説明

文書カタログシステム

【課題】検索サービスを提供する。
【解決手段】中央サーバ106は、検索要求をユーザー機器102からインターネット104を介して受信し、顧客サイトにおけるリソース資料に対応する情報ソースの集合を選択する。アクセス可能な情報ソースを検索した検索結果がユーザー機器102へ配信される。ユーザーは、検索結果から情報ソースを選択できる。顧客サイトがライセンス権利を有する情報ソースの閲覧可能なコピーの数が決定される。ライセンス権利は、顧客識別情報に関連付けられてアクセス権データベース110に保存される。アクセス権データベース110は、顧客サイトで検出された情報ソースのリストを保存する。情報ソースの配信されたコピーの数が決定され、配信されたコピーの数と提供されるコピーの数との和がライセンス権利を超えない場合に、情報ソースのコピーがユーザー機器102に提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に含まれる開示は一般に、公共データネットワークを介して、アクセス制御された情報ソースのオープンテキスト(open‐text)検索サービスを提供する方法に関する。より具体的には、本明細書に開示する実施形態は、インターネット等の通信ネットワークを介した情報ソースのオープンテキスト検索に関し、検索特性の情報ソース資料は図書館が所蔵していて、検索クエリーから得られた情報は著作権を侵害することなくユーザー機器で閲覧することができる。
【背景技術】
【0002】
公共データネットワーク上で容易に利用可能な情報の量は、過去50年間で指数的に増大してきた。利用可能なデータの量が増大するにつれて、情報を管理する課題がより困難になる。近年、Google(商標)およびYahoo(商標)等の企業がインターネット等の通信ネットワークを介してアクセス可能な検索エンジンを携えて出現してきた。これらの検索エンジンは、スキャナ入力されて索引付けされた情報ソースのマルチメディアおよび全文検索を可能にする。これらの情報ソースは、音声、画像およびビデオファイル、並びに本、雑誌、定期刊行物、業界誌、新聞、更には印刷形式で存在するあらゆる情報ソースが含まれる。このような一般に利用可能な検索における短所の一つは、検索結果の全文にアクセスできない点である。インターネットを介してこれらの情報を一般大衆に利用させようとする努力は、自身の知的所有権を無償で渡すことを明らかに望まない出版者や著者による抵抗を受けてきた。
【0003】
関連する従来技術として、以下の特許文献がある。
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0063615号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0063612号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0240575号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公立図書館の資料へのアクセスには制限が無いが、検索オプションは限定される。図書館における情報ソースの検索は通常、カード目録に入力された情報に限定される。この情報は、タイトル、著者、主題、または図書整理番号を含んでいてよい。図書館にある全ての情報ソースに対する全文(フルテキスト;full‐text)またはマルチメディア検索システムおよび方法は現時点では利用できないが、関連リソース資料を探し出す図書館利用者の能力を飛躍的に向上させるであろう。
【0006】
従って、図書館内でリソース資料を探し出すユーザーの能力を向上させる方法が必要とされている。より具体的には、ユーザーが図書館内の情報ソースに対し全文またはマルチメディア検索を実行して、オープンテキスト検索を通じて検出された情報ソースにアクセスできるようにする方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に含まれる開示は、上述の課題の一つ以上に対する解決策について記述する。
【0008】
