説明

放電灯によるバックライトを有する表示装置

【課題】回路規模や回路コストを抑えつつ、複数の蛍光管の一部で発生した電圧低下についても確実に検出する。
【解決手段】バックライト18の複数の蛍光管のそれぞれに交流電源を供給するインバータ回路20と、蛍光管ごとに設けられるとともに各蛍光管の端子電圧を所定割合に分圧する複数の分圧回路31a,31b,31c,・・・と、分圧回路ごとに設けられるとともに対応する分圧回路の分圧のピークホールド電圧を生成する複数のピークホールド回路32a,32b,32c,・・・と、複数のピークホールド電圧の最小値をOR電圧として出力する等価電圧検出回路33と、OR電圧が所定電圧よりも低下するとプロテクト信号を出力する比較検知回路35ならびにプロテクト信号生成回路36と、プロテクト信号生成回路36からプロテクト信号を入力されるとテレビジョン100をシャットダウンするマイコン24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯によるバックライトを有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
引用文献1には、複数のCCFLの端子電圧について論理和をとるピークホールド回路と、この論理和と所定電圧とをコンパレータで比較することによりCCFLのいずれかに発生した過電流を検出する過電流検出回路部と、過電流検出回路部が過電流を検知すると電源回路に停止信号を出力する停止信号生成回路部とを備えており、停止信号を入力された電源回路が電源電圧出力を停止する冷陰極蛍光管駆動回路について開示されている。
引用文献2には、複数の放電ランプの管電流をそれぞれ電圧変換するとともに半波整流する複数のランプ電流モニタ回路と、これら半波整流された電圧をまとめた電圧と所定電圧とを比較し、このまとめた電圧が所定電圧よりも低いときにインバータ回路を停止させる信号を出力するコンパレータを備えた放電点灯装置について開示されている。
引用文献3には、複数の放電管に供給する交流電流を生成するトランスの出力する交流電流を監視する電流検出回路と、同トランスの出力する交流電圧を監視する電圧検出回路と、電流検出回路と電圧検出回路の論理積を求めるAND演算器とを備えた放電灯点灯装置について開示されている。
引用文献4には、複数の放電灯の高周波電源と、複数の放電灯の両端電圧をここに検出する電圧検出回路と、これら電圧検出回路により検出された両端電圧中の最大値を選択するOR回路と、この最大値に基づいて放電灯に高周波電源の出力周波数を制御する制御回路と、を備える多灯放電灯一括点灯回路について開示されている。
引用文献5には、複数の放電灯について放電灯電圧等の物理量をそれぞれ検出する複数の検出器と、すべての検出器の出力信号を入力として所定の演算方法に基づいて基準信号を出力する演算器と、同基準信号と検出器の出力信号とを比較する比較器とを備えて、同比較器の出力に基づいて放電灯の点灯制御を行う放電灯点灯装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-340023号公報
【特許文献2】特開2004-281361号公報
【特許文献3】特開2005-251580号公報
【特許文献4】特許2881764号公報
【特許文献5】特開2009-076407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1,2,4,5に記載の回路においては、放電灯の点灯状態を監視して放電灯の異常を検出するための保護回路を備えている。放電灯の異常には、出力の上昇と低下とがあるが、出力の低下を監視できる保護回路について開示されているのは、上述した特許文献4,5である。しかしながら特許文献4の保護回路は、複数の放電灯の全体的な電圧傾向を監視するものであって複数の放電灯の一部だけで発生する異常を検出するものではないし、各放電灯で個別に発生する異常まで検出しようとすると、特許文献5に示すように、どうしても回路規模が大きくなり、例えばコンパレータを多用することになってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、放電灯によるバックライトを有する表示装置において、回路規模や回路コストを抑えた保護回路であって、複数の放電灯の中の一部に電圧低下が発生したときに、この一部の放電灯の電圧低下を確実に検出可能な保護回路を表示装置に備えさせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる表示装置では、複数の放電灯を備えたバックライトを有する表示装置において、上記複数の放電灯のそれぞれに交流電源を供給する電源供給回路と、上記放電灯ごとに設けられるとともに各放電灯の端子電圧を所定割合に分圧する複数の分圧回路と、上記分圧回路ごとに設けられるとともに対応する分圧回路の分圧のピークホールド電圧を生成する複数のピークホールド回路と、複数の上記ピークホールド電圧の最小値をOR電圧として出力する等価電圧検出回路と、上記OR電圧が所定電圧よりも低下すると所定の制御信号を出力する比較回路と、上記比較回路から上記所定の制御信号を入力されると本表示装置をシャットダウンする保護手段と、を備える構成としてある。
