説明

放電電極及び使用方法

【課題】 プランジEDMプロセスにおいて、工作物にわたるパターン寸法の変動を一様にして工作物にパターンを形成し、製造許容差を満たすように変動を制御する。
【解決手段】工作物にパターンを加工するための電極108は、独立セル304の格子302及び複数の開放セル306をもつ導体ブロック300を有する。開放セル306は独立セル格子302の縁辺308に配置される。独立セル304は相互接続ウエブ310によって定められ、開放セル306は相互接続ウエブ310から延びるフィン312によって定められる。フィン312の厚さはウエブ310の厚さより薄い。電極108は工作物上の複数の場所に、それぞれ、電極108のフィン312の位置が隣接する場所に電極108のフィン312の位置に重なるように配置される。電極108と工作物の間に繰り返して電荷を通し、電極103を工作物に進入させることによってパターンが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は放電加工(EDM)プロセスに関し、さらに詳しくは、スロット幅変動が減じられたハニカム押出ダイを作成するためのプランジEDMに関する。
【背景技術】
【0002】
触媒基板及び特に濾過用途に用いられるハニカム体は、軸方向相互接続ウエブによって定められる軸方向平行チャネルを有する単一材料体からなる。ハニカム体は一般に、焼成後にコージェライト、チタン酸アルミニウムまたは炭化ケイ素のようなセラミック材料を形成する可塑化バッチ材料の押出成形によってつくられる。ハニカム体の作成に用いられる押出ダイは、相互接続スロットによって定められる軸方向ピンのアレイを有する排出端をもつダイブロックである。軸方向ピンのアレイは矩形、三角形、または六角形のような、触媒基板及び特に濾過用途に有用ないずれかの幾何学的形状を有するピンを有することができる。ダイブロックの流入端には、ダイブロックのベースから相互接続スロットまで延び、バッチ材料をスロットに供給するために用いられる、供給孔がある。押出ダイを用いてハニカム体を作成するため、可塑化バッチ材料が供給孔に供給され、相互接続スロットを通して押し出される。相互接続スロットを通して押し出されたバッチ材料はハニカム体の相互接続ウエブを形成する。
【0003】
ハニカム押出ダイは一般にプランジEDMプロセスを用いて作成される。代表的なプランジEDMプロセスでは、所望のピン/スロットパターンを有する造形電極が液体誘電体浴内で押出ダイになる工作物の極近に配される。液体誘電体を通して造形電極と工作物の間に電流を流すために造形電極と工作物にかけて電圧が印加される。いくつかのプロセスでは、造形電極は正極性の下で作業され、工作物は負極性の下で作業される。別のプロセスにおいて、またいくつかの状況の下では電極の組成に応じて、電流の向きを逆にすることができる。ピン/スロットパターンは造形電極と工作物の間の狭い間隙における一連の繰返し放電によって工作物に形成される。放電は工作物を溶融するに十分な熱を発生し、電極のピン/スロットパターンを工作物に転写する。上述したように、工作物を加工している間、工作物は、放電のための導体として作用し、同時に造形電極を工作物から絶縁する、液体誘電体に浸漬される。液体誘電体は冷媒としてもはたらき、造形電極と工作物の間の狭い間隙から加工屑を洗い流すためにも用いられる。
【0004】
プランジEDMは同じ押出ダイブロック内の様々な形状及び寸法のピン及びスロットの加工に十分適しているが、加工された押出ダイブロック内でかなりの大きさのスロット幅及びピン寸法の変動も見られている。押出ダイにわたるスロット幅及びピン寸法の変動はその押出ダイで形成されたハニカムダイにわたるウエブ厚及びセル寸法の変動に転移する。ハニカム体にわたるウエブ厚及びセル寸法のかなりの変動は、以降の処理中またはハニカム体の使用中にハニカム体に望ましくない熱分布プロファイル及び/またはフロー分布プロファイルを生じさせることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、工作物にわたるパターン寸法の変動を一様にして工作物にパターンを形成し、製造許容差を満たすように変動を制御することができる、プランジEDMプロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は工作物にパターンを加工するための電極である。電極は独立セルの格子及び複数の開放セルを有する導体ブロックからなる。開放セルは独立セルの格子の縁辺に配置される。独立セルは相互接続ウエブによって定められ、開放セルは相互接続ウエブから延びるフィンによって定められる。フィンの厚さはウエブの厚さより薄い。
