説明

料理インストラクションシステム

【課題】 インストラクタが、遠隔地のキッチンで料理を行っている料理者の料理状況をインターネット等のオープンコンピュータネットワークを介して確認しながら料理指導を行うことができる料理インストラクションシステムを提供すること。
【解決手段】 料理者が料理を行うシステムキッチン1における流し台区画、調理台区画、料理台区画のうちから料理者が料理を行っている区画を特定し、該特定した料理区画の撮像画像が遠隔地にいるインストラクタのシステムキッチン1’におけるインストラクタ端末11に送信され、該撮像画像がインストラクタ端末11における表示部にて表示されることで、インストラクタが遠隔地にいる料理者の料理状況を確認できるとともに、インストラクタからの音声が料理者の料理者端末10におけるスピーカから出力されるので、音声により料理者に料理指導を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インストラクタが、遠隔地のキッチンで料理を行っている料理者に対して、インターネット等のオープンコンピュータネットワークを介して、料理指導を行うことのできる料理インストラクションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば母親が自分の子供に料理を教える場合、自宅のキッチンにて一緒に料理をしながら料理指導を行うことが一般的であるが、子供が親元を離れて暮らしている場合等においては、一緒に料理を行う機会を作りにくいという問題があった。
【0003】
そこで、近年、インターネット等のオープンコンピュータネットワークが普及していることから、これを利用して、例えば遠隔地のキッチンで料理を行っている子供(料理者)の料理状況を撮影した画像を母親(インストラクタ)が確認しながら料理指導を行いたいという要望があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のキッチンは、一般的に流し台と調理台とコンロ台とを含む少なくとも2箇所の料理場所を有しており、料理者はこれら料理場所を頻繁に移動しながらいずれかの料理場所にて料理を行うこととなるため、料理を行っている料理場所における料理者の料理状況をインストラクタが確認できるように撮像装置にて撮像させるためには、料理者の移動に応じて撮像装置を操作する必要があり、料理者の料理の進行を阻害してしまうといった問題があった。
【0005】
本発明は、インストラクタが、遠隔地のキッチンで料理を行っている料理者の料理状況をインターネット等のオープンコンピュータネットワークを介して確認しながら料理指導を行うことができる料理インストラクションシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を解決するために、本発明の請求項1の料理インストラクションシステムは、
料理を行う料理者側に設けられるシステムキッチンに備えられる料理者端末と、該料理者端末と通信回線を介して接続され、前記料理者に対して料理指導を行うインストラクタ側に備えられるインストラクタ端末と、からなる料理インストラクションシステムであって、
前記システムキッチンのキッチン部は、食器や食品等を洗うための流し台区画と、食品の下ごしらえ等を行うための調理台区画と、加熱を行うためのコンロ台区画のうち少なくとも2区画以上の料理区画を備え、
前記料理者端末は、
前記料理区画を個別に撮像可能な撮像装置と、
前記料理区画のうち、料理者が料理している前記料理区画を特定する区画特定手段と、
前記区画特定手段にて特定した前記料理区画の撮像画像を、前記インストラクタ端末に送信する画像送信手段と、
音声を出力する音声出力装置と、
前記インストラクタ端末から送信されるインストラクタの音声を受信して、前記音声出力装置にて出力させる音声受信手段と、
を備え、
前記インストラクタ端末は、
インストラクタが音声を入力するための音声入力装置と、
前記音声入力装置にて入力された音声を前記料理者端末に送信する音声送信手段と、
画像を表示可能な表示装置と、
前記料理者端末から送信される前記料理区画の撮像画像を受信して、前記表示装置に表示させる画像受信手段と、
