説明

新規なオキサゾールと、その製造方法と、その薬剤としての利用法

本発明の対象は、一般式(I)の化合物と、その医薬的に許容可能な塩と、その鏡像異性体と、そのジアステレオマーと、そのラセミ化合物と、一般式(I)の化合物の製造方法と、その化合物を含む薬およびその製造方法と、その化合物を利用してがんなどの病気を制御または予防する方法である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なオキサゾール誘導体と、その製造方法と、その誘導体を含む薬およびその薬の製造方法と、その化合物を医薬的に活性な薬剤として利用する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
プロテインチロシンキナーゼ(PTK)は、細胞の増殖や分化の調節に関係するさまざまなタンパク質のチロシル残基をリン酸化する触媒となる(Wilks他、Progress in Growth Factor Research、第97巻、1990年、2ページ;Chan, A.C.とShaw, A.S.、Curr. Opin. Immunol.、第8巻、1996年、394〜401ページ)。PTKは、受容体チロシンキナーゼ(例えばEGFR/HER-1、c-erB2/HER-2、c-met、PDGFr、FGFr)と、非受容体チロシンキナーゼ(例えばsrc、lck)に分けることができる。多くのがん遺伝子が、タンパク質として、細胞の変異を引き起こすことのできる異常なチロシンキナーゼをコードしていることが知られている(Yarden, Y.とUlrich, A.、Annu. Rev. Biochem.、第57巻、1988年、443〜478ページ;Larsen他、Ann. Reports in Med. Chem、1989年、第13章)。正常な原がんチロシンキナーゼが過剰発現すると、増殖性疾患になる可能性もある。
【0003】
ヒトによく見られるがん(乳がん、胃腸がん(大腸がん、直腸がん、胃がん)、白血病、卵巣がん、気管支がん、膵臓がん)においてHERファミリーの受容体チロシンキナーゼであるHER-2やEGFR(HER-1)がしばしば異常に発現することが知られている。これら受容体の発現レベルが高いことは、予後が悪く、治療に対する反応がよくないことと相関している(Wright, C.他、Br. J. Cancer、第65巻、1992年、118〜121ページ)。
【0004】
したがって受容体チロシンキナーゼの阻害剤が、哺乳動物のがん細胞増殖に対する選択的阻害剤として有効であると以前から考えられている。そこでいくつかの小分子化合物とモノクローナル抗体を用い、さまざまなタイプのがんを治療するための臨床実験が行なわれている(Baselga, J.とHammond, L.A.、Oncology、第63巻(補1)、2002年、6〜16ページ;Ranson, M.とSliwkowski, M.X.、Oncology、第63巻(補1)、2002年、17〜24ページ)。
【0005】
置換されたオキサゾールがいくつか従来技術で知られている。WO 98/03505、ヨーロッパ特許第1,270,571号、WO 01/77107、WO 03/059907には、関連した複素環式化合物が、チロシンキナーゼの阻害剤として開示されている。
【0006】
驚くべきことに、スチリル部分の置換パターンを特別な形にした本発明のオキサゾール誘導体では、活性が、従来から知られている関連化合物と比べて増大することがわかった。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明は、一般式(I)の新しい化合物:
【化1】

(ただしRは、ハロゲンであるか;メチル基またはエチル基(両方とも、場合によっては1個または数個のハロゲンで置換されていてもよい)であり;ただしRはフルオロではない)と、その医薬的に許容可能な塩に関する。
【0008】
本発明の化合物は、HERシグナル伝達経路の阻害剤としての活性を示すため、抗増殖活性を有する。本発明の対象は、この化合物とその医薬的に許容可能な塩、その化合物の製造方法、その化合物を含む薬とその製造方法、その化合物を用いた病気(特に、上記の病気や疾患)の制御法または予防法と、それに適した薬の製造である。
【0009】
この明細書では、“ハロゲン”という用語は、フッ素、塩素、臭素のいずれかを意味するが、フッ素または塩素であることが好ましい。
【0010】
Rにおける好ましい置換されたメチル基またはエチル基は、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロメチルである。
【0011】
本発明の化合物は、その医薬的に許容可能な塩の形態で存在していてもよい。“医薬的に許容可能な塩”という用語は、毒性のない適切な有機酸または無機酸から形成される従来の酸添加塩で、本発明の化合物が持つ生理学的な効果と性質を保持しているものを意味する。酸添加塩の具体例としては、無機酸(例えば塩酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸など)から誘導されるものと、有機酸(例えばp-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)から誘導されるものがある。医薬化合物(すなわち薬)を化学的に修飾して塩にする方法は薬化学の専門家には周知であり、修飾によってその化合物の物理的・化学的な安定性、吸湿性、流動性、可溶性が向上する。例えばAnsel, H.他、『投与する薬の形状と薬送達システム』、第6版、1995年、196ページと1456〜1457ページを参照のこと。
【0012】
本発明の好ましい一実施態様は、一般式(I)の化合物である、
1-[4-(4-{2-[2-(E)-(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-ビニル]-オキサゾル-4-イルメトキシ}-フェニル)-ブチル]-1H-[1,2,3]トリアゾールと;
