斜行検知装置、及び前記斜行検知装置を用いたシート搬送装置、並びに画像読取装置。
【課題】簡易な構成で、且つ確実な斜行検知を行うことができる斜行検知装置、及び前記斜行検知装置を用いたシート搬送装置、並びに画像読取装置を提供する。
【解決手段】送信側伝波部102は、超音波発生部101により発生された超音波を送信側開口部103A、103B、103Cに伝える。受信側伝波部105は、受信側開口部104A、104B、104Cにより受信された超音波を超音波受取部106に伝える。第1距離L1<第2距離L2である。超音波受取部106は、受信側開口部104A、104B、104Cにより受信された超音波を受け取る。超音波受取部106により受け取られた超音波の振幅値の差異に基づいてシートの斜行の有無が判定される。
【解決手段】送信側伝波部102は、超音波発生部101により発生された超音波を送信側開口部103A、103B、103Cに伝える。受信側伝波部105は、受信側開口部104A、104B、104Cにより受信された超音波を超音波受取部106に伝える。第1距離L1<第2距離L2である。超音波受取部106は、受信側開口部104A、104B、104Cにより受信された超音波を受け取る。超音波受取部106により受け取られた超音波の振幅値の差異に基づいてシートの斜行の有無が判定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されるシートの斜行の有無を検知する斜行検知装置、及び前記斜行検知装置を用いたシート搬送装置、並びに画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、超音波を用いて、搬送されるシートの斜行の有無を検知する斜行検知装置が提案されている。特許文献1に開示されている斜行検知装置は、2個以上の超音波送信部と、2個以上の超音波受信部と、を備える。2個以上の超音波送信部は、各々、搬送されるシートの一例である段ボール紙片に向けて超音波を送信する。2個以上の超音波受信部は、各々、搬送される段ボール紙片を透過したか、又は段ボール紙片により反射された超音波を受信する。
【0003】
段ボール紙片が2個以上の超音波受信部の各々の上を通過すると、非通過時と比較して超音波の振幅値に差が出る。例えば、2個以上の超音波受信部が、各々、搬送される段ボール紙片を透過した超音波を受信する場合、超音波の振幅値は、非通過時と比較して小さくなる。即ち、超音波が減衰する。特許文献1の斜行検知装置は、この超音波が示す段ボール紙片の通過信号の2個以上の超音波受信部間における時間差から紙段ボール紙片の斜行の有無を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−206758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている斜行検知装置は、2個以上の超音波送信部、及び超音波受信部を用いるため、2個以上の超音波送信部から同時に超音波を送信すると、超音波同士の干渉が起きていた。この干渉により、確実な斜行検知を行うことが困難であった。また、特許文献1に開示されている斜行検知装置は、2個以上の超音波送信部から別個に超音波を送信し、各々の超音波送信部からの超音波を2個以上の超音波受信部の各々により受信する必要があった。従って、装置の構成が複雑であった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、簡易な構成で、且つ確実な斜行検知を行うことができる斜行検知装置、及び前記斜行検知装置を用いたシート搬送装置、並びに画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、搬送されるシートの斜行の有無を検知する斜行検知装置であって、パルス状の超音波を発生する超音波発生部と、前記シートの表面に平行な面上で、且つ前記シートが搬送される搬送方向に直交する直交方向に対して異なる位置に配列され、前記超音波を送信する複数の送信側開口部と、前記超音波発生部と複数の前記送信側開口部とに連結され、前記超音波発生部により発生された前記超音波を複数の前記送信側開口部に伝える送信側伝波部と、前記直交方向に対して異なる位置に配列され、複数の前記送信側開口部と前記シートを挟んで対向し、複数の前記送信側開口部により送信された前記超音波を受信する複数の受信側開口部と、複数の前記受信側開口部により受信された前記超音波を受け取る超音波受取部と、複数の前記受信側開口部と前記超音波受取部とに連結され、複数の前記受信側開口部により受信された前記超音波を前記超音波受取部に伝える受信側伝波部と、複数の前記受信側開口部を介して前記超音波受取部により受け取られた前記超音波の振幅値の差異に基づいて前記シートの斜行の有無を判定する判定部と、を備え、前記超音波発生部から前記送信側伝波部、複数の前記送信側開口部、及び複数の前記受信側開口部を介して前記超音波受取部に至るまでの複数の経路の経路長は、異なる長さであることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、複数の前記送信側開口部のうちの1つの前記送信側開口部と前記超音波発生部と前記超音波受取部とは、前記直交方向に対して同一位置に配置され、複数の前記受信側開口部のうちの1つの前記受信側開口部と前記超音波発生部と前記超音波受取部とは、前記直交方向に対して同一位置に配置されることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記送信側伝波部、及び前記受信側伝波部は、前記直交方向に延出し、複数の前記送信側開口部は、前記搬送方向に対して同一の位置に配置され、複数の前記受信側開口部は、前記搬送方向に対して同一の位置に配置されることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の本発明は、請求項2に記載の発明において、前記超音波発生部と前記超音波受取部と、前記直交方向に対して同一位置に配置される特定の前記送信側開口部は、前記搬送方向において他の前記送信側開口部の上流側に配置され、前記超音波発生部と前記超音波受取部と、前記直交方向に対して同一位置に配置される特定の前記受信側開口部は、前記搬送方向において他の前記受信側開口部の上流側に配置され、特定の前記送信側開口部と他の前記送信側開口部との間の距離を音速により割った時間が、前記搬送方向における特定の前記送信側開口部と他の前記送信側開口部との間の距離を前記シートの搬送速度により割った時間と等しくなり、特定の前記受信側開口部と他の前記受信側開口部との間の距離を音速により割った時間が、前記搬送方向における特定の前記受信側開口部と他の前記側開口部との間の距離を前記シートの搬送速度により割った時間と等しくなるように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の本発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、少なくとも3つの前記送信側開口部と、少なくとも3つの前記受信側開口部と、を備えることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載の発明において、少なくとも3つの前記送信側開口部のうち、前記送信側伝波部おいて隣接する2つの前記送信側開口部の間の距離、及び少なくとも3つの前記受信側開口部のうち、前記受信側伝波部において隣接する2つの前記受信側開口部の間の距離は、各々、前記送信側伝波部、及び前記受信側伝波部の構成に依存した残響時間と音速とを掛け合わせることにより求められる値の半分の値以上の距離であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項7記載の本発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記送信側伝波部、及び複数の前記送信側開口部、並びに受信側伝波部、及び複数の前記受信側開口部は、各々、伝声管により構成されることを特徴とするものである。
【0014】
請求項8記載の本発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、前記判定部の判定結果に基づいて前記シートの斜行の有無を報知する報知部を備えることを特徴とするものである。
【0015】
請求項9記載の本発明は、シート搬送装置であって、請求項1〜8のいずれかに記載の斜行検知装置と、前記シートを搬送する搬送部と、を備えることを特徴とするものである。
【0016】
請求項10記載の本発明は、請求項9記載の発明において、前記搬送部は、前記シートの表面に交差する方向において相対向して配置され、前記シートを挟みながら前記搬送方向に前記シートを押し出すことで前記シートを搬送する一対の搬送部であり、前記搬送部は、複数の前記送信側開口部のうちの少なくとも2つの前記送信側開口部の間に位置し、且つ前記少なくとも2つの前記送信側開口部を介した超音波を受信する少なくとも2つの前記受信側開口部の間に位置することを特徴とするものである。
【0017】
請求項11記載の本発明は、画像読取装置であって、請求項9または10に記載のシート搬送装置と、前記搬送部により搬送された前記シートの画像を読み取る読取部と、を備えることを特徴とするものである。
【0018】
請求項12記載の本発明は、請求項11に記載の発明において、前記搬送部による前記シートの搬送速度と、複数の前記受信側開口部を介して前記超音波受取部により前記超音波が受け取られる時間差と、前記送信側伝波部における前記超音波発生部から各々の前記送信側開口部までの距離と、に基づいて前記シートの斜行角度を決定する決定部と、
前記決定部により決定された前記斜行角度に基づいて前記シートの画像の傾き補正を行う画像処理部と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の斜行検知装置によれば、超音波発生部と複数の送信側開口部とが送信側伝波部により連結されている。また、超音波受取部と複数の受信側開口部とが受信側伝波部により連結されている。よって、1個の超音波発生部から超音波を発生するだけで、超音波が送信側伝波部を伝わり、複数の送信側開口部から送信される。また、複数の受信側開口部により受信された超音波は、受信側伝波部を伝わり、1個の超音波受取部により受け取られる。よって、複数の超音波送信部から別個に超音波を送信することなく、また、複数の超音波受信部により超音波を受信する必要がない。よって、簡易な構成により斜行検知が可能である。
【0020】
また、請求項1記載の斜行検知装置によれば、超音波発生部から送信側伝波部、複数の送信側開口部、及び複数の受信側開口部を介して超音波受取部に至るまでの複数の経路の経路長は、異なる長さである。よって、超音波発生部により発生された超音波が複数の送信側開口部、及び複数の受信側開口部を介して超音波受取部に到達する時間は異なる。従って、超音波同士の干渉が起きる可能性を低減でき、確実な斜行検知を行うことが可能である。
【0021】
請求項2記載の斜行検知装置によれば、超音波発生部により発生された超音波は、先ず、直交方向に対して超音波発生部と超音波受取部と同一位置に配置される1つの送信側開口部により送信される。その後、超音波発生部により発生された超音波は、送信側伝波部を伝わり、他の送信側開口部により送信される。直交方向に対して超音波発生部と超音波受取部と同一位置に配置される1つの送信側開口部により送信された超音波は、直交方向に対して超音波発生部と超音波受取部と同一位置に配置される1つの受信側開口部により受信される。よって、直交方向に対して超音波発生部と超音波受取部と同一位置に配置される1つの送信側開口部、及び1つの受信側開口部を介した超音波を最も経路長の短い経路で伝えることができる。従って、直交方向に対して、複数の送信側開口部、及び複数の受信側開口部の全てが他の位置に配置される場合と比較して、斜行検知に用いる超音波の送受信に要する時間を可及的に短縮することができる。
【0022】
請求項3記載の斜行検知装置によれば、送信側伝波部、及び受信側伝波部は、直交方向に延出し、複数の送信側開口部は、搬送方向に対して同一の位置に配置され、複数の受信側開口部は、搬送方向に対して同一の位置に配置される。従って、搬送方向に対して同一の位置でシートの有無を検知できるため、確実な斜行検知が可能となる。
【0023】
請求項4記載の斜行検知装置によれば、直交方向に対して超音波発生部と超音波受取部と同一位置に配置される1つの送信側開口部から超音波が送信されてから、他の送信側開口部から超音波が送信されるまでの時間の間にシートが搬送されることによる斜行検知精度への影響を低減できる。従って、精度の良い斜行検知を行うことができる。
【0024】
請求項5記載の斜行検知装置によれば、少なくとも3つの送信側開口部と、少なくとも3つの受信側開口部とを備える。よって、2個の送信側開口部と2個の受信側開口部とを備える斜行検知装置と比較して、シートの有無を検知するための部材である送信側開口部、及び受信側開口部の数が多いため、より確実な斜行検知が可能となる。
【0025】
請求項6記載の斜行検知装置によれば、複数の受信側開口部のうちの特定の受信側開口部により超音波が受信される際に受信側伝波部に発生する残響が、特定の受信側開口部が超音波を受信した後に特定の受信側開口部と互いに隣り合う開口部により超音波が受信されるまで受信側伝波部に残らない。残響が隣り合う受信側開口部により超音波が受信されるまで残ると、隣り合う受信側開口部により受信される超音波と残響とが重畳する。このように超音波と残響とが重畳すると、斜行検知の精度に影響が出る。従って、請求項5記載の装置によれば、残響により、搬送される斜行検知の精度に影響が出ることを防止できる。
【0026】
請求項7記載の斜行検知装置によれば、送信側伝波部、及び複数の送信側開口部、並びに受信側伝波部、及び複数の受信側開口部は、各々、伝声管により構成される。従って、送信側伝波部、及び複数の送信側開口部、並びに受信側伝波部、及び複数の受信側開口部に対し、各々、別個の部品を用いる場合と比較して、部品点数を減らすことができる。
【0027】
請求項8記載の斜行検知装置によれば、ユーザにシートの斜行の有無を報知することが可能となる。従って、ユーザにシートが斜行せずに確実に搬送されたか否かを報知することができる。
【0028】
請求項9記載のシート搬送装置によれば、シートを搬送しながら、シートの斜行の有無を検知することができる。従って、斜行の発生を抑えたシートの確実な搬送につなげることができる。
【0029】
請求項10記載のシート搬送装置によれば、少なくとも2つの送信側開口部の間、及び少なくとも2つの受信側開口部の間に位置する搬送部により、シートが挟まれる。よって、特定の送信側開口部と特定の送信側開口部により送信された超音波を受信する受信側開口部との間の超音波送受信が、他の送信側開口部と他の送信側開口部により送信された超音波を受信する受信側開口部との間の超音波送受信に干渉しない。従って、請求項9記載のシート搬送装置によれば、確実な斜行検知を行うことができる。
【0030】
請求項11記載の画像読取装置によれば、シートを搬送しながらシートの画像を読み取る画像読取装置において、同時に斜行検知を行うことができる。従って、画像の傾きを抑えた確実な画像読み取りにつなげることができる。
【0031】
請求項12記載の画像読取装置によれば、決定部により決定されたシートの斜行角度に基づいて、読取部により読み取られたシートの画像の傾き補正を行うことができる。従って、画像の傾きを抑えた確実な画像読み取りを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置1を示す斜視図である。
【図2】上記画像読取装置1の内部構成を説明するための説明図である。
【図3】上記画像読取装置1の検知部10を示す正面図である。
【図4】上記検知部10を示す側面図である。
【図5】上記検知部10によるシートPPの検知を説明するための説明図である。
【図6】上記検知部10による超音波の発生、送信、及び受信を説明するための説明図である。
【図7】超音波と残響との重畳によるシートPPの検知精度への影響を説明するための説明図である。
【図8】上記検知部10による斜行検知を説明するための説明図である。
【図9】上記画像読取装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図10】上記画像読取装置1の動作制御を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置1の動作制御のうちステップSX1〜ステップSX10を示すフローチャートである。
【図12】上記画像読取装置1の動作制御のうちステップSX11〜ステップSX13を示すフローチャートである。
【図13A】本発明の一変形例に係る検知部10を示す正面図である。
【図13B】本発明の一変形例に係る検知部10を示す正面図である。
【図13C】本発明の一変形例に係る検知部10を示す正面図である。
【図13D】本発明の一変形例に係る検知部10を示す正面図である。
【図13E】本発明の一変形例に係る検知部10を示す正面図である。
【図13F】本発明の一変形例に係る検知部10を示す正面図である。
【図14】本発明の一変形例に係る検知部10を示す側面図である。
【図15】本発明の一変形例に係る検知部10を示す側面図である。
【図16】本発明の一変形例に係る検知部10を示す上面図(A)、及び正面図(B)である。
【図17】本発明の一変形例に係る検知部10が奏する効果を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0034】
[画像読取装置の外観]
図1は、本実施形態の画像読取装置1の外観を示す斜視図である。画像読取装置1は、図1に示すように、給紙トレイ2と、読取部3と、排紙トレイ4と、設定部5と、表示部6と、を備える。本実施形態に係る画像読取装置1は、ユーザにより給紙トレイ2に載置された複数のシートPPを読取部3内において搬送しながら読み取るシートフィードスキャナである。本実施形態における画像読取装置1が、本発明の斜行検知装置の一例である。本実施形態における画像読取装置1が、本発明のシート搬送装置の一例である。本実施形態における画像読取装置1が、本発明の画像読取装置の一例である。
【0035】
読取部3は、給紙トレイ2に載置されたシートPPを読取部3の内部に引き込む。読取部3は、読取部3の内部において、引き込まれたシートPPを給紙トレイ2から排紙トレイ4に向けて搬送する。読取部3は、読取部3の内部において、搬送されるシートPPの画像を読み取る。
【0036】
排紙トレイ4は、読取部3により搬送されたシートPPを受け取る。設定部5は、電源スイッチ、及び各種設定ボタンを有する。表示部6は、液晶ディスプレイにより構成される。表示部6は、読取部3により読み取られた画像などを表示可能である。表示部6は、シートの斜行発生を示す「斜行発生」というメッセージを表示できる。本実施形態における表示部6が、本発明の報知部の一例である。
【0037】
[画像読取装置の内部構造]
図2は、画像読取装置1の内部構造を説明するための説明図である。画像読取装置1は、図2に示すように、読取部3の内部に、ピックアップローラ32と、分離パッド33と、検知部10と、給送ローラ34と、給送用従動ローラ34’と、搬送ローラ35と、搬送用従動ローラ35’と、読取センサ36と、搬送路37と、排出ローラ38と、排出用従動ローラ38’と、制御部7と、を備える。
【0038】
ピックアップローラ32は、摩擦力により、給紙トレイ2に載置された複数枚のシートPPを画像読取装置1の内部に引き込む。ピックアップローラ32は、図示しないモータにより駆動される。分離パッド33は、摩擦力により、複数枚のシートPPを1枚のシートに分離する。給送ローラ34は、図示しないモータにより駆動されてシートPPを搬送する。給送用従動ローラ34’は、給送ローラ34と対向して配置される。給送ローラ34と給送用従動ローラ34’とは、給送ローラ34と給送用従動ローラ34’との間にシートPPを挟む。シートPPは、給送ローラ34と給送用従動ローラ34’との間の摩擦力により、搬送路37内を搬送される。本実施形態における給送ローラ34が、本発明の搬送部の一例である。
【0039】