を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、料理者が撮像装置を操作することなく、料理者が料理している料理区画が特定されて、該特定された料理区画の画像が撮像されるとともに、該撮像画像が通信回線を介してインストラクタ端末に送信されるので、料理者の料理の進行を阻害してしまうことなく、インストラクタが遠隔地にいる料理者の料理状況を確認できる。また、インストラクタは、音声により料理者に料理指導を行うこともできる。
【0007】
本発明の請求項2の料理インストラクションシステムは、請求項1に記載の料理インストラクションシステムであって、
前記料理者端末は、
前記音声入力装置と、前記音声送信手段と、前記表示装置と、前記画像受信手段と、
を備え、
前記インストラクタ端末は、
該インストラクタ側に設けられたシステムキッチンに備えられ、
前記撮像装置と、前記区画特定手段と、前記画像送信手段と、前記音声出力装置と、前記音声受信手段と、
を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、料理者は、インストラクタの操作を介さずにインストラクタが料理している料理区画の撮像画像を確認できるとともに、音声によりインストラクタに料理指導を求めることができる。また、インストラクタは、料理者の操作を介さずに料理者が料理している料理区画の撮像画像を確認できるとともに、音声により料理者に料理指導を行うことができる。すなわち、料理者及びインストラクタの双方の料理の進行を阻害することなく、料理者及びインストラクタの双方が相互に料理状況を確認できる。
【0008】
本発明の請求項3の料理インストラクションシステムは、請求項1または2のいずれかに記載の料理インストラクションシステムであって、
前記料理者端末の撮像装置は、前記各料理区画に対応して個別に設けられているとともに、前記各料理区画の画像を常時撮像しており、
前記料理者端末の画像送信手段は、前記区画特定手段にて特定した前記料理区画に対応して個別に設けられている前記撮像装置にて撮像している画像を、前記インストラクタ端末に送信することを特徴としている。
この特徴によれば、インストラクタは、料理者が料理区画を移動したときにも料理者の料理状況を間断なく確認できる。
【0009】
本発明の請求項4の料理インストラクションシステムは、請求項1〜3のいずれかに記載の料理インストラクションシステムであって、
前記インストラクタ端末は、
料理者側の前記システムキッチンのキッチン部に少なくとも2区画設けられた前記料理区画のうち、いずれの前記料理区画を前記表示装置に表示させるかを特定可能な区画指示をインストラクタから受付けるための区画指示受付け手段と、
前記区画指示を前記料理者端末に送信する区画指示送信手段と、
を備え、
前記料理者端末は、
前記区画指示送信手段から送信される前記区画指示を受信する区画指示受信手段を備え、
前記料理者端末の画像送信手段は、前記区画指示受信手段にて受信した前記区画指示にて特定される料理区画の撮像画像を、前記インストラクタ端末に送信することを特徴としている。
この特徴によれば、インストラクタは、所望の料理区画における料理者の料理状況を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明を適用した実施例としての料理インストラクションシステム(以下、システムと略称する)の構成を示す図である。
【0012】
本実施例のシステムは、料理を行う料理者(例えば娘)の住居に設けられたシステムキッチン1と、該システムキッチン1に備えられ、システムキッチン1において料理している料理者の撮像画像を、通信回線としてのインターネット網を介して送信可能とされた料理者端末10と、料理指導及び料理を行うインストラクタ(例えば母親)の住居に設けられたシステムキッチン1’と、該システムキッチン1’に備えられ、料理者端末10から送信された料理者の撮像画像を表示可能とされたインストラクタ端末11と、から主に構成される。
【0013】
尚、本実施例のシステムにおいては、料理者端末10とインストラクタ端末11とは、双方が相互に撮像画像を送信可能、かつ、送信された撮像画像を表示可能とされており、料理者とインストラクタの双方が相互に撮像画像を見られるようになっている。
【0014】
また、本実施例のシステムにおいては、料理者端末10とインストラクタ端末11とは、双方が相互に音声を送信可能、かつ、送信された音声を出力可能とされており、料理者とインストラクタの双方が相互に音声をやり取りできるようになっている。
