説明

新規なベンゾチアジンおよびベンゾチアジアジン化合物、これらの製造方法、ならびにこれらを含有する医薬組成物

【課題】新規なAMPAモジュレーターとしての医薬化合物の提供。
【解決手段】式(I)で示される新規なベンゾチアジンおよびベンゾチアジアジン化合物。


[式中、R1は、水素、アルキルまたはシクロアルキルを表し、R2は、水素、ハロゲンまたはヒドロキシを表し、Aは、CR34またはNR3を表し、Yは、アルキレン鎖を表し、Xは、NR56、S(O)n7、OR8、C(O)R9、アミジノまたは複素環を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なベンゾチアジンおよびベンゾチアジアジン化合物、これらの製造方法、ならびにこれらを含有する医薬組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、興奮性アミノ酸、極めて特にグルタマートが、ニューロンの形成性の生理的過程において、ならびに学習および記憶の基礎をなす機構において決定的な役割を果たすことが、認められている。病態生理学研究は、グルタマート作動性神経伝達の欠損がアルツハイマー病の罹患と密接に関係することを明らかに示している(Neuroscience and Biobehavioral Reviews, 1992, vol. 16, 13-24; Progress in Neurobiology, 1992, vol. 39, 517-545)。
【0003】
さらに、近年、数えきれない研究が、興奮性アミノ酸受容体のサブタイプの存在およびこれらの機能的相互作用を実証している(Molecular Neuropharmacology, 1992, vol. 2, 15-31)。
【0004】
これらの受容体の中で、AMPA(α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾール−プロピオン酸)受容体は、生理的ニューロンの興奮性の現象において、特に、記憶過程に関係があるこれらの現象において、最大限度に関与しているようである。たとえば、学習は、記憶および認識の過程に不可欠な脳の領域の一つ、海馬でのAMPAとその受容体との結合の増加に関連することがしめされている。同様に、ごく最近、向知性薬(nootropic agents)、たとえばアニラセタムは、ニューロン細胞のAMPA受容体をポジティブに転形すると記載されている(Journal of Neurochemistry, 1992, vol. 58, 1199-1204)。
【0005】
文献には、ベンズアミド構造を有する化合物が、これと同じ作用機構を持ち、記憶性能を改善させると記載されている(Synapse, 1993, vol. 15, 326-329)。特に、化合物BA 74は、これらの新規な薬剤の中で最も活性である。
【0006】
最後に、特許明細書EP 692 484は、AMPA電流(current)についての促進活性を有するベンゾチアジアジン化合物を記載し、特許出願WO 99/42456は、中でも、特定のベンゾチアジアジン化合物をAMPA受容体のモジュレーターとして記載する。
【0007】
本発明が関係するベンゾチアジンおよびベンゾチアジアジン化合物は、新規であることののほかに、驚くべきことには、従来技術に記載した類似構造の化合物の活性よりも、著しく優れたAMPA電流に対する薬理活性を示す。これらは、年齢、苦悶症候群またはうつ病、進行性の神経変性疾患、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン舞踏病、分裂症、急性の神経変性疾患の後遺症、虚血の後遺症およびてんかんの後遺症に関連する、記憶および認識障害の治療または予防のためのAMPAモジュレーターとして有用である。
【0008】
より詳細には、本発明は式(I):
【0009】
【化12】

【0010】
{式中、R1は、水素原子、直鎖状もしくは分岐状(C1〜C6)アルキル基または(C3〜C7)シクロアルキル基を表し、R2は、水素原子、ハロゲン原子またはヒドロキシ基を表し、Aは、CR34基またはNR3基(式中、R3は、水素原子または直鎖状もしくは分岐状(C1〜C6)アルキル基を表し、そしてR4は、水素原子またはハロゲン原子を表す)を表すか、または
Aは、窒素原子を表し、そして隣接する−CHR1−基と一緒になって、環:
【0011】
【化13】

【0012】
(式中、mは、1、2、または3を表す)を形成し、Yは、場合により、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルキル基およびハロゲン原子から選択される1個以上の同一または異なる置換基で置換される(C2〜C6)アルキレン鎖を表す[ここで−CH2−基の1個は基:
【0013】
【化14】

【0014】
(式中、pは、1、2、3、または4である)で置換されていてもよい]か、またはYは、前記定義の基:
【0015】
【化15】

【0016】
を表し、
Xは、NR56、S(O)n7、OR8、C(O)R9、アミジノ(場合により、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルキル、ヒドロキシ、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルコキシおよび
【0017】
【化16】

