説明

放熱部品

【課題】板材を利用することによって、材料歩留まりが高く、大小さまざまな形状を自在に実現でき、効率的に放熱面積を増大することができる放熱部品を提供する。
【解決手段】一枚の板材に所定形状の切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こして形成される複数のフィンの列からなる少なくとも1つのフィン部と、フィンの間を連結する、板材の一部である連結部とを備えた放熱部品。切り込みを入れる所定形状が隣接する鈎形の二辺、および/または、隣接するコの字形の三辺からなっており、切り込まれた部分を起こして形成される複数のフィンの列の各々の形状が概ねL字形からなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発熱部品等に熱的に接続されて発熱部品の熱を放熱するための、薄板材を加工して製作した薄板フィンを備えた放熱部品、特に受熱面と放熱面とを備えた一体型の薄板フィンを備えた放熱部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス機器は、CPU等の高出力、高集積の部品を内蔵している。半導体素子等の各種電子部品は、集積度が極めて高くなり、高速で情報の演算、制御等の処理を行うので、多量の熱を発生する。また、その他の機器においても熱の発生を伴う機器が増え、これらの機器においても放熱処理が重要な課題になっている。
【0003】
これらの機器が発する熱を処理するために、各種ヒートシンクが用いられている。例えば、押し出し成形によるベースプレート部と放熱フィン部が一体的に形成されたヒートシンク、別々に作製された金属製のベースプレートと金属製の放熱フィンとを組み合わせたヒートシンク等がある。即ち、別々に作製された金属製のベースプレートと金属製の放熱フィンとを組み合わせたヒートシンクは、一方の面に発熱素子が熱的に接続されるベースプレートの他方面に複数の薄板の放熱フィンを半田等によって接合して形成されたヒートシンクである。その他に、複数の溝部を備えたベースプレートの溝部に薄板フィンを挿入して、溝部の周辺部を機械的にカシメて、放熱フィンをベースプレートに接合するヒートシンクがある。
【0004】
更に、放熱性に優れた部材で一体的に形成された上面部、底面部、および、上面部と底面部を接続する接続部からなる概ねコの字形の部材からなる放熱部がある。この放熱部の底面部には発熱素子等が熱的に接続される。更に、このように形成された放熱部を、例えば爪部、爪受け部によって、複数個並列に接続して、底面部が全体として平らな受熱面を形成するヒートシンクが知られている。
【0005】
上述したようなヒートシンクと、強制冷却用のファンとを組み合わせて、発熱素子の熱が伝わった放熱フィンの間に冷たい空気を吹き付けて、発熱素子を冷却する方法が広く知られている。
【0006】
更に、発熱素子と放熱フィンとが離隔して配置されている場合に、発熱素子と放熱フィンとをヒートパイプによって熱的に接続し、発熱素子の熱をヒートパイプによって別の位置に配置された放熱フィンまで移動して、冷却用のファンによって冷却することも知られている。
【特許文献1】特開2005−38985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来のヒートシンクのうち、フィンを形成する際に、何枚もの小さいフィンを打ち抜いて、各々連結させ、または、他の部材に接合して全体の形状を形成しているものの場合、製造コストが高くなりやすく、また製造のために余剰な部分が多く生じやすいという問題があった。また押し出し成形によるヒートシンクも、製造上の制約から、例えばフィンの厚さを薄くすると製造コストが高くなりやすいという問題があった。
一枚の板材を用いて多数の切り込みを入れて、その部分を切り起こしてヒートシンクを形成する場合は、1枚の板材からヒートシンクを形成できるために製造コストが安くなる等の利点があるが、切り起こして形成するフィンのサイズや数が元の板材のサイズに制約され、放熱面積を増やして高性能なヒートシンクを実現させにくいという問題があった。
【0008】
従って、この発明の目的は、板材を利用することによって、材料歩留まりが高く、大小さまざまな形状を自在に実現でき、効率的に放熱面積を増大することができる放熱部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は従来の問題点を解決するため、鋭意研究を重ねた。その結果、一枚の板材に所定の形状の切込み(例えば、隣接する鈎形の二辺、または、隣接するコの字形の三辺に切り込みを入れる)を入れて、切込みを入れた部分を起こしてフィン部を形成すると、概ねL字形の複数のフィンの列からなるフィン部と、フィン部を連結する連結部が形成されて、一枚の板材から材料歩留まりの高い放熱部品が得られることが判明した。
