放熱シート、放熱筒状体およびそれらを用いた放熱構造
【課題】放熱シートによる多様な熱の伝播経路を可能にする手段を提供する。
【解決手段】熱伝導性を有する可撓性の熱伝導層のおもて面および裏面に熱放射効果を有する可撓性の熱放射層を形成した放熱シートをU字状または環状に設置して熱の伝播経路を多様化する。
【解決手段】熱伝導性を有する可撓性の熱伝導層のおもて面および裏面に熱放射効果を有する可撓性の熱放射層を形成した放熱シートをU字状または環状に設置して熱の伝播経路を多様化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光部品やパワー半導体等の各種電子部品や電子・電気製品の冷却に用いる放熱シート、放熱筒状体およびそれらを用いた放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の放熱シートは、アルミニウム等の熱伝導性を有する可撓性の薄板からなる熱伝導層のおもて面に、熱放射効果を有する可撓性の熱放射層を形成し、熱伝導層の裏面に熱伝導性接着剤からなる接着層を形成して構成し、これを電子部品等の発熱体に貼付して熱放射層からの熱放射により電子部品等の冷却を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−200199号公報(第3頁段落0008−第4頁段落0016、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、熱伝導層のおもて面に熱放射層を形成し、熱伝導層は発熱体からの吸熱のみに用いて熱放射層からの熱放射のみにより発熱体からの熱を放熱しているため、熱の伝播経路に指向性があり、断熱材等に熱放射層のおもて面が向いてしまうと有効に放熱ができない場合があるという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、多様な熱の伝播経路を可能にする手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するために、熱伝導性を有する可撓性の熱伝導層のおもて面および裏面に熱放射効果を有する可撓性の熱放射層を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
このように、本発明は、熱伝導層のおもて面と裏面に熱放射層を形成するようにしたことによって、放熱シートに伝播した熱を両方の熱放射層から2方向に放射することが可能になり、放熱シートを貼付した電子部品等の発熱体を有効に冷却することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に、図面を参照して本発明による放熱シート、放熱筒状体およびそれらを用いた放熱構造の実施例について説明する。
【実施例1】
【0007】
図1は実施例1を示す断面図、図2は実施例1の放熱構造を示す説明図である。
1は放熱シートである。
2は図1に網掛けを付して示す(他の図において同様)熱伝導層であり、アルミニウムまたはその合金、銅またはその合金等の熱伝導性が良好な金属材料からなる薄板または箔であって、比較的小さな力で撓ませることができる可撓性を有している。
【0008】
3は熱放射層であり、熱伝導層2のおもて面および裏面に形成され、熱を赤外線および/もしくは遠赤外線に変換して放射する熱放射効果を有すると共に比較的小さな力で撓ませることができる可撓性を有している。
このような熱放射層3は、シリコーン樹脂等のバインダに熱放射効果を有する粉体を含有させたセラックα(セラック(株)、商標登録第4577163号)をスプレー等で熱伝導層2のおもて面および裏面に塗布し、この塗膜を乾燥させて形成する。
【0009】
または、ポリイミド等の樹脂フィルムを接着剤等により貼付して形成する。
または、熱伝導層2の材料が銅である場合にそのおもて面を黒化処理して、その材料がアルミニウムである場合にそのおもて面をアルマイト処理して熱伝導層2の表面処理により形成する。
上記例示した材料はいずれも熱放射効果を有する材料である。なお熱放射層3は上記の例に限るものではなく、熱放射効果および可撓性を有する材料であって切断可能な層を形成することができるものであればどのようなものであってもよい。
【0010】
4は図1にハッチングを付して示す(他の図において同様)接着層であり、熱伝導性接着剤のテープまたは熱伝導性物質を混合した熱伝導性接着剤を熱伝導層2の両側の熱放射層3のいずれか一方の外側の面の一部または全部に貼付または塗布して形成する。
図2において、5は冷却する対象となる電子部品等の発熱部品(発熱体という。)であり、基板6に設置され、その表面に放熱シート1が発熱体5の周囲に張出した状態で部分的に設けた接着層4により貼付して設置されている。
【0011】
本実施例の放熱シート1は、可撓性を有する熱伝導層2のおもて面および裏面に可撓性を有する熱放射層3を形成しているので、放熱シート1自体が可撓性を有しており、発熱体5の表面形状が凸形状や凹形状であっても、放熱シート1を容易に貼付することができる。また本実施例の放熱シート1は切断可能に構成されている。
なお、放熱シート1を発熱体5に設置する場合には、接着層4によらずに直接一方の熱放射層3を接触させて載置等により設置するようにしてもよい。
【0012】
上記の構成の作用について説明する。
図2に示す放熱構造において、発熱体5が通電等によって発熱を開始すると、その熱は周囲の空気層への熱伝達による放熱が極めて悪いために熱伝導性の高い熱伝導性接着剤からなる接着層4へ集中して伝播し、更に発熱体5側の熱放射層3を通じて熱伝導性の良好な熱伝導層2へ伝播する。
【0013】
このとき、熱伝導層2は熱放射層3に較べて高い熱伝導性を有しているので、熱の伝播速度が速く、熱伝導層2に流入した熱は4方に伝導して熱伝導層2において均一化し、この均一化された熱が熱伝導層2の両面に形成されている熱放射層3へ伝播し、おもて面の熱放射層3へ伝播した熱は、熱放射層3によって赤外線および/もしくは遠赤外線に変換されそのおもて面側から外部へ熱放射され、裏面の熱放射層3へ伝播した熱は前記と同様にして張出した周辺部から基板6へ向けて熱放射される。
【0014】
このように、本実施例の放熱シート1は上記のような利用が可能になり、熱を2方向に放射して放熱シート1を設置した発熱体5を冷却し、発熱体5の温度が低下して温度依存性を有する電子部品等の性能を維持してその誤動作等を防止すると共に、その寿命を向上させることができる。
以上説明したように、本実施例では、熱伝導層のおもて面と裏面に熱放射層を形成するようにしたことによって、放熱シートに伝播した熱を両方の熱放射層から2方向に放射することが可能になり、放熱シートを貼付した電子部品等の発熱体を有効に冷却することができる。
【0015】
また、熱伝導層をアルミニウムや銅等の電気導電性を有する材料としたことによって、放熱シートを電磁シールド部材として用いることが可能になる。
更に、一方の熱放射層の外側の一部または全部に接着層を形成したことによって、放熱シートを容易に発熱体に設置することができる。
更に、放熱シートに可撓性を備えるようにしたことによって、発熱体の表面形状が凸形状や凹形状であっても放熱シートを空気層を介さずに設置することができ、発熱体からの熱を効率よく伝播させることができる。
【0016】
上記においては、熱の伝播に着目してその作用を説明したが、本実施例の放熱シート1は他の作用について説明する。
本実施例の放熱シート1は冷却性に優れるために各種の電子部品や電気部品に使用される。この場合に電子部品等の種類によっては端子等の電気回路が露出している部品があり、端子にはリード線等が半田付けされている場合もある。