【0007】
別の実施形態は工作物にパターンを加工する方法を含む。方法はパターンを有する造形電極を提供する工程を含む。パターンは、独立セルの格子を形成する相互接続ウエブ及び、相互接続ウエブから延びて独立セルの格子の少なくとも1つの縁辺に沿う開放セルを形成する、フィンによって定められる。フィンの厚さはウエブの厚さより薄い。電極は工作物上の複数の場所に配置され、それぞれの場所における電極のフィンの位置は隣接する場所における電極のフィンの位置に重なる。パターンは、電極と工作物の間で電荷を繰り返して通し、電極を工作物に進入させることによって、複数の場所のそれぞれにおいて形成される。
【0008】
別の実施形態は工作物にパターンを加工する方法を含む。方法はパターンを有する造形電極を提供する工程を含む。パターンは、独立セルの格子を形成する相互接続ウエブ及び、相互接続ウエブから延びて独立セルの格子の少なくとも1つの縁辺に沿う開放セルを形成する、フィンによって定められる。フィンの厚さはウエブの厚さより薄い。電極は工作物上の第1の場所に配置され、電極と工作物の間に繰り返して電荷を通し、電極を工作物に進入させることによって、第1の場所にパターンが形成される。次いで電極は工作物上の次の場所に、次の場所における電極のフィンの位置が第1の場所における電極のフィンの位置に重なるように、配置される。次いで、電極と工作物の間に繰り返して電荷を通し、電極を工作物内に進入させることによって、次の場所にパターンが形成される。
【0009】
さらなる特徴及び利点は以下の詳細な説明に述べられ、ある程度は、当業者にはその説明から容易に明らかであろうし、あるいは、以下の詳細な説明及び添付される特許請求の範囲を含み、添付図面も含む、本明細書に説明されるような実施形態を実施することにより、認められるであろう。
【0010】
上述した全般的説明及び以下の詳細な説明がいずれも例示に過ぎず、特許請求の範囲の本質及び特質の理解への概要または枠組みの提供が目的とされていることは当然である。添付図面はさらに深い理解を提供するために含められ、本明細書に組み入れられて本明細書の一部をなす。図面は1つないしさらに多くの実施形態を示し、記述とともに様々な実施形態の原理及び動作の説明に役立つ。
【0011】
以下で説明される、添付図面は本発明の代表的な実施形態を示し、本発明は他の等しく有効な実施形態を容れることができるから、本発明の範囲を限定すると見なされるべきではない。図は必ずしも比例尺で描かれておらず、いくつかの特徴及び図のいくつかの描写は、尺度が誇張されて示されるかあるいは明解さ及び簡潔さのために簡略に示されることがある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1はプランジEDMシステムの略図である。
【図2】図2はステップダウンプランジEDMプロセスを説明するフローチャートである。
【図3A】図3Aは、押出ダイに六角形ピンを形成するための、造形電極の横断面図である。
【図3B】図3Bは図3Aの電極の一部分を大きく拡大した図である。
【図3C】図3Cは図3Aの造形電極の斜視図である。
【図3D】図3Dは図3Cの造形電極の一部分の拡大斜視図である。
【図3E】図3Eは、押出ダイに正方形ピンを形成するための、造形電極の横断面図である。
【図3F】図3Fは図3Eの電極の一部分を大きく拡大した図である。
【図4】図4は工作物上にダイパターンを形成している電極プランジの場所を示す。
【図5A】図5Aは隣接電極プランジ場所に対して重なるフィン位置を示す。
【図5B】図5Bは隣接電極プランジ場所に対して重なるフィン位置を示す。
【図6】図6は本明細書に説明される電極及びEDMプロセスを用いて作成された例示的押出ダイの縦断面図である。
【図7】図7はワイアEDMを用いて形成されている造形電極を示す。
【図8】図8はワイアEDMを用いて同時に形成されている複数の電極を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面に示される例示的実施形態をここで詳細に参照する。実施形態の説明においては、読者に十全な理解を提供するために数多くの特定の詳細が述べられる。しかし、そのような特定の詳細のいくらかまたは全てが必要にはなるとは限らないことが当業者には明らかであろう。別の場合には、例示的実施形態の態様を不必要に曖昧にしないため、周知の特徴及び/またはプロセス工程は説明されていない。可能であれば必ず、図面を通して同じ残照数字が同じかまたは同様の要素を指して用いられるであろう。