検知部10は、搬送されるシートPPを検知する。検知部10は、超音波センサにより構成される。検知部10は、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとを備える。超音波送信部10Aは、搬送されるシートPPに対しパルス状の超音波を送信する。超音波受信部10Bは、超音波送信部10Aにより送信された超音波を受信する。超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間をシートPPが通過する際には、シートPPを透過して超音波受取部10Bに到達した超音波が超音波受信部10Bにより受信される。本実施形態における検知部10が、本発明の斜行検知装置の一例である。
【0040】
以後、図2に示すように、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間を搬送されるシートPPの搬送方向をX軸方向、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間を搬送されるシートPPの表面に平行な面上で、且つX軸方向に垂直な方向をY軸方向、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間を搬送されるシートPPの表面に垂直な方向をZ軸方向として定義する。従って、例えば、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間を搬送されるシートPPの表面に平行な面は、XY平面に平行である。なお、以後、「上」、または「表」と記した場合、図2に示す矢印が指すZ軸の正方向を意味し、「下」、または「裏」と記した場合、図2に示すZ軸の負方向を意味するものとする。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の定義は他の図面においても共通のものとする。本実施形態におけるX軸方向が、本発明における搬送方向の一例である。本実施形態におけるY軸方向が、本発明における直交方向の一例である。
【0041】
搬送ローラ35は、図示しないモータにより駆動されてシートPPを搬送する。搬送ローラ35は、図2に示すように、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間に配置される。搬送用従動ローラ35’は、搬送ローラ35と対向して配置される。搬送ローラ35と搬送用従動ローラ35’とは、搬送ローラ35と搬送用従動ローラ35’との間にシートPPを挟む。シートPPは、搬送ローラ35と搬送用従動ローラ35’との間の摩擦力により、搬送路37内を搬送される。搬送ローラ35と搬送用従動ローラ35’とについては、図3を用いて後述する。本実施形態における搬送ローラ35が、本発明の搬送部の一例である。
【0042】
読取センサ36は、搬送路37を挟んで対向する一対の密着イメージセンサ(Contact Image Sensor、以後「CIS」と記す)36A、36Bにより構成される。読取センサ36は、シートPPの表面、及び裏面の画像を読み取る。本実施形態における読取センサ36が、本発明の読取部の一例である。
【0043】
排出ローラ38は、搬送路37内のシートPPの搬送方向において読取センサ36の下流側に配置される。排出用従動ローラ38’は、排出ローラ38と対向して配置される。排出ローラ38と排出用従動ローラ38’とは、排出ローラ38と排出用従動ローラ38’との間にシートPPを挟む。シートPPは、排出ローラ38と排出用従動ローラ38’との間の摩擦力により、搬送路37内を搬送される。排出ローラ38は、搬送路37内を搬送されたシートPPを排紙トレイ4に送る。排出ローラ38は、図示しないモータにより駆動される。シートPPは、排紙トレイ4に積層される。
【0044】
制御部7は、CPU、ROM、RAM、フラッシュROM等を有するコンピューターにより構成される。
【0045】
[検知部の外観]
図3は、検知部10の外観を示す正面図である。図4は、検知部10の外観を示す側面図である。図5は、検知部10の外観を示す上面図である。ただし、図4において、搬送ローラ35、及び搬送用従動ローラ35’は省略して、検知部10の側面のみを示している。また、図5において、検知部1の一構成である超音波発生部101は省略して検知部10の上面を示している。また、図5において、送信側開口部103A、103B、103Cは、送信側伝波部102の下に配置されているため、隠れ線により示す。図3、図4、及び図5において検知部10とあわせてシートPPを示している。
【0046】
検知部10は、図3、及び図4に示すように、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとを備える。超音波送信部10Aは、図3に示すように、超音波発生部101と、送信側伝波部102と、送信側開口部103A、103B、103Cと、を備える。超音波受信部10Bは、図3に示すように、受信側開口部104A、104B、104Cと、受信側伝波部105と、超音波受取部106と、を備える。本実施形態における超音波発生部101が、本発明の超音波発生部の一例である。本実施形態における送信側伝波部102が、本発明の送信側伝波部の一例である。本実施形態における送信側開口部103A、103B、103Cが、本発明の複数の送信側開口部の一例である。本実施形態における受信側開口部104A、104B、104Cが、本発明の複数の受信側開口部の一例である。本実施形態における受信側伝波部105が、本発明の受信側伝波部の一例である。本実施形態における超音波受取部106が、本発明の超音波受取部の一例である。
【0047】
超音波発生部101は、超音波を発生する。送信側伝波部102は、超音波発生部101と送信側開口部103A、103B、103Cとに連結される。送信側伝波部102は、超音波発生部101により発生された超音波を送信側開口部103A、103B、103Cに伝える。送信側伝波部102は、図3、及び図5に示すように、Y軸方向に延出している。従って、送信側伝波部102は、超音波発生部101により発生された超音波をY軸方向に伝えることができる。
【0048】
送信側開口部103A、103B、103Cは、図3、及び図5に示すようにY軸方向に対して異なる位置に配列される。即ち、送信側開口部103A、103B、103Cは、Y軸方向の異なる座標位置に配置される。送信側開口部103A、103B、103Cは、図5に示すように、X軸方向に対して同一位置に配置される。即ち、送信側開口部103A、103B、103Cは、X軸方向の同一座標位置に配置される。送信側開口部103A、103B、103Cは、図3に示すように、各々、開口部分をZ軸負方向側に向けて配置されている。図3において、シートPPは、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間を、表面がXY平面に平行な状態で、X軸正方向に搬送される。送信側伝波部102、及び送信側開口部103A、103B、103Cは、硬質プラスチック材料の中空の伝声管により構成される。
【0049】
本実施形態において、Y軸方向における超音波発生部101から送信側開口部103Aまでの第1距離L1と超音波発生部101から送信側開口部103Cまでの第2距離L2は、各々、第1距離L1=40mm、第2距離L2=50mmである。従って、第1距離L1<第2距離L2である。即ち、第1距離L1と第2距離L2とは異なる距離である。
【0050】
受信側開口部104A、104B、104Cは、各々、送信側開口部103A、103B、103Cを介して送信された超音波を受信する。シートPPが送信側開口部103A、103B、103Cと受信側開口部104A、104B、104Cとの間を搬送される際、受信側開口部104A、104B、104Cは、各々、送信側開口部103A、103B、103CとシートPPとを介して受信側開口部104A、104B、104Cに到達した超音波を受信する。受信側開口部104A、104B、104Cは、図3に示すように、Y軸方向に対して異なる位置に配列される。即ち、受信側開口部104A、104B、104Cは、Y軸方向の異なる座標位置に配置される。受信側開口部104A、104B、104Cは、X軸方向に対して同一位置に配置される。即ち、受信側開口部104A、104B、104Cは、X軸方向の同一座標位置に配置される。受信側開口部104A、104B、104Cは、図3に示すように、各々、開口部分をZ軸正方向側に向けて配置されている。
【0051】
受信側開口部104A、104B、104Cは、各々、Y軸方向に対して、送信側開口部104A、104B、104Cと同一位置に位置する。従って、Y軸方向における超音波受取部106から受信側開口部104Aまでの距離は、第1距離L1に等しい。Y軸方向における超音波受取部106から受信側開口部104Cまでの距離は、第2距離L2に等しい。よって、Y軸方向における超音波受取部106から受信側開口部104Aまでの距離と超音波受取部106から受信側開口部104Cまでの距離とは異なる距離である。
【0052】
受信側伝波部105は、受信側開口部104A、104B、104Cと超音波受取部106とに連結される。受信側伝波部105は、図3に示すように、Y軸方向に延出している。従って、受信側伝波部105は、受信側開口部104A、104B、104Cにより受信された超音波をY軸方向に伝えることができる。受信側伝波部105は、受信側開口部104A、104B、104Cにより受信された超音波を超音波受取部106に伝える。超音波受取部106は、受信側開口部104A、104B、104Cにより受信された超音波を受け取る。受信側伝波部105、及び受信側開口部104A、104B、104Cは、硬質プラスチック材料の中空の伝声管により構成される。
【0053】
送信側開口部103Bと受信側開口部104Bと超音波発生部101と超音波受取部106とは、図3に示すように、Y軸方向に対して同一位置に配置される。
【0054】
超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとは、図4に示すように、シートPPが送信側開口部103A、103B、103Cと受信側開口部104A、104B、104Cとの間をX軸方向に搬送される際に、シートPPを挟んでZ軸方向に対向する。超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとは、図4に示すように、X軸方向に対して同一位置に配置される。
【0055】
以上示したように、Y軸方向における超音波発生部101から送信側開口部103Aまでの第1距離L1と超音波発生部101から送信側開口部103Cまでの第2距離L2とは異なる距離である。また、Y軸方向における超音波受取部106から受信側開口部104Aまでの第1距離L1と超音波受取部106から受信側開口部104Cまでの第2距離L2とは異なる距離である。従って、超音波発生部101から送信側伝波部102、送信側開口部103A、及び受信側開口部104Aを介して超音波受取部106に至るまでの経路の経路長と、超音波発生部101から送信側伝波部102、送信側開口部103B、及び受信側開口部104Bを介して超音波受取部106に至るまでの経路の経路長と、超音波発生部101から送信側伝波部102、送信側開口部103C、及び受信側開口部104Cを介して超音波受取部106に至るまでの経路の経路長とは、異なる長さである
【0056】
搬送用従動ローラ35’は、図3に示すように、送信側開口部103A、及び受信側開口部104Aと送信側開口部103B、及び受信側開口部104Bとの間に配置される。また、搬送ローラ35は、送信側開口部103B、及び受信側開口部104Bと送信側開口部103C、及び受信側開口部104Cとの間に配置される。送信側開口部103A、103B、103CからシートPPに超音波が送信されるとシートPPは、振動する。例えば、送信側開口部103BからシートPPに超音波が送信されると、シートPPの振動がY軸方向に伝播する。このシートPPの振動が送信側開口部103Aと受信側開口部104Aとの間、又は送信側開口部103Cと受信側開口部104Cとの間にまで伝播すると、超音波の減衰に影響を与える。よって、送信側開口部103B、及び受信側開口部104Bとの間の超音波の送受信が、送信側開口部103A、及び受信側開口部104A、又は送信側開口部103C、及び受信側開口部104Cにおける超音波の送受信に干渉してしまう。しかし、本実施形態において、送信側開口部103A、及び受信側開口部104Aと送信側開口部103B、及び受信側開口部104Bとの間、並びに送信側開口部103B、及び受信側開口部104Bと送信側開口部103C、及び受信側開口部104Cとの間に位置する搬送ローラ35、及び搬送用従動ローラ35’により、シートPPが挟まれる。従って、例えば、送信側開口部103B経由の超音波によるシートPPの振動は、搬送ローラ35、及び搬送用従動ローラ35’により遮断されることで、送信側開口部103Aと受信側開口部104Aとの間、及び送信側開口部103Bと受信側開口部104Bとの間にまで到達しない。よって、特定の送信側開口部と特定の送信側開口部により送信された超音波を受信する受信側開口部との間の超音波送受信が、他の送信側開口部と他の送信側開口部により送信された超音波を受信する受信側開口部との間の超音波送受信に干渉しない。よって、本実施形態における画像読取装置1は、確実な斜行検知を行うことができる。
【0057】
図5を用いて検知部10によるシートPPへの超音波送信について説明する。今、図5に示すようにシートPPがX軸正方向に搬送されている。この場合、シートPPがX軸正方向に搬送されながら、送信側開口部103A、103B、103CからシートPPに超音波が送信される。従って、超音波は、図5の二点鎖線により示すラインLA、LB、LCに沿ってシートPPに送信される。ラインLA、LB、LCに沿って送信される超音波は、シートPPを透過する際に、シートPPを透過しない場合と比較して、減衰する。この超音波の減衰を検知することで、シートPPの斜行検知につなげることができる。即ち、図5に示すようにシートPPが斜行してX軸正方向に搬送されている場合、最初に送信側開口部103C下をシートPPが通過する。よって、先ず送信側開口部103Cから送信される超音波が減衰する。次に、送信側開口部103B下をシートPPが通過する。よって、送信側開口部103Cの次に送信側開口部103Bから送信された超音波が減衰する。最後に送信側開口部103A下をシートPPが通過する。よって、最後に送信側開口部103Aから送信された超音波が減衰する。以上示したように、シートPPの斜行のパターンに応じて、送信側開口部103A、103B、103Cから送信される超音波の減衰パターンが決まる。この減衰パターンを検知することで、シートPPの斜行検知を行うことができる。なお、本実施形態において、図5に示すように、シートPPが必ず送信側開口部103A、103B、103Cの全て送信側開口部下を通過するように、検知部10のY軸方向の長さが設定され、図示しない画像読取装置1のシートガイド機構が構成されている。
【0058】
図6を用いて、上述の検知部10による超音波の送受信について説明する。図6の(A)において、横軸は、超音波発生部101により超音波が発生される時間TMを示す。図6の(A)において、縦軸は、超音波発生部101により発生される超音波の振幅AMを示す。図6の(B)において、横軸は、送信側開口部103A、103B、103Cから超音波が送信される時間TMを示す図である。図6の(B)において、縦軸は、送信側開口部103A、103B、103Cから送信される超音波の振幅AMを示す。図6の(C)において、横軸は、超音波受取部106により超音波が受け取られる時間TMを示す。図6の(C)において、縦軸は、超音波受取部106により受け取られる超音波の振幅AMを示す。ただし、図6の(C)は、送信側開口部103A、103B、103Cと受信側開口部104A、104B、104Cとの間にシートPPが介在しない際に、超音波が送信側開口部103A、103B、103Cから受信側開口部104A、104B、104Cに送信された場合に超音波受取部106により受け取られる超音波の振幅AMを示す。図6の(A)、(B)、及び(C)において、時間TMは、共通の時間軸で示され、振幅AMは、同じ大きさの単位で示される。従って、例えば、図6の(A)に示す時点TG1と図6の(B)、及び(C)に示す時点TG1とは同一の時間TMである。
【0059】
図6の(A)に示すように時間TG1〜TG2にて超音波発生部101により発生されたパルス状の超音波は、先ず、図6の(B)に示すように時間TT1〜TT2において超音波発生部101のZ軸負方向側に位置する送信側開口部103Bから送信される。なお、以後、例えば、時点TG1から時点TG2までの間の時間を「時間TG1〜TG2」と表記する。超音波は、送信側伝波部102を伝わる。第1距離L1<第2距離L2であるため、送信側伝波部102を伝わる超音波は、次に図6の(B)に示すように時間TT3〜TT4において送信側開口部103Aから送信される。その後、超音波は、時間TT5〜TT6において送信側開口部103Cから送信される。このように、送信側伝波部102における超音波発生部101から各送信側開口部103A、103B、103Cへの距離が異なることで、超音波の送信タイミング制御を必要とせずに、送信側開口部103A、103B、103Cから超音波が送信されるタイミングをずらすことができる。なお、超音波発生部101により発生されるパルス状の超音波のパルス幅は、図6の(B)に示すように送信側開口部103A、103B、103Cから送信される超音波が重ならない程度にあらかじめ設定されている。このパルス幅の設定値は、第1距離L1、及び第2距離L2により決まる値である。
【0060】
時間TT1〜TT2において送信側開口部103Bから送信された超音波は、受信側開口部104Bにより受信される。受信側開口部104Bにより受信された超音波は、図6の(C)に示すように、時間TR1〜TR2において、超音波受取部106により受け取られる。図6の(B)に示す時間TT3〜TT4において送信側開口部103Aから送信された超音波は、受信側開口部104Aにより受信される。受信側開口部104Aにより受信された超音波は、受信側伝波部105を伝わり、時間TR3〜TR4において超音波受取部106により受け取られる。時間TT5〜TT6において送信側開口部103Cから送信された超音波は、受信側開口部104Cにより受信される。受信側開口部104Cにより受信された超音波は、受信側伝波部105を伝わり、時間TR5〜TR6において超音波受取部106により受け取られる。このように、Y軸方向における超音波受取部106から各受信側開口部104A、104B、104Cへの距離が異なることで、超音波の送信タイミング制御を必要とせずに、受信側開口部104A、104B、104Cにより受信される各々の超音波が超音波受取部106により受け取られるタイミングをずらすことができる。即ち、受信側開口部104A、104B、104Cにより受信される各々の超音波が超音波受取部106により受け取られる際に重ならない。従って、超音波の送信タイミング制御を必要とせずに、搬送されるシートPPの斜行を検知することができる。
【0061】
