説明

文書管理装置、文書管理システム、印刷制御方法、印刷制御プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体

【課題】複数の文書の印刷が容易に行える文書管理装置、文書管理システム、印刷制御方法、印刷制御プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供する。
【解決手段】文書管理装置100は、所定のデータ伝送路90により画像形成装置300が接続される装置であって、文書データDから、文書に関連付けられた情報であるサブデータSD(サムネール画像データ、全文テキストデータ、及び/又はテキスト付きPDFデータなど)を抽出する抽出手段31と、抽出手段31により抽出したサブデータSDに基づいて、印刷条件の設定データである印刷条件設定データPDを生成する生成手段32と、生成手段32により生成した印刷条件設定データPDに基づいて、印刷機能21に印刷条件を設定する設定手段36と、設定手段36により印刷条件が設定された印刷機能21に印刷を指示する印刷指示手段37と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書管理装置、文書管理システムに関し、特に、複数の文書を印刷する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
文書管理装置が、ネットワークなどの所定のデータ伝送路を介して複合機やプリンタと言った画像形成装置と接続される文書管理システムはすでに知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、印刷データに基づき作成したプレビュー画像に印刷設定コマンドを付与し、印刷設定コマンドが付与されたプレビュー画像を印刷データに関連付けて格納することで、文書を紙に出力した場合の画像により文書管理ができる文書管理方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の文書管理システムにおける印刷制御では、予め決められた印刷設定に従って複数の文書を印刷していた。
【0005】
文書管理システムにおいて、複数の文書を印刷する方法としては、(1)アプリケーションが有する印刷設定に従って印刷を行う方法や、(2)予め設定しておいた印刷設定(例えば「利用頻度の高い印刷設定」)に従って印刷を行う方法などが挙げられる。
【0006】
また、文書個々に印刷設定を行い、印刷する方法も考えられるが、印刷対象の文書が大量の場合には、文書ごとに印刷設定を行うユーザ操作が必要となるため、ユーザにとってその作業は煩雑なものとなる。
【0007】
本発明は上記従来技術の問題点を鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、複数の文書の印刷が容易に行える文書管理装置、文書管理システム、印刷制御方法、印刷制御プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る文書管理装置は、所定のデータ伝送路により画像形成装置が接続される文書管理装置であって、文書データから、文書に関連付けられた情報であるサブデータを抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出したサブデータに基づいて、印刷条件の設定データである印刷条件設定データを生成する生成手段と、前記生成手段により生成した印刷条件設定データに基づいて、印刷機能に印刷条件を設定する設定手段と、前記設定手段により印刷条件が設定された印刷機能に印刷を指示する印刷指示手段と、を有している。
【0009】
このような構成によって、本発明に係る文書管理装置は、管理文書として登録要求を受け付けると、文書データから抽出したサブデータ(サムネール画像データ、全文テキストデータ、及び/又はテキスト付きPDF(Portable Document Format)データなど)を基に印刷条件の設定データである印刷条件設定データを生成する。また、文書管理装置は、印刷要求を受け付けると、生成された印刷条件設定データに基づいてプリンタドライバなどの印刷機能に印刷条件を設定し、印刷条件が設定された印刷機能に印刷指示を行う。その結果、文書データから印刷データが生成され、画像形成装置へと送信される。
【0010】
これによって、本発明に係る文書管理装置は、文書データが有するサブデータに基づき、印刷対象の文書に応じた印刷条件を動的に設定し、印刷することができる。その結果、印刷設定時におけるユーザ操作の誤り防止や煩わしさの軽減が行え、さらに複数の文書の印刷が容易に行うことができる。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷制御方法は、所定のデータ伝送路により画像形成装置が接続される文書管理装置における印刷制御方法であって、文書データから、文書に関連付けられた情報であるサブデータを抽出する抽出手順と、前記抽出手順により抽出したサブデータに基づいて、印刷条件の設定データである印刷条件設定データを生成する生成手順と、前記生成手順により生成した印刷条件設定データに基づいて、印刷機能に印刷条件を設定する設定手順と、前記設定手順により印刷条件が設定された印刷機能に印刷を指示する印刷指示手順と、を有している。
【0012】
このような手順によって、本発明に係る印刷制御方法は、文書データから抽出したサブデータを基に印刷条件の設定データである印刷条件設定データを生成し、生成された印刷条件設定データに基づいて印刷機能に印刷条件を設定し、印刷条件が設定された印刷機能に印刷指示を行うと言う管理動作を実現する。その結果、文書データから印刷データが生成され、画像形成装置へと送信される。
【0013】
これによって、本発明に係る印刷制御方法は、文書データが有するサブデータに基づき、印刷対象の文書に応じた印刷条件を動的に設定し、印刷することが可能な環境を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、文書データが有するサブデータに基づき、印刷対象の文書に応じた印刷条件を印刷機能に設定し、設定した印刷条件に従って印刷機能が印刷を行う(印刷データを生成し画像形成装置へと送信する)ことにより、複数の文書の印刷が容易に行える文書管理装置、文書管理システム、印刷制御方法、印刷制御プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る文書管理システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る文書管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る文書管理装置が有する機能構成例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る印刷条件設定データを生成・登録する処理手順例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る設定する印刷条件(カラーモードの場合)を決定する処理手順例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る設定する印刷条件(解像度の場合)を決定する処理手順例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る設定する印刷条件(フォントの場合)を決定する処理手順例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る設定する印刷条件(印刷レイアウトの場合)を決定する処理手順例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る印刷レイアウト例を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る印刷条件を設定・印刷指示する処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、「実施形態」という。)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