本開示の実施形態は、検索サービスを提供する方法を含んでいる。本方法は、通信ネットワークを介してユーザー機器から検索特性に対する検索要求を受信するステップを含んでいてよい。検索要求は、少なくとも1個の検索特性および顧客識別情報を含んでいてよい。顧客識別情報には図書館等の顧客サイトが関連付けられており、顧客サイトで保存または所有されている情報ソースに対するライセンス権利を指定することができる。顧客識別情報に関連付けられたライセンス権利情報は、アクセス権データベースに保存されていて、当該データベースにアクセスして、検索要求による検索対象とする情報ソースの集合を選択することができる。情報ソースの検索は、オープンテキストデータベースに対して生起し、検索特性を含む一つ以上の文書を識別することができる。次いでこれらの文書のリストをコンピュータ端末等のユーザー機器へ配信することができる。
【0009】
検索結果は、少なくとも情報ソースのタイトル、著者および発行日を備えた個々のリスト項目を含む列挙リストとして配信することができる。個々のリスト項目の一部は選択可能であって、情報ソース項目のオープンテキスト版へのリンクを提供することができる。検索結果のリストがユーザー機器へ配信された後で、ユーザーは閲覧すべくリストから情報ソースを選択することができる。ライセンス権利の組に関連付けられた顧客識別情報を用いて、情報ソースの閲覧可能なコピーの数を決定することができる。このような閲覧可能なコピーの数は次いで、顧客サイトへ配信されたコピーの数と比較されて、情報ソースの選択されたコピーをユーザーが閲覧できるか否かを決定することができる。配信されたコピーの数に要求されたコピーを加えた数が当該顧客サイトのライセンス権利を超えていなければ、ユーザーに情報ソースのコピーが提供される。配信されたコピーの数に要求されたコピーを加えた数が当該顧客サイトのライセンス権利を超えた場合、選択された情報ソースが利用できない旨を示すメッセージをユーザー機器へ配信することができる。情報ソースのコピーを見たいとのユーザー要求は待ち行列に入れられて、当該情報ソースが利用可能になった場合にこれを閲覧することができる。
【0010】
顧客サイトは、当該サイトで利用可能な情報ソースのリストをアクセス権データベースに提供することができる。リスト内の項目はISBNにより識別することができる。情報ソースの追加的なコピーに対するライセンス権利を購入して、アクセス権データベースで情報ソースのリストを加算することができる。顧客サイトはまた、通信ネットワークにアクセス可能なユーザー機器をユーザーに提供することができる。
【0011】
本明細書に記載している実施形態の態様、特徴、効用および利点は、以下の記述、添付した請求項、および添付図面を通じて明らかにされる。
【0012】
本明細書および添付の請求項で使用する単数を表す名詞は、文脈において別途明示しない限り複数の対象への参照も含む点に注意されたい。別途定義しない限り、本明細書で用いる全ての技術および科学用語は、当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。
【0013】
用語「ユーザー」を以下の開示で使用するが、「ユーザー」とは、司書、図書館利用者、研究者、顧客等、任意の人または人々への参照を含んでおり、これらは全て互いに代替的に用いることができ、本発明を利用する任意の個人を表わす。用語「機器」、「機械」、「コンピュータ」、「端末」および「設備」は互いに代替的に使われており、コンピュータネットワークに含まれる得る任意の電気機器またはシステムを包含するものである。用語「図書館」とは、ユーザーが各種の形式で各種の情報ソースからリソース資料へ無制限にアクセス可能である任意の物理的場所または建物を意図している。これらのリソース資料または情報ソースには、本、定期刊行物、地図、印刷物その他の芸術作品、マイクロフィルム、マイクロフィッシュ、音声テープ、CD、LP、ビデオテープ、およびDVDを含んでいてよく、また、CD−ROM、購読データベース、およびインターネットまたは公共データネットワークにアクセスする公共施設も提供することができる。
【0014】
