説明

料理用酒類及びその用途、並びに、加工食品

【課題】調味にふさわしい香味が豊富であり、料理への使用が容易で、素材への浸透性がよく、長期間品質が安定している、薬味料の抽出物を含む料理用酒類を提供する。
【解決手段】薬味料を磨砕する磨砕工程と、前工程で磨砕した薬味料をアルコール濃度10〜75v/v%の酒精含有溶液に接触させて、薬味料の抽出液を調製する抽出工程と、前工程で調製した薬味料の抽出液を蒸留する蒸留工程とを含む方法によって得られ、薬味料の抽出物を含有し、最終製品のアルコール濃度が1〜60v/v%である料理用酒類が提供される。薬味料が生姜で、かつ焼酎に属するものが特に好ましい。当該料理用酒類を用いた畜肉又は魚介類の不快臭のマスキング方法、食感改善方法、焦げつき防止方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、料理用酒類及びその用途、並びに、加工食品に関する。さらに詳細には、本発明は、薬味料を特定の工程を含む方法で処理することによって得られる料理用酒類、該料理用酒類を食材に接触させる食材の処理方法、該処理方法を利用する畜肉又は魚介類の不快臭のマスキング方法、食感改善方法、及び焦げつき防止方法、並びに、該料理用酒類で食材を処理して得られる加工食品に関する。本発明の料理用酒類は、薬味料由来の特定の揮発性香気成分を多く含有し、品質安定性に優れ、かつ調理効果が強化されたものである。
【背景技術】
【0002】
薬味料は、食味を向上させたり、食品の風味に変化を与えて食欲増進をもたらしたりするものであり、現代の加工食品になくてはならないものである。薬味料の歴史は古く、食品に風味を付与して味覚を高める目的や、肉類や魚介類の品質劣化の抑制や腐敗防止の目的等に使用されてきた。非特許文献1によれば、薬味料とは、
(1)供食時に、料理をよりおいしくするためにあしらう添え物の総称;
(2)用いることにより、食物の味を引き立たせる、味をととのえる、香気をそえる、異臭をまぎらわす、美観をそえる、景容を高める、季節を感じさせる、食欲をそそる、食養に効くなどの役割を果たす;
(3)薬味料にのみ属す特定の食品はなく、役割に応じて一般食品から調味料、香辛料まで広範囲な食品が使われる、しかし、動物性のものはいっさい用いられない;
(4)したがって、薬味料とはこれである、といった特定の実体を持つものではなく、(2)のようなさまざまな効果のための用い方、すなわち機能をさす概念;
と定義されている。
【0003】
薬味料を食品に使用するに際しては、必要により細かく砕いたり、擂ったりして使用するが、特に加工食品では薬味料の抽出物が使用されることもあり、その用途、目的によって使い分けられている。他方、料飲店や家庭での調理においても、料理の外観や使い易さの面から薬味料が必要とされているが、前記した薬味料は「砕く」、「擂る」といった処理が必要でその取り扱いが難しいなどの問題点がある。香辛料を焼酎に漬けたリキュールなども知られているが、安定した品質で香味力価が高いものは得られていない。更に、薬味料の風味成分は、風味劣化の早い物質が多く、単に抽出するだけでは長期保存が難しく、精製後にもオリの発生が見られることも多い。また、薬味料の抽出物が香料として工業的に大量に生産されているものの、抽出成分が不安定なために添加物(安定化剤)を使用する場合が多く、天然物志向が強く安全性を重視する近年の消費者の嗜好に合致していない。
【0004】
一方、飲用の酒類においては、例えば生姜を例にとると、原料の一部に生姜を用いる蒸留酒や機能性酒が開発されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。しかしながら、特定の成分に着目して、調理効果が強化された料理用酒類の検討は行われていない。すなわち、調味にふさわしい香味が豊富であり、また、料理への使用が容易で、素材への浸透性がよく、長期間品質が安定である薬味料を含有する調味料が求められていたにもかかわらず、いまだ満足な品質のものが得られていないのが現状である。
【0005】
【特許文献1】特開2002−125653号公報
【特許文献2】特開2003−24041号公報
【特許文献3】特開2007−166918号公報
【非特許文献1】「調味料・香辛料の事典」、第488頁、発行所(株)朝倉書店、1991年7月15日初版第1刷発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前記した従来技術が抱える問題点を踏まえ、安全性及び経済性に優れ、調味にふさわしい香味が豊富であり、また、料理への使用が容易で、素材への浸透性がよく、長期間品質が安定している、薬味料の抽出物を含有する料理用酒類及びその用途、並びに、当該料理用酒類を利用した加工食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、薬味料を磨砕する磨砕工程と、前工程で磨砕した薬味料をアルコール濃度10〜75v/v%の酒精含有溶液に接触させて、薬味料の抽出液を調製する抽出工程と、前工程で調製した薬味料の抽出液を蒸留する蒸留工程とを含む方法によって得られ、薬味料の抽出物を含有し、最終製品のアルコール濃度が1〜60v/v%であることを特徴とする料理用酒類である。
【0008】
本発明は料理用酒類に係るものであり、薬味料を磨砕する磨砕工程、磨砕した薬味料を特定のアルコール濃度の酒精含有溶液に接触させる抽出工程、及び、薬味料の抽出液を蒸留する蒸留工程、の3つの工程を含む方法によって得られるものである。そして、本発明の料理用酒類は、薬味料の抽出物を含有し、最終製品のアルコール濃度が1〜60v/v%のものである。本発明の料理用酒類は、薬味料に対して上記3工程を含む特定の処理を施すことにより得られるため、薬味料由来の特定の揮発性香気成分を多く含有する。その結果、調味にふさわしい香味が豊富である。また、素材への浸透性が高く、調理効果が高い。さらに、長期安定性にも優れ、従来品のように品質保持を添加物(安定化剤)に頼る必要性が低い。
【0009】
また本発明の料理用酒類は、食材に対する処理、例えば調理前における畜肉や魚介類の処理にも有用である。すなわち、畜肉や魚介類に対して本発明の料理用酒類に接触させる処理を予め行うことにより、不快臭のマスキング、食感改善、焦げつき防止といった効果が得られる。
【0010】
ここで「薬味料」とは、食品の調味のために用いる芳香性や刺激性を持った植物性素材又はその加工物をいう。薬味料の代表例は香辛料(芳香性と刺激性の両方を有する)であるが、ゴマのような芳香性を有するが刺激性を有しない素材、逆に、刺激性を有するが芳香性を有しない素材も、食品の調味のために用いるものであれば本発明における「薬味料」に含まれる。また、薬味料は植物性素材そのものの他、植物性素材の加工物でもよい。
【0011】
ここで「薬味料を磨砕する」とは、すりおろしたり、すりつぶしたりして薬味料を微細状にすることを指し、おろし金ですりおろした状態が理想に近い。特に、生姜のような塊状の薬味料の場合は、細刻、細断を含まない。
