説明

散乱特性評価装置及び散乱特性評価方法

【課題】 検出器を移動させることなく、照射した光束の光軸近傍における微小角度おきの散乱光強度の分布を捉えることができる散乱特性評価装置及び散乱特性評価方法を提供する。
【解決手段】 互いに半径が異なるリング状の受光面を有する検出素子の中心が、同心円状かつ光束の光軸上に配置されている検出器2と、集光レンズ4とを備える散乱特性評価装置10であって、測定点Oを中心とした球Bを想定して、検出素子の受光面に導かれた光が球Bを通過した通過面積Sと、i番目の検出素子が検出した光強度Eとを用いて、球Bにおける単位面積での散乱光強度Cを算出して、散乱角度Θから散乱角度Θまでの角度範囲における散乱光強度Cの分布に基づいて、評価対象試料Fの光の透過散乱特性を評価する評価部24を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価対象試料の光の透過散乱特性を評価する散乱特性評価装置及び散乱特性評価方法に関し、特に透明フィルムや透明フィルタや透明膜や透明板等を通して画像を見た場合における画像のにじみや鮮明さを評価するための散乱特性評価装置及び散乱特性評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の液晶表示装置の前面には、液晶保護フィルム(評価対象試料)が配置されている。このような液晶保護フィルムによって、液晶表示装置の表面での反射を防止したり、液晶表示装置の表面に傷がつくことを防止したりしている。ところで、液晶保護フィルムは、液晶表示装置の前面に配置されるため、後方(観察者と反対側)から画像表示光(3原色の光)が入射することにより、その内部を通過させて前方に(観察者へ)画像表示光を出射することになる。このとき、液晶保護フィルムの後方から入射した画像表示光は、液晶保護フィルムの内部を通過することによって、進行方向を維持したまま通過するだけでなく、液晶保護フィルムの内部における様々な要因によって液晶保護フィルムから散乱して出射する。
よって、液晶保護フィルム中を通過する際に散乱した散乱光が、どの方向にどれくらいの光強度を有するかという透過散乱特性を評価することは、観察者が液晶保護フィルムを通して液晶表示装置のカラー画像を見た場合におけるカラー画像のにじみや鮮明さの指標となる。そこで、このような液晶保護フィルムの光の透過散乱特性を評価することは、現在、熟練者による目視によって行われている。
しかしながら、液晶保護フィルムの光の透過散乱特性の評価を目視によって行う場合、評価者(熟練者)によって透過散乱特性の評価が異なることが生じるため、客観的かつ定量的な評価をすることができないという問題点がある。
【0003】
また、試料(例えば、半透明フィルム)の光の透過散乱能を評価するものとして、例えば、透過散乱能測定装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。図6は、透過散乱能測定装置の構成を示す図である。
透過散乱能測定装置30は、測定対象である半透明フィルムFにレーザ光源1からレーザ光(平行光束)を照射し、半透明フィルムF中を通過した透過散乱光を、レーザ光の光軸L上に配置された積分球11の通過孔(例えば、直径10mmの円形状)を通して検出器12に到達させることにより、その光強度Eを検出器12で検出するように構成されている。さらに、半透明フィルムFと積分球11との距離が光軸L方向で変化できるように、半透明フィルムFを移動させる基台部(駆動機構)13を備えている。これによって、距離d(ただし、d1 >d2 )のときに検出された光強度Eと、距離dのときに検出された光強度Eとの比率である直進率E/Eを算出している。
ここで、直進率E/Eは、半透明フィルムFから出射された透過散乱光が、ほとんど散乱されなかった(半透明フィルムFの光の透過散乱能が小さい)場合には、1に近い数値をとることになるが、半透明フィルムFの光の透過散乱能が大きくなるほど、小さくなっていく。
したがって、透過散乱能測定装置30を用いて直進率E/Eを算出することにより、種々の半透明フィルムFの直進率E/Eを比較して、その結果、半透明フィルムFの透明性(透過散乱能)が大きいか小さいかを評価している。
【0004】
また、半透明フィルムFの光の透過散乱能を評価する他の一例として、光軸Lに対して様々な角度θとなる位置に検出器15を、一点Oを中心とした円周方向に移動させることができる駆動機構(図示せず)を備える透過散乱能測定装置がある。図7は、透過散乱能測定装置の構成の他の一例を示す図である。
透過散乱能測定装置40は、半透明フィルムFにレーザ光源1からレーザ光を照射して、半透明フィルムFから出射した散乱光Lを集光レンズ14によって、光軸Lに対して角度θとなる位置に配置された検出器15の受光面に到達させることにより、その光強度Eを検出器15で検出するように構成されている。これにより、角度θとなる位置に配置されたときに検出された光強度Eや、角度θ2(ただし、θ≠θ2 )となる位置に配置されたときに検出された光強度Eを検出している。すなわち、半透明フィルムF中を通過する際に散乱した散乱光が、どの方向(光軸Lに対する散乱角度θ)にどれくらいの光強度Eを有するかという透過散乱特性を評価している。
