説明

教育システム、装置制御方法

【課題】 インターネットを用いた動画像による双方向コミュニケーションと蓄積メディアを効果的に利用することによって、優れた学習効果を発揮する教育システムを提供する。
【解決手段】 本発明は、インターネットを介して双方向動画伝送を行う教育システムで、受信した講義の状況を示す動画及び音声を記録し、また、講義時の教材にかかわる関連情報を、前記記録された動画及び音声と対応付けて記録する。そしてそれらを再生することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターネットを利用した教育システム、特に追記可能な記録媒体を用い、インターネットの双方向コミュニケーション機能を利用して行う教育システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、教材が記録されたCD−ROMとスタンドアロンのパソコン(以下PC)を用いたCAE(Computer Aided Education)が行われていた。
【0003】
また、近年のインターネットの普及に伴い、所望の教材をダウンロードし、自宅のPCを用いて行う教育システムも普及している。
【0004】
更に、ブロードバンドによる動画伝送機能の普及に伴い、講師はライブ映像や動画の含まれる蓄積メディアを用いて講義し、受講者は自宅のPCとビデオカメラを用いて行う双方向型教育システムも普及し始めている。
【0005】
上記第一、及び第二の例は、予め制作された教材を蓄積メディア又はインターネットを介してのダウンロードという形態で入手し、個人がオフラインで学習するものである。
【0006】
一方、上記第三の例は、受講者が講師より直接オンラインで講義を受けるものである。
【特許文献1】特開平11−282826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前述の第一、及び第二のような従来システムでは、個人学習の形態を取るため、学習における緊張感や集中力に欠け、また質問が出来ないなどのため、十分な効果が上げられていない。
【0008】
一方、上記第三例のような場合には、双方向でオンラインによる講義が行われるため、学習における緊張感や集中力の向上はあるものの、受講した講義の内容が残らないため、せっかく蓄積メディアを用いたとしても、投資に見合った効果を上げていない。
【0009】
本発明は上記に鑑みなされたもので、インターネットを用いた動画像による双方向コミュニケーションと蓄積メディアを効果的に利用することによって、優れた学習効果を発揮する教育システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の教育システムは、インターネットを介して双方向動画伝送を行う教育システムであって、受信した講義の状況を示す動画及び音声を記録する講義記録手段と、講義時の教材にかかわる関連情報を、前記講義記録手段で記録された動画及び音声と対応付けて記録する教材記録手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、インターネットを介して双方向動画伝送を行い、蓄積メディアに講義風景の動画と静止画を関連付けて記録することにより、復習時の効果を増大し、効果的な教育システムを提供することが可能となった。
【0012】
また、教材と、講師の講義や受講者との質疑応答が同一のメディアに記録されるために情報を保存・整理する上でも極めて利便性の高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施例1)
図1は本発明の実施例における教育システムのブロック図である。
【0014】
また、図2は講師側のモニタ上の表示例を示す説明図、図3は受講者側のモニタ上の表示例を示す説明図である。
【0015】
また、図4は追記型メディアのデータ配置を示す説明図である。
【0016】
図1〜図4を用いて本発明の動作手順を詳述する。
【0017】
まず、講師側の動作を説明する。講師は講義の進行に合わせて、予め蓄積メディア1に保存されている教材の中から所望のテキストファイル2及び/または動画ファイル3を、メディアコントロール部4と不図示の蓄積メディア用ドライブユニットを介して読み出す。読み出されたデータは、テキスト処理部5と動画処理部6(蓄積メディアには圧縮して記録されているので復号を行う)によりそれぞれモニタ7での表示に適したフォーマットに変換され、表示処理部8によりそれぞれモニタ7上の所定の位置に表示される。
【0018】
即ち、図2に示したようにテキスト教材と動画教材が、必要に応じてモニタ7の所定の領域に表示される。
【0019】
一方、講師自身の講義風景はカメラ9とマイク10により入力され、符号化処理部11により画像と音声がそれぞれ、インターネットでの画像伝送を効率的に行うために圧縮符号化処理が行われる。一例として、動画像はMPEG−4方式により低ビットレートに符号化される。