【0012】
ここで「アルコール濃度」とはエチルアルコール(エタノール)の濃度をいう。すなわち、本明細書において「アルコール」と記載した場合は、特に断らない限りエチルアルコール(エタノール)を指す。
【0013】
前記薬味料は、生姜、山椒、ニンニク、ローズマリー、柚子、オールスパイス、八角、ゴマ、ネギ、シソ、バジル、唐辛子、シナモン、バニラ、ローレル、及びオニオン、並びにこれらの加工物からなる群より選択された1又は2以上のものである構成が推奨される(請求項2)。
【0014】
蒸留酒類又はみりんに属するものである構成も推奨される(請求項3)。
【0015】
ここで「蒸留酒類」とは酒税法上の蒸留酒類であり、焼酎、スピリッツ等が例として挙げられる。焼酎、スピリッツの原料に特に限定はなく、また、発酵方法、蒸留方法にも特に限定はない。焼酎には、連続式蒸留焼酎と単式蒸留焼酎の両方が含まれる。
【0016】
また「みりん」とは酒税法でいう混成酒類の中のみりんのことであり、例えば以下に掲げる酒類でアルコール分が15度(15v/v%)未満のもの(エキス分が40度以上のものその他政令で定めるものに限る。)である。
(1)米及び米こうじにしょうちゅう又はアルコールを加えて、こしたもの。
(2)米、米こうじ及びしょうちゅう又はアルコールにみりんその他政令で定める物品を加えて、こしたもの。
(3)みりんにしょうちゅう又はアルコールを加えたもの。
(4)みりんにみりんかすを加えて、こしたもの。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記薬味料は少なくとも生姜を含み、かつ前記蒸留酒類が焼酎であることを特徴とする請求項3に記載の料理用酒類である。
【0018】
本発明の料理用酒類は焼酎に属するものであり、かつ、薬味料として少なくとも生姜を用いて製造されるものである。かかる構成により、1,8−シネオール、ネラール、ゲラニアールといった生姜由来の揮発性香気成分を多く含有する料理用酒類が提供される。
【0019】
請求項5に記載の発明は、アルコール濃度25v/v%換算で、2.0mg/L以上の1,8−シネオール、1.0mg/L以上のネラール、及び1.0mg/L以上のゲラニアールを含有することを特徴とする請求項4に記載の料理用酒類である。
【0020】
かかる構成により、調味にふさわしい香味が特に豊富な料理用酒類が提供される。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の料理用酒類を食材に接触させる工程を含むことを特徴とする食材の処理方法である。
【0022】
本発明は食材の処理方法に係るものであり、上記した本発明の料理用酒類を食材に接触させる工程を含む。本発明では、薬味料由来の揮発性香気成分を多く含有する料理用酒類を用いるので、少量の使用で食材に香味を付与することができる。さらに、食材が畜肉や魚介類である場合には、畜肉又は魚介類に対する種々の調理上の優れた効果、例えば、不快臭のマスキング、食感改善、焦げつき防止といった効果を得ることができる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の食材の処理方法によって畜肉又は魚介類を処理し、畜肉又は魚介類の不快臭をマスキングすることを特徴とする畜肉又は魚介類の不快臭のマスキング方法である。
【0024】
また請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の食材の処理方法によって畜肉又は魚介類を処理し、畜肉又は魚介類の食感を改善することを特徴とする畜肉又は魚介類の食感改善方法である。
【0025】
さらに請求項9に記載の発明は、請求項6に記載の食材の処理方法によって畜肉又は魚介類を処理し、畜肉又は魚介類を加熱調理する際の焦げつきを防止することを特徴とする畜肉又は魚介類の焦げつき防止方法である。
【0026】
かかる構成により、畜肉や魚介類を調理する際の前処理をより効果的に行うことができる。
【0027】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の料理用酒類を食材に接触させることによって得られることを特徴とする加工食品である。
【0028】
また請求項11に記載の発明は、前記食材は、畜肉又は魚介類であることを特徴とする請求項10に記載の加工食品である。
【0029】
本発明は加工食品に係るものであり、上記した本発明の料理用酒類を食材に接触させることによって得られるものである。本発明によれば、香味が豊富な高品質の加工食品が提供される。さらに、食材が畜肉又は魚介類の場合には、不快臭がマスキングされ、食感がよく、加熱調理する際の焦げつきが防止された加工食品となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の料理用酒類は薬味料由来の特定の揮発性香気成分を多く含有するので、調味にふさわしい香味が豊富である。また、素材への浸透性が高く、調理効果が高い。さらに、長期安定性にも優れ、従来品のように品質保持を添加物(安定化剤)に頼る必要性が低い。またさらに、本発明の料理用酒類で畜肉や魚介類を処理することにより、不快臭のマスキング、食感改善、焦げつき防止といった効果が得られる。
【0031】
特に、薬味料が生姜を含むものである場合には、1,8−シネオール、ネラール、ゲラニアールといった生姜由来の特定の揮発性香気成分を多く含有する料理用酒類となり、上記した効果がさらに高い。
【0032】
本発明の食材の処理方法によれば、薬味料由来の揮発性香気成分を多く含有する料理用酒類を用いるので、少量の使用で食材に香味を付与することができる。さらに、食材が畜肉や魚介類である場合には、畜肉又は魚介類に対する種々の調理上の優れた効果、例えば、不快臭のマスキング、食感改善、焦げつき防止といった効果を得ることができる。
【0033】
本発明の加工食品は香味が特に豊富である。さらに、食材が畜肉又は魚介類の場合には、不快臭がマスキングされ、食感がよく、焦げつきが防止された高品質なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための最良の形態について具体的に説明する。
本発明の調理用酒類は、薬味料を磨砕する磨砕工程と、前工程で磨砕した薬味料をアルコール濃度10〜75v/v%の酒精含有溶液に接触させて、薬味料の抽出液を調製する抽出工程と、前工程で調製した薬味料の抽出液を蒸留する蒸留工程とを含む方法によって得られ、薬味料の抽出物を含有し、最終製品のアルコール濃度が1〜60v/v%であることを特徴とするものである。
【0035】
