説明

放送配信装置、放送受信機、放送システム、放送配信方法、放送受信方法、および放送制御方法

【課題】緊急警報放送を提示するまでの起動時間を短縮し、緊急警報放送を災害発生前に確実に提示できるようにする。
【解決手段】放送配信装置200は、外部から緊急警報情報を受信する緊急警報受信部201と、通常放送用の放送チャンネル仕様情報と緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報とを記憶した放送パラメータ記憶部203と、緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたとき、緊急警報放送の開始を通知するための制御信号を送信し、放送パラメータ記憶部より緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報を取得し、通常放送用の放送チャンネル仕様情報から、上記取得した緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報へ切り替えて緊急警報放送を開始するように制御する緊急警報放送制御部202と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送において、地震や津波などの災害時に、緊急に放送される緊急警報放送を送受信する放送配信装置、放送受信機、放送システム、放送配信方法、放送受信方法、および放送制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル放送では、地震などの災害時に、通常番組を緊急警報に関する番組に切り替えて放送するようになっている。その際、災害発生の数秒から数十秒前に、警戒警報として災害予測情報を緊急的に放送する緊急警報放送番組と、当該緊急警報放送番組を放送していることを通知するための識別信号とが、放送配信装置から放送受信機へ送信される。
【0003】
このとき、緊急警報放送受信機能を持つ放送受信機は、放送局からの放送波を受信し続け、その放送波の中に、緊急警報放送中に送出される識別信号が含まれているか否かを監視し、当該識別信号が検出された場合、放送受信機の電源をオンにし、緊急警報放送を提示する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、情報の送受信を行う通信部を備えた放送受信機において、通信部によって、緊急警報放送の放送中を示す情報を受信したことを契機に、放送受信部の電源をオンにして、放送受信部により緊急警報放送を受信し提示する技術が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
また、平成19年に気象業務法の一部が改正された(平成19年法律第115号、同年11月21日公布、同年12月1日施行)。当該法律の改正により、気象庁は、発生した断層運動による地震動及び火山現象についての一般の利用に適合する予報及び警報を実施することとなった。
【特許文献1】特開2005−51501号公報
【特許文献2】特開2007−142744号公報
【非特許文献1】「地上デジタルテレビジョン放送送出運用規定」第三分冊 社団法人電波産業会ARIB TR-B14 2.7版
【非特許文献2】「デジタル放送における映像符号化、音声符号化及び多重化方式」社団法人電波産業会 ARIB-STD-B32 1.3版
【非特許文献3】「地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式」社団法人電波産業会 ARIB-STD-B31 1.5版
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、デジタル放送特有の仕組みにより、緊急警報放送の開始から、放送受信機での緊急警報放送の提示までに、遅延時間が発生するという問題がある。この遅延時間は、主に、配信装置におけるエンコード処理および多重化処理に関わる遅延、放送波の伝送に関わる遅延、受信機での放送番組の選局処理に関わる遅延により構成される(非特許文献1、2、3参照)。
【0007】
デジタル放送においては、放送受信機にて、インタリーブと呼ばれる技術により、受信した信号をMPEG2トランスポートストリームとして復調するまでに、遅延時間が発生する。非特許文献3によれば、上記の遅延時間は約1300msになる場合も想定されている。
【0008】
また、放送受信機は、MULTI-2方式によりスクランブルされたデータを復元し、トランスポートストリームの復号化を行い、映像・音声のエレメンタリーストリームを取得する処理を行う。この際、PSI(Program Specific Information)から、まず、ネットワークインフォメーションテーブル(NIT)を取得し、選局対象のサービスが放送されているか否か、受信機が放送されているサービスに対応しているか否かを確認する。次に、放送受信機は、プログラムアソシエーションテーブル(PAT)、プログラムマップテーブル(PMT)を順次取得し、映像・音声のエレメンタリーストリームのPIDを確定し、エレメンタリーストリームのデコード処理を行う。NIT、PAT、PMTはそれぞれ所定の周期時間で再送されている。固定受信機向けの12セグメント放送の場合、通常、NITが1秒間隔、PAT、PMTが0.1秒間隔で再送されているので、この間の処理に最大1.2秒かかることになる。
【0009】
次に、映像・音声のエレメンタリーストリームを放送受信機のキャッシュ部に一次保存して、それぞれデコードを行い、タイムスタンプ(PCR)による映像・音声の同期処理を行って、表示部及びスピーカで、放送を提示する。その際、MPEG2方式で圧縮された映像のデコードには、Iピクチャの受信が必須となるが、1ピクチャの送信間隔は通常0.5秒間隔のため、映像のデコード処理に最大0.5秒かかることになる。また、タイムスタンプによる映像・音声の同期処理は、固定受信機の場合、最大0.5秒ほどかかることが想定されている(非特許文献2参照)。
【0010】
このようにデジタル放送特有の処理により、放送局で緊急警報放送を放送開始してから、実際に放送受信機で放送の提示が行われるまで、伝送や選局に関わる遅延時間により、3〜4秒の絶対遅延時間が発生することが想定される。
【0011】
また、ワンセグメント放送の場合、固定受信機向けの放送とは、放送運用上、スクランブル処理とPAT受信に関わる処理がなくなるが、PMTの送信間隔やH.264方式で圧縮された映像のデコードに受信が必須なIDRピクチャの送信間隔が長めに設定されており、更に固定受信機に比べ受信機の処理能力が低いこともあり、7〜8秒の絶対遅延時間が発生することが想定される。
【0012】
以上のように、緊急警報放送は、災害発生の数秒前から数十秒前に放送されるため、放送開始から放送受信機で提示するまでの絶対遅延時間によって、視聴者の避難行動の開始が遅れてしまうという課題、および、受信機での提示が災害発生後となってしまうおそれがあるという課題があった。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであり、緊急警報放送を提示するまでの起動時間を短縮し、緊急警報放送を災害発生前に確実に提示できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る放送配信装置は、外部から緊急警報情報を受信する緊急警報受信部と、通常放送用の放送チャンネル仕様情報と緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報とを記憶した放送パラメータ記憶部と、前記緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたとき、緊急警報放送の開始を通知するための制御信号を送信し、前記放送パラメータ記憶部より緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報を取得し、通常放送用の放送チャンネル仕様情報から、前記取得した緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報へ切り替えて緊急警報放送を開始するように制御する緊急警報放送制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
