説明

文書管理装置及びプログラム

【課題】情報を付加した文書が保存されるように、文書中の所望の箇所へ情報を付加することを、文書の長さに拘わらず短時間で行うことを可能とする。
【解決手段】メモの書き込みが行われ、書き込まれたメモの保存が望ましい文書の印刷に際し、文書ID、頁ID及び印刷位置をコード化した位置コード70も複数箇所に印刷する((A)参照)。位置コード70付き紙文書が配布された利用者が、文書中の特定箇所にメモを書き込みたい場合、特定箇所近傍に印刷されている位置コード70を携帯端末で撮影すると、特定箇所の情報がサーバから転送されて携帯端末のタッチパネル付き表示部に表示される((B)参照)。表示された特定箇所にペン72を用いてメモを書き込み、保存を指示すると((C)参照)、書き込んだメモの画像がサーバへ送信されて保存される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は文書管理装置及び文書管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば会議の出席者が会議中に配布された紙の資料にメモを書き込んだり、文書作成時に草稿の内容をチェックして書込みを行う等、紙に印刷された文書に対して付加情報を記入することが行われている。また、付加情報の記入された紙文書をスキャナでスキャンする等してコンピュータ等の情報処理装置で取り扱えるようにすることが行われている。
【0003】
一方、特許文献1には、FAXデータを受信して記録紙に印字し、記録紙に対する手書きの書き込みをタブレットで検出し、検出結果(ストロークデータ)をFAXデータと共に送信する技術が開示されている。
【0004】
また特許文献2には、シートの各フィールドに、各フィールドの位置を符号化した位置コードを印刷しておき、ペン型のセンサによって読み取られた位置コードに基づいて、何れのフィールド(に印刷されている選択肢)が選択されたかを判断する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−313771号公報
【特許文献2】特表2003−500777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、情報を付加した文書が保存されるように、文書中の所望の箇所へ情報を付加することを、文書の長さに拘わらず短時間で行うことが可能な文書管理装置及び文書管理プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る文書管理装置は、文書の情報を記憶する記憶手段に記憶されている情報に基づき前記文書を印刷装置によってシート材に印刷させると共に、前記文書を印刷したシート材上の互いに異なる複数箇所に、前記文書のうち個々の箇所に印刷されている部分を特定可能なコード情報を、機械読取可能な形態で前記印刷装置によって印刷させる印刷制御手段と、携帯端末によって読み取られ当該携帯端末から受信された前記文書が印刷されたシート材に印刷されている特定のコード情報に応じて、前記文書のうち前記受信されたコード情報によって特定される部分の情報を前記記憶手段から読み出して前記携帯端末へ送信して前記文書のうちの前記部分を前記携帯端末の表示部に表示させる送信手段と、前記携帯端末によって受け付けられ当該携帯端末から受信された前記携帯端末の表示部に表示された前記部分に対する付加情報を、前記携帯端末によって読み取られた前記特定のコード情報によって特定される部分と対応付けて前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、を含んで構成されている。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記付加情報は、前記携帯端末の表示部に設けられ当該表示部の表示面に手書きで入力された内容を画像として検知する検知手段によって検知された画像を表す画像情報である。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記印刷制御手段は、前記コード情報として、シート材に印刷される文書を識別するための文書識別情報、当該文書識別情報に対応する文書が印刷されるシート材のうち前記コード情報が印刷される頁を識別するための頁識別情報、及び、当該頁識別情報に対応する頁のシート材のうち前記コード情報が印刷される箇所の位置を表す位置情報を含む情報を前記印刷装置によって印刷させ、前記送信手段は、前記携帯端末から受信されたコード情報に応じて前記記憶手段から読み出された該コード情報に含まれる前記文書識別情報に対応する文書の情報のうち、前記コード情報に含まれる前記頁識別情報が表す頁のシート材の、前記コード情報に含まれる前記位置情報が表す位置に印刷された部分の情報を前記携帯端末へ送信する。