【0015】
また、本実施例のシステムにおいては、料理者端末10とインストラクタ端末11は、同等の装置と機能を備える構成とされているため、以下においては、料理者端末10を説明することにより、インストラクタ端末11の説明を省略することとする。
【0016】
本実施例のシステムキッチン1、1’におけるキッチン部5は、平面視でI型をなし、該キッチン部5の上部には、図2に示すように、食器や食品等を洗うための流し台と、食品の下ごしらえ等を行うための調理台と、加熱を行うためのコンロ台とがそれぞれ並列配置されているとともに、キッチン部5の上方には料理者端末10(インストラクタ端末11)が設けられている。また、後述するように、本実施例におけるキッチン部5を撮像するカメラ2a〜2cは、前記流し台が配置された流し台区間5aと、調理台が配置された調理台区間5bと、コンロ台が配置されたコンロ台区画5cと、に区画された3区画をそれぞれ個別に撮像できるようになっている。
【0017】
本実施例の料理者端末10(インストラクタ端末11)は、図2に示すように、料理区画5a〜5cの上部に設けられた収納部の底面に、各料理区画5a〜5cを上方から個別に撮像可能な位置にそれぞれ取り付けられたカメラ2a〜2cと、料理区画5a〜5cの奥に垂直に設けられた壁面部に、料理区画5a〜5cの前で料理している料理者を検出可能な位置にそれぞれ設けられた位置検出センサ3a〜3cと、料理区画5a〜5cの上部に設けられた収納部底面のほぼ中央に取り付けられた後述する料理者端末ユニット(インストラクタ端末ユニット)と、から主に構成され、カメラ2a〜2c、及び位置検出センサ3a〜3cは、料理者端末ユニット(インストラクタ端末ユニット)に設けられた通信部20にデータ通信可能に接続されている。すなわち、カメラ2a〜2cは、各料理区画5a〜5bを個別に撮像可能に設けられており、本発明の撮像装置に該当する。
【0018】
尚、本実施例においては、料理者端末ユニット(インストラクタ端末ユニット)の符号を、料理者端末(インストラクタ端末)と同じ10(11)として説明していく。また、位置検出センサとしてはいわゆる人感センサが適用できる。
【0019】
本実施例の料理者端末ユニット10(インストラクタ端末ユニット11)は、図2及び図5に示すように、表示部12と、マイク13と、料理者端末ユニット10(インストラクタ端末ユニット11)の正面方向を撮像可能なカメラ14(図3参照)と、料理者端末ユニット10(インストラクタ端末ユニット11)の正面方向に人間がいる旨を検出可能な人感センサ15(図3参照)と、スピーカ16a及び16bと、料理者端末ユニット10(インストラクタ端末ユニット11)上部の中央に設けられた取り付け部材17と、取り付け部材17を中心として該当料理者端末ユニット10(インストラクタ端末ユニット11)を水平方向に回転させる(図4参照)ためのモータ等を含む回転駆動部18と、制御部19と、通信部20と、から構成される。
【0020】
本実施例の制御部19は、図示は省略するが、CPUやRAMやROM等を備えた制御用のコンピュータとされており、通信回線としてのインターネット網に接続された通信部20により、該インターネット網を介して接続されている料理者端末10(インストラクタ端末11)に対して各種データの送受信が可能とされている。
【0021】
制御部19には、表示部12と、マイク13と、カメラ14と、人感センサ15と、スピーカ16a及び16bと、回転駆動部18と、が接続され、これらを制御可能とされている。
【0022】
また、制御部19は、通信部20とも接続され、通信部20には、前述したように、カメラ2a〜2c、及び位置検出センサ3a〜3cが接続されているため、カメラ2a〜2c、位置検出センサ3a〜3cも制御可能とされている。
【0023】
また、制御部19は、表示部12の表示領域を複数の表示領域に分割可能とされ、これら分割された表示領域に個別に画像を表示可能とされている。例えば、図5に示すように、表示領域(左)12a、表示領域(右下)12b、表示領域(右上)12cの3つの表示領域に、各々個別の画像を表示できるようになっている。なお、図5においては、娘側の料理者端末ユニット10の表示部12における表示領域(左)12aに母親の料理、表示領域(右下)12bに母親の顔、表示領域(右上)12cに自分の料理状況が表示されているが、これら表示状況は任意に変更可能である。
