説明

新規なコポリマーを含む組成物およびそのような組成物を使用して製造された電子デバイス

本発明は、新規なコポリマー、新規なコポリマーを含む組成物、および本発明のコポリマーを含有する少なくとも1つの層を含む電子デバイスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスの製造における正孔輸送材料として有用な新規なコポリマーに関する。さらに本発明は、そのような正孔輸送コポリマーを含む少なくとも1つの活性層を有する電子デバイスに関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2005年12月27日に出願された米国仮特許出願第60/754,962号明細書(この記載内容全体を本明細書に援用する)の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
OLEDディスプレイを構成する有機発光ダイオード(「OLED」)などの有機光活性電子デバイスにおいて、OLEDディスプレイ中では有機活性層が電気接触層の間に挟まれている。OLEDにおいて、電気接触層の両端に電圧を印加すると、有機光活性層は光透過性電気接触層を透過する光を発する。
【0004】
発光ダイオード中の活性成分として有機エレクトロルミネッセンス化合物が使用されることが知られている。単純な有機分子、共役ポリマー、および有機金属錯体が使用されている。
【0005】
光活性材料を使用するデバイスは、多くの場合、光活性(たとえば、発光)層と接触層(正孔注入接触層)との間に配置される1つまたは複数の電荷輸送層を含む。1つのデバイスは2つ以上の接触層を含むことができる。光活性層と正孔注入接触層との間に正孔輸送層を配置することができる。正孔注入接触層はアノードと呼ばれる場合もある。光活性層と電子注入接触層との間には電子輸送層を配置することができる。電子注入接触層はカソードと呼ばれる場合もある。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,962,631号明細書
【特許文献2】国際公開第00/53565号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0254297号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2004/029133号明細書
【特許文献5】国際公開第02/02714号パンフレット
【特許文献6】米国特許出願公開第2001/0019782号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第1191612号明細書
【特許文献8】国際公開第02/15645号パンフレット
【特許文献9】欧州特許出願公開第1191614号明細書
【特許文献10】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献11】国際公開第00/70655号パンフレット
【特許文献12】国際公開第01/41512号パンフレット
【非特許文献1】ヤマモト(Yamamoto)、Progress in Polymer Science、第17巻、1153頁(1992年)
【非特許文献2】コロン(Colon)ら、Journal of Polymer Science、Part A、Polymer chemistry Edition、第28巻、367頁(1990年)
【非特許文献3】「可溶性導電性ポリマーから製造される可撓性発光ダイオード」(Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer)、Nature 第357巻、477−479頁(1992年6月11日)
【非特許文献4】Y.ワン(Wang)によるカーク・オスマー工業化学百科事典(Kirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版(Fourth Edition)、第18巻、837−860頁、1996年
【非特許文献5】ブラッドリー(Bradley)ら、Synth.Met.(2001年)、116(1−3)、379−383頁
【非特許文献6】キャンベル(Campbell)ら、Phys.Rev.B、第65巻 085210
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子デバイス中に使用される電荷輸送材料が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
A1〜A5からなる群から選択される少なくとも1つの第1のモノマーと、
【0009】
【化1】

【0010】
A1〜A5、B1〜B7、およびC1〜C7からなる群から選択される少なくとも1つの第2のモノマーとから誘導される繰り返し単位を有するコポリマーであって、
【0011】
【化2】

【0012】
【化3】

【0013】
【化4】

【0014】
R’=D、アルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、フルオロアルコキシ、N(R’’’)2、R”であり、
R”=反応性基であり、
R’’’=アルキル、フルオロアルキル、アリールであり、
Ar、Ar’=独立してフェニレン、ナフチレン、またはビフェニレンであり、
E=O、S、(SiRivvn、(CRivvn、またはそれらの組み合わせ(式中、RivおよびRvはそれぞれ独立して、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択され、RivとRvとが一緒になって、非芳香環を形成することができる。)であり、出現するごとに異なっていてもよく、
X=脱離基であり、
Y=アルキル、ヘテロアルキル、Rであり、
a=0〜4であり、
b=0〜20であり、
m=0〜5であり、
n=1〜20であり、
q=0〜7であり、
さらに、第1のモノマーは第2のモノマーとは異なり、少なくとも1つのモノマーが少なくとも1つの反応性基を含有する、コポリマーを提供する。
【0015】
コポリマー1〜19から選択されるコポリマーも提供する。
【0016】
電子デバイスであって、それぞれが上記コポリマーか、コポリマー1〜19の少なくとも1つかを含む少なくとも1つの層を含む、電子デバイスも提供する。
【0017】
有機電子デバイスの製造方法であって、
本明細書に開示されるコポリマーを含む液体を提供するステップと、
アノードを提供するステップと、
コポリマーを含む液体をアノードと接触させるステップと、
コポリマーから液体を除去して正孔輸送膜を形成するステップと、
加熱して、正孔輸送膜のコポリマーを架橋させるステップと、
発光体を提供するステップと、
発光体を正孔輸送膜に隣接して配置するステップと、
電子輸送体を提供し、その電子輸送体を発光体に隣接して配置するステップと、
電子輸送体に隣接してカソードを提供するステップとを含む、方法もさらに提供する。
【0018】
以上の概要および以下の詳細な説明は、単に例示的および説明的なものであり、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明を限定するものではない。
【0019】
本明細書において提示される概念の理解を進めるために、添付の図面において実施形態を説明する。
【0020】
当業者であれば理解しているように、図面中の物体は、平易かつ明快にするために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。たとえば、実施形態を理解しやすいようにするために、図面中の一部の物体の寸法が他の物体よりも拡大されている場合があり、したがって、必ずしも縮尺通りまたは縮尺に比例して描かれているわけではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本明細書において開示されるコポリマーは、電荷輸送層の製造に有用である。電荷輸送層は、電荷輸送能力が求められるあらゆる用途に使用することができる。
【0022】
本明細書において開示される新規なコポリマーは、前述のモノマーA1〜A5からなる群から選択される少なくとも1つの第1のモノマーと、前述のモノマーA1〜A5、B1〜B7、およびC1〜C7からなる群から選択される少なくとも1つの第2のモノマーとから誘導される繰り返し単位を有する。これらのモノマーにおいて、すべてのR’およびAr’は、独立して選択され、同種であってもよく異なっていてもよい。R’、R’’’、Riv、およびRvは、前述の基のいずれかのフルオロ類似体またはヘテロ類似体であってもよい。
【0023】
用語「コポリマー」は、2つ以上の異なる繰り返し単位を有するオリゴマーおよびコポリマーを含むことを意図している。たとえば、A1およびA2は異なる繰り返し単位であり、さらに例を挙げると、異なる置換基を有するB1から誘導される2つのモノマーも異なる繰り返し単位を有する。第1のモノマー「X−Q−X」と、第2のモノマー「X−T−X」とから誘導される繰り返し単位を有するコポリマーは、繰り返し単位−(−Q−)−および−(−T−)−を有する。
【0024】
用語「反応性基」は、重合後に残留し、ポリマーの別の類似の基または別の部分と反応して、ポリマー内の架橋または網目を形成する基を意味することを意図している。この架橋または網目の形成を以降「架橋反応」と呼ぶ。一実施形態においては、この架橋反応は、熱によって、あるいは可視光またはUV線に曝露することによって開始される。一実施形態においては、反応性基は、ビニル、アクリレート、パーフルオロビニルエーテル、シロキサン、または1−ベンゾ−3,4−シクロブタンである。
【0025】
用語「脱離基」は、重合を促進し重合反応中に除去される基を意味することを意図している。一実施形態においては、脱離基は、ハロゲン化物、トリフレート、ボロン酸、ボロン酸エステル、またはボランである。一実施形態においては、脱離基はClまたはBrである。
【0026】
一実施形態においては、第1のモノマーはモノマーA1である。一実施形態においては、第1のモノマーは、A1であり、式中、a=b=0、Rが3−ビニルフェニルである。
【0027】
一実施形態においては、b=0または1である。一実施形態においては、b=0である。
【0028】
一実施形態においては、本発明のコポリマーは以下のコポリマー1〜19の中の1つである:
【0029】
【化5】