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の発明において、前記送信手段は、前記携帯端末からの前記特定のコード情報の受信に応じて、前記記憶手段から読み出した前記文書のうち前記特定のコード情報によって特定される部分の情報と、前記記憶手段から読み出した前記部分に付加する付加情報を、前記携帯端末へ送信する。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記記憶制御手段は、個々の利用者を識別するための利用者識別情報と前記個々の利用者が操作する携帯端末の識別情報との対応に基づき、前記携帯端末から受信した付加情報と、前記付加情報の送信元の携帯端末の識別情報と対応する利用者識別情報と、を対応付けて前記記憶手段に記憶させ、前記送信手段は、前記携帯端末から受信した前記特定のコード情報に応じて、前記記憶手段に記憶された前記文書のうち前記特定のコード情報によって特定される部分に対応する付加情報を当該付加情報と対応付けて前記記憶手段に記憶されている前記利用者識別情報と共に前記携帯端末へ送信する。
【0012】
請求項6記載の発明に係る文書管理プログラムは、文書の情報を記憶する記憶手段及び印刷装置と接続され、携帯端末と通信可能なコンピュータを、前記記憶手段に記憶されている情報に基づき前記文書を前記印刷装置によってシート材に印刷させると共に、前記文書を印刷したシート材上の互いに異なる複数箇所に、前記文書のうち個々の箇所に印刷されている部分を特定可能なコード情報を、機械読取可能な形態で前記印刷装置によって印刷させる印刷制御手段、携帯端末によって読み取られ当該携帯端末から受信された前記文書が印刷されたシート材に印刷されている特定のコード情報に応じて、前記文書のうち前記受信されたコード情報によって特定される部分の情報を前記記憶手段から読み出して前記携帯端末へ送信して前記文書のうちの前記部分を前記携帯端末の表示部に表示させる送信手段、及び、前記携帯端末によって受け付けられ当該携帯端末から受信された前記携帯端末の表示部に表示された前記部分に対する付加情報を、前記携帯端末によって読み取られた前記特定のコード情報によって特定される部分と対応付けて前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1,6記載の発明は、情報を付加した文書が保存されるように、文書中の所望の箇所へ情報を付加することを、文書の長さに拘わらず短時間で行うことが可能になる、という効果を有する。
【0014】
請求項2記載の発明は、情報を付加した文書が保存されるように、文書中の所望の箇所へ情報を付加することを、従来通りの操作で行うことができる、という効果を有する。
【0015】
請求項3記載の発明は、文書が複数存在していたり、文書が複数頁から成る場合にも、情報が付加された箇所を特定できる、という効果を有する。
【0016】
請求項4記載の発明は、単一の文書に対して複数の利用者により情報が各々付加された場合にも、付加された情報を各利用者が参照(共有)することが可能になる、という効果を有する。
【0017】
請求項5記載の発明は、単一の文書に対して複数の利用者により情報が各々付加された場合にも、個々の情報を付加した利用者を識別することが可能になる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る文書管理システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】文書管理サーバによる文書管理処理の内容を示すフローチャートである。
【図3】(A)は印刷装置によって印刷された位置コード付き文書、(B)は携帯端末の表示部に表示された文書(の一部)、(C)は表示された文書に手書きでメモを追記した状態を各々示すイメージ図である。
【図4】文書へのメモ追加時(追加箇所に既登録のメモが無い場合)の処理シーケンスを示すシーケンス図である。
【図5】既登録のメモが閲覧される場合の処理シーケンスを示すシーケンス図である。
【図6】既登録のメモ閲覧時の携帯端末の画面イメージを示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には本実施形態に係る文書管理システム10と、文書管理システム10を利用する個々の利用者が各々所持している携帯端末30が各々示されている。文書管理システム10は文書管理サーバ12、外部アクセスポイント14、利用者によって操作される複数台のPC(Personal Computer)16(図1ではPC16を1台のみ示す)及び印刷装置18を備え、これらがLAN等のネットワーク20を介して互いに接続されて構成されている。
【0020】