【0010】
更に、上述したフィン部およびフィン部を切り起こして形成された開口部を備えた板材を、フィン部が開口部に挿入されるように重ね合わせると、複数枚を積層することができ、表面積を増大して大型の放熱部品を容易に得ることができることが判明した。更に、一枚の板材に切り込みを入れて、切込みを入れた部分を起こすだけで形成されるので、大小さまざまな放熱部品を容易に且つ自在に製造することができることが判明した。
【0011】
この発明の放熱部品の第1の態様は、一枚の板材に所定形状の切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こして形成される複数のフィンの列からなる少なくとも1つのフィン部と、前記フィンの間を連結する、前記板材の一部である連結部とを備えた放熱部品である。
【0012】
この発明の放熱部品の第2の態様は、切り込みを入れる前記所定形状が隣接する鈎形の二辺、および/または、隣接するコの字形の三辺からなっており、前記切り込まれた部分を起こして形成される複数のフィンの列の各々の形状が概ねL字形からなっていることを特徴とする放熱部品である。
【0013】
この発明の放熱部品の第3の態様は、前記複数のフィンの列が、前記隣接する鈎形の二辺に切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こして形成されるフィンからなる第1フィン部と、前記隣接するコの字形の三辺に切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こして形成されるフィンからなる第2フィン部からなり、前記連結部が前記第1フィン部と前記第2フィン部を連結することを特徴とする放熱部品である。
【0014】
この発明の放熱部品の第4の態様は、前記連結部が、形成されたフィン部を除く所定の幅を備えた前記板材の帯状部分からなり、前記第1フィン部の各々のフィン、および、前記第2フィン部の各々のフィンが、前記帯状部分の長手方向に沿って、前記帯状部分の両側方の端部にそれぞれ配置されていることを特徴とする放熱部品である。
【0015】
この発明の放熱部品の第5の態様は、前記連結部が少なくとも2つの前記帯状部分からなり、ぞれぞれ、最も外側の前記帯状部分の外方の側端部に前記第1フィン部を備え、前記帯状部分の内方の側端部に前記第2フィン部を備えていることを特徴とする放熱部品である。
【0016】
この発明の放熱部品の第6の態様は、並列配置された複数の前記第2フィン部の各フィン列が、前記帯状部分において、交互に配置されていることを特徴とする放熱部品である。
【0017】
この発明の放熱部品の第7の態様は、前記各々のフィンの頂部分が折り曲げられて上面部を形成していることを特徴とする放熱部品である。
【0018】
この発明の放熱部品の第8の態様は、一部の前記切り込みの長さを短くし、残った部分に形成された、発熱部品に固定する固定部を備えていることを特徴とする放熱部品である。
【0019】
この発明の放熱部品の第9の態様は、前記一枚の板材から形成された放熱部品の切り込まれた部分を起こして形成されるフィンの間の空間に、別の一枚の板材から形成された放熱部品のフィン部が配置されるように重ね合わせて積層されていることを特徴とする放熱部品である。
【0020】
この発明の放熱部品の第10の態様は、前記一枚の板材と前記別の一枚の板材とが同一材質からなっていることを特徴とする放熱部品である。
【0021】
この発明の放熱部品の第11の態様は、前記一枚の板材と前記別の一枚の板材とが異なる材質からなっていることを特徴とする放熱部品である。
【0022】
この発明の放熱部品の第12の態様は、前記一枚の板材のフィン部の高さと前記別の一枚の板材のフィン部の高さとが異なっており、前記一枚の板材と前記別の一枚の板材とを重ね合わせたときに概ね同じ高さになることを特徴とする放熱部品である。
【0023】
この発明の放熱構造の第1の態様は、上述した放熱部品が面状の被冷却部品に沿わせるように配置されていることを特徴とする放熱構造である。
【0024】
この発明の放熱構造の第2の態様は、前記被冷却部品が、複数のLEDが実装された実装板材であることを特徴とする放熱構造である。
【0025】