【0014】
図1は、工作物102にかけて、スロット/ピンパターンのような、パターンを加工するためのプランジEDMシステム100の略図である。一般に、そのようなパターンはアスペクト比が高い造作形状を有するが、本システムは高アスペクト比を有する造作形状に限定されない。システム100は工作物102を保持する下部取付具104を備える。システム100は下部取付具104に対向して配置された上部取付具106をさらに備える。上部取付具106は1つないしさらに多くの造形電極108を工作物102に対向して保持し、支持する。造形電極108は適するいずれかの手段を用いて上部取付具106に保持することができる。例えば、造形電極108は上部取付具106の開口に挿入し、溶接またはねじのような、適するいずれかの手段によって上部取付具106に固定することができるであろう。
【0015】
上部取付具106は、造形電極108が工作物102にかけて造作形状を加工するために位置決めすることができるように、また造形電極108が工作物に進入または突入して造作形状が全深さまで加工され得るように、下部取付具104に対して可動である。これは、例えば、アクチュエータまたは平行移動ステージのような位置決め装置110を上部取付具106に結合することによって、実施することができるであろう。一例において、位置決め装置110は2つの直交軸、例えばx方向及びy方向に沿う移動を提供する。これにより、工作物102に対する造形電極108の水平方向及び垂直方向の移動が可能になるであろう。あるいは、位置決め装置110は3つの直交軸に沿う移動を提供でき、必要に応じて、造形電極108の角度調節を可能にすることができる。位置決め装置110は制御可能であることが好ましい。位置決め装置110は工作物102にかけて造形電極108を高精度で位置決めできることが好ましい。工作物102が造形電極108に対して移動可能であるように、位置決め装置112を下部取付具104に結合することも可能である。この場合、位置決め装置110は垂直方向の移動しか提供する必要はない。
【0016】
プランジEDMシステム100は工作物102と造形電極108にかけて電圧を印加するための電源113を備える。図1に示される構成において、造形電極108は正極性の下で作動され、工作物102は負極性の下で作動される。電源113の出力は調節可能であることが好ましい。システム100は電圧の大きさ及び造形電極108と工作物102にかけて電圧が印加される時間長を決定する制御装置115を備えることができる。電圧の大きさ及び造形電極108と工作物102にかけて電圧が印加される時間長によって、造形電極108と工作物102の間の放電及び造形電極108と工作物102の間に形成される間隙の寸法が決定される。制御装置115は、造形電極108を移動させて工作物102の様々な場所に造作形状を加工するために、位置決め装置110を制御することもできる。制御装置115は、上部取付具106に結合された位置センサ117から、または位置決め装置110から、入力を受取ることができ、工作物102に造作形状が全深さまで加工された時点を判定するためにこの入力を用いることができる。制御装置115は、データ及び命令を格納するためのメモリ115a,命令を実行するためのプロセッサ115b及びプランジEDMシステム100の様々なコンポーネントと通信するための入力/出力デバイス115cを有することができる。
【0017】
図1に示されるシステムにおいて、下部取付具104には液体誘電体124を保持するための液体チャンバ120が設けられる。プランジEDMシステム100は、それを通して液体誘電体源126から液体誘電体124をチャンバ120に供給することができる、送流配管122を備えることができる。液体誘電体源126からチャンバ120に液体誘電体124を圧送するためにポンプ128を送流配管122に備えることができる。システム100は、それを通して液体誘電体124をチャンバ120から取り出して液体誘電体源126に戻すことができる排流配管130を備えることができる。