説明

放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルム

本発明は、少なくとも1つの基層と、ガラス転移温度が50℃未満であり、かつ二重結合密度が大きい放射線硬化性材料を含有する少なくとも1つのカバー層とからの放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルム、その製造方法及びその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、少なくとも1つの基層と、ガラス転移温度が50℃未満であり、かつ二重結合密度が大きい放射線硬化性材料を含有する少なくとも1つのカバー層とからの放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルムに関する。
【0002】
本出願は更に、放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルムの製造方法並びにこのシート又はフィルムで被覆された成形部品の製造方法及びその使用に関する。
【0003】
EP−A2819516号及びEP−A2819520号からは、塗料のガラス転移温度が40℃未満であり、かつ結合剤が例えばホスファゼン樹脂、ウレタン又はアクリレートであってよい塗膜が公知である。この硬化は、2段階で実施しなければならない。フィルムを支持体上に接着する前に、最初に部分硬化を実施し、次いで最終硬化を実施する。
【0004】
EP−A−361351号からは、同様に塗膜が公知である。この文献においては、フィルムを被覆されるべき成形部品上に施与する前にフィルムの放射線硬化が実施される。
【0005】
EP−A2874027号は、2成分からの閃光硬化性組成物を開示しており、該組成物は、第1の成分が、ホモポリマーのガラス転移温度20℃以上である単官能性放射線硬化性化合物であり、かつ第2の成分が、ジ(メタ)アクリレートであり、それらの比が10:90〜90:10である。かかる組成物は、場合により更に高官能性アクリレートが混合されていてよい。
【0006】
これによる欠点は、単官能性(メタ)アクリレートが、その小さい分子量のためにしばしば揮発性が高いことであり、これにより(メタ)アクリレートの一般的な毒性のために未硬化の被覆材料が健康上懸念されるものになる。更に、単官能性(メタ)アクリレートの使用は小さい架橋密度のみをもたらすが、これは良好な塗料特性に望ましい。
【0007】
慣用の公知の放射線硬化性の塗膜の欠点は、例えばEP−A2819546号に記載されているように、放射線硬化をしばしば多段階で実施しなければならないことである。フィルムの被覆工程の前にフィルムを完全に放射線硬化させる際に、このフィルムはしばしば脆性を示し、かつ成形困難であり、このことはこのフィルムの更なる加工にとって不利である。
【0008】
WO00/63015号は、ガラス転移温度が40℃より高く、かつ二重結合密度が0.2モル/100gまでであるカバー層を有する複合層シート又は複合層フィルムを開示している。かかる複合層シートの欠点は、耐引掻性が不十分であり、かつ単に光沢が鈍いことである。
【0009】
従って本発明の課題は、加工が容易であり、かつ成形部品を被覆する可能な限り簡単な方法により使用できる放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルムであった。この被覆された成形部品は、良好な機械的特性及び外部影響に対する良好な抵抗性を有すること、特に機械的作用に対して安定していること、例えば改善された耐引掻性を有すること、弾性が大きいこと、及び付加的に改善された光学特性、例えば光沢が向上されていることが望ましい。
【0010】
これに応じて、少なくとも1つの基層と、少なくとも1つのカバー層とからなり、前記カバー層は、結合剤を含有する放射線硬化性材料からなり、前記結合剤は、ガラス転移温度が50℃未満であり、かつエチレン性不飽和基の含有量が結合剤1kg当たり2モルより大きい、成形部品被覆用の放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルムを見出し、これを以下略してフィルムと称する。
【0011】
成形部品をこのフィルムで被覆する方法及び被覆された成形部品をも見出した。
【0012】
このフィルムは、基層と、この基層上に直接か又は更なる中間層が存在する場合には間接的に施与されたカバー層とからなっていなければならない。
【0013】
カバー層
カバー層は、放射線硬化性である。従って、カバー層としては、ラジカル又はイオン硬化性の基(略して硬化性基)を含有する放射線硬化性材料を使用する。ラジカル硬化性基が好ましい。
【0014】
この放射線硬化性材料は、透明であることが好ましい。硬化を実施した後にも、このカバー層は透明であること、即ち透明塗料層であることが好ましい。
【0015】
放射線硬化性材料の主要な構成成分は、皮膜形成によりカバー層を形成する結合剤である。
【0016】
放射線硬化性材料は、
i) 平均モル質量Mnが2000g/モルより大きいエチレン性不飽和基を有するポリマー、
ii) i)と、i)とは異なるモル質量が2000g/モル未満のエチレン性不飽和低分子化合物との混合物、
iii) 飽和の熱可塑性ポリマーとエチレン性不飽和化合物との混合物
からなる群からの選択された少なくとも1種の結合剤を含有することが好ましい。
【0017】
i)について
ポリマーとしては、例えば、エチレン性不飽和化合物のポリマーが好適であるが、モル質量が2000g/モルより大きいポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエポキシド又はポリウレタンも好適である。
【0018】
例えば、主としてポリオール、特にジオール及びポリカルボン酸、特にジカルボン酸からなり、その際、そのうちの一方のエステル化成分が共重合可能なエチレン性不飽和基を有する不飽和ポリエステル樹脂が挙げられる。例えば、マレイン酸、フマル酸又は無水マレイン酸が挙げられる。
【0019】
エチレン性不飽和化合物のポリマー、例えば特にラジカル重合により得られるポリマーが好ましい。
【0020】
ラジカル重合したポリマーは、特に、40質量%より大きい、特に好ましくは60質量%より大きいアクリルポリマー、特にC1〜C8−、好ましくはC1〜C4−アルキル(メタ)アクリレート、特に好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート又はn−ブチル(メタ)アクリレートから構成されたポリマーである。
【0021】
このポリマーは、エチレン性不飽和基として、例えば、ビニルエーテル及び/又は特に(メタ)アクリル基を含有する。これらは、例えば、(メタ)アクリル酸とポリマー中のエポキシド基との反応によって(例えば、コモノマーとしてグリシジル(メタ)アクリレートの併用によって)、このポリマーに結合させることができる。
【0022】
エポキシド(メタ)アクリレートは、エポキシドと(メタ)アクリル酸との反応によって得られる。エポキシドとしては、例えばエポキシド化オレフィン、芳香族グリシジルエーテル又は脂肪族グリシジルエーテル、好ましくは芳香族グリシジルエーテル又は脂肪族グリシジルエーテルのエポキシドが挙げられる。
【0023】
エポキシド化オレフィンは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、ビニルオキシラン、スチレンオキシド又はエピクロロヒドリンであってよく、好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、ビニルオキシラン、スチレンオキシド又はエピクロロヒドリンであり、特に好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はエピクロロヒドリンであり、殊に好ましくはエチレンオキシド及びエピクロロヒドリンである。
【0024】
芳香族グリシジルエーテルは、例えばビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−F−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−B−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、フェノール/ジシクロペンタジエンのアルキル化生成物、例えば2,5−ビス[(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]オクタヒドロ−4,7−メタノ−5Hーインデン)(CAS番号[13446ー85ー0])、トリス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]メタン異性体)(CAS番号[66072−39−7])、フェノール系エポキシノボラック(CAS番号[9003−35−4])及びクレゾール系エポキシノボラック(CAS番号[37382−79−9])である。
【0025】
脂肪族グリシジルエーテルは、例えば1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、1,1,2,2−テトラキス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エタン(CAS番号[27043−37−4])、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル(α,ω−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ポリ(オキシプロピレン)(CAS番号[16096ー30−3])及び水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]プロパン、CAS番号[13410−58−7])である。
【0026】
このエポキシド(メタ)アクリレート及びエポキシドビニルエーテルは、数平均分子量Mnが好ましくは2000〜20000、特に好ましくは2000〜10000g/モル、殊に好ましくは2000〜3000g/モルである;(メタ)アクリル基又はビニルエーテル基の含有量は、エポキシド(メタ)アクリレート又はビニルエーテルエポキシド1000g当たり好ましくは1〜5、特に好ましくは2〜4である(ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定、標準としてポリスチレンを、溶出剤としてテトラヒドロフランを用いる)。
【0027】
同様に、ポリウレタンが好ましい。このポリウレタンは、不飽和基として、同様に、例えばヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとイソシアネート基との反応によりこのポリウレタンに結合された(メタ)アクリル基を含有することが好ましい。
【0028】
かかるウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又はヒドロキシアルキルビニルエーテルと、場合により鎖延長剤、例えばジオール、ポリオール、ジアミン、ポリアミン又はジチオール若しくはポリチオールとの反応により得られる。水中で乳化剤を添加せずに分散可能なウレタン(メタ)アクリレートは、付加的に更に、例えば構成成分、例えばヒドロキシカルボン酸によりウレタン中に導入されたイオン性及び/又は非イオン性の親水基を含有する。
