説明

文字入力装置及び文字入力方法

【課題】文字入力操作が容易であり、短時間で文字入力を行うとともに、使い勝手を向上させること。
【解決手段】キー部101は、複数の文字が割り当てられた仮想キーを複数備える。接触検出部102は、仮想キーに対する押圧を検出する。押圧回数カウント部103は、押圧の回数をカウントする。表示部106は、接触検出部102により複数の仮想キーに対する押圧を連続して検出した場合に、押圧回数カウント部103により押圧回数をカウントした仮想キーと異なる仮想キーにおける、押圧回数に対応する文字を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にタッチパネルにより文字入力を行う文字入力装置及び文字入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力キーを有する携帯電話等の通信端末装置においては、各入力キーに各々割り当てられる複数の仮名文字等の中から、入力キーの押圧回数に応じた文字を表示する。
【0003】
図1は、従来の文字入力手順を示す図である。図1は、例えば、ユーザが、仮名文字「こ」を入力する筈が、誤って仮名文字「お」を入力した場合において、仮名文字「お」から仮名文字「こ」に入力し直す際の手順を示すものである。
【0004】
具体的には、図1より、通信端末装置1のユーザは、誤って「1」の表示の入力キーK1を5回押圧した場合には、仮名文字の「お」が表示面2に表示される(図1A)。また、ユーザは、押圧する入力キーの誤りに気がついた場合に、入力キーK1の押圧を一旦解除する。この場合、表示面2には仮名文字の「お」が表示されたままである(図1B)。そして、ユーザは、表示面2に表示されている「お」の仮名文字を削除キーにより削除した後、今度は「2」の表示の入力キーK2を5回押圧することにより、仮名文字の「こ」が表示面2に表示される(図1C)。この状態において、ユーザが、入力の確定操作を行うことにより、仮名文字「こ」の表示が確定する。
【0005】
図2は、図1の手順で文字入力を行った場合において、表示面2における文字の表示の順番を示す図である。図2より、入力キーK1を5回押圧することにより、「あ」、「い」、「う」、「え」、「お」の順番に表示面2に表示させる。そして、仮名文字「お」を削除した後、さらに、入力キーK2を5回押圧することにより、「か」、「き」、「く」、「け」、「こ」の順番に表示面2に表示させる。そして、最終的に表示された仮名文字の「こ」の表示を確定させる。
【0006】
また、従来、文字入力の手間を省く方法として、子音を表すアルファベット文字が割り当てられている入力キーをタッチ・ペンにより押圧後、タッチ・ペンのスライド方向に基づいて、母音を表すアルファベット文字を決定することにより、仮名文字が決定される仮名文字入力方法が知られている(例えば、特許文献1)。例えば、仮名文字「か」を入力する際には、子音を表す「K」のアルファベット文字が割り当てられている入力キーを押圧して「K」のアルファベット文字を選択し、その状態から上方に向けてタッチ・ペンをスライドさせることにより、母音を表す「a」のアルファベット文字を選択する。これにより、仮名文字「か」が表示される。特許文献1によれば、子音の入力キーを押圧した状態でスライドさせることにより仮名文字を入力することができるので、文字入力の手間を省くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−275635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図1及び図2の文字入力方法においては、仮名文字「お」を削除した後、入力キーK2を再び5回押圧しなければならず、誤って仮名文字「お」を入力してから正しい仮名文字「こ」を入力するまでに、入力キーを合計10回押圧する必要がある。従って、図1及び図2の文字入力方法においては、文字入力に時間を要し、使い勝手が悪いという問題がある。
【0009】
また、特許文献1においては、子音選択及び母音選択の過程において、誤った選択をした場合に、入力操作を最初からやり直さなければならず、入力文字の修正操作が面倒であり、使い勝手が悪いという問題がある。
【0010】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、文字入力操作が容易であり、短時間で文字入力を行うことができるとともに、使い勝手を向上させることができる文字入力装置及び文字入力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の文字入力装置は、タッチパネルを備えた文字入力装置であって、複数の文字が割り当てられた仮想キーを複数備える文字入力手段と、前記仮想キーに対する押圧を検出する検出手段と、検出した前記押圧の回数をカウントするカウント手段と、前記検出手段により複数の前記仮想キーに対する押圧を連続して検出した場合に、前記回数をカウントした前記仮想キーと異なる前記仮想キーにおける前記回数に対応する文字を表示する表示手段と、を具備する構成を採る。
【0012】
本発明の文字入力方法は、タッチパネルを備えた文字入力装置における文字入力方法であって、複数の文字が割り当てられた仮想キーに対する押圧を検出するステップと、検出した前記押圧の回数をカウントするステップと、複数の前記仮想キーに対する前記押圧を連続して検出した場合に、前記回数をカウントした前記仮想キーと異なる前記仮想キーにおける前記回数に対応する文字を表示するステップと、を具備するようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、文字入力操作が容易であり、短時間で文字入力を行うことができるとともに、使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の文字入力手順を示す図
【図2】従来の表示面における文字の表示の順番を示す図
