説明

放電灯点灯装置

【課題】 電力伝送機能を有し、かつ起動用信号の発生に用いられるトランスを使用して、放電灯点灯装置の小型化を実現し、部品点数やコストを低減させる。
【解決手段】 放電灯への電力伝送機能及び放電灯に起動用信号を供給するための始動機能を兼ね備えたトランス7は、磁性体で形成された閉磁路型のコア(15、16)と、一次巻線7p及び二次巻線7sと、起動用信号の発生に必要な電圧を起動回路に供給するために設けられた補助巻線7vを有する。一次巻線7p及び二次巻線7sが共通のコア支柱15aを中心としてその周囲に巻回され、補助巻線7vが別のコア支柱15bに巻回される。補助巻線7vから供給される電圧に基づいて起動用信号を発生させ、主巻線(7p、7s)を介して放電灯に印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型化及び部品点数やコストの削減等に適した放電灯点灯装置を実現するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用照明光源に用いられる、メタルハライドランプ等の放電灯の点灯回路には、DC−DCコンバータの構成をもった直流昇圧回路と、直流−交流変換回路、起動回路を備えた構成が知られている。例えば、バッテリーからの直流入力電圧を直流昇圧回路において所望の電圧に変換した上で、後段の直流−交流変換回路にて交流出力に変換し、これに起動用信号を重畳して放電灯に供給する(例えば、特許文献1参照。)。直流昇圧回路には、例えば、トランスを用いたスイッチングレギュレータ等が用いられ、また、起動用信号の発生回路には専用のトランスが使用される。
【0003】
【特許文献1】実開平6−13100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の点灯回路では、放電灯への電力伝送用のトランスと、起動パルス発生用のトランスがそれぞれ必要とされ、装置サイズやコスト面で問題がある。例えば、自動車用照明光源に放電灯を用いる場合に、限られたスペースに点灯回路を配置する必要がある(例えば、灯具内に点灯回路ユニットを収容させる場合等)。
【0005】
そこで、本発明は、電力伝送機能を有し、かつ起動用信号の発生に用いられるトランスを使用して、放電灯点灯装置の小型化を実現し、部品点数やコストを低減させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、放電灯への電力伝送機能及び放電灯に起動用信号を供給するための始動機能を備えたトランスと、直流入力電圧を受けて交流変換を行って該トランスの出力を放電灯に供給する直流−交流変換回路と、起動用信号を放電灯に印加するための起動回路を備えた放電灯点灯装置において、下記に示す構成を有するものである。
【0007】
・上記トランスが、磁性体で形成された閉磁路型のコアと、一次巻線及び二次巻線を含む主巻線と、起動用信号の発生に必要な電圧を起動回路に供給するために設けられた補助巻線とを有すること。
【0008】
・一次巻線及び二次巻線が共通のコア支柱を中心としてその周囲に巻回されるとともに、補助巻線が、一次巻線及び二次巻線が巻回されたコア支柱とは別のコア支柱に巻回されていること。
【0009】
・補助巻線から供給される電圧に基づいて起動回路により起動用信号が発生されて主巻線を介して放電灯に印加されること。
【0010】
従って、本発明では、放電灯への電力伝送及び放電灯への起動用信号の印加に使用するトランスを1つにすることで、回路構成の簡素化や小型化等に有効である。そして、主巻線を構成する一次巻線及び二次巻線については、同じコア支柱に巻回することで、磁気的結合を強めることができ、また、補助巻線については、主巻線とは別のコア支柱に巻回することで、主巻線との磁気的結合を弱めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、放電灯点灯装置の小型化を実現し、部品点数やコストの低減に寄与する。例えば、自動車用光源として放電灯を用いる場合に、共振型高周波点灯方式の点灯装置への適用に有効である(トランスの一次側回路においてコンバータトランス等を用いることなく、起動回路への供給電圧を得ることができる。)。そして、補助巻線と主巻線との磁気的結合を弱めることで、起動用信号の発生時に補助巻線に誘起される高電圧の影響を低減させることができる。また、共振用コイルに補助巻線を付加した構成に比して、コア損の低減等に有効である。
