実施形態に係る疎なチャネルの投影データに基づくCR画像との比較を説明するための図である。図7A、図7B、および図7Cにおいて、ビュー数は同一であるが、有効検出素子の個数は異なる。図7A、図7B、および図7Cに示す再構成画像の画質は、臨床的に許容できる。
【0048】
図7Aは、1回転あたり900ビューの最大ビューを有する892個の有効検出素子から収集された投影データに基づく再構成画像である。再構成画像は、100回の反復の後で所定の全変動最小化を用いる逐次近似再構成(IRTV)を用いて上記の投影データから再構成される。結果として生成される画像の一般的な画質は、臨床的に許容できる。
【0049】
図7Bは、1回転あたり900ビューの最大ビューを有する224個の有効検出素子から収集された疎なチャネルの投影データに基づく再構成画像である。この図7Bの有効検出素子の個数は、図7Aの有効検出素子の個数の4分の1である。図7Bの再構成画像は、100回の反復の後で所定の全変動最小化を用いる逐次近似再構成(IRTV)を用いて上記の投影データから再構成される。図7Bの再構成画像の画質は、臨床的に許容できる。
【0050】
図7Cは、1回転あたり900ビューの最大ビューを有する112個の有効検出素子から収集された疎なチャネルの投影データに基づく再構成画像である。図7Cの有効検出素子の個数は、図7Aの有効検出素子の個数の8分の1である。結果として生成される画像は、500回の反復の後で所定の全変動最小化を用いる逐次近似再構成(IRTV)を用いて上記の投影データから再構成される。反復回数は、図7Aの反復の5倍に増加されてもよい。図7Cの再構成画像の画質は、臨床的に許容できる。
【0051】
上記説明により、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、2次元状に疎に配列されたX線検出区域(有効検出素子)を有するX線検出器を備えている。従って、投影データのサンプリング数は、密に配列された有効検出素子を用いる場合に比して少ない。一般に、X線検出素子に関連するコストは、X線コンピュータ断層撮影装置でコストが最も多くかかる部分の1つである。本実施形態は、X線検出素子の個数を積極的に減少させることにより、X線コンピュータ断層撮影装置の製造コストを低減し、且つ、X線検出素子数の減少に伴う画質劣化を防止するために、疎なチャネルの投影データから逐次近似再構成法を用いてCT画像を再構成する。これにより本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、製造コストの低減と画質劣化の防止とを両方とも実現することができる。さらに本実施形態によれば、X線検出素子の減少に伴い、X線検出素子からの電気信号を処理するためのデータ収集回路等の電子ユニットの数も減少することができる。従って本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、X線検出素子により発生された電気信号を処理するための電子ユニットのコストも低減することができる。
【0052】
本実施形態によれば、有効検出素子の個数が減少するため、検出素子配列面上の少なくともいくつかの隣り合う2つの有効検出素子間のピッチが拡大され、コスト面での利点に加えて機能面での利点がいくつか得られる。隣接する有効検出素子間の間隔が増加することによりクロストークが軽減されるために、散乱補正の手順が容易になる。そのうえ、空間分解能が高いいくつかの実施形態では、所望の量子効率および読み出し時間は、全数の検出素子を有する標準的なX線コンピュータ断層撮影装置と実質的に同じままである。
【0053】
上述のように、疎なチャネルの投影データは、圧縮センシングに基づく逐次近似再構成法を用いて処理される。従来例において圧縮センシングに基づく逐次近似再構成法を用いる場合、全数の有効検出素子に基づくスパースビュー(最大ビュー数より少ない投影データ)から全変動最小化を用いる圧縮センシング(compressed sensing with total variation minimization)を用いて被検体のCT画像が再構成されていた。ここでスパースビューのビュー数は、例えば、最大ビューの10分の1と同程度に低くされている。対照的に、本実施形態においては、全数より少ない有効検出素子に基づく疎なチャネルの投影データから全変動最小化を用いる圧縮センシングを用いてCT画像が再構成される。すなわち、本実施形態においてサンプリング数を減少させるために、ビュー数を減少させるのではなく、有効検出素子数を減少させている。従って本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、有効検出素子数が十分に確保されていない環境下においても、疎なチャネルの投影データに基づいて十分な画質のCT画像を再構成することができる。
【0054】
1つの例示的な疎なチャネルの投影データから、次の考慮事項が示される。説明を簡単にするために、ファンビームのみが用いられると仮定すると、有効検出素子の全数がNchであるとき、撮像視野(FOV)の直径に沿った距離ピッチはFOV/Nchである。さらに、FOVの周囲がπFOVであると仮定すると、πFOVに沿ったサンプリング範囲(sampling coverage)が同じ場合、πFOV/Nviews=FOV/Nchと近似され、ここでNviewsは1回転あたりのビューの数である。これから、Nviews=πNchであることが示唆される。一方、標準的なX線コンピュータ断層撮影装置は、ほぼNch=Nviews=1000を有するように設計される。有効検出素子の個数が全数の約8分の1の場合において圧縮センシングの全変動を用いて臨床的に許容できる画質を達成するために、1000より多いビュー数が必要である。疎なチャネルの投影データに基づいて圧縮センシング全変動再構成法を用いてCT画像を再構成するために、1024個の全数の有効検出素子が128個に減少され、1回転あたりのビュー数が約3000に増加されてもよい。
【0055】
標準的なX線検出器の製造技術が向上するにつれて、X線検出素子の大きさは、過去のX線検出素子の大きさの数分の1になっている。改良されたより小型の標準的なX線検出器は、本実施形態に係る疎に配列された有効検出素子を実現するには、フラットパネル検出器より有利である。フラットパネル検出器は、必要とされる空間分解能を有するが、量子効率が実質的に低く、読み出し時間が長い。一方、標準的なX線検出器は、量子効率が実質的に高く、読み出し時間が短い。大きさがより小さいので、データ収集回路において同じ数のより小型のX線検出素子が同じ検出器表面に設置される場合、疎なチャネルの本発明の一実施形態が実施される。同様に、電子パッケージの大きさが同じく改良されているので、散乱防止コリメータの位置合わせが容易になる。一方、疎なチャネルのデータには1回転あたりのビューの数を増やすことが任意選択で必要なので、被検体への照射線量が増加することがある。患者の線量増加を実質的に回避するために、ピンホールコリメータがX線管に設置される。
【0056】
かくして本実施形態によれば、画質の低下なくコストを低減することが可能な放射線画像診断装置及び撮像方法を提供することにある。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
