説明

教材の任意の文字列と直接的に関連付けて質疑応答を行うためのプログラム

【課題】 インターネット等のネットワークを介して行われるeラーニングにおいて、生徒が質問をする際に利用されているメールや掲示板やチャット等を通じた方法では、質問をしたい部分を特定しようと思っても、教材の該当する箇所をコピーして引用するなどの方法しかないため、長い文章の中から短い単語やフレーズだけで正確に自分が質問したい部分を特定することは難しいという問題があった。
【解決手段】 コンピュータに、生徒がマウス等の入力装置を用いて範囲選択した質問箇所(単語やフレーズなど)と直接的に関連付けて質問の送信や回答の受信ができる機能を実現させることで、教材の任意の箇所をピンポイントで指定した質疑応答を行うことができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットを利用したeラーニングシステム(電子教育システム)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インターネット等のネットワークを介して提供された教材に関して生徒が質問を行う方法としては、メールや質問専用の入力画面を利用して先生に質問を送ったり、掲示板やチャットを通じて先生に質問をするなどの方法が実施されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし従来の方法は、生徒がメールや掲示板等の中で、自分が質問をしたい部分を特定しようと思っても、教材の該当する箇所をコピーして引用するなどの方法しかないため、長い文章の中から短い単語やフレーズだけで正確に自分が質問したい部分を特定することは難しかった。
【0004】
本発明は、以上に述べたような従来の問題点を解決しようとするものであり、生徒が範囲選択をした文字列(単語やフレーズなど)と直接的に関連付けた形で質疑応答ができる機能を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そして、本発明は上記目的を達成するために、コンピュータに、マウス等の入力装置を用いて範囲選択された文字列の位置情報を取得する機能、範囲選択された文字列に他の文字列と区別するための表示を行う機能、範囲選択された文字列の位置情報に、他の文字列の位置情報と重複しない通し番号をサーバに送信させて付与する機能、範囲選択された文字列に対し、通し番号によって関連付けられた入力フォームを表示する機能、入力フォームに入力された情報等をサーバに送信する機能、特定のユーザに関する位置情報等の一覧をサーバに送信させて表示する機能、文字列の位置情報に付与された通し番号に付随した情報をサーバに送信させて表示する機能を実現させるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明により生徒は、自分が質問をしたい教材の文字列(単語やフレーズなど)をマウス等の入力装置を用いて範囲選択することで、該文字列と直接的に関連付けて質疑応答ができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態を、インターネット等のネットワークを介して結ばれたサーバ(ウェブサーバ、データベース及びそれらを扱える開発言語を有する)と複数のコンピュータ(ウェブブラウザ上で動くスクリプト言語及びカスケーディングスタイルシート(以下「CSS」という)に対応したウェブブラウザを有し、携帯端末を含む)から成るeラーニングシステムを前提に、図1から図6を用いて具体的に説明する。
【0008】
まず、生徒が先生に質問を行う方法を説明する。
【0009】
生徒は本eラーニングシステムにログインして、サーバから教材及び必要な表示情報やスクリプトを、インターネット等のネットワークを通じてコンピュータ上のウェブブラウザに受信する。なお、ログインなどの認証は、本人の特定及び本人に関する質問や回答を特定する際に使われる。
【0010】
この際、図1に示すように、ウェブブラウザが画面101の中の画面104に教材を表示するとともに、ウェブブラウザ上で動くスクリプトが、データベース上に存在する該生徒を宛先とする質問と回答の見出し情報の一覧をサーバに送信させて画面103に表示する。
【0011】
教材の任意の文字列に関連した質問をしたい場合、生徒は画面104に表示されている教材の文字列に対してマウス等の入力装置を用いて範囲選択を行い、質問をしたい箇所を特定するためにボタン102を押下する。
【0012】
質問をしたい箇所が特定されると、ウェブブラウザ上で動くスクリプトが、該質問箇所の位置情報(範囲選択された文字列が、教材の文字列の文頭を起点に、何文字目から何文字目までの範囲に位置しているかを文頭からの文字数で把握したもの)を取得し、該位置情報に対応する質問箇所105に対し、CSS等を用いて背景を着色するなど他の文字列と区別可能な属性を付与するとともに、該位置情報に対し、他の質問箇所の位置情報と重複しない通し番号をサーバに要求する。
