説明

整列搬送装置

【課題】載置式の搬送コンベアで、平面形状が長方形や正方形の搬送物を、高速で精度よく所定の向きに整列できるようにすることである。
【解決手段】平面形状が長方形の搬送物Aを載置して搬送しながら方向転換する搬送コンベア1の下流側に、搬送物Aを載置して搬送しながら、搬送方向の左右で速度差を付与して搬送面内での向きを調整する向き調整コンベア2を連続させて接続し、向き調整コンベア2の上方に、搬送される搬送物Aを刻々撮像する2次元CCDカメラ3を配設し、2次元CCDカメラ3で刻々撮像される搬送物Aの所定の向きに対する傾きを検出して、検出された搬送物Aの傾きを小さくするように、向き調整コンベア2に左右での速度差を刻々付与し、搬送コンベア1から搬送されてくる搬送物Aを所定の向きに整列することにより、搬送物Aを高速で精度よく所定の向きに整列できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面形状が長方形や正方形の搬送物を所定の向きに整列する整列搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
搬送コンベアには、搬送物を単に載置して搬送するベルトコンベアやローラコンベアが多く用いられている。このような載置式の搬送コンベアでは、下面が略平坦な搬送物を同じ向きの姿勢のままで搬送することが多い。
【0003】
前記載置式の搬送コンベアには、搬送物を搬送しながら搬送方向の左右で速度差を付与して、搬送物を搬送面内で回転させて方向転換させるようにしたものもある(例えば、特許文献1参照)。また、2つの搬送コンベアの間にターンテーブルを配設し、上流側の搬送コンベアで搬送される搬送物の姿勢を検出し、この検出結果に基づいて搬送物をターンテーブル上で所定の向きに方向転換して、下流側の搬送コンベアに受け渡すようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第3828108号公報
【特許文献2】特開平5−231778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した載置式の搬送コンベアで、平面形状が長方形や正方形の搬送物を搬送する際には、搬送物を所定の向きで供給端に供給しても、搬送中の振動や搬送面での摩擦係数の不均一等によって、搬送中に搬送物の向きが傾き、排出端に所定の向きで整列できない問題がある。例えば、搬送物が、帯状の段ボールシートをフォルダグルアで環状に折り畳んで両端を糊付けした箱用段ボールシートやその束である場合は、搬送物が比較的軽量で、その下面に重ね代部の段差が形成されるので、搬送中により傾きが生じやすくなる。
【0006】
また、特許文献1に記載されたように、搬送物を搬送しながら方向転換させる搬送コンベアは、搬送物を高速で連続的に方向転換させることができるが、搬送面内での搬送物の回転に過不足を生じやすく、方向転換した搬送物を傾きなく所定の向きに整列するのが難しい。なお、特許文献2に記載されたように、2つの搬送コンベア間に配設したターンテーブルで搬送物を方向転換させるものは、整列精度はよくなるが、ターンテーブル上でバッチ式に搬送物を方向転換するので、搬送物を高速で整列することができない。
【0007】
そこで、本発明の課題は、載置式の搬送コンベアで、平面形状が長方形や正方形の搬送物を、高速で精度よく所定の向きに整列できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の整列搬送装置は、平面形状が長方形または正方形の搬送物を載置して搬送する搬送コンベアの下流側に、前記搬送物を載置して搬送しながら、搬送方向の左右で速度差を付与して搬送面内での向きを調整する向き調整コンベアを連続させて接続し、この向き調整コンベアの上方に、向き調整コンベア上を搬送される前記搬送物を刻々撮像する2次元CCDカメラを配設し、この2次元CCDカメラで刻々撮像される前記搬送物の所定の向きに対する傾きを検出して、検出された搬送物の傾きを小さくするように、前記向き調整コンベアに左右での速度差を刻々付与し、前記搬送コンベアから搬送されてくる搬送物を所定の向きに整列する構成を採用することにより、載置式の搬送コンベアで、平面形状が長方形や正方形の搬送物を、高速で精度よく所定の向きに整列できるようにした。