上記放送配信装置では、通常放送用の放送チャンネル仕様情報および緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報の各々は、放送の伝送方式に関するパラメータと、放送受信機が番組を特定する為の番組特定情報の送信周期と、放送番組の符号化に関するパラメータとを含んで構成されていることが望ましい。
【0016】
また、上記放送配信装置では、緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたとき、緊急警報放送制御部は、前記緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報に含まれる一部又は全部のパラメータを取得し、取得したパラメータについて、通常放送用の放送チャンネル仕様情報から緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報へ切り替えて緊急警報放送を開始するように制御する、構成とすることが望ましい。
【0017】
このとき、緊急警報放送制御部は、放送対象エリアにおける緊急性が高いほど、前記緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報に含まれるパラメータのうち、より多くのパラメータを取得し、取得したパラメータについて、通常放送用の放送チャンネル仕様情報から緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報へ切り替えて緊急警報放送を開始するように制御する、ことが望ましい。
【0018】
緊急警報放送制御部は、緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたときに以下のように動作する構成とすることが望ましい。
【0019】
即ち、緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたとき、緊急警報放送制御部は、前記緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報に基づいて、前記番組特定情報の送信周期を通常放送時よりも短くして緊急警報放送を実行するように制御する構成とすることが望ましい。
【0020】
また、緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたとき、緊急警報放送制御部は、前記緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報に基づいて、映像ビットレート、音声ビットレートおよび映像フレーム数のうち少なくとも1つを通常放送時よりも小さくして緊急警報放送を実行するように制御する構成とすることが望ましい。
【0021】
また、緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたとき、緊急警報放送制御部は、前記緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報に基づいて、スクランブル処理の実行を回避するように制御する構成とすることが望ましい。
【0022】
また、緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたとき、緊急警報放送制御部は、前記緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報に基づいて、Iピクチャ間隔およびIDRピクチャ間隔のうち少なくとも1つを通常放送時よりも短くして緊急警報放送を実行するように制御する構成とすることが望ましい。
【0023】
また、緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたとき、緊急警報放送制御部は、前記緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報に基づいて、ガードインターバルを通常放送時よりも短くして緊急警報放送を実行するように制御する構成とすることが望ましい。
【0024】
また、緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたとき、緊急警報放送制御部は、前記緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報に基づいて、時間インタリーブを通常放送時よりも短くする又は時間インタリーブ処理を省くように制御する構成とすることが望ましい。
【0025】
なお、ガードインターバルを通常放送時よりも短くして緊急警報放送を実行する際、又は、時間インタリーブを通常放送時よりも短くする又は時間インタリーブ処理を省く際、緊急警報放送制御部は、放送波の出力レベルを上げるように制御する構成とすることが望ましい。
【0026】
本発明に係る放送受信機は、外部からの放送電波を受信し、該放送電波を、番組特定情報、映像エレメンタリーストリーム、音声エレメンタリーストリームおよびデータ放送エレメンタリーストリームが多重化されたトランスポートストリームに復調する放送受信部と、外部からの、緊急警報放送の開始を通知するための制御信号より、緊急警報放送の開始を検出する緊急警報放送検出部と、前記多重化されたトランスポートストリームを分離して、番組特定情報、映像エレメンタリーストリーム、音声エレメンタリーストリームおよびデータ放送エレメンタリーストリームを得るトランスポートストリーム分離部と、トランスポートストリーム分離部により分離された番組特定情報を解析し、映像、音声、データ放送の識別番号を抽出する番組特定情報処理部と、前記抽出された識別番号に基づいて、前記分離された映像エレメンタリーストリームから映像を、前記分離された音声エレメンタリーストリームから音声を、前記分離されたデータ放送エレメンタリーストリームからデータ放送を、それぞれ復号化する復号化処理部と、前記緊急警報放送検出部により緊急警報放送の開始が検出されたとき、前記緊急警報放送用のチャンネル仕様情報に従って、緊急警報放送番組の選局処理を開始し緊急警報放送番組を提示するように制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0027】
上記の放送受信機では、制御部は、緊急警報放送の開始が検出されたとき、緊急警報放送番組の選局処理を開始し、復号化したデータを一時的にキャッシュするキャッシュ処理と、復号化したデータをタイムスタンプに従って同期させる同期処理、の何れも実行することなく、緊急警報放送番組として提示可能な情報から提示する構成とすることが望ましい。
【0028】
また、上記の放送受信機は、無線で情報を送受信するための無線通信部をさらに備え、制御部は、前記無線通信部により、緊急警報放送が行われている旨の情報が受信されたことを契機に、前記放送受信部の電源をオンにし、緊急警報放送の選局処理を開始する構成とすることが望ましい。
【0029】
また、上記の放送受信機では、制御部は、緊急警報放送の開始が検出されたとき、デスクランブル処理の実行を回避するように制御する構成とすることが望ましい。
【0030】
また、上記の放送受信機では、緊急警報放送検出部は、前記制御信号に含まれる緊急警報放送用起動フラグがオンであることを検出することで、緊急警報放送の開始を検出する構成とすることが望ましい。
【0031】
本発明に係る放送システムは、前述した放送配信装置と、前述した放送受信機とを含んで構成されたことを特徴とする。
【0032】
ところで、本発明に係る放送配信装置、本発明に係る放送受信機、本発明に係る放送システムはそれぞれ、方法に係る発明として、以下のように記述することができる。
【0033】
