説明

数値制御装置の初期化方法及び数値制御装置

【課題】CPUの初期化時間を短縮可能な数値制御装置の初期化方法及び数値制御装置を提供する。
【解決手段】数値制御装置1は、第1動作周波数よりも速い第2動作周波数とに切り換えて動作可能なCPU2Aと、初期化するためのブートプログラムが格納されたROM3と、このROM3とCPU2A,2Bとを接続するバス5と、このバス5に介装され複数のCPU2A,2BとROM3との信号伝達を調停可能なバス調停回路6とを有し、CPU2Aの起動時に、CPU2Aとバス調停回路6を第1動作周波数で起動させ、次に、バス5とバス調停回路6を介してROM3からブートプログラムを読み込んでCPU2Aのキャッシュメモリ10に格納し、CPU2Aの動作周波数を第1動作周波数から第2動作周波数に切り換え、CPU2Aの動作周波数の切り換えに応じて、バス調停回路6の動作周波数を第1動作周波数から前記第2動作周波数に切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は数値制御装置の初期化方法及び数値制御装置に関して、特に、ブートプログラムに基づいてCPUとバス調停回路の動作周波数を切換え可能な数値制御装置の初期化方法及び数値制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械、射出成形機、ダイカスト機などの種々の機械装置には種々の数値制御装置が設けられている。数値制御装置は、一般的に、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェイスなどを有する。数値制御装置のCPUを起動する場合、先ず、CPUは不揮発性のROMに記憶されているブートプログラムを実行して初期化を行う。この初期化には、ROM,RAMなどに対する物理アドレスと論理アドレスの対応づけ、ROMに記憶されたシステムプログラムのRAMへの転送等が含まれる。CPUは、動作周波数を変更することができる。初期化する時間を短縮するために、ブートプログラム内でCPUの動作周波数を変更することが望まれていた。
【0003】
一方、複数のCPUをバスを介してROMに接続する場合、該複数のCPUは、バスに設けたバス調停回路を介してROMに接続される。特許文献1に記載のバス調停回路は、CPUとホスト(PC)とに接続している。バス調停回路の動作周波数は、何れか一方のCPUの動作周波数と同じ動作周波数に起動時又はリセット後に設定される。特許文献1の構成においてCPUの初期化を行う際、そのCPUは、バス調停回路を介してROMのブートプログラムを読み込みに行くことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−219336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
初期化する時間を短縮するために、ブートプログラム内でCPUの動作周波数を変更した場合、バス調停回路の動作周波数も変更する必要がある。この場合、CPUは、バス調停回路にリセット信号を出力するが、ブートプログラムが動作中であるため、CPUは、バス調停回路を介してブートプログラムを記憶したROMにアクセスしようとする。しかし、前述したように、バス調停回路は、リセット状態になるため、CPUはエラーと認識して初期化を中断するという問題がある。
【0006】
前述の問題を解決するためには、ブートプログラムを記憶したROMをCPUに直接接続する方法がある。しかし、前述の方法では、CPUは、ROMに対してシリアル通信しかできない構成となるため、ブートプログラムを実行する時間は、依然短縮することはできない。
【0007】
本発明の目的は、CPUの初期化時間を短縮可能な数値制御装置の初期化方法及び数値制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の数値制御装置の初期化方法は、第1動作周波数とこの第1動作周波数よりも速い第2動作周波数とに切り換えて動作可能なCPUと、このCPUを初期化するためのブートプログラムが格納されたメイン記憶手段と、このメイン記憶手段と前記CPUとを接続するバスと、このバスに介装され前記CPUと前記メイン記憶手段との信号伝達を調停可能なバス調停回路とを有する数値制御装置の初期化方法において、前記CPUと前記バス調停回路を前記第1動作周波数で起動させる第1ステップと、前記バスと前記バス調停回路を介して前記メイン記憶手段から前記ブートプログラムを読み込んで前記CPUのキャッシュメモリに格納する第2ステップと、前記キャッシュメモリに格納された前記ブートプログラムに基づいて、前記CPUの動作周波数を前記第1動作周波数から前記第2動作周波数に切り換え、前記CPUの動作周波数の切り換えに応じて、前記バス調停回路の動作周波数を前記第1動作周波数から前記第2動作周波数に切り換える第3ステップとを実行する。
【0009】
