説明

整髪用化粧料

【課題】水性系で低粘度でありながら整髪力、再整髪力、セット保持力に優れ、しかも、べたつきがなく、滑らかで、仕上がりの軽さに優れる整髪用化粧料を提供する。
【解決手段】(a)常温(25℃)で固体の界面活性剤を1.5〜12質量%と、(b)常温で固体の、(b1)糖アルコール、(b2)糖、(b3)ポリアルキレングリコール重合体、および(b4)無機塩の中から選ばれる1種または2種以上と、(c)常温で液体の、1〜4価アルコール誘導体および/または糖アルコール誘導体と、(d)皮膜形成性高分子と、を含有し、(a)成分と(b)成分の合計配合量が6質量%以上であり、系の粘度が10,000mPa・s以下(25℃、B型粘度計)である整髪用化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は整髪用化粧料に関する。さらに詳しくは、低粘度でありながら整髪力、再整髪力、セット保持力に優れ、しかも、べたつきがなく、滑らかで、仕上がりの軽さに優れる整髪用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、整髪用化粧料においては、スタイリングのために毛髪固定用高分子、皮膜形成性高分子等の整髪樹脂を配合している。しかし整髪樹脂は、ごわつき、皮膜の非均一性、高湿度下におけるスタイリング保持力低下をもたらす等の不具合がある。そこでこの不具合を解消するために、種々の対応策が採られてきた。
【0003】
例えば特表2004−505902号公報(特許文献1)には、特定の水溶性ポリアルキレングリコールと皮膜形成ポリマーを特定の比率で配合し、さらに液体キャリアを配合したヘアケア組成物が、再スタイリング性、感触に優れるということが記載されている。しかし該特許文献1のヘアケア組成物は十分な整髪力(セット力、アレンジ力)が得られないという問題がある。
【0004】
特開2007−217314号公報(特許文献2)には、毛髪固定用高分子化合物、多価アルコール、一価のアルコール、および噴射剤をそれぞれ特定量配合した霧状粉末化粧料が、再整髪性に優れ、べたつき感がなく、自然な艶感を有するということが記載されている。しかし該特許文献2の霧状粉末化粧料は十分な整髪力(セット力、アレンジ力)が得られず、また洗髪性が不足するという問題がある。
【0005】
特開平3−261713号公報(特許文献3)には、特定のポリオキシアルキレン系化合物および/またはポリオキシアルキレンアルキルグリコシドと、毛髪固定用高分子化合物と、高分子量のポリエチレングリコール(分子量6,000〜30,000)を配合した毛髪化粧料が、整髪性、平滑性(滑らかさ)を有するということが記載されている。しかし該特許文献3の毛髪化粧料は十分な整髪力(セット力、アレンジ力)が得られないという問題がある。
【0006】
特開2002−167317号公報(特許文献4)には、両性高分子、糖アルコール、糖アルコール誘導体(例えば糖アルコールのポリオキシアルキレン付加物など)を配合した毛髪化粧料組成物が、整髪力、セット保持力を有し、べたつき感やごわつき感がないということが記載されている。しかし該特許文献4の毛髪化粧料は十分なアレンジ力が得られず、また洗髪性が不足するという問題がある。
【0007】
粘度の低い水系の整髪用化粧料においては、整髪力(セット力、アレンジ力)、再整髪力の両立は難しく、さらにセット保持力を併せて持たせることは特に難しい。そのため、十分な整髪力、再整髪力、セット保持力を併せ持ち、しかも良好な使用感を有する水系低粘度の整髪用化粧料の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2004−505902号公報
【特許文献2】特開2007−217314号公報
【特許文献3】特開平3−261713号公報
【特許文献4】特開2002−167317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記従来の事情に鑑みてなされたもので、水性系で低粘度でありながら整髪力、再整髪力、セット保持力に優れ、しかも、べたつきがなく、滑らかで、仕上がりの軽さに優れる整髪用化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は、(a)常温(25℃)で固体の界面活性剤を1.5〜12質量%と、(b)常温で固体の、(b1)糖アルコール、(b2)糖、(b3)ポリアルキレングリコール重合体、および(b4)無機塩の中から選ばれる1種または2種以上と、(c)常温で液体の、1〜4価アルコール誘導体および/または糖アルコール誘導体と、(d)皮膜形成性高分子と、を含有し、(a)成分と(b)成分の合計配合量が6質量%以上であり、系の粘度が10,000mPa・s以下(25℃、B型粘度計)である整髪用化粧料を提供する。
【0011】
また本発明は、(a)成分の界面活性剤が非イオン界面活性剤である、上記整髪用化粧料を提供する。
【0012】
また本発明は、(a)成分が硬度20以上〔カードメーターによる測定(25℃)で、400g荷重、感圧軸(直径1mm)が試料表面から内部に5mm進入した時点での目盛りの数値〕である、上記整髪用化粧料を提供する。
【0013】
また本発明は、(b3)成分が質量平均分子量1,000〜20,000のポリチレングリコールである、上記整髪用化粧料を提供する。
【0014】
また本発明は、(b)成分が少なくとも(b1)成分および/または(b2)成分を含む、上記整髪用化粧料を提供する。
【0015】
また本発明は、粘度が100mPa・s以下(25℃、B型粘度計)であって、使用時に霧状に噴霧して用いる、上記整髪用化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、低粘度でありながら整髪力、再整髪力、セット保持力に優れ、しかも、べたつきがなく、滑らかで、仕上がりの軽さに優れる水性系の整髪用化粧料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について詳述する。なお以下においてPOEはポリオキシエチレンを、POPはポリオキシプロピレンを、POBはポリオキシブチレンを、それぞれ示す。