「全文の」または「オープンテキスト」検索は、互いに代替可能に用いられ、コンピュータに保存された文書またはデータベースを検索する技術を指す。オープンテキスト検索は、データベースのあらゆる文書の全部または多数の単語を調べて、検索要求で指定された検索単語または語句との合致を特定することができる。本明細書で用いるオープンテキスト検索はまた、検索要求に合致する属性を求めて、画像、ビデオ、音楽その他電子形式で保存できる任意の情報ソースの全部または大部分を調べることを指す。「検索特性」は、いくつかの文字、単語または語句や文のような単語の組合せ、あるいは画像、ビデオまたは音声情報ソースに関連付けられたメタデータであってよい。検索特性の文字を光学文字認識にも利用して、文字を含んでいる可能性のある画像やビデオ情報ソースの識別を行なうことができる。本明細書で用いる検索特性はまた、形状、パターン、色、トーン認識等を用いて画像、ビデオまたは音楽情報ソースの検索に利用できる画像または音声ファイルの任意の小さい部分を指す場合もある。
【0015】
「Macアドレス」は、大多数の方式のネットワーク装置に取り付けられる一意な識別子である媒体アクセス制御アドレス(Media Access Control address)を指す。本明細書で用いる「Macアドレス」を用いて、ネットワーク装置に取り付けられた任意の一意な識別子を指す場合がある。「ISBN」は、本の一意な識別子である国際標準図書番号(International Standard Book Number)を指す。本明細書で用いる「ISBN」と「文書識別番号」は互いに代替可能に用いられていて、文書の任意の一意な識別子を意味するものと解釈される。本明細書で用いる「図書館分類」または「カード目録」システムは、図書館の資料をその主題、タイトル、著者、または発行日に従いコード化および編成するシステムである。
【0016】
本開示は一般に、既存の図書館カード目録システムを電子化されたオープンテキストベースの検索システムで代替する方法に関する。サービスプロバイダは、ハードコピー本、画像その他の情報ソースをスキャナ入力して、オープンテキスト検索用にそれらに索引付けすることができる。サービスプロバイダはまた、図書館内にあるかまたは所有されているリソースのリストの情報を保存するデータベースを利用可能にすることができる。図書館は、そのサービスを申し込むかまたは実装して、自身の利用者向けに当該サービスへのアクセスを提供することができる。図書館利用者は、当該サービスにアクセスして単語、語句または電子的特性への検索要求を送信することができる。当該サービスが受理した検索要求は、サービスを利用する図書館に存在するか所有されている情報ソースだけに対してオープンテキスト検索を実行して、従来のカード目録の役割を代行する。図書館に対して、その特定の情報ソースの集合について当該サービスを提供することにより、検索および図書館利用者により深い検索能力を提供する手段として、電子化されているか否かによらず現行のカード目録システムを代替できる一方、著作権所有者が合法的に対価を得ていることを保証する。
【0017】
図書館は、自身の情報ソースのリストをそのようなサービスにアップロードして、当該サービスへのアクセスを図書館内に設置された少数のコンピュータ群だけに制限することができる。あるいは、図書館利用者は、自分の一意な図書館利用者カード(図書館カード)を識別情報として用いて、図書館に設置されていないコンピュータ端末から当該システムにアクセスすることができる。当該サービスは、図書館が所有するかまたはライセンスを付与した本および情報ソースだけに検索を制限する。著作権所持者の権利を尊重すべく、図書館利用者は、情報ソースがチェックアウト可能でない限り、情報ソース全体を実際に読んだり視聴したりすることが制限される。チェックアウト不可能な情報ソースとは、他の図書館利用者がアクセス中のものである。
【0018】
当該サービスへのアクセスは、顧客情報を保存するアクセス権データベースを介してなされる。顧客識別情報は、図書館全体の単一の識別情報、図書館内のユーザー機器のMacアドレスまたはアドレス群、個々の図書館利用者のカードからの情報、あるいはこれらの何らかの組合せであってよい。出版者は、図書館に対し、補足的なライセンスおよび著作権保護された資料の追加的なコピーの使用料をオンデマンドで提供することができる。後者の場合、より多くの利用者が同時に単一の情報ソースを閲覧することが可能である。
【0019】
このようなシステムおよび方法の利点には、情報ソースのオープンテキストを使用することで標準的な図書館カタログシステムで使用されるような単なるタイトル、主題および著者よりも高速且つ広範囲の検索が行なえる点が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