【特許文献1】特開平9−210848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、透過散乱能測定装置30では、直進率E/Eを算出しており、そのため、半透明フィルムF中を通過する際に散乱した散乱光が、どの方向にどれくらいの光強度Eを有するかという評価をすることができなかった。つまり、観察者が半透明フィルムFを通してカラー画像を見た場合における画像のにじみや鮮明さを評価するための光軸L近傍における微小角度おきの散乱光強度の分布を捉えることは不可能であった。
一方、透過散乱能測定装置40では、半透明フィルムF中を通過する際に散乱した散乱光が、どの方向にどれくらいの光強度Eを有するかという評価をすることができるが、駆動機構によって検出器15を移動させて、測定を行わなければならず、測定に時間がかかった。また空間分解能を高くするには精密な機構が必要なので、透過散乱能測定装置40でも、観察者が半透明フィルムFを通してカラー画像を見た場合における画像のにじみや鮮明さを評価するための光軸L近傍における微小角度おきの散乱光強度の分布を捉えることは容易にはできなかった。
そこで、本発明は、検出器を移動させることなく、評価対象試料に光束を一回照射するだけで、照射した光束の光軸近傍における微小角度おきの散乱光強度の分布を捉えることができる散乱特性評価装置及び散乱特性評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明の散乱特性評価装置は、光束を照射する光源と、互いに異なる半径を持つリング状の受光面を持つ検出素子を前記光束の光軸上の一点を中心とするように同心円状に配置してなる検出器と、前記光源と前記検出器との間の前記光軸上に評価対象試料を保持する保持部と、前記評価対象試料から散乱された散乱光を前記検出器に集光する集光レンズと、前記検出器の検出素子毎の出力に基づいて前記評価対象試料の光の透過散乱特性を評価する評価部とを備えるようにしている。
【0007】
ここで、検出素子の「中心」とは、リング状の中心のことをいい、よって、リング状の半径とは、その中心からの距離のことをいう。そして、「リング状」とは、代表的には中心角が360°であるリング状や、中心角が180°である半リング状や、中心角が90°である1/4リング状のことをいうが、原理的には中心角は何度であってもよいので、それらも含まれる。
また、「評価対象試料」としては、例えば、透明フィルム、半透明フィルム、透明フィルタ、半透明フィルタ、透明膜、半透明膜、透明板、半透明板、液晶保護フィルム等が挙げられる。
本発明の散乱特性評価装置によれば、検出器は、互いに半径が異なるリング状の受光面を有する複数個の検出素子の中心が、同心円状かつ光束の光軸上に配置されている。そして、複数個の検出素子が光強度をそれぞれ検出する。これにより、複数個の検出素子がそれぞれ検出した光強度を得ると、評価部は、評価対象試料の光の透過散乱特性を評価する。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明の散乱特性評価装置によれば、検出器を移動させることなく、評価対象試料に光束を一回照射するだけで、照射した光束の光軸L近傍における微小角度おきの散乱光強度の分布を捉えることができる。
また、散乱光強度の分布を測定する際に、検出器を移動させることがないので、測定誤差が生じることもなく、さらに装置を簡単にすることができる。
【0009】
(その他の課題を解決するための手段及び効果)
また、上記発明において、前記集光レンズは、前記評価対象試料中に設定された測定点から出射される散乱光を検出器に導き、前記評価部は、前記測定点を中心とした球を想定して、前記検出素子の受光面に導かれた光が球を通過した通過面積と、前記検出素子が検出した光強度とを用いて、前記球における単位面積での散乱光強度を算出して、前記球における通過面積の位置を用いて、散乱角度を決定し、決定した各散乱角度を含む角度範囲における散乱光強度の分布に基づいて、前記評価対象試料の光の透過散乱特性を評価するようにしてもよい。
【0010】
ここで、「測定点」とは、評価対象試料中に設定される任意の一点のことをいい、例えば、評価対象試料の内部を通過する光束の光軸の始点と終点との中点が測定点となるように設定される。
本発明の散乱特性評価装置によれば、保持部が評価対象試料を所定の位置に保持することにより、評価対象試料における測定点を設定する。評価対象試料における測定点を設定すると、測定点から出射される散乱光を集光レンズが検出器に導くように、集光レンズを所定の位置に配置する。
このようにして、評価対象試料に光束を照射することにより、複数個の検出素子は、測定点からの光強度をそれぞれ検出する。
【0011】
