説明

放送受信機、方法及びプログラム

【課題】放送波及びインターネット放送両用の放送受信機21が、インターネット放送を視聴することができる地域を、該インターネット放送の配信元の放送局についての法令上の放送対象地域に限定する場合に、放送受信機21が、各放送局についてその放送対象地域が具体的にどのようになっているかの情報を保有していなくても、的確に限定できるようにする。
【解決手段】ユーザが選局した放送局からの放送波の信号レベルを取得する(S51)。信号レベルが一定値以上であるか否かを判定し(S52)、一定値以上であれば(S52YES)、現在位置と選択局の受信周波数とから選択局を特定し(S54)、該選択局がインターネット放送を行っていれば(S55YES)、該インターネット放送を受信して(S64)、その番組を出力する(S65〜S67)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送波型放送及びIP型放送両用の放送受信機、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、VOD(ビデオ・オン・デマンド)や地上デジタルテレビジョン放送のIP(Internet Protocol)再送信、およびインターネットラジオなど、インターネットで放送番組といったコンテンツを配信するIP放送などの配信方式が普及している。インターネットラジオはインターネットに接続したPC(パーソナルコンピュータ)でWebブラウザなどを使用して視聴することが可能であり、VODはインターネットに接続したテレビやSTB(セットトップボックス)といった受信機を用いることにより視聴することが可能である。また、地上デジタルテレビジョン放送のIP再送信は、NTTの次世代ネットワーク(NGN:Next Generation Network)に接続したSTBを使用することにより視聴することが可能となっている。
【0003】
ここで、放送番組をインターネットで配信する場合に、配信する対象地域が問題となる場合がある。インターネットラジオのように、特に配信地域に制限を設けていないコンテンツを配信している場合は問題とはならないが、地上デジタルテレビジョン放送のIP再送信では放送対象地域が法令により定められていることから、放送局に認められている放送対象地域外への配信はできない。そのため、地上デジタルテレビジョン放送のIP再送信では、NGNと呼ばれるインターネットとは異なる閉じた通信網を介して配信する地域を制御することにより、放送対象地域以外にコンテンツを配信しないようになっている。
【0004】
特許文献1は、インターネット配信コンテンツを地域制限付きで視聴可能にした受信装置を開示する(特許文献1の段落0023,0025及び図1)。該受信装置では、GPS(Global Positioning System)を利用して受信装置の現在の緯度・経度情報を取得し(特許文献1の図6の81)、フラグ付きの国エリア、すなわちユーザがスカイパーフェクト等の衛星放送プラットホーム事業者と受信契約している国を調べ(特許文献1の図5及び図6の82)、現在位置が受信契約エリア内にあれば、コンテンツが出力されるようになっている(特許文献1の図6の84YES,88)。
【0005】
特許文献2はIP放送システムについて開示する(特許文献2の図1及び図2)。該放送システムによれば、IP放送端末(セットトップボックス)からIP放送サーバへユーザ選択チャンネルとIP放送端末位置との情報が送られ(特許文献2の図4のS23,S24)、IP放送端末位置が該選択チャンネルの閲覧地域に含まれているか否かを、動作地域テーブルを参照しつつ、判断し(特許文献2の図4のS25及び段落0051)、含まれていると判断した場合には、IP放送サーバからIP放送端末へ選択チャンネルのデータを送信する(特許文献2の段落0051及び図4のS27〜S29)。動作地域テーブルには、IP放送端末が、その動作を可能とする地域がチャンネルごとに格納されている(特許文献2の段落0047)。
【0006】
特許文献3は、放送網と移動体通信網との両方からコンテンツを受信することができる視聴端末(携帯電話機)を開示する(特許文献3の図1)。該視聴端末は、放送網側のコンテンツ品質が低下すると、該コンテンツの放送局のIDを、移動体通信網を介して視聴管理サーバへ送信する(特許文献3の例えば図4のS02,S04)。これに対し、視聴管理サーバは、コンテンツ格納情報(特許文献3の図2)を参照して、該当の再生電話番号又は再生URLを検索して、それを視聴端末へ返す(特許文献3の例えば図4のS05,S06)。視聴端末は、返された再生電話番号又は再生URLへアクセスして、アクセス先の同時再送信サーバからコンテンツを受信し、該コンテンツを再生するようになっている(特許文献3の例えば図4のS08〜S10)。
【0007】
特許文献3は、さらに、視聴端末における移動体通信網配信のコンテンツの視聴を放送局特定情報に基づき制限することを開示する(特許文献3の段落0005)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−182604号公報
【特許文献2】特開2008−288814号公報
【特許文献3】特開2005−136879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えば、ラジオ放送局が、放送波による番組と同一番組をほぼリアルタイムでインターネット放送することを想定する。これに対し、ユーザは、放送波及びインターネット両用の車載ラジオや携帯ラジオでラジオ放送局の番組を放送波及びインターネットのどちらかで聴取しつつ、地域を移動することがある。この地域移動では、該ラジオ放送局に対して法令上、定められている放送対象地域を越えることがあるので、両用ラジオの現在位置に応じて、インターネット放送の出力を的確に許容及び禁止する必要がある。
【0010】
特許文献1の受信装置は、放送局の放送地域情報を参照して、インターネット放送の出力の許可・禁止を決めており、移動地域全体の各放送局について放送地域情報の保有が必須となる。この結果、該受信装置が、放送局の放送地域情報を全く有しないとき、放送局の放送地域情報を保有しない地域へ移動したとき、又は放送局の放送地域が変化した場合に、放送地域情報の更新が遅れたときには、インターネット放送の出力の許可・禁止を的確に制御することができない。
【0011】