【0029】
結合剤として使用可能なポリウレタンは、構成成分として、主として:
(a)少なくとも1種の有機脂肪族、芳香族又は脂環式のジ−又はポリイソシアネート、
(b)少なくとも1個のイソシアネートに対して反応性の基と、少なくとも1個のラジカル重合可能な不飽和基とを有する少なくとも1種の化合物及び
(c)場合により、少なくとも2個のイソシアネートに対して反応性の基を有する少なくとも1種の化合物
を含有する。
【0030】
成分(a)としては、例えば、NCO官能価が少なくとも1.8、好ましくは1.8〜5、特に好ましくは2〜4である脂肪族、芳香族及び脂環式のジ−及びポリイソシアネート、並びにそのイソシアヌレート、ビウレット、アロファネート及びウレトジオンが挙げられる。
【0031】
ジイソシアネートは、4〜20個のC原子を有するイソシアネートであることが好ましい。慣用のジイソシアネートの例は、脂肪族ジイソシアネート、例えばテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート誘導体、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート又はテトラメチルヘキサンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、例えば1,4−、1,3−若しくは1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4′−若しくは2,4′−ジ(ジイソシアナトシクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3−若しくは1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又は2,4−若しくは2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサン並びに芳香族ジイソシアネート、例えば2,4−若しくは2,6−トルエンジイソシアネート及びその異性体混合物、m−若しくはp−キシリレンジイソシアネート、2,4′−若しくは4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン及びその異性体混合物、1,3−若しくは1,4−フェニレンジイソシアネート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジイソシアナト−3,3′−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトベンゼン又はジフェニルエーテル−4,4′−ジイソシアネートである。挙げられたジイソシアネートの混合物も存在していてよい。
【0032】
ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1−イソホロンジイソシアネート及びジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンが好ましい。
【0033】
ポリイソシアネートとしては、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート、ウレトジオンジイソシアネート、ビウレット基を有するポリイソシアネート、ウレタン基又はアロファネート基を有するポリイソシアネート、オキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネート、直鎖状又は分枝鎖状のC4〜C20−アルキレンジイソシアネートのウレトンイミン変性ポリイソシアネート、合計6〜20個のC原子を有する脂環式ジイソシアネート又は合計8〜20個のC原子を有する芳香族ジイソシアネート、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0034】
使用可能なジ−及びポリイソシアネートは、イソシアネート基含有率(NCOとして算出、分子量=42)が、このジ−及びポリイソシアネート(混合物)に対して、好ましくは10〜60質量%、有利には15〜60質量%、特に好ましくは20〜55質量%である。
【0035】
脂肪族若しくは脂環式ジ−及びポリイソシアネート、例えば上述の脂肪族若しくは脂環式ジイソシアネート又はその混合物が好ましい。
【0036】
更に、好ましくは、
1)芳香族、脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネートのイソシアヌレート基を有するポリイソシアネート。この場合、相応の脂肪族及び/又は脂環式イソシアナトイソシアヌレート、特にこれらは、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートをベースとする。この場合に存在するイソシアヌレートは、特に、ジイソシアネートの環式三量体であるトリス−イソシアナトアルキル−若しくはトリス−イソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート、又は1個以上のイソシアヌレート環を有するそれらの高級な同族体との混合物である。このイソシアナトイソシアヌレートは、一般的に、NCO含有率が10〜30質量%、特に15〜25質量%であり、平均NCO官能価は3〜4.5である。
【0037】
2)芳香族的、脂肪族的及び/又は脂環式的に結合したイソシアネート基を有するウレトジオンジイソシアネート、好ましくは脂肪族的及び/又は脂環式的に結合したイソシアネート基、特にヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートから誘導されたイソシアネート基を有するウレトジオンジイソシアネート。ウレトジオンジイソシアネートは、ジイソシアネートの環式二量体化生成物である。
【0038】
このウレトジオンジイソシアネートは、調製物中に、単独の成分としてか又は他のポリイソシアネート、特に1)に挙げたポリイソシアネートとの混合物として使用してよい。
【0039】
3)ビウレット基を有する、芳香族的、脂環式的又は脂肪族的に結合した、好ましくは脂環式的又は脂肪族的に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート、特にトリス(6−イソシアナトヘキシル)ビウレット又はそれらの高級な同族体とのその混合物。このビウレット基を有するポリイソシアネートは、一般的に、NCO含有率が18〜22質量%であり、かつ平均NCO官能価が3〜4.5である。
【0040】
4)ウレタン基及び/又はアロファネート基を有する、芳香族的、脂肪族的又は脂環式的に結合した、好ましくは脂肪族的又は脂環式的に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート。例えばこれらは、過剰量のヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートと、多価アルコール、例えばトリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、1,2−ジヒドロキシプロパン又はこれらの混合物との反応により得ることができる。このウレタン基及び/又はアロファネート基を有するポリイソシアネートは、一般的に、NCO含有率が12〜20質量%であり、かつ平均NCO官能価が2.5〜3である。
【0041】
5)オキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネート、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートから誘導された、オキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネート。かかるオキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネートは、ジイソシアネート及び二酸化炭素から製造することができる。
【0042】
6)ウレトンイミン変性ポリイソシアネート。このポリイソシアネート1)〜6)は、混合物として、場合によりジイソシアネートとの混合物として使用してよい。
【0043】
成分b)としては、少なくとも1個のイソシアネートに対して反応性の基と、少なくとも1個のラジカル重合可能な基とを有する化合物が挙げられる。
【0044】
イソシアネートに対して反応性の基は、例えば、−OH、−SH、−NH2及び−NHR1[式中、R1は、水素又は1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基、例えばメチル、エチル、nープロピル、イソプロピル、nーブチル、イソブチル、s−ブチル又はt−ブチルである]であってよい。
【0045】
成分(b)は、例えば、α,βー不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アクリルアミドグリコール酸、メタクリルアミドグリコール酸又はビニルエーテルと、好ましくは2〜20個のC原子及び少なくとも2個のヒドロキシ基を有するジー若しくはポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,1−ジメチルー1,2−エタンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチルー1,5−ペンタンジオール、2−エチルー1,4−ブタンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパン、エリトリトール、ソルビトール、分子量162〜2000のポリーTHF、分子量134〜400のポリ−1,3−プロパンジオール又は分子量238〜458のポリエチレングリコールとのモノエステルであってよい。更に、(メタ)アクリル酸と、アミノアルコール、例えば2−アミノエタノール、2ー(メチルアミノ)エタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール若しくは2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−メルカプトエタノール又はポリアミノアルカン、例えばエチレンジアミン若しくはジエチレントリアミンとのエステル又はアミド、或いはビニル酢酸を使用してもよい。
【0046】
更に、平均OH官能価が2〜10である不飽和ポリエーテルオール又はポリエステルオール又はポリアクリレートポリオールも好適である。
【0047】
エチレン性不飽和カルボン酸とアミノアルコールとのアミドの例は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばNーヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、5−ヒドロキシ−3−オキサペンチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキルクロトンアミド、例えばN−ヒドロキシメチルクロトンアミド又はN−ヒドロキシアルキルマレインイミド、例えばN−ヒドロキシエチルマレインイミドである。