この発明の放熱構造の第3の態様は、前記被冷却部品が、バックライトを備えたディスプレイ装置の反射板であることを特徴とする放熱構造である。
【発明の効果】
【0026】
この発明によると、一枚の板材に所定の形状の切込みを入れて、切込みを入れた部分を起こしてフィン部を形成すると、概ねL字形の複数のフィンの列からなるフィン部と、フィン部を連結する連結部が形成されて、一枚の板材から材料歩留まりの高い放熱部品が得られる。更に、フィン部およびフィン部を切り起こして形成された開口部を備えた板材を、フィン部が開口部に挿入されるように重ね合わせると、複数枚を積層することができ、表面積を増大して大型の放熱部品を容易に得ることができる。更に、一枚の板材に切り込みを入れて、切込みを入れた部分を起こすだけで形成されるので、大小さまざまな放熱部品を容易に且つ自在に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
この発明の放熱部品を、図面を参照して詳細に説明する。
この発明の放熱部品の1つの態様は、一枚の板材に所定形状の切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こして形成される複数のフィンの列からなる少なくとも1つのフィン部と、フィンの間を連結する、板材の一部である連結部とを備えた放熱部品である。切り込みを入れる所定形状が隣接する鈎形の二辺、および/または、隣接するコの字形の三辺からなっており、切り込まれた部分を起こして形成される複数のフィンの列の各々の形状が概ねL字形からなっている。
【0028】
図1はこの発明の放熱部品の1つの態様を説明する斜視図である。
この発明の放熱部品は、一枚の板材に所定形状、例えば鈎形、コの字形の切り込みを入れ、切り込まれた部分を垂直に起こして形成される複数のフィンの列と、フィンの間を連結する、板材の一部である連結部とを備えている。即ち、切り込みを入れ、垂直に起こしたフィン以外の部分は、同じ板材の連結部になっている。
【0029】
具体的に例で示すと、図1に示すように、この発明の1つの態様である放熱部品1は、隣接する鈎形の二辺に切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こして形成される複数のフィン21の列からなる第1フィン部2と、隣接するコの字形の三辺に切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こして形成される複数のフィン31の列からなる第2フィン部3と、第1フィン部2と第2フィン部3を連結する連結部4を備えている。
【0030】
図1に示す態様の放熱部品においては、両方の外側部分に複数のフィン21の列からなる第1フィン部2が配置され、2つの第1フィン部2の間に複数のフィン31の列からなる第2フィン部3が配置され、第1フィン部2と第2フィン部3の間にそれぞれ帯状部分の連結部4が配置されている。第1フィン部2の各々のフィンと、第2フィン部の各々のフィンは、帯状部分の長手方向に沿って相互にずれた位置に配置されている。例えば、第2フィン部3の2つのフィン31、31の間の開口部34の概ね中央に第1フィン部2のフィン21の長軸の延長線がくるように配置され、第1フィン部2の2つのフィン21、21の間の開口部24の概ね中央に第2フィン部3のフィン31の長軸の延長線がくるように配置される。
【0031】
図1に示す態様では、最外側に、隣接する鈎形の二辺に切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こして形成される第1フィン部を配置し、第1フィン部の間に、隣接するコの字形の三辺に切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こして形成される1つの列の第2フィン部を配置しているが、最外側に第1フィン部を配置し、第1フィン部の間に複数列の第2フィン部を配置してもよい。
【0032】
図2は一枚の板材に切り込みを入れる状態を説明する図である。図3は切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こしてフィンを形成する状態を説明する部分拡大図である。図2および図3を参照して、一枚の板材から放熱部品を作製するプロセスを説明する。
【0033】
図2示すように、この放熱部品は1枚の板材によって形成されている。例えば銅、アルミニウム等の熱伝導性に優れた薄板材10に、2種類の切込みを入れる。即ち、板材の外側部分には、隣接する鈎形の二辺a、bに切り込みを入れる。板材の内側部分には、隣接するコの字形の三辺c、d、eに切り込みを入れる。