1-[4-(4-{2-[2-(E)-(2-フルオロ-4-トリフルオロメチル-フェニル)-ビニル]-オキサゾル-4-イルメトキシ}-フェニル)-ブチル]-1H-[1,2,3]トリアゾールである。
【0013】
本発明のさらに別の一実施態様は、一般式(I)の化合物を製造する方法である。この方法では、
(a)一般式(V)の化合物:
【化2】

を一般式(IV)の化合物(ただしRは上に定義したのと同じものである):
【化3】

と反応させて一般式(I)の各化合物を取得し;
(b)その一般式(I)の化合物を反応混合物から分離し;
(c)望むのであれば、それを医薬的に許容可能な塩に変換する。
【0014】
一般式(I)のオキサゾール誘導体、またはその医薬的に許容可能な塩は、それと化学的に関連した化合物の製造に適用できることが当業者に知られている任意の方法で製造することができる。その方法を一般式(I)のオキサゾール誘導体またはその医薬的に許容可能な塩の製造に利用することが、本発明のさらに別の特徴となる。そこでその方法を、以下のスキーム1に示した代表例で説明する。このスキーム1では、特に断わらない限り、Rは上に説明したのと同じものである。必要な出発材料は、有機化学の標準的な手続きによって得ることができる。そのような出発材料の製造については添付の実施例に記載してあるが、方法はそれだけに限らない。あるいは必要な出発材料は、有機化学の当業者にとって可能なすでに説明した方法と似た方法で得ることもできる。
【0015】
【化4】

【0016】
本発明の化合物を合成するための好ましい1つの方法では、対応するベンズアルデヒド(Ia)から出発する。反応系列の第1ステップは、マロン酸とのクネベナーゲル縮合と、それに付随する脱炭酸反応であり、その結果として一般式(II)のアクリル酸が生成する。この反応は、一般に、溶媒(例えば、ピリジン、N-メチルピロリジノン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、これらの混合物)中で、140℃までの温度にて行なわせる。一般に使用される塩基は、ピペリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンである。
【0017】
得られた一般式(II)のアクリル酸を、当業者にとって標準的な方法により、対応する一般式(III)のアミドに変換する。方法としては、例えば、一般式(II)のカルボキシル基を、溶媒(例えばテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、これらの混合物)中で塩化オキサリルを用いて-30℃〜40℃にて活性化する方法がある。
【0018】
一般式(IV)の塩化物は、一般に知られている方法、またはそれを改変した方法で合成できる。一般式(III)のアミドと1,3-ジクロロアセトンに対して縮合/脱水操作を行なうと、一般式(IV)の化合物が生成する。この種の反応を行なわせるための一般的な溶媒は、トルエン、ベンゼン、アセトン、クロロホルムである。望むのであれば、反応を溶媒なしで行なわせることもできる。反応温度は、50℃〜150℃の範囲が可能である。
【0019】
一般式(I)のオキサゾール誘導体は、当業者によく知られている反応によって得ることができる。例えばスキーム1に従い、一般式(IV)の化合物を用いて4-(4-[1,2,3]トリアゾル-1-イル-ブチル)フェノールをアルキル化することによって得られる。一般に、アルキル化は、ヨウ化カリウムまたはヨウ化ナトリウムの存在下で、溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノン、ジメチルホルムアミド)中で実施する。この反応で一般に用いられる塩基は、ナトリウムメチラート、水素化ナトリウム、リチウムジイソプロピルアミド、炭酸セシウムである。反応温度は、50℃〜150℃の範囲が可能である。
【0020】
本発明の化合物とその医薬的に許容可能な塩は、貴重な薬理特性を有する。この化合物は、HERシグナル伝達経路を阻害することと、抗増殖活性を示すことが見いだされた。したがって本発明の化合物は、HERファミリーの受容体チロシンキナーゼであるHER-2やEGFR(HER-1)が過剰に発現することが知られている病気の治療および/または予防、中でも上述の病気の治療および/または予防に役立つ。
【0021】
本発明によれば、特定の置換パターンがあると、すなわちスチリル部分に2-フルオロ置換がある本発明のオキサゾール誘導体では、そのオキサゾール誘導体の活性が、従来技術で知られている関連化合物と比べて非常に増大する。これは驚くべきことである。というのも、密接な関係のある化合物(例えば、この明細書の実施例1と5に開示してある対応する3-フルオロ-4-クロロ化合物や3,4-ジクロロ化合物は、納得できる活性を持たないからである。この明細書の実施例4に開示してある3-トリフルオロメチル化合物は不活性である。4-トリフルオロメチル化合物(すなわち1-[4-(4-{2-[2-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-ビニル]-オキサゾル-4-イルメトキシ}-フェニル)-ブチル]-1H-[1,2,3]トリアゾール(WO 01/77107の88ページの実施例4)であり、以下の生物アッセイにおける参照化合物)も、本発明の化合物と比べて小さな活性しか示さない。
【0022】
HERシグナル伝達経路の阻害剤としての本発明の化合物の活性を、以下の生物アッセイによって明らかにする。
【0023】
アッセイの説明:
【0024】