複数個の検出素子がそれぞれ検出した光強度を得ると、評価部は、複数個の検出素子がそれぞれ検出した光強度を変換することで、評価対象試料の光の透過散乱特性を評価する。つまり、複数個の検出素子がそれぞれ検出した光強度のそのままの値では、散乱光がどの方向にどれくらいの光強度を有するかということを一見して捉えることができないので、複数個の検出素子がそれぞれ検出した光強度から、散乱光がどの方向にどれくらいの光強度を有するかということを一見して捉えることができるものに変換することになる。
具体的には、まず、測定点を中心とした球を想定する。すなわち、測定点から等距離となる位置を作成するための基準となる基準球を作成する。
次に、検出素子の受光面に導かれた光が球を通過した通過面積と、検出素子が検出した光強度とを用いて、球における単位面積(単位立体角)での散乱光強度を算出する。つまり、測定点から等距離となる単位面積での散乱光強度を得る。なお、通過面積は、集光レンズの焦点距離、検出器の配置、形状、サイズ等の情報からレイトレース等を実施することによって、予め算出して決定されている。
次に、球における通過面積の位置を用いて、散乱角度を決定する。
最後に、決定した各散乱角度を含む角度範囲における散乱光強度の分布に基づいて、評価対象試料の光の透過散乱特性を評価する。
【0012】
また、上記発明において、前記検出器は、I個(i=1、2、・・、I)の検出素子からなり、前記評価部は、前記光束の光軸からi番目の検出素子の受光面に導かれた光が球を通過した通過面積Sと、i番目の検出素子が検出した光強度Eとを用いて下記式(1)により、前記球における単位面積での散乱光強度Cを算出して、通過面積S中の一点と測定点とをそれぞれ結んだ線群において、前記線と光軸とがなす角度が最大となる最大角度と、前記線と光軸とがなす角度が最小となる最小角度との平均値である平均角度θを算出し、平均角度θを光軸に対する散乱角度θとして、前記光軸に対する散乱角度θでの散乱光強度Cを決定し、散乱角度θから散乱角度θまでの角度範囲における散乱光強度Cの分布に基づいて、前記評価対象試料の光の透過散乱特性を評価するようにしてもよい。
=E/(S×T)・・・(1)
ここで、Tは、測定点からi番目の検出素子の受光面までの光の透過率である。
【0013】
ここで、「測定点からi番目の検出素子の受光面までの光の透過率」とは、例えば、集光レンズでの反射や吸収や、検出器の受光面での反射等を考慮して決められる数値等のことをいう。
本発明の散乱特性評価装置によれば、まず、測定点を中心とした球を想定する。すなわち、測定点から等距離となる位置を作成するための基準となる基準球を作成する。
次に、i番目の検出素子の受光面に導かれた光が球を通過した通過面積Sと、i番目の検出素子が検出した光強度Eとを用いて式(1)により、球における単位面積(単位立体角)での散乱光強度Cを算出する。つまり、測定点から等距離となる単位面積での散乱光強度Cを得る。なお、通過面積Sと透過率Tとは、集光レンズの焦点距離、検出器の配置、形状、サイズ等の情報からレイトレース等を実施することによって、予め算出して決定されている。
次に、通過面積S中の一点と測定点とをそれぞれ結んだ線群において、線と光軸とがなす角度が最大となる最大角度と、線と光軸とがなす角度が最小となる最小角度との平均値である平均角度θを算出する。
次に、平均角度θを光軸に対する散乱角度θとして、光軸に対する散乱角度θでの散乱光強度Cを決定する。
最後に、散乱角度θから散乱角度θまでの角度範囲における散乱光強度Cの分布に基づいて、評価対象試料の光の透過散乱特性を評価する。例えば、散乱角度θから散乱角度θまでの角度範囲における散乱光強度Cの分布を表示装置等に表示したりする。
【0014】
また、上記発明において、前記検出器の検出素子は、半径方向における寸法が徐々に拡大するように順番に並べられているようにしてもよい。
本発明によれば、半径方向における寸法が徐々に拡大することで、光軸近傍における散乱光強度が特に強くなるような散乱光強度の分布を詳細に捉えることができる。
また、上記発明において、前記測定点は、前記評価対象試料の内部を通過する光束の光軸の始点と終点との中点となるように設定されるようにしてもよい。
【0015】
また、上記発明において、前記光源は、前記光束の波長の種類を切り替えて照射することを可能とし、前記光源が照射する光束の波長に対応させて、前記測定点から出射された散乱光を集光レンズが検出器に導くように、前記集光レンズと検出器との距離を調整する位置調整機構を備えるようにしてもよい。
本発明によれば、光源から照射する光束の波長の種類を変化させても、測定点から出射された散乱光を検出器に常に導くことができる。
また、上記発明において、前記光源は、複数の波長たとえば光の3原色の光束の内からいずれかに切り替えて照射することを可能とするようにしてもよい。
本発明によれば、光源から3原色のいずれかに切り替えて照射しても、測定点から出射された散乱光を検出器に常に導くことができるので、実際に観察者がカラー画像を見た場合におけるカラー画像のにじみや鮮明さを正確に評価することができる。
【0016】
