説明

断熱被覆を製造するための組成物

本発明は、少なくとも1種の放射線吸収化合物及び少なくとも1種のIR‐反射体‐成分を包含する断熱被覆の製造のための組成物、この配向され硬化した組成物を包含する断熱被覆、及びその製法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の放射線吸収化合物及び少なくとも1種のIR‐反射体‐成分を包含する断熱被覆を製造するための組成物、この配向され硬化した組成物を包含する断熱被覆、及びその製法に関する。
【0002】
熱輻射の遮蔽問題は、殊に、住居‐、事務所‐又は工場建築物の絶縁で、殊に、大規模な窓面積を有する建築物において、しかし又、輸送手段、例えば、自動車及び公共の交通手段において生じている。
【0003】
断熱、殊に、波長範囲800nm〜2000nmの熱輻射を遮蔽するために、広汎に熱輻射を反射する物質を使用することは知られている。これらの種類の物質は、例えば、コレステリックIR‐反射層である。
【0004】
形態異方性物質の加熱の際に、液晶相、いわゆる中間相が生じ得る。個々の相は、一方で、分子‐重心の空間配列によって、他方で、縦軸に関する分子配列によって異なる(G.W. Gray, P.A. Winsor, Liquid Crystals and Plastic Crystals, Ellis Horwood Limited, Chichester, 1974)。
【0005】
ネマチック液晶相は、分子‐縦軸の平行配向を特徴とする(一次元的配列状態)。ネマチック相を形成する分子はキラルであるという前提下に、いわゆるキラルのネマチック(コレステリック)相が生じ、その際、分子の縦軸はそれに垂直のらせん状超格子を形成する(H. Baessler, Festkoerperprobleme XI, 1971)。分子縦軸の均等整列を有する仮定的な2層の間の距離をピッチと称する。
【0006】
キラル分子部分は、液晶分子自体で存在することもでき、ネマチック相に添加物として加えることもでき、それによってキラルネマチック相が生じられる。この現象は、最初に、コレステロール誘導体で試された(例えば、H. Baessler, M.M. Labes, J. Chem. Phys. 52, 631(1970))。キラル添加物の濃度の変化によって、キラルのネマチック相のピッチ及びそれに伴い選択的に反射される放射線の波長範囲が変えられる。
【0007】
キラルネマチック相は、特別な光学的特性を有する:高い旋光性及び円偏光の選択反射によってキラルネマチック相内部に生じる卓越した円偏光二色性。そのようなキラルネマチック系は、実用への重要な可能性を示す。
【0008】
透明な断熱被覆は公知である。即ち、EP‐A727306は、2枚のガラス板とその間にある、超微細粒子が一緒に分散されている層から成る合せガラスを記載している。中間層は断熱及びUV‐吸収のために用いられる。
【0009】
JP‐A‐281403/92は、1枚の透明なプレート及びIR‐線を幅広い波長範囲に渡り反射する1枚の被覆から、及び近似IRの波長を選択的に反射しかつ可視光の高透過性を有するコレステリック液晶製の1枚の波長‐フィルターから成るラミネートを記載している。IR吸収成分の使用は記載されていない。
【0010】
DE‐A‐19817069は、IR‐線を反射するコレステリック液晶ポリマー及び吸光性色料から成る、IR‐線反射性色料を記載している。色料とは、その最高吸収が350〜750nmの範囲にある化合物が解される。IR‐線を吸収する成分の使用は記載されていない。
【0011】
WO‐A‐99/19267は、1層以上のコレステリックIR‐反射層を包含する断熱被覆を記載している。被覆は透明かつ無色である。当然、有効な断熱を、数層のコレステリック層だけで得ている。
【0012】
本発明の課題は、できるだけ薄い、有効な、調色された断熱被覆を製造することであった。
【0013】
この課題は、
i)少なくとも1種の、一般式I:
【0014】
【化1】