【0007】
以上のように構成された表示装置において、上記電源供給回路は所定の交流電源から上記複数の放電灯のそれぞれに供給するための交流電源を生成し、生成した交流電源を複数の放電灯に供給して点灯させる。上記分圧回路は、放電灯の一方の端子電圧を監視するのであれば放電灯の数だけ、放電灯の両方の端子電圧を監視するのであれば放電灯の端子の数だけ設けられており、各端子電圧を所定割合に減じた分圧を上記ピークホールド回路に出力する。この分圧も上記端子電圧の交流やノイズなどに起因する変動に応じて変動している。そこで、上記端子電圧が、規定値からのズレ量を総合的に評価するための評価用電圧として、上記ピークホールド回路は、入力された分圧を整流平滑することにより分圧のピーク値をホールドしたピークホールド電圧を生成する。上記ピークホールド回路は、上記分圧回路と同数だけ設けられており、1つの分圧回路の出力が1つのピークホールド回路に入力されるようになっている。
【0008】
このようにして生成された複数のピークホールド電圧は、上記等価電圧検出回路に入力されており、上記等価電圧検出回路はこれら複数の上記ピークホールド電圧の中の最小のものを出力することになる。この出力値は、放電灯の端子電圧の中で最も低下しているものと等価な電圧であり、放電灯のいずれか1端子でも電圧が低下していると、低下した電圧が出力されるという意味で、論理和電圧、すなわちOR電圧と呼んでいる。
【0009】
そして、上記比較回路は上記OR電圧と所定電圧とを比較し、上記OR電圧が所定電圧よりも低下している場合には所定の制御信号を出力することになる。OR電圧と比較される所定電圧は、上記端子電圧の規定値の下限の電圧から生成された評価用電圧と同等の値となっている。上記保護手段は、所定の制御信号の伝送ラインを監視しており、所定の制御信号が入力されると本表示装置をシャットダウンすることにより、上記放電灯や上記電源回路を保護し、ひいては装置そのものを保護する。以上の構成によれば、上記等価電圧検出回路の後段に形成される比較回路を1つだけ設ければよく、複数の放電灯の端子電圧を効率的に監視することが可能となる。
【0010】
また、本発明の選択的な一態様として、上記等価電圧検出回路は、上記ピークホールド回路の各々から出力されるピークホールド電圧をそれぞれカソードに入力されている複数のダイオードと、該複数のダイオードのアノードに一端を接続されるとともに他端に定電圧を印加されている第1抵抗と、上記複数のダイオードのアノードや上記第1抵抗の一端にアノードを接続される構成としてもよい。該構成によれば、上記複数のピークホールド回路において生成されるピークホールド電圧の等電位を後段に伝えつつ、等価電圧検出回路の前段と後段との間に電流が流れないようにすることができる。
【0011】
また、本発明の選択的な一態様として、上記分圧回路は、コンデンサ分圧回路にて上記端子電圧を所定割合に分圧するとともに、この分圧された端子電圧を分割抵抗にて所定割合に分圧して出力するように構成してもよい。該構成によれば、高圧・高周波の交流電流を所定割合まで減じた分圧を、簡易な回路構成で生成することが出来る。
【0012】
また、本発明の選択的な一態様として、上記ピークホールド回路は、上記分圧回路の出力する分圧をアノードに入力されている第3ダイオードと、該第3ダイオードのカソードに一端を接続されるとともに他端をグランドに接続された第2抵抗と、上記第3ダイオードのカソードおよび第2抵抗の一端に一端が接続されるとともに他端をグランドに接続された第1コンデンサと、を備える構成としてもよい。該構成によれば、上記分圧回路の出力する交流を整流平滑したピークホールド電圧を上記第1コンデンサに充電しつつ、上記第2抵抗が上記第1コンデンサに充電された電圧を所定の時定数で放電するため、高周波の端子電圧に応じた的確なピークホールド電圧を生成可能となる。
【0013】
また、本発明の選択的な一態様として、上記等価電圧検出回路と上記比較回路の間に、上記OR電圧のピーク値をホールドするピークホールド回路を備える構成としてもよい。該構成によれば、上記比較回路に入力される電圧を、安定化させることができる。