液体誘電体124を液体誘電体源126に戻す前に液体誘電体124から加工屑を取り除くため、粒子フィルタ132を排流配管130に備えることができる。下部取付具104は、工作物102が液体誘電体124に浸漬されるように、チャンバ120内に工作物102を支持する。液体誘電体124は造作形状が工作物102に加工されている間、チャンバ120を通して循環させられる。液体誘電体124は造形電極108から工作物102に電荷を伝え、同時に造形電極108の工作物からの絶縁も提供する。液体誘電体124は工作物102と造形電極108の間に形成された間隙からの加工屑の洗い流しも行う。図1には示されていないが、電極108のチャネルを通り、工作物102に設けられた開放チャネルも通る液体誘電体の循環をさらに提供するシステム改変が知られており、そのような循環は、間隙及び工作物に加工されているスロット陥凹からの加工屑の洗い流しを補助するに特に有効である。
【0018】
造形電極108は造形電極108と工作物102の間の間隙内への繰り返し電荷放電によって工作物102に造作形状を加工するために配置される。造形電極108は導電材料でつくられる。工作物102も導電材料でつくられる、工作物102のための材料は加工された工作物の目的用途に基づいて選ぶことができる。例えば、ハニカム押出ダイのためのブランクである工作物102に対しては、鋼鉄のような、硬質導電材料で工作物102をつくることができる。造形電極108のための材料は工作物102と同じ材料としてもしなくても差し支えなく、工作物102の材料ほど硬い必要はない。一般に、造形電極108は銅−タングステンのような材料でつくられるが、黒鉛のような他の材料を代わりに用いることができるであろう。
【0019】
造形電極108は工作物102に形成されるべき造作形状のパターンを有する。例えば、相互接続ウエブの格子を有するハニカム押出ダイに対して、造形電極108は、ハニカムパターンまたはハニカムパターンの一部分を形成する相互接続ウエブの格子を有する。それぞれの造形電極108は一度に複数の造作形状(例えば、ピン及びスロットの複数の行及び複数の列)を形成するように構成される。一般に、造形電極108は所望のいかなる形状の造作も含むパターンを形成するように構成することができる。一実施形態において、工作物に形成されるべきパターンは多角形ピン(例えば、矩形、正方形、六角形または三角形のピン)及びスロットのアレイである。造形電極108の構成及び動作は以下で非常に詳細に説明される。
【0020】
プランジEDMプロセスは、工作物にかけて全深さまで造作形状を加工するために複数のプランジステップが可変シーケンスで用いられる、ステップダウンプロセスである。ステップダウンプランジEDMプロセスは、それぞれのパスによって全深さまでプランジングさせる代わりに、部分スロット深さ増分にわたりプランジングシーケンスを変えることによって工作物にかけてより一貫した加工条件を提供する。いくつかの実施において、プランジングシーケンスはランダム化することができる。
【0021】
図2はステップダウンプランジEDMプロセスの一実施形態を示す。初めに、工作物に形成されるべきパターンの全深さが決定される(工程200)。次に、全深さまでそれぞれのパターンを加工するに望ましいプランジステップの総数の番号が選ばれる(工程202)。この総数は少なくとも2であり、好ましくは2より多く、さらに好ましくは5より多くするべきである。次に、それぞれのプランジステップに対するプランジング深さが決定される(工程204)。プランジング深さは、プランジステップ中に工作物に造形電極が加工するであろう、パターンの全深さの分画である。プランジング深さはプランジステップ間で異なっていてもいなくても差し支えない。次いで、プランジステップが1に設定される(工程206)。次に、プランジ場所のシーケンスが生成される(工程208)。プランジ場所は造形電極が工作物にパターンを形成するであろう工作物上の場所である。プランジ場所のシーケンスはランダム化することができ、あるいはそれぞれのプランジステップに対して可変非ランダムシーケンスとすることができる。現在のプランジステップについては、生成されたプランジシーケンスにしたがう現在のプランジステップにともなうプランジング深さに対して工作物にパターンが加工される(工程210)。次の工程は、そのプランジステップがプランジステップの総数に等しいか否かのチェックである(工程212)。そのプランジステップがプランジステップの総数に等しければ、プロセスは終結される(工程214)。そのプランジステップがプランジステップの総数に等しくなければ、プランジステップが1だけ増分されて、プロセスが工程208から反復される。ステップダウンプランジEDMプロセスは、プロセッサ(図1の115b)によって実行され得るであろう命令として、与えることができる。