【0012】
補助巻線と主巻線との磁気的結合を弱めるためのトランス構造としては、E型コア又はU型コアを用いた閉磁路型の構成において、その第1のコア支柱の直線部に主巻線を巻回し、第2のコア支柱の直線部に補助巻線を巻回することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明に係る放電灯点灯装置の基本構成例を示すものであり、放電灯点灯装置1は、その回路構成において、直流電源2から電源供給を受ける直流−交流変換回路3と起動回路4を備えている。
【0014】
直流−交流変換回路3は、直流電源2から直流入力電圧(図の「+B」参照)を受けて交流変換及び昇圧を行うために設けられている。本例では、2つのスイッチング素子5H、5Lと、それらの駆動制御を行う制御手段6を備えている。つまり、高段側のスイッチング素子5Hの一端が電源端子に接続され、該スイッチング素子の他端が低段側のスイッチング素子5Lを介して接地されており、制御手段6によって各素子5H、5Lが交互にオン/オフされる。尚、図では簡単化のために素子5H、5Lをスイッチの記号で示しているが、電界効果トランジスタ(FET)やバイポーラトランジスタ等の半導体スイッチング素子が用いられる。
【0015】
直流−交流変換回路3は、インダクタンス素子又はトランス及びコンデンサを含む直列共振回路を有する。本例では、直流−交流変換回路3が電力伝送用のトランス7を有しており、その一次側において共振用コンデンサ8と、インダクタ又はインダクタンス成分との共振現象を利用した回路構成が用いられている。つまり、構成形態としては、例えば、下記の3通りが挙げられる。
【0016】
(I)共振用コンデンサ8とインダクタンス素子との共振を利用した形態
(II)共振用コンデンサ8とトランス7のリーケージ(漏れ)インダクタンスとの共振を利用した形態
(III)共振用コンデンサ8と、インダクタンス素子及びトランス7のリーケージインダクタンスとの共振を利用した形態。
【0017】
先ず、上記(I)では、共振用コイル等のインダクタンス素子9を付設し、例えば、該素子の一端を共振用コンデンサ8に接続して、該コンデンサ8をスイッチング素子5Hと5Lとの接続点に接続する。そして、インダクタンス素子9の他端をトランス7の一次巻線7pに接続した構成が挙げられる。
【0018】
また、上記(II)では、トランス7のインダクタンス成分を利用することで、共振用コイル等の追加が不要である。つまり、共振用コンデンサ8の一端をスイッチング素子5Hと5Lとの接続点に接続し、該コンデンサ8の他端をトランス7の一次巻線7pに接続すれば良い。
【0019】
上記(III)では、インダクタンス素子9とリーケージインダクタンスとの直列合成リアクタンスを用いることができる。
【0020】
いずれの形態でも、共振用コンデンサ8と誘導性要素(インダクタンス成分やインダクタンス素子)との直列共振を利用し、スイッチング素子5H、5Lの駆動周波数を直列共振周波数以上の値に規定して該スイッチング素子を交互にオン/オフさせれば、トランス7の二次巻線7sに接続された放電灯10(車両用灯具に用いるメタルハライドランプ等)の正弦波点灯を行うことができる。尚、制御手段6による各スイッチング素子の駆動制御において、スイッチング素子がともにオン状態とならないように相反的にそれぞれの素子を駆動する必要がある(オンデューティーの制御等に依る。)。また、直列共振周波数については、点灯前の共振周波数を「f1」、点灯状態での共振周波数を「f2」と記し、共振用コンデンサ8の静電容量を「Cr」、インダクタンス素子9のインダクタンスを「Lr」、トランス7の一次側インダクタンスを「Lp1」と記すとき、例えば、上記形態(III)において、放電灯の点灯前では、「f1=1/(2・π・√(Cr・(Lr+Lp1))」となる。例えば、駆動周波数がf1よりも低いとスイッチング素子の損失が大きくなり効率が悪化するので、f1よりも高い周波数領域でのスイッチング動作が行われる。また、放電灯点灯後には、「f2≒1/(2・π・√(Cr・Lr))」となる(f1<f2)。この場合も、f2よりも高い周波数領域でスイッチング動作が行われる。
【0021】
トランス7は、一次巻線7p及び二次巻線7sを含む主巻線7Mと、放電灯10への起動用信号の発生用に設けられた補助巻線7vを有する。
【0022】