文書管理サーバ12はサーバ・コンピュータから成り、CPU12A、メモリ12B、HDD(Hard Disk Drive)等から成る記憶部12Cを各々備えている。文書管理サーバ12の記憶部12Cには、文書の情報を登録するための文書データベース(DB)と、個々の利用者を識別するための利用者識別情報が個々の利用者が所持している携帯端末30の識別情報と対応付けて登録された利用者管理テーブルが記憶されており、記憶部12Aは請求項1等に記載の記憶手段に対応している。また、文書管理サーバ12の記憶部12Cには後述する文書管理処理を行うための文書管理プログラムが予めインストールされている。この文書表示管理プログラムは本発明に係る文書管理プログラムに対応しており、文書管理サーバ12は、CPU12Aが文書管理プログラムを実行することで、外部アクセスポイント14及び印刷装置18と共に、本発明に係る文書管理装置として機能する。
【0021】
また、外部アクセスポイント14もサーバ・コンピュータから成り、HDD等から成る記憶部14Aを備えている。外部アクセスポイント14はインターネット64に接続されており、外部アクセスポイント14の記憶部14Aには、インターネット64経由で外部アクセスポイント14が受信した情報が一時記憶される。また、印刷装置18は文書管理サーバ12やPC16から印刷画像データを受信し、受信した印刷画像データが表す画像を用紙に印刷する。なお、印刷装置18における印刷の方式は電子写真方式やインクジェット記録方式等、公知の各種方式の何れであってもよい。
【0022】
一方、携帯端末30はCPUやメモリを含んで構成された制御部32を備えている。制御部32には、記憶内容を書替可能な不揮発性のメモリ(例えばフラッシュメモリ)から成る記憶部34が接続されており、この記憶部34には、制御部32のCPUで実行される各種のプログラムが予め記憶され、後述するメモの情報も記憶される。また、携帯端末30の前面には、タッチパネル付き表示部36と、電源スイッチやテンキー等を含んで構成された操作部38が各々設けられており、タッチパネル付き表示部36及び操作部38は制御部32に接続されている。なお、タッチパネル付き表示部36における位置検出の方式は、抵抗膜方式や表面弾性波方式等、公知の何れの方式であってもよい。また携帯端末30には、CCDやMOS型イメージセンサ等の撮像素子とレンズを含んで構成された撮影部40も設けられており、この撮影部40も制御部32に接続されている。
【0023】
また携帯端末30は、無線通信網60を介しての通話又は通信を可能とする携帯電話機としての機能を備えている。図示は省略するが、無線通信網60は多数台の交換機が通信回線を介して互いに接続されていると共に、互いに異なる場所に設置され携帯端末30との間の無線通信を司る多数の基地局が、多数の交換機の何れかに各々接続されて構成されている。一方、制御部32には、増幅器42を介してスピーカ44が接続されていると共に、増幅器46を介してマイクロフォン48が接続されており、更に、無線通信部50を介してアンテナ52が接続されている。無線通信部50は、無線通信網60を介しての無線通信を司る部分であり、制御部32の制御下で、アンテナ52を介し、携帯電話機用に予め割り当てられた所定の周波数帯域の電磁波により、無線通信網60の特定の基地局と無線通信を行う機能を有している。
【0024】
また、無線通信網60はインターネット64と相互接続されている。携帯端末30は、インターネット64に接続されたコンピュータと携帯端末30との情報の送受信を行うための機能(以下、インターネットアクセス機能と称する)を有し、無線通信網60には、インターネット64に接続されたコンピュータとインターネットアクセス機能を有する携帯端末30との情報の送受信(例えばウェブページの閲覧や電子メールの送受信、ファイル転送等)を司るサーバ62が設けられている。なお、本実施形態における携帯端末としては、各種の付加機能が搭載された携帯電話機が好適であるが、PDA(Personal Digital Assistants)等の他のデバイスであってもよい。
【0025】
次に本実施形態の作用を説明する。本実施形態では、文書管理サーバ12の文書DBに情報が記憶されている任意の文書の印刷を行うにあたり、例えば前記文書を用紙に印刷した結果(紙文書)を会議の出席者へ配布することを予定している、或いは、前記文書の内容チェックのために紙文書を関係者に配布することを予定している、等のように、印刷によって得られた紙文書を、通常であればメモの書き込みが行われると共に、書き込まれたメモを保存しておくことが望ましい用途に用いることを予定している場合、利用者はPC16(携帯端末30でもよい)を介し、文書DBに情報が記憶されている文書の中から印刷対象の文書を選択し、選択した文書を位置コード付きで印刷を文書管理サーバ12へ指示する操作を行う。