特許文献2のIP放送システムでは、IP放送端末がその位置をIP放送サーバへ送信し、これに対し、IP放送サーバが、動作地域テーブルを参照して、IP放送端末へのコンテンツの送信・非送信を決めている。該IP放送システムでは、IP放送端末は自機だけで周波数の出力の許可・禁止を決めることができない。もし、IP放送端末が単独で周波数の出力の許可・禁止を決めることができるようにするならば、IP放送端末が動作地域テーブルを保有することが必須となる。しかしながら、IP放送端末が動作地域テーブルを保有したとしても、該IP放送端末が、放送局の放送地域情報を保有しない地域へ移動したとき、又は放送局の放送地域が変化した場合に、放送地域情報の更新が遅れたときには、インターネット放送の出力の許可・禁止を的確に制御することができない。
【0012】
特許文献3は、視聴端末における移動体通信網配信のコンテンツの視聴を放送局特定情報に基づき制限することを開示するものの、具体的に放送局特定情報をどのように使って、視聴を制限するのかについて言及していない。
【0013】
さらに、特許文献1,2の放送受信機は、インターネット放送コンテンツの出力を禁止したときは、何も出力せず、利便性が低い。特許文献3の放送受信機は、放送網側のコンテンツ品質が低いときに、移動体通信網へ切替えて、移動体通信網のコンテンツを出力するが、放送波がアナログ放送波である場合には、アナログ放送波のコンテンツ品質は通常、インターネット放送のコンテンツ品質より劣っており、ユーザは低い品質の放送を優先して視聴することになる。
【0014】
本発明の目的は、現在位置がIP型放送の出力許可・禁止の地域であるか否かの情報を使用しなくても、IP型放送の出力許可・禁止を的確に制御することができる放送受信機、方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本明細書において、「IP型放送」という場合、IP(Internet Protocol)を使用してネットワーク(特に、インターネット)を介してコンテンツを配信するすべての放送を含むものとし、少なくとも「インターネット放送」、「IP放送」及び「IP再送信」を含むものとする。
【0016】
本発明は、放送波の信号レベルに着目する。信号レベルが所定値以上である場合には、放送受信機は該放送波の放送対象地域内にあると判断することができ、この場合、該放送局に対してその放送波の対応付けられているIP型放送を放送受信機において出力することを許可する。また、信号レベルが所定値未満である場合には、放送受信機は該放送対象地域外にあると判断することができ、この場合は、該IP型放送を放送受信機において出力することを禁止する。
【0017】
本発明の放送受信機は、放送波型放送及びIP型放送両用であって、次の手段を備える。
選択局の放送波型放送のコンテンツ又は該放送波型放送に対応付けられているIP型放送のコンテンツを出力する放送出力手段、
前記選択局の放送波についてその信号レベルを検出する信号レベル検出手段、及び
検出信号レベルが所定値以上である場合には、前記放送出力手段からの前記選択局のIP型放送のコンテンツの出力を許容し、前記所定値未満である場合には、禁止する出力制御手段。
【0018】
本発明の制御方法は、放送波型放送及びIP型放送両用の放送受信機の制御方法であって、次のステップを備える。
選択局の放送波についてその信号レベルを検出する信号レベル検出ステップ、及び
検出信号レベルが所定値以上である場合には、前記選択局のIP型放送のコンテンツの出力を許容し、前記所定値未満である場合には、禁止する出力制御ステップ。
【0019】
本発明のプログラムは、本発明の放送受信機の各手段としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、選択局に対し、その放送波型放送の放送波の信号レベルに基づき該放送波型放送に対応付けられたIP型放送の出力を許可するか、禁止するかを決めるので、各放送局の放送対象地域の情報を保有することなく、IP型放送の出力の許可及び禁止を制御することができる。また、各放送局の放送対象地域の情報を保有しなくて済む結果、放送受信機が該情報がない地域へ移動したときや、各放送局の放送対象地域に変更があったにもかかわらず、該情報の更新が遅れたときにも、的確な制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】放送システムの概略構成図である。
【図2】図1の放送受信機の主要部についてのブロック図である。
【図3】図2の放送受信機に対して適用する放送切替方法のフローチャートである。
【図4】図3の放送切替方法の内、IP放送出力を許容する処理部分のシーケンス図である。
【図5】図3の放送切替方法の内、IP放送出力を禁止する処理部分のシーケンス図である。放送切替方法のシーケンス図である。
【図6】図2の放送受信機がアクセス先URLを探索するために自機に保有する表情報の構造図である。
【図7】図6の表情報に具体的なデータを対応欄に記入した図である。
【図8】図2の放送受信機に対して適用され放送波の信号レベルを検出しない放送切替方法のフローチャートである。
【図9】IP放送の配信元サーバのURLを外部から取得する場合の放送システムの構成図である。
【図10】図9の放送システムにおける放送受信機に適用される放送切替方法のフローチャートである。
【図11】図10の放送切替方法のシーケンス図である。
【図12】図3の放送切替方法において認証処理を省略した放送切替方法のフローチャートである。
【図13】図12の放送切替方法のシーケンス図である。
【図14】図2の放送受信機において実施される受信レベル監視処理方法のフローチャートである。
【図15】図1の放送システム等を網羅する放送受信機のブロック図である。
【図16】図15の放送受信機に適用される放送受信機制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の実施の形態の説明において、「IP放送」は、インターネット放送やIP再送信を含む概念で使用する。すなわち、IPを使用して、ネットワークを介してサーバから放送受信機へ放送コンテンツを配信する放送は、すべて「IP放送」と定義する。また、図1〜図14の実施の形態では、放送波がアナログラジオ放送である場合について説明している。さらに、図1〜図14の実施の形態の説明における「IP放送」は特に「IP再送信」、すなわちラジオ放送波による放送の番組と同一の番組をほぼ同時にインターネットで配信する放送を想定している。
【0023】