【0014】
また、本発明の選択的な一態様として、上記ピークホールド回路は入力される電圧を蓄積するコンデンサと並列に挿入される抵抗とにより所定の時定数で上記入力される電圧を放電する時定数回路を備えており、上記等価電圧検出回路の後段に設けられるピークホールド回路は、上記等価電圧検出回路の前段に設けられるピークホールド回路よりも時定数を大きく設定される構成としてもよい。該構成によれば、前段のピークホールド回路のそれぞれにおいて流れる電流と後段のピークホールド回路に流れる電流との釣り合いを取りつつ、後段のピークホールド電圧の時定数を大きくすることによって上記OR電圧を平滑化することができる。
【0015】
なお、上述した表示装置は、他の機器に組み込まれた状態で実施されたり他の方法とともに実施されたりする等の各種の態様を含む。また、本発明は上記表示装置を備える表示システムとしても実現可能である。この表示システムの発明も、上述した作用、効果を奏する。むろん、請求項2〜6に記載した構成も、前記システムに適用可能である。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、複数の放電灯の中の一部に電圧低下が発生したときに、この一部の放電灯の電圧低下を確実に検出しつつ、効率的に複数の放電灯の端子電圧を監視することが可能な表示装置を提供することができる。
また請求項2にかかる発明によれば、等価電圧検出回路の前段と後段との間に電流が流れないようにしつつ、上記複数のピークホールド回路において生成されるピークホールド電圧の等電位を後段に伝えることができる。
そして請求項3にかかる発明によれば、高圧・高周波の交流電流を所定割合まで減じた分圧を、簡易な回路構成で生成出来る。
さらに請求項4にかかる発明によれば、高周波の交流に対応する的確なピークホールド電圧を生成可能となる。
また請求項5にかかる発明によれば、比較回路に入力される電圧を安定化させることができる。
そして請求項6にかかる発明によれば、前段のピークホールド回路のそれぞれにおいて流れる電流と後段のピークホールド回路に流れる電流との釣り合いを取りつつ、後段のピークホールド電圧の時定数を大きくすることによって上記OR電圧を平滑化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】テレビジョンの概略構成を示すブロック図である。
【図2】プロテクト回路の回路図である。
【図3】プロテクト処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】プロテクト回路の各所における電圧の経時変動の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)本実施形態の構成:
(2)プロテクト回路:
(3)プロテクト処理:
(4)まとめ:
【0019】
(1)本実施形態の構成:
図1は、本発明が適用される表示装置としてのテレビジョン100の概略構成を示すブロック図である。なお、本実施形態ではテレビジョン100を例にとって説明を行うが、本発明はこれに限定されるものではなく、放電灯をバックライトとして利用する表示部を備えた電気電子機器であれば本発明を適用可能である。また、同図では発明に関係しない部位については記載を省略してある。
【0020】
図1において、テレビジョン100は、チューナ10と、映像処理部12と、液晶パネル16と、この液晶パネル16の各セルを映像信号に基づいて制御する駆動回路14と、液晶パネル16の背面から光を照射する光源であるバックライト18と、バックライト18に電源電圧を供給するインバータ回路20と、商用の交流電源を入力されつつこの交流電源に基づいて電源電圧を生成してインバータ回路20を含めたテレビジョン100の各部に供給する電源回路22と、テレビジョン100全体を制御する制御部として機能するマイコン24と、を備えている。また、テレビジョン100は、インバータ回路20の出力を監視して、監視結果をマイコン24に通知するプロテクト回路30を備えている。各部10,12,14,24はIICバスなどの汎用的な通信バスで接続されており、所定の通信プロトコルに基づいて互いに通信可能になっている。
【0021】
チューナ10は地上波放送信号を受信可能なアンテナやケーブルテレビ回線などに接続されており、アナログやデジタルのテレビ放送信号を入力される。チューナ10はマイコン24の制御にしたがって選局動作を行うことにより、入力されたテレビ放送信号の中からテレビ放送帯域に対応した所望周波数のテレビ放送信号を受信する。そして、受信したテレビ放送信号から所要の信号だけを選択して高周波増幅し、中間周波信号に変換して出力する。
【0022】