【0026】
図2に示すように、文書管理サーバ12で行われる文書管理処理では、ステップ100において、PC16(或いは携帯端末30)を介して印刷対象の文書が選択され、位置コード付きの印刷が指示されたか否か判定する。この判定が否定された場合はステップ102へ移行し、携帯端末30から位置コードを受信することで、受信した位置コードに対応する文書の一部分の情報が要求されたか否か判定する。この判定が否定された場合はステップ104へ移行し、携帯端末30からメモ画像情報を受信することで当該メモ画像情報の保存が指示されたか否か判定する。この判定も否定された場合はステップ100に戻り、上記何れかの判定が肯定される迄ステップ100〜ステップ104を繰り返す。
【0027】
このため、印刷対象の文書が選択されて位置コード付きの印刷が指示された場合、文書管理サーバ12では、図2のステップ100の判定が肯定されてステップ106へ移行し、印刷対象として選択された文書の情報を文書DBから読み出す。なお文書DBには、個々の文書の情報が、個々の文書を識別するための文書IDと対応付けて記憶されており、ステップ106では選択された文書の情報と対応付けられた文書DBも読み出す。また、次のステップ108では、印刷対象の文書と共に用紙の各箇所に印刷させる位置コードを生成する。
【0028】
本実施形態では、位置コード付きの印刷が指示された場合、例として図3(A)に示すように、印刷対象の文書を印刷する各用紙の互いに異なる複数箇所に位置コード70(70A〜70F)を各々印刷する。上記の位置コード70は、印刷対象の文書(同一の用紙に印刷される文書)のうち個々の位置コード70の印刷箇所及びその近傍に印刷される部分を特定するための位置コード情報を2次元バーコード化したものであり、個々の位置コード70が表す位置コード情報は、印刷対象の文書(同一の用紙に印刷される文書)の文書IDと、印刷対象の文書(同一の用紙に印刷される文書)が印刷される用紙のうち位置コード70が印刷される頁の頁番号を表す頁IDと、当該頁IDが表す頁番号の頁が印刷される用紙のうち位置コード70の印刷位置を表す位置情報と、を含んで構成されている。前述のように、位置コード70は互いに異なる箇所に印刷されるので、個々の位置コード70が表す位置コード情報も互いに相違している。
【0029】
ステップ108における位置コード70の生成は、ステップ106で読み出した印刷対象の文書の情報に基づき、印刷対象の文書の頁数を認識し、印刷対象の文書と共に用紙に印刷する位置コード70の個数及び個々の位置コード70の印刷位置を判断し、判断結果に基づいて個々の位置コードが表す位置コード情報を各々生成し、生成した個々の位置コード情報を二次元バーコード化し当該二次元バーコードを表す画像情報へ変換することによって成される。
【0030】
なお、図3(A)では位置コード70を用紙上に一定間隔で印刷した例を示しているが、これに限られるものではなく、例えば印刷対象の文書の一段落毎に位置コード70を印刷する等、印刷対象の文書の内容に応じて位置コード70の印刷位置を変化させるようにしてもよい。例えば印刷対象の文書の一段落毎に位置コード70を印刷する場合、位置コード70が表す位置コード情報のうちの位置情報としては、位置コード70の印刷位置を表す情報に代えて、印刷対象の文書のうち位置コード70に対応する段落を識別するための情報(段落ID等)を適用することができる。
【0031】
次のステップ110では、先のステップ106で読み出した印刷対象の文書の情報に基づき、印刷対象文書の各頁毎の印刷イメージを表す画像データを生成し、各頁毎の画像データに対し、先のステップ108で判断した印刷位置に対応する位置に、ステップ108で生成した位置コード70(二次元バーコードを表す画像情報)を各々貼付することで、互いに異なる複数箇所に位置コード70を付加した印刷対象文書を表す印刷画像データを生成する。そして、生成した印刷画像データを印刷装置18へ送信すると共に、利用者から指示された印刷部数を指定して印刷を指示することで、互いに異なる複数箇所に位置コード70を付加した印刷対象文書を印刷装置18によって用紙に印刷させることを指定部数分だけ行わせ、ステップ100へ戻る。なお上述したステップ106〜110は本発明に係る印刷制御手段(より詳しくは請求項3に記載の印刷制御手段)に対応している。
【0032】
上記処理を経て用紙に印刷された文書(位置コード70付きの紙文書)は、前述のように会議の出席者や関係者へ配布されるが、位置コード70付きの紙文書を受け取った利用者は、受け取った文書の内容の確認や検討等の作業を経て、文書中の特定箇所へメモを追記したい場合、受け取った位置コード70付きの紙文書において、メモを追記したい特定箇所の近傍に印刷されている位置コード70を、自身が所持している携帯端末30の撮影部40によって撮影する操作を行う(図4のステップ150も参照)。