図1において、放送システム10は、主要構成要素として、放送局11、据置型放送受信機12やモバイル型放送受信機13等の放送波・IP両用の受信機、及びインターネット16を備えている。モバイル型放送受信機13は、現在位置を例えばGPS衛星17からのGPS電波により測位する。放送局11は、編集室20で編集したスケジュールに従って番組を送信アンテナ19から放送波(電波)により放送するとともに、インターネット16を介してほぼ同時に放送する。
【0024】
放送システム10を構成する受信機は車載型も含む。放送システム10では、放送局11が1つしか図示されていないが、実際の放送システム10は、複数の放送局11を含む。受信機も、図示の都合上、2つしか示していないが、実際の放送システム10は多数の受信機を含む。各受信機では、そのユーザにより所望の放送局11が選択され、該放送局11の放送コンテンツが出力される。各放送局11は、その放送対象地域を法令により定められている。
【0025】
据置型放送受信機12やモバイル型放送受信機13等の両用受信機は、送信アンテナ19からの放送波を受信して、その番組の映像及び/又は音声を自機のモニタやスピーカから出力する。該両用受信機は、また、各放送局11に対し、その放送対象地域内に存在する場合に限り、送信アンテナ19からの放送波と同一の番組をIP放送により、インターネット16を介して配信されて、その出力を許容される。据置型放送受信機12及びモバイル型放送受信機13は、インターネット16へ無線又は有線通信により接続され、IP放送の番組をインターネット16から該無線又は有線通信を介して受信する。
【0026】
送信アンテナ19からの放送波による放送がアナログ放送であっても、インターネット16を介するIP放送はデジタルデータにより行われるので、アナログ放送の場合には、据置型放送受信機12やモバイル型放送受信機13における番組の出力品質は放送波よりもIP放送の方が高い。このため、後述するように、据置型放送受信機12及びモバイル型放送受信機13ではIP放送の出力を放送波の出力より優先している。
【0027】
アナログラジオ放送局の場合、該アナログラジオ放送局が、IP放送により流すコンテンツ(IP放送コンテンツ)と、送信アンテナ19から放送波により流すコンテンツ(放送波コンテンツ)とについて想定される関係は次のとおりである。(a)IP放送コンテンツは放送波コンテンツと同一である。(b)IP放送コンテンツは放送波コンテンツに加えて映像や静止画像や広告情報など他のコンテンツを付加している。(c)IP放送コンテンツは放送波コンテンツとは全く別のコンテンツである。放送システム10は(a)〜(c)のいずれであってもよいとする。
【0028】
図2は放送受信機21の主要部についてのブロック図である。放送受信機21は、据置型放送受信機12及びモバイル型放送受信機13を総称したものとする。放送受信機21は、据置型放送受信機12のように家屋等の建築物内の所定場所に据え付けられるもの、モバイル型放送受信機13のようにユーザに携帯されるもの、さらに、自動車に搭載されるものを含む。放送受信機21は、特にそれが携帯型や車載型である場合には、視聴する放送局11の放送対象地域に対して頻繁に出入りし、放送局11のIP放送は、該放送局11が該IP放送に対応付けている放送波の放送対象地域に放送受信機21が存在するときのみ、放送受信機21から出力されるように的確に制御することが要望される。
【0029】
アンテナ22は送信アンテナ19(図1)からの地上波アナログラジオ放送の電波を捕捉し、そのRF信号はチューナー部23へ送られる。チューナー部23は、主制御部24からの指示に従い所定周波数のRF信号を選択して、それをIF信号へ変換してから、復調部25へ送る。復調部25は、IF信号を復調して、音声信号を生成し、それを主制御部24へ送る。
【0030】
通信部27は、インターネット16と主制御部24との間に介在して、無線アンテナ28を介してインターネット16(図1)との間でデータを授受するとともに、主制御部24との間でデータを授受する。該データには、放送局11からのIP放送のコンテンツデータが含まれる。現在位置検出部29は、GPS衛星17(図1)からのGPS電波に基づき現在位置を測位し、現在位置情報を主制御部24へ送る。
【0031】
操作部33は、ユーザ操作を受付けるキー等を装備し、操作情報を主制御部24へ送る。表示制御部34は、主制御部24から表示情報に係る信号を供給され、該表示情報を表示装置35に表示する。音声制御部36は、主制御部24からの音声データを音声信号に変換し、スピーカ37へ送る。スピーカ37は、音声制御部36からの音声信号を音に変換して、出力する。
【0032】
ROM40には、プログラムや固定データが記録され、主制御部24はROM40の記録データを適宜読み出し可能になっている。RAM41は、主制御部24が演算処理中にデータを一時的に記憶するのに使用される。
【0033】
図3は放送切替方法45のフローチャート、図4は放送切替方法45の内、IP放送出力を許容する処理部分のシーケンス図である。図5は放送切替方法45の内、IP放送出力を禁止する処理部分のシーケンス図である。放送切替方法45は、放送受信機21に適用され、ユーザが操作部33(図2)において放送受信機21の電源をオンにしたり、聴取する放送局を切替えたりするのに伴い、実行開始される。ユーザが聴取の放送局を切り替えることにより放送受信機21における放送波の選択周波数が切り替えられる。
【0034】
放送局11がそのラジオ放送波に対応付けて配信するIP放送のコンテンツには、ラジオ放送波の音声に所定の映像(例:広告)を付加する場合がある。放送受信機21は、放送切替方法45の実行開始前に、IP放送を出力している場合がある。放送切替方法45では、まず、切替前に受信していた放送の映像及び音声の出力を停止する(S46,S47)。この際、切替前の放送局からそのIP放送を受信していた場合には、配信元のサーバとのネットワーク接続が確立されているため、ネットワークの通信切断を行う(S48)。この後、チューナー部23における選択周波数を切替後の放送局の放送波の周波数へ切替える(S49)。
【0035】
次に、切替後の周波数の受信品質が十分に確保されているかを確認するため、チューナー部23における選択周波数の受信信号が安定化するのを待ち(S50)、安定化してから、該受信信号のレベルを取得して(S51)、受信信号レベルが一定以上の値を示しているかを確認する(S52)。そして、一定以上の値を示していれば、S53へ進み、一定未満の値であれば、S68へ進む。
【0036】