A549細胞(ヒト肺がん細胞系)を、2.5%のFCSと、2mMのグルタミンと、100単位/mlのペニシリンと、100μg/mlのストレプトマイシンとを含むRPMI1640の中で培養した。アッセイを行なうため、384ウエルのプレートに、同じ培地を用いて細胞をウエル1つにつき900個の割合で植えた。翌日、(DMSOの中に10mMの濃度となるように溶かした)化合物を、3μM〜0.15nMの範囲のさまざまな濃度(10通りの濃度、3倍に希釈)にして添加した。5日後、MTTアッセイを、主として製造者の指示に従って実施した(細胞増殖キットI、MTT、ロッシュ・モレキュラー・バイオケミカルズ社)。簡単に説明すると、MTT標識試薬を添加して最終濃度を0.5mg/mlにし、5%CO2雰囲気下で37℃にて4時間にわたって培養した。この培養中に紫色のホルマザンの結晶が形成される。可溶化溶液(20%SDSを含む0.02MのHCl)を添加した後、プレートを5%CO2雰囲気下で37℃にて一晩にわたって培養した。注意深く混合した後、ビクター2(走査マルチウエル分光計、ワラック社)の中で550nmにてプレートを測定した。
【0025】
生きた細胞の数が減少すると、サンプル中の全代謝活性が低下する。この減少は、紫色のホルマザンの結晶が可溶化することによる紫色の強度と直接相関している。
【0026】
細胞:
A549:384ウエルのプレート(グレイナー社)に、ウエル1つにつき60μl中に細胞を900個
培地:2.5%のFCSと、グルタミンと、ペニシリン/ストレプトマイシンとを含むRPMI1640
培養:37℃にて1日間
【0027】
誘導:
- DMSOで化合物を希釈:10mMの化合物が3μl + DMSOが27μl、3倍に希釈
- 希釈した2μlの化合物を95μlの培地に添加
- 希釈した10μlの化合物を、テスト・プレート内の60μlの培地に添加→ウエル1つにつき0.3%DMSO
- 5%CO2雰囲気下で37℃にて120時間(5日間)にわたって培養
【0028】
分析:
- 7μlのMTT(ウエル1つにつき5mg、7ml)を添加し、37℃にて4時間にわたって培養
- ウエル1つにつき30μlの溶解用緩衝液(20%DMSO、0.04NのHCl)を添加
- 37℃にて一晩にわたって培養
【0029】
測定:
ビクター2、550nm
IC50の決定は、XLフィットを用いて行なった。
【0030】
結果:
【表1】

【0031】
腫瘍の抑制に関する生体内アッセイ:
【0032】
原発性腫瘍を作るため、NSCLC(例えばQG56、A549、Calu-3)細胞(100μlの体積に4〜5.0×106個)を、1mlの注射器と26Gの針を用い、メスのSCIDベージュ・マウスまたはBALB/cヌード・マウスの左脇腹に皮下注射する。腫瘍細胞は、元々はNCIから入手したものであり、それが稼働している細胞バンクに寄託されている。細胞を試験管内で解凍して増殖させた後、実験で使用する。細胞を注射してから14〜21日後、マウスを複数の処理グループに振り分ける。グループ分けの際には(1つのグループには10〜15匹のマウス)、1つのグループにつき原発性腫瘍の平均体積が約100〜150mm3という似た値になるようにマウスをランダム化した。テスト化合物を、7.5%のゼラチンと0.22%のNaClを含む懸濁液として、実際の体重に基づき、10ml/kgの量を1日に1回経口投与する。処理は、病期分類の1日後に開始し、研究の終了日である20〜50日後まで行なう。皮下注射した原発性腫瘍は、ランダム化を行なう前から、電子ノギスを用いて2方向(縦と横)を1週間に2回測定する。原発性腫瘍の体積は、公式:V (mm3)=(縦 (mm)×横 (mm)×横 (mm))/2を用いて計算する。さらに、全マウスの体重を1週間に少なくとも2回記録する。最後に、研究の終了時、腫瘍を取り出して重さを測る。
【0033】
本発明の化合物とその医薬的に許容可能な塩は、薬として(例えば医薬組成物の形態で)使用することができる。医薬組成物は、例えば錠剤、コーティングされた錠剤、ドラジェ、硬いゼラチン・カプセル、柔らかいゼラチン・カプセル、溶液、エマルジョン、懸濁液などの形態で経口投与することができる。しかし投与は、例えば座薬の形態で直腸から行なうことや、例えば注射溶液の形態で非経口投与することもできる。
【0034】
上記の医薬組成物は、本発明の化合物を、医薬的に不活性な無機または有機の基剤で処理することによって得られる。ラクトース、コーン・スターチ、これらの誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩などを、例えば錠剤、コーティングされた錠剤、ドラジェ、硬いゼラチン・カプセルのための基剤として用いることができる。柔らかいゼラチン・カプセルに適した基剤は、例えば、植物油、蝋、脂肪、半固体のポリオール、液体ポリオールなどである。活性な物質がどのような性質であるかによるが、柔らかいゼラチン・カプセルの場合には通常は基剤が必要ない。溶液やシロップを作るのに適した基剤は、例えば、水、ポリオール、グリセリン、植物油などである。座薬に適した基剤は、例えば、天然の油、硬化油、蝋、脂肪、半固体のポリオール、液体ポリオールなどである。
【0035】
医薬組成物はさらに、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝液、マスキング剤、酸化防止剤を含むことができる。医薬組成物は、さらに別の重要な物質も含むことができる。
【0036】
好ましい医薬組成物は以下のものを含んでいる。
【0037】
a)錠剤製剤(湿式顆粒化):
【表2】

【0038】
製造手続き:
1.材料1、2、3、4を混合し、精製水とともに顆粒化する。
2.顆粒を50℃にて乾燥させる。
3.顆粒を適切な粉砕装置を通過させる。
4.材料5を添加し、3分間にわたって混合する;適切なプレスで圧縮する。
【0039】
b)カプセル製剤
【表3】

【0040】
製造手続き:
1.適切なミキサーの中で材料1、2、3を30分間にわたって混合する。
2.材料4と5を添加し、3分間にわたって混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
【0041】
c)マイクロサスペンション
1.ガラス・ビーズを4.0g計量し、カスタムメイドの4cmのチューブGL25の中に入れる(ビーズがチューブの半分を占める)。
2.化合物を50mg添加し、へらを用いて分散させ、撹拌する。
3.ゼラチン溶液を2ml添加し(ビーズ:ゼラチン溶液の重量比=2:1)、撹拌する。