本発明に係る放送配信方法は、通常放送用の放送チャンネル仕様情報と緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報とを記憶した放送パラメータ記憶部を備えた放送配信装置、において実行される放送配信方法であって、外部から緊急警報情報を受信するステップと、緊急警報情報が受信されたとき、緊急警報放送の開始を通知するための制御信号を送信するステップと、緊急警報情報が受信されたとき、前記放送パラメータ記憶部より緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報を取得し、通常放送用の放送チャンネル仕様情報から、前記取得した緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報へ切り替えて緊急警報放送を開始するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0034】
本発明に係る放送受信方法は、外部から放送を受信し提示する放送受信機、において実行される放送受信方法であって、外部からの放送電波を受信し、該放送電波を、番組特定情報、映像エレメンタリーストリーム、音声エレメンタリーストリームおよびデータ放送エレメンタリーストリームが多重化されたトランスポートストリームに復調するステップと、外部からの、緊急警報放送の開始を通知するための制御信号より、緊急警報放送の開始を検出するステップと、前記多重化されたトランスポートストリームを分離して、番組特定情報、映像エレメンタリーストリーム、音声エレメンタリーストリームおよびデータ放送エレメンタリーストリームを得るステップと、分離された番組特定情報を解析し、映像、音声、データ放送の識別番号を抽出するステップと、前記抽出された識別番号に基づいて、前記分離された映像エレメンタリーストリームから映像を、前記分離された音声エレメンタリーストリームから音声を、前記分離されたデータ放送エレメンタリーストリームからデータ放送を、それぞれ復号化するステップと、緊急警報放送の開始が検出されたとき、前記緊急警報放送用のチャンネル仕様情報に従って、緊急警報放送番組の選局処理を開始し緊急警報放送番組を提示するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0035】
本発明に係る放送制御方法は、通常放送用の放送チャンネル仕様情報と緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報とを記憶した放送パラメータ記憶部を備えた放送配信装置と、放送を受信し提示する放送受信機と、を含んで構成された放送システム、において実行される放送制御方法であって、放送配信装置が、外部から緊急警報情報を受信するステップと、緊急警報情報が受信されたとき、放送配信装置が、緊急警報放送の開始を通知するための制御信号を送信するステップと、緊急警報情報が受信されたとき、放送配信装置が、前記放送パラメータ記憶部より緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報を取得し、通常放送用の放送チャンネル仕様情報から、前記取得した緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報へ切り替えて緊急警報放送を開始するステップと、放送受信機が、前記放送配信装置から放送された放送電波を受信し、該放送電波を、番組特定情報、映像エレメンタリーストリーム、音声エレメンタリーストリームおよびデータ放送エレメンタリーストリームが多重化されたトランスポートストリームに復調するステップと、放送受信機が、外部からの、緊急警報放送の開始を通知するための制御信号より、緊急警報放送の開始を検出するステップと、放送受信機が、前記多重化されたトランスポートストリームを分離して、番組特定情報、映像エレメンタリーストリーム、音声エレメンタリーストリームおよびデータ放送エレメンタリーストリームを得るステップと、放送受信機が、分離された番組特定情報を解析し、映像、音声、データ放送の識別番号を抽出するステップと、放送受信機が、前記抽出された識別番号に基づいて、前記分離された映像エレメンタリーストリームから映像を、前記分離された音声エレメンタリーストリームから音声を、前記分離されたデータ放送エレメンタリーストリームからデータ放送を、それぞれ復号化するステップと、緊急警報放送の開始が検出されたとき、放送受信機が、前記緊急警報放送用のチャンネル仕様情報に従って、緊急警報放送番組の選局処理を開始し緊急警報放送番組を提示するステップと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、緊急警報放送を提示するまでの起動時間を短縮し、緊急警報放送を災害発生前に確実に提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0038】
(システム構成)
図1は、本実施形態の放送システム10の構成図である。放送システム10は、放送番組を配信する設備である放送配信装置200と、配信された放送内容を受信しユーザへ提示する放送受信機300とを含んで構成されている。
【0039】
気象庁に設けられた報知サーバ100は、地震や津波などの災害を定期的に観測し、災害が発生する状況が判明した場合、災害予測情報として緊急警報情報を、インターネット網400などを経由して、放送配信装置200に送信する。
【0040】
放送配信装置200は、気象庁の報知サーバ100より緊急警報情報を受信すると、その時点で放送している番組を中断し、後述する手順で、災害発生前に緊急警報放送を、伝送路500(実際には伝送媒体としての放送波)経由で、放送受信機300に送信する。
【0041】
(放送配信装置の構成)
本実施形態の放送配信装置200の構成について説明する。図2は、放送配信装置200のブロック構成図である。放送配信装置200は、緊急警報情報受信部201、緊急警報放送制御部202、放送パラメータ記憶部203、符号化処理部205、PSI生成部209、トランスポートストリーム多重部213、スクランブル部214、TMCC信号生成部215、デジタル変調部216、および送信部217を含んでいる。
【0042】
緊急警報情報受信部201は、図1のインターネット網400などを経由して、気象庁の報知サーバ100からの緊急警報情報を受信し、緊急警報放送制御部202に緊急警報情報を通知する。
【0043】
緊急警報放送制御部202は、緊急警報放送を開始するための、準備処理を行う。具体的には、放送受信機300が緊急警報放送の開始を判別する為の識別信号として、PSI生成部209のPMT生成部211にPMTの緊急情報記述子の挿入を指示し、更に、TMCC信号生成部215にTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)の緊急警報放送用起動フラグの変更を指示する。また、緊急警報放送制御部202は、放送パラメータ記憶部203より緊急警報放送用パラメータセット(後述する図6に例示)を読み込み、符号化処理部205、PSI生成部209、スクランブル部214、デジタル変調部216に、上記読み込んだ緊急警報放送用パラメータセットの送信と変更要求を行い、緊急警報放送の開始通知を実施する。そして、緊急警報放送制御部202は、現在放送中の番組から、生放送の速報番組である緊急警報放送番組に切り替えて、緊急警報放送番組コンテンツを符号化処理部205に入力する。
【0044】
本発明のポイントの1つは、緊急警報放送制御部202が、緊急警報放送開始時に、放送パラメータ記憶部203より緊急警報放送用パラメータを読み出し、各部で通常放送用のパラメータから緊急警報放送用パラメータへ切り替えて、切替後の緊急警報放送用パラメータを適用して緊急警報放送を行う点にある。
【0045】
符号化処理部205は、映像エンコード部206、音声エンコード部207、データ放送符号化部208を含み、カメラやVTRから取り込んだ映像ソース、音声ソース、BML文書や画像から構成されたデータ放送ソースを符号化し圧縮して、映像エレメンタリーストリーム、音声エレメンタリーストリーム、データ放送エレメンタリーストリームを生成し、トランスポートストリーム多重部213に入力する。
