説明

新規な有機光電素子用化合物およびこれを含む有機光電素子

本発明は、正孔と電子との輸送能力および熱安定性に優れた化学式(1)の有機光電素子用化合物を提供する。
本発明の有機光電素子用化合物は、駆動電圧が低く、寿命および効率特性が優れた有機光電素子を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な有機光電素子用化合物およびこれを含む有機光電素子に関し、より詳細には、正孔および電子の輸送能力ならびに熱安定性が優れ、駆動電圧が低く、寿命および効率特性に優れた有機光電素子を提供することができる有機光電素子用化合物およびこれを含む有機光電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機光電素子とは、有機発光材料に電流を加えて電気エネルギーを光エネルギーに変換する素子であって、陽極(anode)と陰極(cathode)との間に機能性有機薄膜層が挿入された構造を有する。有機薄膜層は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層などを含んでもよく、発光層の発光特性を改善するために、電子阻止層または正孔阻止層をさらに含んでもよい。
【0003】
有機光電素子の電気的な特性は発光ダイオード(light emitting diodes:LED)と類似しており、陽極から正孔が注入され、陰極から電子が注入されて、正孔と電子とが互いに反対側の電極に向かって移動して再結合(recombination)し、エネルギーが高い励起子(exciton)を形成する。形成された励起子が基底状態(ground state)に移動しながら特定の波長を有する光が発生する。
【0004】
発光効率を向上させるためには、発光層内の正孔と電子との結合が円滑になされなければならない。しかしながら、一般的に有機材料では正孔の移動度が電子の移動度よりも速いため、正孔と電子との間の結合が不十分になる問題があり、素子の発光効率が減少するという問題がある。したがって、陰極からの電子注入および移動度を高めると同時に、正孔の移動を妨げることができる新規化合物が非常に必要とされている。
【0005】
また、素子の寿命は、素子の駆動時に発生するジュール熱(Joule heat)によって材料が結晶化するため、寿命が短縮しうる。この問題を解決するために、電子の移動速度が速い2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)(Jpn.J.Appl.Phys.,27,L269(1988))が提案されたが、熱安定性が不十分であり、そのため、依然として、素子の駆動時に結晶化するという問題点がある。また、正孔移動度を低くする特性に優れたバソクプロイン(BCP)およびアルミニウムの混合配位錯体(BAlq,Bis(2−メチル−8−キノリノレート)−4−(フェニルフェノレート)アルミニウム)に対する研究も活発に進められた。しかしながら、このような材料は、正孔移動度を低くする特性が優れている反面、電子注入特性が低下し、素子の駆動時に結晶化するという問題点があるため、満足し得る素子特性が得られない。
【0006】
したがって、有機発光ダイオードの効率および寿命特性を改善するために、電子の注入および移動度に優れ、熱安定性が高い有機化合物が強く求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一実施形態は、正孔および電子の輸送能力に優れた有機光電素子用化合物を提供する。
【0008】
また、本発明の他の一実施形態は、前記有機光電素子用化合物を含むことによって、駆動電圧が低く、寿命および効率特性が優れた有機光電素子を提供する。
【0009】
さらに、本発明のさらに他の一実施形態は、前記有機光電素子を含む表示装置を提供する。
【0010】
本発明の実施形態は、上述した技術的課題に制限されるものではなく、当業者は他の技術的課題を理解するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、下記化学式(1)で表される有機光電素子用化合物が提供される。
【0012】
【化1】