【図3】本発明の実施の形態に係る文字入力装置の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態に係る文字入力装置の動作を示すフロー図
【図5】本発明の実施の形態に係る文字入力手順を示す図
【図6】本発明の実施の形態に係る表示面における文字の表示の順番を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態)
図3は、本発明の実施の形態に係る文字入力装置100の構成を示すブロック図である。文字入力装置100は、例えば携帯電話等の通信端末装置に搭載される。
【0017】
文字入力装置100は、キー部101と、接触検出部102と、押圧回数カウント部103と、位置検出部104と、文字決定部105と、表示部106とから主に構成される。以下に、各構成について詳細に説明する。
【0018】
キー部101は、後述する表示部106のタッチパネル上に表示される複数の入力キー(仮想キー)を有し、ユーザの指等により所定の入力キーが押圧される。そして、キー部101は、押圧された入力キーに対応する信号を接触検出部102へ出力する。
【0019】
接触検出部102は、キー部101から信号が入力した場合に、キー部101の所定の入力キーに対する押圧を検出する。そして、接触検出部102は、押圧を検出する都度、検出結果を押圧回数カウント部103及び位置検出部104へ出力する。
【0020】
押圧回数カウント部103は、接触検出部102から入力した検出結果に基づいて、入力キーに対する押圧を検出してからの押圧回数をカウントする。また、押圧回数カウント部103は、カウントした押圧回数のカウント結果を文字決定部105へ出力する。また、押圧回数カウント部103は、所定時間内に、接触検出部102から検出結果が入力しない場合には、それまでにカウントした押圧回数をリセットする。
【0021】
位置検出部104は、接触検出部102から入力した検出結果に基づいて、押圧された入力キーのタッチパネル上の位置を検出し、検出結果を文字決定部105へ出力する。
【0022】
文字決定部105は、タッチパネル上における入力キーの位置と、押圧回数と、文字とを対応付けた入力選択情報をあらかじめ記憶する。また、文字決定部105は、押圧回数カウント部103から入力した押圧回数のカウント数及び位置検出部104から入力した位置を用いて、入力選択情報を参照することにより、候補の文字を選択する。そして、文字決定部105は、選択した候補の文字を表示するように表示部106を制御する。この際、文字決定部105は、押圧回数のカウント数または位置が入力する毎に、候補の文字を選択し、選択した候補の文字を都度表示部106に表示させる制御を行う。ここで、入力選択情報として記憶している文字は、仮名文字またはアルファベット文字等の任意の文字である。
【0023】
表示部106は、文字決定部105の制御に従って、候補の文字を表示する。以上で、文字入力装置100の構成の説明を終える。
【0024】
次に、文字入力装置100の動作について、図4を用いて説明する。図4は、文字入力装置100の動作を示すフロー図である。
【0025】
最初に、接触検出部102は、タッチパネル上のキー部101の入力キーが押圧されているか否かを判定する(ステップST401)。
【0026】
押圧されていない場合には(ステップST401:No)、ステップST401の処理を繰り返す。
【0027】
一方、押圧されている場合には(ステップST401:Yes)、位置検出部104は、押圧された入力キーの位置を検出し(ステップST402)、文字決定部105は、位置検出部104により検出された位置を記憶する(ステップST403)。
【0028】
次に、押圧回数カウント部103は、最初に接触検出部102により押圧を検出した際に、押圧回数を「1」としてカウントし、文字決定部105は、押圧回数情報「1」として記憶する(ステップST404)。
【0029】
次に、文字決定部105は、記憶している位置と押圧回数情報とから、候補の文字を決定し、表示部106は、候補の文字を表示する(ステップST405)。
【0030】
次に、接触検出部102は、タッチパネル上のキー部101の入力キーが押圧されているか否かを判定する(ステップST406)。
【0031】
押圧されていない場合には(ステップST406:No)、文字決定部105は、表示部106に表示される候補の文字を確定し(ステップST407)、処理を終了する。
【0032】
一方、押圧されている場合には(ステップST406:Yes)、文字決定部105は、位置検出部104により検出された入力キーの位置が変化しているか否か判定する(ステップST408)。即ち、文字決定部105は、複数の入力キーを連続して押圧するスライド操作が行われたか否かを判定する。
【0033】
位置が変化している場合には(ステップST408:Yes)、文字決定部105は、記憶している位置を更新し(ステップST409)、処理をステップST412に進める。
【0034】
一方、位置が変化していない場合には(ステップST408:No)、文字決定部105は、押圧状態が変化しているか否か、即ち押圧回数のカウント数が増えているか否かを判定する(ステップST410)。
【0035】
押圧状態が変化していない場合には(ステップST410:No)、文字入力装置100は、ステップST406に処理を戻す。
【0036】
また、押圧状態が変化している場合には(ステップST410:Yes)、文字決定部105は、記憶している押圧回数情報を「1」だけ増加させる(ステップST411)。
【0037】
次に、文字決定部105は、記憶している位置と押圧回数情報とから、候補の文字を決定し、表示部106は、候補の文字を更新して表示する(ステップST412)。
【0038】
そして、文字入力装置100は、ステップST406に処理を戻す。以上で、文字入力装置100の動作の説明を終える。
【0039】
図5は、本実施の形態における文字入力手順を示す図である。図5は、例えば、ユーザが、仮名文字「こ」を入力する筈が、誤って仮名文字「お」を入力した場合において、仮名文字「お」から仮名文字「こ」に入力し直す際の手順を示すものである。