【0009】
前記搬送物の所定の向きに対する傾きを検出する手段を、前記搬送物の少なくとも2つの隣り合う角点を検出し、この2つの角点を結ぶ前記搬送物の辺の所定の向きに対する傾きを検出するものとすることにより、2次元CCDカメラで撮像される搬送物の画像処理を効率よく行うことができる。
【0010】
前記搬送物の平面形状が長方形である場合は、前記搬送物の少なくとも3つの角点を検出し、これらの検出された3つの角点のうちの2つずつの隣り合う角点間の距離から前記搬送物の長辺と短辺を判別して、判別した長辺または短辺の所定の向きに対する傾きを検出するようにするとよい。
【0011】
上述した整列搬送装置は、前記搬送コンベアが、前記搬送物を搬送しながら搬送面内での向きを90°単位で方向転換するものであり、前記向き調整コンベアが前記方向転換された搬送物を所定の向きに整列するものに好適である。
【0012】
上述した整列搬送装置は、前記搬送物が、帯状の段ボールシートをフォルダグルアで環状に折り畳んで両端を糊付けした箱用段ボールシートまたは箱用段ボールシートの束であるものに好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の整列搬送装置は、平面形状が長方形または正方形の搬送物を載置して搬送する搬送コンベアの下流側に、搬送物を載置して搬送しながら、搬送方向の左右で速度差を付与して搬送面内での向きを調整する向き調整コンベアを連続させて接続し、この向き調整コンベアの上方に、向き調整コンベア上を搬送される搬送物を刻々撮像する2次元CCDカメラを配設し、この2次元CCDカメラで刻々撮像される搬送物の所定の向きに対する傾きを検出して、検出された搬送物の傾きを小さくするように、向き調整コンベアに左右での速度差を刻々付与し、搬送コンベアから搬送されてくる搬送物を所定の向きに整列するようにしたので、載置式の搬送コンベアで、平面形状が長方形や正方形の搬送物を、高速で精度よく所定の向きに整列することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。この整列搬送装置は、平面形状が長方形の搬送物として、フォルダグルアで形成された箱用段ボールシートの束をパレタイジング装置に供給するために整列搬送するものであり、図1および図2に示すように、搬送物Aを載置して搬送しながら搬送面内での向きを90°単位で方向転換する搬送コンベア1の下流側に、搬送物Aを載置して搬送しながら、搬送方向の左右で速度差を付与して搬送面内での向きを調整する向き調整コンベア2が連続させて接続され、向き調整コンベア2の上方に、搬送される搬送物Aを撮像する2次元CCDカメラ3が配設されている。2次元CCDカメラ3は画像処理装置を内蔵するコントローラ4に接続され、コントローラ4は、後述する手順で向き調整コンベア2の左右の速度差を制御するようになっている。
【0015】
前記平面形状が長方形の搬送物Aは、搬送コンベア1の上流側に配設されたローラテーブル5から、長手方向を搬送方向直交方向に向けた横向き0°の姿勢で供給され、搬送コンベア1でそのままの姿勢で搬送されるか、長手方向を搬送方向に向けた縦向き±90°の姿勢、または横向き180°の姿勢に方向転換される。向き調整コンベア2はこれらの姿勢で搬送されてくる搬送物Aの傾きをなくすように調整し、その下流側のローラテーブル6に送り出す。ローラテーブル6上には、送り出された搬送物Aの搬送方向に対する傾きを零とするように矯正するサイドガイド7が設けられている。
【0016】
前記ローラテーブル6上で搬送方向に対する傾きを零とされた各姿勢の搬送物Aは、図3に示すように、パレタイジング装置20へと送られ、0°、±90°および180°の姿勢のものが1段分として井桁状に組み合わされ、各段の井桁状の組み合わせを90°ずつ回転させて、パレット21の上に段積みされる。
【0017】
前記向き調整コンベア2は、図4(a)、(b)に示すように、幅方向の中央で左右に分割した搬送ベルト10a、10bに、それぞれ多数のボール11a、11bを上下面から突出するように回転自在に保持し、各搬送ベルト10a、10bの内面側に、同じく幅方向の中央で左右に分割したボール駆動ベルト12a、12bを、ボール11a、11bが転接するように配設したものである。各搬送ベルト10a、10bは同一の駆動ローラ13に巻回されて等速で駆動され、各ボール駆動ベルト12a、12bは別々の駆動ローラ14a、14bに巻回されて、互いに異なる速度で駆動可能とされている。