[式中、
Pは、塩基及び求核基に対して安定で、場合によりアリール置換基を有し、‐CO‐NH‐CO‐、‐COOH及び‐CO‐O‐CO‐基から成る基を含有しない、共役多環状基を表わし、
Rは、C〜C‐アルキル基(その炭素鎖は、‐O‐、‐S‐、‐NR‐、‐CO‐及び‐SO‐から選択される1個以上の基によって遮断されていてよく、この際、炭素鎖は、場合により、1個以上のC〜C‐アルコキシ又は1個の窒素原子を介して結合した場合により他のヘテロ原子を含有し及び/又は芳香族である5‐〜7‐員の複素環基から選択される同じ又は異なる基で置換されている)、又はC〜C‐シクロアルキル基(その炭素骨格は、‐O‐、‐S‐、‐NR‐、‐CO‐及び‐SO‐から選択される1個以上の基によって遮断されていてよく、この際、炭素骨格は、場合により、1個以上のC〜C‐アルキルによって置換されている)を表わし、
は、水素又はC〜C‐アルキルを表わし、
Halは、塩素及び/又は臭素を表わし、
mは、0〜15の数を表わし、かつ
nは、1〜16の数を表わし、この際、合計m+n≦16である]の放射線吸収性の三級‐アルキルフェノキシ置換の多環状化合物A
及び
ii)少なくとも1種の硬化可能なIR‐反射体‐成分B(これは、
a)少なくとも1種のアキラルでネマチックの重合可能なモノマー及び少なくとも1種のキラルの重合可能なモノマー、
b)少なくとも1種のコレステリックの重合可能なモノマー、
c)少なくとも1種のコレステリックの架橋結合可能なポリマー、又は
d)重合可能な希釈剤中の少なくとも1種のコレステリックポリマー
を含有する)
を包含する、断熱被覆を製造するための組成物によって解明された。
【0015】
成分BのIR‐反射体‐特性は、成分Bの配向及び硬化により、モノマーa)又はb)の重合によって得られる配向されたコレステリックポリマーの少なくとも1部、又は配向されたポリマーc)又はd)の少なくとも1部が、IR‐スペクトル範囲の波長に相応するらせん状超格子のピッチを有することに起因すると考えられる。
【0016】
本発明の範囲における硬化とは、モノマーの重合も、ポリマーの架橋結合も解される。
【0017】
放射吸収化合物Aとは、赤外線(IR‐線)のスペクトル範囲で、即ち、波長>750nm〜約1mm、有利に751nm〜約2000nmで、及び/又は可視スペクトル範囲で、即ち、波長350〜750nm、有利に550〜750nmのスペクトル範囲で、及び/又は紫外線(UV‐線)のスペクトル範囲で、即ち、波長10nm〜<350nm、有利に100nm〜349nmのスペクトル範囲で吸収する化合物が解される。化合物Aは、有利に、赤外線、殊に751〜2000nmのスペクトル範囲で、及び/又は可視スペクトル範囲、殊に550〜750nmの範囲で吸収する。化合物Aは、特に有利に、赤外線、殊に751〜2000nmのスペクトル範囲で、及び可視スペクトル範囲、殊に550〜750nmのスペクトル範囲で吸収する。
【0018】
化合物Aは、純物質として、又は位置異性体の混合物として、又は物質混合物として使用され得る。
【0019】
式Iの化合物Aは、例えば、PCT‐出願PCT/EP02/03279に記載されていて、反応条件において塩基及び求核基に対して安定した共役多環状基Pをベースとしている。基Pは、殊に、‐CO‐NH‐CO‐、‐COOH及び‐CO‐O‐CO‐基から成る基を含有しない。
【0020】
基Pは、塩基性では攻撃され得ないアリール置換基、例えば、非置換の、アルキル‐及び/又はアルコキシ置換のアリール、殊に、フェニル、又はヘタリール、例えば、2‐、3‐及び4‐ピリジル及びピリミジルを有することができる。このアリール置換基は、環骨格に直接結合しているか、又は更に後記の多環状イミドの場合には、イミド窒素原子に結合していてもよい。
【0021】
そのようなアリール置換基Pでは、三級‐アルキルフェノキシ基は、アリール置換基を介して基Pに結合していてよく、要するに、例えば、ジフェニルジケトピロロピロール又はN,N’‐ジフェニルペリレン‐3,4;9,10‐テトラカルボン酸ジイミドでは、フェニル基の4‐又は3,5‐位を介して結合していてよい。
【0022】
Pは、有利に、ナフタリン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、ペリレン、テリレン、クァテリレン、パンタリレン及びヘキサリレン、アントラキノン、インダンスロン、N‐置換のナフタリン‐1,8‐ジカルボン酸‐モノイミド(次から、”ナフタルモノイミド”と略称する”)、N,N’‐二置換のナフタリン‐1,8:4,5‐テトラカルボン酸ジイミド(略称”ナフタルイミド”)、N‐置換のペリレン‐3,4‐ジカルボン酸モノイミド(略称”ペリルモノイミド”)、N,N’‐二置換のペリレン‐3,4:9,10‐テトラカルボン酸ジイミド(略称”ペリルイミド”)、N,N’‐二置換のテリレン‐3,4:11,12‐テトラカルボン酸ジイミド(略称”テリルイミド”)、N,N’‐二置換のクァテリレン‐3,4:13,14‐テトラカルボン酸ジイミド(略称”クァテリルイミド”)、アクリジン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジナフトフラン、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、フェナジン、ジオキサジン、キナクリドン、金属フタロシアニン、金属ナフタロシアニン、金属ポルフィリン、クマリン、ジベンゾフラノン、ジナフトフラノン、ベンズイミダゾロン、インジゴ化合物、チオインジゴ化合物、キノフタロン、ナフトキノフタロン及びジケトピロロピロールの群から成る塩基安定基を表わす。
【0023】
この際、ナフタリン、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、インダンスロン、金属フタロシアニン、金属ナフタロシアニン、ナフタルモノイミド、ペリルモノイミド、ペリルイミド、テリルイミド及びクァテリルイミドの群から成る基Pが特に有利であり、この際、金属フタロシアニン、金属ナフタロシアニン、金属ポルフィリン、テリルイミド及びクァテリルイミドが極めて特に有利である。この中で、クァテリルイミドが殊に有利である。
【0024】
化合物Iを特徴付ける三級‐アルキルフェノキシ基及び場合により付加的に存在するハロゲン原子は、直接又は前記のように、場合により存在するアリール置換基を介して、基Pの環骨格に結合していてよい。勿論、2つの結合形態が化合物I中にあってもよい。より大きな基P、例えば、ペリルモノイミド、ペリルイミド、テリルイミド及びクァテリルイミドは、三級‐アルキルフェノキシ基を、有利に直接環骨格に有するか、又は少なくとも直結した三級‐アルキルフェノキシ基をアリーレン結合の三級‐アルキルフェノキシ基に付加的に有する。
【0025】
共役環骨格の大きさに応じて、化合物Iは、少なくとも1個〜16個までの(n:1〜16)、殊に、2〜8個の三級‐アルキルフェノキシ基を含有する。
【0026】
特に有利な基Pについて、一般的に好適で有利な範囲の合計m+nを例として挙げる:ナフタリン:1〜4、殊に1〜2;キナクリドン:1〜8、殊に2〜4;ジケトピロロピロール:1〜6、殊に2〜4;ジオキサジン:1〜8、殊に2〜4;インダンスロン:1〜6、殊に2〜4;金属フタロシアニン:1〜16、殊に4〜8;金属ナフタロシアニン:1〜16、殊に8〜16;ナフタルモノイミド:1〜4、殊に1〜2;ペリルモノイミド:1〜6、殊に1〜3;ペリルイミド:1〜8、殊に2〜6;テリルイミド:1〜12、殊に2〜8;クァテリルイミド:1〜14、殊に2〜8。
【0027】
基Pが、三級‐アルキルフェノキシ基の結合には用いられない付加的なアリール置換基を有する場合には、当然、可能な最大合計m+nは相応に低下する。
【0028】
三級‐アルキルフェノキシ基及び場合により存在するHal‐置換基は、基Pを介して、有利に統計学的に分配されている。
【0029】
次に、式I中に現れる基R及びR及びその置換基の好適な例を挙げる。
〜C‐アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、二級‐ブチル、三級‐ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、三級‐ペンチル、ヘキシル及び2‐メチルペンチルを表わす。C〜C‐アルキルは、これらの基の他に、更に例えば、ヘプチル、1‐エチルペンチル、オクチル、2‐エチルヘキシル及びイソオクチルを表わす。
その炭素鎖が1個以上の基‐O‐によって遮断されていてよいC〜C‐アルキルは、例えば、2‐メトキシエチル、2‐エトキシエチル、2‐プロポキシエチル、2‐イソプロポキシエチル、2‐ブトキシエチル、2‐及び3‐メトキシプロピル、2‐及び3‐エトキシプロピル、2‐及び3‐プロポキシプロピル、2‐及び3‐ブトキシプロピル、2‐及び4‐メトキシブチル、2‐及び4‐エトキシブチル、2‐及び4‐プロポキシブチル、3,6‐ジオキサヘプチル、3,6‐ジオキサオクチル、4,8‐ジオキサノニル、3,7‐ジオキサオクチル、3,7‐ジオキサノニル、4,7‐ジオキサオクチル、4,7‐ジオキサノニル、2‐及び4‐ブトキシブチル、4,8‐ジオキサデシル、3,6,9‐トリオキサデシル及び3,6,9‐トリオキサウンデシルを表わす。
【0030】
その炭素鎖が1個以上の基‐S‐によって遮断されていてよいC〜C‐アルキルは、例えば、2‐メトキシチオエチル、2‐エチルチオエチル、2‐プロピルチオエチル、2‐イソプロピルチオエチル、2‐ブチルチオエチル、2‐及び3‐メチルチオプロピル、2‐及び3‐エチルチオプロピル、2‐及び3‐プロピルチオプロピル、2‐及び3‐ブチルチオプロピル、2‐及び4‐メチルチオブチル、2‐及び4‐エチルチオブチル、2‐及び4‐プロピルチオブチル、3,6‐ジチアヘプチル、3,6‐ジチアオクチル、4,8‐ジチアノニル、3,7‐ジチアオクチル、3,7‐ジチアノニル、4,7‐ジチアオクチル、4,7‐ジチアノニル、2‐及び4‐ブチルチオブチル、4,8‐ジチアデシル、3,6,9‐トリチアデシル及び3,6,9‐トリチアウンデシルを表わす。