【0048】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ−及びジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ−及びジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールモノ−、ジ−及び−トリ(メタ)アクリレート並びに4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−アミノ−エチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート、4−アミノブチル(メタ)アクリレート、6−アミノヘキシル(メタ)アクリレート、2−チオエチル(メタ)アクリレート、2−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、2−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、3−アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミドを使用することが好ましい。2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1,4−ブタンジオールモノアクリレート及び3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが特に好ましい。
【0049】
成分(C)としては、少なくとも2個のイソシアネートに対して反応性の基、例えばーOH、−SH、−NH2又は−NHR2[式中、R2は、互いに無関係に、水素、メチル、エチル、イソプロピル、nープロピル、nーブチル、イソブチル、s−ブチル又はt−ブチルであってよい]を有する化合物が挙げられる。
【0050】
この成分(C)は、ジオール又はポリオール、例えば2〜20個の炭素原子を有する炭化水素ジオール、例えばエチレングリオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,1−ジメチルエタンー1,2−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキサン)イソプロピリデン、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2−、1,3−若しくは1,4−シクロヘキサンジオール、シクロオクタンジオール、ノルボルナンジオール、ピナンジオール、デカリンジオール等、短鎖ジカルボン酸、例えばアジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とのそのエステル、ジオールとホスゲンとの反応によってか又はジアルキル−若しくはジアリールカーボネートとのエステル交換により製造されたそのカーボネート、又は脂肪族ジアミン、例えばメチレン−、及びイソプロピリデン−ビス−(シクロヘキシルアミン)、ピペラジン、1,2−、1,3−若しくは1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−、1,3−若しくは1,4−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン)等、ジチオール又は多官能性アルコール、第2級若しくは第1級アミノアルコール、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン等又はチオアルコール、例えばチオエチレングリコールであることが好ましい。
【0051】
更に、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、1,2−及び1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチルー1,4−ブタンジオール、1,2−、1,3−及び1,4−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパン、エリトリトール及びソルビトール、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1ーアミノー2−プロパノール又は2−(2−アミノエトキシ)エタノール、ビスフェノール−A、又はブタントリオールが考えられる。
【0052】
更に、平均OH官能価が2〜10である不飽和ポリエーテルオール若しくはポリエステルオール又はポリアクリレートポリオール、並びにポリアミン、例えばポリエチレンイミン、又は例えばポリ−N−ビニルホルムアミドの遊離アミン基を含有するポリマーも好適である。
【0053】
この場合、脂環式ジオール、例えばビス−(4−ヒドロキシシクロヘキサン)イソプロピリデン、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2−、1,3−若しくは1,4−シクロヘキサンジオール、シクロオクタンジオール又はノルボルナンジオールが特に好適である。
【0054】
本発明により使用可能なポリウレタンは、成分(a)、(b)及び(c)の相互の反応によって得られる。
【0055】
この場合、(a)中の反応性イソシアネート基3モル当たりのモル組成(a):(b):(c)は、一般的には、以下の通りである:
(b)イソシアネートに対して反応性の基1.5〜3.0、好ましくは1.5〜2.5、特に好ましくは1,5〜2.0、殊に好ましくは1.6〜1.8モルの並びに、
(c)イソシアネートに対して反応性の基0〜1.5、好ましくは0.5〜1.5、特に好ましくは0.7〜1.5、殊に好ましくは0.8〜1.5モル。ポリウレタンを水系で使用する際には、存在するイソシアネート基を実質的に全て反応させることが好ましい。
【0056】
イソシアネート基を含有する化合物、及びイソシアネートに対して反応性の基を含有する化合物からのアダクトの形成は、一般的に、これらの成分を任意の順序で、場合により温度を高めて混合することにより実施する。
【0057】
この場合、イソシアネートに対して反応性の基を含有する化合物を、イソシアネート基を含有する化合物に、好ましくは多段階で添加することが好ましい。
【0058】
イソシアネート基を含有する化合物を装入し、そしてイソシアネートに対して反応性の基を含有する化合物を添加することが特に好ましい。イソシアネート基を含有する化合物(a)を装入し、次いで(b)を添加することが殊に好ましい。次いで、場合により所望の他の成分を添加してよい。
【0059】
この反応は、一般的には、5〜100℃、好ましくは20〜90℃、特に好ましくは40〜80℃、殊に好ましくは60〜80℃の温度で実施する。
【0060】
この場合、水不含の条件下で作業することが好ましい。この場合、水不含とは、反応系の含水率が5質量%以下、好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下であることを意味する。
【0061】
重合可能な二重結合の重合を抑制するために、好ましくは酸素含有ガス、特に好ましくは空気又は空気−窒素混合物の下で作業することが好ましい。
【0062】
酸素含有ガスとしては、好ましくは空気か又は、酸素若しくは空気と使用条件下で不活性なガスとの混合物を使用してよい。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、低分子炭化水素又はこれらの混合物を使用してよい。
【0063】
酸素含有ガスの酸素含有率は、例えば、0.1〜22容量%、好ましくは0.5〜20容量%、特に好ましくは1〜15容量%、殊に好ましくは2〜10容量%、なかんずく好ましくは4〜10容量%であってよい。所望により、酸素含有率をこれより高めて使用してもよいことは勿論である。
【0064】
この反応は、不活性溶剤、例えばアセトン、イソブチルメチルケトン、トルエン、キシレン、ブチルアセテート又はエトキシエチルアセテートの存在下で実施してもよい。しかしながら、この反応は、溶剤の不存在下で実施することが好ましい。
【0065】
ウレタン(メタ)アクリレートは、好ましくは数平均分子量Mnが1000〜20000、有利には1000〜10000、特に好ましくは1000〜4000g/モル(ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定、テトラヒドロフラン及び標準としてポリスチレンを用いる)である。
【0066】
このウレタン(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル基の含有量が、ウレタン(メタ)アクリレート1000g当たり1〜5、特に好ましくは2〜4モルであることが好ましい。ウレタンビニルエーテルは、ビニルエーテル基の含有量が、ウレタンビニルエーテル1000g当たり1〜5、特に好ましくは2〜4モルであることが好ましい。
【0067】
本発明の好ましい実施形態においては、ウレタン(メタ)アクリレート又は−ビニルエーテル、好ましくはウレタンアクリレートは、少なくとも1種の脂環式イソシアネート、すなわち少なくとも1個のイソシアネート基が脂環式化合物に結合した化合物、特に好ましくはIPDIを構成成分として含有する。
【0068】
更に好ましい実施態様においては、WO00/39183号の第4頁第3行〜第10頁第19行に記載されている化合物を使用し、これはこの文献の構成部をもって開示されたものとする。かかる化合物の中では、構成成分として、アロファネート基を含有する少なくとも1種の脂肪族(脂環式)イソシアネート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを有する少なくとも1種の化合物が特に好ましく、WO00/39183号の第24頁第1表中の生成物番号1〜9が殊に好ましい。
【0069】
更に、好適な放射線硬化性化合物は、平均して好ましくは1〜5個、有利には2〜4個、特に好ましくは2〜3個の(メタ)アクリル基、殊に好ましくは2個の(メタ)アクリル基を含有するカーボネート(メタ)アクリレートである。
【0070】
カーボネート(メタ)アクリレートの数平均分子量Mnは、好ましくは2000〜3000g/モル(ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定、標準としてポリスチレンを、溶剤としてテトラヒドロフランを用いる)である。
【0071】
このカーボネート(メタ)アクリレートは、炭酸エステルを多価アルコールで、好ましくは二価アルコール(ジオール、例えばヘキサンジオール)でエステル交換し、次いでフリーのOH基を(メタ)アクリル酸でエステル化するか又は(メタ)アクリル酸エステルでエステル交換することによって簡単に得られ、これは例えばEPーA92269号に記載されている。カーボネート(メタ)アクリレートは、ホスゲン、尿素誘導体と多価アルコール、例えば二価アルコールとを反応させることによっても得られる。同様に、ヒドロキシアルキルビニルエーテルと炭酸エステル並びに場合により二価アルコールとを反応させることによって、ビニルエーテルカーボネートも得られる。
【0072】
ポリカーボネートポリオールの(メタ)アクリレート又はビニルエーテル、例えば上述の1種のジ−又はポリオール及び1種の炭酸エステル並びにヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリレート又はビニルエーテルからの反応生成物も考えられる。
【0073】
好適な炭酸エステルは、例えばエチレン−、1,2−又は1,3−プロピレンカーボネート、炭酸ジメチル−、−ジエチル−又は−ジブチルエステルである。
【0074】