<システム構成>
では、本実施形態に係る文書管理システムの構成について説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る文書管理システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、文書管理システム1は、プリンタ機能を有するMFP(Multifunction Peripheral)やLP(Laser Printer)と言った画像形成装置300、クライアントPC(Personal Computer)200(以下単に「PC」という)、及び文書管理サーバ機能を有する文書管理装置100を含む。また、これらの装置は、LAN(Local Area Network)と言ったネットワークなどのデータ伝送路90で相互に接続されている。
【0019】
上記PC200は、文書データ登録・取得などの各種データ操作や、管理文書データ閲覧などの各種データ参照を行うツール20Cを有している。
【0020】
上記文書管理装置100は、オリジナルの文書データと、サブデータ(文書に関連付けられた情報)を含む文書関連データとを対応付けて、例えば文書DB(Data Base)22などの所定のデータ管理システムにより複数の文書データを一元管理する文書管理機能20Sを有している。文書管理装置100は、PC200からの要求を受け付けると、その要求に従って文書DB22へアクセスし各種データ操作や情報提供を行う。
【0021】
このようなシステム構成により、文書管理システム1では、文書管理装置100が有する文書管理機能20Sが、PC200が有するツール20Cから登録要求時に送信された文書データを取得し、文書DB22に登録することで文書管理を行う。また、文書管理装置100が有する文書管理機能20Sが、PC200が有するツール20Cから参照要求された文書データを文書DB22から取得し、要求元のPC200に提供する。
【0022】
また、文書管理装置100は、文書データや画像データを含む所定のアプリケーションで生成されたデータを印刷する印刷機能21を有している。つまり、印刷機能21は、画像形成装置300に対応するプリンタドライバ(画像形成装置300が処理可能な印刷データを生成するプログラム)により実現される機能である。
【0023】
文書管理装置100では、文書管理機能20Sが上記印刷機能21と連係動作し、文書データの印刷を制御する。つまり、文書管理機能20Sが印刷制御機能を有している。
【0024】
これにより、文書管理システム1では、文書管理装置100が有する文書管理機能20Sが、印刷機能21に文書データの印刷を指示し、印刷機能21が印刷データを生成後、画像形成装置300に印刷データを送信し、印刷が行われる。
【0025】
<ハードウェア構成>
次に、本実施形態に係る文書管理装置100のハードウェア構成について説明する。
【0026】
図2は、本実施形態に係る文書管理装置100のハードウェア構成例を示す図である。
図2に示すように、文書管理装置100は、入力装置101、表示装置102、ドライブ装置103、RAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)105、CPU106、インタフェース装置107、及びHDD(Hard Disk Drive)108を含むハードウェアを備え、それぞれがバスで相互に接続されている。
【0027】
入力装置101は、キーボード及びマウスなどを含み、文書管理装置100に各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置102は、ディスプレイなどを含み、文書管理装置100による処理結果(例えば「管理文書の書誌情報」)などを表示する。
【0028】
インタフェース装置107は、文書管理装置100をネットワークなどの所定のデータ伝送路90に接続するインタフェースである。よって、文書管理装置100は、インタフェース装置107を介して、機器200とデータ通信を行うことができる。
【0029】
HDD108は、各種プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、例えば、文書管理装置100全体を制御する情報処理システム(例えば「Windows(登録商標)」や「UNIX(登録商標)」などの基本ソフトウェアであるOS(Operating System))、及び情報処理システム上において各種機能(例えば「文書管理機能」)を提供するアプリケーションなどがある。また、HDD108は、格納している上記プログラムやデータを、所定のファイルシステム及び/又はDB(Data Base)により管理している。
【0030】
ドライブ装置103は、着脱可能な記録媒体103aとのインタフェースである。よって、文書管理装置100は、ドライブ装置103を介して、記録媒体103aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。
【0031】
ROM105は、電源を切っても内部データを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM105には、文書管理装置100が起動されるときに実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、文書管理装置100のシステム設定、及びネットワーク関連の設定などのデータが格納されている。
【0032】
RAM104は、上記各種記憶装置から読み出されたプログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。CPU106は、上記RAM104上に読み出したプログラムを実行することにより、文書管理装置100の全体制御や文書管理装置100が搭載する各種機能を動作させる。
【0033】
このようなハードウェア構成により、文書管理装置100は、例えば、HDD108からRAM104上に読み出したプログラム(印刷制御機能を含む文書管理プログラム)をCPU106により実行し、文書管理における印刷制御機能を実現することができる。
【0034】
<印刷制御機能>
次に、本実施形態に係る印刷制御機能について説明する。
【0035】
