説明

文書追跡情報を抽出可能な装置、その制御方法、プログラム

【課題】追跡情報が読み取り不可能であっても文書の追跡を可能にし、かつ追跡に必要となるログによるストレージやネットワークやサーバーへの負荷を少なくすることを目的とする。
【解決手段】出力対象の文書画像に相当する文書画像が追跡ログと共に保存手段に保存されているか判断し、保存されていないと判断した場合に、今回の出力に係る追跡ログを出力対象の文書画像と関連付けて保存手段に保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は文書追跡技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク複合機(MFP:Multifunction Printer)の普及に伴い、文書の情報漏えいが問題になっている。文書の情報漏えい問題の対策として、従来からバーコードや電子透かしなどを用いて文書へ情報を付加する技術が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1では、文書に対して固有の文書IDを含んだバーコードを文書に合成し、クライアントPCや複合機で、この文書IDと対応する操作ログとを保存する手法を提案している。
【0004】
特許文献1によれば、文書の漏えいが見つかった場合、その文書をスキャンすることにより、その文書に含まれたバーコードの情報を得て、その情報に基づきログを参照することにより、その文書の作成を指示したユーザの特定が可能になる。これにより、その文書を漏えいさせてしまったユーザの特定が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−160698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、文書そのものが漏えいし、その漏えいした文書が見つかった場合にはまだ良い。従来技術を使って、その文書を漏えいさせてしまったユーザの特定が可能になるからである。
【0007】
しかしながら、文書そのものが漏えいするのではなく、その文書に書かれた機密情報だけが漏えいすることもある。このような場合、文書そのものが手に入らないため、その文書に含まれるバーコードも手に入らない。その結果、その文書に書かれた機密情報を漏えいさせてしまったユーザの特定ができない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、出願人は、単に操作ログのみを保存するのではなく、操作ログと関連付けて文書画像も保存することを特願2009−170083号にて提案している。文書画像を保存することにより、機密情報が流出した場合、その機密情報を含む文書画像を検索することができるようになる。そして、機密情報を含む文書画像を検索することができれば、その文書画像に関連づいている操作ログも特定することができるようになる。これにより、その機密情報を流出させてしまったユーザの特定が可能になる。
【0009】
しかしながら、毎回毎回、文書画像を保存していると記憶装置を圧迫してしまう。
【0010】
そこで、本願では、初めてその文書画像を印刷して印刷物を作成する時にその文書画像及び操作ログを保存する一方で、二度目以降(その印刷物を複写する時など)は文書画像を保存せず、操作ログのみを保存する。
【0011】
すなわち、本発明に係る装置は、出力対象の文書画像に相当する文書画像が追跡ログと共に保存手段に保存されているか判断する判断手段と、前記判断手段で保存されていると判断した場合に、今回の出力に係る操作ログを前記保存手段に保存する一方で前記出力対象の文書画像を前記追跡ログに関連付けることはせず、前記判断手段で保存されていないと判断した場合に、今回の出力に係る追跡ログを前記出力対象の文書画像と関連付けて前記保存手段に保存する手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、機密情報を流出させてしまったユーザの特定を可能とすることができる。そして、ユーザを特定するために必要な情報量を減らすことができるので記憶装置の圧迫を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1におけるMFP3001のブロック図である。
【図2】実施形態1における1つのバーコードが含まれている文書画像の一例を示す図である。
【図3】実施形態1における追跡ログの情報の内容を示す図である。
【図4】実施形態1におけるMFP3001が実行する制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施形態1におけるMFP3001が実行する制御の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施形態1における追跡ログと画像ログとを用いた文書の追跡の一例を示す図である。
【図7】実施形態2における文書IDリストの一例を示す図である。