好適なヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートは、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ−及びジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ−及びジ(メタ)アクリレート並びにペンタエリトリトールモノ−、ジ−及び−トリ(メタ)アクリレートである。
【0075】
好適なヒドロキシ基含有ビニルエーテルは、例えば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル及び4−ヒドロキシブチルビニルエーテルである。
【0076】
特に好ましいカーボネート(メタ)アクリレートは、式
【化1】

[式中、Rは、H又はCH3であり、Xは、C2〜C18−アルキレン基であり、かつnは、1〜5、好ましくは1〜3の整数である]のカーボネート(メタ)アクリレートである。
【0077】
Rは、好ましくはHであり、かつXは、好ましくはC2〜C10−アルキレン基、例えば1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン又は1,6−ヘキシレンであり、特に好ましくはC4〜C8−アルキレンである。XはC6−アルキレンであることが殊に好ましい。
【0078】
脂肪族カーボネート(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0079】
ポリマーi)それ自体は、UV硬化の前に熱可塑的に加工可能である。
【0080】
ii)について
不飽和ポリマーi)は、エチレン性不飽和の低分子化合物との混合物中で使用してよい。本明細書中では、低分子化合物は、数平均分子量が2000g/モル(ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定、標準としてポリスチレンを用いる)未満の化合物と解される。
【0081】
この化合物は、例えば、モル質量が2000g/モル未満であるi)に挙げた化合物、例えば、モル質量が340、好ましくは500、特に好ましくは750から2000g/モル未満のエポキシド(メタ)アクリレート、モル質量が300、好ましくは500、特に好ましくは750から2000g/モル未満のウレタン(メタ)アクリレート又はモル質量が170、好ましくは250、特に好ましくは500から2000g/モル未満のカーボネート(メタ)アクリレートであってよい。
【0082】
更に、例えばエチレン性不飽和の共重合可能な基を1個のみ有するラジカル重合可能な化合物が挙げられる。
【0083】
例えば、C1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、20個までのC原子を有するビニル芳香族化合物、20個までのC原子を含有するカルボン酸のビニルエステル、エチレン性不飽和ニトリル、1〜10個のC原子を含有するアルコールのビニルエーテル及び2〜20個、好ましくは2〜8個のC原子を有し、かつ1又は2つの二重結合を有する脂肪族炭化水素であることが望ましい。
【0084】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、C1〜C10−アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、nーブチルアクリレート、エチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートであることが好ましい。
【0085】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合物も特に好適である。
【0086】
1〜20個のC原子を有するカルボン酸のビニルエステルは、例えばビニルラウレート、ビニルステアレート、ビニルプロピオネート及びビニルアセテートである。
【0087】
ビニル芳香族化合物としては、例えば、ビニルトルエン、α−ブチルスチレン、4−nーブチルスチレン、4−n−デシルスチレンが挙げられ、スチレンが好ましい。
【0088】
ニトリルの例は、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルである。
【0089】
好適なビニルエーテルは、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルヘキシルエーテル及びビニルオクチルエーテルである。
【0090】
2〜20個、好ましくは2〜8個のC原子を有し、かつ1又は2個のオレフィン性二重結合を有する非芳香族炭化水素としては、ブタジエン、イソプレン並びにエチレン、プロピレン及びイソブチレンが挙げられる。
【0091】
好ましくは、複数個のエチレン性不飽和基を有するラジカル重合可能な化合物が挙げられる。
【0092】
この化合物は、特に(メタ)アクリレート化合物であり、アクリレート化合物、すなわちアクリル酸の誘導体がそれぞれの場合に好ましい。
【0093】
好ましい(メタ)アクリレート化合物は、2〜20個、好ましくは2〜10個、特に好ましくは2〜6個の共重合可能なエチレン性不飽和二重結合を含有する。
【0094】
(メタ)アクリレート化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル、特に多官能性アルコール、特にヒドロキシル基の他に更に官能基を有さないか又は場合によりエーテル基を含有する多官能性アルコールのアクリル酸エステル、するものが挙げられる。かかるアルコールの例は、例えば、二官能性アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの高級な縮合典型物質、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アルコキシ化フェノール化合物、例えばエトキシ化若しくはプロポキシ化ビスフェノール、シクロヘキサンジメタノール、三官能性及びそれより高級な官能性のアルコール、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、2,2−ジメチル−1,2−エタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ブタントリオール、ソルビトール、マンニトール及び相応のアルコキシ化、特にエトキシ化及びプロポキシ化アルコールである。
【0095】
アルコキシ化生成物は、公知のように、上述のアルコールを、アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド及びビニルオキシランと、好ましくはエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと、特に好ましくはエチレンオキシドと、任意の順序でか又は混合物として反応させることによって得られる。アルコキシ化度は、ヒドロキシル基当たり0〜10であることが好ましく、すなわち1モルのヒドロキシル基は好ましくは10モルまでのアルキレンオキシドでアルコキシ化してよい。
【0096】
ビニルエーテル基を含有するポリエーテルアルコールは、例えば、これに応じて、ヒドロキシアルキルビニルエーテルとアルキレンオキシドとの反応によって得られる。
【0097】
(メタ)アクリル酸基を含有するポリエーテルアルコールは、例えば、(メタ)アクリル酸エステルをポリエーテルアルコールでエステル交換させること、ポリエーテルアルコールを(メタ)アクリル酸でエステル化させること又はヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレート、例えば上述のb)に記載したものの使用によって得ることができる。
【0098】
好ましいポリエーテルアルコールは、モル質量が106〜2000、好ましくは106〜898、特に好ましくは238〜678であるポリエチレングリコールである。
【0099】
更に、ポリエーテルアルコールとしては、モル質量が162〜2000であるポリ−THF並びにモル質量が134〜1178であるポリ−1,3−プロパンジオールを使用することができる。
【0100】
(メタ)アクリレート化合物としては、更に、ポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられ、それはポリエステルオールの(メタ)アクリル酸エステルである。
【0101】
ポリエステルポリオールは、例えばウールマン工業化学百科事典第4版、第19巻62〜65頁(Ullmanns Encyklopaedie der technischen Chemie, 4. Auflage, Band 19, S. 62 bis 65)から公知である。二価アルコールと二官能性カルボン酸との反応によって得られたポリエステルポリオールを使用することが好ましい。フリーのポリカルボン酸の代わりに、相応の無水ポリカルボン酸又は低級アルコールの相応のポリカルボン酸エステル又はこれらの混合物をポリエステルポリオールの製造のために使用してもよい。このポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族又は複素環化合物であってよく、かつ場合により例えばハロゲン原子で置換されており、かつ/又は不飽和であってよい。このポリカルボン酸の例としては、以下のものが挙げられる:
シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン2酸、oーフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はテトラヒドロフタル酸、スベリン酸、アゼライン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、二量体脂肪酸、これらの異性体及び水素化生成物並びにエステル化可能な誘導体、例えば無水物又はジアルキルエステル、例えば上述の酸のC1〜C4−アルキルエステル、好ましくはメチル−、エチル−、又はnーブチルエステルを使用する。一般式HOOC−(CH2y−COOHで示され、yは、1〜20の数であり、好ましくは2〜20の偶数であるジカルボン酸が好ましく、酒石酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカンジカルボン酸が特に好ましい。このポリエステルオールの製造のための多価アルコールとしては、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、2,2−ジメチル−1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3ーメチルペンタン−1,5−ジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、モル質量が162〜2000であるポリ−THF、モル質量が134〜1178であるポリ−1,3−プロパンジオール、モル質量が134〜898であるポリ−1,2−プロパンジオール、モル質量が106〜458であるポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−、1,3−若しくは1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール又はイソマルチトールが挙げられる。
【0102】