【0013】
サーバから通し番号の付与を受けると、ウェブブラウザ上で動くスクリプトが、ハイパーテキストマークアップランゲージ(以下「HTML」という)とCSSで表現された不可視属性の吹き出し型の入力フォーム106(質問と回答の入力欄、宛先入力欄、質問と回答の履歴欄及び送信ボタンを備えたもの)を可視属性に変更し、同時に位置情報に基づいて質問箇所105を指し示す座標にオーバーラップ表示させる。
【0014】
生徒は質問と回答の入力欄106cに質問内容の入力を行い、宛先入力欄106bに先生を指定した上で送信ボタン106dを押す。
【0015】
送信ボタン106dが押されると、ウェブブラウザ上で動くスクリプトが、質問箇所105の位置情報、通し番号、質問内容及び先生の宛先情報をサーバに送信する。
【0016】
サーバは受信した質問情報(質問箇所105の位置情報、通し番号、質問内容及び先生の宛先情報)と、生徒がログインした際にサーバが取得した本人を特定する情報を、データベースに新規質問として記録する。
【0017】
サーバが正常に終了したことを示す情報をウェブブラウザ上で動くスクリプトに送信すると、ウェブブラウザ上で動くスクリプトが、新規質問が記録されたことを示す見出し情報をサーバに送信させてウェブブラウザ上の画面103に追加表示するとともに、吹き出し型の入力フォーム106を不可視属性に変更し、質問箇所105に付与された他の文字列と区別可能な属性を取り除き、教材を元の状態に戻す。なお、吹き出し型の入力フォーム106内の宛先入力欄106b及び質問と回答の入力欄106cに含まれる情報は、ウェブブラウザ上で動くスクリプトによって削除される。
【0018】
次に、先生が生徒からの質問に回答を行う方法を説明する。
【0019】
先生は本eラーニングシステムにログインして、サーバから教材及び必要な表示情報やスクリプトを、インターネット等のネットワークを通じてコンピュータ上のウェブブラウザに受信する。なお、ログインなどの認証は、本人の特定及び本人に関する質問や回答を特定する際に使われる。
【0020】
この際図5に示すように、ウェブブラウザが画面101の中の画面104に教材を表示するとともに、ウェブブラウザ上で動くスクリプトが、データベース上に存在する先生を宛先とする質問と回答の見出し情報の一覧をサーバに送信させて画面103に表示する。
【0021】
先生が質問と回答の見出し情報の一覧の中から質問105に対応する見出し情報207を選択してクリックすると、ウェブブラウザ上で動くスクリプトが、見出し情報207が保持している位置情報を基に教材の該当する質問箇所205に、CSS等を用いて背景を着色するなど他の文字列と区別可能な属性を付与し、必要に応じて教材を自動で縦スクロールして頭出し表示する。なお、質問箇所205はサーバ側で管理している他の質問箇所と重複しない通し番号で一意に認識されており、質問箇所205の通し番号は、質問の際に質問箇所105に対して発行された通し番号と同一のものである。
【0022】
先生が教材の質問箇所205をクリックすると、ウェブブラウザ上で動くスクリプトが、HTMLとCSSで表現された不可視属性の吹き出し型の入力フォーム106を可視属性に変更し、同時に位置情報に基づいて質問箇所205を指し示す座標にオーバーラップ表示させるとともに、質問箇所205に付与された通し番号に付随した質問と回答の履歴をサーバに送信させ、吹き出し型の入力フォーム106内の質問と回答の履歴欄106aに表示させる。
【0023】
先生は質問と回答の履歴欄106aに表示されている生徒からの質問内容を確認した上で、質問と回答の入力欄106cに回答の入力を行い、宛先入力欄106bに質問をした生徒を指定して送信ボタン106dを押す。
【0024】
送信ボタン106dが押されると、ウェブブラウザ上で動くスクリプトが、質問箇所205の通し番号、回答の内容及び質問をした生徒の宛先情報をサーバに送信する。
【0025】
サーバは受信した回答情報(質問箇所205の通し番号、回答の内容及び質問をした生徒の宛先情報)と、先生がログインした際にサーバが取得した本人を特定する情報を、データベースに追加情報として記録する。
【0026】
サーバが正常に終了したことを示す情報をウェブブラウザ上で動くスクリプトに送信すると、ウェブブラウザ上で動くスクリプトが、回答が追加記録されたことを示す見出し情報をサーバに送信させてウェブブラウザ上の画面103に追加表示するとともに、吹き出し型の入力フォーム106を不可視属性に変更し、質問箇所205に付与された他の文字列と区別可能な属性を取り除き、教材を元の状態に戻す。なお、吹き出し型の入力フォーム106内の質問と回答の履歴欄106a、宛先入力欄106b及び質問と回答の入力欄106cに含まれる情報は、ウェブブラウザ上で動くスクリプトによって削除される。
【0027】
最後に、生徒が先生からの回答を確認する方法を説明する。
【0028】