100…ガントリ、101…X線管、102…環状フレーム、103…X線検出器、104…データ収集回路(DAS)、105…非接触データ伝送部、106…前処理部、107…回転部、108…スリップリング、109…高電圧発生部、110…システム制御部、112…記憶部、114…再構成部、115…入力部、116…表示部、117…電流調整部、200…スキャン計画支援部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線画像診断装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
市販のX線コンピュータ断層撮影装置は、2次元状に高密度に配列された複数のX線検出素子を備える。X線検出素子とは、X線検出器の2次元アレイの個々のセンサを意味する。X線検出素子は、所定の配列面において隣接して配列される。複数のX線検出素子を密に配列するために、X線コンピュータ断層撮影装置は幾何学的に可能な限り効率的に設計される。ここで、配列面において可能な限り密に配列された複数のX線検出素子を全数のX線検出素子と呼ぶことにする。全数は、ジオメトリに応じて異なる。
【0003】
X線コンピュータ断層撮影装置において現在実施されている全ての画像再構成法は、可能な限り密に配列された全数のX線検出素子を前提としている。これらの再構成法には、フィルタ補正逆投影法、逆投影フィルタ法、及び逐次近似再構成法がある。逐次近似再構成法は、複数の種類が考案されている。圧縮センシング(Compressed sensing)に基づく逐次近似再構成法は、主に、密に配列された全数のX線検出素子から収集された投影データに基づくスパースビュー(sparse view)再構成に的を絞っている。圧縮センシング全変動(CS−TV:Compressed sensing total variation)は、全数のX線検出素子から収集されたスパースビューに対して良好な画質をもたらすことが示されている。
【0004】
X線コンピュータ断層撮影装置は、全数のX線検出素子が密集しているために高価である。この高いコストは、実質的には、多数のX線検出素子が配列されていることに起因する。さらに、多数のX線検出素子に接続された多数の電子ユニットが必要であることも、X線コンピュータ断層撮影装置が高コストであることの一因となっている。つまり、X線検出素子が密に配列されているほど、X線コンピュータ断層撮影装置が高価になる。一般に、標準的な設計でX線検出素子のピッチを細かくすると、ハードウェアコストが劇的に増加する。
【0005】
X線検出素子が密に配列されている場合、隣接する複数のX線検出素子が散乱効果を受けてしまう。隣り合うX線検出素子のピッチが狭いためX線は、隣接する複数のX線検出素子に亘って散乱する。複数のX線検出素子が密に配列されている場合、散乱補正によりアーチファクトのない画像を再構成することは困難である。
【0006】
フラットパネル検出器を利用したX線コンピュータ断層撮影装置が標準的な設計を有するX線コンピュータ断層撮影装置の高コストを軽減すると考えられてきた。しかしながら、フラットパネル検出器は、一般に、標準的なX線検出器よりも量子効率が低く、読み出し速度が遅い。フラットパネル検出器の量子効率は、標準的なX線検出器の約半分である。フラットパネル検出器は、30Hzの読み出し速度を有するが、標準的なX線検出器は3000Hz以上の読み出し速度を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実施形態の目的は、画質の低下なくコストを低減することが可能な放射線画像診断装置及び撮像方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る放射線画像診断装置は、疎に配列された複数の検出区域を有する検出器であって、前記複数の検出区域の各々は、被検体を透過した放射線を検出し、前記検出された放射線に応じた電気信号を発生する放射線検出器と、前記生成された電気信号に基づいて投影データを生成する前処理部と、前記生成された投影データから逐次近似再構成法を用いて前記被検体に関する画像を再構成する再構成部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図。
【図2A】従来例に係るX線検出器の構成を示す図。
【図2B】本実施形態に係る、疎に配列された複数のX線検出区域(有効検出素子)を有するX線検出器の構成を示す図。
【図2C】本実施形態に係る、疎に配列された複数のX線検出区域(有効検出素子)を有するX線検出器の他の構成を示す図。
【図3A】従来例に係る密に配列された有効検出素子の2次元配列を示す図。
【図3B】本実施形態に係る疎に配列された有効検出素子の2次元配列を示す図。
【図3C】本実施形態に係る疎に配列された有効検出素子の他の2次元配列を示す図。
【図4】本実施形態に係る他の有効検出素子の2次元配列を示す図。
【図5】本実施形態に係るX線管とコリメータとX線検出器との位置関係を示す図。
【図6】本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の撮像方法の典型的な流れを示す図。
【図7A】1回転あたり900ビューの最大ビューを有する892個の有効検出素子から収集された投影データに基づく再構成画像を示す図。
【図7B】本実施形態に係る、1回転あたり900ビューの最大ビューを有する224個の有効検出素子から収集された疎なチャネルの投影データに基づく再構成画像を示す図。
【図7C】本実施形態に係る、1回転あたり900ビューの最大ビューを有する112個の有効検出素子から収集された疎なチャネルの投影データに基づく再構成画像を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる放射線画像診断装置及び撮像方法を説明する。
【0011】
本実施形態に係る放射線画像診断装置としては、放射線を検出する放射線検出器を備える画像診断装置であれば如何なる種類の画像診断装置であっても良い。本実施形態に係る放射線画像診断装置としては、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置、陽電子放射断層撮影装置(PET装置)、及びPET装置とX線コンピュータ断層撮影装置とが組み合わされたPET/CT装置が適用可能である。以下の説明を具体的に行うため、本実施形態に係る放射線画像診断装置はX線コンピュータ断層撮影装置であるとする。
【0012】
図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。図1に示すように、X線コンピュータ断層撮影装置は、ガントリ100を含んでいる。図1においてガントリ100は、正面図で示されている。ガントリ100は、X線管101と環状フレーム102とX線検出器103とを含む。X線管101とX線検出器103とは、環状フレーム102上に被検体Sを直径方向に挟んで取り付けられている。図1において被検体の断面は円で表現されている。環状フレーム102は、回転軸RAの回りを回転する。被検体Sが載置された天板は、回転軸RAに沿ってスライド可能に寝台に支持されている。回転部107は、0.4秒/回転などの高速で環状フレーム102を回転させる。後で詳細に説明するように、本実施形態に係るX線検出器103は、後述するように、2次元状に疎に配列された複数のX線検出区域を有している。各X線検出区域は、X線管101から発生され被検体を透過したX線を検出し、検出されたX線に応じた電気信号を発生する。本実施形態においてX線検出区域は、X線検出に利用される駆動可能なX線検出素子(有効検出素子)であると規定される。有効検出素子は、スキャン時においてX線検出のために駆動されるX線検出素子である。