請求項2の数値制御装置の初期化方法は、前記第3ステップにおいて、前記CPUから前記バス調停回路にリセット信号を出力して前記バス調停回路をリセットし、前記CPUの動作周波数を前記第2動作周波数に切り換えてから、前記バス調停回路のリセット状態を解除して、前記バス調停回路を前記第2動作周波数で動作させる。
【0010】
請求項3の数値制御装置の初期化方法は、前記第3ステップにおいて、前記CPUの動作周波数を前記第2動作周波数に切り換えてから、前記CPUを一定期間待機状態にして、前記CPUと前記メイン記憶手段間との信号伝達が停止してから、前記バス調停回路は前記第1動作周波数から前記第2動作周波数に切り換わる。
【0011】
請求項4の数値制御装置は、第1動作周波数とこの第1動作周波数よりも速い第2動作周波数とに切り換えて動作可能なCPUと、このCPUを初期化するためのブートプログラムが格納されたメイン記憶手段と、このメイン記憶手段と前記CPUとを接続するバスと、このバスに介装され前記CPUと前記メイン記憶手段との信号伝達を調停可能なバス調停回路とを有する数値制御装置において、前記CPUと前記バス調停回路を前記第1動作周波数で起動させる起動手段と、前記バスと前記バス調停回路を介して前記メイン記憶手段から前記ブートプログラムを読み込んで前記CPUのキャッシュメモリに格納する格納手段と、前記キャッシュメモリに格納された前記ブートプログラムに基づいて、前記CPUの動作周波数を前記第1動作周波数から前記第2動作周波数に切り換え、前記CPUの動作周波数の切り換えに応じて、前記バス調停回路の動作周波数を前記第1動作周波数から前記第2動作周波数に切り換える動作周波数切換手段とを備えている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、第1ステップにおいてCPUとバス調停回路を、第1動作周波数で起動させる。第2ステップにおいて、CPUがバスとバス調停回路を介してメイン記憶手段からブートプログラムを読み込んで、CPUのキャッシュメモリに格納する。第3ステップにおいて、キャッシュメモリに格納されたブートプログラムに基づいて、CPUの動作周波数を第1動作周波数から第2動作周波数に切り換え、このCPUの動作周波数の切り換えに応じて、バス調停回路の動作周波数を第1動作周波数から第2動作周波数に切り換える。
【0013】
従って、CPUに直接接続したROMを設けることなく、CPUとバス調停回路の動作周波数を変更可能になり、数値制御装置の初期化時間を短縮することができる。
CPUが、メイン記憶手段から読み込んだブートプログラムをキャッシュメモリに格納して、CPUをバス調停回路から切り離した状態でブートプログラムを実行することができるので、アクセス速度の遅いメイン記憶手段へのアクセス数を僅少にして、起動時間を短縮することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、第3ステップにおいて、CPUからバス調停回路にリセット信号を出力してバス調停回路をリセットし、CPUの動作周波数を第2動作周波数に切り換えてから、バス調停回路のリセット状態を解除してバス調停回路を第2動作周波数で動作させるので、バス調停回路の動作周波数をCPUの動作周波数と同じ周波数に切り換えてバス調停回路を動作させることができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、第3ステップにおいて、CPUが、その動作周波数を第2動作周波数に切り換えてから一定期間待機状態になり、CPUとメイン記憶手段間との信号伝達が停止してから、バス調停回路が第1動作周波数から第2動作周波数に自動的に切り換わるので、バス調停回路の動作周波数をCPUの動作周波数と同じ周波数に切り換えてバス調停回路を動作させることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、起動手段が、CPUとバス調停回路を第1動作周波数で起動させて、格納手段が、バスとバス調停回路を介してメイン記憶手段からブートプログラムを読み込んでCPUのキャッシュメモリに格納し、動作周波数切換手段が、キャッシュメモリに格納されたブートプログラムに基づいて、CPUの動作周波数を第1動作周波数から第2動作周波数に切り換え、CPUの動作周波数の切り換えに応じて、バス調停回路の動作周波数を第1動作周波数から第2動作周波数に切り換えるので、請求項1とほぼ同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例1に係る数値制御装置の要部のブロック図である。
【図2】数値制御装置のCPUをブートプログラムによる初期化制御(起動制御)のフローチャートである。
【図3】実施例2に係る数値制御装置の要部のブロック図である。
【図4】図2相当図である。
【図5】数値制御装置の初期化時のバス調停回路の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0019】