【0020】
また、講師はメディアコントロール部4を介して講義の進行に合わせてテキストのページめくりや動画のスタート、ストップを行う。
【0021】
更に、同期制御部12により講義の進行に合わせてテキストの内容をスクロールしたり、テキストの文字色を変化させることも出来る。
【0022】
以上の講義内容、即ち講師自身の符号化された動画と音声に、それと同期して進行する動画教材(圧縮された状態で)及びテキスト教材が付加された内容全体が、伝送処理部13を介してインターネット網に送出される。
【0023】
次に、受講者側の動作を説明する。上記の講義内容に関するデータは、受講者側の伝送処理部14にて復号を要するデータと要しないデータに分離され、中央制御部15に送られる。即ち、復号を要する講師自身の符号化された動画と音声、及びそれと同期して進行する動画教材(圧縮された状態で)は再生処理部16にて復号され、中央制御部15に送り返される。一方テキスト教材部分は直接中央制御部15から表示処理部17に送られる。
【0024】
これらのデータは表示処理部17を介して受講者側のモニタ18の所定の位置に表示される。即ち、図3のように、図2に対して講師のライブ映像が付加されて表示される。従って受講者は、動画及び静止画教材とそれを説明する講師の表情と説明内容を同時に見ることにより、より深く内容を理解することが出来る。
【0025】
一方、受講者の前にはカメラ18とマイク19が設置されており、講義内容に関する質問等がカメラとマイクにより入力され、符号化処理部20により画像と音声がそれぞれ、インターネットでの画像伝送を効率的に行うために圧縮符号化処理が行われる。一例として、動画像はMPEG−4方式により低ビットレートに符号化される。前記の受講者側の動作と同様な動作により、この受講者側の動画と音声は講師側のモニタに表示されるものとする。
【0026】
続いて、受講者が講義内容を追記型メディアに記録する過程を説明する。
【0027】
図4において、再生専用領域には講師用の蓄積メディアに記録されているのと同一内容の動画ファイル及びテキストファイルが、それらの記録されている位置を示すセクタNO.とともに記録されている。これらはインターネット接続しなくても、個人学習を可能とするためのコンテンツである。
【0028】
受講者は、上記の受講の進行に合わせて必要と思った時点でメディアコントロール部21を介して追記型メディア22のドライブユニット(不図示)に対して記録の指示を行う。中央制御部15はこれに呼応して記録処理部23に、講師自身の符号化された動画と音声と、その時の説明対象となる教材の動画ファイルとテキストファイルが記録されているセクタNO.を送出する。記録処理部23はこれらを追記型メディア22の所定の追記領域に記録可能なフォーマットに変換して該当領域に記録する。
【0029】
図4を用いて上記の例を示す。再生専用領域には予めテキストファイルTXT1、TXT2がそれぞれセクタNO.001、002の位置に、動画ファイルMOV1、MOV2がそれぞれセクタNO.101、102の位置に記録されている。講師がTXT1を使って説明しているときに受講者が記録の指示を行ったとすると、その時の講師自身の符号化された動画と音声(mov1とする)と、TXT1が記録されているセクタNO.001が追記領域201に記録される。
【0030】
また、講師がTXT2とMOV2を使って説明しているときに受講者が記録の指示を行ったとすると、その時の講師自身の符号化された動画と音声(mov2とする)と、TXT2が記録されているセクタNO.002とMOV2が記録されているセクタNO.102とが追記領域202に追記される。
【0031】
以上のようにして、受講者が記録指示した時点で講師自身が説明している様子の動画、音声と、その時説明に用いた教材の再生専用領域の位置情報とが追記領域に順次追記されて行く。
【0032】
次に、上記の追記されたコンテンツを用いて受講者が学習(復習)を行う過程を説明する。
【0033】
受講者はメディアコントロール部21を介して追記型メディア22の追記領域24の所望の動画、即ち講師自身の講義場面を選択すると、この時の講師の説明対象となる教材ファイルのセクタNO.が読み取られ、続いてセクタNO.に対応した教材ファイルが再生専用領域25から読み出され、一時記憶部26に保存される。
【0034】
受講者が動画の再生を指示すると、再生処理部16は追記可能領域24からの講師自身の動画のデータを復号し、モニタ18に表示可能なフォーマットに変換する。中央制御部15はこれと前記の一時記憶部26に保存された教材ファイルのデータを表示処理部17に送出する。表示処理部17は講師自身の動画と教材ファイルをモニタ18の所定の位置に表示する。
【0035】