【0013】
本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、高電圧発生部109を含む。高電圧発生部109は、環状フレーム102に取り付けられる。高電圧発生部109は、X線管101がX線を発生するためにX線管101に高電圧を印加する。電流調整部117は、管電流を調整するために高電圧発生部109を制御する。
【0014】
図1に示すように、X線コンピュータ断層撮影装置は、X線検出器103からの検出された信号を処理するための他のデバイスをさらに含む。データ収集回路(DAS)104は、X線検出器103から出力された電気信号をチャンネル毎に電圧信号に変換し、電圧信号を増幅し、増幅された電圧信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号は、生データと呼ばれている。X線検出器103とDAS104とは、1回転あたりの所定の全投影数(TPPR:total number of projections per rotation)で処理可能に構成される。
【0015】
生データは、非接触データ伝送部105を介してガントリ100の外部のコンソールに収容された前処理部106に伝送される。前処理部106は、生データに対して感度補正や対数変換などの補正処理を実行し、生データから投影データを生成する。投影データは、再構成処理の直前の段階のデータである。記憶部112は、投影データを記憶する。
【0016】
上述のように、本実施形態に係るX線検出区域(有効検出素子)は、疎に配列されている。従って、投影データのサンプリング数は、密に配列されたX線検出区域を用いる場合に比して少ない。以下、疎なX線検出区域を有するX線検出器103からの電気信号に基づく生データを、疎なチャネルの生データと呼び、疎なX線検出区域を有するX線検出器103からの電気信号に基づく投影データを、疎なチャネルの投影データと呼ぶことにする。
【0017】
記憶部112は、再構成部114、表示部116、入力部115、及びスキャン計画支援部200と共に、データ/制御バスを介してシステム制御部110に接続される。スキャン計画支援部200は、撮像技師を支援してスキャン計画を策定する機能を含む。
【0018】
再構成部114は、種々のソフトウェア構成要素とハードウェア構成要素とを含む。再構成部114は、疎なチャネルの投影データから逐次近似再構成法を用いてCT画像を再構成する。本実施形態に係る再構成部114は、X線検出区域の減少に伴う画質劣化を防止するために、フィルタ補正逆投影(FBP:filtered back projection)等の解析学的再構成法ではなく、逐次近似再構成法を用いて画像再構成を実行している。より詳細には、再構成部114は、画像再構成処理において逐次近似再構成法を用いて全変動(TV)を最小化する。すなわち、再構成部114は、CT画像を再構成するために疎なチャネルの投影データに対して全変動逐次近似再構成(TVIR)アルゴリズムを実行する。さらに詳細には、再構成部114は、疎なチャネルの投影データに対してオーダードサブセット同時代数的再構成法(OSSART:ordered subset simultaneous algebraic reconstruction technique)処理とTV最小化処理とを行う。
【0019】
次に本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の詳細について説明する。
【0020】
まず、本実施形態に係るX線検出器103の構造について詳細に説明する。図2A、図2B、及び図2Cは、X線検出器103の構造を説明するための図である。図2Aは、密に配列されたX線検出区域を有する従来例のX線検出器103Zの構造を示す図である。図2Bは、疎に配列されたX線検出区域を有する本実施形態のX線検出器の構成を示す図である。図2Cは、疎に配列されたX線検出区域を有する本実施形態のX線検出器の他の構成を示す図である。
【0021】
図2A、図2B、及び図2Cにおいて、単一のX線検出区域は、X線検出のために駆動される単一のX線検出素子(有効検出素子)が占有する領域である。不感帯は、X線検出器上の配列面内の有効検出素子外の領域である。例えば、不感帯は、有効検出素子間に設けられた反射材が占有する領域である。また、不感帯は、有効検出素子の前面に設けられた散乱線除去グリッドによりX線が到達しないX線検出素子の部分領域であってもよい。また、不感帯は、X線検出に利用されないX線検出素子が占有する領域であっても良い。X線検出に利用されないX線検出素子は、X線スキャン時において駆動されないX線検出素子である。図2A、図2B、及び図2Cは、X線検出器103Z及びX線検出器103の断面図と考えられ得る。図2A、図2B、及び図2Cは、また、X線管101から放射されるファンビームを表すとも考えられ得る。あるいは、図2A、図2B、及び図2Cは、1次元アレイ検出器を示す。
【0022】
図2A、図2B、及び図2Cに示すように、X線源101は、被検体Sを挟んでX線検出器103ZあるいはX線検出器103に対向して位置する。有効検出素子103は、等しい大きさの暗色の四角からなる列によって表される。有効検出素子103の間には、不感帯103C、すなわち明色の四角からなる列によって表される。
【0023】
有効検出素子103の距離ピッチは、隣り合う有効検出素子103Bの中心間距離であると規定される。有効検出素子103の角度ピッチは、隣り合う有効検出素子103の中心間の、X線管101のX線焦点回りの角度であると規定される。以下、距離ピッチと角度ピッチとを特に区別しない場合、距離ピッチと角度ピッチとをまとめて単にピッチと呼ぶことにする。
【0024】
このように、従来例に係るX線検出器103Zにおいて複数の有効検出素子103Bは、密に配列されている。すなわち、幾何学的検出効率を最大に高めるため、複数の有効検出素子103Bは、可能な限り多く配列される。ここで、従来例に係る有効検出素子(X線検出素子)103Bのように幾何学的検出効率を最大に高めるために可能な限り多く配列された場合の有効検出素子(X線検出素子)の個数を、全数と呼ぶことにする。有効検出素子の全数は、X線コンピュータ断層撮影装置のジオメトリに応じて異なる。例えば、X線検出素子の体積や、X線のファン角度、X線管101とX線検出器103との間の距離に応じて有効検出素子103Bの全数が決定される。
【0025】
上述のように、本実施形態に係るX線検出器103おいて複数の有効検出素子103Bは、疎に配列される。隣り合う2つの有効検出素子の間隔は、各有効検出素子の幅よりも広い。本実施形態に係る有効検出素子103Bの個数は、同一のジオメトリにおいて、全数の有効検出素子103Bに比して少ない。具体的には、本実施形態に係る有効検出素子103Bの個数は、全数の1/4から1/10までの間の個数に規定される。より好適には、本実施形態に係る有効検出素子103Bの個数は、全数の1/8に規定される。また、本実施形態に係る有効検出素子103Bのピッチは、同一のジオメトリにおいて、従来例の有効検出素子103Bに比してピッチが大きい。距離ピッチ及び角度ピッチは、ジオメトリに応じて異なる。例えば、有効検出素子103Bがチャネル方向に沿って密にn個配列され、X線管101からのX線のファン角度がα度の場合、従来例の有効検出素子103Bの角度ピッチは、α/n度に規定される。この従来例と同一のジオメトリにおいて有効検出素子103Bを疎に配列する場合、本実施形態に係る有効検出素子103Bの角度ピッチは、α/n度よりも大きくなるように設定される。例えば、従来例においてチャネル方向に沿う有効検出素子103Bの個数nが1000個であり、ファン角度αが50度の場合、従来例の角度ピッチは、50度/1000個=0.05度に規定され、本願の角度ピッチは0.05度よりも大きく設定される。
