説明

数式演算装置及びプログラム

【課題】数式を見やすく表示し、学習効果を高める。
【解決手段】関数電卓1は、数式を表示させ、当該数式に含まれる各項を、項のタイプごとに異なる色で表示させるCPU11と、当該数式に含まれる何れかの項についての色を、ユーザ操作に応じて指定色として指定するタッチパネル30とを備える。そして、CPU11は、当該数式に含まれる項のうち、ユーザにより指定された指定色で表示されている項の間で演算を行い、ディスプレイ3における表示内容を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数式演算装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、入力された各種数式の演算を実行して演算結果を表示する数式演算装置として、途中式を順に表示させることが可能な電卓が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような電卓においては、演算過程が示されるので、学習初心者であっても最終結果までの演算過程を理解しやすいというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−150563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、単に途中式が順に表示されるだけでは、どのような式変形を行えばよいのかをユーザに考えさせることができないため、高い学習効果を期待することはできない。
【0005】
また、既存の電卓では、数式に含まれる各項は全て同じ態様で表示されるため、項数の多い数式の場合は特に、数式に含まれる各項が見分けづらく、数式が見づらいという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、数式を見やすく表示し、学習効果を高めることができる数式演算装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、数式演算装置において、
数式を表示させる数式表示制御手段と、
前記数式表示制御手段により表示された数式に含まれる各項を、項のタイプごとに異なる表示態様で表示させるタイプ別表示制御手段と、
前記数式に含まれる何れかの項についての表示態様を、ユーザ操作に応じて指定態様として指定する表示態様指定手段と、
前記数式に含まれる項のうち、前記指定態様で表示されている項の間で演算を行い、前記数式表示制御手段による表示内容を更新する同タイプ項演算手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の数式演算装置において、
前記タイプ別表示制御手段は、
前記数式に含まれる項のうち、内容を単純化するための演算が項内部で可能な項を演算可能項として検出する演算可能項検出手段と、
前記演算可能項に対して内容を単純化するための演算を行った場合の項のタイプを検知する演算結果タイプ検知手段と、を有し、
前記演算結果タイプ検知手段により検知されたタイプに対応する表示態様で、前記演算可能項を表示させることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の数式演算装置において、
ユーザ操作に応じて、前記数式に含まれる何れかの項と、前記数式に含まれる何れかの項についての表示態様とを指定する項態様指定手段と、
前記項態様指定手段により指定された項のタイプを、当該項態様指定手段により指定された表示態様に対応するタイプに変換して、前記数式表示制御手段による表示内容を更新するタイプ変換手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、プログラムにおいて、
コンピュータに、
数式を表示させる数式表示制御機能と、
前記数式表示制御機能により表示された数式に含まれる各項を、項のタイプごとに異なる表示態様で表示させるタイプ別表示制御機能と、
前記数式に含まれる何れかの項についての表示態様を、ユーザ操作に応じて指定態様として指定する表示態様指定機能と、
前記数式に含まれる項のうち、前記指定態様で表示されている項の間で演算を行い、前記数式表示制御機能による表示内容を更新する同タイプ項演算機能と、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表示された数式に含まれる各項が、項のタイプごとに異なる表示態様で表示されるので、数式が見やすく表示される。また、数式に含まれる何れかの項についての表示態様が、ユーザ操作に応じて指定態様として指定され、数式に含まれる項のうち、指定態様で表示されている項の間で演算が行われて、表示内容が更新されるので、ユーザに考えさせながら演算過程を学ばせることができ、学習効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】関数電卓の概略構成を示す平面図である。
【図2】関数電卓の機能構成を示すブロック図である。
【図3】数式演算処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】色分け表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】色変更処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】色別演算処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図8】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図9】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図10】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態の一例を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0014】