一般式HO−(CH2x−OHで示され、その式中、xは、1〜20の数、好ましくは2〜20の偶数であるアルコールが好ましい。エチレングリコール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオール及びドデカン−1,12−ジオールが好ましい。更に、ネオペンチルグリコールが好ましい。
【0103】
更に、例えばホスゲンと、ポリエステルポリオールの構成成分として上述の低分子アルコールの過剰量との反応によって得ることができるポリカーボネートジオールも挙げられる。
【0104】
ラクトンベースのポリエステルジオールも好適であり、この場合、ラクトンのホモ−又はコポリマー、好ましくは、好適な二官能性開始剤分子での末端ヒドロキシル基を有するラクトンのアダクトである。ラクトンとしては、特に一般式HO−(CH2z−COOHで示され、その式中、zは、1〜20の数であり、かつメチレン単位のH原子は、C1〜C4−アルキル基で置換されていてよい化合物から誘導されたラクトンが挙げられる。例は、ε−カプロラクトン、βープロピオラクトン、ガンマ−ブチロラクトン及び/又はメチル−ε−カプロラクトン、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレン酸又はピバロラクトン並びにこれらの混合物である。好適な開始剤成分は、例えば、ポリエステルポリオールの構成成分として上述した低分子二価アルコールである。相応のε−カプロラクトンのポリマーが特に好ましい。低級ポリエステルジオール又はポリエーテルジオールを、ラクトンポリマーの製造のための開始剤として使用してもよい。ラクトンポリマーの代わりに、相応の化学的に等価の、ラクトンに相当するヒドロキシカルボン酸の重縮合物を使用してもよい。
【0105】
ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えばEP279303号に記載されているように、アクリル酸、ポリカルボン酸、ポリオールから多段階又は単一段階で製造することができる。
【0106】
iii)について
飽和の熱可塑性ポリマーとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、耐衝撃性ポリメチルメタクリレート、耐衝撃性ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタンが好適である。
【0107】
放射線硬化性は、エチレン性不飽和の放射線硬化性化合物の添加によって確保する。この場合、その化合物は、i)及び/又はii)に挙げた化合物の一つである。
【0108】
結合剤(固体含有物に対して、すなわち溶剤の不存在下で)は、一般的に、以下のようにまとめられる:
i)少なくとも20質量%、好ましくは少なくとも30質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、殊に好ましくは少なくとも60質量%、なかんずく好ましくは少なくとも75質量%、とりわけ少なくとも80質量%であり、かつ100質量まで、好ましくは98質量%まで、特に好ましくは95質量%まで、殊に好ましくは90質量%まで、有利に80質量%まで、
ii)例えば70質量%まで、好ましくは50質量%まで、特に好ましくは25質量%まで、殊に好ましくは10質量%まで、有利に5質量%まで、とりわけ0質量%、
iii)例えば50質量%まで、好ましくは25質量%まで、特に好ましくは10質量%まで、殊に好ましくは5質量%まで、有利に0質量%まで、
但し合計は常に100質量%であることが条件である。
【0109】
結合剤i)〜iii)の顕著な特徴は、この結合剤のガラス転移温度(Tg)が50℃未満、好ましくは20℃未満、特に好ましくは10℃未満であることである。一般的には、このTgは、ー60℃の値を下回らない(このデータは、放射線硬化前の結合剤に基づくものである)。
【0110】
この結合剤のガラス転移温度Tgは、DSC法(示差走査熱量測定)を用いてASTM3418/82により測定する。
【0111】
硬化性、すなわちエチレン性不飽和の基の量は、本発明によれば、結合剤(固体)、すなわち水又はそれ以外の溶剤不含の結合剤1kg当たり2モルより大きく、好ましくは2モルから8モル、特に好ましくは少なくとも2.1モルから6モル、殊に好ましくは2.2〜6モル、有利に2.3〜5モル、とりわけ2.5〜5モルである。
【0112】
結合剤(場合により溶剤を含有)の粘度は、25℃で0.02〜100Pas(回転粘度計中で測定)であることが好ましい。
【0113】
本発明の好ましい態様においては、本発明にかかる放射線硬化性材料は、硬化性基を1個のみ有する化合物を10質量%以下、好ましくは7.5質量%以下、特に好ましくは5質量%以下、殊に好ましくは2.5質量%以下、有利に1質量%以下、とりわけ0質量%で含有する。2個又は複数個の硬化性基を有する化合物の使用を使用すると、本発明にかかる放射線硬化性材料において架橋密度が高められ、このことは良好な塗料特性、例えば耐引掻性、硬度及び/又は耐化学薬品性をもたらす。
【0114】
この放射線硬化性材料は、更なる構成成分を含有してよい。特に光開始剤、均展剤及び安定化剤が挙げられる。この材料を、屋外領域において、すなわち日光に直接曝される被覆物に使用する際には、この材料は特にUV吸収剤及びラジカルスカベンジャーを含有する。
【0115】
熱による後硬化のための促進剤としては、例えば、スズオクトエート、亜鉛オクトエート、ジブチルスズラウレート又はジアザ[2.2.2]ビシクロオクタンを使用することができる。
【0116】
光開始剤は、例えば当業者に公知の光開始剤、例えば「ポリマーサイエンスの発展」第14巻、シュプリンガー社、ベルリン、1974年("Advances in Polymer Science", Volume 14 Springer Berlin 1974)又はK.K.ディエトリッカー著の塗料、インク及びペイントのためのUV及びEB配合物の化学と技術第3巻;フリーラジカルとカチオン重合のための光開始剤、P.K.T.Oldring(編)、SITAテクノロジー有限会社、ロンドン(K.K.Dietliker, Chemistry and Technology of UV- and EB-Formulation for Coatings, Inks and Paints, Volume 3; Photoinitiators for Free Radical and Cationic Polymerization, P.K.T. Oldring (Eds), SITA Technology Ltd, London)中に挙げられた光開始剤であってよい。
【0117】
例えば、モノ−又はビスアクリルホスフィノオキシド、例えばEP−A7508号、EP−A57474号、DE−A19618720号、EP−A495751号又はEP−A615980号に記載されているもの、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF AG社のLucirin(登録商標)TPO)、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート(BASF AG社のLucirin(登録商標)TPO L)、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Firma Ciba Spezialitaetenchemie社のIrgacure(登録商標)819)、ベンゾフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、フェニルグリオキシル酸及びこれらの誘導体又はこれらの光開始剤の混合物が挙げられる。例として、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アセトナフトキノン、メチルエチルケトン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、αーフェニルブチロフェノン、p−モルホリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン、4−モルホリノベンゾフェノン、4−モルホリノデオキシベンゾイン、p−ジアセチルベンゼン、4−アミノベンゾフェノン、4′−メトキシアセトフェノン、βーメチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、アントラキノンカルボン酸エステル、ベンズアルデヒド、αーテトラロン、9−アセチルフェナントレン、2−アセチルフェナントレン、10−チオキサンテノン、3−アセチルフェナントレン、3−アセチルインドール、9−フルオレノン、1−インダノン、1,3,4−トリアセチルベンゼン、チオキサンテン−9−オン、キサンテンー9−オン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジ−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、ベンゾイン、ベンゾイン−イソブチルエーテル、クロロキサンテノン、ベンゾイン−テトラヒドロプラニルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾイン−イソプロピルエーテル、7−H−ベンゾインメチルエーテル、ベンズ[de]アントラセンー7−オン、1−ナフトアルデヒド、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、ミヒラーケトン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、1−ベンゾイルシクロヘキサン−1−オール、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、アセトフェノンジメチルケタール、oーメトキシベンゾフェノン、トリフェニルホスフィン、トリ−oートリルホスフィン、ベンズ[a]アントラセン−7,12−ジオン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルケタール、例えばベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、アントラキノン、例えば2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン及び2,3−ブタンジオンが挙げられる。
【0118】
黄変しないか又はほとんど黄変しないフェニルグリオキサル酸エステル型の光開始剤も好適であり、これはDE−A19826712号、DE−A19913353号又はWO98/33761号に記載されている。
【0119】
UV吸収剤は、UV放射を熱エネルギーに変換する。公知のUV吸収剤は、ヒドロキシベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ケイ皮酸エステル及びオキサルアニリド(Oxalanilide)である。
【0120】
ラジカルスカベンジャーは、中間体として形成されたラジカルと結合する。重要なラジカルスカベンジャーは、HALS(障害アミン光安定化剤)として公知の立体障害アミンである。
【0121】
屋外使用については、UV吸収剤及びラジカルスカベンジャーの含有量は、放射線硬化性化合物100質量部に対して好ましくは合計0.1〜5質量部、特に好ましくは0.5〜4質量部である。