前述したように、本発明における「薬味料」とは、食品の調味のために用いる芳香性や刺激性を持った植物性素材又はその加工物をいう。薬味料の代表例は香辛料であるが、それに限定されるものではない。なお日常生活において、「ざるそば」に対して小口に切ったネギや七味唐辛子、「天ぷら」に対しておろしダイコンと生姜、のように、料理の種類に応じてそれぞれ特定の食品を添えることがあるが、この添えの食品を、通常一般に「薬味」と呼んでいる。日本料理ではこうした「薬味」といった呼び方の他にも、「つま」、「けん」、「吸口」、「うわおき」などの名で呼び分けている料理の添えものがある。これらの「薬味」として用いられている植物性素材は、全て本発明における薬味料となり得る。
【0036】
本発明に用いる薬味料の形態としては特に限定はなく、生鮮品、冷蔵品、冷凍品、乾燥品等のいずれの形態でもよい。なお、薬味料が生の生鮮品のときは、薬味料に含まれる酵素が作用し、抽出成分と酒精により新しい香気成分が得られうる。一方、薬味料の酵素が失活しているときは、薬味料の抽出成分と酒精の非酵素的反応により、新しい香気成分が生まれうる。
【0037】
また薬味料は、植物性素材そのものでもよいし、植物性素材の加工物でもよい。加工物の例としては、エタノールあるいはその他の溶剤で油脂成分を除いた薬味料の加工物が挙げられる。
【0038】
好ましい実施形態では、薬味料が、生姜、山椒、ニンニク、ローズマリー、柚子、オールスパイス、八角、ゴマ、ネギ、シソ、バジル、唐辛子、シナモン、バニラ、ローレル、及びオニオン、並びにこれらの加工物からなる群より選択された1又は2以上のものである。これらの薬味料については、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、生姜のみを用いてもよいし、生姜とニンニクとを組み合わせて用いてもよい。また、植物性素材そのもの同士の組み合わせ、植物性素材そのものと加工物との組み合わせ、植物性素材の加工物同士の組み合わせ、のいずれの組み合わせも採用できる。
【0039】
本発明の調理用酒類は、上記した3つの工程、すなわち磨砕工程、抽出工程、及び蒸留工程を含む方法を薬味料に適用することによって得られる。これらの工程について順次説明する。
【0040】
第一の工程は、薬味料を磨砕する磨砕工程である。前述したように、「薬味料を磨砕する」とは、すりおろしたり、すりつぶしたりして薬味料を微細状にすることを指す。生姜のような塊状の薬味料の場合は、細刻、細断を含まない。すなわち、この段階で薬味料を磨砕以外の方法(例えば、1mm角程度の細刻)で細かくしても、次の抽出工程で薬味料の有効成分が十分に抽出されず、最終的に調味にふさわしい香味が十分に得られない。つまり本発明では、本工程にて薬味料をすりおろしたり、すりつぶしたりして微細状にすることが重要である。なお、ネギ、シソ、バジルのような葉からなる薬味料の場合には、細かく刻むことも「磨砕」に含めるものとする。また、磨砕する前に、必要に応じて細断、粉砕などの処理を行うこともできる。磨砕を工業的に行うには、市販の磨砕機、例えば、増幸産業(株)製のスーパーマスコロイダーや米国アーシェル社製のコミトロールプロセッサーを適宜使用すればよい。サイレントカッター、スピードカッター、ジンジャーミルなども使用することができる。
【0041】
第二の工程は、抽出工程である。本工程では、磨砕工程で磨砕した薬味料をアルコール濃度10〜75v/v%の酒精含有溶液に接触させて、薬味料の抽出液を調製する。本工程により、薬味料由来の有効成分が酒精含有溶液中に抽出される。薬味料に酒精含有溶液を接触させる方法としては、酒精含有溶液中に薬味料を浸漬する方法が代表的である。以下、浸漬を採用する場合を例に説明するが、この場合には、薬味料が酒精含有溶液に十分に接触するように時々攪拌を行えばよい。浸漬する際の薬味料と酒精含有溶液との固液比に特に限定はなく、十分に有効成分の抽出が行える液量を適宜選択すればよい。通常、5〜20倍量の酒精含有溶液に薬味料を浸漬して抽出を行う。浸漬時間は、5℃前後の温度で浸漬する場合には浸漬時間を長くとり、25℃程度の温度で浸漬する場合は数時間でよく、作業効率等も勘案して適宜選択すればよい。例えば、酒精含有溶液として焼酎の醪を採用する場合は、焼酎の醪の中に薬味料を投入して1〜5日間浸漬すればよい。さらに、抽出工程の過程で抽出液を発酵させてもよい。この場合に使用する酵母は特に限定されないが、酢酸などの揮発性有機酸を生成しやすい酵母を使用すると、畜肉や魚介類に対するアミン等の不快臭のマスキング効果が高まるため、より好適である。なお、前述したように、本発明で「アルコール濃度」というときの「アルコール」とは、エチルアルコール(エタノール)のことである。
【0042】
本工程で使用する酒精含有溶液としては、例えば原料用アルコールといった酒精(アルコールと同義)の水溶液が一般的ではあるが、焼酎、ウイスキー、ブランデー、スピリッツ、ウォッカ、ラム酒、白酒(パイチュウ)などの蒸留酒類、あるいは、清酒、ワイン、合成清酒、みりん、老酒などの醸造酒類を使用して、各酒類の香味と薬味料の香味が一体となった抽出液を得ることも可能である。また、各酒類の醪、例えば、麦、米、芋、そばなどを原料とする醪を酒精含有溶液として使用することもできる。すなわち、前記した各酒類及び/又は酒類の醪を使用すると、薬味料から抽出された成分が作用して、複雑な香味成分が増強され、種々の成分が合わさって更なる香味の多様化、最終製品の熟成効果などが生み出される。また、酒精含有溶液には、アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼの群から選択される1つ以上の酵素剤が共存していてもよい。
【0043】
第三の工程は、薬味料の抽出液を蒸留する蒸留工程である。すなわち、本工程により、調理に好適な、苦味や雑味が除去された、薬味料由来の揮発性香気成分を高含有する料理用酒類を得ることができる。本工程で採用する蒸留方法としては特に限定はなく、連続式蒸留装置を用いてもよいし、単式蒸留装置を用いてもよい。単式蒸留装置を用いる場合は、減圧蒸留法、常圧蒸留法のいずれでもよい。本工程において、薬味料由来の揮発性香気成分は、初留区分と中留区分に大部分が回収される。したがって、本工程では後留区分は必須のものではなく、初留区分と中留区分を主として集めることが好ましい。例えば、後留カット22〜11%とすればよい。なお本工程では、品質劣化を惹起する成分は蒸留残渣中に残存することになるため、蒸留して得られた蒸留液の品質安定性は極めて高いものとなる。
【0044】
本発明の料理用酒類における最終製品のアルコール濃度は、1〜60v/v%、より好ましくは、1〜50v/v%である。必要に応じて、酒精、酒類、調味料及び/又は水を蒸留液に加えて最終製品のアルコール濃度を調整すればよい。
【0045】
