説明

断熱性紙容器の製造方法

【課題】 外層低密度ポリエチレン膜は紙容器の外表面において水蒸気が発生する気化発泡により適当な厚度と断熱効果を備える発泡層を形成する断熱性紙容器の製造方法を提供する。
【解決手段】 主に断熱性紙容器の製造方法は(I)基材紙外部において低密度ポリエチレン膜を塗布形成し、(II)基材紙内部において高密度ポリエチレン膜を塗布形成し、(III)基材紙外部の低密度ポリエチレン膜表面において印刷インクを使用し図柄を印刷し、(IV)上記加工プロセスを経た基材紙をプレスし紙容器を形成し、(V)該紙容器を135℃〜150℃の熱風で加熱し水蒸気を発生させ、該水蒸気は該基材内面の高密度ポリエチレン膜の阻害隔絶を受け外部へと排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の断熱性紙容器の製造方法に関する。特に一種の気化式発泡と基材紙内、外部に塗布するポリエチレン膜の高、低密度の差を利用し、発泡剤或いは一切の助剤を添加する必要なく紙容器外縁の発泡性断熱層を形成可能で、簡単便利で安定し、製造コストを節減可能な断熱性紙容器の製造方法に係る。
【背景技術】
【0002】
紙容器の使用は環境保護に配慮した生活を送る上で重要である。紙容器は回收可能で、焼却によって汚染が発生しない等の特性を備え、軽量で、各種形状に製造でき、価格が低廉であるため、広く使用されている。
通常紙容器は断熱効果を備えないため、持つ時の便を考慮し外部に別に取っ手等の断熱装置を設置するが、完全に使用習慣に合致しているとは言えないため、紙容器そのものが断熱機能を保持するのが最良の状況である。
現在既に数種の断熱性紙容器材料が開発されている。その主な構造は、容器の外周に断熱層を接着或いは嵌める型式であるため、加工プロセス、材料コストが増加し実用的ではなく、コストパフォーマンスが低いため、普及は進んでいない。
【0003】
別の構造では主に特定のプラスチック膜或いは接着剤を利用し、容器の「単一外層」を包覆、塗布後、さらに二次加熱を行うものである。この操作により、プラスチック膜或いは接着剤は容器表面に容器内温度の外への拡散を阻害する効果を備える発泡性断熱層を形成する。
こうした断熱層の製造方式は、上記方式に比べ結合強度はより優れ、しかも製造は簡単便利で経済的である。しかし、こうして形成する断熱層の発泡過程は、化学助剤或いは発泡剤をプラスチック膜或いは接着剤内に添加し、熱に接触することにより、単純に容器表面において膨脹、発泡するものである。
このような製造では、元々は食品レベル或いは無毒に近かったプラスチック膜或いは接着剤材料が、主に助剤或いは発泡剤の添加によって、その影響を受け、容器としての使用に不利となり、さらには容器内の高温が局部で外に散じる時、有毒物質を発生し、気体が発散するなどの安全上の懸念が生まれる。このため表面発泡は既に成熟技術に属するにもかかわらず、容器の表面処理として広く採用されるには至っていない。
【0004】
上記伝統的断熱層或いは発泡性断熱層の製造問題について、代表的な製造工程に関する発明として、日本特許303350、231887、202478号である中華民国第87113343号「断熱性紙製容器の筒構造原材料及び断熱性紙製容器及びその製法」特許案を引用する。
該構造の原料採用とその製造過程の説明により、その発明の目的が同様に容器の「外壁面」層に溶融点が低い熱可塑性合成樹脂膜を結合し、表面には同期発泡の同期インクを塗布するものである(該案請求項1参照)ことが分かる。これはその技術の重点と容器を加熱する主要な目的が、該塗布された「合成樹脂膜が熱を受け」膨脹、発泡を開始する化学性製造工程において、同様に発泡剤或いは助剤を採用することによる環境保護、食用安全に関する問題であることを示している。これこそが本発明が解決しようとする課題である。
【特許文献1】日本特許303350号
【特許文献2】日本特許231887号
【特許文献3】日本特許202478号
【特許文献4】中華民国第87113343号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記構造の問題点を解決した断熱性紙容器の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は下記の断熱性紙容器の製造方法を提供する。
本発明の主要な目的は断熱性紙容器の製造方法を提供し、それは基材紙外部に塗布する低密度ポリエチレン膜と内部に塗布する高密度ポリエチレン膜が容器二層において形成する包覆と両者密度の対比落差を利用し、紙容器が熱を受ける時に起こる内包する残余水分の気化、蒸発のみを利用し、内面に塗布する高密度ポリエチレン膜が阻害隔絶作用を経て外へと拡散し、外周の低密度ポリエチレン膜に進入し、気化発泡し、適当な厚度と断熱効果を備える発泡層を形成し、
このような物理性材料の膨脹製造工程は、化学発泡剤或いは助剤の添加を不要とし、簡単で利便性が高く経済的で、しかも容器完成品は食用安全性に符合する等の多種の実用的な効果を備え、
本発明の次なる目的は断熱性紙容器の製造方法を提供し、それは紙容器が熱を受けた後その内包する残余水分が気化、蒸発し、外へと拡散し、外周の低密度ポリエチレン膜内に断熱効果を備える発泡層を形成後、乾燥状の容器本体の内層は未発泡で、外層は発泡したポリエチレン膜を形成し、包覆と乾燥度保持の防カビ効果を備え、完成品容器は長期間の保管が可能で、湿気による変質或いはカビ発生の恐れがなく、より優れた衛生効果を備えることを特徴とする断熱性紙容器の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