【0017】
このような電子部品に本実施例の放熱シート1を設置する場合は、熱伝導層2の両面に形成されている熱放射層3の一方または両方を電気絶縁性を有する材料にした熱放射絶縁層とするとよい。
熱放射絶縁層を形成する材料は、例えば上記に例示した材料ではセラックαやポリイミドの樹脂フィルムが該当する。なお熱放射絶縁層は前記の例に限るものではなく、熱放射効果、可撓性および電気絶縁性を有する材料であって切断可能な層を形成することができるものであればどのようなものであってもよい。
【0018】
そして、放熱シート1の熱放射絶縁層を電子部品の表面に接触または接着層4により貼付して設置する。
このようにすれば、例え電子部品等の電気回路が露出していたとしても短絡が生ずることがなく、電子部品等の破損を防止することができる。
なお、接着層4を電気絶縁性を有する材料とした場合には、半田付け等の際のひげ状の突起等が突き抜けてしまう虞があり、本実施例のように熱放射層3を電気絶縁性を有する材料とすれば確実に短絡を防止することができる。
【実施例2】
【0019】
図3は実施例2の放熱構造を示す説明図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図3において、8は筐体であり、基板6に設置された発熱体5を収納する電子機器のシャーシ等である。
本実施例の放熱シート1は、部分的に形成された接着層4により発熱体5に貼付され、その一端を発熱体5から伸長させた伸長部9の先端部に部分的に形成された接着層4により基板6に貼付されて接続され、基板6を介して筐体8に接続されている。
【0020】
なお、図3に示す矢印は、矢印を付した各部位における熱の移動方向を示す。
上記の構成の作用について説明する。
図3に示す放熱構造において、発熱体5が通電等によって発熱を開始すると、その熱は実施例1と同様に接着層4から集中して発熱体5側の熱放射層3を通じて熱伝導層2へ伝播する。
【0021】
このとき、実施例1と同様に熱の伝播速度が速い熱伝導層2に流入した熱は、熱伝導層2内を伸長部9の方向に熱伝導により移動しながら両面に形成されている熱放射層3へ伝播すると共に、伸長部9の先端部に伝導した熱は熱放射層3および接着層4を通じて基板6へ伝播する。
そして、熱伝導層2のおもて面の熱放射層3へ伝播した熱は、実施例1と同様にしてそのおもて面側から筐体8に向けて熱放射され、裏面の熱放射層3へ伝播した熱は伸長部9から基板6へ向けて熱放射される。
【0022】
基板6へ熱放射により伝播した熱および伸長部9の先端部から伝播した熱は、基板6内を熱伝導により移動して筐体8へ伝播する。
筐体8へ基板6を介して伝播した熱および熱伝導層2のおもて面の熱放射層3から熱放射により伝播した熱は、筐体8を構成する各パネル内を熱伝導により移動しながら筐体8の外側の全表面から外部へ放熱される。
【0023】
このように、本実施例の放熱構造によれば、発熱体5の熱を熱伝導層2による熱伝導と熱放射層3による2方向への熱放射とによって多様な伝播経路により熱を周囲に伝播するので、放熱シート1を設置した発熱体5を有効に冷却することができる。
以上説明したように、本実施例では、放熱シートの一端を発熱体から伸長させた伸長部の先端部を基板を介して筐体に接続したことによって、発熱体からの熱の伝播経路を熱伝導層による熱伝導と熱放射層による2方向の熱放射とすることができ、多様な伝播経路により熱を周囲に伝播して発熱体を有効に冷却することができる放熱シートを用いた放熱構造とすることができる。
【0024】
なお、本実施例では伸長部を放熱シートの一端を伸長させて形成するとして説明したが、両端を伸長させて両側に伸長部を形成し、それぞれの先端を基板に接続するようにしてもよい。このようにすれば、発熱体を更に有効に冷却することができる。
また、本実施例の放熱構造は、放熱シートを基板に接続するとして説明したが、接続先は基板に限らず、直接筐体の内面に接続するようにしてもよい。
【実施例3】
【0025】
図4は実施例3の放熱構造を示す説明図である。
なお、上記実施例1および実施例2と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の放熱シート1は、図4に示すようにその可撓性を利用して発熱体5と筐体8との間に略U字状に配置されている。
【0026】
すなわち、一方の熱放射層3の外側に部分的に形成した接着層4により放熱シート1の一端を発熱体5に貼付し、放熱シート1の可撓性を利用して略U字状に折り曲げ、放熱シート1の他端に部分的に形成した接着層4により筐体8の内面に貼付し、放熱シート1により発熱体5と筐体8とを接続して設置されている。
なお、図4に示す矢印は、矢印を付した各部位における熱の移動方向を示す。
【0027】
上記の構成の作用について説明する。
図4に示す放熱構造において、発熱体5が通電等によって発熱を開始すると、その熱は実施例1と同様に接着層4から集中して発熱体5側の熱放射層3を通じて熱伝導層2へ伝播する。
このとき、実施例1と同様に熱の伝播速度が速い熱伝導層2の一端に流入した熱は、熱伝導層2を熱伝導により他端に向けて移動しながら熱伝導層2の両面に形成されている熱放射層3へ伝播すると共に、他端に伝導した熱は熱放射層3および接着層4を通じて筐体8へ伝播する。
【0028】
そして、略U字状の外側の熱放射層3へ伝播した熱は、実施例1と同様にしてそのおもて面側から筐体8に向けて熱放射され、内側の熱放射層3へ伝播した熱は比較的温度の高い一端から比較的温度の低い他端に向けて熱放射により伝播し、他端で吸収された熱は内側の熱放射層3、熱伝導層2、外側の熱放射層3および接着層4を通じて筐体8へ伝播する。
【0029】
筐体8へ熱伝導層2の熱伝導および内側の熱放射層3の熱放射により他端から伝播した熱、並びに外側の熱放射層3から熱放射により伝播した熱は、筐体8を構成する各パネル内を熱伝導により移動しながら筐体8の外側の全表面から外部へ放熱される。
このように、本実施例の放熱構造によれば、発熱体5の熱を熱伝導層2による熱伝導と、略U字状とした略円弧状の外側の熱放射層3による周囲への熱放射と、内側の熱放射層3による略U字状の内側の空間を介した一端から他端への熱放射とによって多様な伝播経路により熱を周囲に伝播するので、放熱シート1を設置した発熱体5を有効に冷却することができる。
【0030】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例2の効果に加えて、放熱シートの一端を発熱体に貼付し、他端を筐体に貼付して放熱シートを略U字状に発熱体と筐体との間に配置したことによって、発熱体からの熱の伝播経路に外側の熱放射層による周囲への熱放射と、内側の熱放射層による一端から他端に向けた熱放射とを加えることができ、発熱体を更に有効に冷却することができる放熱シートを用いた放熱構造とすることができる。
【0031】
なお、本実施例では放熱シートの一端と他端とを接着層により貼付するとして説明したが、略U字状とした放熱シートが外部からの振動等により外れる懸念がない場合には、略U字状とした放熱シートの可撓性による外側に広がる力を利用して発熱体と筐体の内面とに直接接触させて設置するようにしてもよい。このようにしても同様の効果を得ることができる。
【実施例4】
【0032】
図5は実施例4を示す断面図、図6は実施例4の放熱構造を示す説明図である。
なお、上記実施例1および実施例2と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5において、11は放熱筒状体であり、実施例1の放熱シート1の両方の端部12を接合して円形または楕円形とした環状部材であり、環状部材とした後のその外側に位置する熱放射層3の外周面の一部または全部に実施例1と同様の接着層4が形成されている。