【0030】
【化6】

【0031】
【化7】

【0032】
【化8】

【0033】
【化9】

【0034】
本明細書において記載されるコポリマーは、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであってよい。モノマーを反応させてより大きなモノマー単位を形成することができ、これらが単独で重合したり、または他のモノマーとともに重合したりすることができる。コポリマー−(−A−)−x−(−B−)−y−は、モノマーX−A−XとモノマーX−B−Xとを共重合させることによって形成することもでき、またはより大きなモノマーX−A−B−Xを形成しそのモノマーを重合させることによって形成することもできる。どちらの場合も、結果として得られるポリマーは、モノマーX−A−XとモノマーX−B−Xとから誘導されるコポリマーとみなされる。
【0035】
本明細書において記載されるコポリマーは、周知の3つの合成経路によって一般に調製することができる。非特許文献1に記載される第1の合成方法においては、モノマー単位のジハロ誘導体を、化学量論量のビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)などの0価のニッケル化合物と反応させる。第2の方法は、非特許文献2に記載されている。二価のニッケルイオンを0価のニッケルに還元可能な化学量論量の材料の存在下で、モノマー単位のジハロ誘導体を触媒量のNi(II)化合物と反応させる。好適な材料としては、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、およびリチウムが挙げられる。米国特許公報(特許文献1)、および特許文献2に記載される第3の合成方法においては、あるモノマー単位のジハロ誘導体を、ボロン酸、ボロン酸エステル、およびボランから選択される2つの反応性基を有する別のモノマー単位の誘導体と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)Pdなどの0価のパラジウム触媒の存在下で反応させる。
【0036】
コポリマー中のモノマー単位数の実用的な上限は、ある程度は、特定の溶媒に対するコポリマーに望まれる溶解性、または溶媒の種類によって決定される。モノマー単位数が増加すると、その化合物の分子量が増加する。分子量が増加すると、その化合物の特定の溶媒に対する溶解性が低下すると一般に推測される。さらに、一実施形態においては、特定の溶媒に対してコポリマーが実質的に不溶性となるモノマー単位数は、化合物の構造にある程度依存する。たとえば、複数のフェニル基を有する化合物は、モノマー単位数が約104よりはるかに少ない場合に、有機溶媒に対して実質的に不溶性となりうる。別の例として、フェニル基および/または特定の官能基を有するフェニル基数がより少ない化合物は、モノマー単位数が約104以上、さらには105または106となった場合でさえも、特定の溶媒に対して可溶性となりうる。コポリマーの分子量および溶媒の選択は、当業者の能力の範囲内である。
【0037】
一実施形態においては、前述の新規なコポリマーを含む液体組成物を提供する。本発明の液体組成物は、たとえば、溶液、分散体、またはエマルジョンの形態であってよい。
【0038】
一実施形態においては、有機電子デバイスの製造方法を提供する。本発明の方法は:本明細書において記載される新規なコポリマーを含む液体を提供するステップと;アノードを提供するステップと;上記化合物を含む上記液体を前記アノードと接触させるステップと;上記液体を上記化合物から除去して正孔輸送膜を形成するステップと;加熱して、正孔輸送コポリマーを架橋させるステップと;発光体を提供するステップと;上記発光体を上記正孔輸送膜に隣接して配置するステップと;電子輸送体を提供し、上記電子輸送体を上記発光体に隣接して配置するステップと;上記電子輸送体に隣接してカソードを提供するステップとを含む。上記液体は、たとえば、溶液または分散体であってよい。一実施形態においては、アノードと正孔輸送膜との間にバッファ層が提供される。
【0039】
用語「有機電子デバイス」は、1つまたは複数の有機半導体の層または材料を含むデバイスを意味することを意図している。有機電子デバイスとしては:(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(たとえば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、ダイオードレーザー、または照明パネル)、(2)電子的過程を介して信号を検出するデバイス(たとえば、光検出器、光導電セル、フォトレジスタ、フォトスイッチ、フォトトランジスタ、光電管、赤外(「IR」)検出器、またはバイオセンサー)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(たとえば、光起電性デバイスまたは太陽電池)、(4)1つまたは複数の有機半導体層(たとえば、トランジスタまたはダイオード)を含む1つまたは複数の電子部品を含むデバイス、あるいは項目(1)〜(4)中のデバイスのあらゆる組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
OLEDデバイスなどの電子デバイスを製造するために、一実施形態においては、インジウムをドープした酸化スズ(ITO)などの透明アノード上に堆積される場合に、本発明の化合物が膜を形成する。この結果得られる膜の品質は、平滑性および欠陥密度を目視/顕微鏡で観察することによって表面的に判断することができる。OLEDに関しては、目視で観察される欠陥が最小限であることが好ましい。さらに、膜の品質は、たとえば、光学的な楕円偏光計または機械的なプロフィルメーターを使用して膜のいくつかの別々の領域上の膜厚さを評価することによって測定することができ;膜の異なる領域で測定した場合に、膜が実質的に均一な厚さを有することが好ましい。
【0041】
本発明の液体は、好ましくは本発明の化合物の溶媒である。特定の化合物または関連する種類の化合物に好ましい溶媒は、当業者によって容易に決定することができる。ある用途では、本発明の化合物が非水溶媒中に溶解することが好ましい。このような非水溶媒は、C1〜C20アルコール、エーテル、および酸エステルなどの比較的極性である場合もあり、あるいはC1〜C12アルカンまたは芳香族などの比較的非極性である場合もある。
【0042】
本発明の新規な化合物を含む本明細書において記載される溶液または分散体のいずれかとしての液体組成物を製造するのに有用な他の好適な液体としては、塩素化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなど)、芳香族炭化水素(置換および非置換のトルエンおよびキシレンなど、たとえばトリフルオロトルエン(triflurotoluene))、極性溶媒(テトラヒドロフラン(THP)、N−メチルピロリドンなど)、エステル(エチルアセテートなど)、アルコール(イソプロパノール)、ケトン(シクロペンタノン(cyclopentatone))、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
一実施形態においては、本発明の化合物が実質的に可溶性である溶媒中に、本発明の化合物が溶解される。次に、スピン堆積、インクジェットなどのいくつかの技術のいずれかによって、この溶液から薄膜が形成され乾燥される。この結果溶媒が蒸発することによって形成された膜は、次に、溶媒の沸点よりも高い温度などの高温において、窒素雰囲気の減圧中のいずれかでベークを行うことによってさらに乾燥される。このベークは、コポリマーを架橋させるために続けられる。架橋したコポリマーは、さらなる液体処理ステップにおいて可溶性が実質的に低くなりうる。次に、この膜は、発光層材料を含有する第2の溶液を先に形成された化合物膜の上面上に堆積することによるさらなる処理が行われ、この場合、発光材料は、本発明の化合物が実質的に不溶性である溶媒中に溶解される。「実質的に不溶性」は、約5mg未満の化合物が1mlの溶媒中に溶解することを意味する。しかし、5mgを超えるまたは5mg未満の溶解性を使用することもでき、ある用途ではそのような溶解性が好ましい場合もある。たとえば、10mg/mLまでのわずかな溶解性で、本明細書において記載されるHTMコポリマーと発光層材料との間に不鮮明なまたは段階的な界面が得られる場合がある。含まれる材料の性質次第で、このような不鮮明さによって、有害または有益な影響が生じうる。このような界面の不鮮明さによって、界面を横断する電荷輸送が改善され、デバイスの性能または輸送が改善されることがある。
【0044】
当業者によって理解されているように、化合物の溶解性は、その化合物内の置換基によってある程度決定される。一実施形態においては、通常はITO(インジウムをドープした酸化スズ)などの透明アノードである電極上に発光層の層の膜を堆積するために使用することができる溶媒に対して、本発明の化合物は、比較的低い溶解性を有し、たとえば溶解性が約5mg/mL未満、さらには約2mg/mL以下である。
【0045】
(デバイス)
本明細書において開示されるコポリマーを含有する少なくとも1層を正孔輸送層として含む有機電子デバイスも提供する。図1を参照すると、代表的な有機電子デバイス100が示されている。デバイス100は基体105を含む。基体105は、剛性または可撓性であってよく、たとえば、ガラス、セラミック、金属、またはプラスチックであってよい。電圧が印加されると、発せられた光は基体105を通して見ることができる。
【0046】
基体105の上には、第1の電気接触層110が堆積される。説明のため、層110をアノード層としている。アノード層は、線として堆積することができ、正電荷キャリアを注入するのに効果的な電極である。アノードは、たとえば、金属、混合金属、合金、金属酸化物、または混合金属酸化物を含有するまたは含む材料でできていてよい。アノードは、導電性のポリマー、ポリマーブレンド、またはポリマー混合物を含むことができる。好適な金属としては、第11族金属、第4族、第5族、および第6族の金属、ならびに第8〜10族の遷移金属が挙げられる。アノードが光透過性である場合、インジウムスズ酸化物などの第12族、第13族および第14族の金属の混合金属酸化物が一般に使用される。アノードは、非特許文献3に記載されるような代表的な材料などの有機材料、特にポリアニリンなどの導電性ポリマーを含むこともできる。アノードおよびカソードの少なくとも1つは、発生した光を観察できるようにするため、少なくとも部分的に透明であるべきである。
【0047】
場合により、正孔輸送材料などの材料を含むバッファ層115を、アノード層110の上に堆積することができ、後者は「正孔注入接触層」と呼ばれることもある。バッファ層は正孔輸送材料を含むことができる。層115の正孔輸送材料の例は、たとえば、(非特許文献4)にまとめられている。正孔輸送「小」分子とオリゴマーおよびポリマーとの両方を使用することができる。正孔輸送分子としては:4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(TDATA);4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(MTDATA);N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD);1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC);N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD);テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA);α−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS);p−(ジエチルアミノ)−ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH);トリフェニルアミン(TPA);ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP);1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP);1,2−trans−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB);N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB);N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(α−NPB);4,4’−N,N’−ジカルバゾリル−ビフェニル(CBP);および銅フタロシアニンなどのポルフィリン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。有用な正孔輸送ポリマーとしては、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリチオフェン(poythiophene)、ポリピロール、およびポリアニリンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。正孔輸送ポリマーは、米国特許公報(特許文献3)および米国特許公報(特許文献4)に開示されるような導電性ポリマーとコロイド形成性ポリマー酸との複合体であってもよい。導電性ポリマーは有用な種類の1つである。前述のような正孔輸送部分を、ポリスチレンおよびポリカーボネートなどのポリマー中にドープすることによって正孔輸送ポリマーを得ることも可能である。
【0048】
本明細書において記載されるコポリマーを含む正孔輸送層は、バッファ層115が存在する場合にはその上に堆積することができ、または第1の電気接触層110の上に堆積することもできる。
【0049】
有機層130は、正孔輸送層120の上に堆積することができる。ある実施形態においては、有機層130は、種々の成分を含む多数の別個の層であってよい。デバイスの用途に依存するが、有機層130は、電圧を適用することによって励起する発光層(発光ダイオードまたは発光電気化学セル中など)であってもよく、あるいは放射エネルギーに応答し、バイアス電圧を使用しまたは使用せずに信号を発生する材料の層(光検出器中など)であってもよい。
【0050】
デバイス中の他の層は、そのような層が果たすべき機能を考慮することによってそのような層に有用であることが知られているあらゆる材料でできていてよい。
【0051】