【図8】実施形態2におけるMFP3001が実行する制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、この発明に係る実施形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成要素の相対配置、数式、数値等は、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0015】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態は、ネットワーク複合機(MFP)が文書を読み取った場合は、追跡情報が付加されているか否かによって、追跡ログとして文書画像を記録するか否かを判断するものである。追跡ログとは、文書が作成または複写された経緯を特定するための情報である。具体的には、何時どのユーザによってどのMFPを用いて文書が作成または複写されたかを特定するための情報である。詳細については後述する。
【0016】
なお、本実施形態も含め以降の実施形態では、バーコードを利用する形態(即ち、バーコードを文書画像に合成して印刷する形態、及び、その印刷により得られた文書を読み取り動作を制御する形態)を例として説明を行うこととする。このバーコードには、後述する追跡情報が符号化されて含まれることになる。
【0017】
また、本実施形態では、バーコードとして2次元コードを使用し、文書の一面に対して1つの2次元コードが合成されることとする。もちろん、後述する追跡情報が符号化されて文書に合成される形態であれば、2次元コードでなくてもいずれの符号化方式を適用してもよい。なお、本実施形態において追跡情報とは2次元コードに含まれ得る情報を示しており、追跡ログとはいくつかの追跡情報を関連付けた情報でありPCやMFPにおいて保存され得る情報を示す。詳細については後述する。
【0018】
まず、全体的な処理の概略を説明するために、MFPにおいて追跡情報を2次元コードの形態で文書に付加する処理について説明する。
【0019】
始めに、追跡情報を符号化することで埋め込み情報を得る。2番目に、埋め込み情報を画像化することで2次元コードを生成する。3番目に、2次元コードと文書画像とを合成し、2次元コードの合成された文書画像を生成する。最後に、2次元コードの合成された文書画像を印刷する。これにより、追跡情報が2次元コードで付加された文書が作成される。この一連の処理を、追跡情報の「付加」と呼ぶ。なお、追跡情報を符号化し、画像化する処理(これにより、2次元コードが生成されることになる)のことを、追跡情報の「バーコード化」と称することにする。符号化方法、画像化方法及び合成方法については、公知の技術を用いることが可能であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0020】
次に、MFPにおいて、追跡情報が2次元コードで付加された文書から追跡情報を抽出する処理について説明する。始めに、スキャナ原稿台やADF(Auto Document Feeder)でその文書を読み取り、文書画像を生成する。2番目に、その文書画像から2次元コードを見つけ出す。3番目に、見つけ出した2次元コードを情報化して埋め込み情報を得る。4番目に、埋め込み情報を復号化して追跡情報を得る。これにより、追跡情報が2次元コードで付加された文書から、追跡情報を得ることができる。この一連の処理の内の2番目以降の処理を、追跡情報の「抽出」と呼ぶ。これらの一連の処理についても公知の技術を用いることが可能であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0021】
以下、図1を参照して本発明の第1の実施形態におけるネットワーク複合機MFP3001の構成について詳細に説明する。ここで、図1は、本実施形態に係るMFP3001の構成を例示するブロック図である。
【0022】
制御部1は、MFP3001の各ユニットの動作制御をおこなう箇所である。制御部1は、CPU(Central Processing Unit)を有している(ここでは図示しない)。操作部5は、MFP3001に対するユーザからの操作入力を受け付ける箇所である。ユーザ認証部6は、MFP3001を使用するユーザの認証に必要な情報を管理する箇所である。ユーザ認証部6の詳細な動作については後述する。
【0023】
読取部2は、上述の文書を読み取ることで(例えば、スキャンし)、その文書の文書画像の生成を行う箇所である。なお、文書が印刷物等の紙文書であるのに対して、文書画像はデジタル(又は、アナログ)のデータである。
【0024】
情報化部3は、上述の文書画像から2次元コードを見つけ出して追跡情報の復号化を行う箇所である。メモリ7は、文書画像を記憶する箇所である。出力部8は、メモリ7から文書画像を読み出した後、文書画像の印刷、または、文書画像の外部装置への送信等の出力を行う箇所である。ここで外部装置とは、MFP3001とネットワークを介して接続されているPC等を指す。また、後述する追跡ログ等を外部装置に記憶させる場合には出力部8を介して外部装置との間で追跡ログの情報の送受信も行われる。