信号レベルが一定以上の値を示していることは(S52"YES")、放送受信機21が、該受信信号に係る放送波に対し、その放送局11の放送対象地域内に存在することを意味する。したがって、該放送局11が、該放送波に対応付けているIP放送のコンテンツを放送受信機21から出力することを許容することかできる。放送受信機21が、該放送局11からIP放送を受信するためには、放送受信機21は、その配信サーバへインターネット16を介してアクセスするために、アクセス先である該サーバのURL(Uniform Resource Locator)を取得する必要がある。
【0037】
図6は放送受信機21がアクセス先URLを探索するために自機に保有する表情報の構造図である。図7は図6の表情報に具体的なデータを対応欄に記入した図である。該表情報では、現在位置は都道府県単位で管理していることから、放送受信機21の現在位置を特定する必要がある。放送受信機21では、図1及び図2で前述したように、GPS衛星17からのGPS電波に基づき現在位置を特定している(S53)。これにより、現在位置の緯度経度を取得して、この緯度経度から都道府県を特定する。
【0038】
緯度経度から都道府県を特定する方法としては、受信機がカーナビゲーションに相当する機能を有している場合は、その機能を利用することにより緯度経度から都道府県を特定することができる。受信機がそのような機能を有していない場合は、緯度経度から都道府県を特定することができる機能を有している周知のサーバがインターネット16上に存在するので、該サーバへアクセスして問い合わせることにより、都道府県を取得することができる。問合せによるURLの具体的な取得の仕方は図8〜図11において後述する。
【0039】
なお、インターネット16内の配信サーバ(後述の図9の配信サーバ74に相当する。)へアクセスするためのアクセス先がURLであることを示したが、これはURLに限定するものではなく、サーバのIPアドレスなど他の手段を用いても構わない。これらの方法で得た都道府県と、現在の選択周波数を基に放送受信機21内のデータベース(図6及び図7の表情報)を検索し、該選択周波数の放送波の送信元の放送局を特定し(S54)、該特定した放送局に基づきアクセス先であるURLを取得する。図6の表情報の場合について具体例に説明すると、現在位置が東京で、かつ現在の選択周波数が81.5[MHz]の場合は、ラジオ放送局がCCC_FMでURLが" http://www.ccc.co.jp/contents.htm"であることが判明する。
【0040】
なお、図6及び図7のデータベース構造では、各ラジオ放送の放送対象地域を都道府県単位で管理しているが、より詳細に都道府県と市町村とを組み合わせた単位で管理してもよい。また、該データベース構造では、1つのラジオ放送局に対して1つの周波数を対応付けているが、ラジオ放送局が複数の中継局から放送波を送出している場合もあるため、1つのラジオ放送局に対して複数の周波数を対応付けることもできる。また、該データベース構造では、1つのラジオ放送局が複数のURLを保持しているが、これは1つのラジオ放送局が複数の放送を配信している場合に、それぞれのURLへアクセスすることで視聴する放送や番組を切替えることを考慮しているためであり、1つの放送のみ配信する場合はその放送局に1つのURLのみを対応付ければよい。
【0041】
また、このデータベースにURLが全く格納されていない場合(S55"NO"の場合)は、そのラジオ放送局はIP放送を実施していないので、S68へ進む。
【0042】
このデータベースにURLが格納されている場合(S55"YES"の場合)、放送受信機21は取得したURLにアクセスするため、URLに示された配信サーバとの通信を確立する(S60)。通信が確立した後(S61"YES")、URLに示された配信サーバ間と認証を実施する(S62)。これは、インターネット経由で配信される放送はURLを基にアクセスすることになるが、インターネット経由で配信している場合は、URLが分かってしまうといかなる地域からもパソコンを使用してその放送を受信することが可能となってしまう。これは、放送事業者として認可されている放送対象地域を大きく越えて、いかなる地域へも放送を配信することにつながってしまうので、ユーザ認証やデバイス認証などの認証手段を用いて、特定の機器でのみ視聴することができるように制限をかけることを目的としている。
【0043】
図3へ戻って、認証が成功した場合は(S63"YES")、IP放送を受信することができるので、受信したIP放送の映像や音声の再生を開始し(S64)、その再生する音声が出力されるように音声出力をIP放送デコード側へ切替え(S65)、その後、映像及び音声のミュートを解除する(S66,S67)。認証が失敗した場合は(S63"NO")、S68へ進む。
【0044】
周波数を変更した際に受信信号レベルが一定の値を下回っており、受信品質が十分に確保できない場合の動作について説明する(図5)。周波数を変更した際に受信信号レベルが一定の値を下回っている場合(図3のS52"NO"の場合)は、その放送は、十分に受信ができないことから、その放送波が放送対象地域内の放送局11からのものであるかの判断もできない。仮にその放送局11がIP放送を配信していたとしても、この放送受信機21は、その配信サーバへアクセスして、IP放送の配信を受けることはしないようにしている。したがって、その場合は、無条件に放送波を視聴するように、S68へ進む。
【0045】
S68では、主制御部24は、音声出力を放送波デコード側へ切り替え、すなわち、復調部25からの復調信号に係る音声信号へ切り替え、その後、S69において音声ミュートを解除する。
【0046】
図3〜図5のフローチャート及びシーケンス図では、S46,S47,S66,S67の存在から分かるように、IP放送コンテンツが映像及び音声の両方である場合を想定して説明しているが、IP放送に対応付けられる放送波がラジオ放送やテレビ放送に関係なく、該IP放送のコンテンツは、音声のみのコンテンツ、音声+映像のコンテンツ、又は映像のみのコンテンツとすることができる。
【0047】
前述のS52NOの「信号レベルが一定値未満である」場合について、補足説明する。該一定値を低く設定した場合、S52NOで、S68,S69へ進み、音声出力を放送波デコード側へ切り替える。このとき、(a)ノイズしか聞こえないとき、及び(b)ノイズの比率は多いがなんとか聞けるときの2通りがある。アナログ放送の場合は、通常(b)であり、ユーザによっては、受信感度は悪いが、聴きたいことがある。S68,S69は、そのようなユーザに対処しており、信号レベルが一定値以下でインターネット放送が視聴できない状況でも、最低限、放送波からの音声を出力している。また、ユーザによっては、ノイズが多いので、直ちにチャンネルを切り替えることもある。また、S68,S69に代えて、現在地がIP放送の出力が禁止されている地域である旨をユーザに音声出力及び/又は視覚表示で知らせる処理を実施してもよい。