【0018】
[(a)成分]
(a)成分は、常温(25℃)で固体(固形)の界面活性剤である。本発明では特に、整髪力向上に固体の界面活性剤が効果を発揮することを見出したものである。(a)成分に代えて常温で液状の界面活性剤を用いた場合、十分な整髪力、セット保持力を得ることができず、本発明効果を奏することができない。本発明に用いられる固体の界面活性剤として、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤等が挙げられる。本発明では非イオン界面活性剤が好ましく用いられる。その理由は以下のとおりである。
【0019】
アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤は、非イオン界面活性剤に比べ、皮膚刺激性が強く、特に使用時霧状に噴霧して用いる場合、整髪料成分が目や頭皮に付着する可能性があるため、好ましくない。またアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤は整髪途中で泡立ちやすい点においても好ましくない。
【0020】
アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤を用いた場合、他のイオン性の配合成分の組み合せにより沈殿が生じるおそれがある。また非イオン界面活性剤に比べ、溶媒成分等の揮発が遅く、整髪性効果が遅くなりがちである。
【0021】
カチオン界面活性剤は、上記の他に、毛髪親和性が高いため、髪を柔軟にしてしまい、整髪力を発揮しにくいという点においても好ましくない。
【0022】
本発明に用いられる非イオン界面活性剤としては、下記に例示する各非イオン界面活性剤のうち常温で固体のものが例示される。
【0023】
1.下記式(I)で示されるポリオキシエチレンモノアルキルエーテル:
RO−(C24O)n−H (I)
〔式(I)中、Rは炭素原子数4〜24のアルキル基を示し;nはエチレンオキシド付加モル数で2〜100の数を示す。〕
具体的には、POEラウリルエーテル(市販品として「ノニオンK−220」など)、POEセチルエーテル(市販品として「ノニオンP−210」など)、POEオレイルエーテル(市販品として「ノニオンE−215」など)、POEステアリルエーテル(市販品として「ノニオンS−215」など)(以上、いずれも日油(株)製)、POEトリデシルエーテル(市販品として「ファインサーブTD−150」)(青木油脂工業(株)製)等が挙げられる。
【0024】
2.下記式(II)で示されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル:
RO−(C24O)m(C36O)n−H (II)
〔式(II)中、Rは炭素原子数4〜24のアルキル基を示し;mはエチレンオキシド付加モル数で2〜100の数を示し;nはプロピレンオキシド付加モル数で2〜100の数を示す。〕
具体的には、POE・POPフィトステロール(市販品として「ニッコールBPS−3007」(日光ケミカルズ(株)製)など)等が挙げられる。
【0025】
3.下記式(III)で示されるポリオキシエチレンモノエステル:
RCOO−(C24O)n−H (III)
〔式(III)中、Rは炭素原子数4〜24のアルキル基を示し;nはエチレンオキシド付加モル数で2〜100の数を示す。〕
具体的には、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(市販品として「ノニオンO−4」(日油(株)製)など)等が挙げられる。
【0026】
4.下記式(IV)で示されるポリプロピレングリコールモノエステル:
RCOO−(C36O)n−H (IV)
〔式(IV)中、Rは炭素原子数4〜24のアルキル基を示し;nはプロピレンオキシド付加モル数で2〜100の数を示す。〕
具体的には、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(市販品として「ブラウノンS−400A」(青木油脂工業(株)製)など)等が挙げられる。
【0027】
5.下記式(V)で示されるイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル:
【0028】

【0029】
〔式(V)中、Rは炭素原子数4〜24のアルキル基を示し;a、b、cはエチレンオキシド付加モル数で、a+b+c=3〜100の数を示す。〕
具体的には、イソステアリン酸POEグリセリル(市販品として「ユニオックス・GM−30IS」(日油(株)製)など)等が挙げられる。
【0030】
6.下記式(VI)で示されるトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル:
【0031】

【0032】
〔式(VI)中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数4〜24のアルキル基を示し;a、b、cはエチレンオキシド付加モル数で、a+b+c=3〜100の数を示す。〕
具体的には、トリイソステアリン酸POEグリセリル(市販品として「ユニオックスGT−30IS」(日油(株)製)など)等が挙げられる。
【0033】
7.下記式(VII)で示されるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油:
【0034】

【0035】
〔式(VII)中、a、b、c、x、y、zはエチレンオキシド付加モル数で、a+b+c+x+y+z=2〜150の数を示す。〕
具体的には、POE硬化ヒマシ油60(市販品として「ユニオックスHC−60」(日油(株)製)など)等が挙げられる。
【0036】
