説明

新しい非PVC材料のコンテナおよび剥離可能なシールコンテナ

【課題】本発明は、一般にフィルムを加工するためのポリマーブレンドを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、より詳細には、わずかなひずみを有し、そして蒸気滅菌において非接着性であり、熱安定性であり、そして可撓性医療コンテナへの加工に最適であるフィルムを提供する。1つ以上のポリマーが、合金組成物を形成するために混合される場合、全ての上記の目的を同時に達成することは難しい。例えば、多くのアロイが、有意な光散乱を生じる(従って、これらは、光学的清澄性の目的を満たすことができない)。光散乱強度は、マイクロメートル(μ)範囲における組成物のドメインサイズおよび成分の屈折率の近接性に依存する。一般的な法則として、非常に小さいドメインサイズへの十分に加工され得、そして最小の屈折率の不一致をなお有する成分の選択は、難しい作業である。本発明は、これらおよび他の問題を解決するために提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、一般にフィルムを作製するためのポリマーブレンドに関し、そしてより詳細には、わずかなひずみを有し、そして蒸気滅菌において非接着性であり、熱安定性であり、そして可撓性医療コンテナへの加工に最適であるフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
医療分野において、有益な薬剤が、収集され、処理されそしてコンテナに保存され、運搬され、そして最終的に患者に注入によってチューブから送達されて、治療的効果に達する場合、コンテナを加工するのに使用される材料は、性質の特有の組み合わせを有しなければならない。例えば、粒子性の夾雑物に対する溶液の目視検査は、光学的に透明なコンテナを必要とする。壁を形成する材料は、コンテナ内に空気を入れずに、コンテナ壁をたたむことによって溶液を注入するのに十分に可撓性でなければならない。この材料は、広い幅の温度にわたって可撓性および靱性を維持しなければならない。いくつかの溶液(例えば、予め混合した特定の薬剤溶液)は、薬剤分解を最小にするために、例えば、−25℃〜−35℃の温度においてコンテナに保存され、そして移動されるので、この材料は、低温度において可撓性および靱性を維持しなければならない。この材料はまた、蒸気滅菌(ほとんどの医療液体コンテナおよび栄養性産生物が、出荷前に供されるプロセス)の熱に耐えるために機能的であり、そして高温度における歪みに耐える。この滅菌プロセスは、通常、典型的には121℃の温度および上昇した圧力において蒸気にコンテナを曝露する工程を包含する。
【0003】
有用な品物への製造の容易さに関して、材料が、熱シール技術を使用してシール可能であることが所望される。従って、材料は、加熱によって溶融する十分な熱可塑性の性質を維持しなければならない。
【0004】
さらなる必要条件は、意図した使用の後、材料から製造された品物の廃棄における環境への影響を最小にすることである。埋立地に廃棄されるこれらの品物に関して、品物を製造するための低分子量の浸出可能な成分の取り込みを最小にすることかまたは避けることが所望される。さらなる利益は、製造中に産生されるスクラップ材料の熱再処理を可能にする材料の使用によって実現される。
【0005】
バイオ・ハザードを最小化するために焼却を介して廃棄されるこれらのコンテナについては、環境的に所望されないかつ腐食性の無機酸の形成を最小化するか、または取り除く材料を使用することが所望される。
【0006】
この材料は、医薬または生物学的液体へ放出され得る低分子量の添加剤(例えば、可塑剤、安定剤など)を含まないか、または有してもその含量が低いことが所望される。
【0007】
幅広い機能的な必要条件を満たす能力のために、可撓性ポリ塩化ビニル(PVC)は、医療バッグ適用について材料として頻繁に選択される。PVCはまた、上記の適用を満たす装置を製造するための最もコスト効果的な材料の1つである明白な利点を提供する。しかし、PVCは、市場において多くの欠点を有する。これらの欠点としては、特定の薬剤とのPVC化合物の不適合性、塩素含有量および環境に対するその効果に関する関連、ならびに一般に、PVCの消極的な市場認識の増大が挙げられる。従って、ほとんどの材料が、発明されて、PVCと置き換えられている。しかし、多くの代替の材料は、実行するには高価すぎ、そして上記の必要条件のすべてをなお満たしていない。
【0008】
PVCに関連する欠点を有しない、医療コンテナおよびチュービングの多くの必要条件を満たす、ポリオレフィンおよびポリオレフィンアロイが、開発されている。典型的には、ポリオレフィンは、液体への相対的に低い抽出性を有するので、医療適用において適合性がある。ほとんどのポリオレフィンは、焼却において有害な分解物を産生しないので環境的に良く、そして熱可塑樹脂の再利用に適している。多くのポリオレフィンは、PVCに対して経済的な代替物を提供し得るコスト効果的な材料である。しかし、ポリオレフィンとPVCの全ての有利な性状との置換を克服するためには多くの障害がある。
【0009】
例えば、問題は、医療用チュービングを作製するための特定のポリオレフィンの使用において遭遇する。このようなチュービングは、表面特性が乏しいことが見出されており、その結果、スライドクランプを使用してチュービングを挟む場合、容易に切るか、切り裂くかまたは引っかいたりしやすい。また、好ましい弾性率性状を有する特定のポリオレフィン(例えば、超低密度ポリエチレン)は、オートクレーブ工程の間達する温度以下の融点温度を有する。
【0010】
