説明

断熱パネル

【課題】断熱性を損なうことなく取付対象への取付強度を向上し得る断熱パネルを提供する。
【解決手段】断熱パネル1は、一方向に間隔を空けて複数の真空断熱体15を収容し、これら真空断熱体間に対応する表面部位に、取付対象2に固定するための固定止具3の固定箇所とされる凹溝部12を他方向に沿って設けた板状基材10と、前記凹溝部に嵌め込まれる棒状断熱体20と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住居等や保冷庫、保温庫等の構造物に使用される断熱パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
住居等や保冷庫、保温庫等の構造物に使用される断熱部材としては、薄型化を図り、断熱効率を向上させるなどの観点から、芯材をガスバリア性の包装材で外装して真空吸引することにより形成された真空断熱体を収容した断熱パネルが知られている。
このような真空断熱体を収容した断熱パネルを強固に取付対象に固定するためには、釘やねじ、タッカー等の固定止具を用いて固定することが考えられる。このような取付構造とした場合には、固定止具の固定箇所によっては、真空断熱体の包装材が破損してしまい、断熱性能が損なわれるという問題があった。
下記特許文献1では、面材間に真空断熱体を配設し、この面材に釘またはねじ等の接合部品の取り付け場所を明記した断熱パネルが提案されている。この断熱パネルによれば、釘またはねじ等の接合部品による真空断熱体の包装材の破損を防止できるものではあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−248653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された断熱パネルでは、取付対象に固定された際に、釘またはねじ等の接合部品が当該断熱パネルの厚さ方向に沿う熱橋(ヒートブリッジ)となり、断熱性が損なわれることが考えられ、更なる改善が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、断熱性を損なうことなく取付対象への取付強度を向上し得る断熱パネルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る断熱パネルは、一方向に間隔を空けて複数の真空断熱体を収容し、これら真空断熱体間に対応する表面部位に、取付対象に固定するための固定止具の固定箇所とされる凹溝部を他方向に沿って設けた板状基材と、前記凹溝部に嵌め込まれる棒状断熱体と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、前記板状基材の凹溝部の側方に沿わせるように前記棒状断熱体を仮保持する仮保持具を更に備えたものとしてもよい。
また、本発明においては、前記凹溝部に、前記他方向に沿って間隔を空けて複数の固定止具孔を当該板状基材の厚さ方向に貫通形成してもよい。
また、本発明においては、前記板状基材を、前記凹溝部を設けた表面材と、前記真空断熱体を包み込むように収容した硬質樹脂発泡体とを積層した構造としてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る断熱パネルは、上述のような構成としたことで、断熱性を損なうことなく取付対象への取付強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)、(b)は、いずれも本発明の一実施形態に係る断熱パネルの一例を模式的に示し、(a)は、概略正面図、(b)は、(a)におけるX−X線矢視に対応させた概略横断面図である。
【図2】(a)は、同断熱パネルの概略斜視図、(b)は、同断熱パネルが備える真空断熱体の一例を模式的に示す概略斜視図である。
【図3】(a)〜(e)は、いずれも同断熱パネルの取付構造の一例を説明するための説明図であり、(a)、(d)は、図2(a)におけるZ部にそれぞれ対応させた一部破断概略拡大斜視図、(b)、(c)、(e)は、図1(b)におけるY部にそれぞれ対応させた一部破断概略拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、本実施形態に係る断熱パネル及びその取付構造の一例について説明するための概念的な説明図である。
本実施形態に係る断熱パネル1は、図1及び図2(a)に示すように、略矩形平板状とされた板状基材10と、細長棒状の棒状断熱体20とを備えている。
なお、図例では、正面視して略長方形状の板状基材10を例示しているが、略正方形状とされたものとしてもよい。
【0011】
板状基材10は、一方向(図例では、幅方向(横方向))に間隔を空けて複数の真空断熱体15を収容し、これら真空断熱体15間に対応する表面部位に他方向(図例では、長手方向(縦方向))に沿って長尺の凹溝部12を設けている。詳細については後述するが、この凹溝部12に、棒状断熱体20が嵌め込まれる構造とされている。