【0018】
前記向き調整コンベア2は、各ボール駆動ベルト12a、12bの駆動速度を搬送ベルト10a、10bよりも遅くするか、搬送ベルト10a、10bと反対方向に駆動または停止するときは、ボール駆動ベルト12a、12bに転接するボール11a、11bが順回転して、ボール11a、11bに載置される搬送物Aの搬送速度が搬送ベルト10a、10bの速度よりも大きくなり、各ボール駆動ベルト12a、12bの駆動速度を搬送ベルト10a、10bよりも速くしたときは、各ボール11a、11bが逆回転して搬送物Aの搬送速度が搬送ベルト10a、10bの速度よりも小さくなる。したがって、左右に分割したボール駆動ベルト12a、12bを異なる速度または反対方向に駆動するか一方のみを駆動することにより、これらに転接する左右のボール11a、11bの回転速度が異なるようになり、搬送ベルト10a、10bの速度とボール11a、11bの回転速度とによって決まる搬送物Aの搬送速度に左右で速度差が付与される。
【0019】
例えば、図4(b)に矢印で示す搬送物Aの搬送方向に向いて、右側のボール駆動ベルト12aの駆動速度を左側のボール駆動ベルト12bの駆動速度よりも遅く(停止または反対方向への駆動を含む)すると、右側の搬送ベルト10aに保持されたボール11aの回転速度(順回転を正とする)が左側の搬送ベルト10bに保持されたボール11bの回転速度よりも速くなり、搬送物Aの搬送速度が右側で速くなって、搬送物Aは反時計回りに回転する。逆に、左側のボール駆動ベルト12bの駆動速度を遅くした場合は、左側の搬送ベルト10bに保持されたボール11bの回転速度が速くなり、搬送物Aの搬送速度が左側で速くなって、搬送物Aは時計回りに回転する。なお、図示は省略するが、搬送コンベア1も同じ構成とされ、搬送速度に左右で速度差を付与することにより、搬送物Aを搬送しながら方向転換する。
【0020】
図5は、前記2次元CCDカメラ3で撮像された搬送中の搬送物Aの撮像画面3aの例を示す。2次元CCDカメラ3の撮影領域は、向き調整コンベア2の搬送面のほぼ全域に設定されている。向き調整コンベア2の搬送面は濃い青色とされており、箱用段ボールシートの束とされた薄い黄土色の搬送物Aは明点、向き調整コンベア2の搬送面は暗点として画像処理される。コントローラ4は、画像処理された画像から搬送物Aの搬送方向先端側の3つの角点P、Q、Rを検出し、これらの3つの角点P、Q、Rのうちの2つずつの隣り合う角点P、QおよびQ、R間の距離から搬送物Aの長辺mと短辺nを判別して、長辺mの所定の向きに対する傾き角θを検出する。この例では、搬送物Aの所定の向きは、長辺mを搬送方向に向ける向きとされている。
【0021】
図6は、前記コントローラ4によって搬送物Aを所定の向きに整列する制御手順を示す。コントローラ4は、刻々2次元CCDカメラ3で撮像される撮像画面3aをチェックし、搬送物Aの全体が撮像画面3aに入ったときに搬送物Aの長辺mを判別する。コントローラ4には搬送物Aの所定の向きが予め入力されており、コントローラ4は所定の向きに対する長辺mの傾き角θを刻々検出して、検出された傾き角θを小さくするように、各ボール駆動ベルト12a、12bを駆動し、向き調整コンベア2に左右での速度差ΔVを刻々付与する。図5の撮像画面3aの例では、矢印で示される搬送方向に向いて、向き調整コンベア2の右側の速度を左側よりも大きくし、搬送物Aを反時計回りに回転させるようにする。コントローラ4は長辺mの傾き角θが予め設定した閾値θsよりも小さくなると、左右の速度差ΔVの制御を終了する。この実施形態では、傾き角θに比例ゲインを乗じた比例制御で速度差ΔVを制御し、閾値θsを7°としている。
【0022】
図7は、前記コントローラ4による傾き角θの制御結果の例を示す。この例では、比例制御の制御周期が0.03秒とされ、17回の制御周期で傾き角θが閾値θs以下の6°となっている。
【0023】
上述した実施形態では、左右に分割した向き調整コンベアを、多数のボールを保持した搬送ベルトの内面側に、ボールが転接するボール駆動ベルトを配設したものとしたが、向き調整コンベアは搬送物の搬送方向の左右で速度差を付与できるものであればよく、ベルトコンベアまたはローラコンベアを左右に分割し、左右で搬送速度に速度差を付与するものとしてもよい。