[1.1 外観構成]
図1は、本発明に係る数式演算装置を適用した関数電卓1の概略構成を示す平面図である。
この図に示すように、関数電卓1は、各種キー群を有する入力キー群2と、ディスプレイ3と、を備えている。
【0015】
入力キー群2は、ユーザから数値や演算記号等の数式構成要素の入力操作を受けたり、各種処理の指示操作を受けたりするためのキー群であり、それぞれ固有の機能を割り当てられた複数のキーを備えている。本実施の形態においては、入力キー群2は、テンキー20や演算記号キー21、カーソルキー22、EXEキー23、ファンクションキー24等を備えている。
【0016】
このうち、テンキー20は数値の入力操作を受けるキーであり、演算記号キー21は四則演算の記号や括弧、分数の括線、根号(√)、対数記号、定数(円周率「π」や光速度「c」等)、三角関数記号など、各種演算記号の入力操作を受けるキーである。
【0017】
カーソルキー22は、ディスプレイ3内で編集対象位置や選択対象位置を示すカーソルを所定の方向に移動させる場合等に押下されるキーであり、本実施の形態においては、上下左右の4方向について入力可能に構成されている。
【0018】
EXEキー23は、処理の実行指示や決定指示の入力操作を受けるキーであり、例えば数式の入力後には演算処理の実行を指示するキーとして機能するようになっている。
【0019】
ファンクションキー24は、所定の処理の実行指示を受ける複数のキーを有しており、本実施の形態においては、それぞれ表面に固有の色(青色、赤色、緑色、黄色、水色及びピンク)が付された色キー24a〜24fを有している。なお、図中で色キー24a〜24fの符号に括弧書きで付された「B」、「R」、「G」、「Y」、「S」、「P」の文字は、キー表面の表示色が青色(Blue)、赤色(Red)、緑色(Green)、黄色(Yellow)、水色(Sky blue)、ピンク(Pink)であることを示している。
【0020】
ディスプレイ3は、LCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electronic Luminescent Display)等により構成されており、入力キー群2などの操作に応じた文字や符号、数式、演算結果などの他、関数電卓1を使用するために必要な各種データを表示するようになっている。なお、本実施の形態におけるディスプレイ3には、タッチパネル30が表示画面全面に亘って一体的に設けられている。また、図中、ディスプレイ3の表示画面において破線で囲まれている領域は、この領域に対する符号の対応色(「B」:青色(Blue)、「R」:赤色(Red)、「G」:緑色(Green)、「Y」:黄色(Yellow))によって当該領域内の数値や記号、文字などが表示されていることを示している。また、図中、ディスプレイ3の表示画面において背景が塗り潰されている領域は、この領域に対する符号の対応色(「B」:青色(Blue)、「R」:赤色(Red))によって当該領域内の数値や記号、文字などの背景が塗り潰されていることを示している。
【0021】
タッチパネル30は、ディスプレイ3の表示画面に対する入力ペン(図示省略)の接触位置を電磁誘導方式、磁気歪式、感圧式等の方式によって検出し、当該接触位置の信号を出力するようになっている。具体的には、本実施の形態におけるディスプレイ3には、色変更ソフトキー31、色別演算ソフトキー32、各種色ソフトキー33等が表示されるようになっており、これらのソフトキーに対してタッチ操作が行われると、タッチされたソフトキーに対応する信号をタッチパネル30が出力するようになっている。
【0022】
ここで、色変更ソフトキー31は、後述の数式演算処理(図3参照)において、後述の色変更処理(図5参照)の実行をユーザが指示する場合に押下されるキーである。また、色別演算ソフトキー32は、後述の数式演算処理において、後述の色別演算処理(図6参照)の実行をユーザが指示する場合に押下されるキーである。また、各種色ソフトキー33は、後述の色変更処理や色別演算処理において、ユーザが色を指定する際に押下されるキーであり、青色ソフトキー33bや赤色ソフトキー33rなどを有している。
【0023】
[1.2 機能構成]
続いて、関数電卓1の機能構成を説明する。
図2は、関数電卓1の概略的な機能構成を示すブロック図である。
【0024】
この図に示すように、関数電卓1は、キー入力部14と、表示部15と、RAM(Random Access Memory)12と、記憶部13と、CPU(Central Processing Unit)11と、を備えて構成されている。
【0025】
キー入力部14は、上述の入力キー群2を備えており、押下されたキーに対応する操作信号をCPU11に出力するようになっている。
【0026】
表示部15は、上述のディスプレイ3を備えており、CPU11からの表示信号に従って各種情報をディスプレイ3に表示するようになっている。また、この表示部15は、ディスプレイ3と一体的に設けられたタッチパネル30を備えており、表示画面に対する入力ペンの接触位置情報をCPU11に出力するようになっている。
【0027】
RAM12は、情報を一時的に格納する揮発性のメモリであり、実行される各種プログラムやこれら各種プログラムに係るデータ等を格納する複数のワークエリアを有する。例えば、本実施の形態におけるRAM12は、ワークエリアとして数式記憶領域120及び設定色情報記憶領域121を有している。
【0028】
数式記憶領域120には、後述の数式演算処理(図3参照)において入力された数式が記憶されるようになっている。ここで、数式記憶領域120に記憶されている数式は、後述の色変更処理(図5参照)において当該数式に含まれる項のタイプが変換されたり、後述の色別演算処理(図6参照)において当該数式に含まれる項同士が演算されたりすると、それに対応して更新されるようになっている。
【0029】
設定色情報記憶領域121には、後述の色分け表示処理(図4参照)において項のタイプに設定された色の情報が記憶されるようになっている。
【0030】