【0013】
(前記化学式(1)において、
1〜A10は互いに同一または異なり、それぞれ独立してCR1〜CR10、SiR1〜SiR10、およびNからなる群より選択され、このとき、隣接したR1〜R5は互いに縮合して縮合環を形成してもよく、または、隣接したR6〜R10は互いに縮合して縮合環を形成してもよく、
但し、A1〜A5のうち少なくとも1つは、SiR1〜SiR5、およびNからなる群より選択されるか、または、隣接したR1〜R5から形成される縮合環の少なくとも1つの原子がヘテロ原子であり、A6〜A10のうち少なくとも1つは、SiR6〜SiR10、およびNからなる群より選択されるか、隣接したR6〜R10から形成される縮合環の少なくとも1つの原子がヘテロ原子であり、
1〜R10は互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、ハロゲン、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルキレン基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルケニレン基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアルキニレン基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のシクロアルキレン基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換されたアリーレン基からなる群より選択され、
Ar1は置換または非置換のアリーレン基であり、
Ar2は置換または非置換のアリール基であり、
lおよびmは1〜4の整数であり、lおよびmが2以上である場合、それぞれの反復単位は相違していてもよい。)
本発明の他の一実施形態によれば、陽極、陰極、および前記陽極と陰極との間に配置された少なくとも1層の有機薄膜層を含む有機光電素子であって、前記有機薄膜層のうちの少なくとも1層は、前記有機光電素子用化合物を含む有機光電素子が提供される。
【0014】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記有機光電素子を含む表示装置が提供される。
【0015】
本発明のさらなる実施形態を、以下に詳細に説明する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態に係る有機光電素子用化合物は、置換基を調節してエネルギーレベルを調節することにより、正孔および電子の輸送能力を向上させることができる。特に、アリール基およびヘテロ環基が順に繰り返される構造を有する有機光電素子用化合物は、エネルギーレベルを低くし、したがって電子輸送能力を向上させる。これにより、本発明の一実施形態に係る有機光電素子用化合物は、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、またはこれらの組み合わせである有機薄膜層に含まれ、電気化学的安定性および熱安定性および寿命特性に優れ、低い駆動電圧で高い発光効率を有する有機光電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の多様な実施形態に係る有機光電素子用化合物を含む有機光電素子を示す断面図である。
【図2】本発明の多様な実施形態に係る有機光電素子用化合物を含む有機光電素子を示す断面図である。
【図3】本発明の多様な実施形態に係る有機光電素子用化合物を含む有機光電素子を示す断面図である。
【図4】本発明の多様な実施形態に係る有機光電素子用化合物を含む有機光電素子を示す断面図である。
【図5】本発明の多様な実施形態に係る有機光電素子用化合物を含む有機光電素子を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例1によって製造された化合物の1H NMRスペクトルを示す図である。
【図7】本発明の実施例2によって製造された化合物の1H NMRスペクトルを示す図である。
【図8】本発明の実施例3によって製造された化合物の1H NMRスペクトルを示す図である。
【図9】実施例4〜6および比較例1によって製造された有機発光素子の電圧−電流密度特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の例示的な実施形態について詳しく説明する。ただし、これらの実施形態は例示として提示されたものに過ぎず、これによって本発明が制限されることはない。
【0019】
本明細書において、別途の定義がない限り、「アルキル」とは炭素数1〜50のアルキル、好ましくは炭素数1〜15のアルキルを意味し、「アルコキシ」とは炭素数1〜50のアルコキシ、好ましくは炭素数1〜15のアルコキシを意味し、「アルケニル」とは炭素数2〜50のアルケニル、好ましくは炭素数2〜15のアルケニルを意味し、「シクロアルキル」とは炭素数3〜50のシクロアルキル、好ましくは炭素数3〜15のシクロアルキルを意味し、「アリール」とは炭素数6〜50のアリール、好ましくは炭素数6〜25のアリールを意味し、「ヘテロ環基」とは炭素数1〜50のヘテロ環基、好ましくは炭素数1〜25のヘテロ環基を意味する。
【0020】
特に、本明細書において、「ヘテロ環基」とは、別途の定義がない限り、ヘテロ原子を含む炭素数3〜50のヘテロアリール基、炭素数1〜50のヘテロシクロアルキル基、炭素数1〜50のヘテロシクロアルケニル基、炭素数1〜50のヘテロシクロアルキニル基、またはこれらの縮合環基でありうることを意味する。前記ヘテロ環基は、ヘテロ原子を1〜20、特には1〜15をみうる。
【0021】
本明細書において、別途の定義がない限り、「エステル」とはCOORを意味し、「カルボニル」とは−COR’を意味する。ここで、RおよびR’はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、またはこれらの組み合わせである。
【0022】
本明細書において、「置換基」とは、別途の定義がない限り、ハロゲン、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を意味する。
【0023】
本明細書において、「ヘテロ原子」とは、別途の定義がない限り、N、O、S、P、Se、およびSiから選択されるものを意味する。
【0024】
本明細書において、接頭語の「ヘテロ」とは、別途の定義がない限り、1つの環内にヘテロ原子を1〜3含み、残りは炭素であるものを意味する。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、アリール基およびヘテロ環基が順に繰り返される構造を有する下記化学式(1)で表される有機光電素子用化合物が提供される。
【0026】
【化2】