【0024】
また、上述した実施形態では、上流側の搬送コンベアを、向き調整コンベアと同様の多数のボールを保持した搬送ベルトの内面側にボール駆動ベルトを配設したものとし、搬送物を搬送しながら方向転換させるものとしたが、上流側の搬送コンベアは、搬送物をそのままの姿勢で搬送する通常のベルトコンベアやローラコンベアであってもよい。
【0025】
さらに、上述した実施形態では、搬送物を平面形状が長方形の箱用段ボールシートの束とし、その3つの角点を検出して長辺の傾き角を検出するようにしたが、搬送物は平面形状が長方形または正方形のものであればよく、単体のブロックや箱容器等とすることもできる。搬送物の平面形状が正方形である場合は、2つの隣り合う角点を検出して辺の傾き角を検出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】整列搬送装置の実施形態を示す正面図
【図2】図1の平面図
【図3】図1の整列搬送装置で整列した搬送物をパレタイジング装置に供給する概念を示す斜視図
【図4】aは図1の向き調整コンベアを示す一部省略正面断面図、bはaの平面図
【図5】図1の2次元CCDカメラで撮像された搬送物の撮像画像の例を示す平面図
【図6】図1のコントローラによる制御手順を示すフローチャート
【図7】図6の制御結果の例を示すグラフ
【符号の説明】
【0027】
A 搬送物
1 搬送コンベア
2 向き調整コンベア
3 2次元CCDカメラ
3a 撮像画面
4 コントローラ
5、6 ローラテーブル
7 サイドガイド
10a、10b 搬送ベルト
11a、11b ボール
12a、12b ボール駆動ベルト
13、14a、14b 駆動ローラ
20 パレタイジング装置
21 パレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面形状が長方形または正方形の搬送物を載置して搬送する搬送コンベアの下流側に、前記搬送物を載置して搬送しながら、搬送方向の左右で速度差を付与して搬送面内での向きを調整する向き調整コンベアを連続させて接続し、この向き調整コンベアの上方に、向き調整コンベア上を搬送される前記搬送物を刻々撮像する2次元CCDカメラを配設し、この2次元CCDカメラで刻々撮像される前記搬送物の所定の向きに対する傾きを検出して、検出された搬送物の傾きを小さくするように、前記向き調整コンベアに左右での速度差を刻々付与し、前記搬送コンベアから搬送されてくる搬送物を所定の向きに整列するようにした整列搬送装置。
【請求項2】
前記搬送物の所定の向きに対する傾きを検出する手段が、前記搬送物の少なくとも2つの隣り合う角点を検出し、この2つの角点を結ぶ前記搬送物の辺の所定の向きに対する傾きを検出するものである請求項1に記載の整列搬送装置。
【請求項3】
前記搬送物の平面形状が長方形であり、前記搬送物の少なくとも3つの角点を検出し、これらの検出された3つの角点のうちの2つずつの隣り合う角点間の距離から前記搬送物の長辺と短辺を判別して、判別した長辺または短辺の所定の向きに対する傾きを検出するようにした請求項2に記載の整列搬送装置。
【請求項4】
前記搬送コンベアが、前記搬送物を搬送しながら搬送面内での向きを90°単位で方向転換するものであり、前記向き調整コンベアが前記方向転換された搬送物を所定の向きに整列するものである請求項1乃至3のいずれかに記載の整列搬送装置。
【請求項5】
前記搬送物が、帯状の段ボールシートをフォルダグルアで環状に折り畳んで両端を糊付けした箱用段ボールシートまたは箱用段ボールシートの束である請求項1乃至4のいずれかに記載の整列搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−100398(P2010−100398A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273300(P2008−273300)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【出願人】(390018902)株式会社総合ハイテック (3)
【Fターム(参考)】