【0024】
次いで、本実施例のシステムにおいて、インストラクタが料理者に料理指導を行う流れを、料理者端末ユニット10(インストラクタ端末ユニット11)の制御部19の詳細な制御内容とともに、以下に説明していく。
【0025】
まず、料理者とインストラクタの双方が料理者端末10(インストラクタ端末11)の電源を投入すると、各種電気部品、具体的には、カメラ2a〜2c、位置検出センサ3a〜3c、料理者端末ユニット10(インストラクタ端末ユニット11)の表示部12と、マイク13と、カメラ14と、人感センサ15と、スピーカ16a及び16bと、回転駆動部18と、制御部19と、通信部20と、が起動される。
【0026】
起動後の動作について説明すると、まず、カメラ2a〜2cは、起動後から電源切断まで、対応する料理区画5a〜5cの料理状況を常時撮像しつづける。すなわち、カメラ2a〜2cは、各料理区画5a〜5bに対応して個別に設けられているとともに、各料理区画5a〜5bの料理状況を示す画像を常時撮像しており、本発明の請求項3における撮像装置に該当する。
【0027】
また、制御部19は、位置検出センサ3a〜3cのうち、料理者(インストラクタ)を検出している旨を示す信号を出力している位置検出センサ3a〜3cを特定する区画特定処理を実施する。すなわち、区画特定処理は、本発明の区画特定手段に該当する。
【0028】
また、制御部19は、料理者(インストラクタ)を検出している旨を示す信号を出力している位置検出センサ3a〜3cを特定すると、該特定した位置検出センサ3a〜3cに対応する料理区画5a〜5cに対応して個別に設けられているカメラ2a〜2cにて撮像している画像を、通信部20を介して接続されている料理者端末10(インストラクタ端末11)に送信する画像送信処理を実施する。
【0029】
すなわち、画像送信処理は、区画特定処理にて特定した料理区画5a〜5cの撮像画像を、インストラクタ端末11(料理者端末10)に送信するため、本発明の請求項1(請求項2)における画像送信手段に該当する。
【0030】
また、画像送信処理は、区画特定処理にて特定した料理区画5a〜5cに対応して個別に設けられているカメラ2a〜2cにて撮像している画像を、インストラクタ端末11に送信するため、本発明の請求項3における画像送信手段に該当する。
【0031】
そして、制御部19は、インターネット網を介して料理者端末10(インストラクタ端末11)から送信される料理区画5a〜5cの撮像画像を受信して、図5に示すように、該受信した撮像画像を表示部12の表示領域(左)12aに表示させる画像受信処理を行う。すなわち、表示部12は、本発明の請求項1(請求項2)における表示装置に該当する。また、画像受信処理は、本発明の請求項1(請求項2)における画像受信手段に該当する。
【0032】
また、制御部19は、マイク13を介して入力された料理者(インストラクタ)からの料理指導を求める声(料理指導をする声)を受付けて、該入力された音声を、インターネット網を介して接続されたインストラクタ端末11(料理者端末10)に送信する音声送信処理を実施する。すなわち、マイク13は、本発明の請求項1(請求項2)における音声入力装置に該当する。また、音声送信処理は、本発明の請求項1(請求項2)における音声送信手段に該当する。
【0033】
そして、制御部19は、インターネット網を介して料理者端末10(インストラクタ端末11)から送信される音声を受信して、該受信した音声をスピーカ16a及び16bから出力させる音声受信処理を行う。すなわち、スピーカ16a及び16bは、本発明の請求項1(請求項2)における音声出力装置に該当する。また、音声受信処理は、本発明の請求項1(請求項2)における音声受信手段に該当する。
【0034】
また、制御部19は、前述のように、表示部12の表示領域を複数の表示領域に分割可能とされ、これら分割された表示領域に個別に画像を表示可能とされているが、本実施例では、図5に示すように、表示領域(左)12aには、インターネット網を介して受信した料理者端末10(インストラクタ端末11)の撮像画像を表示するようになっている。また、表示領域(右下)12bには通信部20を介して受信した当該料理者端末10(インストラクタ端末11)の撮像画像を、すなわち自分自身の料理状況を表示するようになっている。また、表示領域(右上)12cには、カメラ14により料理者(インストラクタ)を正面から撮像した画像が表示されるようになっている。