上記の工程を経て最終的に蒸留酒類、例えば焼酎に属する料理用酒類が得られるとすると、その焼酎を用いて、酒税法でいう混成酒類のうち、みりんとしてもよい。その製造方法は、酒税法に則ったみりんの製造方法であれば特に限定はない。一般的なみりんの製造方法は、まず、搗精、洗米等の原料処理を行い、麹などを添加して仕込醪となし、糖化・熟成する。次に、糖化・熟成を終えた醪を圧搾機で上槽して搾汁液と粕に分離する。最後に、得られた搾汁液に対して精製工程で火入れし、滓下げして清澄な製品みりんとなる。ここでいう原料処理には、精白、洗米、浸漬、水切り、蒸煮、放冷の各工程があるが、更に掛原料の液化及び/又は糖化工程も含んでいる。原料として、米、米麹、醸造用アルコール又は焼酎以外に、デンプン部分加水分解物を使用してもよい。また、必要に応じて酵素製剤を掛原料の処理の液化及び/又は糖化工程並びに醪へ添加してもよい。
【0046】
本発明の料理用酒類は、酒類の不可飲処置による免税措置に基づいた発酵調味料とすることもできる。一般的なみりんタイプの発酵調味料の製造方法は、まず、掛原料、麹、酵母を添加して醪とし、食塩を添加して糖化・発酵を行い、更に米麹、糖質原料を添加して熟成させ、圧搾ろ過して搾汁液と粕を得る。そして、この搾汁液、又は搾汁液を精製して発酵調味料を得る。
【0047】
本発明の料理用酒類の形態としては特に限定はなく、液状だけでなく、例えば、粉末状、顆粒状、錠剤状、乳液状、ペースト状等に調製してもよい。必要に応じて、食塩などを添加することもできる。
【0048】
本発明の食材の処理方法は、本発明の料理用酒類を食材に接触させる工程を含むことを特徴とする。本処理により、食材へ香味を付与するととともに、食材が畜肉や魚介類である場合には、畜肉又は魚介類の不快臭のマスキング、食感改善、及び焦げつき防止を達成することができる。料理用酒類を接触させる方法としては浸漬が代表的であるが、塗布あるいは噴霧によって接触させてもよい。本発明の食材の処理方法を畜肉又は魚介類に適用する場合の、本発明の料理用酒類の畜肉又は魚介類への使用量は、薬味料由来の揮発性香気成分の組成に応じて適宜設定すればよく、特に限定はない。使用する薬味料の種類により、溶解度や調理効果が異なるため一概には決められないが、畜肉又は魚介類100部に対して1〜2000部の料理用酒類の使用が好ましい。なお、料理用酒類の使用量が高いほど不快臭のマスキング等の顕著な調理効果を示す。
【0049】
前述のように、本発明の食材の処理方法の対象となる食材は、畜肉又は魚介類が代表的である。畜肉は、食用できる肉であれば特に限定はなく、例えば獣肉類では、牛、豚、馬、羊、山羊、鹿、猪、熊などが挙げられ、鳥肉類では、鶏、アヒル、七面鳥、雉、鴨などが挙げられる。同様に、魚介類は、食用できる魚介類であれば特に限定はなく、魚類及び貝類などの水中にすむ水産動物が例として挙げられる。さらに、エビ、カニなどの節足動物、イカ、タコなどの軟体動物、クラゲなどの腔腸動物、ウニ、ナマコなどの棘皮動物、ホヤなどの原索動物なども対象となる。
【0050】
本発明の加工食品は、本発明の料理用酒類を食材に接触させることによって得られることを特徴とする。この場合の料理用酒類の使用量も、薬味料由来の揮発性香気成分の組成に応じて適宜設定すればよく、特に限定はない。好ましい実施形態では、当該食材が畜肉又は魚介類である。畜肉、魚介類の例は上記で挙げたものと同じである。
【0051】
本発明の料理用酒類のさらに好ましい実施形態は、薬味料として少なくとも生姜を含むものを使用した、焼酎に属する料理用酒類である。ここで、薬味料として生姜を使用した、焼酎に属する料理用酒類、すなわち「生姜焼酎」に属する本発明の料理用酒類の実施形態について、詳細に説明する。本実施形態の料理用酒類を製造するには、薬味料として生姜を使用し、酒精含有溶液として焼酎醪を使用する。そして、磨砕した生姜又は生姜の加工物を焼酎醪に添加する。より具体的には、まず、生姜を添加するためのベースとなる焼酎醪は、原料の米又は大麦を蒸きょう後、麹菌(白又は黒麹菌)の胞子を散布し、33〜40℃で約40時間かけて製麹し、一次醪として麹に水と焼酎酵母を加えて混合し、25〜30℃で約7日間かけて酵母の増殖を図り、この一次醪に主原料の穀類、水を加えて混合し二次醪とし、25〜30℃で8〜20日間(主原料の種類によって日数が異なる)かけて発酵させる。
【0052】
一方で、生姜又は生姜の加工物を磨砕する(磨砕工程)。そして、二次醪の段階で磨砕物を添加し、生姜由来の有効成分を抽出する(抽出工程)。生姜汁の搾りかすであれば、磨砕することなくそのまま添加して用いることができる。磨砕物の添加時期は、二次醪の段階であれば特に限定はない。また、磨砕物の醪中での浸漬期間としては、1〜5日間が特に好適である。薬味料由来の揮発性香気成分を効率よく回収するために、生姜又は生姜の加工物の磨砕物を添加する前あるいは蒸留前の醪に酸やアルカリを加えてpH調整を行う、醪の温度を60℃までの範囲で上げる、などの操作を行ってもよい。焼酎のベース醪の主原料の選択は特に制限されず、生姜特有の香気を引き立たせるためには、ベース醪の主原料はトウモロコシやデーツ等主原料由来の香気が比較的穏やかになる穀類原料を用いるのが好ましい。大麦をベース醪の主原料とするのも生姜特有の香気が引き立った酒質となるので好ましい。
【0053】
生姜由来の有効成分を含有する二次醪を、仕込み(発酵)終了後、単式蒸留機に入れ、減圧又は常圧で蒸留する(蒸留工程)。ここで、蒸留直後の原酒には油性成分があるので、過剰の不溶物をろ過して取り除く。こうして得られた料理用酒類は、生姜特有の香気が引き立った優れた酒質のものとなる。
【0054】
このようにして得られる本実施形態の料理用酒類は、アルコール濃度25v/v%換算にて最終製品中に1,8−シネオールを2.0mg/L以上、ネラールを1.0mg/L以上、及びゲラニアールを1.0mg/L以上含有する、きわめて優れた調理効果を有するものとなる。なお、磨砕工程において、生姜又は生姜の加工物の磨砕物ではなく細刻物や細断物を使用すると、これらの3成分の含有量が所定値未満のものしか得られず、調理効果が劣る。つまり、細刻物や細断物を使用すると最終製品中の各含量について1,8−シネオールが2.0mg/L未満、ネラール、ゲラニアールがそれぞれ1.0mg/L未満となり、生姜特有の香気が不十分であるとともに、前記した畜肉又は魚介類の不快臭のマスキング、畜肉又は魚介類の食感改善、畜肉又は魚介類の加熱調理する際の焦げつき防止といった効果も得られない。また、市販の生姜焼酎には1,8−シネオールを2.0mg/L以上、ネラールを1.0mg/L以上、及びゲラニアールを1.0mg/L以上含有するものは見当たらない。
【0055】
薬味料における生姜又は生姜の加工物の添加量を上げると、ネラールとゲラニアールの含有量をさらに高めることができる。生姜又は生姜の加工物の酒精含有溶液に対する添加量は特に限定はなく、流動性があって蒸留できればよく、例えば酒精含有溶液に対して50w/v%程度まで添加することが可能である。本実施形態におけるこれら3成分の上限値としては特に限定はないが、例えば、1,8−シネオール含有量を50mg/L以下、ネラール含有量を60mg/L以下、ゲラニアール含有量を60mg/L以下とすることができる。つまり、本実施形態では、1,8−シネオール含有量を2.0〜50mg/L、ネラール含有量を1.0〜60mg/L、ゲラニアール含有量を1.0〜60mg/Lとすることができる。なお、ネラールとゲラニアールは、モノテルペンのうち、一組のシス−トランス異性体であり、合わせてシトラールという。ネラールがZ体で、ゲラニアールがE体である。シトラールはレモングラスやその同属種から採れる精油の主成分であり、レモン、オレンジ等にも含まれるものである。