本実施形態に係る文書管理装置100では、管理文書として登録要求を受け付けると、文書データから抽出したサブデータを基に印刷条件の設定データである印刷条件設定データを生成する。また、文書管理装置100では、印刷要求を受け付けると、生成された印刷条件設定データに基づいて印刷機能21に印刷条件を設定し、印刷条件が設定された印刷機能21に印刷指示を行う。その結果、文書データから印刷データが生成され、画像形成装置300へと送信される。文書管理装置100は、このような印刷制御機能を有している。
【0036】
文書管理システム1では、管理する複数の文書データを印刷する場合がある。このときに、予め決められた印刷設定に従って文書を印刷していた。また、決められた印刷設定でなく、文書個々に印刷設定を行い、印刷する方法も考えられるが、印刷対象の文書が大量の場合、ユーザにとって文書ごとに印刷設定を行う操作は煩雑なものであった。
【0037】
そこで、本実施形態に係る文書管理装置100では、文書管理機能20Sが、文書データが有するサブデータに基づき、印刷対象の文書に応じた印刷条件を印刷機能21に設定し、設定した印刷条件に従って印刷機能21が印刷を行う(印刷データを生成し画像形成装置300へと送信する)ように制御する。
【0038】
これによって、文書管理装置100は、印刷設定時におけるユーザ操作の誤り防止や煩わしさの軽減が行え、さらに複数の文書の印刷が容易に行える。
【0039】
以下に、上記印刷制御機能の構成とその動作について説明する。
【0040】
《機能構成》
図3は、本実施形態に係る文書管理装置100が有する機能構成例を示す図である。
図3に示すように、文書管理装置100は、サブデータ抽出部31、印刷条件設定データ生成部32、データ登録部33、文書関連データ保持部34、文書関連データ取得部35、印刷条件設定部36、及び印刷指示部37を有している。
【0041】
本実施形態に係る印刷制御機能は、主に、「印刷条件設定データの生成・登録」と「印刷条件の設定及び印刷指示」に大別される。
【0042】
(印刷条件設定データの生成・登録)
サブデータ抽出部31は、文書データDからサブデータSDを抽出する。ここで、抽出されるサブデータには、サムネール、全文データ、及び/又はテキスト付きPDFデータなどがある。サムネールとは、画像や印刷物ページなどを表示する際に視認性を高めるために縮小させた見本である。全文データとは、文書データDに含まれる全文字のテキストデータである。テキスト付きPDFデータとは、テキスト形式の検索データを含むPDFデータである。
【0043】
サブデータ抽出部31が、PC200が有するツール20Cから文書データDを受信すると、受信文書データDからサブデータSDを抽出する。例えば、上記全文データ抽出の場合には、受信文書データDから、OCR(Optical Character Recognition)処理により、文書データに含まれる全文字をテキスト形式のデータとして抽出し生成する。
【0044】
なお、上記には、サブデータSDの抽出を、PC200が有するツール20Cから文書データDを受信したときに行う場合を例(文書データDの受信と同期してサブデータSDを抽出する方法)に説明を行ったが、この限りでない。例えば、サブデータSDの抽出と文書データDの受信とは、非同期に行ってもよく、文書データDの印刷要求時でもよい。
【0045】
サブデータ抽出部31は、抽出したサブデータSDを、後述する印刷条件設定データ生成部32及びデータ登録部33に渡す。
【0046】
印刷条件設定データ生成部32は、サブデータ抽出部31から受け取ったサブデータSDを基に、印刷条件の設定データである印刷条件設定データPDを生成する。
【0047】
印刷条件設定データ生成部32は、サブデータSDから取得可能なRGB値、ページ数、文字総数、及びフォント種別などに基づき、所定の判定条件に従って、カラーモード、解像度、及びフォントなどの各種印刷条件を決定する。上記RGB値はサムネールから、上記ページ数及び文字総数は全文データから、上記フォント種別はテキスト付きPDFデータから取得できる。
【0048】
印刷条件設定データ生成部32は、このようにして決定した各種印刷条件を、印刷機能21への印刷条件の指定値としてデータ化する。その結果、生成されたデータが、印刷条件設定データPDである。
【0049】
データ登録部33は、文書データD、サブデータ抽出部31により抽出されたサブデータSD、及び印刷条件設定データ生成部32により生成された印刷条件設定データPDを、対応付けてデータ登録する。上述したように文書管理装置100は、文書DB22を有している。よって、データ登録部33は、上記各データD、SD、及びPDを文書関連データとして、文書DB22の所定の記憶領域に格納することで、データ登録を行う。
【0050】
また、図3に示す文書関連データ保持部34が、文書DB22にあたり、データ登録部33により登録された各データD、SD、及びPDを保持する。例えば、文書DB22が、文書管理装置100が備えるHDD108に構築されている場合には、文書関連データ保持部34が、HDD108の所定の記憶領域にあたる。
【0051】
なお、上記には、サブデータSD及び印刷条件設定データPDの登録を、文書データDを登録したときに行う場合を例(文書データDの登録と同期してサブデータSD及び印刷条件設定データPDを登録する方法)に説明を行ったが、サブデータSDの抽出タイミングと同様にこの限りでない。例えば、サブデータSD及び印刷条件設定データPDの登録と文書データDの登録とは、非同期に行ってもよく、文書データDの印刷要求時でもよい。つまり、予め登録されている文書データDに対して、印刷要求時にサブデータSD及び印刷条件設定データPDを対応付けて登録してもよい。
【0052】
このように、文書管理装置100では、文書データDからサブデータSDを抽出し、抽出したサブデータSDを基に印刷条件の設定データである印刷条件設定データPDを生成する。続いて、生成した印刷条件設定データPDを、文書データD及びサブデータSDに関連付けて文書DB22にデータ登録する。
【0053】
(印刷条件の設定及び印刷指示)
文書関連データ取得部35は、文書関連データ保持部34に保持されている文書関連データを取得する。文書関連データ所得部35は、印刷要求を受け付けると、文書関連データ保持部34を参照し、印刷指示された文書データDの識別情報(例えば「文書ID」)を基に、文書データD、サブデータSD、及び印刷条件設定データPDを取得する。
【0054】
なお、上記印刷要求は、PC200が有するツール20Cから要求される場合や、文書管理装置100において予めスケジューリングされた印刷タスクの実行により要求される場合などを含む。
【0055】
文書関連データ取得部35は、取得した印刷条件設定データPDを、印刷条件設定部36に渡し、印刷機能21への印刷条件設定を指示する。
【0056】
印刷条件設定部36は、文書関連データ取得部35により取得した印刷条件設定データPDに基づいて、印刷機能21の印刷条件を設定する。上述したように、印刷機能21とはプリンタドライバである。よって、印刷条件設定部36は、取得した印刷条件設定データPDに含まれる用紙サイズ、用紙方向、カラーモード、及び解像度などの各種印刷条件の指定値を、例えば、プリンタドライバが有するDEVMODE構造体の該当メンバーに設定する。