【0035】
このようにすれば、料理者(インストラクタ)は、相手の料理状況と比較しながら、料理の方法を調節したり、料理指導を求めたり(料理指導を行ったり)できる。
【0036】
尚、制御部19は、人感センサ15により料理者(インストラクタ)の位置を検出し(図3参照)、この検出に基づいて回転駆動部18を制御して、料理者端末ユニット10(インストラクタ端末ユニット11)を回転させることにより、料理者端末ユニット10(インストラクタ端末ユニット11)を料理者(インストラクタ)のいる方向に向けさせるようになっている(図4参照)。そのため、カメラ14の撮像範囲には、料理をしている料理者(インストラクタ)が入るようになっており、カメラ14による撮像画像を表示する表示領域(右上)12cには、図5に示すように、カメラ14により料理者(インストラクタ)を正面から撮像した画像が表示されるようになっている。
【0037】
尚、料理者(インストラクタ)は、表示部12が自分の移動に合わせて回転するので、表示部12に表示されている相手の料理状況を確認しやすくなり好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、表示部12が自分の移動に合わせて回転しなくても、すなわち回転駆動部18を必要としない構成とした場合にも、相手の料理状況を確認できる。
【0038】
また、本実施例では、表示部12の表示領域が複数の表示領域に分割されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも相手の料理状況さえ表示されれば、料理指導をできるので、表示領域(左)12aとして表示しているインターネット網を介して受信した料理者端末10(インストラクタ端末11)の撮像画像のみを表示しても良い。
【0039】
また、上述のように、表示領域を1つのみとする場合には、カメラ14及び人感センサ15を必要としない構成とできる。
【0040】
以上、本実施例によれば、料理者がカメラ2a〜2cを操作することなく、料理者が料理している料理区画5a〜5cが位置検出センサ3a〜3cに基づく位置特定処理にて特定されて、該特定された料理区画5a〜5cの画像が撮像されるとともに、該撮像画像がインターネット網を介してインストラクタ端末11に画像送信処理により送信されるので、料理者の料理の進行を阻害してしまうことなく、インストラクタが遠隔地にいる料理者の料理状況を確認できる。また、インストラクタは、音声により料理者に料理指導を行うこともできる。
【0041】
また、本実施例によれば、料理者は、インストラクタの操作を介さずにインストラクタが料理している料理区画5a〜5cの撮像画像を確認できるとともに、音声によりインストラクタに料理指導を求めることができる。また、インストラクタは、料理者の操作を介さずに料理者が料理している料理区画5a〜5cの撮像画像を確認できるとともに、音声により料理者に料理指導を行うことができる。すなわち、料理者及びインストラクタの双方の料理の進行を阻害することなく、料理者及びインストラクタの双方が相互に料理状況を確認できる。
【0042】
また、本実施例によれば、インストラクタは、料理者が料理区画5a〜5cを移動したときにも料理者の料理状況を間断なく確認できる。
【0043】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0044】
例えば、前記実施例では、料理者端末10が、表示部12、マイク13、カメラ14、人感センサ15、回転駆動部18、を備えており、さらには、インストラクタ側のシステムキッチン1’も、カメラ2a〜2c、位置検出センサ3a〜3c、カメラ14、人感センサ15、スピーカ16a及び16b、回転駆動部18、を備えているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらを含まない構成とした場合にも、料理者がカメラ2a〜2cを操作することなく、料理者が料理している料理区画5a〜5cが位置検出センサ3a〜3cに基づく位置特定処理にて特定されて、該特定された料理区画5a〜5cの画像が撮像されるとともに、該撮像画像がインターネット網を介してインストラクタ端末11に画像送信処理により送信されるので、料理者の料理の進行を阻害してしまうことなく、インストラクタが遠隔地にいる料理者の料理状況を確認できる。また、インストラクタは、音声により料理者に料理指導を行うこともできる。