超音波発生部101は、時間TG3〜TG4において、時間TG1〜TG2において発生された超音波の次の超音波を発生する。先の時間TG1〜TG2において超音波が発生されてから後の時間TG3〜TG4において超音波が発生されるまでの間の時間間隔PRは、図6の(A)、及び(C)に示すように、時点TT2〜TT3の間の時間P1、時点TT4〜TT5の間の時間P2、時点TG1〜TG2の間の時間PSとした場合に、PR>2×(3×PS+P1+P2)となるようにあらかじめ設定されている。このようにあらかじめ設定された時間間隔PRは、制御部7が有するROMにあらかじめ記憶されている。なお、時間PSは、超音波の振動時間であるため、超音波の周波数を周波数FRとするとPS=(1回の送信で発生される超音波の波数)/FRを満たす。また、時間PSと時間P1との和である時間PS+P1は、超音波発生部101により発生された超音波が送信側開口部103Bから送信されてから、送信側開口部103Aにより送信されるまでの時間である。従って、図6の(B)に示す時間PS+P1は、音速を音速SSとすると、超音波発生部101から送信側開口部103Aまでの距離が距離L1であることから、PS+P1=L1/SSを満たす。同様に、超音波発生部101により発生された超音波が送信側開口部103Aにより送信されてから、送信側開口部103Cにより送信されるまでの時間PS+P2は、超音波発生部101から送信側開口部103Aまでの距離L1と超音波発生部101から送信側開口部103Cまでの距離L2の差で決まる。即ち、図6の(B)に示す時間PS+P2は、PS+P2=(L2−L1)/SSを満たす。一方、受信側開口部104Bにより受信された超音波が超音波受信部106により受け取られるまでにかかる時間と、受信側開口部104Aにより受信された超音波が超音波受信部106により受け取られるまでにかかる時間の差はPS+P1(=L1/SS)となる。また、受信側開口部104Aにより受信された超音波が超音波受信部106により受け取られるまでにかかる時間と、受信側開口部104Cにより受信された超音波が超音波受信部106により受け取られるまでにかかる時間の差は、時間PS+P2=(L2−L1)/SSとなる。よって、図6の(C)において、時間TR1〜TR3に示すように、超音波発生部101から発生された超音波を、送信側開口部103B、受信側開口部104Bを介して超音波受信部106で受信した信号に対し、送信側開口部103A、受信側開口部104Aを介して超音波受信部106で受信した信号は2×(PS+P1)だけ遅れる。また、図6の(C)において、時間TR1〜TR5に示すように、超音波発生部101から発生された超音波を、送信側開口部103B、受信側開口部104Bを介して超音波受信部106で受信した信号に対し、送信側開口部103C、受信側開口部104Cを介して受信した信号は、2×(PS+P1)+2×(PS+P2)=2×(2×PS+P1+P2)だけ遅れることになる。さらに、図6の(C)において、時間TR5〜TR6に示すように、送信側開口部103C、及び受信側開口部104Cを介して受信した信号の受信を完了するために時間PSが必要になる。従って、超音波発生部101により超音波が発生される時間間隔PRが、図6の(C)に示すように、PR>2×(3×PS+P1+P2)となるように設定されていることにより、先の時間TG1〜TG2において発生された超音波から派生した超音波と後の時間TG3〜TG4において発生された超音波から派生した超音波が、超音波受取部106において重なって受け取られることを防ぐことができる。従って、確実に搬送されるシートPPの斜行を検知することができる。
【0062】
なお、第1距離L1、及び第2距離L2は、送信側伝波部102、及び受信側伝波部105の構成に依存した残響時間と音速とを掛け合わせることにより求められる値の半分の値以上の距離である。残響時間は、送信側伝波部102、及び受信側伝波部105の構成、即ち伝声管の材料や構造などに依存する。本実施形態の検知部10において、残響時間は200μsである。本実施形態において、音速は、画像読取装置1が使用される条件として想定される温度範囲0℃〜40℃の条件下で、最も遅い0℃の条件化における音速331.5m/sである。従って、第1距離L1=40mm、第2距離L2=50mmであるので、第1距離L1、及び第2距離L2は、33.15mm(=200μs×331.5m/s÷2)<L1<L2を満たす。第1距離L1、及び第2距離L2が、33.15mm<L1<L2を満たすことで、残響により搬送されるシートPPの斜行検知精度に影響が出ることを防止できる。即ち、受信側開口部104A、104B、104Cのうちの特定の開口部により超音波が受信される際に受信側伝波部105に発生する残響が、特定の開口部が超音波を受信した後に特定の開口部に互いに隣り合う開口部により超音波が受信されるまで受信側伝波部105に残らない。図7に示すように残響が隣接する開口部により超音波が受信されるまで残ると、互いに隣り合う開口部により受信される超音波と残響とが重畳する。このように超音波と残響とが重畳すると、以下に示すように、搬送されるシートPPの斜行検知精度に影響が出る。即ち、超音波と残響との重畳により、超音波の振幅が大きくなるか、又は小さくなる。従って、超音波と残響との重畳は、シートPPに斜行が発生しているか否かの判断を行う際にその判断精度に支障を来たす。しかし、第1距離L1、及び第2距離L2が、33.15mm<L1<L2を満たすことで、残響により搬送されるシートPPの斜行検知精度に影響が出ることを防止できる。
【0063】
図8を用いてシートPPの斜行と超音波受信部106により受信される超音波の振幅値との関係について説明する。図8の(A)〜(D)の紙面左側は、X軸正方向に搬送されるシートPPと送信側開口部103A、103B、103Cとの位置関係を説明するための説明図である。図8の(A)〜(D)の紙面右側は、各図8の(A)〜(D)の紙面左側に示すようにシートPPと送信側開口部103A、103B、103Cとが位置する場合に、超音波受信部106により受信される超音波を示す図である。図8の(A)〜(D)において検知部10の一構成である受信側開口部104A、104B、104C等の構成を省いて示している。以後、図8の(A)〜(D)に示すように、送信側開口部103A、103B、103Cの各々の下側にシートPPが存在することを、送信側開口部103A、103B、103Cと受信側開口部104A、104B、104Cとの各々の間にシートPPが介在している、と表記する。
【0064】
図8の(A)に示すように、送信側開口部103A、103B、103Cと受信側開口部104A、104B、104Cとの間にシートPPが介在していない場合、受信側開口部104A、104B、104Cを介して超音波受取部106により受け取られた超音波は、いずれも減衰しない。図8の(B)に示すように、送信側開口部103Cと受信側開口部104Cとの間にのみシートPPが介在している場合、受信側開口部104Cを介して超音波受信部106により受信される超音波のみが減衰する。図8の(C)に示すように、送信側開口部103B、103Cと受信側開口部104B、104Cとの間にシートPPが介在している場合、受信側開口部104B、104Cを介して超音波受信部106により受信される超音波が減衰する。図8の(D)に示すように、送信側開口部103A、103B、103Cと受信側開口部104A、104B、104Cとの間にシートPPが介在している場合、受信側開口部104A、104B、104Cを介して超音波受信部106により受信される超音波は全て減衰する。以上、図8の(A)〜(D)を用いて示したように、シートPPに斜行が発生すると、受信側開口部104A、104B、104Cを介して超音波受取部106により受け取られた超音波の振幅値に差異が生ずる。即ち、斜行が発生していない場合には、受信側開口部104A、104B、104Cを介して超音波受信部106により受信される超音波は、シート介在時には、一様に減衰し、シート非介在時には全て一様に減衰しない。しかし、シートPPに斜行が発生すると、受信側開口部104A、104B、104Cを介して超音波受取部106により受け取られた超音波が減衰しているか否かに差が出る。画像読取装置1は、受信側開口部104A、104B、104Cを介して超音波受取部106により受け取られた超音波の振幅値に差異が生じていた場合に、シートPPに斜行が発生したと判定する。なお、斜行の判定は、図2において示した制御部7が行う。本実施形態における制御部7が、本発明の判定部の一例である。
【0065】
[画像読取装置電気的構成]
図9を用いて、画像読取装置1の電気的構成において斜行検知に関わる電気的構成について説明する。図9は、画像読取装置1の電気的構成において斜行検知に関わる電気的構成を示す図である。制御部7は、図9に示すように、CPU71と、RAM72と、ROM73と、駆動信号生成部74と、増幅部75と、サンプルホールド回路76と、AD変換部77と、バス78と、を備える。
【0066】
CPU71は、各種情報処理プログラムを実行することにより、画像読取装置1が備える各種機能を実行する演算処理装置である。RAM72は超音波受取部106により受け取られる超音波の振幅データや読取センサ36により読み取られたシートPPの画像データ等の各種データを一時的に記憶する領域である。ROM73は、CPU71により実行される各種情報処理プログラムを記憶している。ROM73は、前述の時間間隔PR、時間P1、時間P2、時間PS、及びシートPPを介さない場合に超音波受取部106により受信される超音波の振幅値(以後、「閾値」と記す)などの各種データも記憶している。ROM73は、不揮発性メモリであるフラッシュメモリにより構成されている。CPU71、RAM72、及びROM73は、データ通信用のバス78にそれぞれ接続されており、バス78を介して各種情報の送受信を行う。バス78は、設定部5、及び表示部6と接続されている。CPU71により斜行が発生したと判断されると、バス78を介して表示部6に斜行発生を報知するための指令情報が供給される。
【0067】
駆動信号生成部74は、超音波送信部10Aを駆動するための駆動信号を生成する。駆動信号生成部74は、生成した駆動信号を超音波送信部10Aに供給する。超音波送信部10Aは、供給された駆動信号に基づき、超音波を発生する。超音波送信部10Aは、図3などにおいて示したように、発生された超音波を超音波受信部10Bに向けて送信する。超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間をシートPPが搬送される場合、超音波は減衰して、超音波受信部10Bにより受信される。
【0068】
増幅部75は、超音波受信部10Bにより受信された超音波のアナログ信号を増幅する。サンプルホールド回路76は、増幅部75により増幅された超音波のアナログ信号のピーク値をサンプリングする。サンプルホールド回路76は、サンプリングした値を図6の(C)において示した時間PSの間の所定の時点TS1、TS2、及びTS3と対応付けて一時保持する。所定の時点TS1、TS2、及びTS3は、ROM73により記憶されている時間間隔PR、時間P1、時間P2、時間PSのデータに基づいて、超音波受取部106により超音波が受け取られる毎にCPU71により決定される。時点TS1、TS2、及びTS3は、各々、受信側開口部104B、104A、104Cを介して、超音波受取部106により超音波が受け取られる時点と対応している。サンプリングホールド回路76によるサンプリング、及び一時保持により、超音波受取部106により受け取られた超音波の振幅が、超音波が超音波受取部106により受け取られた時点と対応付けられて決定される。AD変換部77は、サンプルホールド回路76により一時保持された超音波のアナログデータをデジタルデータに変換する。RAM72は、AD変換部77によりデジタルデータに変換された超音波のデータを、超音波が超音波受取部106により受け取られた時点と対応付けて一時的に記憶する。即ち、図6の(C)に示すように、RAM72は、時間間隔PR毎に超音波発生部101により発生された1つの超音波から派生した3つの超音波を、各々時点TS1、TS2、及びTS3と対応付けて記憶する。
【0069】
[画像読取装置動作制御]
以下、図10を用いて画像読取装置1の動作制御について説明する。図10は、画像読取装置1の動作制御を示すフローチャートである。一連の動作制御は、図9において示したCPU71により実行される。ユーザにより設定部5の電源スイッチが押されると、CPU71に設定部5から電源ONの指令が供給される。CPU71に電源ONの指令が供給されると、画像読取装置1の駆動が開始される。画像読取装置1の駆動が開始されると、検知部10によるシートPPの検知、及び読取センサ36によるシートPPの画像読取が開始される。画像読取装置1の駆動が開始されると、超音波受信部10Bにより受信された超音波のアナログ信号が増幅部75により増幅される。増幅が行われると、増幅された超音波のアナログ信号のピーク値のサンプリング、及び一時保持がサンプルホールド回路76により行われる。サンプリング、及び一時保持が行われると、サンプルホールド回路76により一時保持された超音波のアナログデータがAD変換部77によりデジタルデータにAD変換される。デジタルデータに変換された超音波のデータは、時点TS1、TS2、及びTS3と対応付けられてRAM72により一時的に記憶される。以下に示す一連の動作制御は、その後、CPU71により実行される処理である。
【0070】
図10に示す処理では、超音波発生部101により1つの超音波が発生された後の時間間隔PRの時間において超音波受取部106により受け取られ、RAM72により記憶された3つの超音波のデータが時点TS1、TS2、及びTS3とともにRAM72から読み出される(S1)。
【0071】
読み出された超音波のデータが、ROM73により記憶されているシートPPを介していない場合に超音波受取部106により受け取られる超音波の振幅値の閾値と比較される。具体的には、3つの超音波のデータの値のうち1つまたは2つの超音波のデータの値がROM73により記憶されている閾値未満かが判断される(S2)。3つの超音波のデータの全てがROM73により記憶されている閾値以上、または閾値未満と判断されると(S2:No)、処理がS4に移る。
【0072】
3つの超音波のデータのうち1つまたは2つの超音波のデータの値がROM73により記憶されている閾値未満と判断されると(S2:Yes)、斜行発生が報知される(S3)。具体的には、バス78を介して表示部6に斜行発生を報知するための指令情報が供給される。表示部6は、供給された指令情報に基づいて、「斜行発生」というメッセージを表示する。3つの超音波のデータの値のうち1つまたは2つの超音波のデータの値が閾値未満と判断された時点で斜行発生を報知するため、ユーザに可及的速やかにシートPPに斜行が発生したことを報知することができる。斜行発生が報知されると、処理がS4に移る。
【0073】
処理がS4に移ると、画像読取装置1の動作制御の全ての処理が終了か否かが判断される(S4)。具体的には、設定部5から電源OFFの指令が供給されたか否かが判断される。全ての処理が終了でないと判断されると(S4:No)、処理がS1に戻る。全ての処理が終了であると判断されると(S4:Yes)、図10に示す全ての処理が終了する。
【0074】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。
【0075】
第1の実施形態において、画像読取装置1は、図10に示すS2において、3つの超音波のデータの値のうち1つまたは2つの超音波のデータの値が閾値未満と判定された場合に、S3において斜行発生を報知していた。しかし、これに限らず、例えば、以下に示すように斜行発生の報知の代わり、または斜行発生の報知とあわせて読み取られたシートの画像の傾き補正を行ってもよい。
【0076】
以下、図11、及び図12を用いて本実施形態における画像読取装置1の動作制御について説明する。図11、及び図12は、本実施形態における画像読取装置1の動作制御を示すフローチャートである。一連の動作制御は、図9において示したCPU71により実行される。
【0077】
図11に示す処理では、先ず、各種フラグ、及び各種カウントの初期化が行われる(SX0)。その上で、RAM72により記憶された3つの超音波のデータが受け取られた時点とともにRAM72から読み出される(SX1)。
【0078】
読み出された超音波のデータが、ROM73により記憶されているシートPPを介していない場合に超音波受取部106により受け取られる超音波の振幅値の閾値と比較される。具体的には、3つの超音波のデータの値のうち1つ又は2つの超音波のデータの値がROM73により記憶されている閾値未満かが判断される(SX2)。
【0079】
3つの超音波のデータの値のうち1つ又は2つの超音波のデータの値がROM73により記憶されている閾値未満と判断されると(SX2:Yes)、決定終了フラグが立てられているかが判断される(SX3)。決定終了フラグは、斜行角度の決定が既に行われたことを示すフラグである。決定終了フラグを処理に用いることで、既に斜行角度が決定されているにも関わらず、斜行角度を決定するための処理が繰り返されることを防ぐことができる。
【0080】
決定終了フラグが立てられていないと判断されると(SX3:No)、超音波送信回数がインクリメントされる(SX4)。超音波送信回数がインクリメントされると、処理が図12に示すSX11に移る。決定終了フラグが立てられていると判断されると(SX3:Yes)、処理が図12に示すSX11に移る。
【0081】
SX2において、いずれのデータも閾値未満又は閾値以上と判断されると(SX2:No)、決定終了フラグが立てられているかが判断される(SX5)。決定終了フラグが立てられていないと判断されると(SX5:No)、斜行角度が決定される(SX6)。なお、「決定」とは、得られたデータをもとに特定の数値を求めること、及び得られたデータをもとにテーブルなどの判断基準から特定の数値を決定することの両方を含む。
【0082】
SX6における斜行角度決定処理について詳細に説明する。図5に示すシートPPの斜行によるシートPPの斜行角度θは、数式1により表される。数式1において、ズレXdは、図5に示すシートPPの斜行によるシートPPのX軸方向のズレXdである。
【0083】
(数1)
θ=tan−1{Xd/(L1+L2)}
【0084】
図8に示したように、シートPPがX軸方向に搬送されるに従い、超音波受取部106により受け取られる超音波の振幅値が変化する。数式1において示したズレXdは、シートPPが図8の(B)に示すX軸方向の位置から、図8の(D)に示すX軸方向の位置まで搬送されるまでの時間を時間Tcdとした場合に、数式2により表される。数式2において、搬送速度Vfは、シートPPが超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間を搬送される速度である。搬送速度Vfは、搬送ローラ34、搬送ローラ35の回転速度などが設定された速度に保たれることであらかじめ設定される。搬送速度Vfは、あらかじめROM73に記憶されている。
【0085】
(数2)
Xd=Vf*Tcd
【0086】
数式2における時間Tcdは、超音波発生部101による超音波の発生周期を図6において示したように時間間隔PRとし、時間Tcdの間に超音波送信部10Aにより超音波が送信された回数を超音波送信回数nとした場合に数式3により表される。
【0087】
(数3)
Tcd=n*PR
【0088】
数式2、及び数式3を数式1に代入すると、数式4が導かれる。
【0089】
(数4)
θ=tan−1{n*Vf*PR/(L1+L2)}
【0090】
数式4において、搬送速度Vf、時間間隔PR、距離L1、及び距離L2は、あらかじめ設定された値をとり、ROM73に記憶されている。超音波送信回数nは、SX4においてインクリメントされることで決定される。SX6において、数式4における超音波送信回数nが数式4に代入されることで、斜行角度θが決定される。なお、シートPPがY軸正方向に傾いているか、またはY軸負方向に傾いているかは、SX2において、どの3つのデータ値のうちのどのデータ値が閾値未満かに基づいて検知可能である。このシートPPの斜行方向は、SX6において斜行角度θの正負の符号として反映される。
【0091】
斜行角度が決定されると、超音波送信回数nのカウントがリセットされる(SX7)。即ち、SX4においてインクリメントされた超音波送信回数nが初期値0に戻される。
【0092】
超音波送信回数nのカウントがリセットされると、決定終了フラグが立てられる(SX8)。SX8において決定終了フラグが立てられることで、シートPPが図8の(D)に示した位置から更にX軸正方向に搬送され、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間を抜ける際にもう一度斜行角度が決定されてしまうことを防ぐことができる。決定終了フラグが立てられると、処理が図12に示すSX11に移る。
【0093】
SX5において、決定終了フラグが立てられていると判断されると(SX5:Yes)、3つの超音波のデータの値が全て閾値以上かが判断される(SX9)。全て閾値以上と判断されると(SX9:Yes)、決定終了フラグが降ろされる(SX10)。全てが閾値以上ではないと判断されると(SX9:No)、処理が図12に示すSX11に移る。
【0094】
処理が図12に示すSX11に移ると、画像読取が完了したかが判断される(SX11)。具体的には、検知部10により検知されたシートPPの画像が図2などにおいて示した読取センサ36により読み取られたか否かが判断される。
【0095】
画像読取が完了したと判断されると(SX11:Yes)、図11において示したSX6において決定された斜行角度θに基づいて、読み取られた画像の傾き補正が行われる(SX12)。具体的には、斜行角度θに基づいて読み取られた画像を回転する処理が行われる。画像の傾き補正が行われると処理がSX13に移る。画像読取が完了していないと判断されると(SX11:No)、処理がSX13に移る。
【0096】
処理がSX13に移ると、画像読取装置1の動作制御の全ての処理が終了か否かが判断される(SX13)。具体的には、設定部5から電源OFFの指令が供給されたか否かが判断される。全ての処理が終了でないと判断されると(SX13:No)、処理が図11に示したSX1に戻る。全ての処理が終了であると判断されると(SX13:Yes)、図11、及び図12に示す全ての処理が終了する。