4.栓をし、光から保護するためにアルミホイルで包む。
5.粉砕装置用の平衡錘を用意する。
6.レッシュ・ミルの中で20/秒にて4時間にわたって粉砕する(物質によっては30/秒にて24時間まで)。
7.レシピエント用バイアルに接続したフィルタ・ホルダ上で2層のフィルタ(100μm)を用いて400×gにて2分間にわたって遠心分離することにより、ビーズから懸濁液を抽出する。
8.抽出液をメスシリンダーに移す。
9.最終体積になるまで、または抽出液が透明になるまで、少量ずつ(ここでは1回に1ml)の洗浄を繰り返す。
10.ゼラチンを用いて最終体積にした後、ホモジェネートにする。
【0042】
上に説明した調製により、粒径が1〜10μmになった本発明の化合物のマイクロサスペンションが得られる。この懸濁液は経口投与に適しているため、上記の生体内アッセイで使用することができる。
【0043】
本発明の化合物またはその医薬的に許容可能な塩と、治療に影響しない基剤とを含む薬も本発明の1つの目的である。また、その製造方法も本発明の1つの目的である。この方法は、本発明による1種類以上の化合物および/または医薬的に許容可能な塩と、望むのであれば治療に有効な他の1種類以上の物質を、治療に影響しない1種類以上の基剤とともにガレヌス製剤の形態にする操作を含んでいる。
【0044】
本発明によれば、本発明の化合物とその医薬的に許容可能な塩は、病気の制御または予防に役立つ。この化合物は、HERシグナル伝達経路を阻害するとともに抗増殖活性を持っているため、ヒトや動物の疾患(例えばがん)の治療と、それに適した薬の製造に役立つ。用量は、さまざまな因子の影響を受ける。その因子とは、例えば、投与方法、種、年齢、個々の健康状態などである。
【0045】
以下の実施例と参照例は本発明の理解を助けるためのものであり、本発明の真の範囲は、添付の請求項に記載されている。本発明の精神を逸脱することなく、ここに示した手続きを変更できることが理解できよう。
【実施例1】
【0046】
1-[4-(4-{2-[2-(E)-(4-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-ビニル]-オキサゾル-4-イルメトキシ}-フェニル)-ブチル]-1H-[1,2,3]トリアゾール
【0047】
25.0g(158ミリモル)の4-クロロ-3-フルオロベンズアルデヒドと、16.4g(158ミリモル)のマロン酸と、1.34g(15.8ミリモル)のピペリジンと、15.0mlのピリジンの混合物を、二酸化炭素が発生しなくなるまで還流温度に維持した(2時間)。室温まで冷却した後、反応混合物を、氷150gと12NのHCl 30mlの上に注いだ。沈殿物を分離し、水で洗浄し、乾燥させた。収量:26.8g(85%)、3-(4-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-アクリル酸。融点は240〜245℃。
MS:M=199.2 (API-)
1H-NMR (400MHz, D6-DMSO)δ= 6.64 (d, 1H, 2-H)、7.61 (m, 2H, Ar-H)、7.63 (d, 1H, 3-H)、7.84 (dd, 1H, Ar-H)、12.6 (br, 1H, COOH)。
【0048】
20g(100ミリモル)の3-(4-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-アクリル酸を150.0mlのジエチルエーテルに懸濁させた懸濁液に23.7g(14.5ml、200ミリモル)の塩化チオニルを注意深く添加した後、この混合物を加熱して1時間にわたって還流温度を維持した。室温にて一晩にわたって撹拌を続けた後、溶媒を蒸発させた。氷で冷やした25%アンモニウム溶液150mlに残留物を添加し、1時間にわたって撹拌した。沈澱したアミドを回収し、水で洗浄し、真空中で40℃にて乾燥させた。収量:19.7g(99%)、3-(4-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-アクリルアミド。
MS:M=200.2 (API+)
1H-NMR (400MHz, D6-DMSO)δ= 6.68 (d, 1H, 2-H)、7.20 (br, 1H, NH)、7.42 (m, 2H)、7.62 (m, 3H)。
【0049】
5g(25.0ミリモル)の3-(4-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-アクリルアミドと。3.82g(30ミリモル)の1,3-ジクロロアセトンと、70mlのキシレンとを16時間にわたって還流温度に維持し、その間、ディーン-スターク・トラップを用いて水を連続的に除去した。溶媒を真空中で除去した後、残留物を100mlのメタノールに懸濁させ、還流温度に加熱し、濾過した。濾液を濃縮し、残留物を150mlのメタノール/水(=1:1)から再結晶させ、50mlの冷たいヘプタンで洗浄し、乾燥させた。収量:4.04g(59%)、黄褐色の固形物としての4-クロロメチル-2-[2-(4-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-ビニル]-オキサゾール。
MS:M=274.2 (API+)
1H-NMR (400MHz, D6-DMSO)δ= 4.71 (s, 2H, CH2Cl)、7.29 (d, 1H, =CH)、7.53 (d, 1H, =CH)、7.61 (m, 2H, Ar-H)、7.88 (d, 1H, Ar-H)、8.20 (s, 1H, オキサゾール)。
【0050】