【0046】
PSI生成部209は、番組特定情報であり、放送受信機が選局を行い、番組を提示するのに必要な情報であるPSI(Program Specific Information)を生成し、トランスポートストリーム多重部213に入力する。PSI生成部209は、NIT生成部210、PMT生成部211、PAT生成部212を有し、緊急警報放送制御部202の指示によって、緊急警報放送開始時に、PMTに緊急情報記述子を含めて送出するとともに、通常放送からNIT、PMT、PATの送信周期の変更を行う。
【0047】
トランスポートストリーム多重部213は、映像・音声エレメンタリーストリーム、データ放送エレメンタリーストリーム、および番組特定情報の多重化を行い、多重化後のストリームをMPEG2トランスポートストリームとして、スクランブル部214経由でデジタル変調部216へ出力する。
【0048】
TMCC信号生成部215は、伝送方式、フレーム構造などの送信制御を行うための信号であるTMCCを生成し、デジタル変調部216へ入力する。また、TMCC信号生成部215は、緊急警報放送制御部202の指示によって、緊急警報放送開始時に、緊急警報放送用起動フラグを「0」から「1」に変更し、緊急警報放送の開始を放送受信機300(図1)に通知する。
【0049】
デジタル変調部216は、MPEG2トランスポートストリームを放送信号に変換する。また、デジタル変調部216は、緊急警報放送制御部202の指示によって、緊急警報放送開始時に、変調方法の変更を行う。
【0050】
送信部217は、デジタル変調部216から入力された放送信号を、放送電波として、伝送路500経由で放送する。
【0051】
(放送配信装置の動作)
次に、上述のとおりに構成された放送配信装置200の動作について説明する。図3は、放送配信装置200の動作を示すシーケンス図である。なお、図3では、トランスポートストリームを「TS」、トランスポートストリーム多重部を「TS多重部」と略称している。
【0052】
緊急警報情報受信部201が、気象庁の報知サーバ100より緊急警報情報を受信し、緊急警報放送制御部202に通知を行う(S101)。
【0053】
緊急警報放送制御部202は、緊急警報情報を受信後、緊急警報放送の開始の決定を行い、放送パラメータ記憶部203からの緊急警報放送用パラメータセット(図6)の取得処理を行う(S102)。次に、緊急警報放送制御部202は、緊急警報放送の開始前に、PSI生成部209に、緊急情報記述子をPMTで送出するよう指示を出す(S103)。この指示を受けたPSI生成部209は、PMT生成部211にて、現在放送中の番組のPMTに緊急情報記述子を挿入する(S104)。これにより、放送受信機300(図1)は、緊急警報放送がどのサービスで放送中であるかを確認可能となる。
【0054】
次に、緊急警報放送制御部202は、緊急警報放送の開始を放送受信機300に通知して放送受信機300側の起動・選局処理を開始させる為に、TMCC信号生成部215に対し、TMCCの緊急警報放送用起動フラグを「0」から「1」に変更するよう要求する(S105)。TMCC信号生成部215は、上記要求を受けて、デジタル変調部216で送出中のTMCCの緊急警報放送用起動フラグの変更を行う(S106)。
【0055】
上記の緊急警報放送の開始準備が整った後、緊急警報放送制御部202は、符号化処理部205、PSI生成部209、スクランブル部214、およびデジタル変調部216のそれぞれに対し、緊急警報放送の開始通知、および緊急警報放送用パラメータセット(図6)の送信と変更要求を行う(S107)。そして、緊急警報放送制御部202は、現在放送中の番組から、生放送の速報番組である緊急警報放送番組に切り替えて、符号化処理部205への緊急警報放送番組コンテンツの送信を開始する(S108)。
【0056】
符号化処理部205は、緊急警報放送制御部202からの指示で、通常放送コンテンツから、緊急警報放送コンテンツに入力が切り替わると、緊急警報放送用パラメータセットの指示により、映像ビットレート、音声ビットレート、映像フレーム数、Iピクチャ間隔、IDRピクチャ間隔を通常放送から切り替えて、緊急警報放送コンテンツの符号化処理を行い、トランスポートストリーム多重部213に送信する(S109)。一方、PSI生成部209は、緊急警報放送制御部202からの指示で、通常放送用のPSIを、緊急警報放送用パラメータに従って、PMT、NIT、PATの再送周期の変更を行い、トランスポートストリーム多重部213に送信する(S110)。上記のS109とS110の処理は、ほぼ同時並行に実行される。
【0057】
トランスポートストリーム多重部213は、通常放送と同様に、符号化処理部205より入力された映像・音声エレメンタリーストリーム、データ放送エレメンタリーストリーム、PSIの多重化を行い、多重化後のストリームをMPEG2トランスポートストリームとしてスクランブル部214に出力する(S111)。
【0058】
スクランブル部214は、緊急警報放送制御部202からの指示により、入力されたMPEG2トランスポートストリームに対しスクランブル処理を行わず、そのまま、デジタル変調部216に出力する(S112)。
【0059】
デジタル変調部216は、緊急警報放送制御部202から送信された緊急警報放送用パラメータに基づき変調方法を変更し、変更後の変調方法によって、上記入力されたMPEG2トランスポートストリームを放送信号に変換し、変換後の放送信号を送信部217に出力する(S113)。
【0060】
こうして、緊急警報放送が電波として、伝送路500に送出される。
【0061】
(緊急警報放送用パラメータセット)
本発明のポイントの1つであり、上述のとおり、緊急警報放送制御部202によって放送パラメータ記憶部203から取得され、各部に変更要求される緊急警報放送用パラメータセット(緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報に相当する)について、図6を用いて説明する。
【0062】
図6には、通常放送用のパラメータと緊急警報放送用のパラメータとを表形式で示しており、それぞれについて、固定型の放送受信機向けの12セグメント放送用のパラメータおよび携帯型の放送受信機向けの1セグメント放送用のパラメータを記載している。
【0063】
図6に記載された通常放送用のパラメータは、現在のデジタル放送で放送されているパラメータの代表例である。一方、図6に記載された緊急警報放送用のパラメータは、一つの案であり、適宜変更可能とされている。
【0064】
通常放送時、番組特定情報であるPSIに含まれるNIT、PMT、PATは、12セグメント放送の場合、各々1sec、100msec、100msecの送信周期で放送されている。これに対し、緊急警報放送時の12セグメント放送の場合、例えば、NIT、PMT、PATは、各々100msec、10msec、10msecと通常時の10分の1の送信周期で放送される。放送受信機が多重化されたMPEG2トランスポートストリームを復号化し、映像・音声のエレメンタリーストリームを取得する処理を行うためには、NIT、PAT、PMTを取得する処理を順次行う必要がある為、上記のように送信周期間隔を短くすることで、選局処理の高速化を行うことが可能となる。
【0065】
但し、その一方で送信周期を短くすると、PSIのデータ量が増加し、映像・音声のデータ量を確保できなくなる。通常放送(特にハイビジョン放送など)では、映像・音声の品質を保つ為、PSIの送信周期を短くすることは困難であるが、緊急警報放送の場合は、災害情報を視聴者にいかに災害前に伝えることが重要であり、映像・音声の品質は重要ではない為、映像・音声のビットレートを少なくして、送信周期を短くすることが可能である。これに伴い、図6に示すように、緊急警報放送時は映像・音声ビットレートと映像フレーム数を、通常放送時よりも少なくする。これにより、PSIの送信に必要な情報量を確保することができ、放送受信機のデコードに要する処理時間を短縮化することができる。