【0027】
(前記化学式(1)において、
1〜A10は互いに同一または異なり、それぞれ独立してCR1〜CR10、SiR1〜SiR10、およびNからなる群より選択され、このとき、隣接したR1〜R5は互いに縮合して縮合環を形成してもよく、または、隣接したR6〜R10は互いに縮合して縮合環を形成してもよく、
但し、A1〜A5のうち少なくとも1つは、SiR1〜SiR5、およびNからなる群より選択されるか、または、隣接したR1〜R5から形成される縮合環の少なくとも1つの原子がヘテロ原子であり、A6〜A10のうち少なくとも1つは、SiR6〜SiR10、およびNからなる群より選択されるか、または、隣接したR6〜R10から形成される縮合環の少なくとも1つの原子がヘテロ原子であり、
1〜R10は互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、ハロゲン、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルキレン基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルケニレン基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアルキニレン基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のシクロアルキレン基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のアリーレン基からなる群より選択され、
Ar1は置換または非置換のアリーレン基であり、Ar2は置換または非置換のアリール基であり、
lおよびmは1〜4の整数であり、lおよびmが2以上である場合、それぞれの反復単位は相違していてもよい。)
1〜A5の少なくとも1つがNを含む場合、またはA6〜A10の少なくとも1つがNを含む場合、LUMO(最低空軌道、Lowest unoccupied molecular orbital)のエネルギー準位が低下し、化合物の電子親和力が高くなり、これによって電子輸送特性を向上させることができる。したがって、有機光電素子の駆動電圧が低下し、素子の発光効率が向上する。
【0028】
Ar1が置換または非置換のアリーレン基であり、Ar2が置換または非置換のアリール基であり、前記アリールが炭素数6〜50のアリールであって、フェニルのような単環式アリール、またはナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピニレル、ペリレニル、ピレニルなどの多環式アリールである場合、前記化合物は有機光電素子の発光層として極めて有効に用いられうる。
【0029】
lおよびmがそれぞれ独立して2である場合、薄膜の結晶性が低下し、非晶質構造が形成され、有機光電素子の熱安定性が改善される。
【0030】
本発明の一実施形態に係る有機光電素子用化合物は、下記化学式(2)で表される化合物でありうる。
【0031】
【化3】

【0032】
(前記化学式(2)において、
1、A3、A5、A6〜A15は互いに同一または異なり、それぞれ独立してCR1、CR3、CR5、CR6〜CR15、SiR1、SiR3、SiR5、SiR6〜SiR15、およびNからなる群より選択され、このとき、隣接したR6〜R10は互いに縮合して縮合環を形成してもよく、または、隣接したR11〜R15は互いに縮合して縮合環を形成してもよく、
但し、A1、A3、およびA5のうち少なくとも1つは、SiR1、SiR3、SiR5、およびNからなる群より選択され、A6〜A10のうち少なくとも1つは、SiR6〜SiR10、およびNからなる群より選択され、隣接したR6〜R10から形成される縮合環の少なくとも1つの原子がヘテロ原子であり、A11〜A15のうち少なくとも1つは、SiR11〜SiR15、およびNからなる群より選択されるか、または、隣接したR11〜R15から形成される縮合環の少なくとも1つの原子がヘテロ原子であり、
1、R3、R5、R6〜R15は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルキレン基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルケニレン基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアルキニレン基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のシクロアルキレン基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のアリーレン基からなる群より選択され、
Ar1は置換または非置換のアリーレン基であり、Ar2およびAr3は互いに同一または異なり、それぞれ独立して置換または非置換のアリール基である。)
1、A3、およびA5のうち少なくとも1つはNを含み、A6〜A10のうち少なくとも1つはNを含み、A11〜A15のうちから少なくとも1つ以上はNを含むことが好ましい。
【0033】
Ar1が置換または非置換のアリーレン基であり、Ar2およびAr3が互いに同一または異なり、それぞれ独立して置換または非置換のアリール基であり、前記アリールは炭素数6〜50のアリールであって、フェニルのような単環式アリール、またはナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピニレル、ペリレニル、ピレニルなどの多環式アリールである場合、前記化合物は有機光電素子の発光層として有用でありうる。
【0034】
化学式(1)のR1〜R10および化学式(2)のR1、R3、R5、R6〜R15が置換または非置換のアリール基、あるいは置換または非置換のアリーレン基である場合、前記アリールは炭素数6〜50のアリールでありうる。特に、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、スチレニルなどの単環式アリール、またはナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、ペリレニル、ピレニルなどの多環式アリールである場合、前記化合物は有機光電素子の発光層として有用でありうる。
【0035】
化学式(1)において、隣接したR1〜R5は互いに縮合して縮合環を形成してもよく、隣接したR6〜R10は互いに縮合して縮合環を形成してもよい。化学式(2)において、隣接したR6〜R10は互いに縮合して縮合環を形成してもよく、隣接したR11〜R15は互いに縮合して縮合環を形成してもよい。ここで、化学式(1)における、A1〜A5を含む縮合環およびA6〜A10を含む縮合環、ならびに化学式(2)におけるA6〜A10を含む縮合環およびA11〜A15を含む縮合環は、置換または非置換のヘテロ環でありうる。
【0036】
前記ヘテロ環基は、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、カルバゾリル基、ピリジニル基、ピリダジン基、キノリニル基、イソキノリニル基、アクリジル基、イミダゾピリジニル基、およびイミダゾピリミジニル基からなる群より選択されうる。
【0037】
特に、前記イミダゾリル基またはトリアゾリル基の窒素(N)元素に結合する置換基は、置換または非置換のメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基などのアルキル基;置換または非置換のシクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;置換または非置換のフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などのアリール基;および置換または非置換のヘテロ環基からなる群より選択される。前記ヘテロ環基は、ピリジル基、ビピリジル基、キノリル基、イソキノリル基などのヘテロアリール基であることが好ましい。
【0038】
上述した化学式(1)および化学式(2)で表される上述の化合物の多様な置換基は、本発明の一実施形態に係る有機光電素子用化合物の本質的な物性を変化させない。
【0039】
本発明の一実施形態に係る有機光電素子用化合物の例として、下記化学式(3)〜化学式(52)で表される化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
【化4−1】