【0018】
から選択される1個または2個の同一または異なる基で置換される)または複素環基を表す[式中、R5は、水素原子または直鎖状もしくは分岐状(C1〜C6)アルキル、S(O)t11、COR12またはP(O)OR13OR14基を表し、R6は、水素原子または直鎖状もしくは分岐状(C1〜C6)アルキル基を表すか、
あるいはR5およびR6は、これらを有する窒素原子と一緒になって、複素環基を形成し、
8は、直鎖状もしくは分岐状(C1〜C6)アルキル基またはC(O)R15基を表し、
9は、ヒドロキシ基、直鎖状もしくは分岐状(C1〜C6)アルコキシ基、またはアミノ基(場合により、1個または2個の同一または異なる直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルキル基で置換される)を表し、
7、R10、R11、R12、R13、R14およびR15は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子;場合により1個以上のハロゲン原子で置換される直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルキル基;アリール−(C1〜C6)アルキル基(ここで、アルキル部分は直鎖状または分岐状である);またはアリール基を表し、
nおよびtは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ0、1、または2を表す]}
の化合物、これらの鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容される酸または塩基のこれらの付加塩に関する。
【0019】
◆複素環基は、窒素、酸素および硫黄から選択される同一または異なるヘテロ原子を1個〜4個含有し、場合により、ハロゲン、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルキル、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルコキシ、直鎖状または分岐状(C1〜C6)ポリハロアルキル、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルコキシ−カルボニル、オキソ、チオキソ、カルボキシ、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アシル、直鎖状または分岐状(C1〜C6)ポリハロアルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ(場合により直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルキル基1個以上で置換される)、アミノスルホニル(場合により直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルキル基1個以上で置換される)および(C1〜C6)アルキルスルホニルアミノから選択される1個以上の同一または異なる基で置換される、単環または二環の芳香族または非芳香族基を意味し、
◆アリール基は、場合により、ハロゲン、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルキル(場合により、ヒドロキシ基1個以上で置換される)、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルコキシ、直鎖状または分岐状(C1〜C6)ポリハロアルキル、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルコキシ−カルボニル、オキソ、チオキソ、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルキルチオ、カルボキシ、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アシル、直鎖状または分岐状(C1〜C6)ポリハロアルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ(場合により、直鎖状もしくは分岐状(C1〜C6)アルキルまたは直鎖状もしくは分岐状(C1〜C6)アシル基1個以上で置換される)、アミノカルボニル(場合により、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルキル基1個以上で置換される)、アミノスルホニル(場合により、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルキル基1個以上で置換される)、モノ−またはジ−((C1〜C6)アルキルスルホニル)アミノ、モノ−またはジ−(トリフルオロメチルスルホニル)アミノ、PO(ORa)(ORb)(式中、RaおよびRbは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子または直鎖状もしくは分岐状(C1〜C6)アルキル基を表す)、ベンジルオキシおよびフェニル(場合により、ハロゲン、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルキル、直鎖状または分岐状(C1〜C6)ポリハロアルキル、ヒドロキシ、および直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルコキシから選択される同一または異なる基1個以上で置換される)から選択される1個以上の同一または異なる基で置換される、5〜10個の炭素原子を含有する、単環の芳香族基または環の少なくとも1個が芳香族である二環の基を意味する
ことが理解される。
【0020】
薬学的に許容される酸の中で、塩酸、臭化水素酸、硫酸、ホスホン酸(phosphonic acid)、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸、ショウノウ酸などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
薬学的に許容される塩基の中で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、t−ブチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本発明は、さらに特に、Aが、窒素原子を表し、隣接する−CHR1−基と一緒になって、環:
【0023】
【化17】

【0024】
(式中、mは、1、2、または3を表す)、さらに特に、環:
【0025】
【化18】

【0026】
を形成する式(I)の化合物に関するものである。
【0027】
2基は、水素原子であるのが好ましい。
【0028】
Yは、好ましくは、2または3個の炭素原子を含有する非置換または置換のアルキレン鎖を表す。Yを表すアルキレン鎖の置換基が存在する場合には、フッ素原子またはメチル基が好ましい。
【0029】
X基は、NR56またはC(O)R9基、さらに特に基NHSO211(式中、R11は、好ましくは、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルキル基を表す)であるのが好ましい。
【0030】
さらに特に、本発明は、
・N−(2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン7−イル)−オキシ]フェニル}エチル)メタンスルホンアミド、
・3−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−イル)オキシ]フェニル}プロパン酸、
・3−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロパンアミド、
・3−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]オキシ]フェニル}−N,N−ジメチルプロパンアミド、
・N−(3−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロピル)メタンスルホンアミド、
・N−(2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}−2−フルオロプロピル)−2−プロパンスルホンアミド、
・N−(2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}−2−フルオロプロピル)メタンスルホンアミド、
・N−(2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロピル)メタンスルホンアミド、
・N−(2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}エチル)−N,N−ジメチルアミン、
・N−(1−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}シクロプロピル)メタンスルホンアミド
である式(I)の化合物に関するものである。
【0031】
本発明は、式(I)の化合物の製造方法であって、出発物質として式(II):
【0032】
【化19】