【0056】
本発明の料理用酒類は、そのまま食材の処理剤、畜肉又は魚介類の不快臭のマスキング剤、食感改善剤、焦げつき防止剤として使用することができる。
【0057】
以下に、実施例をもって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0058】
市販の生姜を5mm角にカッターで細断したものと、おろし金ですりおろしたものをそれぞれ10g用意し、アルコール濃度が15v/v%の酒精含有溶液100mLに添加した後、エバポレーターで減圧濃縮を行い、それぞれアルコール濃度が40v/v%程度の留液を得た。なお、エバポレーターでの減圧濃縮は、減圧蒸留と同等の効果を有するものであり、以下の実施例においても同様である。5mm角に細断した場合(比較例1)、磨砕した場合(実施例1)の2種類の料理用酒類サンプルを調製し、比較を行った。その結果、比較例1のサンプルでは生姜特有の香気が弱かったのに対して、実施例1のサンプルでは生姜らしい好適な香気を有していた。
【0059】
さらにGC/MSにより香気成分解析を行い、官能評価との相関を確認した。分析は、キャピラリーカラムDB−5(J&W社製)を接続したガスクロマトグラフG1530A(アジレント社製)に質量検出器5973(HEWLETT PACKARD社製)を連結したもので、常法通り行った。図1(a)と図1(b)は、それぞれ比較例1と実施例1におけるGC/MS分析の結果を示すクロマトグラムであり、横軸は時間(分)、縦軸はアバンダンス(イオン存在量)である。すなわち、比較例1のサンプルには香気成分はほとんど検出されなかったのに対し(図1(a))、実施例1のサンプルには香気成分が多く認められ、特に、1,8−シネオール、ネラール、ゲラニアールのピークが顕著に認められた(図1(b))。これにより、生姜を5mm角に細断しただけでは香気成分の回収は難しく、生姜特有の強い香りを求める場合には、抽出前に磨砕処理する方が効率よく香気成分を抽出できることが示された。
【実施例2】
【0060】
市販の生姜をおろし金ですりおろしたもの10gをアルコール濃度が15v/v%の酒精含有溶液100mLに添加した後、No.2のろ紙でろ過した抽出物(比較例2)とエバポレーターで減圧濃縮したもの(実施例2)をそれぞれアルコール濃度が12v/v%となるように水で希釈し、2種類の料理用酒類サンプルを調製し、30℃にて保存試験を行った。その結果、比較例2のサンプルでは数日で劣化臭が認められたが、実施例2のサンプルでは数ヵ月経ってもそのような劣化は認められなかった。
【0061】
30℃で6ヵ月間保存した時の成分変化を確認するため、各サンプルについて実施例1と同様の方法でGC/MS分析を行った。分析結果を表1に示す。表中の値は、試験開始前の分析により得られたピークエリア値を1としたときの相対値を示す。また「n.d.」は検出限界以下であることを示す。
【0062】
【表1】

【0063】
表1に示すように、実施例2のサンプルでは生姜特有の香気成分が維持されていたのに対して、比較例2のサンプルでは長期保存後に生姜特有の香気成分が減少しており、特に特徴香であるネラール、ゲラニアールといった成分の減少が顕著であった。以上より、蒸留工程を行うことにより香気成分を長期間に渡って維持できることが示され、抽出工程だけでは、香気成分以外の呈味成分が回収されても、品質を維持することが難しいことがわかった。
【実施例3】
【0064】
生姜をスーパーマスコロイダー〔増幸産業(株)製〕で処理した磨砕物10gをアルコール濃度が20v/v%の酒精含有溶液100mLに添加し、室温下で1時間抽出後、No.2のろ紙でろ過し、ろ液を回収した。このろ液を、エバポレーターで減圧濃縮したところ、アルコール濃度26.8v/v%の留液を得られた。この留液を水で希釈して、8倍希釈(実施例3−1)、20倍希釈(実施例3−2)の2種類の料理用酒類サンプルを調製した。各サンプルのアルコール濃度は、実施例3−1が3.3v/v%、実施例3−2が1.3v/v%であった。
【0065】
冷凍鯖8gに実施例3−1のサンプル20mLを加え、20分間静置した後、加熱した。沸騰後さらに1分間加熱し、放冷した後、鯖の臭いについて官能評価を行った。対照として、料理用酒類サンプルの代わりに水を用いて、同様に加熱したものについて評価した(比較例3−1)。その結果、比較例3−1と比べて、実施例3−1の方が鯖の不快臭がよくマスキングされていた。
【0066】
オーストラリア産牛肉5gに、実施例3−2のサンプル20mLを加え、20分間静置した後、加熱した。沸騰後さらに1分間加熱し、放冷した後、牛肉の臭いについて官能評価を行った。対照として、料理用酒類サンプルの代わりに水を用いて、同様に加熱したものについて評価した(比較例3−2)。その結果、比較例3−2と比べて、実施例3−2の方がオーストラリア産牛肉の畜肉臭や牧草臭がよくマスキングされていた。
【実施例4】
【0067】
大麦を用いて生姜焼酎の製造を行った。一次仕込みは、100gの精白麦を常法により水浸漬吸水後、水切り、蒸きょう、放冷した後、得られた蒸麦に種麹として焼酎白麹菌を接種し、麦麹を得た。この麹に汲水150mL及び焼酎酵母を加え、25℃で7日間発酵させ、一次醪を得た。一次醪に、精白麦350gと汲水720mLを加え、二次仕込みを行い、25℃で10日間発酵させ、二次醪を得た。二次醪(酒精含有溶液)の醪容量に対して生姜の磨砕物を10w/v%加え、三次仕込みを行い、25℃で2日間発酵させた。なお、生姜の磨砕物は、生姜をスーパーマスコロイダー〔増幸産業(株)製〕で処理して調製した。蒸留工程として、真空度(圧力)8.00×10-3MPaで単式減圧蒸留を行い、後留カット12%として、蒸留液を得た。不溶物をろ過して取り除き、水で希釈して生姜焼酎(アルコール濃度25v/v%)を得た。得られた生姜焼酎をアルコール濃度が12v/v%となるように水で希釈し、料理用酒類サンプルとした(実施例4)。対照として、生姜の磨砕物10gをアルコール濃度が12v/v%の酒精含有溶液100mLに添加し、5℃で1時間抽出し、該抽出液を固液分離したのみのもの(蒸留工程なし)を使用した(比較例4)。官能評価を行ったところ、実施例4のサンプルは比較例4のサンプルに比べて土臭さがなくなり、生姜の芳香が強く清涼感があった。
【0068】
両サンプルについて、30℃で2ヵ月間の保存試験を行った。その結果、比較例4のサンプルでは生姜の芳香が著しく減退していたのに対し、実施例4のサンプルでは生姜らしい香気が維持されていた。
【0069】