【0025】
表示部9は、制御部1の制御により表示画面の表示を行う箇所である。データベース10は、MFP3001の印刷設定、ジョブログ、後述する追跡ログ等を記録する箇所である。エンコード部11は、上述の符号化と画像化を行う箇所である。
【0026】
次に、追跡情報を付加したい場合にユーザが行う手続き、及びユーザの手続に応じてMFP3001が行う処理について説明する。
【0027】
文書に追跡情報を付加したいユーザは、まず、表示部9に表示されるユーザ認証画面(ここでは図示しない)を見ながら、ユーザID及びパスワードを、操作部5を介して入力する。操作部5を介して入力された情報は、操作部5からユーザ認証部6に送られる。ユーザ認証部6は、管理している情報に従って、入力されたパスワードが適切なパスワードであるか判断する。判断の結果、パスワードが適切なパスワードである場合に、ユーザ認証部6は、適切なパスワードであるということを示す情報とユーザIDとを制御部1に送信する。適切なパスワードであるということを示す情報とユーザIDとを受信した制御部1は、表示部9に、追跡情報の抽出と付加を行うべきかをユーザに問うチェックボックスを表示する(ここでは図示しない)。ユーザが、操作部5からチェックボックスに対してチェックをした場合は、追跡情報が印刷対象の文書に付加されることになる。一方、チェックしなかった場合は追跡情報が印刷対象の文書に付加されないことになる。なお、本実施形態においては、たとえユーザがチェックボックスに対してチェックをしなかった場合、すなわち、追跡情報が印刷対象の文書に付加されない場合であっても、後述するように画像ログを含む追跡ログ自体は保存することになる。
【0028】
なお、一連の操作で作成された文書にはすべて同じ追跡情報が付加されることになる。ここで、一連の操作とは、スキャナ原稿台やADFに置かれた文書群を一度の複写指示で複写することである。
【0029】
よって、例えば、ユーザが元の文書(例えば、4枚)をADFに置いて3部複写する指示をMFP3001にした場合、作成された3部の複写された文書(つまり、12枚)は一連の操作で複写されたものとなる。従って、その3部の複写された文書にはすべて同じ追跡情報が付加されることとなる。すなわち、複写された文書には同じバーコードが合成されることになる。
【0030】
なお、追跡情報を付加するための入力は、MFP3001と接続されているPCのドライバやユーティリティ上から行ってもよい。
【0031】
図2は、2次元コードを合成したときの文書画像の一例である。文書301に対して、追跡情報を持つ2次元コード302が付加されていることを示している。
【0032】
次に、追跡ログの内容について図3を用いて詳細に説明する。図3は、1レコード分の追跡ログ401の内容を示す一例である。1レコード分とは、例えば文書に対する1回の操作において生成され保存される情報のことを示す。追跡ログ401には第1の追跡情報402と第2の追跡情報407とが含まれており、また、追跡ログ401には画像ログ412が関連付けられている。
【0033】
第1の追跡情報402は読み取った文書に付加されている2次元コードに埋め込まれている情報を示しており、第1の文書ID403、第1のユーザID404、第1のタイムスタンプ405、第1の装置情報406が含まれている。第1の文書ID403は、文書をユニークに識別するための識別子である。第1のユーザID404は、文書の複写や送信などの操作を行ったユーザのユーザIDを示す。第1のタイムスタンプ405は、文書の複写や送信が行われた時刻を示す。第1の装置情報406は文書の複写や送信などの操作が行われた装置の情報(例えば装置のシリアルナンバーなど)を示す。このように第1の追跡情報402は、過去にその文書に対して行われた情報が含まれる。
【0034】
第2の追跡情報407は、読み取った第1の追跡情報402を更新し、出力文書に合成する2次元コードに埋め込む情報を示しており、第2の文書ID408、第2のユーザID409、第2のタイムスタンプ410、第2の装置情報411が含まれている。第2の文書ID408は、文書をユニークに識別するための識別子である。第2のユーザID409は、今回文書の複写や送信などの操作を行うユーザのユーザIDを示す。第2のタイムスタンプ410は、今回文書の複写や送信を行う時刻を示す。第2の装置情報411は今回文書の複写や送信などの操作を行う装置の情報(例えば装置のシリアルナンバーなど)を示す。このように、第2の追跡情報407は、今回その文書に対して行われる情報が含まれる。
【0035】