【0097】
(変形例)
本発明は、第1、及び第2の実施形態に限定されることは無く、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下にその変形の一例を述べる。以下に示す変形例において、第1、及び第2の実施形態と同一の構成は、同一の番号を付して説明する。
【0098】
第1、及び第2の実施形態において、検知部10は、送信側開口部103A、103B、103C、及び受信側開口部104A、104B、104Cの3つの送信側開口部と3つの受信側開口部とを備えていた。しかし、これに限らず、検知部は、例えば、図13Aに示す検知部10のように、2つの送信側開口部203A、203B、と2つの受信側開口部204A、204Bとを備えていてもよい。また、図13Bに示す検知部10のように、送信側開口部303A〜303Nと受信側開口部304A〜304Nとを幾つ備えていてもよい。ただし、図13Aに示す検知部10のように、2つの送信側開口部203A、203B、と2つの受信側開口部204A、204Bとのみを備えている場合、小さなシートが搬送されると、2個の送信側開口部、及び2個の受信側開口部のうちの一方の開口部間をシートが通過しない可能性がある。2個の送信側開口部と2個の受信側開口部とのみを備える斜行検知装置の場合、一方の開口部間をシートが通過しないと、シートの斜行の有無を判定できない。従って、第1、及び第2の実施形態における検知部10、及び図13Bに示す検知部10によれば、少なくとも3つの送信側開口部と、少なくとも3つの受信側開口部とを備えるため、小さなシートが搬送される場合であっても、少なくとも2個の送信側開口部、及び少なくとも2個の受信側開口部の間をシートが通過する可能性がより高くなる。従って、正確な斜行検知が出来る。
【0099】
第1、及び第2の実施形態において、図5に示すように、シートPPが必ず送信側開口部103A、103B、103Cの全て送信側開口部下を通過するように、検知部10のY軸方向の長さが設定され、図示しない画像読取装置1のシートガイド機構が構成されていた。しかし、これに限らず、以下のように画像読取装置1を構成してもよい。即ち、ユーザが設定部5を用いて、シートのサイズ、及びシートの配置位置などを指定する。このユーザ指定に基づいて、送信側開口部103A、103B、103C、及び受信側開口部104A、104B、104C経由の超音波のうち、いずれか2つの送信側開口部、及び2つの受信側開口部経由の超音波に基づいて斜行判定がなされる。このように画像読取装置1を構成することにより、小さなシートが搬送される場合などにおいてもシートを確実に検知することができる。また、小さなシートが搬送される場合に、シートが斜行していないにも関わらず、誤って斜行していると判定してしまう可能性を軽減できる。
【0100】
第1、及び第2の実施形態において、送信側伝波部102、及び受信側伝波部105は、図3に示すように、Y軸方向に延出していた。しかし、これに限らず、伝波部は、例えば、図13Cに示す伝波部402、405及び図13Dに示す伝波部502、505のように、Z軸方向に延出する部分402Z、405Z、502Z、505ZとY軸方向に延出する部分402Y、405Y、502Y、505Yとを備えていてもよい。また、伝波部は、例えば、図13Eに示す伝波部602、605のように、Z軸方向に延出する部分602Z、605ZとYZ平面における斜め方向に延出する部分602YZ、605YZとを備えていてもよい。
【0101】
第1、及び第2の実施形態において、超音波発生部101は、送信側開口部103A、103B、103CのZ軸正方向側に配置され、超音波受取部106は、受信側開口部104A、104B、104CのZ軸負方向側に配置されていた。しかし、これに限らず、例えば、図13Fに示すように、超音波発生部701は、送信側開口部103A、103B、103CのY軸負方向側に配置され、超音波受取部706は、受信側開口部104A、104B、104CのY軸負方向側に配置されてもよい。同様に、超音波発生部701は、送信側開口部103A、103B、103CのY軸正方向側に配置され、超音波受取部706は、受信側開口部104A、104B、104CのY軸正方向側に配置されてもよい。
【0102】
第1、及び第2の実施形態において、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとは、図4に示すように、X軸方向に対して同一位置に配置されていた。しかし、これに限らず、超音波送信部と超音波受信部とは、例えば、図14に示す超音波送信部800Aと超音波受信部800Bとのように、送信側開口部803Cと受信側開口部804Cとを結ぶ線ELがシートPPの表面と斜めに交差するように配置されてもよい。この場合、送信側開口部803C、及び受信側開口部804C以外の送信側開口部と受信側開口部とを結ぶ線もシートPPの表面と斜めに交差するように配置されればよい。なお、「斜めに交差する」とは、超音波の反射波が超音波送信部800Aに戻らないように角度を持って交差することを示す。例えば、この交差角度は、送信側開口部の開口サイズ、反射するシートとの距離、又は反射波の反射様態などの幾何学的条件から設定されてもよい。図14に示すように検知部が構成されることで、送信側開口部から送信されシートにより反射された超音波が再び送信側開口部に戻ることがない。よって、反射波の影響により超音波受取部により受信される超音波の振幅値が不安定になることを防ぐことができる。従って、送信側開口部と受信側開口部とが、送信側開口部と受信側開口部とを結ぶ線が搬送されるシートと直交するように配置されている場合と比較して、シートの確実な斜行検知につなげることができる。
【0103】
第1、及び第2の実施形態において、検知部10は、超音波がシートPPを透過する場合に生じる超音波の減衰の有無に基づいてシートPPの斜行を検知する透過形式の検知部であった。しかし、これに限らず、例えば、検知部10は、図15に示すように超音波がシートPPにより反射された場合に検知される超音波に基づいてシートPPの斜行を検知する反射形式の検知部であってもよい。図15に示す検知部10は、シートPPの片面側に位置するように設けられた超音波送信部900Aと超音波受信部900Bとを備える。図15に示す送信側開口部903CのY軸負方向側に図15において図示しない少なくとも1つの送信側開口部が配置されている。図15に示す受信側開口部904CのY軸負方向側に図15において図示しない少なくとも1つの受信側開口部が配置されている。超音波受信部900Bは、図15に示すように超音波送信部900Aにより送信され、シートPPにより反射された超音波を受信する。即ち、0より大きい振幅値の超音波が検知される。一方、シートPPの非通過時には、超音波はシートPPにより反射されない。超音波がシートPPにより反射されない場合、超音波受信部900Bにより超音波は受信されない。即ち、振幅値が0の超音波が検知される。シートPPに斜行が発生すると、受信側開口部904Cとその他の受信側開口部とを介して超音波受取部106により超音波が受け取られたか否かに差が出る。画像読取装置1は、受信側開口部904Cとその他の受信側開口部とを介して超音波受取部106により受け取られた超音波の振幅値に差異が生じていた場合に、シートPPに斜行が発生したと判定すればよい。
【0104】
第1、及び第2の実施形態において、送信側伝波部102、及び受信側伝波部105は、Y軸方向、即ち搬送方向に直交する方向に延出していた。また、第1、及び第2の実施形態において、送信側開口部103A、103B、103Cは、X軸方向、即ち搬送方向に対して同一の位置に配置されていた。また、第1、及び第2の実施形態において、受信側開口部104A、104B、104Cは、前記搬送方向に対して同一の位置に配置されていた。送信側開口部103Bから超音波を送信してから送信側開口部103Aから超音波を送信するまでの時間の間にも、シートPPは搬送される。従って、図17の(A)に示すように、シートPPが斜行せずに搬送されている場合、ある時間間隔PRの時間に送信側開口部103A、103B、103CからシートPPに超音波が送信される箇所PA、PB、PCは、X軸方向に対して異なる位置となる。超音波が送信される箇所PA、PB、PCは、シートPPが斜行しているか否かを検知するための基準となるX軸方向における位置である。よって、超音波が送信される箇所PA、PB、PCがX軸方向に対して異なる位置となると、斜行検知の精度に影響が出る。
【0105】
上記の第1、及び第2の実施形態の問題に鑑み、送信側伝波部を、図16に示す送信側伝波部1002のようにVの字形状にしていてもよい。送信側開口部103A、103B、103Cは、図16の(A)に示すように、X軸方向において異なる位置に配置されている。送信側開口部103A、103Cは、X軸方向において、送信側開口部103Bの下流側に配置されている。超音波発生部101は、図16の(B)に示すように、送信側開口部103Bの上側に位置する。受信側伝波部1005は、送信側伝波部1002と同一形状である。3つの受信側開口部104A、104B、104Cは、各々、送信側開口部103A、103B、103Cの下側に配置される。3つの受信側開口部104A、104B、104Cは、上側を向いて開口している。超音波受取部106は、図16の(B)に示すように、受信側開口部104Bの下側に位置する。送信側伝波部102における超音波発生部から送信側開口部103Aまでの距離L1と送信側伝波部102における超音波発生部から送信側開口部103Cまでの距離L2とは、図16の(A)に示すように異なる距離である。
【0106】
図16に示す変形例において、検知部10は、X軸方向における送信側開口部103Bと送信側開口部103Aとの間の距離を距離X1としたときに、L1/SS=X1/Vfを満たすように構成されている。図16に示す変形例において、検知部10は、X軸方向における送信側開口部103Bと送信側開口部103Cとの間の距離を距離X2としたときに、L2/SS=X2/Vfを満たすように構成されている。なお、音速SSは、第1、及び第2実施形態と同じく超音波の音速SSである。搬送速度Vfは、第1、及び第2実施形態と同じくシートPPの搬送速度Vfである。
【0107】
検知部10は、L1/SS=X1/Vfを満たすように構成されている。よって、シートPPは、送信側開口部103Bから超音波を送信してから、送信側開口部103Aから超音波を送信するまでの時間L1/SSの間に距離X1だけX軸方向に搬送される。同様に、検知部10は、L2/SS=X2/Vfを満たすよう構成されている。よって、シートPPは、送信側開口部103Bから超音波を送信してから、送信側開口部103Cから超音波を送信するまでの時間L2/SSの間に距離X2だけX軸方向に搬送される。従って、図17の(B)に示すように、シートPPが斜行せずに搬送されている場合、時間間隔PRの時間に送信側開口部103A、103B、103CからシートPPに超音波が送信される箇所PA、PB、PCは、X軸方向に対して同じ位置となる。よって、精度良く斜行検知を行うことができる。また、図5、及び数式1などにおいて示したように、斜行角度は、シートPPの斜行によるシートPPのX軸方向のズレXdに基づいて決定される。よって、超音波が送信される箇所PA、PB、PCが、X軸方向に対して同じ位置となるため、ズレXdを精度良く決定できる。従って、精度良く斜行角度を決定でき、精度の良い画像の傾き補正を行うことができる。なお、図16において示した変形例においても、斜行角度の決定、及び画像の傾き補正は、図11、及び図12において示したフローチャートに従って行われればよい。
【0108】
第1、及び第2の実施形態において、超音波発生部101と超音波受取部106とは、Y軸方向において同一位置に配置されていた。しかし、これに限らず、例えば、超音波発生部101と超音波受取部106とは、斜行検知に支障が出ない範囲内において、Y軸方向において互いにずれた位置に配置されていてもよい。
【0109】
第1、及び第2の実施形態において、送信側伝波部102、及び送信側開口部103A、103B、103C、並びに受信側伝波部105、及び受信側開口部104A、104B、104Cは、硬質プラスチック材料の中空の伝声管により構成されていた。しかし、これに限らず、例えば、送信側伝波部、及び受信側伝波部は、中空でない固体素子により構成されてもよい。
【0110】
第1、及び第2の実施形態において、画像読取装置の一例として、シートフィードスキャナを挙げたが、これに限らず、例えば、FAX、及び自動搬送機能付きの複合機の読取部であってもよい。また、検知部が印刷機の紙送り機構における斜行検知に利用されてもよい。
【0111】
第1、及び第2の実施形態において、受信側開口部104A、104B、104Cは、各々、Y軸方向において、送信側開口部103A、103B、103Cと同一位置に位置していた。しかし、これに限らず、例えば、受信側開口部104A、104B、104Cは、各々、Y軸方向において、送信側開口部103A、103B、103Cから約0.1mm程度ずれて位置してもよい。即ち、受信側開口部104A、104B、104Cは、各々、Y軸方向において、少なくとも送信側開口部103A、103B、103Cから送信された超音波を受信できる位置に位置していればよい。
【0112】
第1、及び第2の実施形態において、画像読取装置1は、シートの斜行を検知した場合に、表示部6により重送の発生を報知しているが、これに限らず、例えば、音によって報知してもよいし、読取動作を途中停止するなどして報知してもよい。
【0113】
第1、及び第2の実施形態において、画像読取装置1が、シートPPに斜行が発生しているか否かの判定を行っていた。しかし、これに限らず、例えば、検知部10が判定部を有し、検知部10がシートPPに斜行が発生しているか否かの判定を行ってもよい。
【0114】
第1の実施形態において、画像読取装置1は、搬送ローラ35を備えていた。しかし、これに限らず、画像読取装置1は、例えば、搬送ローラ35の代わりにZ軸方向において相対する一対の搬送ベルトを備えていてもよい。即ち、少なくとも2つの送信側開口部の間に配置され、且つ少なくとも2つの受信側開口部の間に配置される搬送部は、シートを挟みながら搬送方向にシートを押し出すことでシートを搬送する搬送部であれば何でも良い。また、画像読取装置1は、搬送ローラ35に代表されるような少なくとも2つの送信側開口部の間に配置され、且つ少なくとも2つの受信側開口部の間に配置される搬送部を備えていても、備えていなくともよい。
【0115】
検知部10は、残響低減のために、例えば、送信側伝波部102、及び受信側伝波部105のY軸方向における両端に、吸音材を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0116】
1 画像読取装置
10 検知部
10A 超音波送信部
10B 超音波受信部
36 読取センサ
33 分離パッド
101 超音波発生部
102 送信側伝波部
103A、103B、103C 送信側開口部
104A、104B、104C 受信側開口部
105 受信側伝波部
106 超音波受取部
7 制御部
71 CPU
72 RAM
73 ROM
76 サンプルホールド回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されるシートの斜行の有無を検知する斜行検知装置、及び前記斜行検知装置を用いたシート搬送装置、並びに画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、超音波を用いて、搬送されるシートの斜行の有無を検知する斜行検知装置が提案されている。特許文献1に開示されている斜行検知装置は、2個以上の超音波送信部と、2個以上の超音波受信部と、を備える。2個以上の超音波送信部は、各々、搬送されるシートの一例である段ボール紙片に向けて超音波を送信する。2個以上の超音波受信部は、各々、搬送される段ボール紙片を透過したか、又は段ボール紙片により反射された超音波を受信する。
【0003】
段ボール紙片が2個以上の超音波受信部の各々の上を通過すると、非通過時と比較して超音波の振幅値に差が出る。例えば、2個以上の超音波受信部が、各々、搬送される段ボール紙片を透過した超音波を受信する場合、超音波の振幅値は、非通過時と比較して小さくなる。即ち、超音波が減衰する。特許文献1の斜行検知装置は、この超音波が示す段ボール紙片の通過信号の2個以上の超音波受信部間における時間差から紙段ボール紙片の斜行の有無を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−206758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている斜行検知装置は、2個以上の超音波送信部、及び超音波受信部を用いるため、2個以上の超音波送信部から同時に超音波を送信すると、超音波同士の干渉が起きていた。この干渉により、確実な斜行検知を行うことが困難であった。また、特許文献1に開示されている斜行検知装置は、2個以上の超音波送信部から別個に超音波を送信し、各々の超音波送信部からの超音波を2個以上の超音波受信部の各々により受信する必要があった。従って、装置の構成が複雑であった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、簡易な構成で、且つ確実な斜行検知を行うことができる斜行検知装置、及び前記斜行検知装置を用いたシート搬送装置、並びに画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、搬送されるシートの斜行の有無を検知する斜行検知装置であって、パルス状の超音波を発生する超音波発生部と、前記シートの表面に平行な面上で、且つ前記シートが搬送される搬送方向に直交する直交方向に対して異なる位置に配列され、前記超音波を送信する複数の送信側開口部と、前記超音波発生部と複数の前記送信側開口部とに連結され、前記超音波発生部により発生された前記超音波を複数の前記送信側開口部に伝える送信側伝波部と、前記直交方向に対して異なる位置に配列され、複数の前記送信側開口部と前記シートを挟んで対向し、複数の前記送信側開口部により送信された前記超音波を受信する複数の受信側開口部と、複数の前記受信側開口部により受信された前記超音波を受け取る超音波受取部と、複数の前記受信側開口部と前記超音波受取部とに連結され、複数の前記受信側開口部により受信された前記超音波を前記超音波受取部に伝える受信側伝波部と、複数の前記受信側開口部を介して前記超音波受取部により受け取られた前記超音波の振幅値の差異に基づいて前記シートの斜行の有無を判定する判定部と、を備え、前記超音波発生部から前記送信側伝波部、複数の前記送信側開口部、及び複数の前記受信側開口部を介して前記超音波受取部に至るまでの複数の経路の経路長は、異なる長さであることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、複数の前記送信側開口部のうちの1つの前記送信側開口部と前記超音波発生部と前記超音波受取部とは、前記直交方向に対して同一位置に配置され、複数の前記受信側開口部のうちの1つの前記受信側開口部と前記超音波発生部と前記超音波受取部とは、前記直交方向に対して同一位置に配置されることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記送信側伝波部、及び前記受信側伝波部は、前記直交方向に延出し、複数の前記送信側開口部は、前記搬送方向に対して同一の位置に配置され、複数の前記受信側開口部は、前記搬送方向に対して同一の位置に配置されることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の本発明は、請求項2に記載の発明において、前記超音波発生部と前記超音波受取部と、前記直交方向に対して同一位置に配置される特定の前記送信側開口部は、前記搬送方向において他の前記送信側開口部の上流側に配置され、前記超音波発生部と前記超音波受取部と、前記直交方向に対して同一位置に配置される特定の前記受信側開口部は、前記搬送方向において他の前記受信側開口部の上流側に配置され、特定の前記送信側開口部と他の前記送信側開口部との間の距離を音速により割った時間が、前記搬送方向における特定の前記送信側開口部と他の前記送信側開口部との間の距離を前記シートの搬送速度により割った時間と等しくなり、特定の前記受信側開口部と他の前記受信側開口部との間の距離を音速により割った時間が、前記搬送方向における特定の前記受信側開口部と他の前記側開口部との間の距離を前記シートの搬送速度により割った時間と等しくなるように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の本発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、少なくとも3つの前記送信側開口部と、少なくとも3つの前記受信側開口部と、を備えることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載の発明において、少なくとも3つの前記送信側開口部のうち、前記送信側伝波部おいて隣接する2つの前記送信側開口部の間の距離、及び少なくとも3つの前記受信側開口部のうち、前記受信側伝波部において隣接する2つの前記受信側開口部の間の距離は、各々、前記送信側伝波部、及び前記受信側伝波部の構成に依存した残響時間と音速とを掛け合わせることにより求められる値の半分の値以上の距離であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項7記載の本発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記送信側伝波部、及び複数の前記送信側開口部、並びに受信側伝波部、及び複数の前記受信側開口部は、各々、伝声管により構成されることを特徴とするものである。