あらゆる有機エレクトロルミネッセンス(「EL」)材料を、層130中などの光活性材料として使用することができる。このような材料としては、蛍光染料、小分子有機蛍光化合物、蛍光性およびリン光性の金属錯体、共役ポリマー、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。蛍光染料の例としては、ピレン、ペリレン、ルブレン、それらの誘導体、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。金属錯体の例としては、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化オキシノイド化合物;ペトロフ(Petrov)らの特許文献5に開示されるようなフェニルピリジン、フェニルキノリン、またはフェニルピリミジンの配位子を有するイリジウム錯体などの、シクロメタレート化されたイリジウムおよび白金のエレクトロルミネッセンス化合物、ならびに、たとえば、米国特許公報特許文献6、特許文献7、特許文献8および特許文献9に記載されるような有機金属錯体;ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。電荷キャリアホスト材料と金属錯体とを含むエレクトロルミネッセンス発光層が、トンプソン(Thompson)らの米国特許公報(特許文献10)、ならびにバローズ(Burrows)およびトンプソン(Thompson)の特許文献11および特許文献12に記載されている。共役ポリマーの例としては、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、それらのコポリマー、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
本発明のデバイスの一実施形態において、光活性材料は有機金属錯体であってよい。別の一実施形態において、光活材料はイリジウムまたは白金のシクロメタレート化錯体である。他の有用な光活性材料を使用することもできる。フェニルピリジン、フェニルキノリン、またはフェニルピリミジンの配位子を有するイリジウム錯体が、エレクトロルミネッセンス化合物としてペトロフ(Petrov)らの特許文献5に開示されている。他の有機金属錯体が、たとえば、米国特許公報(特許文献6)、特許文献7、特許文献8、および特許文献9に記載されている。イリジウムの金属錯体をドープしたポリビニルカルバゾール(PVK)の活性層を有するエレクトロルミネッセンスデバイスが、バローズ(Burrows)およびトンプソン(Thompson)による特許文献11および特許文献12に記載されている。電荷キャリアホスト材料とリン光性白金錯体とを含むエレクトロルミネッセンス発光層が、トンプソン(Thompson)らの米国特許公報(特許文献10)、非特許文献5および非特許文献6に記載されている。
【0053】
有機層130の上には、第2の電気接触層160が堆積される。説明のため、層160はカソード層である。
【0054】
カソード層は、線としてまたは膜として堆積することができる。カソードは、アノードよりも低い仕事関数を有するあらゆる金属または非金属であってよい。カソードの代表的材料としては、第1族のアルカリ金属、特にリチウム、第2族(アルカリ土類)金属、第12族金属、たとえば希土類元素およびランタニド、ならびにアクチニドを挙げることができる。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウム、およびマグネシウム、ならびにそれらの組み合わせなどの材料を使用することができる。系の動作電圧を下げるために、LiFおよびLi2OなどのLi含有化合物およびその他の化合物を、有機層とカソード層との間に堆積することもできる。
【0055】
電子輸送層140または電子注入層150は、場合によりカソードに隣接して配置され、カソードは「電子注入接触層」と呼ばれることもある。
【0056】
水および酸素などの望ましくない成分がデバイス100内に入るのを防止するために、接触層160の上に封入層170が堆積される。このような成分は、有機層130に対して悪影響を及ぼすことがある。一実施形態においては、封入層170は、障壁層または膜である。
【0057】
図示していないが、デバイス100は追加の層を含むことができることを理解されたい。たとえば、層の正電荷輸送および/またはバンドギャップの整合性を促進するため、あるいは保護層として機能させるために、アノード110と正孔輸送層120との間に追加層(図示せず)が存在してもよい。当技術分野またはその他の分野で知られている他の層を使用することもできる。さらに、上述のいずれかの層は、2つ以上の副層を含むことができ、または層状構造を形成することもできる。あるいは、アノード層110、正孔輸送層120、電子輸送層140および150、カソード層160、ならびにその他の層の一部またはすべては、電荷キャリア輸送効率またはデバイスの他の物理的性質を改善するための処理を行うことができ、特に表面処理を行うことができる。それぞれの構成要素層の材料の選択は、好ましくは、デバイスの稼働寿命を考慮した高いデバイス効率、製造時間、および複雑な要因、ならびに当業者によって認識されているその他の重要事項を有するデバイスを提供するための複数の目標のバランスを取るように決定される。最適な構成要素、構成要素の構成、および組成の決定は、当業者の日常業務であることを理解されたい。
【0058】
一実施形態においては、本発明の種々の層は、以下の範囲の厚さを有する:アノード110は、500〜5000Å、一実施形態においては1000〜2000Å;場合によるバッファ層115および正孔輸送層120は、それぞれ50〜2000Å、一実施形態においては200〜1000Å;光活性層130は、10〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;層140および150は、それぞれ50〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;カソード160は、200〜10000Å、一実施形態においては300〜5000Å。デバイス中の電子−正孔再結合領域の位置、したがってデバイスの発光スペクトルは、各層の相対厚さの影響を受けることがある。たとえば、電子−正孔再結合ゾーンが発光層中に存在するように、電子輸送層の厚さを選択すべきである。層の厚さの望ましい比は、使用される材料の厳密な性質に依存する。
【0059】
一実施形態においては、本発明のデバイスは、以下の構造、即ち、アノード、バッファ層、正孔輸送層、光活性層、電子輸送層、電子注入層、カソードの構造をこの順序で有する。一実施形態においては、アノードは、インジウムスズ酸化物またはインジウム亜鉛酸化物でできている。一実施形態においては、バッファ層は、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、それらのコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される導電性ポリマーを含む。一実施形態においては、バッファ層は、導電性ポリマーとコロイド形成性ポリマー酸との複合体を含む。一実施形態においては、バッファ層は、トリアリールアミン基またはトリアリールメタン基を有する化合物を含む。一実施形態においては、バッファ層は、前述の定義のTPD、MPMP、NPB、CBP、およびそれらの混合物からなる群から選択される材料を含む。
【0060】
一実施形態においては、正孔輸送層は、本明細書において記載される新規なコポリマーを含む。
【0061】
一実施形態においては、光活性層は、エレクトロルミネッセンス金属錯体およびホスト材料を含む。このホストは電荷輸送材料であってよい。一実施形態においては、このホスト材料は、2つ以上の8−ヒドロキシキノレート配位子を有する有機金属錯体である。一実施形態においては、エレクトロルミネッセンス錯体は少なくとも1重量%の量で存在する。一実施形態においては、エレクトロルミネッセンス錯体は2〜20重量%である。一実施形態においては、エレクトロルミネッセンス錯体は20〜50重量%である。一実施形態においては、エレクトロルミネッセンス錯体は50〜80重量%である。一実施形態においては、エレクトロルミネッセンス錯体は80〜99重量%である。一実施形態においては、金属錯体は、イリジウム、白金、レニウム、またはオスミウムのシクロメタレート化錯体である。一実施形態においては、光活性層は、第2のホスト材料をさらに含む。第2のホストは電荷輸送材料であってよい。一実施形態においては、第2のホストは正孔輸送材料である。一実施形態においては、第2のホストは電子輸送材料である。一実施形態においては、第2のホスト材料は、ヒドロキシアリール−N−複素環の金属錯体である。一実施形態においては、このヒドロキシアリール−N−複素環は、非置換または置換8−ヒドロキシキノリンである。一実施形態においては、金属はアルミニウムである。一実施形態においては、第2のホストは、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム、テトラキス(8−ヒドロキシキノリナト)ジルコニウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される材料である。第1のホスト対第2のホストの比率は1:100〜100:1とすることができる。一実施形態においては、この比率は1:10〜10:1である。一実施形態においては、この比率は1:10〜1:5である。一実施形態においては、この比率は1:5〜1:1である。一実施形態においては、この比率は1:1〜5:1である。一実施形態においては、この比率は5:1〜5:10である。
【0062】
一実施形態においては、電子輸送層は、ヒドロキシアリール−N−複素環の金属錯体を含む。一実施形態においては、このヒドロキシアリール−N−複素環は、非置換または置換8−ヒドロキシキノリンである。一実施形態においては、金属はアルミニウムである。一実施形態においては、電子輸送層は、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム、テトラキス(8−ヒドロキシキノリナト)ジルコニウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される材料を含む。一実施形態においては、電子注入層は、BaO、LiF、またはLiO2である。一実施形態においては、カソードは、AlまたはBa/Alである。
【0063】
一実施形態においては、本発明のデバイスは、バッファ層、正孔輸送層、および光活性層の液相堆積と、電子輸送層、電子注入層、およびカソードの気相堆積とによって製造される。
【0064】
本発明のバッファ層は、それを溶解または分散してそれから膜を形成するあらゆる液体媒体から堆積することができる。一実施形態においては、液体媒体は、1つまたは複数の有機溶媒から実質的になる。一実施形態においては、液体媒体は、水、あるいは水および有機溶媒から実質的になる。一実施形態においては、有機溶媒は、アルコール、ケトン、環状エーテル、およびポリオールからなる群から選択される。一実施形態においては、有機液体は、ジメチルアセトアミド(「DMAc」)、N−メチルピロリドン(「NMP」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、エチレングリコール(「EG」)、脂肪族アルコール、およびそれらの混合物から選択される。緩衝材料は、0.5〜10重量パーセントの量で液体媒体中に存在することができる。液体媒体に依存するが、他の重量パーセント値の緩衝材料を使用することもできる。バッファ層は、あらゆる連続または不連続の液相堆積技術によって適用することができる。一実施形態においては、バッファ層はスピンコーティングによって適用される。一実施形態においては、バッファ層はインクジェット印刷によって適用される。液相堆積後、液体媒体は、室温または加熱しながら、空気中、不活性雰囲気中、または減圧によって除去することができる。一実施形態においては、この層は275℃未満の温度に加熱される。一実施形態においては、加熱温度は100℃〜275℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は100℃〜120℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は120℃〜140℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は140℃〜160℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は160℃〜180℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は180℃〜200℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は200℃〜220℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は190℃〜220℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は220℃〜240℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は240℃〜260℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は260℃〜275℃の間である。加熱時間は温度に依存し、一般に5〜60分の間である。一実施形態においては、最終層厚さは5〜200nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは5〜40nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは40〜80nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは80〜120nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは120〜160nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは160〜200nmの間である。
【0065】