【0033】
放熱筒状体11を形成する場合の接合は、端部12を接着または、樹脂部は熱圧着、金属部は溶接等の手段を用いて接合する。また端部12を各層毎に階段状としてこれらを合わせて前記手段により接合するようにしてもよい。
このような放熱筒状体11を用いた放熱構造は、図6に示すようにその可撓性を利用して発熱体5と筐体8との間に挟み込んで押し潰した状態で配置した挟み込み構造として形成する。
【0034】
すなわち、環状部材とした外側の熱放射層3の外周面の発熱体5側の一部に設けた接続部13に部分的に形成した接着層4により放熱筒状体11の接続部13を発熱体5に貼付し、放熱筒状体11の可撓性を利用して押し潰しながら接続部13の反対側の筐体8側の接続部14に部分的に形成した接着層4により筐体8の内面に貼付し、挟み込んだ放熱筒状体11により発熱体5と筐体8とを接続して形成する。
【0035】
なお、図6に示す矢印は、矢印を付した各部位における熱の移動方向を示す。
上記の構成の作用について説明する。
図6に示す放熱構造において、発熱体5が通電等によって発熱を開始すると、その熱は実施例1と同様に接着層4から集中して発熱体5側の熱放射層3を通じて熱伝導層2へ伝播する。
【0036】
このとき、実施例1と同様に熱の伝播速度が速い熱伝導層2の発熱体5側の接続部13に流入した熱は、環状となっている熱伝導層2の接続部13の両側から熱伝導により筐体8側の接続部14に向けて移動しながら熱伝導層2の両面に形成されている熱放射層3へ伝播すると共に、接続部14に伝導した熱は熱放射層3および接着層4を通じて筐体8へ伝播する。
【0037】
そして、放熱筒状体11の外側に位置する熱放射層3へ伝播した熱は、実施例1と同様にしてそのおもて面側から筐体8に向けて熱放射され、内側に位置するの熱放射層3へ伝播した熱は比較的温度の高い接続部13側から比較的温度の低い接続部14側に向けて熱放射により伝播し、接続部14側で吸収された熱は内側に位置する熱放射層3、熱伝導層2、外側に位置するの熱放射層3および接着層4を通じて筐体8へ伝播する。
【0038】
筐体8へ両側の熱伝導層2の熱伝導および内側に位置する熱放射層3の熱放射により接続部14側から伝播した熱、並びに外側に位置する熱放射層3から熱放射により伝播した熱は、筐体8を構成する各パネル内を熱伝導により移動しながら筐体8の外側の全表面から外部へ放熱される。
このように、本実施例の放熱構造によれば、発熱体5の熱を環状として両側に配置された熱伝導層2による熱伝導と、略円弧状の外側に位置する両側の熱放射層3による周囲への熱放射と、内側に位置する熱放射層3による環状の内部の空間を介した発熱体5側の接続部13から筐体8側の接続部14への熱放射とによって多様な伝播経路により熱を周囲に伝播するので、放熱筒状体1を設置した発熱体5を有効に冷却することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例2の効果に加えて、放熱シートを環状とした放熱筒状体をその可撓性を利用して発熱体と筐体との間に挟み込んで設置したことによって、発熱体からの熱の伝播経路に両側に配置された熱伝導層2による熱伝導と外側に位置する熱放射層による両側からの周囲への熱放射と、内側に位置する熱放射層による発熱体側から筐体側に向けた熱放射とを加えることができ、発熱体を更に有効に冷却することができる放熱筒状体を用いた放熱構造とすることができる。
【0040】
なお、本実施例では放熱筒状体のそれぞれの接続部を接着層により貼付するとして説明したが、環状とした放熱筒状体が外部からの振動等により外れる懸念がない場合には、押し潰した放熱シートの可撓性による外側に広がる力を利用して発熱体と筐体の内面とに直接接触させて設置するようにしてもよい。このようにしても同様の効果を得ることができる。
【0041】
上記で説明した放熱構造を用いた場合の発熱体5の冷却効果を評価するために以下に示す評価試験を行った。
図7は評価試験に用いた試験装置を示す説明図である。
評価試験に用いた筐体8は、厚さ1mmのステンレス板(SUS304)を用いて製作した100x100x50mmの箱である。
【0042】
発熱体5は、温度測定用IC(30x30x3.75mmの240ピンQFP(Quad Flat Package)、入力電力1.5W)である。
基板6は、55x65x1.5mmの2層構造である。
また、発熱体5の上面と筐体8の天板の内面との間隔は10mmに設定した。
評価試験に用いた図8に示す供試品は、上記図7の試験装置のままとした基準品、図9に示す30x30x7.5mmのアルミニウム板に複数のフィンを削り出したヒートシンク16を発熱体5に設置したヒートシンク品、熱伝導層2のおもて面にセラックαからなる熱放射層3を形成し、その熱伝導層2の裏面に接着層4を形成したセラックαシート17を図10に示すように厚さ1mmのセラックαシート17を30x30mmに切断して発熱体5の上面に貼付し、厚さ0.3mmのセラックαシート17を90x90mmに切断して筐体8の天板の内面に発熱体5に対向させて貼付したセラックαシート品、厚さ0.035の銅箔からなる熱伝導層2のおもて面に厚さ0.1mmのセラックα、裏面に厚さ0.025mmのポリイミド樹脂からなる熱放射層3を形成し、ポリイミド樹脂からなる熱放射層3の外側の全面に厚さ0.05mmのエポキシ系両面テープからなる接着層4を形成した図1に示した放熱シート1(厚さ0.21mm)を30x80mmに切断して図4に示した略U字状の放熱構造となるように発熱体5の上面と筐体8の天板の内面との間に配置した放熱シート品、放熱シート品と同様の放熱シート1(厚さ0.21mm)を30x100mmに切断して環状とした図5に示した放熱筒状体11を図6に示した挟み込み構造の放熱構造となるように発熱体5の上面と筐体8の天板の内面との間に設置した放熱筒状体品の5種類である。
【0043】
上記の各供試品を、発熱体5の内部温度が電子部品や電気部品の発熱体温度帯域である100℃程度となるようにして各供試品における発熱体5の内部温度Tjを測定した評価試験の結果を図11に示す。
なお、評価試験時の雰囲気温度Tcは25℃〜28℃であり、その詳細は図11に示した通りである。
【0044】
図11に示すように、基準品の発熱体5の内部温度Tjと雰囲気温度Tcとの温度差ΔTとその他の供試品の温度差ΔTとの差を基準品の温度差ΔTで除した割合である温度低減効果は、本発明の放熱構造とした放熱シート品で23.9%、放熱筒状体品で28.3%であり、ヒートシンク品およびセラックαシート品の16.4%より優れていることが判る。
【0045】
また、本発明の放熱構造では、放熱筒状体品が放熱シート品より優れた温度低減効果を発揮することが判る。
このように、本発明の放熱シート1および放熱筒状体11を用いた放熱構造は、比較的低い発熱体温度帯域である電子部品や電気部品の発熱体温度帯域おいて発熱体5の冷却に有効であることが立証された。
【0046】
なお、上記実施例3および実施例4に示した放熱構造を以下に示す積層シートにより形成しても発熱体5の冷却を有効に行うことができる。
図12は実施例3の放熱構造の他の形態を示す説明図、図13は実施例3の放熱構造の他の形態を示す説明図である。
なお、上記各実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。また図12、図13に示す矢印は、矢印を付した各部位における熱の移動方向を示す。
【0047】
図12において、21は積層シートであり、実施例1と同様の熱伝導層2のおもて面に実施例1と同様の熱放射層3を形成した2層のシートである。