ここで図を参照するに、図1は一実施形態による高水準システムを表す図である。図書館100は、図書館が所有し、図書館の場所に保存されている情報ソースのリストをアップロードすることができる。この情報は、通信ネットワーク104を介して伝送され、アクセス権データベース110に保存される。各図書館は、情報ソースのリストに関連付けられた一意な顧客識別情報コード(ID)を有していてよい。この一意な顧客識別情報は、特定の図書館向けの単一のコードであっても、当該サービスにアクセスするために用いるべく図書館内に設置されたコンピュータまたはコンピュータ群のMacアドレスであっても、または図書館利用者の図書館カードに保存された情報であってもよい。
【0021】
当該図書館の利用者は、図書館構内に設置されたユーザー機器102を介して同一通信ネットワーク104にアクセスすることができる。あるいは、図書館利用者は、オフサイトユーザー機器またはコンピュータ端末から、自身の図書館カードを識別情報として用いて当該サービスにアクセスするこができる。図書館利用者は、ユーザー機器102から通信ネットワーク104を介して中央サーバ106へオープンテキスト検索要求を送信する。オープンテキスト検索要求は、オープンテキスト検索可能なデータベース108によりアクセス可能な情報ソースの部分集合をアクセス権データベース110が選択できるようにする顧客IDが関連付けられている。顧客識別情報は、図書館全体で単一の識別情報であっても、図書館内のユーザー機器のMacアドレスまたはアドレスであっても、個々の図書館利用者のカード(図書館カード)からの情報であっても、あるいはこれらの何らかの組合せであってもよい。
【0022】
図2に、図書館利用者によるオープンテキスト検索に関わる例証的なステップを表わすフロー図を示す。図書館利用者は、ブロック200で示すように、ユーザー機器からオープンテキスト検索を始める。ユーザー機器は、通信ネットワークに接続可能な任意のシステムであってよいが、最も一般的にはコンピュータ端末である。この検索要求は、ブロック202で示すように中央サーバにより受信され、図書館利用者がアクセス可能な情報ソースの部分集合が、ブロック204で示すようにアクセス権データベースにより決定される。アクセス可能な情報の部分集合は本、雑誌その他、利用者がオープンテキスト検索を始めた図書館において利用可能であるか、所有されているか、またはライセンス付与された任意の印刷された資料であってよい。アクセス可能な情報の部分集合はまた、利用者がオープンテキスト検索を始めた図書館において利用可能であるか、所有されているか、またはライセンス付与された画像、ビデオまたは録音された音声であってよい。次いで、オープンテキスト検索が、ブロック206で示すように、語句、単語、または検索要求の電子的特性を用いて、オープンテキスト検索可能なデータベースにおいて実行される。オープンテキスト検索の結果は、ブロック208で示すように、ユーザー機器へ配信されてリストとして示される。当該リストは、情報ソースのタイトル、著者および発行日を含んでいてよい。情報ソースが図書である場合、当該リストはISBNも含んでいてよい。出版者、編集者、および検索要求に当該テキストまたは電子的特性が情報ソース内で発見された回数等、情報ソースの他の定義特徴もまたリストに含まれていてよい。当該情報ソースがオープンテキスト検索可能なデータベースで利用可能ではないか、またはスキャナ入力および索引付けされていない場合、標準的な図書館カードのカタログの目次を表示してもよい。これにより図書館利用者は、ブロック210で示すように、語句に単語を加えるかまたは検索要求に追加的な電子的特性を加えることにより、検索の範囲を絞ることを選択したり、新規検索を開始したり、あるいは情報ソースのオープンテキスト版の配信および表示の要求を選択することができる。
【0023】