さらに画像ログ412は、追跡ログ401に関連付けられて保存される文書画像のデータである。上述したように、文書画像のデータを保存することにより、機密情報が流出した場合、その機密情報を含む文書画像を検索することができるようになる。そして、機密情報を含む文書画像を検索することができれば、その文書画像に関連づいている操作ログも特定することができるようになる。これにより、その機密情報を流出させてしまったユーザの特定が可能になる。図3においては、画像ログ412は2次元コードが合成される前の文書画像のデータを示している。なお、図示していないが、追跡ログは文書が複数ページである場合には、そのページ数分の情報を持つ。例えば文書が3ページである場合には、追跡ログ401に関連付けられて保存される文書画像のデータについても3ページ分の文書画像のデータが保存されることになる。
【0036】
また、図示していないが、追跡ログには文書の複写や送信などの、その文書に対して行われる操作の種類を示す情報が含まれ得る。
【0037】
次に、MFP3001とネットワークを介して接続されているPC等(ここでは図示しない)から出力指示を受け取った際の、MFP3001の出力動作について図4のフローチャートを用いて詳細に説明する。以下で説明する処理は、メモリ7に保存されているプログラムを制御部1が実行することによって実現される。
【0038】
制御部1はメモリ7に保存されているPCから出力指示から追跡情報を生成する(S201)。すなわち、PCからの出力指示に含まれるユーザIDなどを用いて追跡情報を生成する。次に、S201で生成した追跡情報から追跡ログを生成しデータベース10に保存する(S202)。S201で生成された追跡情報は、図3の追跡ログ401の第2の追跡情報407に相当する。
【0039】
次に制御部1はメモリ7に保存されているPCから出力指示された文書画像から画像ログを生成しデータベース10に保存する(S203)。画像ログは先に生成した追跡ログと関連付けて保存される。PCからの出力指示ということは、その文書に対する最初の印刷が行われることを意味する。従って、出力対象の文書画像に相当する文書画像(すなわち、画像ログ)が追跡ログと共に保存されていないと判断し、この画像ログを保存する処理が行われる。
【0040】
次に制御部1は、PCにて選択された追跡情報の付加の有無を選択するチェックボックスがチェックされているかを判断する(S204)。すなわち、出力対象となる文書画像に2次元コードを合成するか否かの判断が行われる。
【0041】
S204において、制御部1が、チェックボックスがチェックされていると判断した場合、すなわち、追跡情報の付加を実行すると判断した場合、エンコード部11はS201で生成した追跡情報を符号化、および、画像化することで2次元コードを生成する。さらに、エンコード部11は、当該2次元コードをメモリ7に送信する。その後、制御部1は、メモリ7が追跡情報である2次元コードと文書画像とを受け取ったことを検知すると、メモリ7において、2次元コードと文書画像とを合成して2次元コードの合成された文書画像を生成する(S205)。次に、制御部1は、2次元コードの合成された文書画像をメモリ7から出力部8に送信し、出力部8で文書画像を印刷する(S206)。
【0042】
一方、S204において、制御部1が、チェックボックスがチェックされていないと判断した場合、制御部1は、文書画像をそのままメモリ7から出力部8に送信し、出力部8で文書画像を印刷する(S206)。このように、PCから出力指示された文書画像では、たとえユーザがその文書画像に追跡情報を付加しないことを選択した場合であっても、画像ログと関連付けられた追跡ログを保存しておく処理が行われる。文書の追跡を確実に行うためである。
【0043】
次に、文書をMFP3001が読み取った場合に、追跡情報が付加されているか否かによって、文書の追跡ログとして文書画像(画像ログ)を記録するか否かを判断する動作について図5のフローチャートを用いて詳細に説明する。追跡情報が付加されている場合には、既にその文書の文書画像が画像ログとして記録されているので、追跡情報を用いることでその文書の追跡が可能となる。従って、追跡情報が付加されている場合には出力対象の文書画像に相当する画像ログが追跡ログと共に保存されていると判断し、追跡ログとして画像ログを記録しない処理が行われることになる。以下、処理の流れを説明する。なお、以下で説明する処理は、メモリ7に保存されているプログラムを制御部1が実行することによって実現される。
【0044】
ユーザ認証部6は、操作部5より入力されたユーザIDとパスワードにより、ユーザを認証する(S501)。ユーザ認証部6によりユーザ認証が成功したと判断された場合は、制御部1は、読取部2に文書の読み取りを行うことで文書画像を生成するように指示し、メモリ7と情報化部3に送信させる(S502)。次に、制御部1は、操作部5が表示する追跡情報の抽出と付加の有無を選択するチェックボックスがチェックされているかを判断する(S503)。
【0045】
S503において、制御部1は、チェックボックスがチェックされていると判断した場合、すなわち、追跡情報の抽出と付加を実行すると判断した場合、情報化部3はバーコードの復号化を試みる(S504)。制御部1は、情報化部3での復号化の結果として、文書の追跡情報を抽出できたかを判断する(S505)。