ここで、本実施の形態において「項」とは、加減算記号で区切られた数値や記号、文字などのまとまりのことであり、乗除算記号で結合された数値や記号、文字などは同一の項に含まれるものとする。具体的には、数式「3√2+√3−√8+√12+√√√256+√2×√3」が入力された場合(図10(a)参照)、当該数式に含まれる項は項「3√2」と項「√3」と項「√8」と項「√12」と項「√√√256」と項「√2×√3」となる。
【0031】
また、本実施の形態において「項のタイプ」とは、整数、小数(有限小数や、無限小数のうちの非循環小数などの循環しない小数)、循環小数、分数(真分数及び仮分数)、帯分数、ルート(平方根)、定数等の表示形式の違いに基づく項の種類のことである。具体的には、項「0.5(小数)」と項「/(分数)」と項「1/(帯分数)」とはそれぞれタイプが異なる。ここで、数式に含まれる項のうち、内容を単純化するための演算が項内部で可能な項である演算可能項においては、当該演算可能項に対して内容を単純化するための演算を行った結果の項のタイプが、当該演算可能項のタイプとして扱われる。具体的には、項「2×0.2」は演算可能項であるため、内容を単純化するための演算を行った結果の項「0.4(=2×0.2)」のタイプ「小数」が当該項「2×0.2」のタイプとなる。
【0032】
さらに、平方根(√a)を含む項において「項のタイプ」とは、aの違いに基づく種類のことである。具体的には、項「√2(√2タイプ)」と項「√3(√3タイプ)」とはタイプが異なる。また、項「√8」は演算可能項であるため、内容を単純化するための演算を行った結果の項「2√2(=√8)」のタイプ「√2タイプ」が当該「√8」のタイプとなり、当該項「√8」と項「√2」とは同一のタイプとなる。また、項「√2×√3」は演算可能項であるため、内容を単純化するための演算を行った結果の項「√6(=√2×√3)」のタイプ「√6タイプ」が当該項「√2×√3」のタイプとなり、当該項「√2×√3」と項「√6」とは同一のタイプとなる。したがって、平方根を含む項において「項のタイプ」とは、項同士の加減算が可能か否かに基づく項の種類のこととなる。すなわち、本実施の形態においては、数式に含まれる各項は、表示形式の違いに基づいて分類され、さらに平方根を含む表示形式の項については、項同士の加減算が可能か否かに基づいて分類されることとする。
【0033】
記憶部13は、ROM(Read Only Memory)等により構成される不揮発性のメモリであり、各種プログラム及び各種データを記憶している。具体的には、記憶部13は、色番号データテーブル130と、本発明に係るプログラムとしての数式演算プログラム131とを記憶している。
【0034】
色番号データテーブル130は、各色の名称を所定の順番に対応付けて記憶している。具体的には、本実施の形態においては、「1 青」、「2 赤」、「3 緑」、「4 黄」…を記憶している。
【0035】
数式演算プログラム131は、後述の数式演算処理(図3参照)をCPU11に実行させるためのプログラムである。
【0036】
CPU11は、関数電卓1の各部を中央制御する。具体的には、CPU11は、記憶部13に記憶されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムをRAM12に展開し、RAM12に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0037】
[1.3 関数電卓の動作]
続いて、関数電卓1の動作について説明する。
【0038】
図3は、数式演算処理の動作を説明するためのフローチャートである。なお、この数式演算処理は、タッチパネル30やキー入力部14を介して、ユーザにより色別の数式を演算するためのモードが選択された状態で、ユーザにより数式演算処理の実行指示が入力されると、記憶部13から数式演算プログラム131が読み出されてRAM12に適宜展開される結果、当該数式演算プログラム131とCPU11との協働によって実行される。
【0039】
この図に示すように、数式演算処理においては、まずCPU11は、キー入力部14を介してユーザによる数式の入力を受け付けて(ステップS1)、入力された数式を数式記憶領域120に記憶させるとともにディスプレイ3に表示させる。そして、ユーザによるEXEキー23等の操作によって入力内容が確定されると、色分け表示処理を行う(ステップS2)。なお、本実施の形態においては、このステップS1で、ユーザは多項式を入力することとする。
【0040】
具体的には、図4に示すように、この色分け表示処理においてCPU11は、まず数式記憶領域120を参照して、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる全ての項のタイプが同一であるか否かを判断する(ステップS21)。この際、CPU11は、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる項の中に、内容を単純化するための演算が項内部で可能な項がある場合には、当該項を演算可能項として検出して、当該演算可能項に対して内容を単純化するための演算を行った場合の項のタイプを検知し、検知したタイプを当該演算可能項のタイプとして扱うこととする。
【0041】
ステップS21で、全ての項のタイプが同一であると判断した場合(ステップS21;Yes)には、CPU11は、その他の処理へ移行する。
【0042】
また、ステップS21で、全ての項のタイプが同一ではないと判断した場合(ステップS21;No)には、CPU11は、変数Aを「1」に設定する(ステップS22)。
【0043】
次に、CPU11は、数式記憶領域120を参照して、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる各項のタイプのうち、A番目に出現するタイプを特定するとともに、色番号データテーブル130を参照してA番目の色を特定し、これらA番目のタイプとA番目の色とを対応付けて、設定色情報記憶領域121に記憶させる(ステップS23)。次いで、CPU11は、数式記憶領域120を参照して、ディスプレイ3に表示されている数式に他のタイプがあるか否かを判断し(ステップS24)、他にもタイプがあると判断した場合(ステップS24;Yes)には、変数Aを「A+1」に設定して、変数Aを1つ増やした後(ステップS25)、上述のステップS23に移行する。