【0057】
上記DEVMODE構造体とは、画像形成装置300の環境に関する各種情報が格納されているデータ構造である。例えば、DEVMOD構造体は、以下のメンバーを有する。
【0058】
(メンバー名:dmDeviceName)
画像形成装置300の名称(デバイス名)の文字列
(メンバー名:dmOrientation)
用紙の向きを指定する定数
(メンバー名:dmPaperSize)
用紙サイズを指定する定数
(メンバー名:dmColor)
画像形成装置300がカラープリント機能を有する場合にカラーモードを指定する定数
(メンバー名:dmYResolution)
LEF(Long Edge Feed(Y))方向の解像度を指定するドット数/1インチ
つまり、上記各メンバーが、印刷機能21が有する画像形成装置300の環境に関する情報に含まれる印刷条件の設定項目にあたり、メンバーの各値が設定項目値である。
【0059】
例えば、印刷条件設定部36は、印刷条件設定データPDのカラーモード指定値を、DEVMODE構成体のメンバー"dmColor"の値に設定することで、印刷時のカラーモードを指定する。また、印刷条件設定データPDの解像度指定値を、DEVMODE構成体のメンバー"dmYResolution"の値に設定することで、印刷時の解像度を指定する。
【0060】
また、取得した印刷条件設定データPDに含まれるフォントの指定値については、例えば、デバイスコンテキスト(DC:Device Context)に設定する。
【0061】
印刷指示部37は、印刷条件設定部36により印刷条件が設定された印刷機能21に対して、文書関連データ取得部35から受け取った文書データDを渡し、印刷を指示する。つまり、印刷指示部37は、印刷条件設定部36により文書データDに応じて印刷条件が設定されたプリンタドライバに対して、文書関連データ取得部35により取得した文書データDを印刷対象データとして渡し、文書データDの印刷を指示する。
【0062】
このように、文書管理装置100では、印刷要求を受け付けると、文書DB22から、印刷指示された文書データDに対応付けて登録されている印刷条件設定データPDを取得し、取得した印刷条件設定データPDに基づいて印刷機能21に印刷条件を設定する。また、文書管理装置100は、印刷条件が設定された印刷機能21に、文書データDの印刷を指示する。その結果、印刷機能21は、設定された印刷条件に従った文書データDの印刷データを生成し、生成後の印刷データを画像形成装置300へ送信する。
【0063】
このように、本実施形態に係る印刷制御機能は、上記各機能部が連係動作することにより実現される。
【0064】
以下に、印刷制御機能の詳細な動作(機能部群の連係動作)について、処理手順を示すフローチャートを用いて説明する。
【0065】
《機能動作》
印刷制御機能は、文書管理装置100に搭載(インストール)される印刷制御プログラム(ソフトウェア部品)が、CPU106により格納先(例えば「ROM」)からRAM104に読み出され、以下の処理が実行されることで実現される。
【0066】
なお、以下の処理手順の説明では、上述したように、印刷制御機能における「印刷条件設定データの生成・登録」及び「印刷条件の設定及び印刷指示」の各処理を分けて説明する。また、「印刷条件設定データの生成・登録」の処理では、上記印刷条件設定データ生成部32による所定の判定条件に従った印刷条件設定データPDの生成処理について、詳しく説明する。
【0067】
(印刷条件設定データの生成・登録)
図4は、本実施形態に係る印刷条件設定データPDを生成・登録する処理手順例を示すフローチャートである。
図4に示すように、文書管理装置100は、PC200から登録要求を受け付けると、サブデータ抽出部31により、文書データDからサブデータSDを抽出する(ステップS101)。
【0068】
続いて、文書管理装置100は、印刷条件設定データ生成部32により、抽出したサブデータSDを基に印刷条件設定データPDを生成する(ステップS102)。
【0069】
その結果、文書管理装置100は、データ登録部33により、受信文書データD、サブデータSD、及び印刷条件設定データPDを、文書関連データとして、文書関連データ保持部34に登録する(ステップS103)。
【0070】
(印刷条件の決定)
以下に、上記ステップS102における印刷条件設定データPDの生成処理について、その処理手順の詳細を説明するが、特に、所定の判定条件に従ったサブデータSDに基づく印刷条件の決定(文書データDに適した印刷条件の決定)について説明する。また、印刷条件である「カラーモード」、「解像度」、「フォント」、「印刷レイアウト」の順に説明する。
【0071】
(1)カラーモード
図5は、本実施形態に係る設定する印刷条件(カラーモードの場合)を決定する処理手順例を示す図である。(A)には処理手順、(B)には判定条件と決定カラーモードとの対応例41(カラーモード用対応表)が示されている。
図5に示すように、印刷条件設定データ生成部32は、まず、抽出されたサブデータSDにサムネールが存在するか否か(サブデータSDにサムネールが含まれるか否か)を確認する(ステップS201)。
【0072】
ステップS201において、サムネールが存在する(含まれている)ことが確認されると(ステップS201:YES)、印刷条件設定データ生成部32は、サムネールからRGBの各値(R値、G値、及びB値)を抽出する(ステップS202)。
【0073】
続いて、印刷条件設定データ生成部32は、以下の[式1]により、抽出したRGBの各値を基に輝度を算出し、さらに、以下の[式2]により、算出した輝度を基に色差を算出する(ステップS203)。
輝度:Y = (0.30R+0.59G+0.11B) ・・・ [式1]
色差 R−Y,B−Y ・・・ [式2]
なお、上記[式1]及び[式2]のR,G,Bは、RGBの各値である。また、本実施形態では、表現色における色差や輝度などを算出するための算出用データの一例としてRGB値を用いる。
【0074】
上記ステップS203の処理手順により、サムネール画像の画素数分の輝度Y及び色差R−Y,B−Yが得られる。
【0075】
続いて、印刷条件設定データ生成部32は、図中(B)に示すような所定の判定条件に従って、印刷条件のカラーモードを決定する(ステップS204)。
【0076】
図中(B)には、3つの判定条件と決定カラーモードとの対応例41が示されている。この対応例41を基に上記ステップS204の処理手順を行った場合には、次のようにカラーモードが決定される。なお、図中(B)のCAはモノクロとカラーとの境界定数を示しており、CBはカラーと2色カラーとの境界定数を示している。ここで言う「境界定数」とは、画像データが、モノクロ、カラー、又は2色カラー(黒、赤)であるかを判別するために用いる基準値(閾値)である。
【0077】
例えば、色差R−YとB−Yの平均値(AVE1=Σ(R−Y)/N,AVE2=Σ(B−Y)/N)が境界定数CAと同じ、又は境界定数CAより小さい(AVE1,AVE2≦ CA)場合には、カラーモードの印刷条件をモノクロと決定する。
【0078】