【0034】
隣接する鈎形の二辺a、bに切り込みを入れた第1のフィン部は、点線で示したfに沿って切り込んだ部分を起こし、隣接するコの字形の三辺c、d、eに切り込みを入れた第2のフィン部は、点線で示したhに沿って切り込んだ部分を起こす。図2に示す切り込みの他に、図示していないが、最外側に、第1フィン部のための隣接する鈎形の二辺に切り込みを入れ、2つの第1フィン部の間に、第2フィン部のための隣接するコの字形の三辺に切り込みを、並列して複数列形成しても良い。
【0035】
次に、図3に示すように、図2で示した隣接する鈎形の二辺a、bに切り込みを入れた部分を矢印で示すように垂直に起こす。このようにして形成されたフィン21は、底面部22および垂直面部23からなる概ねL字形の薄板フィンである。底面部の一方の端部は切り込まれていないので、帯状部分の連結部4と一体のままである。このように帯状部分の長手方向に沿って概ねL字形の薄板フィンの列が形成される。これが第1フィン部である。
【0036】
帯状部分に関して第1フィン部と反対側の、図2で示した隣接するコの字形の三辺c、d、eに切り込みを入れた部分を矢印で示すように垂直に起こす。このようにして形成されたフィン31は、底面部32および垂直面部33からなる概ねL字形の薄板フィンである。切り込まれていない底面部32が2つの帯状部分と一体のままである。このように2つの帯状部分の間に挟まって長手方向に沿って概ねL字形の薄板フィンの列が形成される。これが第2フィン部である。
【0037】
図3に示すように、一枚の板材に、任意に所定形状の切込みを入れ、切込みを入れた部分を垂直に起こすだけで、容易に複数のフィンの列を形成することができる。フィンの高さ(即ち、垂直面部の高さ)および底面部の幅の大きさは、使用目的に応じて適宜設定することができる。板材の種類、板材の厚さは、所望の強度を考慮して適宜設定することができる。板材は矩形の板材の例を示しているが、矩形に限定されることなく、適宜設定することができる。切り込みの形状も上述した隣接する鈎形の二辺、隣接するコの字形の三辺に限定される必要は無く、適宜設定することができる。
【0038】
図4は、上述したように作製した放熱部品を2枚重ね合わせて放熱部品を作製する状況を説明する図である。
図4に示すように、2枚の放熱部品1−1、1−2を重ね合わせる。即ち、隣接する鈎形の二辺に切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こして形成される複数のフィン21−2の列からなる第1フィン部2−2と、隣接するコの字形の三辺に切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こして形成される複数のフィン31−2の列からなる第2フィン部3−2と、第1フィン部2−2と第2フィン部3−2を連結する連結部4−2を備えている放熱部品1−2を、隣接する鈎形の二辺に切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こして形成される複数のフィン21−1の列からなる第1フィン部2−1と、隣接するコの字形の三辺に切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こして形成される複数のフィン31−1の列からなる第2フィン部3−1と、第1フィン部2−1と第2フィン部3−1を連結する連結部4−1を備えている放熱部品1−1の下側から矢印のように、重ね合わせる。
【0039】
即ち、放熱部品1−2の放熱フィン21−2の各々が、放熱部品1−1の隣接する放熱フィン21−1の間の対応する開口部24−1の概ね中央部に位置し、放熱フィン31−2の各々が、隣接する放熱フィン31−1の間の対応する開口部34−1の概ね中央部に位置するように、2枚の放熱部品1−1、1−2を重ね合わせる。このとき、2枚の放熱部品1−1、1−2のそれぞれの帯状部分である連結部4−1、4−2が重ね合った状態になる。このようにして形成された放熱部品は、放熱フィンの密度が概ね2倍に高くなる。
【0040】
図5は、2枚の放熱部品1−1、1−2を重ね合わせた状態を説明する部分拡大図である。図5に示すように、同じ形状の2枚の放熱部品1−1、1−2を重ね合わせると、帯状部分の連結部4−1、4−2が重ね合わされる。放熱部品1−1の連結部4−1と同じ面から第1フィン部2−1の放熱フィン21−1、第2フィン部3−1の放熱フィン31−1がそれぞれ概ね垂直に起き上がっている。下側に位置する放熱部品1−2の連結部4−2と同じ面から第1フィン部2−2の放熱フィン21−2、第2フィン部3−2の放熱フィン31−2がそれぞれ概ね垂直に起き上がっている。