化学薬剤による、または高エネルギーイオン化照射による架橋はポリマーマトリクスの耐熱性を増大することが周知である。化学的架橋は、ポリマーの融点温度よりさらに上の高温において変形しそして流動する傾向を大きく遅らせる、別個のポリマー鎖に交差する共有結合である。Terumoに与えられた米国特許第4,465,487号は、50%と85%の間のゲル含量を達成するために50kGyと100hkGyの間の線量において高エネルギー(2Mev)電子ビームでエチレンビニルアセテートコポリマーを照射することによって蒸気オートクレーブ可能な医療用コンテナを作製することを開示する。’487号特許は、コンテナのEVA側壁が、一緒にシールされる前に約50%以上のゲル含量を達成するように照射された場合、それらが簡単に剥離することを開示する。(第4欄,20−30行目)。従って、’487特許は、シールされていないポート領域のみを遊離するポーチにコンテナをシールした後、コンテナの側壁を照射することを開示する。
【0011】
同様に、米国特許第4,453,940号は、EVAおよび他の材料からの医療用コンテナを作製することを開示する。’940号特許はまたは、高エネルギー電子ビームを使用して材料を架橋することによってEVAのオートクレーブ耐性を増大する工程を開示する。’940号特許は、架橋が、50パーセントを超える場合、熱シールの使用が、不可能であることを警告する(第4欄、27−35行)。
【0012】
米国特許第4,401,536号は、EVAまたはEEAとポリプロピレンとのブレンドからなる半強固なコンテナを架橋することを開示する。この特許は、ポリプロピレンとともにエチレンα−オレフィンを使用することを開示しない。形成前の照射は、乏しい熱シール能を有する品物を生じることも開示される(第4欄、25−28行目)。
【0013】
本譲受人に与えられた米国特許第4,489,604号および同5,066,290号の両方が、共押出しされた高密度ポリエチレンスキン層および約18%の酢酸ビニル含量を有するエチレン酢酸ビニルコポリマーのコア層を有する医療コンテナを開示する。コンテナが、通常の無線周波数熱シールによって作製された後、アセンブリは、約5Mevの高エネルギー電子ビーム加速装置からの約100kGyのイオン化照射に供される。高密度ポリエチレン層は、世界の薬局方によって必要とされるような比較的に一定の濃度において滅菌液体含量を保持するために湿気およびガス透過バリアとして作用する。しかし、いくつかの種々の欠点は、この材料構築において明白であった:1)架橋EVA層は、シールすることが不可能でない場合、困難であるので、この材料製造物からコンテナを加工するために、コンテナは、架橋工程の前に作製されなければならない(これは、製造工程に非常な不効率にする);および2)十分な架橋に必要とされる照射線量はまた、十分な量の照射曝露の酢酸の副産物を遊離する。HDPEは、ガス透過に対するバリアを与えるので、トラップされた酢酸は、液体内容物をかなり酸性にする。このことは非常に所望されない結果を与える。
【0014】
W.R.Graceに与えられた米国特許第4,643,926号は、多層化された材料から医療用溶液コンテナを作製することが開示され、特定の実施形態において、熱シールされることが意図される層が、主要成分としてポリプロピレンを用いて構築される。ポリプロピレンは、照射に曝露される場合、鎖の切断を受けることが周知であり、熱シール層は、熱可塑性でありかつ類似の表面と熱シールされ得る。従って、多層フィルム全体は、熱シールされ得、そしてオートクレーブに耐える。しかし、多層構築物の複雑性ならびに洗EVA照射の酸性副産物を除去するためのフィルム(米国特許第5,445,893号を参照のこと)における酸スカベンジ化合物の洗浄および取り込みの可能な必要性は、プロセスを非常に複雑にし、非常に高いコストになる。さらに、フィルムは、いくつかの非常に異なる材料から構築され、エッジトリムおよび他のフィルムスクラップの再利用のプロセスは、非常に困難であり、光学的および機械的性質を減少することなく実施できない。
【0015】
米国特許第5,055,328号は、多層の差次的に架橋されたフィルムを開示し、熱シールされた層は、架橋を遅らせ、そして架橋後の熱シールを容易にするさらなる抗酸化剤を含む。同様に、カナダ国特許第1の,125,229号は、外層が、架橋増強剤を含む、別の差次的な架橋多層フィルムを開示する。しかし、これらの構築物は、全ての多層構築物であり、そしてオートクレーブ中の自己接着の問題を扱わない。
【0016】
Sunに与えられた米国特許第4,724,176号は、照射架橋された外壁、および照射工程によって制御される、非架橋化内部シール層を有する多層の、配向した、熱収縮性のコンテナを開示する。内層および外層は、EVAコポリマーであり得る。このコンテナは、熱の適用において収縮するように設計され、そして、従って、オートクレーブプロセス後全体積を実質的に維持するに違いないコンテナに不適切である。
【0017】
本発明の主要な目的は、当該分野において以前から公知であり、そして商業的に使用されるか、または市販されている、本発明者らが知っている、これらの材料より全体的に優れている高分子材料を提供することである。このような材料の性質としては、可撓性、目視検査のための光学透明度、および顕著な分解または自己接着を起こさない121℃までの温度におけるスチーム滅菌プロセスに耐えるのに十分な耐熱性が挙げられる。材料はまた、非配向性であり、非接着性でありおよび熱シール技術を使用してシールされ得る。材料はまた、実質的に、低分子量の浸出可能な添加物を含まず、そして有意な量の腐食性の無機酸を生成することなく焼却によって安全に処分し得る。最後に、材料が、現在、医療用装置のために現在、使用されている種々のPVC処方物にコスト効果的な代替物として役立つ。
【0018】
米国特許第5,879,768号は、以下を含む高分子組成物のシール層を有する材料から作製された流動可能な材料をパッケージするためのポーチを開示する:(A)(1)5〜95%の少なくとも1種の均一の分枝した,実質的に線状のエチレン/α−オレフィンインターポリマーと(2)0.916g/ccから0.930g/ccまでの密度を有する5%から95%の高圧低密度ポリエチレンのブレンドの10〜100パーセント、そして(B)超低分子密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高圧低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、および均一に分枝した線状エチレンポリマーからなる群から選択される、0〜90%の1つのポリマー。’768号の特許は、このブレンドを照射に曝露する工程を開示せず、そしてポリプロピレンと均一に分枝した実質的な線状エチレン/α−オレフィンインターポリマーとをブレンドすることを開示しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