【0031】
その炭素鎖が1個以上の基‐NR‐によって遮断されていてよいC〜C‐アルキルは、例えば、2‐モノメチル‐及び2‐モノエチルアミノエチル、2‐ジメチルアミノエチル、2‐及び3‐ジメチルアミノプロピル、3‐モノイソプロピルアミノプロピル、2‐及び4‐モノプロピルアミノブチル、2‐及び4‐モノメチルアミノブチル、6‐メチル‐3,6−ジアザヘプチル、3,6‐ジメチル‐3,6‐ジアザヘプチル、3,6‐ジアザオクチル、3,6‐ジメチル‐3,6‐ジアザオクチル、9‐メチル‐3,6,9‐トリアザデシル、3,6,9‐トリメチル‐3,6,9‐トリアザデシル、3,6,9‐トリアザウンデシル及び3,6,9‐トリメチル‐3,6,9‐トリアザウンデシルを表わす。
【0032】
その炭素鎖が1個以上の基‐CO‐によって遮断されていてよいC〜C‐アルキルは、例えば、プロパン‐2−オン‐1−イル、ブタンー3‐オン‐1‐イル、ブタン‐3‐オン‐2‐イル及び2‐エチル‐ペンタン‐3‐オン‐1‐イルを表わす。
【0033】
その炭素鎖が1個以上の基‐SO‐によって遮断されていてよいC〜C‐アルキルは、例えば、2‐メチルスルホニルエチル、2‐エチルスルホニルエチル、2‐プロピルスルホニルエチル、2‐イソプロピルスルホニルエチル、2‐ブチルスルホニルエチル、2‐及び3‐メチルスルホニルプロピル、2‐及び3‐エチルスルホニルプロピル、2‐及び3‐プロピルスルホニルプロピル、2‐及び3‐ブチルスルホニルプロピル、2‐及び4‐メチルスルホニルブチル、2‐及び4‐エチルスルホニルブチル、2‐及び4‐プロピルスルホニルブチル及び4‐ブチルスルホニルブチルを表わす。
【0034】
〜C‐アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、二級‐ブトキシ、三級‐ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、三級‐ペントキシ及びヘキソキシを表わす。
【0035】
場合により他のヘテロ原子を含有する及び/又は芳香族系であってよい、窒素原子を介して結合された5‐〜7‐員の複素環基は、例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、ピロリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、ピペリジン、ピペラジン、オキサゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、イソトリアゾール、インドール、キノリン、イソキノリン又はキナルジンを表わす。
【0036】
その炭素骨格が、‐O‐、‐S‐、‐NR‐、‐CO‐及び‐SO‐から選択される1個以上の基によって遮断されていてよい(この際、炭素骨格は、1個以上のC〜C‐アルキルによって置換されていてよい)C〜C‐シクロアルキルは、例えば、シクロペンチル、2‐及び3‐メチルシクロペンチル、2‐及び3‐エチルシクロペンチル、シクロヘキシル、2‐、3‐及び4‐メチルシクロヘキシル、2‐、3‐及び4‐エチルシクロヘキシル、3‐及び4‐プロピルシクロヘキシル、3‐及び4‐イソプロピルシクロヘキシル、3‐及び4‐ブチルシクロヘキシル、3‐及び4‐s‐ブチルシクロヘキシル、3‐及び4‐t‐ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、2‐、3‐及び4‐メチルシクロヘプチル、2‐、3‐及び4‐エチルシクロヘプチル、3‐及び4‐プロピルシクロヘプチル、3‐及び4‐イソプロピルシクロヘプチル、3‐及び4‐ブチルシクロヘプチル、3‐及び4‐s‐ブチルシクロヘプチル、3‐及び4‐t‐ブチルシクロヘプチル、シクロオクチル、2‐、3‐、4‐及び5‐メチルシクロオクチル、2‐、3‐、4‐及び5‐エチルシクロオクチル、3‐、4‐及び5‐プロピルシクロオクチル、2‐ジオキサニル、4‐モルホリニル、2‐及び3‐テトラヒドロフリル、1‐、2‐及び3‐ピロリジニル及び1‐、2‐、3‐及び4‐ピペリジルを表わす。
【0037】
有利な三級‐アルキルフェノキシ基の例として、p‐(1,1‐ジメチルプロピル)フェノキシ、p‐(1,1‐ジメチルブチル)フェノキシ、p‐(1,1‐ジメチルペンチル)フェノキシ、p‐(1,1,3,3‐テトラメチルブチル)フェノキシ、p‐(2‐シクロペンチル‐1,1‐ジメチルエチル)フェノキシ、p‐(2‐シクロヘキシル‐1,1‐ジメチルエチル)フェノキシ、p‐(2‐シクロヘプチルー1,1‐ジメチルエチル)フェノキシ及びp‐(1,1‐ジメチル‐2‐(4‐モルホリニル)エチル)フェノキシが挙げられる。p‐(1,1,3,3‐テトラメチルブチル)フェノキシが特に有利である。
【0038】
特に有利なナフタルモノイミド、ペリルモノイミド、ペリルイミド、テリルイミド及びクァテリルイミドは、イミド窒素原子に、殊に、次の塩基安定置換基Rを有する:
その炭素鎖が、‐O‐、‐S‐、‐NR‐、‐CO‐及び‐SO‐から選択される1個以上の基によって遮断されていてよい(この際、炭素鎖は、場合によりC〜C‐アルコキシ及び場合により他のヘテロ原子を含有する、及び/又は芳香性である1個の窒素原子を介して結合された5‐〜7‐員の複素環基から選択される同じ又は異なる基で1個以上置換されていてよい)C〜C30‐アルキル;
その炭素骨格が、‐O‐、‐S‐、‐NR‐、‐CO‐及び‐SO‐から選択される1種以上の基によって遮断されていてよい(この際、炭素骨格は、場合により、1個以上のC〜C‐アルコキシによって置換されていてよい)C〜C‐シクロアルキル;
各々1個以上のC〜C18‐アルキル、C〜C‐アルコキシ、シアノ、‐CONH‐R及び/又は‐NH‐CORによって置換されていてよい、アリール又はヘタリール、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル又はキナルジニル。
【0039】
これらの置換基について詳細には、前記の基に補足して、例えば、次の基が挙げられる:
〜C30‐アルキルは、前記のアルキル基のほかに、更に、例えば、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル及びエイコシル(表示イソノニル、イソデシル及びイソトリデシル及び更に前記の表示イソオクチルは通称表示であり、オキソ合成によって得られるアルコールから由来する)を表わす;
基‐O‐又は‐S‐によって遮断されたC〜C30‐アルキルは、例えば、3,6,9‐トリオキサドデシル、3,6,9,12‐テトラオキサトリデシル及び3,6,9,12‐テトラオキサテトラデシル;3,6,9‐トリチアドデシル、3,6,9,12‐テトラチアトリデシル及び3,6,9,12‐テトラチアテトラデシルを表わす;
置換基‐CO‐NHR‐及び‐NH‐COR‐は、例えば、カルバモイル、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ブチルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル、ヘキシルアミノカルボニル、ヘプチルアミノカルボニル、オクチルアミノカルボニル、ノニルアミノカルボニル及びデシルアミノカルボニル;ホルミルアミノ、アセチルアミノ及びプロピオニルアミノを表わす;
各々1個以上のC〜C18‐アルキル、C〜C‐アルコキシ、シアノ、‐CONH‐R及び/又は‐NH‐CORによって置換されていてよいアリール又はヘタリールは、例えば、2‐、3‐及び4‐メチルフェニル、2,4‐、2,5‐、3,5‐及び2,6‐ジメチルフェニル、2,4,6‐トリメチルフェニル、2‐、3‐及び4‐エチルフェニル、2,4‐、2,5‐、3,5‐及び2,6‐ジエチルフェニル、2,4,6‐トリエチルフェニル、2‐、3‐及び4‐プロピルフェニル、2,4‐、2,5‐、3,5‐及び2,6‐ジプロピルフェニル、2,4,6‐トリプロピルフェニル、2‐、3‐及び4‐イソプロピルフェニル、2,4‐、2,5‐、3,5‐及び2,6‐ジイソプロピルフェニル、2,4,6‐トリイソプロピルフェニル、2‐、3‐及び4‐ブチルフェニル、2,4‐、2,5‐、3,5‐及び2,6‐ジブチルフェニル、2,4,6‐トリブチルフェニル、2‐、3‐及び4‐イソブチルフェニル、2,4‐、2,5‐、3,5‐及び2,6‐ジイソブチルフェニル、2,4,6‐トリイソブチルフェニル、2‐、3‐及び4‐s‐ブチルフェニル、2,4‐、2,5‐、3,5‐及び2,6‐ジ‐s‐ブチルフェニル、2,4,6‐トリ‐s‐ブチルフェニル、2‐、3‐及び4‐t‐ブチルフェニル、2,4‐、2,5‐、3,5‐及び2,6‐ジ‐t‐ブチルフェニル及び2,4,6‐トリ‐t‐ブチルフェニル;2‐、3‐及び4‐メトキシフェニル、2,4‐、2,5‐、3,5‐及び2,6‐ジメトキシフェニル、2,4,6‐トリメトキシフェニル、2‐、3‐及び4‐エトキシフェニル、2,4‐、2,5‐、3,5‐及び2,6‐ジエトキシフェニル、2,4,6‐トリエトキシフェニル、2‐、3‐及び4‐プロポキシフェニル、2,4‐、2,5‐、3,5‐及び2,6‐ジプロポキシフェニル、2‐、3‐及び4‐イソプロポキシフェニル、2,4‐、2,5‐、3,5‐及び2,6‐ジイソプロポキシフェニル及び2‐、3‐及び4‐ブトキシフェニル;2‐、3‐及び4‐シアノフェニル;3‐及び4‐カルボキシアミドフェニル、3‐及び4‐N‐(メチル)カルボキシアミドフェニル及び3‐及び4‐N‐(エチル)カルボキシアミドフェニル;3‐及び4‐アセチルアミノフェニル、3‐及び4‐プロピオニルアミノフェニル及び3‐及び4‐ブチリルアミノフェニルを表わす。
【0040】
特に有利な化合物Aは、式中のPが、式II:
【0041】
【化2】