【0044】
ここで、本実施の形態においてCPU11は、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる各項のタイプのうち、対応する項の表示位置が先頭(左側)にあるタイプから順番に、1番目、2番目、3番目、4番目…と特定することとする。したがって、対応する項の表示位置が先頭にあるタイプから順番に、1番目の色である「青色」、2番目の色である「赤色」、3番目の色である「緑色」、4番目の色である「黄色」…が設定される。具体的には、数式「3√2+√3−√8+√12+√√√256+√2×√3」が入力された場合(図10(a)参照)、1番目のタイプ「√2タイプ」(項「3√2」及び項「√8(=2√2)」)に1番目の色「青色」が設定され、2番目のタイプ「√3タイプ」(項「√3」及び項「√12(=2√3)」)に2番目の色「赤色」が設定され、3番目のタイプ「整数」(項「√√√256(=2)」)に3番目の色「緑色」が設定され、4番目のタイプ「√6タイプ」(項「√2×√3(=√6)」)に4番目の色「黄色」が設定される。
【0045】
また、ステップS24で、他のタイプがないと判断した場合(ステップS24;No)には、CPU11は、設定色情報記憶領域121を参照して、各タイプに対応する項を、対応する色でディスプレイ3に表示させるとともに(ステップS26)、色変更ソフトキー31や色別演算ソフトキー32、各種色ソフトキー33などをディスプレイ3に表示させることによって(図7(b)や図10(b)参照)、ディスプレイ3における表示内容を更新して、色分け表示処理を終了する。これにより、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる各項が、項のタイプごとに異なる色(表示態様)で表示される。この際、数式に含まれる項の中に、内容を単純化するための演算が項内部で可能な項がある場合には、当該項が演算可能項として検出されて、当該演算可能項に対して内容を単純化するための演算を行った場合の項のタイプが検知され、検知されたタイプが当該演算可能項のタイプとして扱われるため、当該演算可能項は、検知されたタイプに対応する色(表示態様)で表示される。
【0046】
なお、本実施の形態では、数式に含まれる各項を、項のタイプごとに異なる色で表示することによって識別表示することとして説明するが、項の表示態様によって項のタイプを識別できるのであれば、識別表示の仕方は任意であり、例えば、項のタイプごとに異なる色で背景を塗り潰すことによって識別表示することとしてもよいし、項のタイプごとに異なる色の下線を引くことによって識別表示することとしてもよい。また、識別表示の仕方は、色(有彩色)を用いたものに限定されず、項の表示態様によって項のタイプを識別できるのであれば任意であり、例えば、明度(階調)の異なる無彩色を用いたものであってもよいし、線種が異なる下線や囲み線を用いたものであってもよいし、異なる字体を用いたものであってもよい。
【0047】
以上の色分け表示処理が終了したら、次にCPU11は、図3に示すように、ユーザにより色の変更が指示されたか否かを判断する(ステップS3)。なお、本実施の形態では、ユーザは、色変更ソフトキー31を操作することによって色の変更を指示することとして説明するが、例えば、入力キー群2を操作することによって色の変更を指示することとしてもよい。
【0048】
ステップS3で、色の変更が指示されていないと判断した場合(ステップS3;No)には、CPU11は、後述のステップS5の処理に移行する。また、ステップS3で、色の変更が指示されたと判断した場合(ステップS3;Yes)には、CPU11は、色変更処理を行う(ステップS4)。
【0049】
具体的には、図5に示すように、この色変更処理においてCPU11は、まずディスプレイ3に表示されている数式の一部または全部をユーザに選択させ、その選択状態をディスプレイ3に表示させる(ステップS41)。ここで、本実施の形態においてユーザは、カーソルキー22等の入力キー群2や、タッチパネル30を操作することによって、数式の一部または全部を選択するようになっている。なお、本実施の形態では、ユーザにより選択された選択部分の背景を、灰色等の所定の色で塗り潰すことによって選択状態を表示することとして説明するが、選択状態の表示の仕方は任意であり、例えば、選択部分に所定の色の下線を引くことによって選択状態を表示することとしてもよいし、選択部分を所定の色の線で囲むことによって選択状態を表示することとしてもよい。
【0050】
次に、CPU11は、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる何れかの項についての色(表示態様)を、各種色ソフトキー33によってユーザに指定させ、その指定を受け付けると(ステップS42)、ユーザにより選択された選択部分の背景を塗り潰している色を、ユーザにより指定された色に変更する。そして、ユーザにより選択された選択部分に含まれる項(すなわち、ユーザにより指定された項)それぞれについて、ユーザにより指定された色に対応するタイプに変換可能か否かを確認するための計算を行い、選択部分に含まれる項の中に、ユーザにより指定された色に対応するタイプに変換可能な項があるか否かを判断する(ステップS43)。なお、本実施の形態では、ユーザは、各種色ソフトキー33のうちの何れかを操作することによって、数式に含まれる何れかの項についての色を指定することとして説明するが、例えば、ファンクションキー24等の入力キー群2を操作することによって指定することとしてもよい。
【0051】
ステップS43で、ユーザにより選択された選択部分に含まれる項の中に、ユーザにより指定された色に対応するタイプに変換可能な項がないと判断した場合(ステップS43;No)には、CPU11は、エラー表示をディスプレイ3に表示させて(ステップS44)、上述のステップS42に移行し、再度ユーザに色を指定させる。