積層シート21を用いて図4と同様の略U字状の放熱構造とする場合は、図12に示すように熱伝導層2を略U字状の外側として積層シート21の可撓性を利用して発熱体5と筐体8の内面との間に配置する。略U字状とした積層シート21が外部からの振動等により外れやすい場合には積層シート21の熱伝導層2の外側の一部または全部に接着層4を形成して発熱体5と筐体8に貼付すればよい。図12は接着層4による貼付を用いて積層シート21による略U字状の放熱構造を形成した例を示している。
【0048】
このように構成すれば、発熱体5の熱を熱伝導層2による熱伝導と、略U字状とした内側の熱放射層3による略U字状の内側の空間を介した一端から他端への熱放射とによって多様な伝播経路により熱を筐体8に伝播するので、略U字状の放熱構造に積層シート21を用いた場合においても発熱体5を有効に冷却することができる。
図13において、22は前記積層シート21の両端部を実施例4と同様にして接合して環状に形成した環状部材である。
【0049】
積層シート21を環状とした環状部材22を用いて図6と同様の挟み込み構造の放熱構造とする場合は、図13に示すように熱伝導層2を環状部材22の外側に位置させてその可撓性を利用して発熱体5と筐体8の内面との間に挟み込んで設置する。挟み込んだ環状部材22が外部からの振動等により外れやすい場合には環状部材22の発熱体5側の接続部13と筐体8側の接続部14の熱伝導層2の外周面に接着層4を形成して発熱体5と筐体8に貼付すればよい。図13は接着層4による貼付を用いて環状部材22による挟み込み構造の放熱構造を形成した例を示している。
【0050】
このように構成すれば、発熱体5の熱を両側の熱伝導層2による熱伝導と、環状とした内側に位置する熱放射層3による環状の内部の空間を介した発熱体5側の接続部13から筐体8側の接続部14への熱放射とによって多様な伝播経路により熱を筐体8に伝播するので、挟み込み構造の放熱構造に積層シート21を環状にした環状部材22を用いた場合においても発熱体5を有効に冷却することができる。
【0051】
なお、上記の積層シート21およびこれを環状とした環状部材22を電気回路が露出している電子部品等の放熱構造に用いる場合には、熱放射層3を上記実施例1で説明した熱放射絶縁層とし、これを外側に配置して略U字状の放熱構造または挟み込み構造の放熱構造を形成するようにするとよい。このようにすれば積層シート21およびこれを環状とした環状部材22を用いた放熱構造によっても電気回路に短絡が生ずることがなく、電子部品等の破損を防止することができる。
【0052】
上述のように本発明の各実施例の放熱構造を用いれば、一般的に用いられている冷却ファンや冷却フィン付のヒートシンク、ヒートパイプ等に較べて、冷却を要する発熱体を収納した筐体の軽量化、薄型化、小型化を図ることができると共に装置の省電力化を図ることができる。また騒音を発生することがないので静粛性を確保することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例1を示す断面図
【図2】実施例1の放熱構造を示す説明図
【図3】実施例2の放熱構造を示す説明図
【図4】実施例3の放熱構造を示す説明図
【図5】実施例4を示す断面図
【図6】実施例4の放熱構造を示す説明図
【図7】評価試験に用いた試験装置を示す説明図
【図8】評価試験に用いた供試品を示す一覧表
【図9】評価試験のヒートシンク品を示す説明図
【図10】評価試験のセラックαシート品を示す説明図
【図11】評価試験結果を示す一覧表
【図12】実施例3の放熱構造の他の形態を示す説明図
【図13】実施例4の放熱構造の他の形態を示す説明図
【符号の説明】
【0054】
1 放熱シート
2 熱伝導層
3 熱放射層
4 接着層
5 発熱体
6 基板
8 筐体
9 伸長部
11 放熱筒状体
12 端部
13、14 接続部
21 積層シート
22 環状部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、光部品やパワー半導体等の各種電子部品や電子・電気製品の冷却に用いる放熱シート、放熱筒状体およびそれらを用いた放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の放熱シートは、アルミニウム等の熱伝導性を有する可撓性の薄板からなる熱伝導層のおもて面に、熱放射効果を有する可撓性の熱放射層を形成し、熱伝導層の裏面に熱伝導性接着剤からなる接着層を形成して構成し、これを電子部品等の発熱体に貼付して熱放射層からの熱放射により電子部品等の冷却を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−200199号公報(第3頁段落0008−第4頁段落0016、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術においては、熱伝導層のおもて面に熱放射層を形成し、熱伝導層は発熱体からの吸熱のみに用いて熱放射層からの熱放射のみにより発熱体からの熱を放熱しているため、熱の伝播経路に指向性があり、断熱材等に熱放射層のおもて面が向いてしまうと有効に放熱ができない場合があるという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、多様な熱の伝播経路を可能にする手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するために、熱伝導性を有する可撓性の熱伝導層のおもて面および裏面に熱放射効果を有する可撓性の熱放射層を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
このように、本発明は、熱伝導層のおもて面と裏面に熱放射層を形成するようにしたことによって、放熱シートに伝播した熱を両方の熱放射層から2方向に放射することが可能になり、放熱シートを貼付した電子部品等の発熱体を有効に冷却することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に、図面を参照して本発明による放熱シート、放熱筒状体およびそれらを用いた放熱構造の実施例について説明する。
【実施例1】
【0007】
図1は実施例1を示す断面図、図2は実施例1の放熱構造を示す説明図である。
1は放熱シートである。
2は図1に網掛けを付して示す(他の図において同様)熱伝導層であり、アルミニウムまたはその合金、銅またはその合金等の熱伝導性が良好な金属材料からなる薄板または箔であって、比較的小さな力で撓ませることができる可撓性を有している。
【0008】
3は熱放射層であり、熱伝導層2のおもて面および裏面に形成され、熱を赤外線および/もしくは遠赤外線に変換して放射する熱放射効果を有すると共に比較的小さな力で撓ませることができる可撓性を有している。
このような熱放射層3は、シリコーン樹脂等のバインダに熱放射効果を有する粉体を含有させたセラックα(セラック(株)、商標登録第4577163号)をスプレー等で熱伝導層2のおもて面および裏面に塗布し、この塗膜を乾燥させて形成する。
【0009】
または、ポリイミド等の樹脂フィルムを接着剤等により貼付して形成する。
または、熱伝導層2の材料が銅である場合にそのおもて面を黒化処理して、その材料がアルミニウムである場合にそのおもて面をアルマイト処理して熱伝導層2の表面処理により形成する。
上記例示した材料はいずれも熱放射効果を有する材料である。なお熱放射層3は上記の例に限るものではなく、熱放射効果および可撓性を有する材料であって切断可能な層を形成することができるものであればどのようなものであってもよい。
【0010】