正孔輸送層は、それを溶解または分散してそれからフィルムを形成するあらゆる液体媒体から堆積することができる。一実施形態においては、液体媒体は、1つまたは複数の有機溶媒から実質的になる。一実施形態においては、液体媒体は、水、あるいは水および有機溶媒から実質的になる。一実施形態においては、有機溶媒は芳香族溶媒である。一実施形態においては、有機液体は、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、アニソール、およびそれらの混合物から選択される。正孔輸送材料は、0.2〜2重量パーセントの濃度で液体媒体中に存在することができる。液体媒体に依存するが、他の重量パーセント値の正孔輸送材料を使用することができる。正孔輸送層は、あらゆる連続または不連続の液相堆積技術によって適用することができる。一実施形態においては、正孔輸送層はスピンコーティングによって適用される。一実施形態においては、正孔輸送層はインクジェット印刷によって適用される。液相堆積後、液体媒体は、室温または加熱しながら、空気中、不活性雰囲気中、または減圧によって除去することができる。一実施形態においては、この層は275℃未満の温度に加熱される。一実施形態においては、加熱温度は170℃〜275℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は170℃〜200℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は190℃〜220℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は210℃〜240℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は230℃〜270℃の間である。加熱時間は温度に依存し、一般に5〜60分の間である。一実施形態においては、最終層厚さは5〜50nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは5〜15nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは15〜25nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは25〜35nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは35〜50nmの間である。
【0066】
本発明の光活性層は、それを溶解または分散してそれからフィルムを形成するあらゆる液体媒体から堆積することができる。一実施形態においては、液体媒体は1つまたは複数の有機溶媒から実質的になる。一実施形態においては、液体媒体は水、あるいは水および有機溶媒から実質的になる。一実施形態においては、有機溶媒は芳香族溶媒である。一実施形態においては、有機液体はクロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、アニソール、およびそれらの混合物から選択される。光活性材料は0.2〜2重量パーセントの濃度で液体媒体中に存在することができる。液体媒体によっては他の重量パーセント値の光活性材料を使用することもできる。光活性層は連続または不連続のあらゆる液相堆積技術によって適用することができる。一実施形態においては、光活性層はスピンコーティングによって適用される。一実施形態においては、光活性層はインクジェット印刷によって適用される。液相堆積後、液体媒体は、室温または加熱を使用して、空気中、不活性雰囲気中、または減圧によって除去することができる。一実施形態においては、堆積された層は、最低Tgを有する材料のTg未満の温度に加熱される。一実施形態においては、加熱温度は最低Tgよりも少なくとも10℃低い。一実施形態においては、加熱温度は最低Tgよりも少なくとも20℃低い。一実施形態においては、加熱温度は最低Tgよりも少なくとも30℃低い。一実施形態においては、加熱温度は50℃〜150℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は50℃〜75℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は75℃〜100℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は100℃〜125℃の間である。一実施形態においては、加熱温度は125℃〜150℃の間である。加熱時間は温度に依存し、一般に5〜60分の間である。一実施形態においては、最終層厚さは25〜100nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは25〜40nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは40〜65nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは65〜80nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは80〜100nmの間である。
【0067】
本発明の電子輸送層は、あらゆる気相堆積法によって堆積することができる。一実施形態においては、減圧下での熱蒸着によって堆積される。一実施形態においては、最終層厚さは1〜100nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは1〜15nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは15〜30nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは30〜45nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは45〜60nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは60〜75nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは75〜90nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは90〜100nmの間である。
【0068】
電子注入層は、あらゆる気相堆積法によって堆積することができる。一実施形態においては、減圧下での熱蒸着によって堆積される。一実施形態においては、減圧は10-6torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-7torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-8torr未満である。一実施形態においては、材料は100℃〜400℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は100℃〜150℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は150℃〜200℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は200℃〜250℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は250℃〜300℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は300℃〜350℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は350℃〜400℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は0.5〜10Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は0.5〜1Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は1〜2Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は2〜3Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は3〜4Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は4〜5Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は5〜6Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は6〜7Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は7〜8Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は8〜9Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は9〜10Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、最終層厚さは0.1〜3nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは0.1〜1nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは1〜2nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは2〜3nmの間である。
【0069】
カソードは、あらゆる気相堆積法によって堆積することができる。一実施形態においては、減圧下での熱蒸着によって堆積される。一実施形態においては、減圧は10-6torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-7torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-8torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-6torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-7torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-8torr未満である。一実施形態においては、材料は100℃〜400℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は100℃〜150℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は150℃〜200℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は200℃〜250℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は250℃〜300℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は300℃〜350℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は350℃〜400℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は0.5〜10Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は0.5〜1Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は1〜2Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は2〜3Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は3〜4Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は4〜5Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は5〜6Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は6〜7Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は7〜8Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は8〜9Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は9〜10Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、最終層厚さは10〜10000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは10〜1000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは10〜50nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは50〜100nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは100〜200nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは200〜300nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは300〜400nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは400〜500nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは500〜600nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは600〜700nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは700〜800nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは800〜900nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは900〜1000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは1000〜2000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは2000〜3000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは3000〜4000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは4000〜5000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは5000〜6000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは6000〜7000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは7000〜8000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは8000〜9000nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは9000〜10000nmの間である。