【0048】
図8は別の放送切替方法71のフローチャートである。該放送切替方法71において、図3の放送切替方法45のステップと同一のステップについては、放送切替方法45のステップに付した番号と同一の番号を付す。
【0049】
図1の放送システム10では、周波数を変更した際に受信信号レベルが一定の値を下回っており、受信品質が十分に確保できない場合に、インターネット16経由で配信される放送は受信せず、放送波で配信される放送を出力するようになっている。これに対し、図8放送切替方法71に係る放送システムでは、放送波を受信できない状況においても、受信機の現在位置をGPS衛星17からのGPS電波から取得した情報によって特定できる状況にあれば、該受信できない放送波の放送が放送対象地域内であるか否かを現在位置から判別できるので、インターネット16経由で配信される放送を視聴できるか否かを現在位置に基づき決める。
【0050】
放送切替方法71と図3の放送切替方法45との相違点は、放送切替方法71では、放送切替方法45のS52が省略されていることである。放送切替方法71のS54では、放送切替方法45のS54と同様に、図7の表情報(データベース)を利用して、現在位置と選択中の放送波の周波数とからそれらに対応するURLを特定する。図7の表情報では、現在位置から特定されるURLは、現在位置を放送対象地域にする放送局11のIP放送のURLとなるので、放送切替方法71では、該IP放送の放送波の信号レベルを検出しないものの、放送受信機21からのIP放送のコンテンツ出力を、該IP放送に対応付けられる放送波の放送対象地域に放送受信機が存在するときのみに制限することができる。
【0051】
放送切替方法71の全体を説明する。視聴者が受信する放送局を切り替えた際、切り替える前に受信していた放送の映像と音声の出力を停止する(S46,S47)。この際、その受信していた放送がインターネット16経由で配信される放送を受信していた場合には、ネットワークとの接続が確立されているため、ネットワークの切断を行う(S48)。これらの手順を実施した後、目的の周波数へ受信周波数を切り替える(S49)。受信状態の安定を待った後(S50)、GPSから緯度経度を取得し(S53)、前述の実施例に示したように現在位置と現在の周波数に応じたURLを取得し(S54)、URLが格納されている場合は、インターネット16経由で配信されている放送を視聴する(S55,S60〜S67)。
【0052】
地上アナログラジオ放送では、受信機が設置されている場所においては十分に放送波が届かないなどの理由により、難視聴地域が存在する。放送切替方法71においては、難視聴地域においてもインターネット16へ接続することができる場合は、インターネット16経由で配信される放送を受信することができるため、難視聴地域対策を施すことができる。
【0053】
図9は放送受信機21がIP放送の配信元サーバのURLを外部から取得する場合の放送システム73の構成図である。放送システム73において、図1の放送システム10の要素と重複する要素については、放送システム10の要素に付した符号と同一の符号を付して、その説明は省略し、主要点についてのみ説明する。
【0054】
放送局11は配信サーバ74及び認証サーバ75を装備し、URL管理センター76はURL管理サーバ77を装備する。配信サーバ74、認証サーバ75及びURL管理サーバ77はインターネット16に接続されている。放送システム10の放送受信機21は、図7の表情報を有しているが、放送システム73の放送受信機21は該情報を有していない。放送システム73では、図7の表情報は、URL管理センター76のURL管理サーバ77に装備され、放送受信機21は、現在選択中の周波数の放送局11のURLを、インターネット16を介してURL管理サーバ77に問い合わせ、URL管理サーバ77から教えて貰うようになっている。
【0055】
放送システム73では、放送局11のIP放送の配信サーバ74のURLに変更が生じたとしても、URLを一元管理しているURL管理サーバ77のデータのみ変更すればよいので、個々の放送受信機21内の図7の表情報を変更する場合に比して、URL管理を合理化することができる。
【0056】
図10は図9の放送システム73における放送受信機21に適用される放送切替方法80のフローチャートである。図11は図10の放送切替方法80のシーケンス図である。放送切替方法80において、図3の放送切替方法45のステップと同一のステップについては、放送切替方法45のステップに付した番号と同一の番号を付す。
【0057】
放送切替方法80では、図3の放送切替方法45のS54,S55に代えて、S81〜S83をS53とS60との間に挿入している。S81では、放送受信機21はインターネット16を介するURL管理サーバ77との接続を確立する。S82では、現在位置及び設定周波数(選択中の周波数)をURL管理サーバ77へ送信する。
【0058】
URL管理サーバ77は、放送受信機21から受信した現在位置及び設定周波数に対し、それらに対応付けられるURLを、自機の保有するデータベース(図7の表情報)において検索し、検索結果を放送受信機21へ返す。該当するURLがあれば、放送受信機21はURL管理サーバ77からの検索結果の受信情報により知ることができる。S83では、URLの取得に成功したか否かを判定し、判定が正であれば、S60へ進み、否であれば、S68へ進む。
【0059】
図12は図3の放送切替方法45において認証処理を省略した放送切替方法85のフローチャートである。図13は図12の放送切替方法85のシーケンス図である。放送切替方法85において、図3の放送切替方法45のステップと同一のステップについては、放送切替方法45のステップに付した番号と同一の番号を付して、その説明は省略する。相違点についてのみ説明すると、放送切替方法85では、図3の放送切替方法45のS62,S63が省略される。
【0060】