【0041】
【化4−2】

【0042】
【化4−3】

【0043】
【化4−4】

【0044】
【化4−5】

【0045】
【化4−6】

【0046】
このような化合物を含む有機光電素子用化合物は、正孔および電子の輸送能力に優れるため、適切なドーパントと共に発光ホストとしての役割を果たすことができる。特に、前記ドーパントは還元性ドーパントでありうる。前記還元性ドーパントは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の有機錯体、希土類元素金属の酸化物、希土類元素金属のハロゲン化物、および希土類元素金属の有機錯体からなる群より選択されうる。
【0047】
このような有機光電素子用化合物は、有機光電素子の有機薄膜層に用いられ、有機光電素子の効率特性を向上させ、駆動電圧を低下させることができる。さらに、寿命特性を向上させることができる。
【0048】
他の実施形態によれば、前記有機光電素子用化合物を含む有機光電素子が提供される。このような有機光電素子としては、有機発光ダイオード(OLED)、有機太陽電池、有機トランジスタ、有機感光体ドラム、有機メモリ素子などが挙げられる。特に、本発明の一実施形態に係る有機光電素子用化合物は、有機太陽電池の電極または電極バッファ層に適用され、量子効率を増加させうる。または、有機トランジスタゲート、ソース−ドレイン電極などの電極材料に適用されうる。
【0049】
以下、有機光電素子についてより詳細に説明する。
【0050】
本発明の他の実施形態によれば、陽極と陰極と、前記陽極と陰極との間に配置された少なくとも1層の有機薄膜層とを含む有機光電素子であって、前記有機薄膜層のうちの少なくともいずれか一層が、本発明の一実施形態に係る有機光電素子用化合物を含む有機光電素子が提供される。
【0051】
前記有機光電素子用化合物は、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、電子阻止層、またはこれらの組み合わせのうち少なくとも1つの層を含む有機薄膜層に含まれうる。これらの有機薄膜層のうち少なくとも1つの層は、前記有機光電素子用化合物を含む。特に、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、またはこれらの組み合わせのうち少なくとも1つの層は本発明の一実施形態に係る有機光電素子用化合物を含みうる。
【0052】
図1〜図5は、本発明の多様な実施形態による新規な有機光電素子用化合物を含む有機発光素子の断面図である。
【0053】
図1〜図5を参照すれば、本発明の一実施形態に係る有機光電素子100、200、300、400、および500は、陽極120と陰極110との間に配置された少なくとも1層の有機薄膜層105を含む。
【0054】
陽極120は陽極材料を含み、この陽極材料は、有機薄膜層に正孔注入が円滑になされるように仕事関数が大きい材料である。陽極材料としては、ニッケル、白金、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金など金属もしくはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、およびインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの金属酸化物;ZnO:Al、もしくはSnO2:Sbのような金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン](poly[3,4−(ehtylene−1,2−dioxy)thiophene]:PEDT)、ポリピロール、およびポリアニリンなどの導電性高分子などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
陰極110は陰極材料を含み、この陰極材料としては、有機薄膜層に電子注入が容易になされるように仕事関数が小さい材料である。陰極材料としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズ、鉛、セシウム、バリウムなどの金属もしくはこれらの合金;LiF/Al、Liq/Al、LiO2/Al、LiF/Ca、LiF/Al、およびBaF2/Caなどの多層構造材料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
図1を参照すれば、図1は有機薄膜層105が発光層130のみを含む有機光電素子100を示したものであって、前記有機薄膜層105は発光層130のみで存在してもよい。
【0057】
図2を参照すれば、図2は有機薄膜層105が電子輸送層を含む発光層230と正孔輸送層140とを含む、2層型有機光電素子200を示すものであって、有機薄膜層105は発光層230および正孔輸送層140を含む2層型であってもよい。この場合、発光層130は電子輸送層の機能も有しし、正孔輸送層140はITOのような透明電極との優れた接合性および優れた正孔輸送性を有する。
【0058】
図3を参照すれば、図3は有機薄膜層105が電子輸送層150、発光層130、および正孔輸送層140を含む、3層型有機光電素子300を示すものであって、前記有機薄膜層105において、発光層130は独立して設置されており、電子輸送性または正孔輸送性に優れた膜(電子輸送層150および正孔輸送層140)を別途の層として積層した形態を示している。
【0059】
図4を参照すれば、図4は有機薄膜層105が電子注入層160、発光層130、正孔輸送層140、および正孔注入層170を含む、4層型有機光電素子400を示すものであって、前記正孔注入層170は陽極として用いられるITOとの接合性を向上させることができる。
【0060】
図5を参照すれば、図5は有機薄膜層105が電子注入層160、電子輸送層150、発光層130、正孔輸送層140、および正孔注入層170のようなそれぞれ異なる機能を有する5つの層を含む、5層型有機光電素子500を示すものであって、前記有機光電素子500は電子注入層160を別途に形成するため低電圧化に効果的である。
【0061】
上述した有機発光素子は、基板上に陽極を形成した後、真空蒸着法(evaporation)、スパッタリング(sputtering)、プラズマメッキ、およびイオンメッキなどのような乾式成膜法、またはスピンコーティング(spin coating)、浸漬法(dipping)、およびフローコーティング法(flow coating)などのような湿式成膜法などによって有機薄膜層を形成した後、その上に陰極を形成することによって製造されうる。
【0062】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、上記実施形態による有機光電素子を含む表示装置が提供される。
【実施例】
【0063】
以下、実施例を参照して実施形態をより詳細に説明する。ただし、下記に記載された実施例は、本発明の例示的な実施形態であり、本発明がこれに制限されてはならない。
【0064】
有機光電素子用化合物の合成
<実施例1:化学式(28)の化合物の合成>
本発明の一実施形態による有機光電素子用化合物の具体的な例として提示された前記化学式(28)の化合物は、下記の反応式のような4段階によって合成された。
【0065】
第1段階:中間体生成物(A)の合成
【0066】
【化5】