また、色差R−YとB−Yの平均値が境界定数CAより大きく(AVE1,AVE2 > CA)、かつ、色差R−Yの平均値と色差B−Yの平均値の差(=AVE1―AVE2)が境界定数CBより大きい((AVE1−AVE2) > CB)場合には、カラーモードの印刷条件を2色カラー(黒、赤)と決定する。
【0079】
また、色差R−YとB−Yの平均値が境界定数CAより大きく、かつ、色差R−Yの平均値と色差B−Yの平均値の差が境界定数CBと同じ、又は境界定数CBより小さい((AVE1−AVE2) ≦ CB)場合には、カラーモードの印刷条件をフルカラーと決定する。
【0080】
このように、印刷条件設定データ生成部32は、所定の判定条件として予め設定したおいた閾値(境界定数)及び色差R−Y,B−Yに基づき、所定の大小関係(判定条件)に従って、カラーモードの印刷条件を決定する。
【0081】
続いて、印刷条件設定データ生成部32は、上記判定により決定した印刷条件のカラーモードをデータ化し、印刷条件設定データPDを生成する(ステップS205)。
【0082】
印刷条件設定データ生成部32は、例えば、カラーモードをモノクロと決定した場合に、DEVMODE構造体のメンバー"dmColor"に設定する定数"DMCOLOR_MONOCHROME"が、カラーモードの印刷条件指定値として含まれる印刷条件設定データPDを生成する。
【0083】
また、カラーモードをフルカラーと決定した場合に、メンバー"dmColor"に設定する定数"DMCOLOR_COLOR"が、カラーモードの印刷条件指定値として含まれる印刷条件設定データPDを生成する。
【0084】
このように、印刷条件設定データ生成部32は、決定したカラーモードを基に、印刷機能21に設定可能な値(DEVMODE構造体のメンバーに設定可能な値:カラーモード指定値)に変換し、印刷条件設定データPDを生成する。
【0085】
また、ステップS201において、サムネールが存在しない(含まれていない)ことが確認されると(ステップS201:NO)、印刷条件設定データ生成部32は、カラーモードの印刷条件を決定する処理を終了する。
【0086】
(2)解像度
図6は、本実施形態に係る設定する印刷条件(解像度の場合)を決定する処理手順例を示す図である。(A)には処理手順、(B)には判定条件と決定解像度との対応例42(解像度用対応表)が示されている。
図6に示すように、印刷条件設定データ生成部32は、まず、抽出されたサブデータSDに全文データが存在するか否か(サブデータSDに全文データが含まれるか否か)を確認する(ステップS301)。
【0087】
ステップS301において、全文データが存在する(含まれている)ことが確認されると(ステップS301:YES)、印刷条件設定データ生成部32は、ページ数と全文データから文字総数(全文データの文字数)を抽出する(ステップS302)。
【0088】
続いて、印刷条件設定データ生成部32は、以下の[式3]により、抽出したページ数及び文字総数を基に1ページあたりの文字数を算出する(ステップS303)。
1ページあたりの文字数 = (文字総数/ページ数) ・・・ [式3]
続いて、印刷条件設定データ生成部32は、図中(B)に示すような所定の判定条件に従って、印刷条件の解像度を決定する(ステップS304)。
【0089】
図中(B)には、4つの判定条件と決定解像度との対応例42が示されている。この対応例42を基に上記ステップS304の処理手順を行った場合には、次のように解像度が決定される。なお、図中(B)のDAは解像度が200[dpi]であると判定する閾値を示しており、DBは300[dpi]、DCは400[dpi]であると判定する閾値を示している。
【0090】
例えば、1ページあたりの文字数(CH=文字総数/ページ数)が閾値DAと同じ、又は閾値DAより小さい(CH ≦ DA)場合には、解像度の印刷条件を200[dpi]と決定する。
【0091】
また、1ページあたりの文字数が閾値DAより大きく(CH > DA)、かつ、1ページあたりの文字数が閾値DBと同じ、又は閾値DBより大きい(CH ≦ DB)場合には、解像度の印刷条件を300[dpi]と決定する。
【0092】
また、1ページあたりの文字数が閾値DBより大きく(CH > DB)、かつ、1ページあたりの文字数が閾値DCと同じ、又は閾値DCより大きい(CH ≦ DC)場合には、解像度の印刷条件を400[dpi]と決定する。
【0093】
また、1ページあたりの文字数が閾値DCより大きい(CH > DC)場合には、解像度の印刷条件を600[dpi]と決定する。
【0094】
このように、印刷条件設定データ生成部32は、所定の判定条件として予め設定したおいた閾値及び1ページあたりの文字数に基づき、所定の大小関係(判定条件)に従って、解像度の印刷条件を決定する。
【0095】
続いて、印刷条件設定データ生成部32は、上記判定により決定した印刷条件の解像度をデータ化し、印刷条件設定データPDを生成する(ステップS305)。
【0096】
印刷条件設定データ生成部32は、例えば、解像度を300[dpi]と決定した場合に、DEVMODE構造体のメンバー"dmYResolution"に設定する1インチあたりのドット数"300"が、解像度の印刷条件指定値として含まれる印刷条件設定データPDを生成する。
【0097】
また、解像度を600[dpi]と決定した場合に、"dmYResolution"に設定する1インチあたりのドット数"600"が、解像度の印刷条件指定値として含まれる印刷条件設定データPDを生成する。
【0098】
このように、印刷条件設定データ生成部32は、決定した解像度を基に、印刷機能21に設定可能な値(DEVMODE構造体のメンバーに設定可能な値:解像度指定値)に変換し、印刷条件設定データPDを生成する。
【0099】
また、ステップS301において、全文データが存在しない(含まれていない)ことが確認されると(ステップS301:NO)、印刷条件設定データ生成部32は、解像度の印刷条件を決定する処理を終了する。
【0100】
(3)フォント
図7は、本実施形態に係る設定する印刷条件(フォントの場合)を決定する処理手順例を示す図である。(A)には処理手順、(B)には判定条件と決定使用フォントとの対応例43(使用フォント用対応表)が示されている。
図7に示すように、印刷条件設定データ生成部32は、まず、抽出されたサブデータSDにテキスト付きPDFデータ又は全文データが存在するか否か(サブデータSDにテキスト付きPDFデータ又は全文データが含まれるか否か)を確認する(ステップS401)。
【0101】
ステップS401において、テキスト付きPDFデータ又は全文データが存在する(含まれている)ことが確認されると(ステップS401:YES)、印刷条件設定データ生成部32は、テキスト付きPDFデータ又は全文データからフォント情報(使用フォント指定情報)を抽出する(ステップS402)。
【0102】
続いて、印刷条件設定データ生成部32は、図中(B)に示すような所定の判定条件に従って、印刷条件の解像度を決定する(ステップS403)。
【0103】
図中(B)には、判定条件と決定使用フォントとの対応例43が示されている。この対応例43を基に上記ステップS403の処理手順を行った場合には、次のように使用フォントが決定される。なお、対応例43に定義されている使用フォントを決定する判定条件は、フォント変換のマッピングルールである。
【0104】