4は図1にハッチングを付して示す(他の図において同様)接着層であり、熱伝導性接着剤のテープまたは熱伝導性物質を混合した熱伝導性接着剤を熱伝導層2の両側の熱放射層3のいずれか一方の外側の面の一部または全部に貼付または塗布して形成する。
図2において、5は冷却する対象となる電子部品等の発熱部品(発熱体という。)であり、基板6に設置され、その表面に放熱シート1が発熱体5の周囲に張出した状態で部分的に設けた接着層4により貼付して設置されている。
【0011】
本実施例の放熱シート1は、可撓性を有する熱伝導層2のおもて面および裏面に可撓性を有する熱放射層3を形成しているので、放熱シート1自体が可撓性を有しており、発熱体5の表面形状が凸形状や凹形状であっても、放熱シート1を容易に貼付することができる。また本実施例の放熱シート1は切断可能に構成されている。
なお、放熱シート1を発熱体5に設置する場合には、接着層4によらずに直接一方の熱放射層3を接触させて載置等により設置するようにしてもよい。
【0012】
上記の構成の作用について説明する。
図2に示す放熱構造において、発熱体5が通電等によって発熱を開始すると、その熱は周囲の空気層への熱伝達による放熱が極めて悪いために熱伝導性の高い熱伝導性接着剤からなる接着層4へ集中して伝播し、更に発熱体5側の熱放射層3を通じて熱伝導性の良好な熱伝導層2へ伝播する。
【0013】
このとき、熱伝導層2は熱放射層3に較べて高い熱伝導性を有しているので、熱の伝播速度が速く、熱伝導層2に流入した熱は4方に伝導して熱伝導層2において均一化し、この均一化された熱が熱伝導層2の両面に形成されている熱放射層3へ伝播し、おもて面の熱放射層3へ伝播した熱は、熱放射層3によって赤外線および/もしくは遠赤外線に変換されそのおもて面側から外部へ熱放射され、裏面の熱放射層3へ伝播した熱は前記と同様にして張出した周辺部から基板6へ向けて熱放射される。
【0014】
このように、本実施例の放熱シート1は上記のような利用が可能になり、熱を2方向に放射して放熱シート1を設置した発熱体5を冷却し、発熱体5の温度が低下して温度依存性を有する電子部品等の性能を維持してその誤動作等を防止すると共に、その寿命を向上させることができる。
以上説明したように、本実施例では、熱伝導層のおもて面と裏面に熱放射層を形成するようにしたことによって、放熱シートに伝播した熱を両方の熱放射層から2方向に放射することが可能になり、放熱シートを貼付した電子部品等の発熱体を有効に冷却することができる。
【0015】
また、熱伝導層をアルミニウムや銅等の電気導電性を有する材料としたことによって、放熱シートを電磁シールド部材として用いることが可能になる。
更に、一方の熱放射層の外側の一部または全部に接着層を形成したことによって、放熱シートを容易に発熱体に設置することができる。
更に、放熱シートに可撓性を備えるようにしたことによって、発熱体の表面形状が凸形状や凹形状であっても放熱シートを空気層を介さずに設置することができ、発熱体からの熱を効率よく伝播させることができる。
【0016】
上記においては、熱の伝播に着目してその作用を説明したが、本実施例の放熱シート1は他の作用について説明する。
本実施例の放熱シート1は冷却性に優れるために各種の電子部品や電気部品に使用される。この場合に電子部品等の種類によっては端子等の電気回路が露出している部品があり、端子にはリード線等が半田付けされている場合もある。
【0017】
このような電子部品に本実施例の放熱シート1を設置する場合は、熱伝導層2の両面に形成されている熱放射層3の一方または両方を電気絶縁性を有する材料にした熱放射絶縁層とするとよい。
熱放射絶縁層を形成する材料は、例えば上記に例示した材料ではセラックαやポリイミドの樹脂フィルムが該当する。なお熱放射絶縁層は前記の例に限るものではなく、熱放射効果、可撓性および電気絶縁性を有する材料であって切断可能な層を形成することができるものであればどのようなものであってもよい。
【0018】
そして、放熱シート1の熱放射絶縁層を電子部品の表面に接触または接着層4により貼付して設置する。
このようにすれば、例え電子部品等の電気回路が露出していたとしても短絡が生ずることがなく、電子部品等の破損を防止することができる。
なお、接着層4を電気絶縁性を有する材料とした場合には、半田付け等の際のひげ状の突起等が突き抜けてしまう虞があり、本実施例のように熱放射層3を電気絶縁性を有する材料とすれば確実に短絡を防止することができる。
【実施例2】
【0019】
図3は実施例2の放熱構造を示す説明図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図3において、8は筐体であり、基板6に設置された発熱体5を収納する電子機器のシャーシ等である。
本実施例の放熱シート1は、部分的に形成された接着層4により発熱体5に貼付され、その一端を発熱体5から伸長させた伸長部9の先端部に部分的に形成された接着層4により基板6に貼付されて接続され、基板6を介して筐体8に接続されている。
【0020】
なお、図3に示す矢印は、矢印を付した各部位における熱の移動方向を示す。
上記の構成の作用について説明する。
図3に示す放熱構造において、発熱体5が通電等によって発熱を開始すると、その熱は実施例1と同様に接着層4から集中して発熱体5側の熱放射層3を通じて熱伝導層2へ伝播する。
【0021】
このとき、実施例1と同様に熱の伝播速度が速い熱伝導層2に流入した熱は、熱伝導層2内を伸長部9の方向に熱伝導により移動しながら両面に形成されている熱放射層3へ伝播すると共に、伸長部9の先端部に伝導した熱は熱放射層3および接着層4を通じて基板6へ伝播する。
そして、熱伝導層2のおもて面の熱放射層3へ伝播した熱は、実施例1と同様にしてそのおもて面側から筐体8に向けて熱放射され、裏面の熱放射層3へ伝播した熱は伸長部9から基板6へ向けて熱放射される。
【0022】
基板6へ熱放射により伝播した熱および伸長部9の先端部から伝播した熱は、基板6内を熱伝導により移動して筐体8へ伝播する。
筐体8へ基板6を介して伝播した熱および熱伝導層2のおもて面の熱放射層3から熱放射により伝播した熱は、筐体8を構成する各パネル内を熱伝導により移動しながら筐体8の外側の全表面から外部へ放熱される。
【0023】
このように、本実施例の放熱構造によれば、発熱体5の熱を熱伝導層2による熱伝導と熱放射層3による2方向への熱放射とによって多様な伝播経路により熱を周囲に伝播するので、放熱シート1を設置した発熱体5を有効に冷却することができる。
以上説明したように、本実施例では、放熱シートの一端を発熱体から伸長させた伸長部の先端部を基板を介して筐体に接続したことによって、発熱体からの熱の伝播経路を熱伝導層による熱伝導と熱放射層による2方向の熱放射とすることができ、多様な伝播経路により熱を周囲に伝播して発熱体を有効に冷却することができる放熱シートを用いた放熱構造とすることができる。
【0024】
なお、本実施例では伸長部を放熱シートの一端を伸長させて形成するとして説明したが、両端を伸長させて両側に伸長部を形成し、それぞれの先端を基板に接続するようにしてもよい。このようにすれば、発熱体を更に有効に冷却することができる。
また、本実施例の放熱構造は、放熱シートを基板に接続するとして説明したが、接続先は基板に限らず、直接筐体の内面に接続するようにしてもよい。
【実施例3】
【0025】
図4は実施例3の放熱構造を示す説明図である。
なお、上記実施例1および実施例2と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の放熱シート1は、図4に示すようにその可撓性を利用して発熱体5と筐体8との間に略U字状に配置されている。
【0026】