【0066】
また、通常放送時に、12セグメント放送は、承認された放送受信機のみで視聴できるようにスクランブル処理が施されるが、緊急警報放送は公共的な放送でありスクランブル処理を施す必要がない為、スクランブル処理を実施せずに送出する(図6では「スクランブル無し」と記載)。これにより、放送受信機ではデスクランブル処理が不要となり、デスクランブル処理の処理時間だけトータル処理時間を短縮化することができる。
【0067】
更に、図6に示すように、12セグメント放送の場合はIピクチャ間隔を、緊急警報放送時に、通常放送時よりも短縮して放送を行う(500msから100msへ短縮)。また、1セグメント放送の場合はIDRピクチャ間隔を、緊急警報放送時に、通常放送時よりも短縮して放送を行う(2secから1secへ短縮)。これにより、映像のデコードには、Iピクチャ、IDRピクチャの基準ピクチャの取得が必要な為、Iピクチャ間隔およびIDRピクチャ間隔を短縮することで、選局時の緊急警報放送映像の提示開始を早めることが可能となる。
【0068】
また、図6に示すように、ガードインターバル(GI)を、緊急警報放送時に、通常放送時よりも短くする(1/8から1/16へ短縮)。また、時間インタリーブ処理を省く。これらにより、放送受信機のチューナ部で放送信号の復調処理を高速化することが可能となる。なお、時間インタリーブ処理を省く代わりに、時間インタリーブを通常放送時よりも短くしてもよい。
【0069】
図6に示す緊急警報放送用のパラメータセットは、緊急警報放送開始時、全てを適用することで、緊急警報放送開始から、放送受信機での緊急警報放送提示までの遅延時間を最大限に短縮可能である。ただし、全てのパラメータを適用することは必須ではなく、要求される放送品質や放送対象エリアにおける緊急性(例えば災害発生までの時間)などを考慮して、一部のみを適用してもよい。例えば、放送対象エリアが、災害が発生すると予測されるエリアである場合、放送対象エリアにおける緊急性が極めて高いため、放送配信装置は、図6の緊急警報放送用のパラメータをより多く適用し、遅延時間を最大限に短縮することが望ましい。一方、放送対象エリアが、災害が発生すると予測されるエリアでなく、その周辺エリアである場合、放送対象エリアにおける緊急性が比較的低い為、放送配信装置は、放送品質にも多少の重きを置き、上記の災害発生予測エリア向けの緊急警報放送時よりも、適用するパラメータを少なくすることが望ましい。このとき、放送対象エリアにおける緊急性に応じて定めた、適用されるパラメータの組合せを予め複数セット準備しておくことが望ましい。
【0070】
(放送受信機の構成)
本実施形態の放送受信機300の構成について説明する。図4は、放送受信機300のブロック構成図である。放送受信機300は、チューナ部301、緊急警報放送検出部302、デジタル復調部303、制御部304、デスクランブル部305、トランスポートストリーム分離部306、PSI処理部307、復号化処理部308、同期処理部312、表示部313、スピーカ部314、メモリ部315を含んでいる。
【0071】
チューナ部301は、選局操作により、伝送路500より、放送配信装置(放送局)ごとに割当てられた所定の周波数で送信された放送電波を検波し、放送信号として、デジタル復調部303に出力する。
【0072】
デジタル復調部303は放送信号の同期処理を行い、TMCC情報を復号し、TMCC情報をもとに、放送信号をMPEG2トランスポートストリームとして復調する。
【0073】
緊急警報放送検出部302は、デジタル復調部で復号するTMCC情報を常に監視し、TMCC情報に含まれる緊急警報放送用起動フラグがオン「1」となったこと(即ち、緊急警報放送の開始)を検出する。緊急警報放送用起動フラグが「1」となったことが検出された場合、緊急警報放送検出部302は、その旨を制御部304に通知する。
【0074】
制御部304は、緊急警報放送検出部302より、緊急警報放送用起動フラグが「1」であることを通知されると、デスクランブル部305、PSI処理部307、復号化処理部308、同期処理部312に緊急警報放送の開始通知を行い、デスクランブル部305に対しデスクランブル処理をOFFにすることを、復号化処理部308および同期処理部312に対し同期処理をOFFにすることを、それぞれ指示する。
【0075】
デスクランブル部305は、通常放送時は、MULTI-2方式によりスクランブルされたMPEG2トランスポートストリームの復号処理を行って、トランスポートストリーム分離部306に出力する。デスクランブル部305は、緊急警報放送時は、制御部304の指示に従いデスクランブル処理を実施せずに、MPEG2トランスポートストリーム(緊急警報放送時のため、スクランブルされていないストリーム)をトランスポートストリーム分離部306に出力する。
【0076】
トランスポートストリーム分離部306は、MPEG2トランスポートストリームより、番組特定情報(PSI)の分離を行い、分離後の番組特定情報(PSI)をPSI処理部307に出力する。また、トランスポートストリーム分離部306は、後述のPSI処理部307により取得されたES_PID値をもとに、MPEG2トランスポートストリームより、映像エレメンタリーストリーム、音声エレメンタリーストリームおよびデータ放送エレメンタリーストリームの分離を行い、分離後の映像エレメンタリーストリーム、音声エレメンタリーストリームおよびデータ放送エレメンタリーストリームを復号化処理部308に出力する。
【0077】
PSI処理部307は、PSIの取得と以下の処理を行う。まず、PSI処理部307は、トランスポートストリーム分離部306より入力されたPSIよりNITを抽出し、選局された放送が放送中か否か、放送受信機が放送されているサービスに対応し、提示可能かどうかを判断する。次に、PSI処理部307は、PSIよりPATを抽出・解析し、PMT_PID値を取得する。そして、PSI処理部307は、PMT_PID値より、緊急情報記述子が配置されているPMTを抽出し、映像、音声、データ放送のES_PID値を取得する。取得されたES_PID値は、図示しない制御線を介して、トランスポートストリーム分離部306へフィードバックされる。
【0078】
復号化処理部308は、映像デコード部309、音声デコード部310およびデータ放送デコード部311を含み、PSI処理部307で抽出されたES_PID値に基づき、圧縮映像データである映像エレメンタリーストリーム、圧縮音声データである音声エレメンタリーストリーム、および特定のデータ毎にカルーセル化されたデータ放送エレメンタリーストリームを取得し、伸張・復号化を行い、同期処理部312に出力する。通常放送時は、ここで同期処理を行う為に、同期処理部312に出力せず、メモリ部315に一次的にキャッシュする。
【0079】
同期処理部312は、緊急警報放送時は、同期処理を行わず、復号化処理部308より出力された各データを、表示部313、スピーカ部314に出力し、緊急警報放送の提示を行う。通常放送時は、メモリ部315に一時的にキャッシュされた映像データ、音声データをタイムスタンプに従って、同期処理を行い、表示部313とスピーカ部314に出力する。
【0080】
なお、上記の構成は、家庭内に設置される固定テレビなどの12セグメント放送受信機(固定型の放送受信機)を想定しており、携帯電話などの1セグメント放送受信機(携帯型の放送受信機)においては、1セグメント放送自体がスクランブル化されていないため、デスクランブル部305は不要となる。
【0081】
(放送受信機の動作)
次に、上述のとおりに構成された放送受信機300の動作について説明する。図5は、放送受信機300の動作を示すシーケンス図である。なお、図5では、トランスポートストリームを「TS」、トランスポートストリーム分離部を「TS分離部」と略称している。
【0082】
まず、放送サービスの提示にあたって、チューナ部301の電源がONにされ(S201)、緊急警報放送が提示されるチャンネルの周波数が選局され、伝送路500から送出される放送電波の受信処理が行われる(S202)。