実施例4のサンプルについて、実施例1と同様の方法でGC/MS分析を行った。その結果、1,8−シネオール、リナロール、ネラール、ゲラニアール、α−クルクメン、ジンギベレン、β−セスキフェランドレン、ファルネセンなど、生姜に由来する特徴香として知られる香気成分が多数回収されていることがわかった。また、実施例4のサンプルには、1,8−シネオールが7.8mg/L、ネラールが8.5mg/L、ゲラニアールが9.5mg/L(すべてアルコール濃度25v/v%換算)含まれていた。さらに、生姜の辛味成分として知られる6−ショウガオール、ジンゲロン、ジンゲロールなどの辛味成分はほぼ除去されていた。以上より、実施例4の料理用酒類は、料理用として適していることはもちろん飲用としても適していると考えられた。
【0070】
醪への生姜磨砕物の添加量を増加させて、同様にして生姜焼酎の製造を行った。すなわち、実施例4と同様にして調製した生姜の磨砕物を醪容量に対して20w/v%加え、その他は同様にして生姜焼酎を製造した。その結果、1,8−シネオールを25.4mg/L、ネラールを29.3mg/L、ゲラニアールを27.2mg/L(すべてアルコール濃度25v/v%換算)含有していた。生姜の磨砕物を醪容量に対して40w/v%加えた場合には、1,8−シネオールを45.8mg/L、ネラールを59.0mg/L、ゲラニアールを57.4mg/L(すべてアルコール濃度25v/v%換算)含有していた。このように醪への生姜磨砕物の添加量を増加させることにより、生姜由来の香気成分をさらに多く含有する料理用酒類が得られた。
【実施例5】
【0071】
実施例4で得られた生姜焼酎(アルコール濃度25v/v%)0.2mL、水0.8mLの計1.0mLに、モナートガムGS〔キサンタンガム、大日本製薬(株)製〕を1w/v%含有するように添加した溶液に、オレイン酸100mgを加えて懸濁し、40℃恒温下で135時間保存し、過酸化物価(POV)測定の試料とした(実施例5)。
【0072】
POVの測定は、Ishidaらによる方法〔日本調理科学会誌、第38巻、第6号、第486〜490頁、(2005年)〕を若干改変して行った。すなわち、試料溶液に水0.6mLを加え、15分静置した後、90%メタノール(0.04%ブチルヒドロキシアニソール含有)2mL、クロロホルム1mLを加え、混合した。混合物に、水1mL、クロロホルム(0.001%ブチルヒドロキシアニソール含有)、ヘキサン(0.001%ブチルヒドロキシアニソール含有)4mLを順に加え、混合した後、2000rpmで5分間遠心処理した。上層から適当量の測定試料を採取し、一方は試験管に採り油量の測定に供し、もう一方はPOV測定に供した。油量の測定は窒素を吹き付けて溶媒を除去し、残った油の重量を秤量することにより行った。
【0073】
採取したPOV測定試料に合計が2mLとなるようにクロロホルム(0.02%ブチルヒドロキシアニソール含有)を加え、更に氷酢酸(0.02%ブチルヒドロキシアニソール含有)4mL、50%ヨウ化カリウム0.4mLを加え、窒素置換してから密封し、5分間暗所に静置した。2%酢酸カドミウム溶液で10mLまでフィルアップし、40℃の水浴に1分間浸け、2層に分離後、上層を採取し、分光光度計にて波長410nmの吸光度を10mmセルで測定した。ブランクは、POV測定試料を加えず同様に測定を行い、次式によりPOVを算出した。
POV(meq/kg)={(サンプルのOD410nm−ブランクのOD410nm)×60.14+0.69}/{0.008×油の重量(mg)}
なお、比較例5−1として水を、比較例5−2として生姜の磨砕物を添加せずに調製した麦焼酎をアルコール濃度が25v/v%となるように水で希釈したものを、それぞれPOVの測定に供した。結果を表2に示す。
【0074】
【表2】

【0075】
表2に示すように、実施例5では、比較例5−2と比べて、オレイン酸の過酸化物価の上昇が抑制されていた。したがって、実施例4で得られた生姜焼酎(アルコール濃度25v/v%)は、例えば魚の脂質が酸化して不快臭を発生するというのを防止するといった、抗酸化性を有する優れた焼酎であることを裏づける結果となった。
【実施例6】
【0076】
実施例4で得られた生姜焼酎(アルコール濃度25v/v%)を、アルコール濃度が6v/v%となるように水で希釈した料理用酒類サンプルを用いて、鶏肉の不快臭のマスキング効果について検討を行った。原料臭の強い鶏のもも肉を適当な大きさに切り、鶏肉100g当たりサンプル20mLを加え、5℃で30分間下漬け処理を行った。これに片栗粉〔前原製粉(株)製〕とからあげ粉〔日清フーズ(株)製〕を等量ずつ混ぜ合わせた衣をつけ、サラダ油〔日清オイリオグループ(株)製〕にて180℃で4分間加熱調理して、とりの唐揚げを得た(実施例6)。対照として、アルコール濃度が6v/v%の酒精含有溶液100mLに生姜を細切りしたもの(5mm×5mm×3cm程度)5gを添加し、同様に調理した(比較例6)。
【0077】
実施例6と比較例6の唐揚げについて、鶏肉の臭みの軽減、鶏肉への生姜の香りの付与等を、熟練したパネラー9名により官能評価試験を行った。その結果、9名中7名が、比較例6より実施例6の方が、原料臭の改善がされている、すなわち鶏肉の臭みが消えていると回答した。また、9名中8名が、比較例6より実施例6の方が、とりの唐揚げに生姜の風味を強く感じると回答した。したがって、調理においては、生姜そのものよりも、実施例6の料理用酒類を使用する方が、鶏肉に対して生姜の風味が染み込みやすく、畜肉の臭み、不快臭を低減しやすいという優れた機能を発揮していた。
【実施例7】
【0078】
実施例4で得られた生姜焼酎(アルコール濃度25v/v%)を、アルコール濃度が1.8v/v%となるように水で希釈した料理用酒類サンプルを用いて、牛肉の食感改善について検討を行った。牛ロース肉100gにサンプル20mLを加え、室温下で1時間下漬け処理を行った。これをフライパンにサラダ油を引いて焼き、ビーフステーキを得た(実施例7)。牛ロース肉としては、オーストラリア産の穀物飼育牛の肉と牧草飼育牛の肉の2種類を用いた。対照は、下漬け処理を行わず、同様に焼いたものとした(比較例7)。その結果、比較例7のビーフステーキと比べて、実施例7のビーフステーキは穀物飼育牛でも牧草飼育牛でも畜肉臭・牧草臭といった不快臭がマスキングされ、食味が向上していた。更に、実施例7のビーフステーキの方が穀物飼育牛、牧草飼育牛ともに繊維がやわらかく、肉汁も保たれていて、食感が良くなっていた。
【0079】
テクスチャー・アナライザー〔ステイブル マイクロ システムズ(Stable Micro Systems)社製〕を用いて、室温(25℃)において、それぞれのビーフステーキの固さを測定した。直径2mmのステンレス スチール シリンダー プローブ(Stainless Steel cylinder probe)を用い、速度は1.5mm/秒で圧縮強度を測定した。測定結果を図2及び図3に示す。図2は穀物飼育牛のロース肉を用いた場合の測定結果、図3は牧草飼育牛のロース肉を用いた場合の測定結果を示す。すなわち、いずれのロース肉の場合でも、実施例4の生姜焼酎で下付け処理したものの方が圧縮強度は低かった。以上より、穀物飼育牛でも脂の少ない牧草飼育牛でも、実施例4の生姜焼酎を下漬け処理に用いることにより、肉質を柔らかくすることができ、食感を改善できることが裏づけられた。