【0033】
携帯端末30の制御部32では、利用者によって位置コード70が撮影されると、当該撮影によって得られた画像データを撮影部40から取得し、取得した画像データを解析することで、画像として撮影された位置コード70が表す位置コード情報を復元し、メモリ等に記憶させる(図4のステップ152も参照)。そして、上記の位置コード情報を、対応する文書の情報の配信を要求する情報と共に、無線通信部50を介して文書管理サーバ12へ送信する(図4のステップ154も参照)。
【0034】
携帯端末30の無線通信部50から送信された情報は、無線通信網60、インターネット64を経由して外部アクセスポイント14で一旦受信され、外部アクセスポイント14の記憶部14Aに一旦記憶される。一方、文書管理サーバ12は、自サーバ宛の情報が受信されていないかを一定周期で外部アクセスポイント14に問い合わせており、この問い合わせを行った際に、携帯端末30から送信された文書管理サーバ12宛の情報が外部アクセスポイント14の記憶部14Aに記憶されていれば、当該情報が外部アクセスポイント14から文書管理サーバ12へ転送される。
【0035】
文書管理サーバ12では、携帯端末30から外部アクセスポイント14を経由して受信した情報の中に文書の情報の配信を要求する情報が含まれている場合、図2のステップ102の判定が肯定されてステップ112へ移行し、受信した位置コード情報から文書IDを抽出し、抽出した文書IDと対応付けて記憶されている文書(配信対象の文書)の情報を文書DBから読み出す(図4のステップ156も参照)。次のステップ114では、受信した位置コード情報から頁ID及び位置情報を各々抽出し、ステップ112で文書DBから読み出した配信対象の文書の情報に基づいて、配信対象の文書のうち、抽出した頁IDが表す頁番号の頁の、抽出した位置情報が表す位置に印刷された部分を判断する。そして、前記判断した部分の情報を配信対象の文書の情報から抽出し、抽出した情報を配信対象の情報としてメモリ12Bに記憶させる(図4のステップ158も参照)。
【0036】
ステップ116では、携帯端末30から今回受信した位置コード情報と対応付けて文書DBに登録されているメモ画像情報を検索し、次のステップ118では、ステップ116の検索によって該当するメモ画像情報が抽出されたか否か判定する。詳細は後述するが、本実施形態では、文書へ追記すべきメモが携帯端末30を介して入力され、入力されたメモを表すメモ画像情報は、文書のうち前記メモを追記すべき部分に対応する位置コード情報と対応付けて文書DBに登録される。
【0037】
このため、上記のステップ116,118では、配信対象の文書のうち携帯端末30から配信が要求された部分に既にメモが追記されているか否かを確認しており、該当するメモが存在しない場合はステップ118の判定が否定され(図4のステップ160も参照)、ステップ122において、メモリ12Bに記憶されている配信対象の情報(配信対象の文書のうち配信が要求された部分の情報)を、外部アクセスポイント14・インターネット64経由で位置コード情報送信元の携帯端末30へ送信し (図4のステップ162も参照)、ステップ100へ戻る。なお、上述したステップ112〜122は本発明に係る送信手段(より詳しくは請求項3〜請求項5に記載の送信手段)に対応している。
【0038】
文書管理サーバ12から送信された情報は、利用者の指示によって携帯端末30にダウンロードされて記憶部34に保存される。なお、ダウンロード対象の情報は、利用者が所持している位置コード70付きの紙文書に対応する文書のうち、利用者が撮影した位置コード70に対応する部分の情報のみであるので、前記文書が長大な文書であってもダウンロードは短時間で完了する。また、携帯端末30では、利用者の指示により携帯端末30の制御部32によって文書閲覧・メモ入力用のアプリケーション・プログラムが実行され、制御部32は、記憶部34に保存された情報を読み出し、例として図3(B)に示すように、読み出した情報が表す文書(利用者が位置コード70付きの紙文書として所持している文書のうち、先に利用者が撮影した位置コード70が印刷されている位置及びその近傍の部分、すなわち利用者がメモの追記を所望している特定箇所)を明示した文書表示・メモ入力画面をタッチパネル付き表示部36に表示させる(図4のステップ164も参照)。
【0039】
携帯端末30のタッチパネル付き表示部36に、メモを追記したい特定箇所が明示された文書表示・メモ入力画面が表示されると、利用者はメモ入力操作を行う(図4のステップ166も参照)。このメモ入力操作は、携帯端末30のタッチパネル付き表示部36に、文書表示・メモ入力画面が表示されている状態で、文字や図形等から成るメモをペン72によって表示画面に手書きで記入していくことで為される。なお、文書表示・メモ入力画面に表示される文書は、利用者が所持している位置コード70付きの紙文書に対応する文書のうち、利用者が撮影した位置コード70に対応する部分のみであるので、前記文書が長大な文書であっても、メモを追記したい特定箇所を表示させるためのスクロール等の操作は不要である。