映像処理部12は、チューナ10から入力された中間周波信号の信号レベルに応じてデジタル化する。そして、デジタル化された中間周波信号に各種の信号処理を施すことにより、RGB(赤、緑、青)で表現される映像信号(RGB信号)や同期信号、音声信号を復元する。復元された同期信号は、所定の信号処理が施された後、マイコン24に出力され、復元された音声信号は、不図示の音声処理部で増幅やトーン調整が行われてから不図示のスピーカに出力される。また、映像処理部12は、復元されたRGB信号に対して表示装置の画素数(横縦比、m:n)に合わせたスケーリング処理を行って表示装置の1画面分の画像データを生成する。このように生成された画像データは駆動回路14に出力される。
【0023】
マイコン24は、マイコン24内部の構成部品としてのCPUが、同じくマイコン24内の構成部品であるROMやRAMなどに書き込まれた各プログラムに従って演算処理を行うことにより、テレビジョン100全体を制御する。またマイコン24はタイマ回路を内蔵しており、タイマ回路の発生するクロック信号を取得している。従って、制御プログラムを所定時間おきに実行したり、所定のタイミングでプログラムを実行したりすることが出来る。なお、図1においては、CPUやROMやRAMやタイマ回路については図示を省略している。
【0024】
マイコン24は、不図示のリモコンのキー操作と電圧信号との対応関係を保持しており、この対応関係を参照することによりリモコンで行われたキー操作を検知し、マイコン24は、対応するチャンネルを受信させるように周波数データをチューナ10に送出することができる。例えば、ユーザーが不図示のリモコンを用いて所望のチャンネルを受信させるべく操作すると、リモコン信号が出力され、不図示のリモコン受信部がこのリモコン信号を受信し、リモコン受信部はリモコン信号に対応する電圧信号をマイコン24に出力する。マイコン24は、この電圧信号に基づいてキー操作を検知することができる。
【0025】
バックライト18は、複数の蛍光管を備えており、インバータ回路20から供給された交流電圧でこれらの蛍光管が点灯する。本実施形態においては、これら蛍光管が放電灯を構成し、インバータ回路20もしくは、インバータ回路20と電源回路22との組合せが電源供給回路を構成する。インバータ回路20は、電源回路22から供給される直流電圧にもとづいて、高周波かつ高圧の交流電圧をバックライト18を構成する蛍光管の端子ごとに生成している。従って、インバータ回路20の出力電圧が全体的に変動することもむろんあるが、インバータ回路20から蛍光管の各端子に供給される電圧ごとにも変動する。本実施形態のプロテクト回路30は、インバータ回路20の出力変動を総合的に監視するとともに、複数の蛍光管の各端子ごとの変動を個別にも監視する。以下、プロテクト回路30の具体的構成について説明する。
【0026】
(2)プロテクト回路:
図2は、プロテクト回路30の回路図である。同図に示すように、プロテクト回路は、高電圧用の分圧回路31a,31b,31c,・・・と、ピークホールド回路32a,32b,32c,・・・と、等価電圧検出回路33と、ピークホールド回路34と、比較検知回路35と、プロテクト信号生成回路36と、を備えている。なお、図2には、分圧回路とピークホールド回路とを3つずつ示してあるが、実際には蛍光管の灯数にあわせて形成される。例えば、蛍光管として4本のU字管を用い、U字管の両端の電圧をそれぞれに監視する場合は、分圧回路とピークホールド回路とを8組設けることになる。なお、U字管の両端には、正負が反転した高周波の交流が印加されている。
【0027】
分圧回路31aは、コンデンサCHと、コンデンサCLと、抵抗RH1と、抵抗RL1と、を備えている。コンデンサCH,CLは分圧コンデンサを構成しており、インバータ回路20から蛍光管の端子に入力されている高周波の交流電圧であるインバータ電圧Vinvの供給ラインとグランドとの間に直列接続されている。このように接続されたコンデンサCH,CLの間の分圧点には、インバータ電圧Vinvの分圧Vdiv1が発生することになる。なお、コンデンサCH,CLが本実施形態におけるコンデンサ分圧回路を構成する。一方、抵抗RH1,RL1も分割抵抗を構成しており、分圧Vdiv1とグランドとの間に直列接続されている。このように接続された抵抗RH1,RL1の分割点には、分圧Vdiv1の分圧Vdiv2が発生する。
【0028】
以上のように構成された分圧回路31aは、インバータ電圧Vinvの各瞬時値を所定割合に低下した分圧Vdiv2を出力することになる。なお、他の分圧回路31b,31c,・・・は、分圧回路31aと同様の構成であり、分圧Vdiv2と同様の分圧を、分圧回路31aとは異なる蛍光管の端子に入力されるインバータ電圧Vinvに基づいてそれぞれ生成して出力することになる。