オープンテキスト検索要求には、文字列、単語、語句全体、または電子検索特性が含まれていてよい。これらの要求は、ワイルドカード文字(Bridg*における*のように、文字列「bridg」を有する単語を含む任意の情報ソースを返す)、ブール演算子(例えば「ロンドンAND橋」のように「ロンドン」という単語および「橋」という単語を含む任意の情報ソースを返すAND、OR、NOT等)、または近接演算子(「ロンドン橋」のように隣り合うロンドン橋という単語を含む情報ソースを返す)を使用することができる。検索要求が実行され、情報ソースのリストがユーザー機器へ配信されて表示されたならば、図書館利用者は情報ソースのタイトル等、結果リスト項目に関連付けられた他の任意の選択可能な領域をクリックすることにより情報ソースを閲覧すべく選択することができる。リスト内の情報ソースの数が多過ぎる場合、図書館利用者は検索要求に単語、語句または検索特性を加えることにより、検索を更に絞り込むことができる。図書館利用者は更に、新たな検索を始めるか、または検索セッションを終了するかを決定することができる。
【0024】
本開示の実施形態において、検索結果リストを閲覧する多くの異なる方法がある。これらには、例えば発行日、著者名、件名標目等の情報特徴により検索結果を再ソートすることが含まれる。ソートは、例えば著者名、件名標目、または出版者等の情報特徴のアルファベット順に基づいてよい。ソートはまた、リスト結果の関連性に基づいて、情報ソース内で検索特性が検出された回数が多いほど関連性がより高い結果であるとすることができる。完了した検索リストは、前または次ページボタン、スクロールバー、ページ番号その他のナビゲーション技術を用いて閲覧することができる。結果リストはまた、検索要求のテキストまたは電子的特性に合致する情報ソースの数、および情報ソースの列挙されたリストを表示することができる。当該リストは情報ソースのタイトルを含んでいてよく、検索要求のテキストが検出された情報ソースの小セクションへのリンクを提供することができる。これは、タイトルをクリックして当該セクションを表示する新たなページへのリンクすることにより表示することができる。他の図書館利用者によりオープンテキスト版が現在アクセスされていない場合、当該リンクは情報ソースのオープンテキスト版も表示することができる。当該オープンテキスト版は、ユーザー機器上の新規ウィンドウに表示して1ページ毎に閲覧することができる。
【0025】
図3に、ユーザー機器への情報ソースのオープンテキスト版の表示に関わる例証的なステップを表わすフロー図を示す。ブロック300で示すようにオープンテキスト検索の結果リストがユーザー機器へ配信されて表示された後で、図書館利用者は、ブロック302で示すように、特定の情報ソースのオープンテキストの閲覧を選択することができる。選択は、特定の情報ソースに関連付けられたタイトルその他の任意の領域をクリックして当該情報ソースを表示する新たなページまたは画面へリンクすることにより行なうことができる。情報ソースのオープンテキストの閲覧要求は、ブロック304で示すようにアクセス権データベースへ送信され、そこで情報ソースに対する著作権の制限が判定される。情報ソースが著作権保護されていないことがブロック306において判定された場合、ブロック308で示すようにオープンテキストがユーザー機器へ配信されて表示される。情報ソースのオープンテキスト版の配信は、情報ソース全体またはその一部を含んでいてよい。例えば、本のオープンテキスト版の配信はページ、章、または図書全体であってよいのに対し、ビデオのオープンテキスト版の配信は画像、シーン、またはビデオ全体であってよい。
【0026】
著作権保護されている情報ソースとブロック306で判定された場合、アクセス権データベースは、ブロック310で示すように、他の図書館利用者が当該情報ソースにアクセスしているか否か判定することができる。要求された情報ソースを他のどの図書館利用者もアクセスまたは閲覧していない場合、ブロック308で示すように、当該図書館利用者の装置に当該オープンテキストを配信して表示することができる。一方、要求された情報ソースのオープンテキストを第2または第3の図書館利用者が閲覧している場合、ブロック312で示すように、アクセス権データベースに保存されている顧客識別情報を用いて、情報ソースの第2または第3のコピーを表示する権利を当該図書館が有しているか否かを判定することができる。アクセスに提供可能な情報ソースのコピーの数が、閲覧用に要求されたコピーの数より大きいとブロック314で判定された場合、ブロック308で示すように、図書館利用者のユーザー機器へ情報ソースが配信されて表示される。当該数が要求されたコピー数を下回るとブロック314で判定された場合、ブロック316で示すように、当該情報ソースは待ち行列に入れられて、先の図書館利用者がこれを解放した後で閲覧できるようにする。情報ソースの小セクションを表示することができる。この小セクションは、検索要求のテキストを含む数個の文、または検索要求のテキストが配置された単一ページであってもよい。当該小セクションはまた、画像、ビデオあるいは音声ファイルの小部分であってよい。いくつかのセクションも表示または閲覧することができる。