【実施例8】
【0080】
実施例4で得られた生姜焼酎(アルコール濃度25v/v%)を、アルコール濃度が12v/v%となるように水で希釈した料理用酒類サンプルを用いて、鶏肉の焦げつき防止について検討を行った。原料臭の強い鶏のもも肉を適当な大きさに切り、鶏肉100g当たりサンプル20mLを加え、5℃で3時間の下漬け処理を行った。その後、実施例6と同様に調理をして、とりの唐揚げを得た(実施例8)。対照は、鶏肉を柔らかくする効果を持つ清酒を用いて、同様に調理したものとした(比較例8)。
【0081】
その結果、比較例8では、加熱調理後、とりの唐揚げの衣に黒い焦げつきが多く見られたのに対し、実施例8では、ほとんど焦げつきがなく、からっと揚がっていた。また、調理後の鶏肉も非常に柔らかい食感であった。したがって、実施例8で用いた料理用酒類は、調理の味つけに使用しても、肉質を柔らかくする、また、衣が焦げつきにくいという優れた調理機能を有するものであった。更に、実施例8では生姜の風味が均一にすばやく染み込む、後味がすっきりするといった調理効果も得られた。
【実施例9】
【0082】
実施例4で得られた生姜焼酎(アルコール濃度25v/v%)を用いて、魚介類の不快臭のマスキングについて検討を行った。あらかじめ表3に示す配合の調味液(2種)を調製した。
【0083】
【表3】

【0084】
冷凍鯖70gに表3に示した生姜焼酎を含む調味液200mLを加え、10分間加熱し、鯖の煮つけを得た(実施例9)。対照は、生姜焼酎の代わりに清酒を含む調味液を用いて、同様に調理したものとした(比較例9)。実施例9と比較例9の鯖について、鯖の不快臭等を、熟練したパネラー11名により官能評価試験を行った。その結果、11名中11名が、比較例9より実施例9の方が、冷凍鯖特有の臭み、不快臭がマスキングされていると回答した。
【実施例10】
【0085】
実施例4と同様の方法により、生姜焼酎の製造を行った。なお蒸留工程において、蒸留液を初期(初留区分)、中期(中留区分)、後期(後留区分1、後留区分2)に分けて集めた。後留区分1は後留カット22%、後留区分2は後留カット11%とした。各区分についてアルコール濃度、pH、及び酸度を分析した結果を表4に示す。
【0086】
【表4】

【0087】
さらに、初留区分、中留区分、後留区分1、後留区分2の香気成分の違いについて検討するため、実施例1と同様の方法でGC/MS分析を行った。分析結果を表5に示す。表中の値は、初留区分の分析により得られたピークエリア値を1としたときの相対値を示す。また「n.d.」は検出限界以下であることを示す。
【0088】
【表5】

【0089】
表5に示すように、中留区分や後留区分に比べて、初留区分に生姜由来の香気成分が多く含まれていることがわかった。これにより、本実施例の料理用酒類では、後留区分は必須ではなく、初留区分と中留区分を主として集めるのが好ましいことを裏づける結果となった。
【0090】
初留区分、中留区分、後留区分1、後留区分2をそれぞれ調理に用いたときの調理効果の違いを検証した。初留区分、中留区分、後留区分1、後留区分2をそれぞれ20mLとり、すべてをアルコール濃度が12v/v%となるように水、原料用アルコールで調整し、100mLのサンプルを調製した。それぞれのサンプルを用いて、鶏肉の不快臭のマスキングについて検討を行った。原料臭の強い鶏のもも肉を適当な大きさに切り、鶏肉100g当たりサンプル20mLを加え、5℃で1時間の下漬け処理を行った。これらに実施例6と同様に調理をして、とりの唐揚げを得た(実施例10−1〜実施例10−4)。
【0091】
それぞれの鳥の唐揚げについて、鶏肉の臭みの軽減、鶏肉への生姜の香りの付与等を、熟練したパネラー5名により官能評価試験を行った。その結果、5名中5名が、実施例10−1(初留区分を用いて下漬け処理を行ったもの)が、最も生姜の風味を強く感じ、好ましいと回答した。一方、実施例10−3(後留区分1を用いて下漬け処理を行ったもの)及び実施例10−4(後留区分2を用いて下漬け処理を行ったもの)は、鶏肉の臭みは殆んど改善されていないと回答した。したがって、料理用蒸留酒類において、より生姜の風味が強いものを得る場合には、後留カットを早くすればよいことを裏づける結果となった。
【実施例11】
【0092】
山椒の粉〔ヱスビー食品(株)製〕10gをアルコール濃度が20v/v%の酒精含有溶液100mLに添加し、室温下で1時間抽出後、No.2のろ紙でろ過し、ろ液を回収した。このろ液をエバポレーターで減圧濃縮し、アルコール濃度26.8v/v%の留液を得た(実施例11)。対照は、エバポレーターで減圧濃縮しないろ液そのものとした(比較例11)。両サンプルについて官能評価を行った結果、実施例11のサンプルは、比較例11のサンプルと比べて、山椒の特徴的な香気がより付与されたスピリッツ(山椒スピリッツ)であった。
【0093】
実施例1と同様の方法でGC/MS分析を行った。分析結果を表6に示す。表中の値は、比較例11の分析により得られたピークエリア値を1としたときの相対値を示す。
【0094】
【表6】

【0095】
表6に示すように、実施例11のサンプルは、比較例11のサンプルと比べて、山椒に特徴的な香気成分であるリナロール、4−テルピネオール、ゲラニオール、ゲラニルアセテートを多く含むことがわかった。
【実施例12】
【0096】
実施例11の山椒スピリッツを、水で4倍希釈とした試料を用いて、鶏肉の不快臭のマスキングについて検討を行った。原料臭の強い鶏のもも肉を適当な大きさに切り、鶏肉100g当たりサンプル20mLを加え、5℃で30分間の下漬け処理を行った。これを実施例6と同様に調理をして、とりの唐揚げを得た(実施例12)。対照は、水を用いて、同様に調理したものとした(比較例12)。その結果、実施例12の唐揚げは、比較例12の唐揚げと比べて、山椒のさわやかな風味が染み込んでいるものであった。
【0097】
また、生のうなぎを山椒スピリッツで下漬け処理し、蒲焼きのたれをつけて加熱調理したところ、うなぎ特有の臭みがとれ、焦げつきも少ない香味の良好なうなぎの蒲焼きが得られた。
【実施例13】
【0098】
乾燥八角〔ヱスビー食品(株)製〕10gをアルコール濃度が20v/v%の酒精含有溶液100mLに添加し、室温下で1時間抽出後、No.2のろ紙でろ過し、ろ液を回収した。このろ液を、エバポレーターで減圧濃縮したところ、アルコール濃度22.8v/v%の留液を得た。この留液について官能評価を行った結果、八角の特徴的な香気が付与されており、豚の角煮や魚の揚げ物など中華料理に適した料理用酒類であった。
【0099】
留液について実施例1と同様の方法でGC/MS分析を行ったところ、八角に特徴的な香気成分である、トランスアネトールが多く含まれていることがわかった。