【0026】
図2Bに示すように、本実施形態に係るX線検出器103においては、全数よりも少ない有効検出素子103Bが疎に配列されている。有効検出素子103Bのピッチは、図2Aの従来例によるピッチよりも大きい。図2Bにおいて、有効検出素子103Bは、互いに一定の等距離に設置される。換言すれば、ピッチは、X線検出器103上の有効検出素子対の位置に応じて異ならず、同一である。
【0027】
本実施形態に係るX線検出器103において、有効検出素子103Bは点線で表される投影中心線に対して非対称に配列されている。投影中心線がX線検出器103の中心に対して反時計回りに4分の1画素または所定の角度だけ離れるように有効検出素子103が配置されている。このクォータオフセット設計は、サンプリング密度を向上させるためにX線コンピュータ断層撮影の分野において実行されている。
【0028】
図2Cは、図2Bとは異なる有効検出素子103Bの配列パターンを示している。図2Cに係るX線検出器103においては、全数より少ない有効検出素子103Bが疎に配列されている。有効検出素子103Bの少なくともいくつかのピッチは、図2Aの従来例に係る有効検出素子103Bのピッチより大きい。
【0029】
図2Cに示すように、複数の有効検出素子103Bは、X線検出器103の中央から端部に向かうについてピッチが大きくなるように配列される。有効検出素子103Bのピッチは、中央から端部に向かうにつれて連続的に増加する必要はなく、段階的に増加しても良い。図2Cの配列パターンにおいても、クォータオフセット設計に従って有効検出素子103Bが配列されると良い。
【0030】
次に図3A、図3B、及び図3Cを参照しながら、本実施形態と従来例との有効検出素子103Bの2次元配列の比較について説明する。図3Aは、従来例に係る密に配列された有効検出素子103Bの2次元配列を示す図である。図2Bは、本実施形態に係る疎に配列された有効検出素子103Bの2次元配列を示す図である。図2Cは、本実施形態に係る疎に配列された有効検出素子103Bの他の2次元配列を示す図である。図3A、図3B、及び図3Cにおいて、X線検出器103Z,X線検出器103の配列面における有効検出素子103Bが占める区域は、X線検出可能な有感帯Eによって表され、有効検出素子の物理的な大きさと実質的に同じと考えられる。
【0031】
図3Aに示すように、従来例において、全数の有効検出素子103Bは、チャネル方向及び列方向に沿って等しい間隔で配列される四角によって表される。全数の有効検出素子103Bは、チャネル方向及び列方向に沿って密に配列されている。複数の有効検出素子103Bの間には、不感帯103Cが、網目状に設けられている。不感帯103Cは、複数の有効検出素子103B−1によって占有されない空いた空間である。チャネル方向のピッチと列方向のピッチとは、等しくても良いし、異なっていてもよい。
【0032】
図3Bに示すように、本実施形態において、全数より少ない複数の有効検出素子103Bは、チャネル方向及び列方向に沿って疎に配列されている。複数の有効検出素子103Bの間には、不感帯103Cが設けられている。有効検出素子103Bの各対のピッチは、チャネル方向及び列方向の少なくとも一方の方向において、図3Aの密に配列された複数の有効検出素子103Bの各対のピッチより大きい。このように図3Bにおいて、複数の有効検出素子103Bは、縞模様のパターンで配列されている。
【0033】
図3Bに示すように、複数の有効検出素子103Bは、各方向において等距離に配列される。言い換えれば、ピッチは、チャネル方向と列方向との各方向において、同一である。図3Aに示す従来例に係る2次元配列と比較すると、本実施形態に係る2次元配列は、チャネル方向のピッチは増加するが、列方向のピッチは同一である。チャネル方向のピッチを増加することにより、全数より少ない疎に配列された複数の有効検出素子103Bを有するX線検出器103が実現される。
【0034】
図3Cに示すように、本実施形態において、全数より少ない複数の有効検出素子103Bは、チャネル方向及び列方向に沿って疎に配列されている。複数の有効検出素子103Bの間には、不感帯103Cが設けられている。有効検出素子103Bの各対のピッチは、チャネル方向と列方向との両方向において、図3Aの密に配列された複数の有効検出素子103Bの各対のピッチより大きい。このように図3Cにおいて、複数の有効検出素子103Bは、千鳥模様のパターンで配列されている。
【0035】
図3Cに示すように、複数の有効検出素子103Bは、各方向において互いに等距離に配列される。言い換えれば、ピッチは、チャネル方向と列方向との各方向において、同一である。図3Aに示す従来例に係る2次元配列と比較すると、本実施形態に係る2次元配列は、チャネル方向と列方向の両方向のピッチが実質的に同じ距離だけ増加される。チャネル方向のピッチと列方向のピッチとを共に増加することにより、全数より少ない疎に配列された有効検出素子103Bが実現される。
【0036】
なお、本実施形態に係る複数の有効検出素子103Bのチャネル方向のピッチと列方向のピッチとは、X線検出器103上において不等距離であってもよい。言い換えれば、複数の有効検出素子103Bのチャネル方向のピッチと列方向のピッチとは、X線検出器103の配列面において異なっていても良い。例えば、複数の有効検出素子103Bのチャネル方向のピッチと列方向のピッチとの少なくとも一方のピッチは、図2Cに示すように、X線検出器103の中央から周辺に向かって増加しても良い。
【0037】
上述の実施形態において複数のX線検出素子の各々は、役割が固定であるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。X線検出素子の役割は有効検出素子と不感帯との間で切り替え可能であっても良い。
【0038】
図4は、本実施形態に係るX線検出素子103Dの2次元配列を示す図である。図4に示すように、X線検出器103においては、全数のX線検出素子103Dがチャネル方向と列方向との両方向に沿って密に配列されている。X線検出素子103Dが存在しない区域は、不感帯103Cに規定される。各X線検出素子103Dは、有効検出素子または不感帯に切り替え可能である。すなわち、各X線検出素子103Dは、X線を検出するために駆動されても良いし、X線を検出しないように停止されても良い。駆動されているX線検出素子103Dは有効検出素子Eとして機能し、停止されているX線検出素子103Dは不感帯Dとして機能する。有効検出素子Eの距離ピッチは、X線を検出するために駆動された隣り合う2つの有効検出素子Eの2つの中心間の距離に規定され、有効検出素子Eの角度ピッチは、X線を検出するために駆動された隣り合う2つのX線検出素子103Dの2つの中心間のX線焦点回りのファン角度に規定される。有効検出素子Eのピッチは、チャネル方向と列方向との各方向において等しくても良いし、異なっていても良い。