8.下記式(VIII)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル:
【0037】

【0038】
〔式(VIII)中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数4〜24のアルキル基を示し;nはエチレンオキシド付加モル数で、2〜100の数を示す。〕
具体的には、POE(20)オクチルドデシルエーテル(市販品として「エマレックスOD−20」(日本エマルジョン(株)製)など)、POE(25)オクチルドデシルエーテル(市販品として「エマレックスOD−25」(日本エマルジョン(株)製)など)等が挙げられる。
【0039】
9.ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル:
市販品として「ユニルーブ50MT−2200B」(日油(株)製)等が挙げられる。
【0040】
(a)成分は常温(25℃)で固体(固形)のものを用いる。(a)成分として固体(固形)のものを用いることで整髪力、セット保持力等を効果的に付与することができる。また洗髪性も向上する。
【0041】
なお(a)成分の固体(固形)状態を示す基準として、本発明では硬度20以上が好ましく、特には硬度40以上が好ましい。ここで「硬度」とは、初めに融解させた試料を直径3cm、深さ3cmの円筒形のガラス瓶に流し込み(深さ1cm以上)、25℃で12時間以上馴化させる。次にカードメーター(飛鳥機器(株)製)を用い、試料温度25℃で、400gの荷重を試料に作用させ、感圧軸(直径1mm)が試料の平らな表面より内部に5mm侵入した時点での目盛りの数値をもって硬度とする。数値が大きいほど硬度が高いことを意味する。
【0042】
また(a)成分は、水、アルコール系溶媒等の水性溶媒への溶解性や、再整髪力等の点から、全非イオン界面活性剤の加重平均したHLBが10以上のものが好ましく、特にはHLB12以上のものが好ましい。HLBは下記数1
【0043】
【数1】

【0044】
(ただし、MWは親水基部の分子量を表し、MOは親油基部の分子量を表す)
で表される川上式により算出される。
【0045】
(a)成分の配合量は、本発明整髪用化粧料中、1.5〜12質量%であり、好ましくは2〜10質量%、より好ましくは2.5〜10質量%である。1.5質量%未満では(a)成分による十分な効果を得ることが難しく、一方、12質量%を超えて配合しても、配合量に見合った効果の増大がみられないばかりか、粘度が高くなる傾向がみられ、べたつき、仕上がりの重さ等の点で好ましくない。
【0046】
[(b)成分]
(b)成分は、常温で固体の、(b1)糖アルコール、(b2)糖、(b3)ポリアルキレングリコール重合体、および(b4)無機塩の中から選ばれる1種または2種以上である。
【0047】
<(b1)成分>
常温で固体の糖アルコールは、糖類のカルボニル基を還元して得られる、常温で固体状の多価アルコールである。具体的には、マルチトール(「マルビット」;物産フードサイエンス(株)製)、ソルビトール(「ソルビトールC」;物産フードサイエンス(株)製)、リビトール、マンニトール、アラビトール、ガラクチトール、キシリトール、エリトリトール、イノシトール等を例示することができる。中でもべたつき、ごわつきのなさ等の点からソルビトール、マルチトールが好ましい。
【0048】
<(b2)成分>
常温で固体の糖は、一般に化粧料に配合され得るものであれば特に限定されるものでなく、単糖(例えば、アルドース、ケトース等)、トリオース(三炭糖。例えば、グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等)、テトロース(四炭糖。例えば、エリトロース、トレオース、エリトルロース等)、ペントース(五炭糖。例えば、リボース、リキソース、キシロース、アラビノース、アビオース、リブロース、キシルロース等)、ヘキソース(六炭糖。例えば、グルコース(ブドウ糖)、マンノース、ガラクトース、イドース、フルクトース(果糖)、ソブボース等)、ヘプトース(七炭糖。セドヘプツロース、コリオース等)などが挙げられる。中でもべたつきが少なく整髪力があるという点からフルクトース(果糖)が好ましい。
【0049】
<(b3)成分>
常温で固体のポリアルキレングリコール重合体としては、エチレンオキシド(EO)構成単位が重合したEO重合体、プロピレンオキシド(PO)構成単位が重合したPO重合体、ブチレンオキシド(BO)構成単位が重合したBO重合体、あるいは上記の構成単位が共重合した各共重合体等が好適例として挙げられる。特にはEO重合体、EO構成単位とPO構成単位を含むEO・PO共重合体、EO構成単位とBO構成単位を含むEO・BO共重合体等が好ましい。共重合の形式は特に限定されるものでなく、ブロック共重合、グラフト共重合、ランダム共重合等、任意である。
【0050】
EO重合体としては、質量平均分子量(Mw。以下、単に「分子量」とも記す)が1,000以上のポリエチレングリコール(PEG)が好ましい。分子量の上限は特に限定されるものでないが、概ね20,000程度以下が好ましい。具体的には分子量1,000のPEG(以下、「PEG1,000」というように記す)、PEG1,540、PEG2,000、PEG4,000、PEG6,000、PEG8,000、PEG10,000、PEG11,000、PEG20,000等が例示される。中でもPEG1,000〜10,000がより好ましく、さらに好ましくはPEG1,000〜8,000、特にはPEG1,000〜6,000が、整髪力、再整髪力等の点から好ましい。
【0051】
EO・PO共重合体としては、下記式(X)に示すEO・POブロック共重合体が好適例として挙げられる。
【0052】

【0053】
上記式(X)中、各置換基、符号は以下の意味を示す。
【0054】
1、R2はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子を示す。炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基である。炭素原子数5以上のアルキル基では親水性が低下し、潤い感が低下する傾向にある。
