説明

放水銃

【課題】使用者の意図しない放水を防ぎ、迅速かつ円滑な消火活動を実現し得る放水銃を提供すること。
【解決手段】内部に形成された流路121を介して消火水を放水口130から放水するノズル本体100と、ノズル本体100の下部に設けられた把手部200と、把手部200の上方に、ノズル本体100に対して前後回動自在に配置され、流路121を開閉するための流路開閉レバー300と、流路開閉レバー300の回動により流路121を開閉する開閉弁400と、開閉弁400が流路121を閉じた状態で流路開閉レバー300の回動を禁止するロック機構450と、を備え、流路開閉レバー300に、ロック機構450を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放水銃のロック機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、火災時において使用される放水銃として、種々のものが考案されている。例えば、特許文献1には、内部に形成された流路を介して消火水を放水口から放水するノズル本体と、ノズル本体の把手部と、回動自在に配置された流路開閉レバーと、流路開閉レバーの回動により流路を開閉する開閉弁を備えた放水銃が開示されている。
【0003】
この技術は、ノズル本体に給水ホースが連結されており、ノズル本体内部の流路を介して先端の放水口から消火水を放水するものである。かかる放水銃の使用に際しては、一方の手で把手部を持ち、他方の手で流路開閉レバーの操作を行うことにより放水口からの放水を行い、火災現場での消火作業を行う。
【特許文献1】特開平1−314580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、かかる放水銃は、放水銃を持ち火災現場に至る途中で、流路開閉レバーの誤操作を行ったり、あるいは他の障害物と流路開閉レバーが接触することにより意図しない放水が行われてしまうという欠点を有していた。
【0005】
従って、消防士は、火災現場における流路開閉レバーの誤操作を防止すべく放水銃の取扱いに細心の注意を払わなければならず、消火作業を円滑に行うことができなかった。
【0006】
そこで、本願発明は、使用者の意図しない放水を防ぎ、迅速かつ円滑な消火活動を実現し得る放水銃を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、内部に形成された流路を介して消火水を放水口から放水するノズル本体と、前記ノズル本体の下部に設けられた把手部と、前記把手部の上方に、前記ノズル本体に対して前後回動自在に配置され、前記流路を開閉するための流路開閉レバーと、前記流路開閉レバーの前記回動により前記流路を開閉する開閉弁と、前記開閉弁が前記流路を閉じた状態で前記流路開閉レバーの前記回動を禁止するロック機構と、を備え、前記流路開閉レバーに、前記ロック機構を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ロック機構は、前記流路開閉レバーの前記回動を禁止する回動禁止手段と、前記回動禁止手段による前記流路開閉レバーの前記回動禁止を解除する操作部と、を備え、前記流路開閉レバーを前後回動する際に、前記流路開閉レバーと共に把持される位置に前記操作部を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記ロック機構は、前記操作部と前記回動禁止手段との間に配置され、前記操作部における解除操作を前記回動禁止手段に伝達するリンク機構を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、内部に形成された流路を介して消火水を放水口から放水するノズル本体と、ノズル本体の下部に設けられた把手部と、把手部の上方に、ノズル本体に対して前後回動自在に配置され、流路を開閉するための流路開閉レバーと、流路開閉レバーの回動により流路を開閉する開閉弁と、開閉弁が流路を閉じた状態で流路開閉レバーの回動を禁止するロック機構と、を備え、流路開閉レバーに、ロック機構を設けたので、放水銃を持ち火災現場に至る途中で、流路開閉レバーの誤操作を行ったり、あるいは他の障害物と流路開閉レバーが接触することにより意図しない放水が行われてしまうことを防止することができ、安全性を向上することができる。さらに、消防士は、火災現場における流路開閉レバーの誤操作を防止すべく放水銃の取扱いに細心の注意を払う必要がなくなり、消火作業を円滑に実施することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ロック機構は、流路開閉レバーの回動を禁止する回動禁止手段と、回動禁止手段による流路開閉レバーの回動禁止を解除する操作部と、を備え、流路開閉レバーを前後回動する際に、流路開閉レバーと共に把持される位置に操作部を設けたので、流路開閉レバーの開閉動作の操作性を損なうことなく、簡易な構造により流路開閉レバーの誤操作を防止することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、ロック機構は、操作部と回動禁止手段との間に配置され、操作部における解除操作を回動禁止手段に伝達するリンク機構を有するので、操作部の押圧による力を任意の方向に変えて回動禁止手段に伝達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる放水銃1の構成を示す図であり、図2は、その正面図であり、図3は、図1に示す放水銃1のA−A断面図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、放水銃1は、ホースに連結され消火水を放水するためのノズル本体100と、ノズル本体100を保持し把手するための把手部200と、ノズル本体に対して前後回動自在に配置され、流路を開閉するための流路開閉レバー300を有している。