【0070】
一実施形態においては、本発明のデバイスは、バッファ層、正孔輸送層、および光活性層、電子輸送層、電子注入層、およびカソードの気相堆積によって製造される。
【0071】
一実施形態においては、バッファ層は気相堆積によって適用される。一実施形態においては、減圧下での熱蒸着によって堆積される。一実施形態においては、減圧は10-6torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-7torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-8torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-6torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-7torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-8torr未満である。一実施形態においては、材料は100℃〜400℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は100℃〜150℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は150℃〜200℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は200℃〜250℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は250℃〜300℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は300℃〜350℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は350℃〜400℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は0.5〜10Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は0.5〜1Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は1〜2Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は2〜3Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は3〜4Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は4〜5Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は5〜6Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は6〜7Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は7〜8Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は8〜9Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は9〜10Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、最終層厚さは5〜200nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは5〜30nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは30〜60nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは60〜90nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは90〜120nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは120〜150nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは150〜280nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは180〜200nmの間である。
【0072】
一実施形態においては、正孔輸送層は気相堆積によって適用される。一実施形態においては、減圧下での熱蒸着によって堆積される。一実施形態においては、減圧は10-6torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-7torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-8torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-6torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-7torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-8torr未満である。一実施形態においては、材料は100℃〜400℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は100℃〜150℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は150℃〜200℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は200℃〜250℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は250℃〜300℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は300℃〜350℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は350℃〜400℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は0.5〜10Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は0.5〜1Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は1〜2Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は2〜3Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は3〜4Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は4〜5Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は5〜6Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は6〜7Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は7〜8Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は8〜9Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は9〜10Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、最終層厚さは5〜200nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは5〜30nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは30〜60nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは60〜90nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは90〜120nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは120〜150nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは150〜280nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは180〜200nmの間である。
【0073】
一実施形態においては、光活性層は気相堆積によって適用される。一実施形態においては、減圧下での熱蒸着によって堆積される。一実施形態においては、光活性層は、減圧下での熱蒸着によって堆積される1種類のエレクトロルミネッセンス化合物から実質的になる。一実施形態においては、減圧は10-6torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-7torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-8torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-6torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-7torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-8torr未満である。一実施形態においては、材料は100℃〜400℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は100℃〜150℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は150℃〜200℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は200℃〜250℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は250℃〜300℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は300℃〜350℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は350℃〜400℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は0.5〜10Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は0.5〜1Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は1〜2Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は2〜3Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は3〜4Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は4〜5Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は5〜6Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は6〜7Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は7〜8Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は8〜9Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は9〜10Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、最終層厚さは5〜200nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは5〜30nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは30〜60nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは60〜90nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは90〜120nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは120〜150nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは150〜280nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは180〜200nmの間である。
【0074】
一実施形態においては、光活性層は、2つのエレクトロルミネッセンス材料を含み、それぞれが減圧下での熱蒸着によって堆積される。上述のいずれかの減圧条件および温度を使用することができる。上述のいずれかの堆積速度を使用することができる。相対堆積速度は50:1〜1:50とすることができる。一実施形態においては、相対堆積速度は1:1〜1:3である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:3〜1:5である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:5〜1:8である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:8〜1:10である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:10〜1:20である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:20〜1:30である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:30〜1:50である。層の全体の厚さは、1成分の光活性層に関して前述した厚さと同じであってよい。