1つ以上のポリマーが、合金組成物を形成するために混合される場合、全ての上記の目的を同時に達成することは難しい。例えば、多くのアロイが、有意な光散乱を生じる(従って、これらは、光学的清澄性の目的を満たすことができない)。光散乱強度(ヘーズによって測定される)は、マイクロメートル(μ)範囲における組成物のドメインサイズおよび成分の屈折率の近接性に依存する。一般的な法則として、非常に小さいドメインサイズへの十分に加工され得、そして最小の屈折率の不一致をなお有する成分の選択は、難しい作業である。本発明は、これらおよび他の問題を解決するために提供される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
(本発明の要旨)
本発明は、液体チャンバを規定する、周辺の継ぎ目に沿って互いにシールされる第1の側壁および第2の側壁を有する流動材料コンテナを提供する。この第1の側壁および第2の側壁のうちの少なくとも1つは、第1の成分および第2の成分のブレンドの少なくとも1つの層を有するフィルムである。この第1の成分は、以下の群から選択される:(1)約0.915g/cc未満の密度を有するエチレンとのα−オレフィンのコポリマー、(2)低級アルキルアクリレートでコポリマー化されたエチレン、(3)低級アルキル置換アルキルアクリレートでコポリマー化されたエチレン、および(4)イオノマー。この第1の成分は、この混合体の約99%重量から約55%重量の量で存在する。この第2の成分は、この混合体の約45%重量から約1%重量の量で存在し、そして以下の群の1つ以上のポリマーからなる:(1)プロピレン含有ポリマー、(2)ポリブテンポリマー、(3)ポリメチルペンテンポリマー、(4)環状オレフィン含有ポリマー、および(5)架橋多環式炭化水素含有ポリマー。このフィルムは、ASTM D882に従って測定した場合、約60,000psi未満の弾性率、ASTM
D1003に従って測定した場合、約25%未満の内部ヘーズ(haze)、約2よりも大きい内部接着ランク(以下で規定される)、120℃で27psiの負荷の下で、約5ミルから約15ミルまでの厚さを有するフィルムについて150%以下のサンプルクリープ(creep)を有し、そしてこのフィルムを加熱して、シールを有するコンテナ中に密封し得、ここでこのシールは、このコンテナが121℃で1時間オートクレーブされた場合、無傷のままである。したがって、本発明は、以下を提供する。
(1) 流動可能な材料のコンテナであって、以下を含む:
第1の側壁および第2の側壁であって、該第1の側壁および第2の側壁は、流体チャンバを規定する周辺の継ぎ目に沿って一緒にシールされ、該第1の側壁および該第2の側壁の少なくとも1つが、第1の成分と第2の成分とのブレンドの少なくとも1つの層を有するフィルムであり、該第1の成分は、以下:
(1)約0.915g/cc以下の密度を有するエチレンとα−オレフィンとのコポリマー;
(2)低級アルキルアクリレートとコポリマー化したエチレン;
(3)低級アルキル置換されたアルキルアクリレートとコポリマー化されたエチレン;および
(4)イオノマー、
からなる群から選択され、該第1の成分は、該ブレンドの約99重量%〜約55重量%の量で存在し、該第2の成分は、該ブレンドの約45重量%〜約1重量%の量で存在し、そして以下:
(1)プロピレン含有ポリマー;
(2)ポリブテンポリマー;
(3)ポリメチルペンテンポリマー;
(4)環状オレフィン含有ポリマー;および
(5)架橋された多環式の炭化水素を含むポリマー、
からなる群から選択され、そして、
該フィルムが、ASTM D882に従って測定される場合、約60,000psi以下の弾性率を有し、ASTM D1003に従って測定される場合、約25%以下の内部ヘーズを有し、約2より大きい内部接着ランキングを有し、27psi負荷の下で120℃における、約5ミルから約15ミルまでの厚さのフィルムに対して150%以下のサンプルクリープを有し、そして該フィルムは、シールを有するコンテナに熱シールされ得、ここで、該コンテナが121℃で1時間オートクレーブされる場合、該シールは、無傷のままである。
(2) 項目1に記載のコンテナであって、上記第2の成分が、プロピレン含有ポリマーであり、そしてポリプロピレンのホモポリマー、α−オレフィン、1種以上のコモノマーとのプロピレンランダムコポリマーおよびブロックコポリマーならびにポリピレンのランダムターポリマーおよびブロックターポリマーからなる群から選択され、該1種以上のコモノマーが、約2個〜約17個の炭素原子を有するα−オレフィンから選択される、コンテナ。
(3) 項目2に記載のコンテナであって、上記第2の成分が、コポリマーの1〜6重量%のエチレン含有量を有するプロピレンとエチレンとのコポリマーである、コンテナ。
(4) 項目2に記載のコンテナであって、上記第2の成分が、第1のプロピレン含有ポリマーと第2のプロピレン含有ポリマーとのブレンドである、コンテナ。
(5) 項目4に記載のコンテナであって、上記第1のプロピレン含有ポリマーが、第1の溶融流動速度を有し、そして上記第2のプロピレン含有ポリマーが、第2の溶融流動速度を有し、ここで該第1の溶融流動速度が、該第2の溶融流動速度よりも約3倍大きい、コンテナ。
(6) 項目4に記載のコンテナであって、上記第1のプロピレン含有ポリマーが、第1の溶融流動速度を有し、そして上記第2のプロピレン含有ポリマーが、第2の溶融流動速度を有し、ここで該第1の溶融流動速度が、該第2の溶融流動速度よりも約5倍大きい、コンテナ。
(7) 項目4に記載のコンテナであって、上記第1のプロピレン含有ポリマーが、第1の融点温度を有し、そして上記第2のプロピレン含有ポリマーが、第2の融点温度を有し、ここで該第1の融点温度が、該第2の融点温度よりも少なくとも5℃高い、コンテナ。