【0022】
上述したように、造形電極108は工作物102に形成されるべき造作形状のパターンを有する。図3A〜3Dを参照すれば、工作物にパターンを加工するための造形電極108の例示的実施形態が示されている。図3A〜3Dの例示的実施形態において、工作物に形成されるパターンは六角形ピン及びスロットのアレイである。図3Eの例示的実施形態において、工作物に形成されるパターンは正方形ピン及びスロットのアレイである。他の実施形態においては、当業者には認められるであろうように、他のピン形状(例えば、矩形、三角形またはその他の多角形のピン)またはピン形状の組合せあるいは形状は同じであるが寸法は異なるピンを形成することができる。
【0023】
図3Aを改めて参照すれば、例示的造形電極108は独立セル304の格子302及び複数の開放セル306を有する導体ブロック00で形成されている。開放セル306は独立セル304の格子302の縁辺308に配置される。図示される実施形態において、開放セル306は独立セル304の格子302の対向する縁辺308に配置される。別の実施形態において、開放セル306は独立セル304の格子302の2つより多くの縁辺308に(例えば格子302の全縁辺に)配置される。格子302を形成する独立セル304は相互接続ウエブ310によって定められ、開放セル306は相互接続ウエブ310から延びるフィン312によって定められる。以下で説明される理由のため、ウエブ310は厚さtを有し、フィン312は相互接続ウエブ310の厚さtより薄い厚さtを有する。一実施形態において、フィン312の厚さtは、相互接続ウエブ310の厚さtより約0.0001インチ(2.54μm)から約0.0003インチ(7.62μm)薄い範囲にある。一実施形態においてフィン312の厚さtは相互接続ウエブ310の厚さtより約0.0002インチ(5.08μm)薄い。ウエブ310の厚さtは工作物102に形成されるべきスロットの所望の厚さに依存するであろう。したがってウエブ310は所望のいかなる厚さも有することができる。いくつかの実施形態において、ウエブ310の厚さtは約0.0025インチ(63.5μm)から約0.0040インチ(101.6μm)の範囲とすることができる。
【0024】
図3A及び3Bの電極108は全ダイパターン400(図4)のいくらかの分画である矩形形状に対応する矩形の全体形状を有するとして示される。電極108が矩形であるかまたは矩形ではない、非矩形ダイパターンも形成することができる。ダイ寸法に依存して、電極108の幅は、ダイパターン400の全幅、ダイパターンの幅の1/2またはさらにいくらか小さい分画に相当することができる。電極108の高さは、図4におけるように、全ダイパターン108を加工するためのプランジ場所402の全数が得られるように選ばれる。
【0025】
一例において、造形電極108によって工作物に形成されるべきパターンはピン及びスロットのアレイである。パターンは図2に関して上述したステップダウンプランジEDMプロセスを用いて工作物に形成される。図4は、工作物102上のプランジ場所402a〜402k(総称してプランジ場所402)による、工作物102上の全ダイパターン400を示す。図4には11のプランジ場所402が示されているが、他のいずれのプランジ場所402の数も用いることができる。プランジ場所402の数は、例えば、全ダイパターン400の寸法及び電極108の寸法に依存するであろう。
【0026】
図5A及び5Bに示されるように、プランジ場所402は、それぞれのプランジ場所402におけるフィン312の位置が隣接するプランジ場所におけるフィン312の位置に重なるような場所である。すなわち、例えば、プランジ場所402dに対するフィン312の位置は、隣接するプランジ場所402a及び402cに対するフィン312の位置に(参照数字500で示される領域において)重なる。上述したように、フィン312は相互接続ウエブ310の厚さtより薄い厚さtを有する。重なり領域500における減じられたフィン厚tにより、「二重プランジ」重なり領域500において得られるスロット幅を相互接続ウエブ310によって形成される「単プランジ」領域のスロット幅に一致させることができる。このようにフィン312を重ねることで、スロット幅変動が低減され、ダイ精度が向上し、その後にダイを通して押し出される基板における変動が低減される。電極108は工作物102に全ダイパターン400、すなわちピン及びスロットを加工するために、図4におけるプランジ場所402の間を移動させられる。いくつかの実施形態において、10:1より大きなスロット深さ対幅比が用いられる。