また、本発明の散乱特性評価方法は、光束を照射する光源と、互いに異なる半径を持つリング状の受光面を持つ検出素子を前記光束の光軸上の一点を中心とするように同心円状に配置してなる検出器と、前記光源と検出器との間の光束の光軸上に、前記評価対象試料を保持する保持部と、前記評価対象試料から散乱された散乱光を前記検出器に集光する集光レンズとを備える散乱特性評価装置を用いた散乱特性評価方法であって、前記検出器の検出素子毎の出力に基づいて、前記評価対象試料の光の透過散乱特性を評価する評価ステップを含むようにしている。
そして、本発明の散乱特性評価方法は、前記集光レンズは、前記評価対象試料中に設定された測定点から出射される散乱光を検出器に導き、前記評価ステップは、前記測定点を中心とした球を想定する球想定ステップと、前記検出素子の受光面に導かれた光が球を通過した通過面積と、前記検出素子が検出した光強度とを用いて、前記球における単位面積での散乱光強度を算出する散乱光強度算出ステップと、前記球における通過面積の位置を用いて、散乱角度を決定する散乱角度散乱光強度決定ステップと、決定した各散乱角度を含む角度範囲における散乱光強度の分布に基づいて、前記評価対象試料の光の透過散乱特性を評価する透過散乱特性評価ステップとを含むようにしてもよい。
【0017】
さらに、本発明の散乱特性評価方法は、前記検出器は、I個(i=1、2、・・、I)の検出素子からなり、前記評価ステップは、前記測定点を中心とした球を想定する球想定ステップと、i番目の検出素子の受光面に導かれた光が球を通過した通過面積Sと、i番目の検出素子が検出した光強度Eとを用いて下記式(1)により、前記球における単位面積での散乱光強度Cを算出する散乱光強度算出ステップと、通過面積S中の一点と測定点とをそれぞれ結んだ線群において、前記線と光軸とがなす角度が最大となる最大角度と、前記線と光軸とがなす角度が最小となる最小角度との平均値である平均角度θを算出する平均角度算出ステップと、平均角度θを光軸に対する散乱角度θとして、前記光軸に対する散乱角度θでの散乱光強度Cを決定する散乱角度散乱光強度決定ステップと、散乱角度θから散乱角度θまでの角度範囲における散乱光強度Cの分布に基づいて、前記透明板の光の透過散乱特性を評価する透過散乱特性評価ステップとを含むようにしてもよい。
=E/(S×T)・・・(1)
ここで、Tは、測定点からi番目の検出素子の受光面までの光の透過率である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれる。
【0019】
図1は、本発明にかかる散乱特性評価装置の構成の一例を示す図である。図2は、レーザ光源の構成の一例を示す図であり、図3は、リングディテクタ(検出器)の構成の一例を示す図である。
散乱特性評価装置10は、評価対象試料である液晶保護フィルムFを所定の位置に保持する保持部5と、所定の位置に保持された液晶保護フィルムF中に設定された測定点Oにレーザ光(平行光束)を照射するレーザ光源1と、光強度Eの分布を検出するリングディテクタ(検出器)2と、測定点Oから出射される散乱光をリングディテクタ2に導く集光レンズ4と、集光レンズ4を移動させることができる位置調整機構3と、液晶保護フィルムFの光の透過散乱特性を評価するコンピュータ(制御部)20と、マルチプレクサ7と、増幅アンプ8と、A/D変換器9とにより構成される。
なお、液晶保護フィルムFは、液晶表示装置の前面に配置されて使用されるものである。散乱特性評価装置10は、液晶保護フィルムFが液晶表示装置の前面に配置される前に、観察者が液晶保護フィルムFを通してカラー画像を見た場合におけるカラー画像のにじみや鮮明さを評価するものである。
【0020】
レーザ光源1は、単一波長λ(例えば赤色670nm)のレーザ光を出射するレーザ光源1aと、単一波長λ(例えば青紫色405nm)のレーザ光を出射するレーザ光源1bと、単一波長λ(例えば紫外線375nm)のレーザ光を出射するレーザ光源1cと、クロスダイクロイックプリズム1dとを備える。
クロスダイクロイックプリズム1dは、立方体であり、側面視すると二つの対角線に沿った反射面を有する。1つの反射面は、波長λの光を反射し、波長λの光を透過させるダイクロイックミラーとなっているとともに、他の1つの反射面は、波長λの光を反射し、波長λの光を透過させるダイクロイックミラーとなっている。
このようなクロスダイクロイックプリズム1dを用いて、レーザ光源1aとレーザ光源1bとレーザ光源1cとは、液晶保護フィルムF中に設定された測定点Oに各レーザ光を同一の光路で照射することができるように、それぞれ配置されている。
そして、レーザ光源1aとレーザ光源1bとレーザ光源1cとのオン・オフをコンピュータ20で制御して、3つの波長の光の内のいずれかを選択して照射することができるようになっている。
なお、レーザ光源1に変えて、LED等を使用するような構成にしてもよい。さらに、液晶保護フィルムF中に設定された測定点Oに各レーザ光を同一の光路で照射することができるような構成であれば、上述したような構成に代えて使用してもよい。