(8) 項目4に記載のコンテナであって、上記第1のプロピレン含有ポリマーが、第1の融点温度を有し、そして上記第2のプロピレン含有ポリマーが、第2の融点温度を有し、ここで該第1の融点温度が、該第2の融点温度よりも少なくとも10℃高い、コンテナ。
(9) 上記第2の成分が、環状オレフィンであり、その環において5個から約10個までの炭素を有する、項目1に記載のコンテナ。
(10) 項目9に記載のコンテナであって、上記環状オレフィンが、置換されたおよび置換されていないシクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクテンならびにシクロオクタジエンからなる群から選択される、コンテナ。
(11) 上記第2の成分が、少なくとも7つの炭素を有する架橋された多環式炭化水素である、項目1に記載のコンテナ。
(12) 上記架橋された多環式炭化水素が、少なくとも7つの炭素を有する多環式炭化水素からなる群から選択される、項目11に記載のコンテナ。
(13) 上記第1の成分が、エチレンとのα−オレフィンのコポリマーであって、ここで該α−オレフィンが、3個から17個までの炭素を有する、項目1に記載のコンテナ。
(14) 上記第1の成分が、エチレンとのαーオレフィンのコポリマーであって、ここで該α−オレフィンが、4個から8個までの炭素を有する、項目1に記載のコンテナ。
(15) 上記エチレンとα−オレフィンとのコポリマーが、一部位触媒を使用して得られる。項目14に記載のコンテナ。
(16) 上記ブレンドが、約20kGyから約200kGyまでの吸収線量において電子ビーム照射に供される、項目1に記載のコンテナ。
(17) 上記コンテナを第1のチャンバおよび第2のチャンバに分割する剥離可能なシールをさらに含む、項目1に記載のコンテナ。
(18) 上記剥離可能なシールが、上記コンテナの横側の縁の間に延びる、項目17に記載のコンテナ。
(19) 上記剥離可能なシールが、端部縁の間に延びる、項目17に記載のコンテナ。
(20) 上記剥離可能なシールが、上記コンテナの周囲シールと交差する、項目17に記載のコンテナ。
(21) 流動可能な材料のコンテナであって、以下を含む:
第1の側壁および第2の側壁であって、該第1の側壁および第2の側壁は、流体チャンバを規定する周辺の継ぎ目に沿って一緒にシールされ、該側壁は、第1の成分と第2の成分とのブレンドの少なくとも1つの層を有するフィルムであり、該第1の成分は、以下:
(1)約0.915g/cc以下の密度を有するエチレンとα−オレフィンとのコポリマー、
(2)低級アルキルアクリレートとコポリマー化したエチレン、
(3)低級アルキル置換されたアルキルアクリレートとコポリマー化されたエチレン、および
(4)イオノマー
からなる群から選択され、該第1の成分は、ブレンドの約99重量%〜約55%重量の量で存在し;
該第2の成分は、ブレンドの約45重量%〜約1重量%の量で存在し、そして以下:
(1)プロピレン含有ポリマー、
(2)ポリブテンポリマー、
(3)ポリメチルペンテンポリマー、
(4)ポリマーを含む環状オレフィンを含むポリマー、および
(5)架橋された多環式炭化水素を含むポリマー
からなる群から選択され、
ここで、該フィルムが、150Kevから10Kevまでのエネルギーを有する電子ビーム照射に供されて、約20kGyから約200kGyまでの吸収線量を提供する、コンテナ。
(22) 上記フィルムが、ASTM D882に従って測定される場合、約60,000psi未満の、ASTM D1003に従って測定される場合、弾性率を有し、約25%未満の内部ヘーズを有し、約2より大きい内部接着ランキングを有し、27psi負荷下で120℃における、約5ミルから約15ミルまでの薄さのフィルムに対して150%以下のサンプルクリープを有し、そして該フィルムは、シールを有するコンテナに熱シールされ得、ここで、該コンテナが、121℃で1時間オートクレーブされる場合、該シールが、無傷のままである、項目21に記載のコンテナ。
(23) 上記ブレンドが、電子ビーム照射に曝露された場合、周囲の状態より低い酸素部圧に曝露される、項目21に記載のコンテナ。
(24) 項目21に記載のコンテナであって、上記第2の成分が、であり、そして該プロピレン含有ポリマーがポリプロピレンのホモポリマーからなる群から選択され、約2個から約17個の炭素を有するα−オレフィンから選択される1つ以上のコモノマーとプロピレンのランダムコポリマーおよびブロックコポリマーならびにポリピレンのランダムターポリマーおよびブロックターポリマーからなる群から選択される、コンテナ。
(25) 項目21に記載のコンテナであって、上記第2の成分が、コポリマーの1〜6重量%のエチレン含有量を有するプロピレンとエチレンのコポリマーである、コンテナ。
(26) 項目21に記載のコンテナであって、上記第2の成分が、上記第1のプロピレン含有ポリマーと第2のプロピレン含有ポリマーとのブレンドである、コンテナ。
(27) 項目26に記載のコンテナであって、上記第1のプロピレン含有ポリマーが、第1の溶融流動速度を有し、そして上記第2のプロピレン含有ポリマーが、第2の溶融流動速度を有し、ここで該第1の溶融流動速度が、該第2の溶融流動速度よりも約3倍大きい、コンテナ。
(28) 項目26に記載のコンテナであって、上記第1のプロピレン含有ポリマーが、第1の溶融流動速度を有し、そして上記第2のプロピレン含有ポリマーが、第2の溶融流動速度を有し、ここで該第1の溶融流動速度が、該第2の溶融流動速度よりも約5倍大きい、コンテナ。
(29) 項目26に記載のコンテナであって、上記第1のプロピレン含有ポリマーが、第1の融点温度を有し、そして上記第2のプロピレン含有ポリマーが、第2の融点温度を有し、ここで該第1の融点温度が、該第2の融点温度よりも少なくとも5℃高い、コンテナ。
(30) 項目26に記載のコンテナであって、上記第1のプロピレン含有ポリマーが、第1の融点温度を有し、そして上記第2のプロピレン含有ポリマーが、第2の融点温度を有し、ここで該第1の融点温度が、該第2の融点温度よりも少なくとも10℃高い、コンテナ。
(31) 上記第2の成分が、その環において5個から約10個までの炭素を有する環状オレフィンである、項目21に記載のコンテナ。