【0055】
(x+z)はEO構成単位の付加モル数を表し、yはPO構成単位の付加モル数を表す。[(x+z)/(x+z+y)]は0.2〜0.8であり、好ましくは0.4〜0.7である。(EO+PO)構成単位に対するEO構成単位の割合が0.2未満では滑らかさに劣る傾向にあり、0.8超ではべたつきを生じる傾向にある。
【0056】
また60≦x+y+z≦100である。(x+y+z)が60未満では(b3)成分が液体となるものもあり、一方、100を超えるとべたつき、溶解性が悪い。
【0057】
上記式(X)に示すEO・POブロック共重合体の具体例として、POE(35)・POP(40)ブロック共重合体ジメチルエーテル、POE(50)・POP(40)ブロック共重合体ジメチルエーテル等が挙げられる。
【0058】
EO・BO共重合体としては、下記式(XI)に示すEO・BOブロック共重合体が好適例として挙げられる。
【0059】

【0060】
式(XI)中、R1、R2は上記式(X)における定義と同じである。
【0061】
mはEO構成単位の付加モル数を表し、(k+n)はBO構成単位の付加モル数を表す。[m/(m+k+n)]は0.2〜0.9であり、好ましくは0.4〜0.9である。(EO+BO)構成単位に対するEO構成単位の割合が0.2未満では滑らかさに劣る傾向にあり、0.9超ではべたつきを生じる傾向にある。
【0062】
また60≦m+k+n≦100程度が好ましい。(m+k+n)が60未満では(b3)成分が液体となるものもあり、一方、100を超えるとべたつき、溶解性が悪い。
【0063】
上記式(XI)に示すEO・BOブロック共重合体の具体例として、POE(52)・POB(32)ブロック共重合体ジメチルエーテル、POE(73)・POB(11)ブロック共重合体ジメチルエーテル等が挙げられる。
【0064】
<(b4)成分>
常温で固体の塩は、一般に化粧料に配合され得るものであれば特に限定されるものでないが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が好ましく用いられる。好適具体例として塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化マンガン等を例示することができる。
【0065】
本発明整髪化粧料において、(b)成分は、主としてセット力、アレンジ力、仕上がりの軽さ、毛髪をしんなりとさせる効果等に寄与する。(b)成分は常温で固体であり、整髪用化粧料を毛髪に塗布後、溶媒が揮散したあとに、この固体成分である(b)成分が毛髪上に広く被覆した状態で残存し、その効果の持続性にも優れる。後述するように、本発明整髪用化粧料は水性で低粘度であることから、毛髪上に配合成分を広くむらなく塗布することができる。
【0066】
(b)成分としては、(b1)成分、(b2)成分、(b3)成分、(b4)成分の順に好ましく用いられる。本発明では(b)成分中に少なくとも(b1)成分および/または(b2)成分を含有する態様が好ましい。
【0067】
(b)成分の配合量は、本発明整髪用化粧料中、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは3〜8質量%である。0.1質量%未満では(b)成分による十分な効果を得ることが難しく、一方、20質量%を超えて配合しても、配合量に見合った効果の増大がみられないばかりか、粘度が高くなる傾向がみられ、油性感やべたつき、仕上がりの重さ等の点で好ましくない。
【0068】
本発明では(a)成分と(b)成分との合計配合量が、本発明整髪用化粧料中、6質量%以上であり、好ましくは8質量%以上である。本発明整髪用化粧料中、合計配合量が6質量%未満では整髪力を得ることができない。合計配合量上限は特に限定されるものでないが、使用性等の点を考慮すると30質量%以下とするのが好ましい。
【0069】
[(c)成分]
(c)成分は、常温で液体の、1〜4価アルコール誘導体および/または糖アルコール誘導体である。
【0070】
<常温で液体の1〜4価アルコール誘導体>
1価アルコールとしてはメチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、プロピルアルコール等が挙げられる。2〜4価のアルコールとしてはエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等が挙げられる。
【0071】
上記1〜4価アルコールの誘導体としては、1〜4価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体が好適例として挙げられる。付加重合するアルキレンオキシドとしてはEO、PO、BO等の各構成単位が好ましく用いられる。
【0072】
「常温で液体の1〜4価のアルコールアルキレンオキシド付加重合体」としては、具体的には、PPG−40ブチル〔=POP(40)ブチルエーテル〕(市販品として「ユニルーブMB−370」など)、PPG−30ブテス−30〔=POE(30)・POP(30)ブチルエーテル〕(市販品として「ユニルーブ50MB−72」など)、PPG−16グリセリルエーテル(市販品として「ユニオールTG−1000」など)、PPG−24グリセリル−24(市販品として「ユニルーブ50TG−32」など)、PPG−25−PEG−25トリメチロールプロパン(市販品として「ユニルーブ43TT−2500」など)、PPG−14ジグリセリル(「ユニルーブDGP−950」など)、PEG−5−PPG−65ペンタエリスリチル(「ユニルーブ5TP−300KB」など)(以上、いずれも日油(株)製)等が挙げられる。
【0073】
<常温で液体の糖アルコール誘導体>