【0040】
利用者によって上記のメモ入力操作が行われると、制御部32は、タッチパネル付き表示部36の表示画面のうちペン72の先端によって押圧された部分のXY座標(平面座標)を検知・記憶すると共に、検知したXY座標に基づきタッチパネル付き表示部36の表示画面のうちペン72の先端によって押圧された部分にドットを表示させることを繰り返すことで、利用者によるメモ入力操作によって手書きで入力されたメモをタッチパネル付き表示部36の表示画面の表示させる入力メモ表示処理を行う(図4のステップ168も参照)。
【0041】
メモ入力操作によってメモが入力されると、制御部32は、図3(C)に示すように、メモ入力操作によって入力したメモの保存を指示するためのボタン74を文書表示・メモ入力画面に追加表示させる。メモの入力が完了した利用者は、追加表示されたボタン74をペン72によって選択する等の操作を行うことで、メモ入力操作によって入力したメモの保存を指示する(図4のステップ170も参照)。携帯端末30の制御部32は、メモの保存が利用者から指示されると、タッチパネル付き表示部36の表示画面に表示されている保存対象のメモを表すメモ画像情報を生成し、生成したメモ画像情報を、メモリに記憶されている位置コード情報(図4のステップ152で記憶させた位置コード情報)及びメモ画像情報の保存を要求する情報と共に、無線通信部50を介して文書管理サーバ12へ送信する(図4のステップ172も参照)。なお、上記処理のうちメモ画像情報を生成する処理は、ペン72の先端による押圧を検知するタッチパネル付き表示部36のタッチパネルと共に請求項2記載の検知手段に対応している。
【0042】
上記の情報が携帯端末30から外部アクセスポイント14を経由して文書管理サーバ12で受信され、受信した情報の中にメモ画像情報の保存を要求する情報が含まれていることが文書管理サーバ12によって検知されると、文書管理サーバ12では、図2のステップ104の判定が肯定されてステップ124へ移行する。文書管理サーバ12は、携帯端末30から送信された情報を外部アクセスポイント14から受信する際に、情報送信元の携帯端末30の識別情報も同時に受信しており、ステップ124では、受信した情報送信元の携帯端末30の識別情報と対応付けて利用者管理テーブルに登録されている利用者識別情報(情報送信元の携帯端末30を操作している利用者の利用者識別情報)を利用者管理テーブルから抽出する。
【0043】
次のステップ126では、携帯端末30から受信した位置コード情報より文書IDを抽出し、携帯端末30から受信したメモ画像情報及び位置コードと、ステップ124で抽出した利用者識別情報を、抽出した文書IDが付与された文書の情報と対応付けて文書DBに登録し(図4のステップ174も参照)、ステップ100へ戻る。これにより、携帯端末30を介して利用者が入力したメモが文書DBに登録される。なお、上述したステップ124,126は本発明に係る記憶制御手段(より詳しくは請求項5に記載の記憶制御手段)に対応している。
【0044】
続いて、利用者が位置コード70付きの紙文書として所持している文書に対し、複数の利用者によって入力されて文書DBにメモ画像情報として登録されたメモを閲覧する場合について説明する。位置コード70付きの紙文書として所持している文書の特定箇所に追記されたメモを閲覧したい場合、利用者は、メモを追記する場合と同様に、位置コード70付きの紙文書において、追記されたメモを閲覧したい特定箇所の近傍に印刷されている位置コード70を、自身が所持している携帯端末30の撮影部40によって撮影する操作を行う(図5のステップ150も参照)。
【0045】
これにより、携帯端末30の制御部32では、画像として撮影された位置コード70が表す位置コード情報を復元し、メモリ等に記憶させ(図5のステップ152も参照)た後に、復元した位置コード情報を、対応する文書の情報の配信を要求する情報と共に、無線通信部50を介して文書管理サーバ12へ送信する(図5のステップ154も参照)。
【0046】