【0067】
トリブロモベンゼン(tribromobenzene)20g(63.5mmol)、キノリン−3−ボロン酸(quinoline−3−boronic acid)24.2g(139.8mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0))7.4g(6.4mmol)、および炭酸カリウム(potassium carbonate)52.7g(381.2mmol)をテトラヒドロフラン/水(tetrahydrofuran/H2O)を3/1の体積比で混合して調製した溶媒800mlに溶解させ、85℃で18時間反応させた。取得した反応物を酢酸エチル(ethylacetate)で抽出した後に溶媒を減圧下で除去した。得られた抽出物をカラムで分離した後に乾燥させて13g(Y=50%)の固体を得た。
【0068】
第2段階:中間体生成物(B)の合成
【0069】
【化6】

【0070】
2−6−ジブロモ−4−ヨードピリジン(2−6−dibromo−4−iodopyridine)10g(36.5mmol)をテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)500mlに溶解させた後、溶液を78℃に維持した。ここに、1.6Mのn−ブチルリチウム(n−butyllithium)溶液22.8ml(36.51mmol)を上記の溶液にゆっくりと滴下、混合物を78℃で1時間攪拌した。次に、攪拌した混合物にホウ酸トリイソプロピル(triisopropyl borate)10.1ml(43.8mmol)を添加し、ゆっくりと室温まで加熱し、攪拌しながら18時間反応させた。反応混合物に水酸化ナトリウム水溶液(sodium hydroxide water solution)を添加して1時間攪拌した後、塩酸(hydrochloric acid)を用いて溶液全体の酸性度を中性に調節した。次いで、取得した反応物を酢酸エチル(ethylacetate)で抽出、溶媒を減圧下で除去し、カラムで分離した後に乾燥させて2.83g(Y=40%)の固体を得た。
【0071】
第3段階:中間体生成物(C)の合成
【0072】
【化7】

【0073】
前記1段階で得られた中間体生成物(A)4.81g(11.7mmol)、前記2段階で得られた中間体(B)2.21g(11.52mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(tetrakis(triphenyl−phosphine)palladium(0))1.26g(1.1mmol)、および炭酸カリウム(potassium carbonate)4.52g(32.7mmol)をテトラヒドロフラン/水(tetrahydrofuran/H2O)を3/1の体積比で混合して調製した溶媒180mlに溶解させ、75℃で18時間反応させた。取得した反応物を酢酸エチル(ethylacetate)で抽出し、溶媒を減圧下で除去した後、カラムで分離し、乾燥させて3.74g(Y=68%)の固体を得た。
【0074】
第4段階:化学式(28)の化合物の合成
【0075】
【化8】