【0039】
図4においては、複数の有効検出素子Eが疎に配列されるように、各X線検出素子103Dの駆動と停止とが切り替えられる。例えば、複数の有効検出素子Eが上述の図3Bや図3Cに示すパターンで疎に配列されるように、各X線検出素子103Dの駆動と停止とがシステム制御部110により切り替えられる。複数の有効検出素子Eの個数は、全数の10分の1から4分の1である。ピッチの調整、すなわち、各X線検出素子103Dの駆動と停止との切り替えは、典型的には、スキャン実行前、システム制御部110により行われる。
【0040】
本実施形態に係るデータ収集回路104は、複数のビューに関する疎なチャンネルの投影データを収集する。本実施形態においてビュー数は、最大ビューであっても良いし、最大ビューよりも少なくても良い。最大ビューは、一回転あたりに収集可能なビュー数の最大値を意味する。最大ビューは、典型的には、1回転あたり900ビューから1200ビューである。本実施形態においてデータ収集回路104は、再構成のために1組のスパースビューを有する疎なチャネルのデータを収集してもよい。スパースビューは、全数よりも少ないビューに規定される。例えば、スパースビューは、1回転あたり900個未満のビューを有する。疎なチャネルの投影データから画像を再構成するために、再構成アルゴリズムは、全変動逐次近似再構成(TVIR)アルゴリズムなどの反復的な画像再構成法である。より詳細には、再構成部114は、疎なチャネルの投影データに対してオーダードサブセット同時代数的再構成法(OSSART)処理とTV最小化処理とを行う。疎なチャネルの投影データが最大ビューより少ないビューを有する場合、上記の逐次近似再構成アルゴリズムの反復回数が増えてもよい。
【0041】
X線管101と被検体Sとの間にコリメータ(プリ・コリメータ)が配置されている。図5は、X線管101とコリメータ101AとX線検出器103との位置関係を示す図である。コリメータ101Aは、X線管101からX線検出器103に向かって放射されるX線の立体角を制限するためにX線管101の近くに設置される。コリメータ101Aは、X線を遮蔽可能な金属により形成される。コリメータ101Aは、X線が不感帯103Cに到達せず、且つ、X線が有効検出素子103Bに到達するように複数の貫通孔が形成されている。換言すれば、コリメータ101Aを通過したX線が有効検出素子103Bに限定して到達するように、コリメータ101Aにおいて複数の貫通孔が位置決めされている。コリメータ101Aは、X線の正確な方向を選択することに関して完全ではない場合があるが、コリメータ101Aは、被検体SのX線量を低下させ、十分な量のX線が有効検出素子103Bで検出されることを可能にする。
【0042】
コリメータ101Aは、上述の他の実施形態と組み合わされても良い。例えば、所定のコリメータ101Aのうちの特定の1つが、X線源101から有効検出素子103Bの配列パターンに向かって放射されるX線を制限するために、X線源101の近くに設置される。言い換えれば、コリメータ101Aは、縞模様や千鳥模様などの所定のパターンで等距離または不等距離の貫通穴を有する。いくつかの実施形態では、コリメータ101Aは、X線検出素子の駆動と停止との切り替えに応じて、X線の通過と遮断とをシステム制御部110による制御に従って切り替え可能に構成されても良い。
【0043】
次に、図6を参照しながら、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の動作について説明する。図6は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の撮像方法の典型的な流れを示す図である。ステップS100においてX線検出器103は、複数の有効検出素子103Bが2次元上に疎に配列される。例えば、有効検出素子103Bは、全数の10分の1から4分の1の間の数だけ配列される。より好適には、全数の8分の1が適用である。複数の有効検出素子103Bは、上述のように、縞模様または千鳥模様などの所定のパターンで配列される。また、複数の有効検出素子103Bは、従来のピッチよりも大きいピッチで配列さえる。複数の有効検出素子103Bは、チャネル方向と列方向との各方向において等ピッチで配列されても良いし、位置に応じて不等ピッチで配列されても良い。ステップS100は、撮影技師による指示に従ってスキャン計画支援部200により実施されてもよい。
【0044】
ステップS200において、被検体Sの関心領域がスキャンされる。X線は、X線管101から被検体Sに向かって放射される。X線検出器103は、被検体Sを挟んでX線管101の反対側に位置し、被検体Sの関心領域を透過したX線を、疎に配列された複数の有効検出素子103Bで検出する。ステップS200において、データ収集回路(DAS)104は、各チャネルに対してX線検出器103から出力された信号を電圧信号に変換し、増幅し、A/D変換する。X線検出器103およびデータ収集回路104は、1回転あたりの所定の全投影数(TPPR)を操作するように構成される。非接触データ伝送部105は、データ収集回路104からの疎なチャネルの生データを前処理部106に伝送する。
【0045】
さらに、ステップS200において、前処理部106は、疎なチャネルの生データに対して感度補正や対数変換などの所定の前処理を行い、疎なチャネルの生データから疎なチャネルの投影データを生成する。疎なチャネルの投影データは、記憶部112に記憶される。
【0046】
ステップS300において、再構成部114は、逐次近似再構成法を用いて投影データの全変動(TV)を最小化する。すなわち、再構成部114は、画像を再構成するために疎なチャネルの投影データに対して全変動逐次近似再構成法(TVIR)を実行する。さらに詳細には、再構成部114は、疎なチャネルの投影データに対してオーダードサブセット同時代数的再構成法(OSSART)処理とTV最小化処理とを行う。上述の逐次近似再構成法の変法として、再構成部114は、他の代数的再構成法(ART)や期待値最大化(EM)再構成法を実行しても良い。換言すれば、再構成部114は、圧縮センシングに基づく逐次近似再構成法を用いて疎なチャネルの投影データからCT画像を再構成する。疎なチャネルの投影データが最大ビューより少ないビューを有する場合、上記の逐次近似再構成法における反復回数が増えてもよい。
【0047】
図7A、図7B、および図7Cは、従来例に係る投影データに基づくCT画像と本実施形態に係る疎なチャネルの投影データに基づくCR画像との比較を説明するための図である。図7A、図7B、および図7Cにおいて、ビュー数は同一であるが、有効検出素子の個数は異なる。図7A、図7B、および図7Cに示す再構成画像の画質は、臨床的に許容できる。
【0048】
図7Aは、1回転あたり900ビューの最大ビューを有する892個の有効検出素子から収集された投影データに基づく再構成画像である。再構成画像は、100回の反復の後で所定の全変動最小化を用いる逐次近似再構成(IRTV)を用いて上記の投影データから再構成される。結果として生成される画像の一般的な画質は、臨床的に許容できる。
【0049】