【0033】
(式中、A、R1、およびR2は、式(I)に対する定義の通りであり、そして記号:
【0034】
【化20】

【0035】
は、結合が一重または二重であることを意味する)の化合物を用いて、
これを、酢酸銅(II)の存在下で、式(III):
【0036】
【化21】

【0037】
[式中、Zは、直鎖状もしくは分岐状(C1〜C6)アシル基、基−Y−X(式中、XおよびYは、式(I)についての定義の通りである)、または基−Y−X’(式中、Yは、式(I)についての定義の通りであり、そしてX’はシアノまたはカルボキシ基を表す)を表す]のボロン酸化合物と反応させて、
直接に、あるいは金属水素化物による還元の後(記号:
【0038】
【化22】

【0039】
が二重結合を表す場合)および/または場合による、X’基またはアシル基の転化により、式(I):
【0040】
【化23】

【0041】
の化合物を得て、この式(I)の化合物を、必要ならば、従来の精製技術にしたがって、精製し、適切な場合には、従来の分離技術にしたがってその異性体に分離し、さらに、望ましいならば、その薬学的に許容される酸または塩基付加塩に転化することを特徴とする、製造方法にも関する。
【0042】
前記定義の式(II)の化合物は、有機化学の慣用の反応により、さらに、特にWO03053979に記載されている方法により得られる。
【0043】
本発明は、活性成分として、式(I)の化合物を、適切な、不活性な、無毒の賦形剤1種以上と共に含む医薬組成物にも関する。
【0044】
本発明による医薬組成物の中で、さらに特に、経口的、非経口的(静脈内または皮下)または鼻内的投与、錠剤または糖衣丸、舌下錠、ゼラチンカプセル、ロゼンジ、座薬、クリーム、軟膏、皮膚のゲル、注射剤、飲用懸濁剤などに適切なものが挙げられる。
【0045】
有用な投与量は、障害の性質および重度、投与経路、ならびに患者の年齢および体重により変えることができ、1回以上の投与で1日当り1〜500mgの範囲にある。
【0046】
以下の実施例が本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を決して限定するものではない。
【0047】
使用される出発物質は、公知であるか、または公知の作業手順にしたがって製造される生成物である。
【0048】
実施例に記載される化合物の構造は、通常の分光学的技術(赤外、NMR、マススペクトロメトリー・・・)により決定される。
【0049】
実施例1
N−(2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}エチル)メタンスルホンアミド
CH2Cl225mL、ピリジン240μL(2.96mmol)、2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−オール 5,5−ジオキシド238mg(0.99mmol)、4Åのモレキュラーシーブ2.5g、4−{2−[(メチルスルホニル)アミノ]エチル}フェニルボロン酸340mg(1.48mmol)およびCu(OAc)2270mg(1.48mmol)を、100mLの三角フラスコに投入する。三角フラスコを空気に通じたままで、懸濁液を周囲温度で勢いよく攪拌する。4時間30分後、反応混合物を追加のCH2Cl250mLで希釈し、懸濁液をろ過する。ろ液を蒸発させて乾燥状態にし、残査を、シリカカラムによる2回の連続的クロマトグラフィーにより、最初のクロマトグラフィー工程では、CH2Cl2/アセトン(96/4)で溶離し、第2の工程では、CH2Cl2/AcOEt(70/30)で溶離して精製する。得られる無色の油状物を、Et2Oとイソプロパノール数滴との混合物中でつき砕くことにより、結晶させ、ろ過後、白色粉末の形態で目的化合物を得る。
【0050】
融点:99〜102℃
元素微量分析:
C H N S
理論値% 52.16 5.30 9.60 14.66
実測値% 52.57 5.42 9.67 14.92
【0051】
実施例2
3−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロパン酸
工程A:メチル 3−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロパノアート
2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾ−チアジアジン−7−オール 5,5−ジオキシドと4−(3−メトキシ−3−オキソプロピル)フェニルボロン酸を、実施例1の手順にしたがうが、反応時間を48時間に延長して、反応させることにより、目的化合物を得る。精製を、シリカカラムによるクロマトグラフィーにより、CH2Cl2/アセトン95/5の混合物で溶離して行う。
【0052】
融点:138〜140℃
元素微量分析:
C H N S
理論値% 59.99 5.03 7.00 8.01
実測値% 59.96 5.12 6.90 7.51
【0053】
工程B:3−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロパン酸
1NのHCl9mL中の工程Aで得られる化合物580mg(1.45mmol)の懸濁液を、還流させながら5時間攪拌する。次に、反応混合物を水で希釈し、懸濁液をろ過して、白色固体の形態で目的化合物を得る。
【0054】
融点:216〜222℃
元素微量分析:
C H N S
理論値% 59.06 4.70 7.25 8.30
実測値% 59.34 4.87 7.27 8.35
【0055】
工程C:3−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]−ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロパン酸