【0027】
一例として、下の表1は、工作物102におけるパターン400、すなわちピン及びスロットの全深さが0.08インチ(2.032mm)であり、選ばれたプランジステップ数が8であって、表1では1〜11の番号が振られた、11のプランジ場所402a〜402kがある、例示的なステップダウンプランジ加工プロセスに対するプランジ深さ及びプランジシーケンスを示す。
【表1】

【0028】
図6は、上述したステップダウンプランジEDMプロセスを用いて工作物102にピン600及びスロット602を形成した後の工作物を示す。ピン600及びスロット602は1つないしさらに多い段階を踏んで工作物102に形成することができる。第1段階は、ピン600及びスロット602がステップダウンプランジEDMプロセスを用いて全深さまで加工される、粗加工段階とすることができる。第2段階及び以降の段階は、ピン600が全深さまで仕上げられる、仕上げ段階とすることができる。ステップダウンプランジEDMプロセスまたはワンショットプランジEDMプロセスを仕上げ段階に用いることができる。工作物102に供給孔604を形成して、押出ダイの形成を完了することができる。供給孔604は一般に工作物102のベース606からスロット602まで延びて可塑化バッチ材料のスロット602への供給及びスロット602を通した押出しを可能にするであろう。ピン600,スロット602及び供給孔604を有する工作物102は、他のハニカム押出ダイのためのテンプレートとしてはたらくことができる。例えば、特定の用途に一層適する別の形状寸法を得るために、必要に応じて、ピン600を修正することができる。
【0029】
造形電極108はいずれか適するプロセスで形成することができる。一実施形態において、図7に簡略に示されるように、造形電極108は、電極を造形するために走行ワイア700が用いられる、ワイアEDMプロセスを用いて形成される。図8に簡略に示されるように、複数の電極ブランク800を積み重ね、1本の走行ワイアを用いて、積み重ねられたブランク800を同時に加工することによって、ワイアEDMプロセスを用いて複数の電極108を同時に加工することができる。この態様において、ブランク800で形成される複数の電極108は寸法が一致し、したがって電極間及び同時形成電極を用いて作成されるダイ間で、高度の一貫性を得ることができる。
【0030】
限定された数の実施形態に関して本発明を説明したが、本開示の恩恵を有する当業者には、本明細書に開示されるような本発明の範囲を逸脱しない別の実施形態が案出され得ることが当然であろう。したがって、本発明の範囲は添付される特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【符号の説明】
【0031】
100 プランジEDMシステム
102 工作物
104 下部取付具
106 上部取付具
108 造形電極
110,112 位置決め装置
113 電源
115 制御装置
115a メモリ
115b プロセッサ
115c 入力/出力デバイス
117 位置センサ
120 液体チャンバ
122 送流配管
124 液体誘電体
126 液体誘電体源
128 ポンプ
130 排流配管
132 粒子フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物にパターンを加工するための電極において、前記電極が、
独立セルの格子及び複数の開放セルを有し、前記開放セルが前記独立セル格子の縁辺に配置された、導体ブロック、
を有し、
前記独立セルが相互接続ウエブによって定められ、前記開放セルが前記相互接続ウエブから延びるフィンによって定められ、
前記フィンの厚さが前記ウエブの厚さより薄い、
ことを特徴とする電極。
【請求項2】
前記独立セルを定める前記相互接続ウエブが多角形に配置されることを特徴とする請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記多角形が、矩形、正方形、六角形または三角形の内の1つであることを特徴とする請求項2に記載の電極。