本実施形態では、この板状基材10は、図1(b)及び図2(a)に示すように、凹溝部12を設けた表面材11と、真空断熱体15を包み込むように収容した硬質樹脂発泡体13とを積層した構造とされている。
硬質樹脂発泡体13は、本実施形態では、図1に示すように、縦横に間隔を空けて複数のセル状真空断熱体15・・・を収容しており、パネル状とされている。図例では、横方向に間隔を空けて3列、縦方向に間隔を空けて4列のセル状真空断熱体15を収容した例を示している。
【0012】
これら複数のセル状真空断熱体15は、図2(b)に示すように、連結シール部16を介して互いに連結されており、当該断熱パネル1の形状に対応させた真空断熱ユニット14を構成している。これら複数のセル状真空断熱体15は、多孔質のウレタンフォームやシリカなどの粉末若しくはグラスファイバーなどの繊維で芯材を形成し、その芯材を通気性を有した不織布、ガスバリア性の金属フィルムなどの包装材で外装して真空吸引することにより形成するようにしてもよい。また、包装材の一部によって連結シール部16を構成する態様としてもよい。例えば、複数のセル状真空断熱体15の表裏にガスバリア性を有した包装材となるシート状部材を配し、真空吸引するとともに、セル状真空断熱体15間の部位の表裏のシート状部材を熱溶着させることで、真空断熱ユニット14を形成するようにしてもよい。このようなシート状部材としては、内層側に熱溶着されるポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等からなるプラスチックラミネートフィルムと、その外層側にガスバリア性のアルミニウム箔やアルミニウム蒸着層等を有した金属フィルムとを積層したようなものとしてもよい。または、別途の連結シール部16によってセル状真空断熱体15同士を連結するような態様としてもよい。
【0013】
上記構成とされた真空断熱ユニット14を収容した硬質樹脂発泡体13は、例えば、硬質発泡樹脂を発泡成形する際に、真空断熱ユニット14と一体的に複合成形するようにしてもよい。上記のように複数のセル状真空断熱体15は、連結シール部16を介して連結されて真空断熱ユニット14とされているので、複合成形する際の位置決めを容易に行え、精度良く複合成形することができる。または、このような成形態様に変えて、内側に真空断熱体(または真空断熱ユニット)収容凹所を有した表裏のボード状硬質樹脂発泡体をそれぞれ発泡成形する。そして、これらを発泡成形した後に真空断熱体15(または真空断熱ユニット14)を収容凹所に収容させ、これらボード状硬質樹脂発泡体を貼り合わせて成形するようにしてもよい。
なお、この硬質樹脂発泡体13は、ポリスチレンフォーム(発泡PS)や硬質ウレタンフォームなどの各種フォーム系(発泡系)材料から形成するようにしてもよい。
【0014】
表面材11は、合板やLVL等の木質積層板、パーティクルボード等の木質ボード、またはインシュレーションボードやMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板、さらには無垢材などの木質系材料から薄平板状に形成されたものとしてもよい。または、木質系材料から形成されたものに限られず、石膏ボード等の無機質系材料や合成樹脂系材料等から形成されたものとしてもよい。さらには、解繊したケナフ長繊維にバインダーとして合成樹脂系接着剤等を加えてボード化したケナフボードから形成されたものとしてもよい。また、これら種々の材料を混合乃至は積層した複合材料から形成されたものとしてもよい。
【0015】
この表面材11の表面には、図1及び図2(a)に示すように、縦方向に沿って長尺の複数本(図例では、4本)の凹溝部12・・・が横方向に間隔を空けて設けられている。
これら凹溝部12は、上記のように硬質樹脂発泡体13に収容されたセル状真空断熱体15と厚さ方向で重合しない位置に設けられている。つまり、横方向に間隔を空けて収容されたセル状真空断熱体15間を連結する縦方向に沿う連結シール部16(図2)に対応する表面部位に設けられている。また、本実施形態では、これら複数のセル状真空断熱体15間に対応する表面部位に加えて、表面材11の横方向両側端部の表面部位のそれぞれにも凹溝部12,12を設けている。
これら凹溝部12は、図1(a)に示すように、その長手方向両端部が表面材11の長手方向の両端面からやや控えた位置となるように、表面材11の長手方向の略全長に亘って設けられている。なお、これら凹溝部12を表面材11の長手方向の全長に亘って設けるようにしてもよい。また、これら凹溝部12は、切削加工等によって形成するようにしてもよく、または、当該表面材11をボード化する工程において凹溝部を形成するようにしてもよい。
【0016】