先ず、数値制御装置1の要部の構成について簡単に説明する。
図1に示すように、数値制御装置1は、工作機械、射出成形機、ダイカスト機などの種々の機械装置の何れかに採用される数値制御装置である。数値制御装置1は、2つのCPU2A,2Bと、ROM3(メイン記憶手段に相当する)と、RAM4と、CPU2A,2BとROM3とRAM4とを接続するバス5と、バス5に介装されたバス調停回路6と、CPU2Aに接続されたRAM7などを有する。
【0020】
バス5は、キーボード等の入力手段(図示略)と、入出力インターフェイス(図示略)にも接続されている。入出力インターフェイスは機械装置に取り付けた複数の機器に接続されている。CPU2Aは、キャッシュメモリ10を有する一般的なCPUである。尚、CPU2A,2Bの数は2つに限定されず、3つ以上のCPUを設けてもよい。
【0021】
CPU2Aは、そのCPU2Aの設定を記憶するレジスタ9と、一時記憶可能なキャッシュメモリ10と、種々の演算処理を行う演算処理回路(図示略)などを有する。尚、このCPU2Aは、第1動作周波数とこの第1動作周波数よりも速い第2動作周波数とに切り換えて動作可能であるが、2つの周波数に限定する必要はなく、複数の動作周波数に択一的に切り換えて動作可能なものであってもよい。
【0022】
ROM3は、例えばフラッシュ形EEPROMで構成している。このROM3は、CPU2Aを起動させる為のブートプログラム、オペレーティングシステムプログラム、機械装置を制御する制御プログラムなどを格納している。RAM4は、例えばSRAMで構成している。このRAM4は、前記制御プログラムによる制御を実行する為の種々のワークメモリを備えている。RAM7は、例えばDRAMで構成している。このRAM7はCPU2Aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0023】
バス調停回路6は、バス5に関する使用許可を調停するためバス5に介装してある。バス調停回路6は、CPU2A,2Bのうち何れか一方にROM3又はRAM4と占有的に接続可能にするためのものである。例えば、CPU2Aにバス5を占有的に接続した場合、CPU2Bは、ROM3又はRAM4と接続することができない。尚、前記バス調停回路6は、例えばFPGAで構成され、発信回路を有さないものであるが、発信回路を有するものでもよい。
【0024】
次に、この数値制御装置1の電源を投入した時に、オペレーティングシステムが起動する前に、CPU2Aが実行する初期化制御について、図2に基づいて説明する。尚、図2において、Si(i=1,2,・・・)はステップを示す。尚、以下の説明は、初期化方法の説明を含む。
【0025】
先ず、数値制御装置1の電源が入ると、CPU2Aは、予め設定された初期動作周波数33MHz(第1動作周波数に相当する)で起動し、バス調停回路6は、CPU2Aに追従して初期動作周波数33MHzで起動する(S1)。CPU2Aは、バス調停回路6を介して、ROM3のブートプログラムを読み込み(S2)、ROM3,RAM4などに対して物理アドレスと論理アドレスの対応づけを行う(S3)。次に、CPU2Aは、レジスタ9を書き換えてキャッシュメモリ10をSRAMとして設定する(S4)。次に、CPU2Aは、ROM3のブートプログラムをキャッシュメモリ10に格納し、CPU2Aは、キャッシュメモリ10に格納したブートプログラムを実行する(S5)。このとき、CPU2Aは、バス調停回路6を介して、ROM3、RAM4などにアクセスしていない状態になる。
【0026】
次に、CPU2Aは、バス調停回路6にリセット信号を出力して、バス調停回路6をリセット状態にする(S6)。CPU2Aは、レジスタ9を書き換えて動作周波数を133MHz(第2動作周波数に相当する)に切り換える(S7)。CPU2Aは、リセット信号出力を解除すると、バス調停回路6は、リセット状態が解除されて再起動する。このとき、バス調停回路6は、CPU2Aの動作周波数の切換えに応じて、動作周波数が133MHzに切り換わる(S8)。
【0027】
次に、CPU2Aは、ROM3,RAM4,7などの各メモリの全ての領域の動作確認を行う(S9)。CPU2Aは、ROM3に格納されているオペレーティングシステムプログラムを読み込んでRAM7に格納する(S10)。尚、このとき、必要に応じて、機械装置を制御する制御プログラムをROM3から読み込んでRAM7に格納する。こうして、CPU2Aは、キャッシュメモリ10に格納されたブートプログラムの実行を終了して、レジスタ9を書き換えてSRAMをキャッシュメモリ10に戻し、初期化が終了する。
【0028】
ここで、S1が本発明の第1ステップに相当し、S1を実行するCPU2Aが「起動手段」に相当する。S2〜S5が、本発明の第2ステップに相当し、S2〜S5を実行するCPU2Aが「格納手段」に相当する。S6〜S8が、本発明の第3ステップに相当し、このS6〜S8を実行するCPU2Aが「動作周波数切換手段」に相当する。