糖アルコールとしては、ソルビトール、マンニトール等の5〜6価アルコールが好適例として挙げられる。これら糖アルコールの誘導体としては、糖アルコールのアルキレンオキシド付加重合体が好適例として挙げられる。付加重合するアルキレンオキシドとしてはEO、PO、BO等の各構成単位が好ましく用いられる。
【0074】
「常温で液体の糖アルコールアルキレンオキシド付加重合体」としては、具体的には、POPソルビット(市販品として「ユニオールHS−1600D」(日油(株)製)など)、POE(10)メチルグルコシド(市販品として「グルカムE−10」(日本ルーブリゾール(株)製)など)、POP(20)メチルグルコシド(市販品として「グルカムP−20」(日本ルーブリゾール(株)製)など)等が挙げられる。
【0075】
(c)成分の配合量は、本発明整髪用化粧料中、0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは5〜15質量%である。0.1質量%未満では(c)成分による十分な効果を得ることが難しく、一方、30質量%を超えて配合しても、配合量に見合った効果の増大がみられないばかりか、粘度が高くなる傾向がみられ、べたつき、仕上がりの重さ等の点で好ましくない。
【0076】
[(d)成分]
皮膜形成性高分子としては、特に限定されるものでなく、従来よりヘアスタイリング剤等の整髪化粧料に用いられている皮膜形成性高分子を任意に用いることができる。このような皮膜形成性高分子としては、アクリル系、ビニル系、ウレタン系、多糖類系の皮膜性高分子皮膜形成性高分子が挙げられる。
【0077】
<アクリル系およびビニル系皮膜形成性高分子>
アニオン性の高分子であれば例えば、アクリル酸アルキル・ジアセトンアクリルアミド共重合体〔プラスサイズL−53P、プラスサイズL−9909B、プラスサイズL−9948Bなど(いずれも互応化学工業(株)製)〕、アクリル酸アルキル・オクチルアクリルアミド共重合体〔Dermacryl 79(アクゾノーベル(株)製)〕、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール−25・ジメチコン・アクリレーツ共重合体〔ルビフレックスSILK(BASF社製)〕、アクリル酸・アクリル酸アミド・アクリル酸エチル共重合体〔ウルトラホールド8、ウルトラホールドStrong(いずれもBASF社製)〕、アクリル酸アルキル共重合体〔アニセットNF−1000、アニセットHS−3000など(いずれも大阪有機化学工業(株)製)〕などが挙げられる。
【0078】
両性の高分子であれば例えば、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピルプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体〔AMPHOMER SH30、AMPHOMER LV−71(いずれもアクゾノーベル(株)製)〕、メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体〔ユカフォーマーR205、ユカフォーマー301、ユカフォーマーSM、ユカフォーマー104Dなど(以上、三菱化学(株)製)、RAMレジン−1000、RAMレジン−2000、RAMレジン−3000、RAMレジン−4000(以上、大阪有機化学工業(株)製)〕、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体〔マーコート280、マーコート295(いずれもナルコ社製)〕、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸共重合体〔マーコートプラス3330、マーコートプラス3331(いずれもナルコ社製)〕などが挙げられる。
【0079】
カチオン性の高分子であれば例えば、ビニルピロリドン・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体ジエチル硫酸塩〔H.C.ポリマー1S(M)、H.C.ポリマー2(以上、大阪有機化学工業(株)製)、ガフコート755N(ISP社製)〕、ビニルピロリドン・ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体〔スタイリーゼW−20(ISP社製)〕、ビニルピロリドン・メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル・アクリル酸アルキル・ジアクリル酸トリプロピレングリコール共重合体〔コスカットGA467、コスカットGA468(いずれも大阪有機化学工業(株)製)〕、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム〔マーコート100(ナルコ社製)〕、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体〔マーコート550(ナルコ社製)〕、塩化トリメチルアミノプロピルアクリルアミド・ジメチルアクリルアミド共重合体などが挙げられる。
【0080】
ノニオン性の高分子であれば例えば、ポリビニルピロリドン〔ルビスコールK17、ルビスコールK30、ルビスコールK90(以上、BASF社製)、PVP K(ISP社製)〕、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体〔PVP/VA S−630、PVP/VA E−735、PVP/VA E−335(以上、ISP社製)、ルビスコールVA73W、ルビスコール37E(以上、BASF社製)、PVA−6450(大阪有機化学工業(株)製)〕、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体〔ガントレッツA−425、ガントレッツES−225、ガントレッツES−335(いずれもISP社製)〕、ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体〔ルビセットクリア(BASF社製)〕などが挙げられる。
【0081】