エタノール6mL中の前記工程の化合物210mg(0.54mmol)の懸濁液に、NaBH462mg(1.63mmol)を加える。周囲温度で2時間攪拌後、反応溶液を氷浴中で冷却し、1NのHClを加えることにより酸性にする。ガム条の懸濁液をCH2Cl2で抽出し、次に有機相をNaCl飽和水溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥し、蒸発させる。残査をEt2O中でつき砕き、形成する白色固体をろ別して、目的化合物を得る。
【0056】
融点:178〜183℃
元素微量分析:
C H N S
理論値% 58.75 5.19 7.21 8.25
実測値% 58.73 5.24 7.11 8.41
【0057】
実施例3
3−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロパンアミド
工程A:3−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)−オキシ]フェニル}プロパンアミド
TBTU415mg(1.30mmol)を、CH2Cl225mL中の実施例2の工程Bで得られる化合物(500mg、1.30mmol)の懸濁液に加える。懸濁液を周囲温度で10分攪拌し、ジイソプロピルエチルアミン293μL(1.68mmol)を加える。反応混合物は溶液になり、攪拌を10分続ける。次に溶液をアンモニアガスで飽和させ、攪拌を30分続ける。薄層クロマトグラフィー(AcOEt)は、出発物質が全て消失したことを示す。次に、1NのHClを加えることにより反応混合物を酸性にし、有機相を傾斜洗浄し、洗浄し(水、次にNaCl飽和溶液で)、乾燥し(MgSO4)、蒸発させる。残査をEt2O中でつき砕き、形成する白色固体をろ別して、目的化合物を得る。
融点:178〜183℃
【0058】
工程B:3−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロパンアミド 工程Aで得られる化合物から出発して、手順は実施例2の工程Cの通りである。
【0059】
融点:195〜198℃
元素微量分析:
C H N S
理論値% 58.9 5.46 10.85 8.28
実測値% 58.55 5.47 10.40 8.24
【0060】
実施例4
3−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}−N,N−ジメチルプロパンアミド
工程A:3−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}−N,N−ジメチルプロパンアミド
手順は実施例3の工程Aと同様であるが、アンモニアガスをTHF中の2Mのジメチルアミンに代える。精製を、シリカカラムによるクロマトグラフィーにより、CH2Cl2/MeOH98/2混合物で溶離して行う。
融点:77〜80℃
【0061】
工程B:3−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}−N,N−ジメチルプロパンアミド 工程Aで得られる化合物から出発して、手順は実施例2の工程Cの通りである。精製を、シリカカラムによるクロマトグラフィーにより、CH2Cl2/アセトン90/10の混合物で溶離して行う。
【0062】
融点:189〜192℃
元素微量分析:
C H N S
理論値% 60.70 6.06 10.11 7.72
実測値% 61.24 6.37 10.16 7.68
【0063】
実施例5
N−(3−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]−ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロピル)メタンスルホンアミド
工程A:(3−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロピル)アミン
LiAlH4192mg(5.06mmol)を、少しづつ、THF20mL中の実施例3の工程Aで得られる化合物(390mg、1.01mmol)の懸濁液に加え、反応混合物を還流させながら1時間30分攪拌する。反応混合物を氷浴中で冷却し、NH4Cl水溶液を滴下することにより処理する。アルミニウム塩をろ別し、THFですすぎ、次にアセトンですすぎ、ろ液を濃縮する。後者をCH2Cl2で希釈し、目的のアミンを1NのHClで抽出する。酸性の水性相をCH2Cl2で洗浄し、10%のNaHCO3溶液でアルカリ性にし、AcOEtで3回抽出する。有機相を集め、MgSO4で乾燥し、蒸発させる。残査をEt2O中でつき砕き、形成する白色固体をろ別して、目的化合物を得る。
融点:126〜131℃
【0064】
工程B:N−(3−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロピル)メタンスルホンアミド
氷浴中で冷却するCH2Cl22mL中の工程Aで得られる化合物(106mg、0.28mmol)の溶液に、0℃で、トリエチルアミン59μL(0.43mmol)を加え、次に、CH2Cl22mLに溶解するメタンスルホン酸74mg(0.43mmol)を滴下する。反応溶液を、周囲温度にしながら、2時間攪拌する。有機相を1NのHClで、次にNaCl飽和水溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥する。蒸発後、目的化合物を、シリカカラムによるクロマトグラフィーにより、CH2Cl2/アセトン95/5の混合物で溶離して精製する。
【0065】
融点:65〜69℃
元素微量分析:
C H N S
理論値% 53.20 5.58 9.31 14.20
実測値% 53.24 5.64 9.12 14.40
【0066】
実施例6