【0029】
次に、以上説明した数値制御装置1の初期化方法及び数値制御装置8の作用、効果について説明する。
電源投入時に、CPU2Aとバス調停回路6は、動作周波数33MHz(第1動作周波数)で起動する。CPU2Aは、バス5とバス調停回路6を介してROM3(メイン記憶手段)からブートプログラムをCPU2Aのキャッシュメモリ10に格納する。キャッシュメモリ10に格納したブートプログラムに基づいて、CPU2Aの動作周波数は33MHzから133MHz(第2動作周波数)に切り換わる。このCPU2Aの動作周波数の切り換えに応じて、バス調停回路6の動作周波数は第1動作周波数から第2動作周波数に切り換わる。
【0030】
従って、ブートプログラムを格納し且つCPU2Aに直接接続したブートシーケンサ(ROM)を設けることなく、CPU2Aとバス調停回路6の動作周波数を変更可能になり、数値制御装置1の初期化時間を短縮することができる。CPU2Aが、ROM3(メイン記憶手段)から読み込んだブートプログラムをキャッシュメモリ10に格納して、CPU2Aの周辺機器であるバス調停回路6から切り離した状態でブートプログラムを実行することができるので、アクセス速度の遅いROM3へのアクセス数を僅少にして、起動時間を短縮することができる。
【0031】
CPU2Aは、バス調停回路6にリセット信号を出力して、バス調停回路6をリセットし、CPU2Aが、その動作周波数を第2動作周波数に切り換えてから、バス調停回路6のリセット状態を解除して、バス調停回路6が、第2動作周波数で動作するので、バス調停回路6が、その動作周波数をCPU2Aの動作周波数と同じ動作周波数に切り換えて動作することができる。
【実施例2】
【0032】
次に、前記実施例1の初期化制御を部分的に変更した実施例2について図3〜図5に基づいて説明する。但し、前記実施例1と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一のステップには同一のステップ番号を付して説明を省略する。尚、本実施例のバス調停回路6Aは、前記実施例1のバス調停回路6とは異なり、一時記憶可能なレジスタとクロック信号を生成する発信回路とを有する。このため、バス調停回路6Aは、そのレジスタを書き換えて、その動作周波数を切換え可能である。
【0033】
先ず、数値制御装置1Aの電源が入ると、図4に示すように、S21において、CPU2Aは、予め設定された初期動作周波数33MHz(第1動作周波数に相当する)で起動する。このとき同時に、図5に示すように、S31において、バス調停回路6Aは、予め設定された初期動作周波数33MHzで起動する。
【0034】
次に、S2〜S5の実行後、S22において、CPU2Aは、ROM3から読み込んでSRAM(キャシュメモリ10)に格納したブートプログラムに基づいて、そのレジスタ9を書き換え、動作周波数を33MHzから133MHz(第2動作周波数に相当する)に切り換える。S23において、CPU2Aは、バス調停回路6Aの動作周波数の切り換えが終わるまで、一定期間(第1所定期間)待機状態になる。この第1所定期間は、バス調停回路6Aが動作周波数を切り換える迄の数μs程度の期間である。
【0035】
図5のS32において、バス調停回路6Aは、CPU2AがROM3にアクセスする必要がなくなるまで、つまり、SRAMに格納したブートプログラムが起動するまで、動作周波数を33MHzに維持する必要がある。それ故、一定期間(第2所定期間)、待機する。この第2所定期間は数μs程度の期間であり、この待機期間中にCPU2Aは、S22までの処理を実行する。次に、S33において、S23の第1所定期間の待機中に、バス調停回路6Aは、そのレジスタを書き換えて、動作周波数を33MHzから133MHzに切り換える。バス調停回路6Aの動作周波数が切り換わった後、CPU2Aは、待機状態を解除して、S9,S10を実行して、初期化が終了する。
【0036】
尚、前記のS21,S31が本発明の第1ステップに相当し、このS21,S31を実行するCPU2Aが「起動手段」に相当する。前記のS22,S23,S32,S33が、本発明の第3ステップに相当する。このS22,S23,S32,S33を実行するCPU2Aが「動作周波数切換手段」に相当する。
【0037】
前述の初期化制御においては、CPU2Aは、その動作周波数を第2動作周波数に切り換えてから一定期間待機状態になり、CPU2AとROM3との信号伝達を停止してから、バス調停回路6Aが第1動作周波数から第2動作周波数に自動的に切り換わるので、バス調停回路6Aは、その動作周波数をCPU2Aの動作周波数と同じ周波数に切り換えて動作することができる。尚、CPU2Aとバス調停回路6Aは、タイマー回路を夫々有し、これらタイマー回路により、第1,第2所定期間を計測するものとする。
【0038】