【0014】
請求項8記載の本発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、前記判定部の判定結果に基づいて前記シートの斜行の有無を報知する報知部を備えることを特徴とするものである。
【0015】
請求項9記載の本発明は、シート搬送装置であって、請求項1〜8のいずれかに記載の斜行検知装置と、前記シートを搬送する搬送部と、を備えることを特徴とするものである。
【0016】
請求項10記載の本発明は、請求項9記載の発明において、前記搬送部は、前記シートの表面に交差する方向において相対向して配置され、前記シートを挟みながら前記搬送方向に前記シートを押し出すことで前記シートを搬送する一対の搬送部であり、前記搬送部は、複数の前記送信側開口部のうちの少なくとも2つの前記送信側開口部の間に位置し、且つ前記少なくとも2つの前記送信側開口部を介した超音波を受信する少なくとも2つの前記受信側開口部の間に位置することを特徴とするものである。
【0017】
請求項11記載の本発明は、画像読取装置であって、請求項9または10に記載のシート搬送装置と、前記搬送部により搬送された前記シートの画像を読み取る読取部と、を備えることを特徴とするものである。
【0018】
請求項12記載の本発明は、請求項11に記載の発明において、前記搬送部による前記シートの搬送速度と、複数の前記受信側開口部を介して前記超音波受取部により前記超音波が受け取られる時間差と、前記送信側伝波部における前記超音波発生部から各々の前記送信側開口部までの距離と、に基づいて前記シートの斜行角度を決定する決定部と、
前記決定部により決定された前記斜行角度に基づいて前記シートの画像の傾き補正を行う画像処理部と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の斜行検知装置によれば、超音波発生部と複数の送信側開口部とが送信側伝波部により連結されている。また、超音波受取部と複数の受信側開口部とが受信側伝波部により連結されている。よって、1個の超音波発生部から超音波を発生するだけで、超音波が送信側伝波部を伝わり、複数の送信側開口部から送信される。また、複数の受信側開口部により受信された超音波は、受信側伝波部を伝わり、1個の超音波受取部により受け取られる。よって、複数の超音波送信部から別個に超音波を送信することなく、また、複数の超音波受信部により超音波を受信する必要がない。よって、簡易な構成により斜行検知が可能である。
【0020】
また、請求項1記載の斜行検知装置によれば、超音波発生部から送信側伝波部、複数の送信側開口部、及び複数の受信側開口部を介して超音波受取部に至るまでの複数の経路の経路長は、異なる長さである。よって、超音波発生部により発生された超音波が複数の送信側開口部、及び複数の受信側開口部を介して超音波受取部に到達する時間は異なる。従って、超音波同士の干渉が起きる可能性を低減でき、確実な斜行検知を行うことが可能である。
【0021】
請求項2記載の斜行検知装置によれば、超音波発生部により発生された超音波は、先ず、直交方向に対して超音波発生部と超音波受取部と同一位置に配置される1つの送信側開口部により送信される。その後、超音波発生部により発生された超音波は、送信側伝波部を伝わり、他の送信側開口部により送信される。直交方向に対して超音波発生部と超音波受取部と同一位置に配置される1つの送信側開口部により送信された超音波は、直交方向に対して超音波発生部と超音波受取部と同一位置に配置される1つの受信側開口部により受信される。よって、直交方向に対して超音波発生部と超音波受取部と同一位置に配置される1つの送信側開口部、及び1つの受信側開口部を介した超音波を最も経路長の短い経路で伝えることができる。従って、直交方向に対して、複数の送信側開口部、及び複数の受信側開口部の全てが他の位置に配置される場合と比較して、斜行検知に用いる超音波の送受信に要する時間を可及的に短縮することができる。
【0022】
請求項3記載の斜行検知装置によれば、送信側伝波部、及び受信側伝波部は、直交方向に延出し、複数の送信側開口部は、搬送方向に対して同一の位置に配置され、複数の受信側開口部は、搬送方向に対して同一の位置に配置される。従って、搬送方向に対して同一の位置でシートの有無を検知できるため、確実な斜行検知が可能となる。
【0023】
請求項4記載の斜行検知装置によれば、直交方向に対して超音波発生部と超音波受取部と同一位置に配置される1つの送信側開口部から超音波が送信されてから、他の送信側開口部から超音波が送信されるまでの時間の間にシートが搬送されることによる斜行検知精度への影響を低減できる。従って、精度の良い斜行検知を行うことができる。
【0024】
請求項5記載の斜行検知装置によれば、少なくとも3つの送信側開口部と、少なくとも3つの受信側開口部とを備える。よって、2個の送信側開口部と2個の受信側開口部とを備える斜行検知装置と比較して、シートの有無を検知するための部材である送信側開口部、及び受信側開口部の数が多いため、より確実な斜行検知が可能となる。
【0025】
請求項6記載の斜行検知装置によれば、複数の受信側開口部のうちの特定の受信側開口部により超音波が受信される際に受信側伝波部に発生する残響が、特定の受信側開口部が超音波を受信した後に特定の受信側開口部と互いに隣り合う開口部により超音波が受信されるまで受信側伝波部に残らない。残響が隣り合う受信側開口部により超音波が受信されるまで残ると、隣り合う受信側開口部により受信される超音波と残響とが重畳する。このように超音波と残響とが重畳すると、斜行検知の精度に影響が出る。従って、請求項5記載の装置によれば、残響により、搬送される斜行検知の精度に影響が出ることを防止できる。
【0026】
請求項7記載の斜行検知装置によれば、送信側伝波部、及び複数の送信側開口部、並びに受信側伝波部、及び複数の受信側開口部は、各々、伝声管により構成される。従って、送信側伝波部、及び複数の送信側開口部、並びに受信側伝波部、及び複数の受信側開口部に対し、各々、別個の部品を用いる場合と比較して、部品点数を減らすことができる。
【0027】
請求項8記載の斜行検知装置によれば、ユーザにシートの斜行の有無を報知することが可能となる。従って、ユーザにシートが斜行せずに確実に搬送されたか否かを報知することができる。
【0028】
請求項9記載のシート搬送装置によれば、シートを搬送しながら、シートの斜行の有無を検知することができる。従って、斜行の発生を抑えたシートの確実な搬送につなげることができる。
【0029】
請求項10記載のシート搬送装置によれば、少なくとも2つの送信側開口部の間、及び少なくとも2つの受信側開口部の間に位置する搬送部により、シートが挟まれる。よって、特定の送信側開口部と特定の送信側開口部により送信された超音波を受信する受信側開口部との間の超音波送受信が、他の送信側開口部と他の送信側開口部により送信された超音波を受信する受信側開口部との間の超音波送受信に干渉しない。従って、請求項9記載のシート搬送装置によれば、確実な斜行検知を行うことができる。
【0030】
請求項11記載の画像読取装置によれば、シートを搬送しながらシートの画像を読み取る画像読取装置において、同時に斜行検知を行うことができる。従って、画像の傾きを抑えた確実な画像読み取りにつなげることができる。
【0031】
請求項12記載の画像読取装置によれば、決定部により決定されたシートの斜行角度に基づいて、読取部により読み取られたシートの画像の傾き補正を行うことができる。従って、画像の傾きを抑えた確実な画像読み取りを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置1を示す斜視図である。
【図2】上記画像読取装置1の内部構成を説明するための説明図である。
【図3】上記画像読取装置1の検知部10を示す正面図である。
【図4】上記検知部10を示す側面図である。
【図5】上記検知部10によるシートPPの検知を説明するための説明図である。
【図6】上記検知部10による超音波の発生、送信、及び受信を説明するための説明図である。
【図7】超音波と残響との重畳によるシートPPの検知精度への影響を説明するための説明図である。
【図8】上記検知部10による斜行検知を説明するための説明図である。
【図9】上記画像読取装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図10】上記画像読取装置1の動作制御を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置1の動作制御のうちステップSX1〜ステップSX10を示すフローチャートである。
【図12】上記画像読取装置1の動作制御のうちステップSX11〜ステップSX13を示すフローチャートである。
【図13A】本発明の一変形例に係る検知部10を示す正面図である。
【図13B】本発明の一変形例に係る検知部10を示す正面図である。
【図13C】本発明の一変形例に係る検知部10を示す正面図である。
【図13D】本発明の一変形例に係る検知部10を示す正面図である。
【図13E】本発明の一変形例に係る検知部10を示す正面図である。
【図13F】本発明の一変形例に係る検知部10を示す正面図である。
【図14】本発明の一変形例に係る検知部10を示す側面図である。
【図15】本発明の一変形例に係る検知部10を示す側面図である。
【図16】本発明の一変形例に係る検知部10を示す上面図(A)、及び正面図(B)である。
【図17】本発明の一変形例に係る検知部10が奏する効果を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0034】
[画像読取装置の外観]
図1は、本実施形態の画像読取装置1の外観を示す斜視図である。画像読取装置1は、図1に示すように、給紙トレイ2と、読取部3と、排紙トレイ4と、設定部5と、表示部6と、を備える。本実施形態に係る画像読取装置1は、ユーザにより給紙トレイ2に載置された複数のシートPPを読取部3内において搬送しながら読み取るシートフィードスキャナである。本実施形態における画像読取装置1が、本発明の斜行検知装置の一例である。本実施形態における画像読取装置1が、本発明のシート搬送装置の一例である。本実施形態における画像読取装置1が、本発明の画像読取装置の一例である。
【0035】
読取部3は、給紙トレイ2に載置されたシートPPを読取部3の内部に引き込む。読取部3は、読取部3の内部において、引き込まれたシートPPを給紙トレイ2から排紙トレイ4に向けて搬送する。読取部3は、読取部3の内部において、搬送されるシートPPの画像を読み取る。
【0036】
排紙トレイ4は、読取部3により搬送されたシートPPを受け取る。設定部5は、電源スイッチ、及び各種設定ボタンを有する。表示部6は、液晶ディスプレイにより構成される。表示部6は、読取部3により読み取られた画像などを表示可能である。表示部6は、シートの斜行発生を示す「斜行発生」というメッセージを表示できる。本実施形態における表示部6が、本発明の報知部の一例である。
【0037】
[画像読取装置の内部構造]
図2は、画像読取装置1の内部構造を説明するための説明図である。画像読取装置1は、図2に示すように、読取部3の内部に、ピックアップローラ32と、分離パッド33と、検知部10と、給送ローラ34と、給送用従動ローラ34’と、搬送ローラ35と、搬送用従動ローラ35’と、読取センサ36と、搬送路37と、排出ローラ38と、排出用従動ローラ38’と、制御部7と、を備える。
【0038】
ピックアップローラ32は、摩擦力により、給紙トレイ2に載置された複数枚のシートPPを画像読取装置1の内部に引き込む。ピックアップローラ32は、図示しないモータにより駆動される。分離パッド33は、摩擦力により、複数枚のシートPPを1枚のシートに分離する。給送ローラ34は、図示しないモータにより駆動されてシートPPを搬送する。給送用従動ローラ34’は、給送ローラ34と対向して配置される。給送ローラ34と給送用従動ローラ34’とは、給送ローラ34と給送用従動ローラ34’との間にシートPPを挟む。シートPPは、給送ローラ34と給送用従動ローラ34’との間の摩擦力により、搬送路37内を搬送される。本実施形態における給送ローラ34が、本発明の搬送部の一例である。
【0039】
検知部10は、搬送されるシートPPを検知する。検知部10は、超音波センサにより構成される。検知部10は、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとを備える。超音波送信部10Aは、搬送されるシートPPに対しパルス状の超音波を送信する。超音波受信部10Bは、超音波送信部10Aにより送信された超音波を受信する。超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間をシートPPが通過する際には、シートPPを透過して超音波受取部10Bに到達した超音波が超音波受信部10Bにより受信される。本実施形態における検知部10が、本発明の斜行検知装置の一例である。
【0040】
以後、図2に示すように、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間を搬送されるシートPPの搬送方向をX軸方向、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間を搬送されるシートPPの表面に平行な面上で、且つX軸方向に垂直な方向をY軸方向、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間を搬送されるシートPPの表面に垂直な方向をZ軸方向として定義する。従って、例えば、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間を搬送されるシートPPの表面に平行な面は、XY平面に平行である。なお、以後、「上」、または「表」と記した場合、図2に示す矢印が指すZ軸の正方向を意味し、「下」、または「裏」と記した場合、図2に示すZ軸の負方向を意味するものとする。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の定義は他の図面においても共通のものとする。本実施形態におけるX軸方向が、本発明における搬送方向の一例である。本実施形態におけるY軸方向が、本発明における直交方向の一例である。
【0041】
搬送ローラ35は、図示しないモータにより駆動されてシートPPを搬送する。搬送ローラ35は、図2に示すように、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間に配置される。搬送用従動ローラ35’は、搬送ローラ35と対向して配置される。搬送ローラ35と搬送用従動ローラ35’とは、搬送ローラ35と搬送用従動ローラ35’との間にシートPPを挟む。シートPPは、搬送ローラ35と搬送用従動ローラ35’との間の摩擦力により、搬送路37内を搬送される。搬送ローラ35と搬送用従動ローラ35’とについては、図3を用いて後述する。本実施形態における搬送ローラ35が、本発明の搬送部の一例である。
【0042】
読取センサ36は、搬送路37を挟んで対向する一対の密着イメージセンサ(Contact Image Sensor、以後「CIS」と記す)36A、36Bにより構成される。読取センサ36は、シートPPの表面、及び裏面の画像を読み取る。本実施形態における読取センサ36が、本発明の読取部の一例である。
【0043】
排出ローラ38は、搬送路37内のシートPPの搬送方向において読取センサ36の下流側に配置される。排出用従動ローラ38’は、排出ローラ38と対向して配置される。排出ローラ38と排出用従動ローラ38’とは、排出ローラ38と排出用従動ローラ38’との間にシートPPを挟む。シートPPは、排出ローラ38と排出用従動ローラ38’との間の摩擦力により、搬送路37内を搬送される。排出ローラ38は、搬送路37内を搬送されたシートPPを排紙トレイ4に送る。排出ローラ38は、図示しないモータにより駆動される。シートPPは、排紙トレイ4に積層される。
【0044】
制御部7は、CPU、ROM、RAM、フラッシュROM等を有するコンピューターにより構成される。
【0045】
[検知部の外観]
図3は、検知部10の外観を示す正面図である。図4は、検知部10の外観を示す側面図である。図5は、検知部10の外観を示す上面図である。ただし、図4において、搬送ローラ35、及び搬送用従動ローラ35’は省略して、検知部10の側面のみを示している。また、図5において、検知部1の一構成である超音波発生部101は省略して検知部10の上面を示している。また、図5において、送信側開口部103A、103B、103Cは、送信側伝波部102の下に配置されているため、隠れ線により示す。図3、図4、及び図5において検知部10とあわせてシートPPを示している。
【0046】
検知部10は、図3、及び図4に示すように、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとを備える。超音波送信部10Aは、図3に示すように、超音波発生部101と、送信側伝波部102と、送信側開口部103A、103B、103Cと、を備える。超音波受信部10Bは、図3に示すように、受信側開口部104A、104B、104Cと、受信側伝波部105と、超音波受取部106と、を備える。本実施形態における超音波発生部101が、本発明の超音波発生部の一例である。本実施形態における送信側伝波部102が、本発明の送信側伝波部の一例である。本実施形態における送信側開口部103A、103B、103Cが、本発明の複数の送信側開口部の一例である。本実施形態における受信側開口部104A、104B、104Cが、本発明の複数の受信側開口部の一例である。本実施形態における受信側伝波部105が、本発明の受信側伝波部の一例である。本実施形態における超音波受取部106が、本発明の超音波受取部の一例である。
【0047】
超音波発生部101は、超音波を発生する。送信側伝波部102は、超音波発生部101と送信側開口部103A、103B、103Cとに連結される。送信側伝波部102は、超音波発生部101により発生された超音波を送信側開口部103A、103B、103Cに伝える。送信側伝波部102は、図3、及び図5に示すように、Y軸方向に延出している。従って、送信側伝波部102は、超音波発生部101により発生された超音波をY軸方向に伝えることができる。
【0048】
送信側開口部103A、103B、103Cは、図3、及び図5に示すようにY軸方向に対して異なる位置に配列される。即ち、送信側開口部103A、103B、103Cは、Y軸方向の異なる座標位置に配置される。送信側開口部103A、103B、103Cは、図5に示すように、X軸方向に対して同一位置に配置される。即ち、送信側開口部103A、103B、103Cは、X軸方向の同一座標位置に配置される。送信側開口部103A、103B、103Cは、図3に示すように、各々、開口部分をZ軸負方向側に向けて配置されている。図3において、シートPPは、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間を、表面がXY平面に平行な状態で、X軸正方向に搬送される。送信側伝波部102、及び送信側開口部103A、103B、103Cは、硬質プラスチック材料の中空の伝声管により構成される。