0.16g(0.74ミリモル)の4-(4-[1,2,3]トリアゾル-1-イル-ブチル)-フェノールと0.14gの炭酸セシウムの混合物を含む20mlの2-ブタノンを60℃にて30分間にわたって撹拌した後、0.20g(0.74ミリモル)の4-クロロメチル-2-[2-(4-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-ビニル]-オキサゾールと0.123g(0.74ミリモル)のヨウ化カリウムを添加し、60℃にて一晩にわたって撹拌を続けた。蒸発後、15mlの水を添加し、得られた混合物を15mlの酢酸エチルで3回抽出した。1つにまとめた有機層を1Nの水酸化ナトリウムと水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させると、粗材料が350mg得られた。それをシリカゲル上で精製した。ヘプタン/酢酸エチル(1:1)を用いて溶離させると、1-[4-(4-{2-[2-(E)-(4-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-ビニル]-オキサゾル-4-イルメトキシ}-フェニル)-ブチル]-1H-[1,2,3]トリアゾールが白色の固形物として167mg(50%)得られた。融点は146〜149℃。
【0051】
MS:M=453.3 (API+)
1H-NMR (400MHz, D6-DMSO)δ= 1.48 (5重項, 2H)、1.81 (5重項, 2H)、2.53 (t, 2H)、4.39 (t, 2H)、4.98 (s, 2H, CH2-O)、6.94 (d, 2H, Ar-H)、7.09 (d, 2H, Ar-H)、7.29 (d, 1H, =CH)、7.52 (d, 1H, =CH)、7.63 (m, 2H, Ar-H)、7.71 (s, 1H, トリアゾール)、7.88 (d, 1H, Ar-H)、8.11 (s, 1H, トリアゾール)、8.22 (s, 1H, オキサゾール)、。
【実施例2】
【0052】
1-[4-(4-{2-[2-(E)-(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-ビニル]-オキサゾル-4-イルメトキシ}-フェニル)-ブチル]-1H-[1,2,3]トリアゾール
【0053】
49.0g(244ミリモル)の3-(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-アクリル酸を300mlのテトラヒドロフランと2.8mlのN,N-ジメチルホルムアミドに懸濁させた懸濁液に、26.2ml(305ミリモル)の塩化オキサリルを50mlのテトラヒドロフランに溶かした溶液を0℃にて一滴ずつ45分以内に添加した。0〜5℃にて30分間にわたって撹拌を継続した後、室温にて2時間にわたって撹拌した。得られた溶液を再び0〜5℃に冷却した後、15分以内に750mlの25%アンモニア水溶液に添加した。真空中でテトラヒドロフランを蒸留して除去し、沈澱したアミドを回収し、水とヘプタンで洗浄した後、真空中で40℃にて乾燥させた。収量:45.9g(94%)、3-(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-アクリルアミド。
【0054】
1H-NMR (400MHz, D6-DMSO)δ= 6.72 (d, 1H, 2-H)、7.23 (br, 1H, NH)、7.35 (d, 1H, 5'-H)、7.44 (d, 1H, 3-H)、7.50 (d, 1H, 3'-H)、7.68 (br, 1H, NH)、7.95 (dd, 1H, 6'-H)。
【0055】
45.0g(225ミリモル)の3-(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-アクリルアミドと、35.5g(280ミリモル)の1,3-ジクロロアセトンと、500mlのトルエンとを24時間にわたって還流温度に維持し、その間、ディーン-スターク・トラップを用いて水を連続的に除去した。室温まで冷却した後、水80mlを用いて2回抽出し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。残留物を80mlのメタノールとともに30分間にわたって撹拌し、沈殿物を濾過し、冷たいメタノールで洗浄し、n-ヘプタンとともに撹拌し、吸引して取り出し、真空中で40℃にて乾燥させた。収量:28.9g(47%)、2-[2-(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-ビニル]-4-クロロメチル-オキサゾール。
【0056】
1H-NMR (400MHz, D6-DMSO)δ= 6.72 (d, 1H, 1'-H)、7.35 (d, 1H, 5"-H)、7.44 (d, 1H, 2'-H)、7.50 (d, 1H, 3"-H)、7.95 (dd, 1H, 6"-H)、8.21 (s, 1H, 5-H-オキサゾール)。
【0057】
26mg(1.0ミリモル)の95%水素化ナトリウムを、0℃にて、217mg(1.00ミリモル)の4-(4-[1,2,3]トリアゾル-1-イル-ブチル)-フェノールを2.0mlのN,N-ジメチルホルムアミドに溶かした溶液に添加し、30分間にわたって撹拌した。1.0mlのN,N-ジメチルホルムアミドに溶かした272mg(1.00ミリモル)の2-[2-(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-ビニル]-4-クロロメチル-オキサゾールを0℃にて添加し、0℃にて1時間にわたって撹拌を続けた後、室温にて12時間にわたって撹拌した。この混合物の反応を6mlの水で停止させ、1時間にわたって撹拌し、沈殿物を濾過によって分離した。その沈殿物を水で洗浄した後、冷たいエーテルで3回抽出し、真空中で40℃にて乾燥させると、1-[4-(4-{2-[2-(E)-(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-ビニル]-オキサゾル-4-イルメトキシ}-フェニル)-ブチル]-1H-[1,2,3]トリアゾールが350mg(77%)得られた。
【0058】
MS:M=453.3 (API+)