【0046】
S505において、制御部1が追跡情報を抽出したと判断した場合は、抽出した追跡情報を図3に示す追跡ログ401の第1の追跡情報402としてデータベース10に保存する(S506)。
【0047】
その後、制御部1は追跡情報を更新し、エンコード部11は更新した追跡情報を符号化、および、画像化することで2次元コードを生成する。さらに、エンコード部11は、当該2次元コードをメモリ7に送信する。(S507)制御部1は、更新した追跡情報を図3に示す追跡ログ401の第2の追跡情報407としてデータベース10に保存する(S508)。
【0048】
その後、制御部1は、更新した追跡情報である2次元コードと文書画像とをメモリ7が受け取ったことを検知すると、メモリ7において、2次元コードと文書画像とを合成して2次元コードの合成された文書画像を生成する(S509)。
【0049】
次に、制御部1は、2次元コードの合成された文書画像をメモリ7から出力部8に送信し、出力部8で文書画像を印刷する(S510)。
【0050】
一方、制御部1がS503において、チェックボックスがチェックされていないと判断した場合、すなわち追跡情報の抽出及び付加を実行しないと判断した場合は、出力対象の文書画像に相当する画像ログが追跡ログと共に保存されているかは不明である。そこで、文書を確実に追跡するために追跡情報の抽出及び付加を実行しないと判断した場合は、出力対象の文書画像に相当する画像ログが追跡ログと共に保存されていないと判断する。そして、読み取った文書画像データを図3に示す画像ログ412として、追跡ログ401に関連付けてデータベース10に保存する処理を行う(S514)。その後、制御部1は追跡情報を生成し(S515)、生成した追跡情報を図3に示す追跡ログ401の第2の追跡情報407としてデータベース10に保存する(S516)。その後、制御部1は文書画像をメモリ7から出力部8に送信し、出力部8で文書画像を印刷する(S510)。ユーザによって追跡情報の抽出と付加を行わないと選択された場合であっても画像ログが関連付けられた追跡ログを保存するのでその後の文書の追跡を確実に行うことができる。
【0051】
また、S505において、追跡情報が付加されていないと判断した場合は、出力対象の文書画像に相当する画像ログが追跡ログと共に保存されていないと判断し、次の処理をする。すなわち、読み取った文書画像データを図3に示す画像ログ412として、追跡ログ401に関連付けてデータベース10に保存する処理を行う(S511)。追跡情報が付加されていない場合には、文書を追跡することができないので、文書画像を画像ログ412としてデータベース10に保存する必要がある。その後、制御部1は追跡情報を生成し(S512)、図3に示す追跡ログ401の第2の追跡情報407としてデータベース10に保存する(S513)。その後、制御部1は文書画像に更新した追跡情報を付加し(S509)、文書画像を印刷する(S510)。
【0052】
次に図6を用いて追跡情報が付加されていない文書を複写し、その複写した文書をさらに複写した場合の追跡ログと画像ログを用いた文書の追跡方法を説明する。
【0053】
ここでMFP604とMFP605は追跡情報の抽出と付加を行うかのチェックボックスはチェックされているものとする。
【0054】
まず、MFP604が追跡情報の付加されていない文書601を複写すると、MFP604は、新たな追跡情報として追跡情報606が付加された文書602を出力する。このときMFP604は図5のフローに従い、追跡ログ608と追跡ログ608に関連付けされた画像ログ610とを保存する。
【0055】
さらに、MFP605が追跡情報606の付加されている文書602を複写すると、MFP605は、更新した追跡情報607が付加された文書603を出力する。このときMFP605は図5のフローに従い、画像ログを保存せず追跡ログ609のみを保存する。
【0056】
以上、説明したように、実施形態1では追跡情報が付加されていない文書を読み取った場合に、図3に示す画像ログをデータベース10に保存しておく。また、チェックボックスにて追跡情報の抽出と付加を行わないと設定されている場合に図3に示す画像ログをデータベース10に保存しておく。その効果を以下に説明する。
【0057】
たとえば、複数のネットワーク複合機を集中管理する管理サーバー(ここでは図示しない)が各ネットワーク複合機に保存されている追跡ログ608と追跡ログ609と画像ログ610とを管理サーバーに収集する。管理サーバーは追跡ログ608と画像ログ610が関連付けされていることから文書602は文書601の複写物であることを判断することができる。さらに管理サーバーは、追跡ログ609に含まれる2つの文書IDから文書603が文書602の複写物であると判断することができる。
【0058】