また、これら凹溝部12には、当該凹溝部12の長手方向(縦方向)に沿って間隔を空けて複数(図例では、5つ)の固定止具孔17が当該板状基材10の厚さ方向に貫通形成されている。図例では、固定止具孔17は、各凹溝部12の長手方向両端部のそれぞれと、上記のように縦方向に間隔を空けて配設されたセル状真空断熱体15間に対応する部位のそれぞれとに設けられている。つまり、固定止具孔17は、各凹溝部12の長手方向両端部のそれぞれと、縦方向にセル状真空断熱体15を連結する連結シール部16が存在するそれぞれの部位とに設けられている。なお、これら固定止具孔17の形成箇所は、図例の箇所に限られず、適宜の箇所に形成するようにしてもよい。
また、これら固定止具孔17は、図3(b)、(c)に示すように、表面側に大径部17aを有している。この大径部17aは、ボルトや木ねじ、釘等の固定止具3の頭部を収容する止具頭部収容凹所17aとなる。
【0017】
上記した板状基材10の凹溝部12に嵌め込まれる棒状断熱体20は、凹溝部12の形状に対応させて、図3(a)、(b)に示すように、角柱形状とされている。この棒状断熱体20の長さ及び幅寸法は、凹溝部12に嵌め込み可能な寸法であればよく、凹溝部12の長さ及び幅寸法と略同寸法またはこれよりもやや小さい寸法としてもよい。また、本実施形態では、上記のように止具頭部収容凹所17aを有した固定止具孔17を設けているので、この棒状断熱体20の厚さ寸法を、凹溝部12の深さ寸法と略同寸法またはこれよりもやや小さい寸法としてもよい。
この棒状断熱体20としては、上記同様のポリスチレンフォーム(発泡PS)や硬質ウレタンフォームなどの各種フォーム系(発泡系)材料や、またはロックウールやグラスウールなどの繊維系断熱材を角柱棒状に加工したものとしてもよい。
【0018】
また、本実施形態では、この棒状断熱体20は、図1及び図2(a)に示すように、板状基材10(表面材11)の各凹溝部12の側方に沿わせるように仮保持具としての連結回転テープ18及び仮固定テープ19によって仮保持されている(図3も参照)。これら連結回転テープ18及び仮固定テープ19は、粘着テープとされている。
連結回転テープ18は、図3(b)に示すように、棒状断熱体20の一外側面と凹溝部12の一内側面とを連結するようにしてこれらの長手方向の略全長に亘って、または長手方向に間隔を空けて貼着されている。この連結回転テープ18は、図3(c)に示すように、棒状断熱体20を仮保持するとともに、板状基材10に対して回動可能に連結するヒンジ手段として機能する。つまり、本実施形態では、棒状断熱体20は、この連結回転テープ18によって、嵌め込まれた状態における表面側一縁部及び凹溝部12の一溝縁部近傍を回動支点として回動自在とされている。
【0019】
仮固定テープ19は、図1(a)及び図2(a)に示すように、棒状断熱体20の長手方向の両端部に設けられている。この仮固定テープ19は、図3(a)に示すように、棒状断熱体20の長手方向の端部と板状基材10の長手方向の端面とを連結するようにしてこれらに貼着されており、仮止め手段として機能する。
また、本実施形態では、棒状断熱体20の凹溝部12に嵌め込まれた状態における表面に、凹溝部12に嵌め入れた棒状断熱体20を固定する固定テープ21を貼着している。
この固定テープ21は、粘着テープとされ、図3に示すように、幅方向一側部を棒状断熱体20の上記回動支点とは異なる側の表面側縁部から延出させるように貼着されており、この延出部位には、図3(b)に示すように、剥離紙22が添付されている。
【0020】
次に、本実施形態に係る断熱パネル1の取付構造の施工手順の一例について説明する。
まず、図1(b)及び図3(b)に示すように、断熱パネル1を取付対象としての天井下地2などの施工下地に沿わせるように配置する。次いで、棒状断熱体20の長手方向両端部に貼着された仮固定テープ19を取り外し、固定テープ21の剥離紙22を剥離する(図3(a)、(b)参照)。この状態では、棒状断熱体20は、凹溝部12の側方において、連結回転テープ18によって板状基材10に対して回動自在に仮保持された状態となる。また、図3(c)に示すように、板状基材10に設けられた固定止具孔17に固定止具3を挿通させるようにして固定止具3を天井下地2に捩じ込んだり、打ち込んだりして止着する。この状態では、固定止具3の頭部が固定止具孔17の止具頭部収容凹所17aに収容された状態となる。
【0021】
次いで、図3(c)に示すように、棒状断熱体20を上記回動支点廻りに回動させ、図3(d)、(e)に示すように、凹溝部12に嵌め込み、固定テープ21の上記延出部位を板状基材10(表面材11)の表面に貼着する。これにより、棒状断熱体20が凹溝部12に嵌め込まれるとともに板状基材10に対して固定される。なお、この棒状断熱体20の板状基材10に対する固定手段としては、上記各テープ18,21に加えて、接着剤やタッカー、ステイプル等を用いて固定するようにしてもよい。
【0022】
なお、板状基材10に設けられた固定止具孔17の全ての箇所に固定止具3を固定するようにしてもよく、当該断熱パネル1の大きさや天井下地2の止具保持強度等を考慮して、複数の固定止具孔17のうちのいくつかに固定止具3を固定するようにしてもよい。