【0029】
ピークホールド回路32aは、分圧回路31aの出力する分圧Vdiv2をアノードに入力されているダイオードD1と、ダイオードD1のカソードに一端を接続されるとともに他端をグランドに接続された抵抗R1と、ダイオードD1のカソードおよび抵抗R1の一端に一端が接続されるとともに他端をグランドに接続されたコンデンサC1と、を備えている。なお、本実施形態において、ダイオードD1が第3ダイオードを構成し、抵抗R1が第2抵抗を構成し、コンデンサC1が第1コンデンサを構成する
【0030】
以上のように構成されたピークホールド回路32aにおいては、ダイオードD1が分圧Vdiv2を半波整流した脈流を生成するとともに、コンデンサC1がこの脈流を充電する。コンデンサC1と抵抗R1とはCR時定数回路を構成しているため、コンデンサC1に蓄積された電荷は所定の時定数で抵抗R1を介して放電する。ただし、インバータ電圧Vinvに対応して変動する分圧Vdiv2は高周波であるため、インバータ電圧Vinvの出力中は、そのピーク値に対応するピークホールド電圧がコンデンサC1に充電されることになる。すなわち、ピークホールド回路32aは、分圧Vdiv2の整流平滑回路として作用することになる。
【0031】
また、コンデンサC1には、後述の等価電圧検出回路33を構成する抵抗RbiasとダイオードD21とを介して、定電圧源からVrefが印加されているため、いったんコンデンサC1の電圧が上昇すると放電しにくくなっている。そのため、ピークホールド回路32aは、分圧Vdiv2のピーク値に対応するピークホールド電圧Vpeak1を安定して出力することができる。なお、他のピークホールド回路32b,32c,・・・には、各々分圧回路31b,31c,・・・から分圧Vdiv2と同様の分圧が入力されており、ピークホールド回路32aの出力するVpeak1と同様にして生成されたピークホールド電圧を出力することになる。
【0032】
等価電圧検出回路33は、ピークホールド回路32aの出力するピークホールド電圧Vpeak1をカソードに入力されているダイオードD21ならびにピークホールド回路32b,32c,・・・の出力するピークホールド電圧がそれぞれカソードに入力されているダイオードD22,D23,・・・と、ダイオードD21,D22,D23,・・・のアノードに一端を接続されるとともに他端に所定の電圧源から定電圧Vrefを入力されている抵抗Rbiasと、ダイオードD21,D22,D23,・・・のアノードや抵抗Rbiasの一端にアノードを接続されているダイオードD3と、を備えている。なお、本実施形態において、ダイオードD21,D22,D23,・・・が複数のダイオードを構成し、抵抗Rbiasが第1抵抗を構成し、ダイオードD3が第2ダイオードを構成している。
【0033】
以上のように構成された等価電圧検出回路33は、各ピークホールド回路から出力されるピークホールド電圧の論理和となるOR電圧VORを、ダイオードD21,D22,D23,・・・のアノードとダイオードD3のアノードとの接続点に発生することになる。論理和とは、ピークホールド回路32a,32b,32c,・・・のそれぞれに発生するピークホールド電圧の中で、いずれか最も低い電圧のものがOR電圧VORとなることを意味する。すなわち、複数ある蛍光管の中で、最も低下している端子電圧に対応するピークホールド電圧がOR電圧となる。このようにして生成されたOR電圧VORは、ダイオードD3を介して後段のピークホールド回路34に出力される。
【0034】
ピークホールド回路34は、上記等価電圧検出回路33の一部を構成するダイオードD3と、ダイオードD3のカソードに一端を接続されるとともに他端をグランドに接続された抵抗R3と、ダイオードD3のカソードや抵抗R3の一端に一端を接続されるとともに他端をグランドに接続されたコンデンサC3と、を備える。
【0035】
以上のように構成されたピークホールド回路34は、等価電圧検出回路33を間に挟んで、ピークホールド回路32a,32b,32c,・・・と対称的に配置されている。また、ピークホールド回路34は、ピークホールド回路32a,32b,32c,・・・と同様に、抵抗R3とコンデンサC3がCR時定数回路を構成しており、抵抗RbiasとダイオードD21とを介して定電圧源から印加されるVrefの作用もあるため、入力されたOR電圧VORのピーク値をピークホールド電圧Vpeak2として安定出力する。
【0036】