図5に一例を示す。図5は、図4に対応して、講師自身の動画mov2部分を再生する場合を示す。追記領域24より再生された講師自身の動画と同時に、再生領域25より再生されたテキスト教材TXT2と動画教材MOV2が再生されている。
【0036】
以上のようにして、講師の講義を聞きつつ、必要な場面、及びそれに関連した教材情報を追記型メディアに追記し、これらを再生して効果的な復習を行うことが出来る。
【0037】
(実施例2)
図6及び図7を用いて本発明の第2実施例を説明する。
【0038】
図6は受講者と講師の質疑応答の場面を記録する場合の追記型メディア22上のデータ配置図である。
【0039】
講師の説明に対して受講者が質問を行い、メディアコントロール部21を介して記録指示を行った場合、受講者の質問内容の動画と音声のファイルmov2−aが、追記型メディア22のセクタN0.203の領域に、講師自身の動画ファイルmov2のセクタNO.202とともに記録される。
【0040】
図7は、復習時における表示例である。講師の画像の横の小画面に、追記領域24から再生された受講者の動画が表示される。
【0041】
これにより一層の学習効果を上げることが可能となる。
【0042】
なお、上記において、受講者の画面内容(図3)を直接記録しないのは、教材の動画部分とテキスト部分の画質劣化を避けるためである。また、追記メディアの追記領域の減少を避けるためでもある。
【0043】
また、蓄積メディアとしては再生専用のCD−ROMを使用することが出来るが、追記又は書き換え可能なメディアであっても構わない。
【0044】
また、追記メディアとしてCD−Rを使用することが出来るが、他の追記又は書き換え可能なメディア、例えば、CD−RWやDVD−R、DVD−RWなどであっても構わない。
【0045】
更に、上記実施例においては専用ハード構成で説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、汎用PCを用いて記憶媒体に記憶されているソフトウェア(コンピュータプログラム)により実現することも可能である。
【0046】
以上実施例1乃至2で述べたように、本発明によれば、蓄積メディアに講義風景の動画と静止画を関連付けて記録することにより、復習時の効果を増大し、効果的な教育システムを提供することが可能となった。
【0047】
また、教材と、講師の講義や受講者との質疑応答が同一のメディアに記録されるために情報を保存・整理する上でも極めて利便性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第一実施例のシステム構成図。
【図2】講師側のモニタ画面の説明図。
【図3】受講者側の受講時のモニタ画面の説明図。
【図4】追記型メディアのデータ配置図。
【図5】受講者側の復習時のモニタ画面の説明図。
【図6】第2実施例の追記型メディアのデータ配置図。
【図7】第2実施例の受講者側の復習時のモニタ画面の説明図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットを介して双方向動画伝送を行う教育システムであって、
受信した講義の状況を示す動画及び音声を記録する講義記録手段と、
講義時の教材にかかわる関連情報を、前記講義記録手段で記録された動画及び音声と対応付けて記録する教材記録手段と、
を有することを特徴とする教育システム。
【請求項2】
前記講義記録手段で記録された動画及び音声と、前記教材記録手段で記録された関連情報とに基づいて、前記受信した講義の再生を行なう再生手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の教育システム。
【請求項3】
インターネットを介して双方向動画伝送を行う装置を制御する方法であって、
受信した講義の状況を示す動画及び音声を記録する講義記録ステップと、
講義時の教材にかかわる関連情報を、前記講義記録ステップで記録された動画及び音声と対応付けて記録する教材記録ステップと、
を有することを特徴とする装置制御方法。
【請求項4】
インターネットを介して双方向動画伝送を行う装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、
受信した講義の状況を示す動画及び音声を記録する講義記録ステップと、
講義時の教材にかかわる関連情報を、前記講義記録ステップで記録された動画及び音声と対応付けて記録する教材記録ステップと、
の各ステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−208784(P2006−208784A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21376(P2005−21376)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】