1H-NMR (400MHz, D6-DMSO)δ= 1.48 (5重項, 2H, CH2-CH2-Ph)、1.81 (5重項, 2H, CH2-CH2-N)、2.52 (t, 2H, CH2-Ph)、4.39 (t, 2H, CH2-トリアゾール)、4.98 (s, 2H, OCH2-オキサゾール)、6.94 (d, 2H, 3'-, 5'-H)、7.09 (d, 2H, 2'-, 6'-H)、7.25 (d, 1H, =CH)、7.36 (d, 1H, 5"-H)、7.49〜7.55 (m, 2H, =CH/3"-H)、7.71 (s, 1H, トリアゾール)、7.95 (dd, 1H, 6"-H)、8.11 (s, 1H, トリアゾール)、8.22 (s, 1H, 5-H-オキサゾール)。
【実施例3】
【0059】
1-[4-(4-{2-[2-(E)-(2-フルオロ-4-トリフルオロメチル-フェニル)-ビニル]-オキサゾル-4-イルメトキシ}-フェニル)-ブチル]-1H-[1,2,3]トリアゾール
【0060】
5.0g(3.55ml、26.0ミリモル)の2-フルオロ-4-トリフルオロメチル-ベンズアルデヒドと、3.10g(29.8ミリモル)のマロン酸と、0.26g(0.30ml、3.0ミリモル)のピペリジンと、15mlのピリジンの混合物を、二酸化炭素が発生しなくなるまで還流温度に維持した(3時間)。室温まで冷却した後、反応混合物を、氷300gと6NのHCl 100mlの上に注いだ。沈殿物を分離し、水で洗浄し、n-ヘプタンで2回抽出し、乾燥させた。収量:5.2g(85%)、3-(2-フルオロ-4-トリフルオロメチル-フェニル)アクリル酸。
【0061】
1H-NMR (400MHz, D6-DMSO)δ= 6.73 (d, J=16.1Hz, 1H, 2-H)、7.63 (d, 1H, 5'-H)、7.65 (d, J=16.1Hz, 1H, 3-H)、7.76 (d, 1H, 3'-H)、8.07 (dd, 1H, 6'-H)、12.8 (br, 1H, COOH)。
【0062】
5.00g(21.4ミリモル)の3-(2-フルオロ-4-トリフルオロメチル-フェニル)アクリル酸を30mlのテトラヒドロフランと0.2mlのN,N-ジメチルホルムアミドに懸濁させた懸濁液に、3.60ml(28.0ミリモル)の塩化オキサリルを10mlのテトラヒドロフランに溶かした溶液に0℃にて一滴ずつ10分以内に添加した。0〜5℃にて30分間にわたって撹拌を継続した後、室温にて2時間にわたって撹拌した。得られた溶液を再び0〜5℃に冷却した後、15分以内に150mlの25%アンモニア水溶液に添加した。分離した油状のアミドを回収し、水とともに30分間にわたって撹拌した。沈澱物を回収し、水で洗浄し、真空中で40℃にて乾燥させた。収量:4.4g(88%)、3-(2-フルオロ-4-トリフルオロメチル-フェニル)-アクリルアミド。
【0063】
MS:M=234.2 (API+)
1H-NMR (400MHz, D6-DMSO)δ= 6.83 (d, 1H, 2-H)、7.31 (br, 1H, NH)、7.51 (d, 1H, 3-H)、7.63 (d, 1H, 5'-H)、7.70 (d, 1H, 3'-H)、7.76 (br, 1H, NH)、7.89 (dd, 1H, 6'-H)。
【0064】
4.00g(17.1ミリモル)の3-(2-フルオロ-4-トリフルオロメチル-フェニル)-アクリルアミドと、2.60g(21.3ミリモル)の1,3-ジクロロアセトンと、40mlのトルエンとを16時間にわたって還流温度に維持し、その間、ディーン-スターク・トラップを用いて水を連続的に除去した。室温まで冷却した後、水100mlを用いて2回抽出し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。シリカゲル上でのクロマトグラフィ(溶離液:n-ヘプタン/酢酸エチル=5:1)により、4-クロロメチル-2-[2-(2-フルオロ-4-トリフルオロメチル-フェニル)-ビニル]-オキサゾールが1.20g(23%)得られた。
【0065】
MS:M=306.2 (API+)
1H-NMR (400MHz, D6-DMSO)δ= 4.71 (s, 2H, CH2Cl)、7.38 (d, J=16.4Hz, 1H, 1'-H)、7.60 (d, J=16.4Hz, 1H, 2'-H)、7.63 (d, 1H, 5"-H)、7.76 (d, 1H, 3"-H)、8.14 (dd, 1H, 6"-H)、8.23 (s, 1H, 5-H-オキサゾール)。
【0066】
0.305g(1.00ミリモル)の4-クロロメチル-2-[2-(2-フルオロ-4-トリフルオロメチル-フェニル)-ビニル]-オキサゾールと、0.217g(1.00ミリモル)の4-(4-[1,2,3]トリアゾル-1-イル-ブチル)-フェノールと、0.166g(1.00ミリモル)のヨウ化カリウムと、0.191ml(1.00ミリモル)の30%ナトリウムメチラート溶液を、50.0mlのメタノールに添加し、10時間にわたって還流温度に加熱した。溶媒を除去した後、残留物を50mlの酢酸メチルと15mlの水に分け、有機相を1NのNaOH 15mlで3回洗浄し、15mlの水で2回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を蒸発させて乾燥させ、残留物を逆相HPLC(C4-カラム、溶離液:メタノール/水(8:2)+0.2%酢酸)で精製した。生成物を含む分画を蒸発させて乾燥させた後、残留物をジエチルエーテルで処理し、真空中で40℃にて乾燥させると、1-[4-(4-{2-[2-(2-フルオロ-4-トリフルオロメチル-フェニル)-ビニル]-オキサゾル-4-イルメトキシ}-フェニル)-ブチル]-1H-[1,2,3]トリアゾールが80mg(16%)得られた。
【0067】
MS:M=487.2 (API+)