【0122】
他の点では、この放射線硬化性材料は、放射線硬化性化合物の他に、他の化学反応により硬化に寄与する化合物を含有していてもよい。例えば、ヒドロキシル基又はアミン基と架橋するポリイソシアネートが挙げられる。
【0123】
この放射線硬化性材料は、水不含及び溶剤不含で存在してよく、溶液又は分散液として存在してよい。
【0124】
水不含及び溶剤不含の放射線硬化性材料若しくはその水溶液又は水性分散液が好ましい。
【0125】
水不含及び溶剤不含の放射線硬化性材料が特に好ましい。
【0126】
この放射線硬化性材料は、熱可塑性的に成形可能であり、かつ押出可能であってよい。
【0127】
上述の放射線硬化性材料は、カバー層を形成する。このカバー層(乾燥及び硬化後)は、10〜100μmであることが好ましい。
【0128】
基層
基層は担体として利用され、これにより複合物全体の高い靭性が確保される。
【0129】
この基層は、好ましくは熱可塑性ポリマー、特にポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリロニトリルエチレンプロピレンジエンスチレンコポリマー(A−EPDM)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル又はこれらの混合物からなる。
【0130】
更に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂又はポリウレタン、これらのブロックコポリマー又はグラフトコポリマー並びにこれらのブレンドが挙げられる。
【0131】
好ましくは、ABS、AES、AMMA、ASA、EP、EPS、EVA、EVAL、HDPE、LDPE、MABS、MBS、MF、PA、PA6、PA66、PAN、PB、PBT、PBTP、PC、PE、PEC、PEEK、PEI、PEK、PEP、PES、PET、PETP、PF、PI、PIB、PMMA、POM、PP、PPS、PS、PSU、PUR、PVAC、PVAL、PVC、PVDC、PVP、SAN、SB、SMS、UF、UP−プラスチック(DIN7728による略)及び脂肪族ポリケトンが挙げられる。
【0132】
特に好ましい基材は、ポリオレフィン、例えば、場合によりアイソタクチック、シンジオタクチック又はアタクチックであり、かつ場合により非配向性、若しくは一軸又は二軸延伸により配向されていてよいPP(ポリプロピレン)、SAN(スチレン−アクリロニトリル−コポリマー)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PBT(ポリ(ブチレンテレフタレート))、PA(ポリアミド)、ASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリルエステル−コポリマー)及びABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−コポリマー)並びにこれらの物理的な混合物(ブレンド)である。PP、SAN、ABS、ASA、並びにABS又はASAと、PA又はPBT又はPCとのブレンドが特に好ましい。
【0133】
ASA、特にDE19651350号によるASA及びASA/PCブレンドが殊に好ましい。同様に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)又は耐衝撃性改良PMMAが好ましい。
【0134】
この層厚は、50μmから5mmまでであることが好ましい。とりわけ、この基層に背面射出成形(hinterspritzt)するのであれば、この層厚は100〜1000μm、特に100〜500μmであることが特に好ましい。
【0135】
この基層のポリマーは、添加剤を含有してよい。特に、充填剤又は繊維が挙げられる。この基層は着色されていてもよく、従って同時に着色層として利用される。
【0136】
更なる層
フィルムは、カバー層及び基層の他に、更なる層を含有していてよい。
【0137】
例えば、着色中間層又は熱可塑性材料からの更なる層(熱可塑性中間層)が挙げられ、これらはフィルムを強化するか又は剥離層として利用され、このことは例えばWO2004/009251号から公知である。
【0138】
熱可塑性中間層は、基層について記載したポリマーからなっていてよい。
【0139】
特に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、好ましくは耐衝撃性改良PMMAが好ましい。ポリウレタンも挙げられる。同様に、着色層は、挙げられたポリマーからなっていてよい。これらは、そのポリマー層中に分布された着色剤又は顔料を含有する。
【0140】
好ましいフィルムは、例えば以下の層構成を有し、その際、アルファベット順は空間的配置に相当する:
A)カバー層
B)熱可塑性中間層(場合による)
C)着色中間層(場合による)
D)基層
E)接着層(場合による)。
【0141】
フィルムを基材上に接着することが望ましい場合には、この基層の裏に相当する側(裏側と略)(すなわち、被覆されるべき対象物の方を向いた側)上に、接着層を施与してよい。
【0142】
この透明なカバー層上に、保護層、例えば意図しない硬化を防ぐ可剥性フィルムを施与してよい。この厚さは、例えば50〜100μmである。この保護層は、例えばポリエチレン又はポリテレフタレートからなっていてよい。この保護層は、放射線照射の前に除去してよい。
【0143】
しかし、この放射線照射は、この保護層を通して実施してもよく、このためにはこの保護層はこの放射線照射の波長範囲を透過させなければならない。
【0144】
フィルムの全厚は、50〜1000μmであることが好ましい。
【0145】
複合シート又は複合フィルムの製造
層B)〜D)からの複合物の製造は、これらの全ての層又は幾つかの層の同時押出によって実施することができる。
【0146】
同時押出のために、個々の成分を押出機内で流動させつつ混合し、そして特定の装置上で、相互に接触させ、そうして上述の層配置を有するフィルムを得る。例えば、これらの成分をシート押出ダイによって同時押出を行うことができる。この方法は、EP−A2−0225500号に説明されている。該文献に記載された方法を補足するにあたって、いわゆるアダプター同時押出(Adapter−Coextrusion)を使用してもよい。
【0147】
この複合物は、慣用の方法、例えば上述の同時押出又は例えば加熱可能な間隙部内での層の成層によって製造できる。最初に、カバー層を除いた層からの複合物を製造し、次いでこのカバー層を慣用の方法によって施与してよい。
【0148】
この放射線硬化性材料の押出(同時押出を含む)の際には、構成成分の混合による放射線硬化性材料の製造及びカバー層の製造を1回の作業で実施してよい。
【0149】
このために、熱可塑性構成成分、例えば不飽和ポリマーi)又は飽和ポリマーiii)(上記を参照のこと)を最初に押出機内で溶融させてよい。必要な溶融温度は、それぞれのポリマーに依存する。特に、この溶融工程の後に、更なる構成成分、特に放射線硬化性の低分子化合物ii)(上記を参照のこと)を供給してよい。この化合物は、可塑剤として作用し、そうしてこの材料が溶融物として存在する温度が下がる。この放射線硬化性化合物の添加の際の温度は、特に、放射線硬化性化合物の熱硬化が実施されるいわゆる臨界温度未満でなければならない。
【0150】
この臨界温度は、熱量測定、すなわち上述のガラス転移温度の測定に応じて、温度上昇に伴う熱の吸収によって容易に測定することができる。
【0151】
次いで、この放射線硬化性材料を直接に、カバー層として既存の複合物上にか又は同時押出の場合にはこの複合物の層と一緒に押出す。この押出によって、複合層シート又は複合層フィルムが直接に得られる。
【0152】
この放射線硬化性材料は、簡単には、例えば噴霧、こて塗、ナイフ塗布、はけ塗、ロール塗布、圧延、注型、成層等によって、基層若しくは複合物上に塗布及び場合により乾燥できることが好ましい。
【0153】
このカバー層は、耐ブロッキング性を示し、すなわち粘着せず、かつ放射線により架橋可能である。この複合シート又は複合フィルムは、熱可塑的に成形可能である。所望により、この複合シート又は複合フィルムの製造の後に、保護層(保護フィルム)をカバー層上に直接に施してよい。
【0154】
この複合層シート又は複合層フィルムは、高度な光沢及び良好な機械的特性を有している。亀裂形成は、ほとんど観察することができなかった。
【0155】
この複合層シート又は複合層フィルムの延伸性は、延伸されていない状態(140℃で厚さ30μm)に対して、少なくとも100%であることが好ましい。
【0156】
使用方法
このフィルムは、部分硬化(EP−A2819516号に記載されている)を行うことなく、後の使用まで貯蔵することができる。
【0157】
後の使用までの接着又は使用技術特性の悪化は、全く又はほとんど観察することができなかった。このフィルムは、被覆材として使用することが好ましい。
【0158】
この場合、最初に基材の被覆を実施し、次いで放射線照射によってカバー層の硬化を実施することが好ましい。
【0159】
この被覆は、フィルムを基材上に接着することによって実施することができる。このために、このフィルムの基層の裏側に接着層Eを設けることが好ましい。基材としては、樹脂、プラスチック、金属からの基材が好適である。
【0160】
この被覆は、フィルムに背面射出成形することによって実施してもよい。このために、このフィルムは好ましくは深絞り成形機内で深絞り成形し、そしてこの基層の裏側にプラスチック材料を背面射出成形する。このプラスチック材料は、例えば、基層の被覆の際に上述したポリマー又は例えばポリウレタン、特にポリウレタンフォームである。このポリマーは、添加剤、特に例えば繊維、例えばガラス繊維又は充填剤を含有してよい。
【0161】
この場合、カバー層の放射線硬化は、好ましくは深絞り成形工程の後に、特に好ましくはフィルムに背面射出成形した後に実施することが好ましい。
【0162】
この放射線硬化は、高エネルギーの光、例えばUV光又は電子線を用いて実施する。この放射線硬化は、高温で実施してよい。この場合、放射線硬化性結合剤のTgより大きい温度が好ましい。
【0163】
放射線硬化は、波長範囲λ=200〜700nmの電磁放射線及び/又は粒子線、好ましくはUV光及び/又は150〜300keVの電子線、特に好ましくは放射線量が少なくとも80mJ/cm2、好ましくは80〜3000mJ/cm2の放射線による重合可能な化合物のラジカル重合である。
【0164】
放射線硬化の他に、更なる硬化機構、例えば熱硬化、湿分硬化、化学硬化及び/又は酸化硬化が伴っていてよい。
【0165】
この被覆材は、種々の噴霧法、例えば、1又は2成分噴霧装置の使用下での空気圧噴霧法、無気噴霧法又は静電噴霧法により施与してよいが、噴霧、こて塗、ナイフ塗布、はけ塗、ロール塗、圧延、注型、成層、背面射出成形又は同時押出によって、一回又は複数回施与してもよい。
【0166】
この被覆物の厚さは、一般的に、約3〜約1000g/m2、好ましくは10〜200g/m2の範囲内である。
【0167】
この被覆物の乾燥及び硬化は、一般的には、通常の温度条件下で、すなわちこの被覆物を加熱することなく実施する。しかしながら、本発明にかかる混合物は、施与の後に温度を高めて、例えば40〜250℃、好ましくは40〜150℃、特に好ましくは40〜100℃で乾燥及び硬化する被覆物の製造に使用することができる。これは、基材の熱安定性により制限される。
【0168】