図7Bは、1回転あたり900ビューの最大ビューを有する224個の有効検出素子から収集された疎なチャネルの投影データに基づく再構成画像である。この図7Bの有効検出素子の個数は、図7Aの有効検出素子の個数の4分の1である。図7Bの再構成画像は、100回の反復の後で所定の全変動最小化を用いる逐次近似再構成(IRTV)を用いて上記の投影データから再構成される。図7Bの再構成画像の画質は、臨床的に許容できる。
【0050】
図7Cは、1回転あたり900ビューの最大ビューを有する112個の有効検出素子から収集された疎なチャネルの投影データに基づく再構成画像である。図7Cの有効検出素子の個数は、図7Aの有効検出素子の個数の8分の1である。結果として生成される画像は、500回の反復の後で所定の全変動最小化を用いる逐次近似再構成(IRTV)を用いて上記の投影データから再構成される。反復回数は、図7Aの反復の5倍に増加されてもよい。図7Cの再構成画像の画質は、臨床的に許容できる。
【0051】
上記説明により、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、2次元状に疎に配列されたX線検出区域(有効検出素子)を有するX線検出器を備えている。従って、投影データのサンプリング数は、密に配列された有効検出素子を用いる場合に比して少ない。一般に、X線検出素子に関連するコストは、X線コンピュータ断層撮影装置でコストが最も多くかかる部分の1つである。本実施形態は、X線検出素子の個数を積極的に減少させることにより、X線コンピュータ断層撮影装置の製造コストを低減し、且つ、X線検出素子数の減少に伴う画質劣化を防止するために、疎なチャネルの投影データから逐次近似再構成法を用いてCT画像を再構成する。これにより本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、製造コストの低減と画質劣化の防止とを両方とも実現することができる。さらに本実施形態によれば、X線検出素子の減少に伴い、X線検出素子からの電気信号を処理するためのデータ収集回路等の電子ユニットの数も減少することができる。従って本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、X線検出素子により発生された電気信号を処理するための電子ユニットのコストも低減することができる。
【0052】
本実施形態によれば、有効検出素子の個数が減少するため、検出素子配列面上の少なくともいくつかの隣り合う2つの有効検出素子間のピッチが拡大され、コスト面での利点に加えて機能面での利点がいくつか得られる。隣接する有効検出素子間の間隔が増加することによりクロストークが軽減されるために、散乱補正の手順が容易になる。そのうえ、空間分解能が高いいくつかの実施形態では、所望の量子効率および読み出し時間は、全数の検出素子を有する標準的なX線コンピュータ断層撮影装置と実質的に同じままである。
【0053】
上述のように、疎なチャネルの投影データは、圧縮センシングに基づく逐次近似再構成法を用いて処理される。従来例において圧縮センシングに基づく逐次近似再構成法を用いる場合、全数の有効検出素子に基づくスパースビュー(最大ビュー数より少ない投影データ)から全変動最小化を用いる圧縮センシング(compressed sensing with total variation minimization)を用いて被検体のCT画像が再構成されていた。ここでスパースビューのビュー数は、例えば、最大ビューの10分の1と同程度に低くされている。対照的に、本実施形態においては、全数より少ない有効検出素子に基づく疎なチャネルの投影データから全変動最小化を用いる圧縮センシングを用いてCT画像が再構成される。すなわち、本実施形態においてサンプリング数を減少させるために、ビュー数を減少させるのではなく、有効検出素子数を減少させている。従って本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、有効検出素子数が十分に確保されていない環境下においても、疎なチャネルの投影データに基づいて十分な画質のCT画像を再構成することができる。
【0054】
1つの例示的な疎なチャネルの投影データから、次の考慮事項が示される。説明を簡単にするために、ファンビームのみが用いられると仮定すると、有効検出素子の全数がNchであるとき、撮像視野(FOV)の直径に沿った距離ピッチはFOV/Nchである。さらに、FOVの周囲がπFOVであると仮定すると、πFOVに沿ったサンプリング範囲(sampling coverage)が同じ場合、πFOV/Nviews=FOV/Nchと近似され、ここでNviewsは1回転あたりのビューの数である。これから、Nviews=πNchであることが示唆される。一方、標準的なX線コンピュータ断層撮影装置は、ほぼNch=Nviews=1000を有するように設計される。有効検出素子の個数が全数の約8分の1の場合において圧縮センシングの全変動を用いて臨床的に許容できる画質を達成するために、1000より多いビュー数が必要である。疎なチャネルの投影データに基づいて圧縮センシング全変動再構成法を用いてCT画像を再構成するために、1024個の全数の有効検出素子が128個に減少され、1回転あたりのビュー数が約3000に増加されてもよい。
【0055】
標準的なX線検出器の製造技術が向上するにつれて、X線検出素子の大きさは、過去のX線検出素子の大きさの数分の1になっている。改良されたより小型の標準的なX線検出器は、本実施形態に係る疎に配列された有効検出素子を実現するには、フラットパネル検出器より有利である。フラットパネル検出器は、必要とされる空間分解能を有するが、量子効率が実質的に低く、読み出し時間が長い。一方、標準的なX線検出器は、量子効率が実質的に高く、読み出し時間が短い。大きさがより小さいので、データ収集回路において同じ数のより小型のX線検出素子が同じ検出器表面に設置される場合、疎なチャネルの本発明の一実施形態が実施される。同様に、電子パッケージの大きさが同じく改良されているので、散乱防止コリメータの位置合わせが容易になる。一方、疎なチャネルのデータには1回転あたりのビューの数を増やすことが任意選択で必要なので、被検体への照射線量が増加することがある。患者の線量増加を実質的に回避するために、ピンホールコリメータがX線管に設置される。
【0056】
かくして本実施形態によれば、画質の低下なくコストを低減することが可能な放射線画像診断装置及び撮像方法を提供することにある。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
100…ガントリ、101…X線管、102…環状フレーム、103…X線検出器、104…データ収集回路(DAS)、105…非接触データ伝送部、106…前処理部、107…回転部、108…スリップリング、109…高電圧発生部、110…システム制御部、112…記憶部、114…再構成部、115…入力部、116…表示部、117…電流調整部、200…スキャン計画支援部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎に配列された複数の検出区域を有する検出器であって、前記複数の検出区域の各々は、被検体を透過した放射線を検出し、前記検出された放射線に応じた電気信号を発生する放射線検出器と、
前記生成された電気信号に基づいて投影データを生成する前処理部と、
前記生成された投影データから逐次近似再構成法を用いて前記被検体に関する画像を再構成する再構成部と、
を具備する放射線画像診断装置。
【請求項2】