【0040】
図5より、文字入力装置100を搭載した通信端末装置500において、表示部106は、タッチパネルの表示面501を有する。表示面501は、上半分には入力された文字等を表示し、下半分には複数の入力キーを仮想キーとして表示する。また、図5において、入力キーK10には、「あ」、「い」、「う」、「え」、「お」の複数の仮名文字が割り当てられ、入力キーK11には、「か」、「き」、「く」、「け」、「こ」の複数の仮名文字が割り当てられ、以後の入力キーK12〜K19において、「さ」〜「ん」の仮名文字が同様に各々割り当てられる。
【0041】
図5より、通信端末装置500のユーザは、誤って「1」の表示の入力キーK10を5回押圧した場合には、仮名文字の「お」が表示面501に表示される(図5A)。また、ユーザは、押圧する入力キーの誤りに気がついた場合に、入力キーK10を押圧した状態で「2」の表示の入力キーK11へ指をスライドさせることにより、仮名文字の「お」に代えて、仮名文字の「こ」が表示面501に表示される(図5B)。このように、文字入力装置100は、押圧回数カウント部103によりカウントした入力キーK10の押圧回数(5回)を、入力キーK11に移動した後にも継承することができる。
【0042】
図6は、図5の手順で文字入力を行った場合において、表示面501における文字の表示の順番を示す図である。図6より、入力キーK10を5回押圧することにより、「あ」、「い」、「う」、「え」、「お」の順番に表示面2に表示される。さらに、押圧した状態で指を入力キーK11にスライドさせることにより、「こ」が表示面501に表示される。このように、図5及び図6の入力手順においては、間違って入力した文字「お」の表示を削除する必要がないとともに、押圧した状態で指をスライドさせるだけで、誤って入力した仮名文字「お」に代えて、正しい仮名文字「こ」が直ちに表示される。即ち、図5及び図6の場合には、入力キーを合計5回押圧するだけで、正しい仮名文字を表示させることができる。
【0043】
このように、本実施の形態によれば、複数の入力キーが連続して押圧された際に、1の入力キーにおいて検出した押圧回数を、押圧回数を検出した入力キーと異なる入力キーに継承することができることにより、文字入力操作が容易であり、短時間で文字入力を行うことができるとともに、使い勝手を向上させることができる。また、本実施の形態によれば、誤って入力した文字を削除する操作を不要にすることにより、使い勝手をさらに向上させることができる。
【0044】
なお、本実施の形態において、2つの入力キーの間で指等をスライドさせて文字入力を行ったが、本発明はこれに限らず、3つ以上の任意の数の入力キーの間で指等をスライドさせて文字入力を行っても良い。この場合、最後に押圧された入力キー以外の入力キーにおいて検出した押圧回数を、最後に押圧された入力キーに継承させることにより、最後に押圧された入力キーに割り当てられた複数の文字のうち、押圧回数に対応した文字を表示させることができる。また、本実施の形態において、左右方向に隣接する複数の入力キー上をスライドして文字入力を行ったが、本発明はこれに限らず、上下方向または斜め方向に隣接する複数の入力キー上をスライドして文字入力を行っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明にかかる文字入力装置及び文字入力方法は、特にタッチパネルにより文字入力を行うのに好適である。
【符号の説明】
【0046】
100 文字入力装置
101 キー部
102 接触検出部
103 押圧回数カウント部
104 位置検出部
105 文字決定部
106 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを備えた文字入力装置であって、
複数の文字が割り当てられた仮想キーを複数備える文字入力手段と、
前記仮想キーに対する押圧を検出する検出手段と、
検出した前記押圧の回数をカウントするカウント手段と、
前記検出手段により複数の前記仮想キーに対する押圧を連続して検出した場合に、前記回数をカウントした前記仮想キーと異なる前記仮想キーにおける前記回数に対応する文字を表示する表示手段と、
を具備する文字入力装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記回数をカウントした前記仮想キーにおける前記回数に対応する第1文字を表示するとともに、前記回数をカウントした前記仮想キーと異なる前記仮想キーにおける前記回数に対応する第2文字を前記第1文字に代えて表示する請求項1記載の文字入力装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記文字としてアルファベット文字を表示する請求項1記載の文字入力装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記文字として仮名文字を表示する請求項1記載の文字入力装置。
【請求項5】
請求項1記載の文字入力装置を具備する通信端末装置。
【請求項6】
タッチパネルを備えた文字入力装置における文字入力方法であって、
複数の文字が割り当てられた仮想キーに対する押圧を検出するステップと、
検出した前記押圧の回数をカウントするステップと、
複数の前記仮想キーに対する前記押圧を連続して検出した場合に、前記回数をカウントした前記仮想キーと異なる前記仮想キーにおける前記回数に対応する文字を表示するステップと、
を具備する文字入力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−277341(P2010−277341A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129204(P2009−129204)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】