【0049】
本実施形態において、Y軸方向における超音波発生部101から送信側開口部103Aまでの第1距離L1と超音波発生部101から送信側開口部103Cまでの第2距離L2は、各々、第1距離L1=40mm、第2距離L2=50mmである。従って、第1距離L1<第2距離L2である。即ち、第1距離L1と第2距離L2とは異なる距離である。
【0050】
受信側開口部104A、104B、104Cは、各々、送信側開口部103A、103B、103Cを介して送信された超音波を受信する。シートPPが送信側開口部103A、103B、103Cと受信側開口部104A、104B、104Cとの間を搬送される際、受信側開口部104A、104B、104Cは、各々、送信側開口部103A、103B、103CとシートPPとを介して受信側開口部104A、104B、104Cに到達した超音波を受信する。受信側開口部104A、104B、104Cは、図3に示すように、Y軸方向に対して異なる位置に配列される。即ち、受信側開口部104A、104B、104Cは、Y軸方向の異なる座標位置に配置される。受信側開口部104A、104B、104Cは、X軸方向に対して同一位置に配置される。即ち、受信側開口部104A、104B、104Cは、X軸方向の同一座標位置に配置される。受信側開口部104A、104B、104Cは、図3に示すように、各々、開口部分をZ軸正方向側に向けて配置されている。
【0051】
受信側開口部104A、104B、104Cは、各々、Y軸方向に対して、送信側開口部104A、104B、104Cと同一位置に位置する。従って、Y軸方向における超音波受取部106から受信側開口部104Aまでの距離は、第1距離L1に等しい。Y軸方向における超音波受取部106から受信側開口部104Cまでの距離は、第2距離L2に等しい。よって、Y軸方向における超音波受取部106から受信側開口部104Aまでの距離と超音波受取部106から受信側開口部104Cまでの距離とは異なる距離である。
【0052】
受信側伝波部105は、受信側開口部104A、104B、104Cと超音波受取部106とに連結される。受信側伝波部105は、図3に示すように、Y軸方向に延出している。従って、受信側伝波部105は、受信側開口部104A、104B、104Cにより受信された超音波をY軸方向に伝えることができる。受信側伝波部105は、受信側開口部104A、104B、104Cにより受信された超音波を超音波受取部106に伝える。超音波受取部106は、受信側開口部104A、104B、104Cにより受信された超音波を受け取る。受信側伝波部105、及び受信側開口部104A、104B、104Cは、硬質プラスチック材料の中空の伝声管により構成される。
【0053】
送信側開口部103Bと受信側開口部104Bと超音波発生部101と超音波受取部106とは、図3に示すように、Y軸方向に対して同一位置に配置される。
【0054】
超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとは、図4に示すように、シートPPが送信側開口部103A、103B、103Cと受信側開口部104A、104B、104Cとの間をX軸方向に搬送される際に、シートPPを挟んでZ軸方向に対向する。超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとは、図4に示すように、X軸方向に対して同一位置に配置される。
【0055】
以上示したように、Y軸方向における超音波発生部101から送信側開口部103Aまでの第1距離L1と超音波発生部101から送信側開口部103Cまでの第2距離L2とは異なる距離である。また、Y軸方向における超音波受取部106から受信側開口部104Aまでの第1距離L1と超音波受取部106から受信側開口部104Cまでの第2距離L2とは異なる距離である。従って、超音波発生部101から送信側伝波部102、送信側開口部103A、及び受信側開口部104Aを介して超音波受取部106に至るまでの経路の経路長と、超音波発生部101から送信側伝波部102、送信側開口部103B、及び受信側開口部104Bを介して超音波受取部106に至るまでの経路の経路長と、超音波発生部101から送信側伝波部102、送信側開口部103C、及び受信側開口部104Cを介して超音波受取部106に至るまでの経路の経路長とは、異なる長さである
【0056】
搬送用従動ローラ35’は、図3に示すように、送信側開口部103A、及び受信側開口部104Aと送信側開口部103B、及び受信側開口部104Bとの間に配置される。また、搬送ローラ35は、送信側開口部103B、及び受信側開口部104Bと送信側開口部103C、及び受信側開口部104Cとの間に配置される。送信側開口部103A、103B、103CからシートPPに超音波が送信されるとシートPPは、振動する。例えば、送信側開口部103BからシートPPに超音波が送信されると、シートPPの振動がY軸方向に伝播する。このシートPPの振動が送信側開口部103Aと受信側開口部104Aとの間、又は送信側開口部103Cと受信側開口部104Cとの間にまで伝播すると、超音波の減衰に影響を与える。よって、送信側開口部103B、及び受信側開口部104Bとの間の超音波の送受信が、送信側開口部103A、及び受信側開口部104A、又は送信側開口部103C、及び受信側開口部104Cにおける超音波の送受信に干渉してしまう。しかし、本実施形態において、送信側開口部103A、及び受信側開口部104Aと送信側開口部103B、及び受信側開口部104Bとの間、並びに送信側開口部103B、及び受信側開口部104Bと送信側開口部103C、及び受信側開口部104Cとの間に位置する搬送ローラ35、及び搬送用従動ローラ35’により、シートPPが挟まれる。従って、例えば、送信側開口部103B経由の超音波によるシートPPの振動は、搬送ローラ35、及び搬送用従動ローラ35’により遮断されることで、送信側開口部103Aと受信側開口部104Aとの間、及び送信側開口部103Bと受信側開口部104Bとの間にまで到達しない。よって、特定の送信側開口部と特定の送信側開口部により送信された超音波を受信する受信側開口部との間の超音波送受信が、他の送信側開口部と他の送信側開口部により送信された超音波を受信する受信側開口部との間の超音波送受信に干渉しない。よって、本実施形態における画像読取装置1は、確実な斜行検知を行うことができる。
【0057】
図5を用いて検知部10によるシートPPへの超音波送信について説明する。今、図5に示すようにシートPPがX軸正方向に搬送されている。この場合、シートPPがX軸正方向に搬送されながら、送信側開口部103A、103B、103CからシートPPに超音波が送信される。従って、超音波は、図5の二点鎖線により示すラインLA、LB、LCに沿ってシートPPに送信される。ラインLA、LB、LCに沿って送信される超音波は、シートPPを透過する際に、シートPPを透過しない場合と比較して、減衰する。この超音波の減衰を検知することで、シートPPの斜行検知につなげることができる。即ち、図5に示すようにシートPPが斜行してX軸正方向に搬送されている場合、最初に送信側開口部103C下をシートPPが通過する。よって、先ず送信側開口部103Cから送信される超音波が減衰する。次に、送信側開口部103B下をシートPPが通過する。よって、送信側開口部103Cの次に送信側開口部103Bから送信された超音波が減衰する。最後に送信側開口部103A下をシートPPが通過する。よって、最後に送信側開口部103Aから送信された超音波が減衰する。以上示したように、シートPPの斜行のパターンに応じて、送信側開口部103A、103B、103Cから送信される超音波の減衰パターンが決まる。この減衰パターンを検知することで、シートPPの斜行検知を行うことができる。なお、本実施形態において、図5に示すように、シートPPが必ず送信側開口部103A、103B、103Cの全て送信側開口部下を通過するように、検知部10のY軸方向の長さが設定され、図示しない画像読取装置1のシートガイド機構が構成されている。
【0058】
図6を用いて、上述の検知部10による超音波の送受信について説明する。図6の(A)において、横軸は、超音波発生部101により超音波が発生される時間TMを示す。図6の(A)において、縦軸は、超音波発生部101により発生される超音波の振幅AMを示す。図6の(B)において、横軸は、送信側開口部103A、103B、103Cから超音波が送信される時間TMを示す図である。図6の(B)において、縦軸は、送信側開口部103A、103B、103Cから送信される超音波の振幅AMを示す。図6の(C)において、横軸は、超音波受取部106により超音波が受け取られる時間TMを示す。図6の(C)において、縦軸は、超音波受取部106により受け取られる超音波の振幅AMを示す。ただし、図6の(C)は、送信側開口部103A、103B、103Cと受信側開口部104A、104B、104Cとの間にシートPPが介在しない際に、超音波が送信側開口部103A、103B、103Cから受信側開口部104A、104B、104Cに送信された場合に超音波受取部106により受け取られる超音波の振幅AMを示す。図6の(A)、(B)、及び(C)において、時間TMは、共通の時間軸で示され、振幅AMは、同じ大きさの単位で示される。従って、例えば、図6の(A)に示す時点TG1と図6の(B)、及び(C)に示す時点TG1とは同一の時間TMである。
【0059】
図6の(A)に示すように時間TG1〜TG2にて超音波発生部101により発生されたパルス状の超音波は、先ず、図6の(B)に示すように時間TT1〜TT2において超音波発生部101のZ軸負方向側に位置する送信側開口部103Bから送信される。なお、以後、例えば、時点TG1から時点TG2までの間の時間を「時間TG1〜TG2」と表記する。超音波は、送信側伝波部102を伝わる。第1距離L1<第2距離L2であるため、送信側伝波部102を伝わる超音波は、次に図6の(B)に示すように時間TT3〜TT4において送信側開口部103Aから送信される。その後、超音波は、時間TT5〜TT6において送信側開口部103Cから送信される。このように、送信側伝波部102における超音波発生部101から各送信側開口部103A、103B、103Cへの距離が異なることで、超音波の送信タイミング制御を必要とせずに、送信側開口部103A、103B、103Cから超音波が送信されるタイミングをずらすことができる。なお、超音波発生部101により発生されるパルス状の超音波のパルス幅は、図6の(B)に示すように送信側開口部103A、103B、103Cから送信される超音波が重ならない程度にあらかじめ設定されている。このパルス幅の設定値は、第1距離L1、及び第2距離L2により決まる値である。
【0060】
時間TT1〜TT2において送信側開口部103Bから送信された超音波は、受信側開口部104Bにより受信される。受信側開口部104Bにより受信された超音波は、図6の(C)に示すように、時間TR1〜TR2において、超音波受取部106により受け取られる。図6の(B)に示す時間TT3〜TT4において送信側開口部103Aから送信された超音波は、受信側開口部104Aにより受信される。受信側開口部104Aにより受信された超音波は、受信側伝波部105を伝わり、時間TR3〜TR4において超音波受取部106により受け取られる。時間TT5〜TT6において送信側開口部103Cから送信された超音波は、受信側開口部104Cにより受信される。受信側開口部104Cにより受信された超音波は、受信側伝波部105を伝わり、時間TR5〜TR6において超音波受取部106により受け取られる。このように、Y軸方向における超音波受取部106から各受信側開口部104A、104B、104Cへの距離が異なることで、超音波の送信タイミング制御を必要とせずに、受信側開口部104A、104B、104Cにより受信される各々の超音波が超音波受取部106により受け取られるタイミングをずらすことができる。即ち、受信側開口部104A、104B、104Cにより受信される各々の超音波が超音波受取部106により受け取られる際に重ならない。従って、超音波の送信タイミング制御を必要とせずに、搬送されるシートPPの斜行を検知することができる。
【0061】
超音波発生部101は、時間TG3〜TG4において、時間TG1〜TG2において発生された超音波の次の超音波を発生する。先の時間TG1〜TG2において超音波が発生されてから後の時間TG3〜TG4において超音波が発生されるまでの間の時間間隔PRは、図6の(A)、及び(C)に示すように、時点TT2〜TT3の間の時間P1、時点TT4〜TT5の間の時間P2、時点TG1〜TG2の間の時間PSとした場合に、PR>2×(3×PS+P1+P2)となるようにあらかじめ設定されている。このようにあらかじめ設定された時間間隔PRは、制御部7が有するROMにあらかじめ記憶されている。なお、時間PSは、超音波の振動時間であるため、超音波の周波数を周波数FRとするとPS=(1回の送信で発生される超音波の波数)/FRを満たす。また、時間PSと時間P1との和である時間PS+P1は、超音波発生部101により発生された超音波が送信側開口部103Bから送信されてから、送信側開口部103Aにより送信されるまでの時間である。従って、図6の(B)に示す時間PS+P1は、音速を音速SSとすると、超音波発生部101から送信側開口部103Aまでの距離が距離L1であることから、PS+P1=L1/SSを満たす。同様に、超音波発生部101により発生された超音波が送信側開口部103Aにより送信されてから、送信側開口部103Cにより送信されるまでの時間PS+P2は、超音波発生部101から送信側開口部103Aまでの距離L1と超音波発生部101から送信側開口部103Cまでの距離L2の差で決まる。即ち、図6の(B)に示す時間PS+P2は、PS+P2=(L2−L1)/SSを満たす。一方、受信側開口部104Bにより受信された超音波が超音波受信部106により受け取られるまでにかかる時間と、受信側開口部104Aにより受信された超音波が超音波受信部106により受け取られるまでにかかる時間の差はPS+P1(=L1/SS)となる。また、受信側開口部104Aにより受信された超音波が超音波受信部106により受け取られるまでにかかる時間と、受信側開口部104Cにより受信された超音波が超音波受信部106により受け取られるまでにかかる時間の差は、時間PS+P2=(L2−L1)/SSとなる。よって、図6の(C)において、時間TR1〜TR3に示すように、超音波発生部101から発生された超音波を、送信側開口部103B、受信側開口部104Bを介して超音波受信部106で受信した信号に対し、送信側開口部103A、受信側開口部104Aを介して超音波受信部106で受信した信号は2×(PS+P1)だけ遅れる。また、図6の(C)において、時間TR1〜TR5に示すように、超音波発生部101から発生された超音波を、送信側開口部103B、受信側開口部104Bを介して超音波受信部106で受信した信号に対し、送信側開口部103C、受信側開口部104Cを介して受信した信号は、2×(PS+P1)+2×(PS+P2)=2×(2×PS+P1+P2)だけ遅れることになる。さらに、図6の(C)において、時間TR5〜TR6に示すように、送信側開口部103C、及び受信側開口部104Cを介して受信した信号の受信を完了するために時間PSが必要になる。従って、超音波発生部101により超音波が発生される時間間隔PRが、図6の(C)に示すように、PR>2×(3×PS+P1+P2)となるように設定されていることにより、先の時間TG1〜TG2において発生された超音波から派生した超音波と後の時間TG3〜TG4において発生された超音波から派生した超音波が、超音波受取部106において重なって受け取られることを防ぐことができる。従って、確実に搬送されるシートPPの斜行を検知することができる。
【0062】
なお、第1距離L1、及び第2距離L2は、送信側伝波部102、及び受信側伝波部105の構成に依存した残響時間と音速とを掛け合わせることにより求められる値の半分の値以上の距離である。残響時間は、送信側伝波部102、及び受信側伝波部105の構成、即ち伝声管の材料や構造などに依存する。本実施形態の検知部10において、残響時間は200μsである。本実施形態において、音速は、画像読取装置1が使用される条件として想定される温度範囲0℃〜40℃の条件下で、最も遅い0℃の条件化における音速331.5m/sである。従って、第1距離L1=40mm、第2距離L2=50mmであるので、第1距離L1、及び第2距離L2は、33.15mm(=200μs×331.5m/s÷2)<L1<L2を満たす。第1距離L1、及び第2距離L2が、33.15mm<L1<L2を満たすことで、残響により搬送されるシートPPの斜行検知精度に影響が出ることを防止できる。即ち、受信側開口部104A、104B、104Cのうちの特定の開口部により超音波が受信される際に受信側伝波部105に発生する残響が、特定の開口部が超音波を受信した後に特定の開口部に互いに隣り合う開口部により超音波が受信されるまで受信側伝波部105に残らない。図7に示すように残響が隣接する開口部により超音波が受信されるまで残ると、互いに隣り合う開口部により受信される超音波と残響とが重畳する。このように超音波と残響とが重畳すると、以下に示すように、搬送されるシートPPの斜行検知精度に影響が出る。即ち、超音波と残響との重畳により、超音波の振幅が大きくなるか、又は小さくなる。従って、超音波と残響との重畳は、シートPPに斜行が発生しているか否かの判断を行う際にその判断精度に支障を来たす。しかし、第1距離L1、及び第2距離L2が、33.15mm<L1<L2を満たすことで、残響により搬送されるシートPPの斜行検知精度に影響が出ることを防止できる。
【0063】
図8を用いてシートPPの斜行と超音波受信部106により受信される超音波の振幅値との関係について説明する。図8の(A)〜(D)の紙面左側は、X軸正方向に搬送されるシートPPと送信側開口部103A、103B、103Cとの位置関係を説明するための説明図である。図8の(A)〜(D)の紙面右側は、各図8の(A)〜(D)の紙面左側に示すようにシートPPと送信側開口部103A、103B、103Cとが位置する場合に、超音波受信部106により受信される超音波を示す図である。図8の(A)〜(D)において検知部10の一構成である受信側開口部104A、104B、104C等の構成を省いて示している。以後、図8の(A)〜(D)に示すように、送信側開口部103A、103B、103Cの各々の下側にシートPPが存在することを、送信側開口部103A、103B、103Cと受信側開口部104A、104B、104Cとの各々の間にシートPPが介在している、と表記する。
【0064】
図8の(A)に示すように、送信側開口部103A、103B、103Cと受信側開口部104A、104B、104Cとの間にシートPPが介在していない場合、受信側開口部104A、104B、104Cを介して超音波受取部106により受け取られた超音波は、いずれも減衰しない。図8の(B)に示すように、送信側開口部103Cと受信側開口部104Cとの間にのみシートPPが介在している場合、受信側開口部104Cを介して超音波受信部106により受信される超音波のみが減衰する。図8の(C)に示すように、送信側開口部103B、103Cと受信側開口部104B、104Cとの間にシートPPが介在している場合、受信側開口部104B、104Cを介して超音波受信部106により受信される超音波が減衰する。図8の(D)に示すように、送信側開口部103A、103B、103Cと受信側開口部104A、104B、104Cとの間にシートPPが介在している場合、受信側開口部104A、104B、104Cを介して超音波受信部106により受信される超音波は全て減衰する。以上、図8の(A)〜(D)を用いて示したように、シートPPに斜行が発生すると、受信側開口部104A、104B、104Cを介して超音波受取部106により受け取られた超音波の振幅値に差異が生ずる。即ち、斜行が発生していない場合には、受信側開口部104A、104B、104Cを介して超音波受信部106により受信される超音波は、シート介在時には、一様に減衰し、シート非介在時には全て一様に減衰しない。しかし、シートPPに斜行が発生すると、受信側開口部104A、104B、104Cを介して超音波受取部106により受け取られた超音波が減衰しているか否かに差が出る。画像読取装置1は、受信側開口部104A、104B、104Cを介して超音波受取部106により受け取られた超音波の振幅値に差異が生じていた場合に、シートPPに斜行が発生したと判定する。なお、斜行の判定は、図2において示した制御部7が行う。本実施形態における制御部7が、本発明の判定部の一例である。
【0065】