(32) 項目31に記載のコンテナであって、上記環状オレフィンが、置換されたシクロペンテンおよび置換されていないシクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクテンならびにシクロオクタジエンからなる群から選択される、コンテナ。
(33) 上記第2の成分が、少なくとも7つの炭素を有する架橋された多環式炭化水素である、項目21に記載のコンテナ。
(34) 上記架橋された多環式炭化水素が、少なくとも7つの炭素を有する多環式炭化水素からなる群から選択される、項目11のコンテナ。
(35) 上記第1の成分が、3個から17個までの炭素を有するα−オレフィンである、項目21に記載のコンテナ。
(36) 上記第2の成分が、エチレンとαーオレフィンとのコポリマーであって、ここで該α−オレフィンが、4個から8個までの炭素を有する、項目21に記載のコンテナ。
(37) 上記エチレンとα−オレフィンとのコポリマーが、一部位触媒を使用して得られる。項目35に記載のコンテナ。
(38) コンテナが、上記コンテナを第1のチャンバおよび第2のチャンバに分割する剥離可能なシールをさらに含む、項目21に記載のコンテナ。
(39) 上記剥離可能なシールが、上記コンテナの横側の縁の間に延びる、項目38に記載のコンテナ。
(40) 上記剥離可能なシールが、端部縁の間に延びる、項目38に記載のコンテナ。
(41) 上記剥離可能なシールが、上記コンテナの周囲シールと交差しない、項目38に記載のコンテナ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(詳細な説明)
本発明は、多くの異なる形態の実施形態に可能である。本発明の好ましい実施形態は、本開示が本発明の原理の例証としてみなされ、そして例示される実施形態に本発明の広い局面を限定する意図でないという了解の下で開示される。
【0022】
(I. ポリマー混合体およびその単層フィルム)
図1は、本発明の単層フィルム10を示す。この単層フィルム10は、第1の成分および第2の成分を有するポリマー混合体から作製される。この第1の成分は、以下の群から選択される:(1)約0.915g/cc未満の密度を有するエチレンとα−オレフィンとのインターポリマー、(2)エチレンと低級アルキルアクリレートとのインターポリマー、(3)エチレンと低級アルキル置換アルキルアクリレートとのインターポリマー、ならびに(4)イオン性ポリマー(通常イオノマーと称される)。この第1の成分は、この混合体の約99%重量から約55%重量の量で、より好ましくは約60%重量〜85%重量、最も好ましくは約65%重量〜80%重量で存在する。
【0023】
この第2の成分は、以下からなる群から選択される:(1)プロピレン含有ポリマー、(2)ブテン含有ポリマー、(3)ポリメチルペンテン含有ポリマー、(4)環状オレフィン含有ポリマー、および(5)架橋多環式炭化水素含有ポリマー。この第2の成分は、この混合体の約45%重量から約1%重量の量で、より好ましくは約15%重量〜40%重量、最も好ましくは約20%重量〜35%重量で存在する。
【0024】
このフィルムは、ASTM D882に従って測定した場合、約60,000psi未満の弾性率、ASTM D1003に従って測定した場合、約25%未満の内部ヘーズ、約2よりも大きい自己接着ランク(以下で規定される)を有し、オーバーポーチ材料に対する接着がわずかに存在するかまたは存在せず、120℃で27psiの負荷で、150%以下のサンプルクリープを有し、そしてこのフィルムを加熱して、シールを有するコンテナ中にシールし得、ここでこのシールは、液体を満たしたコンテナが121℃で1時間オートクレーブされた場合、インタクトなままである。
【0025】
本明細書中で使用される場合、用語「インターポリマー」には、ランダムまたはブロックのいずれかのコポリマー、ターポリマーが挙げられる。
【0026】
適切なエチレンとα−オレフィンとのインターポリマーは好ましくは、ASTM D−792によって測定された、約0.915g/cc未満の密度を有し、そして通常、超低密度(very low density)ポリエチレン(VLDPE)、超低密度(ultra low density)エチレン(ULDPE)などという。このα−オレフィンは、3〜17個の炭素、より好ましくは4〜12個、そして最も好ましくは4〜8個の炭素を有するべきである。本発明の好ましい形態において、このエチレンとα−オレフィンとのコポリマーは、単一部位触媒を使用して得られる。適切な単一部位触媒系は、とりわけ、米国特許第5,783,638号および同第5,272,236号において開示される触媒である。適切なエチレンとα−オレフィンとのコポリマーには、Dow Chemical CompanyによってAFFINITYという商品名で、Dupont−DowによってENGAGEという商品名で、ならびにExxonによってEXACTおよびPLASTOMERという商品名で売られている、エチレンとα−オレフィンとのコポリマーが挙げられる。
【0027】
用語「低級アルキルアクリレート」とは、図解1に記載される式を有するコモノマーをいう:
【0028】
【化1】

このR基は、1〜17個の炭素を有するアルカンをいう。従って、用語「低級アルキルアクリレート」には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0029】
用語「アルキル置換アルキルアクリレート」とは、図解2に記載される式を有するコモノマーをいう:
【0030】
【化2】

およびRは、1〜17個の炭素を有するアルカンであり、そして同じ数の炭素を有するか、または異なる数の炭素を有し得る。従って、用語「アルキル置換アルキルアクリレート」には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルエタクリレート、エチルエタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルエタクリレートなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0031】