また、等価電圧検出回路33のダイオードD21,D22,D23,・・・とダイオードD3の整流作用により、ピークホールド回路32a,32b,32c,・・・とピークホールド回路34との間には電流は流れないようになっている。それと同時に、等価電圧検出回路33の作用により、ピークホールド回路32a,32b,32c,・・・に発生するピークホールド電圧(ピークホールド回路32aであればピークホールド電圧Vpeak1)とOR電圧VORとピークホールド電圧Vpeak2とは等電位となる。
【0037】
なお、ピークホールド回路34を構成する抵抗R3とコンデンサC3とによって構成されるCR時定数回路の時定数は、等価電圧検出回路33の前段にあるピークホールド回路のCR時定数回路の時定数よりも大きくなるように素子を選択することが好ましい。その理由として、1つには、前段のピークホールド回路が複数で構成されていて、前段のピークホールド回路のそれぞれにおいて流れる電流と後段のピークホールド回路34に流れる電流との釣り合いを取るという意味合いがあるが、もう1つの理由として、後段のピークホールド回路の時定数を大きくすることによってOR電圧VORにおける変動を緩和させてVpeak2を平滑化するという意味合いもある。
【0038】
比較検知回路35は、所定の定電圧源から定電圧Vrefを一端に入力された抵抗Rref_Hと、抵抗Rref_Hの他端に一端を接続されるとともに他端をグランドに接続された抵抗Rref_Lと、分割抵抗を構成している抵抗Rref_H,Rref_Lの分割点に+端子が接続されるとともに−端子にピークホールド電圧Vpeak2が入力されているコンパレータOPと、を備えている。コンパレータOPには、プラス電源として定電圧Vccが入力されるとともに、マイナス電源としてグランドの電位が入力されている。抵抗Rref_H,Rref_Lの分割点には、分割電圧Vdiv3が発生している。
【0039】
以上のように構成された比較検知回路35は、コンパレータOPは、+端子の分割電圧Vdiv3と−端子のピークホールド電圧Vpeak2とを比較しており、−側のピークホールド電圧Vpeak2が+側の分割電圧Vdiv3よりも大きければGNDを出力し、+側の分割電圧Vdiv3が−側のピークホールド電圧Vpeak2よりもが大きければ出力が開放となってVccを出力する。
【0040】
プロテクト信号生成回路36は、コンパレータOPの出力端子に一端を接続された抵抗RH2と、抵抗RH2の他端に一端を接続されるとともに他端をグランドに接続された抵抗RL2と、分割抵抗を構成する抵抗RH2,RL2の分割点にベースを接続されるとともにエミッタを接地されたトランジスタTrと、を備えている。トランジスタTrのコレクタは、マイコン24の所定のポートに接続されるとともに、抵抗を介して所定の定電圧に接続されている。以上の比較検知回路35とプロテクト信号生成回路36が、本実施形態において比較回路を構成する。
【0041】
以上のように構成されたプロテクト信号生成回路36においては、コンパレータOPの出力が0V(グランド電位)の間は、分割抵抗の分割点の電位が低いためトランジスタTrはオンせず、プロテクト信号は所定の定電圧源によって一定電圧に維持されている。この一定電圧は、マイコン24にとってH論理として認識される電圧である。一方、コンパレータOPの出力がVccになると、分割抵抗の分割点にトランジスタTrのオン電圧以上の電圧が発生するようになっており、トランジスタTrがオンするとプロテクト信号のラインをグランドに引き込むことになる。このグランド電位は、マイコン24にとってL論理として認識される電圧であり、本実施形態において所定の制御信号を構成する。
【0042】
以上のように、プロテクト回路30は、等価電圧検出回路33の前段に分圧回路31a,31b,31c,・・・とピークホールド回路32a,32b,32c,・・・とを複数の蛍光管の端子毎に設けることによって蛍光管それぞれの端子に発生するインバータ電圧Vinv個別に監視している。また、その監視の結果として各インバータ電圧Vinvに対応する電圧として複数のピークホールド回路からそれぞれ出力されるピークホールド電圧の論理和を等価電圧検出回路33が生成している。このように、等価電圧検出回路33が監視結果の論理和を生成することにより、等価電圧検出回路33以降の回路(ピークホールド回路34、比較検知回路35、プロテクト信号生成回路36)は、蛍光管の端子が多数であっても一組だけ設ければ済むことになる。
【0043】
(3)プロテクト処理:
以上のように構成されたプロテクト回路から出力されるプロテクト信号に基づいて、テレビジョン100を保護するマイコン24の処理について説明する。この保護を行うマイコン24が、本実施形態における保護手段を構成する。なお、保護手段としては、マイコン24のようにプログラム実行環境を備えるものに限定されるものではなく、プロテクト信号に基づいて、インバータ回路20の動作を停止させることによりバックライト18の保護を行う制御主体であればいかなるものであっても構わない。