放送受信機21が、配信サーバ74のURLを自機内で保持している場合、又は特定のサーバから取得する場合には、該URLが外部に漏れる可能性は少ないとも考えられる。外部に漏れることがなければPC(パーソナルコンピュータ)などいかなる機器でも受信することはできないため、特に受信できる機器を制限する必要性もないことから、そのような場合は、ユーザ認証やデバイス認証を実施する必要がない。また、認証手順を省くことにより、より早く受信した映像や音声を出力することができるため、周波数を切り替えた(受信する放送局を切り替えた)際に、切り替え時間を短くすることができるため、より早く視聴者に提供することができる。図12の放送切替方法85は、URLの外部漏れのない状況下で、放送受信機21の利便性向上に寄与する。
【0061】
図14は図2の放送受信機21において実施される受信レベル監視処理方法100のフローチャートである。受信レベル監視処理方法100は、放送受信機21の作動中、一定時間間隔で起動する。そして、放送受信機21の作動中の選択局の放送波の信号レベルを監視し、該信号レベルが一定値以上から一定値未満になったり、逆に一定値未満から一定値以上になったりすると、IP放送から放送波への出力切替又はその逆の出力切替を実施する。受信レベル監視処理方法100において、図3の放送切替方法45のステップと同一のステップについては、放送切替方法45のステップに付した番号と同一の番号を付して、説明は省略し、相違点についてのみ説明する。
【0062】
S52の判定が正であれば、すなわち、放送受信機21が、現在出力中のIP放送に対応付けられている放送波の放送対象地域に進入すると、S101へ進む。また、S52の判定が否であれば、すなわち、放送受信機21が、現在出力中のIP放送に対応付けられている放送波の放送対象地域の外になると、S111へ進む。
【0063】
S101では、放送受信機21のユーザはIP放送を視聴中であるか否か、すなわち放送受信機21の出力がIP放送となっているか否かを判定し、判定が正であれば、受信レベル監視処理方法100を終了し、否であれば、S102へ進む。S101,S102の処理内容は、図3の放送切替方法45のS55,S61と同一であるが、判定結果による進み先が、S101では、判定が正である場合は、S102へ進み、否であれば、受信レベル監視処理方法100を終了する。また、S102では、判定が正である場合は、S46へ進み、否であれば、受信レベル監視処理方法100を終了する。こうして、放送受信機21が、現在出力中のIP放送に対応付けられている放送波の放送対象地域に進入しだい、ユーザは該IP放送を視聴することができる。
【0064】
S111では、S101と同様に、放送受信機21のユーザはIP放送を視聴中であるか否か、すなわち放送受信機21の出力がIP放送となっているか否かを判定し、判定が正であれば、S46へ進み、否であれば、受信レベル監視処理方法100を終了する。S115,S116はS47とS68との間に挿入される。S115では、IP放送の再生を中止し、S116では、該IP放送の配信サーバとの通信を切断する。S116の後、S68,S69を実施する。こうして、放送受信機21が、現在出力中のIP放送に対応付けられている放送波の放送対象地域の外になると、放送受信機21からのIP放送に代えて、放送波のコンテンツが出力される。
【0065】
図1〜図14の実施例では、放送受信機21がIP放送を出力する場合は、該放送受信機21は、該IP放送に対応付けられている放送波放送の法令上の放送対象地域としての都道府県域内に厳密に存在する場合に限定している。しかしながら、このような厳密性を緩和して、放送受信機21を作動させてもよい。現状では、放送波は、その法令上の放送対象地域としての都道府県域からスピルオーバーして、隣接都道府県域へ届き、そこでの視聴も可能となっている。このような現状を踏まえ、放送受信機21が隣接都道府県域にある場合も、特に、隣接都道府県域の内、県境に近い地域にある場合には、IP放送の出力を放送受信機21に許容させる。これに合わせて、図6の県域に対し、放送波の法令上の放送対象地域としての県域にせず、隣接都道府県域を含めた県域にしたり、放送波の法令上の放送対象地域を区切る県境を所定距離広げた県域にしたりする。
【0066】
図15は放送受信機160のブロック図である。前述の放送受信機21は放送受信機160の一例である。放送受信機160は、放送波型放送及びIP型放送両用である。前述しているように、本明細書で「IP型放送」という場合には、該「IP型放送」には、「インターネット放送」、「IP放送」及び「IP再送信」を含むものとする。放送受信機160は、放送出力手段161、信号レベル検出手段162及び出力制御手段163を備える。放送受信機160は、さらに、現在位置検出手段166、周波数検出手段167、サーバ検索手段168及びアクセス手段169を備えることができる。
【0067】
放送出力手段161は、選択局の放送波型放送のコンテンツ又は該放送波型放送に対応付けられているIP型放送のコンテンツを出力する。信号レベル検出手段162は、選択局の放送波についてその信号レベルを検出する。出力制御手段163は、検出信号レベルが所定値以上である場合には、放送出力手段161からの選択局のIP型放送のコンテンツの出力を許容し、所定値未満である場合には、禁止する。
【0068】
放送波型放送及びIP型放送はラジオ放送に限定されない。テレビ放送であってもよいとする。典型的には、選択局はアナログ放送局、特にアナログラジオ放送局(AMやFMのラジオ放送局)であるが、選択局はデジタル放送局であってもよいとする。アナログ放送波には、放送局のIDは含まれておらず、放送波自体からその放送局を特定することは困難である。
【0069】
選択局の放送波型放送と、該放送波型放送に対応付けられているIP型放送とは、典型的には、同一のコンテンツをほぼ同時に放送する。しかしながら、選択局の放送波型放送のコンテンツと、該放送波型放送に対応付けられているIP型放送のコンテンツとは、同一のコンテンツに限定されない。選択局がアナログラジオ放送局である場合、放送波型放送のコンテンツは音声のみであるのに対し、IP型放送のコンテンツは、該音声と該音声に関連する映像情報を付加することができる。また、選択局は、IP型放送のコンテンツの出力を許可する地域は、放送波型放送についての放送対象地域に限定するものの、IP型放送で配信するコンテンツを、放送波型放送のコンテンツとまったく別のものにしてもよい。
【0070】
放送受信機160では、IP型放送の出力を、自機が放送対象地域内に存在するとき及び存在しないときにそれぞれ許容及び禁止することを、IP型放送に対応付けられた放送波型放送の放送波の信号レベルに基づき判断するので、各地点に対し、それがIP型放送に対応付けられた放送波型放送の放送対象地域であるか否かの情報を保有せずに制御することができる。また、この結果、該情報を保有しない地域に放送受信機160が移動したときや、放送対象地域に変更があったものの、情報の更新を済ませていない場合にも、IP型放送のコンテンツ出力の許可及び禁止を的確に制御することができる。