適切なプロピレン含有ポリマーには、ポリプロピレンのホモポリマー、2〜17個の炭素を有するα−オレフィンから選択される1つ以上のコモノマーとプロピレンとのコポリマーおよびターポリマーからなる群から選択されるポリマーが挙げられる。適切なポリプロピレンコポリマーおよびターポリマーには、ランダムもしくはブロックプロピレンおよびエチレンコポリマー、またはランダムもしくはブロックプロピレン/エチレン/ブテンターポリマーが挙げられる。適切なプロピレンとα−オレフィンとのコポリマーは、Montellによって、PRO FAX、PRO FAX ULTRAおよびCATALLOYという商品名で売られている。
【0032】
本発明はまた、プロピレン含有ポリマーの混合体を、この混合体の第2の成分として使用することを意図する。本発明の好ましい形態において、この混合体は、少なくとも第1のプロピレン含有ポリマーおよび第2のプロピレン含有ポリマーを含む。この第1のプロピレン含有ポリマーおよび第2のプロピレン含有ポリマーは、上記に記載されるプロピレンホモポリマー、コポリマーおよびターポリマーから選択され得る。本発明の好ましい形態において、この第1のプロピレン含有ポリマーは、2つの方法のうちの少なくとも1つにおいて、第2のプロピレン含有ポリマーから異なる。この第1の相違は、この第1のプロピレン含有ポリマーは、第1のプロピレン含有ポリマーは好ましくは、第2のプロピレン含有ポリマーの3倍速い融解流速、そしてより好ましくは5倍高い融解流速を有するべきであることである。第2の相違は、この第1のプロピレン含有ポリマーは好ましくは、第2のプロピレン含有ポリマーの融点よりも少なくとも約5℃高い融点、そしてより好ましくは少なくとも約10℃高い融点を有することである。この融点は、ASTM D3417(Enthalpies of Fusion and Crystallization of Polymers by Differential Scanning Calorimetry)に従って測定される。この第1のプロピレン含有ポリマーは、この第1の相違だけ、第2の相違だけまたは両方ともが第2のプロピレン含有ポリマーと異なり得る。
【0033】
適切な環状オレフィンと架橋多環式炭化水素とのホモポリマーおよびコポリマー、ならびに、ならびにそれらのブレンドは、米国特許第5,218,049号、同第5,854,349号、同第5,863,986号、同第5,795,945号、同第5,792,824号;および欧州特許EP 0 291,208、EP 0 283,164、EP 0 497,567(これらはその全体が本明細書中で参考として援用され、そして本明細書の一部分を作製する)において見出され得る。
【0034】
本発明の好ましい形態において、適切な環状オレフィンモノマーは、その環内に5から約10個の炭素を有する単環式化合物である。この環状オレフィンは、置換されるかもしくは置換されないシクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロへプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクテン、シクロオクタジエンからなる群から選択され得る。適切な置換基には、低級アルキル、アクリレート誘導体などが挙げられる。
【0035】
本発明の好ましい形態において、適切な架橋多環式炭化水素モノマーは、2つ以上の環を有し、そしてより好ましくは、少なくとも7個の炭素を含む。この環は、置換されてもいいしまたは置換されなくてもよい。適切な置換基には、低級アルキル、アリール、アラルキル、ビニル、アリルオキシ、(メタ)アクリルオキシなどが挙げられ得る。この架橋多環式炭化水素は、上記で援用された特許および特許出願において開示される炭化水素からなる群から選択される。適切な架橋多環式炭化水素含有ポリマーは、TiconaによってTOPASという商品名で、Nippon ZeonによってZEONEXおよびZEONORという商品名で、Daikyo Gomu SeikoによってCZ樹脂という商品名で、そしてMitsui Petrochemical CompanyによってAPELという商品名で売られている。
【0036】
本発明の好ましい形態において、このフィルムは、以下の物理的特徴を有する:(1)ASTM D882に従って測定した場合、約60,000psi未満の弾性率、(2)ASTM D1003に従って測定した場合、約25%未満の内部ヘーズ、(3)以下で規定されるように、約2よりも大きい自己接着ランキング、(4)オーバーポーチ材料に対する接着がなく、(5)120℃で、約27psiの負荷で、150%以下のサンプルクリープを有し、そして(6)このフィルムを加熱して、シールを有するコンテナ中にシールし得、ここでこのシールは、液体を満たしたコンテナが121℃で1時間オートクレーブされた場合、無傷なままである。
【0037】
このフィルムはまた、流動可能な材料のコンテナを構築するのに十分に可撓性である。このフィルムは、ASTM D−882に従って測定した場合、約60,000psi未満の弾性率を有し、より好ましくは約40,000psi未満の弾性率、さらにより好ましくは約30,000psi未満、そして最も好ましくは約20,000psi未満の弾性率を有する。この流動可能な材料のコンテナがI.V.コンテナの場合、流出の際にこのコンテナをたたむ、もしくは実質的にたたむことが望ましく、そして従って、ASTM D−882に従って測定した場合、約40,000psi未満の弾性率、より好ましくは約30,000psi未満、そしてさらにより好ましくは約20,000psi未満の弾性率を有するべきである。
【0038】
本発明の目的のために、自己接着が、オートクレーブの間にそれ自体に接着するフィルムの傾向として規定される。この特性は、以下の試験で決定され得る。フィルム小片は、8インチ×2インチに、機械の方向においてより大きい寸法になるように切断する。これらの小片を、2インチ長のチューブに、直径およそ0.5インチに巻く。この巻いたフィルムを、紙クリップで、1つの縁でフィルム層を一緒に加圧することによって適所に保持する。次いで、このチューブを蒸気オートクレーブ中に、121℃で30分間配置する。このサンプルを、少なくとも1時間室温で冷却させる。次いでこのチューブを巻きとる。この巻きとりに対する耐性およびこのフィルムに対する相対損傷を、以下の表1に示すようにランク付けする:
表1
ランク 観察結果
1 フィルムを破壊することなく、このフィルムを巻きとり得ない。
2 このフィルムを引き剥がしにくく、そして有意な表面損傷の結果を生じる。
3 引き剥がしに対するいくらかの抵抗と、わずかな表面損傷に気付く。
4 表面損傷がわずかか、またはほとんどなく、わずかな引き剥がしに対する抵抗に気付く。
5 引き剥がしに対する抵抗および表面損傷に気付かない。
ランクは、3人以上の個体によって決定され、そして平均として記録する。
【0039】
オーバーポーチ材料に対する接着が、以下の定性試験によって決定される。1インチ幅のフィルム小片が、代表的なオーバーポーチバッグ(中密度または高密度のポリエチレン)中にシールされる。次いで、このオーバーポーチバッグが、実験用オートクレーブ中に、252°Fで、24.5psigゲージ圧力で1時間配置される。オートクレーブの後、このバッグが切り開かれ、そして小片が取り出される。このフィルムが、このフィルム表面上に損傷の跡を残すことなしにオーバーポーチから分離される場合、接着無し(N)のランクが与えられる。このフィルム分離が、目に見える損傷を生じる場合、ランクは、オーバーポーチに対する接着が存在することを示す(Y)を与えられる。わずかな接着(S)を示すランクもまた与え得られる。
【0040】
クリープ特性が、温度調節オーブン中で、120℃で、約5ミルから約15ミルまでの厚さを有するフィルム小片をクランプすることによって、そして約27psiの圧力を生じる重さで負荷することによって、決定された。40分間の負荷の後、このフィルム小片が取り出され、そして先に標識した1インチのギャップにおける寸法の変化が記録された。
【0041】
このフィルムは、標準的な熱シール技術を使用してシールされ得る。流体コンテナ(例えば、図3に記載されるようなもの)が、中央に配置された流体チャンバを規定するために周辺端をシールすることによってこのフィルムから作製される場合、適切な熱シールが形成される。このコンテナは水で満たされ、そして標準的なオートクレーブ滅菌プロセスに供される。適切な熱シールは、オートクレーブサイクルの完了の際にインタクトなままである。
【0042】
本発明のフィルムは、ASTM D1003に従って測定した場合、約25%未満のヘーズ、最も好ましくは、約15%未満のヘーズを有する。本発明の目的のために、内部ヘーズは、両方のフィルム表面をイソプロピルアルコールで湿らせた場合に測定されたヘーズ値として規定される。
【0043】
(II.ポリマーおよびフィルムの処理)
本発明のフィルムを生成するために、重量フィーダーを使用して所望の混合比で、未加工の材料が押出しホッパー中に供給される。この材料は、押出しダイを使用して押出され、単層フィルムを生成する。このフィルムは、適切なエネルギー供給源で照射され、次いで流体コンテナを形成するためにシールされる。押出しの前に、ブレンドを照射に曝露することもまた意図される。この未加工の材料はまた、単一スクリュー、二重スクリューもしくは当業者に公知の他の混合方法を使用して、押出しの前に予め配合され得る。
【0044】
このフィルムを照射する好ましい方法は、約150Kev〜10Mev、より好ましくは200〜300Kevのビームエネルギーで、ならびに約20kGysから約200kGysまで、およびより好ましくは約60〜150kGysの線量で、このフィルムを電子ビームに曝露することである。あるいは、このフィルムは、当業者に公知の技術を使用して架橋され得る。工業において使用される架橋の方法には、電離放射線(ガンマ線、ベータ線、紫外線など)への曝露、ならびに化学的反応(過酸化反応および縮合反応)が挙げられる。
【0045】
電子ビーム曝露中および電子ビーム曝露後の、このフィルムの酸化分解を減少または最小にするために、照射に曝露されるフィルムの周りの領域における酸素分圧を減少することが望ましい。この酸素分圧は、真空を付与することによって、もしくは加圧した窒素のような別の気体を付与することによって、またはこの目標を達成するための他の公知の技術によって、減少され得る。本発明の好ましい形態において、窒素流動の間この酸素濃度は、約100ppm未満、より好ましくは約40ppm未満である。
【0046】
(III.多層フィルム)
図2は、上記に記載される単層の層12を含む多層フィルム20の例を示す。本発明の好ましい形態において、この単層フィルムはシール層であるべきである。この多層フィルム20は、任意の追加の層14、または、例えば少数を挙げるとスキン層(skin layer)、高周波感受性層、水防湿材層、気体障壁層、断片層、シール層およびコア層のような層から選択される追加の層の組合わせを含み得る。
【0047】
このスキン層は、このフィルムの擦り減り耐性を増加するために添加され得る。このスキン層は、プロピレンおよびエチレンの、ホモポリマーおよびコポリマーのようなオレフィン材料であり得る。このスキン層はまた、ポリエステル、コポリエステル、ポリアミドまたはコポリアミドであり得る。用語「コポリエステル」などは、1つよりも多くのジオールおよび二塩基酸から合成されるポリエステルに適用される。本明細書中で使用される場合、コポリエステルはまた、ポリエーテルとポリエチレンテレフタレートとのコポリマーとして特徴付けられる。より好ましくは、本明細書中で使用される場合、コポリエステルは、反応物としての1,4シクロヘキサンジメタノール、1,4シクロヘキサンジカルボン酸、およびポリテトラメチレングリコールエーテル、または上記のいずれかの等価物から誘導される重合体材料として特徴付けられる。
【0048】
適切な水防湿材層には、HDPE、MDPEおよびポリエステル(PET、PBT、PENなど)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0049】