また、当該断熱パネル1が固定される施工下地としての天井下地2としては、野縁等としてもよい。また、施工下地としては、天井下地2に限られず、胴縁や桟部材、間柱、通し柱、外壁材等の壁下地としてもよい。または、鉄筋コンクリート造等の建築物において、直壁や直天井仕上げ等とされている場合には、その仕上げ面を施工下地としてもよい。この場合は、適宜、コンクリート用のアンカーボルト(プラグ)等の固定止具を採用するようにしてもよい。
【0023】
さらには、既設の天井材や壁材等を施工下地として、後施工的に本実施形態に係る断熱パネル1を施工する態様としてもよい。
また、施工下地としては、天井下地2や壁下地に限られず、床下地や屋根下地等を施工下地としてもよい。さらには、当該断熱パネル1の取付対象としては、このような住居内の施工下地に限られず、保冷庫や保温庫等の他の構造物を取付対象としてもよい。
また、上記のように断熱パネル1を施工した後、当該断熱パネル1の室内側の面(表面材11及び棒状断熱体20の表面)に、適宜、天井仕上げ材や壁仕上げ材等を施工したり、合成樹脂化粧シートや化粧紙、クロス紙等を貼着したり、塗装したりして仕上げ処理を施すようにしてもよい。
【0024】
上記構成とされた本実施形態に係る断熱パネル1によれば、断熱性を損なうことなく取付対象2への取付強度を向上させることができる。
つまり、セル状真空断熱体15間に対応する板状基材10の表面部位に取付対象2に固定するための固定止具3の固定箇所とされる凹溝部12を設けているので、この凹溝部12に固定止具3を挿通したり、捩じ込んだり、打ち込んだりすることができる。従って、セル状真空断熱体15の包装材が固定止具3によって破損されるようなことを防止でき、断熱性が損なわれることを防止しながらも、取付対象2への取付強度を向上させることができる。
また、この凹溝部12に嵌め込まれる棒状断熱体20を備えているので、固定止具3を固定した後、棒状断熱体20を凹溝部12に嵌め込むことで、当該棒状断熱体20によって固定止具3を介した厚さ方向に沿う熱移動を遮断乃至は低減させることができる。従って、断熱性をより向上させることができる。
【0025】
また、本実施形態では、板状基材10の凹溝部12の側方に沿わせるように棒状断熱体20を仮保持する仮保持具18,19を備えているので、取り扱い性が良い。また、凹溝部12に固定止具3を固定した後に、棒状断熱体20の凹溝部12への嵌め込み忘れ等を防止することができる。
さらに、本実施形態では、仮保持具として上記のようにヒンジ手段として機能する連結回転テープ18を設けているので、棒状断熱体20を凹溝部12に嵌め込む際における作業性を向上させることができる。また、これに加えて仮止め手段としての仮固定テープ19を設けているので、連結回転テープ18によって回動自在とされた棒状断熱体20の回動を防止することができる。
【0026】
さらにまた、本実施形態では、板状基材10の凹溝部12に、当該凹溝部12の長手方向に沿って間隔を空けて複数の固定止具孔17を当該板状基材10の厚さ方向に貫通形成している。従って、これら固定止具孔17によって固定止具3の固定箇所をより明確にすることができるとともに、固定止具3を固定する際の作業性を向上させることができる。
また、本実施形態では、この固定止具孔17に止具頭部収容凹所17aを設けているので、固定止具3を固定した後に、固定止具3の頭部が凹溝部12の底面から突出するようなことを防止できる。従って、棒状断熱体20を凹溝部12内に安定的に嵌め込み収容させることができる。
【0027】
さらにまた、本実施形態では、板状基材10を、凹溝部12を設けた表面材11と、セル状真空断熱体15を包み込むように収容した硬質樹脂発泡体13とを積層した構造としているので、より断熱性を向上させることができる。また、断熱性の向上が可能でありながらも、その表面側の凹溝部12を設けた表面材11によって固定止具3の保持強度を向上させることができる。
【0028】
なお、本実施形態では、縦方向及び横方向に間隔を空けて縦横に複数のセル状真空断熱体15を収容した板状基材10(硬質樹脂発泡体13)を例示しているが、横方向(幅方向)にのみ間隔を空けて複数のセル状真空断熱体15を収容したものとしてもよい。
また、本実施形態では、板状基材10(硬質樹脂発泡体13)に、複数のセル状真空断熱体15間を連結シール部16によって連結した真空断熱ユニット14を収容させた例について説明したが、分割形成された複数の真空断熱体15を収容させる態様としてもよい。
さらに、本実施形態では、横方向に間隔を空けて3列の真空断熱体15を収容した板状基材10(硬質樹脂発泡体13)を例示しているが、横方向(幅方向)に間隔を空けて少なくとも2列の真空断熱体15を収容したものとしてもよい。または、長手方向に間隔を空けて真空断熱体15を収容したものとしてもよい。この場合は、幅方向に沿って長尺の凹溝部12を、これら真空断熱体15間に対応する表面部位に設けるようにすればよい。