[式中、Rは、前記の塩基安定イミド窒素原子‐置換基に相応する]のN,N’‐二置換のクァテリレン‐3,4:13,14‐テトラカルボン酸ジイミドを表わす化合物である。
【0042】
式中のPがクァテリルイミドIIを表わす、特に有利な式Iの化合物Aにおいて、
Rは、有利に、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、三級‐ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、又はモルホリニル、特に有利に、H、メチル、エチル、ブチル又は三級‐ブチル及び殊に三級‐ブチルを表わし、
は、有利に、置換されたフェニル、特に有利に、1〜3個のC〜C‐アルキルによって置換されたフェニル及び殊に2,6‐ジイソプロピルフェニルを表わし、
nは、有利に2〜10、特に有利に4〜8及び殊に6を表わし、かつ
mは、0〜4、特に有利に0〜2及び殊に0を表わす。
【0043】
n個の三級‐アルキルフェノキシ置換基及びm個の置換基Halは、クァテリレン系を介して有利に統計的に分配されている。2個のイミド‐窒素原子間の仮定軸の両側に、各々同様に4個の置換基が存在することが特に有利である。
【0044】
式Iの化合物は、一般式III:
【0045】
【化3】

のハロゲニドを、塩基の存在下に、不活性の窒素塩基性溶剤中で、一般式IV:
【0046】
【化4】

の三級‐アルキルフェノールと反応させる方法によって得ることができる。
【0047】
不活性の窒素塩基性溶剤として、ここでは殊に、極性溶剤、特に、窒素複素環、例えば、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、キナルジン及び有利にN‐メチルピロリドン、及びカルボン酸アミド、例えば、N,N‐ジメチルホルムアミド及びN,N‐ジメチルアセトアミドが好適である。
【0048】
溶剤量は、ハロゲニドIIIの溶解性に依存して、通例、ハロゲニドIII 1g当たり溶剤2〜40g、有利に4〜25gである。
【0049】
塩基として、殊に、非求核性化合物又は極めて弱い求核性の化合物が好適である。そのような塩基の例は、無水の形で使用されるアルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化カリウム及び‐ナトリウム、アルカリ金属炭酸塩、例えば、炭酸カリウム及び‐ナトリウム、及び三級アルコールのアルカリ金属アルコラート、例えば、リチウム‐、ナトリウム‐及びカリウム‐t‐ブチラートである。
【0050】
通例、置換すべきハロゲン原子1モル当たり、塩基0.8〜1.5、有利に1.0〜1.2モル当量が使用される。
【0051】
出発物質として使用されるハロゲニドIIIは、一般に公知であり、又は公知方法により、非ハロゲン化共役多環状化合物と、ハロゲン化剤、殊に、元素ハロゲンとの反応によって得られる。ハロゲン原子をアリール置換基に結合して含有するハロゲニドIIIは、公知方法で、通例、多環状系へのハロゲン化アリール基の導入を経て得られる。
【0052】
ハロゲニドIII対フェノールIVのモル比は、置換すべきハロゲン原子の数に依存している。一般に、ハロゲニドIII中の交換すべきハロゲン原子1モル当たりフェノールIV1〜2、有利に1〜1.3モルを使用する。
【0053】
反応温度は、通例、50〜200℃、有利に、60〜140℃である。
【0054】
反応を、保護ガス、例えば、窒素又はアルゴン下に実施することが推奨される。
【0055】
反応時間は、ハロゲニドIIIの反応性に依存して、約2〜48時間である。
【0056】
反応条件(フェノールIV及び塩基の量及び反応温度)の選択によって、ハロゲン交換を有利に調整することができ、従って、式中の全ハロゲン原子が交換されている(m=0)生成物Iも、なおハロゲンを含有する生成物Iも、問題なく製造することができる。所望の場合には、ハロゲンを、引き続き更に生成物Iから除去することができる。出発生成物IIIから、所望により、異なる生成物Iを製造することもできる。
【0057】
成分Bにおいて、有利な群a)のモノマーは、WO99/19267及びドイツ国特許出願P10203938.0に記載されていていて、全範囲でそれについて引用される。群a)のアキラルでネマチックの重合可能なモノマーは、有利に二官能的に重合可能であり、有利に、一般式V:
−(Y−A−Y−M−Y−(A−Y−Z (V)
[式中、
、Zは、これを介して重合が行なわれ得る同じ又は異なる反応基又はそのような反応基を含有する基を表わし、この際、反応基とは、C=C‐二重結合、C≡C‐三重結合、オキシラン‐、チイラン‐、アジラン‐、シアネート‐、チオシアネート‐、イソシアネート‐、カルボン酸‐、ヒドロキシ‐又はアミノ基のことであり、この際、C=C‐二重結合が特に有利であり、
、Y、Y、Yは、相互に無関係で、化学結合、O、S、‐CO‐O‐、‐O‐CO‐、‐O‐CO‐O‐、‐CO‐S‐、‐S‐CO‐、‐CO‐N(R)‐、‐N(R)‐CO‐、‐N(R)‐CO‐O‐、‐O‐CO‐N(R)‐、‐N(R)‐CO‐N(R)‐、‐CH‐O‐、‐O‐CH‐、有利に、‐CO‐O‐、‐O‐CO‐又は‐O‐CO‐O‐を表わし、
この際、Rは水素又はC〜C‐アルキルを表わし、
、Aは、同じ又は異なるスペーサー、例えば、酸素、硫黄、場合により1個置換された窒素によって遮断されていてよい直鎖状のC〜C30‐アルキレン基、有利に、C〜C12‐アルキレン基を表わし、この際、これらの遮断基は隣接していてはならず、この際、好適なアミン置換基はC〜C‐アルキル基を包含し、この際、アルキレン鎖は弗素、塩素、臭素、シアン、メチル又はエチルによって置換されていてよく、かつこの際、特に有利に、A及びAは、−(CH)−(n=2〜6)を表わし、
v、wは、0又は1であり、
Mは、有利に、一般式VI:
(T‐Y‐T (VI)
を有するメソゲン(mesogene)基を表わし、
この際、
Tは、同じ又は異なる2価の同素環状脂肪族系、複素環状脂肪族系、同素芳香族系又は複素芳香族系基、有利に、1,4−結合の非置換の、又は1個以上、例えば、1〜4個置換されたベンゾール環:
【0058】
【化5】

を表わし、
この際、
は、弗素、塩素、臭素、C〜C20‐アルキル、C〜C20‐アルコキシ、C〜C20‐アルキルカルボニル、C〜C20‐アルキルカルボニルオキシ、ヒドロキシ、ニトロ、CHO又はCN、有利に、塩素、臭素又はC〜C‐アルキル、殊に、メチルを表わし、かつ
nは、0〜4、有利に0〜2、殊に、0又は1の整数を表わし、
は、同じ又は異なる架橋結合員‐CO‐O‐、‐O‐CO‐、‐CH‐O‐、‐O‐CH‐、‐CO‐S‐、‐S‐CO‐、‐CH‐S‐、‐S‐CH、‐CH=N‐又は‐N=CH‐又は直接結合、有利に‐CO‐O‐又は‐O‐CO‐を表わし、かつ
mは、0〜3、有利に、0、1又は2の整数を表わす]に相応する。
【0059】
メソゲン基は、置換された1,4‐ジオキシベンゾール‐構成要素、殊に、メチル‐置換の1,4‐ジオキシベンゾール‐構成要素を有することが有利である。
特に有利なメソゲン基は、次の構造VII:
【0060】
【化6】

[式中、
は、弗素、塩素、臭素、C〜C20‐アルキル、C〜C20‐アルコキシ、C〜C20‐アルキルカルボニル、C〜C20‐アルキルカルボニルオキシ、ヒドロキシ、ニトロ、CHO又はCNを表わし、かつ
nは、0〜4の整数を表わす]を有する。
【0061】
メソゲン基VII中のRは、特に有利に、塩素、臭素又はC〜C‐アルキル、殊に、メチルを表わし、nは0〜2、殊に0又は1、特に1を表わす。
【0062】
極めて特に有利なメソゲン基は、次の構造VIII:
【0063】
【化7】

を有する。
【0064】
群a)のキラルの重合可能なモノマーは、有利に、式IX:
[(Z‐Y‐A‐Y‐M‐YX[Y‐M‐Y‐A‐(Y‐Z (IX)
[式中、
、Y、Y、Y及びMは、前記のものであり、
o、pは0又は1を表わし、この際、o及びpは同時に0を表わしてはならず、
A及びAは、同じ又は異なっていて、かつ
Aは、o=1である場合には、Aと同様に定義され、又はo=0である場合には、酸素、硫黄、場合により1個置換された窒素によって遮断されていてよい直鎖のC〜C30‐アルキレン基、有利にC〜C12‐アルキレン基を表わし、この際、これらの遮断基は隣接していてはならず、この際、好適なアミン置換基はC〜C‐アルキル基を包含し、この際、アルキル基は、弗素、塩素、臭素、シアン、メチル又はエチルによって置換されていてよく、かつこの際、Aは、特に有利に、CH(CH‐基(l=1〜7)を表わし、
Aは、p=1である場合には、Aと同様に定義され、又はp=0である場合には、酸素、硫黄、場合により1個置換された窒素によって遮断されていてよい直鎖のC〜C30‐アルキル基、有利にC〜C12‐アルキル基を表わし、この際、これらの遮断基は隣接していてはならず、この際、好適なアミン置換基はC〜C‐アルキル基を包含し、この際、アルキル基は、弗素、塩素、臭素、シアン、メチル又はエチルによって置換されていてよく、かつこの際、Aは、特に有利に、CH(CH‐基(l=1〜7)を表わし、
n、mは、0、1又は2を表わし、この際、合計n+mは、1又は2、有利に2であり、かつ
Xは、キラル基を表わす]に相応する。
【0065】
一般式IXの化合物のキラル基Xでは、特に比較的容易な入手性に基づき、殊に、糖、ジナフチル‐又はジフェニル誘導体及び光学活性グリコール、アルコール又はアミノ酸から誘導される基が有利である。糖とは、殊に、ペントース及びヘキソース及びそれから誘導される誘導体が挙げられる。
【0066】
基Xの例は、次の構造を有し、この際、末端の線は各々遊離の原子価を表わす:
【0067】
【化8】

【0068】
【化9】

[この際、
は、C〜C‐アルキル、C〜C‐アルコキシ、ハロゲン、COOR、OCOR、NHCORであり、Rは、C〜C‐アルキル又は水素を表わす]。
【0069】
【化10】