【0052】
また、ステップS43で、ユーザにより選択された選択部分に含まれる項の中に、ユーザにより指定された色に対応するタイプに変換可能な項があると判断した場合(ステップS43;Yes)には、CPU11は、その項のタイプをユーザにより指定された色(表示態様)に対応するタイプに変換して、当該指定された色でディスプレイ3に再表示させることによって(ステップS45)、ディスプレイ3における表示内容を更新するとともに、数式記憶領域120に記憶されている数式を更新する。
【0053】
次に、CPU11は、ユーザによりさらに数式の一部または全部が選択されたか否かを判断する(ステップS46)。ステップS46で、さらに数式の一部または全部が選択されたと判断した場合(ステップS46;Yes)には、CPU11は、上述のステップS41に移行する。また、ステップS46で、さらに数式の一部または全部が選択されていないと判断した場合(ステップS46;No)には、CPU11は、色変更処理を終了する。
【0054】
以上の色変更処理が終了したら、次にCPU11は、図3に示すように、ユーザにより色別演算が指示されたか否かを判断する(ステップS5)。なお、本実施の形態では、ユーザは、色別演算ソフトキー32を操作することによって色別演算を指示することとして説明するが、例えば、入力キー群2を操作することによって色別演算を指示することとしてもよい。
【0055】
ステップS5で、色別演算が指示されていないと判断した場合(ステップS5;No)には、CPU11は、後述のステップS7の処理に移行する。また、ステップS5で、色別演算が指示されたと判断した場合(ステップS5;Yes)には、CPU11は、色別演算処理を行う(ステップS6)。
【0056】
具体的には、図6に示すように、この色別演算処理においてCPU11は、まずディスプレイ3に表示されている数式に含まれる何れかの項についての色(表示態様)を、各種色ソフトキー33によって、ユーザに指定色(指定態様)として指定させ、その指定を受け付けると(ステップS61)、数式記憶領域120を参照して、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる項のうち、ユーザにより指定された指定色(指定態様)で表示されている項の間で演算を行い、1つの項としてディスプレイ3に表示させることによって(ステップS62)、ディスプレイ3における表示内容を更新するとともに、数式記憶領域120に記憶されている数式を更新して、色別演算処理を終了する。なお、本実施の形態では、ユーザは、各種色ソフトキー33のうちの何れかを操作することによって、指定色を指定することとして説明するが、例えば、ファンクションキー24等の入力キー群2を操作することによって、指定色を指定することとしてもよい。
【0057】
以上の色別演算処理が終了したら、次にCPU11は、図3に示すように、ユーザにより解の算出が指示されたか否かを判断する(ステップS7)。ここで、本実施の形態においてユーザは、EXEキー23を操作することによって解の算出を指示することとして説明するが、例えば、その他の入力キー群2を操作することによって解の算出を指示することとしてもよいし、タッチパネル30を操作することによって解の算出を指示することとしてもよい。
【0058】
ステップS7で、解の算出が指示されていないと判断した場合(ステップS7;No)、CPU11は、数式演算処理を終了する。
【0059】
また、ステップS7で、解の算出が指示されたと判断した場合(ステップS7;Yes)、CPU11は、ディスプレイ3に表示されている数式の最終の解(最終結果)を算出して、ディスプレイ3に表示させることによって(ステップS8)、ディスプレイ3における表示内容を更新するとともに、数式記憶領域120に記憶されている数式を更新して、数式演算処理を終了する。
【0060】
[1.4 動作例]
続いて、図面を参照しつつ、上述した関数電卓1の動作を具体的に説明する。
【0061】
(動作例1)
まず、図7(a)に示すように、ユーザによる入力キー群2の操作に伴い、キー入力部14を介して数式「0.5+/+2.8−1/」の入力が受け付けられると(ステップS1)、入力された数式が数式記憶領域120に記憶されるとともにディスプレイ3に表示される。そして、ユーザがEXEキー23等を操作すると、色分け表示処理が行われる(ステップS2)。
【0062】
色分け表示処理では、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる各項のタイプが「小数(項「0.5」及び項「2.8」)」、「分数(項「/」)」、「帯分数(項「1/」)」であるので、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる全ての項のタイプが同一ではないと判断される(ステップS21;No)。
【0063】
次に、変数Aが「1」に設定される(ステップS22)。そして、1番目のタイプ「小数」に、1番目の色「青色」が設定され(ステップS23)、設定色情報記憶領域121に記憶される。
【0064】
次に、他にもタイプがあると判断されて(ステップS24;Yes)、変数Aが「2」に設定される(ステップS25)。そして、2番目のタイプ「分数」に、2番目の色「赤色」が設定され(ステップS23)、設定色情報記憶領域121に記憶される。
【0065】
次に、他にもタイプがあると判断されて(ステップS24;Yes)、変数Aが「3」に設定される(ステップS25)。そして、3番目のタイプ「帯分数」に、3番目の色「緑色」が設定され(ステップS23)、設定色情報記憶領域121に記憶される。
【0066】