【請求項4】
前記開放セルが前記独立セル格子の対向する縁辺に配置されることを特徴とする請求項1に記載の電極。
【請求項5】
前記フィンの厚さが前記相互接続ウエブの厚さより0.0001インチ(2.54μm)から0.0003(7.62μm)インチ薄い範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の電極。
【請求項6】
工作物にパターンを加工する方法において、
前記パターンを有する造形電極であって、前記パターンが独立セルの格子を形成する相互接続ウエブ及び前記相互接続ウエブから延びて前記独立セル格子の少なくとも1つの縁辺に沿う開放セルを形成するフィンによって定められ、前記フィンの厚さが前記ウエブの厚さより薄い、造形電極を提供する工程、
前記工作物上の複数の場所に、それぞれの場所における前記電極の前記フィンの位置が隣接する場所における前記電極の前記フィンの位置に重なるように、前記電極を配置する工程、及び
前記電極と前記工作物間に繰り返して電荷を通し、前記電極を前記工作物に進入させることによって先記複数の場所のそれぞれにおいて前記パターンを形成する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記形成する工程が、
前記パターンの全深さの分画に対して前記電極を前記工作物に進入させる工程、及び
前記複数の場所のそれぞれにおいて前記パターンの前記全深さが形成されてしまうまで前記配置する工程及び前記形成する工程を複数回反復する工程、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記配置する工程が可変シーケンスで前記複数の場所において前記電極を配置する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記可変シーケンスがランダムシーケンスであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工作物にパターンを加工する方法において、
前記パターンを有する造形電極であって、前記パターンが独立セルの格子を形成する相互接続ウエブ及び前記相互接続ウエブから延びて前記独立セル格子の少なくとも1つの縁辺に沿う開放セルを形成するフィンによって定められ、前記フィンの厚さが前記ウエブの厚さより薄い、造形電極を提供する工程、
前記工作物上の第1の場所に前記電極を配置する工程、
前記電極と前記工作物間に繰り返して電荷を通し、前記電極を前記工作物に進入させることによって前記第1の場所において前記パターンを形成する工程、
前記工作物上の次の場所に、前記次の場所における前記電極の前記フィンの位置が前記第1の場所における前記電極の前記フィンの位置に重なるように、前記電極を配置する工程、及び
前記電極と前記工作物間に繰り返して電荷を通し、前記電極を前記工作物に進入させることによって先記次の場所において前記パターンを形成する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記形成する工程が、
前記パターンの全深さの分画に対して前記電極を前記工作物に進入させる工程、及び
前記場所のそれぞれにおいて前記パターンの全深さが形成されてしまうまで前記配置する工程及び前記形成する工程を反復する工程、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記次の場所に前記電極を配置する工程が、所定の、可変の、場所シーケンスで前記電極を配置する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−45993(P2011−45993A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−192017(P2010−192017)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【復代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
【復代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
【Fターム(参考)】