が特に有利である。
【0070】
更に、次の構造を有するキラル基も好適である:
【0071】
【化11】

【0072】
前記の基A、A、A、A、R、R、R及びLの定義において、C〜C20‐アルキルは、殊に、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、二級‐ブチル、イソブチル、三級‐ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル及びエイコシルを表わし、
〜C‐アルキルは、殊に、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、二級‐ブチル、イソブチル又は三級‐ブチルを表わし、
〜C20‐アルコキシは、殊に、そのアルキル基が前記のC〜C20‐アルキル基に相応するアルコキシ基を表わし、かつ
〜C30‐アルキレンは、殊に、前記のC〜C20‐アルキル基の2価の基に相応するアルキレン基、及び直鎖のC21〜C30‐同族体を表わす。
【0073】
特別な1実施態様において、ネマチックアキラルの重合可能なモノマーは、次の構造式Xを有する:
【0074】
【化12】

【0075】
もう1つの特別な実施態様において、キラルの重合可能なモノマーは、次の構造式XI又はXIIを有する:
【0076】
【化13】

【0077】
アキラルネマチックモノマー対キラルモノマーの量比は、これらのモノマーから生じるポリマーが、配向後に、IR‐スペクトル範囲での波長に相応する、らせん超格子のピッチを有するように選択される。この際、量比は、ネマチック及びキラルモノマーの種類に依存し、個々の場合で決められるべきである。
【0078】
選択的に、成分Bとして、少なくとも1種の群b)のコレステリックの重合可能なモノマーを使用することができる。
【0079】
有利な群b)のモノマーは、それについて全範囲で引用されるDE‐A19602848に記載されている。殊に、モノマーb)は、少なくとも1種の、式XIII:
(Z−Y−A−Y−M−YX (XIII)
のコレステリックの重合合可能なモノマーを包含する。
【0080】
ここで、変数は、群a)のモノマーの場合と同様に定義される。有利な実施態様が相応に当てはまる。
【0081】
選択的に、成分Bとして、少なくとも1種の群c)の架橋結合可能なコレステリックポリマーを使用することができる。
【0082】
有利な群c)のポリマーは、例えば、DE‐A19713638に記載されているコレステリックセルロース誘導体、殊に、
(1)セルロースのヒドロキシアルキルエーテルと、
(2)飽和、脂肪族又は芳香族カルボン酸及び
(3)不飽和モノ‐又はジカルボン酸
とのコレステリック混合エステルである。
【0083】
成分(1)のエーテル‐官能基を介して結合されたヒドロキシアルキル基が、直鎖又は分枝鎖のC〜C10‐ヒドロキシアルキル基、殊に、ヒドロキシプロピル‐及び/又はヒドロキシエチル基を包含する混合エステルが特に有利である。使用可能な混合エステルの成分(1)は、有利に、分子量約500〜約1百万を有する。有利に、セルロースのアンヒドログルコース‐単位は、ヒドロキシアルキル基で、平均モル置換度2〜4でエーテル化されている。セルロース中のヒドロキシアルキル基は、同じ又は異なっていてよい。そのうち50%までがアルキル基(殊に、C〜C10‐アルキル基)によって代えられてよい。その1例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0084】
使用可能な混合エステルの成分(2)として、直鎖脂肪族C〜C10‐カルボン酸、殊に、C〜C‐カルボン酸、分枝鎖脂肪族C〜C10‐カルボン酸、殊に、C〜C‐カルボン酸又は直鎖又は分枝鎖のハロゲンカルボン酸が使用可能である。成分(2)は、安息香酸又は脂肪族置換の脂肪族カルボン酸、殊に、フェニル酢酸であってもよい。成分(2)は、特に有利に、酢酸、プロピオン酸、n‐酪酸、イソ酪酸又はn‐バレリアン酸、殊に、プロピオン酸、3‐Cl‐プロピオン酸、n‐酪酸又はイソ酪酸から選択される。
【0085】
成分(3)は、有利に、不飽和C〜C12‐モノ‐又はジカルボン酸又はそのようなジカルボン酸の半エステル、殊に、α,β‐エチレン系不飽和C〜C‐モノ‐又はジカルボン酸又はジカルボン酸の半エステルから選択される。
【0086】
使用可能な混合エステルの成分(3)は、特に有利に、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、マレイン酸、フマル酸又はウンデセン酸、殊に、アクリル酸又はメタクリル酸から選択される。
【0087】
成分(1)は、有利に、成分(2)及び(3)で、平均モル置換度1.5〜3、殊に、1.6〜2.7、特に有利に2.3〜2.6でエステル化されている。成分(1)のOH‐基の有利に約1〜30%、殊に、1〜20%又は1〜10%、特に有利に約5〜7%が、成分(3)でエステル化されている。
【0088】
成分(2)対成分(3)の量比は、ポリマーの反射波長を決定する。
【0089】
好適な群c)のポリマーは、更に、DE‐A19717371に記載された、プロパルギル末端化のコレステリックポリエステル又はポリカルボネートである。
【0090】
これらの化合物の内、直接又は1個の結合員を介してポリエステル又はポリカーボネートに結合している、少なくとも1種の式:RC≡C‐CH‐[式中、Rは、H、C〜C‐アルキル、アリール又はAr‐C〜C‐アルキル(例えば、ベンジル又はフェネチル)を表わす]のプロパルギル末端基を有するポリエステル又はポリカーボネートが有利である。結合員は、次の基から有利に選択される:
【0091】
【化14】

[式中、Rは、H、C〜C‐アルキル又はフェニルを表わし、Zは、O、S又はNRを表わし、かつRは、H、C〜C‐アルキル又はフェニルを表わす]。
【0092】
ポリエステルにおける、プロパルギル末端基は、有利に、
【0093】
【化15】

を介して結合している。
【0094】
ポリエステルは、有利に、
(4)少なくとも1種の芳香族又は芳香脂肪族ジカルボン酸単位及び/又は少なくとも1種の芳香族又は芳香脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位及び
(5)少なくとも1種のジオール単位を含有する。
【0095】
有利なジカルボン酸単位は、式:
【0096】
【化16】

の単位、殊に、式:
【0097】
【化17】

の単位である[式中、各フェニル基又はナフチル基は、相互に無関係で、C〜C‐アルキル、C〜C‐アルコキシ、ハロゲン又はフェニルから選択される、1、2又は3個の置換基を有することができ、この際、前記式中において、
Wは、NR、S、O、(CH)O(CH)、(CH)又は単結合を表わし、
は、アルキル又は水素を表わし、
sは、1〜15の整数を表わし、かつ
r及びqは、相互に無関係で、0〜10の整数を表わす]。
【0098】
有利なヒドロキシカルボン酸単位は、式:
【0099】
【化18】

の単位であり、この際、各フェニル基又はナフチル基は、相互に無関係で、C〜C‐アルキル、C〜C‐アルコキシ、ハロゲン又はフェニルから選択される、1、2又は3個の置換基を有することができる。
【0100】
有利なジオール単位は、式:
【0101】
【化19】

【0102】
【化20】

の単位、殊に、式:
【0103】
【化21】

の単位であり、前記式中、
Lは、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、COOR11、OCOR11、CONHR11又はNHCOR11を表わし、
Xは、S、O、N、CH又は単結合をあらわし、
Aは、単結合、(CH、O(CH、S(CH、NR11(CH
【0104】
【化22】

を表わし、
11は、アルキル又は水素を表わし、
10は、水素、ハロゲン、アルキル又はフェニルを表わし、かつ
nは、1〜15の整数を表わす。
【0105】
少なくとも1種の式:
【0106】
【化23】

のジカルボン酸単位、及び少なくとも1種の式:
【0107】
【化24】

のジオール単位を含有するポリエステルが有利であり、
この際、R10は、H、ハロゲン、C〜C‐アルキル、殊に、CH又はC(CH、又はフェニルを表わす。
【0108】
他の有利な化合物は、式: P‐Y‐B‐CO‐O‐A‐O‐CO‐B‐Y‐P のジエステルであり、式中のPは、前記で定義した式のプロパルギル末端基を表わし、Yは、O、S又はNR12(R12=C〜C‐アルキル)を表わし、Bは、
【0109】
【化25】

を表わし、この際、各フェニル基又はナフチル基は、相互に無関係で、C〜C‐アルキル、C〜C‐アルコキシ、ハロゲン又はフェニルから選択される、1、2又は3個の置換基を有することができ、かつAは(隣接の酸素原子と一緒に)、前記のジオールの1つを表わす。
【0110】
特に有利なジエステルは、式中のBが、
【0111】
【化26】

を表わす前記式のものであり、殊に、式:
HC≡CCHO‐B‐CO‐O‐A‐O‐CO‐B‐OCH‐C≡CH
のジエステルであり、式中、
(6)Bは、
【0112】
【化27】