【0027】
本開示の実施形態において、図書館利用者は、フィルタを用いて検索結果を更に絞り込むことができる。これらのフィルタは、情報ソースのタイトルまたは主題分類の中で検出された検索結果の単語または語句による絞り込みを含んでいてよい。これらの結果はまた、検索対象の情報ソースの特定期間の発行日を選択することにより絞り込むことができる。このようなフィルタの組合せを用いて、検索結果の数を減らすことができる。
【0028】
本開示の実施形態において、図書館利用者が情報ソースのオープンテキスト版を閲覧またはアクセスできる時間に制限を設けることができる。情報ソースのオープンテキスト版へのアクセスは、テキストの実際の物理的コピーのチェックアウトと同様の方法で扱うことができ、その場合、情報ソースの適切な返却を奨励すべく期限日を用いる。
【0029】
図書館は、図書館利用者がアクセスできる情報ソースのリストを作成し、定期的にこのリストを更新する。この処理における例証的なステップを表わすフロー図を図4に示す。図書館は、ブロック400で示すように(また、図1の中央データベース106として示すように)、顧客識別情報番号を用いてオープンテキスト検索可能サイトにアクセスすることができる。図書館は、ブロック402で示すように、当該図書館が所有し且つ同所に存在する情報ソースのリストをアップロードすることができる。当該リストは、各情報ソースのコピーの数に関する情報を含んでいてよい。情報ソースのこのリストは、ブロック406で示すように、アクセス権データベースに設定されており、当該図書館の利用者により将来検索され得る情報ソースを定めるために用いる。当該図書館はまた、ブロック404において決定されたように、著作権保護された資料の追加的なコピーの使用料金を支払って、捕捉的ライセンスを購入することを選択できる。後者の場合、同時により多くの利用者が単一の情報ソースを閲覧できるようになる。次いで、ブロック408で示すように情報ソースの閲覧可能なコピーの数が増やされて、ブロック406で示すようにアクセス権データベースでリセットされる。
【0030】
本明細書に記述する実施形態は、所与の物理的位置または場所に存在する情報ソースおよびリソース資料に対してユーザーがオープンテキスト検索を実行できるようにするものである。ユーザーは、検索要求に単語または語句を与え、その結果当該位置の全ての本のあらゆる関連セクションのリストの表示が得られることにより、特定主題の情報を素早く発見することができる。ユーザーはまた、画像、ビデオあるいは音声資料を、そのような資料の単一または複数の電子的特性を含む検索要求を用いて探し出すことができる。これらの電子的特性は、画像、ビデオまたは音声ファイルに関連付けられたメタデータを含んでいるか、あるいは形状または音声マッチングに用いられる画像または音声ファイルの小部分であってもよい。
【0031】
以下の例は、単に本開示の教示に寄与する機能を表わすだけであり、本開示を限定するものと考えてはならない。
【実施例1】
【0032】
「亜硫酸水素ナトリウム」のオープンテキスト検索
語句「亜硫酸水素ナトリウム」に対するオープンテキスト検索の例を示す。ワイン製造における亜硫酸水素ナトリウムの特性に関心を有する図書館利用者は、図書館内のコンピュータ端末にアクセスして、語句「亜硫酸水素ナトリウム」に対するオープンテキスト検索を実行することができる、検索要求は中央サーバにより受信され、アクセス権データベースが規定する当該図書館内の情報ソースの集合に対して実行される。アクセス権サーバは、検索要求時に提供されるユーザー機器のMacアドレスまたは一意な顧客IDを用いることができる。語句「亜硫酸水素ナトリウム」を含んでいて、ユーザーが検索を実行した図書館に存在する本のリストを返すことができる。当該リストは、1000件以上の情報ソースを含んでおり、図書館利用者が閲覧するには余りに多過ぎる。図書館利用者は、検索語句に単語「cook*」を加えることにより検索を絞り込むことにする。これにより、最初に選択された1000件のうち文字列「cook」を含むあらゆる情報ソースが返される。以下のように5冊の本のリストが返される。