更に、本発明にかかる被覆材料又はかかる材料を含有する塗料配合物を、場合により熱硬化性樹脂に添加し、それを基材上に施与し、乾燥させ、次いで酸素含有雰囲気又は好ましくは不活性ガス下で場合により乾燥温度までの温度で電子線又はUV露光を用いて硬化させる、基材を被覆する方法を開示する。
【0169】
基材を被覆する方法は、本発明にかかる被覆材料又は塗料配合物の施与の後に、最初に酸素又は好ましくは不活性ガス下で電子線又はUV露光を用いて照射させ、前硬化を達成し、次いで160℃まで、好ましくは60〜160℃の温度で加熱処理し、次いで酸素又は好ましくは不活性ガス下で電子線又はUV露光を用いて最終硬化させるように実施することもできる。
【0170】
場合により、この被覆材の複数の層を相互に塗布する場合には、それぞれの被覆工程の後に、乾燥及び/又は放射線硬化を実施する。
【0171】
この放射線硬化のための放射線源としては、例えば、光開始剤を用いず放射線硬化が可能な、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ並びに蛍光灯、パルスランプ、メタルハライドランプ、閃光装置又はエキシマーランプが好適である。この放射線硬化は、高エネルギー放射線、すなわちUV放射線又は日光、好ましくは波長範囲λ=200〜700μm、特に好ましくはλ=200〜500μm、殊に好ましくはλ=250〜400μmの光の作用によってか又は高エネルギー電子(電子線;150〜300keV)での放射線放射によって実施する。放射線源としては、例えば高圧水銀蒸気灯、レーザー、パルス灯(閃光)、ハロゲン灯又はエキシマーランプを利用する。UV硬化の際に慣用的に架橋に十分な放射線量は、80〜3000mJ/cm2の範囲内である。
【0172】
この硬化に、複数の、例えば2〜4個の放射線源を使用可能であることは勿論である。
【0173】
これらは、それぞれ種々の波長範囲で放射することもできる。
【0174】
乾燥及び/又は加熱処理は、この加熱処理に加えて又はその代わりにNIR放射線によって実施してもよく、その際、NIR放射線は、波長範囲760nm〜2,5μm、好ましくは900〜1500nmである電磁放射線である。
【0175】
この放射線放射は、場合により、酸素不存在下で、例えば不活性ガス雰囲気下で実施してもよい。不活性ガスとしては、特に窒素、希ガス、二酸化炭素又は燃焼ガスが好適である。更に、この放射は、被覆材料を透明媒質で被覆することによって実施してよい。透明媒質は、例えばプラスチックフィルム、ガラス又は液体、例えば水である。放射線照射は、DE−A119957900号に記載されているように行うことが特に好ましい。
【0176】
付加的な熱架橋に作用する架橋剤、例えばイソシアネートも含まれる場合には、例えば、放射線硬化と同時に又はその後にこの熱架橋を温度を150℃まで、好ましくは130℃まで高めることによって実施してよい。
【0177】
使用分野及び利点
このフィルムは、成形体の被覆に使用することができる。この場合、任意の成形体を利用することができる。このフィルムを、極めて良好な表面特性、良好な耐候性並びに良好な耐UV性が重要である成形体の被覆に使用することが特に好ましい。更に、得られた表面は、極めて大きい耐引掻性及び付着強度を示し、そうして引掻によるこの表面の破壊又は表面の剥離が確実に回避される。従って、構造物の外側での屋外領域の使用のための成形体は、好ましい使用分野である。特に、このフィルムを自動車の被覆に使用し、例えば泥よけ、ドアトリムパネル、バンパー、スポイラー、スカート並びに外部ミラーが挙げられる。
【0178】
本発明の利点は、本発明にかかる被覆材料は、組成に応じて、高い硬度と同時に高い弾性を有するということであり、このことにより、かかる被覆材料が、強い負荷に曝されるにもかかわらず裂けてはならない塗装に特に好適なものになる。この例は、バンパー、スポイラー又は靴吊り上の塗装である。
【0179】
他の本発明にかかる組成物は、認容され得る弾性で顕著に大きい硬度を有し、これによりこれらの組成物は、わずかに負荷を受ける大きい表面上の塗装、例えば自動車の屋根、ボンネット又はドアの場合に特に好適なものになる。
【0180】
本明細書中においては、使用されるppmの記載及び%の記載は、特に記載がない限り、質量%及び質量ppmを示す。
【0181】
以下の実施例は本発明を説明するものであるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0182】
実施例
以下の化合物を使用した:
イソシアヌレート(Fa.BASF社製のBasonat(登録商標) HI100):DIN EN ISO11909によるNCO−含有率が21.5〜22.5%であるヘキサメチレンジイソシアネートをベースとするポリイソシアネート(イソシアヌレート)
ビウレット(Fa.BASF社製のBasonat(登録商標))HB100):DIN EN 11909によるNCO−含有率が22〜23%であるヘキサメチレンジイソシアネートをベースとするポリイソシアネート(ビウレット)
イソシアヌレート(Fa.Degussa社製のVestanat(登録商標)T1890):DIN EN ISO11909によるNCO−含有率が11.7〜12.3%であるイソホロンジイソシアネートをベースとするポリイソシアネート(イソシアヌレート)
Lupraphen(登録商標)VP9327:BASF AG社製、平均モル質量が800g/モルであるアジピン酸/シクロヘキサンジメタノール/イソフタル酸からのポリスチレン、ペンタエリトリトールトリ−及び−テトラアクリレート混合物、Firma UCB社の市販製品、OH数103mgKOH/g
WO00/39183号第24頁第1表に記載されたヘキサメチレンジイソシアネート及びヒドロキシエチルアクリレートからのアロファネート。
【0183】
実施例1
ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキサン)−イソプロピリデン及びLupraphen(登録商標)VP9327を、ヒドロキシエチルアクリレート及びペンタエリトリトール−トリ/テトラ−アクリレート中に、60℃で撹拌しつつ粗く分散させた。この懸濁液に、イソシアネート、ヒドロキノンモノメチルエーテル、1,6−ジ−t−ブチル−パラ−クレゾール及びブチルアセテートを添加した。ジブチルスズジラウレートを添加した後に、このバッチは熱くなった。内部温度75℃で、反応混合物のNCO−値が実質的にもはや変化しなくなるまで数時間にわたって撹拌した。次いで、NCO−値が0%になるまでメタノールを添加した。
【0184】
この組成は、以下のとおりであった:
ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキサン)−イソプロピリデン 94.88g(30モル%OH)
Lupraphen(登録商標)VP9327 105.50g(10モル%OH)
ヒドロキシエチルアクリレート 79.75g(27.5モル%OH)
ペンタエリトリトール−トリ/テトラ−アクリレート 389.13g(27.5モル%OH)
イソシアヌレート(HDIをベースとする) 262.08g(55モル%NCO)
イソシアヌレート(IPDIをベースとする) 273.15g(45モル%NCO)
ヒドロキノンモノメチルエーテル 0.602g(固体に対して0.05%)
1,6−ジ−t−ブチル−パラ−クレゾール 1.204g(固体に対して0.1%)
ブチルアセテート 516.21g(70%固体)
ジブチルスズジラウレート 0.241g(固体に対して0.02%)
メタノール 10.65g(5モル%OH)。
【0185】
未硬化の結合剤の特性:
Tg=18.3℃、η=40〜50Pa・s/室温、二重結合密度=2.56モル/kg(100%)。
【0186】
硬化した透明塗料の特性:
AMTEC−Kistler試験法による相対的な残留光沢値57.40%。
【0187】
実施例2
ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキサン)−イソプロピリデンを、ヒドロキシエチルアクリレート及びペンタエリトリトール−トリ/テトラ−アクリレート中に、60℃で撹拌しつつ粗く分散させた。この懸濁液に、イソシアネート、ヒドロキノンモノメチルエーテル、1,6−ジ−t−ブチル−パラ−クレゾール及びブチルアセテートを添加した。ジブチルスズジラウレートを添加した後に、このバッチは熱くなった。内部温度75℃で、反応混合物のNCO−値が実質的にもはや変化しなくなるまで数時間にわたって撹拌した。次いで、NCO−値が0%になるまでメタノールを添加した。
【0188】
ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキサン)−イソプロピリデン 63.25g(40モル%OH)
ヒドロキシエチルアクリレート 39.88g(27.5モル%OH)
ペンタエリトリトール−トリ/テトラ−アクリレート 194.81g(27.5モルOH)
イソシアヌレート(HDIをベースとする) 89.34g(37.5モル%NCO)
ビウレット(HDIをベースとする) 92.87g(37.5モル%NCO)
イソシアヌレート(IPDIをベースとする) 75.88g(25モル%NCO)
ヒドロキノンモノメチルエーテル 0.278g(固体に対して0.05%)
1,6−ジ−t−ブチル−パラ−クレゾール 0.556g(固体に対して0.1%)
ブチルアセテート 238.30g(70%固体)
ジブチルスズジラウレート 0.222g(固体に対して0.04%)
メタノール 4.46g(5モル%OH)。
【0189】
未硬化の結合剤の特性:
Tg=13.2℃、η=47Pa・s/室温、二重結合密度=2.8モル/kg(100%)。
【0190】
硬化した透明塗料の特性:
AMTEC−Kistler試験法による相対的な残留光沢値57.00%。
【0191】
実施例3
ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキサン)−イソプロピリデンを、ヒドロキシエチルアクリレート及びペンタエリトリトール−トリ/テトラ−アクリレート中に、60℃で撹拌しつつ粗く分散させた。この懸濁液に、イソシアネート、ヒドロキノンモノメチルエーテル、1,6−ジ−t−ブチル−パラ−クレゾール及びブチルアセテートを添加した。ジブチルスズジラウレートを添加した後に、このバッチは熱くなった。内部温度75℃で、反応混合物のNCO−値が実質的にもはや変化しなくなるまで数時間にわたって撹拌した。次いで、NCO−値が0%になるまでメタノールを添加した。
【0192】
ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキサン)−イソプロピリデン 40モル%OH
ヒドロキシエチルアクリレート 27.5モル%OH
ペンタエリトリトール−トリ/テトラ−アクリレート 27.5モル%OH
HDI及びHEAからのアロファネート 55モル%NCO
イソシアヌレート(IPDIをベースとする) 45モル%NCO
ヒドロキノンモノメチルエーテル 固体に対して0.05%
1,6−ジ−t−ブチル−パラ−クレゾール 固体に対して0.1%
ブチルアセテート 70%固体
ジブチルスズジラウレート 固体に対して0.04%
メタノール 5モル%OH。
【0193】
未硬化の結合剤の特性:
Tg=11.3℃、η=6.6Pa・s/室温、二重結合密度(理論値)=4.41モル/kg(100%)。
【0194】