【0083】
ここで、S201の処理は、ユーザの手動による操作を契機として開始してもよい。また、放送受信機300が、無線で情報を送受信するための無線通信部を備える場合には、該無線通信部により、緊急警報放送が行われている旨の情報が受信されたことを契機としてS201の処理を開始してもよい。また、チューナ部301が既に電源ONで放送を受信している状態においては、ユーザの手動操作によるチャンネル切り替えを契機に、又は、上記の無線通信部により、緊急警報放送が行われている旨の情報が受信されたことを契機に、自動でチャンネル切り替えがなされることも想定される。
【0084】
次に、チューナ部301により受信された放送信号は、デジタル復調部303によりTMCCの復号処理が行われ、緊急警報放送検出部302によりTMCCの緊急警報放送用起動フラグが「1」か否かが判別される(S203)。
【0085】
S203でTMCCの緊急警報放送用起動フラグが「1」の場合、緊急警報放送の開始の旨が、緊急警報放送検出部302から制御部304へ通知され、制御部304は、緊急警報放送の再生開始を、後述する各部に対し通知し、緊急警報放送の提示処理を開始する(S204)。具体的には、制御部304は、デスクランブル部305に対しデスクランブル処理をOFFにすることを、復号化処理部308および同期処理部312に対し同期処理をOFFにすることを、それぞれ通知し、緊急警報放送の提示を高速化するよう指示し、デジタル復調部303に対し放送信号の復調処理を開始するよう指示する。
【0086】
S203でTMCCの緊急警報放送用起動フラグが「1」ではない場合(「0」の場合)、図5の処理を終了する。なお、緊急警報放送がまだ開始されていない可能性もあるので、通常放送と同様に選局処理を行い、放送サービスを提示してもよい。
【0087】
次に、デジタル復調部303は、TMCC信号をもとに、放送信号をMPEG2トランスポートストリームに復調し、MPEG2トランスポートストリームをトランスポートストリーム分離部306に出力する(S205)。
【0088】
トランスポートストリーム分離部306は、MPEG2トランスポートストリームより番組特定情報(PSI)を分離してPSI処理部307へ出力し、PSI処理部307は番組特定情報(PSI)よりNITを抽出し(S206)、選局された放送が放送中か否か、放送受信機が放送されているサービスに対応し、提示可能かどうかを判断する。次に、PSI処理部307は、番組特定情報(PSI)よりPATを抽出し(S207)、PATの解析を行い、そしてPMT_PID値を抽出する(S208)。次に、PSI処理部307は、抽出されたPMT_PID値より、緊急情報記述子が配置されているPMTを抽出し(S209)、映像、音声、データ放送のES_PID値を取得する(S210)。
【0089】
ここでは、上記のようにNIT、PAT、PMTを順次取得することになるが、通常放送に比べて、更新周期が短縮化されているため、緊急警報放送時においては、高速に処理が可能である。
【0090】
次に、トランスポートストリーム分離部306は、S210で取得されたES_PID値をもとに、MPEG2トランスポートストリームより、映像エレメンタリーストリーム、音声エレメンタリーストリームおよびデータ放送エレメンタリーストリームの分離を行い、分離後の映像エレメンタリーストリーム、音声エレメンタリーストリームおよびデータ放送エレメンタリーストリームを復号化処理部308に出力する(S211)。
【0091】
最後に、復号化処理部308は、映像・音声・データ放送を復号し、制御部304からの指示により、キャッシュ処理および同期処理をスキップして、表示部313およびスピーカ314に映像・音声・データ放送を出力する(S212)。これにより、緊急警報放送が視聴者に提示されることとなる。なお、視聴者に提示する緊急警報放送のサービス品質を考慮して、通常放送と同様に、キャッシュ処理および同期処理を行ってもよい。
【0092】
(本発明に係る実施形態による作用効果)
以下、本発明に係る実施形態による作用効果について記載する。
【0093】
まず、緊急警報放送制御部202により、緊急警報放送開始時に通常放送から変更して放送される緊急警報放送用パラメータセット(図6)の選局処理時間に与える影響を記載する。
【0094】
地上デジタル放送においては、放送受信機が時間的、空間的にずれた放送信号を受信しても、放送信号として復調可能なように、データを時間的に一部重複させて送るガードインターバル(GI)という方法と、データの時間的な順序を入れ替えて伝送する時間インタリーブという方法を用いて放送信号を伝送している。通常放送時は、GIと時間インタリーブ長は、主に「1/8」と「4」で運用されており、非特許文献3によると、この場合の遅延時間は、1156.7msとされている。これに対し、緊急警報放送時に、GIと時間インタリーブ長を「1/16」と「0」に変更することで、遅延時間は655.5msとなり、通常放送時の遅延時間よりも約0.5秒、放送受信機での提示処理を高速化することが可能である。なお、本パラメータを変更することで、放送受信機での受信品質を悪化させる可能性があるが、放送配信装置(放送局)の送信出力を上げるなどの対策を施すことで回避可能である。また、災害発生エリアが、放送対象全エリアに比べて相対的に小さい場合は、当該災害発生エリアを優先して放送可能な為、放送受信機での提示処理を高速化することを優先して、パラメータを変更することが有用である。
【0095】
また、NIT、PMT、PATは放送受信機300で選局処理を行う際に、順次取得する必要があるが、12セグメント放送の通常放送時は、各々送信周期が、1sec、100msec、100msecで送出されている為、最大で1.2秒取得処理にかかる可能性がある。これに対し、緊急警報放送時に、各々100msec、10msec、10msecと送信周期を変更することで、通常放送時よりも1秒ほど、放送受信機での提示処理を高速化することが可能である。なお、NITの取得については、通常の放送受信機ではNITの取得をして、選局された放送が放送中か否か、放送受信機が放送されているサービスに対応し提示可能かどうかを判断するため、有用な処理である。ただし、放送受信機での提示処理の高速化が求められる緊急警報放送時の処理においては、NITの取得を省いてもよい。
【0096】
次に、放送受信機300で、MPEG2方式で符号化された映像エレメンタリーストリームを復号化し、表示するためには、基準画像となるIピクチャの受信が必須となるが、12セグメント放送の通常放送時は、Iピクチャの送信間隔が500msの為、映像の復号化処理の開始から、表示部313での映像の表示まで、平均0.5秒ほどかかることになる。これに対し、緊急警報放送時は、Iピクチャの送信間隔を、通常時の500msから、100msへ短縮することで、平均0.4秒の提示処理の高速化が可能である。同様に、1セグメント放送の場合は、IDRピクチャの送信間隔を、通常時の2secから、1secへ短縮することで、平均1秒の提示処理の高速化が可能である。
【0097】
また、通常放送時より緊急警報放送時は、映像ビットレート、音声ビットレート、映像フレーム数などを低下させて放送している。これは、前述の送信周期を短縮化することで送信されるデータ量が増えてしまう為、映像・音声のデータ量を抑える上で有用である。また、放送受信機での復号化処理に関わる負荷を低下させ、復号化処理を高速化する上でも有用である。映像・音声のデータ量を抑えることで、デジタル放送の特徴であるハイビジョン放送などの高品質な放送サービスは困難となるが、緊急警報放送時においては、一刻も早く視聴者に災害情報を提供することが重要であるため、映像・音声の放送品質はアナログテレビジョン放送相当であっても問題ない。
【0098】
また、放送受信機300において、緊急警報放送の提示処理の高速化のため、メモリ部315へのキャッシュ処理および映像・音声の同期処理を省いている。キャッシュ処理および同期処理を省くことで、映像と音声の同期がずれるなど、放送品質に影響を与える可能性があるものの、緊急警報放送時においては、一刻も早く視聴者に災害情報を提供することが重要であるため、同期ずれなどは大きな問題ではなく、提示可能な情報からいち早く提示することが有用である。