すなわち、一方の熱放射層3の外側に部分的に形成した接着層4により放熱シート1の一端を発熱体5に貼付し、放熱シート1の可撓性を利用して略U字状に折り曲げ、放熱シート1の他端に部分的に形成した接着層4により筐体8の内面に貼付し、放熱シート1により発熱体5と筐体8とを接続して設置されている。
なお、図4に示す矢印は、矢印を付した各部位における熱の移動方向を示す。
【0027】
上記の構成の作用について説明する。
図4に示す放熱構造において、発熱体5が通電等によって発熱を開始すると、その熱は実施例1と同様に接着層4から集中して発熱体5側の熱放射層3を通じて熱伝導層2へ伝播する。
このとき、実施例1と同様に熱の伝播速度が速い熱伝導層2の一端に流入した熱は、熱伝導層2を熱伝導により他端に向けて移動しながら熱伝導層2の両面に形成されている熱放射層3へ伝播すると共に、他端に伝導した熱は熱放射層3および接着層4を通じて筐体8へ伝播する。
【0028】
そして、略U字状の外側の熱放射層3へ伝播した熱は、実施例1と同様にしてそのおもて面側から筐体8に向けて熱放射され、内側の熱放射層3へ伝播した熱は比較的温度の高い一端から比較的温度の低い他端に向けて熱放射により伝播し、他端で吸収された熱は内側の熱放射層3、熱伝導層2、外側の熱放射層3および接着層4を通じて筐体8へ伝播する。
【0029】
筐体8へ熱伝導層2の熱伝導および内側の熱放射層3の熱放射により他端から伝播した熱、並びに外側の熱放射層3から熱放射により伝播した熱は、筐体8を構成する各パネル内を熱伝導により移動しながら筐体8の外側の全表面から外部へ放熱される。
このように、本実施例の放熱構造によれば、発熱体5の熱を熱伝導層2による熱伝導と、略U字状とした略円弧状の外側の熱放射層3による周囲への熱放射と、内側の熱放射層3による略U字状の内側の空間を介した一端から他端への熱放射とによって多様な伝播経路により熱を周囲に伝播するので、放熱シート1を設置した発熱体5を有効に冷却することができる。
【0030】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例2の効果に加えて、放熱シートの一端を発熱体に貼付し、他端を筐体に貼付して放熱シートを略U字状に発熱体と筐体との間に配置したことによって、発熱体からの熱の伝播経路に外側の熱放射層による周囲への熱放射と、内側の熱放射層による一端から他端に向けた熱放射とを加えることができ、発熱体を更に有効に冷却することができる放熱シートを用いた放熱構造とすることができる。
【0031】
なお、本実施例では放熱シートの一端と他端とを接着層により貼付するとして説明したが、略U字状とした放熱シートが外部からの振動等により外れる懸念がない場合には、略U字状とした放熱シートの可撓性による外側に広がる力を利用して発熱体と筐体の内面とに直接接触させて設置するようにしてもよい。このようにしても同様の効果を得ることができる。
【実施例4】
【0032】
図5は実施例4を示す断面図、図6は実施例4の放熱構造を示す説明図である。
なお、上記実施例1および実施例2と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5において、11は放熱筒状体であり、実施例1の放熱シート1の両方の端部12を接合して円形または楕円形とした環状部材であり、環状部材とした後のその外側に位置する熱放射層3の外周面の一部または全部に実施例1と同様の接着層4が形成されている。
【0033】
放熱筒状体11を形成する場合の接合は、端部12を接着または、樹脂部は熱圧着、金属部は溶接等の手段を用いて接合する。また端部12を各層毎に階段状としてこれらを合わせて前記手段により接合するようにしてもよい。
このような放熱筒状体11を用いた放熱構造は、図6に示すようにその可撓性を利用して発熱体5と筐体8との間に挟み込んで押し潰した状態で配置した挟み込み構造として形成する。
【0034】
すなわち、環状部材とした外側の熱放射層3の外周面の発熱体5側の一部に設けた接続部13に部分的に形成した接着層4により放熱筒状体11の接続部13を発熱体5に貼付し、放熱筒状体11の可撓性を利用して押し潰しながら接続部13の反対側の筐体8側の接続部14に部分的に形成した接着層4により筐体8の内面に貼付し、挟み込んだ放熱筒状体11により発熱体5と筐体8とを接続して形成する。
【0035】
なお、図6に示す矢印は、矢印を付した各部位における熱の移動方向を示す。
上記の構成の作用について説明する。
図6に示す放熱構造において、発熱体5が通電等によって発熱を開始すると、その熱は実施例1と同様に接着層4から集中して発熱体5側の熱放射層3を通じて熱伝導層2へ伝播する。
【0036】
このとき、実施例1と同様に熱の伝播速度が速い熱伝導層2の発熱体5側の接続部13に流入した熱は、環状となっている熱伝導層2の接続部13の両側から熱伝導により筐体8側の接続部14に向けて移動しながら熱伝導層2の両面に形成されている熱放射層3へ伝播すると共に、接続部14に伝導した熱は熱放射層3および接着層4を通じて筐体8へ伝播する。
【0037】
そして、放熱筒状体11の外側に位置する熱放射層3へ伝播した熱は、実施例1と同様にしてそのおもて面側から筐体8に向けて熱放射され、内側に位置するの熱放射層3へ伝播した熱は比較的温度の高い接続部13側から比較的温度の低い接続部14側に向けて熱放射により伝播し、接続部14側で吸収された熱は内側に位置する熱放射層3、熱伝導層2、外側に位置するの熱放射層3および接着層4を通じて筐体8へ伝播する。
【0038】
筐体8へ両側の熱伝導層2の熱伝導および内側に位置する熱放射層3の熱放射により接続部14側から伝播した熱、並びに外側に位置する熱放射層3から熱放射により伝播した熱は、筐体8を構成する各パネル内を熱伝導により移動しながら筐体8の外側の全表面から外部へ放熱される。
このように、本実施例の放熱構造によれば、発熱体5の熱を環状として両側に配置された熱伝導層2による熱伝導と、略円弧状の外側に位置する両側の熱放射層3による周囲への熱放射と、内側に位置する熱放射層3による環状の内部の空間を介した発熱体5側の接続部13から筐体8側の接続部14への熱放射とによって多様な伝播経路により熱を周囲に伝播するので、放熱筒状体1を設置した発熱体5を有効に冷却することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例2の効果に加えて、放熱シートを環状とした放熱筒状体をその可撓性を利用して発熱体と筐体との間に挟み込んで設置したことによって、発熱体からの熱の伝播経路に両側に配置された熱伝導層2による熱伝導と外側に位置する熱放射層による両側からの周囲への熱放射と、内側に位置する熱放射層による発熱体側から筐体側に向けた熱放射とを加えることができ、発熱体を更に有効に冷却することができる放熱筒状体を用いた放熱構造とすることができる。
【0040】
なお、本実施例では放熱筒状体のそれぞれの接続部を接着層により貼付するとして説明したが、環状とした放熱筒状体が外部からの振動等により外れる懸念がない場合には、押し潰した放熱シートの可撓性による外側に広がる力を利用して発熱体と筐体の内面とに直接接触させて設置するようにしてもよい。このようにしても同様の効果を得ることができる。
【0041】
上記で説明した放熱構造を用いた場合の発熱体5の冷却効果を評価するために以下に示す評価試験を行った。
図7は評価試験に用いた試験装置を示す説明図である。
評価試験に用いた筐体8は、厚さ1mmのステンレス板(SUS304)を用いて製作した100x100x50mmの箱である。
【0042】
発熱体5は、温度測定用IC(30x30x3.75mmの240ピンQFP(Quad Flat Package)、入力電力1.5W)である。