【0041】
上述したように、放熱部品1−2の放熱フィン21−2の各々が、放熱部品1−1の隣接する放熱フィン21−1の間の対応する開口部24−1の概ね中央部に位置し、放熱フィン31−2の各々が、隣接する放熱フィン31−1の間の対応する開口部34−1の概ね中央部に位置している。2枚の放熱部品1−1、1−2を重ね合わせることによって、放熱フィンの高さが同じ場合には、下側の放熱部品の放熱フィンの高さが、上側の放熱部品の放熱フィンの高さよりも板材の厚さ分だけ低くなっている。従って、2枚の放熱部品1−1、1−2を重ね合わせた状態で、放熱フィンの高さを同じにするためには、下側の放熱部品の放熱フィンの高さを大きくするために、切り込み部分のサイズを調整する。
【0042】
図6は、この発明の放熱部品の他の1つの態様を説明する斜視図である。この態様においては、放熱フィンのそれぞれの上端部が屈曲されて上面部を形成している。即ち、図2を参照して説明したように、隣接する鈎形の二辺a、bに切り込みを入れた第1のフィン部2は、点線で示したfに沿って切り込んだ部分を起こし、更に上端部が折り曲げられて上面部を形成している。このように形成された放熱フィン21は、底面部22、垂直面部23および上面部25を備えている。同様に、隣接するコの字形の三辺c、d、eに切り込みを入れた第2のフィン部3は、点線で示したhに沿って切り込んだ部分を起こし、更に上端部が折り曲げられて上面部を形成している。このように形成された放熱フィン31は、底面部32、垂直面部33および上面部35を備えている。
この態様の放熱部品1も、図4および図5を参照して説明したように、2枚以上の放熱部品を重ね合わせることができる。
更に、図6にしめすように、切り込みの長さを短くし、残った部分に形成された、発熱部品に固定する固定部50を備えてもよい。
【0043】
上述したように、各種(例えば大型)の1枚の板材に切り込みを入れて、その部分を起こしてフィンを形成し、更に同様にフィンを形成した別の板材と、切り起こして形成したフィン部分が別の板材の空隙の位置に来るようにして積層させることによって、一枚あたりの製造時の材料歩留まりを向上させながら、複数枚の板材を積層させることができる。複数枚を重ねてもよいし、板材と板材の間にヒートパイプを挟んだり、それぞれの板材の材質、厚さが異なってもよい。また、フィンの表面にルーバーやエンボス加工を施して、熱特性を向上させたり、強度を向上させてもよい。更に、黒色塗装やアルマイト塗装など、放射特性の向上を図ったり、DLC蒸着などで熱伝導を向上してもよい。
【0044】
更に、ヒートパイプを挟む際、板材に窪み部を設けて、熱的接続を向上させたり、組み合わせた切り起こし部(フィン部)の位置がそれぞれ揃っていてもよいし、逆に異なっていてもよい。
【0045】
また上述したように、複数枚を積層させて放熱部品を形成するだけでなく、一枚の板材をU字形に曲げ、その対向する部分の切り起こし部(フィン部)が相手方の空隙に位置するように成形する(即ち、U字形に折り曲げた板材の下側の板材のフィン部を上側と同じ方向に切り起こし、上側の板材の間隙に位置させる)と、積層させたときと同様の効果を発揮することができる。この際、折り曲げた板材の間にヒートパイプを挟むことによって更に性能を向上させることができる。
【0046】
ヒートパイプを使用する場合には、長いヒートパイプに複数の積層部を同時に熱的に接続することによって、更に大型の放熱部品(ヒートシンク)を形成することができる。
【0047】
この発明によると、板材を利用することによって、材料歩留まりが高く、大小さまざまな形状を自在に実現でき、効率的に放熱面積を増大することができる放熱部品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1はこの発明の放熱部品の1つの態様を説明する斜視図である。
【図2】図2は一枚の板材に切り込みを入れる状態を説明する図である。
【図3】図3は切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こしてフィンを形成する状態を説明する部分拡大図である。
【図4】図4は、上述したように作製した放熱部品を2枚重ね合わせて放熱部品を作製する状況を説明する図である。
【図5】図5は、2枚の放熱部品1−1、1−2を重ね合わせた状態を説明する部分拡大図である。