【0015】
まず、ノズル本体100の構成について説明する。ノズル本体100は、ホース側と着脱可能に連結されるコネクタ部110と、コネクタ部110に連接する中空状のケーシング部120と、先端から消火水を高圧噴射する放水口130とを有している。
【0016】
このコネクタ部110は、図示しない給水ホースに接続されるものであり、給水ホースの先端に取り付けられた雄型コネクタ部111を差し込むことにより給水ホースと連結される。コネクタ部110としては、例えば、ホース用カップリングが用いられる。
【0017】
放水口130は、放水範囲を可及的に拡げられるように、先端部へ向けて拡がるラッパ形状を有しており、内部には、タービン形状のティース部131を有している。ティース部131は、放水口130を回動操作することにより、放水の状態を棒状、噴霧状に切り替えることができるように構成されている。
【0018】
ケーシング部120は、中空状の内部に形成された流路121を有しており、コネクタ部110より供給された消火水を放水口130に向かって流すように構成されている。ケーシング部120の放水口130側の端部には、放水口130へ流す消火水の流量を調整するための流量調整絞り122が設けられており、ケーシング部120と放水口130は、流量調整絞り122を介して接続されている。流路121は、流量調整絞り122を回動操作することにより流路幅を増減し得るように構成されており、かかる流路幅の増減により消火水の流量を調整し得るようになっている。
【0019】
次に、把手部200の構成について説明する。把手部200は、ケーシング部120の下部から斜め下方へ向けて延伸しており、その表面には、複数の滑り止め用の溝204が形成されている。把手部200の放水口130側の側面には、所定の間隔を置いて所定の曲率を有する突起部201が形成され、突起部201は、把手部200を把握したときに、指間に狭持されるようになっている。一方、把手部200のコネクタ部110側には、上下に凹部202と、凸部203が所定の曲率で形成されており、把手部200を把握したときに、凹部202は、親指の位置決めをし、凸部203は、掌の位置決めができるようになっている。
【0020】
また、本実施形態に係る放水銃は、流路121を開閉する開閉弁400を有している。開閉弁400は、図3に示すように、把手部200(図1参照。)の基端部よりも上方であって、ケーシング部120内部の流路121の中途位置に設置されている。開閉弁400は、外観視略球形状を成し、流路121の長手方向に対峙するように配置された、図示しない一対のシートパッキンの間で狭持された状態で、回転可能に係合されている。開閉弁400は、流入口側と流出口側とを連通させる連通孔401が軸心に穿設され、連通孔401の軸心は、開閉弁400を開いた状態で、流路121の軸心と一致するようになっている。したがって、開閉弁400が流路121を閉じた状態(以下、閉弁状態という。)では、流路121は、開閉弁400によって遮断され、開閉弁400が流路121を開けた状態(以下、開弁状態という。)では、流路121は、開閉弁400の連通孔401を介して連通されるようになっている。
【0021】
開閉弁400には、直径方向の両端部に一対の角穴402,402を貫通しており、一対の角穴402,402には、流路開閉レバー300と開閉弁400を連結するための一対の弁軸403,403の角状端部404,404が嵌合されている。弁軸403,403は、ケーシング部120に穿設された軸受け穴123へそれぞれ回動自在に挿通され、ケーシング部120の外部へ突出している。
【0022】
次に、流路開閉レバー300の構成について説明する。流路開閉レバー300は、把手部200の上方に設置され、外観視略コ字状を成し、流路開閉レバー300を把持するための把持部301と、把持部301の両端から下方に延伸する左側足部302及び右側足部303を有している。把持部301は、消防用手袋をした消防士の手で把持できるように、ノズル本体100の長手方向と直行する方向に所定の長さを持って形成されている。足部302,303は、把持部301からノズル本体100側に所定の距離だけ互いに平行に伸延し、その中途で互いの間隔を除々に狭めるように傾斜した後、再びノズル本体100側に所定の距離だけ互いに平行に伸延してケーシング部120を狭持するように構成されている。足部302,303の下端部304,305には、弁軸403,403が挿通、嵌合されている。したがって、図1に示すように、流路開閉レバー300は、弁軸403,403を回転軸として、ノズル本体100に対して前後回動自在に配置されている。流路開閉レバー300が図1に示す実線の位置にある場合には、開閉弁400は、閉弁位置となり、流路開閉レバー300が、実線の位置から後方に90度回転して図1に示す破線の位置にある場合には、開閉弁400は、開弁位置となるようになっている。