次に、他にもタイプがないと判断されて(ステップS24;No)、図7(b)に示すように、項のタイプが「小数」である項「0.5」及び項「2.8」が「青色」で表示され、項のタイプが「分数」である項「/」が「赤色」で表示され、項のタイプが「帯分数」である項「1/」が「緑色」で表示されて、各タイプに対応する項が設定された色でディスプレイ3に表示されることによって(ステップS26)、ディスプレイ3における表示内容が更新される。このとき、ディスプレイ3には、色変更ソフトキー31や色別演算ソフトキー32、各種色ソフトキー33なども表示される。ここで、各種色ソフトキー33としては、各タイプに設定された色に対応するキーである青色ソフトキー33b、赤色ソフトキー33r、緑色ソフトキー33gが表示されている。
【0067】
次に、ユーザが色変更ソフトキー31を操作すると、ユーザにより色の変更が指示されたと判断されて(ステップS3;Yes)、色変更処理が行われる(ステップS4)。
【0068】
ここで、以下、色を変更する部分、すなわち項のタイプを変換する部分としてユーザにより選択された選択部分が、数式の一部であった場合と、数式全部であった場合とに分けて説明する。
【0069】
まず、ユーザにより選択された選択部分が、項「2.8」、すなわち数式の一部であった場合について、図8(a)〜(c)を参照して説明する。
【0070】
色変更処理では、ディスプレイ3に表示されている数式のうちの項「2.8」の背景が、灰色等の所定の色で塗り潰されることによって、数式の選択状態が表示される(ステップS41)。
【0071】
次に、ユーザによる赤色ソフトキー33rの操作に伴い、タッチパネル30を介してユーザによる色の指定が受け付けられると(ステップS42)、図8(a)に示すように、項「2.8」の背景を塗り潰している色が、ユーザにより指定された色「赤色」に変更されて、ユーザにより選択された選択部分に含まれる項「2.8」は、ユーザにより指定された色に対応するタイプ「分数」に変換可能な項であると判断される(ステップS43;Yes)。
【0072】
次に、図8(b)に示すように、項「2.8」が項「14/」に変換されて、ユーザにより指定された色「赤色」でディスプレイ3に再表示されることによって(ステップS45)、ディスプレイ3における表示内容が更新されるとともに、項「2.8」が項「14/」で上書きされることによって、数式記憶領域120に記憶されている数式が更新される。
【0073】
次に、ユーザが色別演算ソフトキー32を操作すると、ユーザによりさらに数式の一部または全部が選択されていないと判断されて(ステップS46;No)、ユーザにより色別演算が指示されたと判断され(ステップS5;Yes)、色別演算処理が行われる(ステップS6)。
【0074】
色別演算処理では、ユーザによる赤色ソフトキー33rの操作に伴い、タッチパネル30を介してユーザによる指定色の指定が受け付けられると(ステップS61)、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる項のうち、ユーザにより指定された指定色「赤色」で表示されている項「/」と項「14/」との間で演算が行われ、図8(c)に示すように、1つの項「23/」としてディスプレイ3に表示されることによって(ステップS62)、ディスプレイ3における表示内容が更新されるとともに、数式「/14/」が項「23/」で上書きされることによって、数式記憶領域120に記憶されている数式が更新される。
【0075】
その後、ユーザがEXEキー23を操作すると、ユーザにより解の算出が指示されたと判断されて(ステップS7;Yes)、ディスプレイ3に表示されている数式の最終の解(最終結果)が算出され、ディスプレイ3に表示されることによって(ステップS8)、ディスプレイ3における表示内容が更新されるとともに、数式記憶領域120に記憶されている数式が更新される。
【0076】
次いで、ユーザにより選択された選択部分が、数式「0.5+/+2.8−1/」、すなわち数式全部であった場合について、図9(a)〜(c)を参照して説明する。
【0077】
色変更処理では、ディスプレイ3に表示されている数式全部の背景が、灰色等の所定の色で塗り潰されることによって、数式の選択状態が表示される(ステップS41)。
【0078】
次に、ユーザによる青色ソフトキー33bの操作に伴い、タッチパネル30を介してユーザによる色の指定が受け付けられると(ステップS42)、図9(a)に示すように、数式全部の背景を塗り潰している色が、ユーザにより指定された色「青色」に変更されて、ユーザにより選択された選択部分に含まれる項「/」及び項「1/」は、ユーザにより指定された色に対応するタイプ「小数」に変換可能な項であると判断される(ステップS43;Yes)。
【0079】
次に、図9(b)に示すように、項「/」が項「1.8」に変換されるとともに、項「1/」が項「1.5」に変換されて、ユーザにより指定された色「青色」でディスプレイ3に再表示されることによって(ステップS45)、ディスプレイ3における表示内容が更新されるとともに、項「/」が項「1.8」で上書きされるとともに、項「1/」が項「1.5」で上書きされることによって、数式記憶領域120に記憶されている数式が更新される。
【0080】
次に、ユーザが色別演算ソフトキー32を操作すると、ユーザによりさらに数式の一部または全部が選択されていないと判断されて(ステップS46;No)、ユーザにより色別演算が指示されたと判断され(ステップS5;Yes)、色別演算処理が行われる(ステップS6)。
【0081】
色別演算処理では、ユーザによる青色ソフトキー33bの操作に伴い、タッチパネル30を介してユーザによる指定色の指定が受け付けられると(ステップS61)、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる項のうち、ユーザにより指定された指定色「青色」で表示されている項「0.5」と項「1.8」と項「2.8」と項「1.5」との間で演算が行われ、図9(c)に示すように、1つの項「3.6」としてディスプレイ3に表示されることによって(ステップS62)、ディスプレイ3における表示内容が更新されるとともに、数式「0.5+1.8+2.8−1.5」が項「3.6」で上書きされることによって、数式記憶領域120に記憶されている数式が更新される。
【0082】