起動回路4は、放電灯10に起動用信号を供給するために設けられており、例えば、コンデンサ11、スイッチング素子12(図にはスイッチの記号で簡略化して示す。)、整流回路13を有する。補助巻線7vによって得られる電圧が整流回路13を介してコンデンサ11に供給され、該コンデンサの端子電圧が所定の閾値を超えた時点でスイッチング素子12が導通状態となる。そのときにトランス7の一次巻線7pに発生する信号が該トランス7で昇圧されて放電灯10に印加される(交流変換された出力に対して起動用信号が重畳されて放電灯10に供給される。)。尚、本例では、自己降伏型スイッチング素子12の一端を一次巻線7pの中間タップに接続している。
【0023】
図1の構成において、トランス7は、放電灯10への電力伝送機能と、放電灯10に起動用信号を供給するための始動機能を兼ね備えている。つまり、制御手段6の下に直流−交流変換回路3で直流入力から交流への変換及び昇圧が行われて放電灯10の電力制御が行われるとともに、トランス7の補助巻線7vから供給される電圧に基づいて起動回路4によって起動用信号が発生され、該トランス7の主巻線7Mを介して放電灯に印加される。
【0024】
尚、コンデンサ11に対して、補助巻線7vを用いることなく、例えば、図1に破線及び二点鎖線で示すように、一次電圧発生回路14を設ける構成形態が挙げられる。その回路構成としては、直流入力電圧「+B」を受けてフライバック型DC−DCコンバータで所望の電圧を得ることができるが、その昇圧開始後にコンデンサ11が充電されてその電圧が上昇するに従って該コンバータを構成するトランス(コンバータトランス)の二次電流の吐き出し時間が短くなり、充分な昇圧ができなくなることが問題とされる。つまり、二次電流の吐き出し時間は、コンバータの出力電圧に反比例し、電圧上昇に従って短くなっていき、コンバータ内に設けられた整流用ダイオードの接合容量の影響によって、二次側に本来取り出されるべきエネルギーが得られず、充分な昇圧ができなくなってしまう。あるいは、コンバータトランスのインダクタンスを大きくする必要が生じ、該トランスが大型化するとともに、これに付随してスイッチング素子やその制御回路、ダイオード等の部品にも影響が及び、コスト上昇等を齎す原因になる。
【0025】
この他には、インダクタンス素子9(共振用コイル)や、二次巻線7sを用いて放電灯の始動に必要な一次電圧を得る方法も考えられるが、共振用コイルに補助巻線を追加した構成ではコアが大きくなり、損失の増加により熱的な問題が生じる(∵コア損はコア体積に比例する。)。あるいは、トランスの二次巻線を用いる方法では、高電圧パルスとされる起動用信号の発生時に該信号がコンデンサ11に印加されてしまい、パルスの減衰が問題となる。
【0026】
そこで、本発明では、トランス7に補助巻線7vを設け、起動用信号の発生に必要な電圧を得て起動回路4の整流回路13からコンデンサ11に供給する構成を採用することにより、上記した各種の問題を回避して、小型化やコンパクト化等を実現することができる。例えば、起動回路4内の一次電圧発生回路においてコンバータトランスは不要であり、回路構成の簡素化に好適である。
【0027】
次に、本発明に係るトランスの構成例について説明する。
【0028】
本発明の適用において、トランスは、E型コア又はU型コアを用いた閉磁路型の構成を有し、例えば、下記に示すような形態が挙げられる。
【0029】
・2つのE型コアを組み合わせた構成
・E型コアとI型コアを組み合わせた構成
・2つのU型コアを組み合わせた構成
・U型コアとI型コアを組み合わせた構成。
【0030】
つまり、磁性体コア及びギャップを一周して磁気回路が閉成される構成とされ、I型コアのみのような、開放型の構成は除外される。
【0031】
そして、磁性体コアにおいて、その第1のコア支柱の直線部に主巻線7Mが巻回され、第2のコア支柱の直線部に補助巻線7vが巻回された構成とされる。
【0032】
図2乃至図4は、E型コアとI型コアとを組み合わせた構造のトランス7を例示しており、図2が斜視図、図3が分解斜視図である。また、図4はトランス内の結線図である。
【0033】
図3において、E型コア15の中脚である第1のコア支柱15aの中心軸に沿って、I型コア16との間には、一次巻線7p、スペーサ17、二次巻線7s、絶縁ボビン18、スペーサを兼ねた端子台19が配置され、E型コア15には端子台20が取り付けられる。
【0034】