【0045】
また、前記実施例では、複数のカメラ2a〜2cが各料理区画5a〜5cに対応して個別に設けられているとともに、各料理区画5a〜5cの画像を常時撮像する構成としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、常時撮像していない構成とした場合には、区画特定処理により料理区画5a〜5cが特定されたときに、該特定された料理区画5a〜5cに対応するカメラ2a〜2cのみを起動して、別の料理区画5a〜5cが特定されるまで特定された料理区画5a〜5cを撮像する構成としても良い。
【0046】
また、料理区画5a〜5cの上部に設けられた収納部の底面において、料理区画5a〜5cを上方から個別に撮像可能な位置にカメラを回転自在に一つ取り付け、区画特定処理により料理区画5a〜5cが特定されたときに、該特定された料理区画5a〜5cを撮像できる位置にカメラを回転(移動)させるとともに、該カメラを起動して、別の料理区画5a〜5cが特定されるまで特定された料理区画5a〜5cを撮像する構成としても良い。
【0047】
また、前記実施例では、通信回線としてインターネット網を適用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、画像と音声が送受信可能であれば良く、電話回線やLANやWANを適用する構成としても良い。
【0048】
また、前記実施例では、インストラクタは、料理者が料理している料理区画5a〜5cが特定されて、該特定された料理区画5a〜5cの撮像画像のみを確認できるようになっており、何の操作もなく料理者の料理状況を確認できるため好ましいが、インストラクタ端末11の、例えば表示部12の周囲に料理者側のシステムキッチン1が備える料理区画5a〜5cに対応して個別に設けられた3個のボタンからなる区画選択ボタンを設け、インストラクタからの区画選択ボタンの選択を受付ける区画指示受付け処理を実施し、その後、該選択された区画選択ボタンに対応する料理区画5a〜5cを特定可能な区画指示をインターネット網を介して接続された料理者端末10に送信する区画指示送信処理を実施し、料理者端末10では、区画指示を受信する区画指示受信処理を実施し、区画指示受信処理にて受信した区画指示にて特定される料理区画5a〜5cの撮像画像を、インストラクタ端末11に送信する画像送信処理を実施するようにしても良い。
【0049】
すなわち、区画指示受付け処理は、本発明の請求項4における区画指示受付け手段に該当する。また、区画指示送信処理は、本発明の請求項4における区画指示送信手段に該当する。また、区画指示受信処理は、本発明の請求項4における区画指示受信手段に該当する。また、画像送信処理は、本発明の請求項4における画像送信手段に該当する。このようにすれば、インストラクタは、所望の料理区画における料理者の料理状況を確認することができる。
【0050】
また、本実施例においては、インストラクタ端末11に1つの料理者端末10が接続されていたが、例えば一人のインストラクタが複数の料理者の料理指導を行うようにしてもよく、この場合、インストラクタ端末11に複数台の料理者端末10を接続し、各々の料理者の料理状況をインストラクタが確認できるようにすれば、例えば料理学校等において、一人のインストラクタが遠隔地にいる複数人の生徒(料理者)に同時に料理指導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の本実施例における料理インストラクションシステムの構成を示す図である。
【図2】システムキッチンと料理者端末もしくはインストラクタ端末の構成を示す図である。
【図3】料理をしている料理者もしくはインストラクタの料理状況を撮像装置により撮像する一例を示す図である。
【図4】料理をしている料理者もしくはインストラクタの料理状況を撮像装置により撮像するときの撮像範囲の一例を示す図である。
【図5】料理者端末もしくはインストラクタ端末の構成の詳細な構成を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1、1’ システムキッチン