【0021】
保持部5は、液晶保護フィルムFを所定の位置に保持するものである。なお、保持部5が液晶保護フィルムFを所定の位置に保持すると、液晶保護フィルムFの内部を通過するレーザ光の光軸Lの始点Pと終点Pの中点が、測定点Oとなるようになっている。
集光レンズ4は、液晶保護フィルムF中に設定された測定点Oから出射される散乱光をリングディテクタ2に導くように集光するものである。
【0022】
位置調整機構3は、集光レンズ4とリングディテクタ2との距離を調整するように、集光レンズ4を光軸L方向に移動させるものである。つまり、レーザ光源1は、互いに異なる3種類の波長λ、λ、λのレーザ光の内のいずれかに切り替えて照射することが可能となっているので、照射するレーザ光の波長λ、λ、λに対応させて、集光レンズ4を移動させることにより、測定点Oから出射された散乱光を集光レンズ4がリングディテクタ2に導くようにする。このような集光レンズ4を移動させる制御は、コンピュータ20によりレーザ光源1aとレーザ光源1bとレーザ光源1cとのオン・オフを制御すると同時に、実行されるようになっている。
【0023】
リングディテクタ2は、互いに半径が異なり、かつ、中心角が90°である1/4リング状の受光面を持つI個(i=1、2、・・、I)の検出素子を、レーザ光の光軸L上の一点を中心とするように同心円状に配置してなる略扇形状の平板である。I個の検出素子は、半径方向における寸法が指数関数的に拡大するように順番に(1番目からI番目まで)並べられている。そして、光軸Lからi番目の検出素子が光強度Eを検出するように、I個の検出素子でI個の光強度E(i=1、2、・・、I)を検出する。
I個の検出素子により検出された散乱光の光強度E(i=1、2、・・、I)は、マルチプレクサ7により多重化され、さらに増幅アンプ8により増幅され、A/D変換器9によりデジタル化される。そして、A/D変換器9の出力は、コンピュータ20に送信される。
なお、リングディテクタ2として、中心角が90°であるリング状からなる受光面を有するI個の検出素子が同心円状に配置された構成を示したが、中心角が例えば360°であるリング状からなる受光面を有するI個の検出素子が同心円状に配置された構成としてもよい。
【0024】
コンピュータ20においては、CPU21を備え、さらにメモリ22と、モニタ画面等を有する表示装置(図示せず)と、入力装置(図示せず)であるキーボードやマウスとが連結されている。また、CPU21が処理する機能をブロック化して説明すると、レーザ光源1と位置調整機構3とを制御するレーザ光源制御部23と、受光信号(光強度E)を受信する光強度検出制御部25と、液晶保護フィルムFの光の透過散乱特性を評価する評価部24とを有する。
【0025】
レーザ光源制御部23は、レーザ光源1aとレーザ光源1bとレーザ光源1cとをオン・オフ制御して、3つの波長の光の内のいずれかを選択して照射するとともに、選択したレーザ光源に対応させて、集光レンズ4を移動させる制御を行うものである。
光強度検出制御部25は、A/D変換器9からの受光信号(光強度E)を受信することにより受光信号をメモリ22に記憶させる制御を行うものである。
【0026】
評価部24は、I個の検出素子がそれぞれ検出した光強度Eを変換することで、液晶保護フィルムFの光の透過散乱特性を評価する制御を行うものである。ここで、評価部24によって液晶保護フィルムFの光の透過散乱特性を評価するための演算方法(評価ステップ)について説明する。
(1)球想定ステップ
まず、図4に示すように、測定点Oを中心とした球Bを想定する。つまり、測定点Oから等距離となる位置を作成するための基準となる基準球を作成する。なお、液晶保護フィルムFを保持部5によって所定の位置に保持すると、液晶保護フィルムFの内部を通過するレーザ光の光軸Lの始点Pと終点Pとの中点が、測定点Oとなるようになっている。すなわち、液晶保護フィルムFにレーザ光を照射し、液晶保護フィルムF内でレーザ光が散乱し出射した場所(散乱場)を、液晶保護フィルムFの内部を通過するレーザ光の光軸Lの始点Pと終点Pとの中点としている。
【0027】
(2)散乱光強度算出ステップ
i番目の検出素子の受光面に導かれた光が球Bを通過した通過面積Sと、i番目の検出素子が検出した光強度Eとを用いて式(1)により、球Bにおける単位面積(単位立体角)での散乱光強度Cを算出する。つまり、測定点から等距離となる単位面積での散乱光強度Cを得る。このとき、I個の散乱光強度C(i=1、2、・・、I)を算出する。
=E/(S×T)・・・(1)
ここで、Tは、測定点Oからi番目の検出素子の受光面までの光の透過率である。なお、通過面積Sと透過率Tとは、集光レンズ4の焦点距離、リングディテクタ2の配置、形状、サイズ等の情報からレイトレース等を実施することによって、予め算出して決定されている。
(3)平均角度算出ステップ
図4に示すように、通過面積Sの一点と測定点Oとを結んだそれぞれ線群において、線と光軸Lとがなす角度が最大となる最大角度θmaxと、線と光軸とがなす角度が最小となる最小角度θminとを用いて下記式(2)により、平均角度θを算出する。このとき、I個の平均角度θ(i=1、2、・・、I)を算出する。