1.アフラトキシンおよび食品安全性
Hamed K Abbas、Abbas K Abbas著
2005年発行
ISBN:0824723031;医学書棚に陳列

2.食品の乾燥方法
Deanna Delong、Laura(EDT)Gates著
1992年発行
ISBN:1557880506;料理書棚に陳列

3.暗室料理本
Steve Anchell著
2000年発行
ISBN:0240804236;写真書棚に陳列

4.現代のワイン作り
Philip Jackisch著
1985年発行
ISBN:0801414555;料理書棚に陳列

5.食品:料理史
Jean−Louis Flandrin、Massimo Montanari編
1999年発行
ISBN:0231111541;料理書棚に陳列
【0033】
本例では、これらの本は依然として著作権保護下にあるため、図書館は各々1冊ずつしか所有していない。図書館利用者は、本のタイトルをクリックすることにより、当該リスト内の本のオープンテキストにアクセスすることができる。選択された本のテキストを他のどの利用者も現在閲覧していなければ、検索語句「亜硫酸水素ナトリウム」が検出されたページが画面に表示される。この例では、図書館利用者がリスト内でPhilip Jackisch著「現代のワイン作り」と題された4番目の本を選択すると、亜硫酸水素ナトリウムを最初に参照する53ページ目が表示される。
「ワインに含まれる天然ナトリウム濃度は約35ppmである。特定の添加物(例:亜硫酸水素ナトリウム)はその値を増やす。民間ワイナリーのいくつかはイオンを用いて・・・」
【0034】
図書館利用者は、現在選択されている本の残りを閲覧する、検索リスト結果へ戻って閲覧する別の本を選択する、新規検索を始める、あるいは当該図書館内で実際の物理的な本を探し出すことを選択することができる。このようなオープンテキスト検索により、図書館利用者は、単純な主題検索に比べて可能な参考資料のより大きな選択物を収集することができる。この例では、図書館利用者は、ワイン製造に関する本を検出したが、同時に、亜硫酸水素ナトリウムが食品の準備または乾燥、および暗室処理にも関係し得ることを発見し、従って自身の参考資料の範囲を広げることができよう。
【実施例2】
【0035】
「熱気球」に対するオープンテキスト検索
語句「熱気球」に対するオープンテキスト検索の例を示す。熱気球に関心を有する図書館利用者は、図書館内のコンピュータ端末にアクセスして、語句「熱気球」に対するオープンテキスト検索を実行することができる。オープンテキスト検索要求は、中央サーバにより受信され、アクセス権データベースが規定する当該図書館内の情報ソースの集合に対して実行される。以下のように語句「熱気球」を含んでいて、ユーザーが検索を実行した図書館に存在する本のリストを返すことができる。

1.好奇心旺盛なジョージと熱気球
Margret Rey、H.A.Rey著
1998年発行
ISBN:0395919096;少年フィクション書棚に陳列

2.熱−流体科学の基礎
Yunus A.Cengel、Robert H.Turner著
2004年発行
ISBN:0072976756;科学書棚に陳列

3.アリゾナで最高の子連れハイキング
Lawrence Letham著
1998年発行
ISBN:0898865158;旅行書棚に陳列

4.より良い離着陸
Michael Charles著
1995年発行
ISBN:0070388067;運輸書棚に陳列

5.空中の冒険
W.de(Wilfrid)Fonvielle著
1877年発行
ISBN無し;古書棚に陳列

6.大空を征服する:ライト兄弟と飛行への大競争
James Tobin著
2003年発行
ISBN:0684856883;歴史書棚に陳列
【0036】