2a、2b、2c カメラ(撮像装置)
3a、3b、3c 位置検出センサ(区画特定手段)
5 料理区画
5a 流し台区画
5b 調理台区画
5c コンロ台区画
10 料理者端末
11 インストラクタ端末
12 表示部(表示装置)
13 マイク(声入力装置)
14 カメラ
15 人感センサ
16a、16b スピーカ(音声出力装置)
17 取り付け部材
18 回転駆動部
19 制御部(区画特定手段、画像送信手段、画像受信手段、音声送信手段、音声受信手段)
20 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
料理を行う料理者側に設けられるシステムキッチンに備えられる料理者端末と、該料理者端末と通信回線を介して接続され、前記料理者に対して料理指導を行うインストラクタ側に備えられるインストラクタ端末と、からなる料理インストラクションシステムであって、
前記システムキッチンのキッチン部は、食器や食品等を洗うための流し台区画と、食品の下ごしらえ等を行うための調理台区画と、加熱を行うためのコンロ台区画のうち少なくとも2区画以上の料理区画を備え、
前記料理者端末は、
前記料理区画を個別に撮像可能な撮像装置と、
前記料理区画のうち、料理者が料理している前記料理区画を特定する区画特定手段と、
前記区画特定手段にて特定した前記料理区画の撮像画像を、前記インストラクタ端末に送信する画像送信手段と、
音声を出力する音声出力装置と、
前記インストラクタ端末から送信されるインストラクタの音声を受信して、前記音声出力装置にて出力させる音声受信手段と、
を備え、
前記インストラクタ端末は、
インストラクタが音声を入力するための音声入力装置と、
前記音声入力装置にて入力された音声を前記料理者端末に送信する音声送信手段と、
画像を表示可能な表示装置と、
前記料理者端末から送信される前記料理区画の撮像画像を受信して、前記表示装置に表示させる画像受信手段と、
を備えることを特徴とする料理インストラクションシステム。
【請求項2】
前記料理者端末は、
前記音声入力装置と、前記音声送信手段と、前記表示装置と、前記画像受信手段と、
を備え、
前記インストラクタ端末は、
該インストラクタ側に設けられたシステムキッチンに備えられ、
前記撮像装置と、前記区画特定手段と、前記画像送信手段と、前記音声出力装置と、前記音声受信手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の料理インストラクションシステム。
【請求項3】
前記料理者端末の撮像装置は、前記各料理区画に対応して個別に設けられているとともに、前記各料理区画の画像を常時撮像しており、
前記料理者端末の画像送信手段は、前記区画特定手段にて特定した前記料理区画に対応して個別に設けられている前記撮像装置にて撮像している画像を、前記インストラクタ端末に送信することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の料理インストラクションシステム。
【請求項4】
前記インストラクタ端末は、
料理者側の前記システムキッチンのキッチン部に少なくとも2区画設けられた前記料理区画のうち、いずれの前記料理区画を前記表示装置に表示させるかを特定可能な区画指示をインストラクタから受付けるための区画指示受付け手段と、
前記区画指示を前記料理者端末に送信する区画指示送信手段と、
を備え、
前記料理者端末は、
前記区画指示送信手段から送信される前記区画指示を受信する区画指示受信手段を備え、
前記料理者端末の画像送信手段は、前記区画指示受信手段にて受信した前記区画指示にて特定される料理区画の撮像画像を、前記インストラクタ端末に送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の料理インストラクションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−163323(P2006−163323A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358938(P2004−358938)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】