【0023】
流路開閉レバー300には、図3に示すように、開閉弁400が流路121を閉じた状態で流路開閉レバー300の回動を禁止するロック機構450が設けられている。ロック機構450は、上方から原動体451と、連杆461と、従動体471と、掛止ピン481から構成されている。流路開閉レバー300内には、ロック機構450の形状に対応した溝350が形成されており、ロック機構450は、溝350に沿って収納されている。かかる構成とすることにより、ロック機構450を設けるスペースを別に確保する必要がなくなり、流路開閉レバー300の操作性を損なうことなく装置全体の構成をコンパクト化することができる。また、ロック機構450の外観は、流路開閉レバー300によって概して覆い隠されて、ロック機構450が流路開閉レバー300から露出する範囲を、最小限に抑えることができるので、意匠性を向上することができる。
【0024】
原動体451は、外観視略L字形状を成し、L字の折り返し点において、把持部301と左側足部302とが連接する点に固定支持された第1支点420を中心として回動自在となるように溝350に設置されている。原動体451は、第1支点420を挟んで把持部301側に、把持部301を把持する際に、把持部301と共に把持されることにより、図中矢印P1の方向に押圧され、操作される操作部452を有している。操作部452は、後述する回動禁止手段による流路開閉レバー300の回動禁止を解除するように構成されている。
【0025】
操作部452は、外観視略凸形状を成し、操作部452の押圧される側の面は、水平面453を形成し、水平面453の両側の面は傾斜面となり、左側傾斜面454と、右側傾斜面455を形成している。操作部452の水平面453と反対側の端面は溝350内に収納され、水平面453は、溝350外に露出している。よって、操作部452は、流路開閉レバー300の把持部301と共に把持し易くなり、把持した際に、指で水平面453を矢印P1の方向に押圧するだけで操作されるため、流路開閉レバー300及びロック機構450の操作性を向上することができる。
【0026】
また、傾斜面454,455の端部において、操作部452と把持部301との間で、左側凹部456及び右側凹部457を形成している。したがって、操作部452に指以外の他の異物が接触した場合であっても、異物は、傾斜面454,455を介して、左側凹部456又は右側凹部457に案内されるので、異物により操作部452が誤操作されるのを防ぐことができる。
【0027】
操作部452の第1支点420と反対側の端部は、把持部301に内蔵された付勢手段としてのスプリング458により付勢されており、原動体451は、スプリング458により反時計方向に付勢されるようになっている。したがって、原動体451を第1支点420を中心に時計方向に回動した後も、原動体451は、スプリング458により反時計方向に付勢され、元の位置に復元できるように構成されている。原動体451の第1支点420を挟んで操作部452と反対側の端部には、第1回転軸421を介して連杆461が回動自在に取り付けられ、連杆461には、第2回転軸422を介して従動体471が回動自在に取り付けられている。
【0028】
従動体471は、外観視略く字状から成り、左側足部302の略中央位置に固定支持された第2支点423を中心として回動自在となるように溝350に設置されている。従動体471の第2支点423を挟んで第2回転軸422と反対側の端部には、掛止ピン481が連接されている。ここで、ケーシング部120には、掛止ピン481の形状に対応する位置に、掛止用穴124が穿設され、掛止ピン481は、掛止用穴124に抜差可能となっている。
【0029】
操作部452が押圧されず、操作されていない状態では、原動体451は、スプリング458により第1支点420を中心に反時計方向に付勢されており、掛止ピン481は、掛止用穴124に挿入され、掛止されるように構成されている。かかる状態では、流路開閉レバー300は、図1に示す実線で示す位置に固定され、弁軸403を中心とした後方への回動が禁止されるようになっている。
【0030】
一方、操作部452が図中の矢印P1方向へ押圧されて、原動体451が第1支点420を中心に時計方向に回動すれば、連杆461を介して、従動体471は、第2支点423を中心に反時計方向に回動する。従動体471が反時計方向に回動すれば、掛止ピン481は、図中の矢印P2の方向に力を受け、掛止用穴124から引き抜かれる。かかる状態では、流路開閉レバー300は、図1に示す実線の位置から弁軸403を中心として後方に90度回転して破線の位置へ回動することができるようになっている。この場合に、掛止ピン481及び掛止用穴124は、流路開閉レバー300の回動を禁止する回動禁止手段として機能する。また、連杆461と従動体471は、操作部452の押圧による力を回動禁止手段に伝達するリンク機構として機能する。
【0031】
この発明の実施例は以上のように構成されており、実際に使用する場合の手順及び動作を説明する。