本例では、第1のコア支柱15aの外周に一次巻線7pが配置され、その周囲に絶縁ボビン18が配置され、該絶縁ボビン18の外周に二次巻線7sが巻回された構成とされている。尚、E型コア15及びI型コア16を用いた磁気回路において、コア支柱15aとI型コア16との間にはギャップが形成されている。
【0035】
図3及び図5に示すように、一次巻線7pは、薄い導体を用いてロール状に形成され、その中心軸に沿う方向からみて渦巻き状に巻回された構造をもつ。例えば、図5(B)図に展開して示すように、一次巻線7pには一対の端子21、21が設けられており、それらの端子は、一次巻線7pの巻回方向(図中の矢印「R」方向)に関して互いに反対側の対角位置に形成されている。これにより一次電流が一次巻線7pの導体部に均一に流れ、二次巻線7sとの間の結合にムラが生じないようにすることができる。
【0036】
そして、一次巻線7pには、起動回路4との接続端22が形成され、例えば、図5(B)に破線で示すように、一次巻線の巻回方向に延びる、いずれか一方の長辺に接続端22が一体に形成される。尚、図3には一次巻線7pの巻き始端21s及び巻き終端21e、接続端22を示しており、21s、22が同じ向きに形成され、21eが反対方向に形成されている。
【0037】
尚、一次巻線7pの基材には、例えば、金属製の薄板や、可撓性のあるフィルム状の導体(フレキシブルプリント配線板等)を使用することができる。
【0038】
二次巻線7sは、例えば、導電性の線材を用いてコイル状に形成される。二次巻線7sの基材については、平角線を用いて環状に重ねて巻くようにした、所謂エッジワイズ巻き(あるいは平打ち巻き)の形態を採ることにより、銅損を抑えつつ、必要最小限のサイズをもってトランスを構成することが可能である。
【0039】
尚、二次巻線7sの一端が巻き始端23sとされ、他端が巻き終端23eとされる。
【0040】
絶縁ボビン18は、円筒部18aとフランジ部18bとが一体に形成された構成を有しており、円筒部18aの孔内に一次巻線7pが配置される。
【0041】
また、スペーサ17や端子台19はリング状をしており、端子台19には、一次巻線7pの巻き終端21eが接続される端子部が設けられている。つまり、一次巻線7pの巻き終端21eが端子台19を介して図示しない外部回路に接続される。
【0042】
このように、主巻線7Mについては一次巻線7pと二次巻線7sとの磁気的結合を極力強くするために、一次巻線7pと二次巻線7sが、共通のコア支柱(本例では、中脚15a)を中心軸としてその周囲に巻回された構成を有する。つまり、本例では、コア支柱の外周に一次巻線を配置し、さらにその外周に二次巻線を配置した構成形態を示したが、本発明の適用上は、これに限らず、一次巻線と二次巻線との位置関係を逆にし、コア支柱の外周に二次巻線を配置し、その外周に一次巻線を配置した構成形態を採用しても構わない。
【0043】
図3において、補助巻線7vは導電性線材を用いてボビン24に巻回されており、その一端部が巻き始端25sとされ、他端部が巻き終端25eとされる。
【0044】
補助巻線7vは、主巻線7Mが巻回されたコア支柱15aとは別のコア支柱15b(本例では、外脚)の外周に配置される。これは、主巻線7Mとの磁気的結合を弱くするためである。即ち、主巻線と同程度の磁気結合をもって補助巻線7vを配置したのでは、放電灯の始動時に発生される起動用信号と同程度の高電圧パルスが補助巻線7vに誘起されてそれがコンデンサ11で吸収され、起動用信号の発生に必要なエネルギーを有効に利用できなくなる。主巻線7Mと補助巻線7vとの磁気的結合を弱めることにより、そのような不具合が起きないようすることができる。
【0045】
コ字状をした端子台20には、一次巻線7pの接続端22が接続される端子部と、各巻線の巻き始端が接続される端子部が設けられており、端子台20を介して図示しない外部回路に接続される。
【0046】
図4に示すように、トランス7に設けられた補助巻線7vの巻き始端25sと、一次巻線7pの巻き始端21sと、二次巻線7sの巻き始端23sとが接続されてコモン(COMMON)端子に繋がれている。
【0047】
図中に「・」で示す記号は巻き始めを示しており、図示の極性に従って、二次巻線7sの発生電圧と、補助巻線7vの発生電圧との間で極性を合わせることにより、トランス内の電位差を抑えることができる(耐圧構造の簡素化に寄与する。)。例えば、起動用信号の発生時に補助巻線に誘起される電圧を5kVとし、起動用信号に伴う二次電圧の波高値が25kVであるとした場合に、上記の極性合わせにより、差電圧20kVの絶縁耐力のトランスで済む(これに対して、上記とは極性が逆の場合には、25kVの絶縁耐力を要し、トランス構造の大型化等の原因となる。)。