【0075】
一実施形態においては、光活性層は、1つのエレクトロルミネッセンス材料と少なくとも1つのホスト材料とを含み、それぞれが減圧下での熱蒸着によって堆積される。上述のいずれかの減圧条件および温度を使用することができる。上述のいずれかの堆積速度を使用することができる。エレクトロルミネッセンス材料対ホストの相対堆積速度は、1:1〜1:99とすることができる。一実施形態においては、相対堆積速度は1:1〜1:3である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:3〜1:5である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:5〜1:8である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:8〜1:10である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:10〜1:20である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:20〜1:30である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:30〜1:40である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:40〜1:50である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:50〜1:60である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:60〜1:70である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:70〜1:80である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:80〜1:90である。一実施形態においては、相対堆積速度は1:90〜1:99である。層の全体の厚さは、1成分の光活性層に関して前述した厚さと同じであってよい。
【0076】
一実施形態においては、電子輸送層は気相堆積によって適用される。一実施形態においては、減圧下での熱蒸着によって堆積される。一実施形態においては、減圧は10-6torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-7torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-8torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-6torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-7torr未満である。一実施形態においては、減圧は10-8torr未満である。一実施形態においては、材料は100℃〜400℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は100℃〜150℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は150℃〜200℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は200℃〜250℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は250℃〜300℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は300℃〜350℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は350℃〜400℃の範囲内の温度に加熱される。一実施形態においては、材料は0.5〜10Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は0.5〜1Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は1〜2Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は2〜3Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は3〜4Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は4〜5Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は5〜6Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は6〜7Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は7〜8Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は8〜9Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、材料は9〜10Å/秒の速度で堆積される。一実施形態においては、最終層厚さは5〜200nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは5〜30nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは30〜60nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは60〜90nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは90〜120nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは120〜150nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは150〜280nmの間である。一実施形態においては、最終層厚さは180〜200nmの間である。
【0077】
一実施形態においては、電子注入層は、前述のような気相堆積によって適用される。
【0078】
一実施形態においては、カソードは、前述のような気相堆積によって適用される。
【0079】
一実施形態においては、本発明のデバイスは、一部の有機層の気相堆積と、一部の有機層の液相堆積とによって製造される。一実施形態においては、本発明のデバイスは、バッファ層の液相堆積と、他のすべての層の気相堆積とによって製造される。
【0080】
動作中、適切な電源(図示せず)からの電圧がデバイス100に印加される。それによって、デバイス100の層に電流が流れる。電子が有機ポリマー層に入り、フォトンを放出する。アクティブマトリックスOLEDディスプレイと呼ばれる一部のOLEDでは、光活性有機膜の個別の堆積物が、電流の流れによって独立に励起し、それによって個別のピクセルが発光することができる。パッシブマトリックスOLEDディスプレイと呼ばれる一部のOLEDでは、光活性有機膜の堆積物は、電気接触層の行および列によって励起させることができる。
【0081】
本発明のデバイスは、種々の技術を使用して作製することができる。このようなものとしては、非限定的な例として、気相堆積技術および液相堆積が挙げられる。
【0082】
層、材料、部材、または構造に関して言及される場合に、本明細書において使用される場合、用語「正孔輸送」は、そのような層、材料、部材、または構造が、比較的効率的かつ少ない電荷損失で、そのような層、材料、部材、または構造の厚さを通過する正電荷の移動を促進することを意味することを意図している。
【0083】
本明細書において開示され権利請求される特定の式を有する組成物に言及するために単独で使用される用語「組成物」は、化合物、モノマー、ダイマー、オリゴマー、およびそれらのポリマー、ならびに溶液、分散体、液体および固体の混合物および混和材料を含むものと広く解釈することを意図している。
【0084】
用語「消光防止組成物」は、励起状態の光活性層から隣接層へのエネルギーおよび電子の出入りの両方を防止、遅延、または縮小する材料を意味することを意図している。
【0085】
用語「光活性」は、エレクトロルミネッセンス、フォトルミネッセンス、および/または感光性を示すあらゆる材料を意味する。
【0086】
用語「基」は、有機化合物中の置換基などの化合物の一部を意味することを意図している。接頭語「ヘテロ」は、1つまたは複数の炭素原子が異なる原子で置換されていることを示している。接頭語「フルオロ」は1つまたは複数の水素がフッ素で置換されていることを示している。
【0087】
用語「アルキル」は、1つの結合点を有する脂肪族炭化水素を意味することを意図しており、この基は非置換でも置換されていてもよい。一実施形態においては、アルキル基は1〜20個の炭素原子を有することができる。用語「アリール」は、1つの結合点を有し非置換でも置換されていてもよい芳香族炭化水素から誘導される基を意味することを意図している。一実施形態においては、アリール基は6〜30個の炭素原子を有することができる。一実施形態においては、ヘテロアリール基は2〜30個の炭素原子を有することができる。用語「アルコキシ」は基−OR(式中のRはアルキル)を意味することを意図している。用語「アリールオキシ」は基−OR(式中のRはアリール)を意味することを意図している。
【0088】
特に明記しない限り、すべての基は非置換であっても置換されていてもよい。デバイス中の層に言及するために使用される場合、語句「隣接する」は、ある層が別の層のすぐ隣にあることを必ずしも意味するものではない。一方、語句「隣接するR基」は、化学式中で互いに隣同士であるR基(すなわち、1つの結合によって連結した元素上に存在するR基)を意味するために使用される。
【0089】
用語「化合物」は、分子から構成される電気的に変化しない物質であって、それらの分子はさらに原子からなり、それらの原子は物理的手段によっては分離不可能である物質を意味することを意図している。
【0090】
用語「コポリマー」は、オリゴマー種を包含しており、2つ以上のモノマー単位を有する材料を含むことを意図している。さらに、全体的にIUPAC番号方式が使用され、周期表の族は、左から右に1〜18の番号が付けられる(CRC化学物理ハンドブック第81版(CRC Handbook of Chemistry and Physics,81st Edition)、2000年)。
【0091】
本明細書において使用される場合、「溶液処理」は、液体媒体から堆積するステップを含む方法を意味する。この液体媒体は溶液、分散体、エマルジョン、またはその他の形態であってよい。
【0092】
用語「層」は、用語「膜」と同義的に使用され、所望の領域を覆うコーティングを意味する。この用語は大きさによって限定されることはない。この領域は、デバイス全体の大きさであってもよく、あるいは実際の視覚的表示などの特殊機能領域の小ささ、または1つのサブピクセルの小ささであってもよい。層および膜は、気相堆積、液相堆積(連続的技術および不連続な技術)、および熱転写などの従来のあらゆる堆積技術によって形成することができる。連続堆積技術としては、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングが挙げられるが、これらに限定されるものではない。不連続堆積技術としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、およびスクリーン印刷が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0093】
本明細書において使用される場合、用語「含んでなる」、「含んでなること」、「含む」、「含むこと」、「有する」、「有すること」、またはそれらの他のあらゆる変形は、非排他的な包含を扱うことを意図している。たとえば、ある一連の要素を含むプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に関して明示されず固有のものでもない他の要素を含むことができる。さらに、反対の意味で明記されない限り、「または」は、包含的な「または」を意味するのであって、排他的な「または」を意味するのではない。たとえば、条件AまたはBが満たされるのは:Aが真であり(または存在する)Bが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在しない)Bが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)のいずれか1つによってである。
【0094】
また、本発明の要素および成分を説明するために「a」または「an」も使用されている。これは単に便宜的なものであり、本発明の一般的な意味を提供するために行われている。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むものと読むべきであり、明らかに他の意味となる場合を除けば、単数形は複数形も含んでいる。
【0095】
特に定義しない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。特に定義しない限り、図中のすべての文字記号は、その原子の略語を有する原子を表している。本明細書に記載されるものと類似または等価の方法および材料を、本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料について以下に説明する。
【0096】
本明細書において言及されるあらゆる刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、それらの記載内容全体が援用される。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書に従うものとする。さらに、材料、方法、および実施例は、単に説明的なものであり、限定を意図したものではない。
【実施例】
【0097】
以下の実施例で、本発明の特定の特徴および利点を説明する。これらは、本発明の説明を意図するものであり、限定を意図するものではない。特に明記しない限り、すべてのパーセント値は重量を基準としている。
【0098】
(実施例1)
この実施例はコポリマー12の合成を示す:
【0099】
【化10】