【0032】
図1に示すように、消防士が放水銃1を持ち火災現場へ向かう場合には、流路開閉レバー300は、実線で示す位置にあり、開閉弁400は閉弁位置にある。この際、図3に示すように、掛止ピン481は、掛止用穴124に挿通され、掛止されているので、流路開閉レバー300は、実線で示す位置に固定され、弁軸403を中心とした後方への回動が禁止されている。
【0033】
消防士が放水を開始するには、まず片手で把手部200を握り放水銃1を支持して放水対象に狙いを定めた後、他方の手で流路開閉レバー300の把持部301を把持する。この際、図3に示すように、操作部452が、スプリング458の付勢力に抗して押圧されることにより、原動体451は、第1支点420を中心に時計方向に回動する。同時に、操作部452を押圧する力は、連杆461を介して従動体471に伝達される。従動体471は、第2支点423を中心に反時計方向に回動し、掛止ピン481は、掛止用穴124から引き抜かれて、流路開閉レバー300の回動禁止が解除される。
【0034】
次に、流路開閉レバー300を手前に引き、図1に示す実線の位置から弁軸403を中心に後方に90度回転して破線の位置へ回動すれば、開閉弁400は、開弁位置となり、流路121は、開閉弁400の連通孔401を介して連通される。このとき、消火水は、流路121を介して放水口130から放水される。
【0035】
放水を停止する場合には、流路開閉レバー300を、図1に示す破線の位置から弁軸403を中心に前方に90度回転して実線の位置へ回動すれば、開閉弁400は、閉弁位置となり、流路121は、開閉弁400によって遮断される。このとき、図3に示すように、操作部452が、スプリング458により付勢されることにより、原動体451は、第1支点430を中心に反時計方向に回動し、掛止ピン481は、再び掛止用穴124に挿通され、掛止されることとなる。
【0036】
したがって、放水銃1を持ち火災現場に至る途中で、流路開閉レバー300の誤操作を行ったり、あるいは他の障害物と流路開閉レバー300が接触することにより意図しない放水が行われてしまうことを防止することができ、安全性を向上することができる。
【0037】
よって、消防士は、火災現場における流路開閉レバー300の誤操作を防止すべく放水銃1の取扱いに細心の注意を払う必要がなくなり、消火作業を円滑に実施することができる。
【0038】
図4は、本発明に係る放水銃1の第2実施形態を示している。第2実施形態においては、ロック機構450の構成態様が第1実施形態と異なるが、その他の構成は同様であるため、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0039】
第2実施形態に係る放水銃1は、一対のロック機構450,450を左右対称となるように配置している。一対の操作部452,452は、紙面の手前方向と奥行方向に交互に配置されるように構成されており、それぞれの操作部452,452の略中央位置において、一対のスプリング458,458により付勢されるようになっている。なお、図4においては、一対のスプリング458,458のうち、紙面の手前方向に位置するものだけが図示されおり、紙面の奥行き方向に位置するものは図示されていない。
【0040】
かかる構成の下、一対の操作部452,452が同時に操作された場合にだけ、一対の掛止ピン481,481が、一対の掛止用穴124,124から同時に引き抜かれるようになっている。
【0041】
したがって、操作部452に指以外の他の異物が接触した場合であっても、流路開閉レバー300は容易に回動し難くなり、より一層の安全性の向上を図ることができる。
【0042】
図5は、本発明に係る放水銃1の第3実施形態を示している。第3実施形態においては、流路開閉レバー300の構成態様が第1実施形態と異なるが、その他の構成は同様であるため、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0043】
第3実施形態に係る放水銃1は、左側足部302と右側足部303との間で、かつ、操作部452から所定の距離を置いた位置に、操作部452の誤操作を防止するための誤操作防止部材310を架設している。誤操作防止部材310と操作部452との間の所定の距離は、消防用手袋を装着した指が入る距離よりもやや大きくなるように設定されている。
【0044】
かかる構成により、流路開閉レバー300とケーシング部120との間に、指以外の他の異物が進入しようとしても、誤操作防止部材310が異物の進入を阻止するので、操作部452の誤操作を防止することができる。
【0045】
図6は、本発明に係る放水銃1の第4実施形態を示している。第4実施形態においては、ロック機構450の構成態様が第1実施形態と異なるが、その他の構成は同様であるため、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0046】
第4実施形態に係る放水銃1は、ロック機構450に加えて、第2ロック機構500を有している。第2ロック機構500は、右側足部303の略中央位置に配置された支持部501と、支持部501から左側足部304に向かって伸延する腕部502を有している。
【0047】