【0076】
前記第3段階で製造された中間体生成物(C)3.74g(7.82mmol)、ナフタレン−2−ボロン酸(naphthalene−2−boronic acid)2.96g(17.2mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0))0.9g(0.78mmol)、および炭酸カリウム(potassium carbonate)6.48g(46.9mmol)をテトラヒドロフラン/水(tetrahydrofuran/H2O)を3/1の体積比で混合して調製した溶媒160mlに溶解させ、85℃で3時間反応させた。取得した反応物をクロロホルム(chloroform)で抽出し、溶媒を減圧下で除去した後、カラムで分離し、乾燥させて2g(Y=39%)の固体を得た。
【0077】
<実施例2:化学式(30)の化合物の合成>
有機光電素子用化合物の具体的な例として提示された前記化学式(30)の化合物は、下記の反応式のような3段階によって合成された。
【0078】
第1段階:中間体生成物(D)の合成
【0079】
【化9】

【0080】
2,4,6−トリクロロピリミジン(2,4,6−trichloropyrimidine)20g(109.04mmol)、ナフタレン−2−ボロン酸(naphthalene−2−boronic acid)37.5g(218.04mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0))6.3g(5.45mmol)、および炭酸カリウム(potassium carbonate)60.3g(436.29mmol)をテトラヒドロフラン/水(tetrahydrofuran/H2O)を2/1の体積比で混合して調製した溶媒600mlに溶解させ、80℃で6時間反応させた。取得した反応物をクロロホルム(chloroform)で抽出し、溶媒を減圧下で除去した後、カラムで分離し、乾燥させて29.5g(Y=74%)の固体を得た。
【0081】
第2段階:中間体生成物(E)の合成
【0082】
【化10】

【0083】
前記中間体生成物(A)21.11g(51.33mmol)、ビス(ピナコレート)ジボロン(bis(pinacolato)diborone)15.64g(61.59mmol)、[1、1’−ビス(ジフェニルフホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)([1,1’−bis(diphenylphosphino)ferrocene]dichloropalladium(II))のジクロロメタンとの錯体2.1g(2.57mmol)、酢酸カリウム(potassium acetate)15.1g(153.98mmol)をトルエン(toluene)500mlに溶解させ、溶液を80℃で18時間加熱した。取得した反応物をクロロホルム(chloroform)で抽出、溶媒を減圧下で除去した後、カラムで分離し、乾燥させて21.9g(Y=96%)の固体を得た。
【0084】
第3段階:化学式(30)の化合物の合成
【0085】
【化11】

【0086】
前記1段階で製造された中間体生成物(D)3g(8.18mmol)、前記第2段階で製造された中間体生成物(E)3.29g(7.44mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0))0.43g(0.37mmol)、および炭酸カリウム(potassium carbonate)3.08g(22.3mmol)をテトラヒドロフラン/水(tetrahydrofuran/H2O)を3/1の体積比で混合して調製した溶媒120mlに溶解させ、85℃で18時間反応させた。取得した反応物をクロロホルム(chloroform)で抽出し、溶媒を減圧下で除去た後、カラムで分離した後に乾燥させて3.5g(Y=70%)の固体を得た。
【0087】
<実施例3:化学式(31)の化合物の合成>
有機光電素子用化合物の具体的な例として提示された前記化学式(31)の化合物は、下記の反応式のような2段階によって合成された。
【0088】
第1段階:中間体生成物(F)の合成
【0089】
【化12】

【0090】
中間体生成物(F)6g(13.09mmol)、2,4,6−トリクロロピリミジン2,4,6−trichloropyrimidine)2.4g(13.09mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0))0.38g(0.33mmol)、および炭酸カリウム(potassium carbonate)3.62g(26.19mmol)をテトラヒドロフラン/水(tetrahydrofuran/H2O)を2/1の体積比で混合して調製した溶媒72mlに溶解させ、80℃で6時間反応させた。取得した反応物をクロロホルム(chloroform)で抽出し、溶媒を減圧下で除去した後、カラムで分離した後に乾燥させて4.9g(Y=78%)の固体を得た。
【0091】
第2段階:化学式(31)の化合物の合成
【0092】
【化13】