θ=(θmax+θmin)/2・・・(2)
(4)散乱角度散乱光強度決定ステップ
平均角度Θを光軸Lに対する散乱角度θとして、光軸Lに対する散乱角度θでの散乱光強度Cを決定する。
【0028】
(5)透過散乱特性評価ステップ
散乱角度θから散乱角度θまでの角度範囲における散乱光強度Cの分布(例えば、0.1度から1.0度までで20箇所以上の散乱角度θを含むもの等)に基づいて、透明保護フィルムFの光の透過散乱特性を評価する。このとき、散乱角度θから散乱角度θまでの角度範囲における散乱光強度Cの分布を表示装置に表示する。
図8は、3つの波長すなわち赤色(670nm)、青紫色(405nm)および紫外線(375nm)の各レーザ光をそれぞれ照射して得られた散乱角度θから散乱角度θまでの角度範囲における散乱光強度Cの分布を示すグラフである。なお、この場合の散乱光強度は、A/D変換器の出力値から計算された数値であり、3つの波長における散乱光強度の相対的な比較には有効である。
【0029】
次に、散乱特性評価装置10による評価方法について説明する。図5は、散乱特性評価装置10による評価方法の一例について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS101の処理において、液晶保護フィルムFを保持部5によって所定の位置に配置する。このとき、液晶保護フィルムFの内部を通過するレーザ光の光軸Lの始点Pと終点Pとの中点が、測定点Oとなる。
次に、ステップS102の処理において、使用者は入力装置を用いて、レーザ光源1a、レーザ光源1b及びレーザ光源1cの内から使用する1つのレーザ光源を選択する。
次に、ステップS103の処理において、レーザ光源制御部23は、測定点Oから出射された散乱光を集光レンズ4がリングディテクタ2に導くように、集光レンズ4を移動させるとともに、レーザ光源1aとレーザ光源1bとレーザ光源1cとをオン・オフ制御して、3つの波長の光の内のいずれかを選択して照射する。
【0030】
次に、ステップS104の処理において、光強度検出制御部25は、A/D変換器9からの受光信号(光強度E)を受信することにより受光信号をメモリ22に記憶させる。
次に、ステップS105の処理において、評価部24は、測定点Oを中心とした球Bを想定する(球想定ステップ)。
【0031】
次に、ステップS106の処理において、評価部24は、i番目の検出素子の受光面に導かれた光が球Bを通過した通過面積Sと、i番目の検出素子が検出した光強度Eとを用いて式(1)により、球Bにおける単位面積(単位立体角)での散乱光強度Cを算出する(散乱光強度算出ステップ)。
次に、ステップS107の処理において、評価部24は、通過面積S中の一点と測定点Oとをそれぞれ結んだ線群において、線と光軸Lとがなす角度が最大となる最大角度θmaxと、線と光軸Lとがなす角度が最小となる最小角度θminとの平均角度θを算出する(平均角度算出ステップ)。
【0032】
次に、ステップS108の処理において、評価部24は、平均角度θを光軸Lに対する散乱角度θとして、光軸Lに対する散乱角度θでの散乱光強度Cを決定する(散乱角度散乱光強度決定ステップ)。
次に、ステップS109の処理において、評価部24は、散乱角度θから散乱角度θまでの角度範囲における散乱光強度Cの分布に基づいて、液晶保護フィルムSの光の透過散乱特性を評価する(透過散乱特性評価ステップ)。このとき、散乱角度θから散乱角度θまでの角度範囲における散乱光強度Cの分布を表示装置に表示する(図8参照)。
【0033】
以上のように、散乱特性評価装置10によれば、検出器を移動させることなく、液晶保護フィルムFにレーザ光を一回照射するだけで、照射したレーザ光の光軸L近傍(散乱角度θから散乱角度θまでの角度範囲)における微小角度おきの散乱光強度Cの分布を捉えることができる。
また、散乱角度θから散乱角度θまでの角度範囲における散乱光強度Cの分布を測定する際に、検出器を移動させることがないので、測定誤差が生じることもなく、さらに装置10を簡単にすることができる。
【0034】
なお、上述した散乱特性評価装置10では、単一波長λ(例えば赤色670nm)のレーザ光を出射するレーザ光源1aと、単一波長λ(例えば青紫色405nm)のレーザ光を出射するレーザ光源1bと、単一波長λ(例えば紫外線375nm)のレーザ光を出射するレーザ光源1cとを備えるレーザ光源1を示したが、赤色のレーザ光を出射するレーザ光源と、青色の波長のレーザ光を出射するレーザ光源と、緑色の波長のレーザ光を出射するレーザ光源とを備えるレーザ光源としてもよい。このようにすれば、実際に観察者がカラー画像を見た場合におけるカラー画像のにじみや鮮明さを正確に評価することができる。
【実施例】
【0035】
散乱特性評価装置10を用いて、試験体(評価対象試料)Fを評価した。なお、試験体Fとして、ハードコート加工液晶保護フィルム(A−HC)、スタンダード液晶保護フィルム(A−S)、ハードコート加工液晶保護フィルム(B−HC)を用いた。