例えば、上記ステップS402において取得したフォント情報が明朝又はゴシックの場合に、図中(B)に定義されているマッピングルールに従って使用フォントを決定すると、使用フォントの印刷条件がゴシックB(ゴシック太字)と決定される。
【0105】
なお、図中(B)に示すフォント変換のマッピングルールは、使用フォントを決定するための判定条件の一例であり、この限りでない。フォント変換のマッピングルールは、画像形成装置300が搭載するフォント種などに応じて定義すればよい。
【0106】
このように、印刷条件設定データ生成部32は、サブデータSDから抽出したフォント情報に基づき、所定の判定条件として予め設定したおいたフォント変換のマッピングルール(判定条件)に従って、使用フォントの印刷条件を決定する。
【0107】
続いて、印刷条件設定データ生成部32は、上記判定により決定した印刷条件の使用フォントをデータ化し、印刷条件設定データPDを生成する(ステップS404)。
【0108】
印刷条件設定データ生成部32は、例えば、使用フォントをゴシックBと決定した場合に、デバイスコンテキストに設定する"ゴシックB"のフォント指定値が、使用フォントの印刷条件指定値として含まれる印刷条件設定データPDを生成する。
【0109】
また、ステップS401において、テキスト付きPDFデータ又は全文データが存在しない(含まれていない)ことが確認されると(ステップS401:NO)、印刷条件設定データ生成部32は、使用フォントの印刷条件を決定する処理を終了する。
【0110】
(4)印刷レイアウト
図8は、本実施形態に係る設定する印刷条件(印刷レイアウトの場合)を決定する処理手順例を示す図である。
図8に示すように、印刷条件設定データ生成部32は、まず、抽出されたサブデータSDにサムネール及び全文データが存在するか否か(サブデータSDにサムネール又は全文データが含まれるか否か)を確認する(ステップS501)。
【0111】
ステップS501において、サムネール及び全文データが存在する(含まれている)ことが確認されると(ステップS501:YES)、印刷条件設定データ生成部32は、サムネール及び全文データを基に、印刷条件の印刷レイアウトを決定する(ステップS502)。
【0112】
図9は、本実施形態に係る印刷レイアウト例を示す図である。例えば、印刷条件設定データ生成部32は、図9に示すような方法で、印刷条件の印刷レイアウトを決定する。
図9には、サブデータSDに、文書データDに相当するオリジナルデータORGから抽出した複数のサムネール画像データ(A〜C)ORGa〜CORGcと、全文データTXTである複数のテキストデータ(A〜C)TXTa〜TXTcとが含まれる場合の印刷レイアウト例が示されている。
【0113】
印刷条件設定データ生成部32は、上記データを含むサブデータSDの場合、サムネール画像データORGa〜ORGcとテキストデータTXTa〜TXTcとが、ページ単位で左右二列に並べられたレイアウトを、印刷レイアウトとして決定する。その結果、印刷機能21は、二段組みの印刷レイアウトで構成された印刷データPRNを生成する。
【0114】
なお、上記印刷レイアウトは、サムネール及び全文データを基に決定された印刷レイアウトの一例であり、この限りでない。印刷レイアウトの決定は、文書データDの種類(例えば「報告書」や「プレゼン資料」)及び文書データDに含まれる各種オブジェクト種(例えば「テキスト」、「グラフィック(図・表)」、及び「画像」)に応じて、印刷後の用途にあった視認性の高い印刷結果が得られるように決定すればよい。
【0115】
このように、印刷条件設定データ生成部32は、サブデータSDに基づき、印刷結果の視認性を考慮した印刷レイアウトを印刷条件として決定する。なお、候補となる印刷レイアウトについては、予めサブデータSDの種類に対応付けておけばよい。つまり、以下に説明する印刷条件指定値の組み合わせ(用紙サイズ・方向)については、サブデータSDの種類に対して、予め幾つかのパターンを用意しておけばよい。
【0116】
続いて、印刷条件設定データ生成部32は、上記判定により決定した印刷条件の印刷レイアウトをデータ化し、印刷条件設定データPDを生成する(ステップS503)。
【0117】
印刷条件設定データ生成部32は、例えば、決定した上記図9に示した印刷レイアウトに基づき、DEVMODE構造体のメンバー"dmOrientation"に設定する用紙方向指定定数"DMORIENT_PORTRAIT"が、印刷レイアウトの印刷条件指定値として含まれる印刷条件設定データPDを生成する。また、印刷条件設定データ生成部32は、DEVMODE構造体のメンバー"dmPaperSize"に設定する用紙サイズ指定定数"DMPAPER_A4"が、印刷レイアウトの印刷条件指定値として含まれる印刷条件設定データPDを生成する。
【0118】
上述したように、メンバー"dmOrientation"には、用紙の向きを指定する定数が設定できる。具体的には、"DMORIENT_PORTRAIT"及び"DMORIENT_LANDSCAPE"がある。定数"DMORIENT_PORTRAIT"は、縦方向を指定する定数である。一方、定数"DMORIENT_LANDSCAPE"は、横方向を指定する定数である。
【0119】
また、メンバー"dmPaperSize"には、用紙サイズを指定する定数が設定できる。具体的には、"DMPAPER_LETTER"や"DMPAPER_A4"などがある。
【0120】
定数"DMPAPER_LETTER"は、レターサイズを指定する定数である。また、定数"DMPAPER_A4"は、A4サイズを指定する定数である。このように、用紙サイズを指定する定数は、用紙種類の数だけ用意されている。
【0121】
これらの定数のうち、どの定数を各メンバーに設定するのかは、決定した印刷レイアウトに応じて変更される。
【0122】
例えば、上記には、メンバー"dmOrientation"に設定する用紙方向指定定数"DMORIENT_PORTRAIT"及び"dmPaperSize"に設定する用紙サイズ指定定数"DMPAPER_A4"が、印刷レイアウトの印刷条件指定値として含まれる印刷条件設定データPDを生成する例を示した。
【0123】
印刷条件設定データ生成部32は、例えば、決定した印刷レイアウトが集約印刷のレイアウトであって2ページを集約する場合、横方向の用紙方向指定定数を設定する。一方、4ページを集約する場合、縦方向の用紙方向指定定数を設定する。
【0124】
このように、印刷条件設定データ生成部32は、決定した印刷レイアウトに応じて判断された印刷機能21に設定可能な値(DEVMODE構造体のメンバーに設定可能な値:用紙方向及び用紙サイズ指定値)に変換し、印刷条件設定データPDを生成する。
【0125】
(印刷条件の設定及び印刷指示)
図10は、本実施形態に係る印刷条件を設定・印刷指示する処理手順例を示すフローチャートである。
図10に示すように、文書管理装置100は、PC200又は自機内部の実行モジュール(例えば「印刷タスク」)から印刷要求を受け付けると、文書関連データ取得部35により、文書関連データ保持部34を参照し、登録されている(保持されている)該当する印刷条件設定データPDを取得する(ステップS601)。上述したように、文書関連データ保持部34には、データ登録部33によって、文書データD、サブデータSD、及び印刷条件設定データPDが対応付けて登録されている。そのため、要求時に指定された文書データDの識別情報(例えば「文書ID」)を基に、対応する印刷条件設定データPDを取得できる。また、このとき、文書関連データ取得部35は、印刷条件設定データPDとともに、印刷対象である文書データDも取得する。