[画像読取装置電気的構成]
図9を用いて、画像読取装置1の電気的構成において斜行検知に関わる電気的構成について説明する。図9は、画像読取装置1の電気的構成において斜行検知に関わる電気的構成を示す図である。制御部7は、図9に示すように、CPU71と、RAM72と、ROM73と、駆動信号生成部74と、増幅部75と、サンプルホールド回路76と、AD変換部77と、バス78と、を備える。
【0066】
CPU71は、各種情報処理プログラムを実行することにより、画像読取装置1が備える各種機能を実行する演算処理装置である。RAM72は超音波受取部106により受け取られる超音波の振幅データや読取センサ36により読み取られたシートPPの画像データ等の各種データを一時的に記憶する領域である。ROM73は、CPU71により実行される各種情報処理プログラムを記憶している。ROM73は、前述の時間間隔PR、時間P1、時間P2、時間PS、及びシートPPを介さない場合に超音波受取部106により受信される超音波の振幅値(以後、「閾値」と記す)などの各種データも記憶している。ROM73は、不揮発性メモリであるフラッシュメモリにより構成されている。CPU71、RAM72、及びROM73は、データ通信用のバス78にそれぞれ接続されており、バス78を介して各種情報の送受信を行う。バス78は、設定部5、及び表示部6と接続されている。CPU71により斜行が発生したと判断されると、バス78を介して表示部6に斜行発生を報知するための指令情報が供給される。
【0067】
駆動信号生成部74は、超音波送信部10Aを駆動するための駆動信号を生成する。駆動信号生成部74は、生成した駆動信号を超音波送信部10Aに供給する。超音波送信部10Aは、供給された駆動信号に基づき、超音波を発生する。超音波送信部10Aは、図3などにおいて示したように、発生された超音波を超音波受信部10Bに向けて送信する。超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間をシートPPが搬送される場合、超音波は減衰して、超音波受信部10Bにより受信される。
【0068】
増幅部75は、超音波受信部10Bにより受信された超音波のアナログ信号を増幅する。サンプルホールド回路76は、増幅部75により増幅された超音波のアナログ信号のピーク値をサンプリングする。サンプルホールド回路76は、サンプリングした値を図6の(C)において示した時間PSの間の所定の時点TS1、TS2、及びTS3と対応付けて一時保持する。所定の時点TS1、TS2、及びTS3は、ROM73により記憶されている時間間隔PR、時間P1、時間P2、時間PSのデータに基づいて、超音波受取部106により超音波が受け取られる毎にCPU71により決定される。時点TS1、TS2、及びTS3は、各々、受信側開口部104B、104A、104Cを介して、超音波受取部106により超音波が受け取られる時点と対応している。サンプリングホールド回路76によるサンプリング、及び一時保持により、超音波受取部106により受け取られた超音波の振幅が、超音波が超音波受取部106により受け取られた時点と対応付けられて決定される。AD変換部77は、サンプルホールド回路76により一時保持された超音波のアナログデータをデジタルデータに変換する。RAM72は、AD変換部77によりデジタルデータに変換された超音波のデータを、超音波が超音波受取部106により受け取られた時点と対応付けて一時的に記憶する。即ち、図6の(C)に示すように、RAM72は、時間間隔PR毎に超音波発生部101により発生された1つの超音波から派生した3つの超音波を、各々時点TS1、TS2、及びTS3と対応付けて記憶する。
【0069】
[画像読取装置動作制御]
以下、図10を用いて画像読取装置1の動作制御について説明する。図10は、画像読取装置1の動作制御を示すフローチャートである。一連の動作制御は、図9において示したCPU71により実行される。ユーザにより設定部5の電源スイッチが押されると、CPU71に設定部5から電源ONの指令が供給される。CPU71に電源ONの指令が供給されると、画像読取装置1の駆動が開始される。画像読取装置1の駆動が開始されると、検知部10によるシートPPの検知、及び読取センサ36によるシートPPの画像読取が開始される。画像読取装置1の駆動が開始されると、超音波受信部10Bにより受信された超音波のアナログ信号が増幅部75により増幅される。増幅が行われると、増幅された超音波のアナログ信号のピーク値のサンプリング、及び一時保持がサンプルホールド回路76により行われる。サンプリング、及び一時保持が行われると、サンプルホールド回路76により一時保持された超音波のアナログデータがAD変換部77によりデジタルデータにAD変換される。デジタルデータに変換された超音波のデータは、時点TS1、TS2、及びTS3と対応付けられてRAM72により一時的に記憶される。以下に示す一連の動作制御は、その後、CPU71により実行される処理である。
【0070】
図10に示す処理では、超音波発生部101により1つの超音波が発生された後の時間間隔PRの時間において超音波受取部106により受け取られ、RAM72により記憶された3つの超音波のデータが時点TS1、TS2、及びTS3とともにRAM72から読み出される(S1)。
【0071】
読み出された超音波のデータが、ROM73により記憶されているシートPPを介していない場合に超音波受取部106により受け取られる超音波の振幅値の閾値と比較される。具体的には、3つの超音波のデータの値のうち1つまたは2つの超音波のデータの値がROM73により記憶されている閾値未満かが判断される(S2)。3つの超音波のデータの全てがROM73により記憶されている閾値以上、または閾値未満と判断されると(S2:No)、処理がS4に移る。
【0072】
3つの超音波のデータのうち1つまたは2つの超音波のデータの値がROM73により記憶されている閾値未満と判断されると(S2:Yes)、斜行発生が報知される(S3)。具体的には、バス78を介して表示部6に斜行発生を報知するための指令情報が供給される。表示部6は、供給された指令情報に基づいて、「斜行発生」というメッセージを表示する。3つの超音波のデータの値のうち1つまたは2つの超音波のデータの値が閾値未満と判断された時点で斜行発生を報知するため、ユーザに可及的速やかにシートPPに斜行が発生したことを報知することができる。斜行発生が報知されると、処理がS4に移る。
【0073】
処理がS4に移ると、画像読取装置1の動作制御の全ての処理が終了か否かが判断される(S4)。具体的には、設定部5から電源OFFの指令が供給されたか否かが判断される。全ての処理が終了でないと判断されると(S4:No)、処理がS1に戻る。全ての処理が終了であると判断されると(S4:Yes)、図10に示す全ての処理が終了する。
【0074】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。
【0075】
第1の実施形態において、画像読取装置1は、図10に示すS2において、3つの超音波のデータの値のうち1つまたは2つの超音波のデータの値が閾値未満と判定された場合に、S3において斜行発生を報知していた。しかし、これに限らず、例えば、以下に示すように斜行発生の報知の代わり、または斜行発生の報知とあわせて読み取られたシートの画像の傾き補正を行ってもよい。
【0076】
以下、図11、及び図12を用いて本実施形態における画像読取装置1の動作制御について説明する。図11、及び図12は、本実施形態における画像読取装置1の動作制御を示すフローチャートである。一連の動作制御は、図9において示したCPU71により実行される。
【0077】
図11に示す処理では、先ず、各種フラグ、及び各種カウントの初期化が行われる(SX0)。その上で、RAM72により記憶された3つの超音波のデータが受け取られた時点とともにRAM72から読み出される(SX1)。
【0078】
読み出された超音波のデータが、ROM73により記憶されているシートPPを介していない場合に超音波受取部106により受け取られる超音波の振幅値の閾値と比較される。具体的には、3つの超音波のデータの値のうち1つ又は2つの超音波のデータの値がROM73により記憶されている閾値未満かが判断される(SX2)。
【0079】
3つの超音波のデータの値のうち1つ又は2つの超音波のデータの値がROM73により記憶されている閾値未満と判断されると(SX2:Yes)、決定終了フラグが立てられているかが判断される(SX3)。決定終了フラグは、斜行角度の決定が既に行われたことを示すフラグである。決定終了フラグを処理に用いることで、既に斜行角度が決定されているにも関わらず、斜行角度を決定するための処理が繰り返されることを防ぐことができる。
【0080】
決定終了フラグが立てられていないと判断されると(SX3:No)、超音波送信回数がインクリメントされる(SX4)。超音波送信回数がインクリメントされると、処理が図12に示すSX11に移る。決定終了フラグが立てられていると判断されると(SX3:Yes)、処理が図12に示すSX11に移る。
【0081】
SX2において、いずれのデータも閾値未満又は閾値以上と判断されると(SX2:No)、決定終了フラグが立てられているかが判断される(SX5)。決定終了フラグが立てられていないと判断されると(SX5:No)、斜行角度が決定される(SX6)。なお、「決定」とは、得られたデータをもとに特定の数値を求めること、及び得られたデータをもとにテーブルなどの判断基準から特定の数値を決定することの両方を含む。
【0082】
SX6における斜行角度決定処理について詳細に説明する。図5に示すシートPPの斜行によるシートPPの斜行角度θは、数式1により表される。数式1において、ズレXdは、図5に示すシートPPの斜行によるシートPPのX軸方向のズレXdである。
【0083】
(数1)
θ=tan−1{Xd/(L1+L2)}
【0084】
図8に示したように、シートPPがX軸方向に搬送されるに従い、超音波受取部106により受け取られる超音波の振幅値が変化する。数式1において示したズレXdは、シートPPが図8の(B)に示すX軸方向の位置から、図8の(D)に示すX軸方向の位置まで搬送されるまでの時間を時間Tcdとした場合に、数式2により表される。数式2において、搬送速度Vfは、シートPPが超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間を搬送される速度である。搬送速度Vfは、搬送ローラ34、搬送ローラ35の回転速度などが設定された速度に保たれることであらかじめ設定される。搬送速度Vfは、あらかじめROM73に記憶されている。
【0085】
(数2)
Xd=Vf*Tcd
【0086】
数式2における時間Tcdは、超音波発生部101による超音波の発生周期を図6において示したように時間間隔PRとし、時間Tcdの間に超音波送信部10Aにより超音波が送信された回数を超音波送信回数nとした場合に数式3により表される。
【0087】
(数3)
Tcd=n*PR
【0088】
数式2、及び数式3を数式1に代入すると、数式4が導かれる。
【0089】
(数4)
θ=tan−1{n*Vf*PR/(L1+L2)}
【0090】
数式4において、搬送速度Vf、時間間隔PR、距離L1、及び距離L2は、あらかじめ設定された値をとり、ROM73に記憶されている。超音波送信回数nは、SX4においてインクリメントされることで決定される。SX6において、数式4における超音波送信回数nが数式4に代入されることで、斜行角度θが決定される。なお、シートPPがY軸正方向に傾いているか、またはY軸負方向に傾いているかは、SX2において、どの3つのデータ値のうちのどのデータ値が閾値未満かに基づいて検知可能である。このシートPPの斜行方向は、SX6において斜行角度θの正負の符号として反映される。
【0091】
斜行角度が決定されると、超音波送信回数nのカウントがリセットされる(SX7)。即ち、SX4においてインクリメントされた超音波送信回数nが初期値0に戻される。
【0092】
超音波送信回数nのカウントがリセットされると、決定終了フラグが立てられる(SX8)。SX8において決定終了フラグが立てられることで、シートPPが図8の(D)に示した位置から更にX軸正方向に搬送され、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとの間を抜ける際にもう一度斜行角度が決定されてしまうことを防ぐことができる。決定終了フラグが立てられると、処理が図12に示すSX11に移る。
【0093】
SX5において、決定終了フラグが立てられていると判断されると(SX5:Yes)、3つの超音波のデータの値が全て閾値以上かが判断される(SX9)。全て閾値以上と判断されると(SX9:Yes)、決定終了フラグが降ろされる(SX10)。全てが閾値以上ではないと判断されると(SX9:No)、処理が図12に示すSX11に移る。
【0094】
処理が図12に示すSX11に移ると、画像読取が完了したかが判断される(SX11)。具体的には、検知部10により検知されたシートPPの画像が図2などにおいて示した読取センサ36により読み取られたか否かが判断される。
【0095】
画像読取が完了したと判断されると(SX11:Yes)、図11において示したSX6において決定された斜行角度θに基づいて、読み取られた画像の傾き補正が行われる(SX12)。具体的には、斜行角度θに基づいて読み取られた画像を回転する処理が行われる。画像の傾き補正が行われると処理がSX13に移る。画像読取が完了していないと判断されると(SX11:No)、処理がSX13に移る。
【0096】
処理がSX13に移ると、画像読取装置1の動作制御の全ての処理が終了か否かが判断される(SX13)。具体的には、設定部5から電源OFFの指令が供給されたか否かが判断される。全ての処理が終了でないと判断されると(SX13:No)、処理が図11に示したSX1に戻る。全ての処理が終了であると判断されると(SX13:Yes)、図11、及び図12に示す全ての処理が終了する。
【0097】
(変形例)
本発明は、第1、及び第2の実施形態に限定されることは無く、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下にその変形の一例を述べる。以下に示す変形例において、第1、及び第2の実施形態と同一の構成は、同一の番号を付して説明する。
【0098】
第1、及び第2の実施形態において、検知部10は、送信側開口部103A、103B、103C、及び受信側開口部104A、104B、104Cの3つの送信側開口部と3つの受信側開口部とを備えていた。しかし、これに限らず、検知部は、例えば、図13Aに示す検知部10のように、2つの送信側開口部203A、203B、と2つの受信側開口部204A、204Bとを備えていてもよい。また、図13Bに示す検知部10のように、送信側開口部303A〜303Nと受信側開口部304A〜304Nとを幾つ備えていてもよい。ただし、図13Aに示す検知部10のように、2つの送信側開口部203A、203B、と2つの受信側開口部204A、204Bとのみを備えている場合、小さなシートが搬送されると、2個の送信側開口部、及び2個の受信側開口部のうちの一方の開口部間をシートが通過しない可能性がある。2個の送信側開口部と2個の受信側開口部とのみを備える斜行検知装置の場合、一方の開口部間をシートが通過しないと、シートの斜行の有無を判定できない。従って、第1、及び第2の実施形態における検知部10、及び図13Bに示す検知部10によれば、少なくとも3つの送信側開口部と、少なくとも3つの受信側開口部とを備えるため、小さなシートが搬送される場合であっても、少なくとも2個の送信側開口部、及び少なくとも2個の受信側開口部の間をシートが通過する可能性がより高くなる。従って、正確な斜行検知が出来る。
【0099】
第1、及び第2の実施形態において、図5に示すように、シートPPが必ず送信側開口部103A、103B、103Cの全て送信側開口部下を通過するように、検知部10のY軸方向の長さが設定され、図示しない画像読取装置1のシートガイド機構が構成されていた。しかし、これに限らず、以下のように画像読取装置1を構成してもよい。即ち、ユーザが設定部5を用いて、シートのサイズ、及びシートの配置位置などを指定する。このユーザ指定に基づいて、送信側開口部103A、103B、103C、及び受信側開口部104A、104B、104C経由の超音波のうち、いずれか2つの送信側開口部、及び2つの受信側開口部経由の超音波に基づいて斜行判定がなされる。このように画像読取装置1を構成することにより、小さなシートが搬送される場合などにおいてもシートを確実に検知することができる。また、小さなシートが搬送される場合に、シートが斜行していないにも関わらず、誤って斜行していると判定してしまう可能性を軽減できる。
【0100】
第1、及び第2の実施形態において、送信側伝波部102、及び受信側伝波部105は、図3に示すように、Y軸方向に延出していた。しかし、これに限らず、伝波部は、例えば、図13Cに示す伝波部402、405及び図13Dに示す伝波部502、505のように、Z軸方向に延出する部分402Z、405Z、502Z、505ZとY軸方向に延出する部分402Y、405Y、502Y、505Yとを備えていてもよい。また、伝波部は、例えば、図13Eに示す伝波部602、605のように、Z軸方向に延出する部分602Z、605ZとYZ平面における斜め方向に延出する部分602YZ、605YZとを備えていてもよい。
【0101】
第1、及び第2の実施形態において、超音波発生部101は、送信側開口部103A、103B、103CのZ軸正方向側に配置され、超音波受取部106は、受信側開口部104A、104B、104CのZ軸負方向側に配置されていた。しかし、これに限らず、例えば、図13Fに示すように、超音波発生部701は、送信側開口部103A、103B、103CのY軸負方向側に配置され、超音波受取部706は、受信側開口部104A、104B、104CのY軸負方向側に配置されてもよい。同様に、超音波発生部701は、送信側開口部103A、103B、103CのY軸正方向側に配置され、超音波受取部706は、受信側開口部104A、104B、104CのY軸正方向側に配置されてもよい。
【0102】
第1、及び第2の実施形態において、超音波送信部10Aと超音波受信部10Bとは、図4に示すように、X軸方向に対して同一位置に配置されていた。しかし、これに限らず、超音波送信部と超音波受信部とは、例えば、図14に示す超音波送信部800Aと超音波受信部800Bとのように、送信側開口部803Cと受信側開口部804Cとを結ぶ線ELがシートPPの表面と斜めに交差するように配置されてもよい。この場合、送信側開口部803C、及び受信側開口部804C以外の送信側開口部と受信側開口部とを結ぶ線もシートPPの表面と斜めに交差するように配置されればよい。なお、「斜めに交差する」とは、超音波の反射波が超音波送信部800Aに戻らないように角度を持って交差することを示す。例えば、この交差角度は、送信側開口部の開口サイズ、反射するシートとの距離、又は反射波の反射様態などの幾何学的条件から設定されてもよい。図14に示すように検知部が構成されることで、送信側開口部から送信されシートにより反射された超音波が再び送信側開口部に戻ることがない。よって、反射波の影響により超音波受取部により受信される超音波の振幅値が不安定になることを防ぐことができる。従って、送信側開口部と受信側開口部とが、送信側開口部と受信側開口部とを結ぶ線が搬送されるシートと直交するように配置されている場合と比較して、シートの確実な斜行検知につなげることができる。
【0103】
第1、及び第2の実施形態において、検知部10は、超音波がシートPPを透過する場合に生じる超音波の減衰の有無に基づいてシートPPの斜行を検知する透過形式の検知部であった。しかし、これに限らず、例えば、検知部10は、図15に示すように超音波がシートPPにより反射された場合に検知される超音波に基づいてシートPPの斜行を検知する反射形式の検知部であってもよい。図15に示す検知部10は、シートPPの片面側に位置するように設けられた超音波送信部900Aと超音波受信部900Bとを備える。図15に示す送信側開口部903CのY軸負方向側に図15において図示しない少なくとも1つの送信側開口部が配置されている。図15に示す受信側開口部904CのY軸負方向側に図15において図示しない少なくとも1つの受信側開口部が配置されている。超音波受信部900Bは、図15に示すように超音波送信部900Aにより送信され、シートPPにより反射された超音波を受信する。即ち、0より大きい振幅値の超音波が検知される。一方、シートPPの非通過時には、超音波はシートPPにより反射されない。超音波がシートPPにより反射されない場合、超音波受信部900Bにより超音波は受信されない。即ち、振幅値が0の超音波が検知される。シートPPに斜行が発生すると、受信側開口部904Cとその他の受信側開口部とを介して超音波受取部106により超音波が受け取られたか否かに差が出る。画像読取装置1は、受信側開口部904Cとその他の受信側開口部とを介して超音波受取部106により受け取られた超音波の振幅値に差異が生じていた場合に、シートPPに斜行が発生したと判定すればよい。