【0029】
また、板状基材10(表面材11)の表面部位に形成する凹溝部12は、本実施形態のように、一方向(横方向または縦方向)に間隔を空けて収容される真空断熱体15間に対応する部位の全てに設けてもよく、これらのうちのいくつかにのみ設けるようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、板状基材10(表面材11)に設けられた凹溝部12に固定止具孔17を設けた例を示しているが、このような固定止具孔を設けないようにしてもよい。これによっても凹溝部12を利用して真空断熱体15の包装材を破損させることなく固定止具3を固定することができる。また、この場合には、固定止具3の頭部を受け入れ可能なように、凹溝部12の底部に更に凹溝を形成した二段形状とするようにしてもよい。または、棒状断熱体20の裏面と固定止具3の頭部とが干渉しないように、棒状断熱体20の厚さ寸法を凹溝部12の深さ寸法よりも小さくするようにしてもよい。
さらにまた、棒状断熱体20の上記回動支点の対角縁部に面取り部を設けるようにしてもよい。これによれば、上記のように棒状断熱体20を回動させて凹溝部12に嵌め込む際にスムーズに嵌め込むことができる。
【0030】
また、本実施形態では、凹溝部12を設けた表面材11と真空断熱体15を収容した硬質樹脂発泡体13とを積層した板状基材10を例示しているが、このような態様に限られない。例えば、更に裏面材を積層した板状基材としてもよい。または、このような面材を積層せずに、真空断熱体15を包み込むように収容した硬質樹脂発泡体13のみからなるものとしてもよい。この場合は、この硬質樹脂発泡体13に凹溝部12を設けるようにすればよい。さらには、平板状の表裏の面材間に角柱状の桟材を配し、これらによって区画された空間に、真空断熱体15を収容した構造とされたフラッシュパネル状の板状基材としてもよい。
【0031】
また、本実施形態では、棒状断熱体20を固定する固定テープ21を設けた例について説明したが、このような固定テープ21を設けずに、上記したような他の固定手段によって棒状断熱体20を凹溝部12に嵌め込み固定する態様としてもよい。
さらに、本実施形態では、凹溝部12の側方に沿わせるように棒状断熱体20を仮保持する仮保持具として、連結回転テープ18と仮固定テープ19とを設けた例について説明したが、これらのうちの一方のみを設けた態様としてもよい。または、このような仮保持具に限られず、他の仮保持具を採用するようにしてもよい。さらには、このような仮保持具を設けないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 断熱パネル
2 天井下地(取付対象)
3 固定止具
10 板状基材
11 表面材
12 凹溝部
13 硬質樹脂発泡体
15 セル状真空断熱体(真空断熱体)
17 固定止具孔
18 連結回転テープ(仮保持具)
19 仮固定テープ(仮保持具)
20 棒状断熱体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に間隔を空けて複数の真空断熱体を収容し、これら真空断熱体間に対応する表面部位に、取付対象に固定するための固定止具の固定箇所とされる凹溝部を他方向に沿って設けた板状基材と、
前記凹溝部に嵌め込まれる棒状断熱体と、
を備えていることを特徴とする断熱パネル。
【請求項2】
請求項1において、
前記板状基材の凹溝部の側方に沿わせるように前記棒状断熱体を仮保持する仮保持具を更に備えていることを特徴とする断熱パネル。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記凹溝部には、前記他方向に沿って間隔を空けて複数の固定止具孔が当該板状基材の厚さ方向に貫通形成されていることを特徴とする断熱パネル。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記板状基材は、前記凹溝部を設けた表面材と、前記真空断熱体を包み込むように収容した硬質樹脂発泡体とを積層した構造とされていることを特徴とする断熱パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−112113(P2012−112113A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259989(P2010−259989)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、環境省、地球温暖化対策技術開発事業「既存住宅における断熱性向上のための薄型断熱内装建材に関する技術開発」委託契約業務、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】