【0126】
続いて、文書管理装置100は、印刷条件設定部36により、取得した印刷条件設定データPDの各設定データを基に、印刷機能21に印刷条件を設定する(ステップS502)。具体的には、印刷条件設定データPDに含まれる、カラーモード、解像度、及び印刷レイアウト(用紙サイズ・方向)などの各印刷条件指定値に基づき、プリンタドライバが有するDEVMODE構造体の該当メンバー"dmColor"、"dmYResolution"、"dmOrientation"、及び"dmPaperSize"の値を設定する。また、フォントに係る印刷条件設定については、印刷条件設定データPDに含まれるフォントの印刷条件指定値に基づき、使用フォントを指定するオブジェクト(例えば「Cfontオブジェクト」)をデバイスコンテキストに設定する。
【0127】
文書管理装置100は、印刷機能21への印刷条件設定を終えると、印刷指示部37により、ステップS501において取得した文書データDを印刷機能21に読み取らせることで、印刷機能21に印刷指示を行う(ステップS503)。
【0128】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る文書管理装置100によれば、サブデータ抽出部31が、文書データDからサブデータSDを抽出し、印刷条件設定データ生成部32が、抽出したサブデータSDを基に印刷条件設定データPDを生成する。生成された印刷条件設定データPDは、データ登録部33により、文書データD及びサブデータSDとともに文書関連データ保持部34へと登録される。
【0129】
また、文書管理装置100は、印刷要求を受け付けると、文書関連データ取得部35が、文書関連データ保持部34から印刷条件設定データPDを取得し、印刷条件設定部36が、取得した印刷条件設定データPDに基づいてプリンタドライバなどの印刷機能21に印刷条件を設定する。
【0130】
その後、文書管理装置100は、印刷指示部37が、印刷条件が設定された印刷機能21に印刷を指示し、印刷機能21により、印刷対象である文書データDから印刷データPRNが生成され、画像形成装置300へと送信される。
【0131】
その結果、文書管理装置100は、文書データDが有するサブデータSDに基づき、印刷対象の文書に応じた印刷条件を設定し、印刷することができる。
【0132】
よって、本実施形態に係る文書管理システム1は、印刷設定時におけるユーザ操作の誤り防止や煩わしさの軽減が行え、さらに複数の文書の印刷を容易に行うことができる。
【0133】
ここまで、上記実施形態に基づき説明を行ってきたが、上記実施形態に係る文書管理装置100が有する「印刷制御機能」は、図を用いて説明を行った各処理手順を、動作環境(プラットフォーム)にあったプログラミング言語でコード化したプログラムが、CPU106により実行されることで実現される。
【0134】
上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体103aに格納することができる。例えば、記憶媒体103aには、フロッピー(登録商標)ディスク、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、SDメモリカード(SD Memory Card)、USBメモリ(Universal Serial Bus Memory)などがある。
【0135】
よって、上記プログラムは、これらの記録媒体103aを読み取り可能なドライブ装置103又は外部記憶I/F(非図示)を介して文書管理装置100にインストールすることができる。また、文書管理装置100は、インタフェース装置107を備えていることから、電気通信回線を用いて上記プログラムをダウンロードし、インストールすることもできる。
【0136】
また、上記実施形態では、文書データD、サブデータSD、及び印刷条件設定データPDなどを含む文書関連データを、文書管理装置100が備える記憶装置に保持する構成(文書関連データ保持部34を有する構成)について説明を行ったが、この限りでない。例えば、文書管理装置100が外部記憶媒体を着脱可能な外部記憶I/F(非図示)を備えていれば、SDメモリカードやUSBメモリなどの記録媒体103aが保持する構成であってもよい。さらに、外部記憶I/F(非図示)を介して接続される外部記憶装置(例えば「外付けHDD」)が保持する構成であってもよい。
【0137】
また、上記実施形態では、カラーモード、解像度、及び印刷レイアウトを、印刷条件設定データ生成部32が生成する印刷条件項目として説明を行ったが、この限りでない。DEVMODE構造体の各メンバーのように、印刷条件設定部36が、印刷機能21であるプリンタドライバに設定可能で、かつ、サブデータ抽出部31が、文書データDから抽出した情報を基に決定可能な印刷条件であればよい。
【0138】
最後に、上記実施形態に挙げた形状や構成に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に、本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0139】
1 文書管理システム
20S 文書管理機能
20C ツール
21 印刷機能(プリンタドライバ)
31 サブデータ抽出部
32 印刷条件設定データ生成部
33 データ登録部
34 文書関連データ保持部
35 文書関連データ取得部
36 印刷条件設定部
37 印刷指示部
41 判定条件と決定カラーモードとの対応例(カラーモード用対応表)
42 判定条件と決定解像度との対応例(解像度用対応表)
43 判定条件と決定使用フォントとの対応例(使用フォント用対応表)
90 データ伝送路
100 文書管理装置(文書管理サーバ:情報処理装置)
101 入力装置
102 表示装置
103 ドライブ装置(a:記録媒体)
104 RAM(揮発性の半導体メモリ)
105 ROM(不揮発性の半導体メモリ)
106 CPU(中央処理装置)
107 インタフェース装置(NIC:Network I/F Card)
108 HDD(不揮発性の記憶装置)
200 PC(クライアントPC:情報処理装置)
300 プリンタ(画像形成装置)
D 文書データ
PD 印刷条件設定データ
SD サブデータ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0140】
【特許文献1】特開2003−303184号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のデータ伝送路により画像形成装置が接続される文書管理装置であって、
文書データから、文書に関連付けられた情報であるサブデータを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出したサブデータに基づいて、印刷条件の設定データである印刷条件設定データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成した印刷条件設定データに基づいて、印刷機能に印刷条件を設定する設定手段と、