図8は、3つの波長(670nm、405nm、375nm)の各レーザ光をハードコート加工液晶保護フィルム(A−HC)にそれぞれ照射して得られた散乱光強度Cの分布を示すグラフである。なお、この場合の散乱光強度は、A/D変換器の出力値から計算された数値であり、3つの波長における散乱光強度の相対的な比較には有効である。
図9は、3つの波長の各レーザ光をスタンダード液晶保護フィルム(A−S)にそれぞれ照射して得られた散乱光強度Cの分布を示すグラフである。
図10は、3つの波長の各レーザ光をハードコート加工液晶保護フィルム(B−HC)にそれぞれ照射して得られた散乱光強度Cの分布を示すグラフである。
図8〜図10に示すように、スタンダード液晶保護フィルム(A−S)では、ハードコート加工液晶保護フィルム(A−HC)及びハードコート加工液晶保護フィルム(B−HC)と比較して、散乱光強度Cが強いことがわかる。
【0036】
また、図11は、単一波長λ(赤色670nm)のレーザ光を3種類の試験体Fに照射してそれぞれ得られた散乱光強度Cの分布を示すグラフである。
図12は、単一波長λ(青紫色405nm)のレーザ光を3種類の試験体Fに照射してそれぞれ得られた散乱光強度Cの分布を示すグラフである。
図13は、単一波長λ(紫外線375nm)のレーザ光を3種類の試験体Fに照射してそれぞれ得られた散乱光強度Cの分布を示すグラフである。
図11〜図13に示すように、単一波長λ(赤色670nm)のレーザ光では、単一波長λ(青紫色405nm)のレーザ光及び単一波長λ(紫外線375nm)のレーザ光と比較して、散乱光強度Cが弱いことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、評価対象試料の光の透過散乱特性を評価する場合に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明にかかる散乱特性評価装置の構成の一例を示す図である。
【図2】レーザ光源の構成の一例を示す図である。
【図3】リングディテクタの構成の一例を示す図である。
【図4】測定点を中心とした球を想定することについて説明するための図である。
【図5】散乱特性評価装置による評価方法の一例について説明するためのフローチャートである。
【図6】従来の透過散乱能測定装置の構成を示す図である。
【図7】従来の透過散乱能測定装置の構成の他の一例を示す図である。
【図8】赤色(670nm)、青紫色(405nm)および紫外線(375nm)の各レーザ光をハードコート加工液晶保護フィルム(A−HC)にそれぞれ照射して得られた散乱光強度Cの分布を示すグラフである。
【図9】赤色(670nm)、青紫色(405nm)および紫外線(375nm)の各レーザ光をスタンダード液晶保護フィルム(A−S)にそれぞれ照射して得られた散乱光強度Cの分布を示すグラフである。
【図10】赤色(670nm)、青紫色(405nm)および紫外線(375nm)の各レーザ光をハードコート加工液晶保護フィルム(B−HC)にそれぞれ照射して得られた散乱光強度Cの分布を示すグラフである。
【図11】赤色の単一波長λ(670nm)のレーザ光を3種類の試験体に照射して得られた散乱光強度Cの分布を示すグラフである。
【図12】青紫色の単一波長λ(405nm)のレーザ光を3種類の試験体に照射して得られた散乱光強度Cの分布を示すグラフである。
【図13】紫外線の単一波長λ(375nm)のレーザ光を3種類の試験体に照射して得られた散乱光強度Cの分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0039】
1 レーザ光源
2 リングディテクタ(検出器)
5 保持部
10 散乱特性評価装置
24 評価部
B 球
F 液晶保護フィルム(評価対象試料)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光束を照射する光源と、
互いに異なる半径を持つリング状の受光面を持つ検出素子を前記光束の光軸上の一点を中心とするように同心円状に配置してなる検出器と、
前記光源と前記検出器との間の前記光軸上に評価対象試料を保持する保持部と、
前記評価対象試料から散乱された散乱光を前記検出器に集光する集光レンズと、
前記検出器の検出素子毎の出力に基づいて前記評価対象試料の光の透過散乱特性を評価する評価部とを備えることを特徴とする散乱特性評価装置。
【請求項2】
前記集光レンズは、前記評価対象試料中に設定された測定点から出射される散乱光を検出器に導き、
前記評価部は、前記測定点を中心とした球を想定して、前記検出素子の受光面に導かれた光が球を通過した通過面積と、前記検出素子が検出した光強度とを用いて、前記球における単位面積での散乱光強度を算出して、
前記球における通過面積の位置を用いて、散乱角度を決定し、
決定した各散乱角度を含む角度範囲における散乱光強度の分布に基づいて、前記評価対象試料の光の透過散乱特性を評価することを特徴とする請求項1に記載の散乱特性評価装置。