前記放射線検出器は、2次元状に疎に配列された複数の検出素子を有し、
前記複数の検出区域は、前記複数の検出素子にそれぞれ対応する、
請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項3】
前記放射線検出器は、2次元状に密に配列された複数の検出素子を有し、
前記複数の検出区域は、前記複数の検出素子のうちの放射線検出に利用される複数の有効検出素子にそれぞれ対応し、
前記複数の検出素子のうちの他の検出素子は、放射線検出に利用されない複数の無効検出素子に対応する、
請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項4】
前記複数の検出区域のうちの隣り合う2つの検出区域の間隔は、前記検出区域各々の幅よりも広い、請求項2及び3の何れか一項に記載の放射線画像診断装置。
【請求項5】
前記複数の検出区域は、所定のパターンで前記放射線検出器に配列される、
請求項2及び3の何れか一項に記載の放射線画像診断装置。
【請求項6】
前記所定のパターンは、縞模様のパターンである、請求項5記載の放射線画像診断装置。
【請求項7】
前記所定のパターンは、千鳥模様のパターンである、請求項5記載の放射線画像診断装置。
【請求項8】
前記複数の検出区域は、密に配列された検出素子数の1/4から1/10だけ前記放射線検出器に配列されている、請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項9】
前記複数の検出区域は、前記密に配列された検出素子数の1/8だけ前記放射線検出器に配列されている、請求項8記載の放射線画像診断装置。
【請求項10】
前記放射線としてX線を発生するX線管と、
前記X線管と被検体との間に設置され、前記X線が前記複数の検出区域に限定して照射されるように前記X線の立体角を調整するコリメータと、
をさらに備える請求項2又は3に記載の放射線画像診断装置。
【請求項11】
前記逐次近似再構成法は、代数的再構成法、全変動法、全変動法を用いる同時代数的再構成法、及び期待値最大化法のうちの1つを含む、請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項12】
前記再構成部は、前記画像を再構成するために、密に配列された複数の有効な検出素子からの電気信号に基づく投影データに比して、前記生成された投影データに対して多数の反復を実行する、請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項13】
前記投影データは、少なくとも最大ビューを有する、請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項14】
前記投影データは、最大ビューより少ないビューを有する、請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項15】
前記放射線画像診断装置は、X線コンピュータ断層撮影装置、PET装置、およびPET/CT装置である、請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項16】
前記放射線画像診断装置がX線コンピュータ断層撮影装置であり、前記複数の検出区域がチャネル方向に沿ってn個だけ配列され、X線源からのX線のファン角がα度の場合、前記複数の検出区域のうちの隣り合う2つの検出区域の線源回りのピッチ角度は、α/n度よりも大きい、請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項17】
疎に配列された複数の検出区域を有する放射線検出器を利用して、被検体を透過した放射線を検出し、前記検出された放射線に応じた電気信号を発生し、
前記生成された電気信号に基づいて投影データを生成し、
前記生成された投影データから逐次近似再構成法を用いて前記被検体に関する画像を再構成すること、
を具備する撮像方法。
【請求項18】
前記放射線検出器は、2次元状に疎に配列された複数の検出素子を有し、
前記複数の検出区域は、前記複数の検出素子にそれぞれ対応する、
請求項17記載の撮像方法。
【請求項19】
前記放射線検出器は、2次元状に密に配列された複数の検出素子を有し、
前記複数の検出区域は、前記複数の検出素子のうちの放射線検出に利用される複数の有効検出素子にそれぞれ対応し、
前記複数の検出素子のうちの他の検出素子は、放射線検出に利用されない複数の無効検出素子に対応する、
請求項17記載の撮像方法。
【請求項20】
前記複数の検出区域のうちの隣り合う2つの検出区域の間隔は、前記検出区域各々の幅よりも広い、請求項18及び19の何れか一項に記載の撮像方法。
【請求項21】
前記複数の検出区域は、所定のパターンで前記放射線検出器に配列される、
請求項18及び19の何れか一項に記載の撮像方法。
【請求項22】
前記所定のパターンは、縞模様のパターンである、請求項21記載の撮像方法。
【請求項23】
前記所定のパターンは、千鳥模様のパターンである、請求項21記載の撮像方法。
【請求項24】
前記複数の検出区域は、密に配列された検出素子数の1/4から1/10だけ前記放射線検出器に配列されている、請求項17記載の撮像方法。
【請求項25】
前記複数の検出区域は、前記密に配列された検出素子数の1/8だけ前記放射線検出器に配列されている、請求項24記載の撮像方法。
【請求項26】
前記放射線としてX線管からX線を発生し、
前記X線が前記複数の検出区域に限定して照射されるようにコリメータを用いて前記X線の立体角を調整する、
をさらに備える請求項18又は19に記載の撮像方法。
【請求項27】
前記逐次近似再構成法は、代数的再構成法、全変動法、全変動法を用いる同時代数的再構成法、および期待値最大化法のうちの1つを含む、請求項17記載の撮像方法。
【請求項28】
前記再構成することにおいては、前記画像を再構成するために、密に配列された複数の有効な検出素子からの電気信号に基づく投影データに比して、前記生成された投影データに対して多数の反復が実行される、請求項17記載の撮像方法。
【請求項29】
前記投影データは、少なくとも最大ビュー数を有する、請求項17記載の撮像方法。
【請求項30】
前記投影データは、最大ビュー数より少ないビュー数を有する、請求項17記載の撮像方法。
【請求項31】
前記撮像方法は、X線コンピュータ断層撮影、PET撮影、およびPET撮影とCT撮影との組み合わせである、請求項17記載の撮像方法。
【請求項32】
前記撮像方法は、X線コンピュータ断層撮影であり、
前記複数の検出区域は、チャネル方向に沿ってn個だけ配列され、X線源からのX線のファン角がα度の場合、前記複数の検出区域のうちの隣り合う2つの検出区域の線源回りのピッチ角度は、α/n度よりも大きい、
請求項17記載の撮像方法。
【請求項1】
疎に配列された複数の検出区域を有する検出器であって、前記複数の検出区域の各々は、被検体を透過した放射線を検出し、前記検出された放射線に応じた電気信号を発生する放射線検出器と、
前記生成された電気信号に基づいて投影データを生成する前処理部と、
前記生成された投影データから逐次近似再構成法を用いて前記被検体に関する画像を再構成する再構成部と、
を具備する放射線画像診断装置。
【請求項2】
前記放射線検出器は、2次元状に疎に配列された複数の検出素子を有し、
前記複数の検出区域は、前記複数の検出素子にそれぞれ対応する、