前記設定手段により印刷条件が設定された印刷機能に印刷を指示する印刷指示手段と、を有することを特徴とする文書管理装置。
【請求項2】
前記生成手段は、
前記サブデータにサムネール画像データが含まれている場合に、
前記サムネール画像データに基づき、印刷機能に設定する印刷条件の設定項目であるカラーモードを決定し、
決定したカラーモードに基づき、前記印刷条件設定データを生成することを特徴とする請求項1に記載の文書管理装置。
【請求項3】
前記生成手段は、
前記サムネール画像データから、表現色の輝度及び色差を算出するための算出用データを抽出し、
抽出した算出用データを基に所定の計算式を用いて輝度及び色差を算出し、
算出した輝度及び色差と、所定の判定条件とに基づき、前記カラーモードを決定することを特徴とする請求項2に記載の文書管理装置。
【請求項4】
前記生成手段は、
前記算出した輝度及び色差と、モノクロ、フルカラー、又は2色カラーを判別するための閾値との大小関係に基づく判定条件に従って、前記カラーモードを決定し、
決定したカラーモードに基づき、前記印刷機能に設定するカラーモードの指定値を含む前記印刷条件設定データを生成することを特徴とする請求項2又は3に記載の文書管理装置。
【請求項5】
前記生成手段は、
前記サブデータにテキスト全文データが含まれている場合に、
前記テキスト全文データに基づき、印刷機能に設定する印刷条件の設定項目である解像度を決定し、
決定した解像度に基づき、前記印刷条件設定データを生成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の文書管理装置。
【請求項6】
前記生成手段は、
前記サブデータから文書のページ数を取得し、
前記テキスト全文データから文書の総文字数を取得し、
取得したページ数及び総文字数を基に所定の計算式を用いて1ページあたりの文字数を算出し、
算出した1ページあたりの文字数と、所定の判定条件とに基づき、前記解像度を決定することを特徴とする請求項5に記載の文書管理装置。
【請求項7】
前記生成手段は、
前記算出した1ページあたりの文字数と、複数の異なる解像度の中から1つの解像度を特定するための閾値との大小関係に基づく判定条件に従って、前記解像度を決定し、
決定した解像度に基づき、前記印刷機能に設定する解像度の指定値を含む前記印刷条件設定データを生成することを特徴とする請求項5又は6に記載の文書管理装置。
【請求項8】
前記生成手段は、
前記サブデータにテキスト全文データ又はテキスト付きPDF(Portable Document Format)データが含まれている場合に、
前記テキスト全文データ又は前記テキスト付きPDFデータに基づき、印刷機能に設定する印刷条件の設定項目である使用フォントを決定し、
決定した使用フォントに基づき、前記印刷条件設定データを生成することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の文書管理装置。
【請求項9】
前記生成手段は、
前記テキスト付きPDFデータから文書のフォント情報を取得し、
取得したフォント情報と、所定のフォント変換のマッピングルールとに基づき、前記使用フォントを決定することを特徴とする請求項8に記載の文書管理装置。
【請求項10】
前記生成手段は、
前記決定した使用フォントから判断した、前記画像形成装置のフォント搭載有無の判断結果に基づいて、前記印刷機能に設定する使用フォントの指定値を含む前記印刷条件設定データを生成することを特徴とする請求項8又は9に記載の文書管理装置。
【請求項11】
前記生成手段は、
前記サブデータに、前記サムネール画像データ及び前記テキスト全文データが含まれている場合に、
前記サムネール画像データ及び前記テキスト全文データに基づき、印刷機能に設定する印刷条件の設定項目である印刷レイアウトを決定し、
決定した印刷レイアウトに基づき、前記印刷条件設定データを生成することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の文書管理装置。
【請求項12】
前記生成手段は、
前記決定した印刷レイアウトに応じて、前記印刷機能に設定する用紙方向及び用紙サイズの指定値を含む前記印刷条件設定データを生成することを特徴とする請求項11に記載の文書管理装置。
【請求項13】
所定のデータ伝送路により、画像形成装置と文書管理装置とが接続される文書管理システムであって、
文書データから、文書に関連付けられた情報であるサブデータを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出したサブデータに基づいて、印刷条件の設定データである印刷条件設定データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成した印刷条件設定データに基づいて、前記文書管理装置が有する印刷機能に印刷条件を設定する設定手段と、
前記設定手段により印刷条件が設定された前記文書管理装置が有する印刷機能に印刷を指示する印刷指示手段と、
前記文書管理装置が有する印刷機能により生成された印刷データを、前記画像形成装置に送信する送信手段と、を有することを特徴とする文書管理システム。
【請求項14】
所定のデータ伝送路により画像形成装置が接続される文書管理装置における印刷制御方法であって、
文書データから、文書に関連付けられた情報であるサブデータを抽出する抽出手順と、
前記抽出手順により抽出したサブデータに基づいて、印刷条件の設定データである印刷条件設定データを生成する生成手順と、
前記生成手順により生成した印刷条件設定データに基づいて、印刷機能に印刷条件を設定する設定手順と、
前記設定手順により印刷条件が設定された印刷機能に印刷を指示する印刷指示手順と、を有することを特徴とする印刷制御方法。
【請求項15】
所定のデータ伝送路により画像形成装置が接続される文書管理装置における印刷制御プログラムであって、
コンピュータを、
文書データから、文書に関連付けられた情報であるサブデータを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出したサブデータに基づいて、印刷条件の設定データである印刷条件設定データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成した印刷条件設定データに基づいて、印刷機能に印刷条件を設定する設定手段と、
前記設定手段により印刷条件が設定された印刷機能に印刷を指示する印刷指示手段として機能させる印刷制御プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムを記録した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−220046(P2010−220046A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66457(P2009−66457)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】