【0093】
前記1段階で製造された中間体生成物(F)4.9g(10.22mmol)、ナフタレン−2−ボロン酸(naphthalene−2−boronic acid)3.9g(22.68mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0))0.6g(0.52mmol)、および炭酸カリウム(potassium carbonate)5.7g(41.24mmol)をテトラヒドロフラン/水/トルエン(tetrahydrofuran/H2O/toluene)を3/2/2の体積比で混合して調製した溶媒350mlに溶解させ、110℃で24時間反応させた。取得した反応物をクロロホルム(chloroform)で抽出し、溶媒を減圧して除去した後、カラムで分離した後に乾燥させて3.9g(Y=58%)の固体を得た。
【0094】
実施例1〜3で合成された化合物に対して1H NMR(核磁気共鳴分光法、nuclear magnetic resonance spectroscopy)によって分析した。結果をそれぞれ図6〜図8に示す。
【0095】
有機発光素子の製造
<実施例4>
陽極は15Ω/cm2、1200ÅのITOガラス基板(コーニング社製)を50mm×50mm×mmの大きさに切断してイソプロピルアルコールおよび純水中で各5分間超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン洗浄して作製した。
【0096】
次いで、前記ガラス基板上に真空度650×10-7Paの条件で熱真空蒸着を行った。まず、N1,N1’−(ビフェニル−4,4’−ジイル)ビス(N1−(ナフタレン−2−イル)−N4,N4−ジフェニルベンゼン−1,4−ジアミン)(65nm)の正孔注入層を蒸着し、次いで、その上にN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPB)(40nm)の正孔輸送層を蒸着した。
【0097】
次に、その上にN,N,N’,N’−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン5重量%および9−(3−(ナフタレン−1−イル)フェニル)−10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン95重量%を混合して調製した発光層(25nm)を蒸着し、実施例1で製造された化合物を用いて調製した電子輸送層(35nm)を蒸着した。
【0098】
前記電子輸送層上に同じ蒸着条件下で電子注入層としてLiqを0.5nmの厚さに真空蒸着し、Alを100nmの厚さに真空蒸着してLiq/Al電極を形成した。製造された有機発光素子の構造は図5に示すとおりである。
【0099】
<実施例5>
電子輸送層として実施例2で製造された化合物を用いたことを除いては、前記実施例4と同じように実施して有機発光素子を作製した。
【0100】
<実施例6>
電子輸送層として実施例3で製造された化合物を用いたことを除いては、前記実施例4と同じように実施して有機発光素子を作製した。
【0101】
<比較例1>
電子輸送層を形成する電子輸送材料としてAlq3を用いたことを除いては、前記実施例4と同じように実施して有機発光素子を作製した。
【0102】
物性測定結果および分析
1)駆動電圧、輝度、発光効率、および色座標測定
実施例4〜6および比較例1の有機発光素子に対して輝度計(Minolta Cs−1000A)で1000cd/m2の輝度を発光するのに必要な駆動電圧(V)および色座標を測定し、同じ輝度を発光するための電流効率(cd/A)および電力効率(lm/W)を測定し、結果を表1に示した。
【0103】
2)電圧変化による電流密度の測定
実施例4〜6および比較例1で製造されたそれぞれの有機発光素子に対し、電圧を0Vで14Vまで上昇させながら電流−電圧計(Keithley 2400)を利用して単位素子に流れる電流値を測定し、測定された電流値を面積で割って電流密度を計算した。結果を図9に示した。
【0104】
【表1】

【0105】
表1および図9を参照すれば、実施例4〜6の有機発光素子は、比較例1の有機発光素子に比べて駆動電圧が著しく低い。また、本発明の実施例4〜6の有機発光素子は、駆動電圧が著しく低いが、電流効率および電力効率は極めて高い。
【0106】
このような測定結果は、発光層内の正孔と電子との均衡をなすことによって現れる結果であって、実施例4〜6で用いられた化合物が電子輸送材料であるAlq3に比べて優れた電子注入特性および輸送特性を有する。
【0107】
本発明を実際の例示的な実施形態であると現在考えられる実施形態と結びつけて説明したが、本発明は開示された実施形態に限定されず、本発明の精神および添付の特許請求の範囲に含まれる本発明の多様な変形および等価な変更を包含するものと理解されるべきである。
【符号の説明】
【0108】
100 有機光電素子:陰極
120 陽極:有機薄膜層
130 発光層:正孔輸送層
150 電子輸送層:電子注入層
170 正孔注入層:発光層+電子輸送層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)で表される、有機光電素子用化合物。
【化1】

(前記化学式(1)において、
1〜A10は互いに同一または異なり、それぞれ独立してCR1〜CR10、SiR1〜SiR10、およびNからなる群より選択され、このとき、隣接したR1〜R5は互いに縮合して縮合環を形成してもよく、または、隣接したR6〜R10は互いに縮合して縮合環を形成してもよく、
但し、A1〜A5のうち少なくとも1つは、SiR1〜SiR5、およびNからなる群より選択されるか、または、隣接したR1〜R5から形成される縮合環の少なくとも1つの原子がヘテロ原子であり、A6〜A10のうち少なくとも1つは、SiR6〜SiR10、およびNからなる群より選択されるか、または、隣接したR6〜R10から形成される縮合環の少なくとも1つの原子がヘテロ原子であり、
1〜R10は互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、ハロゲン、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルキレン基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルケニレン基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアルキニレン基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のシクロアルキレン基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のアリーレン基からなる群より選択され、
Ar1は置換または非置換のアリーレン基であり、Ar2は置換または非置換のアリール基であり、
lおよびmは1〜4の整数であり、lおよびmが2以上である場合、それぞれの反復単位は相違していてもよい。)
【請求項2】
下記化学式(2)で表される、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【化2】