【0071】
なお、放送受信機160に対して「放送対象地域」を説明するとき、該放送対象地域は、放送波について法令上の放送対象地域として定められている都道府県に限定されない。現状では、放送波は、それについて法令上の放送対象地域として定められている都道府県よりスビルオーバーして隣接都道府県に達し、そこでの視聴、特に隣接都道府県の内、放送対象地域との県境に地域での視聴が可能になっており、そのような地域におけるIP型放送の出力を確保できるようにすることが要望されることがある。
【0072】
放送受信機160が建築物内の所定場所に据え付けられるタイプの場合には、該放送受信機160の現在位置はほぼ固定されているので、該放送受信機160が、放送対象地域を越えて移動するときは、引っ越し等の特別の場合であって、放送局の放送対象地域情報を有しない地域へ移動するときのコンテンツ出力についての効果はあまり発揮されないが、放送対象地域に変更があったものの、情報の更新を済ませていない場合には、十分な効果を発揮することができる。
【0073】
好ましくは、出力制御手段163は、検出信号レベルが所定値以上でありかつ選択局がIP型放送を実施している場合には、放送出力手段161に選択局のIP型放送のコンテンツを出力させる。特に、選択局がアナログ放送局である場合には、放送波のコンテンツよりもIP型放送から配信されたコンテンツの方が受信品質が高い。したがって、選択局のIP型放送のコンテンツを出力する方がユーザに高品質のコンテンツを視聴(放送受信機160において「視聴」には「聴取」だけの場合も含ませることとする。)させることができる。
【0074】
好ましくは、出力制御手段163は、検出信号レベルが所定値未満である場合又は検出信号レベルの基になっている放送波の選択局がIP型放送を実施していない場合には、放送出力手段161に選択局の放送波型放送のコンテンツを出力させる。こうして、ユーザは、所望の放送波に対し、その信号レベルが低くて、出力品質が低いものの、該放送波のコンテンツを視聴することができる。なお、出力制御手段163は、検出信号レベルが所定値未満である場合には、放送出力手段161からの出力を一切中止したり、代替コンテンツを出力させたりすることもできる。
【0075】
放送受信機160が、家屋内の場所に据え付ける型ではなく、車載型や携帯型である場合、放送受信機160の現在位置は動的となり、放送受信機160が、その作動中にも放送局の各放送対象地域に対し出入りすることは起こる。これに対処し、好ましくは、出力制御手段163は、放送出力手段161が選択局のIP型放送のコンテンツを出力している場合に、検出信号レベルが所定値未満になると、放送出力手段161の出力を選択局の放送波型放送へ切替える。また、出力制御手段163は、放送出力手段161が選択局の放送波型放送のコンテンツを出力している場合に、検出信号レベルが所定値以上になると、放送出力手段161の出力を選択局のIP型放送へ切替える。
【0076】
放送受信機160が、その作動中において移動して、各選択局の放送対象地域の出入りするために、これに伴う放送受信機160における放送波型放送及びIP型放送の出力切替の具体例は図14の受信レベル監視処理方法100である。こうして、放送受信機160が、選択局のIP型放送又は放送波型放送のコンテンツを出力している場合に、該放送受信機160の移動に因る該選択局の放送対象地域の出入りに対して、該選択局の放送対象地域内に限定したIP型放送出力を的確に実施することができる。
【0077】
現在位置検出手段166は現在位置を検出する。周波数検出手段167は選択局の放送波についてその周波数を検出する。サーバ検索手段168は、放送波の放送波型放送に対応付けられているIP型放送の配信サーバ174を、検出現在位置及び検出周波数に基づき検索する。アクセス手段169は、検出信号レベルが所定値以上でありかつ検索対象の配信サーバ174があれば、該配信サーバ174へアクセスして選択局からのIP型放送の配信コンテンツを放送出力手段161へ供給する。
【0078】
放送受信機160は、現在位置検出手段166、周波数検出手段167、サーバ検索手段168及びアクセス手段169を装備することにより、円滑に、配信サーバ174にアクセスして、それからのコンテンツ配信を受けることができる。なお、現在位置検出手段166による現在位置検出は、GPS電波に限定されない。当該地点における携帯電話基地局の送受信周波数を検出したり、当該地点において所定信号レベル以上で受信できる全部の放送の周波数を検出して、その全部の検出周波数を各地域に対して受信可能な全放送局の周波数情報と照合し、その照合結果に基づき検出したりすることができる。
【0079】
放送受信機160は、放送波の周波数の放送波型放送に対応付けられたIP型放送の配信サーバ174のURLの情報を自機で保有していなくても、外部のURL管理サーバ176を利用して該当するURLを知得することができる。また、その場合に、現在位置の検出を省略することができる。例えば、日本では、相互に異なる放送局に同一周波数の放送波を割り当てることはほとんどない。あったとしても、それら放送局の場所は、十分に遠く離れている。そして、放送受信機160のユーザの移動距離は全国にまたがることは少なく、例えば関東地区とか、関西地区とかというように限られている。さらに、放送受信機160の現在位置で受信できる放送波が複数あれば、それら複数の放送波の周波数が全部揃っている地域は非常に限定される。したがって、放送波の周波数のみの情報から放送受信機160の現在位置を特定することができる。
【0080】
このような事情に対処した放送受信機160では、サーバ検索手段168は、インターネットを介してURL管理サーバ176へ検出周波数の情報を送信するとともに、該URL管理サーバ176から該検出周波数の放送波型放送に対応付けられているIP型放送の配信サーバ174のURLの情報を受信する。また、アクセス手段169は、検出信号レベルが所定値以上でありかつ配信サーバのURLが判明した場合には、該URLに基づき配信サーバ174ヘアクセスして、選択局からのIP型放送の配信コンテンツを放送出力手段161へ供給する。
【0081】