<ウレタン系皮膜形成性高分子>
ウレタン系皮膜形成性高分子としては、例えばシリコーン/ポリエーテル系ポリウレタン樹脂〔ヨドゾールPUD;アクゾノーベル(株)製)〕、「ルビセットP.U.R.」(BASF社製)、特開2006−213706号公報に記載のシリル化ウレタン系ポリマー等が挙げられる。アクリル−ウレタン系皮膜形成性高分子としては、例えば、「DynamX」(アクゾノーベル(株)製)等が挙げられる。
【0082】
<多糖類系皮膜形成性高分子>
多糖類系皮膜形成性高分子としては、例えばアラビアガム、グルカン、サクシノグリカン、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、グアガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナンガム、キサンタンガム、デンプン、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアガム、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ローカストビーンガム、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムでんぷん等が挙げられる。
【0083】
本発明では再整髪性等の点から、アクリル系、ビニル系、ウレタン系の皮膜形成性高分子が好ましく用いられる。
【0084】
本発明整髪化粧料において、(d)成分は主としてセット力、再整髪力、仕上がりの軽さ等に寄与する。(d)成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0085】
(d)成分の配合量は、本発明整髪用化粧料中、0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは2〜6質量%である。0.1質量%未満では(d)成分による十分な効果を得ることが難しく、一方、15質量%を超えて配合しても、配合量増加に見合った効果の増大がみられないばかりか、粘度が高くなる傾向がみられ、ごわつきの原因にもなり好ましくない。
【0086】
本発明の整髪化粧料は上記(a)〜(d)成分を必須成分として含有する。本発明では油分(ただし香料、フェノキシエタノールを除く)を実質的に含まないことが好ましい。油分を実質的に含まないことにより、べたつき感の低減をより効果的に得ることができ、乳化を行わないことにより外観を透明に調整することができる。また本発明では油分を含まなくても十分な滑らかさを得ることができる。
【0087】
本発明の整髪化粧料は系の粘度が10,000mPa・s(25℃、B型粘度計)以下であり、好ましくは1,000mPa・s以下である。特に本発明整髪化粧料をヘアスプレー、ヘアミスト等のように使用時噴霧して用いるような場合は、粘度を100mPa・s以下とするのが好ましい。粘度の下限値は特に限定されるものでないが、使用性等の点から8mPa・s程度以上とするのが好ましい。
【0088】
本発明の整髪化粧料は、(a)〜(d)成分、および他の任意添加成分を水性溶媒〔例えば水、炭素原子数1〜6の1価の低級アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール等)であるアルコール系溶媒、あるいはこれらの混合溶媒など)中に溶解してなるものである。本発明の整髪化粧料は水系で低粘度であるが、粘度の調整は、例えば、配合する共重合体重合度を制御したり、高分子等の添加量の増減、水性溶媒の配合量を調整すること等によって行うことができる。
【0089】
従来、水系の低粘度の整髪用化粧料は、十分な整髪力および再整髪力の両者を得ることが難しく、さらにセット保持力を併せて持たせることは特に難しかった。本発明の整髪料化粧料は、低粘度でありながら、十分な整髪力、再整髪力、セット保持力を併せ持つことに成功した。
【0090】
本発明の整髪用化粧料には、上記成分の他に、通常化粧品や医薬品等に用いられる他の成分を、本発明効果を損なわない範囲内で任意に添加することができる。このような成分として、例えば粉末成分、高級脂肪酸、紫外線吸収剤、多価アルコール、金属イオン封鎖剤、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等が挙げられ、これら成分を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤型に応じて常法により本発明整髪用化粧料を製造することができる。
【0091】
本発明の整髪用化粧料は、水系、可溶化系のいずれでもかまわない。本発明の整髪料化粧料の好ましい使用態様としては、エアゾール系ヘアスプレー、ノンエアゾール系ヘアスプレー、ヘアミスト、ヘアムース、セットローション、ヘアスタイリングジェル、ヘアリキッド等が挙げられる。
【0092】
本発明の整髪用化粧料は、水系で低粘度のため、ヘアスプレー、ヘアミスト等、使用時噴霧して用いる形態であっても、噴霧容器の噴霧ノズルが詰まるようなことがなく、安定して霧状に噴霧することができ、かつ、優れた整髪性、再整髪性を有して毛髪に広く均一に塗布することができる。なおエアゾール系タイプのものでは通常、噴射剤とともに噴霧容器に充填される。噴射剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ジメチルエーテル等の液化ガス、窒素、圧縮空気等の圧縮ガスなど、エアゾールの分野に公知の噴射剤を任意に用いることができる。これら噴射剤の配合量は整髪用化粧料(原液)100質量%に対して5〜200質量%程度が好ましい。
【実施例】
【0093】
次に実施例によりさらに本発明を詳述するが、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。なお配合量は特記しない限り質量%(実分)で示す。
【0094】
初めに、本実施例で用いた評価方法について記す。
【0095】
[粘度]