【0099】
上記のような作用効果により、通常放送時に比べ、12セグメント放送の放送受信機で最大2秒程度、1セグメント放送の放送受信機で最大3〜3.5秒程度、緊急警報放送を提示するまでの起動時間を短縮することができ、緊急警報放送を一秒でも早く視聴者に提示可能となり、災害発生前に確実に提示できるようになる。
【0100】
なお、無線通信部を備える放送受信機では、放送配信装置から通信網経由で、緊急警報放送を開始する情報と緊急警報放送用のパラメータセット及び番組特定情報(PSI)を、上記無線通信部により受信し、緊急警報放送の選局処理を行うことができる。この場合、PSIの取得処理が不要となるため、更なる高速化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】発明の実施形態に係る放送システムの構成図である。
【図2】放送配信装置のブロック構成図である。
【図3】放送配信装置の動作を示すシーケンス図である。
【図4】放送受信機のブロック構成図である。
【図5】放送受信機の動作を示すシーケンス図である。
【図6】緊急警報放送用パラメータセットの一例を示す表である。
【符号の説明】
【0102】
10…放送システム、100…報知サーバ、200…放送配信装置、201…緊急警報情報受信部、202…緊急警報放送制御部、203…放送パラメータ記憶部、205…符号化処理部、206…映像エンコード部、207…音声エンコード部、208…データ放送符号化部、209…PSI生成部、210…NIT生成部、211…PMT生成部、212…PAT生成部、213…トランスポートストリーム多重部、214…スクランブル部、215…TMCC信号生成部、216…デジタル変調部、217…送信部、300…放送受信機、301…チューナ部、302…緊急警報放送検出部、303…デジタル復調部、304…制御部、305…デスクランブル部、306…トランスポートストリーム分離部、307…PSI処理部、308…復号化処理部、309…映像デコード部、310…音声デコード部、311…データ放送デコード部、312…同期処理部、313…表示部、314…スピーカ部、315…メモリ部、400…インターネット網、500…伝送路。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から緊急警報情報を受信する緊急警報受信部と、
通常放送用の放送チャンネル仕様情報と緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報とを記憶した放送パラメータ記憶部と、
前記緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたとき、緊急警報放送の開始を通知するための制御信号を送信し、前記放送パラメータ記憶部より緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報を取得し、通常放送用の放送チャンネル仕様情報から、前記取得した緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報へ切り替えて緊急警報放送を開始するように制御する緊急警報放送制御部と、
を備えた放送配信装置。
【請求項2】
前記通常放送用の放送チャンネル仕様情報および前記緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報の各々は、放送の伝送方式に関するパラメータと、放送受信機が番組を特定する為の番組特定情報の送信周期と、放送番組の符号化に関するパラメータとを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の放送配信装置。
【請求項3】
前記緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたとき、前記緊急警報放送制御部は、前記緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報に含まれる一部又は全部のパラメータを取得し、取得したパラメータについて、通常放送用の放送チャンネル仕様情報から緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報へ切り替えて緊急警報放送を開始するように制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の放送配信装置。
【請求項4】
前記緊急警報放送制御部は、放送対象エリアにおける緊急性が高いほど、前記緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報に含まれるパラメータのうち、より多くのパラメータを取得し、取得したパラメータについて、通常放送用の放送チャンネル仕様情報から緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報へ切り替えて緊急警報放送を開始するように制御する、
ことを特徴とする請求項3に記載の放送配信装置。
【請求項5】
前記緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたとき、前記緊急警報放送制御部は、前記緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報に基づいて、前記番組特定情報の送信周期を通常放送時よりも短くして緊急警報放送を実行するように制御する、
ことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の放送配信装置。
【請求項6】
前記緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたとき、前記緊急警報放送制御部は、前記緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報に基づいて、映像ビットレート、音声ビットレートおよび映像フレーム数のうち少なくとも1つを通常放送時よりも小さくして緊急警報放送を実行するように制御する、
ことを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の放送配信装置。
【請求項7】
前記緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたとき、前記緊急警報放送制御部は、前記緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報に基づいて、スクランブル処理の実行を回避するように制御する、
ことを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載の放送配信装置。
【請求項8】
前記緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたとき、前記緊急警報放送制御部は、前記緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報に基づいて、Iピクチャ間隔およびIDRピクチャ間隔のうち少なくとも1つを通常放送時よりも短くして緊急警報放送を実行するように制御する、
ことを特徴とする請求項2〜7の何れか1項に記載の放送配信装置。
【請求項9】
前記緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたとき、前記緊急警報放送制御部は、前記緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報に基づいて、ガードインターバルを通常放送時よりも短くして緊急警報放送を実行するように制御する、
ことを特徴とする請求項2〜8の何れか1項に記載の放送配信装置。
【請求項10】