ここで、文書603が情報漏えいした場合、文書603の画像情報と管理サーバーの各種のログ情報とを照合することにより、情報漏えい行為を行ったユーザや、文書を作成したユーザの特定が可能になる。このように、すべての操作時にログとして容量が大きい文書画像データを取得しないことで記憶装置の圧迫を防ぐことができ、画像ログによるネットワークやサーバーへの負荷を少なくすることが可能となる。また、文書に付加されている追跡情報が読み取り不可能であっても、その文書を追跡することが可能となる。
【0059】
<実施形態2>
本発明の第2の実施形態について、まず第1の実施形態との差異の概要を説明する。第1の実施形態ではネットワーク複合機が文書を読み取った場合、追跡情報が付加されているか否かによって、追跡ログとして文書画像を記録するか否かを判断している。一方、第2の実施形態ではネットワーク複合機が文書を読み取った場合、さらに追跡情報に含まれている文書IDによって、追跡ログとして文書画像を記録するか否かを判断するものである。
【0060】
以下、第1の実施形態との差異の詳細を説明する。
【0061】
図7に文書IDリスト701を示す。文書IDリスト701は画像ログを取得済みの文書の文書IDが保存されている文書リストである。文書IDは先に説明したように、文書を識別する文書識別情報である。このリストは複数のネットワーク複合機を集中管理する管理サーバー(ここでは図示しない)が管理するリストであり、各ネットワーク複合機は随時管理サーバーから最新の文書IDリストを入手し、一時的にデータベース10に保存する。
【0062】
次に、文書をMFP3001が読み取った場合に、追跡情報が付加されているか否かに加え、追跡情報に含まれている文書IDによって、文書の追跡ログとして文書画像を記録するか否かを判断する動作について図8のフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、実施形態1と同じ処理については記述を簡略化して説明を行う。
【0063】
ユーザ認証部6は、操作部5より入力されたユーザIDとパスワードにより、ユーザを認証する(S801)。ユーザ認証部6により、ユーザ認証が成功したと判断された場合は、制御部1は、読取部2に文書の読み取りを行うように指示する(S802)。
次に制御部1は、操作部5が表示する追跡情報の検出と付加の有無を選択するチェックボックスがチェックされているかを判断する(S803)。
【0064】
S803において、制御部1は、チェックボックスがチェックされていると判断した場合、文書の読み取り後、情報化部3はバーコードの復号化を試みる(S804)。制御部1は、情報化部3での復号化の結果として、文書の追跡情報を抽出できたかを判断する(S805)。
【0065】
制御部1が追跡情報を抽出したと判断した場合は、抽出した追跡情報を図3に示す追跡ログ401の第1の追跡情報402としてデータベース10に保存する(S806)。
【0066】
次に、制御部1は文書IDリストから文書IDを取得する(文書リスト取得処理)。そして抽出した追跡情報に含まれている文書IDが、取得した図7に示す文書IDリストに含まれているか判断する(S807)。文書IDリストに文書IDが含まれているということは、管理下におかれているいずれかのMFPにおいて既に文書追跡に関する処理が行われたことになる。従って、いずれかのMFPにおいて既に画像ログが保存されていることになるので、2次元コードを読み取れないような場合でも文書の追跡を行うことが可能となる。
【0067】
制御部1が抽出した文書IDがリストに含まれている場合は、追跡情報を更新し(S808)、更新した追跡情報に含まれる新しい文書IDを文書IDリスト701に追加する(S809)。そして制御部1は更新した追跡情報を図3に示す追跡ログ401の第2の追跡情報407としてデータベース10に保存する(S810)。その後、制御部1は文書画像に更新した追跡情報を付加し(S811)、文書画像を印刷する(S812)。
【0068】
一方、制御部1がS805において追跡情報が付加されていないと判断した場合と、S807において抽出した文書IDはリストに含まれていないと判断した場合には、次の処理を行う。すなわち、S813に移動し図3に示す画像ログ412として読み取った文書画像データを追跡ログ401に関連付けてデータベース10に保存する処理を行う。その後、制御部1は追跡情報を生成し(S814)、生成した文書IDを文書IDリスト701に追加する(S815)。そして生成した追跡情報を図3に示す追跡ログ401の第2の追跡情報407としてデータベース10に保存する(S816)。その後、文書画像に生成した追跡情報を付加し(S811)、文書画像を印刷する(S812)。
【0069】
また、制御部1がS803において追跡情報が付加されていないと判断した場合、S817に移動し図3に示す画像ログ412として読み取った文書画像データを追跡ログ401に関連付けてデータベース10に保存する処理を行う。その後、制御部1は追跡情報を生成し(S818)、生成した文書IDを文書IDリスト701に追加する(S819)。そして更新した追跡情報を図3に示す追跡ログ401の第2の追跡情報407としてデータベース10に保存する(S820)。その後、文書画像をそのまま印刷する(S812)。