【0104】
第1、及び第2の実施形態において、送信側伝波部102、及び受信側伝波部105は、Y軸方向、即ち搬送方向に直交する方向に延出していた。また、第1、及び第2の実施形態において、送信側開口部103A、103B、103Cは、X軸方向、即ち搬送方向に対して同一の位置に配置されていた。また、第1、及び第2の実施形態において、受信側開口部104A、104B、104Cは、前記搬送方向に対して同一の位置に配置されていた。送信側開口部103Bから超音波を送信してから送信側開口部103Aから超音波を送信するまでの時間の間にも、シートPPは搬送される。従って、図17の(A)に示すように、シートPPが斜行せずに搬送されている場合、ある時間間隔PRの時間に送信側開口部103A、103B、103CからシートPPに超音波が送信される箇所PA、PB、PCは、X軸方向に対して異なる位置となる。超音波が送信される箇所PA、PB、PCは、シートPPが斜行しているか否かを検知するための基準となるX軸方向における位置である。よって、超音波が送信される箇所PA、PB、PCがX軸方向に対して異なる位置となると、斜行検知の精度に影響が出る。
【0105】
上記の第1、及び第2の実施形態の問題に鑑み、送信側伝波部を、図16に示す送信側伝波部1002のようにVの字形状にしていてもよい。送信側開口部103A、103B、103Cは、図16の(A)に示すように、X軸方向において異なる位置に配置されている。送信側開口部103A、103Cは、X軸方向において、送信側開口部103Bの下流側に配置されている。超音波発生部101は、図16の(B)に示すように、送信側開口部103Bの上側に位置する。受信側伝波部1005は、送信側伝波部1002と同一形状である。3つの受信側開口部104A、104B、104Cは、各々、送信側開口部103A、103B、103Cの下側に配置される。3つの受信側開口部104A、104B、104Cは、上側を向いて開口している。超音波受取部106は、図16の(B)に示すように、受信側開口部104Bの下側に位置する。送信側伝波部102における超音波発生部から送信側開口部103Aまでの距離L1と送信側伝波部102における超音波発生部から送信側開口部103Cまでの距離L2とは、図16の(A)に示すように異なる距離である。
【0106】
図16に示す変形例において、検知部10は、X軸方向における送信側開口部103Bと送信側開口部103Aとの間の距離を距離X1としたときに、L1/SS=X1/Vfを満たすように構成されている。図16に示す変形例において、検知部10は、X軸方向における送信側開口部103Bと送信側開口部103Cとの間の距離を距離X2としたときに、L2/SS=X2/Vfを満たすように構成されている。なお、音速SSは、第1、及び第2実施形態と同じく超音波の音速SSである。搬送速度Vfは、第1、及び第2実施形態と同じくシートPPの搬送速度Vfである。
【0107】
検知部10は、L1/SS=X1/Vfを満たすように構成されている。よって、シートPPは、送信側開口部103Bから超音波を送信してから、送信側開口部103Aから超音波を送信するまでの時間L1/SSの間に距離X1だけX軸方向に搬送される。同様に、検知部10は、L2/SS=X2/Vfを満たすよう構成されている。よって、シートPPは、送信側開口部103Bから超音波を送信してから、送信側開口部103Cから超音波を送信するまでの時間L2/SSの間に距離X2だけX軸方向に搬送される。従って、図17の(B)に示すように、シートPPが斜行せずに搬送されている場合、時間間隔PRの時間に送信側開口部103A、103B、103CからシートPPに超音波が送信される箇所PA、PB、PCは、X軸方向に対して同じ位置となる。よって、精度良く斜行検知を行うことができる。また、図5、及び数式1などにおいて示したように、斜行角度は、シートPPの斜行によるシートPPのX軸方向のズレXdに基づいて決定される。よって、超音波が送信される箇所PA、PB、PCが、X軸方向に対して同じ位置となるため、ズレXdを精度良く決定できる。従って、精度良く斜行角度を決定でき、精度の良い画像の傾き補正を行うことができる。なお、図16において示した変形例においても、斜行角度の決定、及び画像の傾き補正は、図11、及び図12において示したフローチャートに従って行われればよい。
【0108】
第1、及び第2の実施形態において、超音波発生部101と超音波受取部106とは、Y軸方向において同一位置に配置されていた。しかし、これに限らず、例えば、超音波発生部101と超音波受取部106とは、斜行検知に支障が出ない範囲内において、Y軸方向において互いにずれた位置に配置されていてもよい。
【0109】
第1、及び第2の実施形態において、送信側伝波部102、及び送信側開口部103A、103B、103C、並びに受信側伝波部105、及び受信側開口部104A、104B、104Cは、硬質プラスチック材料の中空の伝声管により構成されていた。しかし、これに限らず、例えば、送信側伝波部、及び受信側伝波部は、中空でない固体素子により構成されてもよい。
【0110】
第1、及び第2の実施形態において、画像読取装置の一例として、シートフィードスキャナを挙げたが、これに限らず、例えば、FAX、及び自動搬送機能付きの複合機の読取部であってもよい。また、検知部が印刷機の紙送り機構における斜行検知に利用されてもよい。
【0111】
第1、及び第2の実施形態において、受信側開口部104A、104B、104Cは、各々、Y軸方向において、送信側開口部103A、103B、103Cと同一位置に位置していた。しかし、これに限らず、例えば、受信側開口部104A、104B、104Cは、各々、Y軸方向において、送信側開口部103A、103B、103Cから約0.1mm程度ずれて位置してもよい。即ち、受信側開口部104A、104B、104Cは、各々、Y軸方向において、少なくとも送信側開口部103A、103B、103Cから送信された超音波を受信できる位置に位置していればよい。
【0112】
第1、及び第2の実施形態において、画像読取装置1は、シートの斜行を検知した場合に、表示部6により重送の発生を報知しているが、これに限らず、例えば、音によって報知してもよいし、読取動作を途中停止するなどして報知してもよい。
【0113】
第1、及び第2の実施形態において、画像読取装置1が、シートPPに斜行が発生しているか否かの判定を行っていた。しかし、これに限らず、例えば、検知部10が判定部を有し、検知部10がシートPPに斜行が発生しているか否かの判定を行ってもよい。
【0114】
第1の実施形態において、画像読取装置1は、搬送ローラ35を備えていた。しかし、これに限らず、画像読取装置1は、例えば、搬送ローラ35の代わりにZ軸方向において相対する一対の搬送ベルトを備えていてもよい。即ち、少なくとも2つの送信側開口部の間に配置され、且つ少なくとも2つの受信側開口部の間に配置される搬送部は、シートを挟みながら搬送方向にシートを押し出すことでシートを搬送する搬送部であれば何でも良い。また、画像読取装置1は、搬送ローラ35に代表されるような少なくとも2つの送信側開口部の間に配置され、且つ少なくとも2つの受信側開口部の間に配置される搬送部を備えていても、備えていなくともよい。
【0115】
検知部10は、残響低減のために、例えば、送信側伝波部102、及び受信側伝波部105のY軸方向における両端に、吸音材を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0116】
1 画像読取装置
10 検知部
10A 超音波送信部
10B 超音波受信部
36 読取センサ
33 分離パッド
101 超音波発生部
102 送信側伝波部
103A、103B、103C 送信側開口部
104A、104B、104C 受信側開口部
105 受信側伝波部
106 超音波受取部
7 制御部
71 CPU
72 RAM
73 ROM
76 サンプルホールド回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるシートの斜行の有無を検知する斜行検知装置であって、
パルス状の超音波を発生する超音波発生部と、
前記シートの表面に平行な面上で、且つ前記シートが搬送される搬送方向に直交する直交方向に対して異なる位置に配列され、前記超音波を送信する複数の送信側開口部と、
前記超音波発生部と複数の前記送信側開口部とに連結され、前記超音波発生部により発生された前記超音波を複数の前記送信側開口部に伝える送信側伝波部と、
前記直交方向に対して異なる位置に配列され、複数の前記送信側開口部と前記シートを挟んで対向し、複数の前記送信側開口部により送信された前記超音波を受信する複数の受信側開口部と、
複数の前記受信側開口部により受信された前記超音波を受け取る超音波受取部と、
複数の前記受信側開口部と前記超音波受取部とに連結され、複数の前記受信側開口部により受信された前記超音波を前記超音波受取部に伝える受信側伝波部と、
複数の前記受信側開口部を介して前記超音波受取部により受け取られた前記超音波の振幅値の差異に基づいて前記シートの斜行の有無を判定する判定部と、を備え、
前記超音波発生部から前記送信側伝波部、複数の前記送信側開口部、及び複数の前記受信側開口部を介して前記超音波受取部に至るまでの複数の経路の経路長は、異なる長さであることを特徴とする斜行検知装置。
【請求項2】
複数の前記送信側開口部のうちの1つの前記送信側開口部と前記超音波発生部と前記超音波受取部とは、前記直交方向に対して同一位置に配置され、
複数の前記受信側開口部のうちの1つの前記受信側開口部と前記超音波発生部と前記超音波受取部とは、前記直交方向に対して同一位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の斜行検知装置。
【請求項3】
前記送信側伝波部、及び前記受信側伝波部は、前記直交方向に延出し、
複数の前記送信側開口部は、前記搬送方向に対して同一の位置に配置され、
複数の前記受信側開口部は、前記搬送方向に対して同一の位置に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の斜行検知装置。
【請求項4】
前記超音波発生部と前記超音波受取部と、前記直交方向に対して同一位置に配置される特定の前記送信側開口部は、前記搬送方向において他の前記送信側開口部の上流側に配置され、
前記超音波発生部と前記超音波受取部と、前記直交方向に対して同一位置に配置される特定の前記受信側開口部は、前記搬送方向において他の前記受信側開口部の上流側に配置され、
特定の前記送信側開口部と他の前記送信側開口部との間の距離を音速により割った時間が、前記搬送方向における特定の前記送信側開口部と他の前記送信側開口部との間の距離を前記シートの搬送速度により割った時間と等しくなり、特定の前記受信側開口部と他の前記受信側開口部との間の距離を音速により割った時間が、前記搬送方向における特定の前記受信側開口部と他の前記側開口部との間の距離を前記シートの搬送速度により割った時間と等しくなるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の斜行検知装置。
【請求項5】
少なくとも3つの前記送信側開口部と、少なくとも3つの前記受信側開口部と、を備える請求項1〜4のいずれかに記載の斜行検知装置。
【請求項6】
少なくとも3つの前記送信側開口部のうち、前記送信側伝波部おいて隣接する2つの前記送信側開口部の間の距離、及び少なくとも3つの前記受信側開口部のうち、前記受信側伝波部において隣接する2つの前記受信側開口部の間の距離は、各々、前記送信側伝波部、及び前記受信側伝波部の構成に依存した残響時間と音速とを掛け合わせることにより求められる値の半分の値以上の距離であることを特徴とする請求項5に記載の斜行検知装置。
【請求項7】
前記送信側伝波部、及び複数の前記送信側開口部、並びに受信側伝波部、及び複数の前記受信側開口部は、各々、伝声管により構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の斜行検知装置。
【請求項8】
前記判定部の判定結果に基づいて前記シートの斜行の有無を報知する報知部を備える請求項1〜7のいずれかに記載の斜行検知装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の斜行検知装置と、
前記シートを搬送する搬送部と、を備えることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項10】
前記搬送部は、前記シートの表面に交差する方向において相対向して配置され、前記シートを挟みながら前記搬送方向に前記シートを押し出すことで前記シートを搬送する一対の搬送部であり、
前記搬送部は、複数の前記送信側開口部のうちの少なくとも2つの前記送信側開口部の間に位置し、且つ前記少なくとも2つの前記送信側開口部を介した超音波を受信する少なくとも2つの前記受信側開口部の間に位置することを特徴とする請求項9記載のシート搬送装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載のシート搬送装置と、
前記搬送部により搬送された前記シートの画像を読み取る読取部と、を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項12】
前記搬送部による前記シートの搬送速度と、複数の前記受信側開口部を介して前記超音波受取部により前記超音波が受け取られる時間差と、前記送信側伝波部における前記超音波発生部から各々の前記送信側開口部までの距離と、に基づいて前記シートの斜行角度を決定する決定部と、
前記決定部により決定された前記斜行角度に基づいて前記シートの画像の傾き補正を行う画像処理部と、を備える請求項11に記載の画像読取装置。
【請求項1】
搬送されるシートの斜行の有無を検知する斜行検知装置であって、
パルス状の超音波を発生する超音波発生部と、
前記シートの表面に平行な面上で、且つ前記シートが搬送される搬送方向に直交する直交方向に対して異なる位置に配列され、前記超音波を送信する複数の送信側開口部と、
前記超音波発生部と複数の前記送信側開口部とに連結され、前記超音波発生部により発生された前記超音波を複数の前記送信側開口部に伝える送信側伝波部と、
前記直交方向に対して異なる位置に配列され、複数の前記送信側開口部と前記シートを挟んで対向し、複数の前記送信側開口部により送信された前記超音波を受信する複数の受信側開口部と、
複数の前記受信側開口部により受信された前記超音波を受け取る超音波受取部と、
複数の前記受信側開口部と前記超音波受取部とに連結され、複数の前記受信側開口部により受信された前記超音波を前記超音波受取部に伝える受信側伝波部と、
複数の前記受信側開口部を介して前記超音波受取部により受け取られた前記超音波の振幅値の差異に基づいて前記シートの斜行の有無を判定する判定部と、を備え、
前記超音波発生部から前記送信側伝波部、複数の前記送信側開口部、及び複数の前記受信側開口部を介して前記超音波受取部に至るまでの複数の経路の経路長は、異なる長さであることを特徴とする斜行検知装置。
【請求項2】
複数の前記送信側開口部のうちの1つの前記送信側開口部と前記超音波発生部と前記超音波受取部とは、前記直交方向に対して同一位置に配置され、
複数の前記受信側開口部のうちの1つの前記受信側開口部と前記超音波発生部と前記超音波受取部とは、前記直交方向に対して同一位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の斜行検知装置。
【請求項3】
前記送信側伝波部、及び前記受信側伝波部は、前記直交方向に延出し、
複数の前記送信側開口部は、前記搬送方向に対して同一の位置に配置され、
複数の前記受信側開口部は、前記搬送方向に対して同一の位置に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の斜行検知装置。
【請求項4】
前記超音波発生部と前記超音波受取部と、前記直交方向に対して同一位置に配置される特定の前記送信側開口部は、前記搬送方向において他の前記送信側開口部の上流側に配置され、
前記超音波発生部と前記超音波受取部と、前記直交方向に対して同一位置に配置される特定の前記受信側開口部は、前記搬送方向において他の前記受信側開口部の上流側に配置され、
特定の前記送信側開口部と他の前記送信側開口部との間の距離を音速により割った時間が、前記搬送方向における特定の前記送信側開口部と他の前記送信側開口部との間の距離を前記シートの搬送速度により割った時間と等しくなり、特定の前記受信側開口部と他の前記受信側開口部との間の距離を音速により割った時間が、前記搬送方向における特定の前記受信側開口部と他の前記側開口部との間の距離を前記シートの搬送速度により割った時間と等しくなるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の斜行検知装置。
【請求項5】
少なくとも3つの前記送信側開口部と、少なくとも3つの前記受信側開口部と、を備える請求項1〜4のいずれかに記載の斜行検知装置。
【請求項6】
少なくとも3つの前記送信側開口部のうち、前記送信側伝波部おいて隣接する2つの前記送信側開口部の間の距離、及び少なくとも3つの前記受信側開口部のうち、前記受信側伝波部において隣接する2つの前記受信側開口部の間の距離は、各々、前記送信側伝波部、及び前記受信側伝波部の構成に依存した残響時間と音速とを掛け合わせることにより求められる値の半分の値以上の距離であることを特徴とする請求項5に記載の斜行検知装置。
【請求項7】
前記送信側伝波部、及び複数の前記送信側開口部、並びに受信側伝波部、及び複数の前記受信側開口部は、各々、伝声管により構成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の斜行検知装置。
【請求項8】
前記判定部の判定結果に基づいて前記シートの斜行の有無を報知する報知部を備える請求項1〜7のいずれかに記載の斜行検知装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の斜行検知装置と、
前記シートを搬送する搬送部と、を備えることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項10】
前記搬送部は、前記シートの表面に交差する方向において相対向して配置され、前記シートを挟みながら前記搬送方向に前記シートを押し出すことで前記シートを搬送する一対の搬送部であり、
前記搬送部は、複数の前記送信側開口部のうちの少なくとも2つの前記送信側開口部の間に位置し、且つ前記少なくとも2つの前記送信側開口部を介した超音波を受信する少なくとも2つの前記受信側開口部の間に位置することを特徴とする請求項9記載のシート搬送装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載のシート搬送装置と、
前記搬送部により搬送された前記シートの画像を読み取る読取部と、を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項12】
前記搬送部による前記シートの搬送速度と、複数の前記受信側開口部を介して前記超音波受取部により前記超音波が受け取られる時間差と、前記送信側伝波部における前記超音波発生部から各々の前記送信側開口部までの距離と、に基づいて前記シートの斜行角度を決定する決定部と、
前記決定部により決定された前記斜行角度に基づいて前記シートの画像の傾き補正を行う画像処理部と、を備える請求項11に記載の画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−46329(P2012−46329A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190628(P2010−190628)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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