請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項3】
前記放射線検出器は、2次元状に密に配列された複数の検出素子を有し、
前記複数の検出区域は、前記複数の検出素子のうちの放射線検出に利用される複数の有効検出素子にそれぞれ対応し、
前記複数の検出素子のうちの他の検出素子は、放射線検出に利用されない複数の無効検出素子に対応する、
請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項4】
前記複数の検出区域のうちの隣り合う2つの検出区域の間隔は、前記検出区域各々の幅よりも広い、請求項2及び3の何れか一項に記載の放射線画像診断装置。
【請求項5】
前記複数の検出区域は、所定のパターンで前記放射線検出器に配列される、
請求項2及び3の何れか一項に記載の放射線画像診断装置。
【請求項6】
前記所定のパターンは、縞模様のパターンである、請求項5記載の放射線画像診断装置。
【請求項7】
前記所定のパターンは、千鳥模様のパターンである、請求項5記載の放射線画像診断装置。
【請求項8】
前記複数の検出区域は、密に配列された検出素子数の1/4から1/10だけ前記放射線検出器に配列されている、請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項9】
前記複数の検出区域は、前記密に配列された検出素子数の1/8だけ前記放射線検出器に配列されている、請求項8記載の放射線画像診断装置。
【請求項10】
前記放射線としてX線を発生するX線管と、
前記X線管と被検体との間に設置され、前記X線が前記複数の検出区域に限定して照射されるように前記X線の立体角を調整するコリメータと、
をさらに備える請求項2又は3に記載の放射線画像診断装置。
【請求項11】
前記逐次近似再構成法は、代数的再構成法、全変動法、全変動法を用いる同時代数的再構成法、及び期待値最大化法のうちの1つを含む、請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項12】
前記再構成部は、前記画像を再構成するために、密に配列された複数の有効な検出素子からの電気信号に基づく投影データに比して、前記生成された投影データに対して多数の反復を実行する、請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項13】
前記投影データは、少なくとも最大ビューを有する、請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項14】
前記投影データは、最大ビューより少ないビューを有する、請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項15】
前記放射線画像診断装置は、X線コンピュータ断層撮影装置、PET装置、およびPET/CT装置である、請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項16】
前記放射線画像診断装置がX線コンピュータ断層撮影装置であり、前記複数の検出区域がチャネル方向に沿ってn個だけ配列され、X線源からのX線のファン角がα度の場合、前記複数の検出区域のうちの隣り合う2つの検出区域の線源回りのピッチ角度は、α/n度よりも大きい、請求項1記載の放射線画像診断装置。
【請求項17】
疎に配列された複数の検出区域を有する放射線検出器を利用して、被検体を透過した放射線を検出し、前記検出された放射線に応じた電気信号を発生し、
前記生成された電気信号に基づいて投影データを生成し、
前記生成された投影データから逐次近似再構成法を用いて前記被検体に関する画像を再構成すること、
を具備する撮像方法。
【請求項18】
前記放射線検出器は、2次元状に疎に配列された複数の検出素子を有し、
前記複数の検出区域は、前記複数の検出素子にそれぞれ対応する、
請求項17記載の撮像方法。
【請求項19】
前記放射線検出器は、2次元状に密に配列された複数の検出素子を有し、
前記複数の検出区域は、前記複数の検出素子のうちの放射線検出に利用される複数の有効検出素子にそれぞれ対応し、
前記複数の検出素子のうちの他の検出素子は、放射線検出に利用されない複数の無効検出素子に対応する、
請求項17記載の撮像方法。
【請求項20】
前記複数の検出区域のうちの隣り合う2つの検出区域の間隔は、前記検出区域各々の幅よりも広い、請求項18及び19の何れか一項に記載の撮像方法。
【請求項21】
前記複数の検出区域は、所定のパターンで前記放射線検出器に配列される、
請求項18及び19の何れか一項に記載の撮像方法。
【請求項22】
前記所定のパターンは、縞模様のパターンである、請求項21記載の撮像方法。
【請求項23】
前記所定のパターンは、千鳥模様のパターンである、請求項21記載の撮像方法。
【請求項24】
前記複数の検出区域は、密に配列された検出素子数の1/4から1/10だけ前記放射線検出器に配列されている、請求項17記載の撮像方法。
【請求項25】
前記複数の検出区域は、前記密に配列された検出素子数の1/8だけ前記放射線検出器に配列されている、請求項24記載の撮像方法。
【請求項26】
前記放射線としてX線管からX線を発生し、
前記X線が前記複数の検出区域に限定して照射されるようにコリメータを用いて前記X線の立体角を調整する、
をさらに備える請求項18又は19に記載の撮像方法。
【請求項27】
前記逐次近似再構成法は、代数的再構成法、全変動法、全変動法を用いる同時代数的再構成法、および期待値最大化法のうちの1つを含む、請求項17記載の撮像方法。
【請求項28】
前記再構成することにおいては、前記画像を再構成するために、密に配列された複数の有効な検出素子からの電気信号に基づく投影データに比して、前記生成された投影データに対して多数の反復が実行される、請求項17記載の撮像方法。
【請求項29】
前記投影データは、少なくとも最大ビュー数を有する、請求項17記載の撮像方法。
【請求項30】
前記投影データは、最大ビュー数より少ないビュー数を有する、請求項17記載の撮像方法。
【請求項31】
前記撮像方法は、X線コンピュータ断層撮影、PET撮影、およびPET撮影とCT撮影との組み合わせである、請求項17記載の撮像方法。
【請求項32】
前記撮像方法は、X線コンピュータ断層撮影であり、
前記複数の検出区域は、チャネル方向に沿ってn個だけ配列され、X線源からのX線のファン角がα度の場合、前記複数の検出区域のうちの隣り合う2つの検出区域の線源回りのピッチ角度は、α/n度よりも大きい、
請求項17記載の撮像方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【公開番号】特開2013−22455(P2013−22455A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−153821(P2012−153821)
【出願日】平成24年7月9日(2012.7.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月9日(2012.7.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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