N−((2S)−2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]−ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}−2−フルオロプロピル)プロパン−2−スルホンアミド
2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]−ベンゾチアジアジン−7−オール 5,5−ジオキシドと4−{1−フルオロ−2−[(イソプロピルスルホニル)アミノ]−1−メチル−エチル}フェニルボロン酸を、実施例1の手順にしたがうが、反応時間を16時間に延長して反応させることにより、目的化合物を得る。精製を、シリカカラムによる2回の連続的クロマトグラフィーにより、最初のクロマトグラフィー工程では、CH2Cl2/MeOH98/2の混合物で、第2の工程では、シクロヘキサン/酢酸エチル70/30混合物で溶離して行う。
【0067】
融点:90℃
元素微量分析:
C H N S
理論値% 53.10 5.67 8.44 12.89
実測値% 53.81 5.76 8.21 12.72
【0068】
実施例7
N−(2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}−2−フルオロプロピル)メタンスルホンアミド
工程A:1−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}エタノン
2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−オール 5,5−ジオキシドと4−アセチルフェニルボロン酸を、実施例1の手順にしたがうが、反応時間を16時間に延長して反応させることにより、目的化合物を得る。精製を、シリカカラムによるクロマトグラフィーにより、CH2Cl2/アセトン98/2の混合物で溶離してう。
融点:150〜152℃
【0069】
工程B:1−アミノ−2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]−ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロパン−2−オール
THF25mL中の工程Aで得られる化合物1.0g(2.79mmol)、18−クラウン−6エーテル23mg(0.09mmol)およびKCN18.5mg(0.28mmol)を含有する溶液に、TMSCN840μL(6.26mmol)を滴下する。反応溶液を周囲温度で3時間攪拌し、次にLiAlH4424mg(11.2mmol)を少しづつ加える。1時間30分後、NaCl飽和水溶液を滴下することにより、過剰の水素化物を加水分解する。反応混合物をろ過し、固体をTHFで数回すすぎ、ろ液を蒸発させて、目的化合物に相当する白色メレンゲ状物を得る。
融点:76〜78℃
【0070】
工程C:N−(2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}−2−ヒドロキシプロピル)メタンスルホンアミド
氷浴中で冷却する、CH2Cl225mL中の工程Bで得られる化合物(640mg、1.64mmol)の溶液に、トリエチルアミン354μL(2.53mmol)を加え、次に、CH2Cl210mLに溶解したメタンスルホン酸無水物441mg(2.53mmol)滴下する。反応溶液を、周囲温度に戻しながら、2時間攪拌する。有機相を1NのHClで洗浄し、次にNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥する。蒸発後、残査を、シリカカラムによるクロマトグラフィーにより、CH2Cl2/MeOH96/4の混合物で溶離して精製する。
融点:90〜92℃
【0071】
工程D:N−(2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}−2−フルオロプロピル)メタンスルホンアミド
氷浴中で冷却する、CH2Cl215mL中の工程Cで得られる化合物(230mg、0.49mmol)の溶液に、DAST133μL(0.99mmol)を滴下する。反応溶液を、周囲温度に戻しながら、2時間攪拌する。有機相をH2Oで洗浄し、次にNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥する。蒸発後、残査を、シリカカラムによるクロマトグラフィーにより、CH2Cl2/MeOH99/1の混合物で溶離して精製する。
【0072】
融点:84〜86℃
元素微量分析:
C H N S
理論値% 51.16 5.15 8.95 13.66
実測値% 51.34 5.48 8.91 14.16
【0073】
実施例8
N−(2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロピル)メタンスルホンアミド
工程A:2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロパンニトリル
トシルメチルイソニトリル840mg(4.30mmol)を、1,2−ジメトキシエタン25mL中の実施例7の工程Aの化合物(700mg、1.95mmol)の溶液に加える。反応溶液を−25℃に冷却し、THF中の1MのtBuOK6mL(6mmol)を滴下する。反応混合物を−25℃で30分攪拌し、次に1時間かけて周囲温度に戻す。1NのHClの添加後、反応混合物をAcOEtで抽出し、有機相を集め、NaCl飽和溶液で洗浄し、乾燥する(MgSO4)。蒸発後、残査を、シリカカラムによるクロマトグラフィーにより、CH2Cl2/MeOH99/1の混合物で溶離して精製して、目的化合物に相当する白色メレンゲ状物を得る。
【0074】
工程B:(2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロピル)アミン