或いは、ユーザが色別演算ソフトキー32を操作せずに、EXEキー23を操作すると、ユーザにより色別演算が指示されていないと判断されて(ステップS5;No)、ユーザにより解の算出が指示されたと判断される(ステップS7;Yes)。そして、ディスプレイ3に表示されている数式の最終の解(最終結果)が算出され、最終結果である項「3.6」がディスプレイ3に表示されることによって(ステップS8)、ディスプレイ3における表示内容が更新されるとともに、数式「0.5+1.8+2.8−1.5」が項「3.6」で上書きされることによって、数式記憶領域120に記憶されている数式が更新される。
【0083】
(動作例2)
まず、図10(a)に示すように、ユーザによる入力キー群2の操作に伴い、キー入力部14を介して数式「3√2+√3−√8+√12+√√√256+√2×√3」の入力が受け付けられると(ステップS1)、入力された数式が数式記憶領域120に記憶されるとともにディスプレイ3に表示される。そして、ユーザがEXEキー23等を操作すると、色分け表示処理が行われる(ステップS2)。
【0084】
色分け表示処理では、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる各項のタイプが「√2タイプ(項「3√2」及び項「√8」)」、「√3タイプ(項「√3」及び項「√12」)」、「整数(項「√√√256」)」、「√6タイプ(項「√2×√3」)」であるので、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる全ての項のタイプが同一ではないと判断される(ステップS21;No)。
【0085】
次に、変数Aが「1」に設定される(ステップS22)。そして、1番目のタイプ「√2タイプ」に、1番目の色「青色」が設定され(ステップS23)、設定色情報記憶領域121に記憶される。
【0086】
次に、他にもタイプがあると判断されて(ステップS24;Yes)、変数Aが「2」に設定される(ステップS25)。そして、2番目のタイプ「√3タイプ」に、2番目の色「赤色」が設定され(ステップS23)、設定色情報記憶領域121に記憶される。
【0087】
次に、他にもタイプがあると判断されて(ステップS24;Yes)、変数Aが「3」に設定される(ステップS25)。そして、3番目のタイプ「整数」に、3番目の色「緑色」が設定され(ステップS23)、設定色情報記憶領域121に記憶される。
【0088】
次に、他にもタイプがあると判断されて(ステップS24;Yes)、変数Aが「4」に設定される(ステップS25)。そして、4番目のタイプ「√6タイプ」に、4番目の色「黄色」が設定され(ステップS23)、設定色情報記憶領域121に記憶される。
【0089】
次に、他にもタイプがないと判断されて(ステップS24;No)、図10(b)に示すように、項のタイプが「√2タイプ」である項「3√2」及び項「√8」が「青色」で表示され、項のタイプが「√3タイプ」である項「√3」及び項「√12」が「赤色」で表示され、項のタイプが「整数」である項「√√√256」が「緑色」で表示され、項のタイプが「√6タイプ」である項「√2×√3」が「黄色」で表示されて、各タイプに対応する項が設定された色でディスプレイ3に表示されることによって(ステップS26)、ディスプレイ3における表示内容が更新される。このとき、ディスプレイ3には、色変更ソフトキー31や色別演算ソフトキー32、各種色ソフトキー33などが表示される。ここで、各種色ソフトキー33としては、各タイプに設定された色に対応するキーである青色ソフトキー33b、赤色ソフトキー33r、緑色ソフトキー33g及び黄色ソフトキー33yが表示されている。
【0090】
次に、ユーザが色変更ソフトキー31を操作せずに、色別演算ソフトキー32を操作すると、ユーザにより色の変更が指定されていないと判断されて(ステップS3;No)、ユーザにより色別演算が指定されたと判断され(ステップS5;Yes)、色別演算処理が行われる(ステップS6)。
【0091】
色別演算処理では、ユーザによる青色ソフトキー33bの操作に伴い、タッチパネル30を介してユーザによる指定色の指定が受け付けられると(ステップS61)、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる項のうち、ユーザにより指定された指定色「青色」で表示されている項「3√2」と項「√8」との間で演算が行われ、図10(c)に示すように、1つの項「√2」としてディスプレイ3に表示されることによって(ステップS62)、ディスプレイ3における表示内容が更新されるとともに、数式「3√2−√8」が項「√2」で上書きされることによって、数式記憶領域120に記憶されている数式が更新される。
【0092】
次に、ユーザがEXEキー23を操作すると、ユーザにより解の算出が指示されたと判断されて(ステップS7;Yes)、ディスプレイ3に表示されている数式の最終の解(最終結果)が算出される。そして、図10(d)に示すように、最終結果である数式「√2+3√3+2+√6」がディスプレイ3に表示されることによって(ステップS8)、ディスプレイ3における表示内容が更新されるとともに、数式「√2+√3+√12+√√√256+√2×√3」が数式「√2+3√3+2+√6」で上書きされることによって、数式記憶領域120に記憶されている数式が更新される。
【0093】
以上、本実施の形態によれば、図3のステップS1〜S2や図4に示したように、ユーザにより入力された数式がディスプレイ3に表示され、当該ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる各項が、項のタイプごとに異なる色(表示態様)で表示されるので、数式が見やすく表示される。
【0094】
また、図3のステップS5〜S6や図6に示したように、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる何れかの項についての色(表示態様)が、ユーザ操作に応じて指定色(指定態様)として指定され、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる項のうち、当該指定色で表示されている項の間で演算が行われ、ディスプレイ3における表示内容が更新されるので、ユーザに考えさせながら演算過程を学ばせることができ、学習効果を高めることができる。