前記緊急警報受信部により緊急警報情報が受信されたとき、前記緊急警報放送制御部は、前記緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報に基づいて、時間インタリーブを通常放送時よりも短くする又は時間インタリーブ処理を省くように制御する、
ことを特徴とする請求項2〜9の何れか1項に記載の放送配信装置。
【請求項11】
前記緊急警報放送制御部は、放送波の出力レベルを上げるように制御する、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の放送配信装置。
【請求項12】
外部からの放送電波を受信し、該放送電波を、番組特定情報、映像エレメンタリーストリーム、音声エレメンタリーストリームおよびデータ放送エレメンタリーストリームが多重化されたトランスポートストリームに復調する放送受信部と、
外部からの、緊急警報放送の開始を通知するための制御信号より、緊急警報放送の開始を検出する緊急警報放送検出部と、
前記多重化されたトランスポートストリームを分離して、番組特定情報、映像エレメンタリーストリーム、音声エレメンタリーストリームおよびデータ放送エレメンタリーストリームを得るトランスポートストリーム分離部と、
トランスポートストリーム分離部により分離された番組特定情報を解析し、映像、音声、データ放送の識別番号を抽出する番組特定情報処理部と、
前記抽出された識別番号に基づいて、前記分離された映像エレメンタリーストリームから映像を、前記分離された音声エレメンタリーストリームから音声を、前記分離されたデータ放送エレメンタリーストリームからデータ放送を、それぞれ復号化する復号化処理部と、
前記緊急警報放送検出部により緊急警報放送の開始が検出されたとき、前記緊急警報放送用のチャンネル仕様情報に従って、緊急警報放送番組の選局処理を開始し緊急警報放送番組を提示するように制御する制御部と、
を備えた放送受信機。
【請求項13】
前記制御部は、緊急警報放送の開始が検出されたとき、
緊急警報放送番組の選局処理を開始し、
復号化したデータを一時的にキャッシュするキャッシュ処理と、復号化したデータをタイムスタンプに従って同期させる同期処理、の何れも実行することなく、緊急警報放送番組として提示可能な情報から提示する、
ことを特徴とする請求項12に記載の放送受信機。
【請求項14】
前記放送受信機は、無線で情報を送受信するための無線通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記無線通信部により、緊急警報放送が行われている旨の情報が受信されたことを契機に、前記放送受信部の電源をオンにし、緊急警報放送の選局処理を開始する、
ことを特徴とする請求項12に記載の放送受信機。
【請求項15】
前記制御部は、緊急警報放送の開始が検出されたとき、デスクランブル処理の実行を回避するように制御する、
ことを特徴とする請求項12〜14の何れか1項に記載の放送受信機。
【請求項16】
前記緊急警報放送検出部は、前記制御信号に含まれる緊急警報放送用起動フラグがオンであることを検出することで、緊急警報放送の開始を検出する、
ことを特徴とする請求項12〜15の何れか1項に記載の放送受信機。
【請求項17】
請求項1に記載の放送配信装置と、請求項12に記載の放送受信機とを含んで構成された放送システム。
【請求項18】
通常放送用の放送チャンネル仕様情報と緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報とを記憶した放送パラメータ記憶部を備えた放送配信装置、において実行される放送配信方法であって、
外部から緊急警報情報を受信するステップと、
緊急警報情報が受信されたとき、緊急警報放送の開始を通知するための制御信号を送信するステップと、
緊急警報情報が受信されたとき、前記放送パラメータ記憶部より緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報を取得し、通常放送用の放送チャンネル仕様情報から、前記取得した緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報へ切り替えて緊急警報放送を開始するステップと、
を備えた放送配信方法。
【請求項19】
外部から放送を受信し提示する放送受信機、において実行される放送受信方法であって、
外部からの放送電波を受信し、該放送電波を、番組特定情報、映像エレメンタリーストリーム、音声エレメンタリーストリームおよびデータ放送エレメンタリーストリームが多重化されたトランスポートストリームに復調するステップと、
外部からの、緊急警報放送の開始を通知するための制御信号より、緊急警報放送の開始を検出するステップと、
前記多重化されたトランスポートストリームを分離して、番組特定情報、映像エレメンタリーストリーム、音声エレメンタリーストリームおよびデータ放送エレメンタリーストリームを得るステップと、
分離された番組特定情報を解析し、映像、音声、データ放送の識別番号を抽出するステップと、
前記抽出された識別番号に基づいて、前記分離された映像エレメンタリーストリームから映像を、前記分離された音声エレメンタリーストリームから音声を、前記分離されたデータ放送エレメンタリーストリームからデータ放送を、それぞれ復号化するステップと、
緊急警報放送の開始が検出されたとき、前記緊急警報放送用のチャンネル仕様情報に従って、緊急警報放送番組の選局処理を開始し緊急警報放送番組を提示するステップと、
を備えた放送受信方法。
【請求項20】
通常放送用の放送チャンネル仕様情報と緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報とを記憶した放送パラメータ記憶部を備えた放送配信装置と、放送を受信し提示する放送受信機と、を含んで構成された放送システム、において実行される放送制御方法であって、
放送配信装置が、外部から緊急警報情報を受信するステップと、
緊急警報情報が受信されたとき、放送配信装置が、緊急警報放送の開始を通知するための制御信号を送信するステップと、
緊急警報情報が受信されたとき、放送配信装置が、前記放送パラメータ記憶部より緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報を取得し、通常放送用の放送チャンネル仕様情報から、前記取得した緊急警報放送用の放送チャンネル仕様情報へ切り替えて緊急警報放送を開始するステップと、
放送受信機が、前記放送配信装置から放送された放送電波を受信し、該放送電波を、番組特定情報、映像エレメンタリーストリーム、音声エレメンタリーストリームおよびデータ放送エレメンタリーストリームが多重化されたトランスポートストリームに復調するステップと、
放送受信機が、外部からの、緊急警報放送の開始を通知するための制御信号より、緊急警報放送の開始を検出するステップと、
放送受信機が、前記多重化されたトランスポートストリームを分離して、番組特定情報、映像エレメンタリーストリーム、音声エレメンタリーストリームおよびデータ放送エレメンタリーストリームを得るステップと、
放送受信機が、分離された番組特定情報を解析し、映像、音声、データ放送の識別番号を抽出するステップと、
放送受信機が、前記抽出された識別番号に基づいて、前記分離された映像エレメンタリーストリームから映像を、前記分離された音声エレメンタリーストリームから音声を、前記分離されたデータ放送エレメンタリーストリームからデータ放送を、それぞれ復号化するステップと、
緊急警報放送の開始が検出されたとき、放送受信機が、前記緊急警報放送用のチャンネル仕様情報に従って、緊急警報放送番組の選局処理を開始し緊急警報放送番組を提示するステップと、
を備えた放送制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−273040(P2009−273040A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123771(P2008−123771)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】