支持部501は、右側足部303の略中央位置に固定支持された第3支点424を中心に回動自在に配置されている。また、支持部501は、右側足部303に内蔵されたスプリング459により、第3支点424を中心に反時計方向に付勢されている。
【0048】
腕部502は、操作部452に向かって湾曲するく字形状を成し、腕部502と操作部452が最も接近する位置において、腕部502と操作部452との間の距離は、消防用手袋を装着した指が入る距離よりもやや狭く設定してある。腕部502の先端503は、従動体471の連杆461側に形成され凸部472に当接するように配置され、従動体471の第2支点423を中心とした反時計方向の回動を禁止している。
【0049】
かかる構成の下で、流路開閉レバー300の把持部301を把持すると、消防用手袋を装着した指により、操作部452は、図中の矢印P1の方向に押圧されると共に、腕部502は、矢印P1とは反対方向である矢印P3の方向に押圧される。これにより、腕部502は、スプリング459の付勢力に抗して、第3支点424を中心に時計方向に回動し、腕部502の先端503は、凸部472に当接しなくなるので、従動体471の第2支点423を中心とした反時計方向の回動が可能となる。
【0050】
一方、上述のように、操作部452が、スプリング458の付勢力に抗して押圧されることにより、原動体451は、第1支点420を中心に時計方向に回動する。同時に、操作部452を押圧する力は、連杆461を介して従動体471に伝達される。従動体471は、第2支点423を中心に反時計方向に回動し、掛止ピン481は、掛止用穴124から引き抜かれ、流路開閉レバー300を回動することが可能となる。
【0051】
このように、操作部452及び腕部502が同時に操作された場合にだけ、流路開閉レバー300を回動することが可能となるので、操作部452又は腕部502の一方に異物が接触しても、流路開閉レバー300が回動することはなく、より一層の安全性の向上を図ることができる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。例えば、回動禁止手段は、掛止ピンを掛止用穴に挿通する構成としたが、弁軸を挟圧して流路開閉レバーの回動を禁止する構成としても良い。また、掛止用穴をケーシング部に複数設けて、流路開閉レバーを段階的に回動できる構成とし、放水開始時の放水量を調整し得る構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態にかかる放水銃の構成を示す図である。
【図2】放水銃の正面図である。
【図3】図1に示す放水銃のA−A断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる放水銃の構成を示す図である。
【図5】本発明の第3実施形態にかかる放水銃の構成を示す図である。
【図6】本発明の第4実施形態にかかる放水銃の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 放水銃
100 ノズル本体
121 流路
124 掛止用穴
200 把手部
300 流路開閉レバー
310 誤操作防止部材
350 溝
400 開閉弁
450 ロック機構
451 原動体
452 操作部
461 連杆
471 従動体
500 第2ロック機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に形成された流路を介して消火水を放水口から放水するノズル本体と、
前記ノズル本体の下部に設けられた把手部と、
前記把手部の上方に、前記ノズル本体に対して前後回動自在に配置され、前記流路を開閉するための流路開閉レバーと、
前記流路開閉レバーの前記回動により前記流路を開閉する開閉弁と、
前記開閉弁が前記流路を閉じた状態で前記流路開閉レバーの前記回動を禁止するロック機構と、を備え、
前記流路開閉レバーに、前記ロック機構を設けたことを特徴とする放水銃。
【請求項2】
前記ロック機構は、
前記流路開閉レバーの前記回動を禁止する回動禁止手段と、
前記回動禁止手段による前記流路開閉レバーの前記回動禁止を解除する操作部と、を備え、
前記流路開閉レバーを前後回動する際に、前記流路開閉レバーと共に把持される位置に前記操作部を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の放水銃。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記操作部と前記回動禁止手段との間に配置され、前記操作部における解除操作を前記回動禁止手段に伝達するリンク機構を有することを特徴とする請求項2に記載の放水銃。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−23174(P2008−23174A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200805(P2006−200805)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(000240673)ヨネ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】