基板6は、55x65x1.5mmの2層構造である。
また、発熱体5の上面と筐体8の天板の内面との間隔は10mmに設定した。
評価試験に用いた図8に示す供試品は、上記図7の試験装置のままとした基準品、図9に示す30x30x7.5mmのアルミニウム板に複数のフィンを削り出したヒートシンク16を発熱体5に設置したヒートシンク品、熱伝導層2のおもて面にセラックαからなる熱放射層3を形成し、その熱伝導層2の裏面に接着層4を形成したセラックαシート17を図10に示すように厚さ1mmのセラックαシート17を30x30mmに切断して発熱体5の上面に貼付し、厚さ0.3mmのセラックαシート17を90x90mmに切断して筐体8の天板の内面に発熱体5に対向させて貼付したセラックαシート品、厚さ0.035の銅箔からなる熱伝導層2のおもて面に厚さ0.1mmのセラックα、裏面に厚さ0.025mmのポリイミド樹脂からなる熱放射層3を形成し、ポリイミド樹脂からなる熱放射層3の外側の全面に厚さ0.05mmのエポキシ系両面テープからなる接着層4を形成した図1に示した放熱シート1(厚さ0.21mm)を30x80mmに切断して図4に示した略U字状の放熱構造となるように発熱体5の上面と筐体8の天板の内面との間に配置した放熱シート品、放熱シート品と同様の放熱シート1(厚さ0.21mm)を30x100mmに切断して環状とした図5に示した放熱筒状体11を図6に示した挟み込み構造の放熱構造となるように発熱体5の上面と筐体8の天板の内面との間に設置した放熱筒状体品の5種類である。
【0043】
上記の各供試品を、発熱体5の内部温度が電子部品や電気部品の発熱体温度帯域である100℃程度となるようにして各供試品における発熱体5の内部温度Tjを測定した評価試験の結果を図11に示す。
なお、評価試験時の雰囲気温度Tcは25℃〜28℃であり、その詳細は図11に示した通りである。
【0044】
図11に示すように、基準品の発熱体5の内部温度Tjと雰囲気温度Tcとの温度差ΔTとその他の供試品の温度差ΔTとの差を基準品の温度差ΔTで除した割合である温度低減効果は、本発明の放熱構造とした放熱シート品で23.9%、放熱筒状体品で28.3%であり、ヒートシンク品およびセラックαシート品の16.4%より優れていることが判る。
【0045】
また、本発明の放熱構造では、放熱筒状体品が放熱シート品より優れた温度低減効果を発揮することが判る。
このように、本発明の放熱シート1および放熱筒状体11を用いた放熱構造は、比較的低い発熱体温度帯域である電子部品や電気部品の発熱体温度帯域おいて発熱体5の冷却に有効であることが立証された。
【0046】
なお、上記実施例3および実施例4に示した放熱構造を以下に示す積層シートにより形成しても発熱体5の冷却を有効に行うことができる。
図12は実施例3の放熱構造の他の形態を示す説明図、図13は実施例3の放熱構造の他の形態を示す説明図である。
なお、上記各実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。また図12、図13に示す矢印は、矢印を付した各部位における熱の移動方向を示す。
【0047】
図12において、21は積層シートであり、実施例1と同様の熱伝導層2のおもて面に実施例1と同様の熱放射層3を形成した2層のシートである。
積層シート21を用いて図4と同様の略U字状の放熱構造とする場合は、図12に示すように熱伝導層2を略U字状の外側として積層シート21の可撓性を利用して発熱体5と筐体8の内面との間に配置する。略U字状とした積層シート21が外部からの振動等により外れやすい場合には積層シート21の熱伝導層2の外側の一部または全部に接着層4を形成して発熱体5と筐体8に貼付すればよい。図12は接着層4による貼付を用いて積層シート21による略U字状の放熱構造を形成した例を示している。
【0048】
このように構成すれば、発熱体5の熱を熱伝導層2による熱伝導と、略U字状とした内側の熱放射層3による略U字状の内側の空間を介した一端から他端への熱放射とによって多様な伝播経路により熱を筐体8に伝播するので、略U字状の放熱構造に積層シート21を用いた場合においても発熱体5を有効に冷却することができる。
図13において、22は前記積層シート21の両端部を実施例4と同様にして接合して環状に形成した環状部材である。
【0049】
積層シート21を環状とした環状部材22を用いて図6と同様の挟み込み構造の放熱構造とする場合は、図13に示すように熱伝導層2を環状部材22の外側に位置させてその可撓性を利用して発熱体5と筐体8の内面との間に挟み込んで設置する。挟み込んだ環状部材22が外部からの振動等により外れやすい場合には環状部材22の発熱体5側の接続部13と筐体8側の接続部14の熱伝導層2の外周面に接着層4を形成して発熱体5と筐体8に貼付すればよい。図13は接着層4による貼付を用いて環状部材22による挟み込み構造の放熱構造を形成した例を示している。
【0050】
このように構成すれば、発熱体5の熱を両側の熱伝導層2による熱伝導と、環状とした内側に位置する熱放射層3による環状の内部の空間を介した発熱体5側の接続部13から筐体8側の接続部14への熱放射とによって多様な伝播経路により熱を筐体8に伝播するので、挟み込み構造の放熱構造に積層シート21を環状にした環状部材22を用いた場合においても発熱体5を有効に冷却することができる。
【0051】
なお、上記の積層シート21およびこれを環状とした環状部材22を電気回路が露出している電子部品等の放熱構造に用いる場合には、熱放射層3を上記実施例1で説明した熱放射絶縁層とし、これを外側に配置して略U字状の放熱構造または挟み込み構造の放熱構造を形成するようにするとよい。このようにすれば積層シート21およびこれを環状とした環状部材22を用いた放熱構造によっても電気回路に短絡が生ずることがなく、電子部品等の破損を防止することができる。
【0052】
上述のように本発明の各実施例の放熱構造を用いれば、一般的に用いられている冷却ファンや冷却フィン付のヒートシンク、ヒートパイプ等に較べて、冷却を要する発熱体を収納した筐体の軽量化、薄型化、小型化を図ることができると共に装置の省電力化を図ることができる。また騒音を発生することがないので静粛性を確保することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例1を示す断面図
【図2】実施例1の放熱構造を示す説明図
【図3】実施例2の放熱構造を示す説明図
【図4】実施例3の放熱構造を示す説明図
【図5】実施例4を示す断面図
【図6】実施例4の放熱構造を示す説明図
【図7】評価試験に用いた試験装置を示す説明図
【図8】評価試験に用いた供試品を示す一覧表
【図9】評価試験のヒートシンク品を示す説明図
【図10】評価試験のセラックαシート品を示す説明図
【図11】評価試験結果を示す一覧表
【図12】実施例3の放熱構造の他の形態を示す説明図
【図13】実施例4の放熱構造の他の形態を示す説明図
【符号の説明】
【0054】
1 放熱シート
2 熱伝導層
3 熱放射層
4 接着層
5 発熱体
6 基板
8 筐体
9 伸長部
11 放熱筒状体
12 端部
13、14 接続部
21 積層シート
22 環状部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性を有する可撓性の熱伝導層のおもて面および裏面に、熱放射効果を有する可撓性の熱放射層を形成したことを特徴とする放熱シート。
【請求項2】
請求項1において、