二重結合密度(理論値)=4.41モル/kg(100%)
二重結合密度(水素化ヨウ素数)=77gヨウ素/100g(3.03モル/kg(70%)に相当)、すなわち4.33モル/kg(100%)。
【0195】
この水素化ヨウ素数の決定のために、試料を氷酢酸中に溶解させ、そして30℃でかつBaSO4に担持されたパラジウム上で水素化した。このヨウ素数及び二重結合密度は、水素の吸収度から算出する。
【0196】
硬化した透明塗料の特性:
AMTEC−キスラー(Kistler)試験法による相対的な残留光沢値52.6%。
【0197】
比較例
WO00/63015号からの実施例1に従い、相対的な残留光沢値を測定した。
【0198】
35%以下の値が測定された。適用例
振子減衰値、エリクセン押出値及び耐引掻性の使用技術特性の測定
振子減衰値の測定を、DIN53157と同様に実施した。このために、未乾燥皮膜の厚さが400μmの放射線硬化性組成物をガラス上に施与した。この未乾燥皮膜を最初に15分にわたって室温で空気に曝し、次いで20分にわたって100℃で乾燥させた。このように得られた皮膜の硬化を、2つのUVランプ(高圧水銀灯M400U2H型及びM400U2HC型)を備え、かつ窒素雰囲気(O2≦500ppm)下でベルトコンベア速度10m/分であるIST被覆装置(M402×1−R−IR−SLC−So inert型)上で実施した。
【0199】
放射線量は、約1900mJ/cm2であった。振子減衰値は、被覆物の硬度の基準である。この値が高ければ、硬度が大きいことを意味する。
【0200】
エリクセン押出値の測定を、DIN53156と同様に実施した。このために、箱型ドクター(Kastenrakel)を用いて、未乾燥皮膜の厚さが200μmであるそれぞれの本発明にかかる調製物を、BONDER板132上に施与した。硬化のために、上述のように露光させた。次いで、エリクセン押出値を、この板の被覆されていない面に金属球を押付けることによって測定した。このエリクセン押出値は、可撓性及び弾性の基準である。このエリクセン押出値は、ミリメートル(mm)で示す。この値が高ければ、可撓性が大きいことを意味する。
【0201】
耐引掻性の測定を、空調室内での7日間の貯蔵によるScotch−Brite試験により実施した。Scotch−Brite試験においては、供試体として、3×3cmの大きさの炭化ケイ素で改質された不織布(Scotch Brite SUFN Firma 3M社)を円筒上に固定した。この円筒は250gで不織布を被覆物に押付け、そしてこれをこの被覆物上を空気圧で移動させる。変位距離は7cmである。10回若しくは50回の往復工程(DH)の後に、応力の中央範囲において光沢を、DIN67530と同様に入射角20゜で測定する(8回測定)。残留光沢値(%)は、負荷後の光沢と最初の光沢との比からもたらされる。50回の往復工程の後に、ベンジンを染みこませた軟質布を用いて2回軽く拭き取り、そして再び残留光沢値を測定する。
【0202】
放射線硬化性材料の製造を、実施例1〜3において得られたウレタンアクリレート100質量部と、Firma Ciba Spezialitetenchemie社製のIrgacure(登録商標)184(市販の光開始剤)4質量部とを強力に混合することによって実施した。比較例として、WO00/63015号からの実施例1を利用した。
【0203】
【表1】

【0204】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの基層と、少なくとも1つのカバー層とからの放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルムを成形部品の被覆に用いる使用において、前記カバー層は、結合剤を含有する放射線硬化性材料からなり、前記結合剤は、ガラス転移温度が50℃未満であり、かつエチレン性不飽和基の含有量が前記結合剤1kg当たり2モルより大きいことを特徴とする使用。
【請求項2】
カバー層が透明である、請求項1に記載の放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルムの使用。
【請求項3】
結合剤が、構成成分として少なくとも1種の脂環式イソシアネートを含有する少なくとも1種のウレタン(メタ)アクリレートを含有する、請求項1又は2に記載の放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルムの使用。
【請求項4】
結合剤が、構成成分としてイソホロンジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネートを含有する少なくとも1種のウレタン(メタ)アクリレートを含有する、請求項1又は2に記載の放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルムの使用。
【請求項5】
基層とカバー層との間に、着色中間層が更に存在する、請求項1から4までの何れか1項に記載の放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルムの使用。
【請求項6】
着色中間層とカバー層との間に、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリロニトリルエチレンプロピレンジエンスチレンコポリマー(A−EPDM)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル又はこれらの混合物からの層が更に存在する、請求項1から5までの何れか1項に記載の放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルムの使用。
【請求項7】
放射線硬化性材料が、モル質量が2000g/モルより大きいエチレン性不飽和基を有するポリマーを、場合により、このポリマーと、このポリマーとは異なるモル質量が2000g/モル未満のエチレン性不飽和の低分子化合物との混合物で、及び/又は飽和の熱可塑性ポリマーとエチレン性不飽和化合物との混合物を含有する、請求項1から6までの何れか1項に記載の放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルムの使用。
【請求項8】
基層が、熱可塑性ポリマー、特にポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレンポリマー(ABS)、アクリルスチレンアクリロニトリルコポリマー(ASA)、アクリロニトリルエチレンプロピレンジエンスチレンコポリマー(A−EPDM)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル又はこれらの混合物からの層である、請求項1から7までの何れか1項に記載の放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルムの使用。
【請求項9】
放射線硬化性材料が、硬化性基を1個のみ有する化合物を10質量%以下で含有することを特徴とする、請求項1から8までの何れか1項に記載の放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルムの使用。
【請求項10】
被覆された成形部品、特に自動車部品の製造方法において、請求項1から9までの何れか1項に記載の放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルムを成形部品上に接着させ、次いでこのカバー層を放射線によって硬化させることを特徴とする方法。
【請求項11】
プラスチック製の被覆された成形部品、特に自動車部品の製造方法において、請求項1から9までの何れか1項に記載の放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルムを深絞り成形機内で深絞り成形し、そしてこの基層の裏側にプラスチック材料を背面射出成形し、この深絞り成形工程の後か又は背面射出成形の後に、このカバー層の放射線硬化を実施することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の方法により得られる、被覆された成形部品。
【請求項13】
少なくとも1つの基層と、結合剤を含有する放射線硬化性材料からなる少なくとも1つのカバー層とからなり、前記結合剤は、ガラス転移温度が50℃未満であり、かつエチレン性不飽和基の含有量が前記結合剤1kg当たり2モルより大きい放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルムであって、前記基層と前記カバー層との間に、着色中間層が更に存在することを特徴とする放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルム。
【請求項14】
着色中間層とカバー層との間に、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリロニトリルエチレンプロピレンジエンスチレンコポリマー(A−EPDM)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル又はこれらの混合物からの層が更に存在する、請求項13に記載の放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルム。
【請求項15】
放射線硬化性材料が、モル質量が2000g/モルより大きいエチレン性不飽和基を有するポリマーを、場合により、このポリマーと、このポリマーとは異なるモル質量が2000g/モル未満のエチレン性不飽和の低分子化合物との混合物で、及び/又は飽和の熱可塑性ポリマーとエチレン性不飽和化合物との混合物を含有する、請求項13又は14に記載の放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルム。
【請求項16】
放射線硬化性材料が、硬化性基を1個のみ有する化合物を10質量%以下で含有することを特徴とする、請求項13から15までの何れか1項に記載の放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルム。
【請求項17】
結合剤が、構成成分として少なくとも1種の脂環式イソシアネートを含有する少なくとも1種のウレタン(メタ)アクリレートを含有する、請求項13から16までの何れか1項に記載の放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルム。
【請求項18】
結合剤が、構成成分としてイソホロンジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネートを含有する少なくとも1種のウレタン(メタ)アクリレートを含有する、請求項13から16までの何れか1項に記載の放射線硬化性の複合層シート又は複合層フィルム。

【公表番号】特表2007−522972(P2007−522972A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500112(P2007−500112)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001672
【国際公開番号】WO2005/080484
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】