を表わし、かつAは、
【0113】
【化28】

を表わし、又は
(7)Bは、式:
【0114】
【化29】

を表わし、かつAは、(6)に挙げたものである。
【0115】
他の有利な化合物は、少なくとも1種の前記式、殊に、式:
【0116】
【化30】

のジオール単位を組み込んで含有するポリカルボネートである。
【0117】
この際、有利なポリカルボネートは、ジオール単位として、少なくとも1種の式:
【0118】
【化31】

のメソゲン単位及び式:
【0119】
【化32】

のキラル単位及び場合により、式:
【0120】
【化33】

の非‐キラル単位を含有するものであり、この際、R10は前記のもの、殊に、H又はCHを表わす。
【0121】
特に有利なポリカルボネートは、式: HC≡CCHO‐R13‐CO [式中、R13は、
【0122】
【化34】

を表わす]のプロパルギル末端基を有するものである。
【0123】
更に、群c)のポリマーとして、非‐末端位に感光性の基も含有するコレステリックポリカルボネートが好適である。そのようなポリカルボネートは、DE‐A19631658に記載されている。それらは、有利に、式XIV:
【0124】
【化35】

に相応し、この際、モル比w/x/y/zは、約1〜20/約1〜5/約0〜10/約0〜10である。モル比w/x/y/zが、約1〜5/約1〜2/約0〜5/約0〜5であることが特に有利である。
【0125】
式XIVにおいて、
Aは、式:
【0126】
【化36】

のメソゲン基を表わし、
Bは、式:
【0127】
【化37】

のキラル基を表わし、
Dは、式:
【0128】
【化38】

の感光性基を表わし、
Eは、他の、式:
【0129】
【化39】

の非‐キラル基を表わし、この際、前記の式において、
Lは、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、COOR15、OCOR15、CONHR15又はNHCOR15を表わし
Xは、S、O、N、CH又は単結合を表わし、
15は、アルキル又は水素を表わし、
Aは、単結合、(CH、O(CH、S(CH、NR(CH
【0130】
【化40】

を表わし、
14は、水素、ハロゲン、アルキル又はフェニルを表わし、かつ
nは、1〜15の整数を表わす。
【0131】
14が、アルキル、ハロゲンを表わし、Aが、単結合をあらわし、又はR14がH又はアルキルを表わし、Aが
【0132】
【化41】

を表わす場合には、可溶性を改善する基が重要である。その例は、
【0133】
【化42】

である。
イソソルビッド、イソマンニッド及び/又はイソイジッドは、有利なキラル成分である。
キラルジオール構造単位の割合は、所望の反射特性に応じて、有利に、ジオール構造単位の総含量の1〜80モル%、特に有利に2〜20モル%の範囲にある。
選択的に、成分Bとして、重合可能な希釈剤中のコレステリックポリマー(群d))を使用することができる。
有利な群d)の」ポリマーは、例えば、それについて全面的に引用されるUS‐A‐08834745に記載されている架橋結合可能なコレステリックコポリイソシアネートである。そのようなコポリイソシアネートは、式:
【0134】
【化43】

及び場合により、式:
【0135】
【化44】

の繰返し単位を有し、
この際、
16は、キラル脂肪族又は芳香族基を表わし、
17は、架橋結合可能な基を表わし、かつ
18は、アキラル基を表わす。
の繰返し単位を有する。
【0136】
他の記載がない限り、ここで、”アルキル”(例えば、アルコキシ、ジアルキル、アルキルチオ等の意味においても)とは、分枝鎖及び非分枝鎖のC〜C12‐アルキル、有利に、C〜C12‐、特に有利に、C〜C10‐、殊に、C〜C10‐アルキルのことである。
【0137】
16は、有利に、(キラル)分枝鎖又は非分枝鎖のアルキル‐、アルコキシアルキル‐、アルキルチオアルキル‐、シクロアルキル‐、アルキルフェニル‐又はC〜C‐エポキシアルキル基又はC〜C‐脂肪酸とC〜C‐アルカノールとのエステルの基又はC〜C‐ジアルキルケトンから選択される。エステル基は脂肪酸部分を介しても、アルカノール基を介しても、N‐原子に結合していてよい。基R16は、同じ又は異なる、アルコキシ基、ジ‐C〜C‐アルキルアミノ基、CN、ハロゲン原子又はC〜C‐アルキルチオ基から選択される、1、2又は3個の置換基を有することができる。
【0138】
16は、有利に、アルキル、アルコキシアルキル、C〜C‐脂肪酸とC〜C‐アルカノールとのエステルの基、C〜C‐ジアルキルケトン及びエポキシド化C〜C‐エポキシアルキル基から選択され、この際、R16は、同じ又は異なる、アルコキシ、ハロゲン、CN又はCFから選択される1又は2個の基によって置換されていてよい。 分枝鎖又は非分枝鎖のアルキル‐又はアルコキシ基の有利な置換基は、アルコキシ基、ハロゲン原子又はCNから選択され、C〜C‐脂肪酸とC〜C‐アルカノールとのエステルの有利な置換基は、アルコキシ基、ハロゲン原子、CN又はCFから選択され、かつC〜C‐ジアルキルケトンの置換基は、アルコキシ基、ハロゲン原子又はCNから選択される。
【0139】
基R16の主鎖は、殊に、3〜12、殊に、6〜10、有利に6〜8員(C‐、O‐及び/又はS‐原子)の鎖長を有する。次の基から選択される基R16が特に有利である:
【0140】
【化45】