前記熱伝導層が、電気導電性を有することを特徴とする放熱シート。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記熱放射層の少なくとも一方が、電気絶縁性を有することを特徴とする放熱シート。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3において、
前記一方の熱放射層の外側の少なくとも一部に、熱伝導性接着剤からなる接着層を形成したことを特徴とする放熱シート。
【請求項5】
請求項1、請求項2または請求項3に記載の放熱シートの端部を接合して環状部材としたことを特徴とする放熱筒状体。
【請求項6】
熱伝導性を有する可撓性の熱伝導層のおもて面に、熱放射効果を有する可撓性の熱放射層を積層して積層シートを形成し、該積層シートの端部を接合して環状部材としたことを特徴とする放熱筒状体。
【請求項7】
請求項6において、
前記熱放射層が、電気絶縁性を有することを特徴とする放熱筒状体。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、
前記熱伝導層が、電気導電性を有することを特徴とする放熱筒状体。
【請求項9】
請求項5から請求項7または請求項8において、
前記環状部材の外周面の少なくとも一部に、熱伝導性接着剤からなる接着層を形成したことを特徴とする放熱筒状体。
【請求項10】
請求項1、請求項2または請求項3に記載の放熱シートを用いて、発熱体と、該発熱体を収納する筐体との間を接続したことを特徴とする放熱構造。
【請求項11】
請求項4に記載の放熱シートを用いて、発熱体と、該発熱体を収納する筐体との間を前記接着層により接着して接続したことを特徴とする放熱構造。
【請求項12】
請求項10または請求項11において、
前記放熱シートを、その可撓性を利用して前記発熱体と筐体との間に略U字状に配置したことを特徴とする放熱構造。
【請求項13】
請求項10または請求項11において、
前記放熱シートの少なくとも一端を前記発熱体から伸長させて伸長部を形成し、該伸長部の先端部を前記発熱体を設置している基板を介して前記筐体に接続したことを特徴とする放熱構造。
【請求項14】
熱伝導性を有する可撓性の熱伝導層のおもて面に、熱放射効果を有する可撓性の熱放射層を積層して積層シートを形成し、該積層シートを用いて、発熱体と、該発熱体を収納する筐体との間を接続したことを特徴とする放熱構造。
【請求項15】
請求項14において、
前記熱伝導層の裏面の少なくとも一部に、熱伝導性接着剤からなる接着層を形成し、該接着層により前記発熱体と筐体との間を接着して接続したことを特徴とする放熱構造。
【請求項16】
請求項14または請求項15において、
前記積層シートを、その可撓性を利用して前記発熱体と筐体との間に略U字状に配置したことを特徴とする放熱構造。
【請求項17】
請求項14または請求項15において、
前記積層シートの少なくとも一端を前記発熱体から伸長させて伸長部を形成し、該伸長部の先端部を前記発熱体を設置している基板を介して前記筐体に接続したことを特徴とする放熱構造。
【請求項18】
請求項5から請求項8または請求項9に記載の放熱筒状体を用いて、発熱体と、該発熱体を収納する筐体との間を接続したことを特徴とする放熱構造。
【請求項19】
請求項18において、
前記放熱筒状体を、その可撓性を利用して前記発熱体と筐体との間に挟み込んだことを特徴とする放熱構造。
【請求項1】
熱伝導性を有する可撓性の熱伝導層のおもて面および裏面に、熱放射効果を有する可撓性の熱放射層を形成したことを特徴とする放熱シート。
【請求項2】
請求項1において、
前記熱伝導層が、電気導電性を有することを特徴とする放熱シート。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記熱放射層の少なくとも一方が、電気絶縁性を有することを特徴とする放熱シート。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3において、
前記一方の熱放射層の外側の少なくとも一部に、熱伝導性接着剤からなる接着層を形成したことを特徴とする放熱シート。
【請求項5】
請求項1、請求項2または請求項3に記載の放熱シートの端部を接合して環状部材としたことを特徴とする放熱筒状体。
【請求項6】
熱伝導性を有する可撓性の熱伝導層のおもて面に、熱放射効果を有する可撓性の熱放射層を積層して積層シートを形成し、該積層シートの端部を接合して環状部材としたことを特徴とする放熱筒状体。
【請求項7】
請求項6において、
前記熱放射層が、電気絶縁性を有することを特徴とする放熱筒状体。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、
前記熱伝導層が、電気導電性を有することを特徴とする放熱筒状体。
【請求項9】
請求項5から請求項7または請求項8において、
前記環状部材の外周面の少なくとも一部に、熱伝導性接着剤からなる接着層を形成したことを特徴とする放熱筒状体。
【請求項10】
請求項1、請求項2または請求項3に記載の放熱シートを用いて、発熱体と、該発熱体を収納する筐体との間を接続したことを特徴とする放熱構造。
【請求項11】
請求項4に記載の放熱シートを用いて、発熱体と、該発熱体を収納する筐体との間を前記接着層により接着して接続したことを特徴とする放熱構造。
【請求項12】
請求項10または請求項11において、
前記放熱シートを、その可撓性を利用して前記発熱体と筐体との間に略U字状に配置したことを特徴とする放熱構造。
【請求項13】
請求項10または請求項11において、
前記放熱シートの少なくとも一端を前記発熱体から伸長させて伸長部を形成し、該伸長部の先端部を前記発熱体を設置している基板を介して前記筐体に接続したことを特徴とする放熱構造。
【請求項14】
熱伝導性を有する可撓性の熱伝導層のおもて面に、熱放射効果を有する可撓性の熱放射層を積層して積層シートを形成し、該積層シートを用いて、発熱体と、該発熱体を収納する筐体との間を接続したことを特徴とする放熱構造。
【請求項15】
請求項14において、
前記熱伝導層の裏面の少なくとも一部に、熱伝導性接着剤からなる接着層を形成し、該接着層により前記発熱体と筐体との間を接着して接続したことを特徴とする放熱構造。
【請求項16】
請求項14または請求項15において、
前記積層シートを、その可撓性を利用して前記発熱体と筐体との間に略U字状に配置したことを特徴とする放熱構造。
【請求項17】
請求項14または請求項15において、
前記積層シートの少なくとも一端を前記発熱体から伸長させて伸長部を形成し、該伸長部の先端部を前記発熱体を設置している基板を介して前記筐体に接続したことを特徴とする放熱構造。
【請求項18】
請求項5から請求項8または請求項9に記載の放熱筒状体を用いて、発熱体と、該発熱体を収納する筐体との間を接続したことを特徴とする放熱構造。
【請求項19】
請求項18において、
前記放熱筒状体を、その可撓性を利用して前記発熱体と筐体との間に挟み込んだことを特徴とする放熱構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−93546(P2006−93546A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−279287(P2004−279287)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(390002598)沖電線株式会社 (45)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(390002598)沖電線株式会社 (45)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]