【0048】
図6は上記トランスを用いた回路構成の一例を示しており、補助巻線7vによって得られる電圧に基づいて起動回路4により起動用信号が発生され、これがトランス7の主巻線7Mを介して放電灯10に印加される。
【0049】
起動回路4は、コンデンサ11と、スイッチング素子12と、整流回路13を備えている。
【0050】
本例では、コンデンサ11の一端が、スパークギャップ等の自己降伏型のスイッチング素子12を介して、一次巻線7pの接続端子(22)に繋がれている。そして、コンデンサ11の他端が接地され、トランス7のコモン端子に繋がれている。
【0051】
整流回路13はダイオード26及び抵抗27を用いて構成され、ダイオード26は、そのアノードが補助巻線7vの一端(巻き終端)に接続され、該ダイオードのカソードが抵抗27を介してコンデンサ11とスイッチング素子12との接続点に接続されている。
【0052】
補助巻線7vからダイオード26を介してコンデンサ11が充電され、該コンデンサ11の端子電圧が閾値を超えた時点でスイッチング素子12が導通状態となり、このときに高電圧パルスが発生する。つまり、補助巻線7vにより得られる電圧が、ダイオード26及び抵抗27を介してコンデンサ11に印加されて当該コンデンサの端子電圧が上昇し、スイッチング素子12が導通状態となったときにトランス7の一次巻線7pに発生する信号が該トランスでの昇圧後に起動用信号として放電灯10に印加される。
【0053】
尚、本例では回路構成の簡素化や低コスト化等に有用である。
【0054】
また、放電灯の電力制御において、放電灯に流れる電流や放電灯にかかる電圧を検出する場合に、例えば、二次巻線に検出端子を設け、あるいはトランスの二次側に検出用巻線を追加するといった、各種構成での実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る基本的な回路構成例を示す図である。
【図2】図3とともにトランスの構造例を示す図であり、本図は斜視図である。
【図3】分解斜視図である。
【図4】トランス内の結線図である。
【図5】一次巻線の構成例を示す図である。
【図6】起動用信号の発生に関する要部の回路構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1…放電灯点灯装置、3…直流−交流変換回路、4…起動回路、7…トランス、7M…主巻線、7p…一次巻線、7s…二次巻線、7v…補助巻線、10…放電灯、15…コア、15a…第1のコア支柱、15b…第2のコア支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電灯への電力伝送機能及び放電灯に起動用信号を供給するための始動機能を備えたトランスと、直流入力電圧を受けて交流変換を行って該トランスの出力を放電灯に供給する直流−交流変換回路と、上記起動用信号を放電灯に印加するための起動回路を備えた放電灯点灯装置において、
上記トランスが、磁性体で形成された閉磁路型のコアと、一次巻線及び二次巻線を含む主巻線と、上記起動用信号の発生に必要な電圧を上記起動回路に供給するために設けられた補助巻線とを有しており、
上記一次巻線及び二次巻線が共通のコア支柱を中心としてその周囲に巻回されるとともに、上記補助巻線が上記一次巻線及び二次巻線が巻回されたコア支柱とは別のコア支柱に巻回されており、該補助巻線から供給される電圧に基づいて上記起動回路により上記起動用信号が発生されて上記主巻線を介して放電灯に印加される
ことを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
請求項1に記載した放電灯点灯装置において、
上記トランスがE型コア又はU型コアを用いて構成され、その第1のコア支柱の直線部に上記主巻線が巻回され、第2のコア支柱の直線部に上記補助巻線が巻回されている
ことを特徴とする放電灯点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−318840(P2006−318840A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−142338(P2005−142338)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】