この情報が携帯端末30から外部アクセスポイント14を経由して文書管理サーバ12で受信されると、図2のステップ102の判定が肯定され、先にも説明したように、配信対象の文書の情報が文書DBから読み出され(図2のステップ112、図5のステップ156も参照)、位置コード情報によって配信が要求された部分の情報が配信対象の文書の情報から抽出されてメモリに記憶される(図2のステップ114、図5のステップ158も参照)。続いて、今回受信した位置コード情報と対応付けて文書DBに登録されているメモ画像情報が検索され(図2のステップ116も参照)、この検索によって該当するメモ画像情報が抽出されたか否かが判定される(図2のステップ118、図5のステップ160も参照)が、この場合は該当するメモ画像情報が存在しているので、判定が肯定されて図2のステップ120へ移行し、該当するメモ画像情報及びこのメモ画像情報と対応付けて記憶されている利用者識別情報を文書DBから読み出し、配信対象の情報としてメモリ12Bに追加記憶させる(図5のステップ176も参照)。
【0047】
そして次のステップ122では、メモリ12Bに記憶されている配信対象の情報が携帯端末30へ送信される(図5のステップ178も参照)ので、配信対象の文書のうち配信が要求された部分の情報に加え、当該部分に既に追記されているメモを表すメモ画像情報と利用者識別情報も携帯端末30へ送信され、利用者の指示によって携帯端末30にダウンロードされて記憶部34に保存されることになる。
【0048】
また、上記情報がダウンロードされて携帯端末30の記憶部34に保存されると、携帯端末30では、利用者の指示により携帯端末30の制御部32によって文書閲覧・メモ入力用のアプリケーション・プログラムが実行され、先にも説明したように、タッチパネル付き表示部36に文書表示・メモ入力画面が表示されるが、記憶部34に保存された情報の中にメモ画像情報と利用者識別情報が含まれている場合、制御部32は、例として図6(A)〜(C)に示すように、記憶部34に保存された情報に含まれるメモ画像情報の数(すなわち利用者が位置コード70付きの紙文書として所持している文書のうちタッチパネル付き表示部36に表示されている部分に対し、各利用者によって既に追記されたメモの総数)と同数のメモ選択ボタン76を文書表示・メモ入力画面に追加表示させる(図5のステップ180も参照)。なお、図6はメモの総数が3であり、メモの総数と同数の3個のメモ選択ボタン76A〜76Cが追加表示された例を示している。
【0049】
上記のように、メモ選択ボタン76が追加表示された文書表示・メモ入力画面がタッチパネル付き表示部36に表示されると、利用者は、追加表示されたメモ選択ボタン76をペン72によって選択する操作を行うことでメモの表示を指示する(図5のステップ182も参照)。文書表示・メモ入力画面に追加表示される個々のメモ選択ボタン76は、互いに異なるメモ画像情報に対応しており、利用者によってメモ選択ボタン76が選択されると、制御部32は、選択されたメモ選択ボタン76に対応するメモ画像情報を記憶部34から読み出し、文書表示・メモ入力画面に既に表示している画像(利用者が位置コード70付きの紙文書として所持している文書のうち利用者が位置コード70を撮影した部分の内容を表す画像) に、読み出したメモ画像情報が表すメモを重畳して表示させる(図5のステップ184も参照)。また、読み出したメモ画像情報に対応する利用者識別情報も記憶部34から読み出し、読み出した利用者識別情報から特定できる利用者の名前(表示したメモを追記した利用者の名前)も文書表示・メモ入力画面に表示させる。
【0050】
上記処理は、利用者によってメモ選択ボタン76の選択操作が行われる毎に繰り返されるので、文書表示・メモ入力画面にメモ選択ボタン76が複数表示されている場合、利用者によって異なるメモ選択ボタン76が選択される毎に、例として図6(A)〜(C)に示すように異なるメモが文書表示・メモ入力画面に表示される。これにより、位置コード70付きの紙文書が配布された複数の利用者の各々が、他の利用者によって追記されたメモを閲覧することが可能となる。また、文書の同一箇所に複数の利用者によってメモが各々追記されている場合にも、各々のメモを別々に閲覧することが可能となる。
【0051】
なお、本発明に係る付加情報は、携帯端末30を介して入力されたメモに限られるものではなく、例えば携帯端末30の撮影部40を用いて予め撮影されて保存されている写真画像や、携帯端末30に予め登録されている各種のマーク等であってもよい。
【0052】
また、上記では本発明に係る文書管理プログラムが文書管理サーバ12の記憶部12Cに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係る文書管理プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 文書管理システム
12 文書管理サーバ
12A 記憶部
14 外部アクセスポイント
18 印刷装置
30 携帯端末
32 制御部
34 記憶部
36 表示部
40 撮影部
50 無線通信部
70 位置コード