1H-NMR (400MHz, D6-DMSO)δ= 1.48 (5重項, 2H, CH2-CH2-Ph)、1.81 (5重項, 2H, CH2-CH2-N)、2.52 (t, 2H, CH2-Ph)、4.39 (t, 2H, CH2-トリアゾール)、4.99 (s, 2H, OCH2-オキサゾール)、6.94 (d, 2H, 3'-, 5'-H)、7.09 (d, 2H, 2'-, 6'-H)、7.39 (d, 1H, =CH)、7.59 (d, 1H, =CH)、7.63 (d, 1H, 5"-H)、7.71 (s, 1H, トリアゾール)、7.77 (d, 1H, 3"-H)、8.11 (s, 1H, トリアゾール)、8.16 (dd, 1H, 6"-H)、8.26 (s, 1H, 5-H-オキサゾール)。
【実施例4】
【0068】
1-[4-(4-{2-[2-(E)-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-ビニル]-オキサゾル-4-イルメトキシ}-フェニル)-ブチル]-1H-[1,2,3]トリアゾール
【0069】
5.0g(22.67ミリモル)の3-(3-トリフルオロメチル-フェニル)アクリル酸を30mlのテトラヒドロフランと0.3mlのN,N-ジメチルホルムアミドに懸濁させた懸濁液に、2.5ml(29.47ミリモル)の塩化オキサリル溶液を0℃にて一滴ずつ45分以内に添加した。0〜5℃にて30分間にわたって撹拌を継続した後、室温にて2時間にわたって撹拌した。得られた溶液を再び0〜5℃に冷却した後、15分以内に20mlの25%アンモニア水溶液に添加した。30分間にわたって撹拌すると有機層が分離したため、水層を酢酸エチルで2回抽出し、1つにまとめた有機層をNa2SO4上で乾燥させた。真空中で濃縮すると、3-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-アクリルアミドが白色の固形物として分離した。収量:4.83g(99%)。
【0070】
1H-NMR (400MHz, D6-DMSO)δ= 6.76 (d, 1H, 2-H)、7.20 (br, 1H, NH)、7.49〜7.56 (m, 2H)、7.63〜7.74 (m, 2H)、7.87〜7.91 (m, 2H)。
【0071】
2.0g(9.3ミリモル)の3-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-アクリルアミドと、4.13g(32.5ミリモル)の1,3-ジクロロアセトンと、20.0mlのトルエンとを16時間にわたって還流温度に維持し、その間、ディーン-スターク・トラップを用いて水を連続的に除去した。溶媒を真空中で除去した後、残留物をフラッシュ・カラム・クロマトグラフィ(ヘプタン/酢酸エチル=2:1)によって精製した。収量:1.92g(72%)、黄褐色の固形物としての4-クロロメチル-2-[2-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-ビニル]-オキサゾール。
【0072】
MS:M=288.1 (ESI+)
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ= 4.54 (s, 2H, CH2Cl)、6.98 (d, 1H, =CH)、7.50〜7.71 (m, 6H)。
【0073】
26mg(1.0ミリモル)の95%水素化ナトリウムを、0℃にて、217mg(1.00ミリモル)の4-(4-[1,2,3]トリアゾル-1-イル-ブチル)-フェノールを6.0mlのN,N-ジメチルホルムアミドに溶かした溶液に添加し、30分間にわたって撹拌した。1.0mlのN,N-ジメチルホルムアミドに溶かした288mg(1.00ミリモル)の4-クロロメチル-2-[2-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-ビニル]-オキサゾールを0℃にて添加し、0℃にて1時間にわたって撹拌を続けた後、室温にて12時間にわたって撹拌した。この混合物の反応を30mlの水で停止させ、1時間にわたって撹拌し、沈殿物を濾過によって分離した。その沈殿物を水で洗浄し、冷たいエーテルで3回洗浄した後、真空中で40℃にて乾燥させると、1-[4-(4-{2-[2-(E)-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-ビニル]-オキサゾル-4-イルメトキシ}-フェニル)-ブチル]-1H-[1,2,3]トリアゾールが192mg(41%)得られた。
【0074】
MS:M=469.4 (API+)
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ= 1.62 (5重項, 2H, CH2-CH2-Ph)、1.94 (5重項, 2H, CH2-CH2-N)、2.60 (t, 2H, CH2-Ph)、4.39 (t, 2H, CH2-トリアゾール)、5.02 (s, 2H, OCH2-オキサゾール)、6.92 (d, 2H)、7.0 (d, 1H)、7.07 (d, 2H)、7.49〜7.60 (m, 4H)、7.69 (m, 3H)、7.76 (s, 1H)。
【実施例5】
【0075】
1-[4-(4-{2-[2-(E)-(3,4-ジクロロ-フェニル)-ビニル]-オキサゾル-4-イルメトキシ}-フェニル)-ブチル]-1H-[1,2,3]トリアゾール
【0076】
5.3g(23.71ミリモル)の3-(3,4-ジクロロ-フェニル)アクリル酸を30mlのテトラヒドロフランと0.3mlのN,N-ジメチルホルムアミドに懸濁させた懸濁液に、3ml(34.55ミリモル)の塩化オキサリル溶液を0℃にて一滴ずつ45分以内に添加した。0〜5℃にて30分間にわたって撹拌を継続した後、室温にて2時間にわたって撹拌した。得られた溶液を再び0〜5℃に冷却した後、15分以内に20mlの25%アンモニア水溶液に添加した。30分間にわたって撹拌すると有機層が分離したため、水層を酢酸エチルで2回抽出し、1つにまとめた有機層をNa2SO4上で乾燥させた。真空中で濃縮した後、ジエチルエーテルで洗浄すると、3-(3,4-ジクロロ-フェニル)-アクリルアミドが白色の固形物として分離した。収量:3.64g(71%)。