上記のように、本発明は化学発泡剤或いは助剤の添加を不要とし、簡単で利便性が高く経済的で、しかも容器完成品は食用安全性に符合する等の多種の実用的な効果を備える。また本発明により製造される完成品容器は長期間の保管が可能で、湿気による変質或いはカビ発生の恐れがなく、より優れた衛生効果を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に示すように、本発明断熱性紙容器1が使用する材料は低密度ポリエチレン11、高密度ポリエチレン12、基材紙13、印刷インク14等により組成する。
(A) 該低密度ポリエチレン11膜は食用レベル材料で溶融指数は7.8、密度は0.91g/cm〜0.92g/cm、溶融点は103℃である。
(B) 該高密度ポリエチレン粒12は食用レベル材料で溶融指数は8、密度は0.962g/cm以上で、溶融点は135℃である。
(C) 該基材紙13は食用レベルで基重は190g/m〜
310g/m、含水率は4%〜8%である。
(D) 該印刷インク14は水性或いは油性共に使用可能である。
【0009】
本発明の製造工程は図2、図3、図4及び図6に示すように、以下を含む。
(I)基材紙13外部に低密度ポリエチレン11膜を塗布形成し、塗布厚さは0.012mm〜0.028mmである。
(II)基材紙13内部に高密度ポリエチレン12膜を塗布形成し、塗布厚さは0.012mm〜0.028mmである。
(III)基材紙13外部の低密度ポリエチレン11膜表面に印刷インク14を使用し図柄を印刷する。
(IV)上記加工プロセスを経た基材紙13をプレスし紙容器2を形成し、その上部21及び底板22を組合せ成型する。
(V)該断熱性紙容器2組成体を熱風循環オーブンに入れ、135℃〜150℃の熱風で加熱し水蒸気Sを発生させる。該基材紙13内面の高密度ポリエチレン12膜は通過できない阻害隔絶作用により外へと排出され、該低密度ポリエチレン11膜は紙容器2の外表面において断熱効果を備える発泡層11Aを形成する(図4及び図5と図7及び図8を比較参照)。
【0010】
上記の本発明製造工程の特徴とその長所は以下の通りである。
(a)低密度ポリエチレン11膜は気化後の高度発泡効果により、その塗布厚度はわずか0.012mm〜0.028mmで予期の断熱効果を達成することができ、材料節減と製造コスト低下に有効である。
(b)すべての原料に食用レベル材料を採用し、気化発泡過程には化学性発泡剤或いは助剤等を添加しないため、安全性が高く、有毒性が無いという特性を備える。
(c)基材紙13外部に低密度ポリエチレン11膜を塗布するため、使用する印刷インクは水性或いは油性共に使用可能である。
(d)高密度ポリエチレン12の溶融指数(MFR)は8g/10分で、低密度ポリエチレン11の溶融指数(MFR)は7.8g/10分である。
(e)低密度ポリエチレン11膜の低密度特性を利用し、発泡時間を30秒〜2分間に短縮することで、製造効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明断熱性紙容器の材料構造組成指示図である。
【図2】本発明応用製品の構成部品分解指示図である。
【図3】本発明応用製品の組合せ指示図である。
【図4】図3発泡前の構造組成断面図である。
【図5】図3発泡後の構造組成断面図である。
【図6】本発明の製造工程フローチャートである。
【図7】本発明気化発泡前の断面拡大説明図である。
【図8】本発明気化発泡作用の断面拡大説明図である。
【符号の説明】
【0012】
1 材料
11 低密度ポリエチレン
11A 発泡層
12 高密度ポリエチレン
13 基材紙
14 印刷インク
2 紙容器
21 上部
22 底板
S 水蒸気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主に断熱性紙容器の製造方法は以下を含み、
(I)基材紙外部において低密度ポリエチレン膜を塗布形成し、
(II)基材紙内部において高密度ポリエチレン膜を塗布形成し、
(III)基材紙外部の低密度ポリエチレン膜表面において印刷インクを使用し図柄を印刷し、
(IV)上記加工プロセスを経た基材紙をプレスし紙容器を形成し、
(V)該紙容器を135℃〜150℃の熱風で加熱し水蒸気を発生させ、該水蒸気は該基材内面の高密度ポリエチレン膜の阻害隔絶を受け外部へと排出され、これにより該外層低密度ポリエチレン膜は紙容器の外表面において水蒸気が発生する気化発泡により適当な厚度と断熱効果を備える発泡層を形成することを特徴とする断熱性紙容器の製造方法。
【請求項2】
前記基材紙外部に塗布する低密度ポリエチレン膜の塗布厚さは0.012mm〜0.028mmであることを特徴とする請求項1記載の断熱性紙容器の製造方法。
【請求項3】
前記基材紙内部に塗布する高密度ポリエチレン膜の塗布厚さは0.012mm〜0.028mmであることを特徴とする請求項1記載の断熱性紙容器の製造方法。
【請求項4】
前記高密度ポリエチレンの融熔指数(MFR)は8g/10分で、該低密度ポリエチレンの融熔指数(MFR)は7.8g/10分であることを特徴とする請求項1記載の断熱性紙容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−66856(P2009−66856A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236713(P2007−236713)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(507306193)久誼股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】