【0070】
以上説明したように、実施形態2では追跡情報に含まれる文書IDが文書IDリストに含まれている場合には、図3に示す画像ログをデータベース10に保存しておく。
【0071】
このように、実施形態2においては、文書IDが文書IDリストに含まれていない場合には画像ログをデータベース10に保存する処理を行う。これにより、例えば管理外の2次元コード付きの文書が外部などから持ち込まれた場合においても、同様に文書の追跡が可能となる。また、その際に記憶装置の圧迫を防ぐことができる。
【0072】
<その他の実施形態>
前述の実施形態1及び実施形態2では、追跡ログや画像ログの保存箇所としてネットワーク複合機内のデータベースを利用する形態を例として説明を行ったが、サーバーなどネットワーク越しの保存箇所を使用してもよい。
【0073】
また、実施形態2ではMFP3001内のデータベース10に保存されている文書IDリスト利用する形態を例として説明を行ったが、サーバーなどネットワーク越しの保存箇所に保存されている文書IDリストを使用してもよい。
【0074】
また、実施形態2では文書IDを用いて画像ログを保存済みか否か判断し、その結果から画像ログを保存するか否かを判断している例を挙げた。しかしながら、文書IDの代わりに追跡情報内の装置情報を用いてもよいし、画像ログを保存済みか否かの判断の方法は問わない。例えば、MFPの装置を識別する装置識別情報である装置IDを格納する装置情報リストを同様に用意しておく。この装置リストは連携可能な他の装置を識別する装置識別情報のリストである。装置情報リスト取得後に取得したリストに追跡情報内の装置識別情報が含まれている場合には、画像ログを保存済みであると判断してもよい。
【0075】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによっても達成される。即ち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力対象の文書画像に相当する文書画像が追跡ログと共に保存手段に保存されているか判断する判断手段と、
前記判断手段で保存されていると判断した場合に、今回の出力に係る操作ログを前記保存手段に保存する一方で前記出力対象の文書画像を前記追跡ログに関連付けることはせず、
前記判断手段で保存されていないと判断した場合に、今回の出力に係る追跡ログを前記出力対象の文書画像と関連付けて前記保存手段に保存する手段とを有することを特徴とする装置。
【請求項2】
文書を読み取る読取手段をさらに備え、
前記判断手段は、前記読み取った文書に追跡情報が付加されている場合に前記文書画像が保存手段に保存されていると判断することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
管理している文書を識別する文書リストを取得する文書リスト取得手段をさらに備え、
前記判断手段は、前記追跡情報に含まれる文書識別情報が前記取得した文書リストに含まれている場合に前記文書画像が前記保存手段に保存されていると判断することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
連携可能な他の装置を識別する装置情報リストを取得する装置情報リスト取得手段をさらに備え、
前記判断手段は、前記追跡情報に含まれる装置識別情報が前記取得した装置情報リストに含まれている場合に前記文書画像が前記保存手段に保存されていると判断することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項5】
装置における制御方法であって、
出力対象の文書画像に相当する文書画像が追跡ログと共に保存手段に保存されているか判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおいて保存されていると判断した場合に、今回の出力に係る操作ログを前記保存手段に保存する一方で前記出力対象の文書画像を前記追跡ログに関連付けることはせず、
前記判断ステップにおいて保存されていないと判断した場合に、今回の出力に係る追跡ログを前記出力対象の文書画像と関連付けて前記保存手段に保存するステップとを有することを特徴とする制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の装置における制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−79261(P2012−79261A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226539(P2010−226539)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】