THF15mL中の前記工程Aの化合物485mg(1.31mmol)を含有する溶液に、LiAlH4200mg(5.25mmol)を少しづつ加える。3時間反応後、NaCl飽和水溶液を滴下することにより、過剰の水素化物を加水分解する。反応混合物をろ過し、固体をTHFで数回すすぎ、ろ液を蒸発させて、目的化合物に相当する白色メレンゲ状物を得る。
【0075】
工程C:N−(2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロピル)メタンスルホンアミド
氷浴中で冷却する、CH2Cl220mL中の工程Bで得られた化合物(394mg、1.06mmol)の溶液に、トリエチルアミン441μL(3.17mmol)を加え、次に、CH2Cl25mLに溶解するメタンスルホン酸無水物404mg(232mmol)を滴下する。反応溶液を、周囲温度に戻しながら、2時間攪拌する。有機相を1NのHClで洗浄し、次にNaCl飽和溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥する。蒸発後、残査をシリカカラムによるクロマトグラフィーにより、CH2Cl2/MeOH99/1の混合物で溶離して精製する。
【0076】
融点:83〜85℃
元素微量分析:
C H N S
理論値% 53.2 5.58 9.31 14.2
実測値% 53.53 5.67 9.05 14.26
【0077】
実施例9
(2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}エチル)ジメチルアミン
工程A:メチル {4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}アセテート
2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−オール 5,5−ジオキシドと4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)フェニルボロン酸を、実施例1の手順にしたがうが、反応時間を16時間に延長して、反応させることにより、目的化合物を得る。精製を、シリカカラムによるクロマトグラフィーにより、CH2Cl2/MeOH98/2の混合物で溶離して行う。
融点:140〜142℃
【0078】
工程B:{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}酢酸
NaOH溶液6mL中の工程Aで得られるエステル(538mg、1.38mmol)の懸濁液を、100℃で3時間30分攪拌する。反応溶液を1NのHClで酸性にし、白色沈殿をろ別して、目的化合物を得る。
融点:166〜169℃
【0079】
工程C:2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}−N,N−ジメチルアセトアミド
手順は実施例3の工程Aと同様であるが、アンモニアガスをTHF中の2Mのジメチルアミンに代え、3−{4−[5,5−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}プロパン酸を工程Bで得られる化合物に代える。精製を、シリカカラムによるクロマトグラフィーにより、CH2Cl2/MeOH99/1の混合物で溶離し、次に水から結晶化することにより行う。
【0080】
融点:154℃
元素微量分析:
C H N S
理論値% 59.83 5.77 10.47 7.99
実測値% 59.78 5.81 10.28 7.95
【0081】
工程D:(2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}エチル)ジメチルアミン
手順は、実施例8の工程Bと同様である。精製を、シリカカラムによるクロマトグラフィーにより、CH2Cl2/MeOH/NH4OH97/3/0.3の混合物で溶離し、次にEt2Oから結晶化することにより行う。
【0082】
融点:159℃
元素微量分析:
C H N S
理論値% 61.99 6.5 10.84 8.58
実測値% 62.25 6.64 10.50 8.25
【0083】
実施例10
N−(1−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}シクロプロピル)メタンスルホンアミド
工程A:[1−(4−ヨードフェニル)シクロプロピル]アミン
無水Et2O140mL中の4−ヨードベンゾニトリル(5.0g、21.83mmol)の溶液に、Ti(OiPr)47.09mL(24.01mmol)を加え、反応混合物を−65℃に冷却する。次に得られる溶液に、Et2O中のエチルマグネシウムブロミドの3M溶液16mL(48.00mmol)を滴下し、反応混合物を周囲温度に戻す。攪拌を周囲温度で1時間続け、BF3・OEt25.53mL(43.66mmol)を加える。攪拌を周囲温度で1時間15分続け、1NのHCl65mLを加える。2相懸濁液が得られ、Et2O300mL、次に1NのNaOH溶液200mLを加える。懸濁液をろ過し、ろ液をEt2Oで2回抽出する。有機相を集め、洗浄し(水、NaCl飽和溶液)、MgSO4で乾燥し、半分まで濃縮する。残留溶液を1NのHClで抽出し、濃NaOH溶液でアルカリ性にする結果、予期されるアミンが沈殿する。
【0084】
融点:69〜72℃
元素微量分析:
C H N S
理論値% 41.72 3.89 5.41 48.98
実測値% 41.79 3.96 5.35 49.35
【0085】
工程B:N−[1−(4−ヨードフェニル)シクロプロピル]メタンスルホンアミド