【実施例14】
【0100】
おろし金ですりおろしたニンニク10gをアルコール濃度が20v/v%の酒精含有溶液100mLに添加し、室温下で1時間抽出後、No.2のろ紙でろ過し、ろ液を回収した。このろ液を、エバポレーターで減圧濃縮し留液を得た。この留液は、炒め物などに用いると、ニンニクの好ましい香気を付与することができ、更に香味の幅、奥行き、及び熟成感を付与することのできる料理用酒類であった。
【実施例15】
【0101】
オールスパイス5gをアルコール濃度が20v/v%の酒精含有溶液100mLに添加し、室温下で1時間抽出後、No.2のろ紙でろ過し、ろ液を回収した。このろ液を、エバポレーターで減圧濃縮し留液を得た。この留液は、オールスパイスの香りが強く、肉料理、スープ、ハム、ソーセージの調味づけのみならず、洋菓子にも好適な料理用酒類であった。
【実施例16】
【0102】
すりつぶした白ゴマ20gをアルコール濃度が20v/v%の酒精含有溶液100mLに添加し、室温下で1時間抽出後、No.2のろ紙でろ過し、ろ液を回収した。このろ液を、エバポレーターで減圧濃縮し留液を得た。この留液は、炒め物や肉の下漬け処理液に用いると、ゴマの香ばしい香りを付与することのできる料理用酒類であった。
【実施例17】
【0103】
細かく刻んだネギ10gをアルコール濃度が20v/v%の酒精含有溶液100mLに添加し、室温下で1時間抽出後、No.2のろ紙でろ過し、ろ液を回収した。このろ液を、エバポレーターで減圧濃縮し留液を得た。この留液は、炒め物や肉の下漬け処理液に用いると、ネギの好ましい香気を付与することができ、また肉の臭みをとることのできる料理用酒類であった。
【実施例18】
【0104】
細かく刻んだシソ10gをアルコール濃度が20v/v%の酒精含有溶液100mLに添加し、室温下で1時間抽出後、No.2のろ紙でろ過し、ろ液を回収した。このろ液を、エバポレーターで減圧濃縮し留液を得た。この留液は、シソの好ましい香気が強く、香味の幅もあり、ドレッシングや和え物などに好適な料理用酒類であった。
【実施例19】
【0105】
細かく刻んだバジル10gをアルコール濃度が20v/v%の酒精含有溶液100mLに添加し、室温下で1時間抽出後、No.2のろ紙でろ過し、ろ液を回収した。このろ液を、エバポレーターで減圧濃縮し留液を得た。この留液は、バジルの奥行きある香りが強く、トマトソースやドレッシング、また肉の下漬け処理液などに好適な料理用酒類であった。
【実施例20】
【0106】
バニラの磨砕物5gをアルコール濃度が20v/v%の酒精含有溶液100mLに添加し、室温下で1時間抽出後、No.2のろ紙でろ過し、ろ液を回収した。このろ液を、エバポレーターで減圧濃縮し留液を得た。この留液は、バニラの甘い香りが強く、洋菓子などに好適な料理用酒類であった。
【実施例21】
【0107】
おろし金ですりおろしたタマネギ(オニオン)10gをアルコール濃度が20v/v%の酒精含有溶液100mLに添加し、室温下で1時間抽出後、No.2のろ紙でろ過し、ろ液を回収した。このろ液を、エバポレーターで減圧濃縮し留液を得た。この留液は、タマネギの香気が付与されており、シチューや牛丼などにタマネギの甘い香気を付与し、奥行き・熟成感を増大することのできる料理用酒類であった。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】(a)は比較例1におけるGC/MS分析の結果を示すクロマトグラム、(b)は実施例1におけるGC/MS分析の結果を示すクロマトグラムである。
【図2】実施例7において穀物飼育牛のロース肉を用いた場合のテクスチャー・アナライザーによる圧縮強度の測定結果を示すグラフである。
【図3】実施例7において牧草飼育牛のロース肉を用いた場合のテクスチャー・アナライザーによる圧縮強度の測定結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬味料を磨砕する磨砕工程と、前工程で磨砕した薬味料をアルコール濃度10〜75v/v%の酒精含有溶液に接触させて、薬味料の抽出液を調製する抽出工程と、前工程で調製した薬味料の抽出液を蒸留する蒸留工程とを含む方法によって得られ、薬味料の抽出物を含有し、最終製品のアルコール濃度が1〜60v/v%であることを特徴とする料理用酒類。
【請求項2】
前記薬味料は、生姜、山椒、ニンニク、ローズマリー、柚子、オールスパイス、八角、ゴマ、ネギ、シソ、バジル、唐辛子、シナモン、バニラ、ローレル、及びオニオン、並びにこれらの加工物からなる群より選択された1又は2以上のものであることを特徴とする請求項1に記載の料理用酒類。
【請求項3】
蒸留酒類又はみりんに属するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の料理用酒類。
【請求項4】
前記薬味料は少なくとも生姜を含み、かつ前記蒸留酒類が焼酎であることを特徴とする請求項3に記載の料理用酒類。
【請求項5】
アルコール濃度25v/v%換算で、2.0mg/L以上の1,8−シネオール、1.0mg/L以上のネラール、及び1.0mg/L以上のゲラニアールを含有することを特徴とする請求項4に記載の料理用酒類。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の料理用酒類を食材に接触させる工程を含むことを特徴とする食材の処理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の食材の処理方法によって畜肉又は魚介類を処理し、畜肉又は魚介類の不快臭をマスキングすることを特徴とする畜肉又は魚介類の不快臭のマスキング方法。
【請求項8】
請求項6に記載の食材の処理方法によって畜肉又は魚介類を処理し、畜肉又は魚介類の食感を改善することを特徴とする畜肉又は魚介類の食感改善方法。
【請求項9】
請求項6に記載の食材の処理方法によって畜肉又は魚介類を処理し、畜肉又は魚介類を加熱調理する際の焦げつきを防止することを特徴とする畜肉又は魚介類の焦げつき防止方法。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の料理用酒類を食材に接触させることによって得られることを特徴とする加工食品。
【請求項11】
前記食材は、畜肉又は魚介類であることを特徴とする請求項10に記載の加工食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−213410(P2009−213410A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−60998(P2008−60998)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(302026508)宝酒造株式会社 (38)
【Fターム(参考)】