72 ペン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書の情報を記憶する記憶手段に記憶されている情報に基づき前記文書を印刷装置によってシート材に印刷させると共に、前記文書を印刷したシート材上の互いに異なる複数箇所に、前記文書のうち個々の箇所に印刷されている部分を特定可能なコード情報を、機械読取可能な形態で前記印刷装置によって印刷させる印刷制御手段と、
携帯端末によって読み取られ当該携帯端末から受信された前記文書が印刷されたシート材に印刷されている特定のコード情報に応じて、前記文書のうち前記受信されたコード情報によって特定される部分の情報を前記記憶手段から読み出して前記携帯端末へ送信して前記文書のうちの前記部分を前記携帯端末の表示部に表示させる送信手段と、
前記携帯端末によって受け付けられ当該携帯端末から受信された前記携帯端末の表示部に表示された前記部分に対する付加情報を、前記携帯端末によって読み取られた前記特定のコード情報によって特定される部分と対応付けて前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
を含む文書管理装置。
【請求項2】
前記付加情報は、前記携帯端末の表示部に設けられ当該表示部の表示面に手書きで入力された内容を画像として検知する検知手段によって検知された画像を表す画像情報である請求項1記載の文書管理装置。
【請求項3】
前記印刷制御手段は、前記コード情報として、シート材に印刷される文書を識別するための文書識別情報、当該文書識別情報に対応する文書が印刷されるシート材のうち前記コード情報が印刷される頁を識別するための頁識別情報、及び、当該頁識別情報に対応する頁のシート材のうち前記コード情報が印刷される箇所の位置を表す位置情報を含む情報を前記印刷装置によって印刷させ、
前記送信手段は、前記携帯端末から受信されたコード情報に応じて前記記憶手段から読み出された該コード情報に含まれる前記文書識別情報に対応する文書の情報のうち、前記コード情報に含まれる前記頁識別情報が表す頁のシート材の、前記コード情報に含まれる前記位置情報が表す位置に印刷された部分の情報を前記携帯端末へ送信する請求項1又は請求項2記載の文書管理装置。
【請求項4】
前記送信手段は、前記携帯端末からの前記特定のコード情報の受信に応じて、前記記憶手段から読み出した前記文書のうち前記特定のコード情報によって特定される部分の情報と、前記記憶手段から読み出した前記部分に付加する付加情報を、前記携帯端末へ送信する請求項1〜請求項3の何れか1項記載の文書管理装置。
【請求項5】
前記記憶制御手段は、個々の利用者を識別するための利用者識別情報と前記個々の利用者が操作する携帯端末の識別情報との対応に基づき、前記携帯端末から受信した付加情報と、前記付加情報の送信元の携帯端末の識別情報と対応する利用者識別情報と、を対応付けて前記記憶手段に記憶させ、
前記送信手段は、前記携帯端末から受信した前記特定のコード情報に応じて、前記記憶手段に記憶された前記文書のうち前記特定のコード情報によって特定される部分に対応する付加情報を当該付加情報と対応付けて前記記憶手段に記憶されている前記利用者識別情報と共に前記携帯端末へ送信する請求項4記載の文書管理装置。
【請求項6】
文書の情報を記憶する記憶手段及び印刷装置と接続され、携帯端末と通信可能なコンピュータを、
前記記憶手段に記憶されている情報に基づき前記文書を前記印刷装置によってシート材に印刷させると共に、前記文書を印刷したシート材上の互いに異なる複数箇所に、前記文書のうち個々の箇所に印刷されている部分を特定可能なコード情報を、機械読取可能な形態で前記印刷装置によって印刷させる印刷制御手段、
携帯端末によって読み取られ当該携帯端末から受信された前記文書が印刷されたシート材に印刷されている特定のコード情報に応じて、前記文書のうち前記受信されたコード情報によって特定される部分の情報を前記記憶手段から読み出して前記携帯端末へ送信して前記文書のうちの前記部分を前記携帯端末の表示部に表示させる送信手段、
及び、前記携帯端末によって受け付けられ当該携帯端末から受信された前記携帯端末の表示部に表示された前記部分に対する付加情報を、前記携帯端末によって読み取られた前記特定のコード情報によって特定される部分と対応付けて前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段
として機能させるための文書管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−205138(P2010−205138A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52129(P2009−52129)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】