【0141】
【化46】

【0142】
使用可能なコポリイソシアネートの成分XVは、極めて特に有利に、2,6‐ジメチルヘプチルイソシアネートから誘導される。
【0143】
使用可能なコポリイソシアネートの基R17は、有利に、C〜C11‐アルケニル基、C〜C11‐ビニルエーテル基(=ビニル‐C〜C‐アルキルエーテル)、エチレン系不飽和C〜C11‐カルボン酸基及びエチレン系不飽和C〜C‐モノカルボン酸とC〜C‐アルカノールとのエステルから選択され、この際、N‐原子への結合は、エステルのアルカノール基を介して行なわれる。メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n‐ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n‐ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2‐エチルヘキシルメタクリレート、殊に、エチルアクリレート又はエチルメタクリレートから選択される基が特に有利である。
【0144】
基R18は、有利に、基R16と同じ意味を有する。しかし、これはアキラルであり、即ち、これはキラル中心を有しないか又はラセミ混合物として存在する。
【0145】
基R18の主鎖は、4〜12、殊に6〜10、有利に6〜8員(C‐、O‐及び/又はS‐原子)の鎖長を有することが特に有利である。本発明によるコポリイソシアネートの成分XVIIは、極めて特に有利に、n‐ヘキシルイソシアネート、n‐ヘプチルイソシアネート又はn‐オクチルイソシアネートから誘導される。
【0146】
成分XV、XVI及びXVIIは、有利に、モル量比XV:XVI:XVII約1〜20:1〜20:50〜98、殊に、約5〜15:5〜15:65〜90、特に有利に、約15:10:75で存在している。
【0147】
単位XV、XVI及びXVIIは、使用可能なコポリイソシアネート中で統計的に分配されていてよい。
【0148】
本発明による組成物の成分Bとして、有利に、少なくとも1種のアキラルネマチックの重合可能なモノマー及びキラルの重合可能なモノマーからなる混合物、即ち、群a)が使用される。
【0149】
化合物A又は化合物Aの合計は、成分Bの総質量に対して、有利に、0.01〜20質量%、特に有利に、0.01〜15質量%、極めて特に有利に0.01〜10質量%、殊に、0.01〜7質量%及び特別に0.01〜5質量%の量で存在する。
【0150】
組成物は、成分A及びBの完全混合物であるか、又は好適な希釈剤中の成分A及びBの溶液又は分散液である。この際、希釈剤の成分は、組成物の総質量に対して、有利に、5〜95質量%、特に有利に、30〜80質量%、殊に、40〜70質量%である。
【0151】
群a)又はb)の化合物の好適な希釈剤は、直鎖又は分枝鎖のエステル、特に、酢酸エステル、環状エーテル及びエステル、アルコール、ラクトン、脂肪族及び芳香族炭化水素、例えば、トルオール、キシロール及びシクロヘキサン、及びケトン、アミド、N‐アルキルピロリドン、特に、N‐メチルピロリドン、及び殊に、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン及びメチルエチルケトン(MEK)である。
【0152】
群c)のポリマーの好適な希釈剤は、例えば、エーテル及び環状エーテル、例えば、テトラヒドロフラン又はジオキサン、塩素化炭化水素、例えば、ジクロルメタン、トリクトルメタン、四塩化炭素、ジクロルエタン、1,1,2,2‐テトラクロルエタン、1‐クロルナフタリン、クロルベンゾール又は1,2‐ジクロルベンゾールである。これらの希釈剤は、特に、ポリエステル及びポリカルボネートに好適である。セルロース誘導体の好適な希釈剤は、例えば、エーテル、例えば、ジオキサン、又はケトン、例えば、アセトンである。コポリイソシアネートを群d)のポリマーとして使用する場合には、例えば、US‐A‐08834745に記載されている重合可能な希釈剤を使用することが重要である。そのような重合可能な希釈剤は、例えば、次のものである:
α,β‐不飽和モノ‐又はジカルボン酸、殊に、C〜C‐モノ‐又はジカルボン酸とC〜C12‐アルカノール、C〜C12‐アルカンジオール又はそのC〜C‐アルキルエーテル及びフェニルエーテルとのエステル、例えば、アクリレート及びメタクリレート、ヒドロキシエチル‐又はヒドロキシプロピルアクリレート又は‐メタクリレート及び2‐エトキシエチルアクリレート又は‐メタクリレート;
ビニル‐C〜C12‐アルキルエーテル、例えば、ビニルエチル‐、ビニルヘキシル‐又はビニルオクチルエーテル;
〜C12‐カルボン酸のビニルエステル、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルラウレート;
〜C‐エポキシド、例えば、1,2‐ブチレンオキシド、スチロールオキシド;
N‐ビニルピロリドン、N‐ビニルカプロラクタム、N‐ビニルホルムアミド;
ビニル芳香族化合物、例えば、スチロール、α‐メチルスチロール、クロルスチロール、及び
2個以上の架橋結合可能な基を有する化合物、例えば、ジオール(ポリエチレングリコールを含む)とアクリル‐又はメタクリル酸とのジエステル又はジビニルベンゾール。
【0153】
有利な重合可能な希釈剤の例は、2‐エポキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート及びテトラエチレングリコールジメタクリレートである。特に有利な重合可能な希釈剤は、スチロールである。
【0154】
群a)、b)又はc)の混合物は、少量で、重合可能な希釈剤を含有することもできる。a)、b)又はc)に添加可能な、有利な重合可能な溶剤は、アクリレート、殊に高級官能性アクリレート、例えば、ビス、トリス‐又はテトラアクリレート、特に有利に高沸騰オリゴアクリレートである。有利な添加量は、混合物の総質量に対して、約5質量%である。
【0155】
本発明による組成物は、粘性及び流展性の調製のために、添加成分と混合させることができる。
【0156】
例えば、ポリマー結合剤及び/又は重合によってポリマー結合剤に変換され得るモノマー化合物が使用可能である。そのような結合剤として、例えば、有機溶剤中に可溶性のポリエステル、セルロースエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリエーテル‐又はポリエステル変性化シリコーンが好適である。セルロースエステル、例えば、セルロースアセトブチレートが特に有利に使用される。
【0157】
少量の好適な流展剤の添加も有利である。使用されるコレステルの量に対して、約0.005〜1質量%、殊に、0.01〜0.5質量%が使用可能である。好適な流展剤は、例えば、グリコール、シリコーン油及び殊に、アクリレートポリマー、例えば、Firma Byk-Chemieの商標Byk 361又はByk 358で得られるアクリレートコポリマー及びFa. Tegoの商標Tego flow ZFS 460で得られる変性化のシリコーン不含のアクリレートポリマーである。
【0158】
組成物は、場合により、UV‐及び風化作用に対する安定剤を含有する。それには、例えば、2,4‐ジヒドロキシベンゾフェノン誘導体、2‐シアン‐3,3‐ジフェニルアクリレートの誘導体、2,2’,4,4’‐テトラヒドロキシベンゾフェノンの誘導体、オルトヒドロキシフェニルベンズトリアゾルの誘導体、サリチル酸エステル、オルトヒドロキシフェニル‐s‐トリアジン又は立体障害のアミンが好適である。これらの物質を単独で又は有利に混合物の形で使用することができる。
【0159】
更に、本発明による組成物は、それが光化学的に重合されるべき場合には、市販の光重合開始剤を含有することができる。電子線による硬化にはそれは必要ない。好適な光重合開始剤は、例えば、イソブチル‐ベンゾインエーテル、2,4,6‐トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1‐ヒドロキシシクロヘキシル‐フェニルケトン、2‐ベンジル‐2−ジメチルアミノ‐1‐(4‐モルホリノフェニル)‐フラン‐1‐オン、ベンゾフェノン及び1‐ヒドロキシシクロヘキシル‐フェニルケトンの混合物、2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン、過弗化ジフェニルチタノセン、2‐メチル‐1‐(4‐[メチルチオ]フェニル)‐2‐(4‐モルフォリニル)‐1‐プロパノン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1−フェニルプロパン‐1‐オン、4‐(2‐ヒドロキシ‐エトキシ)フェニル‐2‐ヒドロキシ‐2‐プロピルケトン、2,2‐ジエトキシアセトフェノン、4‐ベンゾイル‐4’‐メチルジフェニル‐スルフィド、エチル‐4‐(ジメチル‐アミノ)ベンゾエート、2‐イソプロピルチオキサントン及び4‐イソプロピル‐チオキサントンの混合物、2‐(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、d,l‐カンファー‐キノン、エチル‐d,l‐カンファーキノン、ベンゾフェノン及び4‐メチルベンゾフェノンの混合物、ベンゾフェノン、4,4’‐ビスジメチルアミン‐ベンゾフェノン、(η‐シクロペンタジエニル)(η‐イソプロピルフェニル)‐鉄(II)‐ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム‐ヘキサフルオロホスフェート又はトリフェニルスルホニウム塩の混合物、及びブタンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、4‐(1,1‐ジメチルエチル)シクロヘキシルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリプロピレングリコールジアクリレートである。
【0160】
本発明の目的は、断熱被覆の製造のための前記組成物の使用でもある。
【0161】
本発明のもう1つの目的は、本発明による組成物の少なくとも1層の配向された硬化層を包含する断熱被覆である。
【0162】
本発明による断熱被覆は、有利に、IR‐スペクトル範囲の波長に相応する、らせん状超格子のピッチを有する、少なくとも1種のIR−線反射性硬化コレステリックポリマーを包含する。
【0163】
コレステリックポリマーは、例えば、前記の群a)、b)、c)又はd)の成分Bの配向及び硬化によって得られる。
【0164】
断熱被覆が少なくとも2層を包含する場合には、IR‐線を反射するポリマーは、異なる層において、IR‐スペクトル範囲の波長に相応するらせん状超格子の、有利に各々異なるピッチ及び/又は対立したキラル性(対掌性(Haendigkeit))を有する。同様に、少なくとも2層の断熱被覆において、各々2つの、有利に隣接した層のらせん状超格子のピッチが、同一であるが、そのキラル性は対立している場合が有利である。同時に、少なくとも2層の断熱被覆において、同一のピッチ及び同一のキラル性のらせん状超格子を有する2層間に、透過円偏光の回転方向を逆転させる媒体、殊に、いわゆる、λ/2‐シート又は‐プレートが存在する場合が有利である。
【0165】
断熱被覆は、有利に1〜10層、特に有利に1〜4層及び特別には2層を包含する。2層は、らせん状超格子のピッチにおいて、又はキラル性において異なっていることが有利である。2層は、同一のらせん状超格子のピッチを有するが、対立したキラル性を有することが特に有利である。
【0166】
本発明のもう1つの目的は、本発明による断熱被覆の製法であり、この際、本発明による組成物を支持体上に載せ、場合により配向させ、硬化させる。硬化は、有利に、群a)又はb)のモノマー又は群d)の溶剤の重合によって、又は群c)のポリマーの架橋結合によって行なわれる。
【0167】
更なる層の製造のために、塗布、配向及び硬化の過程を繰返し、この際、そこで有利に、最初の組成物とは異なる本発明による組成物を使用し、従って、群a)又はb)のモノマーの重合によって得られる配向されたコレステリックポリマー又は群c)又はd)の配向されたコレステリックポリマーは、異なる層で、最初の層のそれとは別のらせん状超格子のピッチ及び/又は対立したキラル性を有する。選択的に又は補充的に、同一のピッチのらせん状超格子及び同一のキラル性を有する2層の間に、透過円偏光の回転方向を逆転させる媒体、殊に、いわゆる、λ/2‐シート又は‐プレートを組み込ませることができる。
【0168】
有利な組成物及び断熱被覆についての前記の説明が、ここで相応に当てはまる。
【0169】
支持体は透明であることが有利である。透明な支持体は、例えば、ガラス構成要素、窓ガラス、自動車ガラス又は絶縁目的のためにガラス上に接着すべきシートであってよい。
【0170】
支持体上へのコレステリックIR‐反射層の塗布は、常法で、例えば、空気‐ドクター塗布、ドクター塗布、空気ナイフ塗布、圧搾塗布、浸漬塗布、反転ローラー塗布、転写ローラー塗布、グラビア塗布、”キス‐コーティング(kiss-coating)”、流延塗布、噴霧塗布、回転塗布から選択される方法又は加圧法、例えば、高‐、低‐、フレキソ‐、オフセット‐又はスクリーン圧法で行なうことができる。
【0171】
本発明による組成物は、支持体上への塗布の前に、各々好適な希釈剤で希釈することができる。好適な希釈剤は前記されている。
【0172】
塗布されたIR‐反射層の硬化は、熱的に、光化学的に又は電子線によって行なうことができる。
【0173】
硬化は、当然、コレステリック相で、かつコレステリック相の保持下に行われるべきである。
【0174】
数層が塗布される場合には、これらは各々個別に塗布され、場合により配向され、場合により乾燥され、かつ硬化されてよい。しかし、数層又は塗布すべき全層を、1回の塗布過程で、重ね塗り(nass-in-nass)で、被覆すべき対象上に塗布すること、場合により一緒に乾燥させること、及びその後に一緒に硬化させることも可能である。しかし、異なる反射特性を有する異なった層の間で、相互拡散が生じないことが、コレステリック層の同時塗布のための前提である。
【0175】
コレステリック層の同時塗布には、流延法、殊に、ナイフ‐又はドクター流延法、押出‐又は掻取り流延法及びカスケード流延法が好適である。前記の流延法は、例えば、DE‐A‐19504930、EP‐A‐431630、DE‐A‐3733031、及びEP‐A‐452959に記載されていて、それについて明確に引用される。
【0176】
本発明による組成物は、殊に、色付けされた絶縁窓又は断熱性透明建築部材の製造に、又は熱輻射に対する住居‐、事務所‐又は工業建築の絶縁に好適である。更に、本発明による組成物は、自動車分野における使用に、殊に、断熱性の色付けされた合せガラス板の製造に好適である。従って、本発明による断熱被覆を備えた目的物は、本発明のもう1つの目的である。
【0177】
本発明による断熱被覆は、化合物Aの存在に基づいて、色調、有利に、帯青色又は帯緑色の色調を有する。更に、化合物Aは有利にIR‐線を吸収し、従って、非反射IR‐線は吸収されて、透過しないので、被覆の断熱特性は改善される。
【0178】
本発明による断熱被覆は、ISO 9050 により決定された、波長範囲350〜750nmの光の透過を、少なくとも70%、有利に少なくとも72%有する。
【0179】
次の実施例により本発明を説明するが、これに限定されるものではない。
【0180】