【図6】図6は、この発明の放熱部品の他の1つの態様を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 放熱部品
2 第1フィン部
3 第2フィン部
4 連結部
10 板材
21 放熱フィン
22 底面部
23 垂直面部
24、34 開口部
31 放熱フィン
32 底面部
33 垂直面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の板材に所定形状の切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こして形成される複数のフィンの列からなる少なくとも1つのフィン部と、前記フィンの間を連結する、前記板材の一部である連結部とを備えた放熱部品。
【請求項2】
切り込みを入れる前記所定形状が隣接する鈎形の二辺、および/または、隣接するコの字形の三辺からなっており、前記切り込まれた部分を起こして形成される複数のフィンの列の各々の形状が概ねL字形からなっていることを特徴とする、請求項1に記載の放熱部品。
【請求項3】
前記複数のフィンの列が、前記隣接する鈎形の二辺に切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こして形成されるフィンからなる第1フィン部と、前記隣接するコの字形の三辺に切り込みを入れ、切り込まれた部分を起こして形成されるフィンからなる第2フィン部からなり、前記連結部が前記第1フィン部と前記第2フィン部を連結することを特徴とする、請求項2に記載の放熱部品。
【請求項4】
前記連結部が、形成されたフィン部を除く所定の幅を備えた前記板材の帯状部分からなり、前記第1フィン部の各々のフィン、および、前記第2フィン部の各々のフィンが、前記帯状部分の長手方向に沿って、前記帯状部分の両側方の端部にそれぞれ配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の放熱部品。
【請求項5】
前記連結部が少なくとも2つの前記帯状部分からなり、ぞれぞれ、最も外側の前記帯状部分の外方の側端部に前記第1フィン部を備え、前記帯状部分の内方の側端部に前記第2フィン部を備えていることを特徴とする、請求項3に記載の放熱部品。
【請求項6】
並列配置された複数の前記第2フィン部の各フィン列が、前記帯状部分において、交互に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の放熱部品。
【請求項7】
前記各々のフィンの頂部分が折り曲げられて上面部を形成していることを特徴とする、請求項1から6の何れか1項に記載の放熱部品。
【請求項8】
一部の前記切り込みの長さを短くし、残った部分に形成された、発熱部品に固定する固定部を備えていることを特徴とする、請求項1から7の何れか1項に記載の放熱部品。
【請求項9】
前記一枚の板材から形成された放熱部品の切り込まれた部分を起こして形成されるフィンの間の空間に、別の一枚の板材から形成された放熱部品のフィン部が配置されるように重ね合わせて積層されていることを特徴とする、請求項1から8の何れか1項に記載の放熱部品。
【請求項10】
前記一枚の板材と前記別の一枚の板材とが同一材質からなっていることを特徴とする、請求項9に記載の放熱部品。
【請求項11】
前記一枚の板材と前記別の一枚の板材とが異なる材質からなっていることを特徴とする、請求項9に記載の放熱部品。
【請求項12】
前記一枚の板材のフィン部の高さと前記別の一枚の板材のフィン部の高さとが異なっており、前記一枚の板材と前記別の一枚の板材とを重ね合わせたときに概ね同じ高さになることを特徴とする、請求項9から11の何れか1項に記載の放熱部品。
【請求項13】
請求項1から12の何れか1項に記載の放熱部品が面状の被冷却部品に沿わせるように配置されていることを特徴とする放熱構造。
【請求項14】
前記被冷却部品が、複数のLEDが実装された実装板材であることを特徴とする、請求項13に記載の放熱構造。
【請求項15】
前記被冷却部品が、バックライトを備えたディスプレイ装置の反射板であることを特徴とする、請求項13に記載の放熱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−26784(P2009−26784A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185278(P2007−185278)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】