試料(100〜200mL)をBL型粘度計(ローターNo.2、回転数60rpm、25±2℃)に入れ、ローター回転開始から1分間経過後の試料粘度を測定した。
【0096】
[整髪力]
1束の黒色バージンヘア(長さ20cm、質量4g)に試料を0.5g塗布し、指でなじませた後のヘアスタイルの作りやすさについて、専門パネラー(10名)による官能試験にて評価した。
【0097】
[セット保持力]
1束の黒色バージンヘア(長さ20cm、質量2g)に試料を0.5g塗布し、均一に延ばした後、常温にて1時間乾燥させた後の毛束について、つまんでねじって動かしたときの毛髪の硬さについて、専門パネラー(10名)による官能試験にて評価した。
【0098】
[再整髪力]
1束の黒色バージンヘア(長さ20cm、質量4g)に試料を0.5g塗布し、常温にて1時間乾燥させた後の毛束について、つまんでねじって動かしたときのアレンジのしやすさについて、専門パネラー(10名)による官能試験にて評価した。
【0099】
[滑らかさ]
1束の黒色バージンヘア(長さ20cm、質量4g)に試料を0.5g塗布し、指でなじませ仕上げた後の毛髪表面の滑らかさについて、専門パネラー(10名)による官能試験にて評価した。
【0100】
[仕上がりの軽さ]
1束の黒色バージンヘア(長さ20cm、質量4g)に試料を0.5g塗布し、指でなじませ仕上げた後の仕上がりの軽さについて、専門パネラー(10名)による官能試験にて評価した。
【0101】
[べたつき感のなさ]
1束の黒色バージンヘア(長さ20cm、質量4g)に試料を0.5g塗布し、指でなじませた後の毛髪のべたつきのなさについて、専門パネラー(10名)による官能試験にて評価した。
【0102】
<評価点>
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通(どちらともいえない)
2点:やや良くない
1点:良くない。
<評価基準>
◎:評価点合計が40点以上
○:評価点合計が35点以上40点未満
○△:評価点合計が30点以上35点未満
△:評価点合計が20点以上30点未満
×:評価点合計が20点未満。
【0103】
(実施例1〜20、比較例1〜6)
下記表1〜2に示す試料を用いて、上記評価方法に従い、整髪力、セット保持力、再整髪力、滑らかさ、仕上がりの軽さ、べたつき感のなさについて評価した。結果を表1〜2に示す。なお表1〜2中、以下の成分は下記製品を用いた。
・POE(25)セチルエーテル(*1):「エマレックス125」「エマレックス125」(日本エマルジョン(株)製)
・POE(30)・POP(7)フィトステロール(*2):「ニッコールBPS−3007」(日光ケミカルズ(株)製)
・POE(25)オクチルドデシルエーテル(*3):「エマレックスOD−25」(日本エマルジョン(株)製)
・ソルビトール(*4):「ソルビトール液70(S)」(日研化成(株)製)
・POP(40)ブチルエーテル(*5):「ユニルーブMB−370」(日油(株)製)
・POE(10)メチルグルコシド(*6):「グルカムE−10」(日本ルーブリゾール(株)製)
・メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(*7):「ユカフォーマー301」(30%溶液。三菱化学(株)製)。
【0104】
【表1】

【0105】
【表2】

【0106】
表1〜2の結果から明らかなように、本発明の整髪用化粧料は、低粘度でありながら、整髪力と再整髪力の両方の効果をバランスよく達成することができ、かつセット保持力にも優れ、しかも、べたつき感がなく、滑らかで、仕上がりが軽いという効果を併せもつことができた。一方、本発明範囲を外れた整髪用化粧料は、本発明効果をすべて併せもつことはできなかった。
【0107】
さらに以下に示す実施例21〜24について、上記と同様にして、整髪力、セット保持力、再整髪力、滑らかさ、仕上がりの軽さ、べたつき感のなさについて評価した。結果を表3に示す。
【0108】
(実施例21:霧状整髪剤)
(配 合 成 分) (質量%)
(1)POE(25)セチルエーテル 8
(2)ソルビトール 3
(3)ポリエチレングリコール(分子量6000) 1
(4)POE(10)メチルグルコシド 2
(グルカムE−10;日本ルーブリゾール(株)製)
(5)シリコーン/ポリエーテル系ポリウレタン樹脂 1
(ヨドゾールPUD;日本NSC(株)製)
(6)ポリエチレングリコール(分子量400) 0.5
(7)ワインエキス 0.1
(8)クエン酸(食品) 0.1
(9)香料 0.1
(10)エチルパラベン 0.2
(11)エタノール 50
(12)イオン交換水 to 100
製法
(12)に(2)、(6)、(8)を順に添加し水パーツとした。(11)に(4)、(5)、(7)、(9)、(10)、融解させた(1)を順に添加しアルコールパーツとした。水パーツ、アルコールパーツ、融解させた(3)を撹拌混合し、霧状整髪剤(ミスト)を得た。
【0109】
(実施例22:霧状整髪剤)
(配 合 成 分) (質量%)
(1)POE(20)ベヘニルエーテル 4
(2)POE(10)ベヘニルエーテル 1
(3)ポリエチレングリコール(分子量1560) 5
(4)POPソルビット 1
(ユニオールHS−1600D;日油(株)製)
(5)POP(40)ブチルエーテル 2
(ユニルーブMB−370;日油(株)製)
(6)メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン・
メタクリル酸アルキル共重合体 2
(7)ジグリセリン 1
(8)L−メントール 0.1
(9)香料 0.1
(10)フェノキシエタノール 0.5
(11)エタノール 50
(12)イオン交換水 to 100
製法
(12)に(7)、融解させた(3)を順に添加し水パーツとした。(11)に(4)、(5)、(6)、(8)、(9)、(10)、融解させた(1)、(2)を順に添加しアルコールパーツとした。水パーツとアルコールパーツを撹拌混合し、霧状整髪剤(ミスト)を得た。