ネマチックでアキラルの重合可能なモノマーとして、式Xの化合物を使用した。
【0181】
キラルの重合可能なモノマーとして、式XIの化合物を使用した。
【0182】
化合物Aとして、式I[式中のPは、クァテリレン骨格に6個の三級‐アルキルフェノキシ‐基で対称的に置換されていて(n=6)、かつハロゲン置換基を持たない(m=0)式IIのクァテリルイミドを表わし、かつ式中のRは、アルキル‐置換のフェニルを表わす]の化合物を使用した。この化合物は次からIaとして表示される。
【0183】
溶剤として、テトラヒドロフラン(THF)を使用した。
【0184】
化合物X、XI及びIa、流展剤ByK 361(10%の;Fa. ByK Chemie)及び光重合開始剤Fa. Ciba製のIrgacure 184の混合物を、表1に挙げたTHF10g中の濃度で、ドクターを用いて、表1に各々挙げた湿潤層厚で、PET‐シート上に塗布した。約85℃での溶剤の蒸発後に、均質な透明の帯緑色の層が生じた。これをUV‐ランプで硬化させた。
【0185】
【表1】

【0186】
可視的な評価によって、表2に示した結果を得た。
【0187】
【表2】

【0188】
IOS 9050 による実験B及びCでの透過の測定により、可視的評価を確認した。その結果を次の表3に総括する。
【0189】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)少なくとも1種の、一般式I:
【化1】

[式中、
Pは、塩基及び求核基に対して安定で、場合によりアリール置換基を有し、‐CO‐NH‐CO‐、‐COOH及び‐CO‐O‐CO‐基から成る基を含有しない、共役多環状基を表わし、
Rは、C〜C‐アルキル基(その炭素鎖は、‐O‐、‐S‐、‐NR‐、‐CO‐及び‐SO‐から選択される1個以上の基によって遮断されていてよく、この際、炭素鎖は、場合により、C〜C‐アルコキシ又は1個の窒素原子を介して結合した、場合により他のヘテロ原子を含有し及び/又は芳香族である5‐〜7‐員の複素環基から選択される同じ又は異なる基で一置換又は多置換されている)、又はC〜C‐シクロアルキル基(その炭素骨格は、‐O‐、‐S‐、‐NR‐、‐CO‐及び‐SO‐から選択される1個以上の基によって遮断されていてよく、この際、炭素骨格は、場合により、1個以上のC〜C‐アルキルによって置換されている)を表わし、
は、水素又はC〜C‐アルキルを表わし、
Halは、塩素及び/又は臭素を表わし、
mは、0〜15の数を表わし、かつ
nは、1〜16の数を表わし、この際、合計m+n≦16である]の放射線吸収性の三級‐アルキルフェノキシ置換の多環状化合物A
及び
ii)少なくとも1種の硬化可能なIR‐反射体‐成分B(これは、
a)少なくとも1種のアキラルでネマチックの重合可能なモノマー及び少なくとも1種のキラルの重合可能なモノマー、
b)少なくとも1種のコレステリックの重合可能なモノマー、
c)少なくとも1種のコレステリックの架橋結合可能なポリマー、又は
d)重合可能な希釈剤中の少なくとも1種のコレステリックポリマー
を含有する)
を包含する組成物。
【請求項2】
一般式Iの化合物Aにおいて、基Pは、ナフタリン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、ペリレン、テリレン、クァテリレン、ペンタリレン、ヘキサリレン、アントラキノン、インダンスロン、N‐置換のナフタリン‐1,8‐ジカルボン酸モノイミド、N,N’‐二置換のナフタリン‐1,8:4,5‐テトラカルボン酸ジイミド、N‐置換のペリレン‐3,4‐ジカルボン酸モノイミド、N,N’‐二置換のペリレン‐3,4:9,10‐テトラカルボン酸ジイミド、N,N’‐二置換のテリレン‐3,4:11,12‐テトラカルボン酸ジイミド、N,N’‐二置換のクァテリレン‐3,4:13,14‐テトラカルボン酸ジイミド、アクリジン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジナフトフラン、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、フェナジン、ジオキサジン、キナクリドン、金属フタロシアニン、金属ナフタロシアニン、金属ポルフィリン、クマリン、ジベンゾフラノン、ジナフトフラノン、ベンズイミダゾロン、インジゴ化合物、チオインジゴ化合物、キノフタロン、ナフトキノフタロン及びジケトピロロピロールの群から成る塩基安定基を表わす、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分Bの総質量に対して、化合物A0.01〜20質量%を包含する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
成分Bは、少なくとも1種のアキラルでネマチックの重合可能なモノマー及び少なくとも1種のキラルの重合可能なモノマーを含有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
更に、光重合開始剤、結合剤、流展剤及びUV‐及び風化作用に対する安定剤から選択される少なくとも1種の助剤を包含する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
断熱被覆の製造のための、請求項1から5までのいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項7】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の組成物の、少なくとも1種の配向され硬化した層を包含する断熱被覆。
【請求項8】
IR‐スペクトル範囲の波長に相応するらせん状超格子のピッチを有する、少なくとも1種の配向された、IR‐線反射性の硬化コレステリックポリマーを包含する、請求項7に記載の断熱被覆。
【請求項9】
少なくとも2層を包含し、この際、IR‐線を反射するポリマーは、異なる層において、各々異なるIR‐スペクトル範囲の波長に相応するらせん状超格子のピッチ及び/又は対立したキラル性を有する、請求項8に記載の断熱被覆。
【請求項10】
請求項7又は8に記載の断熱被覆を製造するために、請求項1から5までのいずれか1項に記載の組成物を、支持体上に塗付し、場合により配向させ、かつ硬化させる方法。
【請求項11】
硬化は、群a)又はb)のモノマー又は群d)の溶剤の重合によって、又は群c)のポリマーの架橋結合によって行なわれる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項7から9までのいずれか1項に記載の断熱被覆を備えた対象物。

【公表番号】特表2006−505632(P2006−505632A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−518721(P2004−518721)
【出願日】平成15年7月4日(2003.7.4)
【国際出願番号】PCT/EP2003/007201
【国際公開番号】WO2004/005427
【国際公開日】平成16年1月15日(2004.1.15)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【Fターム(参考)】