【0100】
ビス(1,5−シクロオクタジエン)−ニッケル−(0)(1.667g、6.06mmol)を、2,2’−ビピリジル(0.946g、6.06mmol)および1,5−シクロオクタジエン(0.656g、6.06mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(無水、6mL)溶液に加えた。この結果得られた混合物を60Cで30分間加熱した。次に、トルエン(無水、25mL)溶液の9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン(0.658g、1.20mmol)、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(0.776g、1.20mmol)、N,N−ビス(4−クロロフェニル)−3−ビニルアニリン(0.204g、0.60mmol)を、撹拌触媒混合物に迅速に加えた。この混合物を60Cで10時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、激しく撹拌しながら500mLのメタノール中にゆっくりと注ぎ、終夜撹拌した。続いて20mLの濃HClを加え、1時間撹拌した。沈殿物を、濾過し、続いて125mLのトルエンに加え、25mLの濃HClを含有する1:1のメタノール:アセトン溶液1Lにゆっくりと注いだ。得られた黄色沈殿物を30分間撹拌した後、濾過によって単離した。この固体を、クロマトグラフィー(シリカ、トルエン)によってさらに精製し、酢酸エチルから沈殿させた。得られた物質を減圧下で乾燥すると、淡黄色ポリマーが収率80%(0.97g)で単離された。GPC(THF、室温):Mn=60,616;Mw=365,589;Mw/Mn=5.98。
【0101】
概要または実施例において前述したすべての行為が必要なわけではなく、特定の行為の一部は不要である場合があり、1つまたは複数のさらに別の行為が、前述の行為に加えて実施される場合があることに留意されたい。さらに、行為が列挙されている順序は、必ずしもそれらが実施される順序ではない。
【0102】
以上の明細書において、具体的な実施形態を参照しながら本発明の概念を説明した。しかし、当業者であれば、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに種々の変更および変形を行えることが理解できるであろう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく説明的なものであるとみなすべきであり、すべてのこのような変更は本発明の範囲内に含まれることを意図している。
【0103】
特定の実施形態に関して、利益、その他の利点、および問題に対する解決法を以上に記載してきた。しかし、これらの利益、利点、問題の解決法、ならびに、なんらかの利益、利点、または解決法を発生させたり、より顕著にしたりすることがある、あらゆる特徴が、特許請求の範囲のいずれかまたはすべての重要、必要、または本質的な特徴として解釈されるものではない。
【0104】
別々の実施形態の状況において、明確にするために本明細書に記載されている特定の複数の特徴は、1つの実施形態の中で組み合わせても提供できることを理解されたい。逆に、簡潔にするため1つの実施形態の状況において説明した種々の特徴も、別々に提供したり、あらゆる副次的な組み合わせで提供したりすることができる。さらに、ある範囲において記載される値への言及は、その範囲内にあるすべての値を含んでいる。
【0105】
ある実施形態においては、本明細書における本発明は、本発明の組成物または方法の基本的かつ新規な特性に実質的に影響を与えないあらゆる要素および工程段階を除外するものと解釈することができる。さらに、ある実施形態においては、本発明は、本明細書において明記されていないあらゆる要素および工程段階を除外するものと解釈することができる。
【0106】
本明細書において指定される種々の範囲内の数値が使用される場合、記載の範囲内の最小値および最大値の両方の前に単語「約」が付けられているかのように近似値として記載されている。この方法では、記載の範囲よりもわずかに上およびわずかに下のばらつきを使用して、その範囲内の値と実質的に同じ結果を得ることができる。または、これらの範囲の開示は、ある値の一部の成分を異なる値の一部の成分と混合した場合に生じうる分数値を含めて、最小平均値と最大平均値との間のすべての値を含む連続した範囲であることを意図している。さらに、より広い範囲およびより狭い範囲が開示される場合、ある範囲の最小値を別の範囲の最大値と一致させること、およびその逆のことが本発明の意図の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本明細書において開示される新規なコポリマーを含む少なくとも1層を含む1つの有機電子デバイスの説明的な例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A1〜A5からなる群から選択される少なくとも1つの第1のモノマーと、
【化1】