尚、S22の後に、CPU2Aが一定期間待機するのではなく、同期信号を用いて同期を取るようにしても良い。つまり、CPU2Aが、ROM3のブートプログラムをSRAMとしてのキャッシュメモリ10に格納した後に、CPU2Aが、バス調停回路6AにCPU2AのROM3へのアクセスが停止したとする同期信号を出力する。この同期信号に基づいて、バス調停回路6Aが動作周波数を切り換え、その後、CPUが同期信号出力を解除して、CPU2Aとバス調停回路6Aとの動作周波数の同期を取るように構成しても良い。
【0039】
次に、前記実施例1,2を部分的に変更した変更例について説明する。
システム起動後の稼働中に、CPU2Aが処理するデータ処理量が少ないと判定された場合に、CPU2Aとバス調停回路6,6Aの動作周波数を低い周波数に切り換えるように構成してもよい。
【0040】
従って、システムの処理量が少ない場合には、CPU2Aやバス調停回路6,6Aなどの動作周波数を遅くして、消費電力を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、工作機械、射出成形機、ダイカスト機などの種々の機械装置の数値制御装置の初期化方法及び数値制御装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1,1A 数値制御装置
2A CPU
3 ROM(メイン記憶手段)
5 バス
6,6A バス調停回路
9 レジスタ
10 キャッシュメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1動作周波数とこの第1動作周波数よりも速い第2動作周波数とに切り換えて動作可能なCPUと、このCPUを初期化するためのブートプログラムが格納されたメイン記憶手段と、このメイン記憶手段と前記CPUとを接続するバスと、このバスに介装され前記CPUと前記メイン記憶手段との信号伝達を調停可能なバス調停回路とを有する数値制御装置の初期化方法において、
前記CPUと前記バス調停回路を前記第1動作周波数で起動させる第1ステップと、
前記バスと前記バス調停回路を介して前記メイン記憶手段から前記ブートプログラムを読み込んで前記CPUのキャッシュメモリに格納する第2ステップと、
前記キャッシュメモリに格納された前記ブートプログラムに基づいて、前記CPUの動作周波数を前記第1動作周波数から前記第2動作周波数に切り換え、前記CPUの動作周波数の切り換えに応じて、前記バス調停回路の動作周波数を前記第1動作周波数から前記第2動作周波数に切り換える第3ステップと、
を備えたことを特徴とする数値制御装置の初期化方法。
【請求項2】
前記第3ステップにおいて、前記CPUから前記バス調停回路にリセット信号を出力して前記バス調停回路をリセットし、前記CPUの動作周波数を前記第2動作周波数に切り換えてから、前記バス調停回路のリセット状態を解除して、前記バス調停回路を前記第2動作周波数で動作させることを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置の初期化方法。
【請求項3】
前記第3ステップにおいて、前記CPUの動作周波数を前記第2動作周波数に切り換えてから、前記CPUを一定期間待機状態にして、前記CPUと前記メイン記憶手段間との信号伝達が停止してから、前記バス調停回路が前記第1動作周波数から前記第2動作周波数に切り換わることを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置の初期化方法。
【請求項4】
第1動作周波数とこの第1動作周波数よりも速い第2動作周波数とに切り換えて動作可能なCPUと、このCPUを初期化するためのブートプログラムが格納されたメイン記憶手段と、このメイン記憶手段と前記CPUとを接続するバスと、このバスに介装され前記CPUと前記メイン記憶手段との信号伝達を調停可能なバス調停回路とを有する数値制御装置において、
前記CPUと前記バス調停回路を前記第1動作周波数で起動させる起動手段と、
前記バスと前記バス調停回路を介して前記メイン記憶手段から前記ブートプログラムを読み込んで前記CPUのキャッシュメモリに格納する格納手段と、
前記キャッシュメモリに格納された前記ブートプログラムに基づいて、前記CPUの動作周波数を前記第1動作周波数から前記第2動作周波数に切り換え、前記CPUの動作周波数の切り換えに応じて、前記バス調停回路の動作周波数を前記第1動作周波数から前記第2動作周波数に切り換える動作周波数切換手段と、
を備えたことを特徴とする数値制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−175503(P2011−175503A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39725(P2010−39725)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】