【0110】
(実施例23:霧状エアゾール整髪剤)
(配 合 成 分) (質量%)
(1)POE(30)・POP(7)フィトステロール 3
(2)POE(60)硬化ヒマシ油 2
(3)ソルビトール 2
(4)塩化ナトリウム 2
(5)PPG−16グリセリルエーテル 1
(ユニオールTG−1000;日研化成(株)製)
(6)POPソルビット 5
(ユニオールHS−1600D;日油(株)製)
(7)アクリル酸アルキル・ジアセトンアクリルアミド共重合体 3
(プラスサイズL−9909B;互応化学工業(株)製)
(8)POE(9)・POP(2)ランダム共重合体ジメチルエーテル 0.5
(9)アミノ酸 0.05
(10)噴射剤(LPG) 50
(11)香料 0.1
(12)エチルパラベン 0.2
(13)エタノール 30
(14)イオン交換水 to 100
製法
(14)に(3)、(4)、(8)、(9)を順に添加し水パーツとした。(13)に(5)、(6)、(7)、(11)、(12)、溶解させた(1)、(2)を順に添加しアルコールパーツとした。水パーツとアルコールパーツを撹拌混合し、(10)を充填して霧状エアゾール整髪剤(エアゾールスプレー)を得た。
【0111】
(実施例24:霧状エアゾール整髪剤)
(配 合 成 分) (質量%)
(1)POE(25)セチルエーテル 6
(2)POE(10)ベヘニルエーテル 2
(3)ソルビトール 1
(4)果糖 5
(5)ポリエチレングリコール(分子量1560) 1
(6)ポリエチレングリコール(分子量6000) 1
(7)PPG−16グリセリルエーテル 4
(ユニオールTG−1000;日研化成(株)製)
(8)メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン・
メタクリル酸アルキル共重合体 1
(9)ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体 4
(PVP/VA S−630;ISP社製)
(10)1,3−ブチレングリコール 1
(11)加水分解コムギタンパク質 0.1
(12)噴射剤(窒素ガス) 40
(13)クエン酸(食品) 0.1
(14)香料 0.1
(15)フェノキシエタノール 0.5
(16)エタノール 30
(17)イオン交換水 to 100
製法
(17)に(3)、(4)、(10)、(13)、融解させた(5)、(6)を順に添加し水パーツとした。(16)に(7)、(8)、(9)、(11)、(14)、(15)、溶解させた(1)、(2)を順に添加しアルコールパーツとした。水パーツとアルコールパーツを撹拌混合し、(12)を充填して霧状エアゾール整髪剤(エアゾールスプレー)を得た。
【0112】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の整髪用化粧料は、水性系で低粘度でありながら整髪力、再整髪力、セット保持力に優れ、しかも、べたつきがなく、滑らかで、仕上がりの軽さに優れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)常温(25℃)で固体の界面活性剤を1.5〜12質量%と、
(b)常温で固体の、(b1)糖アルコール、(b2)糖、(b3)固体のポリアルキレングリコール重合体、および(b4)無機塩の中から選ばれる1種または2種以上と、
(c)常温で液体の、1〜4価アルコール誘導体および/または糖アルコール誘導体と、
(d)皮膜形成性高分子と、
を含有し、(a)成分と(b)成分の合計配合量が6質量%以上であり、系の粘度が10,000mPa・s以下(25℃、B型粘度計)である整髪用化粧料。
【請求項2】
(a)〜(d)成分がいずれも水および/またはアルコール系溶媒に溶解することを特徴とする、請求項1記載の整髪用化粧料
【請求項3】
(a)成分の界面活性剤が非イオン界面活性剤である、請求項1または2記載の整髪用化粧料。
【請求項4】
(a)成分が硬度20以上〔カードメーターによる測定(25℃)で、400g荷重、感圧軸(直径1mm)が試料表面から内部に5mm進入した時点での目盛りの数値〕である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の整髪用化粧料。
【請求項5】
(b3)成分が質量平均分子量1,000〜20,000のポリチレングリコールである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の整髪用化粧料。
【請求項6】
(b)成分が少なくとも(b1)成分および/または(b2)成分を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の整髪用化粧料。
【請求項7】
粘度が100mPa・s以下(25℃、B型粘度計)であって、使用時に霧状に噴霧して用いる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の整髪用化粧料。
【請求項8】
(c)成分の配合量が0.1〜30質量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の整髪用化粧料。
【請求項9】
(d)成分の配合量が0.1〜15質量%である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の整髪用化粧料。
【請求項10】
(b)成分の配合量が0.1〜20質量%である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の整髪用化粧料。

【公開番号】特開2012−25728(P2012−25728A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193293(P2010−193293)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】