【0077】
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ= 5.66 (br, 2H)、6.44 (d, 1H)、7.32 (d, 1H)、7.45 (d, 1H)、7.55 (d, 1H)、7.60 (s, 1H)。
【0078】
2.3g(10.6ミリモル)の3-(3,4-ジクロロ-フェニル)-アクリルアミドと、4.73g(37.2ミリモル)の1,3-ジクロロアセトンと、15.0mlのトルエンとを16時間にわたって還流温度に維持し、その間、ディーン-スターク・トラップを用いて水を連続的に除去した。溶媒を真空中で除去した後、残留物をフラッシュ・カラム・クロマトグラフィ(ヘプタン/酢酸エチル=2:1)によって精製した。収量:2.88g(94%)、黄褐色の固形物としての4-クロロメチル-2-[2-(3,4-ジクロロ-フェニル)-ビニル]-オキサゾール。
【0079】
MS:M=288.1 (ESI+)
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ= 4.54 (s, 2H, CH2Cl)、6.89 (d, 1H, =CH)、7.33〜7.45 (m, 3H)、7.59 (s, 1H)、7.62 (s, 1H)。
【0080】
25mg(1.0ミリモル)の95%水素化ナトリウムを、0℃にて、217mg(1.00ミリモル)の4-(4-[1,2,3]トリアゾル-1-イル-ブチル)-フェノールを6.0mlのN,N-ジメチルホルムアミドに溶かした溶液に添加し、30分間にわたって撹拌した。1.0mlのN,N-ジメチルホルムアミドに溶かした288mg(1.00ミリモル)の4-クロロメチル-2-[2-(3,4-ジクロロ-フェニル)-ビニル]-オキサゾールを0℃にて添加し、0℃にて1時間にわたって撹拌を続けた後、室温にて12時間にわたって撹拌した。この混合物の反応を30mlの水で停止させ、1時間にわたって撹拌し、沈殿物を濾過によって分離した。その沈殿物を水で洗浄し、冷たいエーテルで3回洗浄した後、真空中で40℃にて乾燥させると、1-[4-(4-{2-[2-(E)-(3,4-ジクロロ-フェニル)-ビニル]-オキサゾル-4-イルメトキシ}-フェニル)-ブチル]-1H-[1,2,3]トリアゾールが225mg(48%)得られた。
【0081】
MS:M=470.3 (API+)
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ= 1.62 (5重項, 2H, CH2-CH2-Ph)、1.94 (5重項, 2H, CH2-CH2-N)、2.60 (t, 2H, CH2-Ph)、4.39 (t, 2H, CH2-トリアゾール)、5.01 (s, 2H, OCH2-オキサゾール)、6.89〜6.93 (m, 3H)、7.07 (d, 2H)、7.34〜7.49 (m, 4H)、7.59 (s, 1H)、7.66 (s, 1H)、7.60 (s, 1H)。
【0082】
参考文献のリスト
【0083】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物:
【化1】

(ただしRは、ハロゲンであるか;メチル基またはエチル基(両方とも、場合によっては1個または数個のハロゲンで置換されていてもよい)であり;ただしRはフルオロではない)と、その医薬的に許容可能な塩。
【請求項2】
Rがクロロまたはトリフルオロメチルである請求項1に記載の化合物と、その医薬的に許容可能な塩。
【請求項3】
1-[4-(4-{2-[2-(E)-(4-クロロ-2-フルオロ-フェニル)-ビニル]-オキサゾル-4-イルメトキシ}-フェニル)-ブチル]-1H-[1,2,3]トリアゾールである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
1-[4-(4-{2-[2-(E)-(2-フルオロ-4-トリフルオロメチル-フェニル)-ビニル]-オキサゾル-4-イルメトキシ}-フェニル)-ブチル]-1H-[1,2,3]トリアゾールである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物と、医薬的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項6】
腫瘍の増殖阻害用である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を利用したがんの治療法。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を利用した乳がんの治療法。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を利用して腫瘍の増殖阻害に適した薬を製造する方法。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を利用して乳がんの治療に適した薬を製造する方法。
【請求項11】
一般式(I)の化合物を製造する方法であって、
(a)一般式(V)の化合物:
【化2】

を一般式(IV)の化合物(ただしRは上に定義したのと同じものである):
【化3】

と反応させて一般式(I)の各化合物を取得し;
(b)その一般式(I)の化合物を反応混合物から分離し;
(c)望むのであれば、それを医薬的に許容可能な塩に変換する方法。

【公表番号】特表2007−501833(P2007−501833A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522985(P2006−522985)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009036
【国際公開番号】WO2005/016921
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】