本例では、最初の4冊の本は著作権保護下にあるため、図書館は各々1冊ずつしか所有していない。リストの5番目の本はもはや著作権保護されていないため、たとえ図書館が1冊しか所有していなくても、同時に数人の利用者がこの本のオープンテキストを電子的に閲覧することができる。当該図書館は、著作権保護されているリストの6番目の本の第2のコピーへのアクセス権を購入した。図書館利用者は当初、熱気球への搭乗に関心があったため、Lawrence Letham著「アリゾナで最高の子連れハイキング」と題されたリストの3番目の本がタイトルをクリックすることにより選択された。現在別の利用者がこの本にアクセスしているため、システムは当該利用者に対し、今選択した本が待ち行列に入れられて、前の利用者が解放すれば直ちにこれを閲覧できる旨のメッセージを送信する。この例の図書館利用者は従って、リストから別の本を閲覧すべく選択するか、別の検索を始めるか、あるいは図書館内でその本の物理的コピーを探し出すかを決めることができる。利用者は、リスト内のJames Tobin著「大空を征服する:ライト兄弟と飛行への大競争」と題された6番目の本を選択し、この本が電子的にアクセス可能であって、オープンテキスト検索語句が161ページに検出されたことがわかる。利用者は、この本のオープンテキストにアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】一実施形態による高水準システムを表す図である。
【図2】オープンテキスト検索を実行する処理の一実施形態を表わすフロー図である。
【図3】オープンテキスト検索により検出された情報ソースを閲覧する処理の一実施形態を表わすフロー図である。
【図4】情報ソース資料のリストをアップロードする処理の一実施形態を表わすフロー図である。
【符号の説明】
【0038】
100 図書館、102 ユーザー機器、104 インターネット、106 中央サーバ、108 テキスト検索可能データベース、110 アクセス権データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索サービスを提供する方法であって、
検索特性に対する検索要求をユーザー機器から通信ネットワークを介して受信するステップと、
顧客サイトにおけるリソース資料に対応する情報ソースの集合を選択するステップと、
前記検索要求により、アクセス可能な前記情報ソースを検索して前記検索特性を含む1個以上の文書を識別するステップと、
検索結果を前記ユーザー機器へ配信するステップと、
ユーザーが前記検索結果から情報ソースを選択できるようにするステップと、
前記顧客サイトがライセンス権利を有する情報ソースの閲覧可能なコピーの数を決定するステップであって、前記ライセンス権利は、顧客識別情報に関連付けられていて、アクセス権データベースに保存されており、前記アクセス権データベースは、前記顧客サイトで検出された情報ソースのリストを保存する、ステップと、
前記情報ソースの配信されたコピーの数を決定するステップと、
前記配信されたコピーの数に提供されるコピーを加えた数が前記ライセンス権利を上回らない場合に、前記情報ソースのコピーを前記ユーザー機器に提供するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記情報ソースの閲覧可能なコピーの数を決定するステップの後で、
前記配信されたコピーの数に提供されるコピーを加えた数がライセンス権利を上回る場合に、選択された情報ソースが利用できない旨のメッセージを前記ユーザー機器へ配信するステップと、
前記情報ソースが利用可能になった場合に閲覧すべく、前記ユーザーを待ち行列に入れるステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
検索結果を配信するステップが、少なくとも情報ソースタイトル、著者および発行日を有する個々のリスト項目を含む列挙されたリストとして行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記検索要求が、少なくとも1個の検索特性および顧客識別情報を含んでいて、前記顧客識別情報が前記顧客サイトに関連付けられている、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−41090(P2008−41090A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199697(P2007−199697)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】