CH2Cl250mL中の工程Aで得られる化合物(3g、11.58mmol)の溶液に、DBU2.7mL(18.05mmol)を加え、次に、CH2Cl220mLで希釈するメタンスルホン酸無水物2.09g(12mmol)の溶液を滴下する。溶液を周囲温度で一晩攪拌し、次に1NのHCl20mLを加える。有機相を傾斜洗浄し、洗浄(NaCl飽和溶液)し、乾燥(MgSO4)し、真空中で蒸発後、残留物をシリカクロマトグラフィー(CH2Cl2/AcOEt95/5)にかけて、目的化合物を得る。
融点:101〜102℃
【0086】
工程C:N−{1−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]シクロプロピル}メタンスルホンアミド
DMSO20mL中の、工程Bで得られる化合物1.75g(5.19mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン1.71g(7.27mmol)、AcOK1.53g(15.57mmol)およびPdCl2(dppf)・CH2Cl2127mg(0.156mmol)の混合物を、窒素下、85℃で30分攪拌する。周囲温度で、水50mLを加え、水性相をAcOEtで3回抽出する。有機相を集め、洗浄し(NaCl飽和溶液)、乾燥する(MgSO4)。真空中で蒸発後、残査をシリカクロマトグラフィー(CH2Cl2/AcOEt96/4)にかけて、目的化合物を得る。
【0087】
元素微量分析:
C H N S
理論値% 56.98 7.17 4.15 9.51
実測値% 57.11 7.20 4.19 9.70
【0088】
工程D:(4−{1−[(メチルスルホニル)アミノ]シクロプロピル}フェニル)ボロン酸
アセトン25mLおよび1Mの酢酸アンモニウム水溶液7mLの混合物中の工程Cで得られる化合物810mg(2.40mmol)およびNaIO41.95g(9.12mmol)の懸濁液を、周囲温度で24時間攪拌する。固体をろ別し、多量のアセトンですすぐ。ろ液を半分まで濃縮し、残留溶液をAcOEtで抽出する。有機相を洗浄(NaCl飽和溶液)し、乾燥(MgSO4)し、真空中で蒸発後、目的化合物を得る。
【0089】
工程E:N−(1−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}シクロプロピル)メタンスルホンアミド
CH2Cl235mL中の、2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−オール 5,5−ジオキシド290mg(1.21mmol)、工程Dで得られる化合物465mg(1.82mmol)、酢酸銅(II)330mg(1.82mmol)、ピリジン294μl(3.64mmol)および4Åのモレキュラーシーブ約3.5gで構成される懸濁液を、周囲温度で5時間攪拌する、反応混合物をろ過し、CH2Cl2/MeOH(1/1)ですすぐ。ろ液を濃縮し、次に直接にシリカカラムにかけ、CH2Cl2/アセトン96/4の混合物で溶離する。予期される化合物を含有する画分を集め、蒸発させ、残留物を少量のエチルエーテル中にとる。固体をろ別後、目的化合物を白色粉末の形態で集める。
【0090】
融点:192〜194℃
元素微量分析:
C H N S
理論値% 53.44 5.16 9.35 14.27
実測値% 53.52 5.53 9.08 14.76
【0091】
本発明の化合物の薬理学的研究
アフリカツメガエル卵母細胞におけるAMPAにより誘起される興奮性電流の研究
a−方法:
mRNAを、オスのWistarラットの大脳皮質から、チオシアン酸グアニジウム/フェノール/クロロホルム法により調製する。ポリ(A+)mRNAを、oligo-dTセルロースによるクロマトグラフィーにより単離し、卵母細胞当たり50ngのレベルで注入する。卵母細胞を、18℃で2〜3日インキュベートして、受容体を発現させ、次に8〜10℃で保存する。
【0092】
電気生理学的記録を、Plexiglass(登録商標)チャンバー中で、20〜24℃で、OR2培地(J. Exp. Zool, 1973, 184, 321-334)中で、「電圧固定」法により、2個の電極を、浴中に置き参照として働く第3の電極と共に、用いて行う。
【0093】
全ての化合物をインキュベーション培地を介して作用させ、作用期間の最後に電流を測定する。AMPAを10μMの濃度で用いる。研究するそれぞれの化合物について、AMPA単独により誘起される電流の強度(5〜50nA)の2倍(EC2X)または5倍(EC5X)になる濃度を決定する。
【0094】
b−結果:
本発明の化合物はAMPAの興奮性効果を著しく増強し、これらの活性は対照の化合物の活性よりも極めて明確に優れている。
【0095】
たとえば、実施例1の化合物は、0.1μMのEC2Xを有する。
【0096】
医薬組成物
それぞれ、N−(2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}エチル)メタンスルホンアミド(実施例1)を100mg含有する錠剤1000個の製剤の処方
N−(2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}エチル)メタンスルホンアミド(実施例1)・・・・・・・・・・・・・・・100g
ヒドロキシプロピルセルロース・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2g
小麦スターチ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g
ラクトース・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100g
ステアリン酸マグネシウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3g
タルク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