(前記化学式(2)において、
1、A3、A5、A6〜A15は互いに同一または異なり、それぞれ独立してCR1、CR3、CR5、CR6〜CR15、SiR1、SiR3、SiR5、SiR6〜SiR15、およびNからなる群より選択され、このとき、隣接したR6〜R10は互いに縮合して縮合環を形成してもよく、または、隣接したR11〜R15は互いに縮合して縮合環を形成してもよく、
但し、A1、A3、およびA5のうち少なくとも1つは、SiR1、SiR3、SiR5、およびNからなる群より選択され、A6〜A10のうち少なくとも1つは、SiR6〜SiR10、およびNからなる群より選択され、隣接したR6〜R10から形成される縮合環の少なくとも1つの原子がヘテロ原子であり、A11〜A15のうち少なくとも1つは、SiR11〜SiR15、およびNからなる群より選択されるか、または、隣接したR11〜R15から形成される縮合環の少なくとも1つの原子がヘテロ原子であり、
1、R3、R5、R6〜R15は互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、ハロゲン、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、カルボニル基、エステル基、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルキレン基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアルケニル基、置換または非置換のアルケニレン基、置換または非置換のアルキニル基、置換または非置換のアルキニレン基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のシクロアルキレン基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のアリーレン基からなる群より選択され、
Ar1は置換または非置換のアリーレン基であり、Ar2およびAr3は互いに同一または異なり、それぞれ独立して置換または非置換のアリール基である。)
【請求項3】
前記アリールは炭素数6〜50のアリールである、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項4】
前記隣接したR1〜R5が互いに縮合して縮合環を形成する場合、または前記隣接したR6〜R10が互いに縮合して縮合環を形成する場合、A1〜A5を含む縮合環およびA6〜A10を含む縮合環は置換または非置換のヘテロ環基である、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項5】
前記ヘテロ環基は、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、カルバゾリル基、ピリジニル基、ピリダジン基、キノリニル基、イソキノリニル基、アクリジル基、イミダゾピリジニル基、およびイミダゾピリミジニル基からなる群より選択される、請求項4に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項6】
前記イミダゾリル基または前記トリアゾリル基の窒素(N)に結合する置換基は、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロ環基からなる群より選択される、請求項5に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項7】
前記化学式(2)において、A1、A3、及びA5のうち少なくとも1つがNを含み、A6〜A10を含む置換基およびA11〜A15を含む置換基がキノリニル基またはイソキノリニル基である、請求項2に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項8】
前記化学式(2)において、A3がNを含み、A6〜A10を含む置換基およびA11〜A15を含む置換基がキノリニル基またはイソキノリニル基である、請求項2に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項9】
前記キノリニル基またはイソキノリニル基は、前記キノリニル基またはイソキノリニル基の2位または3位でAr1と結合される、請求項7または8に記載の有機光電素子用化合物。
【請求項10】
下記化学式(3)〜(17)で表される化合物のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【化3】

【請求項11】
下記化学式(18)、(23)、(28)、(34)、(38)、(43)および(48)で表される化合物のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【化4】

【請求項12】
下記化学式(19)、(24)、(29)、(35)、(39)、(44)および(49)で表される化合物のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【化5】

【請求項13】
下記化学式(20)〜(22)、(25)〜(27)、(30)〜(33)、(36)、(37)、(40)〜(42)、(45)〜(47)および(50)〜(52)で表される化合物のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の有機光電素子用化合物。
【化6−1】

【化6−2】

【化6−3】

【請求項14】
陽極、陰極、および前記陽極と前記陰極との間に配置された少なくとも1層の有機薄膜層を含む有機光電素子であって、
前記有機薄膜層のうちの少なくとも1層は、請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機光電素子用化合物を含む、有機光電素子。
【請求項15】
前記有機光電素子用化合物がホスト材料または電荷輸送材料として用いられる、請求項14に記載の有機光電素子。
【請求項16】
前記有機薄膜層は、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項14に記載の有機光電素子。
【請求項17】
前記有機薄膜層のうちの少なくとも1層は、前記有機光電素子用化合物と共に還元性ドーパントをさらに含む、請求項14に記載の有機光電素子。
【請求項18】
前記還元性ドーパントは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の有機錯体、希土類元素金属の酸化物、希土類元素金属のハロゲン化物、および希土類元素金属の有機錯体からなる群より選択される、請求項17に記載の有機光電素子。
【請求項19】
請求項14に記載の有機光電素子を含む、表示装置。

【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−514324(P2012−514324A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543417(P2011−543417)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/KR2009/007411
【国際公開番号】WO2010/076986
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】