図16は放送受信機160に適用される放送受信機制御方法180のフローチャートである。S181では、選択局の放送波についてその信号レベルを検出する。S182では、検出信号レベルが所定値以上であるか否かを判定し、判定が正である場合は、S183へ進み、否である場合は、S184へ進む。S183では、選択局のIP型放送のコンテンツの出力を許容する。S184では、選択局のIP型放送のコンテンツの出力を禁止する。
【0082】
S181の処理は放送受信機160の信号レベル検出手段162の機能に対応している。S182〜S184の処理は放送受信機160の出力制御手段163の機能に対応している。信号レベル検出手段162及び出力制御手段163の機能について前述した具体的態様は、対応ステップの処理の具体的態様として適用可能である。
【0083】
放送受信機制御方法180には、放送受信機160の現在位置検出手段166、周波数検出手段167、サーバ検索手段168及びアクセス手段169の機能に対応付けた処理のステップを付加することができる。それら付加するステップはS183の後ろに追加する。
【0084】
本発明を適用したプログラムは、コンピュータを放送受信機160の各手段として機能させる。本発明を適用した別のプログラムは、放送受信機制御方法180の各ステップをコンピュータに実行させる。
【0085】
本明細書は様々な範囲及びレベルの発明を開示している。それら発明は、本明細書で説明した様々な技術的範囲及び具体的レベルの各装置及び各方法だけでなく、拡張ないし一般化の範囲で、各装置及び各方法から独立の作用、効果を奏する1つ又は複数の要素を抽出したものや、1つ又は複数の要素を拡張ないし一般化の範囲で変更したものや、さらに、各装置間及び各方法間で1つ又は複数の要素の組合せを入れ換えたものを含む。
【符号の説明】
【0086】
160:放送受信機、161:放送出力手段、162:信号レベル検出手段、163:出力制御手段、166:現在位置検出手段、167:周波数検出手段、168:サーバ検索手段、169:アクセス手段、174:配信サーバ、176::URL管理サーバ、180:放送受信機制御方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送波型放送及びIP型放送両用の放送受信機であって、
選択局の放送波型放送のコンテンツ又は該放送波型放送に対応付けられているIP型放送のコンテンツを出力する放送出力手段、
前記選択局の放送波についてその信号レベルを検出する信号レベル検出手段、及び
検出信号レベルが所定値以上である場合には、前記放送出力手段からの前記選択局のIP型放送のコンテンツの出力を許容し、前記所定値未満である場合には、禁止する出力制御手段、
を備えることを特徴とする放送受信機。
【請求項2】
前記出力制御手段は、前記検出信号レベルが前記所定値以上でありかつ前記選択局がIP型放送を実施している場合には、前記放送出力手段に前記選択局のIP型放送のコンテンツを出力させることを特徴とする請求項1記載の放送受信機。
【請求項3】
前記出力制御手段は、前記検出信号レベルが前記所定値未満である場合又は前記検出信号レベルの基になっている放送波の選択局がIP型放送を実施していない場合には、前記放送出力手段に前記選択局の放送波型放送のコンテンツを出力させることを特徴とする請求項1又は2記載の放送受信機。
【請求項4】
前記出力制御手段は、前記放送出力手段が前記選択局のIP型放送のコンテンツを出力している場合に、前記検出信号レベルが前記所定値未満になると、前記放送出力手段の出力を前記選択局の放送波型放送へ切替えることを特徴とする請求項2又は3記載の放送受信機。
【請求項5】
前記出力制御手段は、前記放送出力手段が前記選択局の放送波型放送のコンテンツを出力している場合に、前記検出信号レベルが前記所定値以上になると、前記放送出力手段の出力を前記選択局のIP型放送へ切替えることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の放送受信機。
【請求項6】
現在位置を検出する現在位置検出手段、
前記選択局の放送波についてその周波数を検出する周波数検出手段、
前記放送波の放送波型放送に対応付けられているIP型放送の配信サーバを、検出現在位置及び検出周波数に基づき検索するサーバ検索手段、及び
前記検出信号レベルが前記所定値以上でありかつ検索対象の配信サーバがあれば、該配信サーバへアクセスして前記選択局からのIP型放送の配信コンテンツを前記放送出力手段へ供給するアクセス手段、
を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の放送受信機。
【請求項7】
前記選択局の放送波についてその周波数を検出する周波数検出手段、
インターネットを介してURL管理サーバへ検出周波数の情報を送信するとともに該URL管理サーバから該検出周波数の放送波型放送に対応付けられているIP型放送の配信サーバのURLの情報を受信するサーバ検索手段、及び
前記検出信号レベルが前記所定値以上でありかつ前記配信サーバのURLが判明した場合には該URLに基づき前記配信サーバヘアクセスして前記選択局からのIP型放送の配信コンテンツを前記放送出力手段へ供給するアクセス手段、
を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の放送受信機。
【請求項8】
前記選択局はアナログラジオ放送の放送局であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の放送受信機。
【請求項9】
放送波型放送及びIP型放送両用の放送受信機の制御方法であって、
選択局の放送波についてその信号レベルを検出する信号レベル検出ステップ、及び
検出信号レベルが所定値以上である場合には、前記選択局のIP型放送のコンテンツの出力を許容し、前記所定値未満である場合には、禁止する出力制御ステップ、
を備えることを特徴とする放送受信機制御方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の放送受信機の各手段としてコンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−233113(P2010−233113A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80455(P2009−80455)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(308036402)JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社 (1,152)
【Fターム(参考)】