【0095】
また、図4のステップS21に示したように、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる項のうち、内容を単純化するための演算が項内部で可能な項が演算可能項として検出され、当該演算可能項に対して内容を単純化するための演算を行った場合の項のタイプが検知され、当該演算可能項が当該検知されたタイプに対応する色(表示態様)でディスプレイ3に表示されるので、項の表示態様が複雑になりすぎることがなく、数式が見やすく表示される。
【0096】
また、図3のステップS3〜S4や図5に示したように、ユーザ操作に応じて、ディスプレイ3に表示されている数式に含まれる項と、当該数式に含まれる何れかの項についての色(表示態様)とが指定され、当該指定された項のタイプが、当該指定された色(表示態様)に対応するタイプに変換されて、ディスプレイ3における表示内容が更新されるので、ユーザに考えさせながら項のタイプの変換を学ばせることができ、学習効果を高めることができる。
【0097】
なお、上記の実施の形態における関数電卓1の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0098】
例えば、本発明に係る数式演算装置を関数電卓1として説明したが、本発明が適用可能なものは、このような製品に限定されず、携帯電話、パソコン、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機などの電子機器全般に適用可能である。また、本発明に係る数式演算プログラム131は、数式演算装置に対して着脱可能なメモリカード、CD等に記憶されることとしてもよい。
【0099】
また、ディスプレイ3に表示されている数式に、ユーザにより指定された指定色で表示されている項が複数含まれていることを前提に、色別演算処理(図6参照)を説明したが、色別演算処理はこれに限定されるものではない。具体的には、例えば、CPU11は、ユーザによる指定色の指定を受け付けると(ステップS61)、数式記憶領域120を参照して、ディスプレイ3に表示されている数式に、ユーザにより指定された指定色で表示されている項が複数含まれているか否かを判断し、複数含まれていると判断した場合には、これら複数の項の間で演算を行い、1つの項としてディスプレイ3に表示させ(ステップS62)、複数含まれていないと判断した場合には、エラー表示をディスプレイ3に表示させて、再度ユーザに指定色を指定させるようにしてもよい。
【0100】
また、「項のタイプ」を、表示形式の違いに基づく項の種類とするとともに、さらに一部の表示形式(上記の実施の形態では平方根)を含む項においては項同士の加減算が可能か否かに基づく項の種類として説明したが、「項のタイプ」は、これに限定されるものではなく、表示形式の違いに基づく項の種類と、項同士の加減算が可能か否かに基づく項の種類と、の少なくとも何れか一方であればよい。
【符号の説明】
【0101】
1 関数電卓
2 入力キー群
3 ディスプレイ
11 CPU
12 RAM
13 記憶部
14 キー入力部
15 表示部
30 タッチパネル
131 数式演算プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数式を表示させる数式表示制御手段と、
前記数式表示制御手段により表示された数式に含まれる各項を、項のタイプごとに異なる表示態様で表示させるタイプ別表示制御手段と、
前記数式に含まれる何れかの項についての表示態様を、ユーザ操作に応じて指定態様として指定する表示態様指定手段と、
前記数式に含まれる項のうち、前記指定態様で表示されている項の間で演算を行い、前記数式表示制御手段による表示内容を更新する同タイプ項演算手段と、
を備えることを特徴とする数式演算装置。
【請求項2】
請求項1記載の数式演算装置において、
前記タイプ別表示制御手段は、
前記数式に含まれる項のうち、内容を単純化するための演算が項内部で可能な項を演算可能項として検出する演算可能項検出手段と、
前記演算可能項に対して内容を単純化するための演算を行った場合の項のタイプを検知する演算結果タイプ検知手段と、を有し、
前記演算結果タイプ検知手段により検知されたタイプに対応する表示態様で、前記演算可能項を表示させることを特徴とする数式演算装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の数式演算装置において、
ユーザ操作に応じて、前記数式に含まれる何れかの項と、前記数式に含まれる何れかの項についての表示態様とを指定する項態様指定手段と、
前記項態様指定手段により指定された項のタイプを、当該項態様指定手段により指定された表示態様に対応するタイプに変換して、前記数式表示制御手段による表示内容を更新するタイプ変換手段と、
を備えることを特徴とする数式演算装置。
【請求項4】
コンピュータに、
数式を表示させる数式表示制御機能と、
前記数式表示制御機能により表示された数式に含まれる各項を、項のタイプごとに異なる表示態様で表示させるタイプ別表示制御機能と、
前記数式に含まれる何れかの項についての表示態様を、ユーザ操作に応じて指定態様として指定する表示態様指定機能と、
前記数式に含まれる項のうち、前記指定態様で表示されている項の間で演算を行い、前記数式表示制御機能による表示内容を更新する同タイプ項演算機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−191962(P2011−191962A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56883(P2010−56883)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】