図3は、プロテクト処理の流れを示すフローチャートである。同図に示す処理は、テレビジョン100の電源がオンの間は、マイコン24によって所定時間置きに繰り返し実行されている。
【0044】
処理が開始されると、マイコン24は、カウンタを初期化し(S10)、所定ポートに入力されているプロテクト信号の電圧値を取得し(S15)。そして、検査電圧が1.0V以下であるか否かを判断する(S20)。なお、この判断における1.0Vという閾値は、H論理とL論理とを区別するための閾値であり、H論理とL論理との中間的な値であれば様々に変更可能である。ステップS20において、電圧が1.0V以下であるときは(S20:Yes)カウンタをインクリメントして(S25)ステップS30に進み、電圧が1.0Vよりも大きいときは(S20:No)プロテクト処理を終了する。
【0045】
ステップS30では、カウンタが3以上であるか否かを判断し、カウンタが3以上のときはステップS40に進み(S30:Yes)、カウンタが3未満のときはステップS35に進む(S30:No)。この判断分岐は、プロテクト信号がノイズなどが原因でL論理に落ち込んでいる瞬間にステップS15の電圧値の取得が行われてしまう可能性を考慮した処理であり、所定時間以上のあいだL論理が継続されているか否かを判断するものである。なお、本実施形態では、後述のステップS35で時間経過を判断する50msを4倍(S30でYesになる際のカウンタ数に対応する)した時間である200msがこの所定時間に相当する。
【0046】
ステップS35では、ステップS15で1.0V以下の電圧を検出してから50ms経過しているかを判断し、50msが経過しているときはステップS15に戻ってステップS15以降の処理を繰り返し(S35:Yes)、50msが経過していないときはステップS35の処理を繰り返す(S35:No)。
【0047】
一方、ステップS40に進むと、マイコン24は、テレビジョン100をシャットダウンする。シャットダウンの手法は様々であるが、例えば、電源回路22からインバータ回路20に対する電源電圧供給を停止させたり、電源回路22そのものの電源電圧供給を停止させたりすることにより実現可能である。テレビジョン100をシャットダウンさせる制御を行った後、マイコン24は、プロテクト処理を終了する。
【0048】
図4は、以上のプロテクト処理が実行されたときの、プロテクト回路30の各所における電圧の経時変動の測定結果を示すグラフである。同図では、分圧回路31aに接続されている蛍光管に異常が発生した場合を例にとってあり、この蛍光管の端子電圧であるインバータ電圧Vinvと、ダイオードD1のカソード電圧であるピークホールド電圧Vpeak1と、ダイオードD3のカソード電圧であるVpeak2と、プロテクト信号の電圧と、を示してある。
【0049】
同図に示すように、インバータ回路20において短絡や高圧端子間放電などの動作異常が発生すると、インバータ電圧Vinvの出力が低下する。すると、インバータ電圧Vinvが低下するに従ってピークホールド電圧Vpeak1も低下し、これに追随してピークホールド電圧Vpeak2も低下して行く。コンパレータOPの+端子に入力されている比較用の定電圧は、図に示す閾電圧Vthに設定されており、ピークホールド電圧Vpeak2がこの閾電圧Vthよりも下回ることによりコンパレータOPの出力がグランド電位からVccに変化する。
【0050】
すると、プロテクト信号も、H論理からL論理に変化する。マイコン24は、L論理が200ms以上継続した場合には電源回路22の動作を停止させ、テレビジョン100をシャットダウンする。電源回路22が停止するとインバータ電圧Vinvの出力も停止するため、動作異常が発生したときに速やかにインバータ回路20の出力を停止して、バックライト18を保護することが出来る。また、200ms以上のあいだ動作異常が継続した場合にのみテレビジョン100をシャットダウンすることにより、ノイズなどの瞬間的な電圧変動でテレビジョン100がシャットダウンすることを防止できる。
【0051】
(4)まとめ:
以上説明したように、本実施形態のテレビジョン100は、バックライト18の複数の蛍光管のそれぞれに交流電源を供給する電源回路22と、蛍光管ごとに設けられるとともに各蛍光管の端子電圧を所定割合に分圧する複数の分圧回路31a,31b,31c,・・・と、分圧回路ごとに設けられるとともに対応する分圧回路の分圧のピークホールド電圧を生成する複数のピークホールド回路32a,32b,32c,・・・と、複数のピークホールド電圧の最小値をOR電圧として出力する等価電圧検出回路33と、OR電圧が所定電圧よりも低下するとプロテクト信号を出力する比較検知回路35ならびにプロテクト信号生成回路36と、プロテクト信号生成回路36からプロテクト信号を入力されるとテレビジョン100をシャットダウンするマイコン24と、を備えている。よって、プロテクト回路30の回路規模や回路コストを抑えつつ、複数の蛍光管の中の一部に電圧低下が発生したときに、この一部の放電灯の電圧低下を確実に検出可能となっている。
【0052】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0053】
10…チューナ、12…映像処理部、14…駆動回路、16…液晶パネル、18…バックライト、20…インバータ回路、22…電源回路、24…マイコン、30…プロテクト回路、31a,31b,31c…分圧回路、32a,32b,32c…ピークホールド回路、33…等価電圧検出回路、34…ピークホールド回路、35…比較検知回路、36…プロテクト信号生成回路、100…テレビジョン、C1…コンデンサ、C3…コンデンサ、CH…コンデンサ、CL…コンデンサ、D1…ダイオード、D3…ダイオード、D21…ダイオード、D22…ダイオード、D23…ダイオード、OP…コンパレータ、R1…抵抗、R3…抵抗、RH1…抵抗、RL1…抵抗、RH2…抵抗、RL2…抵抗、Rref_H…抵抗、Rref_L…抵抗、Rbias…抵抗、Tr…トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の放電灯を備えたバックライトを有する表示装置において、
上記複数の放電灯のそれぞれに交流電源を供給する電源供給回路と、
上記放電灯ごとに設けられるとともに各放電灯の端子電圧を所定割合に分圧する複数の分圧回路と、
上記分圧回路ごとに設けられるとともに対応する分圧回路の分圧のピークホールド電圧を生成する複数のピークホールド回路と、
複数の上記ピークホールド電圧の最小値をOR電圧として出力する等価電圧検出回路と、
上記OR電圧が所定電圧よりも低下すると所定の制御信号を出力する比較回路と、
上記比較回路から上記所定の制御信号を入力されると本表示装置をシャットダウンする保護手段と、
を備えていることを特徴とする放電灯によるバックライトを有する表示装置。
【請求項2】
上記等価電圧検出回路は、上記ピークホールド回路の各々から出力されるピークホールド電圧をそれぞれカソードに入力されている複数のダイオードと、該複数のダイオードのアノードに一端を接続されるとともに他端に定電圧を印加されている第1抵抗と、上記複数のダイオードのアノードや上記第1抵抗の一端にアノードを接続されている第2ダイオードと、を備える請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記分圧回路は、コンデンサ分圧回路にて上記端子電圧を所定割合に分圧するとともに、この分圧された端子電圧を分割抵抗にて所定割合に分圧して出力する請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
上記ピークホールド回路は、上記分圧回路の出力する分圧をアノードに入力されている第3ダイオードと、該第3ダイオードのカソードに一端を接続されるとともに他端をグランドに接続された第2抵抗と、上記第3ダイオードのカソードおよび第2抵抗の一端に一端が接続されるとともに他端をグランドに接続された第1コンデンサと、を備える請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
上記等価電圧検出回路と上記比較回路の間に、上記OR電圧のピーク値をホールドするピークホールド回路を備える請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
上記ピークホールド回路は入力される電圧を蓄積するコンデンサと並列に挿入される抵抗とにより所定の時定数で上記入力される電圧を放電する時定数回路を備えており、上記等価電圧検出回路の後段に設けられるピークホールド回路は、上記等価電圧検出回路の前段に設けられるピークホールド回路よりも時定数を大きく設定されている請求項5に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−102937(P2011−102937A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258417(P2009−258417)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】