A1〜A5、B1〜B7、およびC1〜C7からなる群から選択される少なくとも1つの第2のモノマーとから誘導される繰り返し単位を有するコポリマーであって、
【化2】

【化3】

【化4】

R’=D、アルキル、フルオロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、フルオロアルコキシ、N(R’’’)2、R”であり、
R”=反応性基であり、
R’’’=アルキル、パーフルオロアルキル、アリールであり、
Ar=独立してフェニレン、ナフチレン、またはビフェニレンであり、
E=O、S、(SiRivvn、(CRivvn、またはそれらの組み合わせ(式中、RivおよびRvはそれぞれ独立して、H、F、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、フルオロアルキル、フルオロアリール、フルオロアルコキシ、およびフルオロアリールオキシから選択され、RivとRvとが一緒になって、非芳香環を形成することができる。)であり、出現するごとに異なっていてもよく、
X=脱離基であり、
Y=アルキル、ヘテロアルキル、Rであり、
a=0〜4であり、
b=0〜20であり、
m=0〜5であり、
n=1〜20であり、
q=0〜7であり、
さらに、前記第1のモノマーは前記第2のモノマーとは異なり、少なくとも1つのモノマーが少なくとも1つの反応性基を含有することを特徴とするコポリマー。
【請求項2】
b=0または1であることを特徴とする請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
b=0であることを特徴とする請求項2に記載のコポリマー。
【請求項4】
前記第1のモノマーがモノマーA1であることを特徴とする請求項1に記載のコポリマー。
【請求項5】
a=b=0であることを特徴とする請求項4に記載のコポリマー。
【請求項6】
Rが3−ビニルフェニルであることを特徴とする請求項5に記載のコポリマー。
【請求項7】
コポリマー1〜19から選択されることを特徴とするコポリマー。
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【請求項8】
nが106以下であることを特徴とする請求項7に記載のコポリマー。
【請求項9】
請求項1に記載の少なくとも1つのコポリマーを含む少なくとも1つの層を含むことを特徴とする有機電子デバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの層がバッファ層であることを特徴とする請求項9に記載の有機電子デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つの層が正孔輸送層であることを特徴とする請求項9に記載の有機電子デバイス。
【請求項12】
請求項7に記載の少なくとも1つのコポリマーを含む少なくとも1つの層を含むことを特徴とする有機電子デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの層がバッファ層であることを特徴とする請求項12に記載の有機電子デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの層が正孔輸送層であることを特徴とする請求項12に記載の有機電子デバイス。
【請求項15】
請求項9に記載の有機電子デバイスであって、前記デバイスが、以下の構造、即ち、アノード、バッファ層、正孔輸送層、光活性層、電子輸送層、電子注入層、カソードの構造をこの順序で有することを特徴とする有機電子デバイス。
【請求項16】
請求項12に記載の有機電子デバイスであって、前記デバイスが、以下の構造、即ち、アノード、バッファ層、正孔輸送層、光活性層、電子輸送層、電子注入層、カソードの構造をこの順序で有することを特徴とする有機電子デバイス。
【請求項17】
有機電子デバイスの製造方法であって、
請求項1に記載のコポリマーを含む液体を提供するステップと、
アノードを提供するステップと、
前記コポリマーを含む前記液体を前記アノードと接触させるステップと、
前記コポリマーから前記液体を除去して正孔輸送膜を形成するステップと、
加熱して、前記正孔輸送膜の前記コポリマーを架橋させるステップと、
発光体を提供するステップと、
前記発光体を前記正孔輸送膜に隣接して配置するステップと、
電子輸送体を提供し、前記電子輸送体を前記発光体に隣接して配置するステップと、
前記電子輸送体に隣接してカソードを提供するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
有機電子デバイスの製造方法であって、
請求項7に記載のコポリマーを含む液体を提供するステップと、
アノードを提供するステップと、
前記コポリマーを含む前記液体を前記アノードと接触させるステップと、
前記コポリマーから前記液体を除去して正孔輸送膜を形成するステップと、
加熱して、前記正孔輸送膜の前記コポリマーを架橋させるステップと、
発光体を提供するステップと、
前記発光体を前記正孔輸送膜に隣接して配置するステップと、
電子輸送体を提供し、前記電子輸送体を前記発光体に隣接して配置するステップと、
前記電子輸送体に隣接してカソードを提供するステップとを含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−521591(P2009−521591A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548700(P2008−548700)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/049340
【国際公開番号】WO2007/076146
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】