適切な気体障壁層は、酸素、二酸化炭素または他の気体の通過を抑制する層である。適切な気体障壁層には、ポリエステルおよびポリアミドが挙げられるがこれらに限定されない。
【0050】
照射の前に生成される断片材料は、1つ以上の層の中に組み込まれ得る。
【0051】
(IV.流動可能な材料のコンテナ)
図3は、流動可能な材料のコンテナ、および特にI.V.コンテナ30を示す。図4は、I.V.投与セット40を示し、そして図5は、腹膜透析セット50を示す。本発明はさらに、本発明の混合体からの医療用チューブの製造を意図する。チューブの放射線処理は、増加した厚さおよびチューブの円形に起因してフィルムとは異なるが、チューブはフィルムについて上記に記載した照射エネルギー範囲内で効果的に処理され得る。「流動可能な材料」によって意味されるものは、重力によって流れる材料である。従って、流動可能な材料には、液体物品および粉末または顆粒状物品などの両方が挙げられる。このコンテナ30は、液体または顆粒状材料のような流動可能な材料を含むためのチャンバ34を規定する周辺端に沿って位置決めおよびシールされる側壁32を有する。ブロー成形のみまたはブロー押出しにより作製されるコンテナについて、長軸方向端がシールされる。ポートチューブ36または複数のポートチューブが、コンテナ30の内容物を充填および空にするために提供される。この側壁およびポートチューブは、上記に記載される単層または多層フィルムの1つから作製される。驚くべきことに、このフィルムから作製された医療用物品および上記に記載されるブレンドは、フィルムが電子ビーム放射で照射されている場合でさえ、熱シールされ得る。
【0052】
熱シールは、当業者に公知である標準的熱シール技術を使用して達成され得る。
【0053】
(V.二重チャンバの剥離可能なシールコンテナ)
図6は、剥離可能なシール76によって分離される第1のチャンバ72および第2のチャンバ74を有する二重チャンバコンテナ70を示す。このコンテナ側壁75は、上記に記載されるポリマーブレンド、単層フィルムまたは多層フィルムのうちの1つから作製される。二重チャンバコンテナは、例えば後に混合するために2つの成分を別々に収容することのような多くの用途に使用され得る。この成分は、液体または粉末であり得る。この剥離可能なシールは、剥離可能なシール76がコンテナの側壁75に力を加えることによって破裂し得るように、シール条件を改変することによって作製され得る。代表的に、チャンバのうちの1つは、液体を含む。液体を含むチャンバにコンテナ側壁75を圧迫することによって、この液体内容物が剥離可能なシール76に向かって流れ、そして十分な圧力を加えることによってこのシール76が破裂し、別々のチャンバに保存された成分が混合され得る。
【0054】
図6は1つのみの剥離可能なシール76を示すが、多くの剥離可能なシールが多くのチャンバを作製するために提供され得ることが意図される。さらに、図6は、横側の端の間を走る剥離可能なシールを示す。この剥離可能なシールは、長軸方向の端の間、または単に、チャンバを規定する恒久的な周辺の縫い目79を横切らない領域の周りを伸長し得ることもまた意図される。
【0055】
この剥離可能なシール76は、周辺の側壁をシールすることと同時に、または恒久的な周辺のシールの作製の前もしくは後に作製され得る。この剥離可能なシール76は、シール条件を制御することによって作製され得る。剥離可能なシールは、恒久的な周辺シールを提供するために使用されるよりも低い温度および圧力の適用で、あるいは恒久的なシールなどを提供するために使用されるシール時間を短くすることによって、作製される。この剥離可能な特徴のさらなる増強は、フィルムの表面の特徴の局所的な改変で得られ得る(コロナ処理または他の適切な処理)。
【0056】
このコンテナは、超音波溶接技術、伝導熱シール技術および当該分野で公知の他の技術を使用して、シールされ得る。
【実施例】
【0057】
(VI.実施例)
以下の表において同定されるブレンドを、押出しプロセスを使用して単層フィルムに作製した。このフィルムを、以下の表に記載される線量で、200Kevから300Kevの加速電圧を有する電子ビーム放射に曝露した:
【0058】
【表1】

Dow Affinity PL 1880は、0.902g/ccの密度を有するULDPEである。
DuPont Dow Engage 8003は、0.885g/ccの密度を有するULDPEである。
Exxon PP305GE1は、プロピレンのホモポリマーである(MFR 440)。
Montell SA−861は、プロピレンおよびエチレンコポリマーである(MFR 6.5)。
Montell SA 982は、プロピレンおよびエチレンコポリマーである(MFR 100)。
「NA」は、使用不可能を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、本発明の単層フィルムの横断面図である。
【図2】図2は、本発明の多層フィルムの横断面図である。
【図3】図3は、本発明のフィルムから作製された材料コンテナである。
【図4】図4は、I.V.流体投与セットである。
【図5】図5は、腹膜透析コンテナおよびチュービングセットである。
【図6】図6は、チャンバを分離する剥離可能なシールを有する、二重チャンババッグである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載のシールコンテナ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−94500(P2008−94500A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315279(P2007−315279)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【分割の表示】特願2001−566496(P2001−566496)の分割
【原出願日】平成13年3月16日(2001.3.16)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【Fターム(参考)】