生徒は本eラーニングシステムにログインして、サーバから教材及び必要な表示情報やスクリプトを、インターネット等のネットワークを通じてコンピュータ上のウェブブラウザに受信する。なお、ログインなどの認証は、本人の特定及び本人に関する質問や回答を特定する際に使われる。
【0029】
この際、図6に示すように、ウェブブラウザが画面101の中の画面104に教材を表示するとともに、ウェブブラウザ上で動くスクリプトが、データベース上に存在する該生徒を宛先とする質問と回答の見出し情報の一覧をサーバに送信させて画面103に表示する。
【0030】
生徒が質問と回答の見出し情報の一覧の中から質問105に対応する見出し情報307を選択してクリックすると、ウェブブラウザ上で動くスクリプトが、見出し情報307が保持している位置情報を基に教材の該当する質問箇所305に、CSS等を用いて背景を着色するなど他の文字列と区別可能な属性を付与し、必要に応じて教材を自動で縦スクロールして頭出し表示する。なお、質問箇所305はサーバ側で管理している他の質問箇所と重複しない通し番号で一意に認識されており、質問箇所305の通し番号は、質問の際に質問箇所105に対して発行された通し番号と同一のものである。
【0031】
生徒が教材の質問箇所305をクリックすると、ウェブブラウザ上で動くスクリプトが、HTMLとCSSで表現された不可視属性の吹き出し型の入力フォーム106を可視属性に変更し、同時に位置情報に基づいて質問箇所305を指し示す座標にオーバーラップ表示させるとともに、質問箇所305に付与された通し番号に付随した質問と回答の履歴をサーバに送信させ、吹き出し型の入力フォーム106内の質問と回答の履歴欄106aに表示させる。
【0032】
生徒は質問と回答の履歴欄106aを見ることで、自分がした質問と先生からの回答を時系列的に読むことができ、教材の文字列の任意の箇所をピンポイントで指定した質疑応答を行うことができる。
【0033】
なお、質問と回答の入力欄106cに再度質問を入力して送信することで、連続した質疑応答を行うこともできる。
【0034】
また、質疑応答を行った生徒または先生が、宛先入力欄106bに他の生徒を指定して送信することにより、該質疑応答の履歴を他の生徒とも共有することが出来る。
【0035】
以上のように、本実施形態によれば、生徒は自分が質問をしたい教材の文字列(単語やフレーズなど)をマウス等の入力装置を用いて範囲選択することで、該文字列と直接的に関連付けて質疑応答ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】 新規に質問を行う場合の画面構成図
【図2】 吹き出し型の入力フォームの構成図
【図3】 システム構成図
【図4】 教材と位置情報の対応例を示す図
【図5】 回答を行う場合の画面構成図
【図6】 回答を確認する場合の画面構成図
【符号の説明】
【0037】
101 ウェブブラウザ画面
102 範囲選択された質問箇所を特定するボタン
103 見出し情報の一覧を表示する画面
104 教材を表示する画面
105 取得された位置情報に対応する質問箇所
106 吹き出し型の入力フォーム
106a 質問と回答の履歴欄
106b 宛先入力欄
106c 質問と回答の入力欄
106d 送信ボタン
205 見出し情報207に対応する質問箇所
207 先生が選択した、質問105に対応する見出し情報
305 見出し情報307に対応する質問箇所
307 生徒が選択した、質問105に対応する見出し情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット等のネットワークを介して結ばれたサーバと複数のコンピュータから成るeラーニングシステム(電子教育システム)において、コンピュータに、マウス等の入力装置を用いて範囲選択された文字列の位置情報を取得する機能、範囲選択された文字列に他の文字列と区別するための表示を行う機能、範囲選択された文字列の位置情報に、他の文字列の位置情報と重複しない通し番号をサーバに送信させて付与する機能、範囲選択された文字列に対し、通し番号によって関連付けられた入力フォームを表示する機能、入力フォームに入力された情報等をサーバに送信する機能、特定のユーザに関する位置情報等の一覧をサーバに送信させて表示する機能、文字列の位置情報に付与された通し番号に付随した情報をサーバに送信させて表示する機能、を実現させるためのプログラム。
【請求項2】
請求項1記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−70350(P2009−70350A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268376(P2007−268376)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(501049823)
【出願人】(507341600)
【Fターム(参考)】