【請求項3】
前記検出器は、I個(i=1、2、・・、I)の検出素子からなり、
前記評価部は、前記光束の光軸からi番目の検出素子の受光面に導かれた光が球を通過した通過面積Sと、i番目の検出素子が検出した光強度Eとを用いて下記式(1)により、前記球における単位面積での散乱光強度Cを算出して、
通過面積S中の一点と測定点とをそれぞれ結んだ線群において、前記線と光軸とがなす角度が最大となる最大角度と、前記線と光軸とがなす角度が最小となる最小角度との平均値である平均角度θを算出し、
平均角度θを光軸に対する散乱角度θとして、前記光軸に対する散乱角度θでの散乱光強度Cを決定し、
散乱角度θから散乱角度θまでの角度範囲における散乱光強度Cの分布に基づいて、前記評価対象試料の光の透過散乱特性を評価することを特徴とする請求項2に記載の散乱特性評価装置。
=E/(S×T)・・・(1)
ここで、Tは、測定点からi番目の検出素子の受光面までの光の透過率である。
【請求項4】
前記検出器の検出素子は、半径方向における寸法が徐々に拡大するように順番に並べられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の散乱特性評価装置。
【請求項5】
前記測定点は、前記評価対象試料の内部を通過する光束の光軸の始点と終点との中点となるように設定されることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の散乱特性評価装置。
【請求項6】
前記光源は、前記光束の波長の種類を切り替えて照射することを可能とし、
前記光源が照射する光束の波長に対応させて、前記測定点から出射された散乱光を集光レンズが検出器に導くように、前記集光レンズと検出器との距離を調整する位置調整機構を備えることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載の散乱特性評価装置。
【請求項7】
前記光源は、光の3原色の光束の内からいずれかに切り替えて照射することを可能とすることを特徴とする請求項6に記載の散乱特性評価装置。
【請求項8】
光束を照射する光源と、互いに異なる半径を持つリング状の受光面を持つ検出素子を前記光束の光軸上の一点を中心とするように同心円状に配置してなる検出器と、前記光源と検出器との間の光束の光軸上に、前記評価対象試料を保持する保持部と、前記評価対象試料から散乱された散乱光を前記検出器に集光する集光レンズとを備える散乱特性評価装置を用いた散乱特性評価方法であって、
前記検出器の検出素子毎の出力に基づいて、前記評価対象試料の光の透過散乱特性を評価する評価ステップを含むことを特徴とする散乱特性評価方法。
【請求項9】
前記集光レンズは、前記評価対象試料中に設定された測定点から出射される散乱光を検出器に導き、
前記評価ステップは、前記測定点を中心とした球を想定する球想定ステップと、
前記検出素子の受光面に導かれた光が球を通過した通過面積と、前記検出素子が検出した光強度とを用いて、前記球における単位面積での散乱光強度を算出する散乱光強度算出ステップと、
前記球における通過面積の位置を用いて、散乱角度を決定する散乱角度散乱光強度決定ステップと、
決定した各散乱角度を含む角度範囲における散乱光強度の分布に基づいて、前記評価対象試料の光の透過散乱特性を評価する透過散乱特性評価ステップとを含むことを特徴とする請求項8に記載の散乱特性評価方法。
【請求項10】
前記検出器は、I個(i=1、2、・・、I)の検出素子からなり、
前記評価ステップは、前記測定点を中心とした球を想定する球想定ステップと、
i番目の検出素子の受光面に導かれた光が球を通過した通過面積Sと、i番目の検出素子が検出した光強度Eとを用いて下記式(1)により、前記球における単位面積での散乱光強度Cを算出する散乱光強度算出ステップと、
通過面積S中の一点と測定点とをそれぞれ結んだ線群において、前記線と光軸とがなす角度が最大となる最大角度と、前記線と光軸とがなす角度が最小となる最小角度との平均値である平均角度θを算出する平均角度算出ステップと、
平均角度θを光軸に対する散乱角度θとして、前記光軸に対する散乱角度θでの散乱光強度Cを決定する散乱角度散乱光強度決定ステップと、
散乱角度θから散乱角度θまでの角度範囲における散乱光強度Cの分布に基づいて、前記評価対象試料の光の透過散乱特性を評価する透過散乱特性評価ステップとを含むことを特徴とする請求項8に記載の散乱特性評価方法。
=E/(S×T)・・・(1)
ここで、Tは、測定点からi番目の検出素子の受光面までの光の透過率である。

【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−162714(P2009−162714A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2958(P2008−2958)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】