{式中、R1は、水素原子、直鎖状もしくは分岐状(C1〜C6)アルキル基または(C3〜C7)シクロアルキル基を表し、R2は、水素原子、ハロゲン原子またはヒドロキシ基を表し、Aは、CR34基またはNR3基(式中、R3は、水素原子または直鎖状もしくは分岐状(C1〜C6)アルキル基を表し、そしてR4は、水素原子またはハロゲン原子を表す)を表すか、または
Aは、窒素原子を表し、そして隣接する−CHR1−基と一緒になって、環:
【化2】


(式中、mは、1、2、または3を表す)を形成し、Yは、場合により、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルキル基およびハロゲン原子から選択される1個以上の同一または異なる置換基で置換される(C2〜C6)アルキレン鎖を表す[ここで−CH2−基の1個は基:
【化3】


(式中、pは、1、2、3、または4である)で置換されていてもよい]か、またはYは、前記定義の基:
【化4】


を表し、
Xは、NR56、S(O)n7、OR8、C(O)R9、アミジノ(場合により、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルキル、ヒドロキシ、直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルコキシ、および
【化5】


から選択される1個または2個の同一または異なる基で置換される)または複素環基を表す[式中、R5は、水素原子または直鎖状もしくは分岐状(C1〜C6)アルキル、S(O)t11、COR12またはP(O)OR13OR14基を表し、R6は、水素原子または直鎖状もしくは分岐状(C1〜C6)アルキル基を表すか、
あるいはR5およびR6は、これらを有する窒素原子と一緒になって、複素環基を形成し、
8は、直鎖状もしくは分岐状(C1〜C6)アルキル基またはC(O)R15基を表し、
9は、ヒドロキシ基、直鎖状もしくは分岐状(C1〜C6)アルコキシ基、またはアミノ基(場合により、1個または2個の同一または異なる直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルキル基で置換される)を表し、
7、R10、R11、R12、R13、R14およびR15は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子;場合により1個以上のハロゲン原子で置換される直鎖状または分岐状(C1〜C6)アルキル基;アリール−(C1〜C6)アルキル基(ここでアルキル部分は直鎖状または分岐状である);またはアリール基を表し、
nおよびtは、同じでも異なっていてもよく、それぞれ0、1、または2を表す]}
の化合物、これらの鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容される酸または塩基とのこれらの付加塩。
【請求項2】
Aが、窒素原子を表し、そして隣接する−CHR1−基と一緒になって、環:
【化6】


を形成する、請求項1記載の式(I)の化合物、これらの鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容される酸または塩基とのこれらの付加塩。
【請求項3】
2が、水素原子を表す、請求項1記載の式(I)の化合物、これらの鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容される酸または塩基とのこれらの付加塩。
【請求項4】
Yが、2個または3個の炭素原子を含有するアルキレン鎖を表す、請求項1記載の式(I)の化合物、これらの鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容される酸または塩基とのこれらの付加塩。
【請求項5】
Xが、基NR56またはC(O)R9を表す、請求項1記載の式(I)の化合物、これらの鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容される酸または塩基とのこれらの付加塩。
【請求項6】
N−(2−{4−[(5,5−ジオキシド−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,1−c][1,2,4]ベンゾチアジアジン−7−イル)オキシ]フェニル}エチル)メタンスルホンアミドである、請求項1記載の式(I)の化合物、その鏡像異性体およびジアステレオ異性体、ならびに薬学的に許容される酸または塩基とのこれらの付加塩。
【請求項7】
出発物質として式(II):
【化7】


(式中、A、R1およびR2は、式(I)についての定義の通りであり、そして記号:
【化8】


は、結合が一重または二重であることを意味する)の化合物を用いて、
これを、酢酸銅(II)の存在下で、式(III):
【化9】


[式中、Zは、直鎖状もしくは分岐状(C1〜C6)アシル基、基−Y−X(式中、XおよびYは、式(I)についての定義の通りである)または基−Y−X’(式中、Yは、式(I)についての定義の通りであり、そしてX’はシアノまたはカルボキシ基を表す)を表す]のボロン酸化合物と反応させて、
直接に、あるいは金属水素化物による還元後(記号:
【化10】


が二重結合を表す場合)および/または場合による、X’基またはアシル基の転化により、式(I):
【化11】

の化合物を得て、この式(I)の化合物を、必要ならば、慣用の精製技術にしたがって、精製し、適切な場合には、慣用の分離技術にしたがって、その異性体に分離し、そして、望ましいならば、薬学的に許容される酸または塩基とのその付加塩に転化することを特徴とする、請求項1記載の式(I)の化合物の製造方法。
【請求項8】
活性成分として、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物を、不活性な、無毒の、薬学的に許容される賦形剤またはキャリヤ1種以上と組み合わせて含む、医薬組成物。
【請求項9】
活性成分として請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物を含み、AMPAモジュレーターとしての医薬として用いる、請求項8記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2006−188506(P2006−188506A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−357202(P2005−357202)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(500287019)レ ラボラトワール セルヴィエ (166)
【Fターム(参考)】